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治療抵抗性うつ病に対するケタミン静注の有効性~メタ解析

 治療抵抗性うつ病(TRD)患者の治療において、ケタミンによる治療が期待されているが、いくつかの問題点は、いまだ不明である。カナダ・コンコルディア大学のWalter S. Marcantoni氏らは、TRD患者に対するケタミン静脈内投与が、うつ病スコア、臨床的寛解および奏効率に及ぼす影響を評価し、時間および頻度の両方における有効性について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年12月1日号の報告。 2019年1月4日までに、TRD患者に対する麻酔域下用量で用いたケタミン治療を評価した研究を5つの電子データベースより検索した。研究の選定、品質評価、データ抽出は、2人のレビュアーが独立して実施した。結果は、narrative synthesisで統合した。投与4時間後、24時間後、7日後のアウトカム測定値の標準化平均差およびオッズ比の調査が可能な場合には、変量効果モデルを用いてメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・35件の論文より28件の研究が抽出された。・ケタミンの強い効果は、単回投与4時間以内に認められ、24時間でピークに達した。・ケタミンの有効性は、投与7日後でも持続していたが、いくらかの低下は認められた。・複数回投与により、ケタミンの効果は増強、延長された。・TRD患者に対するケタミンの長期的な安全性および有効性は、データが不十分なため、調査されなかった。 著者らは「抑うつ症状の迅速なマネジメントに対し、ケタミン投与は支持された。TRD患者の短期治療においてケタミンは、有用であると考えられる。今後、ケタミン長期投与の有効性、耐性、安全性に関するより多くの臨床的および実験的データが求められる」としている。

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患者の『コロナうつ』、早期発見するには?

 新型コロナウイルス感染症によるメンタルヘルス不調には「感染に対する恐怖・不安」「環境の変化によるストレス」「自粛制限によるストレス」「経済的な不安」などが挙げられるそうだが、ご自身や家族、診察を受ける患者に該当するものはあるだろうかー。 11月18日、うつ病疾患啓発セミナー「雇用形態別に見る、うつ病患者さんの現状と課題―求められる対策とは~働くうつ病患者さん464人への調査結果から見えた実態と新型コロナウイルス感染症の影響~」が開催され、三村 將氏(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 教授)が「就労するうつ病患者さんの雇用形態別の現状と課題、コロナ禍での影響」について講演。アンケート結果を踏まえ、コロナ禍に悩むうつ病患者の解決策を解説した(主催:武田薬品工業株式会社、ルンドベック・ジャパン株式会社)。メンタルヘルスによる長期休業、15年前の2.5倍 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する以前から職場におけるメンタルヘルスは問題視されてきたが、コロナ禍ではこの問題に拍車がかかっている。そこでまず、三村氏は職域におけるうつ病について、平成30年度の地方公務員健康状況等の現況概要を示し、「悪性新生物や循環器系疾患などによる休業は15年前から横ばいだが、精神及び行動の障害が影響する休業は15年前の2.5倍にまで増加している」と説明。この原因として、「ストレス社会を反映しているのはもちろん、精神障害による労災申請および労災認定も増加し、過労死・過労自殺なども社会問題となっている」と話した。一方で、自殺件数は国の対策や医療者によるサポートが功を奏し、10年前と比較して減少傾向であった。ところが、今年はCOVID-19の流行により自殺件数がとくに女性で増加し、例年以上に深刻さを増す可能性が指摘されている。在宅勤務の患者へ意識しておきたい3つのこと では、医師としてコロナと関連するストレスに関し、どのような対策を意識しておく必要があるのだろうか。4月16日に発令した緊急事態宣言を受け、多くの企業が在宅勤務へのシフトを余儀なくされた。在宅勤務に関し、さまざまなアンケート調査で、就労者のメリットも多く挙げられていたが、一方で同氏は、「対人関係(孤独感・コミュニケーション困難)、仕事量の増加、仕事時間の長期間化や時間管理の困難など、仕事の質・量・時間に大きな影響を与えている」点も危惧されると指摘した。 また、これらの状況の因果関係をみるために同氏らは就労におけるうつ病患者の実態調査を実施。その結果、コロナ関連での不調が如実に増えていることが明らかになった。調査の主な結果は以下のとおり。・2020年9月24日~10月1日にインターネット調査を行った。・対象者は19~64歳で、過去5年以内に精神科/心療内科/メンタルクリニックで初めてうつ病と診断され、うつ病の治療として1ヵ月以上の通院を行った者、または初めてうつ病と診断された際に正社員、契約社員または嘱託社員、派遣社員、アルバイト・パートタイムいずれかの勤務体系で就労していたものとした。・参加者は464名で、雇用形態の内訳は、正社員が200名、契約社員/嘱託社員が116名、派遣社員は46名、アルバイト・パートタイムは102名だった。・男女比は正社員では男性が多く、女性はパートタイムが多かった。・雇用形態に関わらず、仕事の継続・キャリアへの影響について不安を感じているものの、働くうつ病患者の53%は受診への抵抗を感じていた。・診断時に仕事をするうえで支障になった症状として最も多かったのは、集中力が保てないで44%だった。・うつ病を上司に伝えた理由は、正社員、契約・嘱託社員では「診断書が出たため」「会社の制度を利用するため」「仕事面で配慮を求めるため」で、派遣社員、パートタイム・アルバイトでは、「診断書が出たため」「会社の制度を利用するため」「仕事面で配慮を求めるため」だった。また、派遣社員では「周囲に病気であることを知らせるため」、パートタイム・アルバイトでは「退職するため」が最多だった。・コロナ禍では、参加者の58%が心身のストレス増加を感じており、主な理由は、経済的な不安が59%、感染への不安が50%、外出の自粛が48%だった。 そのほか、COVID-19の影響による生活の変化として、SNSの利用、動画視聴時間、ネットショッピングの増加を指摘し、「不眠があるからこれらの行動が増えるのはもちろん、これらの行動が増えたことによって不眠になったり、不眠が悪化したりする場合もある」と説明し、医療者は患者の生活の質・リズムの変化にも注意を喚起するよう説明した。 最後に同氏は職場内での解決策として、「患者は職場で上司や同僚と病状について話すことで安心感につながる傾向があることから、アンケート結果のような不安感を払拭するために治療中・治療後にうつ病患者が就業継続できるよう、企業内のサポートや包括的な社会の構築が重要である」と締めくくった。

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みんなで医療の働き方を考えよう

 AI問診サービスで医療現場の業務効率化をサポートするUbie株式会社は、医療従事者がより働きやすい医療現場づくりを実現すべく、『#みんなで医療の働き方会議』プロジェクトを勤労感謝の日である2020年11月23日より開始した。 同社共同代表取締役で医師の阿部 吉倫氏は「本プロジェクトを通じて、医療サービスを受ける一人ひとりの生活者にとって、よりよい社会の実現へ一歩近づくことを願う」と、プロジェクトへの思いを述べている。 2020年は世界中で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、医師や看護師などの医療従事者は、今もその最前線で人々を守るために尽力している。そういった方々の今後の働き方について、社会全体で考えて改善できるきっかけとなることを本プロジェクトに期待したい。医師の残業時間の現状 「働き方改革関連法案」の改正により、企業の年間残業時間上限は720時間となったが、全国に約20万人いる病院勤務医の約4割は年間残業時間が960時間以上である。さらに、約1割の医師の年間残業時間は2,000時間を超えていた1)。この調査はコロナ禍以前に実施されたものであり、現状はより過酷であると推察される。医療従事者、その家族の働きやすい環境への期待 全国の医療従事者(医師・看護師・准看護師)118人と医療従事者の家族200人を対象に、同社が2020年10月に実施したアンケート※では、医療従事者の約7割が「勤務先の働きやすい環境づくりに期待したい」と回答した。また医療従事者の家族の約9割が「医療業に勤める家族の職場がもっと働きやすい環境になってほしい」と回答しており、医療現場の労働環境改善に対する強い要望があった。『#みんなで医療の働き方会議』プロジェクトの開始 医療現場の労働環境改善と、医療従事者が働きやすい現場の実現に向けた『#みんなで医療の働き方会議』プロジェクトは、2020年11月23日「勤労感謝の日」に開始された。医療従事者やその家族、そして患者として医療サービスを受ける生活者の立場から感じる、医療現場における働き方の課題・改善案を特設サイトやTwitter上で募集している。将来的には、賛同する全国の医療機関とこれらを共有し、実現に向けたアクションプランを共創する予定である。Twitterでトレンド入りも 本プロジェクトの立ち上げとともに、ハッシュタグ「#みんなで医療の働き方会議」がTwitterでトレンド入りし、現在も医療従事者の声が上がり続けている。新型コロナウイルスに伴う感染拡大の影響で、引き続き医療従事者にとっても厳しい状況が続く。感染症の影響が落ち着いた時に実現に向けたアクションプランが始まり、働きやすい医療現場が実現することが望まれる。【参考資料】1)厚生労働省 第16回 医師の働き方改革に関する検討会資料「時間外労働規制のあり方について(3)(議論のための参考資料)」(2019年[平成31年]1月)※アンケート調査概要<調査概要>「Ubie株式会社 全国の医療従事者の働き方に関する調査」・調査対象:全国の医療従事者男女20~59歳118人/全国の医療従事者の家族である男女20~59歳200人・調査時期:2020年10月・調査方法:インターネット調査プロジェクト特設サイト:https://ubie-thanksgiving-for-healthcare-professionals.studio.site/プロジェクト公式Twitter@Ubie_AI:https://twitter.com/Ubie_AI

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PTX被覆デバイスによる末梢動脈疾患の血管内治療、死亡率増大させず/NEJM

 末梢動脈疾患患者において、パクリタキセル被覆血管内デバイスと非被覆血管内デバイスに、追跡期間1~4年での全死因死亡率に差は認められなかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のJoakim Nordanstig氏らが、多施設共同無作為化非盲検臨床試験「SWEDEPAD試験」の計画外の中間解析結果を報告した。症候性末梢動脈疾患に対する下肢血管内治療で、パクリタキセル被覆血管形成バルーンおよび溶出ステントによる死亡リスクの増加が最近のメタ解析で示され、懸念が生じていた。NEJM誌オンライン版2020年12月9日号掲載の報告。パクリタキセル被覆vs.非被覆血管内デバイスの全死因死亡を評価 研究グループは、症候性末梢動脈疾患患者2,289例を薬剤被覆デバイス群(1,149例)または非被覆デバイス群(1,140例)に無作為に割り付けた(症例数は解析時点のもの)。無作為化は、高度慢性下肢虚血(1,480例)または間欠性跛行(809例)の有無に基づいた疾患重症度により層別化された。 中間解析のエンドポイントは全死因死亡であった。 追跡調査で脱落した患者はいなかった。薬剤被覆デバイスは、すべてパクリタキセルが被覆薬剤として用いられていた。平均追跡期間2年半の全死因死亡率、薬剤被覆群25.5%、非被覆群24.6% 平均追跡期間2.49年において574例が死亡した。全死因死亡率は、薬剤被覆デバイス群が25.5%(293/1,149例)、非被覆デバイス群が24.6%(281/1,140例)であった(ハザード比:1.06、95%信頼区間:0.92~1.22)。 1年時点の全死因死亡率は、薬剤被覆デバイス群10.2%(117/1,149例)、非被覆デバイス群9.9%(113/1,140例)であった。 また、平均追跡期間2.49年において、高度慢性下肢虚血を有する患者の全死因死亡率は、薬剤被覆デバイス群33.4%(249/745例)、非被覆デバイス群33.1%(243例/735例)であり、間欠性跛行を有する患者ではそれぞれ10.9%(44/404例)、9.4%(38/405例)で、いずれも両群間に有意差は認められなかった。

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TN乳がん1次治療へのペムブロリズマブ上乗せ、化療レジメンによらず有効(KEYNOTE-355)/SABCS2020

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性(CPS≧10)のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療において、併用する化学療法の種類によらず、ペムブロリズマブの追加で無増悪生存期間(PFS)を改善することが明らかになった。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が、第III相KEYNOTE-355試験の新たな解析結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 同試験については、CPS≧10のPD-L1陽性患者におけるPFS中央値が、ペムブロリズマブ+化学療法群9.7ヵ月 vs.化学療法単独群5.6ヵ月(ハザード比[HR]:0.65、95%CI:0.49~0.86、片側p=0.0012)と有意に改善したことが報告されている。今回は、探索的評価項目(併用化学療法別のPFS中央値)ならびに副次評価項目(ORR、DOR、DCR)の解析結果が発表された。・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん(ECOG PS 0/1)847例・試験群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)566例・対照群:プラセボ+化学療法 281例・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS≧10およびCPS≧1)およびITT集団におけるPFSと全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性[探索的評価項目]PD-L1陽性患者(CPS≧10およびCPS≧1)およびITT集団における併用化学療法の種類による治療効果の一貫性 主な結果は以下のとおり。・併用化学療法別のPFS中央値[CPS≧10の患者]全体(323例):ペムブロリズマブ群9.7ヵ月 vs.化学療法単独群5.6ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.49~0.86)ナブパクリタキセル(99例): 9.9ヵ月 vs. 5.5ヵ月(HR:0.57、95%CI:0.34~0.95)パクリタキセル(44例):9.6ヵ月 vs.3.6ヵ月(HR:0.33、95%CI:0.14~0.76)ゲムシタビン/カルボプラチン(180例):8.0ヵ月 vs.7.2ヵ月(HR:0.77、95%CI:0.53~1.11)[CPS≧1の患者]全体(636例):7.6ヵ月 vs. 5.6ヵ月(HR:0.74、95%CI:0.61~0.90)ナブパクリタキセル(204例):6.3ヵ月 vs. 5.3ヵ月(HR:0.66、95%CI:0.47~0.92)パクリタキセル(84例):9.4ヵ月 vs.3.8ヵ月(HR:0.46、95%CI:0.26~0.82)ゲムシタビン/カルボプラチン(348例): 7.5ヵ月 vs.7.5ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.66~1.11)[ITT集団]全体(847例):7.5ヵ月 vs. 5.6ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.69~0.97)ナブパクリタキセル(268例):7.5ヵ月 vs.5.4ヵ月(HR:0.69、95%CI:0.51~0.93)パクリタキセル(114例):8.0ヵ月 vs.3.8ヵ月(HR:0.57、95%CI:0.35~0.93)ゲムシタビン/カルボプラチン(465例):7.4ヵ月 vs.7.4ヵ月(HR:0.93、95%CI:0.74~1.16)・ORRはCPS≧10の患者で53.2% vs.39.8%、CPS≧1の患者で45.2% vs.37.9%、ITT集団で41.0% vs.35.9%であった。・ORRを併用化学療法別にみると、ITT集団のゲムシタビン/カルボプラチン併用を除いて(40.2% vs. 42.2%)、ペムブロリズマブ群で高かった。・DCRはCPS≧10の患者で65.0% vs.54.4%、CPS≧1の患者で58.6% vs.53.6%、ITT集団で56.0% vs.51.6%であった。・DOR中央値はCPS≧10の患者で19.3ヵ月 vs.7.3ヵ月、CPS≧1の患者で10.1ヵ月 vs.6.5ヵ月、ITT集団で10.1ヵ月 vs.6.4ヵ月であった。 Rugo氏は、サブグループ解析の結果、化学療法レジメンの種類によらずペムブロリズマブの上乗せによりPFSは改善し、またその治療効果はPD-L1発現状況に応じて高まる傾向がみられると結論付けた。ディスカッサントを務めた米国・NYU Langone Medical CenterのSylvia Adams氏は、併用する化学療法レジメンの比較については、本サブ解析結果のみで判断するのはエビデンスとして十分ではないと述べている。

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HIV維持療法、長時間作用型注射剤2剤併用2ヵ月ごと投与は?/Lancet

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者において、長時間作用型注射剤cabotegravirと長時間作用型注射剤リルピビリンの2剤併用の8週ごと投与は、4週ごと投与と比較し有効性および安全性プロファイルは類似していることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のEdgar T. Overton氏らの「ATLAS-2M試験」で明らかとなった。cabotegravir+リルピビリン2剤併用投与については、第II相試験で8週ごと投与と4週ごと投与の有用性が示唆され、第III相試験で4週ごと投与の経口抗レトロウイルス療法に対する非劣性が検証されたことから、8週ごと投与のさらなる評価が求められていた。結果を踏まえて著者は、「HIV-1感染患者の治療選択肢として、より簡便なcabotegravir+リルピビリンの2ヵ月ごと投与の使用は支持される」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年12月9日号掲載の報告。cabotegravir+リルピビリン8週ごと投与の有効性と安全性を、4週ごと投与と比較 ATLAS-2M試験は、HIV-1感染患者の維持療法としてcabotegravir+リルピビリン8週ごと投与(cabotegravir 600mg+リルピビリン900mg)の4週ごと投与(cabotegravir 400mg+リルピビリン600mg)に対する非劣性を検証する第IIIb相無作為化非盲検非劣性試験。現在、13ヵ国(オーストラリア、アルゼンチン、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、メキシコ、ロシア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、米国)で行われている。 対象は、初回または2回目の標準的な経口レジメンを、連続して最低6ヵ月以上受けており、ウイルス学的失敗のない18歳以上のHIV-1感染患者で、ATLAS試験からの参加者はATLAS-2M試験のスクリーニング時に血漿中HIV-1 RNAが50コピー/mL未満で52週間の比較試験期を完遂した患者とした。対象患者を、cabotegravir+リルピビリンの8週ごと投与群または4週ごと投与群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、48週時点のHIV-1 RNA≧50コピー/mLの患者の割合(非劣性マージンは4%)であった。48週時のHIV-1 RNA≧50コピー/mLの患者の割合は非劣性 2017年10月27日~2018年5月31日に1,149例がスクリーニングを受け、このうち1,045例が8週ごと投与群(522例)と4週ごと投与群(523例)に無作為化され治療を受けた。患者背景は、37%(391例)がATLAS試験のcabotegravir+リルピビリン4週ごと投与群から移行した患者であり、年齢中央値は42歳(四分位範囲:34~50)、女性(出生時の性別)は27%(280例)、白人は73%(763例)であった。 48週時点のHIV-1 RNA≧50コピー/mLの患者の割合は、8週ごと投与群2%、4週ごと投与群1%、補正群間差0.8(95%信頼区間[CI]:-0.6~2.2)で、8週ごと投与は4週ごと投与に対して非劣性であることが検証された。ウイルス学的失敗(2回の測定で連続してHIV-1 RNA≧200コピー/mL)は、8週ごと投与群8例(2%)、4週ごと投与群2例(<1%)で確認された。8週ごと投与群では8例中5例(63%)、ベースラインでリルピビリンに対する耐性変異ウイルスが検出された。 安全性プロファイルは両群で類似しており、1,045例中844例(81%)に有害事象(注射部位反応を除く)が発現した。治療に関連した死亡は確認されなかった。

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乳幼児診療に感染予防策加算上乗せ、診療科問わず/日医

 厚生労働省は、小児診療の実態や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の回復後における継続的治療の必要性などの観点から、新型コロナ感染が急速に拡大している間の特例措置として、2020年12月15日付けで事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」を発出した。 「外来における小児診療等に係る評価」と「新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援」に関する上乗せ加算が軸となっている。これに対し、16日に実施された日本医師会の記者会見で、松本 吉郎常任理事が補足説明を行った。乳幼児への外来診療などに感染予防策加算上乗せ(1)外来における小児診療等に係る評価 今回、感染予防策実施について、より配慮が求められる6歳未満の乳幼児への外来診療などに対する評価として、通常の乳幼児加算に上乗せで医科100点、歯科55点、調剤12点を特例的に算定できることとなった。これは、『小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)診療指針』を参考に、感染予防策を講じた上で外来診療などを実施した場合、初診・再診に関わらず算定可能。(2)新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援 COVID-19から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関において、必要な感染予防策を講じた上で入院診療を行った場合の評価を3倍に引き上げ、これまでの250点から750点となった(臨時特例二類感染症患者入院診療加算)。 なお、算定に当たっては、患者またはその家族に対して、院内感染予防に留意した対応をしっかり行っている旨を十分に説明し、同意を得る必要がある。松本氏は、「医療現場の皆さまには一定の負担をかけることになるが、口頭で構わないので説明と同意への対応をお願いしたい」と理解を求めた。乳幼児診療への感染予防策加算は小児科に限定されない 記者会見では、補足説明として「両加算は発出時点(12月15日)から算定可能」「乳幼児診療への加算は小児科に限定されず、病院・診療所も問わない」「あらゆる現行の算定に対して上乗せで算定できる」などが示された。松本氏は、「まずは今回の措置をきっかけに、医療機関が継続的に感染予防策に取り組むことで、受診をためらっていた患者・家族に安心を与え、疾病の悪化や健康への悪影響が少しでも軽減されることを期待している」と述べた。 日本医師会は、今回の措置も不可欠だが決して十分ではなく、COVID-19に対応する全国すべての医療機関・医療従事者に対して、精神的ケアと人的・物的サポートが提供され、崩壊が進む医療提供体制の立て直しの一助となるよう、さらなる対応を引き続き要望していくとした。

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ニボルマブ、胃がん1次治療に国内申請/小野薬品

 小野薬品工業株は、2020年12月10日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を新たに行ったと発表した。 今回のニボルマブ胃がん1次治療の承認申請は、以下の2つの臨床試験のデータに基づき行われた。・CheckMate-649試験(ONO-4538-44):日本、韓国および台湾を含む世界規模で小野薬品およびブリストル マイヤーズ スクイブが実施した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験・ATTRACTION-4試験(ONO-4538-37):日本、韓国および台湾で実施した多施設共同無作為II/III相臨床試験

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多読、精読、速読、そしてドクドク【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第31回

第31回 多読、精読、速読、そしてドクドク多くの人にとって、英語の論文を読まねばならなくなった最初の時期は苦しいものです。小生の場合、その苦しみは医師になって2年目に浜松労災病院で訪れました。卒後に大学病院での1年間の初期研修を経て赴任となりました。その病院の循環器内科部長は、英語論文が大好きでした。月曜・火曜・木曜・金曜と週4回、朝8時から抄読会が開催されていました。各担当者が選んだ英語論文を紹介するのです。要点のみではなく、最初から最後まで全文を完全に翻訳するのがルールでした。部長や先輩医師は、論文に目を通しながら、その場で訳していました。自分にはとても無理でしたので、事前にレポート用紙に日本語の全訳を書いて準備し、それを読みながら説明していました。入職した時には自分は一番の若造なので、少なくとも週に1度は当番がまわってきます。この病院に派遣された不幸を嘆いたものです。数年だけ上級の先輩たちも参加していますが、誰も愚痴を言わないことは驚きでした。自分1人だけが脱落することはできません。歯を食いしばって参加し続けました。参加したくないから参加しないという選択肢のない時代です。不思議なことに、半年過ぎた頃から全訳の下書きは不要になりました。前もって2回か3回ほど通読するという準備だけで抄読会での役割を果たせるようになったのです。今も英語の論文を読むことに関して壁を意識しないのは、このトレーニングのお陰です。高橋 正明先生、ありがとうございます。英語の論文を読むのは、どの人にとっても最初は苦しく時間がかかる作業です。この苦労が嫌で、英語論文は読まない、そして読まないから読めないという経過をたどる人もいるでしょう。脱出が難しい悪循環です。その気持ちは理解できます。英語の論文を読む力は訓練でつきます。1つの文章を繰り返して読みこなす精読も大切ですが、量を読みこむ多読も必要です。意図的に努力すれば、必ずスピードアップします。その訓練の過程においては強制されることも必要なのでしょう。高橋 正明先生の厳しさと、厳しさが容認された時代に感謝です。精読のメリットは、英語に対して深い知識が得られることです。多読ではとにかく数多くの英文に触れることが肝要です。文全体の内容を把握することに焦点をしぼり、英語に慣れる感覚をみがきます。スムーズに全体の流れを掴むことは速読する能力の向上につながります。論文の英語は、複数の節から構成される複文であることが通常です。どこまでが1つの節なのか、節と節の関係はどうなっているのかを把握することは、文意を正しく捉えるためのコツです。節と節の関係を表す接続詞にも注意をはらいましょう。意味を理解しにくいときには、その文章の主語と、その主語に対応する動詞である述語を探すことが鍵です。比喩的な表現も少ない論文の英語は、文法的に例外が少なく読解は楽なはずです。偉そうなことを書いてしまいました。英語の論文を読むことが大好きと誤解されては困ります。苦にはならないという程度です。英語よりも、日本語の本を読むことが大好きです。多読、精読、速読・・・濫読、愛読、一読、購読、誤読、査読、熟読、素読、代読、通読、拝読、必読、未読、黙読、朗読・・・読むことに関する言葉は数えられないほど沢山あります。読書の楽しさは、だれにも邪魔されずにゆったりと時間を過ごせることです。本を読むことでその物語に入り込むことができます。読書は楽しむだけではなく勉強にもなります。ストーリーに感情移入する人もいます。他人の人生を知り、自分の人生に取り入れることもできます。自分の人生は一回だけですが、読書を通じて何人分もの人生を愉しむことができます。ドーパミンは人間を支配する快楽物質で、脳内麻薬とも呼ばれることはご存じでしょう。傍らに鎮座する猫をなでながら読書することは至福の時間です。その時の自分の脳は、ドーパミン「ドクドク」です。

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2020年「新・徒然草」の振り返り【Dr. 中島の 新・徒然草】(354)

三百五十四の段 2020年「新・徒然草」の振り返りコロナ第3波で、大阪は大変なことになっています。太陽の塔のライトアップが「非常事態」を示す赤色に染まっているだけではありません。向かいにある観覧車「レッドホース・オオサカホイール」も真っ赤に燃え上がっています。聞くところによると、通天閣も灼熱の赤なのだとか。さて、コロナに始まりコロナに終わろうとしている2020年。1年間の「新・徒然草」を振り返ってみたいと思います。まず、私の卒業した神戸高校が舞台となった映画「思い思われ、ふりふられ」です。新・徒然草では自分自身の高校時代を述べたわけですが(340の段)、母校の同窓会誌に顛末記が出ていました。ロケは学校活動に影響の少ない春休みを選んで、9日間行われたそうです。教員、生徒あわせて約120人がエキストラとして出演していました。面白いのは、映画が公開されるまで守秘義務が課せられており、SNS等での発信が禁じられていたのだとか。あわせて「有名人が来てもワーワーキャーキャー騒ぐんじゃないぞ」と指導されていたのでしょうか。淡々と接する生徒たちに、俳優さんらは「自分たちは人気がないのだろうか?」と思ったそうです。いかにも神戸高校らしいエピソードだと思いました。次に「約束のネバーランド」(351の段)読みましたよ、最後まで。一緒に育ち、生活を共にしてきた孤児院の子供たち全員を“敵”から助けようとしたエマ。やはりそれは生半可なことではなく、エマも無傷ではすみません。自らの一番大切なものを犠牲にして、抗い難い運命に立ち向かいます。そのエマの覚悟に泣けた、大泣きしました。読み終えて思うのは、性別未公開とされる原作者は、やはり女性ですね。「一番大切なもの」というのが私には想像もつかないものでした。皆さんもぜひ読んでみてください。令和に相応しい新感覚の物語です。そしてこの新・徒然草。最後の1句のグレード・アップを図っています。これまでは川柳だったのですが、何とか季語を入れて俳句に挑戦。ちょうど「人間ドックの順番争い」(339の段)から新しい試みを始めました。考えてみれば31文字の短歌と違って、俳句は17文字と短い上に季語が必要です。それだけ制約が厳しく、作るのも時間がかかって苦しい!でも、苦労した分、記憶に残るものができるような気がします。俳句は、季語という日付の入った記念写真のようなものかもしれません。たった1枚の写真に多くを語らせるわけですね。そういえば、先日の日本脳神経外科学会第79回学術総会の文化講演は、演者が俳人の夏井 いつき氏。講演当日の出席はできませんでしたが、後日、ビデオを観ることができました。ハイブリッド学会ならではの有難さですね。ということで、何やかんやあった2020年。この徒然草も、次回が今年最後になります。年の終わりに何を書くかはまだ決めていませんが、とにかく1句冬夜空 真っ赤に浮かぶ 観覧車

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あなたには帰る家がある(前編)【なんで倦怠期になるの?】Part 1

今回のキーワード夫婦関係かかあ天下型亭主関白型愛着スタイルストレンジ・シチュエーション法システム化と共感性カサンドラ症候群ジェンダーギャップ夫婦でいる皆さんやパートナーのいる皆さん、倦怠期でお困りのことはありませんか? 倦怠期とは何でしょうか? なぜ倦怠期になるのでしょうか? そもそもなぜ倦怠期は「ある」のでしょうか? そして、どうすれば良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は2018年のテレビドラマ「あなたには帰る家がある」を取り上げます。このドラマは、夫婦関係の「あるある」が満載であり、うまく行かなくなっていく夫婦のよくある日常を生々しく描いています。このドラマを通して、夫婦関係を発達心理学的に、進化心理学的に、そして文化心理学的に掘り下げます。そして、夫婦関係のより良いあり方(マインド)とより良いやり方(スキル)を一緒に考えていきましょう。倦怠期とは?このドラマには、2組の倦怠期の夫婦が登場します。まず、この2組の夫婦を通して、2つの典型的な夫婦の倦怠期を明らかにしてみましょう。(1)真弓と秀明-かかあ天下型1組目の夫婦は、41歳の真弓と39歳の秀明です。12歳の麗奈との3人暮らしです。真弓と秀明は、行きつけのカレー屋の店主の圭介に、別々のタイミングでそれぞれ夫婦関係の不平不満を吐き出します。真弓は、「家事のこと何にも分かってないんだよ。家のこと何にもやらないから」言います。一方、秀明は、「常に上から来るんだよ。マウンティング病だよ。玄関のドアを開けて、カバンを置く前に文句。1でも返そうもんなら、100倍になって返ってくる」と言っています。1つ目は、かかあ天下型です。これは、妻が夫より強い夫婦関係です。妻が夫を一方的に責め立てるために(攻撃性)、夫は妻を腫れ物扱いして、あえて何もしないことによる反撃をしています(受働攻撃性)。結果的に、お互いに歩み寄りができずにうんざりしている状態が続いています。しかし、子どもがいるために、かろうじて夫婦関係は維持されています。(2)亭主関白型-太郎と綾子2組目の夫婦は、47歳の太郎と43歳の綾子です。太郎の両親(舅と姑)と16歳の慎吾との5人暮らしです。太郎は、外出先でのトイレの後の手洗いでも、綾子に太郎のハンカチを持たせ、自分の手を拭かせています。そして、太郎は口癖のように「誰のおかげだ?」と綾子に尋ね、「あなたのおかげです」と言わせています。また、食事の時は、綾子は、姑や舅から「梅干し!」「ぬか漬けなかったっけ?」と注文され、けなげに給仕しています。良く言えば良妻賢母、悪く言えば召使いです。2つ目は、亭主関白型です。これは、夫が妻より強い夫婦関係です。夫が妻を言いなりにさせています。妻が我慢して反抗しないため、一見すると夫婦円満が維持されています。 倦怠期からどうなる?倦怠期とは、夫婦が、その関係性に疲れ、面倒くさくなり、嫌気が差している時期であることが分かりました。この心理は、とくに夫婦関係のストレスをため込んでいる弱い側に顕著です。それでは、倦怠期からどうなるのでしょうか? ここで、倦怠期によるリスクを大きく3つ挙げてみましょう。(1)不倫秀明の営業の担当先の家が太郎と綾子であったことから、秀明と綾子は出会い、夫婦関係による葛藤や寂しさをお互いに満たすべく、W不倫に至りました。1つ目は、不倫です。さらに、不倫がなかったとしても、子どもが成人して自立すれば、一緒にいる必要がなくなるので、その時点から離婚のリスクが高まります。また、相手の稼ぎを当てにしている場合、相手が退職した時点から離婚のリスクが高まります。いわゆる熟年離婚です。(2)母子密着真弓は、もともと専業主婦として娘の麗奈の中学受験に一緒に励んでいました。娘の第一志望の合格を自分のことのように喜んでいます。2つ目は、母子密着です。子育てに熱心であることは、それ自体良いことです。ただ、夫婦関係がうまくいっていない分、夫が仕事に没頭するように、妻は子育てに没頭します。そして、子どもを自分の分身のようにとらえ、子どもをコントロールして、子どもを心理的に自立させないようにしてしまうリスクがあります。この結果が、不登校やひきこもりです。また、子どもが巣立ってしまえば、その反動で無気力になるリスクも高まります(空の巣症候群)。(3)嫁姑問題姑(太郎の母)は、綾子を召し使い扱いするだけでなく、「だめな嫁だよ」とたびたび綾子をなじっています。3つ目は、嫁姑問題です。ただでさえ、嫁と姑の関係は危ういものなのに、夫婦関係がうまくいっていない分、姑と夫との親子関係が強まり、姑が強くなって夫婦関係に介入することで嫁(妻)が孤立するリスクがあります。次のページへ >>

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あなたには帰る家がある(前編)【なんで倦怠期になるの?】Part 2

なんで倦怠期になるの?倦怠期によるリスクは、不倫、母子密着、嫁姑問題であることが分かりました。それでは、なぜ倦怠期になるのでしょうか? ここから、その原因を大きく3つ挙げてみましょう。(1)不安的なコミュニケーションスタイル-愛着スタイル1つ目は、不安的なコミュニケーションスタイルです。コミュニケーションスタイルとは、発達心理学的に言うと、愛着スタイル(ストレンジ・シチュエーション法による)です。ここから、登場人物を3つの愛着スタイルに分類してみましょう。なお、ストレンジ・シチュエーション法とは、乳幼児を親との分離・再会や知らない人(ストレンジャー)との面会という新規な状況(ストレンジ・シチュエーション)にあえてさらして見られる反応を3つのタイプに分類する実験手法です。a. ガミガミ型-不安型真弓は、夫婦関係のストレスに対して過敏に反応し、秀明にたびたび激怒しています。太郎は、先回りして自分の言いなりになることを綾子にしつこく確認しています。このように、夫婦関係で強い側の真弓や太郎はガミガミ言っています。1つ目は、ガミガミ型です。愛着スタイルで言うと、不安型です。これは、乳幼児が、親との分離のあとに泣き出しますが、親と再会しても怒りから泣き止まない反応をすることです。この原因は、親の愛情が気まぐれで一貫していないことが示唆されています。真弓の父親が不倫をしていたことから、母親はその苦労で情緒不安定だったことが描かれています。ちなみに、臨床的には、反応性愛着障害脱抑制型(脱抑制型対人交流障害)につながります。この詳細については、関連記事1をご参照ください。b. ヘコヘコ型-回避型秀明は、激怒する真弓に、顔色を伺ったり、話を逸らしたり、急に作り笑いをして立ち去るなど、向き合おうとしません。綾子は、太郎のモラハラに、笑顔ですべて受け流しています。このように、夫婦関係で弱い側の秀明や真弓はヘコヘコしています。2つ目は、ヘコヘコ型です。愛着スタイルで言うと、回避型です。これは、乳幼児が、親との分離のあとに泣き出さず、親との再会でよそよそしい反応をすることです。この原因は、親の愛情が一貫して乏しいことが示唆されています。綾子の実家は、もともと綾子に対して冷たかったことが描かれています。なお、後半の綾子は、秀明に執拗に迫っていく点で一見不安型にも見えますが、秀明と同棲を始めると、それ以上の距離を縮めようとしなくなる点で、やはり回避型と言えます。ただし、回避型も、根っこの心理は不安です。不安を不安としてそのまま過剰表出するのが不安型であり、不安を抑制しているのが回避型とも言えます。ちなみに、臨床的には、反応性愛着障害抑制型につながります。この詳細については、関連記事2をご参照ください。c. どっしり型-安定型カレー屋の店主の圭介は、真弓の話も秀明の話も親身に聞き、暖かみがあります。離婚歴があるというのは意外ですが、不安型の真弓に思いを寄せていたことが判明した点で、世話焼きの性分(共依存)から前妻が依存的になりすぎて結婚生活がうまくいかなった可能性を想定できます。圭介は、相手をそのまま受け止め、体格と同じく、内面的にもどっしりしています。3つ目は、どっしり型です。愛着スタイルで言うと、安定型です。これは、乳幼児が、親との分離の後に泣き出しますが、親との再会で速やかに泣き止む反応をすることです。この原因は、親の愛情が一貫して注がれていることが示唆されています。以上から、どっしり型が安定したコミュニケーションスタイルであるのに対して、ガミガミ型とヘコヘコ型は不安定なコミュニケーションスタイルであることが分かります。これらの3つのコミュニケーションスタイルの組み合わせによる倦怠期のリスクを表1にまとめてみましょう。たとえば、夫婦の一方がどっしり型の場合は、たとえもう一方がヘコヘコ型やガミガミ型であったとしても、その包容力によって夫婦関係としては概ね安定することが分かります。ヘコヘコ型×ヘコヘコ型の組み合わせの夫婦関係は、夫婦げんかがあまり起きないので、表面的にはうまく行っているように見えます。ただし、お互いに距離が縮まらずに絆自体は深まっていないです。いわゆる仮面夫婦です。ちょうど、同棲していた時の秀明と綾子がそうでした。よって、子どもの不登校やリストラなどの夫婦関係以外のストレスによってリスクが顕在化します。ガミガミ型×ガミガミ型の夫婦関係は、お互いに攻撃し合って疲弊するので、早い段階でリスクが高まるでしょう。(2)男女の脳機能の違い-システム化と共感性2つ目は、男女の脳機能の違いです。太郎は、理屈っぽいです。秀明は、真弓とは話し合いができないから最初から話をしないと割り切る理屈があります。このように、男性は、原因と結果の因果関係である論理(システム)や結果そのものに重きを置く心理があります(システム化)。この心理の詳細については、関連記事3をご参照ください。一方、真弓は、感情に任せて言いたいことを言います。綾子は、感情に従って、しつこく秀明に迫ります。このように、女性は、感情や関係性(プロセス)に重きを置く心理があります(共感性)。この心理の詳細については、関連記事4をご参照ください。このような男女の脳の働きの違いから、男女はなかなか分かり合えないという現実があります。とくに、共感性のとても高い妻が、共感性のとても低い夫に対して、気持ちが通じないためにストレス状態になるのは、ギリシア神話の登場人物にちなんでカサンドラ症候群と呼ばれています。一方で、システム化がとても高い夫が、システム化のとても低い妻に対して、理屈が通じないためにストレス状態になることも同じようにあります。ただし、この状態にはまだとくに名前が付けられていません。よって、この記事では、「逆カサンドラ症候群」と名付けます。ちなみに、名付けがまだされていない理由としては、おそらく、このストレス状態にある多くの夫が、秀明のように理屈が通じないことを理屈で理解してあきらめているため、その不満を妻ほど表立って表出しないからでしょう。この点から、男性に多い不安定な愛着スタイルは回避型であるのに対して、女性に多い不安定な愛着スタイルは不安型であるとも言えるでしょう。(3)男女の社会的な役割の違い-ジェンダーギャップ3つ目は、男女の社会的な役割の違いです(ジェンダーギャップ)。これは、秀明や太郎が外で働き、真弓や綾子が家で家事や育児をしていることです(性別役割分業)。これには、さらに3つのポイントがあります。1つ目は、お互いに関心がなくなることです。たとえば、分業によって、必然的に夫婦が一緒に生活する時間が少なくなります。そして、お互いにやっていることの大変さが見えなくなり、ますます分かり合えなくなります。心理学的には、同じ格好をする、同じ行動をする、同じ考えをすると相手への親近感が高まることが分かっています(同調性)。逆に言えば、別々のことをしていれば、それだけ心が通じ合えなくなるというわけです。もはや夫はATM、妻は家事代行サービス兼ベビーシッターにそれぞれなり下がってしまいます。2つ目は、助け合いを避けるようになることです。たとえば、最初は分業がうまくいっていても、子どもができる(または増える)、夫がリストラされる、親の介護が必要になる、夫婦のどちらかが病気になるなど、結婚生活で状況が変わることはいくらでもありえます。この時、分業にとらわれていると「家事育児をちゃんとしない妻が悪い」「稼ぎがない夫が悪い」「先にルールを破ったあなたが悪い」という心理が働くからです。分業は、結婚生活を維持するための手段であるはずが、目的そのものになってしまい、逆に結婚生活を維持できなくなる危うさがあります。また、分業が長い期間続くことで、ますます夫は家事育児に抵抗を感じるようにもなるからです。これは、専業主婦を長らくやっている妻が再就職に抵抗を感じるのと同じです。3つ目は、上下関係ができやすくなることです。たとえば、「誰のおかげだ?」と言う太郎のセリフのように、稼いでいる側(夫)が稼いでいない側(妻)よりも、偉そうに振る舞い、夫婦の決定権を握ることです。そのわけは、稼いでいない側が経済的に自立していないことで離婚した場合に経済的に困難になるリスクを稼いでいる側が見透かし、その足元を見るようになるからです(モラルハザード)。こうして、「頼れる夫」「尽くす妻」というステレオタイプ、いゆわる「男尊女卑」が揺るぎないものになっていきます。もちろん、この逆パターンもあります。ワーキングママが専業主夫に対して「私が働いてんのよ」といびることです。かかあ天下型は、「頼れる夫」というあるべき形(ステレオタイプ)ではないことへの夫の葛藤があります。一方、亭主関白型は、「尽くす妻」というあるべき形(ステレオタイプ)が行きすぎていることへの妻の葛藤があります。さらには、この「頼れる夫」は、モラルハラスメントのリスクを高めます。これは、妻が言いなりになるため、夫がやりたい放題になることです。たとえば、家計が夫の管理下に置かれ、妻が自由に使えるお金の余裕がないことです。また、妻が家事育児の負担を一方的に強いられ、時間や労力の余裕がなくなることです。このリスクは、とくに、子どもが1人目、2人目、3人目と増えるごとに高まります。つまり、「頼れる夫」によって「尽くす妻」を強いられることです。これは、もはや奴隷と言えるでしょう。なお、モラルハラスメントの心理の詳細については、関連記事5をご参照ください。また、「尽くす妻」は、共依存のリスクを高めます。この心理の詳細については、関連記事6をご参照ください。とくに日本は、ジェンダーギャップ指数において世界121位(2019年)です。世界的にも、夫婦が、お互いに関心がなくなり、分業というルールにとらわれ、上下関係ができやすい文化であることがよく分かります。ひと言で言えば、夫婦の分業は夫婦の分断を招くと言えるでしょう。 ■関連記事1.グッドウィルハンティング【反応性愛着障害】2.八日目の蝉【なぜ人を好きになれないの?毒親だったから!?どうすれば良いの?(好きの心理)】3.「カイジ」と「アカギ」(前編)【ギャンブル依存症とギャンブル脳】4.マザーゲーム(前編)【ママ友付き合い、なんで息苦しいの?(「女心」の二面性)】Part 15.美女と野獣【実はモラハラしていた!? なぜされるの?どうすれば?(従う心理)】6.だめんず・うぉ~か~【共依存】1)夫婦という病:岡田尊司、河出書房文庫、20162)共感する女脳、システム化する男脳:サイモン・バロン=コーエン:、NHK出版、2005<< 前のページへ

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第37回 早大が統合に踏み切れない東京女子医大の事情と「三派連合」の存在

慶應義塾大学が2023年4月をめどに東京歯科大学を統合、同大11番目の学部として歯学部が誕生する見通しだ。国内の総合大学では初めて医学部、看護医療学部、薬学部、歯学部の医療系4学部が揃うことになる。一方、慶大のライバルである早稲田大学は、長年に渡って東京女子医科大学との統合話が浮上しては立ち消え、実現に至っていない。その理由として、両大学の経営状況に加え、他大学からの“妨害”があったというきな臭い話も聞こえる。まず、慶大と東京歯科大が統合するメリットとは何か。先述の通り、慶大は医療系4学部を擁する国内初の総合大学として、ブランド力が一層強化される。また、附属校から歯科医を目指す場合、これまでは他大へ出るしかなかったが、晴れて内部進学が可能になる。一方、東京歯科大は経営状態が良好で国家試験の合格率も高いが、学生数の減少や歯科医師供給過剰による競争激化が進む中、「慶應」ブランドで優秀な学生集めることができる。つまり両者の統合は、名実ともに“Win-Win”の関係で成立するのだ。早大と東京女子医大の場合はどうか。東京女子医大にとって創立120年の節目である2020年は、悪いニュースが相次いだ。7月には、約30億円の病院の赤字と職員へのボーナス不支給、それを不満とした看護師400人の大量退職が報じられた。その後、同大は慌ててボーナスを支給した。その直後、2021年度の入学生から、6年間の学費を3,400万円から1,200万円アップの4,600万円にすると突如発表し、受験生に衝撃を与えた。総額が最も高い川崎医科大学(岡山県倉敷市)の4,740万円に次ぐ高さだ。背景には、コロナ禍による大学病院の収益悪化があるとされる。また10月には、6年前の医療事故について医師6人が書類送検される事態も起きた。関係者は「大学病院の財務状況とガバナンスが不全状態にある今の東京女子医大は、早大にとっては“お荷物”だ」と打ち明ける。一方、早大関係者は「17年から基金運用を始めるなど、早大の経営状況も順風満帆ではない。歴代総長のほぼ全員が検討し、『早稲田の悲願』と言われてきた医学部設置だが、うまみのある大学でないと統合は難しい」と打ち明ける。つまり現状を見る限り、早大と東京女子医大では“Win-Win”の統合になり得ないということだ。もう1つ、早大の医学部設置が叶わない背景を知る人物は次のように話す。「約20年前に、早大が医学部を持てるようにいろいろ動いたが、慶大、日本大学、東海大学の三派連合が立ちはだかり、どうにもこうにも行かなかった」と振り返る。ましてや三派連合の一角・慶大が医療系4学部を揃えるとなれば、医療界における慶大勢力はこれまで以上に強まるだろう。「早稲田大学医学部」の実現は、さらに遠のきそうだ。

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青年期のSNS利用と抑うつや不安症状との関連

 青年期や幼年期後期におけるソーシャルネットワーク(SNS)利用は、急激に増加している。このような変化によるメンタルヘルスへの影響は議論されているが、さらなる経験的評価が求められる。オーストラリア・メルボルン大学のLisa K. Mundy氏らは、青年期のSNS利用と抑うつ症状、不安症状との関連について調査を行った。Depression and Anxiety誌オンライン版2020年11月22日号の報告。 Childhood to Adolescence Transition Studyのデータ(1,156例)を利用し、11.9~14.8歳の4つの時点でのSNS利用時間を毎年測定した。1日1時間以上のSNS利用を、利用率が高いと定義した。SNS利用と抑うつ症状、不安症状との横断的および将来的な関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、社会経済的地位、メンタルヘルス罹病歴で調整した横断的分析により、SNS利用率が高い人においてメンタルヘルスリスクとの関連が認められたのは、以下のとおりであった。 ●SNS利用率が高い女性は抑うつ症状リスクが高い(オッズ比[OR]:2.15、95%信頼区間[CI]:1.58~2.91) ●SNS利用率が高い女性は不安症状リスクが高い(OR:1.99、95%CI:1.32~3.00) ●SNS利用率が高い男性は抑うつ症状リスクが高い(OR:1.60、95%CI:1.09~2.35)・女性では、利用頻度に波のない人と比較し、1つ前の波(OR:1.76、95%CI:1.11~2.78)と2つまたは3つ前の波(OR:2.06、95%CI:1.27~3.37)のSNS利用率の高さが、14.8歳時の抑うつ症状のORの増加と関連が認められた。 著者らは「SNS利用率の高い若者では、抑うつ症状や不安症状リスクの中程度の増加が認められた。初期のメンタルヘルス問題に対する予防プログラムにおいて、青年期初期のSNS利用に焦点を当てることが有用である可能性が示唆された」としている。

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冬の健康管理は3つのキープ(3K)に注目

 2020年11月18日(水)に大塚製薬株式会社より発行された、冬の健康管理についての最新情報に関するニュースレターで、「距離」「衛生」「体内の水分」の3つのキープ(3K)が冬の健康管理の新習慣として重要であること、体内の水分はイオン飲料での補給が効果的であることなどが紹介された。 その中で、東京女子医科大学 呼吸器内科学教授の多賀谷 悦子氏は「線毛輸送機能を維持し、ウイルス感染を防ぐには水分補給が重要となる。乾燥しやすい冬に効率のよい水分補給として、水分保持率の高いイオン飲料が有用である」と述べている。 ウイルスの脅威に立ち向かうため、空気の乾燥、暖房機器使用により湿度が低下した冬の水分摂取は重要である。やみくもな水分摂取ではなく、イオン飲料による効率的な水分摂取で、3つのキープ(3K)を意識した冬の健康管理が浸透することを期待したい。知らず知らずの乾燥 生活するうえで快適な湿度は40~60%といわれているが、冬の湿度は約50%、最小湿度で10~20%まで低下する。空気中の水蒸気量が少なく乾燥しやすいうえに、暖房機器の使用はさらなる乾燥を引き起こす。密閉性の高い近年の住環境も乾燥に拍車を掛けており、乾燥がウイルス活動の活性化の要因の1つとされている。冬のカラダは水分不足 私たちのカラダは1日に約2.5Lの水分を失う。皮膚や粘膜、呼気から失われる不感蒸泄は1日約900mLといわれており、気温が低く乾燥した冬の環境では消失量が増加する。夏と比較して汗をかきにくく、水分摂取の機会も減ることから、冬でも脱水を引き起こす可能性がある。ウイルスからカラダを守る「線毛運動」 線毛には、鼻やノドから入るウイルスの体内への侵入を防ぐ最前線の防御機能があり、気道に侵入したウイルスは粘液で捕らえられ線毛によって運搬・排除される。線毛は乾燥に弱く、湿度が低い環境下では運動能力が低下するため、湿度の維持とカラダの水分量を保つことが重要とされる。イオン飲料による水分補給の効果 低湿度環境下において、鼻腔粘液線毛輸送機能に対するイオン飲料の効果を「サッカリンテスト」にて検討1)したところ、「何も摂らない」「ミネラルウォーターを摂取」「イオン飲料を摂取」の3条件の中で、イオン飲料の摂取が線毛輸送機能の低下を有意に抑えた。また、イオン飲料と水を摂取し2時間後の体内保持率を比較した結果2)でもイオン飲料のほうが高く、イオン飲料は体内の水分量、線毛輸送機能を維持するために重要であると示唆されている。今冬は「3つのキープ(3K)」に注目 冬は気温が低く乾燥しやすい季節であり、ウイルス感染が心配されるため、「3つのキープ(3K)」を意識した健康管理が必要であるとして、下記の対策を大塚製薬は推奨している。・対策(1):KEEP DISTANCE(距離を保とう)・対策(2):KEEP CLEAN(衛生を保とう)・対策(3):KEEP WATER(水分を保とう)まとめ 2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、私たちの日常は大きく変化した。引き続きウイルスによる脅威に曝されている環境下にあるため、ソーシャルディスタンス、手洗い・うがいに加えて、イオン飲料による小まめな水分摂取を意識して、ウイルスに負けない健康管理に取り組む必要がある。

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なぜ・どうやって患者に禁煙をすすめるか?/日本肺学会

 11月に行われた第61回日本肺学会学術集会では、「禁煙を通して肺がん撲滅をめざす」と題したシンポジウムが行われ、この中で岡山済生会総合病院 がん化学療法センター長の川井 治之氏が「呼吸器内科医はなぜ・どうやって患者に禁煙をすすめているのか」と題した講演を行った。 冒頭に川井氏は、患者に禁煙を薦める理由として 1)喫煙は多くの呼吸器疾患の原因や悪化因子となる 2)がん治療への悪影響がある 3)がん治療後の2次(原発)がんの発生要因となる という基本事項を確認した。 1)について、今年に入って注目されたトピックスとして、COVID-19と喫煙の関係を紹介し、最新の研究を踏まえると「喫煙者は非喫煙者と比較して約2倍、新型コロナ感染症で重症化しやすい」1)というデータを共有した。 2)について、手術においては術後合併症発生率・術後死亡率・再手術の発生率がいずれも上がること、抗がん剤治療においてはイリノテカン・エルロチニブの全身曝露量を低下させ効果を減弱させる、シスプラチンの作用によるアポトーシスを阻害して耐性をもたらす、放射線治療においては治療効果の低下、治療関連毒性の増加など、各治療において広範囲に及ぶ悪影響があることを紹介した。さらに、小細胞肺がんの放射線化学療法中に喫煙を継続した場合、5年生存率が5%低下する2)、喫煙が肺がんの脳転移リスクを上昇させる3)といった研究結果も紹介した。 3)の喫煙関連の2次がんのリスク増については、喫煙者は治療後の肺がん発症リスクが6~24倍になること4)、2次がん発症のリスクが76%増加すること5)を指摘した。さらに診断時、3年以内に禁煙していた場合、現在の喫煙者と比較して死亡リスクが11%減少するというデータ6)を紹介し、喫煙の有害性、禁煙の有効性を改めて訴えた。相手に合わせて言葉を変え、あらゆる機会に介入 続けて、実際に診療にあたってどのように患者に禁煙をすすめるのかという点について、自身の実践を踏まえて紹介した。 初診時は、カルテのバイタルサイン欄に喫煙歴のチェック欄を設け、診療時に医療者が喫煙について触れる機会をつくる試みを紹介。この際、過去に喫煙歴のある患者は「(現在は)喫煙していない」と回答しがちなので、過去の喫煙歴も必ず聞くとよい、とアドバイスした。  「検診の胸部異常陰影で受診したが、CTでは異常がなかった」というケースの診療時では、「肺がんでなくてよかったですね。でもこのままタバコを吸っていると6人に1人は肺がんになります。良い機会ですから禁煙しませんか?」と伝え、40歳以下の患者であれば「喫煙者は寿命が10歳短くなりますが、今禁煙すれば寿命に対する影響をほぼなしにできますよ」と相手に響く言葉を添えたうえで禁煙外来につなぐことを紹介した。 さらに、非専門医が禁煙をすすめる際の手引きとして日本肺学会が翻訳・公開するNCCNガイドラインを推奨、自身のブログ・SNSを使った禁煙についての情報発信も紹介し、一般向けにわかりやすく禁煙の大切さを伝える重要性を訴えた。■参考1)Patanavanich R , et al. Nicotine & tobacco research. 2020 ;24:22;1653-1656.2)Videtic GMM, et al. J Clin Oncol. 2003;21:1544-9.3)Wu SY, et al. Int J Clin Exp Med. 2020;03:2174)The Health Consequences of Smoking—50 Years of Progress: A Report of the Surgeon General5)Tabuchi T, et al. Ann Oncol. 2013;24:2699-27046)Tabuchi T, et al. Int J Cancer. 2017;140:1789-1795.

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早期TN乳がんの術前化療+アテゾリズマブにおける患者報告アウトカム(IMpassion031)/SABCS2020

 未治療の早期トリプルネガティブ(TN)乳がんの術前化学療法に、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの追加を検討したIMpassion031試験における患者報告アウトカムの解析結果が報告された。米国・Brigham and Women's Hospital Dana-Farber Cancer InstituteのElizabeth A. Mittendorf氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 本試験では、18歳以上で未治療のStageII~IIIのTN乳がん患者333例を、アテゾリズマブ(840mg、2週ごと)+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ群)またはプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群)に1対1で無作為に割り付けた。12週間(3サイクル)投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)との併用で8週間(2サイクル)投与し、手術を実施した。術後、アテゾリズマブ群はアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと)を11回投与し、プラセボ群は経過観察を行った。主要評価項目の病理学的完全奏効(pCR)率については、PD-L1の有無にかかわらず、アテゾリズマブ群が57.6%とプラセボ群41.1%に比べて有意に改善(p=0.0044)したことがすでに報告されている。 患者報告アウトカムの測定は、EORTC Quality of Life Questionnaire Core 30(QLQ-C30)およびFunctional Assessment of Cancer Therapy-General(FACT-G)single item GP5の質問票を用いて、術前療法および術後療法の各サイクルのベースライン・1日目・治療終了時、観察期間には1年目は3ヵ月ごと、2~3年目は6ヵ月ごと、その後は年に1回実施した。 主な結果は以下のとおり。・両群のQLQ-C30完了率(ITT解析)は、ベースラインは100%、術前療法期間では90%以上、術後療法期間(16サイクルまで)では89%以上、GP5完了率は、ベースライン(2サイクル1日目)で98%以上、術前療法期間および術後療法期間で88%以上であった。・ベースラインの平均値(95%CI)は、身体機能がアテゾリズマブ群91%(89~93)、プラセボ群90%(88~92)、役割機能がアテゾリズマブ群89%(86~93)、プラセボ群89%(86~92)、健康関連(HR)QOLがアテゾリズマブ群79%(76~82)、プラセボ群76%(73~79)と高かった。・16サイクルまでの治療評価期間、観察期間を通じ、身体機能、役割機能、HRQOLの平均値とベースライン値からの平均変化は両群で類似していた。・平均身体機能は、両群で3~5サイクル目の術前療法期間中に臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、7サイクル目の開始を安定させた。・平均役割機能は、アテゾリズマブ群では2サイクル目から、プラセボ群では3サイクル目から5サイクル目までの術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、プラセボ群のみ9サイクル目で安定した。・平均HRQOLは、両群で3~5サイクル目の術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間で回復し、6サイクル目から安定した。・術前療法期間の疲労、下痢、悪心・嘔吐は、機能およびHRQOLにおけるベースライン値からの平均および平均変化と類似した傾向で、両群とも5サイクルを通じて悪化した。術後療法期間の平均症状スコアは、疲労を除いて両群ともベースラインと同様であった。 Mittendorf氏は、「両群の治療関連症状は類似しており、化学療法へのアテゾリズマブの追加は新たな副作用はみられず忍容性があった。この解析結果から、nab-パクリタキセル後にACを投与する術前化学療法にアテゾリズマブを追加することで、患者に新たな治療負担を与えることなくpCRを改善することが示された」と述べた。

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Pfizer社の新型コロナワクチンの第III相試験結果/NEJM

 ファイザーとビオンテックによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、16歳以上における30μgの2回投与の有効率は95%で、同有効率は年齢や性別、基礎疾患の有無といったサブグループでも同程度であった。また、中央値2ヵ月間の安全性は、その他のウイルスワクチンと類似していた。アルゼンチン・Fundacion INFANTのFernando P. Polack氏らによる、進行中の第II/III相国際共同プラセボ対照観察者盲検化pivotal有効性試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年12月10日号で発表した。BNT162b2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のfull-lengthスパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子製剤・修飾ヌクレオシドmRNAワクチンである。第III相試験はコロナワクチンBNT162b2を3週間隔で2回投与 第III相試験は、16歳以上の健康な男女を無作為に2群に分け、一方には新型コロナウイルスワクチンBNT162b2(30μg)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ21日間隔で2回投与した。 主要エンドポイントは、検査によって確認されたCOVID-19に対するワクチンの有効性および安全性だった。第III相試験での新型コロナウイルスワクチンの有効率は95% 第III相試験では合計4万3,548例が無作為化を受け、4万3,448例が注射投与を受けた。新型コロナウイルスワクチンのBNT162b2群が2万1,720例、プラセボ群は2万1,728例だった。 2回目投与後7日以降にCOVID-19の発症が確認されたのは、プラセボ群が162例だったのに対し、BNT162b2群は8例で、BNT162b2の有効率は95%だった(95%信用区間[Crl]:90.3~97.6)。 ワクチン有効率は、65~75歳未満で94.7%であり、年齢や性別、人種、民族、ベースラインのBMI、基礎疾患の有無で分類したサブグループにおいて類似していた(概して90~100%)。 安全性プロファイルは、注射部位の短期的な軽度~中等度の疼痛、倦怠感、頭痛で特徴付けられた。重度有害イベントの発現頻度は低く、両群で類似していた。

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PD-L1陽性TN乳がん1次治療、ペムブロリズマブの上乗せ効果は?(KEYNOTE-355)/Lancet

 未治療の局所再発手術不適応または転移のあるPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比べて、無増悪生存(PFS)期間が有意かつ臨床的意義のある改善を示した。スペイン・Quiron GroupのJavier Cortes氏らによる第III相の国際多施設共同プラセボ対照二重盲検試験「KEYNOTE-355試験」の結果で、Lancet誌2020年12月5日号で発表された。著者は、「今回示された結果は、転移のあるトリプルネガティブ乳がんの1次治療について、標準治療へのペムブロリズマブ上乗せの意義を示すものである」と述べている。先行研究で同患者へのペムブロリズマブ単剤療法が、持続的な抗腫瘍活性と管理可能な安全性を示しており、研究グループは、同患者へのペムブロリズマブの上乗せが、化学療法の抗腫瘍活性を増強するかを検討した。29ヵ国209ヵ所の医療機関で試験 KEYNOTE-355試験は、29ヵ国209ヵ所の医療機関を通じ、未治療の局所再発手術不適応または転移を有するトリプルネガティブ乳がん患者を無作為に2対1の2群に割り付け、一方にはペムブロリズマブ(200mg、3週間ごと)+化学療法(nabパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチンのいずれか)、もう一方にはプラセボ+化学療法を行った。無作為化は、ブロック法(ブロックサイズは6つ)および統合Web応答機能付き対話型音声応答システムを用い、化学療法のタイプ(タキサン系またはゲムシタビン+カルボプラチン)、ベースラインでのPD-L1発現(CPS 1以上または1未満)、同クラス薬剤による化学療法歴(術前・術後)で層別化も行った。 適格基準は、18歳以上、トリプルネガティブ乳がんを中央施設で確認、測定可能病変が1つ以上、中央検査施設でトリプルネガティブ乳がんの状態およびPD-L1の状態を免疫組織学的に検査するための新たな腫瘍病変が提供可能、ECOG PSが0または1、十分な臓器機能であった。試験のスポンサー、研究者、そのほか各地の試験スタッフ(マスクされなかった薬剤師は除く)および患者は、ペムブロリズマブまたはプラセボ投与について知らされず、患者ごとのPD-L1バイオマーカーの結果も知らされなかった。 主要評価項目は2つで、PD-L1 CPSが10以上の患者、CPSが1以上の患者、ITT集団のそれぞれにおけるPFSと全生存(OS)だった。PFSは今回の中間解析で評価し、OSの評価は追跡を継続している。PFSの評価には階層テスト戦略が用いられ、最初にPD-L1 CPSが10以上の患者で行われ(今回の中間解析の事前規定の統計学的基準はα=0.00411)、その後にCPSが1以上の患者(今回の中間解析のα=0.00111、CPSが10以上の患者のPFSからの部分的α値を含む)、最後にITT集団(今回の中間解析のα=0.00111)で評価した。CPS 10以上の無増悪生存、ペムブロリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月 2017年1月9日~2018年6月12日に1,372例がスクリーニングを受け、847例が無作為に割り付けられた(ペムブロリズマブ群566例、プラセボ群281例)。2次中間解析(データカットオフは2019年12月11日)での追跡期間中央値は、ペムブロリズマブ群25.9ヵ月(IQR:22.8~29.9)、プラセボ群26.3ヵ月(22.7~29.7)だった。 CPS 10以上の患者群では、PFS期間中央値はペムブロリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月だった(病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.49~0.86、片側p=0.0012)。 CPS 1以上の患者群では、PFS期間中央値はそれぞれ7.6ヵ月、5.6ヵ月で有意差は示されなかった(HR:0.74、95%CI:0.61~0.90、片側p=0.0014)。ITT集団では、それぞれ7.5ヵ月、5.6ヵ月だった(0.82、0.69~0.97、有意性の検定は未実施)。 ペムブロリズマブの治療効果として、PD-L1誘発の増大が確認された。 Grade3~5の治療関連有害イベントの発生率は、ペムブロリズマブ群68%、プラセボ群67%だった。そのうち、死亡はペムブロリズマブ群1%未満、プラセボ群0%だった。

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