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第4回 痛みの強さの測定法【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第4回 痛みの強さの測定法痛みは第5のバイタルサインと呼ばれています。そのために、患者さんを診察するうえで痛みについての関心が高まってきておりますが、痛みは患者さん自身にしかわからない主観的な感覚であるために、それを科学的に研究する対象とはなりにくかったと思われます。その一方で、痛みは病気の兆候として最も多く、誰もが苦しむ原因となっています。「痛みはない」と患者さんがおっしゃれば、それでよろしいと思われますが、痛みが存在する場合には、その強さの程度を測定することは、痛みを治療するためにも重要な検査となります。今回は、現在用いられている「痛みの強さの測定法」についてお話しします。痛みの強さを測る代表スケール1)視覚的評価スケール(Visual Analogue Scale:VAS)従来、臨床の場で広く使用されている評価尺度です。100mmの直線上に、左端(0mm)を「痛みなし」、右端(100mm)を「想像できる最高の痛み」あるいは「今まで経験した最大の痛み」として、患者さん自身に現在の痛みがその直線の上でどの位置にあるかをチェックしてもらう測定法です。痛みの強さを左端からの長さ(mm)で表示します。画像を拡大する2)顔表現的評価スケール(Face Pain Rating Scale:FRS)VASに比較して小児や高齢者にとって、わかりやすく痛みの強さを示すことが期待できます。「0:痛みのない顔」から「5:我慢ができない流涙の顔」までの5ないし6段階の顔の苦痛表現を用いて、患者さんに自分の痛みの程度に相当する表情の顔を指し示してもらう測定法です。3歳から判定できると考えられています。もちろん顔と顔の間は、患者さんに想像していただかなくてはなりません。画像を拡大する3)数値的評価スケール(Numerical Rating Scale:NRS)痛みの強さを0~10までの11段階で表し、0は「痛みなし」、10は「これ以上ない痛み」として、現在の痛みの強さを数値で記載する測定法です。VASに比較して数値が明確なので、患者さんにもわかりやすいようです。画像を拡大する4)口頭式評価スケール(Verbal Rating Scale:VRS)「1:痛くない、2:すこし痛い、3:痛い、4:すごく痛い」というように、数段階の痛みの強さを表す言葉を用いて患者さんに示してもらう測定法です。VRSは、患者さんにとっても理解しやすく、おおまかな変化を知るうえで有用です。画像を拡大する5)カラード・フェイス・ビジュアル・アナログ・スケール(Colored Face Visual Analogue Scale)痛みの程度を色で表し、顔の変化も加えています。暖かい色は比較的楽な状態で、青い色は痛みが強くなり顔も厳しくなります。また、0mmはこれから痛みが始まる顔です。したがって、そこに至るまで痛みを感じない状態ですので、もっと笑顔が見られてもよいと思います。画像を拡大する6)フェイス・ビジュアル・アナログ・スケール(Faced Visual Analogue Scale)FRSとVASを組み合わせて、裏面にVASに変換しやすいようにセッティングした測定器です。とくに、高齢者に使いやすいと考えられています。画像を拡大する7)マクギル痛みの簡易質問表(Short Form of McGill Pain Questionnaire)痛みの程度もさることながら、その性質を質問するツールです。画像を拡大する痛みを測定して患者さん間で比較する前述のこれらの痛みの評価方法は、同一患者さん自身での経時的変化や治療効果の判定に対しては威力を発揮してきましたが、患者さんの間での比較は不可能です。それに対しては、患者さんの間で比較できるような装置が使用されています。・知覚・痛覚定量分析装置(Pain VisionTM)患者さんが感じている痛みを、痛みを伴わない異種感覚に置き換えて定量的に評価する装置です。現在、臨床使用ができます。画像を拡大するこれによって、痛みの程度を患者さんの間で比較評価できる可能性が高まりました。痛みを発生させないようなAβおよびAδ線維をパルス状電流波(低周波電流、50Hz、0~150μA、パルス幅0.5ms)を用いて皮膚の刺激量を増大させながら、患者さんが電気刺激を最初に感じた値を「最小感知電流」と定義します。また、患者さんが有する痛みと一致した感覚刺激の大きさになった電流値を「痛み対応電流」と定義します。それらの2点値から痛み度を算出します。痛み度=100×(痛み対応電流-最小感知電流)/最小感知電流下図は痛みの程度(痛み度)を測定しているところです。画像を拡大するVAS値と痛み度の変化は相関していますが、同じVAS値において痛み度が同様とは限らず、患者さんによって、さまざまな痛み度を呈しています。VASは、他の患者さんとの比較はできないですが、痛み度においては、他の患者さんとの比較ができます。VAS値が高く、激痛を訴えている患者さんでも意外と痛み度は低く、患者さんが思っているほどでもないことがわかると、患者さん自身も安心することがあります。逆にVAS値が低くても、痛み度が高く、痛みに対する我慢度が高い患者さんも存在します。また、疾患別に痛み度の強さが異なるのか、痛みの表現によって痛み度が異なるのか、治療法によって痛み度の低下に差異があるのか、性差があるのかなど、さらなる検討が必要です。それによって、痛み度に関して臨床への応用度が今後高まるものと考えられます。以上のいずれの測定法でも痛みの程度が観察できます。日常診療のときに、痛みの有無、痛みの程度が測定されることを望んでおります。次回は「全身痛」について解説する予定です。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:10-13.

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高齢入院患者におけるせん妄と抗コリン薬に関する観察研究

 せん妄は、高齢入院患者において平均5人に1人が発症する神経精神症候群であり、認知および機能の悪化、患者および介護者の負担増加、死亡率の上昇を含む多くの悪影響と関連している。抗コリン作用を有する薬物療法は、高齢入院患者におけるせん妄症状の臨床的重症度と関連しているといわれるが、この関連性はまだよくわかっていない。イタリア・Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario Negri IRCCSのLuca Pasina氏らは、累積抗コリン作用性負荷がせん妄リスクを増加させるという仮説を検証するため、せん妄と抗コリン作用性負荷との関連性を評価した。Drugs & Aging誌オンライン版2018年11月27日号の報告。 2014年6月~2015年1月までにイタリア・モンツァのSan Gerardo Hospitalの急性期高齢者病棟(Acute Geriatric Unit:AGU)に入院した高齢者を対象に、レトロスペクティブ横断研究を実施した。せん妄の診断は、良好な感度や特異性を示す有効なスクリーニングツールである4'A'sテスト(4AT)を用いて入院時に行った。各患者における抗コリン作用性負荷は、高齢患者の中枢神経系への悪影響リスクを予測する、抗コリン薬のランク付けであるAnticholinergic Cognitive Burden(ACB)スケールで測定した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象の477例中、151例(31.7%)がせん妄を有していた。・ACBスケールでは、377例(79.0%)が1剤以上の抗コリン薬を使用していた。・強力な抗コリン作用を有するクエチアピンを除いて、最も一般的に用いられる抗コリン薬は、潜在的に抗コリン作用を有するが、ACBスケール(スコア1)においては、臨床的に関連する認知機能への影響は不明であった。・せん妄を有する患者では、非せん妄患者と比較し、抗コリン作用性負荷が高く、単変量解析で有意であった総ACBスコアとせん妄との間に用量効果関係が認められた。・定常リスクはスコア0~2の患者で認められたが、スコア3以上の患者では、抗コリン薬未使用患者よりも、せん妄リスクは約3~6倍高かった。・用量反応関係は、年齢および性別で調整された多変量モデルで維持されたが(オッズ比[OR]:5.88、95%信頼区間[CI]:2.10~16.60、p=0.00007)、認知症およびMini Nutritional Assessmentで調整されたモデルでは、有意な差は認められなかった(OR:2.73、95%CI:0.85~8.77、p=0.12)。 著者らは「抗コリン薬は、抗ムスカリン作用を有する複数の薬物療法の累積効果によって、せん妄の発症に影響を及ぼす可能性がある。しかしこの影響は、認知症および栄養不良で調整後、多変量ロジスティック回帰分析では明らかな差が認められなかった。認知症および栄養不良を含む高齢入院患者において、抗コリン作用性負荷とせん妄との関連を明らかにするためには、より大規模な多施設共同研究が必要とされる」としている。■関連記事長期抗コリン薬使用、認知症リスク増加が明らかに注意が必要、高齢者への抗コリン作用認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連

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わが国の食道アカラシアの疫学~大規模レセプトデータより

 わが国の食道アカラシアの疫学と治療動向について、新潟大学の佐藤 裕樹氏、山梨大学の横道 洋司氏らの調査から、罹患率および期間有病率は他の国と同程度であること、食道がんの発症リスクはアカラシア患者で一般人口と比較し相対的に高いことが示された。また、主に実施されている治療法は食道拡張術であるが、経口内視鏡的筋層切除術(POEM)による治療の割合も年々増加していることがわかった。Journal of Gastroenterology誌オンライン版2019年1月3日号に掲載。 食道アカラシアにおけるわが国の疫学研究は十分ではない。今回、著者らは日本における罹患率と期間有病率、食道がんとの合併率、治療動向を調査した。全国のアカラシア患者数は、2005~17年の大規模なレセプトデータベースを使用して推定した。また、登録されている診断コードより、食道アカラシアと食道がんを合併している患者を特定した。さらにアカラシアの治療介入について調べた。 主な結果は以下のとおり。・計549万3,650人の集団のうち、385人が食道アカラシアと診断された。・罹患率は10万人年当たり0.81~1.37と算出された(男女比はほぼ1、診断時平均年齢は43.3±14.4歳)。・期間有病率は10万人当たり7.0であった。・年齢層にわたって、罹患率および期間有病率に統計学的に有意な増加傾向があった(すべてp<0.0001)。・アカラシアを有する4人の男性が食道がんを発症し、アカラシアを有する食道がんの罹患率は100人年当たり0.25と推定された。・治療介入については、64.7%の患者に初回治療として食道拡張術が行われ、そのうち56.9%で再治療が必要となった。・POEMで治療された患者の割合は年々増加し、2017年は41.1%であった。

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英外食チェーン、推奨エネルギー量の料理は9%のみ/BMJ

 英国の主要外食チェーンで提供される主な食事のうち、英国公衆衛生局が推奨する1食当たりのエネルギー量が600kcal以下の食事はわずか9%である一方、47%に及ぶかなり多くの食事が1,000kcal以上とエネルギー量が過度であることが明らかになった。英国・リバプール大学のEric Robinson氏らが、英国の外食チェーン27社の食事を調査した結果で、著者は「ファストフード店の食事の栄養価は不十分だがきちんと表示はされている。一方で、英国のフルサービスで提供するレストランの食事のエネルギー量は過度な傾向がみられ、懸念の元である」と述べている。BMJ誌2018年12月12日号(クリスマス特集号)掲載の報告。レストラン21社とファストフード6社を調査 研究グループは、英国の主要外食チェーン27社を対象に、主な食事1万3,396種のエネルギー量を調査した。調査対象とした外食チェーンのうち、21社がフルサービスレストラン、6社がファストフード店を展開していた。 主要評価項目は、英国公衆衛生局が推奨する1食当たりのエネルギー量600kcal以下の食事の割合と、1,000kcal以上と過度なエネルギー量の食事の割合だった。レストランの食事のほうがファストフードより平均268kcal高い 計1万3,396種の食事の平均エネルギー量は、977kcal(95%信頼区間[CI]:973~983)だった。 英国公衆衛生局の推奨エネルギー量600kcal以下の食事の割合は9%(1,226種)だったが、1,000kcal以上のエネルギー量過多な食事の割合は47%(6,251種)とかなり多かった。 また、ファストフード店に比べてフルサービスレストランの食事は、エネルギー量が有意に過度であり、その差は平均268kcal(95%CI:103~433)だった。

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腎疾患に遺伝子診断は有用か/NEJM

 3,000例超のさまざまな慢性腎臓病患者の集団を対象とした検討で、エクソーム解析に基づく遺伝子診断率は、10%未満であることが明らかにされた。米国・コロンビア大学のEmily E. Groopman氏らによる検討の結果で、NEJM誌オンライン版2018年12月26日号で発表された。慢性腎臓病を有する2コホート計3,315例を解析 研究グループは、慢性腎臓病の患者3,315例を含む2つのコホートを対象に、エクソーム解析と診断解析を行った。詳細な臨床データが入手できた患者について、診断率や、診断の臨床的意義、その他の医学的所見との関連を検証した。 被験者のうち、91.6%(3,037例)が21歳超で、自己申告に基づく非欧州系人種は35.6%(1,179例)を占めた。9.3%(307例)で診断変種を検出 被験者全体の9.3%(307/3,315例)で診断変種が検出され、66種の単一遺伝子病が認められた。これら単一遺伝子病のうち、39種(59%)の患者数はいずれも1例ずつだった。 エクソーム解析により検出された診断変種には、先天性/嚢胞性腎疾患(127/531例、23.9%)や、原因不明の腎障害(48/281例、17.1%)など、臨床的に定義された全カテゴリーの疾患が含まれていた。 評価対象2,187例の1.6%(34例)で、医療的に対応すべき問題が見つかり、腎障害とは関連がなく別の専門医に紹介し腎疾患マネジメントに関する情報提供を行うケースもあった。 同研究グループは、腎疾患の遺伝子診断率が9.3%であった点について「同診断率はがんの遺伝子診断率と似通った数字で、がんでは日常的に遺伝子診断が行われている」とし、その有用性を評価している。

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ダコミチニブ、EGFR変異陽性NSCLCに国内承認/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2019年1月8日、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺」の効能・効果で、EGFR-TKIダコミチニブ(商品名:ビジンプロ錠15mg、同45mg)の製造販売承認を取得した。 ダコミチニブの有効性と安全性は、ダコミチニブとゲフィチニブを直接比較した国際共同第III相ARCHER1050試験の結果により確認された。盲検下での独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間中央値は、ダコミチニブ群では14.7ヵ月、ゲフィチニブ群では9.2ヵ月で、ダコミチニブ群はゲフィチニブ群と比べ、優れた改善を示した。また、全生存期間中央値は、ダコミチニブ群では34.1ヵ月、ゲフィチニブ群では26.8ヵ月であった。ダコミチニブは約7ヵ月間の審査期間を経て承認 ダコミチニブは、日本においては優先審査品目に指定され、2018年5月28日に製造販売承認を申請後、約7ヵ月間の審査期間を経て承認となった。米国では、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査に指定され、2017年9月27日にEGFR活性化変異を有する転移のある非小細胞肺がん治療の1次治療薬として承認を取得している。ビジンプロの概要・製品名:ビジンプロ錠15mg/45mg(VIZIMPRO Tablets 15mg/45mg)・一般名:ダコミチニブ水和物(Dacomitinib Hydrate)・効能・効果:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺・用法・用量:通常、成人にはダコミチニブとして1日1回45mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・製造販売承認取得日:2019年1月8日・製造販売元:ファイザー株式会社

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高血圧の定義、現状維持であれば1万人あたり5人の脳心血管イベントが発症するという警鐘(解説:桑島巖氏)-989

 2017年に発表された米国ACC/AHA高血圧ガイドラインでは、高血圧基準がJNC7に比べて、収縮期、拡張期とも10mmHg下がり130/80mmHgとされた。この定義変更はSPRINT研究の結果を大幅に取り入れたものであるが、果たしてこの新しい高血圧基準をアジア住民に当てはめた場合、どの程度が脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患から免れるのであろうか。その課題に対する答えを示したのがこの論文である。 本論文は、韓国国民健康保険サービスに参加した20~39歳までの約250万人について2006年から10年間追跡し、その間に発生した4万4,813件の脳血管障害、脳心血管死についてACC/AHA定義に従って分析したものである。 それによると、130~139/80~89mmHgのステージ1レベルの高血圧でも<120/80mmHgの正常血圧に比較すると10万人当たり年間51人多く、脳心血管疾患が発生していたという。なかでもアジア人の特性として脳卒中発症が冠動脈疾患発症の2倍多いことも明らかにしており、日本人にとっても参考になるデータである。 わが国でも策定中の高血圧治療ガイドライン2019では、混乱を招くという意味から高血圧の定義を変更する予定はないようであるが、このようなデータを見ると混乱を招くことを恐れるより、国民の脳卒中や心筋梗塞発症をこそ恐れるべきであり、高血圧の定義も米国にならって130/80mmHgとすべきである。

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リナグリプチンのCARMELINA試験を通して血糖降下薬の非劣性試験を再考する(解説:住谷哲氏)-991

 eGFRの低下を伴う腎機能異常を合併した2型糖尿病患者における血糖降下薬の選択は、日常臨床で頭を悩ます問題の1つである。血糖降下薬の多くは腎排泄型であるため腎機能に応じて投与量の調節が必要となる。DPP-4阻害薬の1つであるリナグリプチンは数少ない胆汁排泄型の薬剤であり、腎機能に応じた投与量の調節が不要であるため腎機能異常を合併した患者に投与されることが多い。 これまでにDPP-4阻害薬の安全性を評価した心血管アウトカム試験CVOTでは、サキサグリプチンのSAVOR-TIMI 53、アログリプチンのEXAMINE、シタグリプチンのTECOSが発表されている。リナグリプチンの安全性を評価した本試験の報告により、DPP-4阻害薬の安全性を評価したすべてのCVOTが出そろったことになる。本試験の最大の特徴は、リナグリプチンが胆汁排泄型であることに基づいて、これまで報告されたCVOTの中で最多の腎機能異常合併2型糖尿病患者を組み入れた点にある。 6,979例がエントリーされたが、その半数以上がeGFR<60mL/min/1.73m2であり、eGFR<30mL/min/1.73m2の患者も約15%含まれていた。主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中からなる3-point MACEであったが、副次評価項目にはESRDへの移行、腎関連死、ベースラインから40%以上のeGFRの低下の持続からなる腎複合エンドポイントが含まれている。中央値2.2年の観察期間において、プラセボ群の3-point MACE発症率は5.63/100人年であり、これまで実施されたCVOTの中で最も高リスクであった。このことは腎機能異常合併2型糖尿病患者の心血管リスクがきわめて高いことを示している。既報のDPP-4阻害薬のCVOTと同様に、主要評価項目ではプラセボ群に対する非劣性が証明されたが優越性は証明されなかった。期待された腎複合エンドポイントでも優越性は証明されなかった。多くの探索的アウトカムexploratory outcomeの中でプラセボ群と有意差を認めたのはアルブミン尿の進展HR 0.86(0.78~0.95、p=0.003)、複合細小血管エンドポイントHR 0.86(0.78~0.95、p=0.003)のみであった。重症低血糖の頻度もプラセボ群との間に有意差を認めなかった。また観察期間中のHbA1cはリナグリプチン群で0.36%有意に低下した。 本試験も含めて既報のCVOTはすべて非劣性試験non-inferiority trialであり、その結果をどのように解釈して日常臨床に適用すればよいのだろうか? 確かにすべての非劣性試験は製薬企業が新たな薬剤を販売するための臨床試験であり、われわれ臨床家にとっても患者にとってもメリットはないとの指摘にも一理ある1)。非劣性試験で証明されるのは、対象である新たな血糖降下薬(試験薬)が既存の血糖降下薬と比較して3-point MACEなどの心血管イベントを非劣性マージン(多くはハザード比の95%信頼区間の上限が1.3に設定される)を超えて増加させないことのみである。これをクリアすればその試験薬は「安全な血糖降下薬」としてのお墨付きを当局から得られる。つまり心血管イベントを29%増加させる可能性があっても血糖降下薬としては許容されることになる(この点については議論があるが本稿では割愛する)。そうであれば何も高価な新薬(試験薬)を使う必要はなく、プラセボ群で使用された従来の安価な血糖降下薬を使えばよいではないか、との反論も当然あるだろう。 血糖降下薬を投与する目的は心血管イベントなどの真のアウトカムを改善することにあり、HbA1cなどはあくまで代用のアウトカムsurrogate outcomeである。HbA1cを低下させれば腎症を含めた細小血管障害リスクが低下することはこれまでに証明されている。つまり将来の細小血管障害リスクを低下させるためにHbA1cを低下させることは正当化される。本試験においてリナグリプチンは代用のアウトカムであるHbA1cと、同じく代用のアウトカムである尿アルブミンを有意に減少させたが、これはHbA1cの低下による可能性が高い。一方、心血管イベントについては、RCTのメタ解析によると厳格な血糖管理により非致死性心筋梗塞を含めた冠動脈疾患は減少するが、脳卒中、全死亡は減少しないと報告されている2)。つまり将来の心血管イベントリスクを低下させるためにHbA1cを低下させることは、細小血管障害の場合と同じ程度に正当化されるとは言い難い。 CVOTでは、血糖降下作用とは独立した心血管イベントリスクの上昇の有無を検証するために、試験デザインとしてプラセボ群と試験薬群とのglycemic equipoise(血糖コントロールつまりHbA1cが両群で試験期間中に同等であること)が要求されている。しかし本試験も含めた既報のすべてのCVOTにおいては試験薬群のHbA1cが有意に低下している。この点について、プラセボ群で血糖管理が強化されなかったのは倫理的に問題であるとの意見もあるが、筆者の見解は少しく異なる。実際にはCVOTに組み入れられたようなきわめて心血管イベント高リスクの患者で、かつ、すでに複数の血糖降下薬を併用してHbA1cが8.0%程度の患者において、インスリンを増量、SU薬を増量、他の血糖降下薬を追加することはACCORDの結果が報告されて以降、容易ではないのが現実ではないだろうか。血糖降下薬を増量、追加して血糖管理を強化するbenefitとharmを天秤に掛けると、clinical inertiaとの批判もあるが、現状維持を選択する判断になることが多い。さらに本試験に組み入れられたような腎機能異常を合併した患者においては、より一層その傾向が顕著である。つまりプラセボ群では血糖管理を強化しなかったのではなく、従来の血糖降下薬では強化できなかったのが事実に近いだろう。言い方を変えれば、試験薬により血糖管理を少しではあるが強化できたと言ってよい。そのような条件下においても、リナグリプチンが心血管イベントリスクを増加させずに血糖降下作用を発揮できることは本試験において証明されたと考えてよい。 非劣性試験は前述したように、患者にとって真のアウトカムの改善をもたらす薬剤を生み出す試験ではない。CVOTにおいて優越性を示した血糖降下薬はこれまでに複数存在するが、特殊な対象患者群、短い観察期間を考えるとすべての2型糖尿病患者にbenefitをもたらすかは不明である。今後はCVOTで優越性を示した薬剤を用いて、幅広い患者群に対する長期間の優越性試験superiority trialが実施されることを期待したい3)。

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固定費削減の苦しみ【医師のためのお金の話】第16回

固定費削減の苦しみこんにちは、自由気ままな整形外科医です。資産形成を行ううえで、固定費削減は最重要課題の1つです。家計における固定費とは、光熱費や通信費のような毎月の決まった支出のことです。資産形成の元手となるタネ銭を蓄えるためには、必要性の低い固定費を最小限にまで削る必要があります。とくに金額の大きな固定費は、削減できるとインパクトが大きいので、集中的に検討してみることをお勧めします。人生の4大固定費固定費の中でも支払額の大きなものは、「人生の4大固定費」といわれています。その内訳は下記のとおりです。● 住宅ローン● 生命保険● 教育費● 自動車上記の4つの固定費は、いずれも削ることが難しい項目です。生活の質や人生設計に関わるものなので、削減するといっても一筋縄では行かないのが実情です。自動車関連の固定費削減を検討この中で、今回は自動車に関する固定費の見直しを行ったので、その経験をお話しさせていただきます。自動車関連の固定費削減を検討したのは、自宅購入がきっかけです。このたび地下鉄の駅から徒歩1分の立地に建つ、古ぼけた小さな事務所を購入し、自宅に改装することになりました。人通りの多い商業地なので、1階を駐車場にすると大きな機会損失になります。店舗にすれば賃料15万円以上は取れますが、自己使用の駐車場では1円も産みません。それならば思い切って、社会人になってからずっと維持していた自動車を売却し、自動車生活から脱却するのも選択肢の1つだと思いました。今回購入した物件は、公共交通機関と自転車だけで生活できる立地です。現状では1ヵ月に数回しか自動車に乗っていません。一方、自動車を維持するのに必要な1ヵ月当たりのコストを計算すると、車検費用(1万円)、駐車場代(4万円)、税金・保険費用(1万円)でした。まったく自動車に乗らなくても、毎月6万円もの出費になります。金銭面だけを見ると、まるきりペイしない状況です。自動車を「捨てる」ためのハードル自動車を維持するコストを考えると、車なしの生活も選択肢の1つとなります。しかし、実際に自動車を処分しようとすると、さまざまなハードルがあることに気付きました。最も大きなハードルは精神面です。なんだかんだ言って、自動車のある生活が便利なことに間違いはありません。めったに乗る機会がないとはいえ、自動車を所有していると選択肢が増えるからです。雨の日でも自動車があれば外出できますし、買い出しに行くときにも自動車があると便利です。自動車を放棄することで、このような快適さがなくなるのは少し寂しい気がします。論理的に考えれば、事あるごとにタクシーを呼べばそれで済む話です。しかし、そこまで割り切るには思い切りが必要です。実際、コストコなどへ買い出しに行くときには、自動車がないと困ります。しかし、よく考えるとコストコに毎日行くはずはありません。コストコは安いですが、月額6万円の自動車維持費用をカバーすることは到底できません。また、夕方に行う子供の塾の送り迎えでは、自動車があると便利ということもあります。しかし、都市部であればカーシェアリングを利用することで解決できます。仮にカーシェアリングでレンタルできないときであっても、タクシーを利用すれば対応できます。自由な時間と快適な自動車生活の二者択一このように考えると、自動車は生活の必需品ではないことに気付きました。自動車生活を捨てて、タクシーやカーシェアリングを利用することで、ずいぶん固定費削減になりそうです。しかし、論理的にはわかっていても、これを実践することは容易ではありません。その最大の理由は、現状の快適な生活を捨て去ることへの抵抗感です。得ることができるのは、自動車維持のためにかかる固定費ですが、あくまでバーチャルな収益にすぎません。実際に財布の中でお金が増えるわけではないのです。一方、失うのは目の前の快適な生活です。快適さを得るために支払うコストが過大であることを理解しつつも、実際に失うのはすでに享受している快適な生活です。この精神的な葛藤を乗り越えることが、最大のハードルと言っても言い過ぎではないでしょう。快適な自動車生活へのこだわりを持ち続けて、毎月6万円の無駄金を垂れ流し続けることは合理的ではありません。所得税+住民税率=50%の場合、6万円の収入を得るためには毎月12万円の収入が必要です。この金額は、1回3万円の定期夜診アルバイトに相当します。つまり、自動車を維持するためだけに毎週の夜診アルバイトをしていることになるのです。快適な自動車生活を維持するのか、もしくは自動車を捨ててアルバイトなしの生活を謳歌するのかは難しい判断ですね。

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第10回 カラダを温める食べ方【実践型!食事指導スライド】

第10回 カラダを温める食べ方医療者向けワンポイント解説カラダを温めることは、寒い冬の中で快適に毎日を送るための重要なポイントです。血流が悪くなると、代謝量が落ちる原因になるばかりか、冷えることで、「外出が億劫になる」「部屋の中でじっとして動かない」など活動量も落ちていきます。その結果、体重増加や食べ過ぎなどにつながってしまいます。また、カラダが冷えると筋肉も固くなり、けがや転倒のきっかけにもなります。寒い冬こそ代謝量や活動量が上がるよう、カラダを温める食べ方を意識してもらいましょう。以下ポイントについて解説をします。■ポイント1:肉や魚を食べる食事を摂取すると、消化の際に熱が産み出され、その一部が体熱となって消費されます。その結果、食事の後はカラダが温かくなり、安静時においても代謝量が増えます。これを『食事誘発性熱産生』(DIT:Diet Induced Thermogenesis)と言います。栄養素によって、このエネルギー量は異なり、タンパク質のみ摂取の場合は、摂取エネルギーの約30%、糖質のみ摂取では約6%、脂質のみ摂取では約4%と言われています。つまり、肉や魚、卵、大豆製品といったタンパク質の摂取は、ほかの栄養素と比べてカラダを温める働きが強いと言えます。また、筋肉量を増やすと体温はより高まるので、タンパク質の中でも脂肪が少なく、筋肉を作るのに適した栄養成分で組成されているヒレ肉や赤身肉、魚、卵などを、毎食意識して食べてもらうのが良いでしょう。■ポイント2:温かい汁物を食べる温かい汁物や食物の摂取には、カラダを直接温める働きがあります。とくに汁物など液状のものは、喉から胃に流れる過程で温かさを長く感じることができます。また、胃は冷たいものが入ると収縮し、動きが緩慢になりますが、温められることで動きが活発になり、消化促進にもつながります。■ポイント3:ショウガを食べるショウガの成分には6-ジンゲロール、6-ショウガオール、ジンゲロンなどがあります。生の状態で多く含まれる6-ジンゲロールを加熱または乾燥させることで、6-ショウガオールへ変化します。6-ショウガオールは内側からカラダを温める働きがあるので、スープや味噌汁など汁物や炒め物に加えるなどの加熱調理による食べ方を意識すると、より効果的です。また、残ったショウガをスライスして、乾燥させておくと無駄なく利用できるのでおすすめです。■ポイント4:辛い料理を食べるカプサイシンは、末梢血管を広げ、血流を改善する働きが期待できます。血流がスムーズになることで、指先やつま先など末端の循環を高め、酸素や栄養素の運搬を促し、カラダを温める働きがあります。辛い料理を食べることも良いですが、苦手な方は、炒め物や煮物に輪切り唐辛子を少し加える、うどんなどに七味唐辛子や一味唐辛子をふるなど、一手間加えてみることもおすすめです。■ポイント5:生野菜より茹で野菜野菜は水分を多く含むため、生野菜の多量摂取は、冷たい水分を摂取し、カラダを冷やす要因となります。「生野菜を食べないと、ビタミンやミネラルが摂取できない」と考える方も多いですが、茹で野菜でもビタミンやミネラルは摂取できます。生野菜から流出するのは水溶性のビタミンやミネラルの一部であり、すべてがなくなるわけではありません。刻んで水につけた葉物からは、ビタミンCが約50%減少するというデータもありますが、50%は残存します。生野菜はかさがあるため、サラダでは大量に食べるのは難しいです。しかし、茹でることで、かさが減り、一度に食べられる量が増えるので、かえって効率的にビタミンやミネラルが摂取できます。また、ビタミンやミネラルの流出を減らすには、生で食べる場合は“洗ってから切る”、加熱して食べる場合は“茹でてから切る”がポイントです。カラダを温めることは、環境整備や運動だけでなく、食事でも対策ができます。『寒い時期こそ、カラダを温めることを意識し、活動量を上げましょう』と、患者さんにお伝えすると良いでしょう。

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第1回 信頼関係を築くためのポイント-基本を復習しましょう 接し方1-【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

こんにちは。勝野哲也と申します。愛知県の病院で内科医をしています。この連載では、病態が急変した患者さんはもとより、普段と違う小さなサインを見逃さないためにも知っておきたいバイタルサインの基礎知識を具体的な症例とともに紹介します。がん、脳卒中、意識障害の患者など、在宅患者の増加により薬剤師の訪問指導の機会は増えています。患者さんとの会話でキャッチできる情報もありますが、聞いただけ、見ただけでは分からない患者さんの病状の変化や薬の副作用もあるはず。具体的な症例紹介の前に、患者さんとの信頼関係を築くための基本的なポイントをお伝えします。ご存じのことが多いと思いますが、復習してみてください。目次信頼関係を築くためのポイント基本を復習しましょう 接し方1 ←今回はココ基本を復習しましょう 接し方2基本を復習しましょう 接し方3はじめて訪問する薬剤師さんへはじめて在宅患者さんに接する時、誰もが緊張することと思います。我々医療従事者の最大の目標は、患者さんの健康状態を改善することよりよい生活を送っていただくこと。そのために大切な点は、患者さんと協調的な信頼関係を築くことです。患者さんも十人十色で、人付き合いが上手で話し上手な方もいれば、なかなか自分の思っていることを口に出せない方もいます。まず、患者さんから必要な情報を得ることです。そして、患者さんに適切な情報を提供することです。言うのは簡単ですが、これがなかなか難しい・・・、医師として働き始めて14年が経ちましたが、そう感じることも多いです。患者さんと接する前に―身だしなみを整える身だしなみを整えます。下記のようなことに気を付けることが必要です。白衣や衣類清潔感のあるものにしましょう。名札はつけておくべきです。履物にも気を付けましょう。汚れた靴やサンダル、ヒールの高い靴は不快感を与えます。髪型や化粧・香水派手すぎず、不快に感じない程度とします。女性の長い髪はまとめておきましょう。手・爪意外と目に付くものです。手は清潔にしておき、爪は短く切っておきましょう。派手なマニキュアはよくありません。その他患者さんのお宅に訪問して、中に招かれた時には、脱いだ靴はそろえましょう。社会人として当たり前のことかもしれませんが、こうしたことが「信頼関係を築く」第一歩です。加えて、以前の記録や情報があれば、患者さんに会う前に確認しておくとよいでしょう。次は、「患者さんと接するとき」についておさらいしましょう。

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職場におけるうつ病予防のための心理学的および教育的介入効果~メタ解析

 うつ病予防に対する心理学的および教育的介入は、小~中程度の効果があるといわれている。しかし、職場における効果については、あまり知られていない。スペイン・マラガ大学のJuan Angel Bellon氏らは、職場におけるうつ病予防のための心理学的および教育的介入効果を評価するため、無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。Scandinavian Journal of Work, environment & health誌オンライン版2018年11月30日号の報告。 PubMed、PsycINFO、EMBASE、CENTRAL、CIS-DOC、Open Greyより検索を行った。引用文献リストに記載された、関連するメタ解析および試験も検索対象とした。うつ病の発症率または抑うつ症状の軽減のいずれかを評価したRCTを抽出し、ベースライン時のうつ病患者は除外した。職場で募集された対象者に対し、検証された機器を用いて測定を行った試験を対象とした。独立した評価者により、試験の選択、リスクバイアス評価(Cochrane Collaboration's tool)、RCT抽出が行われた。固定効果モデルを用いて複合オッズ比(OR)を推定し、異質性はI2統計量およびCochrane's Qで評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,963件のアブストラクトをレビューし、69件の全文レビューを行った。・基準を満たしたRCTは3件のみで、対象者は3つの国と大陸からの労働者1,246例であった。・複合ORは0.25(95%信頼区間[CI]:0.11~0.60、p=0.002)、I2=0%、Q=0.389(p=0.823)であった。・バイアスリスクは、1件は低、2件は中~高であった。 著者らは「職場における心理学的および教育的介入は、エビデンスの質は低いものの、うつ病を予防する可能性がある」としている。■関連記事職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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アトピー性皮膚炎にtapinarofクリームは有効

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する安全かつ有効な局所治療が必要とされている。米国・PRA Health SciencesのJohnny Peppers氏らは、青年期および成人のADに対しtapinarof(GSK2894512 cream)は有効で忍容性が良好であることを、第II相無作為化用量設定試験で明らかにした。著者は、「大規模な臨床試験で確認する必要がある」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2019年1月号(オンライン版2018年7月3日号)掲載の報告。 研究グループはADに対し、tapinarofクリームの安全性と有効性を評価する目的で、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った。対象は、ベースライン時に体表面積の5~35%において、医師による全般評価(IGA)スコアが3以上(中等度~重度)のAD病変を有する12~65歳の患者であった。患者は無作為化され、tapinarof 0.5%濃度、tapinarof 1%濃度、プラセボをそれぞれ1日1回もしくは2回投与する6群に均等に割り付けられた。 主要評価項目は、投与12週時のIGAスコアが0または1(皮膚病変が消失またはほぼ消失)および2段階以上改善(治療成功)した患者の割合とした。副次評価項目は、Eczema Area and Severity Index(EASI)スコアが75%以上改善した患者の割合、痒みに対するnumeric rating scale(NRS)スコアのベースラインからの減少などであった。 主な結果は以下のとおり。・12週時の治療成功率は、tapinarof 1%群では53%(1日2回投与)および46%(1日1回投与)、tapinarof 0.5%群では37%および34%、プラセボ群では24%および28%であった。・1日2回投与集団の治療成功率は、tapinarof 1%群(53%)がプラセボ投与群(24%)より統計学的に有意に高かった。・治療が成功した患者では、tapinarofの投与終了後、4週間にわたって改善状態が持続した。・治療下で発現した有害事象は、プラセボ群(41%、34/82例)よりtapinarof群(56%、93/165例)で多かった。有害事象の程度は、いずれも軽度~中等度であった。

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mFOLFIRINOXが膵がん術後補助療法に有望/NEJM

 転移を有する膵がんの術後補助療法において、フルオロウラシル/ロイコボリン+イリノテカン+オキサリプラチンによる併用化学療法(修正FOLFIRINOX[mFOLFIRINOX])はゲムシタビン(GEM)療法に比べ、全生存期間が有意に延長する一方で、高い毒性発現率を伴うことが、フランス・ロレーヌ大学のThierry Conroy氏らが実施した「PRODIGE 24-ACCORD 24/CCTG PA 6試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年12月20日号に掲載された。膵がんの治療では、手術単独の5年生存率は約10%と低く、術後補助療法ではGEM(日本ではS-1のエビデンスもある)が標準治療とされるものの、2年以内に69~75%が再発する。転移を有する膵がんの1次治療では、従来のFOLFIRINOXはGEMに比べ、全生存期間を延長することが知られている。mFOLFIRINOX群に247例、GEM群に246例を割り付け 研究グループは、膵がん切除例において、術後補助療法としてのmFOLFIRINOXレジメンの有効性と安全性をGEMと比較する非盲検無作為化第III相試験を行った(R&D Unicancerなどの助成による)。 mFOLFIRINOXレジメンは、従来のFOLFIRINOXレジメンに含まれるフルオロウラシルのボーラス投与を行わないことで、血液毒性や下痢の発生を抑制し、重症度の軽減を図るもので、進行膵がんでは治療効果は低下しないことが確認されている。 対象は、年齢18~79歳、組織学的に膵管腺がんが確認され、割り付けの3~12ヵ月前に肉眼的完全切除術(R0:すべての切除断端から1mm以内にがん細胞がない、R1:1つ以上の切除断端から1mm以内にがん細胞がある)を受け、転移病変や悪性腹水、胸水のエビデンスがない患者であった。 被験者は、mFOLFIRINOX群(オキサリプラチン[85mg/m2体表面積]、イリノテカン[180mg/m2、プロトコールで規定された安全性解析後は150mg/m2に減量]、ロイコボリン[400mg/m2]、フルオロウラシル[2,400mg/m2]を、2週ごとに12サイクル投与)またはGEM群(4週を1サイクルとし、1、8、15日目に1,000mg/m2を静脈内投与、6サイクル)に無作為に割り付けられ、24週の治療が行われた。 主要エンドポイントは無病生存期間(割り付け日から初回がん関連イベント、2次がん、全死因死亡までの期間)とし、副次エンドポイントには全生存期間、安全性などが含まれた。 2012年4月~2016年10月の期間に、フランスの58施設とカナダの19施設で493例が登録され、mFOLFIRINOX群に247例、GEM群には246例が割り付けられた。mFOLFIRINOX群で無病生存期間が8.8ヵ月、全生存期間は19.4ヵ月延長 ベースラインの年齢中央値は、mFOLFIRINOX群が63歳(範囲:30~79)、GEM群は64歳(30~81)、男性がそれぞれ57.5%、54.9%であった。リンパ管浸潤(73.7% vs. 63.1%、p=0.02)を除き、人口統計学データや疾患特性に差はなかった。治療期間中央値は、mFOLFIRINOX群が24.6週、GEM群は24.0週だった。 フォローアップ期間中央値は33.6ヵ月であった。無病生存期間中央値は、mFOLFIRINOX群が21.6ヵ月と、GEM群の12.8ヵ月に比べ有意に延長した(層別化ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.46~0.73、p<0.001)。3年無病生存率は、それぞれ39.7%、21.4%であった。イリノテカンの減量は無病生存期間に影響しなかった(p=0.87)。 全生存期間中央値は、mFOLFIRINOX群は54.4ヵ月であり、GEM群の35.0ヵ月に比し有意に良好であった(層別化HR:0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.003)。3年全生存率は、それぞれ63.4%、48.6%だった。 mFOLFIRINOX群は、無転移生存期間(割り付け日から初回遠隔転移または死亡までの期間、30.4ヵ月vs.17.7ヵ月、p<0.001)およびがん特異的生存期間(割り付け日から治療対象がんまたは治療関連合併症による死亡までの期間、未到達vs.36.4ヵ月、p=0.003)も有意に優れた。 Grade3/4の有害事象は、mFOLFIRINOX群が75.9%、GEM群は52.9%で発現した。血液毒性の発現には両群間に差はないものの、好中球減少/発熱性好中球減少へのG-CSFの投与がmFOLFIRINOX群で多く(62.2% vs.3.7%、p<0.001)、非血液毒性の多く(疲労、下痢、悪心、腹痛、嘔吐、感覚性末梢神経障害、異常感覚、粘膜炎)がmFOLFIRINOX群で有意に発現率が高かった。GEM群の1例が治療関連毒性(間質性肺炎)により死亡した。 著者は、「予想どおりmFOLFIRINOXの安全性プロファイルはGEMに比べ不良であったが、管理可能だった。フルオロウラシルのボーラス投与の非施行(およびイリノテカンの減量)により、Grade3/4の好中球減少は既報(PRODIGE試験)のFOLFIRINOXの46%から、本試験では28%に減少した」としている。

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画像認識技術を応用し薬剤一包化を監査/富士フィルム

 富士フイルム株式会社は、一包化された薬剤の名称と数量を自動的に判定し、調剤薬局などでの薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィット ワンドース)」を、2019年1月11日より富士フイルム富山化学株式会社(社長:岡田 淳二)を通じて発売する。 昨今、高齢化に伴って慢性疾患が増え、一回に服用する薬剤が多くなる中、薬剤の飲み忘れや飲み間違いを防止するために、薬剤の一包化ニーズが高まっている。現在、薬剤師には、健康被害を防ぐため、薬剤を渡す時に、薬剤の種類や数量に間違いがないかを確認する監査業務が義務付けられている。しかし、一包化された薬剤の監査業務では、薬剤師が一包ごとに薬剤の種類と数量を目視で確認しているため、大きな作業負荷がかかる。今後、在宅医療における服薬支援・指導など、地域での薬剤師の役割期待が拡大する中で、目視のみならず、システムも活用して、薬剤の監査業務の効率性をより高めていきたいというニーズがますます高まっている。 「PROOFIT 1D」は、富士フイルムが写真・医療分野で培ってきた技術を応用して開発した一包化監査支援システム。高度な光学設計技術や画像処理技術により、錠剤やカプセル剤の高画質撮影を実現。さらに独自の画像認識技術で、一つ一つの錠剤の刻印や文字、カプセル剤の色や形などを高速・高精度に読み取る。また、新たに開発した「錠剤の刻印や文字の抽出技術」により、これまで困難であった、錠剤の表裏や刻印の向きをそろえた、一包化された薬剤の一覧表示が可能。刻印を強調表示する機能も搭載しているため、モニター上で薬剤師が監査しやすい情報を提供する。 このほか、監査に使用した画像を専用パソコンに50万包分保存することが可能で、いつでも処方した薬剤を検索して画像で確認できるため、履歴管理を効率的に行うことができる。さらに、薬剤の名称を判定するために参照する医薬品のマスターデータを、専用回線を通じて自動的に更新することが可能。新たに販売された医薬品の監査業務にも対応するとともに、システムの維持管理にかかる業務負担を軽減する。

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SGLT2阻害薬は動脈硬化性疾患を合併した2型糖尿病には有用かもしれないが日本人では?(解説:桑島巖氏)-988

 今、2型糖尿病の新規治療薬SGLT2阻害薬の評価が医師の間で大きく分かれている。一方は積極的に処方すべしという循環器科医師たち、もう一方は慎重であるべきという糖尿病治療の専門医師たちである。 自らの専門の立場によって分かれる理由は、このレビューを読み込むとよくわかる。そして一般臨床医は個々の症例にどのように処方すべきか、あるいは処方すべきでないかが理解できる内容である。 このレビューはSGLT2阻害薬に関して、これまでに発表された3つの大規模臨床試験、EMPA-REG、CANVAS Program、DECLARE-TIMI58を結果について独立した立場から俯瞰し、レビューした論文である。 総じて、SGLT2阻害薬は動脈硬化疾患既往例における心血管イベント抑制には効果が期待でき、とくに心不全や腎疾患例では動脈硬化疾患の有無にかかわらず、再入院予防や末期腎不全への進展予防に有用である可能性が示されている。 しかし半面、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化性疾患の既往のない例では、心血管イベントや心血管死の予防には有用性が認められないことも明らかにしている。 3つのトライアルには、以下のような違いがある。1.EMPA-REG試験は動脈硬化性疾患(脳卒中や虚血性心疾患)既往例が100%を占めているのに対して、DECLAREは40.6%にすぎない。このバックグラウンドの違いは結果に大きく影響している。2.そして、EMPA-REG試験では動脈硬化性疾患既往での心不全入院、心血管死予防における効果がDECLARE試験よりも2倍も大きい。3.EMPA-REG試験とCANVAS試験では動脈硬化疾患既往例のMACE(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)予防効果は認められたのに対して、DECLARE試験では認められなかった。 上記3項目は各々の試験の対象バックグラウンドの違いと、後で述べる用量の違い*がこの結果に影響していると思われる。4.心不全入院、心血管死予防効果は、EMPA-REG試験では、心不全既往のない例で顕著だったが、心不全既往例では認められなかった。一方、DECLARE試験では心不全既往のあるなしにかかわらず予防効果はあってもわずかである。5.腎機能障害例での心不全入院予防効果はEMPA-REG試験とCANVAS試験では認められたが、DECLARE試験ではみられなかった。6.AMPUTATIONと骨折のリスク増加はCANVAS(カナグリフロジン)のみにみられ、他の2剤ではみられなかった。共通点1.動脈硬化疾患既往を有さない2型糖尿病では、いずれの薬剤もMACEの予防効果や心不全入院、心血管死の抑制効果はなかった。つまり再発予防にのみ有用であって、脳卒中や心筋梗塞既往のない例でのMACE予防にはあまり効果は期待できない。2.動脈硬化疾患既往例での腎機能悪化予防と腎臓死抑制効果は3剤とも非常に大きい。心不全入院予防と腎不全悪化予防効果は、心不全や腎不全の既往にかかわらず3剤とも認められる傾向がある。3.心不全入院、腎不全の悪化予防効果の機序としては、HbA1c低下作用は、いずれのSGLT2阻害薬もプラセボ群との間の差が0.4~0.6%にすぎないことから、血糖抑制作用よりも、SGLT2阻害薬が有するナトリウム利尿作用が大きく関与していると思われる。まとめ SGLT2阻害薬は動脈硬化性疾患既往例では、心不全入院と心血管死の予防効果とMACEの発症予防に対して有用性は期待できるが、すべての試験が日本での適用用量でのエビデンスではない。 動脈硬化性疾患既往のない高リスクだけの2型糖尿病例では、有用性は期待できない。このことは、動脈硬化性疾患既往歴が半数以下しか含まれていないDECLARE試験では、MACE予防効果は認められず、心不全入院や心血管死の予防効果も軽度にとどまることから明らかである。*用量についての補足説明 CANVAS試験で用いられた薬剤用量が、わが国の最大適用用量をかなり上回っていることは注意すべきである。すなわち、CANVAS試験ではカナグリフロジン300mg/日まで用いられており、日本で保険収載の最大用量(100mg)を大幅に超えている。

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急性期の軽症脳梗塞と高リスクTIAに対するクロピドグレルとアスピリンの併用療法はいつまで続けるか?(解説:内山真一郎氏)-990

 軽症脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)は重症脳梗塞を含む心血管イベントを続発する危険性が大きい。これらの患者では抗血小板療法の有効性が証明されているが、多くのガイドラインではアスピリンの単剤療法を推奨している。中国で行われたCHANCE試験ではクロピドグレルとアスピリンの併用療法がアスピリンの単剤療法より優れていることが示された。また、欧米で行われたPOINT試験でも、この併用療法が単剤療法より脳梗塞再発予防に優れていたが、出血も増加した。本研究では、これら2件の二重盲検比較試験とこれら以前に行われたFASTER試験で同定された1万447例のデータを対象にメタ解析を行った。 発症後24時間以内に開始されたクロピドグレルとアスピリンの併用療法は、アスピリン単剤療法に比べて非致死的脳卒中の再発が有意に少なかった(相対リスク:0.70、95%信頼区間:0.61~0.80)が、中等度から高度の頭蓋外出血も増加傾向を認めた(相対リスク:1.71、95%信頼区間:0.92~3.20)。大多数の脳卒中累積発症曲線の2群間の乖離は10~21日までに生じていた。これらの結果より、抗血小板薬2剤併用療法の効果を最大化し、出血を最小化する継続期間は21日以内であり、最短10日からであるといえそうだ。 ただし、日本人にはCHANCE試験のサブ解析で示されたように、クロピドグレル抵抗性の機能喪失アレルを有する遺伝子多型が欧米人より多く、抗血小板薬の選択肢としてシロスタゾールもあるので、抗血小板薬の最適な組み合わせについてはさらに検討が必要であろう。

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(5)

「わずかn=61で有意差が出るとは。信じられなかった」。JCHO東京新宿メディカルセンター 脳神経外科 主任部長 今井 英明氏のこの一言でインタビューは始まった。慢性期の外傷性脳損傷(TBI)患者に対する第II相STEMTRA試験で、骨髄由来の間葉系幹細胞から作成した再生細胞薬であるSB623が、運動機能改善に有意な改善を示した。この試験結果がどのようなことを意味するのか、試験開始時からこの治験に関わる今井氏に聞いた。頭部外傷後遺症の問題解決は世の中の要請わが国の慢性期TBIの状況、問題点はどのようなものでしょうか。わが国の頭部外傷受傷者は年間4万人、その3割は退院時に重度障害を後遺していると推測されます。片麻痺、高次脳機能障害、重症の場合は寝たきりとなりますが、慢性期の治療薬はなく、リハビリによる運動機能改善しか手段がありません。とはいえ、わが国では、リハビリテーションをいつまでも受けられるわけではなく、施設や自宅で無治療のまま過ごしている患者さんも少なくないと考えられます。この治験の開始がマスコミで取り上げられた途端に、脳梗塞などの後遺症で苦しむ全国の患者さんからの問い合わせが引きも切らなくなりました。後遺症に苦しむ患者さんがどれだけ多く、これは世の中の要請であると実感しました。この厳しい状況の試験でポジティブな結果が出たのは脅威STEMTRA試験の概要は?STEMTRA試験は、慢性のTBI患者に対するSB623細胞の効果と安全性を評価するため日米で行われた第II相試験です。世界27施設、そのうち日本では5施設で実施され、最終的には世界で61例が登録されました。試験は二重盲検で、定位脳手術でSB623を投与する実薬群に加え、対照群として偽手術群を設定しているエビデンスレベルの高い試験です。わが国では、当時私が在籍していた東京大学において1例目の手術を実施しました。この試験のプロトコールは非常に厳密です。また、盲検性の維持も非常に厳密で、手術に関わる治療者(脳外科医)と評価者は別人です。つまり、患者だけでなく評価者も割り付けを知らず、評価にバイアスがかからない状況なのです。この試験の結果には、どのような意義があるのでしょうか。この試験では、適格基準の範囲内であるものの、傷害部位や重症度なども多様であり、薬の投与部位も治験担当医の裁量に任されている多様性のある集団です。均一なかつ多数の対象でやっても結果が出ない試験が多い中、このようなばらつきの大きい集団で、かつn数の少ない試験で統計学的に有意な結果はまず出ないだろうと、当初は主張していました。しかし、ご存じのとおり、試験結果は有意にポジティブでした。わずか61のn数で、しかもヘテロな集団で有意差が出たのは、驚くべきことです。この厳しい状況を凌駕するほどのパワーが出たということで、夢のようなことが起きたと考えています。STEMTRA試験の概要運動機能障害を伴う慢性期の外傷性脳損傷患者に対するSB623細胞の効果を評価する日米第II相プラセボ対照二重盲検比較試験。対象:受傷後1年以上経過した運動障害を有する外傷性脳損傷患者。GOS-E(The Extended Glasgow Outcome Scale[拡張グラスゴー転帰尺度])3~6(中等度~重度障害)など。試験薬:SB623(それぞれ、2.5×106、5.0×106、10.0×106)を定位脳手術で投与対照:偽手術主要有効性評価項目:Fugl-Meyer Motor Scale4群(偽手術群、SB623 2.5×106群、SB623 5.0×106群、SB623 10.0×106群)に1:1:1:1で無作為割り付け。投与部位と刺入経路は治験担当医の裁量で、運動神経経路の損傷部位に最も近い投与部位を選択。主要有効性評価項目結果:24週時点のFugl-Meyer Motor Scaleのベースラインからの改善量は、SB623投与群の8.7点、コントロール群2.4点で、SB623群で統計学的有意に改善。SB623治療群ではFugl-Meyer Motor Scaleが8.7点改善していますが、どの程度のものなのでしょうか。ワンランク改善するという感覚です。たとえば、車いすでの生活がギリギリできる患者さんが、なんとか杖で歩行可能になる。ドラマのような劇的な変化とは言えませんが、自然経過の中では改善は望めない患者さんに対しての結果であり、患者さんにとっては非常に大きな改善だと言えます。どのようなメカニズムでこの改善効果が表れるのでしょうか。運動機能障害があるということは、運動野の細胞体から伸びる軸索の束、錐体路などと言いますが、そこが傷害されていることです。傷害があった軸索を目標にSB623細胞を移植するのですが、切断された軸索がつながるとは考えられません。あくまで推測ですが、非臨床試験の結果などから考えると、移植細胞が新たな構造を作るのではなく、この細胞から栄養因子(サイトカイン)が分泌され、傷ついた細胞を修復し機能を改善することで、電気信号が正確に筋肉に伝達されるようになった可能性があります。患者さんが「希望を持って生きる」が現実にSTEMTRA試験の結果から、TBIに対する細胞治療は実現に近づいたといえますか。SB623は他家移植細胞なので、ストックして必要時にいつでも使えます。他家移植で問題となる免疫応答もほとんどなく、免疫抑制剤を使用する必要がありません。また、安全性も高く、細胞による副作用も認められていません。今回、バイアスがかからない状況での試験でポジティブな結果が出たという事実は誰も否定できないことだと思います。今後、条件付承認を経て、その後リアルワールドで評価される日も遠くはないでしょう。夢のようなことが現実に迫っていると思います。慢性期TBIをはじめ、脳神経分野の細胞治療には、どのような可能性があるでしょうか。慢性期TBIに関しては、今後の解析から、SB623に対して、効果のある人、効果のある投与部位などが明らかになってくると思います。今回は運動機能の改善を評価していますが、それと連動して、知的機能も上がっていくことが考えられ、高次脳機能障害への発展も十分ありえると思います。また、TBIだけでなく、脳梗塞、脳出血への応用も可能だと思います。大脳白質の軸索障害という病態と考えると、これらの疾患の病態生理に違いはありません。今回のSTEMTRA試験の対象は外傷性ですが、外傷による軸索切断よりむしろ、外傷による血腫で圧迫された虚血傷害の患者さんがほとんどでした。今回の治験で、患者さんが“希望を持って生きる”ということが最も重要だということを勉強させていただきました。今回のこの厳密な第II相試験でのポジティブな結果は、現在の医学では現状維持が精一杯という患者さんにとって、明らかに福音となるのでしょう。“希望を持って生きる”ということが、現実味を帯びてきたと言えます。

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製薬会社からのボールペン、カレンダーの提供がついに世界的に禁止へ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第16回

この年末年始に「あれ? カレンダーの数が少ないかも?」と思った薬剤師さんもいるのではないでしょうか。これまでは製薬会社のMRさんが年末や新年のあいさつに来られたときに、カレンダーや手帳などを持ってきてくれることが多くありましたが、2019年1月1日より、製薬会社のプロモーションに関連するルールが変更になり、今後はもらえなくなります。医療用医薬品のプロモーション活動に関する行動基準を示した日本製薬工業協会(製薬協)の「コード・オブ・プラクティス(COP)」の改定版が来年(編集部注:2019年)1月に施行される。(中略)会員企業はCOPを参考にして自社の基準を見直すことになる。今回の見直しで加盟会社は、来年1月以降はカレンダーや付箋紙、マウスパッドなどを医療機関に配れなくなる。(2018年12月19日付 日刊薬業)このコード・オブ・プラクティス(COP)の改定版は年明けからの施行でしたので、年内の配布は制限されていませんでした。しかし、年明けから配布禁止になるとわかっていたため、カレンダーの作製自体をやめた製薬会社もあったと聞きます。これはカレンダーだけでなく、ペン、メモ帳や付箋などでも同様です。すでに製薬協が加盟する国際製薬団体連合会のCOPが見直されており、製薬協のCOPもこれに合わせたということですので、このような医療者への物品提供の禁止は世界的な流れであると言えます。なお、これまで「国民的、文化的または宗教的な行事における贈り物の習慣」として除外されていた香典や供花、月餅の例外規定も今回の改定で削除されています。カレンダーやボールペンがもらえなくなる! ということだけでなく、このルールがどのようなもので、なぜ作られたのか、ということを知ることが大事だと思っていますので、背景を振り返りたいと思います。説明会時のペンやメモの配布は可能COPとは、医療用医薬品のプロモーションのあり方を定めたもので、会員会社である製薬会社のすべての役員・従業員が医療関係者や研究者、患者団体を含めた外部の関係者と接する際の行動基準です。かつては、医薬品購入時にキャッシュバックが行われたり、100錠の注文に100錠をサービスしたりする、というような過剰なサービスがありました。事実上の値引きや付加価値をつけることによって不当な購入を誘引することは問題ですよね。最近ではここまでひどいことは耳にしなくなりましたが、職場で使用するような販促物品や少額物品の提供は許容されていました。今回の改定により、付箋やボールペン、カレンダー、ティッシュなどの販促物品や贈り物の医療者への提供が禁止されますが、製薬会社が開催する説明会や研究会で、メモを取る目的でボールペンやメモ帳を渡すことは今後も可能です。血圧手帳などを製薬会社からもらっている薬局も多いと思いますが、これらも配布を継続できますが、製品名の記載は原則できません。これらの基準は一般的なものですので、外資系企業を中心に、企業によってはもっと厳しい自主ルールを規定するところもあると聞きます。これら規定の対象は主に製薬会社であり、医療者はこれらに拘束されるわけではありませんが、サービスの請求はMRさんに規約違反をさせることになったり、医療業界の信用を失墜させたりする可能性があることを知っておく必要があると思います。MRさんからもらったペンやメモ帳を主に使っている、という方もいると思いますが、自分の身に着けるものを厳選する、というのも作業効率化や自己演出にいいなぁと思っています。私は小児科の処方箋を受ける薬局で勤務していたとき、人気のあるキャラクターがバタバタ動くボールペンでお子さんの興味をよく引いていて、とても役に立っていました。新しい年に心機一転、自身や薬局で使用する物を見直してみてはいかがでしょうか。

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