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第3回 コロナ禍で露呈した医療界と政府の“ソーシャルディスタンス”

新型コロナウイルスの感染拡大が広がる大阪府で、府保険医協会は診療所・病院への影響を把握するため、緊急アンケートを実施した。4月8日現在の速報値(診療所分)によると、外来患者数が「減った」との回答が8割超にのぼったという。また、感染の疑いのある患者の来院が「あった」とする回答が半数近い中、外来において「他医院受診を促す」「遠慮してもらう」とした診療所は計2割程度。保健所が機能不全に陥っている中、地域医療を担う多くの開業医が、マスクや消毒薬が不足しながらも、新型コロナの感染疑いのある患者の診療に当たらざるを得ない実態がうかがえる。コロナ禍は医療機関の経営も悪化させている。患者が陽性反応を示せば、開業医は濃厚接触者になり、2週間の休診となる。外来患者が減れば、開業間もない診療所などはスタッフに給与が払えないので、休診にせざるを得ない。また、臨時休校により子どもの面倒をみるため職員が出勤できなくなり、診療を縮小したり休診したりせざるを得ないケースもある。都内で聞いた話だが、体調が悪くなった人が医療機関を訪れたところ、本来の休診日ではないのに複数の医療機関が休診していたという。コロナ以外で受診する患者の診療態勢にも悪影響が出ているのだ。医療崩壊が危惧される中、主な医療関連団体は3月下旬から安倍首相や加藤厚労相らに要望書を提出している。四病院団体協議会は3月26日、オーバーシュート(爆発的な感染拡大)に備えた感染対策を提案。日本看護協会は3月30日と4月1日、看護職員の確保策推進などを要望。全国公私病院連盟は4月2日に病院への緊急財政支援を、6日には緊急事態宣言を求めた。全国自治体病院協議会など6団体で構成する「地域医療を守る病院協議会」は4月10日、医療機関や医療者への経済的支援などを要望した。一方、日本医師会は2月から早くも動き出していた。横倉 義武会長は2月27日、医療現場で不足する医療資機材の確保と迅速な配備などを求める要望書を安倍首相に手渡している。4月1日には「医療危機的状況宣言」を公表し、緊急事態宣言を出すべき時期との考えを示した。横倉会長は同3日にも安倍首相と会談し、新型コロナ対応などについて意見交換を行っている。横倉会長は、安倍首相との“近さ”が評価されている。しかし、これだけ安倍首相と複数回の会合を持っても、医療機関への配慮はなかなか見えて来ず、緊急事態宣言の発令(4月7日)は日医の医療危機的状況宣言が出てから6日後だった。病院経営者の間から、日医に対する批判が漏れ聞こえて来る。日医内では「バランスが取れていて、性格が穏やかなので仕えやすい」との声も聞くが、“コロナ戦争下の指導者”としてはどうなのだろうか。そもそも日医に限らず、政府の専門家会議による「医療崩壊危機」の再三の訴えですら、どれほどのインパクトを感じていたのか疑問なのが安倍政権のスタンスである。いずれにせよ、この歴史的とも言える危機的状況において、医療界と政府が“ソーシャルディスタンス”を取っている場合ではない。

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COVID-19情報、一般市民はTVニュースからが8割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大について、一般市民の意識の実態を知る目的に、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を行った。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員で20~79歳の300人を対象に調査を実施したもの。 同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。●調査概要 形式:WEBアンケート方式 期日:2020年3月20日 対象:セルフ型アンケートツール“freeasy”の登録者300人(20歳以上)■アンケート結果の概要・新型コロナウイルス感染症拡大について、約7割の人が「怖い」と思っている・新型コロナウイルス予防対策の実施は58.7%で、過半数を超えている・予防対策で行っている1位は「手洗い」、2位は「マスク着用」、3位は「うがい」・新型コロナウイルスの正しい情報を取得できていると思う割合は47.0%で半数(5割)に満たない状況・新型コロナウイルス情報の入手経路は、「TV などのニュース」が 80.3%でもっとも多い・新型コロナウイルスの拡大は、収入面に不安を与えているが43.0%・「持病あり」は、「新型コロナウイルスの拡大は怖い」「予防対策を実施している」「正しい情報を取得できている」でもっとも多い結果・咳・くしゃみをした後、痛い視線を感じる割合は、約4に1人(24.0%)■アンケート結果の詳細  質問1の「新型コロナウイルス拡大について、どう思いますか」では、「怖い」(69.7%)、「どちらでもない」(17.3%)、「怖くない」(13.0%)の回答結果であり、年齢別では「怖い」は70代でもっとも多かった。 質問2の「新型コロナウイルス予防対策を実施してますか」では、「実施している」(58.7%)、「どちらでもない」(23.7%)、「実施していない」(17.7%)の回答結果だった。 質問3の「新型コロナウイルス感染症予防策として行っていることはなんですか(複数回答)」では、「手洗い」(80.7%)、「マスク着用」(57.7%)、「うがい」(49.3%)、「アルコールなどでの消毒」、「集会などに参加しない」、「不要な外出を控える」の順で多かった。40代では「とくに対策をしていない」が17.7%と危機感の希薄化がうかがわれた。 質問4の「新型コロナウイルス感染症の正しい情報を取得できていると思う」では、「取得できてる」(47.0%)、「どちらでもない」(38.0%)、「取得できていない」(15.0%)の回答結果だった。とくに20~30代(21.4%)が「取得できていない」と一番多く回答し、情報取得に差があることが判明した。 質問5の「新型コロナウイルス感染症の情報をどのような経路で入手していますか(複数回答)」では、「TVなどのニュース」(80.3%)、「ネットのニュース」(42.3%)、「TVなどのワイドショー」(34.0%)の順で多く、かかりつけのクリニックなどの医療者からは4.3%、保健所からは1.3%と医療機関からの情報取得は少なかった。 質問6の「新型コロナウイルス感染症の拡大は、あなた自身の収入面に不安を与えていますか」では、「不安である」(43.0%)、「どちらとも言えない」(30.0%)、「不安でない」(27.0%)の回答で、半数近くは不安を抱えているという回答だった。 質問7の「あなたには持病がありますか(複数回答)」では、「高血圧」(23.7%)、「糖尿病」(9.0%)、「喘息を含む呼吸器病」(4.7%)の順で多く、約6割は「とくに無い」と回答していた。 質問8の「人混みや交通機関で、咳やくしゃみをしたときに、他人から痛い視線を感じることがある」では、「ある」(24.0%)、「どちらでもない」(31.3%)、「ない」(44.7%)の回答数で、とくに20~30代の32.1%が「ある」と感じていて多かった。

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肺がん1次治療、二ボルマブ・イピリムマブ併用への化学療法の限定追加療法、米国および EU で申請/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年4月8日、米国食品医薬品局(FDA)が、ファーストライン治療薬として、化学療法のサイクルを限定して追加した二ボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表。 また、欧州医薬品庁(EMA)は、同適応に関して、化学療法を限定して追加した二ボルマブとイピリムマブの併用療法の承認申請を受理した。本申請の受理により、提出が完了し、EMAの中央審査が開始される。これは、日本において、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブが共同で行った、化学療法を限定して追加した二ボルマブとイピリムマブの併用療法の国内製造販売承認事項一部変更承認申請の提出に関する3月26日の発表に続くものである。 本申請は、第III相CheckMate-9LA試験の結果に基づいている。 CheckMate-9LA試験は、PD-L1発現レベルおよび腫瘍組織型にかかわらず、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のファーストライン治療薬として、二ボルマブ360mg(3週間間隔)とイピリムマブ1mg/kg(6週間間隔)に化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、化学療法(最大4サイクル後に、適格であればペメトレキセドによる維持療法を任意で施行)と比較した多施設共同無作為化非盲検第III相臨床試験。2019年10月、中間解析で、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成したことを発表していた。

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HFrEFへの経口sGC刺激薬、複合リスクを有意に低下/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が低下したハイリスクの心不全患者に対し、新しい経口可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬vericiguatの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全による入院の複合イベントリスクを有意に低下することが示された。カナダ・アルバータ大学のPaul W. Armstrong氏らが、5,050例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年3月28日号で発表した。LVEFが低下し直近に入院または利尿薬静注を受ける心不全患者におけるvericiguatの有効性は明らかになっていなかった。NYHA心機能分類II~IV、LVEF 45%未満を対象に試験 研究グループは、NYHA心機能分類II~IVの慢性心不全でLVEF 45%未満の患者5,050例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、ガイドラインに基づく薬物治療に加え、一方にはvericiguat(目標用量1日1回10mg)を、もう一方にはプラセボをそれぞれ投与した。 主要アウトカムは、心血管死または心不全による初回入院の複合とした。心血管死・心不全入院リスク、vericiguat群で0.90倍に 追跡期間中央値10.8ヵ月において、主要アウトカムの発生は、vericiguat群897/2,526例(35.5%)、プラセボ群972/2,524例(38.5%)だった(ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.82~0.98、p=0.02)。 心不全による入院は、vericiguat群27.4%(691例)、プラセボ群29.6%(747例)であり(HR:0.90、95%CI:0.81~1.00)、心血管死はそれぞれ16.4%(414例)、17.5%(441例)で(同:0.93、0.81~1.06)、いずれも有意差はなかった。 一方、全死因死亡または心不全による入院の複合は、それぞれ37.9%(957例)、40.9%(1,032例)で、vericiguat群で低率だった(HR:0.90、95%CI:0.83~0.98、p=0.02)。 症候性の低血圧症が、vericiguat群9.1%、プラセボ群7.9%で(p=0.12)、また、失神がそれぞれ4.0%、3.5%で発生が報告された(p=0.30)。

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中国でのCOVID-19、第2波の潜在的可能性は/Lancet

 中国では2020年1月23日に全国的な新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)拡散防止措置を実施後、国内の主な感染地域における感染者の再生産数(1人の感染者が生産する2次感染者数、Rt)は1未満へと大幅に減少し維持されていたことを、中国・香港大学のKathy Leung氏らが報告した。しかしながら、ウイルス再生産数のリスクは高く、とくに海外から持ち込まれるリスクが高いとして、著者は「潜在的な第2波に備えてRtと致死率の厳格なモニタリングを行いつつ、健康と経済活動の最適なバランスを取ることが必要である」としている。Lancet誌オンライン版2020年4月8日号掲載の報告。感染症モデルで第2波の可能性を検証 COVID-19のアウトブレイクを招いた中心地の湖北省武漢市を除くと、中国本土における感染者数は2020年3月18日時点で1万3,415例であり、死者は120例と報告されている。1月23日からは、全国的に大規模な公衆衛生上の介入を実施してアウトブレイクの食い止めを図っており、研究グループは、武漢市以外の主要地域におけるCOVID-19の第1波の感染状況と疾患重症度の評価を行った。 具体的に北京、上海、深セン、温州およびCOVID-19感染確認者数が多い10の中国地方都市について、瞬間的Rtを推算した。また、北京、上海、深セン、温州と全31地域について致死率(cCFR)を推算した。 感染症モデル「SIR(susceptible-infectious-recovered)モデル」を用いて、流行第1波後の拡散防止措置緩和による、第2波の可能性を検証した。第2波後には再度の拡散防止措置が必要に 調査対象の全市・省において、1月23日に拡散防止措置が実施された後、Rtは大幅に減少し、その後は1未満に維持されていた。 cCFRは、湖北省で5.91%(95%信頼区間[CI]:5.73~6.09)だったのに対し、湖北省以外では0.98%(0.82~1.16)と、およそ5分の1にとどまっていた。 また、感染の流行が小規模な段階で介入を緩和すれば、指数関数的に感染者数は増えていく(Rt>1)と推算されたこと、再び積極的拡散防止措置を実施しなければ、緩和以前の状態に戻すことは困難になることが示されたという。

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重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM

 抗ウイルス薬remdesivirを、重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者53例(日本からの症例9例を含む)に投与したところ、36例(68%)で臨床的改善がみられた。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのJonathan Grein氏らが、remdesivirの人道的使用によるコホート分析データを、NEJM誌オンライン版2020年4月10日号で発表した。<試験概要>・対象:COVID-19感染による重度急性呼吸器症状を呈する入院患者で、酸素飽和度≦ 94%もしくは酸素補充を受けている患者・治療概要: remdesivirの10日間投与(1日目に負荷投与量として200mg、その後 9 日間は100mgを1日1回静脈内投与)・観察期間:投与開始から28日間 本研究では、評価項目は事前に設定されていない。しかし分析の一環として、酸素補充の必要レベルの変更、退院、remdesivirの投与中止につながった有害事象(報告ベース)、死亡など、主要な臨床的事象の発生率を定量分析。本研究での臨床的改善を、WHOの「R&Dブループリント(戦略対策計画)」の推奨に従い、(1)退院、(2)入院や酸素補充の必要レベルなどで評価する6段階の評価基準でベースラインから2段階以上の改善の、少なくともどちらかを満たす場合と定義している。 主な結果は以下のとおり。・2020年1月25日~3月7日に少なくとも1回remdesivirを投与された61例のうち、8例のデータが除外された(7例で治療後のデータがなく、1例は投与エラーのため)。・データが分析された53例のうち、22例が米国、22例がヨーロッパまたはカナダ、9例が日本の症例。年齢中央値は64歳(四分位範囲:48~71)、40例(75%)が男性であった。・remdesivir投与開始前の症状持続期間の中央値は12日間。ベースライン時に30例(57%)が人工呼吸器、4例(8%)が体外式膜型人工肺(ECMO)を使用していた。・40例(75%)で10日間のフルコースの投与が実施され、10例(19%)は 5~9日間、3例(6%)は5日未満であった。・追跡期間中央値は18日間。この間、36例(68%)で酸素補充の必要レベルが改善し、人工呼吸器使用者30例のうち17例(57%)が抜管した。・Kaplan-Meier分析の結果、観察期間中に認められた臨床的改善の累積出現率は84%(95%信頼区間[CI]:70~99)。臨床的改善がみられた症例の割合は、侵襲的換気療法実施例(非侵襲的換気療法実施例に対するハザード比[HR]:0.33、95%CI:0.16~0.68)、70歳以上で低かった(50歳未満に対するHR:0.29、95%CI:0.11~0.74)。・25例(47%)が退院し、7例(13%)が死亡。死亡リスクは、70歳以上(70歳未満に対するHR:11.34、95%CI:1.36~94.17)、ベースライン時の血清クレアチニン値が相対的に高い症例(mg/dL ごとのHR:1.91、95%CI:1.22~2.99)、侵襲的換気療法実施例(非侵襲的換気療法実施例に対するHR:2.78、95%CI:0.33~23.19)で高い傾向がみられた。・32例(60%)がフォローアップ中に有害事象を報告した。最も一般的な有害事象は、肝酵素値の上昇、下痢、発疹、腎障害、低血圧。12例(23%)で多臓器不全症候群、敗血症性ショック、急性腎障害、低血圧等の深刻な有害事象が発生し、これらはベースライン時に侵襲的換気を受けていた症例で報告された。・4例が治療途中で投与が中止され、その理由は既存の腎機能障害の悪化が1例、多臓器不全が1例、肝酵素値の上昇が2例(うち1例は斑状丘疹状皮疹発現)であった。 著者らは、コホートサイズの小ささ、フォローアップ期間の短さ、無作為化対照群がないこと等の本研究の限界に触れ、支持療法の種類や施設での治療プロトコル、入院のしきい値の違いなどが、結果に寄与している可能性を指摘。そのうえで、今回の分析からはremdesivirが重症Covid-19患者に臨床的利益をもたらす可能性が示唆されたとし、進行中の無作為化プラセボ対照試験の結果が待たれるとしている。(ケアネット 遊佐 なつみ)専門家はこう見る:CLEAR!ジャーナル四天王

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うつ病の原因リスク遺伝子

 うつ病に関連するいくつかの遺伝的変異は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により特定されている。しかし、リスク遺伝子座において関連シグナルの要因となる原因変異を特定することは、依然として大きな課題となっている。中国・Jining Medical UniversityのXin Wang氏らは、うつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年3月15日号の報告。 Summary data-based Mendelian Randomization(SMR)とPsychiatric Genomics Consortium(PGC)のGWASサマリーおよび脳の発現定量的形質遺伝子座(expression quantitative trait loci:eQTL)データを用いて、その発現レベルとうつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。次に、うつ病の病因におけるリスク遺伝子の潜在的な役割を調査するため、差次的発現解析、メチル化QTL解析、認知ゲノム解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・SMR統合分析では、ニューロン成長レギュレータ1(NEGR1)遺伝子にあるSNP rs10789336が脳組織のRPL31P12の発現レベルに有意な影響を及ぼし、うつ病リスクに寄与することが確認された(p=0.00000196)。・SNP rs10789336は、以下の3つの近いDNAメチル化部位のメチル化レベルとの関連が認められた。 ●cg09256413(NEGR1):p=0.000000000172 ●cg11418303(プロスタグランジンE受容体3[PTGER3]):p=0.00000478 ●cg23032215(ZRANB2アンチセンスRNA2[ZRANB2-AS2]):p=0.000123・差次的発現解析では、NEGR1遺伝子が前頭前野でアップレギュレートされていることが示唆された(p=0.00514)。・認知ゲノム解析では、SNP rs10789336と関連が認められたのは、以下のとおりであった。 ●認知能力:p=0.000000000000000241 ●学歴:p=0.0000000000000175 ●一般的な認知機能:p=0.00000000000265 ●言語数値推論:p=0.00000000000136 著者らは「NEGR1のSNP rs10789336が、うつ病リスクに影響を及ぼす可能性があることが示唆された。うつ病の病因に対するNEGR1の役割については、さらなる調査が求められる」としている。

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コレステロール降下薬のCutting Edge(解説:平山篤志氏)-1215

 1994年にシンバスタチンの投与により心血管死亡が減少するという4S試験の報告以来スタチンによるコレステロール低下は動脈硬化性疾患の発症抑制、とくに冠動脈疾患の発症リスクを低下させてきた。しかし、最大量の強力なスタチンを用いてもコレステロール低下効果には限界があり、残余リスクの一因であった。コレステロール吸収阻害薬エゼチミブ、そしてPCSK9阻害薬の登場により、スタチンの限界を超えてコレステロールを低下することが可能となり、それに伴い心血管イベントの減少がもたらされた。しかし、薬剤の服用中止により、心血管イベントが増加することから、継続的な治療が必要であり、アドヒアランスをいかに維持するかが重要である。とくに、PCSK9阻害薬は2週間から4週間に1度の注射が必要であること、高額であることから治療への逡巡および継続が難しいとされていた。 今回のORION-10およびORION-11の2つの第III相試験の結果から、肝臓でのPCSK9産生を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)製剤のinclisiranは、6ヵ月ごとの皮下投与によりLDLコレステロール値を約50%低下させることが認められた。また、570日という期間ではあるが、注射部位の副作用以外の重大な副作用は認められなかった。 今後長期間の投与で副作用がなければ、新たなコレステロール治療薬となり、6ヵ月に1度という期間を考えれば、注射をするという患者負担が軽減される点でアドヒアランスの向上に大きく寄与するであろう。ただ、核酸薬という新たなジャンルの薬剤であり、価格が医療経済の枠組みで許容できるかが大きな問題である。さらに、これまで核酸薬になじみのなかった生活習慣病を扱う医師の意識がどのように変わるかも、この薬剤の普及の大きな焦点である。

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第14回 治療編(1)薬物療法【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第14回 治療編(1)薬物療法今回は、治療編として薬物療法に焦点を当てて解説していきたいと思います。「痛み」の原因の分類で、炎症性疼痛があります。何らかの原因で炎症症状が発現し、それによって発痛物質が作り出されると、それが神経の痛み受容器を刺激する結果として、患者さんは痛みを訴えて受診されます。末梢性炎症性疼痛に対する治療薬として使用されるのが、NSAIDs、ステロイド性抗炎症薬です。アセトアミノフェンはNSAIDsとは異なる作用機序ではありますが、比較的よく用いられております。痛み治療第1段階の薬物療法3種まず、痛み治療の第1段階で頻繁に用いられているNSAIDsから説明しましょう。NSAIDs(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)1)作用機序アラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)系の働きを抑制することで、プロスタグランジン(prostaglandin:PG)E2の生産を減少させ、抗炎症作用、血管収縮作用などにより鎮痛作用を示します。末梢性に効果を発揮するため、炎症や腫脹が見られる時に、とくに効果があります。2)投与上の注意COXには、全身の細胞に常在する構成型酵素のCOX-1と、炎症によって生じるサイトカインの刺激によって炎症性細胞に発現する誘導型酵素のCOX-2が存在します。COX-1由来のPGが胃粘膜の血流維持や粘液産生増加、腎血流維持に働いており、通常のNSAIDsを使用する場合には、COX-1阻害作用によって胃潰瘍や消化管出血、腎血流障害などを生じる可能性があります。一方、選択的COX-2阻害薬は、COX-2由来の血小板凝集阻止作用を有するプロスタサイクリン産生を減少させ、トロンボキサン(thromboxane:TX)A2の産生を維持するため、血圧上昇や動脈硬化、血栓形成を促進させる可能性があります。そのため、活動性の動脈硬化病変がある不安定狭心症、心筋梗塞、脳血管虚血症状を有する患者さんに投与する場合は、できるだけCOX-2阻害薬を避けることが望ましいです。以下、主なNSAIDsと投与量を示します(図)。画像を拡大するステロイド性抗炎症薬1)作用機序ステロイドはリポコルチンの生合成を促進して、ホスホリパーゼA2の作用を阻害するによって、最終的にCOX-2やサイトカインの生成を抑制し、鎮痛効果を発揮します。2)投与上の注意局所炎症、神経圧迫や神経損傷による急性疼痛に対しては有用ではありますが、慢性疼痛に対する効果の持続は限定されます。経口投与では、プレドニゾロン20~30mg/日で開始し、1週間程度で治療効果が得られなければ、漸次減量していきます。硬膜外腔投与にはデキサメタゾン2~8mg、関節内投与には同0.8~2mgを投与します。アセトアミノフェン1)作用機序NSAIDsとは異なり、中枢系プロスタノイドの抑制、内因性下行性疼痛抑制系の活性化、内因性オピオイドの増加などによる鎮痛機序が推測されています。本薬には末梢性消炎作用は存在しないために、炎症性疼痛に対してはNSAIDsの短期間投与が推奨されています。2)投与上の注意最近、安全性の高さから1日最大投与量が4,000mgと規定されました。しかしながら、最大量のアセトアミノフェンを長期投与する場合には、肝機能への影響が懸念されるため、経時的な肝機能のモニタリングに留意する必要があります。通常開始量は325~500mg を4時間ごと、500~1000mgを6時間ごとに最大量4,000mgとして投与します。高血圧や心筋梗塞、虚血性心疾患、脳卒中、などの心血管疾患系のリスクを有する患者さんで筋骨格系の痛み治療が必要になった場合には、アセトアミノフェンやアスピリンが薦められています。これらが無効な場合にはNSAIDsを考慮します。その際は、プロトンポンプインヒビターなど胃粘膜保護薬を消化管出血の予防に使用します。以上、痛み治療の第1段階における薬物を取り上げ、その作用機序、投与における注意点などを述べました。読者の皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S152-1532)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S1543)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S167

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第3回 慶應義塾大学病院の集団感染でわかった「行動変容」の難しさ

40人でパーティ、18人が陽性こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件について、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、東京の街は大変なことになってきました。緊急事態宣言の後、東京都は飲食店に対し、営業は午後8時まで、お酒の提供は午後7時までにしてくれ、と要請しました。多くの飲食店は売上減を少しでもカバーしようと、テイクアウトメニューやお弁当の提供を始めています。私がよく行く焼肉屋も急遽、お弁当を開始していましたが、店主は「焼け石に水だよ」と暗い顔でした。安倍首相は、接客を伴う飲食店の利用や企業への出勤者削減などのさまざまな行動の自粛要請を7都府県だけでなく、全国に広げる考えです。オフィス街に人がいないので、お弁当のニーズもそれほど期待できそうにありません…。今週気になったのは、慶應義塾大学病院の集団感染のニュースです。4月6日、同病院は「院内で研修医の新型コロナウイルスの集団感染が発生し、18人が陽性と確認された」と発表しました。それによれば、3月31日に初期研修を修了した研修医1人の感染が確認されたため、接触の可能性が高い研修医99人を2週間の自宅待機とし、PCR検査を実施したところ、6日までに18人の感染が判明した、とのことです。世間が問題視したのは研修医たちの行動です。3月26日、研修医たちは約40人で初期研修修了の打ち上げパーティを開いていたのです。26日といえば、東京都の小池百合子知事が、夜間の外出を控えるよう要請した翌日。同院でも、医師らに会食をしないよう周知し、研修修了後の懇親会もしないよう注意喚起をしていた矢先の出来事でした。慶應義塾大学病院は「研修医のとった行動は患者を守るべき医療者として許されない行為であり、医師としての自覚が欠如していたと言わざるを得ない」と6日に謝罪文を出しています。なお、同病院は4月14日現在、初診・救急は原則停止。再診も化学療法・免疫療法を含め、治療計画上必要な診療以外は基本停止しています。「自粛要請」だけで乗り切れるのか……さて、このニュース、「医師として情けない!」という批判が全国で上がったのですが、4月9日発売の週刊文春は、より詳細にパーティの様子や感染の経緯を報道しています。そこでは、多数の院内感染が発生した台東区の永寿総合病院に出入りしていた研修医の指導医が感染源ではないか、と推測されています。その指導医に付いていた研修医1人がまず感染。この研修医はパーティを欠席しましたが、それ以前にほかの研修医にうつしたとみられ、うつされた研修医が参加したことで一気に広がった、とみられています。パーティは午後9時過ぎからなんと、朝方まで続いたとのことです。同病院では、研修医と濃厚接触した100人ほどの医師も2週間の自宅待機となり、同病院の診療機能や関連病院の人事にも多大な影響を及ぼしているようです。同様のニュースは、京都からも届いています。4月7日、京都大学医学部附属病院で医師、研修医、事務職員ら95人が病院側の自粛要請にもかかわらず、会食を行ったり国内旅行をしたりしていた事実が判明したのです。病院は関係者全員に2週間の自宅待機を命じています。学生が羽目を外すのはよくあることですが、よりによって偏差値最高レベルの慶應義塾大学医学部で最新医学をみっちり学んだ若者が、この時期に「3密」の飲み会を長時間にわたって開いていたという事実は、重いものがあります。ちなみに、慶應義塾大学医学部は厚生労働省の鈴木康裕医務技官の出身校です。新型コロナ対策を指揮する医系技官トップの母校で起こった不祥事、というわけです。首相以下、政府対策本部の専門家会議の医師も口を酸っぱくして強調する「行動変容」。実際にそれを国民に促すのがいかに難しいか、それをこの事件は教えてくれました。「夜8時で飲み屋は終了」を「夜8時までは飲めるから5時から飲もう」と“前向き”に考える人は少なくないのでは。医学部で感染症の怖さをみっちり学んだはずの若者ですらこの体たらくなのですから…。今後、さまざまな「自粛要請」だけで果たして難局を乗り切れるのか。またまた心がざわついている今日この頃です。

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相性の悪かった吸入器を変更して服薬習慣も改善【うまくいく!処方提案プラクティス】第18回

 今回は、喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)患者さんのアドヒアランスを上げるために、吸入器の変更を検討した処方提案です。内服薬の見直しと介護サービスの連携も同時に行うことで、QOLを改善することができました。患者情報75歳、男性(在宅、要介護1)基礎疾患:気管支喘息、肺気腫、末梢動脈疾患、両膝変形性関節症服薬管理:一包化介護状況:訪問介護(毎日午前中)喫  煙:20本/日処方内容1.エピナスチン錠20mg 1錠 分1夕食後2.モンテルカスト錠10mg 1錠 分1 夕食後3.ブロムへキシン錠5mg 3錠 分3 朝昼夕食後4.ロキソプロフェン錠60mg 2錠 分2 朝夕食後5.レバミピド錠100mg 2錠 分2 朝夕食後6.ツロブテロール錠1mg 2錠 分2 朝夕食後7.サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステルドライパウダーインヘラー250ディスカス 1日2回 朝夕吸入本症例のポイント在宅訪問を開始する際に、この患者さんは服薬アドヒアランスが悪く、喘息発作のため何度も入退院を繰り返しているという話を訪問診療医から聞き取りました。初回面談時に両膝関節痛と呼吸苦を訴えていましたが、朝も夕もほとんど内服ができておらず、残薬がたくさんある状況でした。また、吸入薬もほとんど残数が減っていませんでした。詳しく聞いていくと、患者さんは治療の必要性や治療効果を十分に感じていないようで、具合が悪くても年のせいと諦めていて、服用忘れがあっても次の分の時に飲めばいいという認識でした。吸入薬に関しても、残薬カウンターに拡大レンズを付けていたものの、残数が見えにくく、吸入したかどうかわからないため吸入しないことが多々あることが判明しました。さらに、吸入器の操作にも難があり、薬装填レバーを繰り返し押してカウンターを無駄に回していました。本人としては、飲み薬は可能な限り減らして、吸入薬も残薬がわかりやすくて使いやすいものにしてほしいという希望があったため、介入を開始しました。処方提案と経過(1)服薬管理についてまず、ケアマネジャーに、毎朝の訪問介護スタッフに朝の内服と吸入薬の声掛けをしてもらうことは可能か相談しました。もともとケアマネジャーも服薬管理が困難であることを問題視していたため、快く受け入れてもらうことができました。そこで、医師に処方薬を下記の内容で1日1回朝にまとめることを訪問報告書で相談することにしました。(処方提案内容)エピナスチン錠、モンテルカスト錠を朝内服に変更ブロムへキシン錠をアンブロキソール徐放錠45mg 朝のみに変更ロキソプロフェン錠、レバミピド錠を中止し、ロキソプロフェンテープ(1日1回朝)に変更吸入薬にLABAが含有されているため、ツロブテロール錠を中止(2)吸入薬について適切に吸入できるようにするため、1日1回かつレバーを空けるだけで薬が装填可能で、残薬カウンターも見やすいビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステルドライパウダーインヘラーへの変更を検討しました。吸気確認や操作手順の確認をするために吸入練習器を使用したところ、吸気や操作手順に問題はなく、患者さんの受け入れもよかったため、上記の報告書に練習器の吸入状況も記載して報告し、ビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステルドライパウダーインヘラーへの切り替えを提案しました。医師より電話連絡があり、提案書の内容で承認を得ることができ、翌日より朝1回の内服と吸入の管理が始まりました。訪問介護スタッフからは、変更後の吸入器は残数が見やすく、吸入できたかどうかの確認が容易なので声掛けがしやすいという報告をいただきました。その結果、服薬忘れがなくなり、頻回だった呼吸苦も改善しました。きちんと服薬すると体調が改善することを実感できたため、患者さん自ら服用忘れを防止するメモを書いてわかりやすい場所に置くなど、自分の体調を守ろうという意識に変化しました。その後、喘息発作の出現はなく、両膝関節痛も貼付薬で良好にコントロールできています。

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ステロイド恐怖症、教育介入で改善するか?

 ステロイド恐怖症(steroid phobia)は、服用薬はもとより外用薬に対しても例外ではない。皮膚科部門では、コルチコステロイドの副作用に対する恐れが一般的にみられ、そのことが治療のノンアドヒアランスを招いている。これらを背景に、シンガポール・National University Health SystemのEllie Choi氏らは教育介入による、ステロイド外用薬恐怖症の軽減効果を調べる二重盲検無作為化試験を行った。不安評価尺度TOPICOP(TOPIcal COrticosteroid Phobia)を用いた評価において、知識ドメインについて改善は認められたが、恐怖ドメインについては認められなかったという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年3月11日号掲載の報告。ステロイド恐怖症のスコア改善、恐怖/行動ドメインでは認められず 研究グループは、ステロイド外用薬恐怖症を減らす教育介入による有効性を調べる検討を行った。介入群の被験者には、教育用ビデオを提供し、コルチコステロイド外用薬に関してよくみられる誤った認識にターゲットを絞ったリーフレットを作成し、情報提供した。 ステロイド外用薬恐怖症についてTOPICOPスケールで評価し、また、治療アドヒアランスをECOBスコアで、QOLをDLQIで評価した。 ステロイド恐怖症、教育介入軽減効果を調べた主な結果は以下のとおり。・275例の患者が無作為化を受けた。・教育介入群のTOPICOPスコアの平均(SD)は、41.9(SD 17.4)点から、1ヵ月時点で37.1(20.0)点に、3ヵ月時点で33.8(19.0)点に低下し、ステロイド恐怖症のスコア改善が認められた。・しかし、ステロイド恐怖症のスコアの改善は、知識ドメインでの低下を反映したもので、恐怖ドメインや行動ドメインでは認められなかった。・それらのステロイド恐怖症のスコアは、人口統計学的交絡因子で補正後も、4.22点の低下が期待されたが、統計学的に有意な差はなかった(p=0.031)。・人口統計学的因子で補正後、治療アドヒアランスおよびQOLに、統計学的な差は認められなかった。

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貧血と認知症と鉄分サプリメントの関連~コホート研究

 従来の認知症のリスク因子に加えて、貧血がその初期のバイオマーカーであるか確認する必要がある。台湾・台北医学大学のChien-Tai Hong氏らは、台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。Current Alzheimer Research誌オンライン版2020年3月16日号の報告。鉄分サプリメントを使用している貧血患者は認知症リスクが低い傾向 対象は、脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。人口統計および合併症に基づいて貧血患者と1:4でマッチさせた非貧血患者を対照群とした。貧血患者の認知症リスクの評価には、対照群と比較するため、競合リスク分析を用いた。 新規に貧血と診断された患者における認知症リスクを調査した主な結果は以下のとおり。・貧血患者における認知症リスクの調整部分分布ハザード比(SHR)は、1.14(95%信頼区間[CI]:1.08~1.21、p<0.001)であった。・鉄分サプリメントを使用している貧血患者では、未使用の患者と比較し、認知症リスクが低い傾向にあった(調整SHR:0.84、95%CI:0.75~0.94、p=0.002)。・サブグループ解析では、女性、70歳以上および、高血圧・糖尿病・脂質異常症でない患者において、認知症と貧血との相関が認められた。 著者らは「新規の貧血診断は、認知症のリスク因子であることが示唆された。鉄欠乏性貧血患者に対する鉄分サプリメント使用は、認知症リスクを低下させる可能性がある」としている。

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腎デナベーション、降圧薬非投与の高血圧に有効/Lancet

 降圧薬治療を受けていない高血圧患者の治療において、カテーテルを用いた腎神経焼灼術(腎デナベーション)は偽手術と比較して、優れた降圧効果をもたらし、安全性も良好であることが、ドイツ・ザールラント大学のMichael Bohm氏らの検討(SPYRAL HTN-OFF MED Pivotal試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。カテーテルを用いた腎デナベーションは、腎神経の焼灼を介して交感神経活性を抑制することで血圧を低下させる治療法。初期の概念実証研究では降圧効果が観察されているが、血圧がコントロールされていない患者を対象とした無作為化偽対照比較試験では、ベースラインに比べ有意な降圧効果を認めたものの、対照との間には差がなかったと報告されている。3ヵ月後の収縮期血圧を比較する無作為化試験 本研究は、日本を含む9ヵ国44施設が参加した単盲検無作為化偽対照比較試験であり、2015年6月~2019年10月の期間に患者登録が行われた(Medtronicの助成による)。 対象は、年齢20~80歳、診察室収縮期血圧が150~<180mmHg、診察室拡張期血圧が≧90mmHgであり、自由行動下血圧測定で24時間の収縮期血圧の平均値が140~<170mmHgの高血圧患者であった。無作為化の前に、降圧薬の投与を受けていた患者は中止するよう求められた。被験者は、腎デナベーションまたは偽手術を受ける群(対照群)に無作為に割り付けられた。 解析にはベイズ法による研究デザインを用い、今回の試験のデータ(251例)と以前の無作為化パイロット試験(80例)のデータを統合した。 有効性の主要エンドポイントは、ベースラインから3ヵ月までの、ベースライン値で補正した24時間収縮期血圧の変化とした。有効性の副次エンドポイントは、同期間のベースライン値で補正した診察室収縮期血圧の変化であった。頻度論的解析でも同様の結果 解析の対象となった331例は、腎デナベーション群が166例(平均年齢52.4[SD 10.9]歳、女性36%)、対照群は165例(52.6[10.4]歳、32%)であった。 ベースラインから3ヵ月後の24時間収縮期血圧の変化の差には、両群間に有意差が認められ、優越性の事後確率は0.999を超えており、群間差は-3.9mmHg(ベイズ95%確信区間[BCI]:-6.2~-1.6)であった。 また、ベースラインから3ヵ月後の診察室収縮期血圧の変化の差にも、両群間に有意差がみられ、エンドポイントは満たされ(群間差:-6.5mmHg、95%BCI:-9.6~-3.5)、優越性の事後確率は0.999を上回った。 一方、共分散分析(ANCOVA)で補正した頻度論的解析でも、血圧の変化はベイズ法の結果とほぼ同様であり、24時間収縮期血圧の変化の群間差は-4.0mmHg(95%信頼区間[CI]:-6.2~-1.8、p=0.0005)、診察室収縮期血圧の変化の群間差は-6.6mmHg(-9.6~-3.5、p<0.0001)であった。 平均24時間血圧測定では、3ヵ月間で、腎デナベーション群は収縮期血圧が24時間を通じて一貫性をもって低下した。すなわち、夜間(22~7時)の平均収縮期血圧はベースラインの143(SD 10)mmHgから3ヵ月後には138(13)mmHgへ低下し(p<0.0001)、日中(7~22時)の平均収縮期血圧は156(9)mmHgから151(12)mmHgへと低下した(p<0.0001)。拡張期血圧についても同様の結果であった。一方、対照群では、このような血圧の有意な変化はみられなかった。 3ヵ月間で、安全性関連の重大イベントが両群で1例ずつ発生したが(腎デナベーション群:高血圧クリーゼ/緊急症による入院、対照群:新規脳卒中)、デバイス関連および手技関連の重大なイベントは認められなかった。 著者は、「本試験と対をなす進行中の試験(NCT02439749)では、降圧薬の投与を受けている患者における安全性と有効性を評価する予定である」としている。

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COVID-19への対応を医療機関向けに公開/国立国際医療研究センター

 ほぼ全国で患者が確認されつつある新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、COVID-19の国内発生の初期から本感染症患者の診療にあたってきた国立国際医療研究センター(NCGM)は、医療機関向けに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する当院の対応」を公開した。 本コンテンツでは、・入院患者(外来も準ずる)における COVID-19の感染対策 ・手術室における感染対策・個人防護具装着方法・個人防護具脱衣方法について、コンパクトかつ重要なポイントのみ記載され、臨床現場で使いやすいものとなっている。 今後のCOVID-19診療で参考にしていただきたい。

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新型コロナ、感染研による評価済みウイルス検出試薬一覧

 新型コロナウイルスの感染拡大傾向は依然続いており、精度や汎用性の高いウイルス検出が喫緊の課題である。国立感染症研究所(以下、感染研)は4月9日、同所の病原体検出マニュアルに基づく方法(以下、感染研法)などで検査精度を比較した結果を公表した。PCR検査「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出」は3月6日付で保険適用され、保健所を経由せずに検査依頼を行うことが可能となり、民間検査機関の検査能力の増強にもつながっている。 結果は以下の通り。 感染研が用意した臨床検体による陽性一致率及び陰性一致率(陽性:10検体、陰性:15検体)(1)LightMixR Modular SARS-CoV(COVID19) E-gene、LightMixR Modular SARSCoV(COVID19) N-gene1):ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社・通常の検査方法(逆転写及び遺伝子増幅に1時間以上)<結果>陽性一致率:100%(10/10)  陰性一致率:100%(15/15)1)LightMixR Modular SARS-CoV(COVID19) E-geneおよびLightMixR Modular SARSCoV(COVID19) N-geneを使い、両方もしくはいずれかで陽性となったら、「SARS-like コロナウイルス陽性」と判定。(2)LightMixR Modular SARS-CoV(COVID19) E-gene2):ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社・通常の検査方法(逆転写及び遺伝子増幅に1時間以上)<結果>陽性一致率:100%(10/10)  陰性一致率:100%(15/15)2)LightMixR Modular SARS-CoV(COVID19) Egeneのみで判定した評価。(3)新型コロナウイルス検出 RT-qPCR キット:BGI社・通常の検査方法(逆転写及び遺伝子増幅に1時間以上)<結果>陽性一致率:100%(10/10)  陰性一致率:100%(15/15)(4)FLUOROSEARCHTM Novel Coronavirus (SARSCoV-2) Detection Kit:医学生物学研究所・通常の検査方法(逆転写及び遺伝子増幅に1時間以上)<結果>陽性一致率:100%(10/10)  陰性一致率:100%(15/15)(5)TaqMan SARS-CoV-2 Assay Kit v2 (Multiplex):ライフテクノロジーズジャパン株式会社・通常の検査方法(逆転写及び遺伝子増幅に1時間以上)<結果>陽性一致率:100%(10/10)  陰性一致率:100%(15/15)(6)Loopamp 2019-nCoV検出試薬キット:栄研化学社・迅速な検査方法(逆転写及び遺伝子増幅が1時間未満)<結果>陽性一致率:90%(9/10)  陰性一致率:100%(15/15)(7)SARS-CoV-2 GeneSoC ER杏林:杏林製薬・迅速な検査方法(逆転写及び遺伝子増幅が1時間未満)<結果>陽性一致率:90%(9/10)  陰性一致率:100%(15/15)(8)SmartAmp 2019新型コロナウイルス検出試薬:株式会社ダナフォーム・迅速な検査方法(逆転写及び遺伝子増幅が1時間未満)<結果>陽性一致率:90%(9/10)  陰性一致率:100%(15/15)(9)新型コロナウイルスRNA検出試薬Genelyzer KIT:キヤノンメディカルシステムズ(株)・迅速な検査方法(逆転写及び遺伝子増幅が1時間未満)<結果>陽性一致率:90%(9/10)  陰性一致率:100%(15/15)独自の臨床検体による陽性一致率及び陰性一致率(陽性:10検体、陰性:15検体)(1)2019新型コロナウイルス検出試薬キット:株式会社 島津製作所・通常の検査方法(逆転写及び遺伝子増幅に1時間以上)<結果>陽性一致率:100%(10/10)  陰性一致率:100%(15/15)

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高齢の早期乳がん、手術省略で生存率は?

 高齢の手術可能な乳がん患者における手術省略は、生存率に影響はないのだろうか。今回、オランダ・ライデン大学のA. Z. de Boer氏らは、Stage I~IIの80歳以上のホルモン受容体(HR)陽性乳がん患者において調査したところ、手術省略が相対生存率および全生存率低下に関連することが示された。British Journal of Surgery誌オンライン版2020年4月7日号に掲載。 本研究の対象は、Netherlands Cancer Registryにおいて2003~09年にStage I~IIのHR陽性乳がんと診断された高齢患者(80歳以上)6,464例。手術率の異なる病院の患者間で相対生存率と全生存率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・相対生存率は、手術率が低い病院で治療を受けた患者のほうが、手術率が高い病院で治療を受けた患者より低かった(5年後:90.2 vs.92.4%、10年後:71.6 vs.88.2%)。・手術率の低い病院で治療を受けた患者の相対過剰リスクは2.00(95%CI:1.17~3.40)であった。・全生存率も、手術率が低い病院で治療を受けた患者のほうが、手術率が高い病院で治療を受けた患者より低かった(5年後:48.3 vs.51.3%、10年後:15.0 vs.19.7%、調整ハザード比:1.07、95%CI:1.00~1.14)。

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根治療法前の高リスク前立腺がん患者を対象としたPSMA PET-CTの有用性:多施設前向きランダム化試験(解説:宮嶋哲氏)-1213

 本研究は、2017年から2018年にオーストラリアの10施設において、高リスク前立腺がんに対して手術または放射線治療の根治療法を予定していた302症例を対象とし、従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)とPSMA PET-CTの有用性を比較したprospective randomized studyである。 cT3以上高リスク前立腺がんと診断された302症例をランダム化して、半数が従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)を、残りの半数がPET-CTを施行された。その2週間後に、同じ両患者群を対象に画像検査をクロスオーバーさせてセカンドラインとして画像検査を行い比較検討している。 全症例のうち、87例(30%)で骨盤内リンパ節、または遠隔転移が陽性であった。PSMA-PETは従来の画像検査よりAUCで27%優位であり、従来の画像検査はPSMA-PETに比べて、感度、特異度ともに低いことが示された。サブ解析においてPSMA PETのAUCはリンパ節および遠隔転移に対して90%以上と従来の画像検査に対して明らかな優位性を示した。また放射線被曝も従来の画像検査のほうが10.9mSV高いことが示された。 PSMA(prostate specific membrane antigen)は、前立腺がん細胞の細胞表面に発現する糖蛋白であり、PSMAを標的としたモノクローナル抗体を介したPSMA-PET CTは前立腺がんの病勢把握や微小転移巣の早期検出に有用であり、従来の画像診断法に代わる最新の画像モダリティとして脚光を浴びている。さらに、抗PSMA抗体と各種薬剤を組み合わせることで前立腺がん治療への応用が期待されている。

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非典型溶血性尿毒症症候群〔aHUS :atypical hemolytic uremic syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義非典型尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)は、補体制御異常に伴い血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)を呈する疾患である。TMAは、1)微小血管症性溶血性貧血、2)消費性血小板減少、3)微小血管内血小板血栓による臓器機能障害、を特徴とする病態である。■ 疫学欧州の疫学データでは、成人における発症頻度は毎年100万人に2~3人、小児では100万人に7人程度とされる。わが国での新規発症は年間100~200例程度と考えられている。わが国の遺伝子解析結果では、C3変異例の割合が高く(約30%)、欧米で多いとされるCFH遺伝子変異の割合は低い(約10%)。■ 病因病因は大きく、先天性、後天性、その他に分かれる。1)先天性aHUS遺伝子変異による補体制御因子の機能喪失あるいは補体活性化因子の機能獲得により補体第2経路が過剰に活性化されることで血管内皮細胞や血小板表面の活性化をもたらし微小血栓が産生されaHUSが発症する(表1)。機能喪失の例として、H因子(CFH)、I因子(CFI)、CD46(membrane cofactor protein:MCP)、トロンボモジュリン(THBD)の変異、機能獲得の例として補体C3、B因子(CFB)の変異が挙げられる。補体制御系ではないが、diacylglycerol kinase ε(DGKE)やプラスミノーゲン(PLG)遺伝子の変異も先天性のaHUSに含めることが多い。表1 aHUSの原因別の治療反応性と予後画像を拡大する2)後天性aHUS抗H因子抗体の出現が挙げられる。CFHの機能障害により補体第2経路が過剰に活性化する。抗H因子抗体陽性者の多くにCFHおよびCFH関連蛋白質(CFHR)1~5の遺伝子欠損が関与するとされている。3)その他現時点では原因が特定できないaHUSが40%程度存在する。■ 症状溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害による症状を認める。具体的には血小板減少による出血斑(紫斑)などの出血症状や溶血性貧血による全身倦怠感、息切れ、高度の腎不全による浮腫、乏尿などである。発熱、精神神経症状、高血圧、心不全、消化器症状などを認めることもある。下痢があってもaHUSが否定されるわけではないことに注意を要する。aHUSの発症には多くの場合、感染症、妊娠、がん、加齢など補体の活性化につながるイベントが観察される。わが国の疫学調査でも、75%の症例で感染症を始めとする何らかの契機が確認されている。■ 予後一般に、MCP変異例は軽症で予後良好、CFHの変異例は重症で予後不良、C3変異例はその中間程度と言われている(表1)。海外データではaHUS全体における慢性腎不全に至る確率、つまり腎死亡率は約50%と報告されている。わが国の疫学データではaHUSの総死亡率は5.4%、腎死亡率は15%と比較的良好であった。特に、わが国に多いC3 p.I1157T変異例および抗CFH抗体陽性例の予後は良いとされている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ TMA分類の概念TMAの3徴候を認める患者のうち、STEC-HUS、TTP、二次性TMA(代謝異常症、感染症、薬剤性、自己免疫性疾患、悪性腫瘍、HELLP症候群、移植後などによるTMA)を除いたものを臨床的aHUSと診断する(図1)。図1 aHUS定義の概念図画像を拡大する■ 診断手順と鑑別診断フローチャート(図2)に従い鑑別診断を進めていく。図2 TMA鑑別と治療のフローチャート画像を拡大する1)TMAの診断aHUS診断におけるTMAの3徴候は、下記のとおり。(1)微小血管症性溶血性貧血:ヘモグロビン(Hb) 10g/dL未満血中 Hb値のみで判断するのではなく、血清LDHの上昇、血清ハプトグロビンの著減(多くは検出感度以下)、末梢血塗沫標本での破砕赤血球の存在をもとに微小血管症性溶血の有無を確認する。なお、破砕赤血球を検出しない場合もある。(2)血小板減少:血小板(platelets:PLT)15万/μL未満(3)急性腎障害(acute kidney injury:AKI):小児例では年齢・性別による血清クレアチニン基準値の1.5倍以上(血清クレアチニンは、日本小児腎臓病学会の基準値を用いる)。成人例では、sCrの基礎値から1.5 倍以上の上昇または尿量0.5mL/kg/時以下が6時間以上持続のいずれかを満たすものをAKIと診断する。2)TMA類似疾患との鑑別溶血性貧血を来す疾患として自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が鑑別に挙がる。AIHAでは直接クームス試験が陽性となる。消費性血小板減少を来す疾患としては、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を鑑別する。PT、APTT、FDP、Dダイマー、フィブリノーゲンなどを測定する。TMAでは原則として凝固異常はみられないが、DICでは著明な凝固系異常を呈する。また、DICは通常感染症やがんなどの基礎疾患に伴い発症する。3)STEC-HUSとの鑑別食事歴と下痢・血便の有無を問診する。STEC-HUSは、通常血液成分が多い重度の血便を伴う。超音波検査では結腸壁の著明な肥厚とエコー輝度の上昇が特徴的である。便培養検査、便中の志賀毒素直接検出検査、血清の大腸菌O157LPS抗体検査が有用である。小児では、STEC-HUSがTMA全体の約90%を占めることから、生後6ヵ月以降で、重度の血便を主体とした典型的な消化器症状を伴う症例では、最初に考える。逆に生後6ヵ月までの乳児にTMAをみた場合はaHUSを強く疑う。小児のSTEC-HUSの1%に補体関連遺伝子変異が認められると報告されている点に注意が必要である。詳細は、HUSガイドラインを参照。4)TTPとの鑑別血漿を採取し、ADAMTS13活性を測定する。10%未満であればTTPと診断できる。aHUS、STEC-HUS、二次性TMAなどでもADAMTS13活性の軽度低下を認めることがあるが、一般に20%以下にはならない。aHUSにおける臓器障害は急性腎障害(AKI)が最も多いのに対して、TTPでは精神神経症状を認めることが多い。TTPでも血尿、蛋白尿を認めることがあるが、腎不全に至る例はまれである。5)二次性TMAとの鑑別TMAを来す基礎疾患を有する二次性TMAの除外を行った患者が、臨床的にaHUSと診断される。aHUS確定診断のための遺伝子診断は時間を要するため、多くの症例で急性期には臨床的に判断する。表2に示す二次性TMAの主たる原因を記す。可能であれば、原因除去あるいは原疾患の治療を優先する。コバラミン代謝異常症は特に生後6ヵ月未満で考慮すべき病態である。生後1年以内に、哺乳不良、嘔吐、成長発育不良、活気低下、筋緊張低下、痙攣などを契機に発見される例が多いが、成人例もある。ビタミンB12、血漿ホモシスチン、血漿メチルマロン酸、尿中メチルマロン酸などを測定する。乳幼児の侵襲性肺炎球菌感染症がTMAを呈することがある。直接Coombs試験が約90%の症例で陽性を示す。肺炎球菌が産生するニューラミニダーゼによって露出するThomsen-Friedenreich (T)抗原に対する抗T-IgM抗体が血漿中に存在するため、血漿投与により病状が悪化する危険性がある。新鮮凍結血漿を用いた血漿交換療法や血漿輸注などの血漿治療は行わない。妊娠関連のTMAのうち、HELLP症候群(妊娠高血圧症に合併する溶血性貧血、肝障害、血小板減少)や子癇(妊娠中の高血圧症と痙攣)は分娩により速やかに軽快する。妊娠関連TMAは常位胎盤早期剥離に伴うDICとの鑑別も重要である。TTPは妊娠中の発症が多く,aHUSは分娩後の発症が多い。腎移植後に発症するTMAは、原疾患がaHUSで腎不全に陥った症例におけるaHUSの再発、腎移植後に新規で発症したaHUS、臓器移植に伴う急性抗体関連型拒絶反応が疑われる。aHUSが疑われる腎不全患者に腎移植を検討する場合は、あらかじめ遺伝子検査を行っておく。表2 二次性TMAの主たる原因a)妊娠関連TMAHELLP症候群子癪先天性または後天性TTPb)薬剤関連TMA抗血小板剤(チクロビジン、クロピドグレルなど)カルシニューリンインヒビターmTOR阻害剤抗悪性腫瘍剤(マイトマイシン、ゲムシタビンなど)経口避妊薬キニンc)移植後TMA固形臓器移植同種骨髄幹細胞移植d)その他コパラミン代謝異常症手術・外傷感染症(肺炎球菌、百日咳、インフルエンザ、HIV、水痘など)肺高血圧症悪性高血圧進行がん播種性血管内凝固症候群自己免疫疾患(SLE、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、血管炎など)(芦田明ほか.日本アフェレシス学会雑誌.2015;34:40-47.より引用・改変)6)家族歴の聴取家族にTMA(aHUSやTTP)と診断された者や原因不明の腎不全を呈した者がいる場合、aHUSを疑う。ただし、aHUS原因遺伝子変異があっても発症するのは全体で50%程度とされている。よって家族性に遺伝子変異があっても家族歴がはっきりしない例も多い。さらに孤発例も存在する。7)治療反応性による診断の再検討aHUSは 75%の症例で感染症など何らかの疾患を契機に発症する。二次性TMAの原因となる疾患がaHUSを惹起することもある。実臨床においては二次性TMAとaHUSの鑑別はしばしば困難である。2次性TMAと考えられていた症例の中で、遺伝子検査によりaHUSと診断が変更されることは少なくない。いったんaHUSあるいは二次性TMAと診断しても、治療反応性や臨床経過により診断を再検討することが肝要である(図2)。■ 検査1)一般検査血算、破砕赤血球の有無、LDH、ハプログロビン、血清クレアチニン、各種凝固系検査でTMAを診断する。ADAMTS13-活性検査は保険適用となっている。STEC-HUSの鑑別を要する場合は便培養、便中志賀毒素検査、血清大腸菌O157LPS抗体検査を行う。一般の補体検査としてC3、C4を測定する。C3低値、C4正常は補体第2経路の活性化を示唆するが、aHUS全体の50%程度でしか認められない。2)補体関連特殊検査現在、全国aHUSレジストリー研究において、次に記す検査を実施している。ヒツジ赤血球を用いた溶血試験CFH遺伝子異常、抗CFH抗体陽性例において高頻度に陽性となる。比較的短期間で結果が得られる。診断のフローとしては、臨床的にaHUSが疑ったら溶血試験を実施する(図2)。抗CFH抗体検査:ELISA法にてCFH抗体を測定する。抗CFH抗体出現には、CFHおよびCFH関連蛋白質(CFHR)1~5の遺伝子欠損が関与するとされているため、遺伝子検査も並行して実施する。CFHR 領域は、多彩な遺伝子異常が報告されているが、相同性が高いことから遺伝子検査が困難な領域である。その他aHUSレジストリー研究では、血中のB因子活性化産物、可溶性C5b-9をはじめとする補体関連分子を測定しているが、その診断的意義は現時点で明確ではない。*問い合わせ先を下に記す。aHUSレジストリー事務局(名古屋大学 腎臓内科:ahus-office@med.nagoya-u.ac.jp)まで■ 遺伝子診断2020年4月からaHUSの診断のための補体関連因子の遺伝子検査が保険適用となった。既知の遺伝子として知られているC3、CFB、CFH、CFI、MCP(CD46)、THBD、diacylglycerol kinase ε(DGKE)を検査する。臨床的にaHUSと診断された患者の約60%にこれらの遺伝子変異を認める。さらに詳細な遺伝子解析についての相談は、上記のaHUSレジストリー事務局で受け付けている。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)aHUSが疑われる患者は、血漿交換治療や血液透析が可能な専門施設に転送して治療を行う。TMA を呈し、STEC-HUS や血漿治療を行わない侵襲性肺炎球菌感染症などが否定的である場合には、速やかに血漿交換治療を開始する。輸液療法・輸血・血圧管理・急性腎障害に対する支持療法や血液透析など総合的な全身管理も重要である。1)血漿交換・血漿輸注血漿療法は1970年代後半から導入され、aHUS患者の死亡率は50%から25%にまで低下した。血漿交換を行う場合は3日間連日で施行し、その後は反応を見ながら徐々に間隔を開けていく。血漿交換を行うことが難しい身体の小さい患児では血漿輸注が施行されることもある。血漿輸注や血漿交換により、aHUS の約70%が血液学的寛解に至る。しかし、長期的には TMA の再発、腎不全の進行、死亡のリスクは依然として高い。血漿交換が無効である場合には、aHUSではなく二次性TMAの可能性も考える。2)エクリズマブ(抗補体C5ヒト化モノクローナル抗体、商品名:ソリリス)成人では、STEC-HUS、TTP、二次性 TMA 鑑別の検査を行いつつ、わが国では同時に溶血試験を行う。溶血試験陽性あるいは臨床的にaHUSと診断されたら、エクリズマブの投与を検討する。小児においては、成人と比較して二次性 TMA の割合が低く、血漿交換や血漿輸注のためのカテーテル挿入による合併症が多いことなどから、臨床的にaHUS と診断された時点で早期にエクリズマブ投与の開始を検討する。aHUSであれば1週間以内、遅くとも4週間までには治療効果が見られることが多い。効果がみられない場合は、二次性TMAである可能性を考え、診断を再検討する(図2)。遺伝子検査の結果、比較的軽症とされるMCP変異あるいはC3 p.I1157T変異では、エクリズマブの中止が検討される。予後不良とされるCFH変異では、エクリズマブは継続投与される。※エクリズマブ使用時の注意エクリズマブ使用時には髄膜炎菌感染症対策が必須である。莢膜多糖体を形成する細菌の殺菌には補体活性化が重要であり、エクリズマブ使用下での髄膜炎菌感染症による死亡例も報告されている。そのため、緊急投与時を除きエクリズマブ投与開始2週間前までに髄膜炎菌ワクチンの接種が推奨される。髄膜炎菌ワクチン接種、抗菌薬予防投与ともに髄膜炎菌感染症の全症例を予防することはできないことに留意すべきである。具体的なワクチン接種や抗菌薬による予防および治療法については、日本腎臓学会の「ソリリス使用時の注意・対応事項」を参照されたい。3)免疫抑制治療抗CFH抗体陽性例に対しては、血漿治療と免疫抑制薬・ステロイドを併用する。臓器障害を伴ったaHUSの場合にはエクリズマブの使用も考慮される。抗CFH抗体価が低下したら、エクリズマブの中止を検討する。4 今後の展望■ aHUSの診断2020年4月からaHUSの遺伝子解析が保険収載された。aHUSの診断にとっては大きな進展である。しかし、aHUSの診断・治療・臨床経過には依然不明な点が多い。aHUSレジストリー研究の成果がaHUS診療の向上につながることが期待される。■ 新規治療薬アレクシオンファーマ合同会社は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) の治療薬として、長時間作用型抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤ラブリズマブ(商品名:ユルトミリス)を上市した。エクリズマブは2週間間隔の投与が必要であるが、ラブリズマブは8週間隔投与で維持可能である。今後、aHUSへも適応が広がる見込みである。中外製薬株式会社は抗C5リサイクリング抗体SKY59の開発を進めている。現在のところ対象疾患はPNHとなっている。5 主たる診療科腎臓内科、小児科、血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド 2015(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 非典型溶血性尿毒症症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)aHUSレジストリー事務局ホームページ(名古屋大学腎臓内科ホームページ)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Fujisawa M, et al. Clin and Experimental Nephrology. 2018;22:1088–1099.2)Goodship TH, et al. Kidney Int. 2017;91:539.3)Aigner C, et al. Clin Kidney J. 2019;12:333.4)Lee H,et al. Korean J Intern Med. 2020;35:25-40.5)Kato H, et al. Clin Exp Nephrol. 2016;20:536-543.公開履歴初回2020年04月14日

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「多職種と連携する会議」とは?調剤報酬改定の疑義解釈が発出【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第45回

4月1日から施行された2020年度診療報酬改定の疑義解釈についての事務連絡が、前日の3月31日に厚生労働省より発出されました。医科、歯科なども含めて全88ページと膨大な量ですが、その中で調剤報酬に関わる内容は81ページ目からの4ページ分です。その中で、いくつか気になったものがあるのでピックアップしてご紹介します。まずは、地域支援体制加算についてです。問 地域支援体制加算の施設基準における「地域の多職種と連携する会議」とは、どのような会議が該当するのか。答 次のような会議が該当する。ア.市町村又は地域包括支援センターが主催する地域ケア会議イ.介護支援専門員が主催するサービス担当者会議ウ.地域の多職種が参加する退院時カンファレンス地域支援体制加算は2018年度の改定で新設され、2020年度改定で35点から38点に引き上げられました。5つある要件のうち4つを満たす必要がありますが、その1つとして「薬剤師研修認定制度などの研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席」という要件が追加されました。この「地域の多職種と連携する会議」とはなんぞや?ということなのですが、この疑義解釈によると、(ア)市町村または地域包括支援センターが主催する地域ケア会議、(イ)介護支援専門員が主催するサービス担当者会議、(ウ)地域の多職種が参加する退院時カンファレンスの3つが該当すると挙げられました。退院時カンファレンスに薬局が加わることを求められているのは、その地域における患者さんの受け皿としての機能を発揮することが期待されているからです。これから入院する患者さんがいる場合には、ぜひ退院時のカンファレンスへ参加できるように病院などに働きかけ、退院後のフォローにつなげてほしいと思います。また、別の項目で、「薬剤師研修認定制度などの研修を修了した薬剤師」の定義についても問われていますが、常勤薬剤師ではなく非常勤薬剤師の参加でも算定可能とされています。ただし、いくつかの薬局でアルバイトしているような非常勤薬剤師の場合は、実績として認められるのはそのうちの1つの薬局でのみということに注意が必要です。また、薬剤服用歴管理指導料のおくすり手帳の扱いについて、以下の2つの疑義解釈が出されています。問 患者が日常的に利用する保険薬局の名称等の手帳への記載について、患者又はその家族等が記載する必要があるか。答 原則として、患者本人又はその家族等が記載すること。問 手帳における患者が日常的に利用する保険薬局の名称等を記載する欄について、当該記載欄をシールの貼付により取り繕うことは認められるか。答 認められる。「薬局の名称の記載? なんのことだっけ?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。調剤報酬上では手帳について以下のように定義されています。「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウまでに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。ア.患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録イ.患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録ウ.患者の主な既往歴等疾患に関する記録手帳の当該欄については、保険薬局において適切に記載されていることを確認するとともに、記載されていない場合には、患者に聴取の上記入するか、患者本人による記入を指導するなどして、手帳が有効に活用されるよう努める。なお、手帳に初めて記載する保険薬局の場合には、保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を記載すること。おくすり手帳には、上記のア~ウおよび保険薬局の名称や連絡先が記載されるべきですが、今回の疑義解釈によって、薬局情報についても原則として患者さん本人またはご家族などが記載することとされました。とはいえ、薬局の名称や連絡先を患者さんが手書きで記載することはなかなか現実的には難しいと思います。そこで、薬局情報が記載されたシールを薬局が提供してもよいとされました。個人的には、「シールの貼付により取り繕う」という表現がツボだったのですが、あくまでも原則は患者さんの手書きであってシールは代替手段なんだぞ、というメッセージがにじみ出ているように思います。4月から新卒の薬剤師さんが入社した薬局も多いと思います。報酬改定や薬機法改正など変化が大きい年ですので、新人さんから聞かれたときにビシッと答えられるように参考にしていただければ幸いです。

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