サイト内検索|page:733

検索結果 合計:35655件 表示位置:14641 - 14660

14641.

第49回 新型コロナと東日本大震災(後編) あの時の医療支援は、被災地の医療をどう変えたか?

東北沿岸部の医療を進化させた在宅医療の支援こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月11日を境に、東日本大震災の関連報道も一気に下火となりました。NHKは、先々週はドラマが主軸でしたが、11日を迎えた先週はドキュメンタリー中心で、考えさせられる番組も多かった印象です。中でも、3月11日の夜に放送された「定点映像 10年の記録〜100か所のカメラが映した“復興”〜」は、被災3県100カ所で定期的に撮影してきた映像を基につくられたドキュメンタリーで、被災地によって復興の歩みに大きな違いがあり、そこに住む人々の思いや生活も多様であることを、改めて我々に気づかせてくれる内容でした。番組の最後で被災地を取材してきたNHKの記者が、「被災地では一般の方々は復興という言葉をほぼ使わない。使っているのは行政であり、政治家であり、われわれマスコミ」と語り、「行政の復興は、基本は住まい。被災された方は住まいも大事だが、そこがゴールとは思っていない。復興という言葉をめぐる行政と一般の方々のズレが広がっている」と指摘していたのが印象的でした。さて、今回も引き続き、東日本大震災が医療に及ぼした影響について考えてみたいと思います。東日本大震災では、前回(第48回 新型コロナと東日本大震災(前編) あの時の経験は今、医療現場でどう役に立っているか?)書いたDMAT以外にも、さまざまな医療支援チームが被災地に入りました。日本医師会のJMAT、日本プライマリ・ケア連合学会のPCATなどは、急性期医療だけではなく、亜急性期や慢性期の患者にも臨機応変に対応しました。そんな中、被災地のそれまでの医療提供体制を一気に進化させた支援もありました。それは、東北沿岸部のいくつかの町で展開された「在宅医療」です。日本の10年後だった東北沿岸部東日本大震災は、高齢化が進んだ東北沿岸部を襲ったことにより、病院や介護施設など入院・入所“施設”主体であった日本の医療提供体制の問題点を浮き彫りにしました。今から10年前の2011年、日本人口はちょうど減少傾向に入ったばかりでした(日本の人口のピークは2008年の1億2,800万人)。当時、日本全体の高齢化率は23%(現在は約29%)。それに対し、東北沿岸部の市町村の多くは30%前後に達していました。つまり、震災当時の東北沿岸部は日本の10年後の姿だった、とも言えるわけです。震災直後は津波で道路が寸断され、自動車も流されて、病院に通えない患者が続出しました。また、停電が続いたことで電動ベッドが動かず、自宅や施設で褥瘡が悪化する患者が続出しました。その時、自宅や施設において渇望されたのは、病院での医療でなく、在宅医療でした。しかし、当時、東北沿岸部の多くの市町村において、在宅医療はまだ十分に普及・定着していませんでした。医療支援チームと一体になって在宅専門部隊を組織一例として、宮城県の沿岸部最北に位置する気仙沼市では、震災前までは基幹病院である気仙沼市立病院が市民の医療の最後の砦として、急性期から慢性期まで対応しており、同病院で死を迎える人も多かったと言われています。震災前から同病院でも急性期医療への特化が模索されてはいましたが、地域で在宅医療が定着しておらず、回復期の機能を持った病床も未整備で、急性期後の患者の退院先探しには難渋していました。そんな状況の中、東日本大震災が起こり、在宅医療のニーズが急速に高まったわけです。その危機をどう乗り越えたのか……。気仙沼では全国から集った医療支援チームと地元の開業医、市立病院の医師らが一体となって、急遽、「気仙沼巡回療養支援隊」が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応したのです。同支援隊の活動は約6ヵ月続き、地元の開業医に在宅患者を引き継ぐ形で終了しましたが、在宅医療や口腔ケア・摂食嚥下のサポートは着実に普及・定着していきました。10年経った今、気仙沼周辺は、在宅医療だけではなく、多職種連携でも先進地域となっています。それは、大震災で気仙沼巡回療養支援隊の活動をベースに、地元の医療機関や介護事業所のスタッフたちが、研修や交流などを継続し、連携を深めてきた結果だと言えます。2017年に新築移転した気仙沼市立病院も、病床を震災時の451床から340床(一般336床〈うち回復期リハビリ病床48床〉、感染症4床)まで一気にスリム化し、地域の医療機関との連携にも力を入れはじめている、とのことです。なお、気仙沼のように、地元のリソースで在宅医療を定着させた地域がある一方で、宮城県の石巻市や登米市などでは関東を本拠とする医療法人が在宅専門診療所を開設し、やはり在宅医療や医療連携の定着・普及に寄与しています。在宅医療のニーズ拡大はコロナ禍と似ている震災によって“弱者”である高齢者が自宅に留まらざるを得なくなって、在宅医療・介護のニーズが拡大した状況は、現在のコロナ禍と似ています。今、感染防止の観点から医療機関の受診を控える高齢者が増えています。また、がん手術後の患者や末期患者なども、病院ではなく自宅療養を選択する人が増加しています。コロナ患者についても、重症病床から回復期病床、在宅への流れがきちんと定まっていなかったことが、病床逼迫の一因であったことは確かです。今後の第4波の襲来に備え、通常診療の在宅医療での対応拡大や、コロナ回復患者の在宅医療での対応なども考えておく必要があるでしょう。そうした仕組みづくりには、ひょっとすると、気仙沼巡回療養支援隊をはじめとした被災地での在宅医療の展開事例が参考になるかもしれません。

14642.

膵がん末期患者の下痢をコデインリン酸塩でコントロール【うまくいく!処方提案プラクティス】第34回

 今回は、末期がんの患者さんの下痢に対して、コデインリン酸塩錠で対処した症例を紹介します。代表的な副作用である便秘を活用することで、最終的には疼痛・排便の両方がコントロールできましたが、もっと早くから介入できていたら…という後悔が残った事例です。患者情報87歳、女性基礎疾患膵体部がん(c Stage4b、本人へは未告知)、左加齢性黄斑変性症既往歴子宮筋腫手術、腰椎圧迫骨折、左大腿部頸部骨折診察間隔毎週訪問処方内容1.トラセミド錠4mg 1錠 分1 朝食後2.スピロノラクトン錠25mg 1錠 分1 朝食後3.ナイキサン錠100mg 2錠 分2 朝食後・就寝前4.酪酸菌配合錠 4錠 分2 朝食後・就寝前5.パンクレリパーゼカプセル150mg 2カプセル 分2 朝食後・就寝前6.乾燥硫酸鉄徐放錠 2錠 分2 朝食後・就寝前7.ポラプレジンク錠75mg 2錠 分2 朝食後・就寝前8.ロペラミドカプセル1mg 2カプセル 分2 朝食後・就寝前9.スボレキサント錠15mg 1錠 分1 就寝前10.ロフラゼプ酸エチル錠1mg 1錠 分1 就寝前本症例のポイントこの患者さんは、膵体部がんの進行による疼痛と頻回の下痢で体力消耗が激しく、その便処理のために同居する長女の介護負担が非常に大きい状態でした。内服薬の管理も本人では難しく、出勤前と帰宅後に内服支援をする長女のために朝食後と就寝前で統一していました。下痢に関しては以前から悩みの種で、過去の治療において半夏瀉心湯やタンニン酸アルブミンで治療をするも抑えることはできず、現在の治療でも整腸薬のみではまったく効果はありませんでした。ロペラミドも追加しましたがコントロールには至らず、本人と長女の精神的・身体的な疲弊が限界に達していました。そのような中、医師より、どうにか今の服薬管理環境で下痢をコントロールできる内服薬はないかという電話相談がありました。この患者さんは、過去に子宮筋腫の手術歴があり、イレウスのリスクもあることから止瀉作用の過剰発現には注意を払う必要があります。しかし、今も疼痛があり、今後も病勢が進行する可能性から、オピオイド導入のタイミングと考えて、腸管内のオピオイド受容体を刺激して腸管蠕動を抑制するコデインリン酸塩錠の投与について検討しました。処方提案と経過医師に、疼痛と排便コントロールの両方を兼ねて、現行のロペラミドに加えて、弱オピオイドのコデインリン酸塩錠の追加を提案しました。用法については、長女より夜間から明け方の便失禁で困っているという話があったため、20mg錠を朝・夕食後(長女帰宅時に服用)・就寝前の分3で服用する方法を伝えました。医師からは、強オピオイドの導入も考えていたが段階を踏んで治療をしよう、と承認を得ることができ、早速当日の夜より服用開始となりました。投与開始3日目にフォローアップのため訪問したところ、夜間の便失禁が減り、本人と長女の心身の負担が軽減できていました。しかしその後、これまでの度重なる便失禁や病状悪化が影響してか、食事がほとんど摂れずに水分摂取がやっとの状態になっていきました。そして、病状悪化から内服も困難な状態となり、フェンタニルクエン酸塩貼付薬とモルヒネ塩酸塩水和物液での緩和医療へ切り替えることになりました。複数の止瀉薬を検討していた段階で提案することができず、医師から相談を受けるまでなかなか知恵を絞りきれなかったことを反省する事例となりました。

14643.

経口脱毛治療薬は安全か

 脱毛治療に用いる低用量経口ミノキシジル(LDOM)の安全性について、多施設共同大規模コホートにおける研究結果が報告された。スペイン・Ramon y Cajal University HospitalのS. Vano-Galvan氏らが1,404例を対象とした検討の結果、全身性の有害事象はまれであり、有害事象のため治療を中止した患者は1.7%だった。結果を踏まえて著者は、「LDOMの安全性プロファイルは良好である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2021年2月24日号掲載の報告。 研究グループは、LDOMに関する主要な懸念は全身性の副作用であったことから、大規模患者コホートにおける安全性について検討した。脱毛症のタイプを問わず、治療としてLDOMを3ヵ月以上受けていた患者を対象に、レトロスペクティブな多施設共同研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・検討には、平均年齢43(範囲:8~86)歳の計1,404例の患者(女性943例・67.2%、男性461例・32.8%)が含まれた。・LDOMは1,065例の患者に滴定投与され、分析可能なさまざまな症例2,469件が得られた。・最も頻度の高い有害事象は多毛症(15.1%)であった。そのうち治療中止に至った患者は14例(0.5%)であった。・全身性の有害事象は、立ちくらみ(1.7%)、体液貯留(1.3%)、頻脈(0.9%)、頭痛(0.4%)、眼窩周囲浮腫(0.3%)、不眠症(0.2%)などであった。これらのうち投薬の中止に至った患者は29例(1.2%)であった。・生命に関わる悪影響は観察されなかった。

14644.

非情動性精神疾患に対する持続性注射剤抗精神病薬~ネットワークメタ解析

 非情動性精神疾患の成人患者に対する長時間持続性注射剤(LAI)抗精神病薬による維持療法の再発予防および受容性について、イタリア・ベローナ大学のGiovanni Ostuzzi氏らは、検討を行った。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月18日号の報告。 MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、CENTRALなどより、2020年6月までに公表されたランダム化比較試験を検索した。相対リスクと標準化平均差は、ランダム効果ペアワイズおよびネットワークメタ解析を用いてプールした。主要アウトカムは、再発率およびすべての原因による中止(受容性)とした。研究の質はCochrane Risk of Bias toolを、プールされた推定値の確実性はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究86件のうち、78件(1万1,505例)をメタ解析に含めた。・再発予防に関しては、12種類のLAIのほとんどにおいて、プラセボを上回っていた。・プラセボと比較したLAIの最大推定値および最高ランキングであった薬剤は、パリペリドン(3ヵ月製剤)とアリピプラゾールであった。・リスペリドン、pipothiazine、オランザピン、パリペリドン(1ヵ月製剤)についても、プラセボと比較し、順に優れた再発予防を有していた(GRADEの確実性:中~高程度)。・LAI同士の直接比較では、ハロペリドールのみが、アリピプラゾール、フルフェナジン、パリペリドンよりも劣っていた。・受容性に関しては、ほとんどのLAIがプラセボを上回っており、zuclopenthixol、アリピプラゾール、パリペリドン(3ヵ月製剤)、オランザピン、flupenthixol、フルフェナジン、パリペリドン(1ヵ月製剤)は、順に優れた受容性を有していた(GRADEの確実性:中~高程度)。・LAI同士の直接比較では、アリピプラゾールのみが、他のLAI(ブロムペリドール、フルフェナジン、パリペリドン[1ヵ月製剤]、pipothiazine、リスペリドン)よりも優れた受容性を示した。 著者らは「パリペリドン(3ヵ月製剤)、アリピプラゾール、オランザピン、パリペリドン(1ヵ月製剤)のLAI抗精神病薬は、再発予防と受容性において、最高のエフェクトサイズとエビデンスの確実性を有していた。このネットワークメタ解析の結果は、最前線で治療にあたっている臨床医やガイドラインの作成に役立つであろう」としている。

14645.

研修医の勤務時間と自習時間に関連は?

 4月から医師の初期・後期臨床研修をひかえ、研修医の成長に必要なことは何であろう。研修医にとって十分な自習時間は、専門能力開発にとって重要であり、臨床知識の習得と自習時間は正の関係にあるとされている。2024年以降、わが国で研修医の義務勤務時間が制限されることもあり、水戸協同病院総合診療科の長崎 一哉氏らのグループは、研修医の勤務時間と学習習慣との関連を初期臨床研修医の基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)を基に評価を行った。調査方法 2020年1月20日~26日までGM-ITEを受講した全国5,590人の研修医を対象に横断研究にて実施。参加者へは、平均勤務時間と自習時間、および性別、卒後学年、当直回数、平均担当入院患者数を含む共変量についてアンケートで質問した。従属変数は1日あたりの自習時間であり、独立変数は1週間あたりの勤務時間とした。比例オッズ回帰分析を用いて、自習時間と勤務時間の間の関連を調べた。約8割の研修医の自習時間は60分未満 6,164人の研修医のうち5,590人(528病院)を分析した。これら研修医のうち2,837人(50.8%)は初期研修医で、1,769人(31.6%)は女性医師だった。 自習時間は、1~30分が2,067人(37.0%)、31~60分が2,330人(41.7%)、61~90分が788人(14.1%)、91分以上が166人(3.0%)、なしが239人(4.3%)だった。 勤務時間については、カテゴリー1(45時間未満)が133人(2.4%)、カテゴリー2(45〜50時間未満)が514人(9.2%)、カテゴリー3(50〜55時間未満)が827人(14.8%)、カテゴリー4(55〜60時間未満)が832人(14.9%)、カテゴリー5(60〜65時間未満)が1,047人(18.7%)、カテゴリー6(65〜70時間未満)が754人(13.5%)、カテゴリー7(70〜80時間未満)が676人(12.1%)、カテゴリー8(80時間以上)が807人(14.4%)だった。 性別、卒後学年、当直回数、および平均担当入院患者数を調整した後、研修医の自習時間はカテゴリー5よりもカテゴリー1~4の方が短かった。対照的にカテゴリー6~8とカテゴリー5の間で自習時間にほとんど、またはまったく違いはみられなかった。質を維持するための今後の課題 この研究では、勤務時間が週60時間未満の研修医は、週60~65時間の研修医よりも自習時間が短かった。この結果は、研修期間中の自由時間が必ずしも、より多くの自習時間に関連しているとは限らないことを示唆している。また、モチベーションの低い研修医が勤務時間の短い病院を選んでいるかもしれない。これらの結果は、本邦における勤務時間制限は、研修医の自習時間を短縮する可能性を示している。よって、研修病院は、オンライン教育と有益な学習環境などを提供することで、研修医の学習習慣を改善させる方策を取る必要がある。2024年以降勤務時間制限がされる中で研修医の質を維持するために、研修プログラムは研修医の自習時間を低下させないような方策(オンライン教育と院内学習環境の構築など)をとる必要がある。

14646.

ペムブロリズマブ、TMB-High固形がんに国内承認申請/MSD

 MSDは、2021年3月11日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (商品名:キイトルーダ)について、がん化学療法後に増悪した進行・再発の腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High)を有する固形がんに対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づいた承認申請としては、2018年に承認を取得した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がんに次いで、2件目の申請となる。 腫瘍遺伝子変異量(TMB)とは、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量で、ゲノムコーディング領域1メガ塩基 (megabase) 当たりの非同義体細胞遺伝子変異数として示され、10変異/megabase以上である状態をTMB-Highと定義している。TMB-Highの腫瘍では、ネオアンチゲンがより多く誘導され、免疫チェックポイント阻害薬に対して良好に反応する可能性があるとされ、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、大腸がん、子宮内膜がんなどで比較的多く見られると報告されている。 今回の製造販売承認事項一部変更承認申請は、固形がんに対するペムブロリズマブの有効性を評価する多施設共同非ランダム化非盲検試験であるKEYNOTE-158試験のデータに基づいたもの。

14647.

高リスク初回再発B-ALL小児の地固め療法、ブリナツモマブが有望/JAMA

 高リスクの初回再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の小児の治療において、同種造血幹細胞移植前のブリナツモマブの1サイクル投与は、標準的な多剤併用強化化学療法による地固め療法と比較して、無イベント生存割合が有意に優れ、安全性も良好であることが、イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のFranco Locatelli氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年3月2日号に掲載された。ブリナツモマブは、CD3/CD19を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)分子であり、T細胞を動員してCD19発現B細胞を溶解する。再発・難治性B-ALLの小児を対象とする第I/II相試験で、ブリナツモマブは抗白血病活性が示され、分子レベルでの抵抗性を有するB-ALLの成人および小児において、微小残存病変の高い完全寛解率を誘導したと報告されている。13ヵ国47施設の非盲検無作為化第III相試験 本研究は、高リスクの初回再発B-ALL小児の治療において、同種造血幹細胞移植前に残存白血病負担を軽減することで、移植後の転帰の改善を目指すアプローチにおけるブリナツモマブの有効性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、13ヵ国47施設が参加し、2015年11月~2019年7月の期間に患者登録が行われた(Amgenの助成による)。 対象は、生後28日~18歳未満の小児で、フィラデルフィア染色体陰性の高リスク初回再発B-ALLであり、M1 marrow(骨髄の芽球が<5%)またはM2 marrow(骨髄の芽球が≧5~<25%)の患者であった。 被験者は、3回目の地固め療法として、ブリナツモマブ(15μg/m2/日、4週間、持続静注)を1サイクル投与する群または化学療法を施行する群に無作為に割り付けられた。ブリナツモマブ群では、第1日のブリナツモマブ投与前にデキサメタゾン(5mg/m2)が投与された。 主要エンドポイントは無イベント生存割合とした。イベントは、再発、死亡、2次性悪性腫瘍、完全寛解導入の失敗と定義された。重要な副次エンドポイントは全生存(OS)割合であり、他の副次エンドポイントには微小残存病変の寛解(芽球<10-4)や有害事象が含まれた。死亡・再発のリスクが低く、微小残存病変の寛解割合が高い 108例(年齢中央値5.0歳[IQR:4.0~10.5]、女子51.9%、M1 marrow 97.2%)が無作為化の対象となり、ブリナツモマブ群に54例、化学療法群に54例が割り付けられた。事前に規定された中止規則に従い、ブリナツモマブの有益性により患者登録は早期中止となった。 フォローアップ期間中央値22.4ヵ月(IQR:8.1~34.2)の時点で、主要エンドポイントのイベントはブリナツモマブ群が31%(17/54例)、化学療法群は57%(31/54例)で発生し、無イベント生存割合はそれぞれ69%(37/54例)および43%(23/54例)であり、有意な差が認められた(ハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.18~0.61、log-rank検定のp<0.001)。すべてのサブグループで、HRはブリナツモマブ群が良好であった。 死亡は、ブリナツモマブ群で8例(14.8%)、化学療法群で16例(29.6%)発生した。OS割合のHRは0.43(95%CI:0.18~1.01)であった。また、再発は、ブリナツモマブ群が24.1%(13/54例)、化学療法群は53.7%(29/54例)で認められた。再発の累積発生の層別HRは0.24(0.13~0.46)だった。 第2完全寛解期の同種造血幹細胞移植は、ブリナツモマブ群で48例(88.9%)、化学療法群で38例(70.4%)に施行された。移植関連死は、それぞれ4例(8%)および4例(11%)で発生し、再発/病勢進行による死亡は3例(6%)および8例(21%)でみられた。 微小残存病変の寛解割合は、ブリナツモマブ群が90%(44/49例)と、化学療法群の54%(26/48例)に比べて高かった(群間差:35.6%、95%CI:15.6~52.5)。 致死的有害事象の報告はなかった。重篤な有害事象の発生は、ブリナツモマブ群が24.1%、化学療法群は43.1%、Grade3以上の有害事象の発生は、それぞれ57.4%および82.4%で認められた。ブリナツモマブ群で頻度の高いGrade3以上の有害事象は、血小板減少(18.5%)、口内炎(18.5%)、好中球減少(16.7%)、貧血(14.8%)であった。投与中止の原因となった有害事象は、ブリナツモマブ群で2例報告された。 著者は、「この患者集団において、移植前のブリナツモマブ投与は従来の化学療法よりも有効性が高く、有益な地固め療法となる可能性がある」としている。

14648.

新型コロナワクチン、無症候性感染者を94%予防か/ファイザー

 米国・Pfizer社、ドイツ・BioNTech社、イスラエル保健省(MoH:Ministry of Health)は、イスラエルでの集積データから同社が製造する新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン(BNT162b2)の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発症や入院、死亡を予防する効果は、症候性の場合で少なくとも97%、無症候性の場合で94%だったことを3月11日付けのプレスリリースで発表した。また、今回のデータ解析からワクチン接種を受けていない人は症候性の新型コロナを発症する可能性は44倍高く、新型コロナが原因で死亡する可能性は29倍高いことも示唆されたという。 今回のリリースによると、イスラエルMoHが2021年1月17日~3月6日の匿名化されたデータを使用し、Pfizer社/BioNTech社が製造したワクチンの2回目の接種から2週間後の時点での健康状態を非接種者と比較したという。この当時、イスラエルではB.1.1.7株が流行していた。 ワクチンの有効性は年齢、性別、および検体が収集された週の変動などで調整し、6項目―新型コロナウイルス感染(症状のあり/なし いずれも含む)、無症候性のみ、 症候性のみ、新型コロナによる入院(重度:呼吸困難、毎分30回以上の呼吸、室内空気の酸素飽和度<94%、および/またはP/F比(PaO2/FiO2比)<300mmHg、入院期間の評価(機械的換気、ショック、および/または心臓、肝臓、腎臓機能の障害)、新型コロナによる死亡―から接種者と非接種者に対する予防効果を決定したという。 なお、この内容は現在プレプリント段階であり、近々、査読付き論文として公表予定とのこと。

14649.

DPP-4阻害薬は新たな免疫抑制薬となり得るか?(解説:住谷哲氏)-1362

 筆者は内分泌代謝疾患を専門としているので、骨髄破壊的同種骨髄幹細胞移植(allo-HSCT)に伴う急性移植片体宿主病(GVHD)に関する知識は少ない。したがって本論文の結果の重要性を評価するのは適任ではないが、36例を対象とした第II相非ランダム化試験でNEJMに掲載されたことから、その結果が臨床的に大きなインパクトを有することは理解できる。 シタグリプチンをはじめとしたDPP-4阻害薬の適応は全世界的に2型糖尿病のみである。したがって本試験はdrug repositioning(drug repurposingとも呼ばれる)の1つと考えられる。ペプチド分解酵素であるDPP-4はT細胞表面に発現するCD26と同一分子であり、インクレチンであるGLP-1は生体内に多数存在するDPP-4の基質の1つに過ぎない。CD26はT細胞活性化における共刺激分子costimulatory moleculeである。動物実験でCD26の発現低下によりGVHDの抑制が可能であることが知られており、それに基づいて著者らは今回の試験を計画した。免疫抑制薬であるタクロリムスとシロリムスの併用に加えて、移植前日から移植後14日にわたってシタグリプチン1,200mg/日を投与した。その結果は、主要評価項目である移植後100日までのGrade II~IVのGVHDの発生率は5%であり、これまで報告されている発生率26~47%と比較して大きく低下していた。しかし本試験はいわばproof of conceptの段階であり、その有効性は今後実施される第III相ランダム化比較試験の結果を待つ必要がある。 血糖降下薬の観点から、本試験の結果をどう考えればよいだろうか? 1つは1,200mg(血糖降下薬としての最大投与量の12倍)2週間投与しても低血糖の発症はなかったと記載があることから、シタグリプチン(おそらく他のDPP-4阻害薬も)が単剤で低血糖を発症するリスクはほとんどないこと再確認されたことだろう。しかし筆者が重要と考えるのは、投与量の問題もあるが、DPP-4阻害薬に免疫抑制作用のあることが示された点である。DPP-4阻害薬の投与が水疱性類天疱瘡の発症と関連することが報告されているが、RS3PE、関節リウマチ、SLEなどの自己免疫疾患が増加するかについては種々の報告があり一定しない。一方で、台湾のナショナルデータベースを用いた研究ではDPP-4阻害薬の投与により自己免疫疾患の発症頻度がむしろ低下することが報告されている1)。2型糖尿病の病態、さらに合併症とされる動脈硬化性心血管病、がん、認知症、心不全の発症にも慢性炎症が関与していることが次第に明らかになりつつある。遠くない将来に、糖尿病治療における免疫抑制薬としてDPP-4阻害薬が注目される日が来るかもしれない。

14650.

1日1回服用の卵巣がんPARP阻害薬「ゼジューラカプセル100mg」【下平博士のDIノート】第70回

1日1回服用の卵巣がんPARP阻害薬「ゼジューラカプセル100mg」今回は、ポリアデノシン5'二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ニラパリブトシル酸塩水和物(商品名:ゼジューラカプセル100mg、製造販売元:武田薬品工業)」を紹介します。本剤は、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法後もしくは再発時の化学療法後維持療法として、1日1回の服用で腫瘍細胞の増殖を抑制することが期待されています。<効能・効果>本剤は、「卵巣における初回化学療法後の維持療法」「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣における維持療法」「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣」の適応で、2020年9月25日に承認され、同年11月20日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはニラパリブとして1日1回200mgを経口投与します。ただし、本剤初回投与前の体重が77kg以上かつ血小板数が15万/μL以上の成人には、1日1回300mgを経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量し、本剤投与により副作用が発現した場合は、添付文書の基準を参考にして休薬、減量、中止します。<安全性>国内第II相試験(Niraparib-2001試験、Niraparib-2002試験)において、副作用は39例中39例(100%)で報告されました。主なものは、悪心25例(64.1%)、血小板数減少23例(59.0%)、貧血17例(43.6%)、好中球数減少14例(35.9%)、嘔吐13例(33.3%)、食欲減退11例(28.2%)、白血球数減少10例(25.6%)でした。なお、国内外の臨床試験(上記とNOVA試験、QUADRA試験、PRIMA試験)において、本剤が投与された937例で発現した重大な副作用として、骨髄抑制(78.8%)、高血圧(9.8%)、間質性肺疾患(0.6%)、可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.卵巣がんの初回化学療法後や再発時の維持療法に使われる薬です。1日1回、連日服用します。2.薬によって血液を作る機能が低下するため、あざができやすくなる、鼻をかんだときに血が出る、顔色が悪くなる、心拍数が増える、立ちくらみや息切れ、めまいが起こることがあります。定期的に血液検査が行われますが、気になる症状があったらすぐにご連絡ください。3.血圧が高くなることがあります。自覚症状はほとんどないため、定期的に血圧や心拍数を測定しましょう。4.吐き気や嘔吐、便秘、疲労感などが現れることがあります。小まめに水分を摂り、消化の良い食事を心掛け、疲れを溜めないようにするなど、生活に工夫を取り入れることで対処できる場合もあります。強い症状が続く場合はご相談ください。5.妊娠中の方や妊娠している可能性がある方は服用できません。また、本剤服用中や服用を中止してから一定の期間は適切な方法で避妊を行い、授乳中の方は授乳を中止する必要があります。<Shimo's eyes>卵巣がんは主に閉経後の女性に多く発症するがんですが、初期段階では症状に乏しく、早期の検出が困難であるため、女性生殖器の悪性腫瘍の中では最も死亡者数の多い疾患です。一般的な卵巣がんの治療では、まず手術で可能な限りがんを取り除いてから抗がん剤による化学療法を行い、その後、再発リスクを下げるための維持療法を実施することが多いです。PARP阻害薬は、白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法後もしくは再発時の化学療法後の維持療法として用いられます。本剤は、卵巣がんに適応のあるPARP阻害薬として、国内ではオラパリブ(商品名:リムパーザ)に次ぐ2剤目であり、BRCA遺伝子変異の有無によらず使用できます。1日1回の経口投与で食事の影響を受けにくいため、生活リズムに合わせて服用タイミングを選択できるなどのメリットもあります。副作用としては、一般的な抗がん剤と同様に、骨髄抑制、血小板減少、好中球減少などが発現することが多いため、血液検査などによるモニタリングが求められます。また、『NCCN制吐ガイドライン2020年版』において、中等度~高度の嘔吐リスク(頻度30%以上)に分類されており、嘔吐を予防するため、服用前に5-HT3受容体拮抗薬の連日経口投与が推奨されています。重大な副作用として、高血圧クリーゼを含む高血圧などが報告されており、とくに降圧薬を服用中の患者さんは投与前に血圧が適切に管理されていることを確認する必要があります。本剤の貯法は、2~8℃で遮光保存です。患者さんにはPTPシートを冷蔵庫で保管するように指導しますが、持ち運ぶ必要がある場合は専用の保冷遮光ポーチがあるので、MRに相談しましょう。参考1)PMDA 添付文書 ゼジューラカプセル100mg

14651.

王者であると言うこと【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第29回

延期された東京オリンピック、本当にどうなるかわからなくなってきましたね…。モチベーションを維持しながら調整を続けているアスリートの皆さんは本当に大変だろうな、と思います。私が空手の代表選手をやっていたのは、もう20年近く前になります。この20年の間に、空手は“KARATE”となり、競技としての様相はかなり変わりました。一般の方がみても楽しめるように、派手な技には高いポイントが設定され、どんどん技を出さなければ審判より注意や警告がなされるルールになりました。その結果、選手は休むことなく大技を繰り出し続けることになり、空手は非常にエキサイティングな競技へと変貌を遂げました。2017年にバルセロナで行われた林派糸東流世界大会での、日本チームのアップ風景です。非常に軽やかなステップであることがみて取れます。参考までに、この大会では日本チームが優勝しました。ただ、本来の空手は武道でもあるワケでして。一見、動きがなくても、そこには無数の駆け引きがあったりするのですが…海外の人には、あまり理解してもらえないようです(ちなみにドイツの空手愛好者達は、この「武道の機微」を理解している人が多く、空手のスポーツ化に多少なりとも疑問を持っているようです)。試合でくじけない選手を思い出し人生にいかす空手のスポーツ化の是非は別として、現在のトッププレーヤー達は全身のバネを利用して、コートを所狭しと飛び回っています。このダイナミックさに憧れて、次世代の空手キッズ達が練習に励むんだろうなぁと思います。しかし、20年前、私が憧れた選手は今のトッププレーヤー達とはだいぶ違っていました。その選手は、当時、大学選手権(インカレ)男子個人組手の部で史上2人目となる3連覇を果たした選手でした。大学選手権は無差別級の大会なのですが、その選手は決して大柄ではありませんでした。多分身長は170cm前半だったと思います。では、超人的なスピードで相手を攪乱していたのか? というと、それも違っていました。試合中はステップを踏まず、ベタ足。脚を前後に大きくスライドさせ腰を落とし、腕は力を抜いて腰の高さに。ほぼノーガードの状態で構えていました。ジリジリと摺り足で相手を追い詰めていき、相手が攻撃に入った瞬間に懐に飛び込み、一撃の中段突きで切って落とす、まるで居合抜きのような空手でした。そんなハイリスク・ハイリターンなスタイルであるが故に、逆に強烈な一撃をもらい、前のめりに倒れてしまうシーンを何度もみました。格闘技経験のある方なら分かると思いますが、殴り倒された後に平常心を保つことは並大抵のことではありません。しかし、その選手は倒されてもビビる事も、キレる事もなく・・・いや、ちょくちょくキレてはいましたが・・・試合が再開されると、本当に何もなかったようにもう1度相手の懐に飛び込んで中段突きをブチ込んでいました。決してスマートな空手ではなく、何度も倒されながら、3度王者に輝いた姿は今でも脳裏に残っています。人生でうまくいかないことがあったときは、いつも何となくその選手の姿を思い出します。倒されても怯まない、そんな熱い選手が空手界にはたくさんいます。読者の皆さまも機会があれば、ぜひ空手にも注目してみてください。

14653.

第51回 経口アンドロゲン受容体抑制薬がCOVID-19万能薬に?/陰茎の世界標準

経口のアンドロゲン受容体抑制薬が外来と入院を問わず新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)に有効なことがブラジルでの試験で裏付けられ、次は集中治療室(ICU)のCOVID-19患者にどうかが検討されます。また、男性諸君のおそらく多くの気をもましている陰茎の大きさの世界標準に関する報告を簡単に紹介します。経口アンドロゲン受容体抑制薬がCOVID-19患者に外来と入院を問わず有効今年1月に発表された試験で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の入院を完全またはほぼ完全に防いだ経口薬proxalutamide(プロキサルタミド)が今度はCOVID-19入院患者の死亡のほとんどを防ぎました。中国の江蘇省の蘇州を拠点とするKintor Pharmaceutical社が開発している同薬はSARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞表面受容体ACE2結合前の下処理に駆り出される酵素TMPRSS2の発現亢進に携わりうるアンドロゲン受容体(AR)を抑制します1)。また、ACE2の阻害と発現抑制の二手からその活性を抑制する作用もあり、AR抑制とACE2抑制のどちらもがSARS-CoV-2肺細胞侵入阻止に貢献するとの期待を背景にしてまずはCOVID-19入院抑制効果を調べる試験が去年4月にブラジルで始まりました2)。試験はCOVID-19患者の男性を募り、COVID-19による入院率の比較によって軽症患者の重症化予防効果を示すことを目指しました3)。1月10日に発表された最終解析でのproxalutamide投与群134人の入院率は0%、つまり1人も入院せずに済みました。一方、プラセボ群128人では4人に1人以上の35人(27%)が病状悪化により入院を要し、proxalutamideの重症化予防効果が裏付けられました。安全性も申し分なく、同薬15日間使用に伴う有害事象は認められませんでした。外来の女性COVID-19患者を対象にした試験の途中結果も同日1月10日に発表され、男性での試験と同様の効果が認められています。proxalutamide治療群の女性60人の入院率は男性での試験と同様に低くてわずか1.7%であり、入院したのは1人のみでした4)。プラセボ群35人では6人(17%)が入院を要しました。1月10日の発表によると患者組み入れは2月まで続き、データは今月中に揃います。今回3月11日に新たに発表された死亡抑制効果はCOVID-19流行がとくに深刻だったブラジル北部(アマゾナス州)での第III相試験に参加したCOVID-19入院男女294人の結果に基づきます。ブラジル北部でのCOVID-19入院患者の死亡率は高く、Lancet Respiratory Medicine誌に最近発表された25万例超の解析によるとブラジル北部では半数(50%;ブラジル全体では38%)が入院中に死亡しました5)。proxalutamideの試験でもプラセボ群296人の死亡率は同様に高く、およそ2人に1人、141人(48%)が14日間に死亡しました。一方、proxalutamide群294人で死亡したのはわずか11人(4%)のみであり、同薬はCOVID-19入院患者の死亡リスクを92%減らしました6)。Kintor社は今月中か来月4月初めに最終結果を手にし、同薬の取り急ぎの認可をブラジルに申請する予定です7)。また、より重症の集中治療室(ICU)患者を対象にしたブラジルでの非盲検試験も予定されています。ブラジル以外の国での取り組みも進んでいます。Kintor社は外来の男性COVID-19患者を対象にした第III相試験の米国FDA許可を今月初めに得ており8)、最初の患者が来月4月には組み入れられます7)。Kintor社はCOVID-19治療低分子薬の第III相試験FDA許可を得た最初の中国製薬会社となりました8)。また、2009年発足の同社が初めてFDA許可を得た第III相試験でもあります。陰茎の世界標準17の報告で調べられた世界の男性しめて1万5,521人の記録に基づくこれまでで恐らく最も正確なまとめ9-11)によるとペニス(陰茎)の平均的な長さは普段の緩んだ状態では9.16 cm、勃起時は13.12cmです。平均的なペニス回り(circumference)は緩んだ状態では9.31 cm、勃起時は11.66 cmでした。参考1)Anti-Androgen Treatment for COVID-19(Clinical Trial.gov)2)First Patient Enrolment for the COVID-19 Clinical Trial of Proxalutamide Completed / Kintor Pharmaceutical3)Kintor Pharmaceutical Releases the Final Data of Proxalutamide in the Treatment of Male Subjects Infected with COVID-19 / Kintor Pharmaceutical 4)Kintor's Proxalutamide (GT0918) COVID-19 Clinical Trial Shows Positive Preliminary Results in Treatment of Female Patients / PRNewswire5)Ranzani OT,et al. Lancet Respir Med. 2021 Jan 15. [Epub ahead of print]6)Kintor Pharmaceutical Announces Results from Investigator-Initiated Brazil Trial Demonstrating 92% Reduction in Mortality in Hospitalized COVID-19 Patients / PRNewswire7)Kintor’s proxalutamide reduces COVID-19 mortality risk by 92%; trial in ICU patients next / BioWorld8)Proxalutamide Phase III Clinical Trial for the Treatment of COVID-19 Patients Approved by FDA / PRNewswire9)Veale D,et al. BJU Int. 2015 Jun;115:978-86. 10)Am I Normal? British Urology Journal Measures 15,000 Penises to Find the Average / Newswise11)How big is the average penis? / Science

14654.

新たな認知症評価尺度ABC認知症スケールの妥当性

 認知症を評価するための新しいツールとしてABC認知症スケール(ABC-DS)が、日本において開発された。ABC-DSは、日常生活動作(ADL)に関するドメインA、認知症の周辺症状(BPSD)に関するドメインB、認知機能に関するドメインCについて同時に評価できる包括的なツールであり、簡便かつ迅速に実施することが可能であり、認知症の重症度および経時的変化を測定することができる。これまで、ABC認知症スケールは、アルツハイマー型認知症(AD)の評価に有用であることが報告されているが、その他の認知症での研究はまだ行われていなかった。長崎大学の下田 航氏らは、さまざまな認知症のサブタイプや重症度に対するABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年2月12日号の報告。ABC認知症スケールは血管性認知症患者でも使用可能 対象は、長崎県の病院1施設における外来患者および施設を利用している患者。ドメインAは認知症機能障害尺度(DAD)、ドメインBはNeuropsychiatric Inventory(NPI)、ドメインCはミニメンタルステート検査(MMSE)、ABC-DS合計スコアは臨床的認知症尺度(CDR)を用いた評価との相関を調査した。 ABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った主な結果は以下のとおり。・対象患者は、男性38例、女性64例の合計102例であった(平均年齢:80.7±8.6歳)。・認知症のサブタイプの内訳は、AD 38例、血管性認知症(VaD)23例、混合型認知症23例、レビー小体型認知症6例、嗜銀顆粒性認知症9例、軽度認知障害3例であった。・ABC認知症スケールのドメインスコアと各ドメインと相関する標準的な尺度による評価スコアとの間に強い相関が認められた。・この関連は、認知症のサブタイプや重症度に依存しており、中等度~高度のADおよびVaD患者において、中~高程度の相関が認められた。 著者らは「本調査では、AD患者を対象としているABC-DSは、VaD患者でも使用可能であることが示唆された。その他の認知症サブタイプでは、ABC-DSが標準的な尺度との間に十分な相関が認められない場合がある。これまでの報告と同様に、ABC-DSは、中等度~高度の認知症に対してより有用であると考えられる。中等度~高度の認知症は、すべての患者の半数以上を占めるため、日本での臨床診療において非常に有用であろう」としている。

14655.

新型コロナワクチン接種後の安全性情報をリアルタイム公開/三重県

 国立病院機構三重病院では、三重県予防接種センター事業の一環として、ワクチンの安全性情報をインターネット上でリアルタイム公開するシステムCOV-Safeを開発・運用している。3月15日時点で、約700人の接種7日後までのデータが順次公開されており、発熱は1%未満と稀で、接種当日と翌日に接種部位の痛みを感じる人が比較的多い傾向がみられている。 COV-Safeは、ワクチンを接種し、調査への協力が得られた人が接種後の健康状態についてアプリから入力すると、匿名化されたデータがリアルタイムに集計され、速やかに安全性情報が表示されるシステムとなっている。ホームページで公開されるのは速報版で、今後詳細な解析結果も発表される予定。なお、本調査の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンの実地使用下における基礎的・臨床的研究及びワクチンの評価・開発に資する研究」(研究代表者:菅 秀氏)で実施されている。 接種部位の発赤、腫脹、硬結、疼痛、熱感、かゆみのほか、体温(37.5度以上)、頭痛、倦怠感について接種1回目、2回目それぞれの7日後まで各日の報告数が公開されており、性別や年代別の詳細も閲覧することができる。

14656.

肝内胆管診療ガイドライン2021年版発刊

 日本肝研究会が肝内胆管診療ガイドライン2021年版を2020年12月に発刊した。これまで胆道診療ガイドラインが発刊されてきたが、肝外胆管、胆嚢、十二指腸乳頭部が対象とされ、肝内胆管に対するガイドラインは存在していなかった。肝内胆管診療ガイドラインは腫瘤形成型およびその優越型を対象として作成 今回初版となる肝内胆管診療ガイドラインは、肝内胆管の分類、患者数や治療法などを踏まえ肝内胆管のうち腫瘤形成型およびその優越型を対象として作成されている。構成は総論・各論からはじまり、アルゴリズム、Background Statements/Clinical Topics、Clinical Questionsの枠組みで記載されている。 肝内胆管診療ガイドラインの主な内容は以下のとおり。<Background Statements/Clinical Topics> BS1:全世界における肝内胆管の罹患率の変動と地域特性 BS2:肝内胆管発生の危険因子 BS3:本邦と欧州における肝内胆管の進行度(Stage)分類の相違点 BS4:肝内胆管における前・早期病変 BS5:肝内胆管における腫瘍類似病変 CT1:肝門部胆管と肝内胆管の肝門部浸潤の区別は可能か?<Clinical Questions> CQ1:有効なスクリーニング法はあるか? CQ2:診断に有用な臨床検査は何か? CQ3:診断に有用な画像検査は何か? CQ4:腫瘍の進展範囲(T因子)の診断に有用な検査は何か? CQ5:リンパ節転移の診断に有用な画像検査は何か? CQ6:遠隔転移の診断に有用な画像検査は何か? CQ7:腫瘍生検はどのような症例に行われるべきか? CQ8:腫瘍条件からみた外科治療の適応は? CQ9:安全で合理的な手術術式は? CQ10:リンパ節郭清に意義はあるのか? CQ11:穿刺局所療法の適応となる症例は? CQ12:切除不能肝内胆管に推奨される薬物療法は何か? CQ13:術前化学療法は推奨されるか? CQ14:術後補助化学療法は推奨されるか? CQ15:切除不能肝内胆管に定位放射線治療は推奨されるか? CQ16:切除不能肝内胆管に粒子線治療は推奨されるか?

14657.

片頭痛へのガルカネズマブ承認、既存薬との使い分けは

 「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果として、ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体薬ガルカネズマブ(商品名:エムガルティ)が1月22日に製造販売承認を取得した。2月25日にオンラインメディアセミナーが開催され(主催:日本イーライリリー)、平田 幸一氏(獨協医科大学 副学長)、坂井 文彦氏(埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長)が登壇。同薬の片頭痛治療における位置づけと臨床試験結果について講演した。片頭痛発生メカニズムと鍵となるCGRP 現在、片頭痛の発生メカニズムとしては「三叉神経血管説」が広く受け入れられている。ストレス・ホルモン等の内因性の刺激、あるいは天候・匂いや光といった外因性の刺激を受けることによって三叉神経終末からCGRPなどの神経ペプチドが放出される。神経ペプチド放出により血管拡張、血漿タンパクの漏出、肥満細胞の脱顆粒などの神経原性炎症が発生し、疼痛シグナルが中枢へと伝達して大脳皮質で痛みとして知覚される。 実際に片頭痛の発作中には、血中および唾液中のCGRPレベルが上昇し、非発作時には低下することが確認されている。三叉神経からCGRPが放出されるとセロトニン1B・D受容体が受け入れ、血管が急速に拡張する。その結果血管周辺の組織に炎症が起こり、頭痛が発現してしまう。片頭痛の慢性化・難治化を防ぐには 片頭痛の治療において重要なのは、何より発作回数を減らすこと、と平田氏。誘因となる音や光といった純粋な外部刺激には、サングラスや耳栓が有効なケースもあるし、内因的要因に対しては、簡単な認知行動療法の有用性も知られている1)。 「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」では片頭痛の薬物療法として、アセトアミノフェンやNSAIDsなど、重症の場合はトリプタンを使うという層別治療が推奨されている。しかし、同氏らが実施した片頭痛発作に対するトリプタンの有効性に対する患者満足度調査の結果では、およそ半数で満足が得られていないという結果であった2)。 とくにひどい片頭痛症状を起こす病態では、薬物の使用過多による頻度の増加や、中枢感作が生じることによる慢性化、難治化につながってしまうケースがある。そうなると既存薬の効果は限定的となり、「慢性化・難治化してしまう前に、片頭痛発生の大元であるCGRPを阻害することが重要となる」と平田氏は話した。ガルカネズマブ投与で発症日数が有意に減少 ガルカネズマブはCGRP に選択的な結合親和性を有し、三叉神経から放出されたCGRPが受容体と結合する前に阻害することを作用機序とする。他剤(2~4種類)で効果不十分な片頭痛患者(日本人患者を含む)を対象とした国際共同第III相試験(CGAW/CONQUER試験)において、ガルカネズマブ投与群では1ヵ月当たりの片頭痛発症日数(3ヵ月平均)が4.1日減少し、プラセボ群(1.0日減少)と比較して有意に減少していた3)。その効果は3ヵ月間持続し、持続期間についてもプラセボ群と比較して有意な差がみられた。これらの効果は、反復性片頭痛および慢性片頭痛患者における部分集団解析においても確認されている。 同様に、反復性片頭痛患者を対象とした国内第II相試験(CGAN試験)においても、ガルカネズマブ投与群では1ヵ月当たりの片頭痛発症日数(6ヵ月平均)が3.6日減少し、プラセボ群(0.6日減少)と比較して有意に減少、その効果は6ヵ月持続していた4)。また、投与1週間目からすでに、片頭痛日数が有意に低下しており、坂井氏は「持続性に加えて即効性も確認されたといえるだろう」と話した。 50%反応率(1ヵ月当たりの片頭痛日数がペースライン値より50%以上減少した患者割合)はガルカネズマブ投与群で49.8%。坂井氏は「患者さんたちは皆さん、片頭痛が半分になるということは大きな意味があると話される」とし、“自分が取り戻せた”という声もあったという。 安全性については、CGAW/CONQUER試験とCGAN試験でともに最も多くみられた副作用は注射部位紅斑であった。CGAN試験でその詳細をみると、ガルカネズマブ投与群で17例(14.8%)、プラセボ群で5例(2.2%)発生し、多くが投与当日に発現した。 なお、ガルカネズマブは初回に2本(240ml)、2カ月目から1ヵ月ごとに1本(120ml)皮下投与を行う。初回のローディングドーズ投与により、初回投与後速やかに血中濃度に到達させる設計となっている。トリプタンや他の予防薬との併用、使い分けは? 急性期片頭痛の治療薬として使われるトリプタンの半減期が約2時間なのに対し、ガルカネズマブは約1ヵ月となっている。坂井氏は、「おのずとそれぞれ急性期治療と予防と、使い方は違ってくる」と説明。「ガルカネズマブで発症を約半分にできるということは、トリプタンを使うタイミングが減って、より上手に使えるようになるのではないか」と期待感を示した。 予防薬としては、現在日本で使われているものは4種類。しかし、効果のある人・ない人の差が大きい。また、これまでの予防薬は脳全体の機能をコントロールするあるいは低下させるというものであったが、ガルカネズマブは片頭痛のメカニズムそのものに作用するという新しい機序を持った薬となる。坂井氏は、状況に応じて併用・使い分けはありうるとの認識を示した。

14658.

オリンピック開催、医師の賛否や検討すべき条件は?/会員アンケート結果

 新型コロナウイルス感染症流行によって、今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピック。しかし、3月現在でも国内外の感染流行は収まらず、開催すべきか中止・再延期すべきか、開催するとすればどのような条件下で行うべきか、連日メディアではさまざまな案が報道されている。医療の最前線に立つ医師たちは、開催の賛否をどう考えているのか。2021年3月9、10日にインターネットで会員医師にアンケートを行い、1,020人から回答を得た。 「開催の賛否」を聞いた設問では、「賛成」290人(29%)、「反対」585人(57%)、「わからない/どちらとも言えない」145人(14%)と、反対が賛成のほぼ倍、という結果となった。2021年1月時点で共同通信が一般人を対象に行ったアンケートでは80%が反対または再延期すべきと回答しており、緊急事態宣言が延長された1月7日時点では国内の新規感染者数が7,639人/日だったのに対し、3月9日は1,127人/日といったんの落ち着きを見せていること、医療者に対してワクチン接種が開始したこと等を背景に、賛成とする人が増えたようだ。 「賛成」「反対」の両者に、「どんな制限・条件が必要か」を聞いた設問(複数回答可)では、既に決定路線との報道も出ている「海外からの観客受け入れなし」が363人で最多となり、「完全無観客での開催」が288人、「会場の入場者数制限(現在の屋内イベントの制限に準じる)」が167人となった。さらに、「海外選手・関係者の入国後2週間隔離」149人、「海外選手・関係者のPCR陰性証明書提出を義務付け」133人といった、いわゆる水際対策がこれに続いた。一方で、「どのような条件があっても開催すべきでない」との回答者も228人いた。 オリンピックへの意見を自由回答で聞いたところ、賛成の回答者からは「今さら止められない」「経済損失を避けるべき」といったやや消極的な声が多かった一方で、反対の回答者からは「招致時点から反対。開催する意味をまったく感じない」「中止決定こそが日本の存在感を上げるはず」「ただのスポーツ、人命の危険を冒す権利はない」といった強い言葉が並んだ。ほかに「医療者を無償で招集するのはあり得ない」「オリンピック予算をコロナ対策と東北支援に充ててほしい」といった医療者の立場からの声も上がっていた。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。「東京オリンピック・パラリンピックの開催に賛成ですか?反対ですか?」

14659.

進行腎がん1次治療、ニボルマブ+カボザンチニブで高い有効性(CheckMate-9ER)/NEJM

 未治療の進行腎細胞がん患者の治療において、ニボルマブとカボザンチニブの併用はスニチニブと比較して、無増悪生存(PFS)期間、全生存(OS)期間、客観的奏効率がいずれも有意に優れ、健康関連QOLも良好であることが、米国・ハーバード大学医学大学院のToni K. Choueiri氏らが実施した「CheckMate 9ER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年3月4日号で報告された。腎細胞がんはVHL遺伝子の欠損を特徴とする腫瘍で、免疫療法薬や血管新生阻害薬、シグナル伝達遮断薬を組み合わせたレジメンの臨床的有益性が確認されており、個々の構成要素を洗練することで、さらに転帰が改善する可能性があると考えられている。カボザンチニブ(低分子チロシンキナーゼ阻害薬)とニボルマブ(プログラム細胞死1[PD-1]の免疫チェックポイント阻害薬)は、いずれも第III相試験において単剤で腎細胞がんのOS期間を改善したと報告されており、カボザンチニブは免疫チェックポイント阻害薬の免疫応答を増強する可能性が示唆されている。18ヵ国125施設の非盲検無作為化第III相試験 本研究は、日本を含む18ヵ国125施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2017年9月~2019年5月の期間に患者登録が行われた(Bristol Myers Squibbなどの助成による)。 対象は、未治療の淡明細胞型進行腎細胞がんを有する成人で、Karnofskyの全身状態スコア(0~100点、点数が低いほど機能障害が大きい)が70点以上の患者であった。 被験者は、ニボルマブ(240mg、2週ごと、静脈内投与)とカボザンチニブ(40mg、1日1回、経口投与)を併用投与する群、またはスニチニブ(50mg、1日1回、経口投与)を、6週を1サイクルとして4週投与後2週休薬する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。投与は、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続された。 主要エンドポイントはPFS期間とした。副次エンドポイントは、OS期間、客観的奏効、安全性であった。PFS期間と客観的奏効は、盲検下に独立中央判定委員会が評価した。探索的エンドポイントとして、健康関連QOLの評価も行った。病勢進行/死亡リスクがほぼ半減、死亡リスク40%低下、PFS期間と奏効率は約2倍に 651例が無作為化の対象となり、ニボルマブ+カボザンチニブ群に323例(年齢中央値62歳[範囲:29~90]、男性77.1%)、スニチニブ群には328例(61歳[28~86]、70.7%)が割り付けられた。腫瘍のPD-L1発現は、1%以上が25.5%、1%未満は74.5%であった。 OS期間のフォローアップ期間中央値18.1ヵ月(範囲:10.6~30.6)の時点で、PFS期間中央値はニボルマブ+カボザンチニブ群が16.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.5~24.9)と、スニチニブ群の8.3ヵ月(7.0~9.7)に比べ有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.51、0.41~0.64、p<0.001)。また、1年PFS率は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が57.6%(95%CI:51.7~63.1)、スニチニブ群は36.9%(31.1~42.8)であった。 1年OS率は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が85.7%(95%CI:81.3~89.1)、スニチニブ群は75.6%(70.5~80.0)であり、併用群で有意に低下した(死亡のHR:0.60、98.89%CI:0.40~0.89、p=0.001)。両群ともOS期間中央値には未到達であった。 客観的奏効率は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が55.7%、スニチニブ群は27.1%と有意差が認められ(p<0.001)、このうち完全奏効(CR)はそれぞれ8.0%および4.6%で達成された。また、奏効までの期間中央値は、それぞれ2.8ヵ月および4.2ヵ月、奏効期間中央値は20.2ヵ月および11.5ヵ月だった。 ニボルマブ+カボザンチニブのPFSおよびOSの利益は、サブグループ全体で一貫してみられた。 原因を問わない有害事象は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が99.7%、スニチニブ群は99.1%で発現し、Grade3以上の有害事象はそれぞれ75.3%および70.6%に認められた。有害事象により、ニボルマブ+カボザンチニブ群の19.7%が少なくとも1剤を中止し(ニボルマブのみ中止:6.6%、カボザンチニブのみ中止:7.5%)、両薬剤を中止したのは5.6%であった。スニチニブ群では16.9%が投与を中止した。 健康関連QOLは、ニボルマブ+カボザンチニブ群が経時的に維持されていたのに対し、スニチニブ群はベースラインから一貫して悪化していた。 著者は、「ニボルマブ+カボザンチニブでは、病勢進行または死亡のリスクが49%低減し、PFS期間中央値が2倍に延長し、死亡のリスクが40%低下し、客観的奏効率は2倍に増加した」とまとめ、「これらの結果は、カボザンチニブが免疫チェックポイント阻害薬の効果を増強する可能性を示唆した以前のデータと一致する」としている。

14660.

新型コロナウイルス感染:米国退役軍人の医療経験から(解説:後藤信哉氏)-1361

 世界最強の米軍を維持するため、米国の退役軍人は手厚く待遇されている。各都市には退役軍人専用のDepartment of Veterans Affairs管理下の病院、クリニックがある。本研究は米国各地の退役軍人専用病院、クリニックにおける新型コロナウイルス感染者の抗血栓療法の実態と生命予後の解析結果である。2020年3月1日から7月30日までに新型コロナウイルス陽性とされた症例が対象となった。この短期間にて退役軍人に限定して4,297例が本研究の対象となった。一般に、血栓イベントリスクの高い西欧人では入院、安静時には静脈血栓予防の抗凝固療法が標準である。ICUに入院する市条例などでは禁忌がなければ全例予防的抗凝固治療を受ける。本研究では、入院24時間以内に抗凝固治療を受けた3,627例(84.4%)と受けなかった症例の予後を比較した。抗凝固療法の圧倒的多数は(3,600例:99%)ヘパリン(低分子ヘパリン)の皮下注であった。 新型コロナウイルスがあらためて恐ろしいのは30日以内に622例が死亡していたことからもわかる。死亡者のうち513例は抗凝固予防を受けていた。622例のうち、510例は入院期間中の死亡であった。一般に入院例、とくに重症例では抗凝固予防が施行される米国にて抗凝固予防例と非予防例の比較に価値があるか否かは難しい。著者らは傾向スコアを用いて標準化を目指した。予防介入を受けた症例の30日の死亡率は14.3%(95% confidence interval [CI]:13.1%~15.5%)にて、抗凝固予防を受けなかった症例の18.7%(15.1%~22.9%)より低いと本研究では報告されている。24時間以内に抗凝固薬を開始すれば死亡はHR 0.73(95%CI:0.66~0.81)にて低く、かつ重篤な出血イベントが多くなったわけではない。 一般に欧米の入院症例では抗凝固予防の価値が大きいことは知られている。新型コロナウイルス感染でも24時間以内にヘパリンなどを開始することにより死亡率低減効果はありそうである。米国の退役軍人のデータなので、米国、欧州にも適応可能と考える。日本でも同じかどうかはわからない。単純な観察研究なので各種の交絡因子により結論には限界がある。しかし、数値は事実である。健康保険の経済データベースの充実している本邦でも単純に、?月?日から??月??日までに新型コロナウイルス感染にて入院した症例は?例、抗凝固薬使用は?%、死亡は30日以内に?例など数値データベースを速やかに解析、公表する体制を作れば、皆で数値に基づいた議論ができると思う。

検索結果 合計:35655件 表示位置:14641 - 14660