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第26回 垣間見えた日医と医学会の不仲の実態、背景にある歴史的経緯とは

日本医師会(日医)と日本医学会(医学会)/日本医学会連合の不仲の実態が漏れ始めた。医学会前会長で、地域医療振興協会会長の高久 史麿氏(高=はしごだか、以下同)の仲介により、日医のある会合で医学会/日本医学会連合の門田 守人会長が講演をすることになったが、日医の中川 俊男会長が断りを入れたという。医療界の長老・高久氏の口利きにもかかわらず、と関係者の間で驚きの声が上がったようだが、実は両団体には簡単に不信感を払拭できない背景があった。両団体の歴史を振り返ってみる。医学会は日本聯合医学会という名称で1902年(明治35年)に発足、1910年(明治43年)に日本医学会と改称した。一方、日医は医学会発足から14年後の1916年(大正5年)、大日本医師会の名称で設立された。そして戦後の1947年(昭和22年)、GHQによって解体させられ、社団法人として再出発する。GHQは日医に学術的な機能を持たせるため、翌年、医学会の意向に反して医学会を日医に合流させた。日医の定款に「本会に、日本医学会を置く」と書き込まれる。先行して設立された団体にもかかわらず、日医の風下に立つ形となった医学会には屈辱だっただろう。ある医学会の役員は「GHQにしてやられた」と、当時についていまだに悔しさを滲ませる。それから60年ほど経った2006年(平成18年)頃から、医学会の中で、日医から独立して法人化すべきとの意見が出てきた。その後、日医と医学会の執行部で話し合いが重ねられ、2011年(平成23年)、当時の原中勝征・日医会長が医学会法人化を認める旨の方針を示した。しかし、地方の医師会代議員らには話が十分に伝わっていなかった。日医が2013年(平成25年)に公益社団法人化する際、定款変更委員会で問題化。「医学会に対して譲歩するのか」「独立を認めるような人が日医会長では困る」などといった意見が相次ぎ、翌年の日医会長選で再選を目指す横倉 義武氏の立場を危うくする事態にまでなった。日医は苦肉の策として、定款変更できないため法人化を待ってほしいと日本医学会に打診。これに対し、日本医学会の役員は「これまで散々議論してきたにもかかわらず、定款変更できないから待ってくれと。今さら何を言っているんだ、という気持ちだった」と怒りを露わにする。日本医学会としては、とにかく法人格を持つ組織を作る必要があると判断。そこで、日医の定款を変更しなくてもできる方法として、日本医学会連合という名称で2014年(平成26年)に法人格を取得したのだった。日医の組織の一部として医学会は残るが、実態は同じ組織である日本医学会連合は日本専門医機構や日本医療安全調査機構などの組織に日医と同様、法人社員として参画している。医学会の副会長時代から“独立”に向けて活動していた門田氏にしてみれば、いったん認められた独立を覆した横倉日医時代の副会長だった中川氏は信用できないだろう。一方の中川氏にとっても、独立派の急先鋒だった門田氏を良く思ってはいまい。両団体のトップに立つ二氏の私的感情が、医療界の足を引っ張らなければいいが……。

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アジア人統合失調症患者におけるBMIと錐体外路症状との関係~REAP-AP研究

 これまでBMIとパーキンソン病との関連がいくつか報告されているが、統合失調症患者におけるBMIと抗精神病薬誘発性の錐体外路症状(EPS)との関連を報告した研究は少ない。韓国・Inje University Haeundae Paik HospitalのSeon-Cheol Park氏らは、統合失調症患者におけるBMIとEPSの関連を評価するため、検討を行った。Psychiatria Danubina誌2020年夏号の報告。 向精神薬処方に関するアジア国際共同研究の抗精神病薬(Research on Asian Psychotropic Prescription Patterns for Antipsychotics:REAP-AP)のデータを用いて、体重で層別化した統合失調症患者1,448例を対象にEPSの発現率を比較した。体重の層別化には、WHOの肥満度分類およびアジアパシフィック肥満分類を用いた。主な結果は以下のとおり。・WHO肥満度分類を用いた検討において、多項ロジスティック回帰モデル(交絡因子の潜在的な影響を調整)では、低体重は運動緩慢、筋強剛の発現率増加および歩行障害の発現率低下との有意な関連が認められた。・アジアパシフィック肥満分類を用いた検討において、多項ロジスティック回帰モデル(交絡因子の潜在的な影響を調整)では、低体重は筋強剛の発現率増加との有意な関連が認められた。 著者らは「アジア人統合失調症患者では、低体重が筋強剛の発現率増加と段階的なパターンで関連していることが明らかとなった。このメカニズムについては、不明な点があるものの、第1世代抗精神病薬の使用や抗精神病薬の用量にかかわらず、低BMIが筋強剛の発現に影響を及ぼしていると推測される」としている。

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切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法、半数が4年生存(PACIFIC)/ESMO2020

 同時化学放射線療法(cCRT)後に疾患進行のない切除不能StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)におけるデュルバルマブ地固め療法の第III相PACIFIC試験。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブ群初とはる全生存期間(OS)を含む4年生存データを、英国・マンチェスター大学のC. Faivre-Finn氏が発表した。・対象:cCRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定による無増悪生存期間(PFS)、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・2020年3月20日現在、追跡期間中央値は34.2ヵ月であった。・OS中央値はデュルバルマブ群47.5ヵ月、プラセボ群29.1ヵ月であった(HR:0.71、95%CI:0.57〜0.88)。 ・4年OS率は、デュルバルマブ群49.6%、プラセボ群6.3%であった。・PFS中央値は、デュルバルマブ群17.2ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(HR:0.55、95%CI:0.44〜0.67)。・4年PFS率は、デュルバルマブ群35.3%、プラセボ群19.5%であった。

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肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療の5年生存率、30%超(KEYNOTE-024)/ESMO2020

 PD-L1 発現(TPS≧50%)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペンブロリズマブ単剤治療は第III相KEYNOTE-024試験の追跡期間11.2ヵ月の解析で、化学療法と比較して有意な無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善が示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、同試験の5年追跡結果を、米国・Sidney Kimmel包括的がんセンターのJ.R. Brahmer氏が発表した。・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例)・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2020年6月1日)の追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。・化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%(99/150例)であった。 ・OS中央値はペムブロリズマブ群26.3ヵ月、化学療法群13.4ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.48〜0.81)・5年OS率はぺムブロリズマブ群31.9% 、化学療法群16.3%であった。・全奏効率(ORR)はペムブロリズマブ群46.1%(CR4.5%、PR41.6%)に対し、化学療法群31.1%(CR0%、PR31.1%)であった・DORは、ペムブロリズマブ群29.2ヵ月に対し、化学療法群6.3ヵ月であった。・全Grade治療関連有害事象(TRAE)発現は、ペムブロリズマブ群76.6%に対し化学療法群90.0%、Grade3〜5のTRAEの発現は、ペムブロリズマブ群で31.2%に対し化学療法群53.3%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療は、高いクロスオーバー率にもかかわらず、引き続きOSの改善を示している。5年OS率は、30%を超え、化学療法の約2倍であり、かつ持続的な効果を示している。ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLCの1次治療において有効な治療方法であることを、この試験結果は示していると、Brahmer氏は述べた。

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SGLT2阻害薬ertugliflozinの心血管効果は?/NEJM

 2型糖尿病でアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者において、標準治療に加えてのSGLT2阻害薬ertugliflozinの投与はプラセボ投与に対して、主要有害心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合)の発生は非劣性であった。また、副次評価項目の心血管死または心不全による入院の複合アウトカムについて、プラセボに対する優越性は示されなかった。米国・ハーバード大学医学大学院のChristopher P. Cannon氏らが、8,246例超を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験で明らかにした。ertugliflozinは、2型糖尿病の血糖コントロールを改善するとして米国その他の国で承認されている。同薬の心血管効果については、明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2020年9月23日号掲載の報告。ertugliflozinの主要有害心血管イベントについて対プラセボの非劣性を検証 研究グループは、2型糖尿病でアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者を無作為に3群に割り付け、標準的治療に加えて、ertugliflozin 5mg/日、同15mg/日、またはプラセボをそれぞれ投与した。 ertugliflozinの2投与群についてはデータをプールし解析。試験の主要目的は、主要評価項目とした主要有害心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合)について、ertugliflozin群がプラセボ群に対し非劣性を示すことができるかであった。非劣性マージンは1.3(ertugliflozinのプラセボに対するハザード比[HR]の信頼区間[CI]上限値95.6%)とした。 第1副次評価項目は、心血管死または心不全による入院の複合アウトカムとした。ertugliflozin群の主要有害心血管イベントの非劣性は示されたが 合計8,246例が無作為化を受け、平均追跡期間は3.5年だった。 ertugliflozinまたはプラセボを1回以上投与された8,238例において、主要有害心血管イベントの発生は、ertugliflozin群653/5,493例(11.9%)、プラセボ群327/2,745例(11.9%)だった(HR:0.97、95.6%CI:0.85~1.11、非劣性のp<0.001)。 心血管死または心不全による入院の発生は、ertugliflozin群444/5,499例(8.1%)、プラセボ群250/2,747(9.1%)だった(HR:0.88、95.8%CI:0.75~1.03、優越性のp=0.11)。 また、心血管死に関するHRは0.92(95.8%CI:0.77~1.11)、腎疾患死、腎代替療法、またはベースラインからの血清クレアチニン値の2倍化のいずれかの発生に関するHRは0.81(95.8%CI:0.63~1.04)だった。 肢切断実施は、ertugliflozin 5mg群54例(2.0%)、同15mg群57例(2.1%)、プラセボ群45例(1.6%)だった。

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早期TN乳がんの術前療法、アテゾリズマブ+化療でpCR改善(IMpassion031)/Lancet

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前補助療法として、アテゾリズマブ+化学療法(nab-パクリタキセル/ドキソルビシン/シクロホスファミド)の併用は、プラセボ+化学療法と比較して病理学的完全奏効(pCR)率を有意に改善し、忍容性は良好であることが明らかとなった。米国・ダナ・ファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンターのElizabeth A. Mittendorf氏らが、13ヵ国75施設で実施された国際共同無作為化二重盲検第III相試験「IMpassion031試験」の結果を報告した。早期TNBCに対する術前補助療法では、アントラサイクリン/シクロホスファミドやタキサンベースの化学療法が推奨されている。一方、PD-L1陽性の転移があるTNBC患者では、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル併用が無増悪生存期間や全生存期間の改善に有効であることが、IMpassion130試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2020年9月20日号掲載の報告。化学療法へのアテゾリズマブ追加の有効性をプラセボと比較 IMpassion031試験の対象は、未治療で組織学的に確認されたStageII~IIIのTNBC患者(18歳以上)で、化学療法+アテゾリズマブ(840mg、2週間隔、静注)群または化学療法+プラセボ群に、ステージ(IIまたはIII)とPD-L1発現(<1%または≧1%)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。いずれも、nab-パクリタキセル(125mg/m2、毎週、静注)と併用投与を12週間行った後、ドキソルビシン(60mg/m2、2週間隔、静注)およびシクロホスファミド(600mg/m2、2週間隔、静注)との併用投与を8週間行い、手術を実施した。手術後は、アテゾリズマブ群ではアテゾリズマブ1,200mgを3週間隔(静注)で11回投与し、プラセボ群は経過観察を継続した。 主要評価項目は、無作為化された全患者(ITT集団)およびPD-L1陽性患者(PD-L1発現≧1%)におけるpCRとした。 2017年7月7日~2019年9月24日の期間に、333例が無作為に割り付けられた(アテゾリズマブ群165例、プラセボ群168例)。カットオフ日(2020年4月3日)時点で、追跡期間中央値はアテゾリズマブ群が20.6ヵ月(IQR:8.7~24.9)、プラセボ群が19.8ヵ月(IQR:8.1~24.5)であった。アテゾリズマブ+化学療法で、PD-L1発現状態にかかわらずpCR率が17%有意に増加 ITT集団におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が58%(95/165例)(95%信頼区間[CI]:50~65%)、プラセボ群が41%(69/168例)(95%CI:34~49%)で、アテゾリズマブ群が有意に高かった(群間差:17%、95%CI:6~27、片側p=0.0044[有意水準p<0.0184])。 PD-L1陽性患者におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が69%(53/77例)(95%CI:57~79%)、プラセボ群が49%(37/75例)(95%CI:38~61%)であった(群間差:20%、95%CI:4~35%、片側p=0.021[有意水準p<0.0184])。 術前補助療法期において、Grade3/4の有害事象は両群で差はなく、治療関連の重篤有害事象はアテゾリズマブ群37例(23%)、プラセボ群26例(16%)で認められた。両群で各1例、Grade5の有害事象である死亡(アテゾリズマブ群:交通事故、プラセボ群:肺炎、ともに治療とは関連しない)が報告された。

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COVID-19急性呼吸不全への副腎皮質ステロイド薬投与について(解説:小林英夫氏)-1289

 本論文はCOVID-19による急性呼吸不全症例に対するヒドロコルチゾンの治療効果を検討する目的で開始されたが、デキサメタゾンによるCOVID-19死亡率抑制効果が国際的に認証されたため、中断となった報告である。副腎皮質ステロイド薬の種類により治療効果に大きく差が生じる可能性は低いだろうと予想されるので、試験中止は妥当な選択であったのかもしれない。中断試験であるのでその結果解釈にバイアスが大きいが、プラセボ群との間で治療効果に有意差を検出できなかった点、投与群中約4割で効果を認めなかった点、には留意しておくべきであろう。副腎皮質ステロイド薬が治療効果をもたらさない症例が存在することはデキサメタゾンでも同様である。 2020年9月2日、世界保健機関(WHO)はCOVID-19重症患者を対象に、副腎皮質ステロイド薬の使用を推奨する治療ガイダンスを公表した。同じく厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部による『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版』でもデキサメタゾンに予後改善効果がある論文を引用している。副腎皮質ステロイド薬による効果発現機序については、抗炎症作用説、サイトカインストーム抑制説や免疫応答改善説などがみられるが、懐疑論もあり、いまだ完全に解決できていないのが実情である。ただし、実臨床で使用することへの反論の声は少ない。同時に、WHOを含めた推奨意見の対象は重症呼吸不全症例であり、非重症者への効果は不明で推奨されていないことも認識しておきたい。また、投与薬剤・量・方法も何が最善なのか明確ではない。デキサメタゾンの使用報告が先行したため推奨対象となっているが、ほかの副腎皮質ステロイド薬との優劣やパルス療法の妥当性も不明である。ちなみに、本邦のパルス療法はメチルプレドニゾロン1,000mg/回/日を3日間投与とするのが一般的だが、米国の呼吸器教科書では250mg/1回を1日4回、3日間投与となっている。 本論文はJAMA誌2020年9月2日online号の掲載で、この号にはCOVID-19への副腎皮質ステロイド効果について計3本の論文とそれらへの論評が掲載されている。本論文単独を参照されるよりも、論評を読まれることをお勧めさせていただく。

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外来は患者1人につき30分以上でも大忙し!その訳は…【臨床留学通信 from NY】第12回

第12回:外来は患者1人につき30分以上でも大忙し!その訳は…2018年7月からの1年間、私は米国研修医としてフレッシュマンの一員となり、内科レジデントだったものの、特別にインターンと呼ばれ、2年目ないし3年目の下に配属されました。これが日本語だったら問題ないのですが、英語なのでひと際苦労しました。薬1つとってみても、名前が違う上に量も異なります。保険や医療の仕組みも日本と大きく異なるので、当初はかなり苦労しました。勤務シフトは、主に2週間ごとのローテーションで、52週のうち2週×2回のまとまったバケーションをもらえるのは米国の働き方の良い点です。 慣れるまでが一苦労!米国特有の勤務ローテーションとカルテ書き病棟はチーム制で、1人のアテンディング(指導医)、レジデント(2~3年目、1人)、インターン(2~3人)で構成されます。1日の流れは、朝6時ごろに病院に出勤し、5~10人程度を診察。7時ごろにレジデントが出勤してきた段階で異常があれば、それをディスカッションします。そして、8時半ごろアテンディングがやって来て、計20人弱の患者の状態をディスカッションし(そのためにプレゼン準備が必要)、時にはベッドサイドに赴き皆で診察します(昨今のCOVIDの影響で、ベッドサイドはかなり減りました)。内科的疾患の中でコンサルタントが必要であれば、その必要性についても検討し、感染症内科、腎臓内科、循環器内科、消化器内科、神経内科や外科系の科にコンサルトします(日本と違いホスピタリストと呼ばれる総合内科医がPrimaryで患者の診療を行い、必要に応じて専門医にコンサルタントする仕組みです)。例えば、循環器内科医はCCUの患者以外は主だって診ることがなく、総合内科医側で診療、判断ができる心不全、NSTEMIなどは、コンサルトなく治療し、退院させます。米国において大変なのが、カルテの作成です。診療費用は、カルテを基に算出されるためしっかり書かなければならず、米国のレジデントは、PCに向かう時間が長いことが問題視されています。しかも、ここニューヨークは患者層も多種多様な人種のるつぼです。とくにダウンタウンは、ヒスパニック系や中国系の患者さんが多く、通訳を介して診療することもあります。また、病棟とは別にICUローテーションもあるのですが、朝5時ごろに病院に行き、複雑な背景を持つ患者についてプレゼンするための準備が必要であり、かなり大変でした。ただ、それが週7日間ではなく、レジデントの場合は週80時間の上限が設けられており、トータルでは日本の研修医より労働時間が少ないと思います。私が勤務するMount Sinai Beth Israelは、経営を合理化するためのダウンサイジングを進めており、腫瘍疾患を診る診療科などがありません。そのため、私は同じマンハッタンにあってMount Sinai系列の大学病院であるMount Sinai Hospitalで血液腫瘍系のローテーションも経験しました。また、選択ローテーションの際に、臨床研究のため同院に出入りすることもできます。関連病院は経営母体も同じであり、レジデントが柔軟に行き来できるのも、米国の特長のひとつかもしれません。外来ローテーションは、病棟やICUとは異って、いわゆる「9時5時勤務」であり、インターンにとっては体力回復できるありがたい期間です。アテンディングの指導の下ですが、プライマリケア外来で主体的に患者を診る仕組みで、そこは日本と異なる点かと思います。外来も患者1人につき30~40分の枠が取られていますが、その中で複雑な背景について問診で聴き、カルテ記入、さまざまなドキュメントの作成業務があり、実際それくらい、もしくはそれ以上かかってしまうので、そこは米国の医療現場の問題点かもしれません。もっとも大変なローテーションはNight Floatです。夜8時から朝8時まで週6日間働くという鬼のようなシフトで、昼夜逆転といっても、実際昼間はあまりよく眠れない上、夜もなかなか集中しづらい状況です。ただし、ほぼ1人のレジデントが24時間働かなくて済むよう調整・管理は厳格に行われており、36時間労働が多い日本とはかなり違うと言えるでしょう。こうした米国での働き方は、膨大な医者の数かつ高い医療費によって支えられているのだと日々実感しています。ColumnCOVID-19の影響は、当然ながら循環器領域だけに限りません。COVID−19における研究を多岐にわたり推し進めていますが、オリジナルデータによるコホート研究と論文化されたデータをまとめるSystematic review and/or meta-analysisを主にやっています。特にSystematic review and/or meta-analysisの手法は渡米してから学んだもので (といっても、日本の静岡医療センターにおられる高木 寿人先生にご指導いただいています1))、その手法を循環器領域だけでなく、他科領域でも活用し、COVID-19の全体像を世の中に提示できるよう日々勉強中です2-4)。1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=hisato+takagi+kuno+toshiki&sort=date&size=1002)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=toshiki+kuno+covid&sort=date3)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32725955/4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32797198/

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「ロゼレム」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第19回

第19回 「ロゼレム」の名称の由来は?販売名ロゼレム®錠8mg一般名(和名[命名法])ラメルテオン(JAN)効能又は効果不眠症における入眠困難の改善用法及び用量通常、成人にはラメルテオンとして 1 回 8mg を就寝前に経口投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(1)本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者(2)高度な肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、本剤の血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれるおそれがある。](3)フルボキサミンマレイン酸塩を投与中の患者※本内容は2020年9月30日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年7月改訂(第9版)医薬品インタビューフォーム「ロゼレム®錠8mg」2)武田薬品工業:医療関係者向け情報

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第26回 「タトゥー施術は医療行為ではない」…ポップな最高裁決定は医療現場に何をもたらすか

タトゥー彫師には医師免許不要が確定こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末は、大学時代の友人が経営する横浜・関内の焼肉屋に、お客さんの入りの確認がてら、陣中見舞いに行って来ました。今回のコロナ禍で、一時は店を畳むことも考えたそうですが、持続化給付金などの公的資金に加えて夏以降には客足も徐々に戻り、なんとか持ちこたえられそう、とのことで安心しました。ここは横浜ベイスターズの選手も試合後に時折顔を見せるお店ですが、「阪神と違ってベイスターズは厳しく、コロナ禍の中、選手は1度も来ていない」とのことでした。さて、今回取り上げるのは、タトゥー(入れ墨)の施術を行うのに医師免許が必要かどうかについて争われた裁判です。この裁判は、医師免許を持たずにタトゥーを施したとして医師法違反の罪に問われ、二審で無罪となった男性の上告審です。最高裁第二小法廷は「タトゥー施術は美術的な意義がある社会的風俗であり、医療行為ではない」と判断し、検察側の上告を退けました。これによって医療行為と認めて罰金15万円とした1審・大阪地裁判決(2017年9月)を破棄し、逆転無罪とした2審・大阪高裁判決(18年11月)が確定しました。決定は9月16日付です。この裁判は、医師法17条(医師でなければ、医業をなしてはならない)にいうところの「医業(医療行為を業として行うこと)」に、被告人の行為(タトゥー施術)が当てはまるかどうかが争点となっていました。タトゥーと美容整形は違うのか、身体に傷をつけても医療行為にならないのか…、など医療関係者の関心も高かった裁判ですが、ことタトゥー施術に限っては、「医療行為ではない」との判断が下されたわけです。「タトゥーは美術的な意義がある社会的な風俗」被告は2014年7月~15年3月、針を取り付けた施術用具で女性3人の腕などに色素を注入。15年に略式起訴され罰金30万円の略式命令を受けましたが、正式裁判を請求。一審有罪、二審無罪を経て、今回の最高裁決定に至りました。同小法廷の決定では、医師法が定める医療行為について「医療や保健指導に属する行為のうち、医師が行わなければ保健衛生上の危険が生じる恐れがあるもの」との判断を示し「医療行為に当たるかどうかは、目的や相手との関係、社会の受け止め方などを踏まえ、社会通念に照らして判断するべきだ」と述べました。その上でタトゥーの施術について、「美術的な意義がある社会的な風俗として受け止められ、医療行為とは考えられてこなかった。医学とは質の異なる美術に関する知識や技能が必要な行為で、長年にわたって彫り師が行ってきた実情があり、医師が独占して行う事態は想定できない」と指摘。「美術などの知識や技能を要する行為で、医師免許取得の過程で、こうした知識などを習得することは予定されていない」などとして、医療行為には当たらないとし、保健衛生上の危険は医師法以外の方法で防止するほかない、と結論付けました。規制は医師法ではなく新たな立法でもっとも、タトゥー施術については、これまでに健康被害が多数報告されてきています。2001年、厚生労働省は色素を注入して眉を描く「アートメイク」で健康被害が多発したことを受け、「針先に色素を付け、皮膚に入れる行為(入れ墨)は医療行為にあたる」との通知を出し、行政の指導にも従わず、悪質だと判断した場合は、刑事告発を念頭に警察と連携を図るよう自治体に周知していました。つまり、最高裁の決定は、これまでの厚労省の方針を真っ向から否定するものなのです。今回の決定で、タトゥー施術は医療行為ではないことになったたため、事実上、規制できる法律が存在しないことになりました。そうした実情も踏まえ、今回の決定全文には裁判長による長文の「補足意見」が添えられています。補足意見ではまず、「医師免許取得過程等では、タトゥー施術行為に必要とされる知識及び技能を習得することは予定されておらず、タトゥーの施術行為を業として行う医師が近い将来輩出されるとは考え難い。タトゥーの施術が医療行為だと解釈した場合、日本でタトゥーの施術行為を業として行う者は消失する可能性が高い」と指摘。「タトゥーは古来から日本の習俗として行われてきた。一部の反社会的勢力がみずからの存在を誇示する手段として利用してきたことも事実である。しかしながら、最近では海外のスポーツ選手などの中にタトゥーを好む人もいて、それに触発されてタトゥーを入れる人も少なくない。公共の場でタトゥーを露出していいかどうかは議論を深める余地はあるが、タトゥーを入れたいという需要は否定すべきでない」とタトゥーの文化的価値について述べています。そのうえで「タトゥーの施術による保健衛生上の危険を防ぐため法律の規制を加えるのであれば、新たな立法によって行うべきである」と述べ、医師法で規制すべきではないという考えを示しました。なお、規制する法律は現状ないものの、「タトゥー施術行為は,被施術者の身体を傷つける行為であるから,施術の内容や方法等によっては傷害罪が成立し得る」と注意も促しています。ポップな最高裁決定が示唆するもの今回の決定で興味深いのは、決定理由にある「医療行為に当たるかどうかは、目的や相手との関係、社会の受け止め方などを踏まえ、社会通念に照らして判断するべきだ」という一文です。仮にタトゥー施術行為が、昔から日本の医学教育の一部にあり、皮膚科や美容整形外科において普通に行われていたなら、医師法17条の言う医業の範疇に入っていたに違いありません。また、タトゥーが今回の裁判長の意見のように反社会的勢力の”トレードマーク”ではなく、「美術的な意義がある社会的な風俗」として日本でも一般人に定着していれば、欧米のような相応の資格制度や認定制度が出来上がっていたかもしれません。さらに、タトゥー施術から離れてこの一文を読んでみると、「医師以外が行う医療行為の可能性」も見えてきます。現在、医師不足などを背景に、看護師などへのタスクシフティングなどが議論されていますが、極端な言い方をすれば、看護師が小手術や麻酔などをきちんと学び、それが現場で普通に行われるようになれば、それは従来からある医師法17条の「医業」ではなくなるだろうことを、この決定は示唆しているのです。タトゥーの美術性の評価や、彫師絶滅への危惧、そして「医業」に対する解釈など、なかなかにポップな最高裁の決定だったと言えるのはでないでしょうか。

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COVID-19、18~34歳の臨床転帰と重症化因子

 米国や日本では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の若年者における感染が拡大している。しかし、COVID-19は高齢者に影響を及ぼす疾患として説明されることが多く、若年患者の臨床転帰に関する報告は限られる。米国・ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJonathan W. Cunningham氏らは、COVID-19により入院した18~34歳の患者約3,000例の臨床プロファイルと転帰について、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2020年9月9日号リサーチレターで報告した。 2020年4月1日から6月30日に、米国の1,030病院を含む病院ベースのPremier Healthcare DatabaseでICD-10に基づきCOVID-19による入院が記録された18~34歳の患者が対象。COVID-19による最初の入院のみが含まれた。対象者のうち、妊婦(1,644例)は除外された。併存症および入院中の転帰については、診断、診療行為、ICD-10の請求コードにより定義された。集中治療の有無は、集中治療室の利用あるいは人工呼吸管理の請求コードにより定義された。 死亡または機械的換気の複合アウトカムに関連する独立因子は、多変量ロジスティック回帰分析を用いて特定した。両側検定p<0.05で有意と設定された。  主な結果は以下の通り。・2020年4月1日~6月30日の間に退院した78万969例のうち、6万3,103例(8.1%)がCOVID-19のICD-10コードを保有しており、そのうち3,222例(5%)が妊娠していない若年患者(18~34歳)で、米国の419病院に入院していた。・平均(SD)年齢は28.3(4.4)歳。1,849例(57.6%)は男性で、1,838例(57.0%)は黒人またはヒスパニック系であった。・1,187例(36.8%)は肥満(BMI≧30)、789例(24.5%)は高度肥満(BMI≧40)、588例(18.2%)は糖尿病、519例(16.1%)は高血圧を有していた。・入院中、684例(21%)が集中治療を、331例(10%)が機械的換気を必要とし、88例(2.7%)が死亡した。・217例(7%)で昇圧薬または強心薬、283例(9%)で中心静脈カテーテル、192人(6%)で動脈カテーテルが使用された。・入院期間中央値は4日(四分位範囲:2~7日)。・生存例のうち、99例(3%)が急性期後、ケア施設に退院した。・高度肥満(調整オッズ比[OR]:2.30、95%信頼区間[CI]:1.77~2.98、vs. 肥満なし;p<0.001)および高血圧(調整OR:2.36、95%CI:1.79~3.12、p<0.001)の患者のほか、男性(調整OR:1.53、95%CI:1.20~1.95、p=0.001)患者は、死亡または機械的換気を要するリスクが高かった。・死亡または機械的換気のオッズは、人種や民族によって大きく変化しなかった。・死亡または機械的換気を必要とした患者のうち140例(41%)に高度肥満があった。・糖尿病患者は、単変量解析で死亡または機械的換気を要するリスクが高かった(OR:1.82、95%CI:1.41~2.36、p<0.001)が、調整後に統計学的有意差に達しなかった(調整OR:1.31、95%CI:0.99~1.73、p=0.06)。・複数の因子(高度肥満、高血圧、糖尿病)のある患者は、これらのない8,862例のCOVID-19中高年(35~64歳)患者(非妊娠)と同等の死亡または機械的換気を要するリスクを有していた。 著者らは、2.7%という院内死亡率は、COVID-19の高齢患者と比較すれば低いが、急性心筋梗塞の若年者の約2倍であるとし、この年齢層のCOVID-19感染者の増加率を考慮すれば、若年者における感染防止対策の重要性を強調する結果だとしている。

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菜食とメンタルヘルスリスク

 これまでの研究では、うつ病、不安、ストレスなどのメンタルヘルスの問題への菜食の影響については、一貫した結果が得られていない。イラン・テヘラン医科大学のMohammadreza Askari氏らは、菜食とうつ病、不安、ストレスとの関連についての理解を深めるため、システマティックレビューを実施した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2020年9月4日号の報告。 2020年7月までの研究を、Scopus、PubMed、Web of Scienceより検索した。成人を対象に菜食のうつ病、不安、ストレスへの推定リスクを検討したプロスペクティブコホート研究および横断研究を分析に含めた。エフェクトサイズの統合には、固定効果モデルおよびランダム効果モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・菜食とうつ病、不安、ストレスとの関連を評価した研究13件(コホート研究:4件、横断研究:9件)が抽出された。・10件の研究における統合エフェクトサイズでは、菜食とうつ病との関連は認められなかった(統合エフェクトサイズ:1.02、95%CI:0.84~1.25、p=0.817)。・4件の研究における統合エフェクトサイズでは、菜食と不安との関連は認められなかった(統合エフェクトサイズ:1.09、95%CI:0.71~1.68、p=0.678)。・ストレスに関するデータは不十分であった。 著者らは「菜食とうつ病または不安との有意な関連は認められなかった。メンタルヘルスに対する菜食の影響をさらに調査するためには、今後のコホート研究が求められる」としている。

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TNF阻害薬・MTX服用者、COVID-19入院・死亡リスク増大せず

 COVID-19の治療法確立には、なお模索が続いている。米国・ウェストバージニア大学のAhmed Yousaf氏らは、エビデンスデータが不足している生物学的製剤および免疫抑制剤のCOVID-19関連アウトカムへの影響を、多施設共同リサーチネットワーク試験にて調べた。5,351万人強の患者の医療記録を解析した結果、腫瘍壊死因子阻害薬(TNFi)および/またはメトトレキサート(MTX)曝露のあるCOVID-19患者は非曝露のCOVID-19患者と比べて、入院や死亡が増大しないことが示されたという。結果について著者は「COVID-19と生物学的製剤の使用に関する現行ガイドラインは、厳密な統計学的解析ではなく主として専門家の見解(opinion)に基づくものである。今回のわれわれの試験結果は、TNFiやMTXの使用を継続することを支持し、COVID-19関連アウトカムが不良となる可能性の懸念による治療の中断に異を唱えるものである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年9月11日号掲載の報告。TNF阻害薬および/またはMTX治療群と非治療群を3万2,076例で比較 研究グループは、TNF阻害薬および/またはMTXを服用する患者について、COVID-19関連アウトカムのリスクが増大するかどうかを調べる大規模比較コホート試験を行った。 試験では、リアルタイム検索と解析で、COVID-19と診断された成人患者について、TNF阻害薬および/またはMTX治療群と非治療群を比較。入院および死亡の尤度を、交絡因子に関する傾向スコアマッチングの有無別群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・5,351万1,836例の患者記録を解析した。・そのうち3万2,076例(0.06%)が、2020年1月20日以降にCOVID-19に関連する診断を受けたことが記録されていた。・214例のCOVID-19患者が、TNF阻害薬またはMTXへの最近の曝露が確認され、3万1,862例のCOVID-19患者は、TNFiまたはMTXに非曝露であった。・傾向マッチング後、入院および死亡の尤度について、TNF阻害薬および/またはMTX治療群と非治療群で有意差はなかった。入院のリスク比は0.91(95%信頼区間[CI]:0.68~1.22、p=0.5260)、死亡のリスク比は0.87(0.42~1.78、p=0.6958)であった。・本検討は、すべてのTNF阻害薬が同様の影響をもたらすとは限らない、という点で限定的である。

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早期乳がん術後補助療法でのパルボシクリブ追加、iDFS改善せず(PALLAS)/ESMO2020

 ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の早期乳がんの術後補助療法として、標準的な内分泌療法にCDK4/6阻害薬パルボシクリブを追加しても、無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善できなかったことが、第III相オープンラベルPALLAS試験で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのErica L. Mayer氏が発表した。 転移を有するHR陽性/HER2陰性乳がんにおいては、内分泌療法にパルボシクリブを追加することにより無増悪生存期間(PFS)が改善する。このPALLAS試験では、早期乳がんの術後補助療法においても、パルボシクリブの追加でアウトカムが改善するかどうかを検討した。3年iDFSはパルボシクリブ併用群88.2%、内分泌療法群88.5% ・対象:Stage II/IIIのHR陽性/HER2陰性乳がん患者(診断後12ヵ月以内、内分泌療法による術後補助療法開始後3ヵ月以内)・試験群:パルボシクリブ(125mg1日1回、3週投与1週休薬、2年間)+標準的内分泌療法(少なくとも5年)・対照群:標準的内分泌療法(少なくとも5年)単独・評価項目[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]非乳房由来の2次がんを除くiDFS、遠隔無再発生存期間(DRFS)、局所無再発生存期間、全生存期間(OS)、安全性 パルボシクリブを早期乳がんの術後補助療法に追加することによりiDFSが改善するかを検討した主な結果は以下のとおり。・2015年9月~2018年11月に5,760例(年齢中央値52歳)が登録され、パルボシクリブ併用群と内分泌療法群に1対1で無作為に割り付けられた。・Stage IIB/IIIの症例が4,729例(82.1%)と多くを占め、化学療法歴のある患者も4,754例(82.5%)と多かった。・観察期間中央値23.7ヵ月において、3年iDFSはパルボシクリブ併用群88.2%、内分泌療法群88.5%(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.76~1.15、p=0.51)と有意差は認められなかった。また、臨床的高リスクグループ(リンパ節転移4個以上[N2以上]、もしくはリンパ節転移1~3個でT3/T4かつ/またはG3)を含め、臨床病理学的なサブグループのいずれにおいても差が認められなかった。・3年DRFSについても、パルボシクリブ併用群89.3%、内分泌療法群90.7%(HR:1.00、95%CI:0.79~1.27、p=0.9997)と、差が認められなかった。・有害事象は、パルボシクリブ併用群99.4%、内分泌療法群88.6%に発現した。Grade3/4の有害事象は、パルボシクリブ併用群で最も多かったのは好中球減少症(61.3%)であった。全Gradeの有害事象は、血液毒性、疲労、上気道感染症、貧血、悪心、脱毛、下痢でパルボシクリブ併用群のほうが多かった。・パルボシクリブ併用群では、早期中止例が42.2%と多く、データカットオフ時点でパルボシクリブを継続していた患者は25.5%、予定された治療期間を完了した患者は32.3%であった。・パルボシクリブ併用群における早期中止例の64.2%が有害事象関連によるものだった。24ヵ月時点の早期中止率は、パルボシクリブ併用群6.9%、内分泌療法群6.3%で差がなかった。

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夜間低酸素血症のCOPDへの長期夜間酸素療法は有効か/NEJM

 カナダ・ラヴァル大学のYves Lacasse氏らINOX試験の研究グループは、夜間に動脈血酸素飽和度低下を認めるものの長期酸素療法の適応ではない慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、長期夜間酸素療法の有用性を評価した。試験は、患者の登録が継続できず早期中止となったため検出力が不十分であり、長期夜間酸素療法の有効性に関して結論は得られなかった。COPDを有し、慢性的に日中に重度低酸素血症を呈する患者では、長期酸素療法により生存率が改善する。しかしながら、夜間のみの低酸素血症の管理における酸素療法の有効性は知られていない。研究の詳細は、NEJM誌2020年9月17日号に掲載された。4ヵ国28施設が参加したプラセボ対照無作為化試験 本研究は、4ヵ国(カナダ、ポルトガル、スペイン、フランス)の28施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2010年11月~2015年1月の期間に患者登録が行われた(カナダ国立保健研究機構の助成による)。 対象は、喫煙歴のあるCOPDで、試験登録の少なくとも6週間前には病態が安定し、6ヵ月以上は喫煙しておらず、夜間酸素飽和度が低下した患者であった。夜間酸素飽和度低下は、夜間パルスオキシメトリーによる記録時間(就寝時)の30%以上が酸素飽和度(Spo2)90%未満であることと定義された。試験登録時に、Nocturnal Oxygen Therapy Trial(NOTT)の判定基準で長期酸素療法の適応となる可能性が高い患者は除外された。 被験者は、在宅夜間酸素療法を受ける群または偽酸素濃縮器から室内空気を吸入する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、intention-to-treat(ITT)集団における全死因死亡またはNOTT基準で長期酸素療法の適応の複合とした。 計画されていた600例のうち243例が無作為割り付けされた時点で、患者の募集とその継続が困難となったため、募集は中止された。3年時の主要アウトカム:39.0% vs.42.0% 夜間酸素療法群に123例(平均年齢69±8歳、男性65.9%)、プラセボ群には120例(69±9歳、64.2%)が割り付けられた。192例(79.0%)が、試験登録時の2回の夜間パルスオキシメトリー検査で夜間酸素飽和度低下の基準を満たした。 3年間で53例(夜間酸素療法群27例、プラセボ群26例)が介入を中止し、4年までにさらに3例(2例、1例)が中止した。 フォローアップ期間3年の時点で、ITT集団におけるNOTTの長期酸素療法適応基準を満たすか死亡した患者の割合は、夜間酸素療法群が39.0%(48/123例)、プラセボ群は42.0%(50/119例)であった(群間差:-3.0ポイント、95%信頼区間[CI]:-15.1~9.1、p=0.64)。 また、フォローアップ期間4年の時点でのtime-to-event解析では、NOTTの長期酸素療法適応基準を満たすか死亡した患者の割合は、夜間酸素療法群が47.5%(57/120例)、プラセボ群は54.0%(61/113例)であった(群間差:-6.5ポイント、95%CI:-18.9~5.9、ハザード比[HR]:0.87、95%CI:0.61~1.25、p=0.44)。死亡(HR:0.98、95%CI:0.60~1.63)およびNOTTの長期酸素療法適応基準に適合(0.87、0.57~1.34)のいずれにも両群間に差はなかった。 COPDの急性増悪や全原因による入院、QOLの経時的な変化にも、両群間に差は認められなかった。また、試験期間中に、介入の直接的な関与による重篤な有害事象の報告はなかった。 著者は、「データの信頼区間が広いことは、酸素療法の有益性を排除するものではないが、本試験単独および既報の他試験の結果を合わせて検討しても、夜間酸素療法の明確な臨床的有益性は示されていない」としている。

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遺伝子型ガイドのP2Y12阻害薬選択は本当に無効なのか?(解説:中川義久氏)-1288

 血小板凝集では、周囲からの刺激に反応してADPが血小板から放出され、これが血小板のADP受容体P2Y12を介してさらなる血小板凝集の連鎖を引き起こす。この受容体へのADPの結合を阻害し、血小板の凝集と血栓の形成を抑制する代表的な薬剤がチエノピリジン系抗血小板薬である。BMSが導入された時期には、第1世代チエノピリジン系抗血小板薬のチクロピジンのみであった。現在では副作用の発生頻度がチクロピジンよりも少ない第2世代チエノピリジン系薬剤であるクロピドグレルが多く使用されている。クロピドグレルは肝臓のCYP2C19で代謝されて活性化するが、CYP2C19の遺伝子多型により薬効が異なる。代謝能の低い遺伝子型である機能喪失型(loss-of-function:LOF)を持つ患者では効きが弱い、すなわち血小板凝集が十分に抑制されない。プラスグレルは第3世代のチエノピリジン系薬剤である。チカグレロルはADP受容体阻害薬ではあるが、チエノピリジン系ではなく、シクロペンチルトリアゾロピリミジン系薬剤に分類される。この新規のADP受容体阻害薬である、プラスグレルとチカグレロルは、CYP2C19遺伝子多型による低反応性はない。 PCI後の抗血小板薬の選択を、CYP2C19のLOFの有無に基づいて行う「TAILOR-PCI試験」の結果が2020年8月25日付のJAMA誌に掲載された。これは3月のACC.20/WCCのLate-Breaking Clinical Trialsセッションで発表された内容が論文化されたものである。 遺伝子型ガイド群ではCYP2C19のLOF保有者にはチカグレロルを、従来治療群にはクロピドグレルを投与している。LOF保有者のみを解析対象としている。全患者にアスピリンが投与され、DAPTが継続されている。12ヵ月時点の心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合で定義される主要評価項目は、遺伝子型ガイド群で4.0%、従来治療群で5.9%に認められ、ハザード比:0.66、p=0.06と有意差はなかった。副次評価項目である出血イベントにも有意差は認められなかった。本研究の公式の解釈は、遺伝子型ガイドのP2Y12阻害薬の選択戦略は無効ということになる。 しかし、本当に遺伝子型ガイドによる個別化した治療戦略に意味がないと言い切ってもよいであろうか? 本試験の後付け解析ではあるが、初期3ヵ月に限ればハザード比:0.21、p=0.001と、遺伝子型ガイドが主要評価項目の発生を8割近く抑制している。イベント発生のリスクの高い時期でなければ差異は表出されない可能性がある。この研究が計画されたのは2012年であり、2013~18年と6年間も時間を要している。この間にDESは進化し、植込み技術の向上も相まってステント血栓症は激減した。このイベント率の低下によって研究デザインのパワーが不足することになった可能性もある。 PCI術後にDAPTを中止し単剤とする場合に、アスピリンを中止しADP受容体阻害薬のみを継続する方向への動きがある。またDAPT期間そのものが短縮化している。その代表的な研究がSTOPDAPT-2試験(Watanabe H, et al. JAMA. 2019;321:2414-2427.)である。単剤投与であれば、一層と遺伝子型ガイドによって有効な薬剤を選択する価値が高まる可能性もある。 少なくとも、この「TAILOR-PCI試験」の結果から、遺伝子型ガイドによるP2Y12阻害薬を選択する治療戦略には意味がないと、結論付けることはできない。CYP2C19のLOF保有者が多いとされる日本から決着をつける研究が望まれる。

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J-TOPのオンライン活動 シリーズ がんチーム医療(3)【Oncologyインタビュー】第21回

出演:国立国際医療研究センター がん総合診療センター 乳腺・腫瘍内科 下村 昭彦氏  :鳥取大学医学部附属病院 腫瘍内科 陶山 久司氏  :横浜南共済病院 薬剤科 橋口 宏司氏  :千葉大学医学部附属病院 看護部 藤澤 陽子氏がんチーム医療の推進を目的として活動する 「J-TOP(Japan Team Oncology Program)」。どのようにしたら良好なチーム医療を実現することができるのか。J-TOPのメンバーを中心に議論するシリーズ対談。第2回はコロナ下の現在ならではの話題、オンライン活動について。

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