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SARS-CoV-2との戦いーACE2は、味方か敵か?(解説:石上友章氏)-1218

原著論文Renin-Angiotensin-Aldosterone System Inhibitors in Patients with Covid-19 COVID-19は、新興感染症であり、科学的な解明が不十分である。これまでの報告から、致死的な重症例から、軽症例・無症候例まで、幅広い臨床像を呈することがわかっており、重症化に関わる条件に注目が集まっている1,2)。中国からの報告により、疾病を有する高齢者、なかでも高血圧を有する高齢者が多く重篤化する可能性が指摘された3,4)。 SARS-CoV-2の類縁であるSARS-CoVは、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)の原因ウイルスである。標的である肺胞上皮細胞に感染する際に、細胞表面にあるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)を受容体として、ウイルス表面のスパイク蛋白と結合する。ACE2と結合したスパイク蛋白は、細胞表面の膜貫通型セリン・プロテアーゼであるTMPRSS2などにより切断され、標的細胞の細胞膜と融合することで細胞内に侵入することが知られている(『感染の成立』)5,6)。SARS-CoV-2の感染症であるCOVID-19でも、同様の機序が想定されている。 降圧薬(ACE阻害薬、ARB)の使用とCOVID-19との関係が注目されており、Vaduganathanらの手による、Special ReportがNEJM誌に掲載された7)。ACE2がSARS-CoV-2の感染の成立に重要な働きを有していることから、高齢者・高血圧患者におけるACE阻害薬、ARBの使用と、感染の重篤化との間に因果関係があるのではないかという疑問があがった。有効な治療法が確立していない現在、既存の蛋白分解酵素阻害薬である、ナファモスタット、カモスタットの、TMPRSS2の阻害作用により、SARS-CoV-2の感染を抑制する可能性があると報告されたことも、既存薬であるRA系阻害薬とCOVID-19との関連が注目された一因であろう8,9)。 図のように、ACE2はAng(1-7)-Mas受容体系に関与していると考えられており、ACE2の活性化はアンジオテンシンIIの働きに拮抗・相殺する作用であり、生体にとって好ましいとされている10)。ACE2が、SARS-CoV-2の感染の成立に重大な働きをすることから、直接的にCOVID-19の発症に関わっている可能性がある。ACE2活性の亢進や抑制が、COVID-19の発症・重篤化に関係しているのであれば、RA系阻害薬の内服によるACE2活性の変化によって、予後が決定される可能性がある。(原図:石上 友章氏) 個々の研究に目をやると、SARS-CoVによる重症肺炎が、ロサルタンの投与で軽快すると報告されている5)。またオルメサルタンには、ACE2活性化作用を介して、Ang II→Ang(1-7)への変換を促進し臓器保護作用があると報告されているが11)、いずれもげっ歯類を対象にした動物実験であり、ヒトではっきりと証明された報告はない。したがって、米国・欧州の主要な学会のポジション・ステートメントは、RA系阻害薬使用とCOVID-19との間の相関には否定的で、RA系阻害薬の内服の継続を推奨している。(https://www.eshonline.org/spotlights/esh-statement-covid-19/ほか) ARB(ロサルタン)ならびに、ACE2賦活薬(APN01:recombinant human soluble ACE2)を使った、臨床研究(NCT00886353、NCT04311177、NCT04312009)が計画されている。ヒトでのPOCがとれるか否かで、今回の降ってわいたような疑問への回答を得られることが期待される。References1)Bouadma L, et al. Intensive Care Med. 2020;46:579-582.2)Wu Z, et al. JAMA. 2020 Feb 24. [Epub ahead of print]3)Zhou F, et al. Lancet. 2020;395:1054-1062.4)Pan X, et al. Lancet Infect Dis. 2020;20:410-411.5)Kuba K, et al. Nat Med. 2005;11:875-879.6)Imai Y, et al. Circ J. 2010;74:405-410.7)Vaduganathan M, et al. N Engl J Med. 2020 Mar 30. [Epub ahead of print]8)Yamamoto M, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2016;60:6532-6539.9)Hoffmann M, et al. Cell. 2020;181:271-280.e8.10)Ishigami T, et al. Hypertens Res. 2006;29:837-838.11)Agata J, et al. Hypertens Res. 2006;29:865-874.

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037)疲労困憊のコロナ電話対応【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第37回 疲労困憊のコロナ電話対応しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆新型コロナウイルスの流行で、公私共に落ち着かない日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私の皮膚科外来では、病院に来る患者さんの数がガクッと減り、少しずつ電話再診を希望する患者さんが増えてきています。緊急事態宣言の発令以降、病院が初診の受け付けを当面の間休止したこともあり、来られるのは定期処方の患者さんばかり。幼稚園や学童保育の休業により出勤できないスタッフもいるようで、スタッフも患者さんも少人数、広い外来棟が閑散としています。勤務医であるデルぽんは外来業務が減り、正直なところ手持ち無沙汰な状態です。一方、医師以外のスタッフは、電話での問い合わせ対応や、電話再診による処方箋の送付など、少ない人数でイレギュラーな業務に追われている様子。問い合わせの電話をしてくる患者さんの中には、芸能人の名前を出して30分間延々とクレームを言ってくる人や、無理難題を言ってごねる人も。身近な病院が、患者さんの不安な気持ちのはけ口になってしまっているようです。そうはいっても、医療者も限られた資源の中、精神をすり減らして対応しているので、どうかわかっていただきたいところ。感染症の最前線で戦う医療者の皆さまには、本当に頭があがりません。どうかご自愛ください。非日常で落ち着かない日々。早くこの事態が収まるとよいなと願っています。それでは、また~!

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新型コロナウイルスあれこれ(6)【Dr. 中島の 新・徒然草】(320)

三百二十の段 新型コロナウイルスあれこれ(6)もう何もかもコロナ一色です。まずは最近観た映画「コンテイジョン」(contagion:伝染)から。アマゾンのオンラインレンタルでは199円。2011年に制作されたアメリカ映画ですが、これがよくできている!気味が悪いくらい正確に現在のコロナ・パンデミックを描写しています。内容は香港から発生したウイルスが全世界に伝播するというものです。cluster、social distancing、R0(アール・ノート)など、専門用語も同じ。また、広場での埋葬、無症候感染者の存在、空になったジムなどもそのまま。ちゃんとWHOやCDCも出てきます。驚いたのは、映画の医学監修を行ったイアン・リプキン医師が新型コロナウイルスに罹患したこと。FOXのインタビューに「私がかかるくらいだから、誰でもかかります」と言っていました。やはり9年前の映画だな、と思わされる点があるとすればただ1つ。人々を煽るのがユーチューバーでなくブロガーだということ。時代を感じさせますね。さて、私は今日も自分のエクセルに数値を手入力しては未来を予測しています。セルが縦にも横にも増えてきて、なんだか巨大な表になってしまいました。累積死亡者数から計算したニューヨーク州のdoubling time(倍加時間)は1週間前の6.0日から12.4日に延びています。指数関数的に増えていた累積死亡者数が直線的になり、徐々に頭打ちになってきました。素晴らしい!やはりアメリカらしく、力でコロナをねじ伏せつつあるのでしょう。もっとも英語版ウイキペディアを見ていると、ニューヨーク州のドタバタぶりも、日本に負けず劣らず。コロナウイルスに対して楽観派と悲観派が分かれて論争に明け暮れているのは何処も同じ。楽観派の最たるものが、ニューヨーク市の保健局長で小児科医のオキシリス・バーボット氏です。「皆さん、普通の生活をしましょう」とか「病気の人との同乗はリスクになりません」などと発言していました。民主党と共和党の市議が連名で「手遅れにならないうちに彼女をクビにしてくれ」とデブラシオ市長に手紙を送ったくらいです。また、ニューヨーク州のゴルフ場が過密状態になってしまったのも笑えるところ。隣接するニュージャージー州やペンシルベニア州から人々が殺到したのです。これらの州でゴルフ場がクローズされたのに、なぜかニューヨーク州ではゴルフ場がオープンのままだったのがその原因。あわててクオモ知事がゴルフ場を essential business のリストから外しました。日本でも茨城県のパチンコ屋の駐車場が県外ナンバーの車だらけになったそうですが、そっくりですね。東京と大阪に目を向けると、残念ながら累積死亡者数のdoubling timeが縮まりつつあります。1週間前と比べて東京が11.7日から8.0日へ、大阪が12.0日から7.0日へ。Nが小さすぎるために、誤差が大きく出ているのならいいのですけど。日常診療では、皆さんそれぞれに工夫を凝らしています。たとえば、コロナ疑いの患者さんの検体採取はできるだけ自家用車の中か屋外でやるようになりました。患者さん本人が検体容器に痰を出すので、こちらが感染するリスクはほぼゼロ。貴重なPPE(personal protective equipment:個人防護具)を消費することもありません。誰が作ったのか、手製のフェイスシールドも救急室には置いてありました。ヘッドバンドにクリアファイルを貼りつけた簡単なものですが、あれば随分心強いです。あと、大切なことは、常に明るい気持ちを持ち続けることでしょうか。ある芸人さんが「お笑いほど不要不急なものはない」と言ってましたが、とんでもない!今こそ笑って難局に立ち向かうことが大切だと私は思います。ということで最後に1句 コンテイジョン 工夫とギャグで 乗り切ろう! 

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第4回 新型コロナ、アカデミアと臨床医が会議設立したワケ

メディアは日々、新型コロナウイルスの感染症数や死亡者数を報じている。コロナの終息のみならず、休業要請などによりわれわれの生活ですら見通しが立たない中、増加する一方の感染者数や死亡者数の累積数ばかりを見せつけられては不安感が増すばかりだ。そうしたことが、買い占めなどを誘発している面がある。都内から茨城県内のパチンコ店への“遠征”や、長野県・軽井沢や沖縄県・石垣島などへの“コロナ避難”も、行く先の地域のコロナ患者の受け入れ態勢の情報がないことから、自身が感染したり、当地の人に感染させてしまったりした場合の地域へのダメージや、医療機関の受け入れの可否に思いが至らない面があるのではないだろうか。都道府県内の自治体ごとに、退院者数・完治者数、確保されているベッド数や使用されているベッド数、軽症者の宿泊療養施設数なども、行政やメディアには日々公表してほしい。地域の住民は、地元の細やかな情報をこそ求めているのだ。買い物なども、そのような情報があれば違う地域へ行く選択肢ができる。商店街の混雑情報などもスマホなどで見ることができるサービスがあれば、なお良い。自治体で情報提供専属の人材を採用すれば、雇用対策にもなる。市民目線の欠如という点では、安倍晋三首相の「何様」批判を招いたSNS動画、麻生 太郎副総理兼財務相の「手を挙げたら10万円給付」発言、国会議員の歳費2割削減などがある。安倍・麻生両氏は苦労知らずの3世議員だ。とくに麻生副総理は、国民への現金給付に関して限定的な給付にこだわる一方で、国際通貨基金(IMF)の途上国支援基金にはポンと5,500億円を追加、融資枠を2倍に引き上げる気前の良さを見せた。途上国支援も重要だが、今は国内対策で少しでも国民の不安を払拭するのが優先ではないだろうか。官僚においても同様だ。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で現状分析や提言などを行っているが、医療系の構成員の視点に対し、事務方の官僚からの経済的な視点が入ってしまい、感染症や公衆衛生の「専門家」の提言としては政治色を帯びた内容にならざるを得ない。このような状況下、日本医師会は4月18日、アカデミアと臨床医による「COVID-19 医学有識者会議(仮称)」を立ち上げ、初会合を開いた。医療現場の症例からデータベースを作り、治療や検査の知見を現場で共有したり、対策を提言したりしていくという。新型コロナ対策ではエビデンス不足が指摘されているだけに、医療現場からの期待は大きそうだ。座長は永井 良三氏(自治医科大学学長)だが、立ち上げの中心は副座長の笠貫 宏氏(早稲田大学特命教授)だ。構成員の1人は「笠貫教授がアカデミアの動きが鈍いことに憤りを覚え、3日前に日医の横倉 義武会長らに声を掛け、賛同した医療界を代表するような医療人16人で立ち上げた」と打ち明ける。新型コロナ対策では政府らの対応の遅さがたびたび批判される中、この会議の設立はスピーディーだった。ある意味、市民目線の動きといえる。

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化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第13回

第13回 化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ1)Gadgeel S, Rodriguez-Abreu D, Speranza G, et al. Updated Analysis From KEYNOTE-189: Pembrolizumab or Placebo Plus Pemetrexed and Platinum for Previously Untreated Metastatic Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2020 Mar 9. [Epub ahead of print]NSCLCの標準治療を大きく変えることになったKEYNOTE-189試験(化学療法+免疫チェックポイント阻害剤[ICI]vs.化学療法の第III相試験)。ICIを用いた多くの試験同様、アップデート解析が今回報告された。長期生存・長期無再発はどのような集団で得られているのか、PD-L1検査の意義は…簡潔に紹介する。アップデートの内容フォローアップ期間の中央値は当初報告(Gandhi L, et al. NEJM. 2018;378:2078-2092.)における10.5ヵ月から、今回23.1ヵ月となった。PFS、OSのアップデートに加え、PFS2の解析が追加されている。なおPFS2の定義は「ランダム化から、(1)主治医判断による2次治療の病勢進行(PD)まで、もしくは(2)2次治療をPD以外で終了した場合は3次治療開始まで、あるいは(3)これら以外の死亡まで」とされている。IMpower試験(アテゾリズマブ)で話題となった、肝・脳転移の有無に関するサブセット解析が追加された。なおKN189試験では全体の16~18%の症例が肝・脳転移を有している。結果以下、Pembro群vs.Placebo群:初回報告→アップデートの順に紹介する(単独の結果記載はアップデートデータのみ)。MST:未到達vs.11.3ヵ月(HR 0.49)→22.0ヵ月vs.10.7ヵ月(HR 0.56)2年生存率:45.5% vs.29.9%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.42/0.55/0.59→0.59/0.62/0.52mPFS:8.8ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.52)→9.0ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.48)2年PFS率:20.5% vs.1.5%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.36/0.55/0.75→0.36/0.51/0.64PFS2:17.0ヵ月vs.9.0ヵ月(HR 0.49)PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.47/0.59/0.46肝転移・脳転移の有無は予後不良因子ではあるが、ペムブロリズマブ追加の効果予測因子ではなかった。追加期間において、新規の免疫関連有害事象の発生は少なかった。解説本研究の強み・興味深い点化学療法+ICIにおける初めての長期フォローアップデータ。PD-L1の有無によらず、同程度のHRが示された。一方で、長期無再発の観点でPFSを見てみると、PD-L1 50%をカットオフとして差が顕著になっている。PD-L1≧50%で曲線がプラトーになりつつある一方で、1~49%、<1%ではほぼ全例が増悪を呈している。まとめると、3剤併用はPD-L1の有無によらず選択可能、ただしその後の戦略は大きく異なる。PD-L1≧50%では3人に1人が2年間以上無増悪を期待できる。PD-L1 50%未満では、10ヵ月前後で増悪する可能性が高く、次治療を考慮する。肝転移・脳転移の有無は治療選択には大きく影響しない。総じて、日常臨床に影響するようなデータはなし。その他のポイントコントロールアームの治療成績(MST 10.7ヵ月)が本邦の一般的な印象に比してかなり悪いので、HRの解釈には少し注意が必要かもしれない。PD-L1 50%未満に対して今後はどのような治療戦略が期待されるのか? 化学療法+ICIにさらなる薬剤追加はなかなか難しいと思われる(ベバシズマブは症例を選べば可能だが…)。2019年にはKRAS変異とPD-L1発現・化学療法+ペムブロリズマブの有効性を検討したサブ解析が話題を呼んだ(Gadgeel S, et al. ESMO-IO 2019.)。バイオマーカーについて、今後追加の報告があるのか、にも注目したい。

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血圧変動と認知症リスク~コホート研究

 血圧の来院時変動と一般集団における認知症発症率および認知症サブタイプとの関連を調査するため、韓国・Seoul National University HospitalのJung Eun Yoo氏らは、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hypertension誌2020年4月号の報告。 韓国国民健康保険データベースを用いて、2005~12年に3回以上の健康診断を受けた認知症既往歴のない784万4,814例を対象とした。血圧変動性(BPV)は、平均、変動係数、SDとは独立した変動性を用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間の中央値6.2年間で、認知症の発症は以下のとおりであった。 ●すべての認知症:20万574例(2.8%) ●アルツハイマー病:16万5,112例(2.1%) ●血管性認知症:2万7,443例(0.3%)・高BPVとアウトカム測定値との間に、線形の関連が認められた。・多変量調整モデルでは、すべての認知症発症における、平均とは独立したBPVの最高四分位のハザード比は、最高四分位以外と比較し、以下のとおりであった。 ●拡張期血圧のみ:1.06(95%CI:1.04~1.07) ●収縮期血圧のみ:1.09(95%CI:1.08~1.11) ●収縮期血圧、拡張期血圧の両方:1.18(95%CI:1.16~1.19)・他の変動性の指標、さまざまな感度分析、サブグループ解析において、アルツハイマー病と血管性認知症で、一貫したアウトカムが認められた。 著者らは「BPVは、認知症およびそのサブタイプの発症を予測する独立した因子であった。より高いBPVと認知症発症率との間に、用量反応関係が認められた。BPVの低減は、一般集団が認知症を予防するための目標となりうる可能性がある」としている。

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COVID-19、早期診断や重症化の因子は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)の予測モデルに関する公表・公表前の試験結果についてシステマティック・レビューを行ったところ、31個の予測モデルが見つかったが、大半でバイアスリスクが高く、それら予測モデルを医療現場で活用することには、信頼性の点で懸念があることが示された。オランダ・マーストリヒト大学のLaure Wynants氏らによる検討で、BMJ誌2020年4月7日号で発表した。COVID-19は世界中の医療システムに負荷をもたらしており、効果的な早期検出、診断および予後に関する差し迫ったニードが生じている。ウイルス学的検査、胸部CTは診断の標準方法となっているが時間を要する。一方、先行研究報告で、高齢で、慢性疾患(COPD、心血管疾患、高血圧)がある患者や呼吸器症状のある患者は、重症となりやすく死亡率も高まることが示唆されていた。PubMed、Embase、medRxivなどをレビュー 研究グループは、COVID-19の感染が疑われる患者の診断に関する予測モデル、および罹患者の予後に関する予測モデル、さらにCOVID-19で入院となるリスクがある人を一般集団で検出するための予測モデルについて、公表・公表前の報告をレビューおよび批評した。 PubMed、Embase、Ovid、Arxiv、medRxiv、bioRxivを基に、2020年3月24日までに発表されたCOVID-19に関する試験結果についてシステマティック・レビューを行った。COVID-19関連の多変量予測モデルの開発または検証に関する試験を抽出し、評価した。2人以上の著者がCHARMSチェックリスト(予測モデル試験のシステマティック・レビューのためのクリティカルな評価とデータ抽出を行うためのツール)を用いてそれぞれがデータの抽出を行った。診断モデル18件、予後予測モデルは10件 スクリーニングを行った2,696本の論文中に、27試験・31個の予測モデルの記述があった。 そのうち、一般集団における肺炎およびその他イベント(COVID-19肺炎の代替アウトカムとして)による入院の予測モデルは3個、COVID-19感染を検出する診断モデルは18個(うちCT画像検査の結果に基づく機械学習が13個)、死亡リスクや重症化進行リスク、および入院日数を予測する予後モデルは10個だった。また、中国以外の患者データを用いていたのは1試験のみだった。 感染が疑われる患者について最も多かった予測因子は、年齢、体温、徴候および症状であり、また、重症化について最も多かった予測因子は、年齢、性別、CT画像検査の所見、CRP、乳酸脱水素酵素値、リンパ球数だった。 予測モデルのC統計量は、一般集団を対象としたモデル(3モデルすべてで報告)は0.73~0.81、診断モデル(18モデルのうち13モデルで報告)は0.81~0.99超、予後モデル(10モデルのうち6モデルで報告)は0.85~0.98だった。 一方で、全試験についてバイアスリスクが高く、予測モデルを実際に活用した際の予測能は試験結果より低い可能性が高いとの評価が示された。理由としては、被験者にCOVID-19患者以外が含まれていない(診断モデル)、試験終了までに評価アウトカムが発生しなかった被験者は除外されている(予後モデル)、およびサンプルサイズが小さいことによるモデルの過剰適合などだった。 結果報告の質にもばらつきがあり、多くが試験対象集団や予測モデルの使用意図についての説明がなく、また予測の較正はほとんどされていなかったという。

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RCTの事前登録順守率、インパクトファクターと相関/BMJ

 世界保健機関(WHO)は2008年にヘルシンキ宣言を改訂し、その後2015年に臨床試験登録国際プラットフォームを設置して、臨床試験の事前登録を勧告している。カナダ・トロント総合病院のMustafa Al-Durra氏らによる検討の結果、勧告にのっとり事前登録した試験の割合は、全登録試験の約42%と低いことが明らかになった。無作為化試験(RCT)の事前登録は、試験結果の選択的な報告を減らすものと見なされている。これまで行われた研究では、RCTの事前登録の順守率は低いものでは4%、高いものでは77%と報告されていた。BMJ誌2020年4月14日号掲載の報告。PubMed、17の臨床試験レジストリなどへの登録を調査 研究グループは、公表されたRCTの事前登録とレジストリの登録番号(TRN:trial registration number)の対応状況を評価し、また論理的根拠を解析し、選択的登録バイアス、遡及的な試験登録を検出する検討を行った。 PubMed、WHOの臨床試験登録国際プラットフォームに含まれる17の臨床試験レジストリ、トロント大学図書館、国際医学編集者会議(ICMJE)の会員雑誌、文献間の引用・被引用関係を分析したInCites Journal Citation Reportsを対象に調査を行った。 WHO臨床試験レジストリに登録されたRCTと、2018年までにPubMedに登録された雑誌に公表された試験について断面解析を行った。レジストリへの事前・事後登録率と、ICMJE会員雑誌での発表との関連などを検証した。ICMJE会員雑誌で発表の試験、TRN記載は約5.8倍に 医学雑誌2,105誌で研究結果が発表された、1万500試験について分析を行った。 全体では、TRNが報告されていたのは71.2%(7,473/1万500試験)だった。また、レジストリへの登録日や被験者の参加日などが確認できた7,218試験のうち、事前登録を行っていたのは41.7%(3,013/7,218試験)だった。 単変量・多変量解析の結果、TRNの報告とインパクトファクターおよびICMJE会員雑誌の間には有意な関連が認められた(p<0.05)。試験結果へのTRNの記載は、ICMJE会員雑誌の場合、非会員雑誌に比べ5.8倍多かった(オッズ比[OR]:5.8、95%信頼区間[CI]:4.0~8.2)。また、公表試験のレジストリへの事前登録率は、ICMJE会員雑誌で発表されていた試験が非会員雑誌に比べ1.8倍多かった(1.8、1.5~2.2)。 また、レジストリ登録日と試験結果の雑誌への投稿までの期間が1年未満だった試験のうち85.2%(616/723試験)が雑誌投稿後に事後登録しており、選択的登録バイアスという新たなバイアスが存在する実態も判明したという。事後登録は、被験者登録開始後3~8週間で行われている割合が高かった。 事後登録され、ICMJE会員雑誌に公表された286試験(RCT)のうち、著者が登録の遅れを正当化するステートメントを表明していたのは2.8%(8/286試験)だった。理由としては、認識不足、作為のない誤り、予想より登録プロセスに時間を要した、などであった。

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新型コロナウイルス感染症患者に対するremdesivir人道的使用(解説:浦島充佳氏)-1220

オリジナルニュース重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM 現在、COVID-19に対する有効な治療薬はない。そこでSpO2 94%以下の低酸素症を伴うCOVID-19患者61例にremdesivirを使用した。しかし、結果の不明な7例と薬物使用量の不適切だった1例を除外し53例で解析が成された。投与開始中央値18日(IQR:12~23日)において53例中36例(68%)で酸素投与法の改善をみた。一方、有害事象として60%に肝臓酵素の上昇、下痢、発疹、腎機能障害、低血圧を認めた。23%に多臓器不全、敗血症性ショック、急性腎障害、低血圧を、人工換気をしている患者に認めた。 SARS-CoV-2はRNAウイルスであり、remdesivirのRNAポリメラーゼ阻害作用に期待しての人道的使用によるデータを集めての報告である。データを解釈するうえで気になった点は以下の4つである。1. 除外された8例の詳細がない2. アウトカム評価の方法が事前に決められていない3. 有害事象が多い4. 製薬会社(Gilead Sciences)主導の研究である 結論にも記載があるように、現在ランダム化プラセボ比較試験が進行中であり、その結果が待たれるところである。 SARSにおいてHIV治療薬の1つであるロピナビル・リトナビルを41例に投与したところ21日以内に呼吸窮迫症候群ないし死亡したケースは1例のみであった(2.4%)。一方、ロピナビル・リトナビルを投与しない過去のSARS 111例では、同アウトカムが32例(28.8%)に発生した1)。この研究デザインはhistorical controlであるが、今回のCOVID-19に対して非盲検ランダム化プラセボ比較試験が実施された2)。199例のCOVID-19患者を対象としたが、臨床症状の改善までの日数、死亡率ともに両群で有意差を認めなかった。 第II相試験で比較的良好な結果であり、第III相試験に進んでも効果が実証されないことは多い。米国の大規模臨床腫瘍グループの実施した第III相試験では、わずか28%(26/94試験)のみが、主要評価項目で既存治療に対する優越性を示したと報告した3)。 remdesivirのCOVID-19に関してもランダム化プラセボ比較試験の結果が待たれるところである。1)Chu CM, et al. Thorax. 2004;59:252-256.2)Cao B, et al. N Engl J Med. 2020 Mar 18. [Epub ahead of print]3)Unger JM, et al. JAMA Oncol. 2016;2:875-881.

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斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ! シーズン2

大好評だった「斬らレセプト」が帰ってきました。シーズン2では、2020年の改定を踏まえ、間違いやすい項目などについて解説します。つい起こしがちな間違い、漏れ、ミスなどを確認することで、請求漏れのないようにしていきましょう。解説執筆は、医療事務のエキスパートとして経営全般をサポートする、株式会社ソラスト。

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事例001 初診料の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説査定とは、レセプト請求内容が保険診療にそぐわないとして、バッサリと斬られて報酬が支払われないことを示します。多くの査定は、根拠がどこかに示されているにもかかわらず、気付かなかったことにあります。算定にかかる留意事項や添付文書の洪水に加えて難解な文章が、多忙な医師の手を煩わせることにつながっています。無駄な査定を避けるため、事例と解説をお届けします。医療安全と適正請求の一助にしていただけると幸いです。令和2年4月に診療報酬の定期改定が実施されました。初診料は、凍結されていた妊婦加算が廃止されたことを除き、点数と算定留意に変更はありませんでした。今回お届けする査定事例は改定前ですが、改定後も取扱いは同じとなります。事例を見てみます。何らの違和感がないにもかかわらず、初診料が再診料に査定されています。調べてみると、この患者は、前月にも急性胃炎の受診歴がありましたが、次回診療予約はなく、受診中止後の急性疾患の再燃として初診料を算定されていました。前回受診時の処方箋内容を見てみると、28日分処方されており、今回の初診と判断した診療日がこの処方日数内でした。審査支払機関において保存された電子データを照らし合わせる縦覧点検の結果、急性胃炎は、処方日数から判定して引き続きの服薬中と認められるため初診料の対象ではないと査定になったものと推測できます。さらに、事例の急性胃炎は「特定疾患療養管理料」の対象疾患となっていますので、処方期間内の受診であれば、再診料+外来管理加算+特定疾患療養管理料+処方箋料+特定疾患処方管理加算2(28日以上処方の場合)の算定となり査定を防ぎ、増収につながったものと思われます。

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第4回 新型コロナで変わるか、医学部受験事情

研修医を新型コロナ感染症治療の最前線へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件について、あれやこれや書いていきたいと思います。緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されました。ゴールデンウィークの“民族大移動”前に早めに対象を全国に広げ、旅行や行楽地を訪れることを自粛させるのが狙いでしょう。私が好きな山登りも当然「不要不急の外出」になるわけで、今年の春山はどうしようか、と思い悩む今日この頃です。地元のスーパーに寄らないよう、車に食料をすべて詰み込んで登山口まで直行し、山小屋ではなくテントに泊まれば感染リスクは極力抑えられそうですが、まあダメでしょうね…。さて、今週気になったのは事件ではなく、西村康稔経済再生担当相が4月16日の参院議員運営委員会で発した言葉です。西村大臣は「場合によっては、研修医が現場に出ることもあり得る。引退したお医者さんで元気な方も現場に行くのはリスクがあるが、帰国者・接触者相談センターで電話の相談を受けている例もある」と述べ、研修医を新型コロナ感染症治療の最前線に投入する可能性について言及しました。前回のこのコラムでは、慶應義塾大学病院の研修医たちが開いたパーティについて書きましたが、週刊文春の続報によれば、懇親会後に陽性が判明した研修医たちは入院後も騒ぎ放題で、SNSに「コロナはテキーラで消毒!」と書き込んだ女性研修医もいたとか。そんな彼らならいきなり最前線に行かされてもビビらないでしょうが、多くの若手研修医は一瞬、肝を冷やしたのではないでしょうか。同様の動きは米国が先んじています。医師や看護師の確保が急務となったニューヨーク州では、クオモ知事が4日の記者会見で「医師や看護師が必要だ。われわれは迅速に対応する」と述べ、医療従事者を支援するため州内の医学生を病院などに派遣する行政命令を出しています。入試難度が上がる一方の医学部だったが……さて、このニュースを読んで思ったのは、「ひょっとしたら来年以降、大学医学部の偏差値は少しは下がるのではないか」ということです。ここ10年ほどの間に医学部の入試難度は相当上がりました。特に私立大学の難化が顕著です。かつて私大医学部は比較的難易度が低く、偏差値50台半ばから後半でも合格できる大学がありました。しかし、今では最低でも60台前半は必要と言われています。その背景には、優秀な学生を獲得したい私大医学部の中に学費を大幅に下げるところが出てきたことがあります。6年間で3000~4000万円かかっていた学費が2000万円前半で済む医学部も出てきました。サラリーマン家庭でも私大医学部を目指せるようになり、難易度がさらに高まったわけです。医学部人気の理由には、受験生(中高生)とその父兄の安定志向もあります。かつては優秀な受験生は官僚を目指したり、大企業を目指したりしたものですが、国際競争が激しい今、大企業すら存続が危ぶまれる状況です。「最も手堅いのは医師」と考える人が増えているのでしょう。官僚の人気低下は言わずもがな、です。こうした理由から優秀な理系の高校生は国公立、私立を問わず医学部を目指す傾向が強まっており、東大の理I、理IIよりも地方の国公立の医学部が選ばれる時代になっています。さて、そんな医学部人気の最中に起こった新型コロナウイルス感染症によるパンデミック。医療崩壊が迫る現場の過酷さや、医療機関での院内感染が連日報道されています。一連の報道を見て「医療現場は危ない」と考える人が増えています。「さっさと開業して、感染症治療の最前線に立たなければいい」という人もいそうですが、研修医の段階から現場に立たされては、そうもいきません。息子や娘に「医師は危ないからやめなさい」という親が出てきても、不思議ではありません。そうなると、来年以降、安定志向の医師志望者は減り、純粋に「医師になって人の命を救いたい!」と考える若者だけが医学部を目指すのではないでしょうか。来年の医学部入試の偏差値と受験者数に注目したいと思います。

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第19回 服薬指導の電話は喜ばれるって本当?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説服薬後のフォローが薬剤師の義務となりましたが、患者さんはあまりその事実を知りません。当然「なぜあなたにそんなことを言われなくちゃいけないの?」と拒否されてしまうのではないかと不安にもなります。ましてや患者さんの家に電話なんてと驚くかもしれませんが、実は患者さんにとって電話は薬局よりもクローズドでリラックスして話せる“場所”だったんです。

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うつ病や双極性障害における嗅覚記憶の比較

 嗅覚認識記憶の変化は、うつ病の感覚マーカーである可能性がある。そして、単極性うつ病と双極性うつ病で有意な差が存在する可能性もある。フランス・トゥール大学のFrancois Kazour氏らは、単極性および双極性うつ病の潜在的なマーカーを特定するため、検討を行った。Brain Sciences誌2020年3月24日号の報告。 双極性うつ病(DB)群、双極性寛解(EB)群、単極性うつ病(DU)群、単極性寛解(EU)群、正常対照(HC)群を募集した(176例)。対象者には、標準化された臨床評価および嗅覚評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・DU群、DB群、EU群は、HC群と比較し、嗅覚記憶に欠陥が認められた。・DB群は、新規の匂いを認識する能力が低かった。・DB群、DU群は、HC群と比較し、珍しい匂いの検出が限定的であった。・DB群は、それ以外の群と比較し、匂いを快適ではないと評価した。・すべての患者群は、HC群と比較し、快楽評価が低かった。・DB群は、EU群と比較し、感情的評価が低かった。 著者らは「抑うつ状態では、嗅覚記憶が障害を受けており、うつ病のマーカーであると考えられる。双極性うつ病患者における嗅覚記憶の障害は、寛解後も持続するため、双極性障害の特性マーカーであることが示唆された。単極性うつ病と双極性うつ病は、快楽評価で区分できる」としている。

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オシメルチニブ、EGFR陽性肺がんアジュバントで有効性、早期非盲検化に(ADAURA)/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、4月10日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が第III相ADAURA試験において有効性を示したことにより、独立データモニタリング委員会(IDMC)の勧告に従って早期に非盲検化されることを発表した。  ADAURA試験は、完全腫瘍切除したIB期、II期、IIIA期のEGFR遺伝子変異非小細胞肺がん患者を対象に術後補助療法としてのオシメルチニブの評価を行う第III相臨床試験で、主要評価項目は無病生存期間である。本試験では、オシメルチニブをプラセボと比較し、最長3年の治療期間で評価した。引き続き、副次評価項目である全生存期間の評価を行う。なお、IDMCからは、本試験における新たな安全上の問題は提起されていない。本試験の詳細データは、今後の学会で発表される予定。

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糖尿病予防、最も効果的な介入ターゲットが明らかに

 わが国の糖尿病患者は約1,000万人、さらに予備群も約1,000万人とされ、超高齢社会において、糖尿病予防は喫緊の課題のひとつである。しかし、人的・経済的な資源には限りがある。糖尿病を効果的に予防する介入ターゲットは、どのように絞り込めばよいのだろうか。 今回、坂根 直樹氏(京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室)は、「糖尿病予防のための戦略研究J-DOIT1」(研究リーダー:葛谷 英嗣氏)のデータを用いて、肥満、メタボリックシンドローム、肝臓の状態別に、生活習慣支援の糖尿病予防効果について解析を行った。Journal of Occupational Health誌2020年1月21日号に掲載。 本研究で対象となったのは、20~65歳の空腹時血糖異常(100~125mg/dL)を伴う2,607例で、支援群(n=1,240)と対照群(n=1,367)にランダムに割り付けられた。支援群には、電話によるサポートが1年間提供された。追跡期間中央値は4.9年。肥満の判定はBMI=25以上とし、メタボックシンドローム(MetS)の判定はNCEP/ATP IIIの基準を用いた。肝臓の状態の判定はDallas Heart Studyの基準で非アルコール性脂肪肝(NAFLD)、アルコール性脂肪肝(AFLD)、正常の3つに分類した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の年齢の中央値は49歳で、83.4%が男性。BMIの範囲は18.5未満から30超までおり、中央値は24.3kg/m2だった。・それぞれの有病率は、肥満が37.5%、MetSが38.1%、NAFLDが7.1%、AFLDが13.8%だった。・肥満の者はそうでない者に比べて、2型糖尿病の発症リスクが2.2倍であり、生活習慣の支援により糖尿病発症リスクは低下したが、有意ではなかった(ハザード比[HR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.54~1.29、p=0.422)。・メタボリックシンドロームの者はそうでない者に比べて、2型糖尿病の発症リスクが2.0倍であり、生活習慣の支援による糖尿病発症リスクに差は認められなかった(HR:1.04、95%CI:0.72~1.51、p=0.840)。・肝臓の状態による2型糖尿病の発症リスクは、肝臓が正常な者に比べて、NAFLDでは約2.9倍、AFLDでは約2.4倍だった。生活習慣の支援による糖尿病発症リスクは、正常な肝臓状態(HR:1.25、95%CI:0.90~1.72、p=0.180)とAFLD(HR:0.71、95%CI:0.40~1.25、p=0.240)では差を認めなかったのに対し、NAFLDでは著明な糖尿病リスクの低減効果が認められた(HR:0.42、95%CI:0.18~0.98、p=0.045)。 坂根氏は、「人的資源や予算が限られている場合、NAFLDをターゲットにすることで、費用対効果の高い糖尿病の予防的介入の実現が期待できる。一方、AFLDで同等の効果がみられなかった理由のひとつとして、節酒指導が難しいことが考えられる。今後は、効果的な節酒指導プログラムの開発が必要であろう」とこれからの展望を述べた。

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がん患者のVTE治療、アピキサバンは低分子ヘパリンに非劣性/NEJM

 がん患者の静脈血栓塞栓症(VTE)の治療において、直接経口抗凝固薬(DOAC)アピキサバンは、低分子ヘパリン(LMWH)ダルテパリン皮下投与と比較して、VTE再発に関して非劣性で、消化管の大出血のリスクを増加させないことが、イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らが行った「Caravaggio試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。現行の主要なガイドラインでは、がん患者のVTE治療にはLMWHが推奨され、最近、DOACであるエドキサバンとリバーロキサバンの使用の考慮が追加されたが、これらのDOACは出血のリスクが高いため有益性は限定的だという。LMWHと比較する無作為化非劣性試験 本研究は、がん患者のVTE治療におけるアピキサバンのダルテパリンに対する非劣性を検証する医師主導の非盲検無作為化非劣性試験である(Bristol-Myers SquibbとPfizerの提携組織の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、症候性または急性の近位型深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症(PE)を有するがん患者であった。これらの患者が、アピキサバン群(10mg[1日2回]、7日間経口投与後、5mg[1日2回]を投与)、またはダルテパリン群(200 IU/kg[1日1回]、1ヵ月皮下投与後、150 IU/kg[1日1回]を投与)に無作為に割り付けられ、6ヵ月の治療が行われた。 有効性の主要アウトカムは、試験期間中に客観的に確定されたVTE再発(症候性のDVTまたはPEの再発)とした。安全性の主要アウトカムは大出血であった。事前に規定された非劣性マージンは、ハザード比(HR)の両側95%信頼区間(CI)上限値2.00とした。VTE再発:5.6% vs.7.9%、大出血:3.8% vs.4.0% 2017年4月~2019年6月までに、欧州9ヵ国、イスラエル、米国の119施設に1,155例が登録された。アピキサバン群が576例(平均年齢67.2[SD 11.3]歳、男性292例[50.7%])、ダルテパリン群は579例(67.2[10.9]歳、276例[47.7%])であった。治療期間中央値は、アピキサバン群が178日(IQR:106~183)、ダルテパリン群は175日(79~183)だった(p=0.15)。 ベースラインのPE±DVTは、アピキサバン群が52.8%、ダルテパリン群は57.7%、DVTはそれぞれ47.2%、42.3%、症候性DVTまたはPEは、79.9%、80.3%であった。また、活動性のがんは、アピキサバン群が97.0%、ダルテパリン群は97.6%、局所進行・再発または転移を有するがんは、それぞれ67.5%、68.4%だった。 VTE再発は、アピキサバン群が576例中32例(5.6%)、ダルテパリン群は579例中46例(7.9%)で認められ、アピキサバン群のダルテパリン群に対する非劣性が確認され、優越性は示されなかった(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.37~1.07、非劣性のp<0.001、優越性のp=0.09)。 このうち、DVT再発は、アピキサバン群が576例中13例(2.3%)、ダルテパリン群は579例中15例(2.6%)で発生し(HR:0.87、95%CI:0.34~2.21)、PE再発はそれぞれ576例中19例(3.3%)および579例中32例(5.5%)で発生した(0.54、0.29~1.03)。 大出血は、アピキサバン群が576例中22例(3.8%)、ダルテパリン群は579例中23例(4.0%)で発生し、両群間に有意な差はみられなかった(HR:0.82、95%CI:0.40~1.69、p=0.60)。消化管大出血は、アピキサバン群が576例中11例(1.9%)、ダルテパリン群は579例中10例(1.7%)で発生した(1.05、0.44~2.50)。 また、臨床的に重要な非大出血(アピキサバン群576例中52例[9.0%]vs.ダルテパリン群579例中35例[6.0%]、HR:1.42、95%CI:0.88~2.30)や、全死因死亡(576例中135例[23.4%]vs.579例中153例[26.4%]、0.82、0.62~1.09)の発生にも、両群間に差はなかった。 著者は、「これらのがん患者におけるアピキサバンの良好な安全性プロファイルは、一般集団のVTE治療におけるアピキサバンの無作為化試験の結果と一致する。これらの知見を合わせると、消化器がんを含め、アピキサバンが適応となるVTEを有するがん患者の割合が拡大する可能性がある」と指摘している。

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