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肝性脳症〔Hepatic encephalopathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義意識障害には脳機能障害以外に多くの原因があるが、肝機能低下に伴う意識障害が肝性脳症とされている。肝性脳症は多くの場合、肝硬変や劇症肝炎患者などの肝障害が進行した状況において発生する。傾眠傾向といった軽度のものから、重度の深昏睡に至るまで多様な精神神経症状を来す合併症で、肝不全の特徴的徴候の1つである。顕性肝性脳症の臨床病型は急性型、慢性型、および先天性尿素サイクル異常症など代謝異常に伴う特殊型に大別される。また、顕性の意識障害はないが、精神神経機能検査で異常を認める状態を「ミニマル脳症」と呼ぶ。■ 疫学わが国では数十万人の肝硬変患者が存在するとされており、病状の悪化に伴い、いずれの患者においても肝性脳症を発症しうる。ミニマル脳症については、肝硬変患者の1/3が有しているとの報告もあり、ミニマル脳症患者のうち約20%が半年以内に顕性脳症に移行するとされている。急性型の劇症肝炎の発症数は減少しているものの、肝硬変を基礎疾患として急性増悪を来す“Acute-on chronic liver failure(ACLF)”がアルコールを原因とするものとして近年増加している。■ 病因急性型では劇症肝炎が代表的原因である。先行する慢性肝疾患が存在しない患者において、さまざまな原因により広範な肝細胞壊死を来し肝不全に至る。以前はB型肝炎ウイルスによるものが多かったが、近年は減少傾向にある。最近では肝硬変などの慢性肝疾患が急性増悪して、急激に肝不全症状を呈した場合を“Acute on chronic”と呼ぶことが提唱されている。慢性型では肝硬変によるものが臨床的に最も多い。肝硬変では、門脈大循環短絡路を形成していることが多く、その程度により治療反応性と予後が異なることから、短絡路の評価を行ったうえで治療法を決定する。頻度は高くないものの、先天性尿素サイクル異常症も、念頭において診療に当たることが必要である。アンモニア高値のみを示す成人では、オルニチントランスカルバミラーゼ (OTC)欠損症とシトルリン血症などの可能性が考えられる。■ 症状肝性脳症は、傾眠傾向といった軽度のものから重度の深昏睡に至るまで多様な精神神経症状を来す。わが国で広く使用されている犬山シンポジウムの分類を表1に示す。先に述べたミニマル脳症は、臨床的には診断できないためナンバーコネクション(数字追跡)試験などの精神神経学的テストで判断する。なお、このテストはiPadなどにダウンロードして使用でき、日本肝臓学会のホームページから無料でダウンロードできるようになっている。表1 肝性脳症の犬山分類画像を拡大する■ 分類顕性肝性脳症の臨床病型は急性型、慢性型、および先天性尿素サイクル異常症など代謝異常に伴う特殊型に大別される。また、顕性の意識障害はないが、精神神経機能検査で異常を認める状態をミニマル脳症と呼ぶ(表2)。欧米での肝性脳症の分類を表3に示す。表2 臨床病型分類画像を拡大する表3 欧米における肝性脳症の分類画像を拡大する表3に示したように、肝性脳症は大きく(A)急性型、(B)バイパス型、(C)肝硬変型に分けられる。型別頻度は、急性型28%、慢性型のうち再発型54%、末期昏睡型18%といわれており、初回脳症時の生存率は慢性再発型で76%であるのに対し、末期昏睡型では23%と報告されている。救急外来を受診した意識障害患者において、肝性脳症の頻度は約2%とされており、頻度が高いものではないが常に念頭に置くべき疾患の1つである。急性型では劇症肝炎が代表的原因である。先行する慢性肝疾患が存在しない患者において、さまざまな原因により広範な肝細胞壊死を来し肝不全に至る。以前はB型肝炎ウイルスによるものが多かったが、近年は減少傾向にある。■ 予後肝性脳症が出現した患者の予後は悪いことが知られている。海外の報告では脳症出現後の1年生存率は約35%、2年で30%、3年で20%、5年で15%とされている。慢性型では肝硬変によるものが最も多いが、脳症の出現は予後を悪化させる合併症であり、脳症の出現した肝硬変患者の生存率は30~40%と考えられる。また、ACLFに関しても、脳症出現が重症度分類に加えられていることから、脳症の出現は肝疾患全体に関する予後決定因子の1つと考えられる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)臨床症状に加えて検体検査、画像検査、精神神経機能検査などを行って総合的に診断する。身体所見としては肝不全に伴う皮膚黄染(黄疸)、浮腫、腹部膨隆(腹水貯留)を認める場合が多い。羽ばたき振戦や、肝性口臭などは急性型、慢性型のいずれにもみられるが、手掌紅斑、くも状血管腫、腹壁静脈怒張などは慢性型を疑う所見となる。ミニマル脳症は臨床的所見による診断が困難である。わが国では顕性脳症の昏睡度分類として主に表1の犬山分類が用いられる。脳症の昏睡度I度は臨床的には判定困難なことが多く、振り返って初めて診断できることも少なくない。II度になると、羽ばたき振戦など診断は比較的容易であるが、羽ばたき振戦は尿毒症や低血糖症でも出現することがあるので鑑別が必要である。1)検体検査肝不全を判定するため、一般肝機能検査、肝予備能(アルブミン、プロトロンビン時間、コリンエステラーゼなど)とともにアンモニア値を測定する。シトルリン血症などの尿素サイクル異常症では、アンモニア以外の肝機能は正常であることが多い。BCAA/AAAモル比(フィッシャー比)の低下を認めるが、最近では簡便な指標としてBCAA/チロシン比であるBTRが用いられることが多い。また、脱水や消化管出血が誘因となっている場合は、BUN(血液尿素窒素)/Cr(血中クレアチニン)比の上昇がみられ、利尿剤使用による低カリウム血症などの電解質異常を認める場合も多い。2)画像検査腹部超音波、CT検査などで慢性肝疾患や脾腫、短絡路の有無などを検索する。また、頭部MRI検査などで中枢神経系の疾患を除外する。深昏睡では脳浮腫の有無も評価する。慢性再発型ではMRI T1強調検査で淡蒼球の高信号が特徴的とされている。3)精神神経機能検査症状に乏しいミニマル脳症を疑う患者に対しては数字追跡試験、WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)式成人知能検査などによる評価を行う。脳波は三相波が出現し、進行とともに低振幅徐波となっていく。意識障害を伴っている患者の場合、頭部CT、MRI検査や髄液検査などの検査を行い、中枢神経系の疾患を除外することが大切である。さらに、糖尿病性ケトアシドーシスや低血糖症など代謝性疾患の除外のため、血糖、尿中ケトン体、血液ガス検査なども行う。肝性脳症初期の症状は、睡眠パターン変化、人格変化、被刺激性、精神反応の鈍化など軽微で非特異的な症状であり、臨床的診断は困難である。必要に応じて、定量的精神神経機能検査(数字追跡試験、WAIS式成人知能検査など)や電気生理学的神経検査(脳波[三相波がみられる]、大脳誘発電位など)を組み合わせて診断を試みる。アンモニア値が低いからといって肝性昏睡を否定できないことに注意が必要である。逆にアンモニア値が高くても意識障害を認めない症例も多数あるため、肝性脳症の診断には家人を含めた詳細な問診が必要となる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)肝性脳症の治療は、誘因の除去および食事療法による一般療法と薬物療法に分けられる。1)誘因の除去タンパク質の過剰摂取、便秘、下痢などの便通異常、脱水、感染症、利尿剤や睡眠剤、安定剤の過剰投与などは、非代償性肝硬変患者において容易に肝性脳症を誘発するため、普段より生活指導を行うことが重要である。2)食事療法肝性脳症時の食事療法は、低タンパク食(0.4~0.6kg/標準体重)が基本であるが、長期間のタンパク制限は栄養不良を助長し、予後に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、漫然と継続しないことに注意する。3)薬物療法アンモニアの生成および吸収抑制のため(1)合成二糖類、(2)難吸収性抗生物質を用いる。(2)に関して、これまではカナマイシンや硫酸ポリミキシンBが使われてきたが、いずれも保険適用外であり、長期投与による聴力障害や腎機能障害を生じるなどの問題があった。2016年に、海外では30年以上前から使用されていたリファキシミン(商品名:リフキシマ)が、肝性脳症に対してわが国でも使用が認可された。海外のガイドラインでは難吸収性抗生物質は、合成二糖類に併用投与が推奨されている。リファキシミンに関しては、長期投与の安全性が認められていることから第1選択薬としての可能性もあり、今後わが国における検証が期待される。亜鉛補充やカルニチン製剤が、単独投与あるいは合成二糖類や分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤との併用投与により高アンモニア血症を改善するとの報告がある。亜鉛補充は、これまで各施設で硫酸亜鉛などを調剤していたが、ウイルソン病治療薬である酢酸亜鉛(同:ノベルジン)が肝疾患の低亜鉛血症に対して適応拡大となった。4 今後の展望最新の認知症ガイドラインにおいて、早期認知症との鑑別すべき疾患の1つとして肝性脳症が挙げられている。最近問題となっている車の運転における逆走などは、ミニマル脳症の患者も同様のハイリスクを有していることから、ミニマル脳症を含めた早期治療介入の重要性が今後注目されると思われる。さらにリファキシミンに関しては、長期投与の安全性が認められていることから、第1選択薬としての可能性もあり、今後わが国における検証が期待される。亜鉛補充やカルニチン製剤が、単独投与あるいは合成二糖類やBCAA製剤との併用投与により高アンモニア血症を改善するとの複数の報告もなされている。肝性脳症を含めて肝硬変領域においては、この数年間で多くの新薬が上市された。2019年には非代償期のC型肝硬変患者に対する直接的抗ウイルス治療薬(DAA)製剤も認可されており、今後肝硬変診療は新たなパラダイムシフトに向かっていくと思われる。5 主たる診療科消化器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本消化器病学会ガイドライン閲覧サイト(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本肝臓学会肝性脳症診断ツールダウンロード(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2019年6月11日

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ココカラファインとスギHD経営統合の背景に見えるもの【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第26回

店舗数が増加の一途にあるドラッグストア業界で大型再編のニュースが飛び込んできました。ドラッグストア大手のスギホールディングス(HD、愛知県大府市)とココカラファイン(横浜市)は6月1日、経営統合に向けた協議を始めた、と発表した。実現すれば、売上高は9千億円に迫り、業界トップのイオン系のウエルシアHD(東京都)を抜く。ココカラは4月にも、業界大手マツモトキヨシHDと資本業務提携の検討を始めると公表。6月1日の発表によると、マツモトキヨシとの協議も継続するとしており、巨大な企業連合が誕生することも見込まれる。(2019年6月1日 朝日新聞デジタル)これがどのくらいの規模の話なのか整理したいと思います。まず、業界6位のスギHDの売上は4,884億円(2019年3月期)、業界7位のココカラファインの売上は4,005億円(2019年3月期)です。業界1位のウエルシアHDの売上が7,791億円(2019年2月期)ですから、単純に合計すると業界1位に躍り出ることになります。店舗数に関しても、2社を合計すると約2,500店舗となり、こちらも業界1位となります。なお、ココカラファインはマツモトキヨシHDと資本業務提携の協議・検討を開始することを4月に発表しています。その協議・検討も続けるとのことで、スギHDとマツモトキヨシHDがココカラファインを取り合っている、とも報じられています。成長率鈍化傾向のドラッグストア業界で再編は進むか?なぜこのような大型の統合や提携の協議が立て続けに起こっているのでしょうか。近年では訪日外国人のいわゆる「爆買い」によるインバウンド消費の影響もありますが、食品や化粧品、プライベートブランド(PB)商品の販売を強化することで、何期も連続して最高益を更新する企業が多くありました。業界全体としても好調で、日本チェーンドラッグストア協会が2019年3月に発表した2018年度「ドラッグストア実態調査」によると、業界の全国総売上高は前年比6.2%増の7兆2,744億円であり、2017年度の5.5%増を上回る増収率でした。しかし、成長率という視点で見ると、2017年度の実績では2桁の増収増益が目立ちましたが、2018年度は既存店の売上の鈍化や販管費比率の上昇で営業減益を見込むチェーン店が増加しており、成長に減速感が見られるようになってきています。すでに大規模な再編を経験したコンビニエンスストアなどの他の小売業と同様に、都市部店舗の飽和による競争激化や人件費の上昇といった最重要課題の解決は、単独のチェーンでは難しくなってきているのでしょう。薬局という視点から見ると、調剤報酬や薬価の引き下げの方向性など、今後の調剤での利益縮小が予想されていることも影響しているかもしれません。ココカラファインとスギHDもしくはマツモトキヨシHDの統合・提携によりドラッグストア業界の勢力図が変わり、今後より一層再編が進む可能性があります。日用品や物販の効率化だけでなく、医療サービスの拡充がどのようになるのか注目していきたいと思います。

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うつ病や不安と居住地の標高との関連

 いくつかの研究で、居住地の標高が高くなるとうつ病や自殺のリスクが増加すると示唆されているが、標高の変化によるこれらのリスクの変動を評価した研究は多くない。米国・ユタ大学のBrent M. Kious氏らは、医学生を対象に、うつ病や不安と居住地の標高との関連について検討を行った。International Review of Psychiatry誌オンライン版2019年5月14日号の報告。 本研究では、医学部卒業から研修期間1年目までをフォローしたインターン健康調査のデータを用いた。うつ病の評価にはPHQ-9、不安症状の評価にはGAD-7を用いて、これらの症状に対する複数のリスク因子を評価した。精神症状に対する標高の影響を示すオッズ比(OR)は、一般化線形モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・46の学校と282の居住地を代表する医学生3,764例のデータが利用可能であった。標高に関するデータが不十分な医学生を除外し、3,731例について分析を行った。・高地居住(標高900m超)は、PHQ-9合計スコア(OR:1.32、95%CI:1.001~1.75、p<0.05)およびPHQ-9自殺念慮スコア(OR:1.79、95%CI:1.08~0.02、p=0.02)と有意な関連が認められた。・低地から高地への移住は、PHQ-9合計スコア(OR:1.47、95%CI:1.087~1.98、p=0.01)、GAD-7合計スコア(OR:1.40、95%CI:1.0040~1.95、p<0.05)、PHQ-9自殺念慮スコア(OR:1.10、95%CI:1.01~1.19、p=0.02)と有意な関連が認められた。 著者らは「低地から高地への居住地の移動は、うつ病、不安、自殺念慮の増加と関連していることが示唆された」としている。

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かかりつけ医のための適正処方の手引き(糖尿病)が完成/日本医師会

 2019年6月4日、日本医師会の江澤 和彦氏(常任理事)が、『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き(3)糖尿病』の完成を記者会見で発表した。高齢者糖尿病の現状をふまえたかかりつけ医のための手引きの作成 厚生労働省から発表された平成28年国民健康・栄養調査結果の概要によれば「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000万人と推定され、その中で、65歳以上の高齢者が占める割合は約60%以上となっている。今後も高齢化に伴い65歳以上の糖尿病患者の増加が予想される。 高齢者糖尿病では、一般的に老化の特徴としての身体機能、認知機能などの個人差が大きくなる。また、75歳以上の高齢糖尿病患者ではとくに認知機能障害、ADL低下などの老年症候群や重症低血糖、脳卒中の合併症などを起こしやすいと言われている。 『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き(3)糖尿病』では、75歳以上の高齢者と老年症候群を合併した65歳から74歳の前期高齢者を「高齢者糖尿病」と想定し、日本老年医学会の協力により作成された。 今回のかかりつけ医のための適正処方の手引きは、2017年『(1)安全な薬物療法』、2018年『(2)認知症』に続く第3弾としての発刊。いずれも日本医師会のサイトに全ページがpdfで掲載されており、ダウンロード可能。超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き(3)糖尿病《目次》1.糖尿病の現状と治療総論2.高齢者糖尿病における認知機能障害と身体機能障害(ADL低下、サルコペニア、フレイル)3.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標設定4.高齢者糖尿病の治療 1)総論 2)高齢者糖尿病の食事療法 3)高齢者糖尿病の運動療法 4)シックデイの対策5.高齢者糖尿病の薬物療法(総論)6.高齢者糖尿病の薬剤使用の注意点7.高齢者糖尿病の低血糖 1)低血糖の特徴  2)低血糖の対策 8.糖尿病における高齢者総合機能評価(CGA)

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ダラツムマブ追加で、多発性骨髄腫の無増悪生存が改善/NEJM

 自家造血幹細胞移植の適応がない新規診断の多発性骨髄腫患者の治療において、標準治療であるレナリドミド+デキサメタゾンにダラツムマブを併用すると、標準治療単独に比べ病勢進行または死亡のリスクが有意に低減することが、フランス・リール大学のThierry Facon氏らが行ったMAIA試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年5月30日号に掲載された。ダラツムマブは、CD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体であり、直接的な抗腫瘍活性と免疫調節活性を有する。多くの治療歴のある患者への単剤による有効性や、新規診断および再発・難治例への標準治療との併用による有効性が報告されている。多発性骨髄腫で年齢や副作用リスクで移植が適応外の患者が対象 本研究は、北米、欧州、中東、アジア太平洋地域の14ヵ国176施設が参加する非盲検無作為化第III相試験であり、2015年3月~2017年1月に患者登録が行われた(Janssen Research and Developmentの助成による)。 対象は、全身状態(ECOG PS)が0~2の新規に診断された多発性骨髄腫で、年齢(≧65歳)または許容できない副作用が発現する可能性が高い病態の併存により、大量化学療法+自家造血幹細胞移植が適応とならない患者であった。 被験者は、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン(ダラツムマブ群)またはレナリドミド+デキサメタゾン(対照群)を投与する群に無作為に割り付けられた。治療は、病勢進行または許容できない副作用が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は、無増悪生存(無作為化から病勢進行または死亡までの期間)であった。ダラツムマブ群は無増悪生存が44%改善、CR以上が約2倍、MRD陰性が約3倍に 737例が登録され、ダラツムマブ群に368例、対照群には369例が割り付けられた。全体の年齢中央値は73歳(範囲:45~90)で、65歳未満は8例(両群4例[1.1%]ずつ)のみで、75歳以上が321例(160例[43.5%]、161例[43.6%])含まれた。診断からの経過期間中央値は0.9ヵ月(範囲:0~14.5)だった。 追跡期間中央値28.0ヵ月の時点で、240例が病勢進行または死亡した(ダラツムマブ群97/368例[26.4%]、対照群143/369例[38.8%])。30ヵ月時の無増悪生存率は、ダラツムマブ群が70.6%(95%信頼区間[CI]:65.0~75.4)、対照群は55.6%(49.5~61.3)であり、無増悪生存期間中央値はそれぞれ未到達、31.9ヵ月(28.9~未到達)であった。病勢進行または死亡のハザード比(HR)は0.56(0.43~0.73)であり、ダラツムマブ群で有意に優れた(p<0.001)。 完全奏効(CR)以上(CR+厳格な完全奏効[sCR])の割合は、ダラツムマブ群が47.6%と、対照群の24.9%に比べ有意に良好であった(p<0.001)。また、微小残存病変(MRD)が閾値(白血球105個当たり腫瘍細胞1個)を下回った患者の割合は、ダラツムマブ群が24.2%であり、対照群の7.3%に比し有意に高かった(p<0.001)。 最も頻度の高いGrade3/4の有害事象は、好中球減少(ダラツムマブ群50.0% vs.対照群35.3%)、貧血(11.8% vs.19.7%)、リンパ球減少(15.1% vs.10.7%)、肺炎(13.7% vs.7.9%)であった。 著者は、「これらの知見は、多発性骨髄腫の患者集団全体におけるダラツムマブベースのレジメンの使用を支持する臨床試験のリストに加えられる可能性がある」としている。「ダラツムマブ」関連記事ダラツムマブ併用で、多発性骨髄腫の厳格な完全奏効が改善/Lancet

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腎細胞がんへのペムブロリズマブ+アキシチニブ、IMDC分類によらずベネフィット(KEYNOTE-426)/ASCO2019

 進行または転移を有する腎細胞がん(mRCC)の1次治療における、抗PD-1抗体ペムブロリズマブとチロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブの併用療法を評価した第III相試験KEYNOTE-426のサブグループ解析から、IMDC分類によらず、また予後不良とされる肉腫様変化を有する患者においても、併用療法のベネフィットが示された。米国・クリーブランドクリニックのBrian I. Rini氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。なお、本併用療法は同試験の結果に基づき、2019年4月にFDAから承認を受けている。 KEYNOTE-426は、治療歴のないmRCC患者に対するペムブロリズマブとアキシチニブの併用療法の有効性と安全性を評価した、非盲検多施設共同無作為化試験。KPS(Karnofsky Performance Status)≧70、未治療のIV期淡明細胞型RCC患者が、腫瘍のPD-L1発現状況にかかわらず登録された。層別化因子は、IMDC分類(低 vs.中vs.高)と地域(北米 vs.西欧 vs.その他の地域)であった。登録患者は、ペムブロリズマブ(200mg)を3週ごとに静脈内投与(最大35サイクルまで)+1日2回アキシチニブ(5mg)の経口投与を受ける併用群、またはスニチニブ(50mg)を1日1回4週間経口投与後に2週間休薬するスニチニブ群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、独立中央評価委員会(BICR)がRECIST v1.1に準拠して評価したintention-to-treat(ITT)集団における全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は奏効率(ORR)であった。事前に規定された中間解析において、併用群はスニチニブ群と比較して、OS(ハザード比[HR]:0.53、p<0.0001)、PFS(HR:0.69、p<0.001)、およびORR(59.3% vs.35.7%、p<0.001)を有意に改善し、管理可能な安全性プロファイルを示している。 主な結果は以下のとおり。・全体で861例の患者が登録され、ペムブロリズマブ+アキシチニブ併用群に432例、スニチニブ群に429例が割り付けられた。・ITT集団における標的病変のベースライン時点からの腫瘍縮小率は、スニチニブ群と比較して併用群で優れていた(≧60%の縮小:併用群42% vs.スニチニブ群16%、≧80%の縮小:17% vs.6%、完全奏功[CR]:9% vs.3%)。・IMDC低リスクの患者は269例(併用群:138例、スニチニブ群:131例)、中/高リスクの患者は592例(併用群:294例、スニチニブ群:298例)であった。・IMDC低リスクの患者において、OS中央値は両群ともに未到達、HR:0.64、95%信頼区間[CI]:0.24~1.68、12ヵ月OS率:95% vs.94%。PFS中央値は17.7ヵ月vs.12.7ヵ月、HR:0.81、95%CI:0.53~1.24、12ヵ月PFS率:68% vs.60%。ORRは66.7% vs.49.6%。・IMDC中/高リスクの患者において、OS中央値は両群ともに未到達、HR:0.52、95%CI:0.37~0.74、12ヵ月OS率:87% vs.71%。PFS中央値は12.6ヵ月vs.8.2ヵ月、HR:0.67、95%CI:0.53~0.85、12ヵ月PFS率:56% vs.40%。ORRは55.8% vs.29.5%。・肉腫様変化を有する患者は105例(併用群:51例、スニチニブ群:54例)含まれた。ベースライン時、年齢中央値は58.0歳 vs.58.5歳。IMDC低リスクが13.7% vs.18.5%、中リスクが66.7% vs.70.4%、高リスクが19.6% vs.11.1%。PD-L1 CPS≧1は74.5% vs. 79.6%であった。・肉腫様変化を有する患者において、OS中央値は両群ともに未到達、HR:0.58、95%CI:0.21~1.59、12ヵ月OS率:83% vs.80%。PFS中央値は併用群で未到達、スニチニブ群で8.4ヵ月、HR:0.54、95%CI:0.29~1.00、12ヵ月PFS率:57% vs.26%。ORRは58.8% vs.31.5%、標的病変におけるCRは13% vs.2%であった。

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大動脈弁狭窄症に対する治療の第1選択はTAVIの時代に(解説:上妻謙氏)-1058

 超高齢時代を迎え冠動脈疾患、弁膜症、末梢動脈疾患、脳血管疾患などによる心血管イベントは、悪性腫瘍と並んで非常に多い死亡原因となっている。またそれらの疾患の終末像である心不全は、パンデミックといわれるほどの国民病となっており、冬期は救急医療機関が満床となる原因となっている。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は高齢者心不全の原因の1つとなっている大動脈弁狭窄症(AS)に対する根本的介入を行うもので、手術ハイリスク、超高齢者に対する治療としては第1選択となった。海外ではPARTNER 2試験など中等度リスク患者に対するTAVIは死亡、後遺症の残る脳卒中などの重大なイベントにおいて外科手術に対し優れることが示され、ガイドライン上でも中等度リスクまで適応が拡大されていた。 今回発表されたPopmaらによるNew England Journal of Medicine誌(2019年3月16日号)の論文は、手術低リスクの患者に対する自己拡張型生体弁を用いたTAVIと外科手術の無作為化比較試験結果で、同時にバルーン拡張型を用いたPARTNER 3試験とともに発表された。1,486人の重症ASが無作為化され、そのうち1,403人が実際にTAVIまたは外科手術を施行された。選択基準としては一般に重症のASと診断される症候性、あるいは無症候でも超重症と判定されるASの患者が対象で、30日死亡率が3%未満と予測される患者が対象となった。これは近年心臓外科手術のリスク評価で標準的に使用されているSTSスコアに相当するものであるが、今回の判定基準はローカルのハートチームの評価とスクリーニングコミッティーでの評価となっており、若干の曖昧さがあった。 プライマリーエンドポイントは死亡および後遺障害の残る脳卒中で、2年までフォローされた。TAVIの人工弁はメドトロニック社の現在も使用されているEvolut Rを中心に、その逆流防止スカート付きであるEvolut PRO、サイズによってわずかではあるが一世代前のCoreValveが使用されたこともあった。結果、プライマリーエンドポイントである2年の死亡、脳卒中はTAVI群が5.3%、外科手術が6.7%と非劣性を示すことができ、重篤な出血、腎障害、心房細動の発生、残存圧較差、QOLをはじめとして、多くのセカンダリーエンドポイントでTAVIの優越性が示された。TAVIにおいて外科手術よりも頻度が有意に多くなったのがペースメーカー植え込みで、これは外科手術の6.1%に比べ17.4%にもなった。 この低リスク治験は、参加が遅くなったため症例数としては少ないが日本も含まれており、日本での承認治験の役割も担っている。同時に発表されたPARTNER 3試験もSTSスコア4%未満がエントリーということ以外ほぼ同様のデザインで行われ、プライマリーエンドポイントに再入院も含めたため、非劣性のみならず優越性も示すことに成功している。 これら2つのランダマイズトライアルを総合すると、ASに対する手術低リスク患者のTAVIは、外科手術よりも30日の段階で明らかに安全であり、2年の段階でTAVIのほうが死亡、後遺症を残す脳卒中が少ないというメッセージを示している。日本も治験の形で参加した臨床試験であり、TAVIのメリットが明らかになったことで、今後低リスク患者への適応拡大が認められると考えられ、機械弁を選択する若年患者を除けばTAVIが第1選択となる時代が迫っているといえる。今まで課題とされてきたTAVIの生体弁の耐久性についても10年程度までは外科手術の生体弁と変わりがないことも示されてきており、残された課題はペースメーカー植え込み率の高さを含めて高いコストであろう。

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第14回 Cox比例ハザードモデルってどんなモデル?【統計のそこが知りたい!】

第14回 Cox比例ハザードモデルってどんなモデル?Cox比例ハザードモデル(Cox Proportional Hazards model)は、Cox回帰分析(Cox Regression Analysis)とも呼ばれます。つまり、「Cox 回帰」とは、Cox の比例ハザードモデルを用いた回帰分析のことです。まず、回帰分析から説明しましょう。■回帰分析一例として筋力トレーニング量と骨格筋増分量の相関図(図1)を作成し、散布図の真ん中を通る直線を引いてみました。図1において、筋力トレーニング量と骨格筋増加量との間には何らかの関係が見られるので、適当な直線を当てはめれば、筋力トレーニング量と骨格筋増加量の関係を推測することができます。図1では、直線を当てはめましたが、図2のように曲線の当てはまりが良い場合もあります。このように直線や曲線を当てはめることは「関係式の当てはめ」といいます。そして、関数式を当てはめる統計手法を「回帰分析」といいます。図1のように直線を当てはめる手法を「単回帰分析(直線回帰分析)」といいます。そして、図1の場合の関係式は「y=ax+b(単回帰式)」となります。図2のように曲線を表す関係式は、いろいろありますが、この場合の関係式は「y=ax2+bx+c」となり、データに最も合うようなa、b、cを推定します(曲線回帰分析)。これが回帰分析と呼ばれる手法です。このときの「y=ax+b」や「y=ax2+bx+c」のような関係式のことを「モデル」と呼びます。「モデル」とは、データを当てはめるグラフの関係式のことです。■Cox比例ハザードモデル(Cox回帰モデル)とは、どのようなモデルかCox比例ハザードモデルは、死亡/打ち切りのデータから生存率を求め、生存率の時間的な要素を考慮し、生存率に影響を及ぼす変数との関係式(モデル)を作成する方法です。関係式の目的変数(アウトカム)は1、0の2値データです。1、0データは「死亡/打ち切り」にとどまらず「死亡/生存」「再発する/再発しない」「寛解する/寛解しない」など、いろいろな場面が想定されます。説明変数は、生存率に影響を及ぼす治療方法や性別、年齢、BMIなどの背景因子が用いられます。Cox比例ハザードモデルは、各説明変数のハザード比を算出します。ハザードは危険を意味するので、生存でなく死亡に対するリスクを示す尺度です。また、ハザードは、ある時点の瞬間における死亡率であり、時間とともに変化します。単位は「人/単位時間」となります。このように、Cox比例ハザードモデルは、「ハザードをデータとしたモデル」であるといえます。つまり、ハザードをプロットして、グラフへ当てはめる(関係式への当てはめ)ときの、そのグラフ(関係式)のことを「Cox比例ハザードモデル」と呼びます。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決!一問一答質問8 Cox比例ハザードモデルとは?(その1)質問8(続き) Cox比例ハザードモデルとは?(その2)

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「0402通知」が示すこれからの薬剤師の姿【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第13回

4月に、厚生労働省から「調剤業務のあり方について」(薬生総発0402第1号平成31年4月2日厚生労働省医薬・生活衛局総務課長)が示されたことは周知の事実でありますが、この通称「0402通知」について、皆さんはどう思われましたか?調剤業務の効率化については、昨年行われた薬機法改正の議論でも、「調剤機器や情報技術の活用等も含めた業務効率化のために有効な取組の検討を進めるべき」(「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」平成30年12月25日厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会 8頁)とされていましたが、具体的にこのような通知が出されたことに驚いた方も多いのではないでしょうか。目的は“対人業務の充実”この通知では、すでにご存じかと思いますが、一定の条件下において、薬剤師以外の者による一部薬剤のピッキングなどを認めています。この点について、これまでも薬局によっては、具体的な運用を考えて実際に薬剤師以外の者がピッキングを行っていたところもありましたし、私も法に適合する運用は可能であると以前から考えていました。しかし、行政の法解釈がはっきりしなかったため、これまで議論されることが多かったことからも、条件があるものの、薬剤師以外の者による調剤に関する業務が可能であると国が示したことによる影響は大きいでしょう。本通知が示されたことで、これまでは行われていなかったことが一般的になる可能性があり、今後の薬剤師業務は大きく変わるかもしれません。この通知は、「患者のための薬局ビジョン」における“対物から対人への実現”のために示されたとみることもできます。実際に「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」においても「対人業務を充実させるための業務の効率化」について言及されており、やはり目的は“対人業務の充実”にあるようです。薬機法改正も視野に運用方法を再考すべきこの通知が出されたことによって、将来的に調剤報酬(調剤料)への影響が出ることが想定されますので、今後は対人業務における薬剤師の評価が今まで以上に重要になるのではないでしょうか。現在予定されている薬機法の改正では、必要に応じて服用期間中も患者さんについて継続的かつ的確な把握をし、指導などを行うことが義務付けられる見通しですので、このような義務を実現していくための通知と捉えるべきとも考えられます。また、通知では以下のとおりに示され、仮にピッキングなどを薬剤師以外の者に実施させることができるとしても、あくまでも責任は薬剤師にあることが前提となっています。1調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、以下のいずれも満たす業務を薬剤師以外の者が実施することは、差し支えないこと。なお、この場合であっても、調剤した薬剤の最終的な確認は、当該薬剤師が自ら行う必要があること。当該薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質等に影響がなく、結果として調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがないこと当該業務を行う者が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であることこれまでと同様に、責任は薬剤師が背負う以上、一部の調剤に関する業務を薬剤師以外の者に任せても安全性が確保できる運用方法を考える必要があります。いかなるときも、患者さんに正しく安全な薬剤を供給することは、薬剤師の重要な責務であることを忘れないようにしましょう。参考資料1)「調剤業務のあり方について」(薬生総発0402第1号平成31年4月2日厚生労働省医薬・生活衛局総務課長)

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第21回 “お上品”な期外収縮の特徴は?【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第21回:“お上品”な期外収縮の特徴は?少し間が開きましたが、第16回で扱った「期外収縮」を再登場させます。起源が心房か心室か考える際には、QRS波形や先行P波の有無を確認する方法のほかに、前後の収縮間隔に着目する方法があります。心室期外収縮に備わった、期外収縮後の洞調律の収縮ペースを乱さない“スマート”な性質。これについて、Dr.ヒロが解説しましょう。症例提示62歳、男性。糖尿病性腎症にて血液透析を行っている。心疾患の既往もあり、抗血小板薬を2剤内服中。数週間前から心窩部不快感、悪心を訴え受診した。血圧147/84mmHg(非透析日)、脈拍88/分・不整、低血糖なし。以下に来院時の心電図を示す(図1)。(図1)来院時の心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として誤っているものを2つ選べ。1)心房細動2)右軸偏位3)ST低下4)ST上昇5)異常Q波(前壁誘導)解答はこちら1)、2)解説はこちら今回は心疾患の既往もある血液透析患者さんの胸部不快を扱いましょう。受診時心電図の読みを問うものですが、ボクらがすべきことは…そう、いつも変わらぬ“系統的判読”ですね!(第1回)1)×:“レーサー(R3)・チェック”していきましょう。R-R間隔は不整ですが、ほかと波形の異なる肢誘導3拍目、胸部誘導6拍目(中央付近の“半切れ”な波形も数える)以外は基本的に整に見えます。こういう場合、“時に不整”と言うとしっくりきますね。そして、問題の「調律」については“イチニエフの法則”の活用でしたね。R-R間隔が整な部分にコンスタントにあるP波の向きを見れば、「心房細動」ではなく「洞調律」です(第2回)。2)×:電気軸は、“スパイク・チェック”でQRS波の向きを見るのでした。I誘導:上向き、II誘導:上向きでも安心しないで。もう一つ、II誘導のご近所さんのaVF誘導が“トントン”よりやや下向きですね。このパターンは「“軽度の”左軸偏位」でした(第8回)。“トントン法Neo”を習得した人なら、「-10°」と数値で求められますね(第11回)。電気軸が-30~0°のゾーンに入るのが特徴です。3)○:次の4)ST上昇も含めて考えましょう。「ST部分」をチェックするのは、“スタート”の部分です。基線とJ点を眺めて「ST偏位」をすべて拾うと…II、aVF誘導は1mm以上の有意な「ST低下」で、I、V5、V6誘導にはそれに満たない「(軽度)ST低下」があります。4)○:V1~V3誘導に「ST上昇」がありそうだな、と読めた人は素晴らしい。でも、右前胸部誘導(V1~V3)の場合は、正常でも「ST上昇」のある「男性型」STパターンの人がいることに注意してくださいね。この方は40歳以上ですから、“ニッコリ兄さん”のほうではなく、「V2・V3のみ2mm、そのほかは1mm」が正常上限です(第14回)。ですから、自信を持ってV1~V3誘導に「ST上昇」ありと言えます。5)○:「Q波」は“クルッと”の“ク”部分です。QRS波が下向きの波で始まっているものが「Q波」でした。V1~V3誘導はいずれもR波のない「QS型」、V4誘導にもそれに準じる“おデブ”なQ波があります。よって、この方の“心疾患”は、「陳旧性(前壁中隔)心筋梗塞」と考えられ、ステント治療後のためか抗血小板薬が2剤使用されていることにも合致します。心電図(図1)がキチッと読めたのなら、「ST変化」と「異常Q波」がある患者の胸部症状であることに気づくはず。透析患者さんですから、胸部症状があって、ST上昇・低下とくれば…一度は「STEMI」(ST上昇型急性心筋梗塞)などの急性冠症候群(ACS)の可能性は鑑別すべきです。では、次に見るのは心筋バイオマーカーですか?…ノン、ノン。まずは過去の心電図との比較です。ただ、この方は以前から同様のSTレベルでしたので、急性期の変化ではないと判断できます。透析の方は心筋トロポニンも偽陽性(非特異的上昇)になるので、浮き足立たないように注意が必要です。【問題2】肢誘導波形の一部抜粋を以下に示す(図2)。収縮波形Aおよび間隔B、Cの名称を答えよ。また、波形Aをはさむ収縮間隔(B+C)と、正常波形の間隔Dとの関係についても述べよ。(図2)肢誘導の一部を抜粋画像を拡大する解答はこちら波形A:心室期外収縮(PVC)間隔B:連結期間隔C:回復周期(または休止期)関係性:B+C=2×D解説はこちら3拍目の波形Aは、ほかの洞収縮のタイミングと比べると早く出ていますから、「期外収縮」です(第16回)。間隔B、間隔Cの表現に関しては、循環器が専門ではない人にとって、少し難しいかもしれません。連結期(coupling interval):洞収縮から期外収縮までの時間休止期*(pause)または回復周期(return cycle):期外収縮から次の洞収縮までの時間※「休止期」の正式な英語表記は「postextrasystolic pause」のようです間隔Bと間隔Cの名称は期外収縮の心電図を理解する上で大事な用語です。「連結期」(間隔B)は“先行度合い”とでも言い換えてもらうとわかりやすいかな? もう一方の間隔Cは、「休止期」という表現のほうが「~期」つながりで「連結期」と統一感がでるのですが、心臓が2~3秒以上止まる心停止、いわゆる「ポーズ」(pause)の和訳とやや紛らわしい面があります。その意味では「回復周期」を用いたほうが無難でしょうか。非専門医にはハードルが高い「連結期」と「回復周期(休止期)」という用語をわざわざ登場させたのは、両者の和(間隔B+間隔C)、すわなち、期外収縮を挟む洞収縮の間隔と洞周期(連続する洞収縮時のR-R間隔:図2の間隔D)との間に存在する“美しい関係”を紹介したいからなんです。“期外収縮の出どころ、どーこだ?”ボクのレクチャーで「期外収縮」を学ぶときは、お得意(?)の“Dr.ヒロ謹製”語呂合わせが登場します(図3)。(図3)期外収縮のポイント画像を拡大するどうして“線香”なのか、はたまた“法被(はっぴ)”って何なんだ?というご批判は甘んじて受け入れましょう(笑)強いて言えば、それがDr.ヒロ流ってこと。先行度合いが“線香”です。洞周期から予想されるタイミングより早いことが必須条件です。次に、“カタチと法被が大事よ”は、期外収縮の起源(origin)、すなわち“出どころ”を知るためのチェック項目です。心電図から「どこ起源の期外収縮か?」を判定するのです。通常は「心房」か「心室」なことが大半であり、ごくまれに両者の“中間”の「房室接合部」からも出ることがありますよ。“起源は心房?それとも心室?”どんな教科書にも書いてありますが、期外収縮を見たとき、そのQRS波形と先行P波を見ます。波形については、QRS幅と洞収縮波形とが同じか(相同性)に注目しましょう。起源が「心房」なら房室結節~心室内の電気の流れが通常と同一ですから、QRS波形は洞調律の時と同じで、ふつうは幅も狭い(narrow)はずです。一方、「心室」起源の場合、正常刺激伝導系を“高速道路”とすれば“下道”を逆行するようなものですから、おかしな電気の流れは正常と似ても似つかない幅広(wide)なQRS波を形成します(第16回)。もう一つは、QRS波に先立つP波があるかないか。「心室」起源の場合、意味を考えればP波が先行しないことが心室収縮の早期性を示す特徴のはずです。逆に「心房」なら、必ず「P’波」(洞性P波と区別するためダッシュをつけました)が先行し、心房の早期収縮を示しています。今回の心電図(図2)の場合、洞収縮とは明らかに違うwideなQRS波形ですから、「心室期外収縮」(PVC)と判別できます。本症例では、このPVCの頻発が胸部症状の主因でした。“知っておきたいスマートな性質”大半の期外収縮は、“カタチと法被“の3条件の確認で心房または心室が起源と判定できます。でも、もともと脚ブロックがある人では、「心房期外収縮」(PAC)でも当然QRS幅がwideになりますね? 逆に「心室」起源でQRS幅がnarrowに見えるケースもごくまれにあります。また、P’波もしばしばT波に埋もれてしまい、見つけるのにはある程度コツと経験が要ります。こうした非典型例で参考にすると良い“第4の条件”を伝授しましょう。端的に言うと、PVCでは期外収縮を挟む洞収縮の間隔が洞周期の2倍になるんです。しかも“ピッタリ”「2倍」ね。「期外収縮を挟む洞収縮の間隔」というのは、(図2)なら3拍目のPVC波形Aを飛ばした2拍目と4拍目のR-R間隔です。つまり、連結期と回復周期の和(図2の間隔B+間隔C)に相当します。波形AがPVCであるならば、間隔B+間隔Cは洞周期(間隔D)のピッタリ2倍になるのです。PACでは2倍よりわずかに短くなるんです。この関係をチェックするには、メディカル・デバイダーと呼ばれる器機が便利です。片足が針で、もう片足が鉛筆なのが普通のコンパスですが、両足とも針な“医療用コンパス”のことです。廉価なものは2,000円ほどで売っていて、一般的な不整脈解析が用途であれば、それで十分だと思います。実際にデバイダーでクルックルッとDr.ヒロが解析している様子を示すと、次のようなイメージです(図4)。うーん、“ピッタリ”って気持ちいいなぁ!(図4)デバイダーで実感するPVCの“上品さ”画像を拡大するこの関係、Dr.ヒロ的には“ニバイニバーイの法則”と言っています。その昔、布団のCMで力士が“ニバイニバーイ”と言っていたのが妙に頭に残っています。またオッサンって言われそう…。このような時、期外収縮後の休止期(回復周期)は「代償性」(compensatory)であると表現されます。これが“大事よ”の種明かしです。なお、厳密に言うと、2倍かどうかの確認はR-R間隔ではなく、洞性P波を結ぶP-P間隔で測るべきですが、通常は測りやすいR-R間隔で代用してOKです。こうなる理由については今回割愛しますが、PVCは不意な“しゃっくり”の一種ですが、洞結節の活動性には干渉しない“上品さ”を有しているためと考えてください。「代償性」という専門用語までは覚えなくとも、この“美しい関係”は知っておくと良いでしょう。PVCは上品な期外収縮で、まれな例外*を除いて“ニバイニバーイの法則”を満たすのです。*:「間入性」パターンや室房伝導を有する特殊なPVCの場合などちょっとだけハイレベルな話もしましたが、最後にまとめの表を示して終わります(図5)。ぜひ実践してみてくださいね。(図5)期外収縮の起源判定の原則画像を拡大するTake-home Message期外収縮の起源は、QRS波形と先行P波の有無で判定せよ(“カタチと法被”)期外収縮を挟む洞収縮の間隔が洞周期の2倍ならPVC(“ニバイニバーイの法則”)【古都のこと~宇治平等院】平等院(宇治市)は、京都駅から30分圏内の国宝・世界遺産です。多くの方は、一度は訪れたことがあると思いますが、ボクは高校の修学旅行以来でした。阿字池(あじいけ)に囲まれた鳳凰堂は、以前より輝きを増したように感じられました。それもそのはず、平成の大修理(2012~14年)により、外観は丹土(につち)色と呼ばれる黒みのある赤に塗装され、瓦もシックな墨色となり、平安時代の様子に近づいたそう。阿弥陀如来坐像のある中堂、左右の翼廊、そして中堂の背後に延びる尾廊。藤原頼通による“極楽浄土”の体現には、どこからどう見ても“見事”以外の言葉が出てきません。でも、平等院にわれわれが親しみを感じるのは、いつの世も変わらぬ浄土への憧れ、というよりは10円玉のせいでしょうか? 先日、紙幣と500円硬貨の新デザインが発表されましたが、平等院とは当分お付き合いが続きそうで安心しました。

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第41回 老年薬学会に入って“日本沈没”を救え!【週刊・川添ラヂオ】

動画解説世界が経験したことのない超高齢社会。医療者として「ヤバイ」と感じますよね。それに立ち向かうべく設立された日本老年薬学会。「ポリファーマシーのことをやっている団体」と思われがちですが、医師と共同で高齢者に対する適切な薬物治療を研究しています。ロコモティブシンドロームや高齢者における薬物の影響を薬剤師が深く掘り下げることによって、超高齢化社会の問題を解決する糸口が見つかるかもしれません。

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臨床研究法、J-CLEARメンバーも対応に苦戦

 臨床研究法が施行されて早1年。2019年3月までは移行期間ということもあり、倫理委員会への登録などで忙殺された方が多かったようだ。本年4月からの新たな申請はこれまでに比べ、少ないというが、日本の臨床研究は法律に則り、滞りなく進んでいるのだろうか。NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR/理事長 桑島 巖氏)は2019年4月20日、都内においてJ-CLEAR講演会を開催。6名の先生が特定臨床研究の現状や糖尿病領域の臨床試験の変遷などについて発表した。 本稿では、第1部「特定臨床研究法施行のあとさき」の話題をお届けする。“医の倫理”は産業としての医療から生まれた 「特定臨床研究法、ここが問題-現場から」について発表した植田 真一郎氏(琉球大学医学研究科臨床薬理学講座 教授)は、世界初の倫理委員会発足から日本で臨床研究法が施行するまでの変遷について紹介。 天然痘が流行した時代、被験者保護の概念は乏しく、脆弱な人々は研究者自身の好奇心を満たす対象とされていた。これに対し、ヘンリー・K・ビーチャーが臨床研究における倫理指針を提唱、臨床研究を規制するためのNational Research Act(1974年)やベルモント・レポート(1979年)が作成されるようになり、医療の産業化と共にCOIの概念が発達していった。 ところが、産業としての医療が発達していく中でCOIの問題がますます表面化し、さらには「me too drug」の概念から企業による販売促進のための研究が拡大していったという。近年の日本の現状として、「倫理審査委員会を通過すればなんとかなると考え、“研究計画書の改定を倫理委員会に届けない”人々」の存在についてコメント。これを問題視した植田氏は、「臨床研究法施行によって計画書の改訂報告が義務付けられたことは良い」と述べた。“臨床研究法”はCOIを守り患者を保護する法律なのか? 臨床研究法が策定された背景には、未承認薬・適応外薬の臨床試験の枠組みはもちろんのこと、「臨床研究として有効性や安全性に対する試験デザインが適切になされているか、将来の患者さんを守るためのものになっているかが一番重要なことである」と植田氏は述べ、「最善の研究デザイン、研究計画について思考停止せずに考え続けること」を強調した。 臨床研究法を守ればなんでもやって良いわけではないことを再認識する必要がありそうだ。臨床研究法の矛盾 山本 晴子氏(国立循環器病研究センター・臨床試験推進センター長)は医療機器における観察・介入研究の判別の難しさについて、ロボットスーツを例に示した。このロボットスーツは医療機器としても福祉用具としても販売されているが、福祉用具としてのロボットスーツを脳梗塞患者のリハビリに診療で使用するとなると、特定臨床研究が必要になるのだという。これに対し山本氏は、「研究の“意図”に少しでも“治療”の匂いがすると法律を適用するのは、過剰規制ではないか?」と問題提起。このほか、医薬品と医療機器を同列に扱う点についても“国際的なズレ”を指摘し、「臨床研究法は『臨床指針』と隔絶しており、研究者が理解に苦しい」といった点を強く訴えた。コホート研究の本来の意味とは? 近年、なぜここまで多くの臨床試験が糖尿病領域においてなされているのか。景山 茂氏(東京慈恵会医科大学 特命教授)は、「患者の選択基準において、さまざまな薬剤を服用している患者やハイリスク患者を除外してはいけない」などの2008年にFDAが提言した5TOOsを挙げ、臨床研究に対する歴史的背景から覚えきれない程の臨床試験で溢れるようになった現況を説明し、臨床研究法の演題から第2部の「相次ぐ糖尿病新規治療薬:助っ人、それとも敵?」に繋げる役割を担った。

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がん患者の偶発的肺塞栓症の再発リスクは?

 画像診断技術の進展により、がん患者に偶発的な所見が見つかる割合は高まっており、その治療に関する検討が各種報告されている。オランダ・アムステルダム大学のNoemie Kraaijpoel氏らは、国際共同前向き観察コホート研究において、偶発的な肺塞栓症を有するがん患者で、抗凝固療法を行った場合の再発リスクについて評価した。その結果、治療を行っても静脈血栓塞栓症の再発リスクが懸念されることが示されたという。リスクは、亜区域枝の肺塞栓症患者と、より中枢部の血栓を有する患者で同等であった。がん患者における偶発的な肺塞栓症は、ルーチンの画像検査で最高5%に発見されるという。しかし、とくに遠位血栓に関して、臨床的な関連や最適な治療法は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月22日号掲載の報告。 研究グループは、がん患者で偶然発見された肺塞栓症について、現在の治療戦略と長期予後を評価する目的で、2012年10月22日~2017年12月31日に国際共同前向き観察コホート研究を行った。対象は、任意抽出された、偶発的な肺塞栓症の診断を受けた活動性のがんを有する成人患者であった。 評価項目は、追跡期間12ヵ月における静脈血栓塞栓症の再発、臨床的に著明な出血および全死因死亡で、中央判定で評価した。 主な結果は以下のとおり。・合計695例の患者が解析に組み込まれた。平均年齢66歳、58%が男性で、大腸がん(21%)が最も多く、次いで肺がん(15%)であった。・抗凝固療法は675例(97%)で開始され、うち600例(89%)は低分子ヘパリンが用いられた。・再発性静脈血栓塞栓症41例(12ヵ月累積発生率:6.0%、95%CI:4.4~8.1)、大出血39例(同:5.7%、4.1~7.7)、死亡283例(同:43%、39~46)の発生が認められた。・再発性静脈血栓塞栓症の12ヵ月発生率は、肺塞栓が中枢部の患者で6.0%に対し、亜区域枝の患者では6.4%で、有意差は認められなかった(部分分布のハザード比:1.1、95%CI:0.37~2.9、p=0.93)。

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ゾルピデムと併用薬による自殺リスク

 ゾルピデムとベンゾジアゼピン、抗うつ薬、オピオイド鎮痛薬との併用が、ゾルピデム単独投与と比較して、自殺リスクを増加または自殺を誘導するかについて、韓国・成均館大学校のHi Gin Sung氏らが検討を行った。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2019年4月29日号の報告。 韓国国民健康保険サービス-全国サンプルコホートデータベースを用いて、ケースコントロール研究およびケースクロスオーバー研究を行った。対象は、2004~13年の間に自殺歴を有する20歳以上の症例(ICD-10:X60~X84[故意の自傷および自殺]とY87.0[故意の自傷の続発・後遺症]の国際統計分類の自傷行為)。ケースコントロール研究では、対照群10例について年齢、性別、インデックス年、地域、所得、健康保険の種類で各ケースをマッチさせた。ケースクロスオーバー研究では、ハザード期間を60日と設定し、同じ長さの対照期間の対応するセッション5つに割り当てた。自殺前60日間のゾルピデムとベンゾジアゼピン、抗うつ薬、オピオイド鎮痛薬との併用およびゾルピデム単独投与について評価した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定するため、条件付きロジスティック回帰分析を行った。主な結果は以下のとおり。・ケースコントロール研究では、ゾルピデムとベンゾジアゼピンや抗うつ薬を併用した場合、ゾルピデム単独投与と比較し、自殺リスクが2.80倍高かった(調整OR:2.80、95%CI:1.38~5.70)。・しかし、ケースクロスオーバー研究では、自殺リスクに有意な差は認められず(粗OR:0.92、95%CI:0.55~1.52)、統計学的に検出力不足であった。 著者らは「ケースコントロール研究では、ゾルピデムにベンゾジアゼピンや抗うつ薬を併用すると、ゾルピデム単独投与と比較して自殺リスクの増加が示唆されたが、個人内比較デザインでは、リスクに有意な差は認められなかった」としている。

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ペムブロリズマブのNSCLC5年生存、未治療患者で23%(KEYNOTE-001)/ASCO2019

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)において、カリフォルニア大学のEdward B. Gron氏が、ペムブロリズマブ単剤治療のマルチコホート第Ib相試験KEYNOTE-001における進行非小細胞肺がん(NSCLC)の5年長期追跡結果を発表した。NSCLCでは未治療および既治療の550例(未治療101例、既治療449例)が対象となっている。 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時100例が生存していた。・60例(未治療患者14例、既治療患者46例)が2年以上ペムブロリズマブの治療を受けていた。・全奏効率は未治療患者41.6%、既治療患者22.9%であった。・奏効持続期間は未治療患者16.8ヵ月、既治療患者38.9ヵ月であった。・5年全生存率(OS)は未治療患者23.2%、既治療患者15.5%であった。・TPS50%以上の5年OSは未治療患者29.6%、既治療患者25.0%であった。・TPS1~49%の5年OSは未治療患者15.7%、既治療患者12.6%であった。・治療関連有害事象(TRAE)発現率は71%、Grade3~5のTRAEは13%、免疫関連有害事象の発現率は17%であった。新たな安全性プロファイルはみられなかった。■参考KEYNOTE-001(Clinical Trials.gov)

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JAK1阻害薬の単剤療法、MTX不応RAのアウトカム改善/Lancet

 メトトレキサート(MTX)の効果が不十分な関節リウマチ(RA)患者の治療において、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1阻害薬upadacitinibの単剤療法はMTXの継続投与に比べ、臨床的および機能的アウトカムを改善することが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが行ったSELECT-MONOTHERAPY試験で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年5月23日号に掲載された。upadacitinibは、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)への反応が不十分なRA患者の治療において、従来型合成DMARD(csDMARD)との併用による有効性が報告されている。2つの用量とMTX継続を比較する無作為化試験 本研究は、日本を含む24ヵ国138施設で実施された二重盲検ダブルダミープラセボ対照無作為化第III相試験であり、2016年2月~2017年5月に患者登録が行われた(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)のRAの分類基準(2010年版)を満たし、MTXによる治療を行っても活動性RAが認められる患者であった。被験者は、MTXからJAK1阻害薬upadacitinib 15mgまたは30mg(1日1回)に切り替える群、あるいは試験開始前と同一用量のMTXを継続投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、14週時のACR基準で20%の改善(ACR20)および低疾患活動性(DAS28[CRP]≦3.2)の達成割合とした。JAK1阻害薬の単剤療法は疾患コントロールを可能にする治療選択肢となりうる 648例が登録され、JAK1阻害薬upadacitinib 15mg群に217例、同30mg群に215例、MTX継続群には216例が割り付けられた。598例(92%)が試験を完遂した。 患者の約8割が女性で、平均年齢は54.3(SD 12.1)歳、RA診断からの期間は平均6.6(7.6)年であり、79%がリウマトイド因子(RF)または抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体が陽性であった。患者は、平均3年以上のMTX療法にもかかわらず高い疾患活動性を示し、ベースラインのMTXの平均用量は16.7(4.4)mg/週だった。 14週時のACR20達成率は、15mg群が68%(147/217例)、30mg群は71%(153/215例)であり、MTX継続群の41%(89/216例)に比べ有意に良好であった(2つの用量群とMTX継続群の比較:p<0.0001)。 DAS28(CRP)≦3.2の達成率は、15mg群が45%(97/217例)、30mg群は53%(114/215例)と、MTX継続群の19%(42/216例)よりも有意に優れた(2つの用量群とMTX継続群の比較:p<0.0001)。 14週時のDAS28(CRP)≦2.6、CDAI≦10(低疾患活動性)、CDAI≦2.8(寛解)、SDAI≦11(低疾患活動性)、SDAI≦3.3(寛解)のいずれの達成率も、upadacitinibの2つの用量群のほうが優れた。また、健康評価質問票による機能評価(HAQ-DI)もupadacitinib群で良好だった。 有害事象の報告は、15mg群が47%(103例)、30mg群が49%(105例)、MTX継続群は47%(102例)であった。帯状疱疹が、それぞれ3例、6例、1例に認められた。 また、悪性腫瘍が3例(15mg群2例[非ホジキンリンパ腫、乳がん]、MTX継続群1例[基底細胞がん])、主要有害心血管イベント(MACE)が3例(15mg群1例[動脈瘤破裂による出血性脳卒中で死亡]、30mg群2例[心筋梗塞、脳卒中]、いずれも試験薬との関連はないと判定)、肺塞栓症が1例(15mg群、試験薬との関連はないと判定)、死亡が1例(15mg群、動脈瘤破裂による出血性脳卒中)であった。 著者は、「MTXの効果が不十分だが、さまざまな理由で併用治療が困難な患者において、JAK1阻害薬の単剤療法は、疾患コントロールを可能にする治療選択肢となりうる」としている。

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急性期虚血性脳卒中への翼口蓋神経節刺激は有益か/Lancet

 翼口蓋神経節(sphenopalatine ganglion:SPG)刺激療法は、血栓溶解療法の適応がなく、発症から8~24時間の急性期虚血性脳卒中の患者に対し安全に施行可能であり、とくに皮質病変を有する集団では機能アウトカムの改善をもたらす可能性があることが、イスラエル・Shaarei Zedek医療センターのNatan M. Bornstein氏らが行ったImpACT-24B試験で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年5月24日号に掲載された。SPG刺激は、前臨床研究において側副循環の血流増加、血液脳関門の安定化、梗塞サイズの縮小が報告され、ヒトでの無作為化パイロット試験では有益性をもたらす可能性が示唆されている。mRSの改善をシャム刺激と比較する無作為化試験 本研究は、18ヵ国73施設が参加した二重盲検シャム対照無作為化試験であり、2011年6月~2018年3月に患者登録が行われた(BrainsGateの助成による)。 対象は、年齢が男性40~80歳、女性40~85歳で、再灌流療法が施行されておらず、発症から8~24時間の前方循環系急性期虚血性脳卒中の患者であった。被験者は、SPG刺激またはシャム刺激を行う群に無作為に割り付けられた。SPG刺激は、画像ガイドシステムを用い、局所麻酔下に神経刺激電極(長さ23mm、直径2mm)をSPG近傍の翼口蓋管に植え込み、1日4時間、5日間施行された。 有効性の主要エンドポイントは、3ヵ月後の修正Rankinスケール(mRS)スコアの期待値を超える改善とした。ベースラインのNIH脳卒中スケール(NIHSS)スコア、年齢、脳卒中部位(左脳/右脳)によって事前に規定された予後モデルに基づくmRSの期待値と比較して1点以上低かった場合を、期待値を超える改善と定義した。このエンドポイントは、修正intention-to-treat(mITT)集団および確認された皮質病変(CCI)を有する集団で解析を行った。 安全性の主要エンドポイントは、3ヵ月時のすべての重篤な有害事象(SAE)、植え込み/除去に関連するSAE、刺激に関連するSAE、神経症状増悪(発症から10日以内の神経学的イベントに関連するNIHSSスコアの4点以上の上昇)、および死亡であった。CCI集団で、刺激の強さと主要エンドポイントに逆U字型用量反応関係 1,000例(mITT集団、年齢中央値70歳[IQR:63~77]、女性51%)が1回以上の治療を受けた(SPG刺激群481例、シャム刺激群519例)。CCI集団は520例(71歳[64~77]、49%)で、SPG刺激群244例、シャム刺激群276例だった。 mITT集団では、3ヵ月時の身体機能が期待値よりも改善した患者の割合は、SPG刺激群が49%(234/481例)と、シャム刺激群の45%(236/519例)よりも高かったが、有意差は認めなかった(オッズ比[OR]:1.14、95%信頼区間[CI]:0.89~1.46、p=0.31)。一方、CCI集団では、期待値よりも改善した患者の割合は、SPG刺激群が50%(121/244例)であり、シャム刺激群の40%(110/276例)に比べ有意に優れた(1.48、1.05~2.10、p=0.0258)。 CCI集団におけるSPG刺激の強さと主要エンドポイントには、逆U字型の用量反応関係が認められた。すなわち、良好なアウトカムを示した患者の割合は、低強度の40%から中強度では70%に上昇したが、高強度では40%へと、低強度と同じ割合に低下した(p=0.0034)。 mRS 0~2の割合(mITT集団:p=0.47、CCI集団:p=0.06)、mRS 0~3の割合(p=0.13、p=0.01)、脳卒中関連QOL(SIS-16、p=0.23、p=0.01)、機能障害関連QOL(UW-mRS、p=0.24、p=0.05)にも、CCI集団ではSPG刺激群で良好な傾向が認められた。 死亡率(SPG刺激群14.2% vs.シャム刺激群12.3%、p=0.38)およびSAE(全体:30.0% vs.28.1%、p=0.50、植え込み/除去関連:0.6% vs.0.0%、p=0.09、刺激関連SAE:0.6% vs.0.4%、p=0.68、神経症状増悪:7.6% vs.6.6%、p=0.49)には、両群に差はみられなかった。 著者は、「これらの知見は、CCIを有する急性期虚血性脳卒中患者の治療における、SPG刺激療法の臨床導入を支持するものである」としている。

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ER陽性乳がん、AKT阻害剤capivasertib+フルベストラントへの期待(FAKTION)/ASCO2019

 エスロトゲン受容体(ER)陽性かつHER2陰性の進行・再発乳がん患者を対象にした、AKT阻害剤capivasertibの二重盲検・プラセボ対照の第II相無作為化比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、英国・マンチェスター大学のSacha J. Howell氏より発表された。試験デザイン・対象:閉経後のER陽性かつHER2陰性の進行・再発の乳がん患者で、前治療としてのアロマターゼ阻害薬(AI)が無効となった患者・試験群:capivasertib 400mg×2/日(内服)+フルベストラント500mg(筋注)day1投与(Capi群)・対照群:プラセボ+フルベストラント500mg day1投与(Flu群) 両群とも28日ごと病勢進行や許容できない有害事象の発現があるまで投与・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)「副次評価項目」全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率、安全性、PI3KCA変異またはPTEN過剰発現患者におけるPFS 主な結果は以下のとおり。・2015年3月~2018年3月に140例が登録され、Capi群に69例、Flu群に71例が無作為に割り付けられた。・全症例を対象としたITT解析ではPFS中央値はCapi群で10.3ヵ月、Flu群で4.8ヵ月であった(HR:0.58、95%CI:0.39~0.84、p=0.004)。・OS中央値はCapi群で26.0ヵ月、Flu群で20.0ヵ月であった(HR:0.59、95%CI:0.34~1.05、p=0.071)。・ORRはCapi群で41%、Flu群で12%であった(p=0.002)。・PI3Kシグナル活性グループ(59例:42%)におけるPFS中央値はCapi群9.5ヵ月、Flu群5.2ヵ月(p=0.064)、PI3Kシグナル非活性グループ(81例:58%)ではCapi群10.3ヵ月、Flu群4.8ヵ月(p=0.035)であった。・Grade3以上の有害事象は、下痢(Capi群14%、Flu群4%)、皮疹(Capi群20%、Flu群0%)、高血糖(Capi群4%、Flu群0%)であった。

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大量の唐辛子で恐ろしい頭痛に【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第140回

大量の唐辛子で恐ろしい頭痛にいらすとやより使用私は辛い物が大好きで、唐辛子、胡椒などをよく食べます。最近、納豆に粗びき胡椒をかけるのがブームです。論文にして投稿してやろうかと思うくらい、納豆と胡椒って合うんですよ。めちゃくちゃオイシイので、皆さんもぜひ試してみてください。 Boddhula SK, et al.An unusual cause of thunderclap headache after eating the hottest pepper in the world - "The Carolina Reaper".BMJ Case Rep. 2018 Apr 9. doi:10.1136/bcr-2017-224085.特段病歴のない生来健康な34歳の男性が、とんでもない雷鳴頭痛を訴えて救急受診しました。何が原因だろうかと首をかしげていたところ、どうやら直前まで、当時世界で最も辛い唐辛子である「キャロライナ・リーパー」※1を食べる唐辛子コンテストに出場していたそうです。※1 キャロライナ・リーパーは、2013年にギネス世界記録によって世界で最も辛い唐辛子に認定された(ただし、2017年には上回る辛さを持つドランゴンズ・ブレス等が登場している)。彼はものすごい頸部痛を訴えはじめ、それが雷鳴頭痛に発展したそうです。鎮痛薬にも抵抗する耐え難い痛みだったそうです。神経学的な検査ではとくに異常はみられなかったのですが、脳血管造影において部分的に脳血管攣縮が確認され、可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS)と診断されました。RCVSは、発症初期では血管病変が同定されず、MRAを用いても診断できないことが多いとされています。次第に血管が分節状狭窄したり拡張したりするというまれな疾患です。脳血管攣縮は、たとえば出産時のいきみによる虚血・低酸素性刺激や、入浴やサウナなどによる温度変化、血管作動薬の投与によって誘発されることがあります。大量の唐辛子でRCVSになった人はたぶんほとんどいないんじゃないでしょうか…※2。※2 唐辛子による心筋梗塞の報告はあるようです1)。1)Sogut O, et al. Int J Emerg Med. 2012;5:5.

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