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COVID-19拡大下、2型糖尿病血糖コントロールの実態/日本糖尿病学会

 10月5日(月)~16日(金)、Web開催された第63回日本糖尿病学会年次学術集会の緊急特別シンポジウム 「COVID-19~我が国の現状と糖尿病診療との関わり~」において、山﨑 真裕氏(京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学)が「COVID-19感染拡大下における糖尿病診療」と題して、外来における糖尿病患者の行動の変化、入院における糖尿病を持つCOVID-19患者の治療について講演した。COVID-19による2型糖尿病患者のストレス、生活習慣への影響を明らかに 糖尿病患者のストレスや血糖コントロールの悪化は、これまでの台風や地震などの災害時にも報告されてきた。同様にCOVID-19蔓延も糖尿病患者のストレスの要因であり、血糖コントロールや行動への影響が報告されている。 今回、山﨑氏らは2型糖尿病患者の生活習慣の変化を調査するため、自施設にてアンケート調査を実施。対象者は2020年4月16日~5月1日に来院予定であった564例で、電話診療を行った患者や来院しなかった患者などを除外し、最終的に203例(平均年齢67.4歳[男性:126例、女性:77例]、平均糖尿病歴は14.4年、経口薬の使用は170例、インスリンの使用は135例、運動習慣ありは133例)へ聞き取りを行った。調査項目は、ストレス、睡眠時間、運動量、食事量、間食、野菜摂取量、惣菜摂取量などで、 その変化をVASスコアで自己評価してもらった。 主な結果は以下のとおり。・ストレスが増加した方は41.2%、運動量が減った方は53.7%だった。・ストレスの増加と運動量の減少、食事摂取量・惣菜摂取量の増加が関連した。・運動量の減少と間食、惣菜摂取量の増加が関連した。・体重変化をストレスや睡眠時間などで分析したところ、運動量の減少と関連がみられた。・HbA1cの変化については睡眠時間の減少と間食の増加が関連し悪化していた。 これらの結果について同氏は「コロナ禍の下で外出回数の減少、外出への不安があり、自宅にいる時間が長くなった結果」とし、またサブ解析では「65歳未満と運動習慣のない患者において、運動量の減少での体重増加、間食や惣菜の増加で体重やHbA1cが増加した」と結論付けたが、「病院に来られなかった患者はもっと不安を感じていたのではないか。“全体として悪くなっている”という評価ではなく、悪くなっている人と良くなっている人がいることを踏まえ、個々の対応が必要。そして、コロナ禍後にどのようにつなげていくかが課題である」とコメントした。コロナ禍の入院患者の血糖コントロール、real-time CGMが有用 COVID-19の糖尿病合併例では、その他感染症と同様、厳密な血糖コントロール、低血糖リスクの回避が求められる。そのため血糖測定の頻度は通常より多くなり、それが医療者側の不安につながる。そこで同氏は改善策として遠隔で血糖値が確認できるよう自施設でreal-time CGMを導入した。その結果、持続インスリン静脈内投与をこまめに調節することで重症患者の血糖値を安定化させ、低血糖を起こさないようにコントロールすることができた。海外文献*でも「血糖値を140~180mg/dlに保ちやすい、低血糖を予防できる、限られたpersonal protective equipment(PPE)の節約、Health care workerの接触の機会を減らす」可能性が示されており、糖尿病専門医としての責務を果たすため、今後もコロナ禍が続き入院患者増を予測される中で対応の検討が必要と話した。

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中等~重症アトピー性皮膚炎、バリシチニブ+TCSの有効性・安全性を確認

 経口JAK1/2阻害薬バリシチニブについては、外用コルチコステロイド薬(TCS)で効果不十分な中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)への単独療法の有効性および安全性が、これまでに2件の第III相試験の結果で報告されている。今回、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのKristian Reich氏らは、バリシチニブとTCSの併用療法について検討し、中等症~重症ADに対してバリシチニブ1日1回4mg+TCSが症状を有意に改善することを明らかにした。安全性プロファイルは、バリシチニブのこれまでの試験で既報されているものと変わらなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年9月30日号掲載の報告。 研究グループは、TCS治療では効果不十分であった中等症~重症AD成人患者について、TCSを基礎療法としながらバリシチニブ4mgまたは2mg用量の有効性と安全性を評価する、二重盲検プラセボ対照第III相無作為化試験「BREEZE-AD7試験」を実施した。 試験は2018年11月16日~2019年8月22日まで、アジア、オーストラリア、欧州、南米の10ヵ国、68の医療センターで行われた。被験者は、18歳以上のTCSで効果不十分の中等症~重症AD患者であった。 被験者は無作為に3群(1対1対1)に割り付けられ、バリシチニブ1日1回2mg(109例)、同4mg(111例)、プラセボ(109例)のいずれかを16週間投与された。基礎療法として、低度~中等度効能のTCSの使用が認められた。 主要評価項目は、Validated Investigator Global Assessment for AD(vIGA-AD)スコアが16週時点の評価でベースラインから2ポイント以上改善し、0(改善)または1(ほとんど改善)を達成した患者の割合であった。 主な結果は以下のとおり。・被験者329例は、平均[SD]年齢33.8[12.4]歳、男性216例(66%)であった。・16週時点でvIGA-ADスコア0または1を達成した患者は、プラセボ群16例(15%)に対し、バリシチニブ4mg群34例(31%)、同2mg群26例(24%)であった。・対プラセボのオッズ比(OR)は、バリシチニブ4mg群2.8(95%信頼区間[CT]:1.4~5.6、p=0.004)、同2mg群1.9(0.9~3.9、p=0.08)であった。・治療関連有害事象の報告は、バリシチニブ4mg群で64/111例(58%)、同2mg群で61/109例(56%)、プラセボ群で41/108例(38%)であった。・重篤な有害事象の報告は、バリシチニブ4mg群4例(4%)、同2mg群2例(2%)、プラセボ群4例(4%)であった。・最も頻度の高い有害事象は、鼻咽頭炎、上気道感染症、毛包炎であった。・なお試験完了後、被験者は4週間のフォローアップもしくは拡大延長(長期)試験に登録された。

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米国におけるCOVID-19パンデミック前後のうつ病有病率の変化

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)およびこれに関連するソーシャルディスタンスやロックダウンといった制限は、実質的かつ永続的なメンタルヘルスへの影響が懸念される。アイルランド・メイノース大学のMichael Daly氏らは、米国におけるCOVID-19パンデミック前後のうつ病有病率の変化について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年9月15日号の報告。 米国成人を対象とした2つの代表的な調査において、うつ病を検出するために、Patient Health Questionnaire-2(PHQ-2)を用いた簡易スクリーニングを実施した。パンデミック前のうつ病レベルは、2017~18年の全国健康栄養調査(NHANES)の成人サンプル5,075例より算出した。米国の代表的なサンプルであるUnderstanding America Studyより、2020年3月(6,819例)および4月(5,428例)のうつ病レベルを評価した。 主な結果は以下のとおり。・米国成人のうつ病有病率は、以下のとおりであった。 ●2017~18年:8.7%、95%CI:7.6~9.8 ●2020年3月:10.6%、95%CI:9.6~11.6 ●2020年4月:14.4%、95%CI:13.1~15.7・65歳以上および黒人を除く調査したすべてのサブグループにおいて、うつ病レベルの統計学的に有意な増加が観察された。・若年成人(18~34歳)は、ほかの年齢層と比較し、うつ病有病率の顕著な増加が認められた。その増加率は、13.4ポイントであった。・2007/08年~2017/18年のNHANESよりうつ病の傾向を追加分析した結果と比較し、2020年4月のうつ病有病率の大幅な増加は、典型的な変動とは異なる可能性が高いことが示唆された。 著者らは「COVID-19パンデミックによりうつ病レベルは大幅に上昇しており、とくに若年成人において、メンタルヘルスへの影響に対する脆弱性が示唆された」としている。

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迅速承認薬の治療的価値は本物か?/BMJ

 過去10年で米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)が承認した新薬について、他の5つの独立組織(4ヵ国[カナダ、フランス、ドイツ、イタリア]の保健当局とPrescrire誌を発行する国際非営利組織)のうち少なくとも1組織によって「治療的価値が高い」と評価されたのは3分の1に満たないことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のThomas J. Hwang氏らによる後ろ向きコホート研究の結果で明らかにされた。FDAおよびEMAによる新薬承認は、医薬品開発・承認の促進プログラムが一因し、これまでになく多数かつ迅速になっているという。今回の検討では、FDAおよびEMAによって治療的価値が高いとされた新薬は、非迅速開発薬よりも迅速開発薬で有意に多く、FDAで承認されたがEMAでは承認されなかった迅速承認薬の大半は治療的価値が低いと評価されていることも示された。BMJ誌2020年10月7日号掲載の報告。治療的価値が高いとされた新薬の割合などを調査 研究グループは本検討で、FDAおよびEMAにより承認された新薬の治療的価値を特徴付けること、また、FDAおよびEMAによる評価と開発促進プログラムによる承認調整との関連を明らかにすることを目的とした。 2007~17年にFDAおよびEMAで承認された新薬について、2020年4月1日までフォローアップを行い、5つの独立組織(Prescrire、カナダ・フランス・ドイツ・イタリアの保健当局)による新薬の評価法を用いて治療的価値を測定した。 治療的価値が高いとされた新薬の割合、および治療的価値が高いとの評価と開発促進プログラム該当の有無との関連を調べた。FDAとEMAの承認新薬、他組織で治療的価値が高いとされたのは31% 2007~17年に、FDAが320、EMAが268の新薬を承認していた。そのうち、少なくとも1つ以上の開発促進プログラムに該当していた新薬は、FDAは181(57%)あったが、EMAは39(15%)であった。 治療的価値の評価が行われていた267の新薬において、少なくとも1つの組織で治療的価値が高いと評価されたのは84(31%)であった。 治療的価値が高いと評価された割合は、非迅速開発薬と比較して迅速開発薬のほうが、FDA承認薬(45%[69/153]vs.13%[15/114]、p<0.001)、EMA承認薬(67%[18/27]vs.27%[65/240]、p<0.001)ともに有意に高率であった。 治療的価値が高いと独立的に評価された新薬について、開発促進プログラムの感度および特異度は、FDA承認薬では82%(95%信頼区間[CI]:72~90)と54%(47~62)であったが、EMA承認薬では25.3%(16.4~36.0)と90.2%(85.0~94.1)であった。 結果を踏まえて著者は、「政策立案者と規制当局は、評価プロセスの結果と新薬承認の制限について、患者や医師にもっとよく知らせる方法を模索すべきである」と提言している。

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COVID-19検査法と結果どう考えるか/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部 教授])は、10月12日に「COVID-19検査法および結果の考え方」を提言としてまとめ、同会のホームページで公開した。 提言では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でさまざまな検査法、検査機器の登場により日々新しい情報が次々と発表されて行く中で、遺伝子検査で陽性を示す患者の感染性をどのように評価していくのかが検査の重要な課題として定義。その中でもCt値(Cycle Threshold)が重要な項目の1つとして将来的に遺伝子検査陽性が持続する患者に対し、Ct値や特異抗体の検出などを併用することで、正確に感染性を評価することができるようになると示唆している。 以下に「COVID-19検査法および結果の考え方」の概要をまとめた。なお、この内容は2020年10月初めの情報であり、今後変更される可能性があることも留意いただきたい。検査の適用は4つのタイプ 「検査の適用に関する基本的考え方」として、新型コロナウイルス感染症対策分科会から、COVID-19に対する検査の基本的考え方が下記のように示されている。(1)有症状者(COVID-19 を疑う症状がある患者)(2)無症状者 a 感染リスクおよび検査前確率が高い場合(例:クラスター発生時、医療機関や高齢者施設など) b 感染リスクおよび検査前確率が低い場合(例:海外渡航時、スポーツ選手、文化・芸能など) また、検査法ごとに使用できる検体および対象者として、検査法では「遺伝子検査」「高感度抗原検査」「簡易抗原検査」の3つが、検体では「鼻咽頭」「鼻腔」「唾液」の3つがあり、有症状者、無症状者により使い分けて使用することが厚生労働省より発表されている。 とくにインフルエンザ流行の秋冬においては、鼻咽頭あるいは鼻腔検体を用いてインフルエンザとCOVID-19 の検査を同時に実施することも想定し、同学会の過去の提言やCOVID-19病原体検査の指針を参考にしてほしいと述べている。各検査法の特徴と注意点・遺伝子検査法 特徴:数十コピーのウイルス遺伝子を検出できるほど感度が高い 注意点:検査時間が比較的長い(1~5時間)、専用機器・熟練した人材が必要、高コストなど おおむね感度90%以上、特異度はほぼ100%・抗原検査 特徴:検体採取ののち約30分で目視による判定が可能である(定性試験) 注意点:イムノクロマトグラフィー法では感度が低く、唾液検査は認められていない。ルミパルスは、遺伝子検査に近い感度が得られるとされている。高感度抗原検出検査は、無症状者の鼻咽頭拭い液および唾液を用いた検査でも承認・抗体測定法 特徴:COVID-19では抗体産生が、発症から受診まで2週間(通常、特異抗体産生は感染後2~3週間必要)ほどの経過である症例もあり、このような場合、患者血液の抗体の検出が診断に役立つ 注意点:感染・発症していても抗体検査が陽性にならない症例があることに注意。感度・特異度ともに他の方法と比較して劣り、製品ごとのばらつきも大きい感染性を評価するための指標としてCt値を提言 症状が軽快したのちも、数週間にわたって遺伝子検査が陽性を示すことが報告されている。長期間の遺伝子検査陽性を示す患者において、いつまで隔離を行う必要があるのか(感染性はいつまで続いているのか)の判断に苦慮することが多い。 そこで、感染性を評価するための指標として遺伝子コピー数(Ct値)を提言している。408症例の検討から発症時点でのCt値は20前後であったものが、日数が経過するごとにCt値は高くなり(ウイルス遺伝子数が減少)、発症9日の時点でCt値は30.1となっている1)。また、発症からの日数とCt値およびウイルス培養結果の関連では、Ct値が高くなるにしたがい(ウイルス遺伝子数が減少)、検体からのウイルスの分離率が低下していることがわかる。 これらの研究からウイルスの分離(すなわち感染性)は発症からの日数およびウイルスRNA量に強く依存している可能性を示すものであると説明している。退院基準の考え方 遺伝子検査がなかなか陰性化しないことで、無症状であっても退院させられない症例の増加が問題となっている。そこで、遺伝子検査の陰性結果(Test-based strategy)とともに、発症および症状消失からの日数を参考に退院を判断するSymptom-based strategy の導入が検討されている。 下記に「COVID-19陽性者の退院基準・解除基準」を示す。 1)有症状者の場合 (1)発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後、72時間経過した場合 (2)症状軽快の24時間後、2回のPCR検査(24時間間隔)で陰性確認 2)無症状者の病原体保有者の場合 (1)検体採取日から10日間経過した場合 (2)検体採取日から6日間経過後、2回のPCR検査(24時間間隔)で陰性確認 以上今後の検査、退院などに際し参考としていただきたい。■参考COVID-19検査法および結果の考え方

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4割の人はがんより認知症への罹患に不安、期待される予防策とは?

 日本認知症予防学会と食から認知機能について考える会が9月に「食と認知機能に関する意識調査の結果発表」を公開し、食や食成分による認知機能改善効果を期待する人が5割以上にのぼることを明らかにした。この詳細は、浦上 克哉氏(鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野 教授/日本認知症予防学会 理事長)が食から認知機能について考える会発足記者会見で報告した。 この調査は1)認知症の理解、認知症の予防に対する理解レベルの確認、2)とくに食生活が関与する認知症予防への理解と信頼感の確認、3)認知症予防への関心喚起を目的とし、2020年3月にWebを用いて、30代以上の一般男女1,030名と日本認知症予防学会学会員380名(医師:102名、メディカルスタッフ:278名)に行った。一般人より医療者のほうが食事に認知機能改善を期待 本調査では、認知機能の低下へのイメージ、食や食成分・機能性表示食品の認知機能改善の効果への期待度、機能性表示食品等の食成分エビデンスの信頼度やその理由などを設問に設定し、一般結果と医師・メディカルスタッフの回答結果を比較した。たとえば、“食や食成分が認知機能改善に効果があると思いますか”という質問では、一般と医師・メディカルスタッフの回答割合の傾向はほぼ同じであるものの、一般人のほうが食に対する懐疑的な意見が多かった。一方で機能性表示食品について同様の質問をしたところ、医師・メディカルスタッフは、「大いに期待」「やや期待」という声が多かった。ただし、機能性表示食品等のエビデンスへの信頼度については、一般も医師・メディカルスタッフ共に8割近くが「信頼できない」「どちらともいえない」と回答している。これについて浦上氏は「『信頼できる学術誌で発表されていない』『データが不十分』『企業に有利なことしか開示していない』という理由だった。科学的根拠を信頼しているのは約2割にとどまる」とし、「学会として正しい情報提供に努めたい」と説明した。がんより認知症への罹患を不安視 このほか、認知機能の低下に対するイメージや認知症の病態に関する質問から、医師・メディカルスタッフの約8割が“認知症について一般には正しく理解されていない”と感じていたこと、自分が最もなりたくない疾患として認知症ががんを上回っていたことも明らかになった(一般vs.医師・メディカルスタッフで比較、認知症:47.6%vs. 35.0%、がん:38.5%vs. 25.8%、脳血管疾患:4.9%vs. 18.9%)。これを踏まえて浦上氏は「20年前に行われた調査ではがんが最も罹患したくない疾患だったが、現在では40歳を境にがんより認知症になりたくないと考えている人が多い。男女別でみると、女性のほうが認知症に対し不安視しているが、これは罹患しやすさが影響していると考えられる」と調査内容を分析した。食材のエビデンス+食事で脳を生き生きさせる 続いて記者会見で認知機能改善につながる食品成分とエビデンスの重要性について解説した鳥羽 研二氏(東京都健康長寿医療センター 理事長)は、「認知症に対し、一つの食材(オリーブオイル、ワイン、魚など)による効果はエビデンスが不十分だが、現在、日本で実施されている食事と認知症に関する3つの大規模臨床試験(久山町研究、大崎研究、NILS-LSA)に共通するのは、地中海食のようにバランスのとれた栄養素を取っている点。しかし、各地域で食されている一つ一つの食材は異なっており、この点は注目に値する」とコメントした。 また、人間の機能に食が与える影響について、「目で見て楽しむ、鼻で香りを嗅ぐ、口で噛むなどの食行動が感覚情報として大脳皮質に作用することで脳の健康につながるという考えがある。食事の栄養素も重要であるが、運動、栄養、生活習慣病、フレイル、意欲や関心、社会参加が影響している点を踏まえ、『食』を“SHOKU”(Sports、Hobby、Oral Frail、Knot、Unfavorable life style) と捉えて、食の認知機能への影響を考えていくことが大切ではないか」と考えを示した。

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血漿ACE2は生命予後・心血管疾患イベントのリスクマーカーとなりうるのか?(解説:甲斐久史氏)-1307

 2020年は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発見20周年である。その記念すべき年に、期せずして、人類の日々の営みさえ大きく変えようとしているCOVID-19パンデミックの原因ウイルスSARS-CoV-2感染における細胞受容体であることが同定され、ACE2に大きな注目が集まることとなった。ともすればネガティブな悪玉イメージが定着しそうな雲行きのACE2であったが、ここに来て本来の領域(?)でポジティブなニュースが飛び込んできた。 そもそも、ACE2は細胞膜メタロプロテアーゼで、古典的レニン・アンジオテンシン(RA)系における中心的な調節因子アンジオテンシン変換酵素(ACE)のホモローグである。言うまでもなくACEは、アンジオテンシン(ang)IからangIIを産生し、angII1型受容体(AT1R)を介する細胞増殖・肥大、酸化ストレス、血管収縮といった生理学的あるいは病態生理的作用に関与する。それに対して、ACE2はangIおよびangIIをそれぞれang 1-9およびang 1-7に分解、すなわち、angII産生を減少させる。さらに、ang 1-7はmas受容体を活性化してAT1Rの作用を抑制する。すなわち、ACE2は過剰に活性化したRA系に対する内因性抑制機構で、臓器保護的に作用するkey moleculeである。 高血圧や心不全・冠動脈疾患・心房細動といった心血管疾患患者において、血漿ACE2濃度・酵素活性あるいは尿中ACE2濃度が検討されている。これまで、心血管疾患患者を対象としたいくつかの小規模な観察研究において、血漿ACE2活性が高いと心血管疾患アウトカムが悪いことが示唆されていた。そこで、Narulaらは今回、大規模な登録研究コホートを用いて、血漿ACE濃度の規定因子、心血管疾患イベントとの関連を検討した。国際的な一般住民の前向き登録研究Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)に含まれる5大陸14ヵ国1万753例(フォローアップ期間中央値9.42年、IQR:8.74~10.48)を対象にnested case-cohort研究が行われた。 血漿ACE2濃度の規定因子は、性別(男性)、次いで地域(最高は東アジア、最低は南アジア)、高BMI、糖尿病、高年齢、収縮期血圧、喫煙、LDLコレステロール値の順であった。メンデルのランダム化法により臨床的リスク因子と血漿ACE2濃度の関連を検討したところ、肥満と糖尿病において因果関係が示唆された。 血漿ACE2濃度高値は、年齢、性別、地域、古典的心臓リスク因子(収縮期血圧、non-HDLコレステロール値、喫煙、糖尿病)で調整した全死亡リスクの増加と関連した(1SD増加ごとのハザード比:1.35、95%信頼区間:1.29~1.43)。心血管死(1.40、1.27~1.54)および非心血管死(1.34、1.27~1.43)の調整リスク増加のいずれとも関連した。さらに、初発心不全(1.27、1.10~1.46)、心筋梗塞(1.23、1.13~1.33)、脳卒中(1.21、1.10~1.32)、糖尿病(1.44、1.36~1.52)の調整後発症リスクとも関連した。 血漿ACE2濃度の生命予後や心血管イベントの予測能も検討された。血漿ACE2濃度は、補正後の全死亡(p<0.0001)、心血管死(p<0.0001)、非心血管死(p<0.0001)の最も優れた予測因子であった。心筋梗塞(p<0.0001)に対しては喫煙、糖尿病に次いで、心不全(p=0.0032)と脳卒中(p=0.0010)に対しては収縮期血圧、糖尿病に次いで、それぞれ3番目に強い予測因子であった。 大規模な観察研究の結果、血漿ACE2は生命予後や主要な心血管イベントの有用なリスクマーカーとなる可能性が示唆されたわけである。しかしながら、大きな問題が残されている。すなわち、細胞膜結合型ACE2については、細胞増殖・肥大、酸化ストレス、血管収縮などのangII-AT1R系を介する臓器障害に対して、保護的に作用するという多くの基礎研究のエビデンス蓄積がある。一方、遊離ACE2の生理学的・病態生理学的意義は明らかではない。つまり、血中の遊離型ACE2濃度は、ACE2細胞発現、ADAM-17などの酵素による細胞膜からの切断、血漿クリアランスなど多くの影響を受けるが、その機序はほとんど解明されていない。加えて、本検討は横断的観察研究であり、血漿ACE2と死亡、心血管疾患、肥満、糖尿病との関係は、未知の交絡因子や因果の逆転の結果である可能性は否定できない。 著者らは、血漿ACE2はRA系調節異常のバイオマーカーであり、これを踏まえた新しい心血管疾患の診断・治療アプローチの可能性を示唆している。確かに、BNPやNT-proBNPを手にすることで、心不全治療が大きく前進したように、ACE2-guide therapyが実現すれば、循環器領域における大きなブレークスルーにつながるであろう。血漿ACE2が、心血管疾患の予後規定因子であるのか、重症化さらには治療効果の判定マーカーとなりうるかについて、今後の大規模な前向き研究によるエビデンスが待たれる。

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半沢直樹【なんでやられたらやり返すの?逆に手を組むには?(ゲーム理論)】Part 1

今回のキーワード恨みゲーム理論「囚人のジレンマ」しっぺ返し戦略主人と奴隷戦略民主主義的パーソナリティ権威主義的パーソナリティ社会正義皆さんは、ドラマ「半沢直樹」のように、やられたらやり返しますか? なぜやり返すのでしょうか? そもそもなぜやり返したくなる気持ちは「ある」のでしょうか? 逆に、手を組むにはどうすればよいでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、主人公の半沢の生き様に触れながらが、恨みの心理を進化心理学的に掘り下げます。そして、ゲーム理論を通して、より良い人付き合いのあり方を一緒に考えていきましょう。なんでやり返すの?―恨みの原因半沢は超有能なバンカー。彼が目指すのは出世して頭取に昇り詰めること。そのため、上司の不正の押し付け、銀行組織の不正、国家的な陰謀まで徹底的に暴き、自分を窮地に追い込む相手を打ち負かしていきます。彼をそこまで突き動かすのには、ある理由がありました。それは、彼の家族への銀行の裏切りです。かつて彼の両親はネジ工場を経営していましたが、経営が傾いたことで銀行から融資を引き揚げられました。そして、父親は追い詰められて自殺したのでした。少年期の半沢は、亡き父親のため、銀行を変えたいという強い信念を持つようになったのです。この信念は、銀行への恨みが昇華された心理とも言えます。なんでやり返したくなる気持ちが「ある」の?―恨みの起源私たちは、半沢ほどではないにしても、やられたらやり返したくなる気持ちがあります。それでは、そもそもなぜそんな気持ちが「ある」のでしょうか? ここから、恨みの心理の起源を、3つの段階に分けて、進化心理学的に探ってみましょう。(1)怒り約5億年前に魚類が誕生し、縄張りに侵入する外敵に対して、瞬時に「戦うか逃げるか」と警戒するようになりました。戦って相手を追い払うのが怒りの起源です。一方、逃げ隠れするのが、不安の起源です。恨みの心理の起源の1つ目の段階は、怒りです。半沢は、だまされたり出し抜かれたりしていることを察知すると、激しく憤っています。これは、彼の権利(縄張り)が侵害されたと言い換えられます。(2)牽制約3億年前に爬虫類が誕生し、外敵を追い払うために力を誇示して戦うふりをするようになりました。なぜなら、実際に戦うと、勝ったとしてもある程度のダメージを負う可能性があるからです。これが、威嚇の起源です。約2,000万年前には類人猿が誕生し、猿同士が力関係(上下関係)によって群れをつくるようになりました(社会性)。当時、お互いの優劣を決めるために、この威嚇を利用するようになりました。約700万年前に人類が誕生し、300~400万年前に血縁の家族同士が協力関係によって部族集団をつくるようになりました(社会脳)。ただ、協力関係とはいえ、常に飢餓と隣り合わせであり、飢餓の時は生き残るために競争関係になります。よって、自分が油断して、食料を部族の仲間の誰かに奪われたら、瞬時にその相手に怒りを感じ、奪い返したでしょう。その時に手出しされたら、手出し仕返したでしょう。こうして、その相手を牽制し、次に同じことをさせないようにすることができます。同時に、見ている周りの人たちにも牽制のメッセージを伝えることができます。もちろん、その後に自分もその相手に警戒するようになるでしょう。こうして、部族内での人間関係を維持したのです。恨みの心理の起源の2つ目の段階は、牽制です。ただし、ここで重要なことは、仕返しをし過ぎないことです。なぜなら、仕返しは、あくまで関係性のバランスを維持するためにやっているからです。仕返しをし過ぎると、さらにその仕返し(逆恨み)を招き、関係性のバランスが維持できなくなります。そうなると、部族内で一緒に生活することが難しくなります。原始の時代、それは死のリスクを高めます。この点で、半沢の「倍返しだ!」というセリフは、あくまで牽制のための感情表現にすぎず、本当にそうしているわけではないことが分かります。発達心理学的にも、幼児(当時の原始の時代の人類の脳の重量に相当)は、お友達からものを取られたら必死で取り返します。叩かれたら叩き返します。ただし、多く取り返したり(さらに相手のものを取ったり)、多く叩き返すことはあまりないです。あくまで「だまってないぞ(もうやらないで)」というメッセージを伝えているだけで、お友達の関係性が破綻するまでやり返していないことが分かります。(3)懲らしめ約20万年前に現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生し、言葉を話すようになりました。言葉によって部族内で情報共有ができるようになったことで、自分が仕返しできなくても、代わりの誰かに仕返ししてもらうことができるようになりました。これが、正義感の起源です。こうして、部族内の秩序を維持するようになりました(利他的懲罰)。恨みの心理の起源の3つ目の段階は、懲らしめです。懲らしめて懲りさせることです。見せしめにすれば、さらに部族内の裏切りを抑制することができます。これが、懲罰の起源です。実は、半沢は、「やられたらやり返す」とたびたび啖呵を切っておきながら、そのままの仕返し(復讐)を何1つしていないです。彼がしたことは、相手の不正を暴き、組織の人事や法律に委ねていることです。なお、懲らしめの心理がつい過剰になってしまう場合ももちろんあります。それが怨恨です。怨恨は殺人の動機の1位であることから、私たちは「やられたらやり返す」ことに敏感であることが分かります。 次のページへ >>

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半沢直樹【なんでやられたらやり返すの?逆に手を組むには?(ゲーム理論)】Part 2

手を組むための条件は?-関係が続くこと恨みの原因は、裏切りであることが分かりました。そして、恨みの起源は、怒り、牽制、懲らしめの3つの段階があることが分かりました。恨みは、やり返す、つまり次に自分が裏切ること(非協力)を促進する働きがあることも分かります。逆に言えば、恨まない種(善人)は、裏切られ続けるため、生き残れず、子孫を残していないと言えます。それでは、そんな裏切られるリスクがある中、そして裏切ったら裏切り返えされるリスクがある中、手を組むための条件とは、何でしょうか? ここから、ゲーム理論の「囚人のジレンマ」を用いて、3つの状況に分けて考えてみましょう。なお、ゲーム理論とは、端的に言うと、自分や相手の行動による損得を合理的に考える学問です。ゲーム理論を応用した行動経済学の詳細については、末尾の関連記事1をご覧ください。「囚人のジレンマ」とは、共犯で逮捕された2人の囚人(正確には容疑者)が、お互いに黙秘(協力)したら得することが分かっているのに、お互いに自白(裏切り)をするジレンマに陥るというゲームモデルです。たとえば、表2のように、囚人Aと囚人Bがいます。2人とも黙秘すれば、懲役1年ずつになります。しかし、司法取引によって、自分が自白して相手が黙秘したら、自分は微罪で相手は懲役5年になります。そして、2人とも自白すれば、懲役3年になります。ここで、立場と場合で分けて、合理的に考えてみましょう。まず、囚人Aの立場で、囚人Bが黙秘する場合、囚人Aは懲役1年の黙秘(3点)と微罪の自白(5点)を比べて、自白を選びます。そして、囚人Bが自白する場合、囚人Aは懲役5年の黙秘(0点)と懲役3年の自白(1点)を比べて、やはり自白を選びます。一方、囚人Bの立場でも同じく、囚人Aが黙秘しても自白しても、囚人Bは自白を選びます。結果的に、最適な選択として、2人とも自白してしまうというわけです(ナッシュ均衡)。 (1)関係が1回だけの場合「囚人のジレンマ」ゲームは、1回だけの場合、確実に裏切ることが分かります。言い換えれば、今後に無関係になるのであれば、協力しないのが合理的です。これは、私たちが通りすがりの赤の他人をすぐに信用しないのと同じです。(2)関係がずっと続く場合それでは、このゲームを無期限にやり続けたら、どうなるでしょうか? 答えは、裏切るだけでなく協力もするさまざまな戦略が考えられます。これは、私たちが社会で人間関係が続く場合の行動パターンに通じます。(3)関係がいつ終わるか分かった場合それでは、このゲームを続けている中、いつ終わるか分かった場合、どうなるでしょうか? 答えは、その時点から裏切りが始まります。たとえば、残りn回やるとして、最終回のn回目は、関係が1回だけの場合と同じようにあとがないため、確実に裏切ることが予測できます。すると、n回目に裏切ることが分かってしまったので、n-1回目もあとがなくなり、確実に裏切ることが予測されます。すると、n-2回目も…というように、残りn回のすべてを裏切ることが分かります。いわゆる勝ち逃げです。ちなみに、最初からいつ終わるかが分かっている場合も、すべて裏切ります。言い換えれば、今後に無関係になるのが分かっているのであれば、最初から協力しないのが合理的です。ただし、コンピュータと違って人間の心理には、終わりが分かっていると言っても、遠い先の場合は、裏切りによる利得の重みが目減りするため(割引利得)、すぐに裏切るとは限らないです。つまり、重要なのは、過去にどれだけ長い協力関係があったかではなく、未来にどれだけ長い協力関係が見込めるかということです。この点で、ドラマでの半沢の家族のネジ工場に融資する銀行が、これまでどんなに長く融資していたとしても、経営不振に陥っていることが判明した瞬間に融資を引き揚げたのは、極めて合理的です。また、泥棒の一味が、山分けの段階(関係が終わる段階)で仲間割れするのは必然であることも分かります。半沢のようにより多く手を組むための戦略は?-しっぺ返し戦略手を組むための条件は、関係がずっと続くことであることが分かりました。それでは、このゲームの点数を稼ぐために、より多く手を組むための戦略とは何でしょうか? 実は、それは半沢の生き様にも重なるしっぺ返し戦略です。この戦略は、1980年代に実際に行われた反復「囚人のジレンマ」ゲームのコンピュータプログラミング選手権で優勝しており、最も強い戦略の1つと言われています。なお、この選手権には、先ほどにも触れた恨まない種、つまり毎回協力する戦略(善人戦略)や、対戦相手が前回まで協力と裏切りに対してどちらを選択したかの情報からその回にどちらを選択するかの確率を毎回見積もる戦略(ダウニング戦略)なども出場しました。ここから、半沢のキャラクターをこの戦略の3つの要素に重ね合わせてみましょう。(1)人が良い-最初は協力する銀行という組織は、出世競争のため、足の引っ張り合いが起こり、いつ出し抜かれて足元をすくわれるか分かりません。そんな中、半沢は「俺は基本的に性善説だ」と言います。1つ目の半沢のキャラクターは、人の良さです。これは、しっぺ返し戦略の「最初は協力する」に重なります。ポイントは、自分からは裏切らないことです。(2)気が短い-裏切られたら次に裏切る半沢は、宿敵の大和田常務にたびたび出し抜かれます。実は、大和田は半沢の父親を自殺に追いやった張本人でもあったのです。そんな中、半沢は「やられたらやり返す」と怒鳴ります。2つ目の半沢のキャラクターは、気の短さです。これは、しっぺ返し戦略の「裏切られたら次に裏切る」に重なります。ポイントは裏切りの応酬を必ずやり遂げることです。(3)切り替えが早い-協力が得られたら次に協力する半沢は大和田の悪事を暴き、大和田を役員たちの前で土下座させます。そんな因縁の関係でありながら、その後に半沢は大和田と利害が一致した時、「私を利用しませんか?」と提案します。そして、手を組むようになるのです。半沢は、いつまでも恨んでいないのでした。3つ目の半沢のキャラクターは、切り替えの早さです。これは、しっぺ返し戦略の「協力が得られたら次に協力する」に重なります。ポイントは協力が得られたらすかさず協力に転じることです。決してその前の裏切りを根に持たないことです。これは、先ほどにも触れた仕返しをし過ぎないことにつながります。なお、厳密には、当初に大和田から協力が得られたわけではないですが、土下座による謝罪は「協力」のメッセージを引き出したとも解釈できます。そして、その後に2人は協力行動を積み重ねるようになっています。大和田のように手を組まなくても点数を稼ぐ戦略は?-主人と奴隷戦略半沢のキャラクターである人の良さ、気の短さ、切り替えの早さが、しっぺ返し戦略の3つの要素に重なることが分かりました。これは、単純に多く手を組むことで点数を稼ぐ戦略でした。ところが、2004年に行われた反復「囚人のジレンマ」ゲームの選手権において、しっぺ返し戦略を打ち負かして優勝した戦略が現れます。それは、大和田の生き様にも重なる主人と奴隷戦略です。この戦略は、最初から60個からなるチームで参加します。それらは、主人の役割のプログラムと奴隷の役割のプログラムにそれぞれ分かれます。ゲームの最初に、あらかじめ決められた順序で協力と裏切りを数回出して主人と奴隷がチームであることを認識しします。そして、チーム内では、手を組まなくても点数を稼ぐのです。ここから、大和田のキャラクターをこの戦略の3つのポイントに重ね合わせてみましょう。(1)部下を駒にする-チーム内では主人は奴隷を常に裏切る大和田は、組織の中で派閥をつくり、自分の出世のために、部下を半沢に仕向け、打ち負かされると容赦なく切り捨てています。1つ目の大和田のキャラクターは、部下を駒にすることです。これは、主人と奴隷戦略の「チーム内では主人は奴隷を常に裏切る」に重なります。(2)部下を言いなりにさせる-チーム内では主人は奴隷を常に協力させる大和田は、人事権を悪用し、それを盾に、部下たちに忠誠を誓わせ、逆らわせません。2つ目の大和田のキャラクターは、部下を言いなりにさせることです。これは、主人と奴隷戦略の「チーム内では主人は奴隷を常に協力させる」に重なります。(3)派閥以外の相手は威圧する-チーム外には主人も奴隷も常に裏切る大和田は、部下を従え、派閥以外の相手には威圧して、基本的に協力をしません。3つ目の大和田のキャラクターは、派閥以外の相手は威圧することです。これは、主人と奴隷戦略の「チーム外には主人も奴隷も常に裏切る」に重なります。なお、厳密には、大和田は、途中から、頭取の目指す行内融和に従い、派閥以外の相手には、しっぺ返しに近い戦略を取っています。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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半沢直樹【なんでやられたらやり返すの?逆に手を組むには?(ゲーム理論)】Part 3

半沢と大和田のキャラクターの心理学的な違いは?半沢と大和田のそれぞれのキャラクターは、とても対照的であることが分かります。ここから、2人のキャラクターの違いを心理学的には比べてみましょう。(1)半沢-民主主義的パーソナリティ半沢は、強い信頼により、同期の渡真利や部下の森山と協力関係を築いています。この関係性は、単なる同僚や上司部下の枠組みを超えた友情による人間関係です(フラット型)。なお、友情の心理の詳細については、末尾の関連記事2をご覧ください。心理学的に言えば、半沢のキャラクターは、民主主義的パーソナリティです。これは、主にしっぺ返し戦略をとることです。そしてこの由来は、先ほどの恨みの起源で説明した新しい人類特有の心理です。国家体制で言えば、その名の通りまさに民主主義国家です。 (2)大和田-権威主義的パーソナリティ大和田は、人事権という権威により、派閥内の部下たちと上下関係を築いています。相手(部下)の地位を奪おうとする発想があるということは、自分の地位を失うことを過剰に恐れるようになります。また、その地位(権威)を失えば、常に裏切られるリスクがあります。大和田は、派閥の部下だった伊佐山から「土下座野郎」とののしられ、裏切られます。心理学的に言えば、大和田のキャラクターは権威主義的パーソナリティです。これは、主に主人と奴隷戦略をとることです。そして、この由来は、先ほどの恨みの起源で説明した古い類人猿由来の心理です。これは、いわゆる体育会系の人間関係も当てはまります(ピラミッド型)。また、家柄や学歴の違いを過剰に気にすることもそうです。国家体制で言えば、独裁者が国民を服従させる独裁国家が当てはまります。ちなみに、この根っこの心理は、もともとの不安気質から、他人に対する不信感が強く、相手(社会)との信頼関係(協力関係)がなかなか築けず、それを解消するために力を持った権威にすがることが考えられています。言い換えれば、最初から上下関係が決まっているほうが、関係を築く葛藤が少なくなるというメリットがあります。 なんで大和田のような権威主義的パーソナリティは「いる」の?-社会構造の変化進化心理学的に考えれば、半沢のような民主主義的パーソナリティのほうが新しい人類特有の心理です。それなのに、なぜ古い類人猿由来の心理である、大和田のような権威主義的パーソナリティが幅を利かせているのでしょうか?文化心理学的に考えると、その答えは、社会構造の変化です。約1万数千年前に、農耕牧畜による定住革命によって、食料の貯蔵が可能になり、人口増加が起こり、文明社会になり、栄えました。同時に、部族社会のような信頼関係は弱くなり、社会が階層化されていきました。これが、奴隷制度や封建社会(権威主義)の起源です。 この新たな文化(社会構造)によって、かつての類人猿の上下関係の心理が再び適応的となってしまったというわけです。とくに、東アジアの文化圏の人たちはこの権威主義的パーソナリティの人が多いと言われています。その訳は、もともと不安気質(セロトニン不足)の人が多いからです。この詳細については、末尾の関連記事3をご覧ください。時代が流れ、18世紀の産業革命により、貨幣経済や民主政治によって、個人を区別するようになり、人権が意識される文化(社会構造)になってきました。これが、民主社会の起源です。さらに、20世紀後半の情報革命があと押しして、本来の人類特有の協力関係の心理を再び発揮できるようになってきたというわけです。 ただし、類人猿由来の上下関係の心の進化と権威主義的な文化の歴史のほうが、人類特有の協力関係の心の進化と民主主義的な文化の歴史よりも圧倒的に長いため、私たち現代人はつい権威主義的になってしまうのでしょう。そんな中、実質的な独裁国家である中国は、情報統制に躍起になっています。香港国家安全維持法の制定によって、その国家権力(権威)を増しています。これらの政策は、まさに権威主義(主人と奴隷戦略)を国家的に維持するためには合理的であると言えるでしょう。 より良い人付き合いのあり方とは?半沢のような民主主義的パーソナリティが広がるのは、時代の流れ(社会構造)であることが分かりました。それでは、しっぺ返し戦略を基本に、私たちが相手(社会)とより良い人付き合をするには、どうすれば良いでしょうか? ここから、再び半沢の生き様を通して、3つ挙げてみましょう。(1)判断材料を増やす-冷静さ半沢は、相手が本当に裏切っているのかを徹底的に検証し、証拠を探します。証拠が出てきて確証が得られるまでは、相手から仕事の邪魔をされても我慢し、要求されれば謝罪もしています。その訳は、白黒はっきり選択するだけのプログラミングのゲームとは違って、実際の人間関係は、誤解や伝達ミスが一定の確率で起こるからです。証拠がないのにすぐに裏切りだと主張してしまったら、その発言自体こそが「裏切り」とされてしまうからです。1つ目は、冷静さです。つまり、判断材料を増やすことです。そのために、相手のふりやだまし(社会的シグナル)を見破るなどの心理学を武器にするのも1つでしょう。(2)1回は許す-寛容さ半沢の同期で親友の近藤は、大和田に取り込まれて、半沢を裏切ってしまいます。その訳は、近藤はストレスから精神障害を発症しており、メンタルが弱っていたのでした。そんな事情も考慮して、半沢は近藤を許すのでした。白黒はっきり選択するだけのプログラミングのゲームと違って、実際の人間の心は、特殊な事情があればブレることもあります。2つ目は、寛容さです。つまり、1回は許すことです。これは、最初は協力して、2回連続で裏切られたら次に裏切る戦略(堪忍袋戦略)です。この戦略は、実際の反復「囚人のジレンマ」ゲームの選手権で、しっぺ返し戦略に次いで好成績でした。ちなみに、この戦略は、1回裏切られたとしても、次にまた関係する可能性が低い場合は、積極的にはやり返さず、やり過ごすことでもあります。そもそもやり返すためには、それなりの労力(コスト)がかかります。その労力を別の建設的なことに注ぎ、相手に仕返すのではなく、相手を見返すくらいに自分が成長することがより適応的であると言えます。現代社会は、原始の時代と違って、必ずしも同じ「部族集団」(組織)にいるわけではないです。そう考えると、そもそも能力の高い半沢は、銀行で理不尽な思いを繰り返すなら、自分の能力を発揮できる外資系企業などにさっさと転職するのが正解になるでしょう。(3)信念を語る-熱心さ半沢は、たびたび「われわれは、金融の力で世の中の懸命に働く人の助けになる」という熱い信念を語ります。これは、自分は相手(社会)のことを考える協力的な人間であるというメッセージを伝え、相手(社会)との未来に重みを持たせる意味合いがあります。白黒はっきり選択するだけのプログラミングのゲームとは違って、実際の人間関係は、対戦する前から挨拶などさまざまなコミュニケーションをすることで、協力のサインを発信し、そして感じ取ることができます。3つ目は、熱心さです。つまり、信念を語ることです。そうすることで、最初から相手に自分が協力的であると好印象を持ってもらうことができます。これは、人は第一印象を重視するという心理に通じます(初頭効果)。逆に言えば、「やられたらやり返す」と宣言することは、自分はそういう人間でもあるとの警告メッセージを伝えることです。なぜ「半沢直樹」は愛されるの?半沢が自分の信念によって啖呵を切って「囚人のジレンマ」を乗り越えようとする姿に、私たちは心を打たれ、しびれます。「半沢直樹」は、私たちの「やられたらやり返す」という原始的な心をくすぐりつつ、「悪を暴く」という現代的な落としどころを用意しています。その主旨は、ひと言で言うと、社会正義です。そのため、よくよく見ると半沢が「社会正義」のために数々の違法行為をしていることに私たちはあまり気にとめません。その訳は、「社会正義」という懲らしめこそが、私たち人類特有の協力関係の証だからでしょう。そして、このような半沢のキャラ設定とシナリオ展開だからこそ、このドラマが多くの人に愛されると言えるのではないでしょうか? << 前のページへ■関連記事「カイジ」と「アカギ」(後編)【ギャンブル依存症とギャンブル脳】ワンピース【チームワーク】苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 11)付き合い方の科学:R・アクセルロッド、ミネルヴァ書房、19982)孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか:ジョン・T・カシオポほか、河出書房新社、20183)社会的ジレンマ:山岸俊男、PHP新書、2000

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「抗菌薬はウイルスをやっつける」5割が依然として誤解【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第56回

感染症への関心がかつてないほど高まっていますが、一般の方の感染対策や抗菌薬に対する意識は昨年から変化したのでしょうか。抗菌薬に対する知識や理解について調査した「抗菌薬意識調査レポート2020」が公表されましたので紹介します。国立国際医療研究センターは10月8日、抗菌薬意識調査レポート2020を発表した。調査結果によると、普段処方された抗菌薬・抗生物質を飲みきらない人は34.6%。そのうち「途中で忘れてしまい飲みきっていない」人は8.9%、「治ったら途中で飲むのをやめる」人は25.7%だった。同センターは、飲み残しを取っておく人も多いことも指摘した上で、「抗菌薬の正しい使用法を積極的に広めていく必要がある」とした。(2020年10月12日付 日刊薬業)この調査は、2020年8月に10代以上の方を対象として行われたインターネット調査で、700人が回答しました。同様の調査は昨年も行われているため、昨年と今年の変化もみていきたいと思います。まず、「抗菌薬・抗生物質はウイルスをやっつける」と回答した人は、昨年の調査では64.0%、今年は49.7%でした。また、「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果がある」と回答した人は、昨年は45.6%、今年は34.3%でした。まだまだ間違った知識の人が多いじゃん…と思いますが、どちらも昨年よりは減っています。風邪の原因の多くはウイルスで、多くの場合は抗菌薬が効かないということが普及してきたのでしょう。次に、耐性菌で悩ましい抗菌薬飲み切り問題についてですが、昨年の調査において、「処方された抗菌薬・抗生物質はすべて飲み切る必要がある」と回答した人は63.4%でした。今年の調査は多少質問や選択肢が異なっているのですが、「普段、処方された抗菌薬・抗生物質を飲み切っていますか」という実際の行動を尋ねる質問に対し、「普段からできるだけ飲まない」と回答した人が20.3%、「最後まで飲み切っている」が45.1%、「治ったら途中で飲むのをやめる」が25.7%、「途中で忘れてしまい飲み切っていない」が8.9%で、結果的に飲み切っていないと回答した人は34.6%でした。抗菌薬の飲み切りについて誤った行動をとっている人もまだ多くいるため、服薬指導の重要性を感じます。ただ、「普段からできるだけ飲まない」と回答した人のスタンスはわからなくもないのですが、医師から処方されても飲まないというニュアンスが含まれているのだとしたら、それはちょっと別の問題かなと思います。コロナで感染対策への意識高まる今年は新型コロナウイルス感染症が流行したこともあって、コロナ関連の項目もありました。「新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから、感染症や感染対策に関する情報を以前よりも気にするようになりましたか」という質問では、30.7%が「大変気にするようになった」、36.7%が「少し気にするようになった」と答えており、67.4%が以前よりも気にしていました。また、「現在感染症予防として取っている感染対策は、今後も日常生活で続けていけそうですか」という質問に対して、「このまま続ける」と答えた人は65.6%で、「新しい生活様式」がすっかりなじんだことがわかります。対策を続けていくことで、そもそも風邪にかかる人が少なくなるのではないでしょうか。今年はなかったのですが、昨年は「朝起きたら、だるくて鼻水、咳、のどの痛みがあり、熱を測ったら37℃でした。あなたは学校や職場を休みますか?」という興味深い質問があり、「休む」と答えた人が37.1%、「休みたいが休めない」「休まない」のように結局休まないと答えた人が60%以上となりました。今思うとこの“頑張り”はとても怖いですよね。新型コロナや働き方改革などを考慮して、これまで風邪をひいても「働くために」症状を抑制することを促していた風邪薬のCMが、「かぜの時は、お家で休もう!」「大切ですよ、無理しない勇気」などと、無理をせずに家で休もうというメッセージに変更されました。今年こそこの休むかどうかの質問を実施してほしかった!と思うのですが、今年の質問にはなく比較できませんでした。間もなく新型コロナ・風邪・インフルエンザのトリプルパンチになる恐れがあります。感染予防や感染後の対応、抗菌薬の使用について正しい知識を伝えて、これまでとは異なる冬を乗り切りましょう。

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第31回 COVID-19ワクチンはこのままだとインフルエンザワクチンと同じ轍を踏む

第III相試験の被験者集めの完了の便りも飛び交い、今月末には早くも結果さえ判明し始める1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防ワクチンは場当たり的に扱うことなく、安全で効果的なもののみ世に出すと米国FDAは約束しました2,3)。それにワクチンメーカー9社は早まった承認申請はしないという稀にみる珍しい共同声明を発表しています4)。世間が期待するワクチンの効果は明白で、悪くすると死ぬ恐れがあるような重病に陥るのを予防することです5)。専門家の意見も同様で、COVID-19ワクチンが担うべき役割は2つあり、1つは重症になって入院するのを防ぐこと、もう1つは(症状があるかどうかは関係なく)感染を防いでその連鎖を絶つことであると米国・ベイラー医科大学の熱帯病部門のリーダーPeter Hotez氏や感染症/ワクチン専門医師は言っています6,7)。しかし現在進行中のCOVID-19ワクチンの第III相試験はそういう効果を調べるようにはできていません。どの試験も入院・集中治療室(ICU)使用・死亡などの深刻な転帰を減らす効果の検出力はありませんし、症状の有無とは関係なく感染を防いでその伝播を遮断する効果の把握も期待できません8,9)。先月9月の初め、医療情報配信事業Medscapeの編集長にして米国屈指の研究所Scripps Researchの設立者Eric Topol氏はワクチン専門家Paul Offit氏に「重要なことなのではっきりさせたいと思いますが、COVID-19ワクチンの臨床試験で数えられる転帰は軽症のPCR検査陽性ではなく中等~重度の病態という認識で正しいですよね?」と尋ねました。米国FDAの諮問委員に名を連ね、COVID-19ワクチンの承認の是非を判断することになるであろうOffit氏はその問いに紛うこと無く「そうだ(That‘s right)」と答えました10)。しかし公開された第III相試験プロトコールはそうなってはいません11)。咳、喉の痛み、発熱、頭痛などの軽症の陽性診断で主要転帰は積み重なって試験は終了に近づきます。6月のニュースでCOVID-19ワクチンの開発会社の1つModerna(モデルナ)社は入院を試験の重要な副次転帰の1つだと発表しました12)。どうやら勢い余って米国政府も加勢し、Modernaの試験は重度COVID-19を防ぐ効果を調べることが目的の1つで、COVID-19による死亡を防げるかどうかを見極めると聞こえの良いことを言っています13)。ところが内実は違なります。モデルナ社の試験で入院は取り上げないと同社の最高医学責任者(CMO)Tal Zaks氏はBMJに話しており、重症や死亡などの転帰の差を検出する力は同社の試験には実はありません8)。米国では60年も前から65歳以上の高齢者へのインフルエンザワクチン接種が推奨されていますが、いまだにそれで死亡が減るかどうかは不明です。無作為化試験で死亡や入院が調べられたことはありませんし8)、さらにはインフルエンザワクチンの普及と死亡率低下の関連は認められていません14)。尊敬を集める研究者Peter Doshi氏はインフルエンザワクチンのような残念な道をCOVID-19ワクチンが歩むのを防ぐには今こそ行動する必要があると言っています9)。ほとんどのCOVID-19ワクチン試験で小児・免疫不全の人・妊婦が除外されている理由、主要転帰が適切かどうか、安全性判断、SARS-CoV-2に対してあらかじめ備わるT細胞反応の意義といった課題に向き合うように試験方針を変えることは今からでも間に合います。COVID-19ワクチンの試験は意見を取り入れることなく設計されたかもしれないが、幸いそれら試験のプロトコールが早期公開されたことは科学が声を上げて導くまたとない機会であり、手遅れになる前に今すぐ仕事に取り掛かろうとDoshi氏は呼びかけています9)。参考1)Pfizer Investor Day Features Significant Number of Pipeline Advances for COVID-19 Programs and Across Numerous Therapeutic Areas/businesswire2)The FDA’s Scientific and Regulatory Oversight of Vaccines is Vital to Public Health/FDA 3)Dr. Hahn's remarks to the National Consumers League on the vaccine review process/FDA 4)Biopharma Leaders Unite to Stand With Science/businesswire5)What A Nasal Spray Vaccine Against COVID-19 Might Do Even Better Than A Shot/npr6)Those coronavirus vaccines leading the race? Don’t ditch the masks quite yet/The Los Angels Times7)A Vaccine That Stops Covid-19 Won’t Be Enough8)Doshi P.BMJ. 2020 Oct 21;371:m4037.9)Covid-19 vaccine trials cannot tell us if they will save lives/Eurekalert10)Paul Offit's Biggest Concern About COVID Vaccines/Medscape11)Doshi P.BMJ. 2020 Oct 21;371:m4058.12)Moderna Advances Late-Stage Development of its Vaccine (mRNA-1273) Against COVID-19/businesswire13)Phase 3 clinical trial of investigational vaccine for COVID-19 begins/NIH14)Simonsen L,et al. Arch Intern Med. 2005 Feb 14;165:265-72.

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糖尿病患者の残薬1位は?-COVID-19対策で医師が心得ておきたいこと

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の実態が解明されるなか、重症化しやすい疾患の1つとして糖尿病が挙げられる。糖尿病患者は感染対策を行うのはもちろん、日頃の血糖コントロール管理がやはり重要となる。しかし、薬物治療を行っている2型糖尿病患者の血糖コントロール不良はコロナ流行以前から問題となっていた。今回、その原因の1つである残薬問題について、亀井 美和子氏(帝京平成大学薬学部薬学科 教授)らが調査し、その結果、医療者による患者への寄り添いが重要であることが明らかになった。 このアンケート結果は、9月30日に開催されたメディア勉強会『処方実態調査の結果にみる、糖尿病患者さんの課題~新たな日常で求められるシンプルな治療、服薬アドヒアランスの向上~』の「服薬アドヒアランスと患者支援 2型糖尿病患者の処方実態調査結果より」で報告され、同氏が血糖コントロールに不可欠な残薬問題解決の糸口について語った。このほか、糖尿病患者のCOVID-19への影響を踏まえ、門脇 孝氏(虎の門病院 院長)が「服薬アドヒアランス向上のために医師ができること」について解説した(主催:日本イーライリリー)。糖尿病患者の残薬1位、α-グルコシダーゼ阻害薬 残薬が生じる原因には、薬物の服用回数の多さ、服用タイミングなどの問題が挙げられる。2013年2月、残薬による日数調整の対象となりやすい薬剤について薬局薬剤師3,001人に調査した結果によると、第1位に挙げられた薬剤はα-グルコシダーゼ阻害薬、消化性潰瘍治療薬、下剤などであった。これは、「薬の効果を感じにくい」「症状があるときだけ使用する薬(自己調節が可能)」「用法が食前」などの理由が原因とされる。また、糖尿病患者の残薬理由を尋ねた調査では、「飲み忘れ」「持参し忘れ」などが特徴付けられた。 このような結論をより具体的にするために亀井氏らは2型糖尿病患者の服薬アドヒアランスと治療の負担感について調査を行った。  本調査は、日本在住で20歳以上の電子お薬手帳サービス「harmo」利用者のうち、2020年4月30日時点でID登録がされており、過去3ヵ月間(2020年1月1日~4月10日)に2型糖尿病の経口薬を処方されていた患者5,504 例の人口統計的変数、治療状況、経口薬の服薬状況、ライフサイクル(起床/就寝時間)に関する情報を収集した横断的観察研究。調査期間は2020年4月30日~5月10日、調査方法はスマートフォンやタブレット端末、パソコンなどを用いたインターネット・アンケートだった。 主な結果は以下のとおり。・実際に回答を得られたのは675例で、男性は499例、女性は176例だった。・平均2.1剤の経口糖尿病薬を服用し、1日あたりの服薬回数は平均2.0回であった。・糖尿病薬を服薬するタイミングで最も多かったのは朝食後74.4%であった。・32.4%の患者さんで服薬アドヒアランスが不良であった。・服薬アドヒアランス良好の患者さんに比べ、不良の患者さんのほうが1日あたりの服薬回数が多かった。・服薬アドヒアランス不良の患者さんはHbA1cの値が高い傾向であった。・服薬アドヒアランス不良の患者さんの38.4%が服薬に負担を感じていた。患者が服薬しないのは、情報不足・認識の低さ・副作用経験から この結果を踏まえ、亀井氏は「服薬アドヒアランス不良の患者では直近のHbA1cが高い傾向にあることから、合併症予防の観点からも治療の負担感を軽減し、服薬アドヒアランスを高めていく必要がある」と述べ、「残薬が発生するに原因には、薬自体や処方の特徴、そして患者の特徴が影響している。これを解決できていないのは患者と医療者とのコミュニケーション不足が原因」と話した。 そこで、質的研究として同氏らは個々に向かい合い、“服薬しない”行動原理を探索した。そこには“理解不足”はもちろんのこと、「複数の情報による混乱」「情報を都合よく解釈」「副作用への不安」「受け身の治療」などの個々の考えが大きく影響していることが示唆された。このような患者の考えには、「さまざまな情報や適切な情報の不足、病気の認識が低い、自他の副作用経験が影響し、意図的に(時には意図的ではなく)服用しない、という行動に結びつく」と同氏はコメント。実際に個別に応じた対応を行った結果、改善したと回答した薬局が97.6%にものぼっていた。医師による服薬アドヒアランス向上が糖尿病のCOVID-19重症化を防ぐ 続いて、門脇氏は糖尿病患者のCOVID-19対策時における注意点を説明。「外出自粛に伴う運動量の減少、食習慣の変化による体重増加や高血糖を防止するため、積極的な活動を心がけ、食事の取り方に十分注意する必要がある。また、外出自粛を理由に糖尿病患者が医療機関への受診を極端に控えることは、血糖コントロールや病状の悪化につながる可能性があるため、個々の糖尿病患者の状態に応じて適切な間隔での受診・検査・投薬が必要である」と強調した。 この注意点を解決していくためにはやはり患者とのコミュニケーションが重要となる。同氏は血糖コントロール管理の上で欠かせない医師と医療者のコミュニケーションが日本では世界と比べ不足していることを指摘し、「この原因は診療時間が十分に取れない環境にあるが、医療者は患者のQOLアウトカム(日常生活・社会生活の制限、自由の剥奪感、精神的負担など)を留意する必要がある。そのためには、医師自身がベストと考える治療法を説明し患者さんの同意を得るInformed Consentと、患者へ結果に大きな差のない複数の治療法について説明して患者が選択するInformed Choiceを取り入れていくことが必要である。これが“糖尿病患者の治療意欲とアドヒアランスを高める”ことにつながる」と述べ「糖尿病患者が治療に向き合っていること、糖尿病患者がスティグマ(社会的偏見)に苦しんでいることも医療者は理解しなければならない」と締めくくった。

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食事のパターンや質と認知症との関連~メタ解析

 食事は、神経変性疾患の発症や進行を予防または遅らせることができる、重要なライフスタイル要因である。すべてではないものの、最近報告されたいくつかの研究において、健康的な食事パターンの順守が認知症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のYi-Hsuan Liu氏らは、食事パターンと認知症リスクとの関連をシステマティックに調査し、メタ解析を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年9月11日号の報告。 1981年1月1日~2019年9月11日までのPubMed、Web of Science、Cumulative Index for Nursing and Allied Healthのデータベースを用いて、英語で発表されたプロスペクティブ研究をシステマティックに検索した。プールされたリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)は、変量効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・特定された16研究のうち、12研究(6万6,930例)をメタ解析に含めた。・質の高い食事や健康的な食事パターンの順守は、質の低い食事または健康的でない食事パターンと比較し、認知症リスクの有意な低下が認められた。 ●全体的な認知症リスク:プールされたRR:0.82、95%CI:0.70~0.95、12研究 ●アルツハイマー病:プールされたRR:0.61、95%CI:0.47~0.79、6研究・年齢、性別、フォローアップ期間、食事の質の評価方法、研究の実施場所、研究の質により層別化されたサブグループ解析でも、同様の結果が認められた。 著者らは「健康的な食事パターンの順守は、全体的な認知症リスクの低下と関連が認められた。認知症の発症や進行に対する健康的な食事の役割についてエビデンスを追加するためには、さらなるランダム化比較試験が必要である」としている。

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新型コロナ後遺症、4ヵ月後も続く例や遅発性の脱毛例も/国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡っては、回復後もなお続くさまざまな症状が報告され、後遺症に着目した研究が進んでいる。今回、国立国際医療研究センターがCOVID-19回復者を追跡調査したところ、発症から120日超の時点でも依然続く呼吸苦や倦怠感、咳などを訴えたり、数ヵ月後になって脱毛を経験したりした人がいたことがわかった。研究グループは、COVID-19回復者の一部で見られる持続症状および遅発性症状に関するリスク因子の特定には、さらなる研究が必要だとしている。この研究をまとめた論文は、Open Forum Infectious Diseases誌2020年10月21日号に掲載された。 本研究では、センターにCOVID-19で入院し、2020年2~6月に退院した人に対し、7月30日~8月13日に電話による聞き取り調査を実施。回復後の持続症状および遅発性症状の有無、自覚症状やその期間について尋ねた。 主な結果は以下のとおり。・本研究において追跡調査対象となったのは78例。このうち、退院後死亡の2例と認知症などにより聞き取りができなかった13例を除く63例について調査を実施した。・21例(33.3%)は女性で、平均年齢は48.1歳(標準偏差[SD]:18.5)、BMIの平均は23.7(SD:4.0)、56例(88.9%)が日本人、3例(4.8%)が中国人、バングラデシュ、ベトナム、米国、フランスが1例ずつ(各1.6%)であった。・入院時に、47例(74.6%)が肺炎症状を有し、17例(27.0%)が酸素療法、5例(7.9%)が機械的換気を必要とし、29例(46%)が抗ウイルス薬を服用した。・発症から60日時点で、咳(5例、7.9%)、倦怠感(10例、15.9%)、呼吸苦(11例、17.5%)、味覚異常(3例、4.8%、不明1)、嗅覚異常(10例、16.1%、不明1)といった症状を訴えていた。・発症から120日時点では、咳(4例、6.3%)、倦怠感(6例、9.5%)、呼吸苦(7例、11.1%)、味覚異常(1例、1.7%、不明1)、嗅覚異常(6例、9.7%、不明1)といった症状を訴えていた。・58例(対象者から不明5例を除く)のうち14例(24.1%)が脱毛を報告した。うち5例が女性で、4例が男性だった。・COVID-19発症から脱毛症が出現するまでの期間は58.6日(SD:37.2)だった。・14例中5例で脱毛症は解消し、有症期間は平均76.4日(SD:40.5)だった。9例は調査時にも症状が続いており、有症期間は平均47.8日(SD:32.2)だった。

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腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。デンマークの全国的なコホート研究 研究グループは、腰椎穿刺後の脊髄血腫のリスクを、血液凝固障害の有無別に評価する目的で、デンマークの地域住民を対象とする全国的なコホート研究を行った。 デンマークの全国規模の医学レジストリを用いて、2008年1月1日~2018年12月31日の期間に腰椎穿刺を受け、脳脊髄液の解析が行われた患者を特定した(2019年10月30日までフォローアップ)。血液凝固障害は、血小板が150×109/L未満、プロトロンビン時間(PT)の国際標準化比(INR)が1.4以上、または活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が39秒以上と定義された。 主要アウトカムは、腰椎穿刺後30日の時点における、血液凝固障害の有無別の脊髄血腫のリスクとした。低リスク患者の選択によるバイアスの可能性も 6万4,730例(年齢中央値43歳[IQR:22~62]、51%が女性)で、8万3,711件の腰椎穿刺が同定された。血液凝固障害の内訳は、血小板減少が7,875例(9%)、高INR値が1,393例(2%)、APTT延長が2,604例(3%)であった。フォローアップは、参加者の99%以上で完遂された。 30日以内の脊髄血腫は、血液凝固障害のない患者では4万9,526例中99例(0.20%、95%信頼区間[CI]:0.16~0.24)で、血液凝固障害を有する患者では1万371例中24例(0.23%、0.15~0.34)で発生した。 脊髄血腫の独立のリスク因子として、男性(補正後ハザード比[HR]:1.72、95%CI:1.15~2.56)、年齢41~60歳(1.96、1.01~3.81)、年齢61~80歳(2.20、1.12~4.33)が挙げられた。 脊髄血腫のリスクは、全体として血液凝固障害の重症度が高くなっても有意な増加を認めなかった。また、小児、感染症、神経学的疾患、血液腫瘍のサブグループでも、重症度の上昇に伴うリスクの増加はみられなかった。さらに、腰椎穿刺の累積件数が多い患者でリスクが増加することもなかった。 外傷性腰椎穿刺の頻度は、INR値が正常な患者(28.2%、95%CI:27.7~28.75)と比較して、INR値が1.5~2.0の患者(36.8%、33.3~40.4)で高く、同2.1~2.5の患者(43.7%、35.8~51.8)、同2.6~3.0の患者(41.9%、30.5~53.9)でも高かった。また、外傷性脊髄穿刺の頻度は、APTTが正常な患者(21.3%、20.6~21.9)と比較して、APTTが40~60秒(26.3%、24.2~28.5)の患者で高く、リスク差は5.1%(95%CI:2.9〜7.2)であった。 著者は、「これらの知見は、腰椎穿刺に関する意思決定に有益な情報をもたらす可能性があるが、得られたデータは、医師が相対的に腰椎穿刺による脊髄血腫のリスクが低い患者を選択したことによるバイアスを反映している可能性がある」としている。

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第28回 研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向

<先週の動き>1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向22日に今年度の医師臨床研修マッチング結果が発表された。2004年度から新たな臨床研修医制度となり、臨床現場に立つ前に医師は2年間以上の初期臨床研修を受けることが必修化され、研修医はマッチングシステムを通して研修病院を選ぶことになっている。今年の全体のマッチ率は92.1%と前年度(92.4%)とほぼ変わらないが、大学病院にマッチしたのは38.1%と前年度(38.9%)からさらに低下した。発足当時には大学病院が55.8%と半数以上を占めていたが、年々大学病院を選ぶ学生が減り、地域の臨床研修病院で研修を希望する研修医が増えている。また、大都市部と地方における医師の需給格差の問題を背景に、東京都などでは募集定員を削減したため、東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・福岡県の6都府県における内定者数は減少していることが明らかとなった。(参考)令和2年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします(厚労省)2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関厚生労働省は、新型コロナウイルス感染患者の入院を受け入れた病院が全体の2割に止まっていることを21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で明らかにした。全国8,280医療機関のうち、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)で回答した7,307医療機関において、受け入れ可能と回答したのは23%、そのうち実績ありは19%だった。全体の4%が人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使う重症患者を扱っていた。新型コロナ患者の受け入れ状況は、医療機関の病床規模が大きいほど割合が大きくなる傾向があり、100床未満の病院では5%程度だった。また、感染患者の受け入れ可能あるいは実績のある医療機関の数は、「公的等」が最も多く、「公立」と「民間」は同程度だった。人口20万人未満の地域医療構想区域では「公立」の割合が最多であり、20万人以上100万人未満の区域では「公的等」、100万人以上では「民間」がそれぞれ最も多いこともわかった。厚労省は、2025年を見据えた5疾病5事業を中心に二次医療圏での医療機関の再編を進めているが、今回の新型コロナ感染拡大を踏まえ、見直しの声が高まっている。(参考)患者受け入れ病院2割のみ 中小で17〜5% 厚労省、病院再編統合を再検討(毎日新聞)新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について(第27回 地域医療構想に関するワーキンググループ 資料)3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討厚労省は、「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」の第1回を20日に開催した。今後、医療・介護分野での人材不足に対して、国家資格を有する人材の確保などの観点から、ITを活用した有資格者等の掘り起こしや再就職の支援を行うため、各種免許・国家資格、教育などについての情報をマイナンバーに紐付けて、届け出の簡易化を通して効果的な就労支援を目指す。対象とされるのは医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師など31職種。今後、各職能団体に対してマイナンバー制度利活用に関する意向調査を行い、提言を取りまとめる予定。(参考)社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会(第1回) 資料(厚労省)4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用厚労省は、21日に「第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会」「第3回 医療等情報利活用WG」「第2回 健診等情報利活用WG」の合同会議を開催し、新型コロナの感染拡大を反映して、新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プランについて討議を行った。2020年7月のデータヘルス改革に関する閣議決定により、次世代型行政サービスの強力な推進するため、マイナンバーカードを活用して、生まれてから生涯にわたる健康データを一覧性をもって提供できるよう取り組み、さらに健康データの医療・介護研究等への活用に向け検討を行った。今回は「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」「電子処方箋の仕組みの構築」「自身の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大」の3つのACTIONについて、2021年に必要な法制上の対応を行い、2022年度中に運用開始を目指し、効率的かつ迅速にデータヘルス改革を進めることを確認した。(参考)第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会、第3回 医療等情報利活用WGおよび第2回 健診等情報利活用WG 資料データヘルスの集中改革プラン、3つの項目で論点整理 厚労省(ケアマネタイムス)5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ政府・規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループは、19日に第1回目を開催した。初回のテーマは「新規領域における医療機器・医薬品の開発・導入の促進」で、SaMD(Software as a Medical Device)の普及促進についてルールの整備などであったが、21日に開催された第2回では「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及促進」について話し合われ、患者の受診機会の確保・医療サービスの効率的な提供を実現する手段としてのオンライン診療・服薬指導の普及・定着に取り組むための議論を行った。これからデジタル技術を使い、医療・介護サービスの充実のために新たな技術導入が進むとみられ、今後の議論展開に注目される。(参考)第1回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(内閣府)第2回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(同)6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに新型コロナウイルスの拡大に伴い、全国の保健所では医師不足に直面している。2018年末に行政機関に勤める医師は全体の0.6%(1,835人)だが、全国469保健所の所長の1割は兼務であるなど、現場でのニーズは高い。一方、一般病院の臨床医に比べると、給与など待遇面がよくないため、これまであまり注目されていなかった。2017年に始動した社会医学系専門医制度を通して、キャリアパスの周知徹底並びに若手育成を進めている。専攻医の希望者も初年度から100人を超える応募があり、2019年度には350人が研修プログラムに参加しているなど、今後の活躍が期待される。(参考)保健所の医師不足、3割が空席・兼務 学生に認知度低く(朝日新聞)一般社団法人 社会医学系専門医協会 理事長 宇田 英典先生インタビュー(マイナビRESIDENT)

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外傷性脳損傷への入院前トラネキサム酸投与に有益性なし(解説:中川原譲二氏)-1306

 中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)は、外傷性死亡および障害の最重要の原因であるが、早期のトラネキサム酸投与がベネフィットをもたらす可能性が示唆されていた。そこで、米国・オレゴン健康科学大学のSusan E. Rowell氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した(JAMA誌2020年9月8日号掲載の報告)。入院前トラネキサム酸投与の有益性を対プラセボで評価 試験は2015年5月~2017年11月に、米国およびカナダの外傷センター20ヵ所と救急医療機関39ヵ所で実施された。適格患者は、Glasgow Coma Scaleスコア12以下および収縮期血圧90mmHg以上である15歳以上のTBI入院前患者(1,280例)で、受傷2時間以内に治療を開始する以下の3つの介入が評価された。(1)入院前にトラネキサム酸(1g)をボーラス投与し、入院後に同薬(1g)を8時間点滴投与(ボーラス継続群、312例)、(2)入院前にトラネキサム酸(2g)をボーラス投与し、入院後にプラセボを8時間点滴投与(ボーラスのみ群、345例)、(3)入院前にプラセボをボーラス投与し、入院後にプラセボを8時間点滴投与(プラセボ群、309例)。 主要アウトカムは、複合投与群とプラセボ群での6ヵ月時点の良好な神経学的アウトカム(Glasgow Outcome Scale-Extendedスコア4超[中等度障害または良好な回復])とされた。非対称有意性の閾値は、有益性が0.1、有害性は0.025とされた。副次エンドポイントは18項目で、本論文ではそのうち5つ(28日死亡率、6ヵ月時のDisability Rating Scaleスコア[0:障害なし~30:死亡]、頭蓋内出血の進行、発作の発生、血栓塞栓症イベントの発生)が報告された。6ヵ月時の良好なアウトカム、投与群65% vs.プラセボ群62% 参加1,063例のうち、割り付け治療が行われなかった96例とその他1例(登録時に収監)が除外され、解析集団は966例(平均年齢42歳、男性255例[74%]、平均Glasgow Coma Scaleスコア:8)となった。このうち819例(84.8%)について、6ヵ月フォローアップ時の主要アウトカムが解析できた。 主要アウトカムの発生は、投与群65%、プラセボ群62%であった(群間差:3.5%、有益性に関する90%片側信頼区間[CI]:-0.9%[p=0.16]、有害性の97.5%片側CI:10.2%[p=0.84])。副次エンドポイントの28日死亡率(投与群14% vs.プラセボ群17%、群間差:-2.9%[95%CI:-7.9~2.1]、p=0.26)、6ヵ月時のDisability Rating Scaleスコア(6.8 vs.7.6、-0.9[-2.5~0.7]、p=0.29)、頭蓋内出血の進行(16% vs.20%、-5.4%[-12.8~2.1]、p=0.16)については、有意差はみられなかった。トラネキサム酸の有効性に関する詳細な分析が必要 本研究では、中等度~重度のTBIに対する受傷2時間以内の入院前トラネキサム酸の投与は、Glasgow Outcome Scale-Extendedスコアで評価された6ヵ月時点の良好な神経学的アウトカムを有意に改善しなかったと結論された。一般に、中等度~重度のTBIでは、発症早期に頭蓋内出血(硬膜上出血、硬膜下出血、クモ膜下出血、出血性脳挫傷)の増大やびまん性軸索損傷に伴う微小出血などの出血性の頭蓋内病態を軽減することが、転帰の改善につながると想定され、本研究では、発症早期(入院前)に抗線維素溶解薬であるトラネキサム酸を投与することの有効性が検証されたと思われる。しかしながら、中等度~重度のTBIでは、頭蓋内圧亢進や低酸素症、低血圧症など虚血性の頭蓋内病態を引き起こす要因が転帰に大きく影響することが知られており、トラネキサム酸(2g)の入院前投与で、出血性の頭蓋内病態がどの程度軽減されたのか、虚血性の頭蓋内病態が増悪する(長期投与で指摘されている)ことはなかったのか、など詳細について分析する必要があると思われる。 

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猫と語り・猫に学び・猫とたわむれる【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】 第29回

第29回 猫と語り・猫に学び・猫とたわむれる猫、ねこ、ネコ、Cat(キャット:英語)、Chat(シャ:フランス語)、Katze(カッツェ:ドイツ語)、Gatto(ガット:イタリア語)、Gato(ガート:スペイン語)、feles(フェーレース:ラテン語)…世界中で猫は愛されています。「喜歓猫」という中国語を訳すと「猫が好き」となります。中国語でもネコは猫です。今回は、徹底的に猫について語りたいと思います。猫さまが主役として取り上げられた有名な論文をご存じでしょうか。数ある医学雑誌の中でも権威あるNEJM誌に掲載された猫「オスカー」です(NEJM. 2007;357:328-329.)。論文というよりも医療エッセイといったほうが適切かもしれません。「猫オスカーの 1 日」(A Day in the Life of Oscar the Cat)というタイトルです。読みやすい英語ですから、一読してみてはいかがでしょうか。一部分を抜粋してみます。「Slowly, he stretches first backward and then forward.」・・・オスカーが、ゆっくりと後方に前方にとストレッチする姿を描写しています。昼寝から目覚めたばかりの猫が、ストレッチした際に身体が微妙に震えているのだろうな、といった記載されていない猫特有の動きまで眼の前に浮かび上がってきます。オスカーは、老人介護ケア病棟の住人として暮らしています。子猫の時期から、居住者の死亡を予測できるという不思議な能力を持っていました。オスカーは、施設の受け持ちフロアを回診します。診察技法は、触診や聴診ではありません。ベッドに飛び乗り、「くんくん」嗅ぐのです。嗅診です。休診ではありません。嗅診するオスカーに休診日はありません。嗅診の結果、大丈夫と診断すれば病室から静かに立ち去ります。死が差し迫っていると診断した場合は、体を丸めて患者に寄り添うのです。オスカーが丸くなったところの患者は、数時間以内に死亡したといいます。オスカーが寄り添うのであれば、死期が迫った可能性があるとして、家族に連絡することが規則となったそうです。孤独死を防ぐ役割も果たしているオスカーは、不吉な猫ではありません。患者本人だけでなく、家族やスタッフの心に潤いを与える猫としてつづられています。死を迎える方の傍らに静かに寄り添う猫の姿はりりしいです。世の中はコロナ禍もあり、「ペットブーム」に拍車がかかっているようです。テレビからは美味しそうな「キャットフード」や「ドッグフード」のコマーシャルが流れてきます。私が子供の頃にも猫や犬を飼っている家はありましたが、今よりは少なかったです。間違いなく、誰も今ほどペットにお金をかけていませんでした。人間の余り物を与えられても、どの猫や犬も喜んで尻尾をふって食べていました。我が家にも、ご多聞にもれず猫がいます。保護猫を保健所から譲り受けたものです。名前はレオです。虎やライオンなどを含むネコ科の動物に君臨する王者の風格が漂う名前です。雑種のドラ猫であることは、すぐに見抜かれますが、飼い主である私にとっては、血統は問題ではありません。レオがいてくれることが大事なのです。レオがいることにより、何気ない生活の中にも会話が自然に生まれ、人と人の間に割って入り、コミュニケーションや人間関係の潤滑剤になってくれるのです。一人で悩んでいるときにも、いつの間にか猫を撫でながら独り言を言っていたりします。猫とソファの上でくつろぐと、とても暖かくて心地よいまどろみを覚えます。猫が素晴らしい役割を果たしてくれるのは何故でしょうか。過去に何が起こったかは猫にとって、さほど重要なことではない、ということです。 レオは、保健所の檻のなかで生命の危機が迫っていた時間を忘れて、今の我が家での生活に集中しています。猫が、人間よりも現在という瞬間を楽しむ存在であり、それが生きものの課題であると理解しているからです。猫は、死を恐れていないように思われます。死は肉体の苦痛から解放され、死は新しい生への移行であると知っているのです。猫は、なぜ猫という身体を選んで生まれてきたのか、なぜ今の飼主と一緒に暮らすことを選んだのか、前世はどうだったのかすべてを受容しています。後悔せず、今を生きるのです。猫は、人間よりはるかに輪廻転生という悟りの境地にいます。さすが猫さまです。入門します、弟子にしてください!読者の中にも猫と一緒に暮らす方々もおられることでしょう。小生が大好きな猫との遊び方をお伝えします。箱座りしている猫の背中の毛を引っ張ってみてください。肩甲骨付近で、背骨の真上あたりの、跳ねた毛を一本だけ引っ張るのがコツです。たくさんの毛束を引っ張っても何も起きません。眼を閉じて眠らんとするタイミングで不意打ちをかけてください。猫がビックリして、背中全体が「ザワザワ」とザワメクように動く様は一見の価値があります。騙されたと思って、たわむれてみてください。猫ライフの充実をお約束します。

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