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第4回 COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた

<先週の動き>1.COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた2.地域でのがん患者、透析患者、妊産婦などへの医療提供体制がまとまる3.医療・介護現場で足りないマスク、防護具、消毒薬の対策が進む4.新型コロナウイルスに対する新薬開発状況が明らかに1.COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた新型コロナウイルス感染による重症患者を診療する医療機関に対して、17日に開催された中央社会保険医療協議会 総会(第455回)において、具体的な支援策が打ち出された。中等症・重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の受入れに係る特例的な対応は以下の3点にまとめられている。1)重症COVID-19患者の治療に係る評価体外式心肺補助(ECMO)や人工呼吸器による管理が必要な重症患者などへの対応として、救命救急入院料、特定集中治療室管理料またはハイケアユニット入院医療管理料を算定する病棟において、2倍の点数を算定できる。また、急性血液浄化(腹膜透析を除く)を必要とする状態、急性呼吸窮迫症候群または心筋炎・心筋症のいずれかに該当する患者については21日間、ECMOを必要とする状態の患者については35日間まで、算定日数が延長される。2)患者の重症化等を防ぐための管理および医療従事者の感染リスクを伴う診療の評価中等症以上のCOVID-19患者については、患者の重症化や他患者および医療従事者への感染拡大を防ぐための管理の評価として、救急医療管理加算の2倍相当(1,900点)を算定可能になった。さらに、人員配置に応じて、追加的に二類感染症患者入院診療加算に相当する加算を算定できる。3)受入れに伴い必要な手続き等への柔軟な対応救命救急入院料、特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料と同等の人員配置とした病床において、COVID-19患者または本来当該入院料を算定する病床において受け入れるべき患者を受け入れた場合には、運用開始日や人員配置など簡易な報告をした上で、該当する入院料を算定できる。なお、救命救急入院料について、COVID-19患者の受入れなどにより、当該医療機関内の特定集中治療室管理料などを算定する病棟に入院できない場合には、患者の同意を得た上で、入院経路を問わず算定可能。(参考)新型コロナウイルス感染症患者(中等症・重症患者)への診療報酬における対応について(中医協 第455回総会)2.地域でのがん患者、透析患者、妊産婦などへの医療提供体制がまとまる地域で医療提供体制を協議する上で配慮が必要となるがん患者、透析患者、障害児者、妊産婦、小児に係る対応について、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が、都道府県などに向けて14日付で事務連絡を発出した。がん治療を受けている患者がCOVID-19に罹患した場合には、重症化する可能性を念頭に置き、がん治療を中断し、コロナに対応した医療機関への入院を原則とするなど、細心の注意を要する。日本透析医学会の報告によると、国内の透析患者の感染者数は累計47人だ。全体の死亡率は、8.5%(4/47人)と、基礎疾患のない患者と比較して高率であることも含め、適切な病床の確保などが望まれる。都道府県には、各学会から発出される情報を参考にし、医療機関への周知を行うなどの対応が求められている。(参考)新型コロナウイルス感染症に対応したがん患者・透析患者・障害児者・妊産婦・小児に係る医療提供体制について(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)透析患者における累積の新型コロナウイルス感染者数(2020年4月17日)(一般社団法人 日本透析医学会)3.医療・介護現場で足りないマスク、防護具、消毒薬の対策が進む厚生労働省は10日に「N95マスクは滅菌により2回までの再利用等が可能」とする事務連絡を出していたが、現場で増え続ける疑い症例への防護策として必要なマスクや防護具の不足に対して、新たな工夫をして乗り越えようとする動きが見られる。東京都医師会では、COVID-19の流行に伴うマスク不足を受け、「【縫わずに作れる!】簡易マスクの作り方」をホームページで公開している。フェイスシールドについても、100円ショップなどで入手可能なクリアファイルを利用して自作する代用案が動画サイトで共有されるなど、さまざまなアイデアが共有されている。消毒用アルコールについては、13日から若鶴酒造(富山県砺波市)が「砺波野スピリット77%」の発売開始、今月下旬からサントリースピリッツ大阪工場で医療機関等向けにアルコールの提供開始などが発表されており、不足が徐々に解消すると考えられる。また、17日に北里大学大村智記念研究所の片山 和彦教授らの研究グループが発表した「医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について」により、一般の医薬部外品や生活雑貨の中でも、消毒用に使えるものが公開されている。(参考)N95 マスクの例外的取扱いについて(厚労省 事務連絡 令和2年4月10日/4月15日一部追記)消毒アルコール、酒で代替 品不足受け、業者次々参入―行政も柔軟対応・新型コロナ(時事通信)医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について(学校法人 北里研究所)4.新型コロナウイルスに対する新薬開発状況が明らかに第94回 日本感染症学会学術講演会 特別シンポジウム(テーマ:COVID-19シンポジウム -私たちの経験と英知を結集して-)が18日に開かれた。最後の演題「臨床試験の進行状況と新知見」では、藤田医科大学の土井 洋平教授より、国内におけるファビピラビルの治療成績について観察研究の報告がされた。新型コロナウイルス感染患者300例に投与した結果、軽・中等症の患者で約9割、人工呼吸器が必要な重症・重篤患者で約6割に症状の改善が見られた一方、高尿酸血症や肝機能障害といった有害事象が17%で報告されたという。ほかにも、喘息治療に用いる吸入ステロイド薬シクレソニド(商品名:オルべスコ)、抗インフルエンザ薬のファビピラビル(同:アビガン)、エボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬レムデシビル(ギリアド・サイエンシズ)などが挙げられる。また、抗マラリア薬の一つで、新型コロナウイルスの治療薬として期待されるヒドロキシクロロキンについては、ブラジルで行われた治験で81例の被験者のうち11例が死亡し、臨床試験は6日目で中止となった。フランスでも同様の臨床試験に着手したが、副作用と心臓損傷のリスクのため直ちに中止になるなど、当初の期待通りとはいかないものもある。なお、日本感染症学会のCOVID-19シンポジウムについては、NHKチーフ・ディレクター市川 衛氏によるシンポジウム関連ツイートのまとめが掲載されている。(参考)アビガン投与2週間で重症者6割が改善、軽症者では9割…「それぞれの薬に長所と短所」(読売新聞)新型コロナ治療薬、開発急ピッチ 世界で治験650件(日経新聞)日本感染症学会ウェブセミナー COVID-19シンポジウムまとめ(市川衛@医療の「翻訳家」/@mam1kawa)

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エピジェネティック制御薬は心血管疾患の残余リスクを低下させない(解説:佐田政隆氏)-1217

 冠動脈疾患に対する薬物療法の進歩には目を見張るものがあり、患者の長期予後を大きく改善させた。その中でも高用量のストロングスタチンは心血管イベントを3割から4割低下させるという数々のエビデンスが積み重ねられて、現在、標準的治療となっている。しかし、逆にいうと6割から7割の人が至適な薬物療法を行っても心血管イベントを起こしてしまうことになる。これが残余リスクとして非常に問題になっている。 LDLコレステロールを積極的に低下させた後の残余リスクとしては、2型糖尿病、低HDLコレステロール血症、高感度CRPの上昇などが注目されている。高感度CRPが上昇している心筋梗塞患者にインターロイキン-1βの中和抗体が有効であったという衝撃的な報告は記憶に新しい。また、急性心筋梗塞患者に、抗炎症効果のあるコルヒチンの少量投与が有効であったという報告が昨年された。しかし、どちらも現在一般的に使用される治療法とはなっていない。 さて、本研究では、エピジェネティックスに関する薬剤の効果が検討された。細胞の種類や状態によって、どの遺伝子が、どの細胞で、いつ、どのくらい発現するかを制御するシステムがエピジェネティックスである。DNAのメチル化やヒストンのアセチル化、メチル化が、どの遺伝子の転写を促すのか、抑制するのかを制御する。ブロモドメインタンパク質は、“読み取りタンパク質”として転写を活性化して、がんや炎症疾患と関連することが知られている。apabetaloneはブロモドメインタンパク質の選択的な阻害薬であり、動物モデルなどで抗動脈硬化作用が報告されている。本研究では、急性冠症候群で、2型糖尿病、低HDLコレステロール血症を合併した、いわゆる残余リスクが高いと考えられる患者にapabetaloneもしくは偽薬が標準治療に追加投与された。残念ながら、apabetaloneは主要有害心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞または脳卒中)を有意に低下させることができなかった。残余リスクを低下させるために、スタチン導入以来の革新的新薬の開発が期待される。

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第39回 “ポイント”で考える左室肥大【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第39回:“ポイント”で考える左室肥大第37回、38回ではQRS波が増高する「左室高電位」を扱い、“ライオン”やちょっと太めの“男女”、そしてポイント制の“浪費エステ”など謎のワードが登場しました。これは心筋重量がアップした「左室肥大」(LVH)という病態の心電図診断に関係します。ほかの画像検査とは違い、波形で心臓を間接的に描写する心電図を使ってLVHをどのように予測すればいいのでしょうか? 曖昧にされがちなこの問題をDr.ヒロが明快にレクチャーしてみせましょう!【問題1】次のうち、「左室肥大」(LVH)の心電図診断に関係するものを選べ。1)左室低電位2)右房拡大3)ST-T変化(ST低下、陰性T波など)4)右軸偏位5)幅広いQRS波[120ms以上]解答はこちら3)解説はこちらご存じの通り、心電図は本来「不整脈」の診断検査です。エコーやCT、MRIなどの画像検査とは異なり、心臓の形態そのものを描出するわけではありませんね。それなのに「左室肥大」(LVH:left ventricular hypertrophy)は好発する心電図所見であり(個人的にはそこがスゴイと思う)、心電図を学ぶすべての人がおさえるべき異常所見の“代表選手”だと思います。心電図におけるLVHは、主に5つの心電図所見を総合して診断すると良いでしょう。その5つはおおむね選択肢に取り上げた項目です。最も重要なのは、前2回で扱った1)の「左室高電位」と側壁誘導*1を中心として見られる3)の「ST-T変化」の2項目。この2つはほぼ“Must”に近い条件だと思います。後者に関しては、「下行型ST低下」と「陰性T波」の組み合わせから成り、“ストレイン型”(通称:strain-pattern)と呼ばれる所見が代表的でしょうか。そのほかに“状況証拠”的な参考所見も3つほど知られています。一つは「左房拡大」(第26回)で、もう一つは「左軸偏位」(第8回)です。ともにこの“ドキ心”レクチャーでは丁寧に解説しました。選択肢はボクお得意の“左右アベコベ”で、2)も4)も×ということになります。最後の5)はどうでしょう。LVHでは、QRS幅はワイドにはなりません。QRS幅が120ms(3mm)を超える異常は「心室内伝導障害」といい、左右の「脚ブロック」が代表的です。ただし、今回この選択肢5)を入れ込んだ理由は、興味深いことに、真のLVHではQRS幅は“ワイド気味”になることが多いのです。“intrisicoid deflection”という概念が適用されるためで、この辺は次問で詳しく解説します。*1Dr.ヒロ流だと“イチエル・ゴロク”、すなわちI、aVL、V5、V6誘導のこと。時に“ゴロク”が“シゴロ”(V4、V5、V6)になることもある。【問題2】LVH診断に用いるRomhilt-Estesポイントスコア(図1)を踏まえ、次に示す82歳男性の心電図(図2)は何ポイントに該当するか答えよ。(図1)Romhilt-Estes Point Score System画像を拡大する(図2)定期検査の心電図画像を拡大する解答はこちら 9ポイント解説はこちら前回“浪費エステ”としてご紹介したRomhiltとEstesによるLVHスコアリングシステムですが、図1を見てください(英語表記そのままで若干見づらくてすいません)。ど、どうでしょう?…気づきましたか? そうっ! 1問目で解説した事項にほぼ一致しているんです。それでは、心電図(図2)について、それぞれをチェックしてみましょう。1は「左室高電位」、2は「ST-T変化」で、この二つはLVH診断としては王道な2つです。後者は、典型的にはストレイン型と言われるお決まりの形で、“右肩下がり”(下行型)のST部分とR波とはまったく逆向きの陰性T波が組み合わせで認められるものを言います。3はモリス・インデックス(Morris index)と呼ばれる指標に関連し、LVHの主要な診断要件を構成します。4は「左軸偏位」。ただし、ここでは-30°より北西寄り(-90°~-30°)を示しているので、いわゆる“軽度”な左軸偏位では該当しないことにご注意あれ。5と6は横軸、つまりQRS幅に関連する点が共通しています。5はシンプルにQRS幅が“ワイド”(幅広:≧0.12秒)ではないものの、2マスちょっとの“やや幅広”という条件です。6はLVH時の心筋の挙動を反映した条件になっています。LVHでは心筋ボリュームが増えるためか、QRS波の初期成分がダラダラ“もたつく”んです。これを“(delayed) intrinsicoid deflection”と言います。この症例ではさほど顕著ではありません。以上、まとめると、82歳男性の心電図は、1(c)、3、4、5を満たしますから、3+3+2+1=9がRomhilt-Estesポイントスコアになります。“「高い」だけじゃダメなんです”皆さんは、普段どのようにLVHを診断してますか? いわゆる肥大型心筋症のように、絵に描いたような“The・LVHパターン”であれば苦労しないと思います。基本は左室興奮が反映されやすい“イチエル・ゴロク(またはシゴロ)”の誘導で見られる左室パターン波形に着目し、これらの誘導で「左室高電位」が見られることが診断の核となることは言を待ちません。ただ、「左室高電位」だけでイコールLVHとするのは間違えです。前回に扱った“そこのライオン”(Solpkolow-Lyon)や性別でカットオフ値の異なってくる“こなれた男女(は3L)”(Cornell)などの基準をはじめ、到底覚えきれないほど列挙した一覧表を提示しましたが、これをいくつ満たそうがダメです。もちろん、“「左室高電位」なくして「LVH」なし”ですが、それだけではいけません。これらの基準だけでは感度50%くらいで、10~15%くらい偽陽性になってしまうことが知られています1)。『そんなのブツブツ言っていないでエコーを見ればいいじゃない』…みたいなコメントありませんか?そのスタンスは基本的に間違ってはいませんが、今回紹介するRomhilt-Estesポイントスコアの原著2)は1968年の論文、すなわち50年以上前の古典なんです。当時は今と違って心エコーも容易にとれなかった時代、いかに心電図からLVHを予想できるかということが花形だったのではないかと予想します。もちろん、今回取り上げた本スコアを覚えてもらおうなんていう気持ちは毛頭ありませんが、心電図の世界ではLVHを「左室高電位+α」で捉えるんだよという卓越したセンスには脱帽ですし、多少アレンジすることで現代でも十分に適用させることができるのです*2。*2:現在の国内の主要メーカーの心電計でも類似の診断アルゴリズムが採用されている。“実は「~ポイント制」の先があるんです!”では“浪費エステ”スコアの実際の診断項目をドキ心ならではの語呂合わせで説明しましょう。■Romhilt-Estesポイントスコア“覚え書き”■(1):Romhilt-Estes(2):左室高電位(3):ST-T変化(4):QRS波の前半成分“もたつき”[+幅](5):軸偏位[左軸](6):心房負荷[左房拡大]これで4点あったら“たぶん”「LVH」の疑いレベル、5点以上なら“ほぼ間違いなし”の「確定診断」となります。まず、条件の(2)は言わずと知れた「(左室)高電位差」です。採用されている「肢誘導≧20mm」と「V1、V2(S波)≧30mm」ないし「V5、V6(R波)≧30mm」でもいいですし、個人的に言えばS-L indexや余裕があったらCornell基準を参考にしても良いかもしれません(第38回)。これに該当する時は3ポイントとなります。ちなみに、(2)を満たさず、ほかの合計で4~5点となっても「LVH(疑い)」と診断して良いかは悩むところです。(3)の「ST-T変化」は元々次のような「ストレイン型(パターン)」と称される特徴的なST-T変化がYESなら3ポイントです。ちなみに使用量が減少傾向のジギタリス製剤を服用していたら1ポイントに留めます。これは有名な「ジギタリス効果」で既存のST-T部分に影響を及ぼすためです。(図3)“ストレイン型”[ventricular strain]とは?画像を拡大する“strain”というのは、単語としてはわれわれにあまり馴染みがありませんが、“(血行動態的に)負荷が強まった”というのが原義3)のようです。言葉の意味もそうですが、この「ストレイン型(パターン)」を正確に理解している人はあまりいない気がします。基本的には「下行型ST低下」と「陰性T波」からなるのですが、実は(図3)で示したように、QRS波の切れ目(J点)から“ちょっと上がって”上に凸のST部分(A)を形成して、“ゆっくり・右肩下がり”に下降して最後は“急激に”基線まで戻る(B)のです。ゆっくり下って急いで戻るため、陰性T波は「左右非対称」となります。そんな細かいこと言われても覚えられないという人!…「2が寝そべっている感じ」と覚えてください。ボクはこれに気づいて以来、「typical ventricular strain」と呼ばれるこの形状を二度と忘れなくなりました*3。*3:日本語・英語や教科書・論文を含めて、“傾いた2”でイメージするやり方は“世界初”と自分では思っています。しかしながら、実際の心電図では“ちょい上がり”せずに「水平型」ないしは「下行型」ST低下となるパターンを多く見かけます(亜型:atypical)。ですから、実際は「typical」か「atypical」か、そもそも「strain」という言葉まで誤解されがちなので使うのやめましょうという欧米諸学会のリコメンデーション4)に従っておくことをオススメします。ただ、「二次性ST-T変化」という味気ない表現にも多少の不満がないわけでもなく、この辺うまく立ち回ればいいでしょう。なお、実臨床ではこのように綺麗なストレイン型ばかりではなく、さまざまな「ST-T変化」が認められます。ですが、最低でも「ST低下」と「陰性T波」でなければ「LVH」を反映する変化としてとらえるのは控えるべきだと思います。“残りの付随条件も押さえておこう”「(左室)高電位」と「ST-T変化」は“MUST”に近い条件ですが、ほかの所見も拾えると診断精度が高まるでしょう。(5)の「左軸偏位」は肥大化した左室が右室を自分側に“引っ張っている”イメージです。ただし、「右室肥大」で高率に「右軸偏位」が認められるほど特異的ではありません(そのため1ポイントなのでしょう)。(6)は「心房拡大」のことで、「LVH」の影響を受けるのは当然“左房”です。浪費エステ基準ではV1誘導の後半成分に着目した「Morris index」だけが採用されていますが、ボクは「mitral P」と呼ばれるII誘導などで見られるワイドな“2コブ”(しかも前半<後半)の有無などにも注意するよう心がけています(図2はこれに該当)。注目すべきは「左房拡大」がほかの付随条件よりも“ワンランク上”の3ポイントな点で、血行動態を直接反映しているからだと認識し、これがYESだと「LVH」の可能性がグンとアップします。最後の(4)だけ少し複雑です。前述のように、エッセンスは電気シグナルが行き渡って興奮(脱分極)するのに時間がかかり、“前半もたつく”ため、結局QRS幅が“ややワイド”になるというものです。Romhilt&Estesの時代は今のようなコンピュータ心電計ではなかったため、当初「0.09秒」とされたカットオフ値は「0.10~0.11秒」がベターとされています4)。これも細かな値がどうかではなく、明らかにワイド(≧0.12秒)に近い“ワイド気味”だという認識で良く、その観点で心電図(図3)は本条件に合致します。そして最後の最後になりましたが、「前半」の“もたつき”を表す「intrinsicoid deflection」の部分です。意味としては、「心内膜側から心外膜側に興奮伝搬することで生じる初期成分(振れ)」のようなことらしいのですが、(ボクも含めて)常人の理解域を超えていますね(泣)。■Intrinsicoid deflectionとは?■QRS波の前半成分:はじまり(q/R波)から頂点(ピーク)までの時間※「R(-wave) peak time」や「ventricular activation time(VAT)」と同義。個人的には、学生時代に心電図を教えてくれた教官(第24回)が「ventricular activation time(VAT)」と強調しており、これないし「R(-wave) peak time」という別の表現のほうが望ましいとボクは思います。要はこれが「delayする」、つまり“もたつく”ってことですよね。なのに、あえて「intrinsicoid deflection」なんていうワードを使ったのぉ~と、ポイントシステムに感嘆しつつも恨めしく思います(笑)。QRS幅の条件を「0.10秒以上」と焼き直せば、前半成分はその“半分”として「0.05秒以上」ととらえて良いと思います。なぜに1ポイントずつ2つに分けたのか、先人に尋ねてみたいとも思います。今回の症例はたしかに“前半基準”には該当しませんね。“Dr.ヒロの考える現実的な対応”今回はLVHの心電図について扱いましたが、いかがだったでしょうか。現在の心電計にはRomhilt-Estes基準がそのまま使われているわけではありません。年齢や性別の考慮だけでなく、非常にたくさんの「左室高電位」基準も網羅されていると思って良いでしょう。これはコンピュータによる自動診断技術の向上に伴う“勝利”です。同じことをわれわれ人間がしようと思っても土台無理ですから、現実的な対応(私見)を述べてレクチャーを終えたいと思います。(図4)心電図によるLVHの診断との向き合い方画像を拡大する心電図による心形態診断には限界があるのは事実ですが、何でも心エコーで確認しようとする人には“哲学”を感じません(時に心電図をとる前にエコー検査している例を目にします)。何事も“順番”がありますし、心電図が“オマケ”として発してくれる情報を適切にキャッチし、コンピュータ技術の進歩に感謝しつつ“天の声”も聞くクセをつける―細かな数値や語呂合わせを丸暗記しなくとも、偉大なる先人の知恵を活かしてゆくのが現代のすぐれた医師(“できドク”)の診断スタイルだなぁと思っています。さぁ次の1枚から今回解説した内容に気をつけてみましょう。きっと“何か”が変わるはずですよ!Take-home Message「左室肥大」(LVH)の診断の肝は「左室高電位」と「ST-T変化」(代表的には「ストレイン型」)付随所見にも気を配って“総合的”な診断を心がけよ。自動診断結果にも(最後に)必ず目を通すべし。1)Romhilt DW, et al. Circulation. 1969;40:185-195.2)Romhilt DW, et al. Am Heart J. 1968;75:752-758.3)Kaplan LG, et al. Am J Med Sci. 1941;201:676–693.4)Hancock EW, et al. Circulation. 2009;119.[Epub ahead of print]【古都のこと~伏見桃山城】皆さんは、豊臣 秀吉のお城と言ったらどこを思い浮かべますか? おそらく多くの方は「大阪城」とお答えになるでしょう。もちろん、それで正解です。ただ、京都にもあり、ボクが今回ご紹介したいのは「伏見城」です。二条城と並んで京都で「~城」とくれば思い出されます。伏見城は秀吉・家康により計3度築城されています。もとは朝鮮出兵(文禄の役)あたりに建造された指月(しづき・しげつ)伏見城ですが、これは慶長伏見地震(1596年:文禄5年)により倒壊したとされています*1。その後、近くの木幡山にわずか数ヵ月の“突貫工事”で再築されたのが木幡山伏見城(豊臣期)です。秀吉亡き後は徳川家康も居したとされますが、ここも“天下分け目”の関ヶ原の戦いで落城します。天下を取った家康により伏見城は再建*2され、二条城への城郭集約に伴って1619年(元和5年)に廃城されるまでが木幡山伏見城(徳川期)と呼ばれています。この地には桃の木が植えられ、いつしか(伏見)桃山城とも呼ばれるようになりました。このようなリアル“scrap and build”の歴史を辿った城址付近は現在、伏見桃山城運動公園として整備され、「洛中洛外図」を参考に作られた模擬天守が建てられています。「コロナ騒動」が終わりを迎え、京都・伏見を訪れる際には、ぜひ一度“歴史”を感じながら見て欲しい―。伏見城はそんなシンボル*3だと思います。*1:長らく“幻の城”とされていたが、2009年に確実な遺構が発見され、その後も発掘調査が行われている。*2:築城技術に長けた藤堂高虎に普請奉行を命じ、天下普請として再建され、家康は同城にて征夷大将軍の宣下を受けた。*3:残念ながら、耐震構造上の問題から天守閣に上ることはできない。

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デエビゴ:不眠症治療に新たな選択肢

オレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ」不眠症治療薬「デエビゴ(一般名:レンボレキサント)」が、2020年1月、製造販売承認を取得した。デエビゴは、オレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗薬である。その名の由来はDay(日中)+Vigor(活力)+Go(ready to go)だ。夜間の睡眠だけでなく日中の機能を改善し、活動的に過ごせるように、との想いが込められている。日本の不眠症治療の課題これまで不眠症治療においては、睡眠薬の長期服用による依存や乱用が問題となっていた1)。また日本人は睡眠薬に対する不安が強く、「依存性がありやめられなくなる」というイメージを持つ人も多い1)。しかし、一部の患者では不眠が慢性化し、睡眠薬の長期服用が必要になることもある。こうした背景から、より副作用のリスクを減らした睡眠薬の開発が進み、今回新たな選択肢としてデエビゴが加わった。医師、患者の両者が有効性を実感デエビゴについて、2つのピボタル臨床第III相試験(SUNRISE 1試験、SUNRISE 2試験)が実施されている。SUNRISE 1試験は、55歳以上の不眠症患者1,006例を対象に、デエビゴ(5mg、10mg)を1ヵ月間投与した際の有効性および安全性をゾルピデム酒石酸塩徐放性製剤(ゾルピデムER 6.25mg[国内未承認])と比較した、プラセボ対照試験だ。主要評価項目である睡眠潜時などについて、睡眠ポリグラフ検査法を用いて客観評価した。睡眠潜時について、ベースラインからの変化量のプラセボ群との比は、デエビゴ5mg群で0.773(p=0.0003)、10mg群で0.723(p<0.0001)であり、プラセボ群と比較して有意な短縮が認められた。また、ベースラインからの変化量のゾルピデムER群との比は、デエビゴ5mg群で0.634(p<0.0001)、10mg群で0.594(p<0.0001)であり、ゾルピデムER群との比較でも有意な短縮が認められた。SUNRISE 2試験は、18~88歳の不眠症患者949例を対象にデエビゴ(5mg、10mg)を6ヵ月間投与し、長期の有効性および安全性を評価したプラセボ対照試験である。主要評価項目である睡眠潜時などについて、電子睡眠日誌を用いて患者の主観評価による検討を行った。投与6ヵ月時における睡眠潜時のベースラインからの変化量のプラセボ群との比は、デエビゴ5mg群では0.732(p<0.0001)、10mg群では0.701(p<0.0001)であり、プラセボ群と比較して有意な短縮が認められた。2つの試験から、デエビゴは客観評価と主観評価、すなわち睡眠ポリグラフ検査法による評価と患者による評価の両方において、有効性が示された。また、ゾルピデムERとの比較で有意差が認められこともポイントだ。なおデエビゴ投与による副作用は、傾眠、頭痛、倦怠感などが報告されている。デエビゴへの期待不眠症治療においては、睡眠薬を可能な限り減薬・休薬していくことが求められる1)。また、夜間の不眠症状の消退だけでなく、良眠によって日中の機能を改善することも重要だ。デエビゴはその両者の改善に寄与し、休薬後の離脱症状や反跳性不眠も臨床試験で認められていないことから、不眠症治療のゴールである減薬・休薬も目指せると期待したい。また、デエビゴは軽度・中等度アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)に関しても開発が進められている。現在ISWRDを適応症とする睡眠薬は承認されておらず、デエビゴが承認されれば世界初となる可能性が高い。1)厚生労働科学研究・障害者対策総合研究事業「睡眠薬の適正使用及び減量・中止のための診療ガイドラインに関する研究班」および日本睡眠学会・睡眠薬使用ガイドライン作成ワーキンググループ編. 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン-出口を見据えた不眠医療マニュアル- 改訂版. 2013.

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3次治療以降のNSCLCに対するデュルバルマブ+tremelimumabの成績(ARCTIC)/Ann Oncol

 3次治療以降の転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、デュルバルマブ+tremelimumabと標準治療(SoC)を評価した第III無作為化非盲検試験ARCTICの結果がAnnals of Oncology誌2020年2月20日オンライン版で発表された。 ARCTICは試験AおよびBの2つの独立した研究で構成されている。[試験A]・対象:PD-L1発現(TC≧25%)の転移のあるNSCLC患者126例・試験群:デュルバルマブ(10mg/kg 2週ごと最大12ヵ月)・対照群:SoC[試験B]・対象:PD-L1( TC<25%)の転移のあるNSCLC患者469例・試験群1:デュルバルマブ+tremelimumab(デュルバルマブ20mg/kg+tremelimumab 1mg/kg 4週ごと12週間の後、デュルバルマブ10mg/kg 2週ごと34週間)・試験群2:デュルバルマブ(10mg/kg 2週ごと最大12ヵ月)またはtremelimumab(10mg/kg 4週ごと24週の後、12週ごと24週間)・対照群:SoC[評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)(試験Aではデュルバルマブ対SoC、試験Bではデュルバルマブ+tremelimumab対SoC)  主な結果は以下のとおり。[試験A]・OS中央値は、デュルバルマブ群11.7ヵ月、SoC群は6.8ヵ月であった(HR:0.63、95%CI:0.42~0.93)。・PFS中央値は、デュルバルマブ群3.8、SoC群2.2ヵ月であった(HR:0.71、95%CI:0.49~1.04)。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)発現はデュルバルマブ群9.7%、SoC群44.4%であった。[試験B]・OS中央値は、デュルバルマブ+tremelimumab群11.5ヵ月、SoC群8.7ヵ月であった(HR:0.80、95%CI:0.61~1.05、p=0.109)。・PFS中央値は両群とも3.5ヵ月であった(HR:0.77、95%CI:0.59~1.01、p=0.056)。・Grade3/4のTRAE発現は、デュルバルマブ群9.7%、デュルバルマブ+tremelimumab群22.0%、SoC群36.4% であった。

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がん患者の脳卒中リスクに化学療法は影響するか

 化学療法はがん関連脳卒中の原因となる可能性があるが、脳卒中リスクを高めるかどうかは不明である。今回、大阪大学の北野 貴也氏らが脳卒中リスクへの化学療法の影響を調べたところ、化学療法を受けたがん患者の脳卒中リスク上昇はがんの進行が原因と考えられ、化学療法と脳卒中リスク増加は関連していないことが示唆された。Thrombosis and Haemostasis誌2020年4月号に掲載。 著者らは、2007~15年にスクリーニングされた病院ベースのがんレジストリ(大阪大学病院でがんの治療を受けた全患者の臨床データを含む)における2万7,932例のうち、データが揃っている1万9,006例の診療記録を調査した。検証済みのアルゴリズムを使用し、がんの診断から2年以内の脳卒中イベントを同定した。最初の治療計画における化学療法の有無により患者を分け、カプランマイヤー法と層別Cox回帰モデルを用いて化学療法と脳卒中との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・1万9,006例のうち化学療法群は5,887例(31%)であった。・脳卒中は化学療法群44例(0.75%)および非化学療法群51例(0.39%)で発生した。・カプランマイヤー曲線では、化学療法群が非化学療法群よりも脳卒中リスクが高かった(ハザード比[HR]:1.84、95%信頼区間[CI]:1.23~2.75)が、がんの病期を調整するとこの差は有意ではなくなった(HR:1.20、95%CI:0.76~1.91)。・層別Cox回帰モデルでも、がんの病期を調整すると化学療法と脳卒中に関連がみられなかった(HR:1.26、95%CI:0.78~2.03)。

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アルツハイマー病とレビー小体型認知症の入院リスク

 認知症患者の入院リスクは高いことが知られているが、このことに認知症の種類による違いがあるのかは、あまりわかっていない。ノルウェー・スタヴァンゲル大学病院のRagnhild Oesterhus氏らは、アルツハイマー病(AD)患者とレビー小体型認知症(LBD)患者で入院に違いがあるのかを調査し、その入院率について年齢をマッチさせた一般集団との比較を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年3月5日号の報告。 対象は、軽度のAD(110例)またはLBD(91例)と最近診断された外来診療所受診患者(年齢:75.7±7.4歳)。対象患者には、診断後5年間または死亡までフォローアップが行われた。研究のアウトカムは、診断後の初回入院までの期間、入院回数、総入院日数、在院期間とした。年齢標準化入院率を算出した。初回入院までの期間の分析には、競合リスク回帰モデルを用い、入院回数と入院日数の違いの分析には、負の二項回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の入院率は77%以上であり、多くは予定外の入院であった。・LBD患者で、AD患者と比較し、有意な差が認められたのは以下の点であった。 ●初回入院までの期間の短さ(中央値:1.28年[95%CI:0.93~1.67]vs.2.32年[95%CI:1.74~3.31]) ●予定外の入院日数の多さ(中央値:7日[IQR:2~26]vs.2日[IQR:0~11]) 著者らは「LBD患者は、AD患者よりも初回入院までの期間が短く、入院率が高いことが示唆された。このことは、患者やその家族、医療システムに大きな負荷をかけることから、認知症患者の入院については、さらなる情報が必要とされる。今後の研究において、入院を回避するための予防可能な戦略の調査が求められる」としている。

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安定冠動脈疾患、侵襲的戦略と保存的戦略に有意差なし/NEJM

 中等度~重度の虚血を有する安定冠動脈疾患患者の初回治療では、侵襲的介入+薬物療法と薬物療法単独のアウトカムの違いは明確でないという。米国・スタンフォード大学のDavid J. Maron氏らは、5,000例以上の安定冠動脈疾患患者を対象とする国際的な臨床試験「ISCHEMIA試験」で、侵襲的戦略は保存的戦略に比べ、虚血性冠動脈イベントや全死因死亡のリスクを抑制しないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌2020年4月9日号に掲載された。安定冠動脈疾患5,179例を侵襲的戦略群と保存的戦略群に割り付け 本研究は、日本を含む37ヵ国320施設が参加した無作為化試験であり、2012年7月~2018年1月の期間に患者登録が行われた(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 中等度~重度の虚血を有する安定冠動脈疾患患者が、侵襲的戦略(血管造影、実行可能な場合は血行再建術を行う)+薬物療法を受ける群、または保存的戦略(薬物療法単独、薬物療法が無効な場合は血管造影を行う)を受ける群に、無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症または心不全による入院、心停止からの蘇生の複合であった。主な副次アウトカムは、心血管死と心筋梗塞の複合だった。 安定冠動脈疾患5,179例が登録され、侵襲的戦略群に2,588例、保存的戦略群には2,591例が割り付けられた。全体の年齢中央値は64歳(IQR:58~70)、男性が77.4%(4,011例)であった。ベースラインの患者背景因子は両群でバランスがよく取れており、リスク因子のコントロールや薬物療法の状況も類似していた。LDLコレステロール値は、ベースラインが83mg/dLで、最終受診時は64mg/dLだった。 侵襲的戦略群では、96%で血管造影が施行され、79%が血行再建術を受けた(PCI例74%、CABG例26%)。保存的戦略群では、26%で血管造影が行われ、21%が血行再建術を受けた。再施行を含め、侵襲的手技の総数は、侵襲的戦略群が5,337件、保存的戦略群は1,506件だった。安定冠動脈疾患患者において侵襲的戦略は保存的戦略に比べ虚血性冠動脈イベントや全死因死亡リスクを抑制しない 追跡期間中央値3.2年の時点で、安定冠動脈疾患患者の主要アウトカムのイベントは、侵襲的戦略群で318件、保存的戦略群では352件が発生した。事前に規定された共変量で補正したCoxモデル解析では、侵襲的戦略群の保存的戦略群に対するハザード比(HR)は0.93(95%信頼区間[CI]:0.80~1.08、p=0.34)であった。 また、6ヵ月の時点での主要アウトカムの推定累積イベント発生率は、侵襲的戦略群が5.3%、保存的戦略群は3.4%(群間差:1.9ポイント、95%CI:0.8~3.0)であり、5年時はそれぞれ16.4%および18.2%であった(-1.8、-4.7~1.0)。 安定冠動脈疾患患者の主な副次アウトカム(イベント数276例vs.314例)、全死因死亡(145例vs.144例、HR:1.05、95%CI:0.83~1.32)、心筋梗塞(210例vs.233例)のイベント発生にも、両群間に有意な差は認められなかった。 著者は、「これらの知見は、使用された心筋梗塞の定義への感受性が高く、侵襲的戦略群では手技関連の心筋梗塞が多く、非手技関連の心筋梗塞は少なかった」としている。

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米国でC. difficile感染症の負担低減/NEJM

 米国の全国的なClostridioides difficile感染症と関連入院の負担は、2011年から2017年にかけて減少しており、これは主に医療関連感染(health care-associated infections)の低下によることが、米国疾病管理予防センター(CDC)のAlice Y. Guh氏ら新興感染症プログラム(EIP)Clostridioides difficile感染症作業部会の調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2020年4月2日号に掲載された。米国では、C. difficile感染症の予防への取り組みが、医療領域全般で拡大し続けているが、これらの取り組みがC. difficile感染症の全国的な負担を低減しているかは不明とされる。10州で、発生、再発、入院、院内死亡の負担を評価 研究グループは、米国におけるC. difficile感染症の抑制の全国的な進捗状況を評価するために、EIPのデータを用いて、2011年から2017年までのC. difficile感染症の負担と発生率の推定値および関連アウトカムの全国的な動向について検討した(米国CDCの助成による)。 C. difficile感染症のEIPでは、2017年、米国の10州35郡で1,200万人以上の調査を行い、このうち34郡が2011年以降の調査に参加した。 C. difficile感染症は、「1歳以上で、過去8週間に検査でC. difficile陽性がなく、便検体でC. difficileが陽性」と定義された。症例と国勢調査のサンプリングの重みを用いて、2011~17年の米国におけるC. difficile感染症の発生、初回再発、入院、院内死亡の負担を推定した。 医療関連感染は、医療施設で発症した症例、または最近の医療施設への入院に関連する症例と定義し、それ以外はすべて市中感染に分類した。動向分析では、負の二項分布による重み付け変量切片モデルとロジスティック回帰モデルを用いて、他検査より高い核酸増幅検査(NAAT)の感度を補正した。医療関連C. difficile感染症が年間6%低下、市中感染は変化なし NAATで診断されたC. difficile感染症の割合は、2011年の55%から2016年には84%まで増加し、2017年には83%に低下した。また、米国の10ヵ所のEIP施設におけるC. difficile感染症の症例数は、2011年が1万5,461件(10万人当たり140.92件、医療関連感染1万177件、市中感染5,284件)、2017年は1万5,512件(130.28件、7,973件、7,539件)であった。 NAAT使用の補正をしない全国的なC. difficile感染症の負担の推定値は、2011年が47万6,400件(95%信頼区間[CI]:41万9,900~53万2,900)で、これは10万人当たり154.9件(95%CI:136.5~173.3)であり、2017年は46万2,100件(42万8,600~49万5,600)で、10万人当たり143.6件(133.2~154.0)だった。 NAATの使用を考慮したC. difficile感染症の総負担の補正後推定値は、年間-4%(95%CI:-1~-6)変化し、2011年から2017年までに24%(6~36)減少した。このうち、医療関連C. difficile感染症は年間-6%(-4~-9)変化し、2011年から2017年までに36%(24~54)低下したのに対し、市中C. difficile感染症には変化が認められなかった(0%、-2~3)。 NAAT使用率を55%とすると、C. difficile感染症の初回再発と院内死亡の負担の補正後推定値には有意な変化はみられなかった。これに対し、C. difficile感染症による入院の負担の補正後推定値は、年間-4%(95%CI:-8~0)変化し、2011年から2017年までに24%(0~48)減少しており、医療関連感染の入院負担は年間-5%(-1~-9)変化したが、市中感染には有意な変化はなかった。 著者は、「CDCは、感染予防の実践や、医療領域全般における抗菌薬使用の改善に資する施策を進めている。また、1次予防におけるワクチン開発や腸内微生物叢などの革新的戦略の探索は、今後、C. difficile感染症の負担削減をもたらす可能性がある」としている。

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新型コロナ、病棟の床や靴底、患者から4mの空気からも検出

 病棟における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の分布について、中国・武漢のCOVID-19専門病院である火神山医院の空気と環境表面のサンプルを調査したところ、SARS-CoV-2は、床、コンピュータのマウス、ゴミ箱、ベッドの手すり、靴底など広く分布し、患者から約4m離れた空気からも検出された。Academy of Military Medical Sciences(北京)のZhen-Dong Guo氏らが、Emerging Infectious Diseases誌オンライン版2020年4月10日号で報告した。 著者らは、2020年2月19日~3月2日、火神山医院の集中治療室(ICU)とCOVID-19一般病棟(GW)における環境表面と空気のサンプルを検査した。ICUは重症患者15例、GWは軽症患者24例を収容した。床、マウス、ゴミ箱、ベッドの手すり、患者用マスク、個人用防護具(PPE)、排気口のサンプルは湿らせた無菌スワブで採取し、空気のサンプルはSASS 2300 Wetted Wall Cyclone Samplerで採取した。計425サンプルをRT-PCRを用いて検査した。 主な結果は以下のとおり。・陽性の割合はGW(7.9%)よりICU(43.5%)で大幅に高かった。・床のサンプルの陽性率は比較的高く(ICU:70%、GW:15.4%)、患者がいない薬局の床のサンプルの陽性率が100%であった。さらに、ICUの医療スタッフの靴底のサンプルの半数が陽性であった。・陽性の割合は、医療スタッフや患者が触る表面も比較的高く、最高はマウス(ICU:75%、GW:20%)、次いでゴミ箱(ICU:60%、GW:0%)、病床の手すり(ICU:42.9%、GW:0%)、ドアノブ(GW:8.3%)であった。・医療スタッフの袖口と手袋のサンプルは、散発的な陽性結果が得られた。・ICUおよびGWの隔離病棟での空気サンプルは35%が陽性だった。サンプリング場所別の陽性率は、吹き出し口付近が35.7%、病室が44.4%、医師のオフィスエリアが12.5%であった。・GW内のSARS-CoV-2エアロゾルの分布から、SARS-CoV-2の最大伝播距離は4mに達する可能性が示唆された。 本調査から、SARS-CoV-2はICUとGWともに空気中および環境表面に広く分布し、医療スタッフに潜在的に高い感染リスクがあり、また、環境汚染はGWよりもICUで多く、ICUの医療スタッフについてはより厳しい対策が必要なことが示唆された。 著者らは、「3月30日時点で、病院のスタッフはSARS-CoV-2に感染しておらず、適切な予防策で効果的に感染を防ぐことが可能で、COVID-19疑い例の自宅での隔離は適切な管理戦略ではない可能性がある」と述べている。

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血栓回収療法前の再灌流に対するtenecteplase増量の効果(解説:中川原譲二氏)-1214

 EXTEND-IA TNK試験において、tenecteplase 0.25mg/kgによる血栓溶解療法は、アルテプラーゼと比較し、脳梗塞患者に対する血栓除去術施行前の再灌流を改善することが示された。これを受けて、EXTEND-IA TNK Part 2試験は、tenecteplase 0.40mg/kgが、0.25mg/kgと比較して、血栓除去術施行前の脳再灌流を改善するかどうか確定することを目的に行われた。tenecteplase 0.40mg/kg vs.0.25mg/kgを比較 本試験は、オーストラリアとニュージーランドの27施設で、2017年12月~2019年7月の期間に登録された患者に対し非盲検下で治療を行い、画像診断および臨床転帰の評価は盲検下で実施した無作為化臨床試験である。対象は、標準的な静脈血栓溶解療法の適格基準である発症後4.5時間未満で内頸動脈/中大脳動脈/脳底動脈の閉塞を有する脳梗塞成人患者300例とした。tenecteplase 0.40mg/kg(最大40mg)群(150例)または0.25mg/kg(最大25mg)群(150例)に無作為化し、それぞれ血管内血栓除去術の前に投与した。 主要評価項目は、当該虚血領域の50%超の再灌流で、盲検下の神経放射線科医2人による合意に基づく評価とした。副次評価項目は、90日後の機能障害(mRSスコア:0~6点)、mRSスコア0~1または90日時点でベースラインからの変化なし(障害なし)、mRSスコア0~2または90日時点でベースラインからの変化なし(機能的自立)、3日後の早期神経学的改善(NIHSSスコアの8点以上の低下または0~1点への改善)、36時間以内の症候性頭蓋内出血および全死因死亡であった。tenecteplaseの投与量の違いで有効性に差はなし 無作為化された全300例(平均年齢72.7歳、女性141例[47%])が試験を完遂した。主要評価項目を達成した患者の割合は、0.40mg/kg群19.3%(29/150例)vs.0.25mg/kg群19.3%(29/150例)であった(補正前リスク差:0.0%[95%CI:-8.9~-8.9]、補正後リスク比:1.03[0.66~1.61]、p=0.89)。6つの副次評価項目についても、0.40mg/kg群と0.25mg/kg群の間で、4つの機能アウトカムのみならず、全死因死亡(26例[17%]vs.22例[15%]、補正前リスク差:2.7%[95%CI:-5.6~11.0])、ならびに症候性頭蓋内出血(7例[4.7%]vs.2例[1.3%]、3.3%[-0.5~7.2])も有意差は認められなかった。 主幹動脈閉塞の脳梗塞患者において、tenecteplaseの投与量0.40mg/kgは同0.25mg/kgと比較し、血栓除去術施行前の脳再灌流を改善しなかった。この結果は、血栓除去術が計画される主幹動脈閉塞の脳梗塞患者において、tenecteplase 0.40mg/kgは、同0.25mg/kgを超える優位性がないことを示唆する。血栓回収療法の導入と血栓溶解療法の位置付け 脳梗塞の急性期治療では、血栓回収療法の有効性が確立し、その導入によって医療現場の対応が劇的に変わりつつある。それに伴い、これまでの血栓溶解療法の位置付けも再考されつつある。血栓溶解療法の併用が、再灌流領域の拡大に寄与したとしても、最終的な転帰の改善をもたらすかどうかは、いまだに確定していない。発症から治療開始までの時間との闘いの中で、血栓回収療法を優先すべきか、血栓回収療法の前に血栓溶解療法の併用を考慮すべきかは、各脳卒中センターにおける脳梗塞緊急治療体制の完成度とその熟練度とも絡んで、個別に実施されているものと思われる。しかし、今後は、それぞれの方法が有用なサブグループを見いだす臨床研究を実施することが必要と推察される。

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新型コロナウイルスで差別され自殺した男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第161回

新型コロナウイルスで差別され自殺した男性photoACより使用とても悲しい症例報告です。Mamun MA, et al.First COVID-19 suicide case in Bangladesh due to fear of COVID-19 and xenophobia: Possible suicide prevention strategies.Asian J Psychiatr. 2020 Apr; 51: 102073. 2020年3月25日に、バングラデシュの首都ダッカから、地元パラシュバリ郡ラムチャンドラプール村に戻った36歳の男性。彼は、地元に戻った後、発熱と感冒症状を訴えるようになりました。彼は、もしかすると自分が新型コロナウイルス感染症にかかっているのではないかと懸念し、周囲の村人たちも「あいつは新型コロナウイルスに感染した」と指摘するようになりました。そして、彼はどういう行動をとったのか。なんと、家の近くの木にロープで首を吊って自殺してしまったのです。感染した状態で、村人たちに迷惑をかけることがいたたまれなくなったためです。念のため、その後の剖検で、彼が新型コロナウイルスに感染しているか調べられました。しかし、驚くべきことに、彼は新型コロナウイルスに感染していなかったのです。そう、COVID-19ではなかったのに、あらぬ疑いをかけられて自殺に追い込まれてしまったのです。実は似たような症例がインドからも報告されています1)。50歳のインド人男性が、何らかのウイルス性疾患にかかったと診断されたものの、新型コロナウイルスによるものとは診断されていませんでした。彼は中国で強制収容される動画などを見ていたため、自分も間違いなくCOVID-19なのだろうと思い、自分に近づく人には石を投げるようになって病んでしまい、木で首を吊って自殺してしまいました。何ともやるせない2例の報告ですが、うーん、何でしょう。やはり情報リテラシー不足が問題だと思います。日本でもそうですが、パチンコに行っている大人がいる反面、公園で遊んでいる子供たちに自粛するよう叱咤する人がいたり、3密を避けることを至上目的に考えている人が、親子連れでスーパーを歩いている家族を非難したり、そういう極端に偏った考え方が増えている気がします。8割減っているのは、他者への思いやりではないのか。そんなことを思わずにはいられません。1)Goyal K, et al. Fear of COVID 2019: First suicidal case in India ! Asian J Psychiatr. 2020 Mar;49:101989. 

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第3回 新型コロナ「専門家」をマトリクス化!その制作裏話

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、日本での感染者1例目が確認された1月以降、国内メディアでも積極的に取り上げられるようになり、いまやテレビでは「専門家」という肩書でさまざまな医療従事者が登場している。登場する「専門家」は各テレビ局で異なる場合もあれば、同一局内でも番組によって異なるケースもある。しかし、いずれの人も医学的知識に乏しい一般視聴者からすれば等しく「専門家」であり、その言葉を信用してしまうもの。しかし、そうした「専門家」のコメントを聞いていると、時には?マークが浮かんで首をかしげてしまうこともある。そんな折、東日本大震災関連の取材のため岩手県釜石市にいた私に、まさに3月11日の夕方、付き合いがある光文社の写真週刊誌・FLASHのベテラン記者から電話が入った。「COVID-19について、テレビでコメントしている専門家を評価する記事を作りたい。ついては評価の監修とコメントをお願いしたい」とのこと。取りあえず、依頼は断らないフリーランスの性で引き受けたものの、少々気が重かった。一応、医療を取材して半世紀とはいえ、「専門家」を「非専門家」が評価するのである。電話から1週間後、光文社の会議室で担当編集者との打ち合わせに臨んだ。曰く、「XY軸のように2つの指標で専門家を区分したい」という。「わずか2つの指標で正確な評価ができるものか?」と突っ込まれることは百も承知だったが、私は基本的に同意した。四半世紀にわたって医療報道に携わってきた経験からすれば、一般読者は正確な情報は求めているが、医療従事者が考えるような正確で精緻な情報は求めていない。たとえば、医療従事者からよくある指摘の一つに「一般向けメディアでは、海外医学誌の研究内容紹介時に出典を詳細に書いていない」というものがある。指摘は一理あるのだが、一般読者は実はそこまで求めていない。具体例を挙げる。こうした研究紹介記事の出典が「Lancet」だとしても、一般読者向けにはアルファベットで表記せず、カタカナで「ランセット」と表記する。日常生活でほとんど外国語に接する機会がない一般読者はかなり多く、彼らはアルファベットを目にしただけアレルギー反応、つまりその時点から記事から目を逸らし読まなくなる。ましてや「Journal of ××××× ×××××」との表記は最悪である。要は簡潔でないと、一般読者は読まないからこそ、評価軸を2つのみに絞ることに同意したのである。さて話を戻すと、2つの評価指標で「専門家」を評価することでは合意した。しかし、編集者から提案された指標は「国立感染症研究所(感染研)出身者か否か」、「エビデンス重視派か非エビデンス重視派か」。さすがに却下だ。まず、登場している「専門家」は臨床家も多く、感染研出身者が評価軸では適切とは言えない。そこで一般人でもネットを駆使すれば検証可能な日本感染症学会専門医か否かを評価軸に提案し、編集者から了承を得た。ただ、この指標は感染症学会専門医資格を持たない公衆衛生、感染制御の専門家が除外されるため、「専門医ではないが、感染症対策のプロ」とのくくりを用意した。「公衆衛生」「感染制御」の単語を使わなかったのは、一般人にはこの画数の多い漢字4文字の意味は、暴走族のスプレーペンキによる落書きと同じくらい捉えにくいものだからだ。一方、「エビデンス重視派か非エビデンス重視派か」との区分も語弊がある。そもそも社会の目も厳しくなった昨今、エビデンス完全無視という人は少なく、それよりも「少しのエビデンス+エビデンスが無い自説」を展開する「専門家」はそこそこにいるのが現状。そこで「エビデンス重視派」に対し、一般人が有する社会不安の方に目を向けがちな「社会不安重視派」という軸を設定した。もっとも「社会不安重視派」は、非常に奥歯にモノが挟まった表現と思っていただきたい。さて評価にかける「専門家」については、担当編集者がExcelファイルのリスト一覧を送付してきた。最終版の完全マトリクスに掲載された専門家は、担当編集者のリスト作成時点である3月半ばにテレビに頻繁に登場していた人たちで、作成時期後に登場した人や記者会見での発言が報じられただけの専門家は原則含まれていない。ただ、社会的に議論を巻き起こしたある専門家は、テレビにコメント出演はしていなかったものの、編集部の要望でリストに含められた。逆に担当編集者から送付されたリストから私の独断で除外したのが2人。1人は感染症専門医ではない某有名大学の教授で、COVID-19に対するワクチンを開発するベンチャー企業の創業者で現在も同社のメディカルアドバイザーを兼任しているため、利益相反の観点から外した。もう1人は厚生労働官僚時代に新型インフルエンザ対応を担当し、国会議員となった後に秘書に対する暴言等が原因で選挙に落選した、「このハゲ~」で有名なあの人である。この人に関しては、「公的な立場にありながら人権を無視し、そこから更正したと判断できる材料がないため、そもそも評価に値しない」という監修者の独断と偏見(?)でリストから削除した。そのうえで動画やメディアでの記事などを参考に区分したが、この際に大きな分かれ目になったのは「PCR検査の適応範囲をどう考えるか」という各専門家の見解・意見であり、また「明らかに間違いと言える発言をしていないか」どうかである。評価軸が2つなので理論上は4区分ができるが、当初作製したマトリクスでは編集者が提示したリストにある「専門家」は2区分にしか分類できなかった。私はそのまま提出したが、案の定、担当編集者から電話が入った。曰く「まあ、ためにするようなこと言ってしまいますが、残りの2区分に入る人はいないんですかね?」と。こちらは「残り2区分のうち1区分はどんなに考えても該当者はいない。もう残り1区分については検討の余地あり」と回答した。残り1区分のところは、エビデンスに基づいて話しているものの、現時点で不明なことについて「分からないと答える人」と「分からないが、これまでの類似ケースなどから類推して答え、行き過ぎた解釈とは指摘できない人」で分けた。この結果、完成したのがリンク先にあるマトリクスだ。いろいろ評価はあるだろう。かなり批判はあるものと覚悟はしていたが、SNS上で意外に多かった反応は「名誉棄損にならないよう注意しつつディスっている」という類のもの。ちなみにこの記事が公開された時点でマトリクスに掲載中の専門家のうち2人はFacebookで友達としてつながっていたが、ご当人からはとくに何も反応がない。逆に最も驚いた(心臓に悪かった?)反応は、マトリクスで評価し、記事公開時点でつながりがなかった専門家の1人からFacebookで友達申請があったことである。

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TAVI後の出血リスク、抗凝固薬単独vs. 抗血小板薬併用/NEJM

 経口抗凝固薬内服中に経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を受ける患者において、術後1ヵ月または12ヵ月にわたる重篤な出血の発生率は、経口抗凝固薬+抗血小板薬(クロピドグレル)併用療法と比較し経口抗凝固薬単独療法のほうが低いことが示された。オランダ・St. Antonius HospitalのVincent J. Nijenhuis氏らが、欧州の17施設で実施した研究者主導の無作為化非盲検並行群間比較試験「POPular TAVI試験」の2つのコホートのうち、コホートBの結果を報告した。TAVI後の抗凝固療法については、抗凝固薬の単独療法または抗血小板薬との併用療法の役割に関する検証がこれまで十分ではなかった。NEJM誌オンライン版2020年3月29日号掲載の報告。TAVI予定患者約300例で、術後の経口抗凝固薬単独と抗血小板薬併用を比較 研究グループは、2013年12月~2018年8月の期間に、TAVIを実施する予定で適切な適応症に対する経口抗凝固薬の投与を受けている患者326例を登録し、TAVI施行前にクロピドグレル非投与(経口抗凝固薬単独)群と、3ヵ月間のクロピドグレル投与(抗血小板薬併用)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、12ヵ月間の全出血および非手技関連出血の2つであった。BARC出血基準タイプ4の重篤な出血を手技関連出血と定義し、穿刺部位出血のほとんどは非手技関連出血として計算した。 副次評価項目は、12ヵ月時点での心血管死・非手技関連出血・脳卒中・心筋梗塞の複合(副次複合エンドポイント1)と、心血管死・虚血性脳卒中・心筋梗塞の複合(副次複合エンドポイント2)で、いずれも非劣性(マージン:7.5ポイント)と優越性を検定した。統計解析にはCox比例ハザードモデルおよびlog-rank検定を用い、修正intention-to-treat解析を行った。TAVI後は経口抗凝固薬単独のほうが重篤な出血の発生率が低い 12ヵ月間の全出血発生率は抗凝固薬単独群21.7%(34/157例)、抗血小板薬併用群34.6%(54/156例)(リスク比:0.63、95%信頼区間[CI]:0.43~0.90、p=0.01)で、多くの出血イベントはTAVIのアクセス部位で確認された。非手技関連出血はそれぞれ34例(21.7%)および53例(34.0%)に確認された(0.64、0.44~0.92、p=0.02)。ほとんどの出血は、最初の1ヵ月に発生し、軽度であった。 副次複合エンドポイント1のイベントは、抗凝固薬単独群49例(31.2%)、抗血小板薬併用群71例(45.5%)に確認された(群間差:-14.3ポイント、非劣性の95%CI:-25.0~-3.6、リスク比:0.69、優越性の95%CI:0.51~0.92)。副次複合エンドポイント2のイベントは、それぞれ21例(13.4%)、27例(17.3%)に確認された(群間差:-3.9ポイント、非劣性の95%CI:-11.9~4.0、リスク比:0.77、優越性の95%CI:0.46~1.31)。 なお、著者は研究の限界として、非盲検試験であること、従来と異なり手技関連出血をBARC出血基準タイプ4と定義しており、穿刺部位出血の多くが重篤な出血から除外された可能性があることなどを挙げている。

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早期乳がん患者の認知障害、化学内分泌療法vs.内分泌療法/JCO

 がん治療に伴う認知機能障害(CRCI)は補助化学療法中によくみられ、持続する場合がある。米国・Wake Forest School of MedicineのLynne I Wagner氏らは、TAILORx試験(早期乳がん患者の補助療法として化学内分泌療法または内分泌療法単独に無作為に割り付け)において認知障害を前向きに評価したところ、3ヵ月と6ヵ月では化学内分泌療法のほうがCRCIが有意に多かったが、時間とともに差が縮小し12ヵ月以降では有意差は見られなかった。この結果から著者らは「化学内分泌療法は内分泌療法単独に比べて早期に認知障害を引き起こしたが持続的ではなく、補助化学療法によって再発リスク低減が示されている患者や医師に安心をもたらす」としている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年4月9日号に掲載。 本研究では、TAILORx試験に登録された患者のうち、21遺伝子再発スコアが11〜25の患者を化学内分泌療法群または内分泌療法単独群に無作為に割り付けた。認知機能障害は37項目Functional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive Function(FACT-Cog)質問票を使用し、552例においてベースライン、3、6、12、24、36ヵ月に評価した。主要評価項目である20項目Perceived Cognitive Impairment(PCI)スケールはFACT-Cogに含まれる。臨床的に意味のある変化は経験的に定義し、ベースラインのPCIスコア、治療、その他の因子に基づくPCIスコアを線形回帰によりモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・FACT-Cog PCIスコアは、両群におけるベースラインと比較して3、6、12、24、36ヵ月で有意に低く、認知障害が大きかった。・PCIスコアの変化は、内分泌療法単独群に比べて化学内分泌療法群において3ヵ月(事前に指定された主要評価項目)、6ヵ月で大きかったが、12、24、36ヵ月ではそうではなかった。・更年期のステータスと治療の相互作用は有意ではなかった。

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新型コロナで7都府県の健診中断へ/日本人間ドック学会

 2020年4月10日、日本人間ドック学会(理事長 篠原 幸人氏)は健診現場での感染拡大を防ぐため、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る緊急事態宣言を踏まえた人間ドック健診等における対応について」を通知した。 7都府県を対象とした「緊急事態宣言」が4月7日~5月6日まで発出されたことにより、国の定める法定健診(特定健康診査・特定保健指導、労働安全衛生法に基づく一般健康診断、学校保健安全法に基づく児童生徒等及び職員の健康診断)は、4月中の実施が見送られる。通知には以下の協力事項が記載されている。<人間ドック・健診施設へのご協力のお願い事項> 1)緊急事態宣言の対象地域内にある人間ドック・健診施設 人間ドック・健診等を受診される皆様に受診の延期をお願いし、少なくとも緊急事態宣言の期間中は、特定健康診査等は実施しないこと。2)緊急事態宣言の対象地域以外の人間ドック・健診施設 人間ドック・健診等を受診される皆様に対しては、受診の延期をお願いするか、もしくは新型コロナウイルスの感染拡大の防止策を徹底し、受診者(保険者)のご理解を得、充分な安全策を確認した上で実施されること。 *なお、緊急事態宣言の対象地域、対象地域外に関係なく、公的保険者以外が行う人間ドック・健診等は自粛対象事業には含まれておりませんが、自粛は当然必要とされております。また、対面形式や集合形式では行わない事が強調されております。従って受診者数、時間帯その他を十分考慮して戴き、呼吸機能検査などは後日施行して戴く、さらに結果説明や生活指導は工夫する事が成されれば実施は可能かもしれません。しかし、これは受診者・健診施設双方の自己責任で行われる場合に限ります。結論として当学会としては公的保険者以外が行う人間ドック・健診等に関しては一律の中止要請はしない事とします。3)本宣言が5月はじめに終了するとは限りません。当学会といたしましても今後を見据え、学会内に対策委員会を至急設置する予定です。

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NSCLC1次治療におけるデュルバルマブ+tremelimumabの成績(MYSTIC)/JAMA Oncol

 未治療の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、デュルバルマブおよびデュルバルマブ・tremelimumab併用と化学療法を比較した無作為化非盲検第III相MYSTIC試験の結果がJAMA Oncology誌2020年4月9日オンライン版に発表された。・対象:未治療の転移を有するNSCLC患者(EGFR、ALK変異含まず)1,118例・試験群1:デュルバルマブ(20mg/kg 4週ごとPDまで)・試験群2:デュルバルマブ(20mg/kg 4週ごとPDまで)+tremelimumab(1mg/kg 4週ごと、最大4回),・対照群:化学療法(プラチナ・ダブレット4~6サイクル)・評価項目: [主要評価項目]PD-L1陽性(TPS≧25%)患者の全生存期間(OS)(デュルバルマブ対化学療法、デュルバルマブ+tremelimumab対化学療法)、同患者の無増悪生存期間(PFS)(デュルバルマブ+tremelimumab対化学療法) [探索的研究]血中腫瘍遺伝子変異量(bTMB)による評価 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、各群に無作為に1:1:1で割り付けられた。・TPS≧25%の患者(488例)のOS中央値は、デュルバルマブ群16.3ヵ月に対し、化学療法群は12.9ヵ月であった(HR:0.76、97.54%CI:0.56~1.02、p=0.04[有意差なし])。・デュルバルマブ+tremelimumab群のOS中央値は11.9ヵ月であった(対化学療法群HR:0.85、98.77%CI:0.61~1.17、p=0.20)。・PFS中央値は、デュルバルマブ+tremelimumab群3.9ヵ月に対し、化学療法群5.4ヵ月であった(HR:1.05、99.5%CI:0.72~1.53、p=0.71)。・bTMB 20/Mb以上の患者のOSは、デュルバルマブ+tremelimumab群21.9ヵ月に対し、化学療法10.0ヵ月と、デュルバルマブ+tremelimumab群で改善が示された(HR:0.49、95%CI:0.32~0.74)。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現は、デュルバルマブ群14.9%、デュルバルマブ+tremelimumab群22.9%、化学療法群33.8%であった。

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血行再建術後のPAD患者へのリバーロキサバン併用は?/NEJM

 下肢血行再建術を受けた末梢動脈疾患(PAD)患者において、リバーロキサバン+アスピリン併用療法はアスピリン単独療法と比較して、急性下肢虚血・血管疾患による大切断・心筋梗塞・虚血性脳卒中・心血管死の複合エンドポイントの発生率を有意に抑制したことが報告された。ただし、Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)分類による大出血の発生率は両群間で有意差はなく、国際血栓止血学会(ISTH)分類による大出血の発生率は、アスピリン単独療法と比較してリバーロキサバン+アスピリン併用療法で有意に上昇した。米国・Colorado Prevention Center(CPC)Clinical ResearchのMarc P. Bonaca氏らが、日本を含む世界34ヵ国の542施設で実施した第III相二重盲検比較試験「VOYAGER PAD試験」の結果を報告した。下肢血行再建術を受けたPAD患者は主要有害下肢/心血管イベントのリスクが高いが、このような患者におけるリバーロキサバンの有効性と安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2020年3月28日号掲載の報告。主要有害下肢/心血管イベントと大出血の発生を比較 研究グループは2015年8月~2018年1月の期間に、50歳以上で症状があり画像所見および血行動態的に下肢PADと診断され、過去10日以内に下肢血行再建術が成功した患者6,564例を、リバーロキサバン(2.5mg 1日2回)+アスピリン(100mg 1日1回)群(リバーロキサバン併用群:3,286例)またはプラセボ+アスピリン(100mg 1日1回)群(アスピリン単独群:3,278例)に無作為に割り付け追跡評価した。 有効性の主要評価項目は、急性下肢虚血・血管疾患による大切断・心筋梗塞・虚血性脳卒中・心血管死の複合エンドポイント。安全性の主要評価項目はTIMI分類による大出血、副次評価項目はISTH分類による大出血であった。リバーロキサバン併用で、主要有害下肢/心血管イベントリスクは有意に低下 追跡期間中央値28ヵ月において、有効性の主要評価項目であるイベントはリバーロキサバン併用群で508例、アスピリン単独群で584例に確認され、3年時の複合エンドポイント発生率(Kaplan-Meier推定値)はそれぞれ17.3%および19.9%であった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.76~0.96、p=0.009)。 TIMI分類による大出血は、リバーロキサバン併用群で62例、アスピリン単独群で44例に発生した(3年時の発生率[Kaplan-Meier推定値]:2.65%、1.87%)(HR:1.43、95%CI:0.97~2.10、p=0.07)。また、ISTH分類による大出血は、リバーロキサバン併用群140例、アスピリン単独群100例に確認された(3年時の発生率[Kaplan-Meier推定値]:5.94%、4.06%)(HR:1.42、95%CI:1.10~1.84、p=0.007)。 なお、リバーロキサバン併用群で1,080例(33.2%)、アスピリン単独群で1,011例(31.1%)が早期に治療を中止した。著者は、早期治療中止例の割合が両群間でバランスは取れていたものの、予想より高かったことを研究の限界として挙げている。

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