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第25回 新型コロナ治療薬の治験結果が続々、選択の軸となる意外な条件とは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話ばかりが続いて恐縮だが、この1週間で新型インフルエンザ治療薬のアビガン(一般名:ファビピラビル)、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体で抗リウマチ薬のアクテムラ(同:トシリズマブ)に関して、それぞれCOVID-19を対象とした企業治験(第III相試験)の結果が公表された。いずれも公表ベースではポジティブな結果である。主要評価項目を達成したアクテムラまず、9月18日にスイス・ロシュ社がアクテムラの第III相試験「EMPACTA」を公表した。試験の対象となったのは新型コロナウイルスへの感染が確認され、人工呼吸器管理を必要としない酸素飽和度(SpO2)94%未満の18歳以上の入院患者389例。試験デザインは無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験である。主要評価項目は28日目までの死亡または人工呼吸器の装着を必要とする患者の累積割合で、アクテムラ投与群が12.2%、プラセボ群が19.3%となった。ハザード比(HR)は0.56 (95%信頼区間[CI]:0.32~0.97、p=0.0348)となり、死亡・人工呼吸器装着に至るリスクはアクテムラ群で44%有意に低下した。ちなみに副次評価項目の一つである28日目までの死亡率は、アクテムラ群10.4%、プラセボ群8.6%(p= 0.5146)で有意差は認められず、そのほかの副次評価項目である28日目までの退院準備期間、臨床的改善に要した期間、臨床的悪化までの期間も有意差は認められていない。つまりアクテムラの投与では、少なくとも人工呼吸器の装着を避けられる可能性はあるということだ。なおアクテムラ投与群での有害事象は、便秘が5.6%、不安が5.2%、頭痛が3.2%などで従来のアクテムラ投与と比べて新たな有害事象は確認されていない。非重篤例で有意に症状改善したアビガンアビガンに関しても9月23日付で治験結果の一部が公表された。こちらの対象は非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者で、解析対象156例の無作為化単盲検プラセボ対照比較試験である。主要評価項目は発熱、SpO2、胸部画像といった症状の軽快かつウイルス陰性化までの期間で、公表された結果ではこの期間がアビガン投与群で11.9日、プラセボ投与群では14.7日となり、調整後HRは1.593 (95%CI:1.024~2.479、p=0.0136) となり、アビガン投与群で有意に症状を改善する可能性が示された。安全性については新たな有害事象は確認されていないと述べるにとどまっている。一方、アビガンに関しては過去に本連載でも触れた藤田医科大学での無症候・軽症者のCOVID-19に対する臨床研究では、ウイルス消失率で有意な差は認めていない。今後の各社対応あれこれちなみにロシュ側は今回のEMPACTA試験の結果を受けて米・FDAなどの規制当局と結果を共有するとし、富士フイルムは10月中に国内で承認申請するとしている。アクテムラの場合は、既に欧米でCOVID-19による重症肺炎患者を対象に実施した第III相試験「COVACTA」で主要評価項目とした臨床状態の改善、死亡率のいずれもプラセボと比較して有意差が認められなかったと発表している。その一方で、現在、COVID-19による重症肺炎患者を対象に、日本国内では承認を受けている抗ウイルス薬のベクルリー(同:レムデシビル)との併用療法をプラセボ対照で比較する無作為化二重盲検の第III相試験「REMDACTA」など複数の治験が進行中である。この点は、過去のがん領域でのアバスチン(同:ベバシズマブ)で見せた、途中でネガティブな結果が出ようとも、さまざまながん種で単剤から併用療法まで数多くの治験を行ってきたロシュらしい周到さがにじみ出ている。ここで今回の企業治験で示された結果を持って、アクテムラとアビガンが承認された場合を仮定して国内でどのような状況になるかを考えてみたい。その場合、使える治療薬は既存のベクルリー、ステロイド薬のデキサメタゾンに加えて4種類となる。少なくとも死亡率低下が認められているのはデキサメタゾンのみであることや、残る3種類では死亡率低下効果が示せていない点を考えると、重症肺炎例で選択肢となるのはデキサメタゾンのみとなる。また、3種類に関しては治験の対象患者群などから考えると、いずれも公表されている「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第3版」での重症度分類にある「中等症I呼吸不全なし」(93%<SpO2<96%)に適応となることが予想される。ただ、率直に言えば、3種類の治験結果は「どんぐりの背比べ」と言っても過言ではないだろう。では、臨床での使い分けはどのようになるだろうか?この場合、選択肢の軸となりうるものが個人的には2つ思い浮かぶ。1つは供給量である。3種類の中でもっとも供給量に不安があるのは、今回のCOVID-19パンデミックで初めて世に出たベクルリーである。これに加え製薬会社の地理的条件や製造労力を考えると、供給量はベクルリー<アクテムラ<アビガンとなる。もう1つは安全性である。製造が比較的容易とは言え、アビガンによる催奇形性や尿酸値上昇の副作用が指摘されている以上、妊娠・挙児を希望する若年の男女、高齢者を中心とする尿酸値が高めの患者には使いにくい。アクテムラはこれまでの症例蓄積などから肝炎ウイルスキャリアや心血管疾患のある人、ベクルリーは腎機能低下例には不向きである。こうしてみると、臨床現場としては使い分けがやや悩ましいのではないだろうか、と勝手に想像している。

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第19回 高齢者の肥満、特有の問題と予後への影響は【高齢者糖尿病診療のコツ】

第19回 高齢者の肥満、特有の問題と予後への影響はQ1 高齢者の肥満、若年者とはちがう特徴とは?最近、高齢糖尿病患者でも肥満症が増えています。我が国の65歳以上の高齢糖尿病患者でBMI 25㎏/m2以上の頻度は2000年から2012年で28.4%から33.0%に増加したという報告もあります1)。こうした高齢者の肥満症の増加は1)加齢に伴う身体活動量の低下2)基礎代謝量の低下3)高齢者の食習慣の欧米化などが関係しているのでないかと思われます。高齢者の肥満症にはいくつかの特徴があります。加齢とともに内臓脂肪は増加し、除脂肪量(骨格筋量)が低下するという体組成の変化が起こり、BMI高値を伴わない腹部肥満、いわゆる隠れ肥満やメタボリックシンドロームが増加します。また、高齢者のBMIは体脂肪量を正確に反映しないことがあります。身長が低下することで、BMIは見かけ上増加することもあります。したがって、高齢者の肥満症の評価にはBMIだけでなく、ウエスト周囲長も測ることが大切です。ウエスト周囲長やウエスト・ヒップ比の高値の方がBMIよりも死亡のリスクの指標となることも知られています。また、高齢期の肥満症では死亡や心血管疾患のリスクが逆に減少するというobesity paradoxがみられる場合があります。これは、BMI低値の方が悪性疾患、サルコペニア、慢性感染症などの併存疾患によるリスクが増加することで、BMI高値におけるリスクが相対的に小さくなることが原因として考えられます。加齢とともに、肥満とサルコペニアが合併したサルコペニア肥満が増えます2)。サルコペニア肥満は糖尿病やメタボリックシンドロームの発症リスクも高いので、高齢者糖尿病でも注意すべきです。サルコペニア肥満では筋肉内の脂肪蓄積によるインスリン抵抗性、炎症、ビタミンD低下などが骨格筋量や筋力の減少をもたらし、身体機能低下をきたすと考えられ考えられています。サルコペニア肥満は、単なる肥満症と比べ、フレイル、ADL低下、転倒、骨粗鬆症、認知機能低下、および死亡をきたしやすいことが特徴です3)。サルコペニア肥満の定義は定まっていませんが、肥満の方は体脂肪%、ウエスト周囲長などで定義しています。われわれの調査では高齢糖尿病患者におけるDXA法による四肢骨格筋量と体脂肪量で定義したサルコペニア肥満の頻度は16.7%という結果でした2)。Q2 高齢者の肥満は身体機能や認知機能、死亡にどのような影響を及ぼしますか?高齢者のBMI 30kg/m2以上の肥満や腹部肥満は、ADL低下、歩行困難、フレイル、易転倒性などの身体機能低下と関連しています。Study of Osteoporosis Fracturesにおける高齢糖尿病患者でも家事や2~3ブロックの歩行が約2~2.5倍障害されると報告されています4)。また、高齢糖尿病患者がフレイルをきたしやすいことも腹部肥満によって一部説明できると報告されています5)。BMI 25kg/m2以上の肥満がある糖尿病患者では複数回の転倒を約3.5倍起こしやすくなります6)。とくにインスリン治療と過体重が重なると、何度も転倒しやすいとされています。中年期の肥満は認知症発症リスクになりますが、高齢期の肥満は認知症発症リスクに抑制的に働くことが知られています。しかしながら、高齢者の肥満患者の体重変化と認知症発症とはJカーブの関連が見られ、体重減少と体重増加の両者がリスクとなっています(図1)。画像を拡大する高齢糖尿病患者でも、BMI低値、体重減少(10%以上)と体重増加(10%以上)が認知症発症の危険因子であると報告されています7)。高齢糖尿病患者ではそれ自体が認知症発症のリスクですが、認知症発症のリスクとなる4つの肥満の中で、体重減少を伴った高齢者の肥満、メタボリックシンドローム(腹部肥満)、サルコペニア肥満に注意する必要があります(図2)。画像を拡大する一方、12の論文のメタ解析により、生活習慣の改善による意図的な体重減少は記憶力と注意力・遂行機能を改善することが明らかになっています8)。 Look Ahead研究では高齢者を含む2型糖尿病患者でもエネルギー制限と運動療法による介入によって、過体重の患者で認知機能の改善が見られています9)。糖尿病初期の肥満症患者を対象にリラグルチド1.8㎎/日を4ヵ月間投与した介入群と対照群で認知機能の変化を検討したRCTでは、両群とも7%の体重減少が得られたが、リラグルチド投与群では短期記憶と記憶複合スコアの有意な増加を認めたと報告されています10)。減量自体の効果よりも、GLP-1の脳のブドウ糖代謝の改善、可溶性AβによるIRS-1のセリンのリン酸化阻害によるインスリン情報伝達障害の改善などによる認知機能の改善効果の可能性もあります。いずれにせよ、高齢者の肥満症の患者では体重減少が意図的か否かに注意する必要があります。高齢糖尿病患者における肥満症と心血管疾患の発症や死亡に関しては、一致した結果が得られていません。肥満症合併の高齢糖尿病患者を対象に生活習慣改善と体重減少の介入を行ったLook AHAED研究では心血管疾患発症の減少は見られなかったと報告されています11)。我が国のJDCS研究とJ-EDIT研究の糖尿病患者のプール解析では、BMI 18.5未満の群で死亡リスクが上昇し、BMI 25㎏/m2以上の群では死亡リスクは増加していませんでした12)。とくに75歳以上ではBMI18.5未満の群の死亡リスクが8.1倍と75歳未満と比べてさらに高くなり、最も死亡リスクが低いBMIは25前後となりました。すなわち、低栄養による死亡リスクの方が増加し、肥満による死亡リスクが相対的に低下したと考えられます。1)Miyazawa I, et al. Endocr J. 2018;65:527-536.2)荒木 厚、周赫英、森聖二郎:日本老年医学会雑誌.2012;49:210-213.3)Batsis JA, et al. J Am Geriatr Soc. 2013;61:974-980.4)Gregg EW, et al. Diabetes Care. 2002; 25: 61-67.5)Volpato S, et al. J Gerontol A BiolSci Med Sci.2005; 60: 1539-1545.6)García-Esquinas E, et al. J Am Med Dir Assoc. 2015;16:748-754.7)Nam GE, et al. Diabetes Care. 2019;42:1217-1224.8)Siervo M, et al. Obes Rev. 2011;12:968-983.9)Espeland MA, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2014;69:1101-1108.10)Vadini F, et al. Int J Obes (Lond). 2020 Jun;44:1254-1263.11)Wing RR, et al. N Engl J Med. 2013;369:145-154.12)Tanaka S, et al. J Clin Endocrinol Metab. 99: E2692-2696, 2014.

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禁煙と睡眠障害との関係

 喫煙と睡眠障害は密接に関連しているといわれている。スウェーデン・ウプサラ大学のShadi Amid Hagg氏らは、睡眠障害が禁煙の予測因子であるか、喫煙の継続が睡眠障害の発症と関連しているかについて、検討を行った。Respiratory Medicine誌2020年8~9月号の報告。睡眠障害の治療には禁煙プログラムの導入を検討すべき 北欧の男女を対象に、1999~2001年にランダムにアンケートを実施し(RHINE II)、その後2010~12年にフォローアップのアンケートを実施した(RHINE III)。ベースライン時に喫煙者であり、フォローアップ時に喫煙に関するデータを提供した2,568人を分析した。不眠症は、3回/週以上の入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒の発現と定義した。オッズ比(OR)の算出には、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 睡眠障害が禁煙の予測因子であるか、喫煙の継続が睡眠障害の発症と関連しているかについて検討した主な結果は以下のとおり。・年齢、BMI、pack-years、高血圧症、糖尿病、慢性気管支炎、鼻炎、喘息、性別、BMI差で調整した後、長期禁煙を達成する可能性が低かった因子は以下のとおりであった。 ●入眠障害(調整OR:0.6、95%CI:0.4~0.8) ●中途覚醒(調整OR:0.7、95%CI:0.5~0.9) ●早朝覚醒(調整OR:0.6、95%CI:0.4~0.8) ●不眠症(調整OR:0.6、95%CI:0.5~0.8) ●日中の過度な眠気(調整OR:0.7、95%CI:0.5~0.8)・いびきと禁煙には、有意な関連が認められなかった。・ベースライン時に睡眠障害でない人では、喫煙を継続すると、フォローアップ中に禁煙した人と比較し、入眠困難リスクの増加が認められた(調整OR:1.7、95%CI:1.2~2.3)。 著者らは「不眠症状や日中の過度な眠気は、禁煙にマイナスに働くと考えられる。また、喫煙は、入眠障害のリスク因子であることが示唆された。睡眠障害の治療には、禁煙プログラムの導入を検討すべきである」としている。

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免疫療法、胃/食道がんに有望な成績/ESMO2020

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)において、胃がん食道がんに対する免疫療法の有益性を示す新たなデータが報告された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)が、2020年9月21日に発表している。CheckMate-649 CheckMate-649試験は 、HER2陰性の進行胃・胃食道接合部がん、食道がん(すべて腺がん)の 1次治療において、ニボルマブ+化学療法と化学療法単独を比較した試験。結果、PD-L1陽性(CPS≧5)の患者において、ニボルマブ+化学療法 は全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を改善した。 ATTRACTION-4  ATTRACTION-4は、アジアの患者のみを対象にしたこと、 主要エンドポイントが全集団である点を除き、CheckMate 649試験に近い研究である。結果、ニボルマブ+化学療法の1次治療は複合評価項目の1つであるPFSを改善したが、OSの改善は確認されなかった。KEYNOTE-590 KEYNOTE-590は、食道扁平上皮がん、食道腺がん、またはSiewert1型胃・食道接合部腺がんの1次治療における化学療法+ペンブロリズマブの有用性を評価した試験。結果、ペムブロリズマブ+化学療法は、CPS≧10の食道扁平上皮がんのOSを改善し、全食道扁平上皮がん、CPS≧10の全集団、全試験集団ではPFSも改善した。  当試験において、腺がん患者は少なく、腺がんのサブグループは探索的分析であるが、OS中央値は11.6ヵ月対9.9ヵ月(HR:0.74)、PFS中央値は6.3ヵ月対5.7ヵ月(HR:0.63)であった。 腺がんサブグループにおいても全集団と同じく、OSとPFSの改善が示された。

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COVID-19へのアビガン第III相試験、有意な改善効果を確認/富士フイルム富山化学

 9月23日、富士フイルム富山化学は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(商品名:アビガン)における第III相試験で主要評価項目を達成したと発表した。今後、詳細なデータ解析を進めるとともに、10月中にもファビピラビルの製造販売承認事項一部変更承認申請を行う予定だという。 今回の発表は、今年3月から行われていた第III相試験の解析結果を受けたもの。COVID-19患者を対象とした本試験は156例をファビピラビル群とプラセボ群に無作為に割り付け、主要評価項目としてCOVID-19の症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の軽快かつウイルスの陰性化までの時間を見た。主要評価項目の中央値はファビピラビル群11.9日、プラセボ群14.7日でファビピラビル群が有意に短かった(p=0.0136)。調整後のハザード比は1.593 (95%信頼区間:1.024~2.479) 、安全性上の新たな懸念も認められなかった。 7月に発表された暫定解析結果(参考記事)では、ファビピラビル群はウイルス消失傾向が高かったものの、有意差を示すには至っていなかった。

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職場のセクハラは自殺行動と強く関連/BMJ

 職場におけるセクシュアルハラスメントは自殺行動と関連するとの仮説を裏付ける結果が、スウェーデン・ストックホルム大学のLinda L. Magnusson Hanson氏らによる、同国の生産年齢労働者8万5,000例規模の前向きコホート研究により示された。両者の関連性は指摘されてはいたが、これまで大規模な住民ベースのコホート研究は行われていなかったという。著者は、「本結果は、職場環境を考慮した自殺防止策が有用である可能性を示唆するものである。さらなる調査を行い、因果関係、職場におけるセクハラのリスク因子、および業務に関連するセクハラと自殺行動の関連を明らかにする必要がある」と述べている。BMJ誌2020年9月2日号掲載の報告。平均追跡期間13年、生産年齢の有給労働者男女8万5,205例のデータを分析 職場におけるセクハラへの曝露と自殺および自殺企図との関係についての解析は、1995~2013年に、業務に関連するセクハラ曝露などを含む自己申告のアンケートに回答した、さまざまな職業における生産年齢の有給労働者男女8万6,451例を対象に行われた。分析サンプルには、セクハラ、フォローアップ期間、および年齢に関する有効なデータが入手できた8万5,205例を包含した。 主要アウトカムは、行政の記録で裏付けられた自殺と自殺企図とした(平均追跡期間13年)。自殺行動はセクハラへの曝露と強く相関 自殺および自殺企図の各分析対象者のうち、追跡期間中に、自殺で死亡したのは125例(0.1%)、自殺企図は816例(1%)であった(それぞれ1,000人年当たり0.1例と0.8例)。 全体として、職場におけるセクハラ曝露があった自殺は11/4,095例、非曝露の自殺は114/8万1,110例であり、曝露があった自殺企図は61/4,043例、非曝露の自殺企図は755/8万513例であった。 一連の社会人口学的特徴で補正後のCox回帰分析の結果、職場のセクハラは、自殺(ハザード比:2.82、95%信頼区間[CI]:1.49~5.34)および自殺企図(1.59、1.21~2.08)の両方の過剰リスクと関連しており、推定リスクは、ベースラインの健康状態および業務の特性で補正後も有意に増大した。また、男性と女性に明らかな差は見つからなかった。

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米国成人、過去20年間の血圧コントロールの状況は?/JAMA

 米国成人集団を代表するよう補正された一連の横断的調査の結果、血圧コントロール良好者の割合は、1999/2000年~2007/08年にかけては増加していたが、2007/08年~2013/14年は有意な変化はみられず、2013/14年以降は減少傾向にあることが明らかにされた。血圧コントロールは心血管疾患を減少することから、米国・アラバマ大学のPaul Muntner氏らは、過去20年間(1999/2000年~2017/18年)の高血圧の米国成人におけるコントロール状況の変化を調べる検討を行った。JAMA誌オンライン版2020年9月9日号掲載の報告。「全米国民健康・栄養調査」の10回分のデータを解析 検討は、米国成人を代表するよう重み付けされた「全米国民健康・栄養調査」の逐次横断研究の、1999/2000年~2017/18年の10回分のデータを用いて行われた。 同データから、高血圧症(収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上と定義)を有するか、降圧薬の使用歴のある18歳以上1万8,262例を包含して解析を行った。最終データの収集は2018年。 平均血圧を3回測定にて算出し、血圧コントロールの主要アウトカムは、収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧90mmHg未満と定義した。 解析に包含されたのは5万1,761例であった。平均(SD)年齢は48(19)歳、2万5,939例(50.1%)が女性、人種による内訳は、白人43.2%、黒人21.6%、アジア系5.3%、ヒスパニック系26.1%であった。2013/14年以降、血圧コントロール良好者の比率は低下の傾向 高血圧と定義された成人1万8,262例において、血圧コントロール良好者の年齢補正後推定割合は、1999/2000年の31.8%(95%信頼区間[CI]:26.9~36.7)から2007/08年は48.5%(45.5~51.5)へと増加していた(傾向のp<0.001)。その後は安定的に推移し、2013/14年は53.8%(48.7~59.0)であったが(傾向のp=0.14)、以降は低下し、2017/18年は43.7%(40.2~47.2)であった(傾向のp=0.003)。 2015~18年の血圧コントロール良好者の割合を年齢群別に見ると、18~44歳群と比較して、45~64歳群はより多い傾向が(49.7% vs.36.7%、多変量補正後有病率比:1.18[95%CI:1.02~1.37])、75歳以上群はより少ないことが推定された(37.3% vs.36.7%、0.81[0.65~0.97])。人種別に見ると、非ヒスパニック黒人は、白人と比べて血圧コントロール良好者の割合が低い傾向が高いと推定された(41.5% vs.48.2%、0.88[0.81~0.96])。 血圧コントロール良好者の割合は、民間保険(48.2%)、メディケア(53.4%)、メディケア・メディケイド以外の政府系健康保険(43.2%)の加入者で多く、一方で健康保険未加入者(24.2%)は少ない傾向がみられた(多変量補正後有病率比はそれぞれ1.40[95%CI:1.08~1.80]、1.47[1.15~1.89]、1.36[1.04~1.76])。 また、かかりつけ医療施設(usual health care facility)を持つ集団のほうが、持たない集団と比べて血圧コントロール良好者の割合が多い傾向がみられた(48.4% vs.26.5%、多変量補正後有病率比:1.48[95%CI:1.13~1.94])。また、過去1年間に医療サービスを利用した群のほうが、利用しなかった群と比べて血圧コントロール良好者の割合が多い傾向がみられた(49.1% vs.8.0%、5.23[2.88~9.49])。

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新規抗体薬物複合体SG、TN乳がんのPFSとOSを延長(ASCENT)/ESMO2020

 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する新規の抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab-govitecan (SG)の国際第III相試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAditya Bardia氏から発表された。 このSGは、多くの固形腫瘍の細胞表面に発現するタンパクTrop-2を標的とするADCで、複数の治療歴を有するmTNBCに対し、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を有意に改善することが報告された。・対象:mTNBCに対する化学療法剤治療を2ライン以上(中央値4ライン)受けている患者529例で、免疫チェックポイント阻害薬やPARP阻害薬の既治療例も含まれる。・試験群:SG 10mg/kgをday1、8に投与し、1週休薬の3週間隔での点滴投与(SG群)・対照群:主治医選択の単剤化学療法(エリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン)(CT群)・評価項目:[主要評価項目]脳転移のない症例を対象にした盲検下中央判定によるPFS[副次評価項目]脳転移がある症例を含む全症例のPFS、脳転移のない症例を対象にしたOSと奏効率、安全性、奏効期間など なお、本試験はデータ安全性モニタリング委員会の勧告により、早期の有効中止となっている。 主な結果は以下のとおり。・SG群には、脳転移あり32例を含む267例が、CT群には脳転移あり29例を含む262例が登録された。・脳転移なし集団におけるPFS中央値は、SG群5.6ヵ月、CT群1.7ヵ月で、HRが0.41(95%CI:0.32~0.52、p<0.0001)と、有意にSG群で良好であった。・OS中央値は、SG群で12.1ヵ月、CT群6.7ヵ月、HRが0.48(95%CI:0.38~0.59、p<0.0001)と、同様に有意にSG群で良好であった。・奏効率は、SG群35%、CT群5%と、有意にSG群で高かった(p<0.0001)。・SG群の安全性プロファイルは過去の報告と同様であり、忍容性は良好であった。・Grade3以上の主な治療関連有害事象は、好中球減少症がSG群で51%、CT群で33%、下痢が10% vs.1%未満、発熱性好中球減少症が6% vs.2%であった。・SG群では、治療中止となった有害事象の発現率は、4.7%であり(CT群は5.4%)、重度の心血管系毒性はなく、治療関連死もなかった。CT群では治療関連死が1例に発生した。 Bardia氏は「SGは既治療のmTNBC患者に対する新たな標準治療として考慮すべきである」と結んだ。

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トラスツズマブ デルクステカン、HER2陽性胃がんに国内承認/第一三共

 第一三共は、、2020年9月25日、抗悪性腫瘍薬トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)について「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃」の効能又は効果、用法及び用量追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 同剤は、日本および韓国で実施した第II相臨床試験(DESTINY-Gastric01)および日米共同第I相臨床試験の結果に基づき2020年4月に国内製造販売承認事項一部変更承認申請が行われ、先駆け審査指定制度のもとで承認された。 効能又は効果(追加内容) ・がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃用法及び用量(追加内容) <がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃> 通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回6.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

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KRASG12C変異陽性肺がんにおけるsotorasib(CodeBreaK100)/ESMO2020

 KRAS p.G12C変異は固形がんの1〜3%、非小細胞肺がん(NSCLC)では13%に認められる。KRASG12C阻害薬sotorasib(開発コード:AMG510)は、KRASp.G12C変異陽性の進行固形腫瘍患者の第I相試験で良好な抗腫瘍活性と安全性プロファイルを示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、この国際オープンラベル第I相試験CodeBreaK100におけるNSCLCの結果を、米国・MDアンダーソンがんセンターのD. S. Hong氏が発表した。・対象:既治療の局所進行または転移を有するKRAS p.G12C変異陽性固形腫瘍患者・試験薬:sotorasibを進行または忍容できない有害事象が発現するまで投与(コホート1:180mg、2:360mg、3:720mg、4:960mg)・評価項目[主要評価項目]安全性[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)など 主な結果は以下のとおり。・登録患者129例中NSCLCは59例であった。・患者の年齢中央値は68.0歳、女性35%、現・元喫煙者89.8%、前治療中央値は3、抗PD-1/L1薬投与89.8%、化学療法投与は全例、脳転移は30.5%であった。・データカットオフ時(2020年6月1日)の追跡期間中央値は11.7ヵ月であった。・用量制限毒性はなく、致死的有害事象の報告もなかった。・Grade3/4の有害事象発現率は18.6%であった。頻度の高い(5%以上)の治療関連有害事象は下痢(66.1%)、ALT・AST上昇(それぞれ20.3%)、疲労感(10.2%)、悪心( 10.2%)などであった。・NSCLC全集団のPFS中央値は6.9ヵ月であった。・ NSCLC全集団のORRは32.2%、DCRは88.1%、推奨用量960mg集団のORRは35.3%、DCRは91.2%であった。 ・DoRは10.9ヵ月であった。・全集団のPFS中央値は6.3ヵ月であった。 ・KRASp.G12Cアリル頻度、血漿腫瘍変異量、PD-L1発現の程度と効果に相関はなかった。

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BIVV001か遺伝子治療かエミシズマブか:血友病Aにとって期待の新薬BIVV001(解説:長尾梓氏)-1286

 血友病Aの治療では頻回の静脈注射が大きな課題である。従来の遺伝子組み換え第VIII因子製剤(rFVIII)は週3~4回の静脈注射を行っても関節出血を完全には抑制しきれなかった。2016年に蛋白融合技術による半減期延長製剤が登場して、週1~2回の注射に減らすことができるようになった。 2018年に上梓されたエミシズマブは最大4週に1回の皮下注射で、出血抑制効果が認められ、急速に使用者が拡大している。ただ、FVIIIを補う治療とは異なる機序であることから測定上の課題なども残存し、今も臨床研究が複数行われている。 一方、遺伝子治療は投与の初期段階で十分なFVIII活性上昇を認め、期待が高まっており、開発競争化している。しかし、最も先行していたBioMarin社の遺伝子治療は耐久性が不明とされ、FDAやEMAは認可を延期した。 現在、さらに半減期を延ばす新薬としてBIVV001が期待されている。rFVIIIにFcやXTENと呼ばれるポリペプチドを結合させ、FVIIIの半減期に強く影響を及ぼすフォンヴィレブランド因子のD’D3部分を共有結合させた新薬である。その第I-IIa相の試験結果が今回紹介する論文である。日本人を含む患者を25 IU/kg群と65 IU/kg群に分け、rFVIIIでのPKおよびウォッシュアウト後、BIVV001を単回投与しPKを実施した(各6例以上)。結果は25 IU/kg群の半減期が37.61時間(rFVIII 9.12時間)、投与後7日目の残存FVIII活性7%。65 IU/kg群は半減期42.54時間(rFVIII 13.15時間)、投与後7日目の残存FVIIIは17%であった。これは驚くべき結果で、これまでの製品では到底到達できない活性値である。しかも、とすると65 IU/kg週1回の定期補充でエミシズマブ(等価活性15%相当)より高い活性が、FVIIIで実現できることになる。現在進行中の第III相試験がどのような結果になるか、どのような用量用法で承認になるかが今後のカギになりそうだ。

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オンライン学会のプレゼンビデオ作成【Dr. 中島の 新・徒然草】(342)

三百四十二の段 オンライン学会のプレゼンビデオ作成大阪では秋晴れの爽やかな日々が続いています。こういった過ごしやすい季節も1ヵ月ほどでしょうか?四季とは言うものの、近年は夏と冬がメインになったような気がします。さて、秋の学会シーズン。新型コロナの影響で、オンラインとかハイブリッドが主体になっています。現地で発表する場合でも、あらかじめ発表内容をアップロードしなくてはなりません。つまり、パワーポイントで作ったスライドに音声入力してビデオにするのです。いつもならスライドを作って学会場に持って行くだけです。あとは漫談調でしゃべって終わり。時に脱線し、時には余計なことまで言ってしまうのも一興。しかし、誰でも何度でも視聴できるオンライン学会ではそうはいきません。うっかり口を滑らせて炎上したら大変なことになります。なので原稿を用意して、スライドごとに慎重に音声入力。なんか、下手なアナウンサーみたいなビデオができてしまいました。私の周囲の先生方も色々苦労しており、次第にノウハウができつつあります。たとえば、音声つきスライド作成のソフトです。パワーポイントを使うのは当然で、2016年版より2019年版の方が遥かに楽だとか。動画入りで50分くらいのプレゼン作成の場合、前者では何かと不具合が出たそうです。それに比べて後者はストレスフリー。いや、1つだけストレスがありました。「スライドショーの記録」で音声入力の際に参照するノートの欄が小さすぎます。でも、そのほかはとくに不具合もなく、あっさり済んでしまいました。読み原稿を修正しつつ、何度も音声入力を繰り返してついに完成!これを「mp4 ファイル」に変換していざ学会ホームページにアップロード。と思いきや、COI(利益相反)スライドを入れ忘れたことに気付きます。「まあ、スライド1枚加えてビデオに変換するだけだから」と思っていたら甘かった!テンションの高いしゃべりの中に1枚だけフラットな調子の音声が入ってしまいました。木に竹を接ぐ、とはまさにこのこと。でも、この時点で疲労困憊していたので、そのままアップロードしました。読者の皆様も、プレゼンビデオ作成の際にはぜひお気をつけ下さい。発表ビデオをアップロードした後も、未知のことがいろいろ待ち受けています。オンラインでのディスカッションとか、現地でもう一度しゃべるとか。それぞれの試行錯誤の末に、次第に学会の新たな型ができていくのでしょう。私にとってはいい経験でした。コロナ時代の学会、これからどうなっていくやら。最後に1句スライドは 秋の夜長に 音入れる

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第25回 中川日医にはネック!?新政権のキーマンと3つの方針

菅 義偉内閣がスタートし、さっそく社会保障や新型コロナウイルス対策を見直す動きが出てきた。日本医師会(日医)会長選を巡る遺恨はいまだ根深く残り続けており、2022年度診療報酬改定にまで何らかの影響を及ぼしそうな上、菅氏が打ち上げた3つの方針は中川日医にとってネックになる様相だ。中川 俊男会長の障壁となっているのは、社会保障費を差配する麻生 太郎・副総理兼財務大臣の存在だ。菅首相が新政権において「極めて重要人物」と評した麻生氏は、福岡が同郷の横倉 義武・日医前会長(現・名誉会長)と昵懇で、横倉氏の引退を翻意させたと言われる。そんな背景もあり、日医会長選で横倉氏と競り合った中川氏に対し、麻生氏が良い感情を持っていないだろうことは容易に想像できる。実際に今月、第2次補正予算の予備費から支出が決まった新型コロナウイルス対策で、日医が要望していた新型コロナ患者を診療しない医療機関への支援策が見送られたのは、中川日医への当て付けと見られている。横倉氏が会長在任中、安倍 晋三前首相との長年の付き合いを活かし、診療報酬の本体部分ではプラス改定を認められてきた。一方、政権中枢へのパイプがほとんどない中川氏が日医会長に就いたことを奇貨として、医療費抑制を目指している財務省は、2022年度診療報酬改定で本体部分のマイナス改定を目指しさっそく動き始めている。菅氏が打ち上げた「縦割り打破」「デジタル庁新設」「不妊治療への保険適用」のうち、「縦割り打破」については、「行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打ち破って規制改革を進める」と述べている。つまり、これまで続いた「診療報酬本体部分のプラス改定」こそ、菅氏が考えるところの既得権益、前例主義に当たるのではないか。また、「デジタル庁新設」というキーワードから噂されていた、オンライン診療の恒久的な全面解禁も検討されることになった。新型コロナの感染拡大を受け、オンライン診療は今年4月から受診歴のない初診の患者も含めて時限的に全面解禁されていた。中川氏は今月17日の記者会見で「都道県単位の協議会で実績を評価することになっている。結果をしっかり検証してほしい」と牽制し、「医療のデジタル化には賛成だが、拙速に進めてはいけない」と主張。「不妊治療への保険適用」についても、「一気に保険適用ではなく、専門家による検証と審議会・検討会での十分な議論と合意形成をしながら進めてほしい」と慎重な姿勢を示した。これまでの強面のイメージから一転、守勢に立った印象が拭えなかった。中川派の病院長は「中川氏の年齢なら、日医会長職は3期までいける」と話すが、診療報酬本体がマイナス改定に転じれば、再選も難しいだろう。中川氏は、菅氏の地元・神奈川県の医師で有力な後援者でもある人物を通して、菅氏と会食したことがあるという。しかし、菅氏は社会保障に対しかねてから「無駄が多い」と見ており、会食をしたぐらいの関係性では、日医に融和的な対応をとるようには思えない。菅氏が厚労政策に奮起するほど、中川日医には向かい風となるあたり、残念ながら今回の政権交代はあまり相性が良くなさそうだ。

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統合失調症に対する抗精神病薬の維持療法

 統合失調症の症状や徴候は、脳の辺縁系に代表される特定の領域における高レベルのドパミンと関連している。抗精神病薬は、脳内のドパミン伝達をブロックし、統合失調症の急性症状を軽減させる。本レビューの元となる2012年発表のレビューでは、抗精神病薬が再発防止にも有効であるか調査された。今回、イタリア・ブレシア大学のAnna Ceraso氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の維持療法の効果について、薬剤を中止した場合と比較し、検討を行った。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2020年8月11日号の報告。 臨床試験を含むコクラン統合失調症グループのレジストリより検索した(2008年11月12日、2017年10月10日、2019年9月11日)。統合失調症または統合失調症様精神疾患の患者を対象とし、抗精神病薬とプラセボによる維持療法の比較を行ったすべてのランダム化比較試験(RCT)を選択した。独立してデータを抽出した。2値データの場合、ランダム効果モデルに基づくITT分析により、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。連続データの場合、ランダム効果モデルに基づき、平均差(MD)または標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、抗精神病薬とプラセボを比較したRCT 75件(9,145例)を含めた。・1959~2017年に公開された研究で、対象者の規模は14~420例の範囲であった。・多くの研究において、ランダム化、割り付け、盲検化の手法は、あまり報告されていなかった。また、分析をバイアスリスクが低い研究に限定した場合でも、同様の結果であった。・これらの潜在的なバイアスにより全体的な研究の質は限定されたが、統合失調症の維持療法に対する抗精神病薬の有効性は明らかであった。・抗精神病薬の維持療法は、プラセボと比較し、7~12ヵ月の再発予防に効果的であった(再発率:24% vs.61%、30 RCT、4,249例、RR:0.38[95%CI:0.32~0.45]、NNTB[number needed to treat for an additional beneficial outcome]:3[95%CI:2~3]、エビデンスの確実性:高い)。・入院リスクは、ベースライン時が低リスクであったものの、プラセボと比較し減少が認められた(入院率:7% vs.18%、21 RCT、3,558例、RR:0.43[95%CI:0.32~0.57]、NNTB:8[95%CI:6~14]、エビデンスの確実性:高い)。・抗精神病薬の維持療法よりもプラセボのほうが、すべての原因による治療中止(7~12ヵ月時点の中止率:36% vs.62%、24 RCT、3,951例、RR:0.56[95%CI:0.48~0.65]、NNTB:4[95%CI:3~5]、エビデンスの確実性:高い)および効果不十分による治療中止(7~12ヵ月時点の中止率:18% vs.46%、24 RCT、3,951例、RR:0.37[95%CI:0.31~0.44]、NNTB:3[95%CI:3~4])が多かった。・抗精神病薬の維持療法は、QOL(7 RCT、1,573例、SMD:-0.32[95%CI:-0.57~-0.07]、エビデンスの確実性:低い)および社会的機能(15 RCT、3,588例、SMD:-0.43[95%CI:-0.53~-0.34]、エビデンスの確実性:中程度)に対しても良好な影響を及ぼす可能性がある。・不十分なデータではあるものの、プラセボと比較し、自殺による死亡(0.04% vs.0.1%、19 RCT、4,634例、RR:0.60[95%CI:0.12~2.97]、エビデンスの確実性:低い)および就労の割合(9~15ヵ月の就労率:39% vs.34%、3 RCT、593例、RR:1.08[95%CI:0.82~1.41]、エビデンスの確実性:低い)についての差は認められなかった。・抗精神病薬の維持療法は、薬剤や期間に関係なく、運動障害(1つ以上の運動障害:14% vs.8%、29 RCT、5,276例、RR:1.52[95%CI:1.25~1.85]、NNTH[number needed to treat for an additional harmful outcome]:20[95%CI:14~50])、鎮静(8% vs.5%、18 RCT、4,078例、RR:1.52[95%CI:1.24~1.86]、NNTH:50[95%CI:有意差なし])、体重増加(9% vs.6%、19 RCT、4,767例、RR:1.69[95%CI:1.21~2.35]、NNTH:25[95%CI:20~50])の発生率がプラセボよりも高かった。 著者らは「統合失調症患者に対する抗精神病薬の維持療法は、約2年間のフォローアップ調査において、プラセボよりもはるかに高い再発予防効果が示唆された。ただし、この効果と副作用のバランスを検討する必要がある。今後の研究によって、薬剤に関連する長期的な副作用発現率や死亡率をより明らかにする必要がある」としている。

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alpelisib+フルベストラント、PIK3CA陽性進行乳がんに対するOS最終結果(SOLAR-1)/ESMO2020

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)、PIK3CA変異陽性の進行乳がんに対する、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法は、統計学的有意差には達しなかったものの、フルベストラント単剤療法と比較し全生存期間(OS)を7.9ヵ月延長した。フランス・Institut Gustave RoussyのFabrice Andre氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で第III相SOLAR-1試験のOS最終結果を発表した。 HR+/HER2-乳がん患者の約40%がPIK3CA変異を有し、予後不良と関連する。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、プラセボ群5.7ヵ月に対しalpelisib+フルベストラント併用群11.0ヵ月と有意な改善を示し(ハザード比[HR]:0.65、 95%信頼区間[CI]:0.50~0.85、片側検定p=0.00065)、米国FDA は2019年5月、欧州委員会は2020年7月に同併用療法を承認している。・対象:ホルモン療法中/後に再発/進行した、HR+/HER2-乳がん患者(閉経後女性および男性、再発後の化学療法歴なし、ECOG PS≦1)をPIK3CA変異陽性および陰性コホートに分類・試験群:PIK3CA変異陽性患者を以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付けalpelisib併用群:28日を1サイクルとし、alpelisib(300mg/日)、フルベストラント(1サイクル目のみ500mgを1日目と15日目、以降1日目)投与 169例プラセボ群:28日を1サイクルとし、プラセボ+フルベストラント(1サイクル目のみ500mgを1日目と15日目、以降1日目)投与 172例・評価項目:[主要評価項目]PIK3CA陽性コホートにおけるPFS[主要副次評価項目]PIK3CA陽性コホートにおけるOS[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・本OS解析のデータカットオフ日(2020年4月23日)時点で、死亡は181例、治療継続中の症例は併用群21例(12.4%)、プラセボ群7例(4.1%)であった。・追跡期間中央値30.8ヵ月におけるOS中央値は併用群39.3ヵ月 vs. プラセボ群31.4ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.64~1.15、片側検定p=0.15)で、事前に設定された境界値(片側検定p≦0.0161)を満たさなかった。・OSのサブグループ解析の結果、肺および/または肝転移を有する患者(84例vs.86例)におけるOS中央値は併用群37.2ヵ月 vs. プラセボ群22.8ヵ月(HR:0.68、95%CI:0.46~1.00)。血漿ctDNAによるPIK3CA陽性患者(92例vs.94例)におけるOS中央値は併用群34.4ヵ月 vs. プラセボ群25.2ヵ月(HR:0.74、95%CI:0.51~1.08)であった。・化学療法開始までの期間の中央値は、併用群23.3ヵ月 vs.プラセボ群14.8ヵ月で(HR:0.72、 95%CI:0.54~0.95)、併用群で8.5ヵ月長かった。・PFS2(無作為化から、全死因死亡あるいは試験治療中止後の最初の抗腫瘍療法における疾患進行までの期間)は、併用群22.8ヵ月 vs.プラセボ群18.2ヵ月(HR:0.80、 95%CI:0.62~1.03)であった。・安全性についての長期追跡結果(追跡期間中央値42.4ヵ月)は、以前の報告と一致していた。頻度の高いGrade3/4の有害事象(AE)は、高血糖(併用群37.0% vs.プラセボ群<1%)、皮疹(9.9% vs.<1%)、下痢(7.0% vs.<1%)であった。

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EGFR変異肺がんへのオシメルチニブのアジュバント、CNS含む再発を有意に減少(ADAURA)/ESMO2020

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブの術後療法については、第III相ADAURA試験の結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2020 Virtual Scientific Program)で発表され、主要評価項目である無病生存期間(DFS)についてはオシメルチニブ群の有意な改善が報告されていた(HR:0.17、95%CI:0.12~0.23、p<0.0001)。今回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏が同試験の再発に関するデータを発表した。・対象:EGFR変異陽性(Ex19del/L858R)のStage IB/II/IIIA非扁平上皮NSCLC完全切除患者682例(術後化学療法は許容)、PS 0〜1・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間投与・対照群:プラセボ・評価項目:[主要評価項目]主治医判定によるStage II/IIIA患者のDFS(想定HR=0.70)[副次評価項目]全集団のDFS、2/3/4/5年時のDFS率、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL今回の発表は、CNS転移を含む再発のパターンに関する探索的検討のデータである。 主な結果は以下のとおり。・DFSイベントの発生率はオシメルチニブ群で11%、プラセボ群で46%あった。・再発の内訳は、オシメルチニブ群では遠隔転移38%、局所再発62%、プラセボ群では遠隔転移61%、局所再発39%であった。・CNS転移の発生率は、オシメルチニブ群で1%(4例)、プラセボ群で10%(33例)であった。・CNS転移発生をイベントとしたCNS-DFSでは、HR:0.18、95%CI:0.10~0.33、p<0.0001で、2年DFS率は、オシメルチニブ群で98%、プラセボ群で85%であった。坪井氏は「アジュバント・オシメルチニブは、Stage IB/II/IIIAのEGFR変異陽性NSCLC患者の臨床治療を変更し得るような有効な治療法である」と結論付けている。 試験結果は、ESMO発表の同日(2020年9月19日)、NEJMにも公開された。

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