サイト内検索|page:884

検索結果 合計:35672件 表示位置:17661 - 17680

17661.

PM2.5短期曝露、心血管疾患の入院増加と関連/BMJ

 中国において、微小粒子状物質(PM2.5)への曝露は、短期間で現在の規制濃度内であっても、出血性脳卒中を除くすべての主要心血管疾患による入院の増加と関連していることが明らかにされた。中国・華中科技大学のYaohua Tian氏らが、中国の主要184都市で実施した研究結果を報告した。疫学研究では、PM2.5による大気汚染と心血管疾患との正の関連性が報告されてきたが、ほとんどが先進国で実施されたもので、大気汚染レベル、構成、資源が大きく異なる発展途上国でのPM2.5汚染と心血管疾患との関連性は明確にはなっていなかった。BMJ誌2019年12月30日号掲載の報告。中国184都市の心血管疾患入院患者計9百万例で、PM2.5との関連を解析 研究グループは、PM2.5への短期曝露に関連する原因別主要心血管疾患入院リスクを推定する目的で時系列研究を行った。対象は、2014年1月1日~2017年12月31日に、都市従業者基本医療保険(Urban Employee Basic Medical Insurance)の全国データベースに記録された、184都市における心血管疾患入院患者883万4,533例である。 主要評価項目は、人口統計学的グループ別での、1次診断が虚血性心疾患、心不全、心調律異常、虚血性脳卒中および出血性脳卒中による入院(1日当たりの都市別件数)で、PM2.5と心血管疾患との関連を推定した。PM2.5と心血管疾患による入院との都市特異的関連性は過分散一般化加法モデルで推定し、ランダム効果メタ解析により都市別推定値を統合した。1日10μg/m3上昇で、同日の心血管疾患(脳出血を除く)による入院率が増加 研究期間中の入院件数/日(平均±SD)は、心血管疾患47±74件、虚血性心疾患26±53件、心不全1±5件、心調律異常2±4件、虚血性脳卒中14±28件、出血性脳卒中2±4件であった。 PM2.5が全国平均で10μg/m3上昇したとき、同日の入院率は心血管疾患0.26%(95%信頼区間[CI]:0.17~0.35)、虚血性心疾患0.31%(0.22~0.40)、心不全0.27%(0.04~0.51)、心調律異常0.29%(0.12~0.46)、虚血性脳卒中0.29%(0.18~0.40)増加し関連が認められたが、出血性脳卒中(-0.02%、-0.23~0.19)との関連はなかった。 PM2.5全国平均値と心血管疾患との関連性はわずかに非線形を示し、50μg/m3未満では急勾配、50~250μg/m3で緩やかな勾配、250μg/m3以上でプラトーとなった。 心血管疾患による入院率は、PM2.5濃度が最大15μg/m3の日と比較して、15~25μg/m3の日は1.1%(95%CI:0~2.2)、25~35μg/m3の日は1.9%(0.6~3.2)、35~75μg/m3の日は2.6%(1.3~3.9)、75μg/m3以上の日は3.8%(2.1~5.5)、いずれも有意に増加した。 試算によれば、中国における心血管疾患による入院数は、PM2.5の年間平均濃度の規制限度が中国グレード2(35μg/m3)、中国グレード1(15μg/m3)、およびWHO(10μg/m3)を達成すれば減少することが示され、因果関係を慎重に仮定し推算すると、同国の心血管疾患による年間平均入院件数はそれぞれ、3万6,448件(95%CI:2万4,441~4万8,471)、8万5,270件(5万7,129~11万3,494)、9万7,516件(6万5,320~12万9,820)減少する可能性が示された。

17662.

芸術に触れる人は長生き(解説:桑島巖氏)-1166

 音楽会や美術館に年に1、2回行く人は行かない人より14%死亡リスクが低く、もっと頻回に2~3ヵ月に1回は行く人では、31%も低いという興味ある成績である。演奏をしたり絵を描かなくとも芸術を見たり聴いたりして楽しむ、いわゆる受容芸術活動できる人が長生きということを、50歳以上(平均65.9歳)の住民6,710人を約14年間追跡した調査でこの論文は明らかにした。 外出する意欲や、経済力、身体能力が一定以上ある人は長生きできるということは当然考えられるが、研究者たちがそれらの交絡因子を除外しても結論は変わらなかったと著者らは述べている。しかしサブ解析では高齢、独居、学歴がなく、無職で、職業ステータスが低い傾向がみられたとしているので、やはりこれらの人たちは受容芸術を楽しむ機会が少ないことを示唆している。 音楽を聴いたり観劇することが長生きの原因なのか、積極的に外に出掛けることができる人だから長生きなのか、その因果関係についてはこの追跡調査からは明らかではない。それにしてもこの調査で年に1回も音楽会、映画、美術館に行かない人たちは、カウチポテト族が多いのかもしれない。

17663.

第33回 大豆製品摂取と乳がん、月経との影響を患者さんに聞かれたら【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 以前、乳がんのホルモン療法中の患者さんに、「納豆や豆乳などの大豆製品を摂取しても大丈夫?」と聞かれたことがあります。多くの乳がんはエストロゲンの作用で増殖しますので、大豆イソフラボンが女性ホルモン様作用を有すると聞いて疑問に思ったようです。似たような趣旨で、月経痛への影響を懸念される患者さんもいらっしゃいました。確かに、大豆に含まれるイソフラボンは、αおよびβエストロゲン受容体に結合できる17‐β‐エストラジオールと構造が類似しており、エストロゲン活性を有することが知られています1)。エストロゲンとの構造類似から植物エストロゲンと呼ばれることもありますが、実際のところ影響はあるのでしょうか。今回は大豆製品の疑問に関連する研究を紹介します。血清エストロゲン濃度や月経痛への影響は不明まず、豆乳摂取による血清エストロゲン濃度への影響についてです。閉経前の日本人女性を対象として、連続した3月経周期に毎日400mLの豆乳(約109mgのイソフラボンを含有)を摂取する豆乳補充食群(31例)と、対照の通常食群(29例)にランダムに割り付けて調査した岐阜大学の研究があります。結果として、各群間で血清エストロゲン濃度の変化や月経周期の長さに統計的な有意差はありませんでした2)。後に、同じ研究グループは19~24歳の日本人女性276例を対象に、月経痛と大豆製品、脂肪、食物繊維摂取との関係性についても横断研究をしています。食物繊維摂取量は有意に月経痛スケールと逆相関でしたが、大豆製品、脂肪の摂取量は月経痛スケールとの相関が見いだされませんでした3)。食物繊維のほうが月経痛に有用という何とも言い難い結果ですが、食品から大豆製品を通常摂取する分には月経周期や月経痛への影響はあまりなさそうです。大豆消費と乳がんのリスクは逆相関多目的コホート研究(JPHC研究)は、生活習慣とがんなどの生活習慣病との関連について日本の人口ベースで長期追跡調査を行い、これまでに多くの成果を発表しています。その中の1つで、大豆製品およびそこから摂取されるイソフラボン量と乳がんの発生率を調査したものがあります。同研究では、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県石川の4地域に在住している40〜59歳の女性2万1,852人を約10年間追跡しています。その結果、みそ汁とイソフラボンの摂取が乳がんリスクと逆相関することが示唆されました。イソフラボン摂取量が最低四分位数のものと比較して、第2四分位、第3四分位、最高四分位数の乳がんリスク比はそれぞれ0.76(95%信頼区間[CI]:0.47~1.2)、0.90(95%CI:0.56~1.5)、0.46(95%CI:0.25~0.84)でした。とくに、みそ汁を1日2杯以上飲む群では乳がんリスクが低い傾向にありました4)。乳がん内分泌療法中の患者の再発リスクも低下2002年8月~2003年7月の間に乳がんの手術を受け、その後内分泌療法を行っている患者524例を対象に中央値5.1年追跡し、大豆イソフラボンの食事摂取と乳がんの再発および死亡との関連を調べた研究もあります。アンケートにより食事状況を調査し、ハザード比(HR)を推定し、ER/PRのステータスと内分泌療法別(タモキシフェンまたはアナストロゾール)により層別化しています。閉経前患者では、全体の死亡率(30.6%)は大豆イソフラボンの摂取とは相関がありませんでした(HR:1.05、95%CI:0.78~1.71、最高四分位[>42.3mg/日]vs.最低四分位[<15.2mg/日])が、閉経後患者では最低四分位と比較して、最高四分位の再発リスクは有意に低いという結果でした(HR:0.67、95%CI:0.54~0.85)。閉経後ER+/PR+の患者およびアナストロゾールによる治療を受けている患者でも、大豆イソフラボンの食事摂取量が多いと再発リスクが低下していました5)。ほかにも、35件の研究のメタ解析では、大豆摂取が閉経前後双方において乳がん再発リスクと逆相関することも示唆されていますし6)、HER2の発現状態によらず大豆摂取が乳がんリスクと逆相関するとする中国人女性を対象とした研究もあります7)。また、前向き研究のメタ解析で、大豆イソフラボン摂取量が10mg/日増加するごとに、乳がんのリスクが3%(95%CI:1~5%)減少する用量依存性も示唆されています8)。大豆イソフラボンは理論的には乳がんなどのリスクを上げるように思いますが、これらの文献ではそうとも言えないようです。さまざまな情報を入手するにつれ不安に思われる患者さんもいらっしゃいますので、回答の参考になれば幸いです。1)Vitale DC , et al. Eur J Drug Metab Pharmacokinet. 2013;38:15-25.2)Nagata C , et al. J Natl Cancer Inst. 1998 2;90:1830-1835.3)Nagata C , et al. Eur J Clin Nutr. 2005;59:88-92.4)Yamamoto S, et al. J Natl Cancer Inst. 2003;95:906-913. 5)Kang X, et al. CMAJ. 2010;182:1857-1862.6)Chen M, et al. PLoS One. 20140;9:e89288.7)Baglia ML, et al. Int J Cancer. 2016;139:742-748.8)Wei Y, et al. Eur J Epidemiol. 2019 Nov 21. [Epub ahead of print]

17664.

1万歩人間【Dr. 中島の 新・徒然草】(306)

三百六の段 1万歩人間前回、「今年は毎日1万歩あるくようにしたい」と述べたわけですが、なんと本当に実行しております。ちょうど1月1日から始めて約2週間、ほぼ毎日1万歩前後を歩きました。1万歩前後というのは、だいたい9,000歩から1万2,000歩程度です。さすがに手術日には疲労困憊してしまい、歩く余力が残っていません。でも、それ以外の日は1万歩前後を達成しています。その結果、朝までぐっすり眠れる。夜中にトイレに起きることもないわずか2週間でもズボンが緩くなり、ベルトの穴が1つ移動したカロリーを気にせず食べても体重が約1.5キロ落ちたといった効能がありました。では、どうすれば毎日続けることができるのか?YouTubeや音楽を聴きながら歩くと飽きないとくに速足ではなく、普通のスピードで歩く一気に歩くのではなく、細切れの歩行を足して1万歩にするというのが続けるコツかと思います。たとえば、帰宅したときに6,000歩だと、あと4,000歩が必要になります。だいたい10分間歩くと1,000歩になるので、4,000歩だと40分が必要です。あそこのガソリンスタンドまで往復したら4,000歩くらい、というのを覚えているので、ちょうど合計が1万歩になるように歩くわけです。なんか、歩かないとかえって体調不良な毎日です。あと、大阪でも冬の夜は寒いので、マフラーと手袋は欠かせませんね。何事も三日坊主の私が続いている毎日1万歩。これからも進捗状況と成果を報告させていただきます。最後に1句1万歩 達成しなけりゃ 気持ち悪い

17665.

サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)レポート

レポーター紹介2019年12月10日~14日まで5日間にわたり、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)が開催された。乳がんだけを取り扱う世界最大の学会である。1977年より開催されており、90ヵ国を超える国々から研究者や医師、医療従事者が参加する。臨床試験のみならず、トランスレーショナルリサーチや基礎研究の演題も口演として聴講できるのが特徴である。ここ数年は欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で大きな演題が発表されるようになった影響もあり、SABCSでは臨床試験についてはサブグループ解析や追跡調査の結果が取り上げられることが多かったが、2019年は今後の日常臨床に大きく影響を及ぼす演題が複数取り上げられた。とくにHER2陽性転移乳がんの演題は非常に重要なものが2題発表された。後に取り上げるDS-8201aの第II相試験の結果は、国内で開発された薬剤であるということもあり、ほぼ半数の演者が国内の研究者であった。すべての演題が興味深いものであったが、なかでも興味深かった6演題を紹介する。T-DM1既治療HER2陽性乳がんにおけるtrastuzumab deruxtecan(DESTINY-Breast01試験)trastuzumab deruxtecan(DS-8201a、T-DXd)は抗HER2抗体であるトラスツズマブにトポイソメラーゼ阻害薬であるexatecanの誘導体を結合した新しい抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)製剤である。1抗体当たりおよそ8分子の殺細胞性薬剤が結合しており、高比率に結合されている。すでに第I相試験の結果は発表・論文化されており、高い有効性が示されていて、期待されている薬剤の1つである。本試験はT-DM1既治療のHER2陽性進行乳がんを対象として行われた単群第II相試験である。第I相試験ではDLTを認めなかったものの、毒性の懸念からPART 1では用量の再設定が行われ、5.4mg/kgが至適投与量とされた。主要評価項目は独立中央判定委員会によるRECIST v1.1を用いた奏効率、副次評価項目として病勢制御率や臨床的有用率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性などが置かれた。184例が5.4mg/kgで投与され、全員が女性であった。ホルモン受容体陽性が52.7%、HER2ステータスはIHC3+が83.7%、IHC2+または1+でISH陽性が16.3%であった。全例がトラスツズマブおよびT-DM1による治療歴を有した。主要評価項目である独立中央判定委員会による奏効率(objective response rate:ORR)は60.9%と非常に高い効果を示した。病勢制御率(disease control rate:DCR)は97.3%、6ヵ月以上の臨床的有用率(clinical benefit rate:CBR)は76.1%であった。奏効期間の中央値は14.8ヵ月であり、3次治療以降としては非常に長い奏効期間を有した。65.8%がペルツズマブによる治療歴を有し、ペルツズマブ治療歴のない症例でより奏効率が高い傾向を示した。無増悪生存期間(progression-free survival:PFS)の中央値は16.4ヵ月、全生存期間(overall survival:OS)の中央値は未到達であった。有害事象(adverse event:AE)はGrade3以上の治療関連AEが57.1%(薬剤との因果関係ありが48.8%)、SAEが22.8%(同12.5%)、治療関連死は4.9%(同1.1%)であった。とくに注目されているAEである肺障害は全Gradeで13.6%と高頻度に発生していた。多くはGrade1または2であったが、2.2%がGrade5であり、やはり注意が必要なAEであるといえよう。総じて毒性が強く、とくに肺障害に注意が必要なものの、非常に高い奏効率と奏効期間を有する薬剤であるといえる。本試験の結果は同日New England Journal of Medicine(NEJM)誌オンライン版に掲載された。筆者は本薬剤の開発の初期段階から関わってきたが、実際に自分が使って感じている実感と本臨床試験の結果は合致している。米国食品医薬品局(FDA)は本試験の結果をもって、2019年12月20日にT-DXdを迅速承認した。国内でも2019年9月に承認申請がなされており、早期に承認されて日本の患者さんに本薬剤が早く届くことを期待している。HER2陽性乳がんにおけるカペシタビン+トラスツズマブに対するtucatinibもしくはプラセボの上乗せ効果を比較する第III相試験(HER2CLIMB試験)tucatinibは経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)でHER2のキナーゼドメインを阻害する。ラパチニブはEGFRも阻害するが、tucatinibはHER2特異性が高い。本試験は、トラスツズマブ、ペルツズマブおよびT-DM1による治療歴を有するHER2陽性転移乳がんを対象とした第III相試験でtucatinibまたはプラセボをカペシタビン+トラスツズマブ療法に併用した。ベースラインでの脳MRIが必須とされており、脳転移があっても治療後で落ち着いている、もしくは早急な局所治療を必要としない場合は登録可能とされた。2対1の割合で割り付けが行われ、tucatinib群に410例、プラセボ群に202例が登録された。主要評価項目は最初に登録された480例における独立中央判定委員会によるPFSで、RECIST v1.1を用いて評価された。副次評価項目としてOS、脳転移のある症例のPFS、測定可能病変を有する症例でのORRとされた。脳転移症例は両群で50%弱の割合であった。主要評価項目評価対象症例におけるPFS中央値は7.8ヵ月vs.5.6ヵ月(ハザード比:0.51、95%CI:0.42~0.71、p<0.00001)でありtucatinib群で有意に良好であった。全登録症例におけるOS中央値は21.9ヵ月vs.17.4ヵ月(ハザード比:0.66、95%CI:0.5~0.88、p=0.0048)であり、こちらもtucatinib群で有意に良好であった。脳転移症例におけるPFS中央値は7.6ヵ月vs.5.4ヵ月(ハザード比:0.48、95%CI:0.34~0.69、p<0.00001)であり、脳転移症例においても同様の有効性を示した。奏効率は41% vs.23%でこちらもtucatinib群で有意に良好であり、すべての副次評価項目でtucatinib群が良好な結果であった。Grade3以上のAEはtucatinib群で55%に対しプラセボ群で49%であり、両群間で大きな差は認められなかった。頻度の高いAEは下痢、手足症候群、悪心、倦怠感、嘔吐などであり、HER2-TKIやカペシタビンでよくみられるAEが多かった。本試験の結果は同日NEJM誌オンライン版に掲載された。本試験はペルツズマブ、T-DM1既治療例を対象として行われた初めてのHER2-TKIの試験である。本試験ではPFSのみならずOSにおいても有意に良好であった。また、脳転移に特化したエンドポイントでも有効性を示しており、HER2陽性乳がんで多い脳転移症例に対しても期待される薬剤である。ただ、残念ながら日本からは本試験には参加していない。アロマターゼ阻害薬で進行したホルモン受容体陽性HER2陰性転移乳がんに対するパルボシクリブ+内分泌療法vs.カペシタビンの第III相試験(PEARL試験)2019年のASCOで韓国のグループより閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性転移乳がんに対するエキセメスタン+パルボシクリブ+LHRHa vs.カペシタビンの第II相試験結果(KCSG-BR 15-10)が発表されたことは記憶に新しい。PEARL試験は閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性転移乳がんの2次治療としてホルモン療法+パルボシクリブをカペシタビンと比較した第III相試験である。ホルモン療法としてはエキセメスタンとフルベストラントが選択され、それぞれ別のコホートとして試験が行われた。コホート1(エキセメスタン)、コホート2(フルベストラント)でそれぞれ300例が1対1の割合でホルモン療法+パルボシクリブもしくはカペシタビンに割り付けられた。主要評価項目はコホート2におけるフルベストラント+パルボシクリブのカペシタビンに対するPFSの優越性(ESR1の変異の有無によらない)、およびESR1変異のない症例におけるホルモン療法(エキセメスタン/フルベストラント)+パルボシクリブのカペシタビンに対するPFSの優越性の2つであった。1つ目の主要評価項目であるフルベストラント+パルボシクリブの優越性については、PFS中央値が7.5ヵ月vs.10ヵ月(ハザード比:1.09、95%CI:0.83~1.44、p=0.537)であり、優越性は示されなかった。2つ目の主要評価項目であるESR1変異のない症例におけるホルモン療法+パルボシクリブの優越性についても、PFS中央値が8.0ヵ月vs.10.6ヵ月(ハザード比:1.08、95%CI:0.85~1.36、p=0.526)であり、優越性は示されなかった。KCSG-BR 15-10試験ではエキセメスタン+パルボシクリブ+LHRHaはカペシタビンに対して良好なPFSを示した。KCSG-BR 15-10試験は第II相試験であるため単純に比較することはできないが、本試験が閉経後かつアロマターゼ阻害薬で進行した症例を対象にしているのに対し、KCSG-BR 15-10試験ではTAMの治療歴がある症例しか含まれておらずホルモン感受性が異なっていると考えられること、1次治療と2次治療の違い、などが結果の違いの原因となっていると考察できる。転移乳がんに対するデュルバルマブvs.化学療法のランダム化第II相試験(SAFIR02-IMMUNO試験)デュルバルマブは免疫チェックポイント阻害薬の1つで、PD-L1を阻害する。局所進行肺がんの化学放射線治療後の維持療法として使用されている。抗PD-L1抗体ではアテゾリズマブがアルブミン結合パクリタキセルとの併用において、PD-L1発現のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の初回治療としての有効性を示し標準治療となっている。本試験ではHER2陰性転移乳がんを対象として化学療法に対する維持療法としてのデュルバルマブの有効性を検討した第II相試験である。3コース目の化学療法前に腫瘍検体を採取し、その後CR/PR/SDを達成した症例が対象となった。腫瘍検体で標的分子が検出されている際には分子標的治療の臨床試験に参加し、検出されなかった症例が本試験の対象となった。主要評価項目はPFSであった。デュルバルマブ維持療法へスイッチする群と、治療を変更せずに化学療法を行う群に199例が2対1の割合で割り付けられた。PD-L1発現についてSP142抗体を用いて評価され、TNBCでは52.4%、ホルモン受容体陽性では14.9%が陽性であった。PFS中央値は2.7ヵ月vs.4.6ヵ月(ハザード比:1.40、95%CI:1.00~1.96、p=0.047)であり、化学療法群で良好な傾向であった。また、サブグループ解析ではホルモン受容体陽性で化学療法群が良好であった。OS期間においては21.7ヵ月vs.17.9ヵ月(ハザード比:0.84、95%CI:0.54~1.29、p=0.42)であり両群間に差を認めなかった。一方、サブグループ解析ではTNBCで21ヵ月 vs.14ヵ月、PD-L1陽性で26ヵ月vs.12ヵ月と、デュルバルマブで良好な傾向を認めた。乳がんに対しても活発に免疫チェックポイント阻害薬の開発が行われており、本試験もその1つである。All comerで行われた試験であったが、今後の開発はホルモン受容体ステータスやPD-L1の発現など、バイオマーカーでの絞り込みが必須と考えられる。また、ホルモン受容体陽性乳がんではこれまで免疫チェックポイント阻害薬の開発は成功しておらず、その生物学的背景の解明も重要である。ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんの術後ホルモン療法に対するS-1の追加効果を検証した第III相試験(POTENT試験)2017年のSABCSで日本と韓国のグループから術前化学療法で残存腫瘍があった症例に対するカペシタビンの上乗せ効果が示され(CREATE-X試験)、日本の研究者にとって大きな自信につながったことは記憶に新しい。POTENT試験はホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんを対象として、低リスク症例を除いた症例群に対してS-1の上乗せ効果をみた第III相試験である。本試験ではStageIからIIIBを対象とし、リンパ節転移陽性もしくはリンパ節転移陰性かつ中間リスクもしくは高リスクの症例を対象とした。1,959例がホルモン療法+S-1群とホルモン療法単独群に1対1の割合で割り付けられた。主要評価項目は無浸潤疾患生存(invasive disease-free survival:IDFS)とされた。5年IDFSにおいて、S-1群で86.9%に対し、ホルモン療法単独群では81.6%(ハザード比:0.63、95%CI:0.49~0.81、p<0.001)であり、S-1群で良好な結果であった。本試験は中間解析で有効性の閾値を超えたため、早期有効中止となっている。AEについては、S-1群で増加傾向にあり、Grade3以上のものとしては好中球減少(7.5%)や下痢(1.9%)に注意が必要であるが、総じてコントロールは可能と考えられた。本試験は先進医療Bとして行われており、今後は保険承認の手続きを目指していくと思われる。2017年にはCREATE-X試験、2018年にはAERAS試験、そして本試験と、ここのところSABCSでは毎年日本から口演が発表されている。日本の研究者として大変誇らしいとともに、少しでも日本からのエビデンス発信に貢献していきたい。APHINITY試験全生存期間の中間解析APHINITY試験はHER2陽性乳がんの術後化学療法におけるトラスツズマブ療法へのペルツズマブの上乗せを検証した第III相試験である。4,805例のHER2陽性乳がん患者が登録され、ペルツズマブ群(2,400例)とプラセボ群(2,405例)に1対1の割合で割り付けられた。主要評価項目はIDFSであり、OSは副次評価項目に含められた。4年IDFSは92.3% vs.90.6%(ハザード比:0.81、95%CI:0.66~1.00、p=0.045)であり、絶対リスク減少は2%に満たないもののペルツズマブ群で良好であった。また、本試験は当初リンパ節転移のない症例も登録されていたが、イベントが少ないことから途中でプロトコールが改訂され、リンパ節転移陽性症例のみが適格となった。今回のOS期間の2回目の中間解析では、6年生存率は94.8% vs.93.9%(ハザード比:0.85、95%CI:0.67~1.07、p=1.07)であり、両群間に差を認めなかった。IDFSのフォローアップデータは、6年IDFSで90.6% vs.87.8%(ハザード比:0.76、95%CI:0.64~0.91)とペルツズマブ群で良好であったが、リンパ節転移の有無(すなわちベースラインリスクの違い)でサブグループ解析を行うと、リンパ節転移陽性では6年IDFSで87.9% vs.83.4%(ハザード比:0.72、95%CI:0.59~0.87)とペルツズマブの上乗せ効果を認めたのに対し、リンパ節転移陰性では95.0% vs.94.9%(ハザード比:1.02、95%CI:0.69~1.53)と上乗せ効果は認めなかった。ホルモン受容体ステータスによらずペルツズマブの上乗せ効果が認められた。トラスツズマブの登場によりHER2陽性乳がんの予後は劇的に改善しており、術後ペルツズマブの追加によりリンパ節転移陽性例に対してはIDFSの改善が期待される。ただし、中間解析時点ではOSの上乗せ効果は認めないため、最終解析の結果が待たれる。リンパ節転移陰性例に対しては原則として術後ペルツズマブの上乗せは不要であろう。

17666.

日本人高齢者の認知症発症率に対する感覚障害の影響

 認知症および認知症の周辺症状(BPSD)は、高齢者の介護の必要レベルに影響を及ぼす。高齢者では、加齢に伴い感覚障害の発生率が上昇し、認知症の発症を加速させる。大勝病院の丸田 道雄氏らは、視覚障害(VI)、聴覚障害(HI)などの感覚障害とBPSDおよび認知症の発症率との関連について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。 日本のある都市における2010~17年の介護保険データを用いて、レトロスペクティブ研究を実施した。2010年時点で認知症でなかった高齢者2,190人を、感覚障害の4つのカテゴリー、VI群、HI群、VIとHI両方の感覚障害(DSI)群、感覚障害なし(NO)群に分類した。認知症の発症率は、カプランマイヤー生存分析およびlog-rank検定を用いて調査した。NO群と比較した、感覚障害に関連する認知症発症リスクは、Cox比例ハザード分析を用いて調査した。4群間のBPSD有病率は、ピアソンのχ2検定を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・HI群(log-rank χ2:10.42、p<0.001)とDSI群(log-rank χ2:39.92、p<0.001)は、NO群と比較し、認知症の累積発症率が高かった。・DSI群はHI群と比較し、認知症の累積発症率が高かった(log-rank χ2:11.37、p=0.001)。・Cox比例ハザード分析では、感覚障害の中でDSIが認知症発症に対する最も大きなリスク因子であることが示唆された(ハザード比:1.45、95%CI:1.22~1.71、p<0.001)。・VI群は、そのほかの群と比較し、昼夜逆転の有病率が有意に高かった。 著者らは「感覚障害を有する高齢者では認知症の発症率が高く、DSIは最もリスクが高いことが示唆された。また、VIを有する高齢者では、認知症の発症時に昼夜逆転を呈する可能性が高いことが示唆された」としている。

17667.

CVD患者へのAKCEA-APO(a)、用量依存的にLp(a)値低下/NEJM

 リポ蛋白(a)値が高く心血管疾患を有する患者に対して、肝細胞直接作用型アンチセンスオリゴヌクレオチドAKCEA-APO(a)-LRx(APO(a)-LRx)の投与は、用量依存的にリポ蛋白(a)値を低下することが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSotirios Tsimikas氏らが、286例を対象に行った第II相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、明らかにされた。リポ蛋白(a)値は遺伝的に規定されており、上昇が認められる場合は心血管疾患および大動脈弁狭窄症のリスク因子となることが報告されている。しかしリポ蛋白(a)値を降下させる承認治療薬はないのが現状である。NEJM誌オンライン版2020年1月1日号掲載の報告。6ヵ月後のリポ蛋白(a)値のパーセント変化を比較 研究グループは、心血管疾患の診断を受け、リポ蛋白(a)値が60mg/dL(150nmol/L)以上の18~80歳の患者を対象に試験を行った。 被験者を、APO(a)-LRxを20mg、40mg、60mg(いずれも4週ごと)、20mgを2週ごと、または20mgを毎週投与する5群に無作為に割り付けた。各群の6分の1の被験者には実薬ではなくプラセボを皮下投与した(いずれも投与期間は6~12ヵ月間)。 リポ蛋白(a)値の測定は、アイソフォームに依存しない試験法で測定。主要エンドポイントは、リポ蛋白(a)値のベースラインから6ヵ月後(4週ごと投与群は25週時点、より頻回投与群は27週時点)のパーセント変化とした。リポ蛋白(a)値、用量依存的に35~80%減少 適格患者286例が、2017年3月27日~2018年1月16日に無作為化を受けた。被験者の平均治療期間は実薬群が31.6±11.5(中央値32.1)週間、プラセボ群が31.2±12.0(34.0)週間で、約60%が65歳未満、女性が30%超であった。6群(実薬5群とプラセボ群)のベースラインのリポ蛋白(a)値の中央値は、204.5~246.6nmol/Lだった。 APO(a)-LRx投与は、用量依存的にリポ蛋白(a)値を低下することが認められた。20mg(4週ごと)投与群の平均パーセント低下値は35%、40mg(4週ごと)投与群は56%、20mg(2週ごと)投与群は58%、60mg(4週ごと)投与群は72%、20mg(毎週)投与群は80%だったのに対し、プラセボ群は6%だった(対プラセボのp=0.003~<0.001)。 なお、血小板数や肝機能・腎機能値、インフルエンザ様症状については、APO(a)-LRx群とプラセボ群で有意差はなかった。最も頻度の高い有害事象は注射部位反応だった。

17668.

高出血リスク重症例への予防的PPI・H2RAは有用か/BMJ

 出血リスクの高い成人重症患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)およびH2受容体拮抗薬(H2RA)の予防的投与は非投与群と比較して、消化管出血について臨床的に意味のある減少をもたらす可能性が示された。中国・首都医科大学のYing Wang氏らがシステマティックレビューとメタ解析を行い明らかにしたもので、リスクの低い患者ではPPIおよびH2RAの予防的投与による出血の減少は意味のないものであり、また、これらの予防的投与は、死亡率や集中治療室(ICU)滞在期間、入院日数などのアウトカムとの関連は認められなかった一方、肺炎を増加する可能性が示されたという。消化管出血リスクの高い患者の大半が、ICU入室中は胃酸抑制薬を投与されるが、消化管出血予防処置(多くの場合ストレス性潰瘍の予防とされる)については議論の的となっている。BMJ誌2020年1月6日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析、GRADEシステムでエビデンスの質も評価 研究グループは、重症患者に対するPPI、H2RA、スクラルファートの投与、または消化管出血予防(あるいはストレス潰瘍予防)未実施のアウトカムへの相対的影響を患者にとって重要であるか否かの観点から明らかにするため、Medline、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、試験レジスタおよび灰色文献を2019年3月時点で検索し、システマティックレビューとメタ解析を行った。 成人重症患者に対し、PPI、H2RA、スクラルファートあるいはプラセボまたは予防的投与未実施による消化管出血予防について比較検討した無作為化試験を適格とした。2人のレビュアーがそれぞれ適格性について試験をスクリーニングし、データの抽出とバイアスリスクの評価を行った。また、パラレルガイドライン委員会(BMJ Rapid Recommendation)がシステマティックレビューの監視を行い、患者にとって重要なアウトカムを同定するなどした。 ランダム効果ペアワイズ/ネットワークメタ解析を行い、GRADEシステムを用いて、各アウトカムに関するエビデンスの質を評価。バイアスリスクが低い試験と高い試験の間で結果が異なった場合は、前者を最善の推定であるとした。高出血リスク群では、患者に恩恵をもたらす? 72試験、被験者合計1万2,660例が適格として解析に組み込まれた。 出血リスクが最高リスク(8%超)の患者と高リスク(4~8%)の患者については、PPIおよびH2RAの予防的投与は、プラセボまたは非予防的投与に比べて、臨床的に意味のある消化管出血を減少する可能性が示された。PPIのオッズ比(OR)は0.61(95%信頼区間[CI]:0.42~0.89)で、最高リスク患者では同リスクは3.3%減少、高リスク患者では2.3%減少した(確実性・中)。また、H2RAのORは0.46(0.27~0.79)で、最高リスク患者では4.6%減少、高リスク患者では3.1%減少した(確実性・中)。 一方でPPI、H2RA投与はいずれも、非予防的投与と比べて肺炎リスクを増加する可能性が示された(PPIのOR:1.39[95%CI:0.98~2.10]、5.0%増加)(H2RAのOR:1.26[0.89~1.85]、3.4%増加)(いずれも確実性・低)。また、死亡率との関連は認められないと考えられた(PPIのOR:1.06[0.90~1.28]、1.3%増加)(H2RAのOR:0.96[0.79~1.19]、0.9%減少)(いずれも確実性・中)。 そのほか予防的投与による、死亡率、クロストリジウム・ディフィシル感染症、ICU滞在期間、入院日数、人工呼吸器装着期間への影響を支持する結果は、エビデンスがばらついており示されなかった。

17669.

進展型小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ+化学療法の成績(KEYNOTE-604)/Merck

 Merck社は、2020年1月6日、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用の第III相KEYNOTE-604試験において、主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。 同研究では、ペムブロリズマブと化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)併用は、化学療法単独(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)と比較して統計的に有意なPFSの改善がもたらした(HR:0.75、95%CI:0.61~0.91)。全生存(OS)についてはペムブロリズマブ併用患者で改善が認められたが、事前に指定された統計学的基準を満たさなかった(HR:0.80 、95%CI:0.64~0.98)。同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、以前に報告されものと同様であった。試験結果は今後の医学会議で発表され、規制当局と議論するとしている。 KEYNOTE-604試験では、453例が登録され、ペムブロリズマブ+化学療法またはプラセボ+化学療法に無作為に割り付けられた。複合主要評価項目はOSとPFS、副次評価項目は、客観的奏効率、奏効期間、安全性と生活の質(QoL)など。

17671.

完全人工膵臓実現へのさらなる一歩(解説:住谷哲氏)-1167

 数年前に米国FDAは、世界初のclosed-loop insulin delivery systemであるMiniMed 670G(Medtronic)を認可した。これは基礎インスリン分泌basal insulin deliveryのみを自動化したものでhybrid closed-loop systemと呼ばれている。本試験で用いられたのは、基礎インスリン分泌に加えて高血糖時の補正インスリンcorrection bolusも自動化した新しいclosed-loop systemである。 人工膵臓artificial pancreasはグルコース濃度を感知するセンサー、投与インスリン量を計算するアルゴリズム、インスリンを注入するポンプの3つから成る。本試験で用いられたのはそれぞれDexcom G6 CGM(Dexcom)、Control-IQ Technology(Tandem Diabetes Care)、t:slim X2インスリンポンプ(Tandem Diabetes Care)を組み合わせたシステムである。Control-IQ Technologyの基礎となったアルゴリズムinControlは米国・バージニア大学で開発され、後にTypeZero Technologiesに引き継がれたが、同社は近年Dexcomと合併した。t:slim X2インスリンポンプは唯一のタッチパネル式のインスリンポンプであり、その使いやすさから市場を伸ばしている。人工膵臓開発の分野は競争が熾烈で、これら複数の企業と米国のバージニア大学が共同で実施したInternational Diabetes Closed Loop(iDCL)trialが本試験である。 コントロール群はDexom G6とインスリンポンプを組み合わせたSAP(sensor-augmented pump、低血糖時に基礎インスリン注入を中断する機能は装備していない)を使用した。したがって本試験はSAPとclosed-loop systemとの比較になる。主要評価項目は目標血糖値(70~180mg/dL)を維持した時間とした。結果は予想どおりclosed-loop群で主要評価項目が改善していた。重篤な低血糖の頻度も両群で差はなかった。 完全人工膵臓が実現すれば、機器を装着するだけで指先を穿刺する血糖測定なし、インスリン注射なしで、ほぼ正常な血糖値を維持することが可能となるだろう。今回用いられたシステムでは、自己血糖測定による補正が不要なDexcom G6を用いることで患者は指先の穿刺から開放された。さらに基礎インスリン注入に加えて高血糖時の補正インスリン注入が自動化されたが、食事前のprandial bolusは現在でも患者自身が制御する必要がある。しかし昨今の人工知能の急速な進歩を考えると、遠くない将来にこの点も解決されるだろう。

17672.

3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 1

今回のキーワード恐怖(ノルアドレナリン)自信自尊心受容私メッセージアンガーマネジメントコーチングアサーション皆さんは、相手をどう叱って良いか分からなくて困ったことはありませんか? その相手は、職場の部下や後輩? それとも子どもでしょうか? そもそもなぜ叱るのでしょうか? 一方で、私たちは、できることなら叱らないで済ませたいと思います。叱るデメリットは何でしょうか? そのデメリットを踏まえて、どう叱るのが良いでしょうか? 相手によっては、同じように叱っても無効になったり逆効果になる時は? そして、叱る行為にどうフォローできるでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、学園ドラマの金字塔「3年B組金八先生」を取り上げます。金八先生と言えば、誰もが思い浮かべる「熱血教師」です。彼は、中学校の教員で、国語教師。学級担任をしている3年B組に巻き起こる暴力、いじめ、不登校、リストカット、妊娠、ドラッグ、性同一性障害などのさまざまな問題に、まさに体当たりで解決しようとします。そんな彼の姿に、生徒たちは心を打たれ、人間的に成長していくのです。体当たりで生徒や親に向き合う彼のやり方は、令和の時代には、スクールコンプライアンスの点でそぐわないと思う人もいるでしょう。だとしても、彼は叱る上で私たちが忘れかけていた一番大事なものを教えてくれます。彼が叱る時の心のあり方には、令和の時代にこそ再評価するべき普遍性があります。彼の名セリフを振り返りながら、叱る心理を掘り下げ、子どもにも大人にも使える叱るスキルをご紹介します。そして、私たちが令和の時代にバージョンアップした金八先生になるにはどうしたら良いか一緒に考えてみましょう。金八先生はなぜ叱るの? ―叱ることならではの学習効果叱るとは、人間関係(集団)において、目上の人が目下の人の望ましくない言動を指摘することです。金八先生が生徒を叱るのは、叱ることによって、望ましくない行動を抑え、望ましい行動を促すという意図があります(正の罰因子による行動療法)。なお、叱ることは、恐怖(ノルアドレナリン)の刺激であるため、その学習効果は高く、即効性があります。一方、褒めることは報酬(ドパミン)の刺激であるため、その学習効果は比較的に低くなり、即効性がないために繰り返す必要があります。この違いこそが、叱ることならではの学習効果と言えます。つまり、部下や子どもに二度と同じ過ちをして欲しくないと思った時、褒めているだけでは間に合わず、どうしても限界があるのです。これが、叱る心理です。叱るデメリットは?叱ることによる学習効果が分かりました。しかし、これは叱る側の金八先生の視点です。叱られる側の生徒にとってはどうでしょうか? 叱ることによるデメリットは、大きく3つあります。1つ目は、当たり前ですが、相手が恐怖を感じることです。とくに、大声で怒鳴られたらなおさらです。2つ目は、相手が自分はできないと自信を失うことです。とくに、一方的に言われたらなおさらです。これは、周り(集団)から「できる」仲間として認められなくなる恐怖でもあります(承認の喪失)。3つ目は、相手が自分はだめだと自尊心を損なうことです。とくに、なじられたり皮肉を言われたらなおさらです。これは、自分の味方がいなくなる恐怖でもあります(関係性の喪失)。令和の金八先生ならどう叱る?-3つの基本要素叱ることによる3つのデメリットが分かりました。叱る学習効果を高めるには、これらの叱るデメリットを最小限にする必要があります。これが、叱るスキルです。この点を踏まえて、ここから、叱るために必要な基本要素を3つにまとめてみましょう。(1)受け止める1つ目は、まず受け止めることです(受容)。これが最も大事な叱ることの極意です。これは、金八先生の根底に流れているマインドで、私たちが忘れがちなポイントです。これには、さらに3つの要素があります。a.言い分を聞く-確認金八先生は、クラスで問題が起きるたびに生徒たちの話をよく聞いています。1つ目は、相手の言い分を聞くことです。たとえば、部下がミスをした時、叱る瞬間の第一声は何でしょうか? 「なにやってんだ!?」「だめじゃないか!」という怒鳴り声で一方的になっていませんか? または、幼児の子どもがお友達を押し倒した時、またはうそをついた時に、「押すのだめ!」「うそつくのだめ!」とすぐに命令していませんか?そうではなくて、まずは「どうしたの?」「何が起きたの?」と相手に状況を説明させて、言い分を聞くことです。これは、たとえこちらが事前にその状況を分かっていたとしてもです。それくらいの心の余裕がこちら側にあることが重要です。これは、同時に、相手にも振り返る心の余裕を与えることになります。ちなみに、もし相手が何事もなかったかのように振る舞った場合はどうでしょうか? たとえば、子ども同士のいじめの場面に遭遇した時、「何やってる?」と聞いても、「遊びです」としか答えないなら、どうしましょうか? このままスルーするといじめを黙認したことになります。その時は、一歩突っ込んで、「○○くんを痛くさせようとしてなかった?」とストレートに聞いて揺さぶることです。いじめた子が否定しても、いじめられた子が認めたら、さらに介入ができます。いじめた子もいじめられた子も否定した場合(実際よくあるパターンですが)、「そうなの? 良かった~。だって、痛くさせてるように見えたからね」「でも、誤解を招くから、この『遊び』はやらないでね」と一方的にならずにけん制をすることができます。このような言い分の確認によって、無用な恐怖を相手に抱かせにくくなります。b.相手の気持ちになる-共感金八先生は、「みんな不安を抱えて生きているんですねえ。苦しいことを素直に苦しいと言えば、周りの人間から変だと言われる。…いじめも登校拒否もあって当たり前なんですよ。癒しが必要なんです、子どもたちも、世間も。大丈夫だ、がんばろう、明日はきっといいことがある。そう言ってくれる誰かが必要なんですね」(第4シリーズ第7話)と同僚に語ります。2つ目は、相手の気持ちになることです。これは、「どんな気持ちだったの?」「どんな気持ちになったの?」と聞き出すことです。たとえば、「うっかりしてた」「いらいらしてた」「嫌だった」「悔しかった」「悲しかった」などの気持ちだったら、一旦その気持ちを受け止め、「それほどの気持ちだったのね」「そんな気持ちになったのね」と伝えます。これは、たとえその気持ちを聞くまでもないと思ったとしてもです。そして、たとえその気持ちにこちらがあまり納得できていなかったとしてもです。その時は、「あなたはそう思うのね」「そんな気持ち(考え方)もあるよね」と言うこともできます。相手が答えられなかった場合は、「びっくりしたね」と中立的な言葉で代弁もできます。また、「悪かったなあと思った?」と助け船も出せば、スムーズな謝罪につなげられます。ちなみに、まだ言い分が言えない乳幼児の子どもの場合、とくに「イヤイヤ期」(第一次反抗期)で、すぐに何でも「だめ!」と連呼していませんか? そういう時は、「そのおもちゃが欲しかったんだね」「怒っちゃったんだね」「でもそんなことしちゃだめだよ」と伝えます。これは、その子の心の様子を言葉にして代弁しています。そうすることで、感情には名前があることを理解させ、セルフコントロールを促すことができます。このような共感によって、「あなたは大切」「私はあなたの味方」というメッセージを伝えることができて、自分の味方がいなくなる恐怖を相手に抱かせにくくします。これは、「共感叱り」と言えます。c.相手を認めている-承認金八先生は、「僕の生徒はどの子もみんなすばらしいです。何ていうか、教えられることが多いというか、秘めたる可能性の固まりというか」(第2シリーズ第5話)と言います。3つ目は、相手を認めていることです。これは、相手を承認していることを前提にすることです。たとえば、「体調悪いの?」「最近、疲れてる?」「何かやむを得ない理由があった?」「いつもはできてるのに、今回はどうしたの?」「あなたらしくないによう見えるけど」と不思議がります。さらに、「もともと能力高い人だと思ってたから」「最近すごい成長してると思ってたから」「自分の力を軽く見てる?」と褒めの要素を付け加えることもできます。このような承認によって、「あなたは必要」「私はあなたの理解者」というメッセージを伝えることができて、周り(集団)から「できる」仲間として認められなくなる恐怖を相手に抱かせにくくします。(2)教える2つ目は、教えることです。これは、金八先生の長セリフの説教から分かるように、叱ることそのものです。これには、さらに3つの要素があります。次のページへ >>

17673.

3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 2

a.自分の気持ちを伝える-私メッセージ金八先生は、「人間、勝手に死んじゃいかん。なあ、さっき誰かの発言で死んだほうがましだとかいう発言があったけれど、君たちはまだ15歳。死ぬなんて言葉をそう簡単に使うなよ!」(第4シリーズ第4話)と生徒たちに説教をする名シーンがあります。ただし、これは、令和ではストレートすぎます。令和の金八先生なら、どう言うか考えてみましょう。1つ目は、自分の気持ちを伝えることです。これは、先ほど説明したように、まず相手の気持ちを受け止めていることが大前提です。また、伝えるのは、相手の問題点ではなく、あくまで自分の気持ちです。たとえば、部下が無断欠勤した時、「そんなんじゃだめだ!」「社会人として失格だ!」とは決して言わないことです。代わりに、「(無断欠勤して)あなたから連絡がなくて困った」「残念」と伝えることです。幼児の子どもなら、「○○くんが叩いた子、痛がってる。かわいそう」「○○くんが叩くのを見るのは悲しい」と伝えます。そして、「~してくれると嬉しい」という提案につなげます。このように、とくにネガティブなことを伝える時は、主語が「あなた」(あなたメッセージ)ではなく、「私」(私メッセージ)であることによって、「相手が悪いと決め付けているわけではない」というメッセージを伝えることができます。よって、先ほどのセリフは、令和の金八先生なら、共感と合わせて、こう言うでしょう。「死にたいほどつらかったんだね」「でも、きみが死ぬなんて言葉を使うと私は悲しい」また、リストカットや援助交際に対して、令和の金八先生なら、どう言うでしょうか?「見ていて私は悲しい」「あなたをとても大事だと私は思っているから」「私は止めたい」つまり、「(あなたが)やめなさい」ではなく、「(私が)止めたい」という私メッセージを使うことです。b.相手の行動にフォーカスする-限定金八先生は、「加藤はミカンじゃないんです。米倉先生が言っていました。『腐ったミカンが1個あると、箱のミカンがみんな腐ってしまう。だから腐ったミカンは早めに放り出す』。これが荒谷二中の論理です。しかし、人間つらい目に遭って、あっちこっちぶつけていたら、そりゃあ風通しが悪くなってどこか腐ってきますよ。でも、人間の精神が腐りきることなんてことは絶対にないんです。」(第2シリーズ第6話)、「我々はミカンや機械をつくっているんじゃないんです!我々は毎日人間をつくっているんです!」(第2シリーズ第24話)と力説します。2つ目は、相手の行動にフォーカスすることです。これは、叱るのは、相手の存在そのもの(人格)ではなく、相手の問題行動に限定することです。よって、先ほどの「無断欠勤は社会人として失格だ!」や「うそついて、なんて悪い子なの!」という言い方は、すでにNGです。そうではなくて、「無断欠勤は問題」「うそはだめ」のように、行動に限定して伝えることです。また、理由を尋ねる時、「なんでやったの?」という問いただしではないほうが良いです。そうではなくて、「何があなたをそうさせたの?」と聞くことです。さらに、「あなたのぐずぐず虫(遅刻癖)をどうやったら飼い馴らせそう?」のように、相手の問題行動を、相手の人格とは別の「○○虫」のようにキャラ付けするのも良いでしょう(外在化)。さらに、相手が納得していない場合、「どの部分が受け入れにくい?」のように、理解を促すために争点を絞ることもできます。「時間だけは守って」のように解決すべき点を絞ることもできます。このように、限定することによって、主観的で抽象的なメッセージではなく、客観的で具体的、そして建設的なメッセージを伝えることができます。これは、「限定叱り」とも言えます。c.怒ったふりをする-インパクト金八先生は、「人間として卑怯じゃないか? よく聞きなさい。いじめはやめなさい。もういっぺん言うぞ。いじめはよせ。先生なんべんでも言うぞ。いじめはよせ。」(第4シリーズ第11話)と生徒たちを叱ります。3つ目は、怒ったふりをすることです。これは、感情的に本気で怒るのではないです。あくまで、理性的に怒ったふりをすることです。「叱るのと怒るのは違う」「叱っては良いけど怒ってはだめだ」とよく聞きます。厳密に言えば、これは、「叱る側にとっては怒ってはだめだが、叱られる側にとっては怒られている感覚が良い」と言えます。なぜなら、叱ることによる最大の学習効果は、恐怖だからです。怒られたという恐怖の刷り込みがなければ、叱ることによる学習効果は期待できなくなるからです。大事なのは、一定の恐怖によるインパクトを与えつつも、相手の自尊心と自信は保つように配慮することです。たとえば、わざと相手をフルネームでゆっくり大きな声で呼ぶことです。人と人との関係として真剣であることが伝わります。そのためには、相手のフルネームを覚えている必要があります。また、「どういうことだね?」「教えてくれまいか?」「よく聞いてくれるかい?」と仰々しく威厳を持たせた言い回しを使うことです。これはただ事ではないという切迫感が伝わります。逆に言えば、感情を殺して「これはルールですから」と理性的に淡々と伝えても、相手の気持ちを揺さぶることはできません。怒りとして伝わらないと、ロボットのように怒らない人だとナメられることもあるでしょう。このように、インパクトを持たせることによって、問題点に対しての真剣さ、切迫感、重みを伝えることができます。これは、金八先生の生徒を思いやる「熱血」につながります。ちなみに、注意点として、怒ったふりから本当に怒りのスイッチが入らないようにすることです。その取り組みとして、以前(2019年9月)にご紹介したマインドフルネスが役立ちます。また、いったんスイッチが入ってしまったら、主に3つの対策が使えます(アンガーマネジメント)。1つ目は、10まで数えることです。これは、怒りのピークは6秒程度だからです。2つ目は、水を飲むことです。これは、飲水が緊張緩和(副交感神経の活性化)を誘発するからです。3つ目は、その場から立ち去ることです(タイムアウト)。これは、怒り刺激の対象が視界から見えなくなるからです。(3)考えさせる金八先生は、クラスのいじめ問題で、いじめ加害者にその自覚がないことに気付き、自分がいじめ役になってロールプレイを行います。そして、いじめがどれだけひどいことか生徒たちに考えさせます(第4シリーズ第4話)。3つ目は、考えさせることです。これは、叱るというよりは、諭すことになります。一方的な説教ではなく、双方向的な対話です。これが、令和の金八先生のスタイルと言えるでしょう。これには、さらに3つの要素があります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

17674.

3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 3

a.決めさせる-納得1つ目は、決めさせることです。これは、正解を相手に命令・指示をすることではないです。命令・指示は、先ほどの「教える」ことです。「決めさせる」とは、あくまで解決案として相手に提案して、相手に採用するかを決定させるプロセスを踏んで、納得してもらうことです。たとえば、「○○するのはどう?」のような提案や、「○○すればうまく行くんじゃない? どうだろう?」のように安心させる言い回しもあります(保証)。幼児の子どもなら、「お友達のもの盗るの、良いこと?悪いこと?」とあえて問うことです。そして、「悪いこと」と答えたら、「なんで?」と尋ね、理由付けさせることです。「○○くんは、お友達を叩いたね。逆に、○○くんが叩かれると、どう思う?」このように、納得させることによって、自分で考えて行動することを促すことができます。逆に言えば、強制された場合は納得していないので、受け身になり、怒られない最低限のことしかやらなくなり、形だけになってしまいがちになります。b.選ばせる-民主主義2つ目は、選ばせることです。これは、先ほどのようにやるかやらないか、良いか悪かという単純な場合ではなく、行動の程度に選択肢がある場合、それぞれのメリットとデメリットを相手に検討させて、譲歩するプロセスを踏んでもらうことです。たとえば、思春期の子どもなら、「勉強か部活か?」、「ゲームする時間はどれくらいか?」などの意見の違いが出てきた場合です。「部活(またはゲーム)には、○○の良さ(メリット)はあるけど、△△(デメリット)の心配がある。どう思う?」「バランスをどうする?」「うまく行かなかった時は?」「時間を守れなかった時のペナルティは?」などの細かい項目の選択肢を提示し、選んでもらいます。このような民主主義によって、自分で考えて行動することを促すことができます。c.説明させる-コーチング3つ目は、説明させることです。これは、問題点の状況から解決策の内容までのすべてを説明してもらうような働きかけです。たとえば、「何が起きたの?」から始まり、「どう思う?」「なぜだと思う?」「じゃあ、どうすればいい?」などの質問しか基本的にしないことです。もし相手の言った解決策がずれていたら、「それは実現可能?」「本当にあなたが望んでいること?」「そうすることで、最終的にどうなりたい?」と掘り下げます。これは、コーチングに通じるやり方です。このようなコーチングによって、自分で考えて行動することを促すことができます。ちなみに、リストカットをする子が「やったらすっきりする」と答えた時、令和の金八先生なら、どう言うでしょうか?「すっきりする他の方法は何だろう?」令和の金八先生なら誰を叱る?叱るために必要な基本要素を3つにまとめました。ただし、相手によっては、同じように叱っても、無効になったり逆効果になることがあります。ここから、相手の年齢と性格によって場合分けをして、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションを見極めてみましょう。<< 前のページへ

17675.

第11回 対人義務化!改正薬機法の波にどう乗るか?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説2019年11月27日に参院本会議で可決された改正薬機法。「対物から対人へ」という流れのなか、今回の法改正ではついに薬剤師の服薬後のフォローが義務化され、薬局開設者にはその環境を整備することを義務としています。この波にどう乗るか?狭間先生が医師、そして薬局経営者の立場から解説します!

17676.

うつ病予防の主要ターゲットとしての入眠障害

 うつ病は、世界中で問題となる疾患の1つであり、再発率が高いため、うつ病発症を予防することが重要である。メタ解析において、不眠症が、うつ病の修正可能なリスク因子であることが示唆されていたが、これまでの研究では、不眠症がうつ病前の残存症状なのか、うつ病の併存症状なのかについては、十分に考慮されていなかった。オランダ神経科学研究所のTessa F. Blanken氏らは、睡眠障害がうつ病のリスク因子であるかを検討するため、6年間のプロスペクティブ研究を実施した。Sleep誌オンライン版2019年12月2日号の報告。 対象は、うつ病および不安症に関するオランダの研究より、これまでにうつ病を経験していない参加者768例。合計6年間にわたり、4回の反復調査を実施し、フォローアップを行った。ベースライン時の不眠症の重症度、短時間睡眠、個々の不眠症に関する問題が、フォローアップ期間中にうつ病発症を予測したかを評価するため、Cox比例ハザード分析を用いた。個々の不眠症に関する問題の中に、直接的な予測因子があるかを評価するため、ネットワークアウトカム分析の新しい手法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・6年間のフォローアップ期間中にうつ病を発症した参加者は、141例(18.4%)であった。・うつ病発症の予測は、睡眠時間ではなく、不眠症の重症度との関連が認められた(HR:1.11、95%CI:1.07~1.15)。この関連は、個々の不眠症に関する問題の中で、入眠障害により推進された(HR:1.10、95%CI:1.04~1.16)。・ネットワークアウトカム分析では、同様の結果が得られ、入眠障害に関する問題のみが、うつ病発症を直接的に予測した。 著者らは「入眠障害は、うつ病発症のリスク因子であることが示唆された。うつ病を予防し、世界的な負担を軽減するために、各不眠症状の中で、入眠障害をターゲットとした治療が有益な可能性がある」としている。■「うつ病軽減」関連記事うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

17677.

左冠動脈主幹部狭窄、PCIはCABGより5年臨床転帰不良/Lancet

 左冠動脈主幹部病変の血行再建術では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、5年時の臨床転帰が不良であることが、デンマーク・オーフス大学病院のNiels R. Holm氏らが行った「NOBLE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月23日号に掲載された。PCIは近年、左冠動脈主幹部病変を有する患者の血行再建において、標準治療のCABGに代わり使用機会が増えている。本研究では、追跡期間中央値3.1年の時点で、これら2つの介入法の死亡率は類似するが、PCIでわずかに高かったと報告されている。主要有害心/脳血管イベントを評価する非劣性試験 本研究は、欧州北部9ヵ国の36の病院が参加した非盲検無作為化非劣性試験であり、2008年12月9日~2015年1月21日の期間に患者登録が行われた(Biosensorsの助成による)。今回は、追跡期間中央値5年時の成績が報告された。 対象は、安定狭心症/不安定狭心症、急性冠症候群で、左冠動脈主幹部の入口部、mid-shaftまたは分岐部に、目視で>50%の狭窄または冠血流予備量比(FFR)≦0.80の病変を有し、これ以外の非複雑病変が3つ以下の患者であった。 被験者は、PCIまたはCABGを受ける群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、主要有害心/脳血管イベント(MACCE)であり、全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術、脳卒中の複合とした。PCIのCABGに対する非劣性は、MACCEが275件発生後のハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値が1.35を超えない場合と定義された。副次エンドポイントは、全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術であった。死亡に差はないが、心筋梗塞と再血行再建術はCABGで良好 1,201例が登録され、PCI群に598例、CABG群には603例が割り付けられた。両群とも592例ずつがintention-to-treat解析の対象となった。追跡期間中央値4.9年の時点で、主要エンドポイントの評価に十分な検出力を持つイベント数に達した。 ベースラインの年齢中央値は、PCI群66.2歳(IQR:9.9)、CABG群66.2歳(9.4)で、女性がそれぞれ20%および24%含まれた。糖尿病がPCI群16%、CABG群15%に認められた。血行再建術の臨床的適応は、安定狭心症がPCI群82%、CABG群83%であった。左冠動脈主幹部狭窄が分岐部の患者はPCI群81%、CABG群81%であった。また、SYNTAXスコアの平均値は、それぞれ22(SD 8)点および22(7)点だった。 Kaplan-Meier法によるMACCE発生の推定値は、PCI群が28%(165イベント)、CABG群は19%(110イベント)であった。HRは1.58(95%CI:1.24~2.01)であり、PCIの非劣性は示されず、CABGの優越性が確認された(p=0.0002)。 また、全死因死亡の発生率はPCI群9%、CABG群9%(HR:1.08、95%CI:0.74~1.59、p=0.68)であり、両群間に差は認めなかった。一方、手技に伴わない心筋梗塞の発生率はそれぞれ8%および3%(2.99、1.66~5.39、p=0.0002)、再血行再建術の発生率は17%および10%(1.73、1.25~2.40、p=0.0009)と、CABG群で有意に良好であった。なお、脳卒中の発生率はそれぞれ4%および2%(1.75、0.86~3.55、p=0.11)だった。 SYNTAXスコアが低い集団(1~22点、52%)のMACCE発生率は、PCI群27%、CABG群14%(HR:2.05、95%CI:1.41~2.98、p=0.0001)と、CABG群で良好であった。一方、同スコアが中間の集団(23~32点、40%)では、PCI群30%およびCABG群25%(1.24、0.87~1.77、p=0.30)、同スコアが高い集団(≧33点、9%)では、それぞれ33%および25%(1.41、0.68~2.93、p=0.40)であり、両群間に差はみられなかった。 著者は、「左冠動脈主幹部病変がみられ、これ以外の狭窄の数が限定的な患者の血行再建術においては、ハートチーム(heart team)による治療が適切と考えられる場合は、PCIとCABGの死亡率はほぼ同様の可能性がある。多枝病変で、とくに糖尿病を合併する場合は、CABGのほうが死亡率が低いため好ましく、PCIは急性冠症候群で好ましい手技と考えられる。PCIとCABGの双方が適応の患者では、個々の手技に関連する便益とリスクに関する十分な情報が必要となる」としている。

17678.

医学研究者に週末や休日はあるか/BMJ

 医学研究者は、全般に週末や祝日、深夜の時間外労働(論文の投稿、査読結果の報告)の割合が高いが、国によって差がみられ、この傾向は経時的にほとんど変化していないことが、オーストラリア・クイーンズランド工科大学のAdrian Barnett氏らの調査で明らかとなった。大学の格付け順位表は、研究者に「論文を発表せよ、しからずんば去れ(publish or perish)」を促す管理手段として活用されている。研究者は、研究と論文執筆の要請に応えるために長時間働いていると考えられ、学術および臨床における過重労働には苦言も多いという。BMJ誌2019年12月19日号クリスマス特集号の「Shiny Happy People」より。投稿論文と査読報告の送信日時を解析 研究グループは、就業時間外における投稿論文および査読報告の提出の状況を調査し、その経時的な変化について検討する目的で観察研究を行った(筆頭著者は、オーストラリア国家保健医療研究会議[NHMRC]の助成を受けた)。 解析には、ロンドン市を拠点とする2つの国際的な医学ジャーナル(BMJ誌、BMJ Open誌)の投稿システムのデータを用いた。2012年1月1日~2019年4月5日の期間(2,651日間)に提出された研究論文と査読報告の送信日時を解析した。 主要アウトカムは、週末(土曜日、日曜日)、国民の祝日(地域の祝日は除く)、早朝・深夜の時間帯の投稿論文および査読報告の提出とした。ロジスティック回帰を用いて提出の確率を推定した。回帰モデルにはベイジアン・パラダイムを使用し、95%確信区間(credible interval:CI)を算出した。日本は週末、祝日、午前0時前後の提出の確率が高い 4万9,464本の投稿論文および7万6,678本の査読報告が解析に含まれた。以下に示すように、時間外労働の割合は高く、同一の週の平日と比較して、週末および祝日は労働の平均確率が高かった。 週末に提出される確率は、投稿論文(平均確率:BMJ誌0.14[95%CI:0.12~0.15]、BMJ Open誌0.14[0.13~0.15])および査読報告(0.18[0.16~0.20]、0.18[0.17~0.20])の双方において、2誌とも同じ値であった。週末に提出される確率は、査読報告が投稿論文に比べて高かった。 祝日に提出される確率は、査読報告(平均確率:BMJ誌0.13[0.11~0.15]、BMJ Open誌0.12[0.11~0.13])が投稿論文(0.08[0.07~0.10]、0.10[0.08~0.11])よりも高かった。 週末と祝日に提出された投稿論文および査読報告の平均確率には、2誌とも経時的な変化は認められなかった。 BMJ誌への週末と祝日の投稿論文の提出の確率は、国によって明確な差が認められた。たとえば、週末の提出は、インドが最も低く中国が最も高かった(日本は26ヵ国中6番目に高い)。祝日の提出は、カナダが最も低くベルギーが最も高かった(日本は21ヵ国中4番目に高い)。 中国は、2誌への週末の投稿論文および査読報告の確率(0.22~0.23)が最も高かったが、祝日(0.08~0.12)は低かった。北欧諸国(ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン)は週末の労働の確率(0.10~0.17)が最も低い国に含まれ、平日および日中の提出の確率が最も高かった。ベルギーは祝日の労働の確率が最も高かった(0.09~0.18)。 日本は、投稿論文および査読報告の提出の確率が、週末(0.15~0.20)および祝日(0.08~0.18)の双方で、高い傾向が認められた。 1日のうち提出の頻度が高い時間帯は、就業日の終わり(午後3~5時)であった。正午付近も提出が集中しており、おそらく昼食中に仕事をする研究者が多いことを反映している可能性がある。また、中国と日本は、午前0時前後に投稿論文および査読報告を提出する確率が最も高かった。 著者は、「時間外労働は国によって差があり経時的な変化がないという結果は、『過重労働の文化(culture of overwork)』は文字どおりの意味であり、比喩的な表現ではまったくないことを示す。『週末(weekend)』という言葉は、多くの研究者にとって、誤った名称である」としている。

17679.

Dr.林の笑劇的救急問答15

第1回 この腹痛!原因がわからない第2回 コワい腹痛!お腹が柔らかいのに?第3回 身じろぎできない腹痛!急性腹症?第4回 痛みに波がある腹痛!腸閉塞? 15年目に突入の今シーズンは「腹痛」がテーマ!原因がわからない!診断できない!そんな腹痛を「胃腸炎」や「便秘」とゴミ箱診断していませんか?確かに腹部救急は難しく、診断に時間がかかります。救急を受診した腹痛患者のうちおよそ1~2割が診断不能で、さらに、そのうち2割が悪化すると言われています。重大な腹痛を見逃さないために、いろいろな原因を想起できるようになりましょう。上巻では血管系の疾患、急性腹症、腸閉塞などを中心に、腹痛のさまざまな原因とその対処法について解説します。見つけるポイントはどこか、何をもって疑うか、そして、そのときに取るべき対応は?ピットフォール満載の爆笑症例ドラマと、Dr.林のわかりやすい講義で楽しく、しっかりと学んでください。第1回 この腹痛!原因がわからない救急を受診する腹痛患者のうち、診断不能なのは10~20%程度といわれています。身体診察で、腹部が柔らかいからといって、「重大な腹痛であることを除外していませんか?確かに腹膜刺激症状は重要な所見ですが、腹膜刺激症状が出ない疾患で、命に係わる疾患もあります。血管系の疾患もその1つ。見逃さないためのポイントをしっかりと学んでください。第2回 コワい腹痛!お腹が柔らかいのに?腹膜刺激症状は、腹痛診療の根幹をなす身体所見です。しかしながら、腹膜刺激症状が出ないコワい疾患も多数あり、それらをしっかりと頭に入れておくことが必要です。今回は、まずは、それらの疾患はどのようなものがあるのかを考え、その中でもとくにコワい「血管系疾患の腹痛」について解説します。見逃さないための診断のコツやポイント、CTをとるべきタイミングと読み方についても詳しくお教えします。つ・ま・り、今回も楽しく学べます!  ↑   この意味は番組でご確認ください!第3回 身じろぎできない腹痛!急性腹症?今回の腹痛のテーマは「急性腹症」、主に腹膜炎について取り上げます。急性腹症は、いかに早く診断し、治療するかの時間との勝負です。腹痛患者のそれぞれの状態や疾患による痛がり方、腹膜刺激症状の出方、身体診察の仕方など、なぜそうなのかの理由も含めて林寛之先生がしっかりとお教えします。これであなたも急性腹症に強くなれるはず。そうすれば、1人でも多くの患者の命を救うことができます。第4回 痛みに波がある腹痛!腸閉塞?今回のテーマは「腸閉塞」。腸閉塞は機械的な閉塞のことで、イレウス(麻痺性)とは異なる疾患であることをまず理解しておきましょう。腸閉塞は術後の癒着による閉塞が最も多く、痛みが間欠的、手術歴あり、排便・排ガスがないという典型的な病歴であれば、腸閉塞を強く疑うことは難しくありません。しかしながら、そのほかにも、ヘルニア、がんなど、さまざまな原因によって引き起こされます。それぞれのパターンの腸閉塞を想起できるよう、どのように病歴を聴取し、診察していくのか。Dr.林が詳しく、わかりやすく解説します。身体所見であるHowship-Romberg徴候や、造影CT画像のbeak sign、Whirl signなど、診断に有用なポイントもしっかりとお見せします。

17680.

消化管間質腫瘍〔GIST : Gastrointestinal Stromal Tumor〕

1 疾患概要■ 概念・定義消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor: GIST)は、主に消化管に発生し、紡鐘型(spindle)または類上皮型(epithelioid)の形態の腫瘍細胞からなる間葉系腫瘍である。多くの場合(95%)、KITとDOG1タンパク質を発現する。■ 疫学一般に日常診療で遭遇する臨床的GISTの頻度は、洋の東西を問わず年10万人に1人程度である。発症・発見年齢の中央値は60歳で、中高年に好発し、発生頻度に性差はない。※ただし、“GISTの芽”ともいわれる顕微鏡的GIST(microGIST)は、中高年の約1/3の人の胃に認められ、内視鏡検診を行うと成人の約1,000人に1人程度の頻度で胃粘膜下腫瘍(SMT)を認め、その約半数がGISTと考えられている。すなわち、microGISTや数mmのGISTのほとんどは、臨床的に問題となるGISTになることはない。■ 病因KIT遺伝子(80%)、PDGFRA遺伝子(10%)の活性化型突然変異が主な原因。それぞれの変異のhot spotは、KITはエクソン 11、9、17、13、PDGFRAはエクソン18、12、14である。KIT・PDGFRA以外に、NF-1遺伝子やSDH遺伝子群(コハク酸脱水素酵素を構成する4つの遺伝子)の失活でも生じ、KITやPDGFRAの下流の蛋白質の遺伝子(RAS、BRAF、PI3KCA)変異でも生じる。また、非常にまれではあるが、NTRK fusionsなどのいくつかの融合遺伝子変異でもGISTは発生する。GISTの遺伝子変異検索は、KIT陰性のGISTの確定診断、ならびにイマチニブなどの分子標的治療薬の効果予測バイオマーカーとして有用である。■ 症状GISTは粘膜下に存在し、浸潤性増殖を示さないため、進行するまでほとんど症状を示すことがない。わが国では半数の患者が、がん検診で無症状のまま「消化管粘膜下腫瘍」として発見される。三大症状は、貧血・消化管出血、腹痛、腫瘤触知である。部位特異的には、食道GISTでは嚥下障害、直腸GISTでは排便・排尿障害がみられる。■ 分類臨床的分類としては表1に示すいくつかのリスク分類が用いられる。これらリスク分類は、いずれも外科手術術後の再発リスクをよく反映しており、術後フォローの頻度や術後アジュバント治療の選択指針として用いられる。画像を拡大する画像を拡大する■ 予後完全切除後の予後は、世界規模の疫学調査から、5年無再発生存率70%、生涯再発リスクは40%程度と見込まれる。切除不能、再発、転移GISTの予後(全生存の中央値)は、無治療で1.5年、イマチニブ(商品名:グリベック)やスニチニブ(同:スーテント)、レゴラフェニブ(同:スチバーガ)を適切に用いると5~7年である。術後再発に関連する因子は、次のとおりである。1)腫瘍細胞分裂像数(mitosis/50HPF)2)腫瘍径(cm)3)腫瘍発生部位(予後の良い順に、胃>小腸・大腸・食道>消化管外)4)腫瘍破裂(腫瘍破裂の定義は文献5を参照)2 診断 (検査・鑑別診断も含む)初診時、GISTは多くの場合、消化管粘膜下腫瘍あるいは腹部腫瘤として発見される。発見時には消化管造影検査(バリウム検査)や内視鏡検査が行われていることが多い。精密検査では、超音波内視鏡検査(EUS)や針生検を行うEUS-FNAは胃、食道、近位十二指腸、直腸のSMTの組織学的確定診断には有用である。MDCT(multi-detector CT)は、腫瘍の進展範囲を診断し、悪性度を推定する上で有用で、MRIは食道や直腸のGIST診断に有用である。なお、GISTの最終診断は組織採取の上、病理組織学的に行われる。病理診断には、HE染色に加え、KIT、DOG1蛋白質の発現確認が重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)切除可能なGISTの治療第1選択は外科的完全切除である。完全切除不能(局所進行、転移、再発)GIST治療の第1選択は、標的治療(first lineはイマチニブ〔商品名:グリベック〕、second lineはスニチニブ〔同:スーテント〕、third lineはレゴラフェニブ〔同:スチバーガ〕)である(図1)。画像を拡大する1)外科治療肉腫の外科治療の原則は、次のとおり。(1)肉眼的に安全なマージン(肉眼的断端陰性)を確保(2)偽被膜損傷を回避した外科的完全切除(3)予防的あるいは系統的リンパ節郭清術は不要(4)臓器機能温存を考慮した部分切除を推奨肉腫の外科治療の原則と手術の安全性を守る限り、開腹・腹腔鏡手術の別は必ずしも問わない。術後、再発抑制目的で、高リスクGIST(あるいは腫瘍破裂を伴うGIST)の場合は、イマチニブアジュバント治療を3年間行うことが推奨される(推奨度B)。原発GISTで切除可能ではあるものの、他臓器合併切除が必要と予想される場合や大きな侵襲で術後合併症が予想される場合は、組織検査でGISTであることを確認後、術前に6ヵ月程度のネオアジュバント治療が行われることもある(推奨度C)。ネオアジュバント治療症例の完全切除後には、アジュバント治療が推奨される。2)標的治療(1)イマチニブ標準投与量は400mg/日で、中断や減量は病勢進行を招く可能性があり、重篤な有害事象がない限り避ける。イマチニブ治療では6ヵ月以上続くSDもPRとほぼ同等の予後改善効果を持ち、腫瘍進行(PD)を認めない限り治療を継続する。イマチニブの無増悪生存期間(PFS)の中央値は2年で、約80%の進行GISTに治療効果を認める。有害事象で多いものは、浮腫、皮膚炎、消化器症状、血液毒性である。(2)スニチニブイマチニブ耐性GISTに用いられる。スニチニブはマルチターゲット阻害薬で、50mg/日を4週間服用後、2週間休薬を1サイクルとして治療を行い、有害事象によっては、適宜減量ないし休薬する。PFSの中央値は約8ヵ月で、clinical benefit rate (CBR)は40%である。有害事象で、高血圧、手足症候群、全身倦怠感、血球減少(好中球と血小板)、消化器症状が認められ、とくに第1サイクルは重篤な有害事象に注意を要する。(3)レゴラフェニブレゴラフェニブもマルチターゲット阻害薬で、160mg/日を3週間服用後、1週間休薬を1サイクルとして治療を行う。PFSの中央値は約5ヵ月で、CBRは50%である。同じマルチターゲット阻害薬のスニチニブと同様の有害事象を認める。(4)治療効果判定GISTで用いられるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による標的治療の治療効果判定には、造影CTが有用である。判定基準は、基本的にRECIST基準を用いる。イマチニブ治療効果に関しては、GISTで時に用いられるChoi基準を参考に早期に効果判定ができる(図2)。PETやPET-CTは、造影CTでの判断の補助として用いられることがあるが、PETの効果判定への保険適応は、現時点では認められていない。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する4 今後の展望現時点で、薬事承認を目指した第III相試験は、欧米ではforth-lineでripretinibとavapritinibの治験が行われており、わが国ではTAS-116の治験が行われている。TRK fusion遺伝子陽性のGISTに対してはエヌトレクチニブ(同:ロズリートレク)が承認され、また他のTRK阻害剤の治験も行われている。5 主たる診療科消化器内科(とくに粘膜下腫瘍と診断されたとき)、消化器外科、腫瘍内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報NPO法人 稀少腫瘍研究会(一般利用者向け、医療従事者向けにまとまった情報)特定非営利法人 GISTERS(一般利用者向け、医療従事者向けにまとまった情報)European Reference Networks(医療従事者向けにまとまった情報)患者会(日本)GIST・肉腫患者と家族の会「GISTERS.net」患者会(海外)The European Network of Sarcoma Patient Advocacy GroupsThe Life Raft Group1)Corless CL, et al. Nat Rev Cancer. 2011; 11: 865-878.2)日本治療学会、日本胃学会、GIST研究会編.GIST診療ガイドライン.第3版.金原出版;2014.p.1-68.3)Demetri GD, et al. J Natl Compr Canc Netw. 2010; 8(suppl 2): S1-41.4)Casali PG, et al. Ann Oncol. 2018;29:iv68-iv78.5)Nishida T, et al. Ann Surg Oncol. 2019;26:1669-1675.公開履歴初回2013年02月28日更新2020年01月14日

検索結果 合計:35672件 表示位置:17661 - 17680