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スマホ中毒は女性に多い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第176回

スマホ中毒は女性に多いphotoACより使用私は子供の寝かしつけの時、枕の下にスマホをしのばせて、右半分でトントンしながら左半分でスマホをみるという特技を持っています。……。…………。というわけで、今回はスマホ中毒の話ッ!Tangmunkongvorakul A, et al.Factors associated with smartphone addiction: A comparative study betweenJapanese and Thai high school studentsPLoS One . 2020 Sep 8;15(9):e0238459.これは、タイと日本における高校生のスマホ中毒について調べた集団ベース研究です。高校2年生に該当する16~17歳の男女を被験者としました。Youngらによって開発された、20項目の質問からなるインターネット依存症を、スマホ中毒版に改変して診断しました。そして、多変量ロジスティック回帰分析を用いて、スマホ中毒に関連する因子を調べました。合計7,694人の生徒が登録されました(日本:6,585人、タイ:1,109人)。スマホ中毒の頻度は、日本の高校生で12%、タイの高校生で35.9%でした(日本と比較したタイの補正オッズ比[aOR]:2.76、95%信頼区間[CI]:2.37-3.30)。日本のほうがIT機器の普及が多いと思っていたのですが、日本の高校生におけるスマホ普及率は95%、タイの高校生は97.5%と、むしろタイのほうが多いという結果でした。女子高生は、スマホ中毒のリスク上昇と関連していました(日本のaOR:1.53、95%CI:1.32~1.78、タイのaOR:1.34、95%CI:1.01~1.78)。日本の高校生では、「両親は、私の元気がないときに気付く」(aOR:0.77、95%CI:0.61~0.96)、「両親は、私に何かいいことがあったとき気付く」(aOR:0.78、95%CI:0.61~0.99)、という質問はスマホ中毒のリスク低下と関連していました。今や、小学生もスマホを持って、SNSを活用する時代となりました。見知らぬ人と出会う約束をして、犯罪に巻き込まれたなんて事件もありました。そういうときこそ、親と子のリアルな関係性が重要になるのです。SNSで下ネタをつぶやいていたら、お母さんがフォロワーにいて「恥ずかしいからやめなさい」と言われた高校生もいるらしいです。すごい時代ですな。

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第36回 無罪のままのディオバン事件関係者、これからの行方は?

世の中は相変わらず新型コロナウイルス感染症に関する話題で持ちきりだが、先日ふと「もう2年が経ってしまったか」と思った事件がある。一時世間をにぎわした、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)・バルサルタン(商品名:ディオバン)の旧薬機法違反事件の検察による上告の件である。ここで改めて事件を振り返りたい。バルサルタンは日本国内だけで一時年間売上高1,000億円を超えたトップクラスの医薬品。そもそもARBを含む降圧薬は血圧を低下させることで脳心血管疾患の発症を予防することが服用目的だ。このため、降圧薬を擁する製薬各社はプロモーション活動を有利にするため、市販後に心血管疾患の発症予防効果を確認する大規模な臨床研究を行う。ご多分に漏れずバルサルタンでもそうした臨床研究が国内で複数行われ、いずれもバルサルタンでのポジティブな結果だったことから、製造販売するノバルティス社のプロモーション資材などで大々的に紹介された。ところが2012年に当時の京都大学医学部附属病院循環器内科助教の由井 芳樹氏がLancetなど複数の学術誌で、国内で行われたバルサルタンにポジティブな結果を示した臨床研究である、京都府立医科大学による「Kyoto Heart Study」、東京慈恵医科大学による「Jikei Heart Study」、千葉大学による「VART」の統計処理の不自然さを指摘したことをきっかけに問題が顕在化した。そしてこの件に加え、この3つの臨床研究の共同研究者として名を連ねていた大阪市立大学の研究者が実際にはノバルティス社の社員であることが発覚。前述の3研究以外にもこの社員が共同研究者として参加したことが判明した、バルサルタン関連の研究である滋賀医科大学の「SMART」、名古屋大学の「Nagoya Heart Study」にも不自然な点があることも分かった。各大学は調査委員会を設置し、データの人為的な操作がうかがわれる、あるいはデータ管理がずさんという調査結果が公表し、いずれの研究も既に論文は撤回されている。この件については厚生労働省も2013年に検討会を設置して関係者などをヒアリング。2014年1月にはバルサルタンに有利な形に研究データを操作して掲載に至った論文をプロモーションに用いた行為が薬事法(現・薬機法)第66条に基づく誇大記述・広告違反に該当するとしてノバルティス社を東京地検に刑事告発。この結果、同年6月に東京地検は大阪市立大学教官を名乗っていた前述のノバルティス社員を逮捕し、社員と同時に同法第90条に定める法人の監督責任に伴う両罰規定に基づき法人としてのノバルティス社も起訴した。一審で元社員、ノバルティス社はともに一貫して無罪を主張。2016年12月、検察側は元社員に懲役2年6ヵ月、ノバルティス社に罰金400万円を求刑したが、2017年3月16日の一審の判決公判で、東京地裁は両者に無罪の判決を言い渡し、これを不服とする検察側が控訴した。しかし、控訴審判決で、東京高裁は2018年11月19日、一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却。これに対して東京高検は同年11月30日に最高裁に上告していた。それから何の判断も下らず2年が経過したのであるそもそもなぜこの事件では現時点まで無罪という判断が下っているのか?実は一審判決では、起訴事由となった研究論文作成の過程で元社員がバルサルタンに有利になるようなデータ改ざんを行っていたことは認定している。しかし、判決で裁判長は薬事法第66条で言及する「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布」は、(1)医薬品の購入意欲を喚起・昂進するもの、(2)特定医薬品の商品名の明示、(3)一般人が認知できる状態、の3要件すべてを満たすものと指摘。この件はこのうちの(2)、(3)を満たすものの、(1)については一般的な査読のある学術誌に掲載された研究論文は、「購入意欲を喚起・昂進するもの」との要件を満たしているとは言い難いとして、第66条が規定する「広告」「記述」「流布」のいずれにも当たらず、違法とはならないとの判断だった。法的解釈、あるいは製薬業界内の論理で考えれば、この判決は妥当との判断もできるかもしれない。しかし、一般社会に向けて「保険薬のプロモーションに利用された論文に改ざんはあれども違法ではない」と言われても、にわかには納得しがたいはずだ。一審判決時、裁判長が無罪判決を言い渡した直後、法廷内は数秒間静まり返り、その後「フー」とも「ホー」とも判別できない微かな声が広がった様子をやはり法廷内にいた私は今でも覚えている。顔見知りの記者同士は互いに無言のまま目を大きくして顔を見合わせた。意外だという反応の表れだった。東京地検は即座に控訴するが、その理由の中でノバルティス社側には論文の執筆・投稿に明確な販促の意図があり、査読のある学術誌への掲載という外形的な事実のみで「広告」に当たらないとするのは事実誤認であると主張していた。これに対して控訴審判決では、学術論文は客観的に顧客誘引性を有しておらず、論文を宣伝に用いようとしていた被告らの行為も顧客誘引の準備行為と言えるものの直接的に顧客誘引の意図があったとは認められないとして控訴を棄却した。また、66条の規制に学術論文を認めた場合、論文内に不正確性などがあった場合は、その都度、故意の有無を問わねばならず、「学問の自由」への侵害ともなりかねないと指摘。虚偽の学術論文による宣伝行為に関しては「何らかの対応が必要だが、66条1項での対応は無理があり、新たな立法措置が必要」とした。簡単に言えば、「問題のある行為だが、今の法律では裁けない」ということだ。確かに控訴審の判断まで聞けば、ある意味無罪もやむなしなのかと個人的には思った。しかし、何ともモヤモヤした思いが残る。そして東京高検は上告に踏み切った。当時、東京高検周辺を取材した際に上告理由として浮上してきたのは、「経験則違反」と「著反正義」の2点である。経験則違反は判例などに照らして事実認定すべきものを怠った場合を指し、著反正義は控訴審判決を維持した場合に、著しく社会正義が損なわれるという考え方。東京高検が経験則違反に当たる事実認定をどの部分と考えているかは不明だ。控訴審での検察の主張と判決を照らし合わせると、論文の作成過程に関してノバルティス社が深く関与したにもかかわらず、判決ではあくまで広告の準備段階としてこの行為そのものに顧客誘引性は認定しなかったことを指すと思われる。著反正義はまさに地裁判決で認定された元社員によるデータ改ざんがありながら、罪には問えない点が該当するとみられる。さてそこで上告から2年経つわけだが、そもそも直近のデータでは刑事事件で上告されたケースの8割は上告棄却になり、2割弱は上告が取り下げられる。最高裁が下級審の原判決を破棄して判決を下す「破棄自判」、下級審での裁判のやり直しを命じる「破棄差戻・移送」は極めて稀である。しかも上告棄却の場合は約95%が上告から半年以内に行われる。もちろん今回のバルサルタン事件のように上告から2年以上音沙汰なしだったものが、最終的に上告棄却となったものもあるが、その確率は直近で0.4%。ちなみに最新データによると、上告事件で破棄自判となったものはそれまでに2年超、破棄差戻・移送では1年超が経過している。バルサルタン事件がいずれの判断になるかは分からない。だが、どうなろうとも現時点で極めて異例な事態となっているのだ。そして、もし原判決が覆ることになれば、おそらく「製薬企業の資金支援がある研究論文≒広告」という決着になるだろう。その場合、医療用医薬品情報提供ガイドラインの登場、コロナ禍によるリモートプロモーションの増加と同等あるいはそれ以上のインパクトを製薬業界に与えることは間違いないと思っている。

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医師が選ぶ「2020年の顔」TOP5!(医療人、政治家部門)【ケアネット医師会員アンケート結果発表】

新型コロナの国内発生と流行、緊急事態宣言、東京五輪延期…本当にいろいろあった2020年―。今年を振り返ってみて思い浮かぶのは誰の顔でしょうか。ケアネットでは医師会員にアンケートを実施。535人の先生方にご協力いただき、選ばれた「今年の顔」は?今回は、医療人部門と政治家部門のTOP5をご紹介します!新型コロナのコメンテーター部門 、文化・芸能人部門 はこちら!医療人部門第1位 尾身 茂氏ダントツの得票数で第1位となったのは、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議およびその後の分科会で、中心的役割を担っている尾身 茂先生。経験に裏付けされたリーダーシップはもちろん、記者会見などでは報道陣からの質問に根気強く答える姿も印象的でした。選んだ理由のコメント中には、「安定」や「信頼」という言葉が多く並びました。 「尾身 茂」氏を選んだ理由(コメント抜粋)指導者として信頼しています。(60代 産婦人科/大阪府)今年はこの人しかいないでしょう。(40代 内科/東京都)医療と政治の板挟みに苦悩しているところが印象に残った。(50代 精神科/神奈川県)第2位 忽那 賢志氏コメンテーター部門での1位に続き、医療人部門でも2位にランクイン。新型コロナの最前線で診療に当たる感染症専門医として、医師からの知名度と信頼度の高さが伺える結果となりました。国内での症例数があまり多くなかった段階から、エビデンスに自身の診療経験からの知見を織り交ぜ、わかりやすく解説されていた姿が印象に残った先生も多かったのではないでしょうか。 「忽那 賢志」氏を選んだ理由(コメント抜粋)臨床で活躍されており、経験、知識も豊富で、説明も論理的で分かりやすい。(40代 内科/埼玉県)最も信頼できるから。(40代 精神科/愛知県)さまざまなメディア、講演会などで見かける機会が多かったから。(20代 臨床研修医/滋賀県)第3位 岩田 健太郎氏ダイアモンドプリンセス号についてのYouTube動画の配信は、大きな反響を呼びました。選んだ理由についてのコメントでは、「世の中にインパクトを与えた」という声のほか、「良くも悪くも発信力があった」といった声も。現場の医療者が発信する情報として、その後も発信を継続的にチェックしていたという声もあがっています。 「岩田 健太郎」氏を選んだ理由(コメント抜粋)新型コロナウイルス感染症に関する行動および発言が際立っていた。(40代 精神科/北海道)現場の実態をわかっているから。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科/兵庫県)いい意味でも悪い意味でも印象に残ったから。(50代 神経内科/徳島県)第4位 西浦 博氏 「西浦 博」氏を選んだ理由(コメント抜粋)純粋に学問的見地からがんばっておられた。(40代 皮膚科/東京都)統計を介したモデルだが世間で議論するたたき台となった。(30代 膠原病・リウマチ科/北海道)コロナ対策で奮闘された。(20代 臨床研修医/東京都)第5位 山中 伸弥氏 「山中 伸弥」氏を選んだ理由(コメント抜粋)独自の視点で情報発信されているので。(50代 消化器内科/山口県)ツベルクリンの話に共感したから。(50代 産婦人科/愛媛県)政治家部門第1位 安倍 晋三氏憲政史上最長となる7年8ヵ月の長期政権を築き、今年9月に体調不良を理由に辞任した安倍 晋三前内閣総理大臣が第1位に。 アベノマスクや給付金支給などの施策を含め、先進諸国の中では結果的に感染者数を抑えたことを評価する声、体調を慮る声が多くみられました。持病とされる潰瘍性大腸炎に光を当てることにも貢献されたのではないでしょうか。 「安倍 晋三」氏を選んだ理由(コメント抜粋)日本で結果的に感染者を増やさなかったから。(30代 泌尿器科/福岡県 他多数)体調の悪い中リーダーとして可能なかぎりの仕事をされたと思います。(30代 耳鼻咽喉科/福岡県)在任時のさまざまな対策は今も続行されている。(50代 消化器外科/鹿児島県)第2位 吉村 洋文氏新型コロナウイルス感染拡大で各首長のリーダーシップが求められるなか、1975年生まれ45歳の大阪府知事はスピード感のある対応や発信力の高さで注目を集めました。ポピドンヨード入りのうがい薬を推奨した件では批判を浴びましたが、「何とか状況を改善しようと先頭に立って行動している」と評価する声が多く上がりました。 「吉村 洋文」氏を選んだ理由(コメント抜粋)誤った情報もあるが、責任ある立場でより良い方向を目指している姿勢が伝わるから。(30代 小児科/大阪府)第一波の時の対応の早さは今までの日本の政治家ではあまり見られなかったと思う。(40代 泌尿器科/兵庫県)フットワーク良く決断力がある。(40代 糖尿病・代謝・内分泌内科/京都府)第3位 菅 義偉氏第2次安倍政権が発足した2012年以降、長きにわたり官房長官を務めてきた菅氏が、安倍政権を引き継ぐ形で第99代内閣総理大臣に就任しました。突然の交代、そして新型コロナ感染症対応が求められる難しいタイミングでの就任となりましたが、官房長官としての第一波への対応経験に期待するコメントが多く寄せられました。 「菅 義偉」氏を選んだ理由(コメント抜粋)官房長官として初期対応から重責を担っていたから(20代 臨床研修医/滋賀県)安倍政権時代から比較的バランスのとれた政策、実行力が感じられた(40代 血液内科/宮城県)期待も込めて(40代 病理診断科/島根県)第4位 オードリー・タン(唐 鳳)氏 「オードリー・タン」氏を選んだ理由(コメント抜粋)封じ込めに成功した台湾のキーマンである。(40代 神経内科/茨城県)日本のITがいかに遅れているのかを気づかせてくれた。(30代 臨床研修医/福岡県)若くて頭も切れて素晴らしい。(40代 皮膚科/群馬県)第5位 蔡 英文氏 「蔡 英文」氏を選んだ理由(コメント抜粋)民主主義的な手法でコロナ収束に導いた。(30代 内科/広島県)初期のコロナ対策は見事。(30代 心療内科/東京都 他多数)★アンケート概要★アンケート名 :『2020年振り返り企画!さまざまな分野の「今年の人」を挙げてください』実施日    :2020年11月12日~19日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :535件

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うつ病に対する音楽療法~メタ解析

 音楽療法や音楽医学がうつ病に及ぼす影響およびその影響に関連する潜在的な因子を調査するため、中国・Bengbu Medical UniversityのQishou Tang氏らが、検討を行った。PLOS ONE誌2020年11月18日号の報告。 2020年5月までにうつ病に対する音楽による介入の有効性を評価した研究を、PubMed(MEDLINE)、Ovid-Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、EMBASE、Web of Science、Clinical Evidenceより検索した。標準化された平均差(SMD)の推定には、変量効果モデルおよび固定効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・55件のランダム化比較試験をメタ解析に含めた。・音楽療法は、対照群と比較し、抑うつ症状の有意な改善を示した(SMD:-0.66、95%CI:-0.86~-0.46、p<0.001)。音楽医学は、抑うつ症状軽減に対する強い効果が認められた(SMD:-1.33、95%CI:-1.96~-0.70、p<0.001)。・音楽療法の種類により、異なる効果が認められた。 ●レクリエーション音楽療法(SMD:-1.41、95%CI:-2.63~-0.20、p<0.001) ●音楽とイメージ誘導法(SMD:-1.08、95%CI:-1.72~-0.43、p<0.001) ●音楽支援リラクセーション(SMD:-0.81、95%CI:-1.24~-0.38、p<0.001) ●音楽イメージ療法(SMD:-0.38、95%CI:-0.81~0.06、p=0.312) ●即興音楽療法(SMD:-0.27、95%CI:-0.49~-0.05、p=0.001) ●音楽ディスカッション療法(SMD:-0.26、95%CI:-1.12~0.60、p=0.225)・音楽療法および音楽医学は、長期介入と比較し、短中期介入において強い効果が認められた。 著者らは「うつ病に対する音楽療法および音楽医学は、その種類により異なる効果が認められており、その効果は治療プロセスにより影響を受ける可能性がある」としている。

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AYA世代のがん発生率、42年間で3割増

 AYA世代(15~39歳)のがんは、通常のがん集団とは異なる点が多いが、その疫学的特徴と傾向についてのデータは不足している。今回、米国・Penn State Cancer InstituteのAlyssa R. Scott氏らが、米国人口ベースの後ろ向き横断研究を実施したところ、AYA世代におけるがんの発生率は42年間で29.6%増加しており、腎がんが最も高い増加率だった。JAMA Network Open誌2020年12月1日号の報告。AYA世代でがんと診断された患者の割合は診断時の年齢とともに増加 研究者らは、1973年1月1日~2015年12月31日のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースのレジストリデータ(SEER 9、SEER 18)を使用。最初の分析は、2019年1月1日~8月31日に実施された。 AYA世代におけるがんの増加を研究した主な結果は以下のとおり。・本研究は、1973~2015年に診断された合計49万7,452例のAYA世代がん患者を対象とし、女性29万3,848例(59.1%)、男性20万3,604例(40.9%)で、79.9%が白人だった。・AYA世代でがんと診断された患者の割合は、診断時の年齢とともに増加した(15~19歳:3万1,645例[6.4%]、35~39歳:19万7,030例[39.6%])。・15~19歳を除くすべてのAYA世代年齢サブグループで、男性と比較して女性のほうがより多くがんと診断されていた(1万4,800例[46.8%]vs.1万6,845例[53.2%])。・女性のAYA世代では、7万2,564例(24.7%)が乳がん、4万8,865例(16.6%)が甲状腺がん、3万3,828例(11.5%)が子宮頸部および子宮がんと診断されていた。・男性のAYA世代では、3万7,597例(18.5%)が精巣がん、2万850例(10.2%)が悪性黒色腫、1万9,532例(9.6%)が非ホジキンリンパ腫と診断されていた。・AYA世代のがんの発生率は、1973~2015年の42年間で29.6%増加し、10万人当たりの平均年間変化率(APC)は0.537(95%信頼区間[CI]:0.426~0.648、p<0.001)だった。腎臓がんにおけるAPCは、男性で3.572(95%CI:3.049~4.097、p<0.001)、女性で3.632(3.105~4.162、p<0.001)と、双方で最大の増加率となった。 著者らは、「AYA世代のがんは独特の疫学的パターンを持ち、健康への懸念が高まっている。1973年から2015年にかけて多くのがんサブタイプの発生率が増加していた。本結果は、この集団における明らかな健康上の懸念を理解し、対処するために重要だ」と結論している。

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コロナ禍初期のがん治療キャンセル・変更患者、3人に1人

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、がん患者にどれほど影響を与えているか。本稿では、オランダ・Netherlands Comprehensive Cancer Organisation(IKNL)のLonneke V van de Poll-Franse氏らが、コロナ禍において同国がん患者が、がん治療とフォローアップ治療(電話/ビデオ相談を含む)、ならびにウェルビーイングについてどのように認識しているかを調べ、一般健常者と比較評価した。その結果、がん患者の3人に1人がコロナ禍の最初の数週間でがん治療が変化したと報告し、長期アウトカムに関する監視が必要なことが示されたという。一方で、コロナ禍は、がん患者よりも一般健常者においてメンタルヘルスにより大きな影響を与えていることも報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。 研究グループは2020年4~5月に、オランダのPROFILES(初期治療後の患者報告アウトカムおよび生存の長期評価)レジストリに参加しているがん患者、ならびに一般健常者を対象にオンラインアンケート調査を行った。 がん治療の変更(治療またはフォローアップの予約を延期/キャンセルまたは電話/ビデオ相談に変更)に関連する要因をロジスティック回帰分析により評価するとともに、生活の質、不安/抑うつおよび孤独に関して、患者集団ならびに患者と年齢および性別をマッチさせた健常者集団との差を回帰モデルで比較した。 主な結果は以下のとおり。・オンラインアンケートに回答した患者は4,094例(回答率48.6%)で、回答者の背景は男性が多く(2,493例、60.9%)、平均(±SD)年齢は63.0±11.1歳であった。・回答患者4,094例中、治療を受けたのは886例(21.7%)、フォローアップ治療を受けたのは2,725例(55.6%)であった。・390例(10.8%)が治療またはフォローアップの予約がキャンセルとなり、治療中の886例中160例(18.1%)およびフォローアップ中の2,725例中234例(8.6%)は電話/ビデオ相談に変更された。・全身療法、積極的監視または手術は、治療またはフォローアップの予約のキャンセルと関連していた。・若年齢、女性、併存疾患、転移性がん、SARS-CoV-2感染の懸念、および支持療法を受けることは、電話/ビデオ相談への変更と関連していた。・コロナ禍のため、身体的な愁訴または不安があってもすぐに連絡しなかった(一般開業医あるいは専門医/看護師に)と回答したのは、がん患者では一般開業医に連絡しなかったのが20.9%(852/4,068例)、専門医/看護師に連絡しなかったのが14.4%(585/4,068例)、健常者ではそれぞれ22.3%(218/979例)、14.7%(44/979例)であった。・電話/ビデオ相談を受けた患者のほとんどは対面を好んだが、151/394例(38.3%)は再び電話/ビデオ相談を利用した。・がん患者は健常者よりも、SARS-CoV-2感染を心配している人が多かった(22.4%[917/4,094例]vs.17.9%[175/977例])。・生活の質、不安およびうつは、がん患者と健常者とで類似していたが、孤独を報告する人は健常者が多かった(7.0%[287/4,094例]vs.11.7%[114/977例]、p=0.009)。

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発作性AFの第1選択、クライオバルーンアブレーションvs.抗不整脈薬/NEJM

 第1選択としてのクライオ(冷凍)バルーンによるアブレーションは、発作性心房細動患者の心房性不整脈再発予防において抗不整脈薬より優れており、重篤な手技関連有害事象は少ないことが示された。米国・クリーブランドクリニックのOussama M. Wazni氏らが、米国の24施設で実施した多施設共同無作為化試験「STOP AF First試験(Cryoballoon Catheter Ablation in Antiarrhythmic Drug Naive Paroxysmal Atrial Fibrillation)」の結果を報告した。薬物療法の効果が得られない症候性の発作性心房細動患者では、洞調律維持のため抗不整脈薬よりカテーテルアブレーションが有効である。しかし、第1選択としてのクライオバルーンアブレーションの安全性と有効性は確立されていなかった。NEJM誌オンライン版2020年11月16日号掲載の報告。クライオバルーンアブレーション群を抗不整脈薬群と比較検証 STOP AF First試験の対象は、症候性の発作性心房細動が再発した18~80歳の患者で、抗不整脈薬(クラスIまたはIII)による7日以上の治療歴などがある患者は除外した。 対象患者を、抗不整脈薬(クラスIまたはIII)群またはクライオバルーンアブレーション群に1対1の割合で無作為に割り付け、後者では無作為割付後30日以内にクライオバルーンを用いた肺静脈隔離術を施行した。ベースライン時、1、3、6ヵ月および12ヵ月時点で12誘導心電図を含む不整脈モニタリングを、また、毎週および3~12ヵ月は症状がある場合に電話モニタリングを、さらに6ヵ月および12ヵ月時点で24時間ホルターモニタリングを実施した。 有効性の主要評価項目は、12ヵ月時点の治療成功(手技不成功、心房細動手術または左房に対するアブレーション、90日以降の心房性不整脈再発・除細動・クラスI/III抗不整脈薬使用の各イベントの回避と定義)であった。安全性の主要評価項目は、クライオバルーンアブレーション群における手技関連およびクライオバルーンシステム関連の重篤な有害事象の複合エンドポイントとした。クライオバルーンアブレーション群の治療成功率74.6%、抗不整脈薬群45.0% 2017年6月~2019年5月までに225例が登録され、このうち治療を受けた203例(クライオバルーンアブレーション群104例、抗不整脈薬群99例)が解析対象となった。クライオバルーンアブレーション群における手術の成功率は97%であった。 12ヵ月時点の治療成功率(Kaplan-Meier推定値)は、クライオバルーンアブレーション群74.6%(95%信頼区間[CI]:65.0~82.0)、抗不整脈薬群45.0%(34.6~54.7)であった(log-rank検定のp<0.001)。 クライオバルーンアブレーション群で安全性の主要評価項目である複合エンドポイントのイベントが2件発生した(12ヵ月以内のイベント発生率のKaplan-Meier推定値は1.9%、95%CI:0.5~7.5)。

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小児期の鉛曝露、中年期に脳の老化をもたらす/JAMA

 小児期の血中鉛濃度の上昇は、中年期における脳構造の完全性低下を示唆する脳構造の変化(MRI評価によるもの)と関連していたことが示された。米国・デューク大学のAaron Reuben氏らが、ニュージーランドで実施した追跡期間中央値34年にわたる縦断コホート研究「Dunedin研究」の結果を報告した。小児期の鉛曝露は脳発達の障害に関連しているとされてきたが、脳構造完全性への長期的な影響は不明であった。なお、得られた所見について著者は限定的な結果であるとしている。JAMA誌2020年11月17日号掲載の報告。11歳時の血中鉛濃度と45歳時のMRIによる脳構造評価の関連を解析 Dunedin研究は、ニュージーランドにおける1972~73年の出生コホート(1,037例)を、45歳まで追跡調査したものである(2019年4月まで)。11歳時点で小児期の鉛曝露を測定し、45歳時点でMRIにより脳構造を評価するとともに、認知機能についてウェクスラー成人認知機能検査IVによる客観的な評価(IQ範囲:40~160、標準化平均100[SD 15])と、情報提供者を介した報告および自己報告による主観的な評価(zスコア、スケール平均は0[SD 1])を行った。 主要評価項目は、45歳時点での脳構造の完全性で、灰白質(皮質厚、表面積、海馬体積)、白質(白質高信号域、拡散異方性[理論的範囲、0(完全に等方性)~100(完全に異方性)])、およびBrain Age Gap Estimation(BrainAGE)(暦年齢と機械学習アルゴリズムで推定した脳年齢との差の複合指標[0:脳年齢と暦年齢が等しい、正/負の値はそれぞれ脳年齢が高い/若いことを意味する])について評価した。小児期の血中鉛濃度高値は、中年期の皮質表面積や海馬体積などの減少と関連 1,037例中997例が45歳時点で生存しており、このうち11歳時点で鉛の検査を受けていた564例(男性302例、女性262例)を解析対象とした(追跡期間中央値34年、四分位範囲:33.7~34.7年)。11歳時点での血中鉛濃度は平均10.99(SD 4.63)μg/dLであった。 共変量調整後、小児期の血中鉛濃度が5μg/dL増加するごとに、皮質表面積が1.19cm2減少(95%信頼区間[CI]:-2.35~-0.02cm2、p=0.05)、海馬体積が0.10cm3減少(95%CI:-0.17~-0.03cm3、p=0.006)、拡散異方性の低下(b=-0.12、95%CI:-0.24~-0.01、p=0.04)、45歳時点でのBrainAGEが0.77歳増加(95%CI:0.02~1.51、p=0.05)が認められた。血中鉛濃度と、白質高信号域(b=0.05 log mm3、95%CI:-0.02~0.13 log mm3、p=0.17)や平均皮質厚(b=-0.004mm、95%CI:-0.012~0.004mm、p=0.39)との間に統計的な有意差はなかった。 また、小児期の血中鉛濃度が5μg/dL増加するごとに、45歳時点のIQスコアが2.07低下(95%CI:-3.39~-0.74、p=0.02)、情報提供者の評価による認知機能障害スコアが0.12増加(95%CI:0.01~0.23、p=0.03)と有意な関連が認められた。小児期の血中鉛濃度と自己報告による認知機能との間に統計学的な関連は確認されなかった(b=-0.02ポイント、95%CI:-0.10~0.07、p=0.68)。 なお、著者は、観察研究のため因果関係については証明できないこと、いくつかの結果ではタイプIエラーの可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

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日本人のCOVID-19による血栓症発症率は?

 合同COVID-19関連血栓症アンケート調査チームによる『COVID-19関連血栓症に関するアンケート調査』の結果が12月9日に発表された。それによると、日本人での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連血栓症の発症率は、全体では1.85%であることが明らかになった。 この調査は、COVID-19の病態の重症化に血栓症が深く関わっていることが欧米の研究で指摘されていることを受け、日本人COVID-19関連血栓症の病態及び診療実態を明らかにすることを目的として行われたもの。2020年8月31日までに入院したCOVID-19症例を対象とし、全国の病院399施設のうち109施設からCOVID-19患者6,082例に関する回答が寄せられた。なお、合同調査チームは厚生労働省難治性疾患政策研究事業「血液凝固異常症等に関する研究」班、日本血栓止血学会、日本動脈硬化学会の3組織合同によるもの。 主な調査結果は以下のとおり。・Dダイマーは症例全体の72%で測定され、入院中に基準値の3~8倍の上昇を認めたのはそのうちの9.5%、8倍以上の上昇を認めたのは7.7%と、多くの症例で血栓傾向がみられた。・血栓症は1.85%(血栓症に関する回答のあった5,687例のうち105例)に発症し、発症部位は(重複回答を可として)、症候性脳梗塞22例(血栓症症例の21.0%)、心筋梗塞7例(同6.7%)、深部静脈血栓症41例(同39.0%)、肺血栓塞栓症29例(同27.6%)、その他の血栓症21例(同20.0%)であった。・血栓症は、軽/中等症の症例での発症が31例(軽/中等症症例の0.59%)、人工呼吸器/ECMO使用中の発症が50例(人工呼吸/ECMO症例まで要した重症例の13.2%)であった。・症状悪化時に血栓症を発症したのは64例だったが、回復期にも26例が血栓症を発症していた。・抗凝固療法は、76病院で6,082例のうち880例(14.5%)に実施された。治療法の主な内訳は、未分画ヘパリン591例(880例中の67.2%)、低分子量ヘパリン111例(同13.0%)、ナファモスタット234例(同26.6%)、トロンボモジュリンアルファ42例(同4.8%)、前述の薬剤併用138例(同15.7%)、直接経口抗凝固薬[DOAC]91例(同10.3%)、その他42例(同4.8%)だった。・予防的抗凝固療法の実施について回答した49施設によると、予防的投与を行った患者背景として、Dダイマー高値、NPPV(非侵襲的陽圧換気)/人工呼吸患者、酸素投与患者などが挙げられた。

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高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+アベマシクリブ、iDFS改善が継続(monarchE)/SABCS2020

 再発リスクの高いリンパ節転移陽性ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の早期乳がんに対し、術後内分泌療法へのアベマシクリブ追加の有効性を評価する第III相monarchE試験の追跡調査において、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の改善が引き続き示され、Ki-67値20%以上の患者での有意な改善が示された。米国・ピッツバーグ大学のPriya Rastog氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 monarchE試験は中間解析(追跡期間中央値15.5ヵ月)でアベマシクリブ追加によるiDFSの有意な改善(p=0.0096、ハザード比[HR]:0.747、95%信頼区間[CI]:0.598~0.932)が報告されている。今回、iDFSの約390イベント発生後に計画されていた解析の結果が報告された。・対象:再発リスクの高いHR+/HER2-の早期乳がん(リンパ節転移4個以上、リンパ節転移1~3個の場合はKi-67値20%以上・グレード3・腫瘍径5cm以上のいずれか)、術前/術後の化学療法は許容・試験群:術後療法として、標準的内分泌療法+アベマシクリブ150mg×2/日投与。アベマシクリブは最長2年間投与(ET+アベマシクリブ群:2,808例)・対照群:術後療法として、標準的な内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、LH-RHアゴニストなど。薬剤は主治医選択)を5年以上施行(ET群:2,829例)・評価項目:[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]遠隔無転移生存期間(DRFS)、全生存期間(OS)、安全性、患者報告アウトカム、薬物動態 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の解析における追跡期間中央値は両群で19ヵ月(中間分析+3.5ヵ月)であった。1,437例(25.5%)が2年間の治療期間を完了し、3,281例(58.2%)はまだ2年間の治療期間中だった。・ITT集団において395例にiDFSイベントが観察され、ET+アベマシクリブ群はET群より優れたiDFSを示し、iDFSイベント発生リスクが28.7%減少した(p=0.0009、HR=0.713、95%CI:0.583~0.871)。2年iDFS率は、ET+アベマシクリブ群で92.3%、ET群で89.3%であった。事前に指定されたサブグループすべてにおいてET+アベマシクリブ群が優れていた。・ITT集団で、中央測定機関評価のKi-67値が20%以上であった2,498例における有効性を評価したところ、ET+アベマシクリブ群(1,262例)では、ET群(1,236例)より優れたiDFSを示し、iDFSイベント発生リスクが30.9%減少した(p=0.0111、HR:0.691、95%CI:0.519~0.920)。2年iDFS率はそれぞれ91.6%、87.1%だった。・ITT集団におけるDRFSについても、ET+アベマシクリブ群はET群より優れ、DRFSイベント発生リスクが31.3%減少した(p=0.0009、HR=0.687、95%CI:0.551~0.858)。2年DRFS率は、ET+アベマシクリブ群で93.8%、ET群で90.8%であった。・安全性は、中間iDFS解析結果およびアベマシクリブの既知の安全性プロファイルと一致していた。有害事象による中止のほとんどが治療開始5ヵ月以内であった。・現在OSは未到達であり、OSの最終解析まで試験は継続される。

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新型コロナ感染症におけるIgGモノクローナル抗体治療に対する疑問(解説:山口佳寿博氏)-1326

 新型コロナに対する治療の一環として、Spike蛋白のS1領域に存在する受容体結合領域(RBD)に対するIgGモノクローナル抗体(bamlanivimab[LY-CoV555]、Eli Lilly社)に関する第II相多施設二重盲検ランダム化対照試験(RCT)の結果が発表された(BLAZE-1 trial、Chen P, et al. N Engl J Med. 2020 Oct 28. [Epub ahead of print])。このモノクローナル抗体は、1人の患者の回復期血漿から分離されたS蛋白IgG1抗体の構造解析を基に作成された物質である。BLAZE-1 trialの結果を主たる根拠として、2020年11月9日、米国FDAはbamlanivimabの緊急使用を許可した(本邦:現時点では未承認)。S蛋白に対するモノクローナル抗体カクテル(REGN-COV2、Regeneron Pharmaceuticals社)は、10月初旬にトランプ大統領が新型コロナに感染した時に投与されたことから世間の注目を浴びるようになった。しかしながら、BLAZE-1 trialの結果は、本療法が他の療法に比べとくに有効であると結論できるほどの医学的根拠を示していない。それ故、本論評ではIgGモノクローナル抗体療法の源流である回復期血漿治療までさかのぼり、IgGモノクローナル抗体療法の問題点を整理したい。 患者の回復期に得られた血漿を新たな患者に輸血する方法はエボラ出血熱、SARS、MERS、鳥インフルエンザなど種々の感染症において施行されてきた。新型コロナにあっても、ニューヨーク州Andrew Cuomo知事は回復期血漿を新たな感染者に投与することを表明した(2020年3月24日)。これを受け、米国FDAは回復期血漿の緊急使用を後出しで承認した(3月25日)。米国における動向を受け、本邦の厚労省も回復期血漿投与を保険適用外治療として承認した。非盲検化観察研究では回復期血漿投与を有効とする報告が多いが、RCTによる検討結果は本療法の臨床的効果を必ずしも肯定するものではなかった。 インド39施設におけるRCT(PLACID Trial、中等症の患者が対象、対照群:229例、血漿投与群:235例)では、輸血後7日以内のウイルス陰性化率は血漿投与群で有意に高く臨床所見も改善することが示された(Agarwal A, et al. BMJ. 2020;371:m3939.)。しかしながら、経過観察中の中和抗体価、種々の炎症マーカー(LDH、CRP、D-dimer、Ferritin)、28日以内の重症化率、死亡率は両群間で有意差を認めず、回復期血漿投与の臨床的効果は非常に限られたものであることが示唆された。アルゼンチンの12施設で施行されたRCT(PlasmAr trial、肺炎を認めた中等症患者が対象、対照群:105例、血漿投与群:228例)では、血中のウイルスに対するIgG抗体価は輸血後2日目において血漿投与群で有意に高値であったものの、それ以降では対照群との間で有意差を認めなかった(Simonovich VA, et al. N Engl J Med. 2020 Nov 24. [Epub ahead of print])。輸血30日後の臨床所見、死亡率は両群で差がなく、血漿投与の臨床的に意義ある効果は確認されなかった。PlasmAr trialで得られた興味深い知見は、血漿として1回投与されたIgG抗体は2日前後で分解され長期に血中に残存しないことを示していることである。この結果は、IgGモノクローナル抗体投与時にも成立する事象であり、1回投与されたIgGモノクローナル抗体は2日前後で生体内において分解/処理されると考えなければならず、血漿投与あるいはIgGモノクローナル抗体投与が本当に1回のみでよいかに関して疑問を投げかける。 BLAZE-1 trialは米国41施設で施行された軽症・中等症患者(非入院)を対象としたRCTで、IgG単回投与量の差による臨床効果の差を解析している(対照群:143例、700mgのIgG投与群:101例、2,800mgのIgG投与群:107例、7,000mgのIgG投与群:101例)。試験開始11日目のウイルス量は2,800mgのIgGモノクローナル抗体投与群において対照群より有意に低下していたが、他の用量では対照群と差を認めなかった。2~6日目の臨床所見はIgG投与群全体(3つの投与群を一括)で対照に比べ有意に改善していた。さらに、入院または救急外来を受診した患者の割合は、対照群で6.3%であったのに対してIgG投与群全体では1.6%と少ない傾向を認めた(ただし、統計学的有意差検定の結果は論文中に示されていない)。以上の結果より、BLAZE-1 trialの著者らは、IgGモノクローナル抗体の投与量は2,800mgが至適であると結論した。 BLAZE-1 trialに加えbamlanivimabを用いた治験として、ACTIV-2(非入院の軽症・中等症患者220例を対象)、ACTIV-3(入院中の比較的重症患者300例を対象)、BLAZE-3(介護施設の入居者、職員を対象とした感染予防効果の検証)などが終了、中止、あるいは進行中である。しかしながら、多人数を対象とした第III相試験は計画されていない。以上のような現状であるにもかかわらず、米国FDAはIgGモノクローナル抗体、bamlanivimabの緊急使用を許可した。薬物投与の対象は非入院の軽症・中等症患者(12歳以上)にあって重症化危険因子(たとえば、65歳以上の高齢) を有するものであり、発症後10日以内に可及的速やかにbamlanivimabを700mg単回投与することが推奨された。一方で、入院あるいは酸素投与が必要な患者(重症例)は適用外であり、これらの患者へのIgGモノクローナル抗体投与は病状を逆に悪化させる可能性があるとFDAは警告している。 IgGモノクローナル抗体の緊急使用許可には種々の疑問点が存在する。(1)IgGモノクローナル抗体の単回投与では、おそらく数日以内にIgG抗体は生体内で分解/処理されるはずであり、コロナ感染初期に自然なIgG抗体価が上昇し難い患者に使用対象を絞るべきである(たとえば、免疫不全患者など)。(2)FDAの緊急使用許可の主たる根拠となったBLAZE-1 trialで決定された投与量は2,800mgである。それにもかかわらず許可されたのは700mgであった。この点に関しても十分な説明がなされていない。(3)IgGの生体内残存時間からは単回投与でよいかどうかに関して疑問が残る。初回投与数日後に2回目のIgGモノクローナル抗体を投与した場合の検討が必要と思われる。(4)FDAは重症例への投与によって病状が悪化することを懸念しているが、これは、投与されたIgGモノクローナル抗体によって“抗体依存性感染増強(ADE:Antibody-dependent enhancement of infection)”が発生する可能性を危惧したものと思われる。ADE発生の可能性を検討する目的でT細胞系反応(Th-1サイトカインとTh-2サイトカインのバランス)に関する解析を追加すべきである。 以上のようにIgGモノクローナル抗体療法には不明な要素が多々存在し、費用対効果の面からこのような高額治療を臨床の現場で施行すべきかどうかについて冷静な判断が求められている。

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最良のEGFR-TKIシーケンシャルは何か:臨床エビデンスからのシミュレーション【肺がんインタビュー】 第57回

第57回 最良のEGFR-TKIシーケンシャルは何か:臨床エビデンスからのシミュレーション出演:九州大学 呼吸器外科 原武 直紀氏EGFR-TKIのシーケンシャル治療パターンによる生存結果を臨床エビデンスからシミュレーションした研究が発表される。同研究の筆頭著者である九州大学 原武直紀氏に研究内容とその結果について聞いた。

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AI婚活はアリか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(353)

三百五十三の段 AI婚活はアリか?ついにその日が来ました。朝、車に乗って出勤しようとしたらフロントガラス一面に霜が。溶かすためのお湯を取りに、一旦、家に戻りました。外気温は3度と表示されています。そりゃ、霜もおりるわ!さて、最近、仰天したニュースがAI婚活です。なんでも政府が、マッチングサービスにAIを導入・運用する自治体に補助金を出すとのこと。愛媛県や埼玉県ではすでにAIを活用しており、成績も悪くないとか。ちなみに埼玉県では、2019年に成婚に至ったカップル38組中21組がAIの提案によるものだったそうです。凄い!AI婚活への補助に対して、ネットにはさまざまな声があります。何か違う気持ち悪いことはやめろもういっそ親に見つけてもらいなよ少子化対策がこれってなど、散々な言われようです。一方、好意的な意見もあります、少数ですけど。客観的で感情がないから良いかもしれんまあでも、AIも悪くはないだろうな当然、笑わせてくれるのもあります。そこにAI(愛)はあるのかい?政府が出会い系サイトを運営する日が来るとは私自身はAIだろうが何だろうが、利用できるものは使ったらいいと思います。とくに反対する理由もないし。ついでなので、「えひめ結婚支援センター」のサイトをのぞいてみました。ここでは、ビッグデータを活用した婚活というのをやっています。国立情報学研究所の宇野 毅明教授の理論が紹介されていました。本人の行動に基づいて、自分に適した相手を何千人もの中から次々に推薦してくれるシステムのようです。その理論が正しいのかはよくわかりません。でも、実績があるのならそれでよし、結果がすべてですよね。というわけで興味の尽きないAI婚活。日本のお見合い業界を席捲するのか否か、今後を見守っていきましょう。最後に1句AIの 時代は来れど 霜おりる

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医療マンガ大賞2020 ケアネット部門受賞作:心がふるえたエピソード(原作:如月 美月氏)

医療マンガ大賞2020 ケアネット部門受賞作:心がふるえたエピソード(原作:如月 美月氏)ケアネット部門受賞者・chiku氏からのコメントこの度はこのような素晴らしい賞をいただきまして、大変光栄です。今回の受賞作品は、医師の病気を治す“情熱”と患者の医師を“信頼”する気持ちの交流をファンタジックな演出で描きました。制作裏話になるのですが、実は私自身の体験も加味されております。今年の3月、考え事をしながら歩道を歩いていたところ、カーブミラーの角に額をぶつけて、なんと流血。動揺して頭を押さえていると、通りかかったどなたかが救急車を呼んでくださりました。その時の救急車の中での“非日常感”と、病院の入口まで迎えに来てくださった医師の皆さまの“手厚い対応への感動”からインスピレーションを得ています。医師と医療従事者の皆さまの働きに敬意を込めて描いた作品です。如月 美月氏(30代・腎臓内科)による原作『心がふるえたエピソード』はこちら参考医療マンガ大賞2020 受賞作品 心がふるえたエピソード (横浜市医療局)医療マンガ大賞特設Webサイト(同)バックナンバー

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医療マンガ大賞2020 原作エピソード『心がふるえたエピソード(医師視点)』

心がふるえたエピソード(医師視点)腎臓内科医として研修を積んでいる時、医師としてはまだ4年目の頃の忘れられないエピソード。ある日、緊急で運ばれてきたのは、昔この病院で肝移植をした男の子。下血が続いていて止まらないとのこと。到着すると貧血が進んでいるので、すぐに輸血が始まり、集中治療室に入院した。私ができることなどなかった。まだ小学校入学前の患者に少しでも安心して楽しい気持ちでいてもらえるように、当直の日には男の子が眠れるまで、本屋で急いで買った絵本を読んだ。お気に入りの絵本は今でも覚えている。それに気付いた班長の医師は、班として絵本代を払いたい、ありがとうと言っていた。腕は確かで厳しい面もあるが、情に厚い医師で今でも尊敬している。ベッドサイドで話していたり、絵本を読んでいる間も時々違和感があるようで、もじもじしているなと思ったら、男の子が「また出ちゃった」と言う。幼児とはいえ、下血が悪いことであるのはわかっているので不安そうな顔をしていた。でも、チームの医師たちは、誰も諦めていなかった。班長と中堅医師が、小児の治療を専門的に行う病院に相談したところ、緊急事態だから今日来ていいということだった。それから患者家族に事情を話し、着いたのはもう診療時間は過ぎている夜だった。しかし、私達が着いたときに出迎えてくれたのは、準備万端で待っていてくれた小児治療の専門チーム一同だった。1日が終わろうとする時間なのに疲れは見せず、明るく出迎えてくれて救われた。無事に出血が止まったことを確認した時には、治療室内にいるチームだけでなく、治療室の外から見守っていた私達チームも大いに盛り上がった。そして、治ったという安心感、治療してくれたチームへの感謝、皆が全力で対応してくれたことへの感動など、様々な気持ちがないまぜになり、私は気づいたら泣いていた。班長の目にも涙が浮かんでいた。翌日からはいつものように診療が始まり、その月で私の研修も終了になった。後日、無事にその男の子は退院したと聞いた。そして、小学生になった時に母親と一緒に元気になった姿を見せにわざわざ病院を訪れてくれたそうだ。私も会いたかったけれど、元気ならそれが1番だ。原作:如月 美月氏(30代・腎臓内科)より一部改変バックナンバー

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第36回 国家プロジェクトを司るノーベル賞候補者、金銭巡る醜聞で官邸が調査開始

内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の1つ、「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」研究開発プロジェクトに、ただならぬ事態が起きている。プログラムディレクター(PD)の中村 祐輔氏(がん研究会がんプレシジョン医療研究センター長)と、プロジェクトに参加する某大手企業との“癒着”が問題視されているというのだ。この件は菅 義偉首相の耳にも入っており、官邸ではすでに調査進行中だという。結果次第では、中村氏のPD解任やプロジェクトそのものを刷新する対応もあり得るという。中村氏と言えば、ヒトゲノム(全遺伝情報)研究の第一人者として知られ、今年9月には、ノーベル賞受賞が有力な研究者に贈られる「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」を受けている。そんな中村氏を巡っては、10年前にも企業絡みの問題が報じられた過去がある。朝日新聞が2010年10月15日付朝刊で、東京大学医科学研究所(医科研)が医科研病院においてがんペプチドワクチンの臨床試験を実施した際、「重篤な有害事象」(消化管出血)の情報を、ペプチドを提供した他施設に伝えなかったことを報道。紙面では、ペプチド開発者が医科研ヒトゲノム解析センター長・教授(当時)の中村氏であり、治験を実施したのが、同氏が社外取締役および筆頭株主だった東大発のベンチャー企業、オンコセラピー・サイエンス社(オンコ社)であることなどを伝えていた。これに対し、中村氏とオンコ社は同年、朝日新聞社と記者対し2億円の損害賠償と謝罪広告を求めて提訴。これに対し東京地裁は2015年、「中村氏らの名誉が傷つけられたとはいえない」として訴えを棄却したという経緯がある。この間の中村氏は、民主党政権下の2011年1月、内閣官房に新設された「医療イノベーション推進室」室長に就任するも、同年12月には退任。翌年4月には米シカゴ大学医学部教授・個別化医療センター副センター長に就いた。先述の裁判での敗訴を経て、2016年4月にはがん研がんプレシジョン医療研究センター所長、2018年にはSIPのPDに就任している。責任者を務めるAIホスピタルのプロジェクトには、200社近い企業が応募し、13社の研究が採用された。そのうち12社が大手企業で、1社だけベンチャー企業が入った。関係者は次のように話す。「中村氏は当初、この独創的な技術を持つベンチャー企業を応援していたが、日本ユニシスや日立製作所が、会議の際などにベンチャー企業に嫌がらせをするようになった。会議資料がベンチャー企業だけ用意されていなかったり、研究費の返還を求めて訴訟沙汰になったりしている。しかし、責任者である中村氏は嫌がらせを止めようとしない。日本ユニシスとの親密な関係が影響していると考えられる」。実際、中村氏は2019年に『FRIDAY』や『Foresight』といったメディアに、日本ユニシスの社長や執行役員と共に登場している。検察事情に詳しい事情通は、「中村氏は自らが役員を務める企業にプロジェクト予算の一部を環流したり、日本ユニシスと癒着したりしているのではと噂されており、東京地検特捜部も関心を寄せている」と打ち明ける。事情を知る医療人は、「また企業絡みの問題か。懲りない人だ」と苦笑いだった。

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抗CD38抗体ダラツムマブ、全身性ALアミロイドーシスに国内承認申請/ヤンセン

 ヤンセンファーマは、2020年12月2日、ダラツムマブについて、「全身性ALアミロイドーシス」の適応取得を目的とした製造販売承認を申請したと発表。 全身性ALアミロイドーシスは国の指定難病で、2014年に実施された全国疫学調査による国内推定患者数は、3,200例とされている。異常形質細胞より産生されるアミロイド蛋白の沈着により多臓器障害を引き起こし、その臓器障害により生存率の低下や疾患の転帰に影響を及ぼす予後不良の疾患である。 全身性ALアミロイドーシスの治療は、その病態が多発性骨髄腫と類似しているため、自己造血幹細胞移植(ASCT) や悪性形質細胞を標的とする薬物療法(抗形質細胞療法)が実施されており、国内外のガイドラインで推奨されている。抗形質細胞療法の中でも、CyBorD(シクロホスファミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)療法は、多くの有効性、安全性について報告されている治療法の1つである。ダラツムマブは、多発性骨髄腫の適応が承認されているCD38を標的とするモノクローナル抗体である。 この申請は、2020年6月に開催された第25回欧州血液学会議(EHA)年次総会で発表された国際共同第III相試験(AMY3001、ANDROMEDA)試験に基づいている。同試験は、CyBorD療法に対するダラツムマブの上乗せ効果を検討し、未治療の全身性ALアミロイドーシス患者に対する有効性と忍容性が確認されている。

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日本における自閉症の特徴を有する女性の産後うつ病と虐待リスク

 自閉症の特徴を有する女性が、出産後に母親となり、どのような問題に直面するかはあまりわかっていない。順天堂大学の細澤 麻里子氏らは、出産前の非臨床的な自閉症の特徴と産後うつ病および産後1ヵ月間の子供への虐待リスクとの関連、これらに関連するソーシャルサポートの影響について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月5日号の報告。自閉症の特徴は産後うつ病や子供への虐待のリスク増加と関連 日本全国の出生コホートである子どもの健康と環境に関する全国調査(Japan Environment and Children's Study)より、精神疾患の既往歴のない単胎児の母親7万3,532人を対象とした。自閉症の特徴は、簡易自閉症スペクトラム指数日本語版を用いて、妊娠第2三半期/第3三半期に測定した。対象者を、自閉症スコアに基づき3群(正常、中等度、高度)に分類した。産後うつ病はエジンバラ産後うつ病尺度日本語版を、子供の虐待は自己報告を用いて、出産1ヵ月後に測定した。妊娠中のソーシャルサポートは、個々に収集した。データ分析には、ポアソン回帰を用いた。 出産前の自閉症の特徴と産後うつ病および子虐待リスクとの関連を調査した主な結果は以下のとおり。・産後1ヵ月間で、産後うつ病は7,147人(9.7%)、子供への虐待は1万2,994人(17.7%)より報告された。・自閉症の特徴は、交絡因子とは無関係に、産後うつ病および子供への虐待のリスク増加との関連が認められた。 【自閉症スコア中等度】 ●産後うつ病(調整後相対リスク[aRR]:1.74、95%CI:1.64~1.84) ●子供への虐待(aRR:1.19、95%CI:1.13~1.24) 【自閉症スコア高度】 ●産後うつ病(aRR:2.33、95%CI:2.13~2.55) ●子供への虐待(aRR:1.39、95%CI:1.28~1.50)・自閉症スコアが中等度または高度の女性に対するソーシャルサポートは、産後うつ病および子供への虐待のリスクを、26~31%緩和させた。 著者らは「自己報告による評価であるため、制限がある」としながらも「中等度または高度の自閉症の特徴を有する母親は、産後1ヵ月間で、産後うつ病や新生児虐待に対する脆弱性が認められており、妊娠中のソーシャルサポートが不足している可能性が示唆された」としている。

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