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新型コロナ対応、現状の打開に何が必要か~東京都医師会尾崎会長インタビュー

 1都3県を皮切りに各地で2度目の緊急事態宣言が発令され、医療体制がひっ迫した状況が続いている。患者の急増で病床は不足。自宅・宿泊療養者のケアや回復後の転院調整などについて課題が指摘され、ワクチン接種への体制整備も求められる中、東京都医師会としてその役割をどのように捉え、どのような対策をとっていくのか。尾崎 治夫会長に聞いた。民間病院がもっと受け入れるべき? 1年あれば医療体制は整備できた? 連日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報が報道される中で、「民間病院がコロナ患者をほとんど受け入れていない」「医療崩壊というが1年あれば準備できたのではないか」などの意見もみられるようになった。「第1波のときから一貫して発信しているのは、日本の医療体制はCOVID-19のような感染症に対応できるようには作られていない。対応するには患者数の増加速度をできるだけゆるやかにして乗り越えていくしかないということ」と尾崎会長。コロナ前の東京都の指定感染症医療機関は15医療機関、118床。保健所も含め、無症状や軽症が多く感染力も強くて市中に急速に拡がって行くCOVID-19のような感染症に対応できる仕組みにはなっていなかった。 そのような枠組みの中では、通常医療を提供しながら、状況に応じて対応病床を増やすしかないが、急峻な患者数増加には対応できない。何度か波が来ることは避けられないが、その波の上がり方をできるだけゆるやかにして、その都度医療側も準備を整えて対応していくしかない。「そのためには国民の協力が欠かせないし、政府には一時経済を止めるという判断も含め、状況を的確に把握して指示を出す強力なリーダーシップが必要で、今後の課題としてパンデミック時の指示系統を担う新組織を立て、指揮系統をより明確にすることも必要だと考える」と同氏。公民の病院も診療所も高齢者施設も、一丸となって乗り越えるしかない 東京都では第1波以降、医師会主導で各地区にPCRセンターを設置し、インフルエンザとの同時流行に備え検査を担う診療所が約2,300、検査はできないが発熱患者を診療できる診療所も含めると診療検査医療機関が3千強設置されている。尾崎氏は、「民間病院も、現状ですでにある程度の病床数を持つところは受け入れてくれている」と話す。都立・公社3病院が重点医療機関となることで、今後病床数は一定数拡充できると考えられるが、それでも十分とは言えない。 「これ以上病床を増やす余地があるとしたら、やはり規模の大きい公的病院にもう一歩協力してもらうしかないだろう」と指摘。「民間病院は、経営が厳しくなれば本当に潰れてしまいかねない。コロナ後の医療を保つためにも、民間病院にはコロナ以外の医療と、感染力のない回復後患者の受け入れにまわってもらうのが現実的だと考えている」。 第3波で高齢者の感染が増えたことで、“コロナは軽症あるいは治ったが、体力低下などで自宅には帰れない”患者の受け入れ先がないことが課題となっている。「後方病院がない、あるいはこれまで急性期後の高齢患者の受け皿となっていた高齢者施設で受け入れてもらえないという問題が発生している」。これらの連携がスムーズにいくよう、仕組みづくりに着手しているという。宿泊療養施設はなぜフル活用されないのか? 現場で起こっていること 東京都の宿泊療養施設の運用について、1月中旬時点では利用率が3割程度に留まっていることが報道された。これに大きく影響しているのが、患者本人の希望だという。現状、陽性となって無症状または軽症の場合、保健所職員が電話で状況を確認する。自宅か宿泊療養を二択で提示すると、自宅を選ぶ患者が多いという。「無症状者は宿泊あるいは自宅療養でかかりつけ医や訪問看護で見守る体制を作り、軽症者については、場合によっては宿泊療養を義務づけるような法制整備も有効かもしれない」と指摘した。 また、検査の結果、陽性となった患者はすべて一度保健所で管理され、入院調整も保健所が行う。保健所の負担が増す中、地域によっては陽性後2~3日連絡を待つという状況も発生してしまっている。この間のプロセスに、法的には医師が関与できない仕組みとなっている。普段から診ているかかりつけ医がフォローすることで、異変を早期に察知できる可能性もある。トリアージのプロセスに制度として医師を加えてもらえないかと働きかけている、と同氏。「陽性が判明後、かかりつけ医がトリアージを行い、それに基づき保健所が受け入れ先を調整する仕組みにできないかと考えている」。 「東京都では現在、保健師や医師が常在し、急変時に対応するフォローアップセンターの設立を準備しており、それを地区医師会が支援する仕組みを作りたい。しかし、急変したことがわかっても受け入れ先がなければ意味がない。23区、そして多摩地区でそれぞれ数床ずつ、必ず空きベッドを用意する体制整備も必要」と話した。医療従事者へのワクチン接種、可能な限り自院で ワクチン対応について、まず目前に迫るのが医療従事者への接種だ。「どこか一ヵ所に集めて接種するというのは現実的ではない」と同氏。各地域で保管場所を作って、基本的には病院は自院で接種、診療所についても自院で接種するか地域のある程度スぺースのある診療所・病院で接種という形を現時点では想定しているという。 続く高齢者への接種についても、集団接種よりはかかりつけ医が実施するほうが望ましいとの見解を示した。「いま、日本の高齢者の多くがかかりつけ医をもっている。このシステムの良い部分を生かして、予診や接種後のフォローを含め、かかりつけ医が役割を果たしていけるのではないか」と話した。また、「医療者がどれだけワクチンの効果と副反応の可能性をわかりやすく説明できるかが大きなポイント」と指摘。副反応としてどんなものが起こる可能性があるのかをあらかじめわかりやすく伝え、理解してもらうことの重要性を強調した。尾崎 治夫(おざき はるお)氏東京都医師会会長・おざき内科循環器科クリニック院長1951年東京都生まれ。77年順天堂大卒。87年同大循環器内科講師。90年東久留米市・おざき内科循環器科クリニック開設。2002年東久留米医師会会長、11年東京都医師会副会長を経て15年より現職。

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乳がん関連遺伝子バリアントのリスクを評価/NEJM

 乳がんの遺伝性の病原性バリアントを有する女性のリスク評価と管理では、がん素因遺伝子の生殖細胞系列の病原性バリアントと関連する、集団ベースの乳がんリスクの推定がきわめて重要とされる。米国・メイヨークリニックのChunling Hu氏らCARRIERS(Cancer Risk Estimates Related to Susceptibility)コンソーシアムは、同国の一般集団において、既知の乳がん素因遺伝子の病原性バリアントと関連する乳がんの有病率とリスクの評価を行った。その結果、BRCA1とBRCA2の病原性バリアントは乳がんリスクが最も高いことを示した。NEJM誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。米国の集団ベースの症例対照研究 同コンソーシアムは、乳がん女性3万2,247例(乳がん診断時平均年齢62.1歳、乳がん家族歴あり20.4%)と、マッチさせた非乳がん女性(対照)3万2,544例(試験登録時平均年齢61.2歳、乳がん家族歴あり14.3%)を対象に、集団ベースの症例対照研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]と乳がん研究財団[BCRF]の助成による)。 多遺伝子アンプリコンベースのカスタムパネルを用いてシークエンスを行い、28のがん素因遺伝子の生殖細胞系列の病原性バリアントを同定した。次いで、個々の遺伝子の病原性バリアントと乳がんリスクの関連を評価した。BRCA1と2バリアントの生涯乳がんリスクは約50% 12の確立された乳がん素因遺伝子の病原性バリアントが、乳がん群の5.03%(1,621例)および対照群の1.63%(531例)で検出された。 BRCA1とBRCA2の病原性バリアントは乳がんリスクが最も高く、BRCA1のオッズ比(OR)は7.62(95%信頼区間[CI]:5.33~11.27、p<0.001)、BRCA2のORは5.23(4.09~6.77、p<0.001)だった。また、PALB2の病原性バリアントの乳がんリスクは中等度(OR:3.83、2.68~5.63)であった。 BRCA1、BRCA2、およびPALB2の病原性バリアントはいずれも、エストロゲン受容体陽性乳がん(OR[95%CI]:BRCA1 3.39[2.17~5.45]、BRCA2 4.66[3.52~6.23]、PALB2 3.13[2.02~4.96])、同陰性乳がん(26.33[17.28~41.52]、8.89[6.36~12.47]、9.22[5.63~15.25])、およびトリプルネガティブ乳がん(42.88[26.56~71.25]、9.70[5.97~15.47]、13.03[7.08~23.75])のリスクが高かった。 一方、BARD1(OR[95%CI]:2.52[1.18~5.00])、RAD51C(2.19[0.97~4.49])、およびRAD51D(3.93[1.40~10.29])の病原性バリアントはエストロゲン受容体陰性乳がんのリスクが高く、BARD1(3.18[1.16~7.42])はトリプルネガティブ乳がんのリスクも高かったのに対し、ATM(1.96[1.52~2.53])、CDH1(3.37[1.24~10.72])、およびCHEK2(2.60[2.05~3.31])はエストロゲン受容体陽性乳がんのリスクが増大していた。 ミスマッチ修復遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6)やNBNを含む16の乳がん素因遺伝子候補は、いずれも乳がんリスクの増加とは関連がなかった。また、BRCA1とBRCA2の病原性バリアントの生涯乳がんリスクは約50%で、PALB2は約32%だった。 著者は、「これらの知見は、一般集団におけるがん素因遺伝子の病原性バリアントを有する女性において、がんのスクリーニングやリスク管理戦略に有益な情報をもたらすと考えられる」としている。

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オンライン血圧管理で、良好な収縮期血圧コントロール/BMJ

 コントロール不良の高血圧患者において、デジタル技術を用いた介入による「家庭オンライン血圧管理・評価(Home and Online Management and Evaluation of Blood Pressure:HOME BP)」は通常治療と比較して、1年後の収縮期血圧のコントロールが良好で、費用の増分も低いことが、英国・オックスフォード大学のRichard J. McManus氏らが実施した「HOME BP試験」で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2021年1月19日号に掲載された。これまでの自己モニタリングと自己管理の試験では、血圧低下に関する有効性が示されているが、効果を得るには比較的高価な技術や時間がかかる一連の訓練を必要とすることが多い。また、デジタル介入の短期試験では、血圧コントロールの改善の可能性が示唆されているが、広く実施するための十分なエビデンスは得られていないという。プライマリケアでの無作為化対照比較試験 研究グループは、血圧の自己モニタリングと生活様式の自己管理を統合した高血圧管理のためのデジタル介入の、プライマリケアにおける有用性を評価する目的で、非盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。 この試験には英国の76の総合診療施設が参加した。対象は、治療を行っても血圧コントロールが不良(>140/90mmHg)で、インターネットが使用可能な環境にある患者622例であった。 被験者は、HOME BPによる血圧自己モニタリングとデジタル介入を受ける群(介入群、305例)または通常治療(ルーチンの高血圧治療、受診の予約、総合診療医の裁量による薬剤の変更)を受ける群(317例)に無作為に割り付けられた。 デジタル介入では、患者と医療従事者に血圧測定の結果がフィードバックされ、生活様式への助言や動機付けを高めるための支援を受ける選択が可能であった。高血圧、糖尿病、80歳以上の人々の目標血圧は英国の国のガイドラインに準拠した。 主要アウトカムは、ベースラインの血圧、目標血圧、年齢、診療内容で補正した1年後の収縮期血圧(2回目と3回目の測定値の平均値)の差とされた。欠測値は多重代入法で補完された。用量・薬剤の変更が多く、1mmHg低下の増分費用は11ポンド ベースラインの平均年齢は、介入群が65.2(SD 10.3)歳、通常治療群は66.7(10.2)歳で、女性はそれぞれ47.5%および45.0%であった。1年後に552例(88.6%)のデータが得られ、残りの70例(11.4%)のデータは補完された。 平均血圧は、介入群がベースラインの151.7/86.4mmHgから1年後には138.4/80.2mmHgへ、通常治療群は151.6/85.3mmHgから141.8/79.8mmHgへと低下した。収縮期血圧の両群間の平均差は-3.4mmHg(95%信頼区間[CI]:-6.1~-0.8)、拡張期血圧の平均差は-0.5mmHg(-1.9~0.9)であった。また、完全ケース分析では同様の結果が得られた(収縮期血圧の平均差:-3.5mmHg[95%CI:-6.2~-0.9]、拡張期血圧の平均差:-0.5mmHg[-1.8~0.9])。 頻度の高い有害事象として、関節のこわばり(介入群56.8%、通常治療群55.6%)、疼痛(47.5%、46.8%)、睡眠困難(45.7%、51.2%)、疲労(46.3%、43.3%)、咳嗽(34.6%、37.5%)などが認められたが、両群間に有意差があるものはなかった。また、高血圧に特異的な症状(下肢/くるぶしの腫脹、ほてり感、胃のむかつき、めまい、インポテンス)の頻度にも両群間に差はなかった。 介入群は通常治療群に比べ、試験期間中に降圧薬の投与を受ける患者の割合が高かった。また、用量の変更(相対的リスク:2.0、95%CI:1.5~2.7)および薬剤の変更(1.5、1.1~1.9)の割合が高かった。 試験期間中のQOL(EuroQoL5D-5L)には両群間に差はみられなかった。また、介入群の1例の増分費用は38ポンド(95%CI:27~47)であり、収縮期血圧の1mmHg低下当たりの増分費用は11ポンド(95%CI:6~29)(15ドル、12ユーロ)だった。 著者は、「HOME BPをプライマリケアで実施するには、臨床ワークフローへの統合と、デジタル技術を使用しない人々への配慮が求められる」としている。

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SGLT2阻害薬とGLP-1作動薬の有効性と有害事象をレビュー(解説:桑島巖氏)-1349

 最近の2型糖尿病治療薬の進歩は目覚ましい。DPP-4阻害薬登場によってHbA1cのコントロールは容易になったが、大規模臨床試験では心血管イベント抑制効果は見いだせなかった。しかし、その後登場したSGLT2阻害薬とGLP-1作動薬については、血糖値低下のみならず、心血管イベント、腎障害進展や死亡を抑制するという臨床試験の成績が相次いで発表されている。そして両薬剤は、いまや単に糖尿病治療薬の域を越え、心・腎・脳血管障害予防薬としての地位を確保しつつある。 本論文は、SGLT2阻害薬とGLP-1作動薬に関して、プラセボや従来治療、その他の血糖降下薬とを比較した764トライアル、約42万人についてのsystematic reviewとメタ解析のレビューである。その結論としては、SGLT2阻害薬は心不全による入院と死亡の回避という点でGLP-1作動薬よりも優れており、一方、非致死的脳卒中予防においてはGLP-1作動薬のほうが優れていたというものである。また有害事象に関しては、SGLT2阻害薬は、高率に生殖器感染を惹起する一方、GLP-1作動薬は重症な消化管イベントを惹起したという。 SGLT2阻害薬、GLP-1作動薬に関しては信頼性の高いプラセボ対照無作為ランダム化試験の成績がいくつか発表されており、上記の両薬剤の心血管イベント抑制効果に関する有効性はすでに明らかになっている。 それらは、SGLT2阻害薬の心血管アウトカム試験としては、エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)のEMPA-REG OUTCOME研究、カナグリフロジン(同:カナグル)のCANVAS研究、ダパグリフロジン(同:フォシーガ)のDECLARE-TIMI 58研究、ertugliflozin(本邦未発売)のVERTIS CV研究、sotagliflozin(同)のSOLOIST-WHF研究が発表されている。またGLP-1作動薬の心血管アウトカム試験としては、リラグルチドのLEADER研究、リキシセナチドのELIXA研究、デュラグルチドのREWIND研究、セマグルチドのSUSTAIN-6研究などである。 これらのランダム化試験の結果から、SGLT2阻害薬は高リスク症例で、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中は抑制しないものの、心不全の入院と死亡を減少させることがクラスエフェクトとして明らかになっている。これはSGLT2阻害薬の利尿作用とそれに伴う血圧低下、心負荷の軽減が心不全の抑制につながっている。 一方、GLP-1作動薬は心不全による入院や死亡の抑制効果は認められないが、死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合エンドポイントは有意に抑制するという結果が発表されている。しかし、その機序については不明である。 しかしながら、本論文の膨大な数の比較試験を収集したメタ解析は、その異質性、多様性ゆえに、おおよその両薬剤の有効性、有害性をまとめるうえでは有用であっても、エビデンスレベルはランダム化試験のほうが上である。 しかし両薬剤が単に血糖値を下げるだけの薬剤ではなく、心血管保護薬として心血管疾患を有している症例の2次予防治療薬として有望であることを、あらためて示した点では意味がある。

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第42回 新型コロナのPCR検査、偽陰性の解釈をほったらかすリスク

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者急増により、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県に新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言が発出されて4週目に突入しようとしている。新型コロナのPCR検査陽性報告数は減少傾向を示しつつあるものの、東京都ではまだ1日の陽性報告数はおおむね1,000人以上である。私の場合、過去の本連載でも取り上げたように身近で初めて感染者が発生したのは昨年4月下旬とかなり早い時期で、その後は8月に知人の感染とスポーツジムでの陽性者とすれ違いが判明していたが、その後しばらくは周囲で感染者の報告はなかった。ところが、世の感染実態を反映してか、昨年12月以降、ポツリポツリとFacebook上で「陽性でした」という友人のカミングアウト投稿が目につくようになった。こうしたカミングアウトに又聞きでの知人の感染事例まで含めると周囲での感染者はこの2ヵ月で軽く二桁に上る。そうした中で先週経験した事例は今まで以上にヒヤッとしたものだった。10年以上の付き合いになる友人の編集者から「後輩が新型コロナ問題に関心を持っているので、紹介したい。ぜひ、バックグラウンドブリーフィングをしていただけないか」という打診が来たのが先週の火曜日。最近では取材もかなりリモート化し、私も他人との接触を限りなく減らしている。とはいえ人と会うのが商売のようなものであり、そのような立場にいながら私は初対面で相当緊張するので、共通の友人・知人がいるならば同席してもらえた方がありがたかった。ということで、まさに先週の金曜日の日中、友人とその後輩に会うことになった。その友人からまさに金曜日当日の約束の時間から2時間ほど前、LINEメッセージが着信した。曰く、月曜日に打ち合わせで同席した会社の先輩が保健所から感染者の濃厚接触者として認定され、自分自身も会社から自宅待機を指示されたとのこと。そしてたった今、会社が契約している医療機関でPCR検査を行うため唾液検体を発送したので、本日の同席は控えたいとの連絡だった。当然の対応である。結局、私は当初の約束の場所で緊張気味の友人の後輩と面談をすることになった。その日の夜のことだった。再び友人からLINEメッセージがあり、濃厚接触者として認定されていた先輩がPCR検査で陽性だったとの連絡。「ともかく、本日はご一緒しなくてよかったです」とのメッセージに、私もかなりほっとしたのが本心である。その後、より詳細な成り行きを聞かされ、LINEメッセージのやり取りが続いた。友人曰く、先輩とは著者との打ち合わせで同席し、先輩の対面に著者、先輩の隣に友人という位置関係。基本、お茶を飲むとき以外はマスクをして会話していたものの、打ち合わせは2時間以上に及んだという。この場合、濃厚接触者と認定される可能性はある。友人はこの日の昼、すなわちウイルスに曝露した可能性がある日から4日後に採取した検体を送付し、検査結果はまだ判明していない。だが、ここで私は新型コロナのPCR検査偽陰性に関するある研究のことを思い出した。簡単に言えば、曝露直後は検査をしても圧倒的に偽陰性率が高く、その後この確率は徐々に低下し、曝露から8日前後で最低の20%前後になるというものだ。ちなみに友人が検体を採取した曝露4日後の場合は、感染していても70%弱が陰性という結果になる。世間の一部では無症状の人も含めPCR検査を積極的に行って陽性者を炙り出し、残る陰性者で経済を回せば良いというような主張も見受けられるが、この研究の結果はそのロジックがいかに乱暴かを示している。私は友人にそのことを伝え、もしPCR検査で陰性と判明しても油断しないようにとメッセージを送った。結局、翌日に判明した友人の検査結果は陰性。そのまま週末にかかったため、彼の先輩の濃厚接触者の認定は週明けにずれこみ、最終的に濃厚接触者とも認定されず、今週火曜日には会社から出社しても良いとの指示があったという。ただ、友人は「無理していくほどの用事はない」として、今もリモートワークを続けている。だが、会社の出社解禁宣言もなんと危ういことかと思う。新型コロナウイルスの感染性に関する研究報告では、2次感染は発症3日前から発症5日後まで起こりうることはよく知られている。この感染症では無症候感染者も少なくないことを考えれば、平均的な潜伏期間といわれる5日強に二次感染が起こりやすい発症5日後まで加えた曝露10日後までは最低限人との接触は控えるべきだ。にもかかわらず、会社が出社して良いと指示したのは曝露8日後なのである。昨年来、1年以上もPCR検査のことについては耳にタコができるほど報道され、一部ではやや問題のある内容があるものの、最近のこの件に関する報道の主流は「PCR検査を妄信すべからず」だと認識している。だが、現実には今回私が見聞したようなケースはまだまだあるのだろう。そして今やテレビで特定のクリニックによるPCR検査のCMが流れてしまう状況である。私は医療機関による自由診療でのPCR検査実施を全面的に否定するつもりはない。だが、この手の検査を受けた人たちとやり取りするにつれ、検査の盲点があまりにも認識されていないことに愕然とすることが少なくない。実際、自由診療でPCR検査を行っている医療機関はこの点をどの程度時間をかけて説明しているのだろうか? 従来からかなり疑問に思っている。

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COVID-19によるうつ症状や孤独感と社会的および性的つながりとの関係

 米国・インディアナ大学のMolly Rosenberg氏らは、COVID-19によるうつ症状や孤独感の有症率を推定し、社会的および性的つながりの頻度との関係について調査を行った。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2021年1月2日号の報告。 18~94歳の米国成人の代表的なサンプル1,010例を対象に2020年4月10日~20日にオンライン横断調査を実施した。うつ症状(CES-D-10スケール)、孤独感(UCLA3項目孤独感尺度)、対面およびリモートでの社会的つながりの頻度(家族とのハグ、ビデオチャットなど4項目)、性的関係の頻度(パートナーとの性的関係、マッチングアプリの使用など4項目)について調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象者の3分の1にうつ症状が認められ(32%)、孤独感が高かった(平均:4.4±1.7)。・うつ症状を有する人は、女性、20~29歳、未婚、低所得である可能性が高かった。・非常に頻繁な対面によるつながりは、うつ症状や孤独感の低下と関連が認められたが、頻繁なリモートによるつながりでは、この関連は認められなかった。 著者らは「米国におけるCOVID-19パンデミックの初期において、うつ症状や孤独感の上昇が認められた。リモートではなく、対面による社会的および性的つながりを維持した人では、メンタルヘルスのより良い結果が得られた。COVID-19に対する社会的な制限は依然として必要であるが、高リスクの人のためのメンタルヘルスサービスの拡充、リモートによる社会的および性的なつながりを維持する効果的な方法の特定が重要となる」としている。

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新型コロナ流行で糖尿病重症化予防ケアの実施数が減少

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は自社が保有する大規模診療データベースを用い、宮脇 敦士氏(東京大学大学院医学系研究科・公衆衛生学 助教)の研究チーム、中村 正樹氏(MDV)、二宮 英樹氏(慶應義塾大学医学部医療政策管理学教室/株式会社データック 代表取締役兼CEO)、および杉山 雄大氏(国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センター 室長)らと共同で、昨年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の糖尿病重症化予防ケア(透析予防、フットケアなど)の実施数について調査を行った。その結果、外来で糖尿病患者が定期測定するHbA1cの1週間あたりの検査数などが減少していたことを明らかにした。この研究論文はJournal of General Internal Medicine誌2021年1月19日号に掲載された。 2020年4月の1回目の緊急事態宣言が発令される前後に、 COVID-19の感染リスクを警戒して糖尿病患者が定期受診を延期するケースが見られた。糖尿病ケアの実施数が減少すると公衆衛生上、重大な影響を与える可能性があったが、ケア実施数の実際はわかっていなかった。 本研究はMDVが構築した急性期病院の診療データベースを使用し、2020年の年初第2~8週と、同年の緊急事態宣言発令期間の前半を含む第9~17週目の間に、外来診療で実施された1週間当たりの糖尿病患者の定期検査およびケアの実施数を186の病院で比較。 その結果、糖尿病患者が定期測定するHbA1cの1週間あたりの検査数は、2020年第2~8週の5万2,392件/週から、同年第9~17週には4万4,406件/週と、15.2%減少していた。そのほかにも、血清クレアチニンや尿タンパク測定、眼底検査、糖尿病フットケアサービス、および糖尿病透析予防指導を含むすべての検査・ケア数も減少していたことが明らかになった。 宮脇氏は「糖尿病患者の血糖値コントロールがどのくらい悪くなったのか、それとも変わっていないのかが今後の検討課題になる」とコメントしている。

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CLL治療薬にアカラブルチニブ承認取得/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるアカラブルチニブ(商品名:カルケンス)について、2021年1月22日に「再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果として、厚生労働省より承認を取得したと発表した。 慢性リンパ性白血病(CLL)は、骨髄中の造血幹細胞が過剰に異常なリンパ球となり起こる。これらの異常細胞は、感染症に対する防御力が低いことが知られ、異常細胞数が増えるにしたがい、健全な白血球、赤血球および血小板が減少するため、貧血、感染および出血を引き起こす可能性がある。BTKを介するB細胞受容体のシグナル伝達は、CLLの基本的な増殖経路の1つとされる。本症は、欧米では最も患者数が多い白血病となるが、わが国および東アジアではまれな疾患とみなされ、白血病と診断された患者の1~2%を占める程度となっている。 アカラブルチニブは、BTKに共有結合することでその阻害作用を発揮する。B細胞内においてBTKシグナル伝達は、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られている。 今回の厚生労働省による承認は、国内第I相試験および国際共同第III相試験(ASCEND試験)の中間解析の良好な結果に基づいている。 本試験は、再発または難治性CLL患者を対象に、アカラブルチニブの有効性を検討した無作為化多施設非盲検国際共同第III相試験。この試験では、310例の患者を2群に無作為割付け(1:1)し、1群目の患者には、アカラブルチニブ単剤療法(病勢進行または許容できない毒性が現れるまで100mgを1日2回投与)を実施した。 中間解析では、アカラブルチニブ単剤療法群は、リツキシマブと治験担当医師の選択によるidelalisibまたはベンダムスチンの併用療法群と比較し、無増悪生存期間(PFS)において統計的に有意で臨床的意義のある改善が示された。アカラブルチニブは、病勢進行または死亡のリスクを69%減少させた(ハザード比:0.31、95%信頼区間:0.20-0.49、p

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新型コロナ感染拡大、Go Toトラベルが影響か

 西浦 博氏(京都大学環境衛生学 教授)が率いる研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中の旅行者向けキャンペーン(Go Toトラベル)実施による疫学的影響について、キャンペーン実施前後の旅行・観光関連の症例発生率を比較し検証を行った。その結果、Go Toトラベル開始後の1日当たりのCOVID-19発生率は、2020年6月22日~7月21日までの期間と比較して約3倍、7月15~19日の開始直前期間との比較では約1.5倍にまで増加していたことを明らかにした。また、観光目的で感染した人は、6月22日~7月21日の期間との比較では約8倍、7月15~19日との比較では2〜3倍も増加していた。研究者らは「日本での第2波は、8月中旬までに減少し始めたが、Go Toトラベル開始初期の7月22日~26日の間に旅行関連のCOVID-19症例が増加した可能性がある」としている。Journal of Clinical Medicine誌オンライン版2021年2月号掲載の報告。 日本政府は 7月22日よりGo Toトラベルを開始。ホテル料金の大幅割引を提供し、国内の旅行先での消費に使用できる地域共通クーポンを発行したが、人の移動性を高めることでCOVID-19感染拡大に繋がる恐れがあったため、世論からはキャンペーン実施に対して停止や延期が求められていた。 本研究では国内における旅行が原因とされるCOVID-19症例の疫学的パターンに焦点を当て、5月1日~8月31日までに県や政府から報告されたCOVID-19症例を分析した。旅行に関連するケースとして、県境を越えた人、国境を越えた人と接触した人と定義。旅行の目的は「ビジネス」「家族に会う」「観光(tourism/sightseeing)」に分類した。 主な結果は以下のとおり。・2020年5月1日~8月31日までに24都道府県で合計3,978件のCOVID-19症例が報告された。・症例のうち2,211例(57.3%)は男性で、119例は性別不明だった。・患者の平均年齢は42.6歳だった。・診断時に症状を有したのは3,060例(76.9%)で、そのうち軽症2,150例(70.3%)と無症状891例(29.1%) が含まれていた。・3,978例のうち817例(20.1%)は、県境を越えた旅行歴、または県境を越えた他人との接触歴があった。・旅行関連の症例の平均年齢は36.2歳で、残りの症例の平均年齢は44.2歳だった。・24都道府県の月別の全例報告数は、7月が2,074例(52.7%)、8月が1,597例(40.5%)で、そのうち旅行関連の症例は7月が482例(23.2%)、8月が289例(18.1%)だった。

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超急性期脳梗塞の血管内治療、rt-PA併用に対して非劣性を認めず/JAMA

 急性脳主幹動脈閉塞に対する機械的血栓回収単独療法は、機械的血栓回収+静脈内血栓溶解併用療法と比較し、良好な機能的アウトカムに関して非劣性は示されなかった。日本医科大学の鈴木 健太郎氏らが、医師主導型多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「Randomized study of endovascular therapy with versus without intravenous tissue plasminogen activator in acute stroke with ICA and M1 occlusion(SKIP study)」の結果を報告した。急性脳主幹動脈閉塞患者において、機械的血栓回収療法に静脈内血栓溶解の併用が必要かどうかは不明であった。JAMA誌2021年1月19日号掲載の報告。超急性期脳梗塞患者約200例で有効性を比較 研究グループは2017年1月1日~2019年7月31日に、全国23施設で脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞患者204例を登録し、機械的血栓回収療法単独群(101例)(MT単独群)と機械的血栓回収+静脈内血栓溶解併用療法(アルテプラーゼ0.6mg/kg)併用群(103例)(MT+rt-PA併用群)に無作為に割り付け、2019年10月31日まで追跡調査した。 有効性の主要評価項目は、発症90日時点の修正Rankinスケール(mRS)スコア0~2で定義した良好な機能的アウトカムとした。非劣性マージンはオッズ比(OR)0.74、有意性水準は片側0.025(97.5%信頼区間[CI])とした。 事前に設定した副次評価項目は、発症90日までの死亡などを含む7項目、安全性評価項目は発症36時間以内の頭蓋内出血など4項目であった。90日時点の良好な機能的アウトカムに両群で有意差なし 204例(年齢中央値74歳、男性62.7%、米国国立衛生研究所脳卒中スケール[NIHSS]中央値18)が登録され、全患者が試験を完遂した。 主要評価項目を達成した患者の割合はMT単独群59.4%(60例)、MT+rt-PA併用群57.3%(59例)であり、両群間に有意差は認められなかった(群間差:2.1%[片側97.5%CI:-11.4~∞]、OR:1.09[片側97.5%CI:0.63~∞]、非劣性のp=0.18)。 有効性の副次評価項目7項目および安全性評価項目4項目のうち、90日死亡(7.9% vs.8.7%、群間差:-0.8%[片側95%CI:-9.5~7.8]、OR:0.90[95%CI:0.33~2.43]、p>0.99)を含む10項目で、有意差は確認されなかった。 なお、全頭蓋内出血の発生についてのみ、MT単独群がMT+rt-PA併用群と比較して有意に少ないことが確認された(33.7% vs.50.5%、群間差:-16.8%[95%CI:-32.1~-1.6]、OR:0.50[95%CI:0.28~0.88]、p=0.02)。症候性頭蓋内出血は、両群で差はなかった(5.9% vs.7.7%、群間差:-1.8%[95%CI:-9.7~6.1]、OR:0.75[95%CI:0.25~2.24]、p=0.78)。

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乳がんリスクが高い9遺伝子を推定/NEJM

 英国・ケンブリッジ大学のLeila Dorling氏らBreast Cancer Association Consortium(BCAC)の研究チームは、乳がんリスクのゲノム関連解析の結果、乳がんリスクを予測する遺伝子パネルに組み込む臨床的に最も役立つ遺伝子を特定し、遺伝カウンセリングを導入するためのタンパク質切断型変異による乳がんリスクを推定した。乳がん感受性遺伝子検査は広く用いられるようになったが、多くの遺伝子は乳がんとの関連性に関するエビデンスが弱く、リスク推定値は不正確で、信頼できる亜型特異的リスクのデータも不足していた。NEJM誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。11万3,000例以上を対象に、34の乳がん感受性遺伝子を解析 研究グループは、BCACの研究に参加している乳がん患者6万466例、および対照者5万3,461例の検体を対象に、感受性遺伝子と考えられている34の遺伝子パネルを用いDNAシークエンシングを実施した。 遺伝子変異は、タンパク質切断型変異とまれなミスセンス変異についてそれぞれ解析し、すべての乳がんおよびサブタイプ別のオッズ比を推定するとともに、ミスセンス変異の関連性を評価した。遺伝子間のリスクの差が明らかに 5つの遺伝子(ATM、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2)のタンパク質切断型変異は、乳がん全体のリスクと関連していた(p<0.0001)。4つの遺伝子(BARD1、RAD51C、RAD51D、TP53)のタンパク質切断型変異も乳がん全体のリスクと関連していた(p<0.05およびベイズ偽陽性確率<0.05)。残り25遺伝子のうち19のタンパク質切断型変異は、乳がん全体のオッズ比の95%信頼区間上限値が2.0未満であった。 ATMおよびCHEK2のタンパク質切断型変異では、エストロゲン受容体(ER)陰性乳がんと比較して、ER陽性乳がんの発症リスクが高かった。BARD1、BRCA1、BRCA2、PALB2、RAD51C、RAD51Dのタンパク質切断型変異では、ER陽性乳がんと比較してER陰性乳がんの発症リスクが高かった。 ATM、CHEK2、TP53のまれなミスセンス変異は、乳がん全体のリスクと関連していた(p<0.001未満)。BRCA1、BRCA2、TP53については、標準的な基準に従い病的変異に分類される可能性があるミスセンス変異が、乳がん全体のリスクと関連しており、そのリスクはタンパク質切断型変異と同程度であった。

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残余因子に対する新たなアプローチ-evinacumabへの期待(解説:平山篤志氏)-1348

 LDLコレステロール(LDL-C)低下療法により動脈硬化性疾患(ASCVD)の発症は減少しているが、最大耐用量の各種薬剤を用いてもLDL-Cが低下しない患者群がある。従来のLDL-C低下薬は、主にLDL受容体を介する機序によるものであった。angiopoietin-like 3(ANGPTL3)の遺伝的欠如で、中性脂肪(TG)、LDL-Cが低下していることが明らかになり、高脂血症マウスでANGPTL3が過剰産生されていることから、新たな治療ターゲットとしてANGPTL3が注目されるようになった。ANGPTL3はlipoprotein lipase(LPL)活性を阻害することでTGが上昇するが、LDL-Cへの作用は明らかではない。ただ、ANGPTL3を低下させることで、TGおよびLDL-Cが低下することが明らかなことから、現在、ANGPTL3に対するanti-oligonucleotide(ASO)やモノクローナル抗体が作成され、治験が開始されている。とくに家族性高コレステロール血症(FH)では、LDL受容体が欠損、あるいは機能低下していることから従来の薬剤では十分なLDL-C低下効果が認められなかった。本論文では、ANGPTL3に対するモノクローナル抗体(evinacumab)を用いて、従来の治療で不十分であった難治性高コレステロールFH患者を対象に第2相の試験が行われ、最大投与量で50%以上のLDL-C低下効果が認められた。FH患者を対象としているが、FHだけでなく、糖尿病やメタボリック症候群でもLPL活性が高いことが知られ、スタチンなどを用いてLDL-Cを低下させても心血管イベントを低下させることができない残余因子と考えられている。ANGPTL3をターゲットとした脂質異常症の治療により、新たなリスク低下が実現するかもしれない。

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ラリキンが……死んだ【Dr. 中島の 新・徒然草】(359)

三百五十九の段 ラリキンが……死んだ年が明けてから雪になったり雨になったり。パッとしない天気が続きます。さて、米国大統領就任式が無事に終わったと思ったら、突然のニュースが飛び込んできました。あのラリキン・ライブのラリー・キング氏が87歳で亡くなった(Larry King, legendary talk show host, dies at 87)というのです。ついに1つの時代が終わってしまいました。サスペンダーでズボンを吊り、シャツを腕まくり。画面からはみ出さんばかりの顔でまくしたてる黒ブチ眼鏡のオッサン。並みいる有名人ゲストを圧倒するオーラ。私にとってラリー・キング氏は、アメリカのテレビの象徴でした。ちくしょう、死ぬなよ、ラリキン!彼を知らない読者のために、ラリキンの生涯を振り返ってみましょう。彼は、1933年にニューヨークのブルックリンで移民2世として生まれました。フロリダのローカルラジオ局で雑用係として働いていたのですが、ある日、司会に穴が空いたため、急遽代役を務めることになったのです。その時の彼の本名は、東欧だかロシアだかの発音もスペルも難しいものだったので、上司に言われて出演直前にラリー・キングという名前を付けたそうです。幸運にもその2日後には、地元のレストランにやってきた有名人にインタビューするチャンスがありました。以来、彼の司会するラジオ番組やテレビ番組は大当たりし、1985年からはCNNで「ラリー・キング・ライブ」が始まります。CNNの台頭と共にラリー・キングも売れ、視聴者は毎晩のように彼の顔を見ることになりました。1990年代にアメリカに住んでいた私にとっても、CNNといえばラリキン・ライブでした。なんといってもラリキンを特徴付けるのは、色とりどりのサスペンダーです。滅多にジャケットを着ることはありません。彼のインタビューは対決を避けているとか、ゲストが答えやすい質問しかしないとか、散々な言われようでした。でも、むしろラリキンは言い過ぎじゃないのか、と私は思っていました。ズバズバ質問しながら、全く嫌味を感じさせなかったのが彼の上手いところなのでしょう。相手を攻撃しようとかやり込めようとか、そんな印象は全くなし。視聴者のニーズを察知してゲストにストレートに質問する、そういうスタイルでした。時にはゲスト同士の議論が沸騰し、さすがのラリキンも閉口したこともあります。CMが入った後で、「『クロスファイア』へようこそ。おっと間違えた!『ラリキン・ライブ』だった」そう言ってとりなしたところが笑えました。ちなみに「クロスファイア」は、ゲスト同士が収拾つかないくらい大論争をするので有名なCNNの別の番組です。今回の訃報で初めて知ったのですが、生涯7人の奥さんと8回結婚していたそうです。私生活のエネルギーも尋常なものではありませんでした。5人いた子供のうち、2人は父親よりも早く、いずれも病気で亡くなったのだとか。ラリー・キング自身も1980年代に心疾患で手術を受けたことから、財団をつくって心臓病になった人のために貢献していました。単に自己主張が強いだけのオッサンではなかったわけですね。不世出のインタビュアー、ラリー・キング氏の御冥福をお祈りいたします。最後に1句冬の空 天に召された サスペンダー

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第42回 「病床過剰なのに病床逼迫」のなぜ? コロナ禍で露呈した国の先送り問題

欧米に比べて病床が過剰なのに、なぜ病床が逼迫するのか―。コロナ禍が「医療機能の分化と連携」の停滞ぶりを改めて浮き彫りにしている。82大学の医学部長・附属病院長などで構成する全国医学部長病院長会議が1月19日に公表した「新型コロナウイルス感染症患者の受入れ状況調査結果(1月6日午前0時現在)」によると、全大学病院(1,216床)の「中等症・軽床病床」における「無症状患者」の比率は27.3%を占め、緊急事態宣言下の4都県の21病院(494床)では33%にも上ることがわかった。転院できないコロナ患者が大学病院に滞留回答のあった67病院のうち、記載のあった65病院の集計結果によると、「後方施設の整備状況」について「整えられている」と回答した病院はわずか16病院(25%)だった。つまり、回復後も持病などで入院が必要な患者は、転院先の後方支援病院がないため、高度医療機関である大学病院に留まらざるを得ない。その結果、ベッドが空かず、重症患者が入院できない状態を招いている。大学病院は診療報酬が優遇される特定機能病院でもあり、医療資源の非効率な利用と言える。そんな中、日本医師会、四病院団体協議会の日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、そして全国自治体病院協議会の計6団体は1月20日、「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」を設置し、新型コロナ感染症患者の受け入れ病床を確保するための具体策を協議することにした。日医の中川 俊男会長は同日の記者会見で、中小病院にはコロナから回復後も入院が必要な患者を受け入れる役割が期待されると具体案を述べた。前述の大学病院に関する調査結果然り、このような案が出るということ自体、大学病院と中小病院との連携ができていない実情が垣間見える。一方、厚生労働省が公表した設立主体別のコロナ患者受け入れ状況では「公立病院71%、公的病院83%、民間病院21%」となっている。全病院数の7割が民間病院ということもあり、民間病院の受け入れ率の低さが批判されがちだ。しかし、民間病院の病床数は全体の半分強で、経営の体力も人材調達力も脆弱な病院が多い。院内感染が起きて休院に追い込まれたり赤字になったりしても、誰も補填してくれない。コロナ対応できる中規模民間病院は1割未満医療ビッグデータの分析に基づき情報発信しているグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの調査によると、コロナ感染者に対応できる医療資源が比較的整っている中規模(200床)以上の民間病院は1割にも満たないことがわかった。政府は高額な支援金を用意したり、コロナ患者受け入れを拒否する病院名を公表する措置を感染症法改正で検討したりしているが、民間病院側としては受け入れようにも受け入れられない状況にあることをどれほど理解しているのだろうか。日本は欧米に比べて病院・病床数が多く、医師や看護師などの医療資源が分散している。OECD(経済協力開発機構)加盟国で比較すると、ドイツは1人の医師が2床、アメリカは1床、イギリスは0.8床を診ているのに対し、日本は5床と突出している。病床が逼迫する中、医療資源の充足状況に応じた病院間の役割分担の明確化と連携が必要だ。国が施策として掲げながらも先送りしてきた「医療機能の分化と連携」を、コロナ禍の緊急事態下で改めて指摘しなければいけない状況が情けない。

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日本人双極性障害患者とうつ病患者の認知機能の比較

 国立精神・神経医療研究センターの松尾 淳子氏らは、双極性障害(BD)患者における病期別の認知機能を調査し、うつ病患者や健康対照者の認知機能との比較を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年12月27日号の報告。 BD患者139例(寛解期:55例、非寛解期:84例)、うつ病患者311例(寛解期:88例、非寛解期:223例)、健康対照者386例を対象に、ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale-RevisedまたはWAIS-III)を実施した。対象は、日本人の非高齢者で通常推定病前知能指数(IQ)が90超であり、年齢、性別、病前IQは、グループ間で一致していた。 主な結果は以下のとおり。・非寛解期BD患者は、健康対照者と比較し、言語IQ、パフォーマンスIQ、フルスケールIQ、知覚の体制化、ワーキングメモリ、処理速度のスコアが有意に低かった(すべて、p<0.001)。・同様に、非寛解期うつ病患者と比較し、言語IQ、パフォーマンスIQ、フルスケールIQ、ワーキングメモリのスコアが有意に低かった。・非寛解期うつ病患者は、健康対照者と比較し、パフォーマンスIQ(p<0.001)、フルスケールIQ、処理速度(p<0.001)のスコアが有意に低かった。・寛解期BD患者は、健康対照者と比較し、パフォーマンスIQのスコアが有意に低かった(p=0.004)。・寛解期うつ病患者は、健康対照者と比較し、処理速度のスコアが有意に低かった(p=0.030)。 著者らは「うつ病患者では、処理速度のみが明らかな問題であると思われる点と比較し、BD患者では、非寛解状態で全体的かつより重度の認知機能障害が出現している。双極性障害、うつ病患者ともに、寛解期であっても認知機能低下が認められるようである」としている。

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春は他人の「くしゃみ」が気になる季節/ノバルティスファーマ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束をみせない中で迎える花粉症の季節。花粉症の患者さんは、くしゃみや目のかゆみ、鼻水などの諸症状で、マスクを外したり、顔を不用意に触れる機会が増えそうだ。 万が一、COVID-19の感染者であった場合、周囲に感染させる恐れとなる「くしゃみ」について、ノバルティスファーマ株式会社は、「新型コロナウイルス感染症流行下における、くしゃみに対する意識・実態調査」と題し、アンケート調査を行い、その結果を発表した。 今回の調査では、人のくしゃみに対する意識や、自分自身のくしゃみに対する意識と対策について探った。アンケート調査の概要 期間:2020年12月11日~12月13日 対象:首都圏在住の20~40代の男女 調査人数:600人アンケートの概要〔回答者の花粉症状況〕・花粉症と自覚する人が56.5%・花粉症と自覚する人のうち、1~4月の期間に症状が出るという人は85.5%・「くしゃみ」が重症花粉症にあたる「1日に11回以上」の人は約半数の49.8%・花粉症と自覚する人のうち、病院で治療を受けるという人は24.2%〔くしゃみに対する意識〕・COVID-19流行後、人の「くしゃみ」が気になる度合が増した人が80.3%・場面別にみると、「電車の同じ車両内で」人が「くしゃみ」をしていると気になる人が89.5%、「飲食店内で」が87.7%、「職場のデスクで」が80.0%。一方、「家庭内で」は61.2%・「くしゃみ」をする人がマスクをしていても「変わらず気になる」という人が8.7%、「少し安心するけどやはり気になる」という人が62.3%・新型コロナウイルス感染症の流行後、自身が「くしゃみ」をした際に周囲の目が気になる度合が増した人は88.4%。家庭内では「特に気にならない」が40.3%〔新型コロナウイルス感染症流行下における花粉症への意識〕・花粉症による「くしゃみ」が人に感染させるリスクになると思う人が83.8%・花粉症の治療に前年より力を入れたいと思っている人は23.9%(特に変わらない72.6%) 以上のアンケート結果を受け、大久保 公裕氏(日本医科大学大学院医学系研究科頭頸部感覚器科学分野 教授)は、「新型コロナウイルス感染症の流行下では『くしゃみ』や『目のかゆみ』など花粉症の症状はリスクになるので、今シーズンはとにかく症状が出ないようにしなければならない。この点、7割もの人が治療に関して昨年と変わらないとしていることは心配」と不安をのぞかせるとともに、「重症花粉症の場合には、症状のひどさだけではなく、花粉量が少なくても症状が出やすく、症状を抑えるのは簡単ではないということがあるので、しっかりした対処が必要。重症度が高い患者さんの症状を抑えるための治療というのもあるので、重症度に応じた治療法を選択し、今年はしっかりと症状の発現を抑えるように努めていただきたい」と花粉症治療でのCOVID-19リスクへの対応を提案している。

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1型DM患者へのインスリンポンプ、従来型vs.次世代型/Lancet

 血糖管理がチャレンジングである1型糖尿病の青年および若年成人患者において、既存のMedtronic製のMiniMed 670Gハイブリッド型クローズドループ・システム(HCL)と比べて、その進化版である開発中のアドバンスハイブリッド型クローズドループ・システム(AHCL)は、低血糖症を増やすことなく高血糖症を抑制することが示された。米国・HealthPartners InstituteのRichard M. Bergenstal氏らが、4ヵ国7医療機関を通じて行った無作為化クロスオーバー試験「Fuzzy Logic Automated Insulin Regulation:FLAIR試験」の結果を発表した。著者は、「今回示されたAHCLの効果を確認するためにも、社会経済的要因で十分サービスを受けられない集団や、妊娠中および低血糖症に対する認識が低い患者における長期試験の実施が必要と思われる」と述べている。Lancet誌2021年1月16日号掲載の報告。 14~29歳の1型DM患者113例を対象に試験 FLAIR試験は2019年6月3日~8月22日に、米国、ドイツ、イスラエル、スロベニアの7つの内分泌系治療施設を通じて、診断後1年以上の14~29歳の1型糖尿病患者113例を対象に行われた。被験者は、インスリンポンプまたは頻回インスリン注射法を行っており、HbA1c値は7.0~11.0%(53~97mmol/mol)だった。 試験ポンプの使用法習得のためのrun-in期間の後、被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方は既存のHCLを、もう一方は開発中のAHCLを、それぞれ12週間使用し、その後クロスオーバーを受け(washoutなし)もう一方のインスリンポンプを12週間使用した。AHCLは、HCLと比べて、人工膵臓アルゴリズムの機能が強化され、5分ごとに自動修正ボーラスが配信されるなど新たな技術が施されている。 主要評価項目は2つで、日中(6時00分~23時59分)の血糖値180mg/dL超の時間の割合(優越性を評価)と、24時間の血糖値54mg/dL未満の時間の割合で(非劣性を評価、マージン2%)とした。解析は、intention to treat法にて実施。安全性は、治療割り付け全対象者について評価した。日中血糖値180mg/dL超の割合、従来型37%に対し次世代型は34% 被験者113例は、平均年齢19歳(SD 4)、女性70例(62%)だった。 日中血糖値180mg/dL超(>10.0mmol/L)の平均時間割合は、ベースライン42%(SD 13)、HCL使用期間37%(9)、AHCL使用期間34%(9)だった(AHCL-HCLの平均群間差:-3.00%、95%信頼区間[CI]:-3.97~-2.04、優越性のp<0.0001)。 24時間の血糖値54mg/dL未満の割合は、ベースライン0.46%(SD 0.42)、HCL使用期間0.50(0.35)、AHCL試用期間0.46%(0.33)だった(AHCL-HCLの平均群間差:-0.06%、95%CI:-0.11~-0.02、非劣性のp<0.0001)。 AHCLで重症低血糖症1例が発生したが、試験治療とは無関係と判断された。HCLでは発生は報告されなかった。

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