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抗精神病薬使用と胃がんリスクとの関係

 台湾・桃園長庚紀念病院のYi-Hsuan Hsieh氏らは、抗精神病薬使用と胃がんの発症率との関連を明らかにするため、検討を行った。これまで、抗精神病薬の使用と胃がんリスクとの関連は、明らかとなっていなかった。Cancer Medicine誌オンライン版2019年6月10日号の報告。 ネステッド・ケース・コントロール研究を用いて、1997~2013年の台湾全民健康保険研究データベースより、胃がん患者3万4,470例および非胃がん患者16万3,430例を抽出した。交絡因子の可能性を調整するため、条件付きロジスティック回帰モデルを用いてデータ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の使用は、潜在的な交絡因子(収入、都市部、薬剤、身体疾患、アスピリン使用、NSAIDs使用、3剤併用療法)で調整した後、胃がんリスクと独立した逆相関が認められた。・さらに、胃がんリスクに対する各種抗精神病薬(thioridazine、ハロペリドール、スルピリド、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、amisulpride、リスペリドン)の用量依存的傾向も示された。・感度分析では、消化性潰瘍疾患の有無にかかわらず、胃がんリスク減少に対し、第2世代抗精神病薬の有意な用量依存的作用が認められた。 著者らは「抗精神病薬の使用は、胃がんリスクと逆相関が認められた。また、いくつかの抗精神病薬において、胃がんリスクに対する用量依存的作用が認められた」としている。■「スルピリド」関連記事スルピリドをいま一度評価する

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持続する疲労感は成長ホルモン不全症(AGHD)のせい?

 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、都内で成人の成長ホルモン分泌不全症(AGHD)に関するプレスセミナーを開催した。 セミナーでは「成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)とは」をテーマに、亀田 亘氏(山形大学医学部付属病院 第三内科 糖尿病・代謝・内分泌内科)を講師に迎え、なかなか診療まで結びつかない本症に関し、症状、診断と治療、患者へのフォローなどが紹介された。成長ホルモンが不足するとAGHDを来す 成長ホルモン(以下「GH」と略す)は下垂体で作られ、20歳くらいまで多く分泌され、それ以降は低下する。そして、下垂体で作られたGHは、静脈血に乗って、さまざまな標的器官に運ばれ、次のように作用する。・脳:思考力、意欲、記憶力を高める作用・軟骨・骨:正常な軟骨・骨の成長と強固な骨構造、骨量を維持する作用・心・骨格筋:心筋の強度・機能を高め、心臓の駆出機能を維持する作用・免疫系:免疫機能を亢進する作用・脂肪組織:脂肪代謝を促す作用・肝臓:糖新生作用の促進、IGF-1産生を促す作用・腎臓:水、電解質の調節作用・生殖器系:精巣・卵巣の正常な成長・発達を促進し、生殖機能を維持する作用 GHが不足するとAGHDを来し、亢進すると先端巨人症などの疾患を来すためにGHはバランスよく分泌される必要がある。AGHDは疲労感、集中力の低下などの日常の症状から疑う AGHDの主な症状として(詳細は『成人成長ホルモン分泌不全症の診断と治療の手引き(平成24年度改訂)』を参考)、疲労感、集中力の低下、うつ状態、皮膚の乾燥、体型の変化、骨量の低下、サルコペニア、脳腫瘍の合併などがある(小児発症では成長障害を来す)。 そして、AGHDの原因としては、脳の腫瘍や頭部外傷、中枢神経の感染症が考えられ、腫瘍によるものが多いという。 AGHD診断では、先述の臨床所見のほか、インスリン、アルギニン、L-DOPAなどの負荷によるGH分泌刺激試験の結果と合わせて診断されるほか、同時に重症度も判定される。 AGHD治療では、ソマトロピン(商品名:ノルディトロピンほか)などGH補充療法が行われている。わが国では、1975年から成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療にGH補充療法が開始され、1998年にコンセンサスガイドラインができたことで世界的な治療へと拡大した。AGHDには 2006年から適応となり、現在もさまざまなGH関連疾患への適応が続いている。 患者フォローについては、AGHDは指定難病に指定され、医療費のサポートなどが受けられるほか、成長科学協会などの研究団体、下垂体患者の会などの患者会があり、疾患・治療に関する情報の提供・啓発などが行われている。

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ステント留置後のDAPT投与期間、1ヵ月は12ヵ月より有効?/JAMA

 STOPDAPT試験(2016年)により、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)留置術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を3ヵ月で終了するアプローチの安全性が確認されている。京都大学の渡部 宏俊氏らSTOPDAPT-2試験の研究グループは、今回、DAPT投与期間をさらに短縮して1ヵ月とし、その後クロピドグレル単剤投与に切り換える治療法について検討し、この超短期的DAPTは、主要な心血管イベント/出血イベントの抑制効果に関して、DAPTを12ヵ月投与する標準治療に対し非劣性で、優越性も有することが示された。JAMA誌2019年6月25日号掲載の報告。日本の90施設で1ヵ月DAPT群と12ヵ月DAPT群に無作為に割り付け 本研究は、日本の90施設が参加した多施設共同非盲検無作為化試験であり、2015年12月~2017年12月の期間に患者登録が行われ、2019年1月に最後の1年フォローアップを終了した(Abbott Vascularの助成による)。 対象は、CoCr-EES留置術による経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者であった。経口抗凝固薬を要する患者や、頭蓋内出血の既往を有する患者は除外された。 被験者は、術後にアスピリン+P2Y12阻害薬(クロピドグレルまたはプラスグレル)によるDAPTを1ヵ月行い、その後はクロピドグレル単剤に切り換える群(1ヵ月DAPT群)、または術後にアスピリン+P2Y12阻害薬によるDAPTを1ヵ月行い、その後はアスピリンとクロピドグレルによるDAPTを12ヵ月時まで継続する群(12ヵ月DAPT群)に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、12ヵ月時の心血管死、心筋梗塞、虚血性または出血性脳卒中、ステント血栓症(definite)、TIMI出血基準の大出血または小出血の複合であり、相対的非劣性マージンは50%とした。1ヵ月DAPT群が心血管イベントを増加させずに出血イベントを抑制 3,009例(intention-to-treat集団)が登録され、2,974例(99%)が試験を完遂した。1ヵ月DAPT群に1,500例、12ヵ月DAPT群には1,509例が割り付けられた。全体の平均年齢は68.6歳、男性が78%で、糖尿病が39%、安定冠動脈疾患が62%、急性冠症候群が38%に認められた。多くが、血栓リスクおよび出血リスクが低~中等度の患者であった。 主要エンドポイントの発生率は、1ヵ月DAPT群が2.36%、12ヵ月DAPT群は3.70%であった(絶対差:-1.34%、95%信頼区間[CI]:-2.57~-0.11、ハザード比[HR]:0.64、95%CI:0.42~0.98)。非劣性の判定基準が満たされ(p<0.001)、優越性にも有意差が認められた(p=0.04)。 心血管イベントの副次エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、虚血性または出血性脳卒中、ステント血栓症[definite])の発生率は、1ヵ月DAPT群が1.96%、12ヵ月DAPT群は2.51%であった(絶対差:-0.55%、95%CI:-1.62~0.52、HR:0.79、95%CI:0.49~1.29)。非劣性の判定基準は満たした(p=0.005)が、優越性は認めなかった(p=0.34)。 また、出血イベントの副次エンドポイント(TIMI出血基準の大出血または小出血)の発生率は、1ヵ月DAPT群が0.41%、12ヵ月DAPT群は1.54%であり(絶対差:-1.13%、95%CI:-1.84~-0.42、HR:0.26、95%CI:0.11~0.64)、1ヵ月DAPT群の優越性が確認された(p=0.004)。 著者は、「これらの知見により、薬剤溶出ステント留置術後に、DAPTを1ヵ月行った後クロピドグレル単剤投与を行うレジメンは、DAPTを12ヵ月継続する標準治療よりも高い有益性をもたらすことが示唆される」とまとめ、「このレジメンの有益性は、心血管イベントを増加させずに出血イベントを抑制することでもたらされたため、出血リスクが高くない患者でも治療選択肢となる可能性がある。また、虚血リスクが低~中等度の患者が多かったことから、虚血リスクの高い患者において、さらなる検討を要する」と指摘している。

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高齢進行胃がん患者への化学療法、低用量でベネフィット得られる可能性(GO2)/ASCO2019

 高齢でフレイルのある、進行胃・食道胃接合部がん患者において、2剤併用化学療法の用量を減らしても、高用量の場合と同等のベネフィットが得られる可能性が示唆された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、オキサリプラチン+カペシタビン2剤併用療法の適正用量を検討した第III相GO2試験1)の結果を、英国・エジンバラ大学のPeter S Hall氏が発表した。 進行胃・食道胃接合部がんと診断される患者の中央値は75歳超で2)、多くがフレイルを有している。しかし、化学療法の標準的な用法用量の多くがフレイルのない、65歳未満の患者を対象とした臨床試験によって定められている。 Hall氏らが事前に実施した、同患者対象のエピルビシン+オキサリプラチン+カペシタビンとオキサリプラチン+カペシタビン、カペシタビン単剤の比較試験の結果、オキサリプラチン+カペシタビン2剤併用療法が良好な結果を示した3)。 GO2試験は、年齢やフレイルのために全量投与の3剤併用療法には不適格(ただし、GFR≧30、bili<2×ULNで2剤併用には適格性あり)の進行胃・食道胃接合部がん患者対象の、第III相無作為化、多施設共同、前向き対照、非盲検非劣性試験。登録患者はオキサリプラチン+カペシタビンの100%用量群(オキサリプラチン130mg/m2を3週ごと+カペシタビン625mg/m2×1日2回連日投与をPDまで)、80%用量群、60%用量群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)の100%用量群に対する非劣性。その他の評価項目は、患者評価による総合治療効用(overall treatment utility:OTU)、毒性、QOLなどであった。フレイルは、9項目の高齢者総合機能評価を用いて評価され、3項目以上の該当者が重度のフレイルと判定された。 主な結果は以下のとおり。・2014~17年にかけて、英国の61施設から512例が登録され、100%用量群に170例、80%用量群に171例、60%用量群に173例が割り付けられた。全体の年齢中央値は76(51~96)歳、男性が75%で、PS≧2が31%、重度のフレイルと判定された患者は58%であった。ベースライン特性は、3群でバランスがとれていた。・主要評価項目であるPFS中央値はそれぞれ、4.9ヵ月 vs.4.1ヵ月 vs.4.3ヵ月。100%用量群に対する、80%用量群(ハザード比[HR]:1.09、95%信頼区間[CI]:0.89~1.32)および60%用量群(HR:1.10、95%CI:0.90~1.33)の非劣性が確認された(あらかじめ設定された非劣性マージン:1.34)。 ・副次評価項目であるOS中央値について、3群で有意差は確認されなかった(7.5ヵ月 vs. 6.7ヵ月vs. 7.6ヵ月)。・患者評価による9週時点でのOTUは、100%用量群(good:35%、intermediate:34%、poor:31%)、80%用量群(36%、26%、38%)、60%用量群(43%、27%、29%)。60%用量群は100%用量群と比較し、良好な傾向を示した(調整オッズ比:1.24、95%CI:0.84~1.84)。・患者評価による9週時点でのQOLは、100%用量群では変化がなかったが、80%用量群および60%用量群では、ベースライン時と比較して改善した。・毒性は60%用量群で100%用量群および80%用量群よりも低く、治療サイクル数の中央値は60%用量群で最も多かった。・ベースライン時の因子(年齢、PS、フレイル)ごとに、用量によるPFS、OS、OTUを比較した結果、有意な差は得られず、高用量治療でベネフィットを得る患者特性は特定されなかった。

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前立腺がんへの超寡分割照射vs.標準照射(解説:宮嶋哲氏)-1073

 Scandinavian HYPO-RT-PC試験は転移のない前立腺がんを対象に、標準照射と比較し、超寡分割照射の非劣性を検討することを目的とした第III相無作為ランダム化比較臨床試験である。本試験はスウェーデンとデンマークの12施設において、2005年からの10年にわたって施行された。リンパ節転移ならびに遠隔転移のない75歳以下の中〜高リスク前立腺がん患者1,200例を対象に、原発巣である前立腺への放射線照射が無病生存率に寄与するのか検討を行っている。本試験では、標準照射群(591例)、または超寡分割照射群(589例)の2群にランダム化している。標準放射線照射群は連日照射を8週間施行し(78Gy/39Fr)、超寡分割照射群は2.5週7回の照射を施行するプロトコル(42.7Gy/7Fr)であった。中リスク患者は全体の89%(1,054例)で、高リスク患者は11%(126例)であった。なお、いずれの症例でもアンドロゲン除去療法は施行されていない。 結果は、5年failure-free survivalが両群で84%(95%CI:80~87)であった。治療1年後に超寡分割照射群でRTOG grade2の排尿障害を認めたが、統計学的に有意差を認めなかった(158/569例 vs.132/578例、p=0.057)。また晩期合併症には有意差を認めなかった。 現在、前立腺がん原発巣に対する治療選択肢の1つである放射線外照射のデメリットは、約2ヵ月間の通院加療の必要性と照射後の排尿ならびに直腸障害である。本試験の超寡分割照射群はわずか7回計16日間の治療期間で、患者の受ける恩恵は大きい。さらに、本試験では非劣性を確認するためにアンドロゲン除去療法を施行していない。照射後、排尿障害を訴える患者の多くは年齢相応の前立腺肥大症を罹患していることが多く、アンドロゲン除去療法を併用することで前立腺容積の縮小を介して排尿障害の発生を抑制しうる可能性もある。実臨床の見地からすれば、本試験の結果は患者QOLの改善に大いに寄与するものと考えられる。

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間質性膀胱炎(ハンナ型)〔IC:interstitial cystitis with Hunner lesions〕

1 疾患概要■ 概念・定義間質性膀胱炎(interstitial cystitis:IC)という名称は、1887年に膀胱壁に炎症と潰瘍を有する膀胱疾患を報告したSkeneによって最初に用いられた。そして1915年、Hunnerが、その膀胱鏡所見と組織所見の詳細を報告したことから、ハンナ潰瘍(Hunner's ulcer)と呼ばれるようになった。しかし、ハンナ潰瘍と呼ばれた病変は、胃潰瘍などで想像する潰瘍とは異なるため(詳細は「2 診断-検査」の項参照)、潰瘍という先入観で膀胱鏡を行うと見逃すことも少なくなく、現在はハンナ病変(Hunner's lesion)と呼ぶことになった。以前は米国・国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases:NIDDK)による診断基準(1999年)が用いられたが、これは臨床研究のための診断基準で厳し過ぎた。『間質性膀胱炎診療ガイドライン 第2版』では、「膀胱の疼痛、不快感、圧迫感と他の下部尿路症状を伴い、混同しうる疾患がない状態」の総称を間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(interstitial cystitis/bladder pain syndrome:IC/BPS)とし、このうち膀胱内にハンナ病変のあるものを、「IC/BPS ハンナ病変あり(IC/BPS with Hunner lesion)」、それ以外を「IC/BPS ハンナ病変なし(IC/BPS without Hunner lesion)」とすることとした。これまでは、ハンナ病変はないが点状出血を認めるIC/BPSを非ハンナ型ICとしていたが、これもIC/BPSハンナ病変なしに含まれることになる。要は、ハンナ病変が確認されたIC/BPSのみが「間質性膀胱炎」であり、ハンナ病変がなければ、点状出血はあってもなくても「膀胱痛症候群」となる。本症の名称については、前述の経緯も含め変遷があるが、本稿では「間質性膀胱炎(ハンナ型)」の疾患名で説明をしていく。■ 疫学過去のICに関する疫学調査の対象はIC/BPS全体であり、0.01~2.3%の範囲である。疾患に対する認知度が低いために、疫学調査の結果が低くなっている可能性がある。2014年に行ったわが国での疫学調査では、治療中のIC患者数は約4,500人(0.004%:全人口の10万人当たり4.5人)であった。性差は、女性が男性の約5倍とされる。■ 病因尿路上皮機能不全として、グリコサミノグリカン層(glycosaminoglycan:GAG layer)異常が考えられている。GAG層の障害は、尿路上皮の防御因子の破綻となり、尿が膀胱壁へ浸潤して粘膜下の神経線維がカリウムなどの尿中物質からの影響を受けやすくなり、疼痛や頻尿を引き起こすと考えられる。しかし、GAG層が障害される原因は解明されていない。このほか、細胞間接着異常、上皮代謝障害、尿路上皮に対する自己免疫が推測されている。また、肥満細胞の活性化によりサイトカインなどの炎症性メディエータが放出され、疼痛、頻尿、浮腫、線維化、粘膜固有層内の血管新生などが引き起こされるとされる。これら以外にも免疫性炎症、神経原性炎症、侵害刺激系の機能亢進、尿中毒性物質、微生物感染など、複数の因子が関与していると考えられている。■ 症状IC/BPSの主な症状には、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿意亢進、膀胱不快感、膀胱痛などがある。尿道、膣、外陰部痛、性交痛などを訴えることもある。不快感や疼痛は膀胱が充満するに従い増強し、そのためにトイレにいかなければならず、排尿後には軽減・消失する場合が多い。■ 分類膀胱鏡にてハンナ病変が確認されたIC/BPSに限り「IC/BPS ハンナ病変あり」とし、ハンナ病変がないIC/BPSは「IC/BPS ハンナ病変なし」と分類する。「IC/BPS ハンナ病変あり」は、間質性膀胱炎(ハンナ型)として2015年1月1日に難病指定された。■ 予後良性疾患であるので生命への影響はない。1回の経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術で症状改善が生涯持続することもあるが、繰り返しの手術を必要とし、疼痛コントロールがつかなかったり、自然経過あるいは手術の影響によって膀胱が萎縮したりして、膀胱摘出術が必要となることもまれにある。症例によって経過はさまざまである。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断のフローは、『間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン』(2019/6発刊)に詳しく紹介されているので参照いただきたい。本稿では、エッセンスだけにとどめる。■ 検査1)症状IC/BPSを疑う症状があることが、最も重要である(「1 疾患概要-症状」の項参照)。2)排尿記録排尿時刻と1回排尿量を24時間連続して記録する。蓄尿時膀胱・尿道部痛または不快感により頻尿となるため、1回排尿量が低下し、排尿回数が増加している症例が多い。多くの場合、夜間も日中同様に頻尿である。3)尿検査多くの場合、尿所見は異常を認めない。赤血球や白血球を認める場合は感染や尿路上皮がんとの鑑別を行う必要がある。4)膀胱鏡ハンナ病変(図)を認める。ハンナ病変とは、膀胱粘膜の欠損とその周囲が毛細血管の増生によりピンク色に見えるビロード状の隆起で、しばしば瘢痕形成を伴う。表面にフィブリンや組織片の付着が認められることがある。膀胱拡張に伴い病変が亀裂を起こし、裂け、そこから五月雨状あるいは滝状に出血するため、拡張前に観察する必要がある。図 IC/BPSハンナ病変ありの膀胱鏡所見画像を拡大する■ 鑑別診断過活動膀胱、細菌性膀胱炎、慢性前立腺炎、心因性頻尿との鑑別を要するが、子宮内膜症との鑑別はともに慢性骨盤痛症候群であるから非常に難しい。しかし、最も注意すべきは膀胱がん、とくに上皮内がんである。膀胱鏡所見も、瘢痕を伴わないハンナ病変は、膀胱上皮内がんとよく似ており鑑別を要する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)病因が確定されていないため根治的な治療はなく、対症療法のみである。また、IC/BPS ハンナ病変あり/なしを区別した論文は少ない。なお、わが国で保険収載されている治療は「膀胱水圧拡張術」だけである。■ 保存的治療患者の多くが食事療法を実行しており、米国の患者会である“Interstitial Cystitis Association”によればコーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール、トマト、柑橘類、香辛料、ビタミンCが、多くのIC/BPS患者にとって症状を増悪させる飲食物とされている。症状を悪化させる食品は、個人によっても異なる。膀胱訓練は決まった方法はないものの有効との報告がある。■ 内服薬治療三環系抗うつ薬であるアミトリプチリン(商品名:トリプタノール)は、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを抑制して中枢神経の痛み刺激の伝達を抑えるほか、ヒスタミンH1受容体をブロックして肥満細胞の活動を抑制するなどの作用機序があると考えられ、有効性の証拠がある。トラマドール(同:トラマール)、抗けいれん薬であるガバペンチン(同:ガバペン)も神経因性疼痛に対するある程度の有効性があるとされる。また、肥満細胞の活性化抑制を目的として、スプラタスト(同:アイピーディ)、ロイコトリエン受容体拮抗薬のモンテルカスト(同:キプレス、シングレア)がある程度有効である。免疫抑制薬のシクロスポリンA、タクロリムス、プレドニゾロンはある程度の有効性はあるが、長期使用による副作用に十分注意が必要であり、安易な使用はしない。このほかNSAIDs、選択的COX-2阻害薬、尿のアルカリ化のためのクエン酸もある程度の有効性がある。■ 膀胱内注入療法ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)は炎症抑制、筋弛緩、鎮痛、コラーゲンの分解、肥満細胞の脱顆粒などの作用があるとされ、IC/BPSに有効性のエビデンスがある。ハンナ病変ありのIC/BPSには効果があるとの報告もある。わが国では、現在臨床試験中である。ヘパリン、ヒアルロン酸はGAG層の欠損を補うことにより症状を緩和すると考えられ、IC/BPSに対してある程度の有効性のエビデンスがある。リドカインは短時間で疼痛の軽減が得られるが、その効果は短期間である。ボツリヌス毒素の膀胱壁内(粘膜下)注入、ステロイドのハンナ病変および辺縁部膀胱壁内注入も、ある程度の有効性のエビデンスがある。■ 手術療法膀胱水圧拡張術が、古くからIC/BPSの診断および治療の目的で行われてきた。有効性のエビデンスは低く、奏効率は約50%、奏効期間は6ヵ月未満との報告が多い。IC/BPSハンナ病変ありには、経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術が推奨される。反復治療を要することが多いが、症状緩和には有効である。膀胱全摘出術や膀胱部分切除術+膀胱拡大術は、他の治療がすべて失敗した場合にのみ施行されるべきである。ただし、膀胱全摘出術後も疼痛が残存することがある。4 今後の展望これまではIC/BPS ハンナ病変あり/なしを区別、同定して行われた研究は少ない。世界的に「IC/BPSハンナ病変あり」は1つの疾患として、他のIC/BPSとは分けて考えるという方向になった。以前の非ハンナ型ICを含む「IC/BPSハンナ病変なし」は、heterogeneousな疾患の集合であり、これから「IC/BPSハンナ病変あり」(ハンナ型IC)を分けることによって、薬の開発も行われやすく、薬の効果評価も明確なものになると期待される。5 主たる診療科泌尿器科膀胱水圧拡張術を保険診療として行うためには、施設基準が必要である。間質性膀胱炎(ハンナ型)(「IC/BPSハンナ病変あり」のこと)は、難病指定医により申請が可能である。日本間質性膀胱炎研究会ホームページに掲載されている「診療に応じる医師」が参考になるが、このリストは医師からの自己申告に基づくものであり、診療内容は個々の医師により異なる。日本排尿機能学会認定医のような、排尿障害に関する専門医が望ましい。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本間質性膀胱炎研究会(Society of Interstitial Cystitis of Japan:SICJ)(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 間質性膀胱炎(ハンナ型)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本間質性膀胱炎研究会 ガイドライン作成委員会 編集. 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン. リッチヒルメディカル;2019. 2)Hanno PM,et al. J Urol. 1999;161:553-557.3)Yamada Y,et al. Transl Androl Urol. 2015;4:486-490.4)Tomoe H. Transl Androl Urol. 2015;4:600-604.5)Tomoe H, et al. Arab Journal of Urol. 2019;17:77-81.6)Whitmore KE, et al. Int J Urol. 2019;26:26-34.公開履歴初回2019年7月9日

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頭打ちの後発医薬品使用の裏で始まった新制度【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第28回

10年前の後発医薬品の使用割合はどのくらいだったか、覚えていますか? 2009年の後発医薬品の使用割合は35%で、計算方法は多少変わっていますが、現在は約70%ですので、約10年で後発医薬品の使用は2倍に増えています。報酬改定に追われるように…、というのは否めませんが、保険薬局の努力が後発医薬品の使用割合の増加に大きく貢献したことは間違いありません。しかし、このたび後発医薬品の使用割合が頭打ちになっているという調査結果が報告されました。2018年10月から19年1月にかけて、28都府県の保険薬局91施設を対象に実施した聞き取り調査の結果によると、後発医薬品調剤体制加算3の算定要件(数量ベースの後発品使用割合85%の基準)が新設されたことについて、70.7%が「要件が厳しい」と答えた。理由としては▽薬局の取り組みだけでは困難▽処方元の後発品に対する意識が変わらない限り難しい▽処方箋の「変更不可」欄がある限り難しい―といった声が上がった。(2019年6月17日付 日刊薬業)これは、日本製薬団体連合会という製薬企業の団体の中にある保険薬価研究委員会が行った研究報告です。後発医薬品の数量割合が70%を超えたあたりから頭打ち状態になっている保険薬局が多い点や、政府目標の80%を達成するためには、保険薬局の努力だけでは限界を感じている点などが明らかになっています。「現在が頭打ち」という状況は、私個人としても実感しています。2018年の報酬改定では、医科の報酬でも後発医薬品の使用を促進する改定がいくつかあったものの、調剤においては後発医薬品調剤体制加算の基準が引き上げられ、一番点数が大きい要件は85%になりました。正直、処方箋の変更不可欄のチェック率や、小児処方の変更の難しさなどを考えると、私が関わっている薬局での85%達成は難しいなと思っています。後発医薬品、上市後10年経過でさらに薬価引き下げここで改めて、後発医薬品の数量割合の目標を確認してみましょう。2017年に閣議決定された、いわゆる「骨太の方針2017」で、2020年9月までに後発医薬品の使用割合を80%とする、という目標が決まりました。これは内閣府が旗を振っているものですから、厚生労働省も上から達成を監視されているという状況なのでしょう。2020年9月までの報酬改定はあと1回だけです。かなり厳しい状況ですが、個人的には医師の処方権を考えると変更不可欄がなくなることはないだろうと思っていますので、もしかしたら目標達成の期限を延ばすのでは、とも思っています。しかし、国もただ手をこまねいているわけではなく、2019年4月より長期収載品の薬価を後発医薬品並みに引き下げる「G1、G2ルール」というかなり力業の制度が導入されました。現在は、最初の後発医薬品の収載から5年を経過し、10年を経過しない品目のうち、後発医薬品への置き換え率が80%となる先発医薬品の薬価が引き下げられています(Z2ルール)。G1ルールではそれに加え、10年が経過した品目に関して、後発医薬品への置き換え率が80%以上の品目の薬価を6年かけて2年ごとに薬価を引き下げていき、G2ルールでは置き換え率80%未満の品目の薬価を10年かけて2年ごとに引き下げていきます。これによって、長期収載品を有する製薬企業は、長期収載品を販売し続けるべきか、撤退すべきかの判断を迫られることになります。実際には、長期収載品を保持し続けたり、権利を他社に移譲したりする企業もあるようですが、市場から撤退する長期収載品が増える→後発医薬品を選択せざるを得ない医療機関が増える→後発医薬品の使用割合が増える、という流れが予想されます。金額ベースから数量ベースになったり、母数の考え方が変わったりと紆余曲折があった後発医薬品の使用促進が佳境を迎えていますので、引き続き注目したいと思います。

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高齢者進行非小細胞肺がん、膵がん患者に対する早期運動・栄養介入の多施設共同ランダム化第II相試験(NEXTAC-TWO)

 高齢の進行期がん患者の多くは、がん悪液質による疲労、食欲不振、および身体機能の低下を有しているが、効果的な介入が確立されていない。静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏らは進行期がんに対する栄養療法および運動療法を組み合わせた早期介入プログラムNEXTAC(The Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer program)の第I相試験(NEXTAC-ONE)を実施し、がん悪液質高リスクの高齢患者におけるNEXTACの実現可能性を報告した(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle, 2018)。この結果に基づきNEXTACによる早期の運動・栄養介入の有効性を評価する多施設共同無作為化第II相NEXTAC-TWO試験が開始された。NEXTAC-TWO試験の実施の背景、設計などについて新潟県立がんセンター新潟病院 三浦 理氏らがBMC Cancer誌オンライン版2019年5月31日号で発表した。NEXTAC介入群と介入なしの対象群に130例の被験者を無作為に割り付け・対象:1次治療として化学療法実施予定の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)または膵臓がん患者。年齢70歳以上、PS 2以下で適切な臓器機能を持ち介護を要しない患者・介入群:1次治療開始とともに、BCAA(分岐鎖アミノ酸)含有サプリメント摂取(大塚製薬:インナーパワー)と栄養カウンセリング、低強度在宅運動プログラム、身体活動計により測定された歩数に基づく身体活動量促進プログラムを医師のほか栄養士、理学療法士、看護師より成る多職種チームによる介入を行う・対照群:介入なし・評価項目:[主要評価項目]介護不要生存期間[副次評価項目]栄養状態、除脂肪体重、運動機能、ADL、QOL、全生存期間、安全性など わが国の15施設から130例の被験者を登録する。被験者を介入群と対照群に無作為に割り付け、無作為化から4回(登録時、4±2週、8±2週、12±2週)介入と評価を実施する。層別化因子は、PS(0~1対2)、原発がんの部位(肺と膵)、病期(Stage IIIとIV)、化学療法の種類(ドライバー遺伝子変異に対するキナーゼ療法とその他)など。筆頭著者 三浦 理氏のNEXTAC-TWO試験についてのコメント がん治療、とくに非小細胞肺がんの世界ではドライバー遺伝子変異に対するキナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療開発が非常に活発に行われている。それに伴い、長期生存が得られる症例が増えており、今後はQOLの改善、維持ということが重要視されるだろう。2019年、抗悪液質治療薬であるグレリン誘導体のアナモレリンが臨床導入される予定である。この薬剤は食欲改善効果と共に除脂肪体重増加効果はあるが、筋力の改善、増強は得られがたいことが臨床試験で示唆されている。今まで前向き試験で示されることができなかった多職種介入の有効性が本試験で示されれば支持療法の分野における大きな一歩であると考えられる。本試験はすでに症例登録は終了し観察期間に入っており、結果の公表が待たれる。

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今シーズンのハチ毒被害に備える方策

 第68回 日本アレルギー学会学術大会(会長:相良 博典氏[昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門])が、6月13~15日まで都内で開催された。大会期間中、喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など多彩なセッションが開催された。 これからのシーズン、ハチ刺されによるアナフィラキシーショックの事例も増えることから、本稿では教育講演で行われた「ハチアレルギーの現状」の概要をお届けする。アドレナリン注射はなるべく早く打つ 講演では、平田 博国氏(獨協医科大学埼玉医療センター 准教授)を講師に迎え、ハチ毒による症状、治療、アレルゲン免疫療法(予防)について説明が行われた。 アナフィラキシーショック(全身性アレルギー反応)による死亡者数は、年間50~70名程度発生し、うちハチ毒に関係する死亡は、薬剤に次いで多く第2位となっている。 被害をもたらすハチは、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチの3種で、とくにアシナガバチによる被害が多い。患者では、林業、農業や養蜂業従事者に被害が多く、そのほか、ゴルフ場、建築関係、造園業などの職種も多いという。 症状として、ハチに刺されたことで蕁麻疹、紅斑、嘔吐・嘔気、呼吸器症状などが現れる。心停止の中央値は15分という報告もある。小児と成人では、成人の方が重症化する傾向がある。 治療ではアナフィラキシー症状が出現した場合、アドレナリン注射(商品名:エピペン)が第一選択薬である。とくに症状が軽症と思われる場合でも、急変が予想され、アドレナリン注射は、副作用も軽微なことからまず「打つ」ことが求められる。30分以上経過しての注射では死亡率も増加することが報告されており、「なるべく早く打つことが重要」と指摘する。ハチ被害が多い職業従事者でも低い危機意識 ハチに刺されるリスクの高い職種では、アドレナリン自己注射を携帯してもらい、緊急の場合、自己注射してもらう対策が広く行われている。 ところが平田氏らによる2015年の研究調査では、林業従事者で特異的IgE抗体陽性者のアドレナリン注射処方率は全体の約3割であり、うち常時携帯している者は約5割だったという。また、2016年にはハチ刺されによる全身症状を経験したアドレナリン注射処方者でも約4割弱しか実際に注射しなかったという結果を報告した。 今後の課題としては、アドレナリン注射の事前処方の重要性の啓発、軽症でも注射する必要がある病識の知識の向上と適切な使用法の指導など医療者からの介入や教育も必要と提案した。 最後にハチ毒アレルギーのアレルゲン免疫療法について、過去に実施した128例を示し、うち56例で再度ハチに刺されたものの、54例で重篤なアナフィラキシー症状は認められず、その有効性を報告した。同療法については、最低5年の継続が必要であるが、現在学会で保険適応化に向けて準備していると展望を語り、講演を終えた。■関連記事特集 アナフィラキシー

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身体活動が活発な中高年者ほど、寿命は長い/BMJ

 心血管疾患やがんの患者を含む中高年者では、過去の身体活動の程度や確定したリスク因子(食事、体重、血圧、コレステロール値など)の変化にかかわらず、身体活動が活発なほど死亡リスクが低く、実質的に寿命が長くなることが、英国・ケンブリッジ大学のAlexander Mok氏らによる、EPIC-Norfolk試験のデータを用いた研究で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年6月26日号に掲載された。ある時点で評価した身体活動は、全原因死亡や、心血管疾患およびがんによる死亡のリスク低下と関連することが報告されているが、身体活動の長期的な変化を検討し、さまざまな身体活動の変化の過程が健康に及ぼす影響を定量化した研究は少ないという。40~79歳の1万4,599例を12.5年追跡したコホート研究 研究グループは、全原因、心血管疾患およびがんによる死亡に及ぼす、ベースラインの身体活動とその長期的な変化の過程の関連を前向きに評価する目的で、住民ベースのコホート研究を行った(英国医学研究協議会[MRC]などの助成による)。 European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition-Norfolk(EPIC-Norfolk)コホートに登録された40~79歳の1万4,599例について、ベースライン(1993~97年)から2004年までに、3回のフォローアップ(1995~99年、1998~2000年、2002~04年)を行い、生活様式および他のリスク因子の評価を行った。次いで、これらの参加者の2016年までの死亡状況を調査した(身体活動の最終評価からのフォローアップ期間中央値12.5年)。 妥当性が検証された質問票を用いて、身体活動によるエネルギー消費量(physical activity energy expenditure:PAEE)を評価した。就業時の身体活動(座位、立位、重い肉体労働などで3つに分類)と余暇時の身体活動(週に0時間、0.1~3.5時間、3.6~7時間、>7時間)から、PAEE(kJ/kg/日)を算出した。 主要評価項目は、全原因、心血管疾患、がんによる死亡とし、多変量比例ハザード回帰モデル(年齢、性別、社会人口学的因子、病歴、全般的な食事の質、BMI、血圧、トリグリセライド値、コレステロール値で補正)を用いて解析した。最小限の身体活動の達成で、不活動関連死の46%が予防可能 1万4,599例の参加者のベースラインの平均年齢は58.0歳(SD 8.8)、女性が56.6%で、17万1,277人年のフォローアップ期間中に3,148例(心血管疾患死950例、がん死1,091例)が死亡した。 長期的なPAEEの増加は、ベースラインのPAEEとは独立的に、死亡と逆相関の関連が認められた。すなわち、PAEEの年間1kJ/kg/日の増加(ベースライン時に身体不活動で、その後5年をかけて徐々にWHOの身体活動ガイドラインの中強度身体活動[150分/週]に達した場合に相当)ごとのハザード比(HR)は、ベースラインのPAEEと確定したリスク因子で調整すると、全原因死亡が0.76(95%信頼区間[CI]:0.71~0.82)、心血管疾患死が0.71(0.62~0.82)、がん死は0.89(0.79~0.99)と、いずれも有意差がみられ、長期的な身体活動の増加による死亡率の低下が示された。心血管疾患およびがんの病歴で層別化した場合にも、同様の結果が認められた。 ベースラインの身体活動と、身体活動の変化の過程の統合解析では、一貫して身体不活動の集団と比較して、身体活動が経時的に増加した集団は、全原因死亡のリスクが、ベースラインの身体活動が低い集団で24%(HR:0.76、95%CI:0.65~0.88)、中等度の集団で38%(0.62、0.53~0.72)、高い集団では42%(0.58、0.43~0.78)、それぞれ有意に低下した。 住民集団レベルでは、少なくとも最小限の身体活動の推奨(中強度:150分/週)を達成し、これを維持することで、身体不活動に関連する死亡の46%が予防可能と推定された。 著者は、「公衆衛生戦略は、最小限の推奨の達成に向けた転換を目指すべきであり、中年~晩年における身体活動低下の予防に重点的に取り組む必要がある」と指摘している。

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強迫症患者における双極性障害合併率

 強迫症(OCD)患者は、主に不安障害や情動障害などの併存疾患を有することが多く、このことがOCDの経過や援助要請、治療反応に影響を及ぼす。これまで、OCD患者における双極性障害(BD)の併存についての研究が行われているが、多くは小規模サンプルで実施されていた。ブラジル・パウリスタ大学のMariana S. Domingues-Castro氏らは、大規模サンプルを用いて、OCD患者のBD生涯有病率を推定し、BD併存の有無における人口統計学的および臨床的特徴について比較を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年6月7日号の報告。 強迫性スペクトラム障害に関するブラジル調査コンソーシアム(C-TOC)より、成人OCD患者955例を対象とした横断的研究を実施した。評価尺度には、Yale-Brown強迫観念・強迫行為尺度(Y-BOCS)、ディメンジョン別強迫症状重症度尺度(DY-BOCS)、ベックうつ病自己評価尺度(BDI)、精神科診断面接マニュアル(SCID)を用いた。記述的および二変量解析に続いてロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・OCD患者におけるBDの生涯有病率は、7.75%(74例)であった。・BD併存と独立して関連していた因子は、広場恐怖症を伴うパニック症、衝動制御障害、自殺企図であった。 著者らは「BDを併発したOCD患者は、自殺リスクが高いなど、より重症な臨床的特徴を有するため、両疾患に対する適切な治療を行うためにも、慎重な治療アプローチが求められる」としている。

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灌流画像を用いた血栓溶解療法は、発症後9時間までの脳梗塞と睡眠中に発症した脳梗塞にまで治療時間枠を拡大できる:個別患者データのメタ解析(解説:内山真一郎氏)-1072

 アルテプラーゼによる血栓溶解療法は脳梗塞発症後4.5時間までが推奨されているが、4.5時間以上か睡眠中に発症し、救済しうる脳組織がある患者に血栓溶解療法が有効であることを灌流画像が同定できるかどうかをメタ解析により検討した研究である。脳梗塞発症後4.5~9時間か起床時に脳卒中症状がある患者においてMRIかCTで灌流を評価しているアルテプラーゼのプラセボ対照無作為化比較試験を検索し、1次評価項目として3ヵ月後の転帰良好(改訂ランキン尺度0または1)、安全性評価項目として死亡または症候性頭蓋内出血を検討している。 実際に解析対象となったのは、EXTEND、ECASS4-EXTEND、EPITHETの3試験であった。合計411例、アルテプラーゼ群211例、プラセボ群201例の個別データが解析された。転帰良好例はアルテプラーゼ群で36%、プラセボ群で29%であり、アルテプラーゼ群で有意に多かった(オッズ比:1.86、95%信頼区間:1.15~2.99、p=0.011)。症候性頭蓋内出血はアルテプラーゼ群(10例)でプラセボ群(1例)より多かったが、この増加が血栓溶解療法の効果を打ち消すことはなく、灌流画像により選択された、発症後4.5~9時間か睡眠中発症例に対する血栓溶解療法の有効性が証明されたといえる。大血管閉塞例には機械的血栓回収療法のほうが有効であるが、まだ施行可能な施設が限られており、汎用性のある血栓溶解療法の治療時間枠が拡大できることが確認できた意義は大きい。

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第15回 ハザード比は何を表しているか?【統計のそこが知りたい!】

第15回 ハザード比は何を表しているか?臨床試験で生存曲線の差を評価するときには、ハザード比がよく使用されます。今回は「ハザード比」を学習します。■ハザード比の解釈ハザード比は、説明変数が1単位増加するときのアウトカム発生までの時間が何倍かかるかを表します。ハザード比は「1」が基準となり、「1」の場合は説明変数の値が変化しても、アウトカム発生までの時間に変化はないことを意味し、「1」より大きい場合はリスクが高くなり、「1」より小さい場合はリスクが小さくなることを表しています。ハザード比が「1」を超えている場合は、「死亡や病状進行のリスクが対照群に比べて○○%高くなる」ということになります。逆に、ハザード比が「1」を超えていない場合は、「死亡や病状進行のリスクが対照群に比べて○○%低くなる」ということになります。■ハザード比を算出してみるそれでは、表1から目的変数(アウトカム)を「1:死亡、0:打ち切り」、説明変数を処方薬剤、喫煙の有無としてCox比例ハザードモデルを適用し、処方薬剤、喫煙の有無のハザード比を求めてみましょう。目的変数(アウトカム)は、死亡(再発)など危険要素を1、ほかを0とします。説明変数が2分類のカテゴリーデータの場合、死亡率が低いと仮定するほうを1、ほかを0とします。製品A、非喫煙を1としました。表1 事例の基礎データ■ハザード比の結果表2に関係式の回帰係数とハザード比を示します。関係式の回帰係数とハザード比ハザード比は、次式によって求められる値です。ハザード比=e回帰係数ただし、eは自然対数の底で、2.7183…です。【計算例】薬剤のハザード比=e-0.950=0.387Excelの関数=EXP(-0.950)Cox比例ハザードモデルを使って目的を解明する場合、危険度の高さを示す回帰係数でなく、ハザード比を用います。ハザード比から、説明変数がアウトカムに対して、どれくらい寄与しているかを調べることができます。たとえば説明変数が、「治療方法P、治療方法Q」の場合、ハザード比からアウトカム発生確率(死亡率)は、PはQに比べ何倍高いかを示せます。また、3年間の観察期間において、アウトカムが「1:死亡、0:打ち切り」のハザード比が「1.5」だったとします。この場合の解釈は、「治療方法Pは、Qに比べ、3年の間に死亡する度合いは1.5倍高い」となります。つまり治療方法Pは、Qに比べ、良くないということです。この例題のハザード比は「0.387」で「1」を下回りました。この場合の解釈は、「アウトカム発生確率(死亡率)は、製品Aがプラセボに比べ0.387倍高い」となります。つまり製品Aはプラセボに比べ、死亡率を61.3%(=1-0.387)減少させ、製品Aの延命効果はあったと解釈されるのです。喫煙の有無のハザード比は0.480なので、非喫煙は喫煙に比べ死亡率を52.0%減少させたと解釈できます。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション4 カプランマイヤー法の生存曲線を比較する第4回 ギモンを解決!一問一答質問8 Cox比例ハザードモデルとは?(その1)質問8(続き) Cox比例ハザードモデルとは?(その2)

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第23回 心電図には秘密の“地下世界”がある?~ラダーグラムを描こう~(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第23回:心電図には秘密の“地下世界”がある?~ラダーグラムを描こう~(後編)前回、“寝耳に水”的に登場した「ラダーグラム」。はじめて聞いたという方にも知ってもらいたく、最も基本的な洞収縮での描き方を学びました。今回も、同じ症例を用いて、心房期外収縮(PAC)のラダーグラムを描画し、最終的に回復周期(休止期)に関する“謎解き”までを、Dr.ヒロが丁寧にレクチャーします。症例提示50歳、男性。約1年前に心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーションを受けた。時折動悸は自覚するが、いずれも短時間で、術後AFの再発は記録されていない。以下に定期外来での心電図を示す(図1)。(図1)定期外来時の心電図画像を拡大する【問題1】II誘導を抜粋して示す(図2)。4拍目(↙部分)の洞収縮に関して、心房、房室接合部、心室の3層からなるラダーグラムを描け。(図2)図1よりII誘導のみ抜粋画像を拡大する解答はこちら図3の(a)または(b)の下段(図3)洞収縮のラダーグラム(簡易版)画像を拡大する解説はこちら前回は正式版のラダーグラムとして、洞調律での「洞結節-心房」の“階層”を含む“地下4階建て”で描く方法を解説しました。“中継点”に関して要所要所でポイントがあるので、忘れている方は復習しましょう(第22回)。しかし、実際には「心房(A)」、「房室接合部(A-V)」そして「心室(V)」の3つだけを用いた“簡易版”のラダーグラムが好まれます。この問題では、前回とまったく同じ洞収縮を用いて“地下3階建て”ラダーグラムの描き方に慣れてもらいます。“簡略化したラダーグラムで十分”洞収縮ラダーグラムの“正式版”は地下4階からなるのでした(第22回)。ただ、体表面心電図には記録されない“洞結節まわり”をイメージして描くのは「仮定」の要素が強いためか、あまり好まれない傾向にあります。専門医レベルでは洞結節興奮の「はじまり」を推定する計算法もありますが、ここでは省略します。実際に多用されるのは(図3)のように「洞結節-心房(S-A)」フロア部分を省略した“簡略版”です。(a)と(b)、2種類どちらでもOKなので、この描き方を伝授しましょう。(図3)洞収縮のラダーグラム(簡易版)画像を拡大する一目でこれは“地下3階建て”とわかりますね。まず(a)の方は“正式版”から「洞結節-心房」(S-A)フロアを除いただけのものです。「心房」(A)フロアの天井に黄色丸が描かれており、これだけで洞結節に由来する収縮であることを示します。洞結節が興奮し、間髪入れずに心房が興奮するようなイメージですかね。(b)も頻用される描画様式です。「仮定」の一種であった心房の「頂点」うんぬんをやめて、心房収縮を「P波のはじまり」から“縦一本”(垂直線)で表現しています。心室(QRS波)は脚ブロックなどの伝導障害で幅広(wide)になったりしますが、心房ではあまり問題となりません。洞結節の“号令”が瞬時に心房全体に行き渡り、ほぼ同時に収縮するというモデルで良しとするのです。よって、問題1の解答は図3(a)または(b)のいずれでも可とします。【問題2】(図2)の網掛け部分に示した期外収縮を含む3心拍のラダーグラムを描け。解答はこちら図4の下段(図4)ラダーグラム(PAC)画像を拡大する解説はこちらラダーグラムの世界にはだいぶ慣れてきましたか? 今回の症例はAFアブレーション後のPAC頻発症例。今回、ボクが伝えたい点は、“洞-期-洞”部分(図2網掛け)のラダーグラムの描き方です。実はそこに、PAC心電図のエッセンスがあるのです!“PACのラダーグラムはどう描く?”図2の網掛け部分では中央がPAC、両サイドが洞収縮(N)です。初めての人のために、先に正解を示して解説を加えます(図4)。(図4)ラダーグラム(PAC)画像を拡大する洞収縮は図3(a)を採用し黒色で描きました(これは問題1そのままです)。真ん中のPACの「心房」(A)フロアにご注目!当然ですが、PACの場合、一番先に興奮するのは洞結節ではなく心房の一部です。これを天井のやや下に赤色丸で示してあり、タイミング的にはP’波(PACの心房波)の「はじまり」です。前後の洞収縮での様式にあわせ、心房(A)フロアは最早期点から下方へはP’波の頂点を結ぶ線(赤線)とし、以下の「A-V」と「V」フロアはQRS波の「はじまり」と「おわり」を意識しましょう。よく見ると、「A-V」フロアの傾きが急で、これはPR間隔(時間)が短いということです。伝わるスピードが速いというよりは、洞結節と比べて房室結節に近い場所から出たPACなのかなぁ…そんな風に想像力をかき立てます。“逆行性興奮とリセット現象”さて、注意深い人は、“+α”に気づきましたか?赤色丸から右上方へ向かうピンク線があり、実はPACラダーグラムの最大の特徴はココです。これは電気刺激が「PAC起源(心房)→洞結節」のように通常とは逆方向に流れ、洞結節が強制的に興奮させられます(受動的な興奮のため「●」は打ちません)。PAC起源よりは遅れますが、通常の洞収縮から予想される興奮タイミングよりは早いのですよね? これを「洞周期がリセットされた」と表現するか、または「リセット現象」と呼びましょう。これをPACによる一種の“ちゃちゃ入れ”ととらえて下さい。この一拍だけ洞結節は取り乱し、平常よりも早く興奮しますが、以後はそんなことを忘れたかのようにまた“マイペース”(洞周期)でリズムを刻みます。なんでこんなことを詳しく言うのかって? …それは、この性質がPACとPVCとで決定的に違うからです。前々回、“ニバイニバーイの法則”として、前後の洞収縮の間隔が洞周期の2倍になる性質をPVCの“上品さ”として紹介しました。これはPVCがだいぶ遠方で生じる結果、PACみたいに洞結節のペースに介入できないためです(つまり、PVCは洞結節をリセットしない)。「回復周期(休止期)」という言葉を思い出せば、これが「代償性」となる理屈と同義です。PACの場合、“9分9厘”まずこうなることはありません。一方、前回の問題1で尋ねたように、一般的なPACの休止期は「非代償性」で、“洞-期-洞*”の“洞-洞”間隔が洞周期の2倍よりも短くなるという特徴があります。これも洞周期が早めにリセットされるためと理解しておけば、「えーっと、長くなるんだっけ、それとも短い?」のように悩むこともなくなるでしょう。*:洞:洞収縮、期:期外収縮PVCと比べて“下品”というコトバが適切かどうかは不明ですが、PACは洞結節のペースを乱して“前倒し”で興奮させる様子は、そう言われても仕方ない? 言葉が若干ややこしいですが、距離的に洞結節に“ちゃちゃ入れ”しやすいのがどっちか考えましょう。一方、PVCに備わった“ニバイニバーイの法則”は、近いうちにラダーグラムを用いて解説してみましょう。“地下ゲームの記憶~不整脈の世界への誘い?”Dr.ヒロが小学生の時、ファミコンブームが起きました。好きだったゲームの一つが『ロード・ランナー』という、はしごを登ったり降りたりして金塊を集めるアクション・パズルゲーム。なかなかクリアできない“難問”ステージがありました。それを見ていた母が、「もし難しければ、最初に紙に地形と手順を図で描いてみようか」と言いました。以後、鉛筆片手にスーパーの広告の裏紙か何かに“地下世界”の行動マップを必死に描き、寝ても覚めても攻略法を考えました。心電図や不整脈の分野に興味を持ち、ラダーグラムに出会ったとき、どことなく“懐かしい”感じがしたのは、こうした記憶が蘇ったからかもしれないですね。Take-home MessagePACのラダーグラムが描けるようになろうPACが“ニバイニバーイの法則”を満たさない理由は、洞結節興奮のリセット現象で説明できる!【古都のこと~松ヶ崎大黒天(妙円寺)~】1616年(元和2年)建立の妙円寺は、五山送り火「法」で有名な松ヶ崎東山にあります。地下鉄烏丸線の松ヶ崎駅から歩いても10分、通名“松ヶ崎大黒天”として知られ、「都七福神」の巡拝には欠かせません。ふくよかで何とも言えない笑みを浮かべる“大黒様”ですが、50年前に火難を逃れた「火中出現」の実話を聞くと、やさしさの中に芯の強さを感じました。60日に一度の甲子大祭(きのえねたいさい)には諸願成就の御祈祷が行われ、境内がお祭りを楽しむ子連れ家族で賑わいます。次こそは休日に当たってくれないかなぁと、ベッドで横になってカレンダーを確認する時は…間違いなく“大黒様”のような笑顔になっているかな?

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第45回 トークはさんまと落語をマネろ【週刊・川添ラヂオ】

動画解説川添先生が話し上手な秘密はお笑いにあった!大学時代「ちゃんとした関西弁」習得のため、落語とお笑い番組を勧められた川添先生は、その特訓の副産物として今のトーク術を習得したそうです。明石家さんまに倣う世界一すごい話の聞き方、落語から学ぶ肩の凝らないスピーチの前振りなど、真似するだけで話し上手になれる方法を紹介します。

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ASCO2019レポート 泌尿器腫瘍

レポーター紹介# LBA2 転移性ホルモン感受性前立腺がんにおけるエンザルタミドの生存期間延長効果Sweeney C, et al. J Clin Oncol 37, 2019米国臨床腫瘍学会(ASCO)は毎年Plenary sessionとして時代を変える結果となった臨床試験を4題選択し、学会3日目にほかのsessionは行わず、単独で最も収容人数の多い会場で演題発表を行う。泌尿器がんでこの名誉あるPlenary sessionに選ばれたのが、ENZAMET試験であった。エンザルタミドは、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)においてドセタキセル後でもドセタキセル前であってもプラセボと比較し生存期間(OS)の延長効果が示され、日本でも保険償還されている。2019年2月のASCO-GUでは、ARCHES試験の結果が報告され、転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)においての画像上の無増悪生存期間(rPFS)の延長効果が報告され、アビラテロン+プレドニゾロン療法と同様にホルモン感受性期での使用のメリットが示されていた。今回ASCO2019で報告されたのは、オーストラリア・ニュージーランドの臨床試験グループが主導する国際共同臨床試験で、mHSPCに対し非ステロイド系抗アンドロゲン薬 (NSAA)とエンザルタミドをランダム化比較し、OSの延長効果を検証するデザインであった。このENZAMET試験において観察期間中央値34ヵ月時点における中間解析が報告された。対象患者は、転移量(High/Low volume)、早期ドセタキセルの計画(あり/なし)、Performance status(0~1/2)、骨修飾薬(あり/なし)、合併症(少ない/多い)、施設で割り付け調整され、テストステロン抑制療法に加えて通常のNSAA(ビカルタミド、フルタミド、lilutamide)を行う群と、エンザルタミド160mgを行う群の2群に分けられた。ARCHES試験と異なりドセタキセルの併用が許容されており、約45%が併用していた。プライマリエンドポイントの3年OSは、NSAA群で72%、エンザルタミド群で80%であり、ハザード比(HR)0.67(95%信頼区間[CI]:0.52~0.86、p=0.002)であった。セカンダリーエンドポイントの、PSA無増悪生存期間のHRは0.39(95%CI:0.33~0.47)であった。計画的に設定されたサブグループであるドセタキセルの併用群と非併用群の治療成績も発表され、非併用群では3年OSはNSAA群70%、エンザルタミド群83%(HR:0.53[95%CI:0.37~0.75])であったのに対し、併用群では75%と74%(HR:0.90[95%CI:0.62~1.31])であり、エンザルタミドの上乗せ効果は不明瞭であった。有害事象は、ドセタキセル併用なしでは倦怠感Grade2が3%から10%に増加する程度で、エンザルタミドの既報と大差はなかったが、ドセタキセルと併用した場合は知覚神経障害と爪の変化、流涙、倦怠感が増加した。この試験は、発表と同時にNew England Journal of Medicine誌にもオンライン出版された。mHSPCの標準治療は、転移量の多いHigh volume症例では早期ドセタキセルとアビラテロン+プレドニゾロン療法のいずれかであったが、本試験により転移量の少ないLow volume症例も含めたmHSPCの新たな治療オプションが選択可能となった。# 5006 転移性ホルモン感受性前立腺がんに対するアパルタミドの無増悪生存期間延長効果Chi KN, et al. J Clin Oncol 37, 2019アパルタミドはアンドロゲン受容体拮抗薬として遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)の標準治療として、日本でも2019年3月に承認となった新規ホルモン製剤である。ASCO2019では、mHSPCにおいてプラセボと比較した二重盲検国際第III相試験であるTITAN試験の結果がOral abstract sessionで報告された。mHSPCの症例のうち、アンドロゲン抑制療法+プラセボ群は527例、アンドロゲン抑制療法+アパルタミド群は525例であり、High volume症例は両群とも60%程度含まれていた。プライマリエンドポイントは、rPFS(α=0.005)とOS(α=0.045)の2つ設定しており、今回はrPFSの最終解析とOSの中間解析であった。2年rPFS割合はプラセボ群48%、アパルタミド群68%であり、HR:0.48(95%CI:0.39~0.60、p<0.0001)と有意にアパルタミド群で良好な結果となった。OSの中間解析ではα<0.009で有効性ありと判断される解析計画であり、観察期間中央値約22ヵ月の現時点において、2年OS割合はプラセボ群74%、アパルタミド群82%、HR:0.67(95%CI:0.51~0.89、p=0.0053)であった。独立データモニタリング委員会は、盲検下での試験継続は倫理性に問題が生じると判断し、盲検解除とプラセボ群にクロスオーバーでのアパルタミド投与を推奨した。rPFSやOSのサブグループ解析から、本試験前のドセタキセルの有無や腫瘍量によらず、アパルタミド群に良好な結果であった。有害事象は、All gradeで皮疹8.5% vs.27%、甲状腺機能低下症1.1% vs.6.5%など、アパルタミド群で多い傾向はあったが、痙攣は0.4% vs.0.6%と両群で差はなく、健康関連QOLも2群の差は認められなかった。ENZAMET試験とTITAN試験は、ほぼ同じmHSPCを対象として新規アンドロゲン受容体拮抗薬の有効性が再現性をもって証明されたが、薬剤の使い分けを要する臨床像は明らかではない。# 4504 尿路上皮がん化学療法後のペムブロリズマブ維持療法の可能性Galsky MD, et al. J Clin Oncol 37, 2019尿路上皮がんに対するペムブロリズマブ療法は、KEYNOTE-045試験の結果を受けてがん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がんに対し、日本でも2017年12月に承認された。1次治療のプラチナ併用療法は、シスプラチンの蓄積毒性の懸念から8サイクル程度までで終了することが一般的である。非小細胞肺がんでは、プラチナ併用療法後にペメトレキセドやエルロチニブを用いたswitch maintenance(1次治療で用いた薬剤から変更して維持療法を行うこと)の有効性が第Ⅲ相試験で示されており、今回の報告はその可能性を尿路上皮がんで評価したランダム化第II相試験である。転移性の尿路上皮がんを初回治療としてプラチナ併用療法を8コース以下で行い、病勢安定以上の効果を得ている症例を対象に、プラセボ群とペムブロリズマブ群にランダム化し、以後の治療を行った。プライマリエンドポイントはPFSであり、中央値は3.2ヵ月 vs.5.4ヵ月(HR:0.64[95%CI:0.41~0.98]、p=0.038)と有意に腫瘍進行を遅らせた。何らかの重篤な有害事象が生じた症例は、プラセボ群35%、ペムブロリズマブ群53%であり、有害事象の増加は否めないが、生存期間の延長が可能となるかどうか、第III相試験での検証が待たれる有望な結果であった。# Poster Discussion 肉腫様腎がんの新たな治療戦略Brugarolas J. Poster Discussion 3rd June, 2019肉腫様腎がんは2~11%の割合でさまざまな組織型に混在し、淡明細胞がんと比較すると予後不良であり、既存の血管新生阻害薬の効果も限定的である。ASCO2019では、大規模第III相試験の追加解析が3報報告され、ポスターディスカッションが企画された。IMmotion151試験からアテゾリスマブ+ベバシズマブ療法(#4512)、CheckMate214試験からニボルマブ+イピリムマブ療法(#4513)、ハーバード大学の後方視解析(#4514)、KEYNOTE-426試験からペムブロリズマブ+アキシチニブ療法(#4500)の治療成績をレビューした。これらの比較第III相試験はいずれもスニチニブを対照群としており、PFSはIMmotion151試験では中央値8.3ヵ月 vs.5.3ヵ月(HR:0.52[95%CI:0.34~0.79])、CheckMate214試験では8.4ヵ月 vs.4.9ヵ月(HR:0.61[95%CI:0.38~0.97])、KEYNOTE-426試験では1年PFS割合で57% vs.26%(HR:0.54[95%CI:0.29~1.00])と報告された。OS中央値は、IMmotion151試験では21.7ヵ月 vs.15.4ヵ月(HR:0.64[95%CI:0.41~1.01])、CheckMate 214試験では31.2ヵ月 vs.13.6ヵ月(HR:0.55[95%CI:0.33~0.90])、KEYNOTE-426試験では未報告である。ハーバード大学からの後方視コホートでは、肉腫様腎がんで免疫チェックポイント阻害薬を使用した症例と使用しなかった症例のOSは、中央値24.5ヵ月 vs.10.3ヵ月(adjusted 0.43[95%CI:0.30~0.63]、p<0.0001)と報告されていた。奏効割合は、IMmotion151試験では全組織型で41%であったのに対し肉腫様腎がんでは59%、CheckMate 214試験では53%と75%、KEYNOTE-426試験では65%と72%と報告され、肉腫様腎がんでの免疫チェックポイント阻害薬併用療法の効果は全体集団よりインパクトが大きい可能性が示唆された。肉腫様腎がんではProgrammed death-ligand 1(PD-L1)の発現割合が高いことや、遺伝子ではSETD2やTP53、NF2、BAP1などの変異が多く、またTumor Mutation Burdenや遺伝子不安定性が高いことが過去に報告されており、これらの免疫チェックポイント阻害薬の効果が高まる要因となっていると考えられる。Brugarolas氏は未解決の問題として、肉腫様腎がんの最適な治療レジメンがどれか、肉腫様腎がんのみの前向き試験が必要かどうか、肉腫成分の比率は治療経過に影響を与えるか、免疫療法に効果を示すメカニズムに関してなど、さまざまな課題があるものの、肉腫様腎がんは免疫チェックポイント阻害薬のよい適応となるだろう、と結んだ。

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ダパグリフロジン、糖尿病患者の腎保護示す-DECLARE‐TIMI 58サブ解析

 近年、SGLT2阻害剤はアテローム性動脈硬化症患者の腎アウトカムに対し、有益な効果を示すことが明らかになりつつある。今回、イスラエル・Hadassah Hebrew University Hospital のOfri Mosenzon氏らがDECLARE-TIMI 58のサブ解析を実施。ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、腎機能を保持している2型糖尿病患者において、アテローム性動脈硬化症の有無にかかわらず、プラセボと比較して腎疾患の予防および進展抑制を示す結果が得られた。Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。 研究者らは、複合アウトカムの構成要素、サブグループ解析、さまざまな時点でのeGFRの変化を調査する目的でサブ解析を実施。HbA1cが6.5〜12.0%(47.5〜113.1mmol/mol)の2型糖尿病で、アテローム性動脈硬化症または複数の危険因子を有し、クレアチニンクリアランス60mL/分以上の患者を、1日1回ダパグリフロジン10mg服用群またはプラセボ服用群に1対1に無作為に割り付けた。事前に規定した副次評価項目としての心腎複合アウトカムは、eGFR(推定糸球体濾過量)60mL/分/1.73m2未満かつ40%以上の持続的低下、末期腎不全(90日以上の透析、腎移植、またはeGFRが15mL/分/1.73m2未満を持続)、あるいは腎・心血管系による死亡であった。また、腎特異的複合アウトカムからは、心血管死を除外した。 主な結果は以下のとおり。・試験は2013年4月25日~2018年9月18日に実施された。・追跡期間中央値は4.2年(四分位範囲3.9~4.4)だった。・参加者1万7,160例が無作為に割り付けられた。・各参加者のベースライン時のeGFRは、90mL/分/1.73m2以上が8,162例(47.6%)、60〜90mL/分/1.73m2未満が7,732例(45.1%)、60mL/分/1.73m2未満が1,265例(7.4%)であった(eGFRのデータ消失が1例)。・6,974例(40.6%)はアテローム性動脈硬化症を発症し、1万186例(59.4%)は複数の危険因子を有していた。・副次評価項目としての心腎複合アウトカムは、プラセボと比較してダパグリフロジンで有意に減少した(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.67~0.87、p

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全粒穀物、食物繊維の摂取が肝がんリスクを低下?/JAMA Oncol

 がん治療薬の開発が進んでいるが、一方で予防に対する研究も活発である。中国・安徽医科大学のWanshui Yang氏らは、全粒穀物や食物繊維の摂取量増加が、肝細胞がん(HCC)の素因として知られるインスリン抵抗性、高インスリン血症および炎症のリスク低下と関連していることから、これらの長期摂取によりHCCのリスクが低下するのではないかと仮定し、その関連性を米国の2つのコホート研究を基に解析した。その結果、全粒穀物および、おそらくシリアル繊維とふすまの摂取量増加は、米国成人のHCCのリスク低下と関連していることが示されたという。著者は、「今回の知見を再現し、他の人種・民族あるいは高リスク集団におけるこれらの関連性を調べ、根本的なメカニズムを解明するためには、今後、B型およびC型肝炎ウイルス感染を考慮したさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年2月21日号掲載の報告。 研究グループは、米国のNurses' Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyから計12万5,455例について解析した。 被験者は、全粒穀物、その成分であるふすまと胚芽、および食物繊維(シリアル、果物、野菜)の摂取量について、食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用いて4年ごとに調査を受けていた。これらの摂取量とHCCとの関連について、Cox比例ハザード回帰モデルを用い、HCCの既知のリスク因子を調整後の多変量ハザード比(HR)とその95%信頼区間(CI)を推算し評価した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間24.2年、被験者12万5,455例(女性7万7,241例、男性4万8,214例、平均年齢63.4歳)中、HCC患者141例を確認した。・全粒穀物の摂取量増加は、HCCのリスク低下と有意に関連していた(最高三分位vs.最低三分位のHR:0.63、95%CI:0.41~0.96、傾向p=0.04)。・全ふすまの摂取量増加は、有意ではないもののHCCのリスク低下との関連が観察された(HR:0.70、95%CI:0.46~1.07、傾向p=0.11)。胚芽では関連はみられなかった。・シリアル繊維の摂取量増加は、有意ではないもののHCCのリスク低下と関連していた(HR:0.68、95%CI:0.45~1.03、傾向p=0.07)。果物や野菜の繊維では関連はみられなかった。

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統合失調症治療における多剤併用療法の単剤療法への切り替え~メタ解析

 統合失調症における抗精神病薬の多剤併用療法は、単剤療法よりも優位性があることが最近のメタ解析で報告されているが、単剤療法への切り替えは、副作用に関して有益である。東京女子医科大学の松井 健太郎氏らは、抗精神病薬の多剤併用療法を受けている患者に対し、単剤療法への切り替えを行うべきか、多剤併用療法を継続すべきかについて、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年6月7日号の報告。統合失調症患者の多剤併用療法、単剤療法への切り替えと併用継続を比較 これまでのメタ解析から、多剤併用療法を受けていた統合失調症患者を対象に、単剤療法への切り替えと多剤併用療法の継続について比較したランダム化比較試験(RCT)をシステマティックに選択した。さらに、MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを用いて、最新のシステマティック文献検索を行った。試験中止、再発、精神病理学、神経認知機能、錐体外路症状、体重、BMIに関するデータを抽出し統合した。 統合失調症患者の多剤併用療法について、単剤療法への切り替えと併用継続を比較した主な結果は以下のとおり。・6件のRCT(341例)が抽出された。・すべての研究において、2種類の抗精神病薬から単剤への切り替えが検討されていた。クロザピン治療を受けていた患者が含まれていた研究は3件であった。・多剤併用療法の継続は、すべての原因による試験中止に関して、有意に優れていた(6 RCT、341例、RR:2.28、95%CI:1.50~3.46、p<0.001)。・再発、精神病理学、神経認知機能、錐体外路症状、体重、BMIに関しては、有意な差が認められなかった。・エビデンスの質は、非常に低かった。 著者らは「本結果は、臨床医が2種類の抗精神病薬で治療後に単剤療法への切り替えを行う際には、患者の状態を注意深く監視すべきであることを示唆している。全体的なエビデンスの質が非常に低いことを考慮すると、本結果は暫定的なものであると考えるべきである」としている。

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HPVワクチン、感染と異形成の双方を抑制/Lancet

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種プログラムは、女性のHPV感染および子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)Grade2(中等度)以上の異形成(2+)を抑制し、男女の肛門性器疣贅を減少させることを示す強固なエビデンスが、カナダ・ラヴァル大学のMelanie Drolet氏らHPV Vaccination Impact Study Groupによる6,000万人以上を最長8年間追跡したデータのメタ解析で得られた。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年6月26日号に掲載された。HPVワクチン接種が開始されて10年以上が経過し、現在、99の国と地域で接種プログラムが導入されており、リアルワールドにおける有効性の評価や年齢別の効果の定量化が求められている。HPVワクチン接種、14ヵ国の最長8年時のデータのメタ解析 研究グループは、2015年に、9つの高所得国でHPVワクチン接種プログラム導入から最長4年時の効果に関するメタ解析を行っており、今回は、14ヵ国の最長8年時のデータを解析した(世界保健機関[WHO]などの助成による)。 前回の報告と同様の方針で、2014年2月1日~2018年10月11日までに発表された研究を検索した。一般集団において、HPVワクチン接種前後の期間で、1つ以上のHPV関連エンドポイント(HPV性器感染、肛門性器疣贅の診断、組織学的に確定されたCIN2+)の頻度(有病率または罹患率)を比較している、HPVワクチン接種前後の同一集団データを用いた研究、および患者登録の方法を用いた研究を対象とした。 主要評価項目は、HPVワクチン接種前と接種後の期間におけるHPV関連エンドポイントの頻度(有病率または罹患率)の比較における相対リスク(RR)とした。性別、年齢、HPVワクチン接種導入以降の年数で層別化した。変量効果モデルを用いて統合RRを推計した。HPVワクチン接種により大きな直接効果とともに集団免疫効果も メタ解析では、14の高所得国から報告された65件の研究(HPV感染23件、肛門性器疣贅29件、CIN2+ 13件)の論文が対象となった。2007~15年の8年間(CIN2+は9年間)における6,000万人以上のデータが解析に含まれた。 HPVワクチン接種後5~8年の期間に、HPV 16/18型の有病率は13~19歳の女性で83%(RR:0.17、95%信頼区間[CI]:0.11~0.25)、20~24歳の女性では66%(0.34、0.23~0.49)、それぞれ有意に低下した。そのほとんどがHPVワクチン接種を受けていない25~29歳の女性では、1~4年の期間ではHPV 16/18型の有病率に有意な差は認めなかった(0.86、0.69~1.07)のに対し、5~8年後には37%(0.63、0.41~0.97)有意に低下しており、集団免疫効果が示唆された。 また、HPVワクチン接種後5~8年の期間に、HPV 31/33/45型の有病率は13~19歳の女性で54%(RR:0.46、95%CI:0.33~0.66)有意に低下したが、20~24歳の女性では有意な差はみられなかった(0.72、0.47~1.10)。 参加者のHPVワクチン接種率が高かった(≧50%)試験は、低かった(<50%)試験に比べ、全般にHPV 16/18型およびHPV 31/33/45型の有病率が低かったが、有意差はなかった。 肛門性器疣贅の診断は、HPVワクチン接種後5~8年の期間に、15~19歳の女性で67%(RR:0.33、95%CI:0.24~0.46)、20~24歳の女性で54%(0.46、0.36~0.60)、25~29歳の女性では31%(0.69、0.53~0.89)、それぞれ有意に低下した。また、HPVワクチン接種を受けていない15~19歳の男性でも48%(0.52、0.37~0.75)、20~24歳の男性では32%(0.68、0.47~0.98)、それぞれ有意に低下しており、集団免疫効果が示唆された。 HPVワクチン接種後5~9年間に、CIN2+は15~19歳の女性で51%(RR:0.49、95%CI:0.42~0.58)、20~24歳の女性では31%(0.69、0.57~0.84)、それぞれ有意に低下した。これに対し、同時期に、そのほとんどがHPVワクチン接種を受けていない25~29歳の女性では、CIN2+が19%(1.19、1.06~1.32)有意に増加し、30~39歳の女性でも23%(1.23、1.13~1.34)有意に増加した。 著者は、「原因(高リスクのHPV感染)と疾患エンドポイント(CIN2+)の双方が有意に減少したことから、HPVワクチン接種の実施により、リアルワールドにおいて子宮頸がんが予防されたことを示す強固なエビデンスがもたらされた」とし、「複数集団へのHPVワクチン接種と高い接種率によって、より大きな直接効果と集団免疫効果がもたらされた」と指摘している。

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