サイト内検索|page:947

検索結果 合計:36088件 表示位置:18921 - 18940

18921.

急性期統合失調症治療に対する経口抗精神病薬32種類の有効性と忍容性の比較

 統合失調症は、最も一般的な疾患の1つであり、世界中の成人において負担や費用のかかる精神疾患である。統合失調症治療では、抗精神病薬が選択されるが、どの薬剤を使用するべきかについては意見が分かれている。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMaximilian Huhn氏らは、ランダム化比較試験のデータを定量化することにより、抗精神病薬の比較とランク付けを行った。Lancet誌オンライン版2019年7月11日号の報告。抗精神病薬の比較に5万3,463例のデータを分析 プラセボ対照試験およびhead-to-headランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施し、32種類の抗精神病薬を比較した。各データベースより、2019年1月8日までのデータを検索した。2人の独立した著者が研究を選択し、データを抽出した。統合失調症または関連疾患の急性期症状を有する成人患者を対象としたランダム化比較試験を選択した。治療抵抗性、初回エピソード、陰性症状または抑うつ症状が主症状、併存疾患、再発予防に関する研究は除外した。主要アウトカムは、標準化された評価尺度を用いて測定された全体的な症状変化とした。8つの有効性および8つの安全性アウトカムのデータを抽出した。研究結果の差異は、メタ回帰および感度分析により調査した。エフェクトサイズの尺度は、標準化平均差(SMD)、平均差、リスク比(95%信用区間[CrI])とした。エビデンスの信頼性は、CINeMA(ネットワークメタ解析の信頼性)を用いて評価した。 抗精神病薬を比較した主な結果は以下のとおり。・402研究、5万3,463例のデータを分析した。・エフェクトサイズの推定値は、すべての抗精神病薬においてプラセボよりも全体的な症状改善が認められたが、6剤では統計学的に有意な差は認められなかった。SMDの範囲は、クロザピンの-0.89(95%CrI:-1.08~-0.71)~レボメプロマジンの-0.03(95%CrI:-0.59~0.52)であった(4万815例)。・抗精神病薬をプラセボと比較したSMDは、陽性症状(3万1,179例)においてamisulprideの-0.69(95%CrI:-0.86~-0.52)~ブレクスピプラゾールの-0.17(95%CrI:-0.31~-0.04)、陰性症状(3万2,015例)においてクロザピンの-0.62(95%CrI:-0.84~-0.39)~flupentixolの-0.10(95%CrI:-0.45~0.25)、抑うつ症状(1万9,683例)においてスルピリドの-0.90(95%CrI:-1.36~-0.44)~flupentixolの0.04(95%CrI:-0.39~0.47)であった。・抗精神病薬をプラセボと比較したリスク比は、すべての原因による中止(4万2,672例)においてclopenthixolの0.52(95%CrI:0.12~0.95)~ピモジドの1.15(95%CrI:0.36~1.47)、鎮静(3万770例)においてピモジドの0.92(95%CrI:0.17~2.03)~zuclopenthixolの10.20(95%CrI:4.72~29.41)、抗パーキンソン薬の使用(2万4,911例)においてクロザピンの0.46(95%CrI:0.19~0.88)~ピモジドの6.14(95%CrI:4.81~6.55)であった。・抗精神病薬をプラセボと比較した平均差は、体重増加(2万8,317例)においてziprasidoneの-0.16kg(95%CrI:-0.73~0.40)~ゾテピンの3.21kg(95%CrI:2.10~4.31)、プロラクチン上昇(2万1,569例)においてクロザピンの-77.05ng/mL(95%CrI:-120.23~-33.54)~パリペリドンの48.51ng/mL(95%CrI:43.52~53.51)、QT延長(1万5,467例)においてルラシドンの-2.21ms(95%CrI:-4.54~0.15)~sertindoleの23.90ms(95%CrI:20.56~27.33)であった。・効果に影響を及ぼす因子で調整または感度分析(プラセボ対照試験の除外など)においても、主要アウトカムに実質的な変化は認められなかった。・エビデンスの信頼性は、低いまたは非常に低いものであった。 著者らは「抗精神病薬は、いくつかの効果に違いがあるものの、それらの多くは段階的であり、より顕著な差は副作用にみられる。本結果は、臨床医が薬剤のリスクとベネフィットのバランスをとるうえで役立つであろう。そして、各アウトカムの重要性、患者の医学的背景や選択を考慮すべきである」としている。

18922.

ビタミンD補給、がん死リスクを低下/BMJ

 成人におけるビタミンD補給は、プラセボまたは非補給と比較して、全死因死亡の低下とは関連しないが、がん死リスクを16%低下することが示された。中国・Affiliated Hospital of Chengdu UniversityのYu Zhang氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。これまでの観察研究で、低用量のビタミンDはがんや心血管疾患といった命に関わる疾患による死亡の増大と関連することが示されていた。一方で、ビタミンD補給による死亡の減少効果に関する臨床データには一貫性がなかった。BMJ誌2019年8月12日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で検証 研究グループは、成人においてビタミンD補給が死亡率低下と関連しているかについて、無作為化試験のシステマティックレビューとメタ解析で検証した。Medline、Embase、Cochrane Central Registerの創刊~2018年12月26日までを検索し、ビタミンD補給とプラセボまたは非補給を比較し死亡について検証した無作為化試験を包含した。独立的にデータを抽出し、試験の質を評価した。メタ解析は、固定効果モデルとランダム効果モデルを用いて、ビタミンD補給を受けている群と対照群で死亡リスク比を算出して評価した。主要評価項目は、全死因死亡であった。全死因死亡との関連はみられず 検索により、52試験・7万5,454例が特定された。包含した試験は、追跡期間中央値1.2年(IQR:0.8~3)、追跡期間3年以上14試験(5万6,429例)、女性被験者中央値71%(IQR:42~100)、被験者年齢中央値74歳(IQR:65~80)、試験地が欧州29試験(3万2,954例)、アメリカ10試験(3万1,230例)、アジア太平洋11試験(4万2,316例)などで、ベースラインの25ヒドロキシビタミンD値は、25~50nmol/Lが最も多く49試験(4万2,161例)、次いで50~75nmol/Lが30試験(1万7,410例)、<25nmol/Lが5試験(290例)、>75nmol/Lが2試験(165例)であった。 全死因死亡は8,033例で、心血管死1,331例、がん死877例、1,045例が非心血管死・非がん死であった。 ビタミンD補給は、全死因死亡と関連していなかった(リスク比[RR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.95~1.02、I2=0%)。心血管死(RR:0.98、95%CI:0.88~1.08、I2=0%)との関連もみられず、非心血管死・非がん死とも関連は認められなかった(1.05、0.93~1.18、0%)。 一方で、ビタミンD補給は、がん死リスクを統計学的に有意に低下させた(RR:0.84、95%CI:0.74~0.95、I2=0%)。 サブグループ解析において、ビタミンD3補給もD2補給も全死因死亡の統計学的に有意な低下と関連しなかったが、ビタミンD3補給試験群ではビタミンD2補給試験群よりも全死因死亡の有意な低下が認められた(相互作用のp=0.04)。 結果を踏まえて著者は、「さらに大規模な臨床試験で、ビタミンD3補給が全死因死亡を低下するかについて確認する必要がある」とまとめている。

18923.

IL-23p19阻害薬グセルクマブ、中等症~重症の乾癬に有効/Lancet

 中等症~重症の乾癬の治療において、インターロイキン(IL)-23p19阻害薬グセルクマブはIL-17A阻害薬セクキヌマブに比べ、約1年の長期的な症状の改善効果が良好であることが、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのKristian Reich氏らが行ったECLIPSE試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月8日号に掲載された。乾癬治療薬の臨床試験では、最長でも12週または16週という短期的な有効性の評価に重点が置かれてきたが、乾癬は慢性疾患であるため、長期的なエンドポイントの評価が求められていた。2剤を直接比較する無作為化第III相試験 本研究は、グセルクマブとセクキヌマブを直接比較する二重盲検無作為化第III相試験であり、2017年4月27日~2018年9月20日の期間に、9ヵ国(オーストラリア、カナダ、チェコ、フランス、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スペイン、米国)の142施設で実施された(Janssen Research & Developmentの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、中等症~重症の局面型皮疹を有する乾癬と診断され、光線療法または全身療法の適応とされた患者であった。中等症~重症は、乾癬面積重症度指数(Psoriasis Area and Severity Index:PASI、0~72、点数が高いほど重症)≧12、医師による全般的評価(Investigator's Global Assessment:IGA)≧3、6ヵ月以上持続するbody surface area involvement(BSA)≧10%と定義された。 被験者は、グセルクマブ(100mg、0、4週、その後は8週ごと)またはセクキヌマブ(300mg、0、1、2、3、4週、その後は4週ごと)を皮下投与する群に無作為に割り付けられ、44週の治療が行われた。フォローアップは56週まで実施された。 主要エンドポイントは、intention-to-treat集団における48週時のベースラインから90%以上のPASIの改善(PASI 90)の達成割合とした。副次エンドポイントは、12週および48週時のPASI 75、12週時のPASI 90、12週時のPASI 75、48週時のPASI 100、48週時のIGAスコア0(皮膚病変なし)、48週時のIGAスコア0または1(軽度)の達成割合であった。安全性の評価は、0~56週に1回以上の投与を受けた患者で行った。48週時PASI 90達成割合 84% vs.70%、12/48週時PASI 75達成割合は非劣性 1,048例が登録され、グセルクマブ群に534例、セクキヌマブ群には514例が割り付けられた。全体の年齢中央値は46.0歳(IQR:36.0~55.0)、女性が33%含まれた。平均罹患期間は18.4(SD 12.4)年、平均BSAは24.1(13.7)%、IGAは3(中等度)が76%、4(重度)が24%、PASIは平均値20.0(7.5)、中央値18.0(15.1~22.3)であった。 48週時のPASI 90達成割合は、グセルクマブ群が84%(451例)と、セクキヌマブ群の70%(360例)に比べ有意に優れた(差:14.2ポイント、95%信頼区間[CI]:9.2~19.2、p<0.0001)。 主要な副次エンドポイントである12週および48週時のPASI 75の達成割合は、グセルクマブ群のセクキヌマブ群に対する非劣性(マージンは10ポイント)が確認された(85%[452例] vs.80%[412例]、p<0.0001)が、優越性は認めなかった(p=0.0616)。 そのため、他の副次エンドポイントの統計学的な検定は実施されなかった(12週時のPASI 90はグセルクマブ群69% vs.セクキヌマブ群76%、12週時のPASI 75は89% vs.92%、48週時のPASI 100は58% vs.48%、48週時のIGAスコア0は62% vs.50%、48週時のIGAスコア0または1は85% vs.75%)。 全Gradeの有害事象(グセルクマブ群78% vs.セクキヌマブ群82%)、重篤な有害事象(6% vs.7%)、感染症(59% vs.65%)の頻度は両群でほぼ同等であった。頻度の高い有害事象として、鼻咽頭炎(22% vs.24%)と上気道炎(16% vs.18%)がみられた。活動性の結核や日和見感染は認めなかった。セクキヌマブ群でクローン病が3例報告された。 著者は「これらの知見は、乾癬治療の生物学的製剤の選択において、医療従事者の意思決定に役立つ可能性がある」としている。

18925.

内側に限局する膝OAに対してはTKRよりPKRが望ましい?― TOPKAT試験より(解説:小林秀氏)-1106

 内側型の末期変形性膝関節症(膝OA)に対する人工膝関節置換手術は、TKR(total knee replacement:全置換)とPKR(partial knee replacement:単顆置換[unicompartmental knee replacement]として知られる)の2種類に大別できる。TKRの多くは十字靭帯を切除し骨切除量も多くなるが、PKRでは内側コンパートメントのみを置換するため十字靭帯も温存でき骨切除量も少なく、早期回復が可能となる。TKRは古くから行われ、安定した長期成績が報告されているが、一方で患者満足度は約80%程度とされており、人工股関節手術に比べ術後満足度が低いことが知られている。近年PKRは、手術手技が改善され、侵襲の少なさから高い術後満足度が期待され普及しつつあるが、一方で手術適応(どこまでの変形に対して適応となるか)、長期成績、合併症の問題も懸念されるためか、施設によってはまったく施行されていないという現状がある。TKRとPKRの術後成績の比較は、適応のばらつきが大きく、確固たるエビデンスがほとんど示されていなかったため、今回のTotal or Partial Knee Arthroplasty Trial(TOPKAT)試験は多施設共同無作為化比較試験であり、これらの疑問に答える大変興味深い試験となった。 結果は術後5年後のオックスフォード膝スコア(Oxford Knee Score:OKS)で有意な差はなかったが、PKRがTKRに比べ、わずかにアウトカムが良好であった。過去の報告ではPKRは再置換率が高いとされていたが、本試験においては再置換率については両群間で差がなく、合併症についてはPKRよりもTKRのほうが多いという結果であった。また費用対効果の分析でも、PKRがTKRよりも5年の追跡期間中の効果が高く、医療費が削減されたことがわかった。 以上から、PKRの適応となる内側型の末期膝OAに対してはPKRが第1選択になるという結論が得られたことは妥当な結果と考えられた。前提として手術手技をしっかりと行うことが重要なことは言うまでもないが、今後の課題としては、どこまでの変形に対してPKRを行うべきか、併発する外側コンパートメントや膝蓋大腿関節の変形をどこまで許容するか、というPKRの適応の限界を知ることが重要となるだろう。

18926.

猫は虎に劣っていない! 非劣性試験について考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】 第14回

第14回 猫は虎に劣っていない! 非劣性試験について考えるジャーン! 日本発の「STOPDAPT-2試験」(JAMA. 2019;321:2414-2427.)がJAMA誌に掲載され、「ジャーナル四天王」で解説されました。ジャーナル四天王は、NEJM、Lancet、JAMA、BMJという世界を代表する医学雑誌から臨床現場に影響が大きいものを紹介するCareNet.comの人気の連載企画です。そこで紹介される論文は欧米発のものがほとんどです。STOPDAPT-2試験は、PCI術後の2剤の抗血小板薬併用療法であるDAPT期間についての研究です。1ヵ月間のDAPT後にクロピドグレル単剤投与を行う介入治療群は、12ヵ月間のDAPTを継続する標準治療群に対して、“非劣性”でかつ“優越性”も有することを示したものです。ぜひとも一読をお薦めします。優越性試験では、P値が0.05より小さければ差がある、0.05以上なら差がないとします。差がないことと、非劣性であるということは決定的に異なります。P値は差があることは証明できても、非劣性の証明はできないのです。介入治療群と標準治療群を比較した差が、良くても悪くてもこのくらい範囲内であれば許容できるというマージンを研究開始前に定めておく必要があるのが非劣性試験です。これを非劣性マージンといいます。非劣性試験が必要となる理由の1つは優越性を求めることの非倫理性です。有意に優れる治療を証明するということは、劣っている治療効果を対照患者に期待することの裏返しともいえます。ここに倫理的な抵抗感があります。介入治療と標準治療との差が非常に小さく、優越性試験で差があることを示すには非現実的なほど多くの被験者数が必要になる場合なども、非劣性試験が必要となる理由です。少し話が難しくなってきました。論文片手にソファーでくつろいでいると、我が家の愛猫がやってきます。自分の膝の上に飛び乗って喉をゴロゴロと鳴らしながら「香箱座り」をします。これは、手首を内側に折り曲げ、その上に上半身を乗せるスタイルです。関節が柔軟な猫特有の座り方ですが、危険にさらされた時に即座に立ち上がって行動できないので、リラックスしている証拠です。自分は、本連載の自己紹介の中で「猫をこよなく愛する、いきおい余って虎にも挑戦中」と記しているように虎にも興味をもっています。写真で自分が頭を載せているのは「ぬいぐるみ」ではなく生きている虎です。猫と虎は同じネコ科です。虎にしてみれば、猫がトラ科に属するべきであり、虎がネコ科というのは釈然としないに違いありません。猫と虎を比較すると大きさが決定的に違います。他の外見上の違いとして、虎は鼻が大きく耳が丸くて小さいです。虎は体重を支えるため、猫に比べて足が太くしっかりとしています。身体が大きくなっても目の大きさはあまり変わらず、相対的に虎は目が小さく見えます。大きな目がクリクリする猫はかわいいペット、虎は獰猛な肉食獣という正反対のイメージがありますが、どちらもしなやかで魅力的なハンターです。猫と虎を比較するには、優越性と非劣性のいずれの検討を行えばよいのでしょうか? 非劣性試験ならば、猫が虎に劣らない非劣性マージンはどうなるのか? 猫の背を撫でながら、このように何の価値もないことに思索を巡らせる時間を楽しむ自分は幸せです。

18927.

青年期双極性障害患者のメタボリックシンドローム有病率

 メタボリックシンドローム(MetS)の有病率は増加しており、中年期の双極性障害におけるMetSが重要な臨床的相関を示すことが報告されているにもかかわらず、青年期および若年成人におけるこの問題に関してはよくわかっていない。カナダ・トロント大学のChristine Li氏らは、青年期の双極性障害患者のMetSについて、COBY(Course and Outcome of Bipolar Youth)研究を実施し、検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年7月30日号の報告。 2000~06年にCOBY研究に登録された青年期および若年成人の双極性障害患者162例(平均年齢:20.8±3.7歳、年齢範囲:13.6~28.3歳)を対象に、横断的レトロスペクティブ研究を実施した。MetSの定義には国際糖尿病連合の基準を用い、測定値(血圧、ブドウ糖、HDLコレステロール、トリグリセライド、胴囲)を単一時点で収集した。気分、併存疾患およびMetS評価の6ヵ月前の治療は、Longitudinal Interval Follow-Up Evaluationを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・MetS有病率は、19.8%(32例)であった。・最も一般的なMetS基準は、低HDLコレステロール(56.5%)、腹部肥満(46.9%)であった。・MetSは、COBY研究登録時のライフタイム全体機能の低さと関連が認められた(オッズ比[OR]:0.97、p=0.06)。・MetSは、過去6ヵ月間のうつ症状(OR:1.07、p=0.02)や抗うつ薬使用(OR:1.06、p=0.001)の割合と有意な関連が認められた。・躁症状や抗うつ薬以外の薬物療法との関連は認められなかった。 著者らは「青年期双極性障害患者のMetS有病率は、一般集団の2倍以上であった。さらに、MetSはうつ症状の増加と関連していた。青年期双極性障害患者のマネジメントでは、MetSリスク因子の是正に焦点を当てた治療戦略を検討する必要がある」としている。

18928.

手術不要な心不全患者の救急搬送を減らすには?

 救急車で運ばれた心不全患者のうち、約8割の患者は手術が不要であったことが、厚生労働省作成による診断群分類毎の集計結果(2017年)から明らかになった。これはいったい何を意味しているのだろうか-。2019年8月8日に開催されたメディアセミナー『ハート・トーク2019』において、磯部 光章氏(榊原記念病院 院長/東京医科歯科大学名誉教授)が「脳卒中・循環器病対策基本法について」、代田 浩之氏(順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)が「心臓病の二次予防と心臓リハビリテーション」について講演。トークセッションでは、俳優の渡辺 徹氏が心筋梗塞の発症当時のエピソードや再発予防策について語った(日本心臓財団、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社共催)。手術不要な心不全患者を救急搬送しないために 昨年12月、『脳卒中・循環器病対策基本法』が衆議院本会議で可決、成立した。この法律における基本的施策には、疾患予防、禁煙、救急搬送・受け入れ体制の整備、救急隊員の研修や患者のQOL向上、そして医療者教育などの項目が盛り込まれており、急性期治療に対する改革がなされることで、再発・再入院の予防や退院後のQOLの担保などが期待される。磯部氏はがん対策基本法を例に挙げ、「法律の公布によって専門医の養成、病院の拠点化、緩和医療の普及、健診事業が大きく進歩した」と述べ、医療の発展にいかに基本法が重要であるかを説明した。 しかしながら、特定健康診査(特定健診)の日本全体での受診率は51.4%とまだまだ低い。加えて、心不全の有無を確認できる項目は、医師が必要と判断した者にしか適用されないことから、「特定健診への心電図検査やBNP(NT-proBNP)測定の導入は、心不全を早期発見できるため全員必須にすべき」と訴えた。また、急性心筋梗塞や解離性大動脈瘤のように手術要否の割合がまったく異なる疾患が同じ“心不全”として扱われ、救急搬送されている現状に同氏は疑問を呈し、「今回の法律が成立したことを機に、治療内容や発症数が異なる急性疾患を同じ様に扱う現システムを見直し、手術が必要な患者へ効率の良い治療が行えるようになったら良い」と主張した。心不全患者の93%、外来心リハによる恩恵を受けられず 心不全の発症病態は、軽症、重症、そして突然死に分けられる。一命をとりとめた患者はその後、適切な治療や食事療法などにより回復する者もいれば、急性増悪を繰り返し、その都度入院を要する者もいる。磯部氏は「再発による再入院を予防するために日常管理が重要」とし、心臓リハビリテーション(心リハ)の活用を提唱。代田氏は急性冠症候群の二次予防(脳卒中・循環器病の早期治療と再発予防)の観点からLDL-Cの低下と心リハの有用性を説明。冠動脈プラークの変化率が運動によって変動した研究から「心リハが心筋梗塞や心不全予防への最善の鍵となる」と解説した。さらに、同氏は「回復ではなく“再発・発症予防”の概念の浸透が重要」と述べ、二次予防に対し、運動療法に薬物治療や食事療法などを複合させた『包括的心臓リハビリテーション』の導入を推奨した。心不全の治療方法も変われば患者像も変わる  既存の心リハ概念は1950年代に提唱された。当時は心筋梗塞の治療としてカテーテルや血行再建術はなく、6~8週間もベッドで安静に過ごして梗塞巣の瘢痕化を待つのが通常であった。その後、エビデンスが構築され早期離床が普及するようになると、安静臥床で起こる身体調節異常(デコンディショニング)の是正を目的として、心リハが始まった。1980年代には外来での心リハが開始、2000年代には心不全へ心リハが適用となった。代田氏は「長期臥床から積極的な再発予防対策が求められる時代」とし、「新たな心リハ概念には、フレイル予防や疾病管理が追加され有用である。しかし、心リハの社会認知度は低く、国内での普及活動が喫緊の課題」と語った。 近年、慢性心不全の患者像が変化し、それに伴い診療形態にも変化が求められている。このような現状の中でとくに問題となっているのが、心不全患者の高齢化に伴うフレイル発症である。身体・精神・社会的活動の3つを脅かすとされるフレイルについて、代田氏は「高齢心不全患者の予後規定因子」とコメント。磯部氏は、「治す医療から“治し支える”医療へ、生活習慣病予防からフレイル予防へ視野を広げる」など、循環器医に対し診療のシフトチェンジを求めた。心筋梗塞の“胸痛”以外の症状を広めてほしい 渡辺氏が心筋梗塞を発症した時、自覚症状は歩行速度の低下や階段昇降時の息切れが主で、 胸部症状は感じなかったという。しかし、渡辺氏にとって、“心臓病=胸の痛み”というイメージが強かったことから、まさか自分の心臓が危険な状態であるとは思わなかったそうだ。渡辺氏は「心臓の病気は心臓が痛くなると思っていたが、病院に行くときにその症状はなかった。息切れや疲れやすさが心臓病のサインであることを、医療者からも発信してほしい」と強調し、「治療を終えた後、主治医から『私は処置をしただけです。これから自分で治療を行うのです』という一言で、治療したからおしまいではなく、これから再発しない努力が必要なのだと感じた」と再発リスクを認識した当時を振り返った。現在は家族の協力のもとで食事や運動を意識した日々を過ごしている。 なお、日本心臓財団とアステラス・アムジェン・バイオファーマが行った「心筋梗塞患者さんとご家族の意識調査」によると、再発リスクの認知は低く、回答者の4割が認識していない、または誤解していたと回答した。

18929.

妊娠による子宮内膜がんリスク低下、中絶でも/BMJ

 妊娠が受胎後早期で終了しても40週(正期産)で終了しても、子宮内膜がんのリスクは顕著に減少することが明らかにされた。人工妊娠中絶で妊娠終了に至った場合と出産で妊娠が終了した場合とで、リスク低下との関連性は類似しており、妊娠による子宮内膜がんのリスク低下は妊娠初期に生じる生物学的なプロセスによって説明できる可能性も示唆されたという。デンマーク・Statens Serum InstitutのAnders Husby氏らが、デンマークの女性を対象とした全国コホート研究の結果を報告した。生涯の出産数は子宮内膜がんのリスク低下と関連があり、妊娠により抑制された月経周期数が保護的に作用することが示唆されていたが、妊孕性や妊娠累積期間、妊娠中のある特定時期に生じる過程がこの保護作用を強めるかどうかは不明であった。BMJ誌2019年8月14日号掲載の報告。デンマーク女性約231万例、妊娠約395万件について解析 研究グループは、1935~2002年の期間に生まれたすべてのデンマークの女性を対象に、Danish National Registry of Induced Abortions(人工妊娠中絶登録)、Medical Birth Registry(出生登録)、Danish Cancer Registry(がん登録)のデータを用いて全国コホート研究を実施した。 主要評価項目は、妊娠回数、種類(人工妊娠中絶または出産)、妊娠期間別の子宮内膜がん相対リスク(発生率比)で、対数線形ポアソン回帰モデルを用いて推定した。 解析対象は、デンマーク女性231万1,332例で、妊娠は計394万7,650件であった。人工妊娠中絶、出産にかかわらず、子宮内膜がんのリスクは低下 追跡期間5,734万7,622人年において、子宮内膜がんが6,743例に認められた。年齢、期間、社会経済的要因について補正した後、初回妊娠の終了が人工妊娠中絶(補正後相対リスク[aRR]:0.53、95%信頼区間[CI]:0.45~0.64)であるか、出産(aRR:0.66、95%CI:0.61~0.72)であるかにかかわらず、子宮内膜がんリスクの顕著な低下が示された。2回目以降の妊娠でも、人工妊娠中絶(aRR:0.81、95%CI:0.77~0.86)、出産(aRR:0.86、95%CI:0.84~0.89)を問わず、さらなるリスクの低下が認められた。 妊娠期間、妊娠時の年齢、自然流産、肥満、出生コホート、妊孕力、社会経済的要因により結果が変わることはなかった。 なお本研究について著者は、子宮内膜がんのリスク低下と関連が示唆されている経口避妊薬の使用歴に関するデータがないことなどを挙げて、結果は限定的だと述べている。

18930.

大腸手術前のMOABPは有益か/Lancet

 大腸手術において、機械的腸管前処置と経口抗菌薬の併用による腸管前処置(MOABP)は、腸管前処置なし(NBP)と比較して、手術部位感染(SSI)や術後合併症は低下しないことが示された。フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Koskenvuo氏らが、現在推奨されているMOABPの日常的な使用について検証した前向き多施設共同無作為化単盲検並行群間試験「Mechanical and oral antibiotic bowel preparation versus no bowel preparation for elective colectomy:MOBILE試験」の結果を報告した。これまで行われたいくつかの大規模後ろ向き研究において、MOABPによりNBPと比較しSSIと術後合併症が減少することが報告されている。米国ではそれらのデータに基づいてMOABPの実施が推奨されているが、著者は今回の結果を受けて、「結腸切除術でSSIや合併症を減らすために、MOABPを推奨することは再考されるべきであると提案したい」とまとめている。Lancet誌オンライン版2019年8月8日号掲載の報告。前向き無作為化試験でMOABPとNBPを比較 研究グループは、フィンランドの病院4施設にて結腸切除術を受ける患者をMOABP群またはNBP群のいずれかに、施設で層別化し1対1の割合で無作為に割り付けた。治験募集担当者、担当医、執刀医、データ収集者および分析者は、治療の割り付けに関して盲検化された。また、緊急手術、腸閉塞、手術中に大腸内視鏡の使用が予定されている患者、ポリエチレングリコール・ネオマイシン・メトロニダゾールに対するアレルギーを有する患者、18歳未満および96歳以上の患者は除外された。 治験コーディネーターの看護師が患者の割り付けに関する封筒を開封し、割り付けに従って患者に指示を出し、MOABP群の患者には、術前日の午後6時前にポリエチレングリコール2Lと清澄水(脂肪や果肉などを含まない水やお茶など)1Lを飲んでもらい、午後7時に経口ネオマイシン2gを、午後11時に経口メトロニダゾール2gを服用してもらった。 主要評価項目は、術後30日以内のSSIで、修正intention-to-treat集団(無作為割り付けされ、吻合を伴う待機的結腸切除術を受けた全患者)を対象として解析するとともに、安全性についても評価した。手術部位感染症や合併症の発生は、MOABPとNBPで有意差を認めず 2016年3月17日~2018年8月20日の期間に417例が無作為割り付けされた(MOABP群209例、NBP群208例)。このうち、MOABP群13例とNBP群8例が手術前に除外され、修正intention-to-treat集団は396例(MOABP群196例、NBP群200例)である。 SSIは、MOABP群で13例(7%)、NBP群で21例(11%)に確認され(オッズ比:1.65、95%信頼区間[CI]:0.80~3.40、p=0.17)、吻合部離開はMOABP群で7例(4%)、NBP群で8例(4%)報告された。 再手術を要した症例は、MOABP群16例(8%)、NBP群13例(7%)であった。術後30日以内の死亡はNBP群で2例認められ、MOABP群では確認されなかった。 なお、著者は検出力不足であったこと、処置の特性上、盲検化が困難であったこと、吻合部離開はCT検査ではなく臨床所見や症状に基づいた評価であったことなどを挙げて、試験結果は限定的だとしている。

18931.

非扁平上皮NSCLCの維持療法、ベバシズマブかペメトレキセドか併用か/JCO

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の維持療法にはベバシズマブまたはペメトレキセドの単剤投与か併用投与なのか、あるいはいずれも有効なのか。米国・エモリー大学ウィンシップがん研究所のSuresh S. Ramalingam氏らは、それらを直接比較する「ECOG-ACRIN 5508試験」の結果、ベバシズマブ単剤またはペメトレキセド単剤は有効であるが、生存ベネフィットの不足とその毒性から、ベバシズマブ・ペメトレキセドの併用療法は推奨できないとまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年7月30日号掲載の報告。 研究グループは、進行非扁平上皮NSCLCの最適な維持療法を決定するために無作為化試験を実施した。 対象は、全身療法の治療歴のない進行非扁平上皮NSCLC患者で、カルボプラチン(AUC 6)、パクリタキセル(200mg/m2)およびベバシズマブ(15mg/kg)を最大4サイクル投与した後、病勢進行が認められなかった患者をベバシズマブ(15mg/kg)群、ペメトレキセド(500mg/m2)群、または両剤の併用群に無作為に割り付け、維持療法を行った。 主要評価項目は全生存期間(OS)で、ベバシズマブ群を対照とした。 主な結果は以下のとおり。・登録された1,516例中874例(57%)を、導入療法後に3つの維持療法群に無作為に割り付けた。・追跡期間中央値50.6ヵ月において、OS中央値はベバシズマブ群14.4ヵ月、ペメトレキセド群15.9ヵ月(HR:0.86、p=0.12)、併用群16.4ヵ月(HR:0.90、p=0.28)であった。・無増悪生存期間中央値は、ベバシズマブ群4.2ヵ月、ペメトレキセド群5.1ヵ月(HR:0.85、p=0.06)、併用群7.5ヵ月(HR:0.67、p<0.001)であった。・Grade3/4の有害事象の発現率は、ベバシズマブ群29%、ペメトレキセド群37%、併用群51%であった。

18932.

short DAPTとlong DAPTの新しいメタ解析:この議論、いつまで続けるの?(解説:中野明彦氏)-1105

【はじめに】 PCI(ステント留置)後の適正DAPT期間の議論が、まだ、続いている。 ステントを留置することで高まる局所の血栓性や五月雨式に生じる他部位での血栓性イベントと、強力な抗血小板状態で危険に晒される全身の出血リスクの分水嶺を、ある程度のsafety marginをとって見極める作業である。幾多のランダム化試験やメタ解析によって改定され続けた世界の最新の見解は「2017 ESC ガイドライン」1)に集約されている。そのkey messageは、・安定型狭心症は1~6ヵ月、ACSでは12ヵ月間のDAPTを基本とするが、その延長は虚血/出血リスクにより個別的に検討されるべきである(DAPT score・PRECISE DAPT score)。・ステントの種類(BMS/DES)は考慮しない。・DAPTのアスピリンの相方として、安定型狭心症ではクロピドグレル、ACSではチカグレロル>プラスグレルが推奨される。 一方本邦のガイドラインは、安定型狭心症で6ヵ月、ACSでは6~12ヵ月間を標準治療とし、long DAPTには否定的である。 言うまでもないが、DAPTの直接の目的はステント血栓症予防である。ステント血栓症の原因は複合的で、病態(ACS vs.安定型狭心症)のほかにも、患者因子(抗血小板薬への反応性・糖尿病・慢性腎臓病・左室収縮能など)、病変因子(血管径・病変長・分岐部病変など)、ステントの種類(BMS、第1世代DES、第2世代以降のDES)、さらには手技的因子(stent underexpansion、malappositionなど)が関連すると報告されている。そしてステント血栓症は留置からの期間によって主たるメカニズムが異なり、頻度も変わる2)。1年以降(VLST:Very Late Stent Thrombosis)の発生頻度は1%をはるかに下回り、in-stent neoatherosclerosisが主役となる。またVLSTの数倍も他病変からのspontaneous MIが発症するといわれている。こうした点がDAPTの個別的対応の背景であろう。【本メタ解析について】 ステント留置後のadverse eventは時代とともに減少し、したがって数千例規模のRCT でもsmall sample sizeがlimitationになってしまう。これを補完すべく2014年頃からRCTのメタ解析が年2~3本のペースで誌上に登場してきた。本文はその最新版で、これまでで最多の17-RCT(n=46,864)を解析した。DAPTはアスピリン+クロピドグレルに限定し、単剤抗血小板療法(SAPT)はアスピリンである。従来の「short DAPT=12ヵ月以内」を細分化して「short(3~6ヵ月)」と「standard(12ヵ月)」に分離、これを「long(>12ヵ月)」と比較する3アーム方式で議論を進めている。 その結論・主張は、(1)総死亡・心臓死・脳卒中・net adverse clinical eventsはDAPT期間で差がない(2)long DAPTはshort DAPTに比して非心臓死や大出血を増やす(だからlong DAPTは極力避けたほうがいい)(3)short DAPTとstandard DAPTではACSであってもステント血栓症や心筋梗塞に差がない(だからshort DAPTでいい) などである。しかし一方、long DAPTの超遅発性ステント血栓症・心筋梗塞抑制効果についてはほとんど触れられておらず、short DAPTに肩入れしている印象を受ける。筆者が、おそらく虚血患者に接する機会が少ないであろう臨床薬理学センター所属のためだろうか? 本メタ解析の構図は「DAPTに関するACC/AHA systematic review report(2017)」3)に似ていて、これに2016年以降発表されたRCTを中心に6報加えて議論を展開している。long DAPTほど血栓性イベント抑制に勝り出血性合併症が増える結論は同じだが、ACC/AHA reportはテーラーメードを意識してかリスクによる選択の余地を強調している。 さらにいくつか気になる点がある。評者もご多分に漏れず統計音痴なので、その指摘は的を射ていないかもしれないけれど、できれば本文をダウンロードしてご意見をいただきたい。 たとえば、MIやステント血栓症はlong DAPTで有意に抑制しているのに心臓死はshort DAPTで少ない傾向にあったこと。あるいは非心臓死(有意差あり)・心臓死のOdd Ratioが共に総死亡より大きかったこと。これらは各エンドポイントが試験により含まれたり含まれなかったりしていたためらしい。 また、たとえば各試験でのevent ratioが大きく異なること。同じshort vs.standard DAPTの試験でも12ヵ月MI発症率が0%(IVUS-XPL)~3.9%(I-LOVE-IT2)と幅がある。調べてみるとperiprocedural MIを含めるかどうかなど、そもそも定義が異なるようである。 そして、例えばランダム化の時期である。short vs.standardのほとんどがPCI前後に振り分けているのに対し、standard vs.longはすべてで急性期イベントが終了した12ヵ月後に振り分けランドマーク解析している。これでもshort vs.longの図式が成り立つのだろうか?【まとめ】 DAPT有用性の議論はあのゴツイPalmaz-Schatz stentから始まった。第1世代DESも確かに分厚かった。しかし技術の粋を集め1年以内のステント血栓症が大幅に減少した現時点において、short DAPTにシフトするのは異論がないところであろう。とりわけcoronary imagingを駆使してoptimal stentingを目指すことができる本邦においては、なおさらである。しかし一方、心筋梗塞二次予防に特化したメタ解析4)では、long DAPTが致死性出血や非心臓死を増やすことなく心臓死やMI・脳卒中を有意に抑制した、との結果だった。 ステント血栓症が減ったからこそ、二次予防に抗血小板薬(DAPT)をどう活かすかという視点も必要であろう。解析の精度はさておき「short term DAPT could be considered for most patients after PCI with DES」と結論付けたSAPT(アスピリン)vs.DAPT(アスピリン+クロピドグレル)の議論はそろそろ終わりにしても良いのではないだろうか。 現在はアスピリンの代わりにクロピドグレルやP2Y12 receptor inhibitor(チカグレロル)によるSAPT、少量DOACの有効性も検討されて、PCI後の抗血栓療法は新しい時代に入ろうとしている。 木ばかりでなく森を見るようにしたいと思う。

18934.

ドラゴン桜2【Dr. 中島の 新・徒然草】(286)

二百八十六の段 ドラゴン桜2以前にも紹介した、東大受験スポ根エンターテイメント「ドラゴン桜2」が面白くて、次々と読んでいます。考えてみれば、私にとって受験勉強というのは間違いなく青春の1ページでした。おそらく読者の皆さんにとってもそうだと思います。今でも休憩がてら、そのような雑談をすることがあります。中島「高校でまとめて参加した模擬試験で、いきなりラ・サールに殴りこまれたんや」レジ(ラ・サール高校出身)「なんですか、それ」中島「ローカル予備校の主催やなかったかな。何の間違いか、ラ・サール高校も参加してきよってな」レジ「そうなんですね」中島「結果を見たら、上位100人のうち50人ぐらいがラ・サールやったぞ」レジ「マジすか?」中島「僕のおった神戸高校なんか上位100人にたったの5人やで。無茶苦茶や」あれは一体なんだったんでしょうかね、田舎高校同士で仲良く競い合うはずだったのに。子供のケンカに大人が出てきたらアカンぞ!話を戻します。ドラゴン桜2の第6巻では、いよいよ東進ハイスクールの林 修先生が本人役で登場します。林 修先生によれば読解力の基礎は3~5歳の間の家庭環境で決まるとのことです。それはそれで説得力のある話ではありますが、今さら受験生を幼児に戻すことはできません。勉強する家庭環境に恵まれなかった高校生をどうやって東大にねじ込むか、それが本作のテーマです。そこで登場するのが大宰府 治先生。太宰 治ではありません、大宰府 治です。でも、「生まれて、すみません」というのが口癖の、この暗い先生。授業の内容は凄い、面白い。今の僕が読んでもためになる。あ、「生まれて、すみません。」というのは太宰 治の作品集「二十世紀旗手」の副題です。太宰 治のキャッチフレーズ的に使われているそうです。知りませんでした。さて、大宰府先生によれば、文章間の関係はすべからく3つのパターンでできているそうです。つまり、同等関係、対比関係、因果関係、という3つで構造化できるのだとか。「おおお」と驚きましたよ、私は。確かにそうかもしれん、意識したことなかったけど。この考え方、読解にもいいけど論文を書くときにも役に立ちそう。そして大宰府先生。試験問題において東大が受験生に求めているのは何か、それを熱く説きます。3つのパターンのうち最も重要なものは同等関係、ずばり「言い換える力」だと断言しています。英語はもちろん、数学でも社会でも何でも。自分が理解して他人に分かりやすい形で伝えるってことが重要なんでしょうね。人に説明できるということは、まず自分が知っているということが前提になります。そして、具体例を示したり一般化したりして、相手にも理解してもらう。確かに大切だわ、それ。ということで「ドラゴン桜2」。読者の皆様も、ぜひ仕事の合間に読んでみて下さい。医師の仕事にも役立つことは間違いありません。最後に1句青春の 皆の思い出 受験なり

18935.

第27回 本当に高プリン体食は痛風の敵なのか【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 高尿酸血症や痛風の患者さんで、アルコールや肉・魚の内臓などプリン体を多く含む食品の摂取を制限されている方は多いと思います。プリン体は最終的に尿酸に代謝されるため、プリン体が多い食品を避けようというのはよく聞く話ですが、この摂取制限にどれほどの効果があるのでしょうか。プリン体制限食は尿中尿酸排泄を減らすと考えられていますが、プリン体は体内で生成される割合のほうが多いこともあり、尿酸値への影響は約1mg/dL程度と小さいことが知られています1)。さらに、尿酸値が多少高くても、必ずしも痛風発作が起こるわけではありません。無症候性高尿酸血症の結果を定量化するために、健康な男性2,046例を対象とした14.9年間にわたる追跡調査2)では、尿酸値と痛風発作の年間発症率の関係は下記のとおりでした。尿酸値9 mg/dL以上:年間発症率4.9%尿酸値7.0~8.9 mg/dL:年間発症率0.5%尿酸値7.0 mg/dL未満:年間発症率0.1%※尿酸値9 mg/dL以上の場合、痛風発作の5年累積発生率は22%。この研究では、痛風の強力な予測因子として、年齢、肥満度指数(BMI)、高血圧、コレステロール値およびアルコール摂取が指摘されています。多くの人が自覚症状がない疾患で、尿酸値と発作の発症率や食事の影響が小さいとなると、継続的なプリン体の摂取制限はなかなか難しいように思います。動物性プリン体の摂取制限は痛風発作の予防に有用しかし、プリン体制限食が急性痛風発作の発症予防に寄与するという報告もありますので紹介します。1つ目が2004年にNEJMに掲載された論文で3)、プリン体、タンパク質および乳製品の摂取が痛風発作の新規発症に及ぼす影響を前向きに調査したものです。対象はベースライン時点で痛風の既往がない男性 47,150 例で、食事要因と痛風の新規発症の関係を12年間追跡しています。研究期間中に痛風と初診断された730例のうち、各食品の摂取量が最小五分位群に対する最大五分位群の痛風の多変量補正相対リスクは次のとおりでした。肉類摂取量:1.41 (95%信頼区間[CI]1.07~1.86、p=0.02)魚介類摂取量: 1.51 (95%CI 1.17~1.95、p=0.02)乳製品摂取量の増加:0.56(95%CI 0.42~0.74、p<0.001)興味深いことに、プリン体が豊富な野菜の摂取量やタンパク質の総摂取量は痛風リスクの上昇と関連がみられませんでした。ちなみに、乳製品の摂取がリスク低減につながる理由として、尿酸とナトリウムが結合した針状結晶が関節で炎症を起こす過程を阻害するためという説があるようです4)。続いて、高プリン体食と再発性痛風発作リスクの関係を調べた症例クロスオーバー研究です5)。こちらはオンラインで募集した痛風患者633例を1年間追跡しています。平均年齢は54歳、78%が男性、88%が白人です。参加者は、痛風発作時に、発作発症日、発作の兆候、服用薬剤(抗痛風薬を含む)、発作前2日間の潜在的なリスクファクターの有無(プリン体含有食品の摂取を含む)について質問を受けています。すべての高プリン体食品(例:肉、内臓肉、肉汁、魚介類、豆類、ホウレンソウ、アスパラガス、マッシュルーム、酵母、ビール、その他ワインなどのアルコール飲料)が対象となっています。2日間の総プリン体摂取量の最小五分位群と比較して、他の各五分位群の再発性痛風発作のオッズ比の増加は、それぞれの群の低いものから1.17、1.38、2.21、4.76(p<0.001)で、動物性のプリン体摂取量については1.42、1.34、1.77、2.41(p<0.001)、植物性のプリン体摂取量については1.12、0.99、1.32、1.39(p=0.04)でした。プリン体摂取の影響は、性別、アルコール、利尿薬、アロプリノール、NSAIDs、コルヒチン服用のサブグループ間で一貫していました。高プリン体食の摂取で、再発性痛風発作のリスクが約5倍増加しており、とくに動物由来のプリン体の制限が有効であることが示唆されています。プリン体は食事由来よりも体内で生成される割合のほうが高いものの、実際にプリン体制限食では痛風発作が少ないというリスク感覚を持っておくと患者さんへ説明がしやすいかなと思います。植物性のプリン体摂取についてはあまり過敏になる必要はなさそうですが、アルコールや動物性のプリン体摂取は尿酸値への影響が直接大きくなかったとしても、痛風発作の原因になりうることや、乳製品が予防となりうることは押さえておくとよいでしょう。1)Kakutani-Hatayama M, et al. Am J Lifestyle Med. 2015;11:321-329.2)Campion EW, et al. Am J Med. 1987;82:421-426.3)Choi HK, et al. N Engl J Med. 2004;350:1093-1103.4)Dalbeth N, et al. Curr Rheumatol Rep. 2011;13:132-137.5)Zhang Y, et al. Ann Rheum Dis. 2012;71:1448-1453.

18937.

日本におけるベンゾジアゼピン長期使用に関連する要因

 ベンゾジアゼピンやZ薬(BZD)の長期使用は、現在の臨床ガイドラインで推奨されていないものの、実臨床において引き続き行われている。東京医科歯科大学の高野 歩氏らは、日本における長期BZD使用率とそのリスク因子について調査を行った。BMJ Open誌2019年7月26日号掲載の報告。 本研究は、健康保険データベースを用いたレトロスペクティブコホート研究である。対象は、2012年10月1日~2015年4月1日の期間にBZD使用を開始した18~65歳の外来患者8万6,909例。そのうち、初回BZD使用日に手術を行った患者762例および8ヵ月間フォローアップを行っていない患者1万2,103例を除く7万4,044例を分析した。新規BZD使用患者の8ヵ月以上の長期使用率を調査した。患者の人口統計、診断、新規BZD使用の特徴、長期BZD使用の潜在的な予測因子について評価を行った。長期使用と潜在的な予測因子との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・新規BZD使用患者のうち、8ヵ月以上連続してBZDを使用していた患者は、6,687例(9.0%)であった。・長期処方は、気分障害、神経障害、がん、精神科医による処方、複数の処方箋、初回処方時の睡眠薬および中間型BZD使用と有意な関連が認められた。 著者らは「新規BZD使用患者の9%は、8ヵ月以上BZDが使用されていた。処方医は、初回BZD処方時に長期使用のリスク因子に注意する必要がある」としている。

18938.

がん患者が言い出せない、認知機能障害への対応策/日本臨床腫瘍学会

 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害(cancer-related cognitive impairment;CRCI)は海外で研究が進みつつあるものの、国内での認識は医療者・患者ともに低い。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「がんと関連した認知機能障害:病態解明・診断・治療/ケアはどこまで進んだか」と題したシンポジウムが開かれ、国内外の知見が紹介された。本稿では、橋本 淳氏(聖路加国際病院 腫瘍内科)、谷向 仁氏(京都大学大学院医学研究科)による発表内容を中心に紹介する。がん患者の認知機能障害は治療前で2~3割、治療に伴い最大7割以上 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害は、現時点で有効な評価方法や治療は確立されていないが、がんそのものによる肉体的・精神的影響によって治療前からみられるもの、化学療法や手術、内分泌療法などの治療に伴ってみられるものがあると考えられている。橋本氏は、乳がん、卵巣がん、消化器がんなどにおける海外の報告を紹介。治療前は20~30%の患者で1)、化学療法に伴うものとして17~75%の患者でみられたという報告がある(報告により認知機能の評価法が異なり、幅のある結果となっている)2~3)。 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害の症状としては、記憶、集中力、処理速度や実施能力の低下が報告されている。“頭に霧がかかったよう”と表現するがん患者も多いという。リスクファクターとしては、化学療法と関連する因子(血液脳関門の透過性、用量、併用療法など)のほか、年齢、閉経状態、遺伝学的因子(ApoE、COMD、BDNF)、放射線療法歴、もともとの認知予備能などが報告されているが、認知機能障害のメカニズムを示す明確なエビデンスは現状存在しない。がん化学療法と認知機能障害との関連をアンケート調査 谷向氏は、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害に着目するきっかけとなった症例を紹介。精神科医として緩和医療科で診察した乳がん患者(外来化学療法受療中)が、「ガスをつけっぱなしで外出してしまうことが何度かある」と話し、危機感を覚えたという。 そこで同氏は、乳がん患者会の協力を得て化学療法受療の有無と7項目の認知機能障害との関連についてアンケート調査(n=173)を実施。作業スピードが遅くなった、ものごとに集中できなくなった、不注意が増えたなどの6項目で、化学療法の有無による有意差がみられた。さらに、これらの自覚する認知機能障害について、「他者から指摘された」ことは有意に少なく、認知機能障害の項目数が増えるほど抑うつスコア(HADS)が上昇した4)。 一方で、同氏は医師62人を含むがん診療に携わる医療者約400人対象のアンケート調査も実施した。その結果、診療/面接時に毎回あるいは時々のいずれかで症状の有無を患者に「確認する」と答えた割合は、痛み・だるさ・眠気といった身体症状については80%以上、気分の落ち込み・不安といった精神症状についても65%以上だったのに対し、物忘れ・不注意・集中力低下といった認知症状については20~30%に留まっていた。がん患者の認知機能障害への感度が高くないMMSEやMOCA-J 医療者の間で理解が進まない原因の1つに、MMSEやMOCA-Jといった一般的な認知機能のスクリーニング法では、ほぼ満点の例があるなど、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害への感度が高くないという点がある。橋本氏は、がん患者用QOL尺度であるFACT-Cogや、作業効率や言葉の想起の低下などを検出しやすいTMT、COWA、HVLT-Rなどが推奨されていることを紹介した。 谷向氏は、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害の症状が軽微で、非健忘症状として現れることが多いがゆえに、家族にも医療者にも気づかれにくく、二次的な不安や抑うつなどにつながる可能性を指摘。「もう半年くらい症状が続いているが、笑われてしまうかと思って相談できなかった」という患者の言葉を紹介した。予後が改善し、社会復帰を視野に入れるがん患者が増えていく中で、作業効率の低下などは大きな障壁となりうる。同氏は、医療者側が認知機能障害にも気をかけておくとともに、そのような症状があれば相談してほしいとあらかじめ患者や家族に伝えること、認知機能障害の背景を丁寧に鑑別することの重要性を強調した。 谷向氏は連携する仲間と共同し、患者・家族に対してがんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害に関する啓発用パンフレットを作成している。認知機能障害の症状チェックリストなどを盛り込んだこのパンフレットはこちらからダウンロード可能となっている。

18939.

10~16歳の2型DMにリラグルチド追加は有効?/NEJM

 2型糖尿病の小児・思春期患者(10~17歳)において、メトホルミンへのリラグルチド(1.8mg/日)追加投与は、基礎インスリン投与の有無にかかわらず、52週間にわたり血糖コントロール改善の効果があることが示された。ただし、消化器系有害事象の発現頻度がかなり高かった。米国・イェール大学のWilliam V. Tamborlane氏らが、135例を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年8月15日号で発表した。メトホルミンは、疾患初期の若い2型糖尿病患者の大半にとって選択肢として承認された血糖コントロール薬である。一方で、メトホルミン単独治療を受けていると血糖コントロールが早期に不能になることが観察されている。若い2型糖尿病患者においてリラグルチドの追加(基礎インスリンの有無を問わず)の安全性および有効性は明らかになっていなかった。26週二重盲検の後、26週間非盲検延長 研究グループは、10歳以上17歳未満の2型糖尿病患者135例を無作為に2群に分け(1対1)、リラグルチド(最大量1.8mg/日)またはプラセボの皮下投与を行った。試験は、26週間の二重盲検期間と、その後26週間延長しての非盲検下期間を設定して行われた。 被験者の選択基準は、BMIが85thパーセンタイル超で、糖化ヘモグロビンが7.0~11.0%(食事療法と運動療法のみの治療下の場合)、または6.5~11.0%(基礎インスリンの有無を問わずメトホルミン治療を受けている場合)とした。 試験期間中は、全被験者にメトホルミンが投与された。 主要エンドポイントは、26週以降の糖化ヘモグロビン値のベースラインからの変化値だった。副次エンドポイントは、空腹時血糖値の変化などだった。安全性は、全試験期間を通して評価した。糖化ヘモグロビン値、リラグルチド群で0.64ポイント低下、プラセボ群は上昇 被験者135例のうち134例が、リラグルチド(66例)またはプラセボ(68例)を1回以上投与された。両群の人口動態的特性は類似していた(平均年齢は14.6歳)。 主要エンドポイントの26週時点の解析では、糖化ヘモグロビン値はリラグルチド群で0.64ポイント低下した一方、プラセボ群は0.42ポイント増加した。推定治療差は-1.06ポイントだった(p<0.001)。同差は、52週時点までに-1.30ポイントに増大した。 空腹時血糖値は、リラグルチド群では26週時と52週時で共に低下したのに対し、プラセボ群では上昇していた。 有害事象が報告された患者数は両群間で類似していたが(リラグルチド群56例[84.8%]、プラセボ群55例[80.9%])、全有害事象発生率と消化器系有害事象の発生率はリラグルチド群で高かった。

18940.

中年~晩年期の高血圧症、認知症リスクが増大/JAMA

 中年期~晩年期に高血圧症の人や、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の人は、中年期~晩年期に正常血圧の人に比べ、認知症を発症するリスクが約1.5~1.6倍高いことが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のKeenan A. Walker氏らが住民ベースのコホート試験で明らかにした。晩年期の血圧値と認知機能の関係は、過去の高血圧症やその慢性化によると考えられている。また、高血圧が続いた後の晩年期の血圧低下は、不良な認知機能アウトカムと関連している可能性も指摘されていた。JAMA誌2019年8月13日号掲載の報告。4コミュニティの45~65歳を計6回追跡 研究グループは、米国内4ヵ所のコミュニティ(メリーランド州ワシントン郡、ノースカロライナ州フォーサイス郡、ミシシッピ州ジャクソン、ミネソタ州ミネアポリス)に住む45~65歳を対象に1987~89年から試験を開始し、3年ごとに、1996~98年まで4回にわたり被験者を対面で診察した。その15年後の2011~13年には5回目の、2016~17年には6回目の診察を行い、詳細な神経認知評価を行った。血圧測定は、1~5回目の診察時にそれぞれ行った。最終追跡は2017年12月31日。 中年期~晩年期の正常血圧、高血圧症(収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mmHg超)、低血圧症(収縮期血圧90mmHg/拡張期血圧60mmHg未満)と、認知症、軽度認知障害、認知機能低下との関連を検証した。 主要アウトカムは、介護者による観察尺度AD8(Ascertain Dementia-8)、電話による6項目スクリーナー、退院サマリーや死亡診断書の診断コード、6回目診察時の神経認知評価に基づく、5回目診察時以降の認知症発症だった。副次アウトカムは、6回目診察時の軽度認知障害だった。中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症、軽度認知障害は1.65倍に 被験者数は4,761例で、そのうち女性は2,821例(59%)、979例(21%)が黒人。5回目診察時の平均年齢は75(SD 5)歳で、1回目診察時の平均年齢範囲は44~66歳、同5回目は66~90歳だった。5回目と6回目の診察の間に認知症を発症したのは、516例(11%)だった。 認知症罹患率は、中年期~晩年期の正常血圧群(833例)は1.31/100人年(95%信頼区間[CI]:1.00~1.72)、中年期に正常血圧で晩年期に高血圧症の群(1,559例)は1.99/100人年(1.69~2.32)、中年期~晩年期に高血圧症の群(1,030例)は2.83/100人年(2.40~3.35)、中年期に正常血圧で晩年期に低血圧症の群(927例)は2.07/100人年(1.68~2.54)、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群(389例)は4.26/100人年(3.40~5.32)だった。 中年期~晩年期に高血圧症の群や、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群は、同期間に正常血圧の群に比べ、認知症発症リスクはいずれも高く、ハザード比(HR)はそれぞれ、1.49(95%CI:1.06~2.08)と1.62(1.11~2.37)だった。晩年期の血圧値にかかわらず、中年期の高血圧症の持続と認知症リスクには関連が認められた(HR:1.41、95%CI:1.17~1.71)。 中年期~晩年期に正常血圧の群と比べて、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群では、軽度認知障害のリスクが高かった(患者37例、オッズ比:1.65、95%CI:1.01~2.69)。血圧パターンと晩年期の認知機能変化との有意な関連は認められなかった。

検索結果 合計:36088件 表示位置:18921 - 18940