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グレードアップして今年も行われる病床数適正化のための支援事業こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。世の中がサッカーのワールドカップ一色になって来ました。テレビは地上波、BS含め、数多くの解説者を集めて、解説・分析合戦を繰り広げていますが、中には日本代表が弱かった時代の昔過ぎる元選手を呼ばざるを得ない番組もあって、今の時代には合わない根性論的なコメントや非論理的な分析の数々に、炎上するのではないかとハラハラしている今日この頃です。さて今回は、今年も募集が行われる病床数適正化緊急支援事業について書いてみたいと思います。昨年に続き、病床を削減する医療機関を支援する事業が行われます。予算規模は3,490億円と、昨年の7.5倍に膨れ上がりました。自民・公明・維新の3党は2025年5月、社会保障改革に関する合意文書で全国の医療機関の余剰病床約11万床を削減する方針をまとめており、それを達成するための大胆な予算措置と言えます。昨年に続いて数多くの申請が集まりそうです。医療機関からの申請を6月23日から受け付けるよう都道府県に周知病床削減する医療機関を支援する「病床数適正化緊急支援事業」について、 厚生労働省は6月16日付の事務連絡で、医療機関からの申請を6月23日から受け付けるよう、都道府県に周知しました。4月の事務連絡では初回の申請は6月末を締切予定としていましたが、正式な受付開始日は決まっていませんでした。申請は厚労省のWebサイトに掲載されている申請様式を、指定の申請フォームに送信する形式です。申請予定の医療機関はすでに準備済みと思われますが、該当医療機関(2025年12月16日~2027年3月31日に病床削減を行う医療機関、事業計画書を提出し2024年12月17日~2025年9月30日に病床削減を行った医療機関等)は、申請忘れをしないようにしたいものです。削減した病床1床につき410万4,000円交付「病床数適正化支援事業」(旧名称)は、2024年末の補正予算を機に始まった制度です。背景には、地域医療構想が進む中、病床をただ減らすのではなく、経営が厳しい医療機関を支えつつ、実際の医療需要に合わせて病床を調整したいという国の意向がありました。2024年12月17日の令和6年度補正予算成立後、同日から期日内(2024年度中が原則)までの病床削減を対象とする支援として「医療施設等経営強化緊急支援事業」の1つとして「病床数適正化支援事業」がスタートしました。この段階では、一般病床・療養病床・精神病床の削減に対して、削減病床1床につき410万4,000円交付される仕組みでした。昨年の「病床数適正化支援事業」 は削減病床計1万1,278床、総額462億8,491万円この最初の「病床数適正化支援事業」については、昨年の本連載「第256回 “撤退戦”が始まっていることに気付かない人々(後編) 長崎大病院全病床の1割以上に当たる98床削減、国も『病床1床減らせば410万円』の補助金用意、“撤退戦”本格化の兆し」、「第262回 “撤退戦”本格化へ 1床削減で410万円補助の『病床数適正化支援事業』、計7,000床程度の想定に全国で計5万4,000床の申請、倍率は7.7倍!」などでも詳しく書きました。「病床数適正化支援事業」の第1次内示は2025年4月11日に内示されましたが、配分額は約294億円で、対象病床数は7,170床でした。福岡 資麿厚労相(当時)は記者会見で、過剰な入院用のベッドを減らした場合に支給する補助金への申請について、当初は計7,000床程度の削減を見込んでいましたが、想定の7.7倍、全国で計5万4,000床に上ったことを明らかにしました。申請数は約200の公立病院などから8,000床、約1,800の民間病院などから4万6,000床だったそうです。2025年6月27日に公表された第2次内示では配分額約168億円 、対象病床数は4,108床でした。「一般会計の繰入等がない医療機関」という条件を付けて第1次内示で公立病院を対象外としたことが一部で物議を醸したことから、第2次内示では公立病院も対象となっています。令和6年度補正予算による「病床数適正化支援事業」 は最終的に、4月の第1次内示と合わせて削減病床は計1万1,278床、総額462億8,491万円に上りました。国がお金をばらまき始めてやっと“撤退戦”が本格化したと言えるでしょう。「病床数適正化緊急支援事業」へと名称変更、支援のスキームも改変さて、昨年は「病床数適正化支援事業」でしたが、今年(令和7年度補正予算)は「病床数適正化緊急支援事業」へと名称が変わっています。「緊急」という言葉が付いた理由は、医療需要の変化(特にコロナ後の急激な減少)に迅速に対応し、病床削減を「緊急」に促進する必要があると政府が判断したためとされています。支援のスキームも大きく変わりました。これまでは厚生労働省の「医療施設等経営強化緊急支援事業」の一事業で、都道府県が給付金を支給し、国がその財源を補助する仕組みでした。それが、2025年に成立した改正医療法で「医療機関が経営の安定を図るために緊急に病床数を削減することを支援する事業」を都道府県が実施できる規定が新たに設けられたことで、今年度(令和7年度補正予算の繰越事業)からは、国が基金を作り、都道府県が事業主体となって行う新たな事業に生まれ変わったのです。制度の法的位置付けと政策目的が格段に強化されることになったわけです。今年の「病床数適正化緊急支援事業」の予算は3,490億円と実に7.5倍、単純計算で実に8万5,000床分用意予算規模も大きく変わりました。昨年の令和6年度補正予算による「病床数適正化支援事業」の実績は総額約463億円でしたが、令和7年度補正予算の「病床数適正化緊急支援事業」は3,490億円と、実に昨年の7.5倍となっています。自民・公明・維新の3党は2025年5月、社会保障改革に関する合意文書で、2027年4月の「新たな地域医療構想」スタートまでに全国の医療機関の余剰病床約11万床(一般・療養5万6,000床、精神5万3,000床)を削減する方針をまとめており、それを達成するための予算措置と言えます。1床削減で410万円(休床の場合は205万円)ですから、単純計算で実に8万5,000床分が用意されたことになります。合意文書では「11万床を削減すれば医療費1兆円の削減効果」と記されていましたが、その成否はともかく、日本が病床数大削減時代に入ったことは確かでしょう。病院経営者は、「新たな地域医療構想」を先取りしたと言われる2026年度診療報酬改定の内容を吟味しながら、2040年に向けての自院の病床数の適正規模を、真剣に考える時が来たと言えるでしょう。