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カフェイン入りコーヒーおよび紅茶の摂取量の多さは、認知症リスクの低下、認知機能の軽度改善と関連しており、その関連性は摂取量が中程度レベルで最も顕著であったという。米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのYu Zhang氏らが、大規模前向きコホート研究のデータを用いた解析結果を報告した。コーヒーや紅茶と認知機能との関連を示すエビデンスはまだ決定的ではなく、また、ほとんどの研究でカフェイン入りコーヒーとデカフェコーヒーを区別できていなかった。JAMA誌オンライン版2026年2月9日号掲載の報告。約13万人を最長43年(中央値37)追跡 研究グループは、米国の1976年に開始されたNurses’ Health Study(NHS)に参加した30~55歳の女性看護師と、1986年に開始されたHealth Professionals Follow-Up Study(HPFS)に参加した40~75歳の男性医療従事者のデータを用いた前向きコホート研究を行った。本解析では、研究期間をNHSは1980~2023年、HPFSは1986~2023年とし、いずれもベースラインでがん、パーキンソン病、認知症の既往歴がなく、カフェイン含有飲料の摂取量が報告されている参加者(NHS:8万6,606人、HPFS:4万5,215人)を対象として、コーヒー・紅茶の摂取と認知症リスクおよび認知機能との関連性について解析した。 カフェイン入りコーヒー、デカフェコーヒー、紅茶の摂取量は、2~4年ごとの食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価した。 主要アウトカムは認知症とし、死亡記録と2年ごとの質問票から得た自己報告による医師の診断に基づいて特定した。 副次アウトカムは、主観的認知機能低下(質問票の一般的な記憶、実行機能、注意力などに関する6~7項目のスコア[範囲:0~7、高得点は認知機能低下の程度が大きいことを示し、スコアが3以上の症例と定義])である。また、NHSコホートのみ、1995~2008年に4回の電話による認知機能検査(Telephone Interview for Cognitive Status[TICS、範囲:0~41]、East Boston Memory Test[EBMT]、言語流暢性検査、逆唱検査を含む6つの検査)を実施して客観的認知機能を評価し、3つの認知スコアを算出した。 解析対象は、計13万1,821例(ベースライン平均年齢はNHSコホート46.2[SD 7.2]歳、HPFSコホート53.8[SD 9.7]歳、65.7%が女性)、追跡期間は最長43年(中央値:36.8年、四分位範囲:28~42年)であった。1日にカフェイン入りコーヒー2~3杯、または紅茶1~2杯で認知症リスク低下 追跡期間中に認知症を発症した参加者は1万1,033例(NHSコホート7,975例、HPFSコホート3,058例)であった。 2つのコホートを統合し交絡因子を調整した結果、カフェイン入りコーヒーの摂取量が多いほど、認知症リスクの低さ(10万人年当たりの認知症発症頻度:摂取量の最多四分位群141例vs.最少四分位群330例、ハザード比:0.82、95%信頼区間[CI]:0.76~0.89)、ならびに主観的認知機能低下有病率の低さ(それぞれ7.8%vs.9.5%、有病率比:0.85、95%CI:0.78~0.93)と有意に関連していた。 NHSコホートでは、カフェイン入りコーヒーの摂取量が多いほど客観的認知機能がわずかに良好であることが示された。最多四分位群は最少四分位群と比較して、平均TICSスコアが有意に高く(平均群間差:0.11、95%CI:0.01~0.21、p=0.03)、全般的認知機能も有意ではないものの高値であった(平均群間差:0.02、95%CI:-0.01~0.04、p=0.06)。 紅茶の摂取量でも、同様の関連がみられた。一方で、デカフェコーヒーの摂取量と認知症リスクの低下または認知機能の向上との関連はみられなかった。 用量反応解析では、カフェイン入りコーヒーおよび紅茶の摂取量と、認知症リスクおよび主観的認知機能低下の間に非線形の逆相関が認められ、最も顕著な関連はカフェイン入りコーヒーを1日当たり約2~3杯、または紅茶を1日当たり約1~2杯摂取した場合に観察された。