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成人発症のがんサバイバー、2次原発がんの発症・死亡リスク高/JAMA

 米国の成人発症がんの生存者は一般集団と比較して、いくつかの種類の原発がんで、2次原発がん(SPC)の発症およびSPCによる死亡のリスクが高く、喫煙または肥満に関連する一部のSPCは、がん生存者全体におけるSPC罹患およびSPCによる死亡に占める割合が高いことが、米国がん協会(ACS)のHyuna Sung氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年12月22・29日号に掲載された。新たながんを発症するがん生存者の数は増加すると予測されている。一方、成人発症がんの生存者におけるSPCのリスクに関して、包括的なデータは十分でないという。SEERの12のレジストリデータを用いた後ろ向きコホート研究 研究グループは、成人発症がんの生存者における全体およびがん種別のSPCリスクを、1次原発がん(FPC)の種別および性別で定量的に評価することを目的に、後ろ向きコホート研究を行った(ACSの助成による)。 解析には、米国のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)の12のレジストリのデータを用いた。対象は、1992~2011年の期間に年齢20~84歳でFPCと診断され(2017年12月31日まで追跡)、5年以上生存した患者であった。 主要アウトカムは1万人年当たりのSPC罹患およびSPCによる死亡とし、標準化罹患比(SIR)と標準化死亡比(SMR)を一般集団の予測値と比較した。男女とも喉頭がんでSIRが高く、肺がんで全SPC死の3割以上 153万7,101例の生存者(平均年齢60.4歳、女性48.8%)のうち、1,119万7,890人年(平均7.3年)の追跡期間中に、15万6,442例がSPCに罹患し、8万8,818例がSPCで死亡した。 男性では、一般集団と比較して、30種のFPCのうち18種でSPC発症リスクが、27種でSPCによる死亡リスクが統計学的に有意に高かった。また、女性では、一般集団と比較して、31種のFPCのうち21種でSPC発症リスクが、28種でSPCによる死亡リスクが統計学的に有意に高かった。 男性では、SIRが最も高かったのは喉頭がんの生存者(SIR:1.75、95%信頼区間[CI]:1.68~1.83、罹患率:1万人年当たり373例)であり、SMRが最も高かったのは胆嚢がんの生存者(SMR:3.82、95%CI:3.31~4.39、死亡率:1万人年当たり341例)であった。また、女性では、SIRおよびSMRはいずれも、喉頭がん生存者(SIR:2.48、95%CI:2.27~2.72、罹患率:1万人年当たり336例、SMR:4.56、95%CI:4.11~5.06、死亡率:1万人年当たり268例)で最も高かった。 特定のFPCとSPCリスクとの関連には大きなばらつきが認められた。一方、喫煙または肥満に関連する一部のSPC(たとえば、肺がん、膀胱がん、口腔・咽頭がん、大腸がん、膵がん、子宮体がん、肝がんなど)だけで、全SPCの罹患率および死亡率のかなりの割合を占めており、肺がん単独で全SPCによる死亡の31~33%を占めた。 著者は、「これらの知見は、がん生存者における継続的なサーベイランスおよび新規がんの予防への取り組みの重要性を強調するものである」としている。

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第37回 軽症者の宿泊・自宅療養を義務化など、感染症法を改正へ

<先週の動き>1.軽症者の宿泊・自宅療養を義務化など、感染症法を改正へ2.救急車利用、20年間で1.8倍増と過去最高記録を更新3.医療事故調査制度、発足5年で見直しを求める声4.国土交通省、サービス付き高齢者住宅の監視を強化へ5.人件費、医薬品・医療材料費の高騰で民間病院の経営状態が悪化1.軽症者の宿泊・自宅療養を義務化など、感染症法を改正へ新型コロナウイルス対策を定めた新型インフルエンザ等対策特別措置法について、1月18日に招集される通常国会において改正される見込みとなった。今回の改正には、ほかの法案と切り離し、特例で先行処理を行うとして与野党間でも合意をしている。緊急事態宣言下で、都道府県知事の休業命令に対して、事業者が従わない場合に50万円以下の「過料」を科すことも検討されており、感染拡大防止のため、早期の成立を目指すことになる。さらに政府・与党は、感染症の対策強化のため、軽症・無症状者の宿泊・自宅療養を感染症法により義務化する検討に入った。自治体が新型コロナウイルス感染者に対して入院を命じても応じなかった場合、罰則を科す内容も含め、感染防御の実効性を持たせるとみられる。(参考)休業命令違反に過料50万円 コロナ特措法改正で―政府(時事通信)コロナ軽症者、宿泊・自宅療養を義務化 感染症法改正検討 政府・与党(毎日新聞)2.救急車利用、20年間で1.8倍増と過去最高記録を更新2019年の救急車による救急出動件数は663万9,767件(対前年比3万4,554件[0.5%]増)、搬送人員は597万8,008人(対前年比1万7,713人[0.3%]増)で救急出動件数、搬送人員ともに過去最多となったことが総務省の発表で明らかとなった。1999年の出動件数370.1万件と比較すると、この20年間で約1.8倍に増えている。また、救急車が現場に到着するまでの時間は2019年で8.7分と、1999年の6.0分から2.7分伸びた。病院までの搬送時間も同年の26.7分から39.5分と約1.5倍となっている。このうち急病の搬送人員数は392万2274人と、10年連続で過去最高。搬送された患者の60%以上が65才以上であり、高齢化によると考えられる。ただ、対前年比の増加率は過去10年で最低であり、「軽症での救急搬送割合」は前年から0.8ポイント減少するなど、適正利用の啓発が効を奏していると考えられる。(参考)「令和2年版 救急・救助の現況」の公表(総務省)3.医療事故調査制度、発足5年で見直しを求める声患者の「予期しない死亡」を対象とする医療事故調査制度が発足から5年を経過し、医療機関側に原因の調査などが義務付けられているが、被害者団体が2020年12月に、制度改善のための検討会を設置するよう求める要請書を厚生労働省に提出した。制度の対象となる医療事故の相談がこの5年間で135件があったが、3割に当たる55件は実際には報告されなかった。患者団体は「第三者機関の調査権限を強化すべき」と新たに検討会を開き、制度の見直しを求めている。現在の医療事故調査制度の主な問題点として医療過誤原告の会が指摘しているのは、以下の項目などで、今後も政府への働きかけを強めていくだろう。1)死亡事故が起きた際、「予期せぬ死亡事故」だったのかを医療機関側が判断するため「予期した死亡」とみなしてセンターへ報告しない場合、それを第三者が検証できない2)被害者遺族が「医療事故ではないか」と思っても、第三者として判断してくれるところがない3)医療事故調査・支援センターの調査報告書は公表されていないので再発防止に役立っていない4)死亡事故のみで重度障害事故が対象外になっている。(参考)「医療事故調査制度」見直しへ遺族ら要望「調査が不十分」(NHK)4.国土交通省、サービス付き高齢者住宅の監視を強化へ国土交通省は、サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会において議論を重ねてきたが、介護報酬改定に合わせて、2021年度から高齢者住宅のサービス内容などについて監視機構を強化することに決めた。現在、全国で26万人の高齢者が居住しているが、経営不振または入居者減少、人手不足を理由に、廃業する事業者が発生し、高齢者が住まいを失うことが問題になっている。今後は、すべての施設に入居・退去者の数や退去理由などの公開を義務化するとともに、人手不足については、職員の常駐を求める規制を緩和するなどの検討を進める。また、一部で問題とされている、自社提供の介護サービスを使わせるため家賃を安く抑えている施設については、補助金の支給対象から外すなどを検討している。(参考)サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会 第5回配布資料(国土交通省)5.人件費、医薬品・医療材料費の高騰で民間病院の経営状態が悪化2018~2019年度にかけて、民間病院の医療法人の経営状態が悪化していることが、福祉医療機構(WAM)により公表された「2019年度(令和元年度)決算 医療法人の経営分析参考指標」で明らかとなった。事業収益対事業利益率は2.0%と、前年度に比べ、0.2ポイントの低下となった。また、医療従事者などの1人当たり人件費は5,349千円と、前年度より4万6千円上昇し、人件費率が58.2%と前年度と比べて0.1ポイント上昇していた。さらに、医療材料費率が12.0%と前年度比0.1ポイント上昇しており、これらの費用の増加が事業収益対事業利益率の低下の一因と考えられる。現在、コロナウイルスの感染拡大で、民間病院に対してもコロナウイルス感染者の受け入れの要請が求められているが、院内感染対策やクラスター対策などのコストがあるため、踏み切れない病院も多いと考えられる。(参考)2019年度(令和元年度)決算 医療法人の経営分析参考指標の概要について(独立行政法人 福祉医療機構)2019年度の医療法人経営、人件費・医薬品・医療材料費等のコスト増で「収益率は悪化」―WAM(Gem Med)

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開業or離婚!?人生の分かれ道は夫婦の分かれ道【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第9回

第9回 開業or離婚!? 人生の分かれ道は夫婦の分かれ道漫画・イラスト:かたぎりもとこ開業するに当たって「タイミング」は非常に重要です。医師会の調査によると、新規開業の場合、開業する医師の平均年齢は41.3歳であることがわかっています1)。開業タイミングに影響するライフイベントや制約条件としては、主に以下の5つがあるでしょう。(1)出産/育児(2)介護(3)教育費(4)融資の可否(5)売り手側の希望(承継開業の場合)(1)は今回の例にもあるように、配偶者や自分の出産/育児のタイミングに開業するというケースです。開業したいと考えていたものの、想像以上に育児に時間がとられることがわかり、開業を断念するという方もいます。(2)も育児と同様に、介護によってプライベートに大きな負担が発生することが理解しやすいでしょう。(3)の教育費については、子供が成長するにつれ、子供の進路が開業に影響してくることがあります。とくに医師の場合は「子供も医師にしたい」と考える方も多く、私立大学の医学部を目指すとなれば、進学準備や学費に潤沢なキャッシュが必要となります。新規開業の場合は開業して2年程度は勤務医よりも年収が下がる可能性が高く、状況によっては開業を断念せざるを得ない方もいます。(4)の融資の可否はさらにシビアな問題です。もちろん、自分の貯蓄を活用して開業する分には問題にはなりませんが、新規開業では7,000万円程度の初期費用が必要となり、融資の利用を検討される方も多くいます。弊社データでは開業時に90%以上の方が融資を受けており、融資先としては地銀からが60%以上となっています。住宅ローン等と同様に、年齢が上がるにつれて、融資の審査は厳しくなります。承継しての開業であれば、新規開業よりも初期費用が抑えられ、かつ旧院長(売り手)のこれまでの財務実績があるため事業計画を立てやすく、融資を受ける際の説明も通りやすくなります。(5)承継開業の場合には、売り手の院長は「できれば長く医院を運営してくれる人に譲りたい」と考えることが多く、買い手側の医師の年齢がネックとなって譲渡希望者に選ばれない、というケースが散見します。逆に、30代など若い医師の場合も、売り手側が不安を感じて選ばれない、というケースがあります。「年齢」という、どうにもならない要素によって開業の可否が決まるケースがあることも、また事実なのです。こうして見ていくと「完璧なタイミング」というものは、ほぼ存在しないことがわかります。どの方も何かしらの困難や不安を抱えつつ、決断し、開業するのです。参考1)日本医師会総合政策研究機構. ワーキングペーパー 開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査. 2009年

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あなたには帰る家がある(後編)【なんで倦怠期は「ある」の?どうすればいいの?】Part 1

今回のキーワード絆の強さ(愛着スタイル)生殖戦略世代間連鎖男女平等(男女共同参画)アサーション夫婦間のSST共働きと共子育て「屋上付きの2階建て」そもそもなんで倦怠期は「ある」の?倦怠期になる原因は、不安定なコミュニケーションスタイル(愛着スタイル)、男女の脳機能の違い(システム化と共感性)、男女の社会的な役割の違い(ジェンダーギャップ)であることが分かりました。それでは、そもそもなぜこの3つの原因は「ある」のでしょうか? ここから、3つの原因の起源を進化心理学的に、そして文化心理学的にそれぞれ探ってみましょう。(1)男女の脳機能の違いの起源-生存と生殖に適応的だったから約700万年前にチンパンジーと共通の祖先が、二足歩行をするようになり、人類が誕生しました。この時に、手が自由になり、獲った食料を持ち歩けるようになりました。そして、男性は、日々食料を確保し、女性と分け合い、そのお返しとして、女性がその男性とセックスして、生まれた子どもを育てるようになりました。これが、性別役割分業の起源です。この時、食料を毎回取ってこれる男性が、女性に選ばれるでしょう。よって、生き残り子孫を残す男性の心理は、どうやって得るか、そして何を得るか、つまり理屈(論理)と結果です。これが、システム化の起源です。一方で、子どもを生んで無事に育てる女性が、男性に選ばれるでしょう。よって、生き残り子孫を残す女性の心理は、見た目や肌の美しさ(感染症の兆候がないこと)という身体的な特徴に加えて、子ども(相手)の気持ちにどう応えるか、そしてどうやって一緒にいるか、つまり情緒(感情)や関係性(プロセス)です。これが、共感性の起源です。つまり、男女の脳機能の違いが「ある」は、生存と生殖に適応的だったからであると言えるでしょう。(2)不安定な愛着スタイルの起源-生殖に適応的だったから約700万年前に人類が性別役割分業をするのと同時に、特定の男性と特定の女性がセックスをするようになりました。これが、一夫一妻型(制)の起源です。約300万年前に人類が家族を中心とした血縁集団の部族をつくるようになりました。そして、助け合うと、オキシトシンとあいまってドパミンが活性化して心地良く感じるようにもなりました。これが、絆(愛着スタイル)の起源です。これは、前編でご紹介した同調性にもつながります。夫婦は「好きでい続けるから助け合える」と思われがちですが、実は逆です。夫婦は「助け合うから好きでい続ける」のです。ただし、これは安定型の愛着スタイルの話です。一方、夫婦のどちらか、とくに両方の愛着スタイルが不安定な場合、子どもが身体的に自立する4歳以降、つまり子育てが一段落する結婚4年目以降に、倦怠期になり、離婚と再婚が繰り返されることが促進されます。すると、異なる夫婦関から生まれる子孫は、遺伝子をより多様に残せます。この子孫は、多様な免疫力を持っている点で、倦怠期にならない夫婦から生まれる子孫よりも、生存の適応度を高めます。もちろん、夫婦として幸せかどうかは別問題です。つまり、不安定な愛着スタイルが「ある」のは、生殖に適応的だったからです。これは、不倫の心理にもつながる生殖戦略です。なお、不倫の心理の詳細については、関連記事7をご参照ください。もちろん、愛着スタイルは、遺伝的に受け継がれるだけでなく、文化的にも受け継がれます(世代間連鎖)。ガミガミ型(不安型)やヘコヘコ型(回避型)の不安定な愛着スタイルの両親から生まれる子どもたちは、前編のストレンジ・シチュエーション法でご説明したとおり、気まぐれで一貫していない愛情(不安型)や、一貫して乏しい愛情(回避型)を親から受け取ることになるというわけです。なお、そんな子どもたちは、不安定なもともとの家族から逃れるため、早期に結婚して新しい家族をつくる生殖戦略をとります。この戦略は、その後に離婚と再婚を繰り返すことも含めて、やはり生殖の適応度は高いと言えるでしょう。 (3)ジェンダーギャップの起源-近代社会に適応的だったから約1万数千年前に現生人類が農耕牧畜をするようになりました。一家総出で田畑や牧場で働く生活スタイルになり、性別役割分業は、いったん目立たなくなりました。しかし、200年前の産業革命から、夫が働いた給料で女性が働かなくてもすむようになり、子育てと家事に専念する専業主婦が生まれ、性別役割分業が逆に際立っていきました。これが、ジェンダーギャップの起源です。つまり、ジェンダーギャップが「ある」のは、近代社会に適応的だったからです。しかし、20世紀後半の情報革命から、男女平等(男女共同参画)が高まり、世界的にはジェンダーギャップは小さくなってきました。しかし、日本をはじめとする東アジアでは、もともと上下関係に馴染みやすい集団主義の文化(権威主義的パーソナリティ)が根付いていました。男尊女卑はその代表です。そのため、日本はジェンダーギャップへの対策は、大きく出遅れています。なお、権威主義的パーソナリティの詳細については、関連記事8をご参照ください。 次のページへ >>

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あなたには帰る家がある(後編)【なんで倦怠期は「ある」の?どうすればいいの?】Part 2

倦怠期にどうすればいいの?倦怠期の起源は、生存、生殖、そして社会に適応的であったことによるものであることが分かりました。それでは、倦怠期にどうすればいいのでしょうか? ここから、不安定な愛着スタイル、男女の脳機能の違い、ジェンダーギャップという3つの原因に対しての対策をそれぞれご紹介しましょう。(1)不安定な愛着スタイルへの対策-アサーションアサーションとは、相手にうまく伝えるためのコミュニケーションスキルのことです。英語で直訳すると「主張」ですが、意訳すると「爽やかな言い方」になるでしょう。たとえば、真弓が秀明に面と向かって「パパって家族のこと、何にも考えてないでしょ!」と怒鳴るシーンがあります。これは、アサーションでは、感情的に相手を威嚇・挑発するという攻撃的なコミュニケーションに当たります。これは、言い過ぎです。一方、その真弓の剣幕に対して秀明は、にらみ返しますが、しばらくして急に作り笑いをして無言になります。これは、アサーションでは、相手に気を遣って我慢するという非主張的なコミュニケーションに当たります。これは、言わなさ過ぎです。このように、攻撃と非主張のコミュニケーションがパターン化されることで、ガミガミ型(不安型)とヘコヘコ型(回避型)のコミュニケーションスタイル(愛着スタイル)が強化されていくという悪循環が起きるわけです。これは、太郎と綾子のコミュニケーションにもきれいに当てはまります。アサーションによる取り組みによって、まず、このようなコミュニケーションのパターンに気付くことです。そして、攻撃でもなく非主張でもなく、自分の気持ちや思いを大切にして率直に伝えると同時に、相手の気持ちや思いも大切にして耳を傾けるアサーティブなコミュニケーションをすることです。根っこにある愛着スタイルは、あくまでコミュニケーションの「癖」です。「癖」は意識して、トレーニングをして変えていくことができます。実際に、真弓が秀明に離婚を切り出すシーンで、真弓は「悔しいけど、私自分で思っていたより、ずっとパパのこと好きだった。だから、パパ、私傷ついたよ」と冷静に伝えています。すると、秀明は「ウニ丼の店、また行こう」「映画も」ともう一度やり直したい気持ちを素直に打ち明けます。また、太郎は、真弓の指摘の甲斐もあって、これまでのような綾子を言いなりにさせる夫婦関係を悔い改めます。ラストシーンでは、綾子が「誰のおかげ?」と冗談めかして太郎にたずね、太郎は「綾子のおかげです」と笑顔で答えています。もはや、この2組の夫婦関係は、かかあ天下型でも亭主関白型でもなくなってきています。なお、アサーションの詳細については、関連記事9をご参照ください。 (2)男女の脳機能の違いへの対策-夫婦間のSSTSST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、社会的なスキルをトレーニングすることです。SSTは、先ほどのアサーションも広い意味では含みます。この記事では、SSTをとくに男女の脳機能の違い、つまり理屈っぽい夫(システム化)と情緒的な妻(共感性)へのコミュニケーションスキルについてそれぞれフォーカスします。この取り組みによって、前編でご紹介したカサンドラ症候群や「逆カサンドラ症候群」を予防しましょう。a. 理屈っぽい夫へのSSTこれは、妻が、夫は共感が苦手であることを理解して、論理的に接することです。ポイントは、以下の3つのきっちり感です。男性は、きっちりという形(結果)に重きを置くからです。これらは、男性同士のコミュニケーションでは、当たり前のようにやられています。1つ目は、きっちり説明することです。たとえば、家事の分担をお願いするとき、妻は「私のつらさを察して」と感情的に言わず、家事の負担、妻も仕事をしている場合はその負担、子どもがいるなら育児の負担の内容を具体的に書き出し、さらには数値化もすることです。お願いする根拠を示すことで、理屈で訴えることです。また、連絡事項は、結論から言い、「3つある」とポイントをカウントすることです。伝え方としては、いきなり話し出すのではなく、顔を見て、間を置くことです。この理由は、男性は、女性と比べて、視覚的な情報処理が得意である一方、聴覚的な情報処理が不得意だからです。その起源は、男性の脳機能が狩りのため、そして女性の脳機能が子育てのために最適化されてきたからと言えます。よって、男性は、遠くのものや位置関係など把握する空間認識能力は長けていますが、女性のように近くのものや声を把握する危機回避能力は長けていないのです。2つ目は、きっちりルール化することです。この理由は、ルールとは理屈そのものなので、男性に受け入れやすいからです。たとえば、家事について「気付いて臨機応変に動いて」と漠然と期待せず、家事の内容や時間を細かく分けて、分担表を張り出すことです。また、愚痴りたい時、「優しくして」と情緒的に言うのではなく、「今、愚痴りたい。『大変だったね』のひと言のみちょうだい」「いつもの慰め一発ちょうだい」と具体的に言うことです。3つ目は、きっちり感謝することです。たとえば、分担した家事について「ちゃんとできていない」と厳しくダメ出しせず、完璧でなくても「ありがとう」「助かる」「うれしい」というポジティブな言葉をあえて言い、時にメールや手紙で文章にすることです。この理由は、「頼れる夫」というメンツを守るためです。メンツは、体裁という形(システム)であるため、より男性が重んじるからです。さらには、妻が「このフタ取れない。取ってくれない?」とわざと甘えるのも効果的でしょう。b. 情緒的な妻へのSSTこれは、夫が、妻は理屈が苦手であることを理解して共感的に接することです。ポイントは、以下の3つのとりあえず感です。女性は、とりあえずという流れ(プロセス)に重きを置くからです。これらは、女性同士のコミュニケーションでは、当たり前のようにやられています。1つ目は、とりあえず謝ることです。たとえば、夫の帰宅が遅くなった時、夫は「急な残業だからしょうがないじゃん」という理屈は言わず、まず「心細い思いをさせてごめん」と謝ることです。簡単に謝るのは納得できないと思うかもしれませんが、この場合の謝ることは、共感的な挨拶であるととらえ直しましょう。たとえ妻が「仕事と私、どっちが大事なの?」という究極の質問をしてきても同じです。これは、典型的なジレンマの罠です。夫が「仕事だからしょうがないじゃん」と答えれば、ますます妻の怒りが増します。逆に、「もちろんきみだよ」だと答えても、じゃあなぜ遅かったのかと、結局妻の怒りが増します。かと言って、夫は「そんなこと比べることはできない」と正論を言っても、怒りはおさまりません。なぜなら、妻だってそんなことは最初から分かっているからです。この質問の模範解答は、まず「そんなふうに思わせてごめん」と謝ることです。2つ目は、とりあえず合わせることです。たとえば、妻が困りごとを言った時、「だったらこうすればいいじゃん」という解決策をすぐに言わず、まず「困ったね」「つらいね」と気持ちに寄り添う言葉かけをすることです。この理由は、女性は解決(結論)よりも関係性、つまり大切にされているかを重んじるからです。むしろ、解決策をすぐに言われたら、人格を否定されたとも受け取りかねません。3つ目は、とりあえず雑談することです。たとえば、妻が1日の出来事の報告を延々と話している時、夫は「オチがない」と否定せず、「そうそう!」「分かる~」と合いの手を入れることです。また、自分もオチのない話をあえてすることです。これは、ある意味「共感オチ」です。お互いに大切にしているというメッセージを伝え合う目的があると理解しましょう。メールやラインで、妻が「今、○○中」との事実の報告のみを送ってきた場合、夫は「だから?」と決して無視せず、「こっちは××中」と事実の報告返しをすることです。これは、どこにいても相手のことを思っているというメッセージを伝え合う目的があると理解しましょう。(3)ジェンダーギャップへの対策-共働きと共子育て共働きが夫も妻も働くことであるように、共子育てとは夫も妻も子育てにかかわることです。もちろん、家事は言うまでもありません。この2つの取り組みによって、夫婦が、再びお互いに関心を抱き、心を通じ合い、対等になり、モラルハラスメントや共依存を予防することができます。とくに、欧米では、共働きも共子育ても当たり前になっています。夫が子育てにかかわらないのも、妻が働かないのも少数派です。夫が育児や家事をしないのと同じように、妻が仕事をしないことが問題視されます。妻が働いていない場合は、病気なのかと周りから思われます。それほど専業主婦という概念そのものが薄れています。妻が働く意味は、妻が経済的な自立だけでなく、心理的な自立も取り戻し、真に夫と対等に夫婦の決定ができるようになることです。そして、そもそも話し合いができない、対等になれないのであれば、離婚という限界設定ができることです。妻は、夫が定年退職するまで我慢して待たなくてよくなります。熟年離婚ほどお互いに不幸なものはありません。早い段階で見切りを立てることができれば、再婚のチャンスもあります。逆に言えば、離婚という限界設定があるために、夫がモラルハザードに陥ることなく、夫婦の決定に真剣に向き合うようになるとも言えます。ドラマの中で、太郎は、綾子の本気の離婚の申し出によって初めて彼女への理解を深め、今までの接し方を悔い改めました。ただし、日本では、女性が働きたくてもなかなか働けない、男性が働かされ過ぎて家事や育児をやる余裕がないという現実もあります。その原因は、雇用の流動性が低いという社会構造です。そして、それを下支えする集団主義による男尊女卑の文化(権威主義的パーソナリティ)です。もちろん、制度改革をもっと進める必要がありますが、少なくとも、妻は子育てのために仕事を辞めないこととそもそも最初から専業主婦を目指さないマインドを持つ必要があるでしょう。そして、夫は育児のために仕事をセーブするマインドを持つ必要があるでしょう。ちなみに、夫婦ですぐにできる「制度改革」があります。それは、真弓や英明のように夫婦が「パパ」「ママ」という役割で呼び合うのではなく、名前で呼び合うことです。これは、お互いを親としてではなく、男女としてみることにつながります。親であること以上に、まず夫婦であること、男女であることが最優先であることを意識づけすることができます。これは、結果的に私たちのためだけでなく、次世代のためにもなります。結局、政治は政治家を選ぶ国民一人一人の意識や文化に根ざしています。国を変えるには、まず家庭の中の夫婦がその関係のあり方を見つめ直し、その夫婦(親たち)をモデルとする次世代(子どもたち)に影響を与えていく必要があるでしょう。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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あなたには帰る家がある(後編)【なんで倦怠期は「ある」の?どうすればいいの?】Part 3

私たちが「帰る家」とは?倦怠期への対策として、アサーション、夫婦間のSST、共働きと共子育ての3つの対策をそれぞれご提案しました。最後に、夫婦関係を「屋上のある2階建ての家」になぞらえて考えてみましょう。なお、この家の1階、2階、屋上の3段階は、マズローの欲求5段階説をもとにしています。(1)1階-「経済共同体」-共同経営者土台となる1階は、「経済共同体」であることです。夫婦は、「一心同体」「運命共同体」であるという幻想を抱く前に、現実的にも法律的にも経済を共有する関係であることです。言い換えれば、夫婦関係で一番大事なことは、生活が安定していることです。それは、お金、時間、労力において余裕があることです。また、夫婦関係は、例えるなら共同経営者であることです。上司と部下ではないです。逆に言えば、不公平になっていたり決定権が偏っている場合、そして先ほどご紹介したアサーションや夫婦間のSSTでも一方が改善するつもりがない場合、先ほどの限界設定が必要になります。なお、この1階は、マズローの1段目の「生理的欲求」と2段目の「安全欲求」に重なります。(2)2階-「苦楽共同体」-親友1階の土台をもとに発展していく2階は、「苦楽共同体」です。夫婦は、助け合い、励まし合い、慰め合って、苦楽を共にして乗り越えていく関係であることです。言い換えれば、夫婦関係で次に大事なことは、信頼関係を築いていることです。それは、夫婦がお互いのことを最優先に考えることです。つまり、仕事、子ども、自分の親などは二の次になるということです。この点で、夫婦関係は、親友であることでもあります。逆に言えば、一方が不倫をしている場合、もはや親友ではなく、先ほどの限界設定が必要になります。なお、この2階は、マズローの3段目の「愛情欲求」と4段目の「承認欲求」に重なります。(3)屋上-「価値共同体」-パートナー最後は、3階ではなく屋上としたのは、多くの夫婦が1階と2階でうまくいっているからです。つまり、屋上は、必ずしも必要なものではなく、あれば理想といえる位置づけです。それは、「価値共同体」です。夫婦は、いっしょに叶えたいことに向かって突き進んでいく関係であることです。言い換えれば、夫婦関係の究極は、夫婦でいることの社会的な価値を見いだすことです。例えば、旅行、スポーツ、アート、楽器演奏、学問追求などを通して、いっしょに何かを実現していくことです。そして、周り(社会)に貢献していくことです。ただし、ここで注意すべきことは、子育てのみを夫婦の価値にしないことです。なぜなら、子育てには終わりがあるからです。この境地で、夫婦関係は、唯一無二のパートナーであると言えるでしょう。「私たちはこういう夫婦です」「こんなことしてきました」「これからこんなことしていきます」という夫婦のアイデンティティです。このスキルの詳細については、関連記事10をご参照ください。なお、この屋上は、マズローの5段目の「自己実現欲求」に重なります。 夫婦とは?自分の親といっしょにいるのが平均20年、自分の子どもといっしょにいるのが平均20年です。それに対して、夫婦でいっしょにいるのは平均50年です。実は、夫婦は、人生の中で最もいっしょにいる時間が長い人であることが分かります。そんな長い期間、「経済共同体」「苦楽共同体」「価値共同体」であり続けることによってはじめて、夫婦は運命共同体になると思えるのではないでしょうか?<< 前のページへ■関連記事7.昼顔【不倫はなぜ「ある」の?どうすれば?】Part 18.半沢直樹【なんでやられたらやり返すの?逆に手を組むには?(ゲーム理論)】Part 19.逃げるは恥だが役に立つ【アサーション】10.ドンファン【どう愛する?】3)夫のトリセツ:黒川伊保子、講談社+α新書、20194)妻のトリセツ:黒川伊保子、講談社+α新書、20185)専業主婦になりたい女たち:白河桃子、ポプラ新書、2014

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第33回 p=0.05は有意差あり? なし?【統計のそこが知りたい!】

第33回 p=0.05は有意差あり? なし?検定を行うと「*(アスタリスク)」の有無はチェックしますが、p値をきちんと調べないということはないでしょうか。エクセルを含めて多くの統計ソフトでは、検定結果に検定統計量のtやFなどの値と、統計量から導かれたp値が出力されます。さらに、p値が0.05未満(p<0.05)になるとアスタリスクを1つ出力し、0.01未満(p<0.01)になればアスタリスクを2つ出力します。では、p値が、ぴったり0.05となった場合、どう判断すればいいのでしょうか。■p=0.05となった場合はpとは、統計的仮説検定を行う際のp値のことです。検定を行うとき、pが設定した基準を満たしたならば有意という判断をしますが、最もよく使われる基準はp<0.05(5%未満)です。したがって、この基準をきちんとクリアした場合、pがちょうど0.05なら有意ではないということになります。実際の臨床試験結果などで、p=0.05となることは非常にまれかもしれませんが、もしそのような結果が出たら悩んでしまいます。■論文に記載する場合の決まり事論文などへ投稿する場合は、一般には次のように対処すればよいとされています。Materials&Methodsのところで、「p≦0.05を統計学的に有意にする」と明記し、「有意であった」としておけば良いようです。0.05といっても統計学が定めた決まり事で、100回に5回起こるような出来事かどうかという目安ですから、“≦”か“<”にあまりこだわる必要はないようです。実際、「p≦0.05を統計学的に有意にする」と書いてある論文もありますから、まずはそのように明記し論文投稿をして、査読者から何らかのコメントが返ってきたら、それに従えば良いようです。統計ソフトの多くはp値の出力が小数点以下3桁か4桁まで出力されます。したがって、0.05といっても、これは本当にちょうど0.050と出力されたときの話です。エクセルなどで、0.054をエクセルの機能で小数点第3位を四捨五入して0.05と出力されてしまうと、これは明らかにp<0.05でもp≦0.05だとしても有意差があるとは言えませんので、必ず、小数点第3位以下も確認するよう注意が必要です。逆に、エクセルの場合p=0.050なのに判定にアスタリスク(*)が付いて出力されることがあります。エクセルではp値を小数点以下第4桁以降も計算しているので、本当は、0.04987のようにわずかに0.050を下回っていたのが、出力時に表示上で四捨五入され0.050となった珍しいケースかもしれません。このようなこともありますので、検定結果を確認するときは、アスタリスクだけでなくp値も必ず小数点以下第3位以下も含めてチェックすることが必要です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション1 母集団、n数、サンプル数、サンプルサイズとはセクション10 p値による仮説検定第4回 ギモンを解決! 一問一答質問1 p値は小さければ小さいほど差がある(よく効いた)といえるのか?

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教育講演:ALアミロイドーシス【Oncologyインタビュー】第25回

出演:日本赤十字社医療センター 骨髄腫アミロイド―シスセンター長 鈴木 憲史氏ALアミロドーシスは希少疾患であるが、内科領域に潜在的な患者は数多く存在する可能性がある。今後、治療大きく進化する同疾患を日本赤十字社医療センター鈴木憲史氏が解説する。

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COVID-19の院内死亡率、10代はインフルの10倍にも

 インフルエンザとCOVID-19は、類似した感染様式を伴う呼吸器疾患である。そのため、インフルエンザの流行モデルは、COVID-19の流行モデルの検証にもなり得ると考えられる。ただし、両者を直接比較するデータはほとんどない。フランス・ディジョンのUniversity of Bourgogne-Franche-Comté(UBFC)のLionel Piroth氏ら研究グループが、国の行政データベース(PMSI)を用いて後ろ向きコホート研究を実施したところ、入院を要するCOVID-19患者と季節性インフルエンザの患者の症状にはかなりの差異があり、11〜17歳におけるCOVID-19の院内死亡率は、インフルエンザの10倍にも上ることが明らかになった。The Lancet Respiratory Medicine誌2020年12月17日付のオンライン版に掲載。 本研究には、2020年3月1日~4月30日にCOVID-19で入院した全患者、および2018年12月1日~2019年2月28日にインフルエンザで入院した全患者が含まれ、年齢層ごとに層別化されたデータを基に、患者間の危険因子、臨床的特徴、および転帰の比較が行われた。 主な調査結果は以下のとおり。・8万9,530例のCOVID-19患者および4万5,819例のインフルエンザ患者が、それぞれの研究期間中にフランス国内で入院した。患者の年齢中央値は、COVID-19で68歳(四分位範囲[IQR]:52~82)、インフルエンザでは71歳(IQR:34~84)だった。 ・COVID-19患者は、インフルエンザ患者よりも肥満または太り過ぎの傾向があり、糖尿病、高血圧および脂質異常症が多く見られたのに対し、インフルエンザ患者は、心不全、慢性呼吸器疾患、肝硬変、および欠乏性貧血が多かった。 ・COVID-19の入院患者では、インフルエンザと比べ急性呼吸不全、肺塞栓症、敗血症性ショック、または出血性脳卒中の発症頻度が高かったが、心筋梗塞や心房細動の発症頻度は低かった。・院内死亡率は、COVID-19患者のほうがインフルエンザ患者よりも高く(1万5,104例[16.9%]/8万9,530例 vs.2,640例[5.8%]/4万5,819例)、相対死亡リスクは2.9(95%信頼区間[CI]:2.8~3.0)、年齢標準化死亡比は2.82であった。・入院患者のうち、18歳未満の小児の割合はインフルエンザよりもCOVID-19のほうが少なかった(1,227例[1.4%] vs.8,942例[19.5%])。・5歳未満では、インフルエンザよりもCOVID-19のほうが集中治療を要する頻度が高かった(14/613例[2.3%] vs.65/6973例[0.9%])。・11〜17歳におけるCOVID-19の院内死亡率は、インフルエンザよりも10倍高かった(5/458例[1.1%] vs.1/804例[0.1%])。 本結果について著者らは、対象患者数が少ないため、限定的な知見ではあるものの、入院を要するCOVID-19患者と季節性インフルエンザ患者の症状にはかなりの差異があること、小児においてはCOVID-19の入院率はインフルエンザよりも低いが、院内死亡率が高いことを指摘。本結果により、COVID-19の適切な感染予防策の重要性およびワクチンや治療の必要性が浮き彫りになったと述べている。

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ゾレドロン酸の顎骨壊死発生率とリスク因子/JAMA Oncol

 ゾレドロン酸は、骨転移のあるがん患者において骨修飾薬(BMA)として用いられている。米国の多施設共同前向き観察コホート試験(SWOG Cancer Research Network S0702)の結果、投与後累積3年の顎骨壊死の発生率は2.8%であることが明らかにされた。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。 試験は、BMA治療が限定的または治療歴がなく、試験登録から30日以内、ゾレドロン酸の使用などの治療計画があり、骨転移のあるがん患者を対象とした。ベースラインおよび6ヵ月ごとに提出された医学的、歯科学的および患者によるアウトカム報告に基づき、顎骨壊死(確立された基準で定義)の発生を3年間にわたり追跡評価した。 主要評価項目は、確認された顎骨壊死の累積発生率で、頭蓋領域への同時放射線療法が行われていない状態で8週間以上、顎領域に骨の露出領域が認められた場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。・SWOG S0702試験には、3,491例が登録された(女性1,806例[51.7%]、年齢中央値63.1歳)。1,120例が乳がん、580例が骨髄腫、702例が前立腺がん、666例が肺がん、423例がその他の悪性腫瘍であった。・ベースラインの歯科学的検査が行われたのは2,263例(64.8%)であった。・全体で、顎骨壊死の確定発生は90例であった。累積発生率は1年時0.8%(95%信頼区間[CI]:0.5~1.1)、2年時2.0%(1.5~2.5)、3年時2.8%(2.3~3.5)であった。・3年累積発生率は、骨髄腫の患者で最も高率だった(4.3%、95%CI:2.8~6.4)。・ゾレドロン酸の投与計画間隔が5週間未満だった患者は、5週間以上だった患者と比べて顎骨壊死の発生が有意に多かった(ハザード比[HR]:4.65、95%CI:1.46~14.81、p=0.009)。・顎骨壊死の発生率の高さは、歯の総数が少ないこと(HR:0.51、95%CI:0.31~0.83、p=0.006)、義歯(入れ歯)があること(1.83、1.10~3.03、p=0.02)、現在喫煙(2.12、1.12~4.02、p=0.02)と関連していた。

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初発精神疾患患者における抗精神病薬治療の中止率

 コンプライアンスの不良は、精神疾患患者にとって重要な問題である。精神疾患の再発を予防するうえで抗精神病薬治療は有用であるが、初回エピソード精神疾患後の治療期間に関する明確な推奨事項はなく、治療中止率やその原因については、よくわかっていない。スペイン・バスク大学のAna Catalan氏らは、初回エピソード精神疾患患者における抗精神病薬治療を中止するまでの期間と再発までの期間について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年12月7日号の報告。 初回エピソード精神疾患患者の大規模サンプルを用いて2年間評価し、すべての原因による抗精神病薬治療を中止するまでの期間と最初の再発までの期間を比較した。対象患者の社会人口統計学的および精神病理学的特徴、再発回数を収集した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソード精神疾患患者310例(平均年齢:30.2±11.2歳)を対象に、7つの早期介入チームが評価を行った。・診断では、特定不能の精神疾患(36.1%)が最も多く、使用された抗精神病薬は、リスペリドン(26.5%)、オランザピン(18.7%)が多かった。・最初の抗精神病薬治療の中止理由は、有効性の欠如であり、次いでコンプライアンス不良であった。・抗精神病薬の種類による再発率の差は認められなかった。・剤形では、長時間作用型注射剤(LAI)で治療された患者は、経口剤で治療された患者と比較し、治療から離脱することが少なかった。 著者らは「薬剤間での再発率の差は認められなかったが、剤形間では定着率の違いが認められた。精神医学では、コンプライアンスは依然として重要な問題であるため、LAI治療などさまざまな治療戦略を用いて、コンプライアンス向上を促進する必要がある」としている。

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Pfizerの新型コロナワクチン、190万人でのアレルギー反応は/CDC

 米国で2020年12月14〜23日に初回投与されたPfizer-BioNTechのCOVID-19ワクチン接種189万3,360回で、21例(11.1例/100万回)にアナフィラキシーが発現し、そのうち71%は15分以内に発症したことを、米国疾病予防管理センター(CDC)が2021年1月6日に発表した。 米国では2020年12月23日の時点で、Pfizer-BioNTechのCOVID-19ワクチンの1回目の投与が189万3,360人(女性117万7,527人、男性64万8,327人、性別不明6万7,506人)に実施され、4,393例(0.2%)に有害事象が報告された。そのうち、アナフィラキシーを含む重度のアレルギー反応の可能性がある175例を調査した。これらのうち21例(11.1例/100万回)がアナフィラキシーと判断され、うち17例はアレルギーまたはアレルギー反応の既往があり、そのうち7例はアナフィラキシーの既往があった。 投与から症状発現までの中央値は13分(範囲:2〜150分)で、15分以内が21例中15例(71%)、15〜30分が3例(14%)、30分を過ぎて発現したのは3例(14%)であった。治療については、21例中19例(90%)がアドレナリン(エピネフリン)で治療され、1例は皮下、18例は筋肉内に投与された。21例中4例(19%)が入院し、17例(81%)が救急科で治療を受けた。その後の情報が入手可能な20例全員が回復もしくは退院した。 アナフィラキシーではないと判断された154例のうち、86例は非アナフィラキシー性のアレルギー反応、61例は非アレルギー性の有害事象と判断され、7例は調査中という。

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Dr.林の笑劇的救急問答16 肺炎編

第1回 肺炎球菌はチンピラ?第2回 マイコプラズマはかわいい?第3回 レジオネラは麻薬の運び屋?第4回 ごえんしたら誤嚥性肺炎? Dr.林の笑劇的救急問答も16年目に突入!今シーズンは、「肺炎」、「壊死性筋膜炎」、「ダニ」のバラエティに富んだ3テーマでお届けします。上巻では「肺炎」を取り上げ、肺炎球菌、マイコプラズマ、レジオネラ、誤嚥性肺炎について詳しく見ていきます。COVID-19との鑑別のためにも、重要な肺炎を診断、除外できるよう、救急での診療のポイントを確認しておきましょう。思わず笑ってしまう症例ドラマと楽しくわかりやすいDr.林の講義でしっかりと学んでください。(2020年2月収録)第1回 肺炎球菌はチンピラ?今回から4回にわたって肺炎を取り上げます。まずは、肺炎球菌から。肺炎球菌による肺炎をいかに鑑別するか、また、その治療と治療経過についてしっかりと確認していきましょう。Dr.林曰く『肺炎球菌は“チンピラ”』...。これは一体どういうことなのか!詳しくは番組で!第2回 マイコプラズマはかわいい?今回は“マイコプラズマ”がテーマ。マイクプラズマ肺炎は若年者に多く、通常は「元気な肺炎」です。しかしまれに重症化することがあります。悪さをしているのは、かわいいマイコではなく、取り巻きのT細胞。マイコプラズマ肺炎の重症化のメカニズムと治療戦略について、Dr.林が解説します。第3回 レジオネラは麻薬の運び屋?今回のテーマは「レジオネラ」。レジオネラ症は重症化すると、劇症型の肺炎(レジオネラ肺炎:在郷軍人肺炎)を引き起こし、肺外(中枢神経・消化器など)症状が強く出てくることがあります。レジオネラとの闘い方をしっかりと学んでおきましょう。そして...、Dr.林曰く、「レジオネラは水面下で暗躍する麻薬の運び屋」のよう。その意味と意図についても一緒にご確認ください。第4回 ごえんしたら誤嚥性肺炎?今回のテーマは誤嚥性肺炎。誤嚥性肺炎と誤嚥性肺臓炎。まずはこの2つをきちんと分類してから始めましょう。誤嚥性肺炎は、高齢者の肺炎のおよそ80%を占める肺炎です。しかしながら、診断基準がなく、臨床診断となります。それではどうやって診断していくのか、そして、その後の対応は?Dr.林のわかりやすい講義でしっかりと確認してください。

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発作性心房細動に対しては、抗不整脈薬よりもカテーテルアブレーションである(解説:高月誠司氏)-1338

 NEJM誌の2020年11月号には心房細動に対するクライオバルーンアブレーションの2本の論文、STOP AF First TrialとEARLY-AF Trialが掲載された。ここでは両試験を比較しながら読んでみよう。 両試験とも未治療の発作性心房細動をクライオバルーンによるアブレーション群と抗不整脈薬群に無作為に割り付け、心房細動の再発を比較した。STOP AF First Trial は203例、EARLY-AF Trialは303例を対象とした。STOP AF First Trialは1、3、6、12ヵ月後の12誘導心電図、3~12ヵ月まで週1回そして有症状時に送信する伝送心電図、そして6、12ヵ月後のホルター心電図でフォローしたのに対して、EARLY-AF Trialは全例植込み型心電計を植え込んでフォローした点が異なる。結果的に1年後までの心房細動非発生率は、STOP AF First Trialではクライオバルーン群で74.6%、抗不整脈薬群で45.0%、EARLY-AF Trialではクライオバルーン群で57.1%、抗不整脈薬群で32.2%と、それぞれクライオバルーン群のほうが抗不整脈薬群に比して洞調律維持率は有意に高かった。 いくつかの試験で発作性心房細動に対し、高周波カテーテルアブレーションは抗不整脈薬よりも洞調律維持効果が高いことはすでに立証されていた。今回の2つの試験では未治療の発作性心房細動に対してクライオバルーンによるカテーテルアブレーションが、抗不整脈薬に比して洞調律維持効果が高いことを示した。STOP AF First TrialはEARLY-AF Trialに比べて洞調律維持率が高かったが、これはフォローの仕方が異なるからであろう。植込み型心電計を入れないと、心房細動の再発を過小評価する可能性があるということである。またこれらの試験では平均年齢約60歳、標準偏差10歳程度と、おおよそ70歳くらいまでの患者を対象としていた。実臨床における心房細動はより高齢で発症する患者も多く、70歳以上の患者に対しても同様のデータになるかどうか、興味あるところである。

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テレワークはCOVID-19患者を減らすのか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第178回

テレワークはCOVID-19患者を減らすのか?pixabayより使用コロナ禍で飲食店が次々と潰れています。そりゃもう、恐ろしい数の倒産です。その原因の1つとして、会社員が食事や飲み会に来なくなったことが挙げられます。昨年11月まで、政府はGo To Eatキャンペーンを進めてきましたが、どうやらそれも第3波の原因になったということで規制されつつあります。会社で働かなくても、自宅で仕事ができるのなら、家から出ないほうが新規感染者数は少なくなるのは誰でも想像できます。しかし、それを示したデータはほとんどありませんでした。Fisher KA, et al.Telework Before Illness Onset Among Symptomatic Adults Aged ≧18 Years With and Without COVID-19 in 11 Outpatient Health Care Facilities - United States, July 2020MMWR Morb Mortal Wkly Rep . 2020 Nov 6;69(44):1648-1653.2020年11月、アメリカから興味深い研究結果が報告されました。これは、SARS-CoV-2のPCRが陽性だった有症状のCOVID-19患者153人と、症状があって受診したものの陰性だった161人の症例対照研究です。PCRの偽陰性が存在する点はlimitationです。発症から2週間以内にテレワークが可能であったかどうかを質問しました。完全にテレワークあるいは一部テレワークが可能であり、出社を減らすことができたのは、COVID-19患者の35%(有効回答120人中42人)、非COVID-19患者の53%(128人中68人)でした(p<0.01)。10人以上の被験者が、過去2週間テレワークできたかどうかについて「よくわからない」と回答しているのが、ちょっと信頼性の落ちるところですが、テレワークをしている人のほうがCOVID-19になりにくいとも受け取れます。実際、COVID-19患者は、非COVID-19者よりも、発症2週間前に出社していたオッズ比が高いという結果でした(調整オッズ比:1.8、95%信頼区間1.2~2.7)。この研究には学生や教師も含まれる上、どのように集団で生活しているかはあまりバランスがとれていないと思うので、「COVID-19の拡大防止のために、テレワークも悪くないな」くらいの解釈でしょうか。人間のどの活動のリスクが高いかというと、やはり至近距離での集まりだろうと思います。そういう場で標準予防策と、手指消毒・手洗いの徹底、目鼻口を触らないという原則を遵守すれば、オーバーシュートは避けられるはずです。

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第39回 人間の弱みを熟知した新型コロナウイルス、これを抑制させるには?

2020年はまさに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に明けて暮れた1年だったと言える。私個人は2019年12月末に中国の武漢で謎の肺炎が流行しているという一報を耳にした時は、「フェイクもどきのオカルト的なニュース?」「中国ローカルな感染症でも出たのか?」くらいにしか考えていなかった。1月16日に日本で初の感染者が報告された時点でも「急性重症呼吸器症候群(SARS)のようなものかな?」ぐらいの認識だった。その後、2月下旬くらいまでは国内でポツリポツリと感染者が報告されると、1例1例の分かる範囲の情報をポチポチとExcelファイルに打ち込んでいた。今振り返ると、とてつもなく呑気なことをしていたと思う。その後、この作業は中止した。とてもそんなことはやっていられないほどに感染者が増えていったからだ。そして今や東京都で1日に確認される感染者は1,000人超どころか、2,000人超にまで達し、ついに政府が首都圏の一都三県に対して新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく2度目の緊急事態宣言を発出するまで追い込まれている。ちょうど昨年末の大晦日の午前11時前に私はTwitter上でこんなツイートをしていた。「大晦日にあんまり不吉なこと言わないほうがいいんだが、今日と明日の元日に発表される感染者数が気になる。新型コロナの平均潜伏期間は5日強なので、これに検査による結果判明までの1~2日を加えると、ちょうどクリスマスの時にどんちゃん騒ぎした中で起きた感染が報告される時期になるから」とはいえ、この時は東京都でPCR検査陽性者数が900人台後半になるか、最悪でも1,000人をやや超える程度だろうと予測していた。しかし、大晦日の午後2時過ぎ、東京都での陽性者が1,300人超の見込みというYahoo!ニュース速報ポップアップがスマホに表示された際は、紋切り型の表現だが「凍り付いた」。その時はたまたま路上にいたのだが、なぜかポップアップからニュース本文に飛ばず、ディスプレイを凝視したまま立ち尽くしてしまっていた。もっとも前述のツイートで、クリスマスのどんちゃん騒ぎで感染したであろう人を非難したつもりは毛頭ない。従来ならばそうした行為は騒音や泥酔など他人への明らかな迷惑行為がなければ、非難されるものではなかったからだ。むしろそうできる仲間と環境を持つ人はうらやましがられたはずである。新型コロナウイルスはそうした状況を一変させてしまった。そして恨んでもしようがないが、新型コロナウイルスの特徴を改めて考えれば考えるほど、なんと嫌なウイルスだろうと思う。感染経路は接触感染と飛沫感染で、そのうちの前者が主。発症前から感染力を有し、一定割合の無症候感染者がいる。発症後は風邪やインフルエンザに比べ、だらだらと症状が続く期間が長く、そこでも他人に感染させる。とにかく音も気配もなく感染を広げていくのである。ワクチンがなく、治療薬も決定打と言えるほど奏効するものはなく、現在打てる対策は予防。3密回避、マスク着用、手洗い励行の3つである。この予防策の中で最も重要度が高いものは3密回避だろう。極端な話、屋内に1人で完全に引きこもって一切外出しないのならば、理論的にはマスク、手洗いという予防策の必要度はかなり低下するからである。そこで改めて3密の定義を確認すると、換気の悪い「密閉」空間、多数が集まる「密集」場所、間近で会話や発声をする「密接」場面の3つの「密」のことである。密閉ぐらいなら若干の注意で避けられるだろうが、日常生活のさまざまなシーンを考えれば密集はやや避けがたく、密接に至っては家族という存在も含めれば完全回避は不可能である。実際、現在報告されている感染者の中で、経路が判明しているケースの最多が家庭内感染というのも頷ける。ちなみに家庭内感染そのものは家族の誰かが他人との会食や接触で感染して家庭内に持ち込むことから始まる。それゆえ多くの専門家が「他人との会食はなるべく控えて」と訴えるのはこの上なく理にかなっている。しかし、食事の時間という日常生活での大きな楽しみを、可能ならば他人と共有したいと思うのもまた人の性である。よく「人は一人では生きられない」という使い古された言葉があるが、結局のところ「3密回避」とは、極端な言い方をすれば「人として当たり前に生きるな」と言われるに等しい。一時期、これまた耳にタコができるほど聞かされたキーワードに「不要不急」があるが、今回のことを通じて「不要不急」と呼ばれたものの多くが私たちの生活の潤滑油だったことに気づいた人も少なくないはずだ。今回2度目となる緊急事態宣言そのものは、かなりの「劇薬」でもあるため、発出中の期間は限定される。ところが今や日常生活でベースの予防対策である「3密回避」は、今のところ期間限定ではなく、終わりはまったく見えていない。結局、新型コロナウイルスはすべての人に「エンドレスな孤独との戦い」を強いている。そしてこれだけパンデミックが長期間に及ぶと、その過程でほぼすべての人がリスクを過小評価しようとする正常性バイアスに襲われたと思われる。時にはその結果として、ウイルスに対するガードを下げてしまう場合もあっただろう。ところがそうした隙を新型コロナウイルスは巧みに突いてくる。まるで、騙されたことに気付いた人が取る回避策すべてにわなを仕掛けてあざ笑う詐欺師のような陰湿さだ。その結果が現在の感染者増につながっていることは明らかだろう。そして医療従事者の中にはテレビで流れている情景とは異なり、思ったほど往来が減っていない年末年始の光景に、「自分たちが発するメッセージが伝わらない」といら立ちを覚える人たちも多いに違いない。だが、繰り返しになるがこのウイルスに対する重要な予防策である「3密回避」は人が人らしく生きようとすることを阻む行動様式である。単純に「伝わらない」のではなく、一旦は伝わっても意識的にも無意識的にも可能ならば無視したいメッセージなのであり、それが自然なのである。現在逼迫している医療現場で奮闘する皆さんからはお叱りを受けるかもしれないが、だからこそ私は「3密回避」を怠ったがゆえに感染したかもしれない感染者は「明日の自分」かもしれないと思ってしまうのだ。同時にこのウイルスは医学的作用と同時に負の社会的作用も生む。典型は少なからぬ医療従事者も経験したであろう差別・偏見である。これは不十分な知識のまま過剰な感染防御に走った人たちがもたらしたものである。また、感染者に占める若年者比率の高さから、無症候・軽症が多い若年感染者が流行を加速させている可能性があるという医学的には比較的妥当な分析が一部の若年者と高齢者との間に亀裂を招いたとの指摘もある。このような現象は挙げればきりがなく、しかも生み出された社会的分断が社会的後遺症にまでつながってしまう可能性もある。このような経緯を踏まえたうえでCOVID-19の報道にかかわる私たちや同じように社会や患者に向かって注意喚起する医療従事者がやるべきこと、やれることは何なのか? 実はこれまた極めて平凡な答えにならざるを得ない。それは3密回避、マスク着用、手洗いの意義をことあるごとに発信し続けることに尽きるのである。発信量が増えてもにわかに効果が出るものではないのは多くの人が認識しているだろうが、逆に発信量が減れば個々人の感染対策のガードを下げる正常性バイアスがいとも簡単に拡散しやすくなる懸念は十分にあるからだ。同時にもう一つ発信する側に必要なのはアンガーマネージメント的な感情コントロールだろう。さもなくば、地味な発信を地味に継続するという意欲を維持することは困難であり、なおかつ感情的な発信が時に前述した社会分断の原因にもなりかねないからである。2度目の緊急事態宣言を前に個人的雑感に寄り過ぎているかもしれないが、この1年を振り返って思いを強くしているのは、強大な敵に対して「竹槍戦法」で挑むしか方法がないならば、根気よく竹を削って竹槍を作り、何度も挑むしつこさが必要だということ。諦めたら負けなのである。

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抗うつ薬とベンゾジアゼピン併用療法に関連する死亡リスク

 抗うつ薬による治療開始後の数週間は、治療効果が十分でないため、不眠や不安による抑うつ症状の軽減に、ベンゾジアゼピン(BZD)が併用される。しかし、抗うつ薬とBZDの併用療法に関連する死亡リスクは調査されておらず、うつ病治療に対するベネフィットも明らかになっていない。この疑問について、韓国・成均館大学校のHan Eol Jeong氏らが、コホート研究による検討を行った。BMC Medicine誌2020年12月9日号の報告。 2002~17年の韓国医療データベースを用いて、人口ベースのコホート研究を実施した。うつ病患者260万人のうち、抗うつ薬またはBZDを新たに処方された患者61万2,729例を抽出した。診断後6ヵ月以内に実施されたうつ病治療に応じて、抗うつ薬単独療法群(AD群)または抗うつ薬とベンゾジアゼピン併用療法群(AD+BZD群)に分類した。群間比較を実施するため、ベースライン特性の調整に傾向スコアを用いた。主要アウトカムは、全死因死亡とした。フォローアップ期間は、アウトカム発現時または研究期間終了時とした。AD群とAD+BZD群の死亡リスクのハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)を推定するため、多変量Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・傾向スコアが一致したAD群51万9,780例、AD+BZD群25万9,890例のベースライン特性はバランスがとれていた。・AD+BZD群は、AD群と比較し、全死因死亡リスクの増加と関連が認められた(調整HR:1.04、95%CI:1.02~1.06)。 著者らは「うつ病に対する抗うつ薬とBZDの併用療法は、死亡リスクの中程度の増加と関連が認められたため、BZDを併用する場合には注意が必要である」としている。

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がん治療用ウイルスG47Δ(DS-1647)の国内申請/第一三共

 第一三共は、同社が東京大学医科学研究所 藤堂具紀教授と共同で開発しているがん治療用ウイルスG47Δ(一般名:teserpaturev、開発コード:DS-1647)について、2020年12月28日、悪性神経膠腫に係る再生医療等製品製造販売承認申請を国内で行った。 同申請は、藤堂教授が実施した膠芽腫患者を対象とした国内第II相臨床試験(医師主導治験)の結果に基づくもの。国内第II相臨床試験は、主要評価項目である1年生存率の達成基準を満たした。 G47Δは、がん細胞でのみ増殖可能となるよう設計された人為的三重変異を有する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型(第三世代がん治療用単純ヘルペスウイルス1型)で、悪性神経膠腫を対象として2016年2月に先駆け審査指定を受けるとともに、2017年7月に希少疾病用再生医療等製品の指定を受けている。

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COVID-19の対応には学会の叡智を結集/日本医学会連合

 日本の医学界を代表する学術的な全国組織の連合体である日本医学会連合(会長:門田 守人)は、1月4日に「日本医学会連合 COVID-19 expert opinion 第2版(2021年1月4日版)」を公開した。“expert opinion” は、COVID-19にevidence based medicineのガイドラインを作成できるような確固としたclinical evidenceが不足していることから「expert opinionとして取り纏め、今後新しいevidenceが蓄積するとともにreal timeに改訂していく」「読みやすい簡潔なものとし、詳細は各学会のhomepageの該当箇所などのリンクを案内する」とし、関連学会との協力の下、迅速な作成を目指し作られた。 このexpert opinionの活用に際しては、「各学会が対象とする患者層は同じCOVID-19患者でもそれぞれ異なるので、同じ治療法でも異なる推奨や考え方が提示されていることがある」と前置きした上で、「推奨のばらつきは、COVID-19患者群の中に存在する多様性を反映したもので、expert opinionの使用では、他のガイドラインと同様に各々の推奨を診療にあたる患者さんの状況に応じて柔軟に使用する必要がある」と注意を促している。 具体的に、たとえば一般外来では、「感染防御」、「診断・検査の進め方」、「服用中の薬剤」にわけて記述され、最新の知見が説明されているほか、必要に応じて各所属学会や海外学会へのリンクなども充実している。主な内容・一般外来・救急外来・入院(内科系)・入院(外科系)・入院患者の見舞いの対応・集中治療と呼吸管理・合併症・特殊な状況の対応:移植医療における対応・特殊な状況の対応:小児・特殊な状況の対応:産婦人科・内視鏡対応:・こころのケア(患者および医療従事者)・口腔科(歯科・口腔外科)診療と医科歯科連携・復職・復学(通常の職種、医療従事者)

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