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レビー小体型認知症が疑われる患者の初期症状と診断時の特徴

 レビー小体型認知症(DLB)は、さまざまな初期症状がみられるが、多くのDLBの症例に焦点を当てた報告は、これまでほとんどなかった。北海道・砂川市立病院の内海 久美子氏らは、診断時にDLBおよびDLB関連症状が認められた患者234例を対象に、初期症状をレトロスペクティブに評価し、症状プロファイルの性差について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2020年8月2日号の報告。 対象は、2017年に改訂されたDLBの臨床診断に関するコンセンサス基準を満たした、DLBの可能性の高い患者234例。DLBは、ドパミントランスポーターシンチグラフィと123 I-MIBG心筋シンチグラフィで確認した。脳灌流は、SPECTを用いて測定した。これらに加えて、中心および補助的な臨床的特徴を考慮した。 主な結果は以下のとおり。・初期症状には、認知機能障害(41.9%)、幻視、幻聴、妄想、うつ症状などの精神症状(42.3%)が認められた。・女性では、ほぼ半数で最初に精神症状が認められ、男性よりも幻聴の頻度が高かった。・男性では、女性よりもREM睡眠行動障害の発生率が有意に高かった。・診断時のDLB関連症状は男女間で異なっており、男性では、女性よりもREM睡眠行動障害、パーキンソニズム、嗅覚低下、失神が有意に多く認められた。女性では、男性よりも幻聴が有意に多く認められた。 著者らは「DLBの症状は、初期症状だけでなく診断時に観察されるその後の症状においても、性差があることが示唆された。男性ではREM睡眠行動障害、女性では精神症状の発生率が高かった」としている。

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COVID-19、第1波・第2波の特徴と転帰を比較/JAMA

 COVID-19感染流行において、初期と2度目の流行では、患者の属性や臨床的症状、転帰に違いはあるのか。Center for Outcomes Research(米国・ヒューストン)のFarhaan S. Vahidy氏らによる分析が、JAMA誌オンライン版2020年8月13日号のリサーチレターで報告されている。 著者らは、テキサス州ヒューストンの8病院が使うヘルスケアシステム・Houston Methodistの電子カルテから、PCR検査で陽性となったCOVID-19重症患者を抽出したうえで、年齢、性別、人種/民族、併存症、投薬、ICU入院、死亡率を分析した。第1波は2020年3月13日~5月15日、第2波は5月16日~7月7日までとした。2020年7月7日時点におけるCOVID-19の入院患者のユニーク数は2,904例、第1波が774例、第2波が2,130例だった。 第1波と比較した第2波の特徴は以下のとおり。・若年者が多かった(平均年齢:57.3 vs.59.9歳、p<0.001)。・ヒスパニック系が多かった(43.3 vs.25.7%、p<0.001)。・低収入地域の居住者が多かった(ZIPコード別世帯収入中央値:6万765 vs.6万5,805ドル、p<0.001) 。・糖尿病(32.0 vs.40.3%)、高血圧(38.8 vs.55.3%)、肥満(25.7 vs.33.9%。いずれもp<0.001)などの全身および特定の併存症を有する割合が低かった。・レムデシビル(22.2 vs.11.2%、p<0.001)、エノキサパリン(72.6 vs.63.8%、p<0.001)の投与例が多かった。・入院期間中央値は短く(4.8 vs.7.1日、p<0.001)、ICU入院率も低かった(20.1 vs.38.1%、p<0.001)。・死亡率が低かった(3.5 vs.12.1%、p<0.001)。 著者らは、第2波の流行前に地域の経済活動が再開されたことから、経済活動の主体となるヒスパニック系の若年層に患者層がシフトした可能性がある、と示唆している。

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心房細動と超過死亡の関連、45年の長期分析の結果は/BMJ

 心房細動と全死因死亡との関連について、時間的傾向は見いだせないことが、デンマーク・オーフス大学のNicklas Vinter氏らによる検討で明らかにされた。フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study:FHS)の被験者を対象に45年間の関連傾向を分析した結果によるもので、心房細動診断後10年時点での心房細動による平均喪失寿命年数は顕著に改善していたが、心房細動を診断されていない被験者との間には、なお2年間のギャップが残存し続けていることも示された。新規診断の心房細動は死亡ハザード比を増大する。一方で心房細動患者における短期および長期の生存確率が経時的には改善していることが報告されていた。BMJ誌2020年8月11日号掲載の報告。3期にわたるフラミンガム心臓研究の参加者データを分析 研究グループは、新規診断の心房細動と死亡との関連について時間的傾向を調べるため、FHS被験者のデータを用いた住民ベースのコホート研究を行った。FHSは米国・マサチューセッツ州のフラミンガム町で、第1期(1972~85年)、第2期(1986~2000年)、第3期(2001~15年)の3回にわたって実施。今回の解析は、各試験期において45~95歳の心房細動歴がない参加者と、各試験期で新規の心房細動(または心房粗動)を診断された参加者を特定して行われた。 主要アウトカムは全死因死亡。時間的にばらつきのある心房細動と全死因死亡との関連ハザード比(HR)を、時間変化の交絡因子を補正して算出。また、心房細動診断後10年時点で、心房細動診断群と適合参照群の制限付き平均生存期間の差を、交絡因子を補正して算出し、メタ回帰法を用いてHRの線形傾向と、異なる期間における制限付き平均生存期間について検証した。心房細動診断者の全死因死亡に関するハザード比に時間的傾向はみられず 各試験期から選定された非心房細動の参加者は、第1期5,671例、第2期6,177例、第3期6,174例であった。一方、新規心房細動を診断された参加者はそれぞれ、305例、596例、468例であった。 心房細動診断者と非診断者間の全死因死亡に関する補正後HRは、第1期は1.9(95%信頼区間[CI]:1.7~2.2)、第2期は1.4(1.3~1.6)、第3期は1.7(1.5~2.0)であった(傾向のp=0.70)。 心房細動診断後10年時点での、心房細動診断群と適合参照群の補正後制限付き平均生存期間の差は、31%短縮していた。すなわち、第1期の-2.9年(95%CI:-3.2~-2.5)から、第2期は-2.1年(-2.4~-1.8)に、第3期は-2.0年(-2.3~-1.7)へと短縮していた(傾向のp=0.03)。

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デュルバルマブ、進展型小細胞肺がんに国内適応拡大/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2020年8月21日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、化学療法(エトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)を適応症に厚生労働省より承認を取得したと発表。 デュルバルマブに対する今回の承認は、デュルバルマブと化学療法との併用療法が、化学療法単独との比較において、統計学的に有意で臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した第III相CASPIAN試験の結果に基づいている。 2019年6月、CASPIAN試験において、デュルバルマブと化学療法との併用療法は、化学療法単独との比較で主要評価項目であるOSの延長を示し、死亡リスクを27%低下させた(ハザード比:0.73、95%信頼区間:0.59~0.91、p=0.0047)。OS中央値は化学療法単独群の10.3ヵ月に対し、デュルバルマブと化学療法との併用療法群では13.0ヵ月であった。また、デュルバルマブと化学療法との併用療法群では、客観的奏効率(Confirmed)の増加(化学療法単独群58%に対して、デュルバルマブと化学療法との併用療法群68%)が示され、化学療法にデュルバルマブを追加することで、肺がん関連の症状が悪化するまでの期間が延長することが示された。 最新の解析データでは、追跡期間中央値が2年を超えた時点でも、デュルバルマブと化学療法との併用療法による持続的な有効性が示され(OSハザード比:0.75、95%信頼区間:0.62 ~0.91、p=0.0032)、OS中央値は化学療法単独群の10.5ヵ月に対し、デュルバルマブと化学療法との併用療法群では12.9ヵ月であった。デュルバルマブと化学療法との併用療法の安全性および忍容性は、これらの医薬品の既知の安全性プロファイルと一致していた。 デュルバルマブとエトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチンとの併用療法は、のES-SCLCの1次治療薬として、米国および世界中の数ヵ国で承認されている。

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T-DM1、HER2陽性早期乳がんの術後薬物療法に適応追加/中外製薬

 中外製薬は、抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体トラスツズマブ エムタンシン(商品名:カドサイラ、以下T-DM1)について、「HER2陽性の乳における術後薬物療法」に対する適応追加の承認を8月21日に取得したことを発表した。手術前の薬物療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2陽性早期乳がんに対して、術後薬物療法の新たな選択肢となる。T-DM1の優越性が術前療法でpCRが得られなかったHER2陽性早期乳がんの術後薬物療法で認められた 今回のT-DM1の承認は、海外で実施された非盲検ランダム化第III相国際共同臨床試験(KATHERINE試験)の成績に基づく。本試験では、トラスツズマブを含む術前薬物療法でpCRが得られなかったHER2陽性早期乳がん1,486例を対象に、術後薬物療法としてのT-DM1の有効性と安全性をトラスツズマブと比較した。その結果、主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)について、トラスツズマブに対するT-DM1の優越性が認められた(非層別ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.39~0.64、p<0.0001)。また、本試験におけるT-DM1の安全性は、転移を有するHER2陽性乳がんにおける治療で認められている安全性プロファイルと同様であり、忍容性が認められた。【添付文書情報】(下線部分が追加)■効能・効果・HER2陽性の手術不能又は再発乳・HER2陽性の乳における術後薬物療法■効能・効果に関連する注意〈効能共通〉1. HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。2. 本剤は、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による化学療法の治療歴のある患者に投与すること。3. 本剤の術前薬物療法における有効性及び安全性は確立していない。〈HER2陽性の乳における術後薬物療法〉4. 術前薬物療法により病理学的完全奏効(pCR)が認められなかった患者に投与すること。5. 臨床試験に組み入れられた患者のpCRの定義等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。■用法・用量通常、成人にはトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)として1回3.6 mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与回数は14回までとする。

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第22回 老化で溜まる屑ががん細胞を転移しやすくする~血を薄めて若返り?

高齢になるほどがんを生じてがんで死亡することが多くなり、がんによる死亡は主に転移を原因とします。米国・ニューヨーク市のコーネル大学のチームによる新たな研究の結果、食物中のタンパク質等をエネルギーに変える代謝で生じるいわば屑・メチルマロン酸(MMA)が高齢になるほど血液中に蓄積し、上皮間葉転換(EMT)に似た仕組みを経てどうやらがん細胞を転移しやすくすると分かりました1-4)。先立つ研究で、転移し始める細胞のMMAが増えると分かっていました3)。また、高齢者にMMAが多いことも知られていました。それら2つの発見を背景にしてチームはMMAが高齢者と発がんの関連に寄与しているかもしれないと考え、血液中のMMA が多い60歳以上の高齢者30人の血清と25~30歳の若者30人の血清を肺がん細胞や乳がん細胞に投与してどうなるかを検討しました。その結果、若者の血清を投与したがん細胞の特性は多くの場合変化しませんでした。一方、高齢者の血清が投与されたがん細胞は多くの場合EMTに似た仕組みによって転移特性を備え、別の試験でその変化の多くがMMAに起因していると判明しました。それらのがん細胞はたしかに転移誘発作用があり、マウスに注射したところ肺に転移性の腫瘍を生み出しました。MMAは高齢者の血液中に存在する大きな脂肪の粒と恐らく複合体を形成して血管壁を出てがん細胞に運ばれ、SOX4という遺伝子発現を促すことでがん細胞を転移可能な状態にするようです。MMAを運ぶその脂肪粒の特性やMMAがどういう仕組みでSOX4の発現を促すのかは分かっておらず、今後の研究で調べる必要があります。また高齢になるほどMMAが蓄積する理由なども今後の研究で明らかになるでしょう。まだまだ課題はありますが、MMAを減らしてがんによる死亡を防ぐ治療が生み出されることを何よりも望むと研究を率いたコーネル大学教授John Blenis氏は言っています3)。血を薄めて若返りを図る?老化するほど血液に溜まる有害成分はMMAだけではないようで、老化に伴って蓄積する有害タンパク質もどうやら存在し、それらを薄める血漿瀉血(血漿交換)に似た処置で老いたマウスを若返らせうることがカリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の最近の研究で示されています5,6)。研究者は老齢マウスの血漿の半分をそれらに含まれるアルブミン相当量添加(アルブミン5%)生理食塩水で置き換えて血漿中のタンパク質を薄めました。すると老化で増える炎症促進タンパク質の数が減り、血管新生などに携わる有益なタンパク質は逆に増え、脳・肝臓・筋肉が若返りました。血漿成分を変える瀉血は種々の自己免疫疾患の治療として米国FDAにすでに承認されています。少し手を加えた瀉血で高齢者の体調を改善できるかどうかや、筋肉減少・神経変性・2型糖尿病・免疫不全などの老化疾患を治療できるかどうかを調べる試験の準備をしていると6月中旬の同大学のニュースで述べられています5)。MMAも薄まるのであればもしかすると瀉血でがん転移も減らせるかもしれません。参考1)Age-induced accumulation of methylmalonic acid promotes tumour progression. Nature. 19 August 20202)Study finds cancer-boosting culprit that multiplies with age / AFP 3)Aging People Accumulate a Molecule that Promotes Cancer and Metastasis / Weill Cornell Medicine4)Molecules in the blood of older people promote cancer spread / Nature 5)Diluting blood plasma rejuvenates tissue, reverses aging in mice / Eurekalert6)Mehdipour M,et al. Aging. 2020 May 31; 12: 8790–8819.

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統合失調症に対する気分安定薬の処方状況~国際的研究

 精神疾患に対する抗精神病薬と気分安定薬の処方状況や投与量を調査した研究は、これまであまりなかった。シンガポール・精神衛生研究所のWai Kwong Lim氏らは、限られた既存のデータと臨床経験に基づき、補助的な気分安定薬の使用と人口統計(年齢など)、臨床的要因(罹病期間など)、抗精神病薬治療の特徴(併用や高用量など)との関連について調査を行った。Human Psychopharmacology誌オンライン版2020年8月1日号の報告。 本研究は、統合失調症の薬物疫学的要因に焦点を当てたアジアリサーチコンソーシアム内で実施された。気分安定薬の併用率や高用量(リチウム換算量1,000mg/日超)、臨床相関などを評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、アジア14ヵ国で統合失調症と診断された患者3,557例。・気分安定薬と抗精神病薬が併用されていた患者は485例(13.6%)であった。・高用量の気分安定薬が処方されていた患者は53例(10.9%)であった。・補助的な気分安定薬の使用と関連していた因子は以下のとおりであった(すべてp<0.005)。 【人口統計学的要因】女性、若年 【社会的要因】国、入院 【疾患関連要因】罹病期間の長さ、入院回数の多さ、非寛解、解体行動、攻撃性、感情症状、社会的職業機能障害 【治療関連要因】高用量の抗精神病薬、抗精神病薬の多剤併用、高BMI、鎮静作用の強さ・高用量の気分安定薬を投与された患者は、疾患経過が不良で、解体行動や機能低下の頻度が高く、抗精神病薬の投与量がより多かった。 著者らは「アジアの精神科医療施設で、補助的な気分安定薬が処方されている統合失調症患者はより重症であり、シンプルな治療レジメンへの反応性が低いことが示唆された」としている。

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COVID-19対策のうがいは是か非か

 8月上旬、大阪府知事の吉村 洋文氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にうがい薬ポビドンヨード液を推奨する緊急記者会見を開いた。この会見の報道を受け、うがいは新型コロナ感染症対策として優先順位は低いなどと発言する一部の専門家もいたが、やはり口腔ケアは感染症対策として重要なのではないだろうかー。2020年8月5日に開催された第2回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナーで、阪井 丘芳氏(大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療学教室教授)が「COVID-19と唾液腺~重症化予防のための新たな口腔ケア」について講演し、口腔の衛生管理の重要性について語った。COVID-19拡大予防にうがいは重要 COVID-19流行前から口腔ケアと感染症に関連した研究を実施している阪井氏は、1)高齢者の誤嚥性肺炎と窒息のリスクの緩和、2)口腔ケアを行う医療従事者の効率化と安全性の向上、3)口腔ケア製品の抗菌性を高め、ウイルス性・細菌性肺炎を予防、4)現場のニーズに合った優れた口腔ケア用品の開発と普及を目標に活動を行っている。 今回のポビドンヨード液の報道時には、うがいの根拠について議論が巻き起こったものの、口腔ケアにより要介護高齢者の発熱・肺炎発生率が低下することは約20年前の論文1)ですでに裏付けされていた。また、感染には体内の2大細菌叢である腸内細菌叢と口腔細菌叢が影響するが、「後者はう蝕や歯周病の原因になり、口腔細菌が肺へ移行し肺炎リスクに繋がる」と説明。また、インフルエンザなどウイルスによる肺炎は上気道から侵入するケースが多い点にも触れた。 COVID-19の場合、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が肺に存在する受容体であるACE2に結合するため、肺へ直接侵入する可能性が高いと言われている。しかし、ACE2の発現量は肺よりも唾液腺にやや多いことが報告されている。これを踏まえて、同氏は「健康な肺にはもともと防御機構があるので、ある程度口腔細菌の制御は可能だが、SARS-CoV-2によって上皮細胞が損傷すると、細菌感染が生じる可能性がさらに高まる。現在までの研究報告によると、SARS-CoV-2自体単独では強毒性ではないかもしれないが、重症化因子として口腔細菌が関与している可能性もある。2次性細菌性肺炎を防ぐためにも口腔衛生の徹底が必要」と強調した。また、COVID-19の高齢患者の死亡率が高い理由として、「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん:気付かないうちに生じる誤嚥)をきっかけとして、2次性細菌性肺炎が重症化したのが原因では」と推測し、今後の検証の必要性を述べた。 新型コロナ感染対策でうがいは唾液中のウイルスを一時的に減少 現在、唾液を用いたCOVID-19のPCR検査が実施可能である。鼻咽頭ぬぐい液による検査では患者の負担だけではなく、医療者への感染リスクが問題とされたが、唾液PCR検査はそれらの問題解決に繋がるばかりか、無症状者への対応も可能となった。他方で、同氏は口腔・咽頭粘膜はSARS-CoV-2の侵入経路だけではなく、付近の唾液腺がその貯蔵庫になる可能性が示唆2)されていることに着目し、「効果的な口腔ケアと生活様式での対応の両者が必要」とコメント。しかし、現時点で口腔内の消毒薬として認められているのは、10%ポビドンヨード液と0.01~0.025%塩化ベンザルコニウム液のみであることから「要時生成型亜塩素酸イオン水溶液(MA-T:Matching Transformation system)などを用いた新たな口腔用消毒薬の確立に努めたい」と話した。 最後に同氏は「学校や会社を休みたくないがゆえに、ヨード系うがい薬でうがいをしてから唾液PCR検査を受けて偽陰性の結果や診断を得るような、社会的に逆効果になる問題も予想される」としつつも、「誰が感染しているかわからない状況下において、うがいは唾液中のウイルスを一時的に減少させるため、会話や会食前・最中のうがいは人にうつす可能性を減らすかもしれない。効果の持続時間やうがい方法、吐き出した液による洗面台周囲のウイルス汚染など、検証すべき事項が多数あり、結論を導くには時間を要するが、感染対策として口腔衛生管理を行うことは大切である」と、口腔ケアの必要性について言及した。

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超低出生体重児輸血戦略、非制限vs.制限/JAMA

 1,000g未満の超低出生体重児において、非制限輸血は制限輸血と比較して、補正年齢24ヵ月時点の死亡または障害発生の確率を抑制しなかった。ドイツ・テュービンゲン大学病院小児科部門のAxel R. Franz氏らが、欧州36施設・1,013例の新生児を対象とした無作為化試験「ETTNO試験」の結果を報告した。超低出生体重児には赤血球輸血治療が行われるが、エビデンスに基づいた輸血閾値は確定されていない。先行研究では、制限輸血を受けた新生児で認知障害の発生率が高いことが示されていた。JAMA誌2020年8月11日号掲載の報告。欧州36のNICUで1,013例を対象に無作為化試験 ETTNO(Effects of Transfusion Thresholds on Neurocognitive Outcomes of Extremely Low-Birth-Weight Infants)試験は、非制限輸血vs.制限輸血戦略の死亡または障害への影響を比較することを目的とし、欧州36ヵ所のレベル3/4の新生児集中治療室(NICU)で行われた。対象は生後72時間未満で出生体重400~999gの新生児。2011年7月14日~2014年11月14日に登録され、2018年1月15日までフォローアップを受けた。 対象新生児は無作為に、非制限輸血群(492例)または生後年齢と現在の健康状態に基づく閾値で輸血する制限輸血群(521例)に割り付けられた。 主要評価項目は、補正年齢24ヵ月時点で評価した死亡または障害(あらゆる認知障害、脳性麻痺、重度の視覚障害もしくは聴覚障害と定義)とした。副次評価項目は、主要評価項目の各項目、早産児合併症、発育などであった。主要評価項目、副次評価項目ともに両群間で有意差みられず 無作為化を受けた1,013例(出生時在胎週数中央値26.3週[四分位範囲[IQR]:24.9~27.6]、女児509例[50.2%])において、928例(91.6%)が試験を完遂した。あらゆる輸血の介入は、非制限輸血群400/492例(81.3%)、制限輸血群315/521例(60.5%)で行われ、それぞれの輸血量中央値は40mL(IQR:16~73)vs.19mL(0~46)、週当たり平均ヘマトクリット値は、非制限輸血群で3%ポイント高かった。 主要評価項目の発生は、非制限輸血群200/450例(44.4%)、制限輸血群205/478例(42.9%)で、両群間で有意な差はなかった(絶対群間差:1.6[95%信頼区間[CI]:-4.8~7.9]、オッズ比[OR]:1.05[95%CI:0.80~1.39]、p=0.72)。 また、副次評価項目の死亡(8.3% vs.9.0%、絶対群間差:-0.7[95%CI:-4.3~2.9]、OR:0.91[95%CI:0.58~1.45]、p=0.70)、認知障害(37.6% vs.34.4%、3.1[-3.3~9.6]、1.12[0.83~1.51]、p=0.47)、脳性麻痺(4.3% vs.5.6%、-1.3[-4.2~1.5]、0.75[0.40~1.40]、p=0.37)のいずれも有意差は示されなかった。 手術を要した壊死性腸炎の発生は、非制限輸血群20/492例(4.1%)vs.制限輸血群28/518例(5.4%)、気管支肺異形成症はそれぞれ130/458例(28.4%)vs.126/485例(26.0%)、早産児網膜症で治療を要したのは41/472例(8.7%)vs.38/492例(7.7%)であった。 フォローアップ時の発育評価についても、両群間で有意差は認められなかった。

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セロクエルとセロクラールとの取り違えに注意

 アステラス製薬とサノフィは、2020年8月、「セロクエル(一般名:クエチアピンフマル酸塩):抗精神病剤」(製造販売:アステラス製薬)と「セロクラール(一般名:イフェンプロジル酒石酸塩):脳循環代謝改善薬」(製造販売元:サノフィ、販売元:日医工、販売提携:日医工サノフィ)について、これらを処方・調剤する際には薬効および販売名を今一度確認すること、また処方オーダーシステムを使用する場合は入力後の内容確認、アラートを表示させるなどの薬剤の選択ミス防止策を検討するよう注意喚起を行った。 これら2剤は販売名が類似していることから、2012年10月に取り違えに関する注意喚起を行っているが、その後も処方オーダーシステムにおける両薬剤の選択ミスや調剤時の薬剤取り違えなどが繰り返され、2020年6月1日時点で25件の事例が日本医療機能評価機構ホームページへ掲載されているという(日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業報告事例 3件、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業報告事例 22件)。

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第20回 新型コロナワクチン接種を見据え、今秋までに基本方針を策定

<先週の動き>1.新型コロナワクチン接種を見据え、今秋までに基本方針を策定2.接触アプリCOCOA、濃厚接触の通知で検査対象に DL数は人口の1割3.公立・公的病院の再編スケジュール、10月以降期限に見直しへ4.来年から通年化される病床機能報告制度、今年度の診療実績報告は不要に5.職員感染発生などはコロナ患者受け入れ医療機関と見なす提案、保留に/中医協1.新型コロナワクチン接種を見据え、今秋までに基本方針を策定新型コロナによる死亡者や重症者をできる限り抑制するため、ワクチン接種の実施体制を整えていく必要がある。21日に開催された新型コロナウイルス感染症対策分科会では、下記の検討が続く。接種の優先順位特定接種の実施実施体制国民の声現在、優先順位としては医療従事者、高齢者および基礎疾患を有する患者が挙げられており、感染リスクが高い人などを想定している。ただし、新型コロナウイルスワクチンはまだ開発中であり、現時点では安全性や有効性についてわかっていない点も多く、科学的な不確実性もある。一方で、国民の期待が極めて大きいため、しっかりと正確な情報提供が必要となる。来年初頭から国内で開始される見込みのワクチン接種を前に、今秋にも接種の基本方針を策定したい考え。ワクチンに対する懸念も踏まえ、有害事象の監視体制の整備や健康被害が生じた場合の賠償方針を固め、次の国会に新法を提出して早期成立を目指す。(参考)新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種に関する分科会の現時点での考え方(新型コロナウイルス感染症対策分科会)コロナワクチンの賠償、国が責任 海外製薬から調達促進 政府、次期国会に新法(日本経済新聞)2.接触アプリCOCOA、濃厚接触の通知で検査対象に DL数は人口の1割現在、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の通知で濃厚接触をした可能性のある人が、PCR検査を受けられないケースが発生している。厚労省は、全国の保健所に対して、COCOAの通知を受けた人については、症状の有無などにかかわらず検査の対象にするよう21日の事務連絡であらためて周知した。なお、COCOAについては、21日17時時点で、およそ1,416万件がダウンロードされている。(参考)事務連絡 令和2年8月21日 新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)で通知を受けた者に対する行政検査等について(厚労省)接触確認アプリ 通知受けた人は検査対象 保健所に周知 厚労省(NHK)3.公立・公的病院の再編スケジュール、10月以降期限に見直しへ地域医療構想に向けて、各都道府県に求められていた公立・公的医療機関などにおける具体的対応方針の再検証について、当初は2020年9月末期限とされていたが、新型コロナ感染拡大に伴い、10月以降に延期される見込み。もともと再検証については、「骨太の方針2019」にて2020年秋頃とされていたが、「骨太の方針2020」ではこの点に触れられておらず、新型コロナ対策が優先されたと言える。なお、再検証の対象となっている医療機関数は昨年9月時点では424施設であったが、その後の精査により約440施設となっている。(参考)具体的対応方針に係る再検証の要請等、診療実績データ分析等の活用について(第24回地域医療構想に関するワーキンググループ)公的病院の再編・統合、スケジュール見直しへ コロナ影響、国への報告期限延期(毎日新聞)4.来年から通年化される病床機能報告制度、今年度の診療実績報告は不要に14日、厚労省は第26回 地域医療構想に関するワーキンググループを持ち回り開催で行った。来年度の病床機能報告では診療実績の報告を通年化することを踏まえ、今年は6月分のレセプト情報による診療実績の報告を不要としている。これは新型コロナウイルス感染症への対応で、病床機能報告対象病院に対する負担軽減を目的とされる。併せて、例年の報告項目の追加、変更についても行わないこととなった。(参考)令和2年度病床機能報告の実施について(第26回地域医療構想に関するワーキンググループ)5.職員感染発生などはコロナ患者受け入れ医療機関と見なす提案、保留に/中医協19日に開催された中央社会保険医療協議会総会で、新型コロナ患者の受け入れがなくても、職員の感染(疑い含む)が発覚した場合には、受け入れ医療機関と同様の取り扱いとすること、緊急事態宣言の発令期間にはすべての医療機関を「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた医療機関」に該当するものと見なす提案があった。これは新型コロナの影響で受診抑制が続く中、厳しい経営状態に直面している医療機関を支援する側面もあるが、支払い側からは賛成が得られず、会長預かりとなった。厚労省では、2020年度診療報酬改定における経過措置の取り扱いについて議論された。急性期一般入院基本料や7対1入院基本料、看護必要度加算などの算定要件となっている「重症度、医療・看護必要度」について、2020年9月30日までの経過措置期限を、2021年3月31日まで延長することが提案され、了承された。なお、受診控えの傾向が今後も続くことを考慮して、経営支援策については厚労省により検討が着手されたことが報道された。(参考)新型コロナウイルス感染症への対応とその影響等を踏まえた診療報酬上の取扱いについて(中医協)感染恐れて受診控える傾向 医療機関の経営支援策検討へ 厚労省(NHK)

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肺がんNGSコンパニオン診断、有効活用に向けた実臨床での分析【肺がんインタビュー】 第50回

第50回 肺がんNGSコンパニオン診断、有効活用に向けた実臨床での分析肺がんでは、次世代シーケンス(NGS)によるコンパニオン診断が承認され、治療初期からの網羅的な遺伝子診断が可能となった。しかし、実臨床における活用状況や、その成績は明らかになっていない。「西日本がん研究機構(WJOG)」では、これらの現状を明らかにするWJOG13019Lを実施している。研究代表医師である北九州市立医療センター 大坪 孝平氏に聞いた。明らかになっていない、NGSによる肺がん初期遺伝子診断の実態―この試験を実施する背景について教えていただけますか。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する肺がんには複数のドライバー遺伝子変異があります。なかでもEGFR、ALK、ROS1、BRAFなどの遺伝子変異/転座は分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)が高い有効性を示すため、肺がんでは、初期診断の段階で複数のドライバー遺伝子を同時に測定することが推奨されます。そのような中、46種類遺伝子を同時に検索できる次世代シークエンス(NGS)を用いたコンパニオン診断システム「オンコマインDx Target Test マルチCDxシステム(以下、オンコマインDxTT)」が、2019年6月に保険収載され、上記4つの変異測定に使用できるようになりました。 従来の検査法では、ドライバー遺伝子ごとに別のコンパニオン診断薬が必要でした。その結果、複数の遺伝子変異を同時に測定するためには、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本が 、最大で30枚程度必要になります。実臨床でそれだけの組織を採取することは容易ではありません。実際、23.4%の患者さんが検体不足により4つのドライバー遺伝子測定を完遂できなかったとの報告もあります。オンコマインDxTTを用いると、10枚程度の標本で遺伝子変異が測定可能となり、こういった課題も解消されると想定されました。 しかし、実臨床ではオンコマインDxTTを利用しても、検体量不足や検体の質の問題で、測定不能と判定されることがあります。NGSを用いた遺伝子変異測定の成功率はどの程度か、また、どういう採取方法で、どれくらいの検体を採り、どういう病理学的処理をすれば、きちんと遺伝子変異を測定できるのか。当試験は、全国の肺がん治療医が持っている、このような疑問を明らかにするために計画されました。 実臨床での遺伝子変異の実態を明らかにし、治療開始の遅れをなくす―WJOG13019L試験の概要について教えていただけますか。この試験の略称は「DETECT-LC」で、WJOGの若手グループ「WING」が主体となり、サーモフィッシャー社の資金援助を受け、大阪市立大学をデータセンターとして実施しています。 対象は、WINGの施設を主体とした19施設において、2019年6月1日~20年1月31日に、オコマインDxTTによる遺伝子検査が行われた非小細胞肺がんです。登録後、検体情報と臨床情報を収集して、後ろ向きに解析します。主要評価項目は、遺伝子変異測定成功割合(EGFR、ALK、ROS1、BRAFすべての測定が成功した割合)、副次評価項目は検体条件(検体採取方法、腫瘍細胞含有率、固定条件、マイクロダイセクションの有無)による遺伝子変異測定成功割合、測定成功症例における遺伝子変異陽性率(46種類)、検体提出から結果判明までの期間です。わが国の実臨床で、NGSでの各遺伝子の検出頻度や、検体条件による測定成功率の違いなどは明らかになっていなかったので、注目する医師は多いと思います。2020年4月から開始した登録は、同年6月末終了し、2020年7月1日現在、目標の500例を超える533例が集まっています。今後、解析を行い、学会および論文で発表する予定です。―この試験の結果は、臨床にどのように影響を与えるでしょうか。EGFRやALKなど治療ターゲットとなるドライバー遺伝子が「測定不能」として返ってきた場合、別のコンパニオン診断薬を使って測定し直すという時間のロスを生じます。この試験の結果が、非小細胞肺がんの患者さんに対する治療導入の遅れを減らすことにつながれば、大きなメリットになると考えています。また、前述の4つの遺伝子や、KRASなど今後治療ターゲットとなりえるドライバー遺伝子の変異/転座の割合が明らかになることで、今後の治療薬開発につながっていく可能性もあり、非常に重要だと思っています。

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第44回 右室肥大と右脚ブロック~似て非なる病態を嗅ぎ分けよ(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第44回:右室肥大と右脚ブロック~似て非なる病態を嗅ぎ分けよ(前編)「右室肥大」と「右脚ブロック」。病態的には、もちろん“似ても似つかぬ”、いやまったくと言っていいほど異なります。ただ、不思議なことに心電図の世界で両者は波形的に類似点が多く、時にソックリさんの状況すら起こりえます。今回は、そんな両者を見分ける方法についてレクチャーしましょう!【問題1】2枚の心電図(図1)と(図2)を示す。「右室肥大」(RVH)の心電図はどれか。正しいものを選べ。1)いずれも該当しない2)図1のみ該当する3)図2のみ該当する4)両方とも該当する(図1)63歳、男性の心電図画像を拡大する(図2)66歳、女性の心電図画像を拡大する解答はこちら3)解説はこちらさぁ、皆さんはこの変わった問題、どう感じましたか? 第一印象で“似てるな”と思った方がいると嬉しいDr.ヒロなのでした。基本的には前2回(第42回、第43回)で扱った「右室肥大」(RVH)の心電図を問うていますが、一方がRVH、そしてもう一方が“似て非なる”別の心電図所見です。では、後者のなんちゃってRVH所見とは何でしょうか? これは、巷でよく見る「右脚ブロック」です。まず、「右脚ブロック」と「右室肥大」ってよく見ると似てるね、そう思ってもらいたいというのが、設問の意図で、それぞれの診断基準を見直しつつ答えてみてください。“「右脚ブロック」とは?”さて、今回のテーマは「右室肥大」と「右脚ブロック」の関係性についてです。最初は、右室肥大って右脚ブロックと似てるでしょ、という話からスタートします。(図1)の63歳、男性の心電図が「完全右脚ブロック」で、(図2)の66歳、女性のものが「右室肥大」でした。後者の心電図は「肺動脈性肺高血圧症」と診断された方のものです。一昔前までは「原発性肺高血圧症」と呼ばれていた疾患です。まず、「右脚ブロック」について簡単に述べましょう。これはご存じ、房室結節からヒス束の先の右脚の伝導が遅延または途絶するもので、代表的な心室内伝導障害の一つです。「right bundle branch block」、略して「RBBB」と表記されることが多いです。QRS幅が広い「完全右脚ブロック」でも健診などでは2~3%くらいに認めるので、「不完全~」まで含めると、もっと多くなるでしょうね。「右脚ブロック」の心電図診断は、主にV1(またはV2)とV6(またはV5)の“顔つき”で決まり、あとはQRS幅が0.12秒(3mm)よりワイドなら「完全」(complete)、正常に比べて広目(0.10~0.12秒)なら「不完全」(incomplete)を先頭につけます。「完全右脚ブロック」が「CRBBB」、「不完全右脚ブロック」が「IRBBB」ということです。これ自体は今回のテーマではないので、拙著からの引用提示で失礼します(図3)。顔認証、ならぬ“波形認証”で該当する幅広QRS波に会ったら『あっ、右脚ブロック見つけた!』、そう叫んでくださいね(笑)。(図3)心室内伝導障害の心電図診断画像を拡大する“「右室肥大」と「右脚ブロック」は兄弟?”次に「右室肥大」について復習しておきましょう。キーとなる2大所見は「右軸偏位」と「高いR波(V1)」でした。たしかに、心電図(図2)の肢誘導では、QRS波の「向き」は、I:下向き、II(aVF):上向きですから定性的に「右軸偏位」と言えます。また、V1誘導に注目すると、 “背高ノッポ”の陽性(R)波もあるようです。具体的な数値は「7mm以上」で該当していますし、そもそもこの「qR型」というV1波形が「右室肥大」に特異性の高い所見になります。そのほか付帯条件として、「R<S(V5)」、V1誘導でQRS波のはじまり(q波)からR波の頂点までの時間(R peak time)も60~80msとやや後方にズレて、どことなくST-T部分も“寝そべった2の字”のようなカタチです(典型的な「ventricular stain:ストレイン型]ではありませんが)。さらに「右房拡大」の診断基準(P波増高≧2.5mm[II/III/aVF])も満たすので、(図2)の心電図は問答無用で「右室肥大」と診断できます。ここは復習なので、前回の最後に提示したフローチャートを確認してみてくださいね(第43回)。では、「完全右脚ブロック」(CRBBB)と診断できる心電図(図1)をもう一度見直してください。V1、V2が想像以上にRVHを示唆する心電図(図2)に似ていること、そしてイチエル・ゴロク(側壁誘導)でS波が“主張する感じ”もわりとソックリです。また、この例では違いますが、軸偏位に関しても、軽度ながら(<110°)「右軸偏位」などがRBBBで認められる場合も多く、状況は非常にややこしいのです。以上をまとめると、RVHの心電図はRBBBの心電図と“わりと”似ているということ。遭遇する頻度から、「右脚ブロック」を「右室肥大」と見誤るよりも、その逆で、「右室肥大」と読まなくてはいけないのを「右脚ブロック」で済ませて満足してしまうケースが多いのではと予想しています。■ポイント■「右室肥大」と「右脚ブロック」は波形上の類似点が多いなので前回のフローチャートで示したように、心電図から「右室肥大」を疑う場合、最初に「右脚ブロック」だけ分けてしまい別に議論するんだという意識を持つようにしましょう。簡単には、QRS幅がワイドだったら、まずその時点で典型的な「右室肥大」の線はないとして良いかと思います。ただし、「不完全右脚ブロック」の場合があるので、単純にQRS幅だけで除外することができない面もあり、注意が必要です。ひとまず今回はここまで。次回は一段レベルアップして、「右脚ブロック」に「右室肥大」が“かぶる”可能性についてレクチャーしようと思います。Take-home Message「右室肥大」(RVH)と「右脚ブロック」(RBBB)は、心電図の世界では“似たもの同士”。一見「右脚ブロック」に見える心電図に「右室肥大」が潜んでいることを知っておこう。【古都のこと~六社神社】『天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ』百人一首に採られたこの和歌は、小野小町と同じく六歌仙の一人であった僧正遍昭(照)*1の作品です。今回は彼に縁のある「六所神社」(山科区)についてお話ししましょう。この名は六神*2を奉することに起因し「ろくしょ」神社と読みます。実は京都の山科区には、「六所神社」が2つあります。今回は「北花山大峰町」にあるほうを紹介します*3。北花山六所神社は、光孝天皇(58代)の仁和三年(887年)、歩いて5分ほどの元慶寺*4の鎮守社として建立されました。その勧請の一役を買ったのが元慶寺の開基である遍昭(照)だというのです。石段を登ると拝殿、本殿がコンパクトな空間に存在している印象です。この地域は桓武天皇の平安遷都時から「花山」と呼ばれており、“花の寺”元慶寺とセットで訪れて欲しい神社です。*1:随心院の“百夜通い”に登場した「深草少将」その人とされる。俗名:良岑宗貞。小野小町に逢えず雪の日に絶命したとされる「深草少将」は生きていたのですね!*2:天照皇太神宮(伊勢)、賀茂下上大明神、八幡大明神(ともに山城)、日吉山王大明神(近江)、春日大明神(大和)、熱田大明神(尾張)*3:通称「北花山」六所神社。南の国道1号線沿いにあるもう一方は「上花山」六所神社*4:もとは花山寺と称したが、元慶元年(877年)に清和天皇の勅願寺となり、元慶寺に改名した

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「乳腺外科医事件」控訴審、逆転有罪判決の裏側~担当弁護人による「判決の争点」解説~ 【後編】

手術直後の女性患者への準強制わいせつ罪に問われた執刀医が、逮捕・勾留・起訴された事件。一審では無罪判決となったが、控訴審では懲役2年の実刑判決が東京高裁より言い渡された。一転して逆転有罪判決となった経緯には何があったのか。弁護人の1人である水沼 直樹氏に、実際に法廷で論じられた争点について、前・後編で解説いただく。後編では、紙数の範囲内で弁護側推薦の精神科医の証言と判決を取り上げる(前編はこちら)。後編:弁護側の精神科医の証言と判決1.弁護側証人の証人尋問の骨子せん妄は、急性の脳機能不全であり、ベースは意識・注意の障害である。既知のリスクファクターがなくともせん妄の発症率は28%ほどあり1)、幻覚発症率も数割程度2),3)との報告がある。せん妄は直線的に回復するのではなく、日内で変動する。DSM−V等の診断基準に照らすと、患者は術後約30分の間、過活動型または混合型のせん妄状態であった。せん妄のサブタイプ(過活動型、低活動型、混合型)と重症度とは一致せず、いずれも幻覚体験することはあり、幻覚が記憶に残りうる3)。自己の臨床経験では、患者が壁に人がいると言ってスマホで写真撮影した症例があり、患者は一部の幻覚を記憶していた。せん妄により普段慣れている事を幻覚体験することがあり(作業せん妄)、自動車セールスマンの患者がベッドの枕に向かって自動車セールスをしていた症例がある。患者に声をかけると「いま商談中ですので」と遮られた。さらに、自転車に乗るといった意識的な処理なしに機能する「手続記憶」があり、LINEは手続記憶としてせん妄下で操作可能である。「警察に捕まる」と家族にLINEした症例がある。2.控訴審判決(1)せん妄について被害者の証言は、わいせつ被害の不快感、屈辱感を感じる一方で医師がそうするはずがないという生々しいもので、迫真性があり強い証明力がある。「ぶっ殺してやる」との発言*1の有無自体、看護師の証言によるため信用性判断は慎重に行うべきで、カルテに「不安言動はみられた」との記載があるが「せん妄」との記載がなく「術後覚醒良好」と記載されていることから、患者が当該発言をしたか疑問がある。検察側証人はせん妄の専門の研究者ではないが臨床経験が豊富で信用性が高い。弁護側証人は患者の認識能力が劣る場面のみ取り上げ中立性に疑問がある*2。事件から2年以上経過した今、患者が看護師から受けたケアを覚えていないのは止むを得ない。当時の患者はせん妄ではないか、せん妄だとしても幻覚を体験していない。(2)科学鑑定についてア アミラーゼ検査の結果は、相応の専門性、技量のある科捜研研究員が適切な器具等を用いて検査した以上、あえて虚偽の証言する必要性がないから、アミラーゼ陽性を示す客観資料がなくとも、信用性は否定されない。イ DNA定量検査は、標準資料(ママ)の増幅曲線および検量図(ママ)等が保存されずとも、また(9箇所の)ワークシートの消去や書き直しがあっても、信用性は否定されない。唾液は遠くに飛ばず下に落ちると思われ、手術助手より遠位にいた執刀医の唾液だけが検出されており、唾液飛沫が付着したとは考えにくい。3.このような事案を防ぐために被告・弁護側は今回の高裁判決を不服として上告しており、本件については最高裁で争われることになります。今後このような事案を防ぐために、医療従事者単身での回診、見回りは回避し、とくに男性看護師の場合、術後間もないときだけでも単独訪室を避けましょう。また、せん妄診断について手順を再確認してみませんか4)。さらに、手術中待機中の家族に、せん妄に関する動画5)を視聴してもらう等、マンパワーをかけずに啓蒙することも一案です。*1:術後に看護師が被害者の検温を行おうとしたところ、被害者が「ふざけんな、ぶっ殺してやる」と発言したと看護師が証言している*2:DSM−Vは、意識障害等の認識能力が劣る点を診断するものであり、判決は弁護側証人の証言を曲解していると言える参考1)Saporito A, et al. J Anesth. 2014;28:198-201.2)Gupta N, et al. J Psychosom Res. 2008;65:215-222.3)Meagher DJ, et al. BMJ. 2001;322:144-149.4)国立がん研究センター,「がん治療中のせん妄の発症予防を目指した多職種せん妄対応プログラムの開発」:DELTA(DELirium Team Approach)プログラム」5)日本サイコオンコロジー学会,厚生労働省委託緩和ケア普及啓発事業オレンジバルーンプロジェクト「あれ?いつもと様子が違う=せん妄とは?」講師紹介前編はこちらから

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新型コロナ、前立腺がん患者でアンドロゲン除去療法が感染を抑制か

 イタリアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により最も影響を受けた州の1つであるヴェネト州における集団ベースの研究で、アンドロゲン除去療法(ADT)を受けている前立腺がん患者では新型コロナウイルス感染が抑制された可能性が示唆された。イタリア・パドヴァ大学のM. Montopoli氏らが報告した。Annals of Oncology誌2020年8月号に掲載。ADTを受けている前立腺がん患者は新型コロナ感染リスクが有意に低かった 新型コロナウイルスは、ウイルスのスパイク(S)蛋白であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2への結合とTMPRSS2によるS蛋白のプライミングにより細胞に侵入する。そのため、TMPRSS2を阻害すれば、新型コロナウイルス感染を阻害または軽減する可能性がある。一方、TMPRSS2はアンドロゲン制御遺伝子であり、第1世代もしくは第2世代のADTはTMPRSS2レベルを低下させる。そこで著者らは、ADTが前立腺がん患者を新型コロナウイルス感染から保護するという仮説を立てた。本研究では、ヴェネト州の68病院から2020年4月1日時点の新型コロナウイルス陽性者9,280例(男性4,532例)のデータを収集し、性別、入院、ICU入室、死亡、がん診断、前立腺がん診断、ADTのパラメータを用いて検討した。 ADTが前立腺がん患者を新型コロナウイルス感染から保護する、という仮説検証の主な結果は以下のとおり。・男性は女性に比べ、より重症で入院が多く臨床転帰が悪かった。・ヴェネト州の男性の人口(240万人)でSARS-CoV-2陽性率を計算すると、全体で0.2%、がん患者で0.3%であった。・新型コロナウイルス陽性者数は、ADTを受けている前立腺がん患者に対して、受けていなかった患者のオッズ比は4.05(95%CI:1.55~10.59、p=0.0043)で、ADTを受けている前立腺がん患者では新型コロナウイルス感染リスクが有意に低かった。また、他の種類のがん患者のオッズ比は4.86(95%CI:1.88~12.56、p=0.0011)で、より大きな差が見られた。

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双極性障害の早期発症や治療開始遅延がその後の治療効果に及ぼす影響

 双極性障害の治療アウトカム不良のリスク因子として、早期発症と初回治療開始の遅延の両方がエビデンスで報告されている。米国および欧州の双極性障害患者における、これら2つのリスク因子の発生率とその影響について、米国・ジョージ・ワシントン大学のRobert M. Post氏らが調査を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年7月3日号の報告。 本研究の参加についてインフォームドコンセントを行い、詳細なアンケートに回答した双極性障害の外来患者967例を対象に、うつ症状または躁症状の発症年齢および初回治療時の年齢を評価した。発症年齢および初回治療開始の遅延について、米国の675例と、オランダおよびドイツ(欧州)の292例を比較し分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害の発症年齢は、欧州よりも米国で平均6~7年早く、うつ症状または躁症状の発症年齢についても同様な結果であった。・初回治療開始の遅延は、発症年齢と強い逆相関が認められ、米国は欧州の2倍遅延しており、とくに青年期の躁症状での違いが認められた。・米国での初回治療開始の遅延は、発症年齢の早さによるものだけではないと考えられる。 著者らは「治療開始の遅延は治療上のリスク因子であり、米国における双極性障害の早期発症率の高さを認識することにより、遅延期間の短縮は可能である。また、米国における早期発症率の高さは、欧州と比較し、遺伝的および環境的な脆弱性の要因に関連していると考えられる。小児双極性障害患者に対し、より良い長期的なアウトカムを提供するためにも、新たな治療や研究への取り組みが求められる」としている。

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浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM

 下肢の慢性浮腫による蜂窩織炎がみられる患者の予防治療において、圧迫療法は保存的治療に比べ、蜂窩織炎の再発率が低く、蜂窩織炎による入院も抑制される傾向がみられることが、オーストラリア・Calvary Public Hospital BruceのElizabeth Webb氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年8月13日号に掲載された。下肢慢性浮腫は、蜂窩織炎のリスク因子とされる。蜂窩織炎の再発予防には、下肢の着圧衣類(弾性ストッキングなど)の日常的な使用が推奨されているが、その効果に関する臨床試験のエビデンスは乏しいという。予防効果を評価する単一施設非盲検無作為化試験 研究グループは、下肢の蜂窩織炎の予防における圧迫療法の有用性を評価する目的で、単一施設での非盲検無作為化試験を実施した(Calvary Public Hospital Bruceの助成による)。 対象は、試験前の2年間に、同一下肢の蜂窩織炎エピソードが2回以上あり、一方または両下肢の浮腫が3ヵ月以上持続し、蜂窩織炎の再発が認められる患者であった。 被験者は、下肢圧迫療法に加え蜂窩織炎の予防に関する研修を受ける群(圧迫群)、または研修のみを受ける群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。フォローアップは、6ヵ月ごとに、最長3年間または試験期間中に蜂窩織炎エピソードが45件発生するまで行われた。 主要アウトカムは、蜂窩織炎の再発とした。蜂窩織炎を発症した対照群の参加者は、圧迫群にクロスオーバーされた。副次的アウトカムには、蜂窩織炎に関連する入院や下肢容積、QOL評価が含まれた。蜂窩織炎エピソード:15% vs.40%、試験は有効中止に 2017年6月~2019年2月の期間に、84例が登録され、41例が圧迫群、43例は対照群に割り付けられた。全体の平均年齢は64.0±13.9歳、女性が49%で、平均BMIは41.0±9.9、浮腫罹患期間が5年以上の患者は63%であった。 ベースラインの慢性浮腫の寄与因子は、肥満が両群とも63%で最も多く、次いで手術/外傷が圧迫群34%、対照群30%、静脈圧上昇がそれぞれ37%および26%であった。併存疾患は、足白癬が圧迫群32%、対照群40%、糖尿病がそれぞれ24%および33%、慢性静脈不全が29%および26%、うっ血性心不全が24%および16%に認められた。 予定されていた中間解析の時点で、フォローアップ期間の範囲は0~511日で、中央値186日(圧迫群209日、対照群77日)だった。 この中間解析時に、蜂窩織炎エピソードは23件発生していた。このうち圧迫群が6例(15%)、対照群は17例(40%)であり(ハザード比[HR]:0.23、95%信頼区間[CI]:0.09~0.59、p=0.002、相対リスク[事後解析]0.37、95%CI:0.16~0.84、p=0.02)、主要アウトカムは圧迫群で有意に良好であった。 この知見に基づき、データ監視委員会の勧告により、本試験は有効中止となり、患者登録を終了して対照群の患者は圧迫群にクロスオーバーされた。 蜂窩織炎による入院は、圧迫群が3例(7%)、対照群は6例(14%)で認められた(HR:0.38、95%CI:0.09~1.59)。また、12ヵ月時の平均下肢容積は、圧迫群ではベースラインから181mL減少したが、対照群は60mL増加した(変化の群間差:-241mL、95%CI:-365~-117)。 12ヵ月時の四肢リンパ浮腫QOL(LYMQOL)の総合スコアの平均変化は圧迫群で良好であった(変化の群間差:-0.3点、95%CI:-0.6~-0.1)が、LYMQOLのQOLスコア(0.8点、-0.1~1.7)には差はなかった。また、EQ-5D-3Lの視覚アナログ尺度(8点、-5~16)およびEQ-5D-3Lの記述システムのスコア(0.8点、-0.4~2.1)の平均変化には、両群間に差はなかった。試験期間中に有害事象の発現はみられなかった。 著者は、「とくに、専門的なリンパ浮腫サービスへのアクセスがない環境で、蜂窩織炎の再発に対する圧迫療法の効果を明らかにするためには、より大規模で長期的な試験が必要である」としている。

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高加入度数コンタクトレンズ、小児の近視進行を抑制/JAMA

 近視の小児では、高加入度数の多焦点コンタクトレンズを用いた3年間の治療により、中加入度数の多焦点コンタクトレンズや単焦点コンタクトレンズと比較して、近視の進行が緩徐化され、眼軸長伸展が抑制されることが、米国・オハイオ州立大学のJeffrey J. Walline氏らが行ったBLINK試験で示された。研究の成果はJAMA誌2020年8月11日号に掲載された。2016年の報告では、世界の近視の有病率は、2000年からの50年間に23%から54%に、高度な近視の有病率は3%から10%にまで増加すると推定されている。また、近視は、視力を脅かす合併症(白内障、網膜剥離、緑内障、脈絡膜萎縮症など)と関連するが、その進行を緩徐化することで、これらの合併症のリスクが低減する可能性があるという。近視の進行を3群で比較する無作為化試験 研究グループは、ソフト系多焦点コンタクトレンズは小児の近視の進行を緩徐化するか、また高加入度数(+2.50D)のコンタクトレンズは中加入度数(+1.50D)のレンズに比べ近視の進行を遅延するかを検証する目的で、無作為化臨床試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 オハイオ州コロンバス市とテキサス州ヒューストン市の2つの検眼専門学校が参加し、2014年9月~2016年6月の期間に参加者の登録が行われた。対象は、年齢7~11歳で、-0.75D~-5.00Dの近視および1.00D未満の乱視の小児であった。参加者は、高加入度数(+2.50D)、中加入度数(+1.50D)、単焦点のコンタクトレンズのいずれかを装着する群に、無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、麻痺下等価球面屈折度数の3年間の変化(近視の進行)とした。副次アウトカムは11項目で、今回はこのうち4項目(眼軸長伸展[眼球の前後径の拡張]、視力、有害事象、アドヒアランス)の解析が行われた。有害事象の頻度は3群間に差はない 294例(3群とも98例ずつ)が登録され、292例(99%)が解析に含まれた。ベースラインの平均年齢は10.3(SD 1.2)歳、177例(60.2%)が女児で、等価球面屈折度数の平均値は-2.39(SD 1.00)Dであった。 補正後の3年間の近視進行は、高加入度数群が-0.60D、中加入度数群が-0.89D、単焦点群が-1.05Dであった。近視進行の差は、高加入度数群と単焦点群が0.46D(95%信頼区間[CI]:0.29~0.63、p<0.001)、高加入度数群と中加入度数群が0.30D(0.13~0.47、p=0.004)、中加入度数群と単焦点群は0.16D(-0.01~0.33、p=0.19)であり、高加入度数群が他の2群に比べ良好だった。 4つの副次アウトカムのうち、眼軸長伸展を除く3項目には、3群間に有意な差は認められなかった。補正後の平均眼軸長伸展は、高加入度数群が0.42mm、中加入度数群が0.58mm、単焦点群は0.66mmであった。眼軸長伸展の差は、高加入度数群と単焦点群が-0.23mm(95%CI:-0.30~-0.17、p<0.001)、高加入度数群と中加入度数群が-0.16mm(-0.23~-0.09、p<0.001)、中加入度数群と単焦点群は-0.07mm(-0.14~-0.01、p=0.09)であり、高加入度数群は他の2群よりも伸展が抑制されていた。 目に関する重篤または重度の有害事象や、コンタクトレンズの装着中止の原因となる有害事象の報告はなかった。最も頻度の高い有害事象は、巨大乳頭結膜炎(9例)、浸潤性角膜炎(8例)、眼アレルギー(7例)であった。有害事象の頻度に、3群間で有意な差はなかった(p=0.41)。 著者は、「これらの差の臨床的重要性を理解するには、さらなる研究を要する」としている。

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