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【GET!ザ・トレンド】変わる多発性硬化症診療

多発性硬化症(MS)治療薬の開発が目覚ましい。2000年に再発抑制薬(疾患修飾薬:DMD)としてインターフェロンが登場し、病状・病態の進展抑制が注目されるようになった。その後もたくさんのDMDの開発が進み、近々B細胞除去薬の登場も期待されている。そこで神経内科以外の先生方が読まれることを念頭に、MS診断の要点と今後期待される治療について概説したい。診断のコツわが国におけるMS患者は増加の一途をたどっており、現在国内における推計患者数はおよそ1万8000人である。以前から発症リスクは女性の方が高いと言われてきたが、近年では男性1に対し女性3まで増えているという。若年成人,特に20~30代の発症が多く、つまり典型的な患者像は、「出産年齢の女性」となろう。MSを疑うべき症状は多様である。典型的な症状(障害部位)としては、視力障害(視神経)、複視(脳幹)、ふらつき(小脳)、手足の痺れや痛み、脱力(脳及び脊髄)などを挙げ得るが、排尿障害や認知機能障害も見逃したくない。初診時に注意深く聞き出したいのが、「神経症状の既往」である。数年前までさかのぼり、同様の症状がなかったか問診する。たとえ患者さんが「今回初めて」と言っても鵜呑みにはしない。また問診の結果、同じような症状はなかったことが明らかになった場合でも、他の神経症状の既往の有無を尋ねる。その際には、必ず具体的な症状を挙げながら問診するようにする。また「ウートフ現象」の有無も確認する。「ウートフ現象」とは、「体温上昇に伴う一過性の症状増悪」である。MS患者ではこの症候が認められることが多い。入浴後や外気温が高い時期の痺れや脱力、一過性の視力低下が多い。このような症状からMSを疑い、MRI撮像や髄液検査を行う。MSの分類MSは大別すると「再発寛解型」(増悪と寛解を繰り返す)と「1次性進行型」(はじめから症状は徐々に進行)、「2次性進行型」(後出)の3タイプに分けられる。うち、MS初期に分類されるのは「再発寛解型」と「1次性進行型」だが、日本では9割以上が「再発寛解型」である。なお「再発寛解型」の数割は「2次性進行型」(徐々に症状が増悪。ただし、途中、再発や進行が停止する時期があっても良い。)へ進展する。再発寛解型MSに対する治療には、現在6種類のDMD、すなわち、グラチラマー酢酸塩、インターフェロン(IFN)β-1b、IFNβ-1a、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド、ナタリズマブ、が使用可能である。また、最近、二次性進行型に対するDMD,シポニモドが承認された。これらの薬剤は併用することはないため、疾患活動性や患者のライフプラン等を考慮し、適切な薬剤を選択する必要がある。早期からの疾患活動性抑制が重要まず疾患活動性の高いMSでは、早期から再発抑制効果の高いDMD使用を考慮する。そのような例では、転帰が不良だからである [Leray E et al. Brain 2010; 133: 1900] 。早期治療開始の有用性を示すエビデンスとしては、EDSS 4.0に到達する期間が、診断1年以内にDMDを使用した群の方が、3年以上経過してから使用した群よりも有意に長かったとの報告がある[Kavaliunas et al., Mult Scler. 23: 1233-1240, 2017]。さらに、大規模な前向き観察研究において、早めにDMDを、特にグラチラマー酢酸塩やインターフェロンよりもより強力なフィンゴリモドやナタリズマブといったDMDを使用することで、その後の二次性進行型への移行を有意に抑えられたと報告されている[Brown et al., JAMA. 321: 175-187, 2019]。ただし有効性の高い薬剤は、有害事象リスクも高いことが多いので、症例ごとにリスク・ベネフィットをよく見極める必要がある。臨床所見だけで治療効果を評価しないさて再発寛解型に対するDMDの有効性評価には、臨床所見に加え、MRI所見も必須である。臨床上再発が抑制されているにもかかわらず、MRI上で病巣が増加・拡大している患者は決して珍しくない。そしてMS初期のMRI上病変増加や脳萎縮は、ボディーブローのようにMS患者の長期予後に悪影響を及ぼす。事実、MS初期のMRI上病変数は、約15年後の2次性進行型MSや身体障害のリスクであるとされる[Brownlee WJ et al. Brain. 2019; 142: 2276] 。したがってDMD使用下で臨床的な増悪を認めなくとも、半年に1回はMRIで評価すべきである。進行性多巣性白質脳症(PML)リスクのあるDMDを用いているならば、3~6カ月に1回が望ましい。加えて、患者の希望や疾患活動性がないとの判断によりDMDを使用しない患者においても、6カ月~1年に1回は必ずMRIで定期的に病巣を評価する。再発まで放置した結果、MRI上の病巣が著明に増加していたというケースも経験している。患者にMRI上の病巣を見せ、増加の可能性を説明し、目の前で次回MRIの予約を入れる。こうすれば薬剤処方の必要がない患者でも、次回来院の可能性は飛躍的に高くなる。なお、個人的には、認知機能の経時的評価も必要ではないかと考えている。タブレットを用いた簡便な検査方法が開発されているので、余裕があれば評価していただきたい。新しい治療薬「B細胞をターゲットとした治療薬」の可能性海外では現在、B細胞除去薬であるオクレリズマブが広く用いられている。しかし、わが国に導入の予定はない。同じくB細胞除去薬であるリツキシマブも、スウェーデンでは適用外使用だがMSに汎用されており、その有用性が報告されている[Granqvist M et al. JAMA Neurol. 2018; 75: 320] 。わが国では、現在、慢性リンパ性白血病に用いられているB細胞除去薬オファツムマブが、近々使用可能になると言われている。MS例におけるオクレリズマブの再発抑制作用はナタリズマブと差がないと報告されており[Lucchetta RC et al. CNS Drugs. 2018; 32: 813] 、同じB細胞除去薬であるオファツムマブの効果にも注目したい。ただしオクレリズマブ同様、オファツムマブも感染症リスクへの注意は必要であろう。なお、ナタリズマブは近時、投与間隔を標準的な4週間よりも長くとる "Extended Infusion Dosing" (EID)を用いると、PMLリスクが低減すると報告されており[Ryerson LZ et al. Neurology. 2019; 93: e1452]、抗JCウイルス抗体陽性患者へのナタリズマブ投与の際には、検討の価値はあると思われる。後遺症への薬剤も開発中現在、MSを完治し得る薬剤は、開発の糸口さえ見つかっていない。そのため上記のようにDMDの開発が盛んだが、それに加え、後遺症軽減を目指した薬剤の開発も進んでいる。その一つが、MSで障害された神経再生を介して後遺症の軽減を目指す薬剤である。先行していたLINGO-1(神経再生阻害因子)阻害剤であるオピシヌマブ(opicinumab)は、残念ながら、第二相試験で神経修復作用にプラセボと有意差を認めなかったが [Cadavid D et al. Lancet Neurol. 2017; 16: 189] 、LINGO-1以外に介入する神経再生薬の開発も進んでおり、今後の成果を待ちたい。最後にMSはすぐに生死に直結する疾患ではない。しかしながら若年発症が多いこともあり、患者さんの人生にとってはかなりの重荷である。したがって、診断・治療に難渋、あるいは迷った場合は、いたずらに経過観察することなく、遠慮せず専門医に相談、紹介していただければ幸いである。

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腰が抜けた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(360)

三百六十の段 腰が抜けた!「1月行った、2月逃げた、3月去った」とはよく言ったもの。月日が経つのは速いですね。もう2月になってしまいました。さて、先日のこと。認知症で他院に通院中の80歳代女性。頭部MRIを撮影したら未破裂脳動脈瘤が見つかったとのこと。慌てて当院の脳外科外来に紹介されてきました。息子さん同伴の受診ですが、肝心のMRIは家に忘れてきました。御本人は虚ろな目で床を見ているだけなので、もっぱら息子さんに説明します。診療情報提供書には、動脈瘤の直径は2ミリとあります。そのサイズなら年齢からしても、まずは手術せずに様子をみることがほとんどです。手術しないからといって「では、さようなら」と言われたら不安ですよね。なので、半年後くらいに経過観察のMRIを撮影してサイズを観察しましょう。そのように説明すると、息子さんは「是非そのようにお願いします!」とのこと。患者さん本人は床を見つめたまま一言もしゃべらず。あと、認知症ですが、別の病気が原因で調子が悪いこともあります。たとえば甲状腺機能低下症とかビタミン不足とか、ですね。おそらく紹介元でチェックされているとは思いますが、今後のこともあるので、当院でも調べておきましょう。そう説明すると、息子さんは「是非ともお願いします!」とのこと。御本人は相変わらず沈黙のまま。本日帰りに採血しておいていただき、2週間後の再診で結果の説明をしましょう。その時には本日忘れてきたMRIと、できればお薬手帳も持ってきてください。患者さんが来院するのが大変なら、息子さんだけでもいいですよ。御本人は床を見つめたままピクリとも動きません。ここまで進行してしまうと病院に連れてくるのも一苦労だったと思います。そんなところでいいでしょうか?紹介元の先生には私の方から返事を郵送しておきます。完全に患者さん本人を無視して話を進めてしまったので、ちょっと罪悪感が湧いてきました。形だけでも声を掛けておかなくては。中島「じゃあ〇〇さん、よく調べておきましょうね」○○さん「先生、よろしくお願いします」どわあ!しゃ、しゃべった!!中島「と、とにかくですね。け、検査の方を……」○○さん「結果が良かったらいいのですけど」ちょ、ちょっと待って。ついて行かれへん、この状況に!さっきの床を見つめていた虚ろな目はどこに行ったんですか?息子さん「じゃあ帰ろか」○○さん「うん」どこも悪くなさそう。ひょっとして壮大なギャグをかまされたんか、俺は?大阪のオバちゃんなら、やりかねん。でも、本人も息子さんも極めて真剣です。動揺を隠しつつ、私も平静を装いました。中島「ではお大事になさってください」これ、便利な言葉ですね。どんな状況でも使えます。それにしても何だったのか、あれは。とにかく、認知症については紹介元が診ているわけですから、私ごときが口を挟むのはもうやめておきます。それにしても驚いた。まるで、マネキンのふりした人が急に動き出すドッキリみたいな体験です。何事も先入観はいけません。改めて肝に銘じました。最後に1句春風に 眠り覚ました 認知症

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パンデミック再び、ICUで苦悩するコロナ治療・その2【臨床留学通信 from NY】第17回

第17回:パンデミック再び、ICUで苦悩するコロナ治療・その2前回でも書きましたが、レジデントのローテーションで、12月上旬から中旬にコロナの第2波がニューヨークにやってきたタイミングでICU勤務をしました。そこでは、4月のパンデミック時と何も変わっていない、コロナという病気で重症化してしまうと本当に打つべき手がないということを実感しました。レムデシビルは軽症であれば効くのかもしれませんが、重症になってしまうとウイルスそのものより全身の炎症がメインであり、もはや効かない印象です1)。当院はECMOがないため、必要があれば他院への転院となりますが、100%酸素の人工呼吸器設定で酸素飽和度が80%辺りになると、残るは腹臥位に変えるかどうかくらいですが、医療従事者数人がかりでコロナ患者の体位を変えるのは本当に大変です。有効性ははっきりしないものの、どうしようもない低酸素の人に対し一酸化窒素を使うこともあります2)。RCTでは当初否定的でしたが、回復期血漿療法は継続して使用しており、最近になってNEJMに有効性を証明した論文が発表されました3、4)。トリシズマブに関しては、ネガティブスタディが出たこともあって第1波のころと異なりこの冬は下火となっていましたが5)、Mount Sinaiから人工呼吸器治療を受けていない患者であれば人工呼吸器もしくは死亡を回避する可能性が高いというデータが発表された6)ため、プラクティスが再び変わるかもしれません。サンクスギビング後の第2波は、2020年末にかけて一気に増えることはありませんでしたが、病院としてはクリスマス後や年始の増加に備え、いつでもICUを増やせる体制で臨みました。そんな訳で、レジデントとして最後のクリスマスと年末年始は、ICUで休みなしの勤務となりました。勤務は朝7時から夜7時半までをロングコール、朝7時から夕方4時前後までをショートコール、夜間7時から朝7時半~9時までをナイトフロートと呼び、それらをレジデント4人によるシフトで回し、計16人のICU患者をカバーしました。シフト制とはいえ、例えばロングコールをした後、24時間の休憩後にナイトフロートを3~4日連続勤務し、24時間弱の休憩を挟んで昼間のシフトに戻ったりするので、体力的にかなりつらく、ナイトフロート中は実質寝られません。卒後1年目のインターンが患者の約半分ずつを担当し、私はレジデントとして彼らを管理・監督をします。Physician AssistantたちもICU管理のために専門的に教育されてはいますが、慣れ・不慣れの程度が人によって異なるため、彼らを監督しなければいけないこともあります。日中はアテンディングと呼ばれる指導医の人が1人ずつ回診していくのですが、朝8時過ぎから昼の12時、場合によっては13~14時近くまで行ったうえ、患者1例ずつディスカッションをして治療方針を決めていきます。1症例ごとプレゼンテーションするのはインターンの役目ですが、それをうまくできるようにサポートする必要があります。どうしても重症な症例が多いので時間が掛かり、その合間にも容赦なくICU入院者が来るため、そこをいかにまとめるかがレジデントの仕事となります。参考1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32827627/2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33347987/3)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2033700?query=featured_home4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33232588/5)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa20288366)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2030340?query=featured_homeColumn画像を拡大する私はICU配属だったこともあり、医療従事者の中でも比較的早い1月7日に2回目のワクチンを接種しました。さらにわれわれの施設では、1月11日から高齢者や教職員、交通機関の職員に対してもワクチン接種を開始したのですが、供給不足となってしまって一時中止しています。一刻も早くパンデミックからの収束を願います。写真は、昨年末に撮影したロックフェラーセンターのクリスマスツリーです。今年は“密”を避けるため、遠目からの観賞となりました。

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第43回 病床協力だけでは見えないコロナ診療の実情

感染症法改正などの議論で、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに応じない病院に対し、病院名公表などの措置が検討されたり、大阪府の吉村 洋文知事が「民間でコロナを受け入れている病院の比率が低い」と発言したりするなど、民間病院に対する風当たりが厳しい。こうした「患者受入登録」だけで病院が評価されることに疑問を持った大阪府保険医協会は1月26日、民間病院のコロナ患者受け入れ状況を把握するため、府内全病院を対象に実施した緊急アンケートの結果を公表した。それによると、府の要請に応じて病床登録した民間病院は1割程度だった。その理由をひも解くと、「病院の構造的な問題」や「専門スタッフがいない」など物理的・人的な問題が浮かび上がった。一方、未登録であっても何らかの形でコロナ患者に対応している病院があることも明らかになった。未登録の民間病院もコロナ患者に対応大阪府保険医協会は1月19日、府内484病院を対象にアンケートを実施。1月26日現在、132施設から回答を得た。このうち、民間病院は122施設から回答があった。コロナ患者の受け入れ病床の状況については、府が昨年12月に各1~2床の確保を要請した108施設中40施設が回答。その結果、病床を登録したのは5施設(12.5%)にとどまった。登録しない理由(複数回答可)として、「動線確保や個室の数など病院の構造上の問題」(30施設)、「感染症専門スタッフがいない・少ない」(26施設)、「重症化した際の転送先に不安がある」(21施設)などが挙がった。一方、コロナ患者への対応についての実績・経験を尋ねたところ、いずれも未登録の民間病院79施設が、コロナ患者の入院受け入れや軽快後の後方病床を担うなど、何らかの形でコロナ患者を受け入れていることもわかった。病院が悪者にされ現場の士気が保てない自由回答では、「公立病院などでコロナ患者を受け入れている分、コロナ患者以外の疾患を民間病院が担ってくれている」(コロナ患者を受け入れている公立病院)、「頑張っている病院が悪者にされ、現場の士気が保てない」(コロナ患者を受け入れている民間病院)、「コロナ病床が埋まっている限り、通常の2次救急ができなくなっている」(コロナ患者の受け入れを要請されている民間病院)などの意見が寄せられた。大阪府保険医協会は「民間病院攻撃に繋がるような国や大阪府の方針や情報発信は、国民と医療機関に責任を転換し、さらに国民に“分断”を持ち込みかねないもので看過できない。国や大阪府は、これまでの政策の過ちを真摯に受け止め、十分な補償と情報提供、新型コロナウイルス感染防止対策への国民・府民の主体的・積極的参加を促す政策をとるよう、強く要望する」とコメントした。今回のアンケート結果からもわかるように、コロナ患者の受け入れ人数のみで評価するのは、あまりに問題の捉え方が表面的過ぎるということだ。コロナ以外の疾患診療や、軽快後の後方病床も重要な役割である。コロナ診療の最前線に立たない医療者、機関への逆風を煽るような行政のやり方では、直面する医療崩壊やひっ迫状況の打開に到底なり得ない。

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日本におけるCOVID-19第2波によるうつ病リスク

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる社会的混乱は今も続いており、これが国民の社会的抑制につながっている。北里大学の深瀬 裕子氏らは、COVID-19によるメンタルヘルス関連のリスク因子を明らかにし、具体的な対処方法について検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月12日号の報告。 日本でCOVID-19の第2波が起こっていた2020年7月に、Webベースの調査を実施した。人口統計、こころとからだの質問票(PHQ-9)、怒りの状態、怒りのコントロール、コーピング尺度(Brief COPE)を測定した。設定変数によるPHQ-9スコアの多変量ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者2,708人のうち、18.35%がうつ病であった。・ロジスティック回帰分析では、抑うつ症状発症の予測因子は、以下のとおりであった。●基礎疾患あり(オッズ比[OR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.32~2.92)●無職(OR:1.85、95%CI:1.22~2.80)●マイナスの経済状況の経験(OR:1.33、95%CI:1.01~1.77)●怒りの状態(OR:1.17、95%CI:1.14~1.21)●怒りのコントロール(OR:1.08、95%CI:1.04~1.13)・一方、抑うつ症状発症のORが1未満であった因子は以下のとおりであった。●年齢が高い(OR:0.97、95%CI:0.96~0.98)●世帯収入800万円以上の高収入(OR:0.45、95%CI:0.25~0.80)●既婚(OR:0.53、95%CI:0.38~0.74)・対処戦略と抑うつ症状との関連について、ORは以下の順であった。●プランニング(OR:0.84、95%CI:0.74~0.94)●機器的サポートの利用(OR:0.85、95%CI:0.76~0.95)●自粛(OR:0.88、95%CI:0.77~0.99)●行動の放棄(OR:1.28、95%CI:1.13~1.44)●自己非難(OR:1.47、95%CI:1.31~1.65) 著者らは「日本ではロックダウンは行われなかったが、COVID-19パンデミックに伴う長期的な心理的苦痛によって、抑うつ症状の有症率は、パンデミック前の2~9倍に増加した。社会的混乱への対処または回避する方法を、1人または他者と実践することは、メンタルヘルスの維持に役立つが、人口統計的影響が対処戦略より強く、高リスク因子を有する人への治療が求められる」としている。

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脈拍触知不能後の心臓活動再開率は14%、4分後に再開例も/NEJM

 生命維持措置を停止し脈拍触知不能後に、少なくとも1サイクルの心臓活動の一過性の再開が、心電図・血圧波形の後ろ向き解析で認められた患者は14%で、同様の再開率は、ベッドサイドの医師の前向き観察でわずかに1%確認されるにとどまったことが示された。カナダ・Children’s Hospital of Eastern OntarioのSonny Dhanani氏らが、これまで臓器提供に関して心停止後の脈拍触知不能時間は最短でもどれくらい必要なのか、十分な研究はされていなかったことから、631例を対象に前向き観察試験を実施。試験では、脈拍触知不能後の心臓活動の再開までの最長経過時間は4分20秒だったことも明らかにされた。NEJM誌2021年1月28日号掲載の報告。3ヵ国20ヵ所のICUで前向き観察試験 研究グループは3ヵ国20ヵ所(カナダ16、チェコ3、オランダ1)の集中治療室で、生命維持措置を計画どおりに停止し死亡した成人について、前向き観察試験を行い、心臓の電気活動と拍動活動の再開率と、そのタイミングについて検証した。 被験者について、死亡判定後30分間にわたりモニタリングを行うとともに、ベッドサイドで医師が心臓の活動再開を前向きに報告した。 血圧と心電図(ECG)波形を記録するとともに、後ろ向きレビューでベッドサイドの観察結果を確認およびその他の心臓の活動再開の有無を調べた。最後のQRS波が最後の動脈拍動と一致は19% 1,999例がスクリーニングを受け、そのうち631例が試験対象として包含された。 臨床的に報告された心臓活動や呼吸運動、またはその両者について、波形解析で確認されたのは5例(1%)だった。 480例を対象にECGと血圧の波形を後ろ向きに解析したところ、脈拍触知不能後に心臓活動の再開が認められたのは67例(14%)だった(ベッドサイドの医師により報告された5例を含む)。 脈拍触知不能後、心臓活動の再開までの最長経過時間は4分20秒だった。最後のQRS波の発生が最後の動脈拍動と一致していたのは19%だった。

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TIA発症後90日脳卒中リスク、時代とともに低下傾向/JAMA

 米国における1948~2017年の一過性脳虚血発作(TIA)の推定罹患率は1.19/1,000人年であり、脳卒中リスクは、TIA罹患者がTIA非発症者との比較において有意に高かった。一方でTIA後90日の脳卒中リスクは時代とともに低下しており、2000~17年では1948~85年に比べ有意に低下していた。TIAとその後の脳卒中リスクとの関連を正確に推定することは予防への取り組みを改善し、脳卒中の負荷を限定的なものとすることに役立つとして、米国・ハーバード大学医学大学院のVasileios-Arsenios Lioutas氏らが、フラミンガム心臓研究の参加者約1万4,000例のデータを解析し明らかにした。JAMA誌2021年1月26日号掲載の報告。TIA初発群と非発生対照群の脳卒中リスクを検証 研究グループは、住民ベースのTIA罹患率とTIA後の長期にわたる脳卒中リスクの傾向を明らかにするため、フラミンガム心臓研究の参加者データを解析評価した。 参加者のうち、ベースラインでTIAや脳卒中の既往がない1万4,059例のデータを、1948年~2017年12月31日まで前向きに追跡。TIA初発群と、年齢・性別で1対5の割合で適合したTIA非発生群を比較検証した。 主なアウトカムは、TIA罹患率、TIA後の短期(7日、30日、90日)・長期(1~10年超)の脳卒中発生割合、TIA後の脳卒中発生vs.適合対照群の脳卒中発生、3期間(1948~85年、1986~99年、2000~17年)を比べたTIA後90日時点の脳卒中リスクの時間的傾向だった。TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年 1万4,059例を対象とした66年(36万6,209人年)の追跡において、TIAを呈したのは435例だった。うち女性は229例(平均年齢73.47[SD 11.48]歳)、男性は206例(70.10[10.64]歳)。TIA非発生の適合対照群として2,175例を特定し比較検証した。 TIAの推定罹患率は1.19/1,000人年だった。TIA後の中央値8.86年の追跡期間中、130例(29.5%)の脳卒中が報告された。そのうちTIA後7日以内の発生は28件(21.5%)、30日以内は40件(30.8%)、90日以内は51件(39.2%)、1年以上は63件(48.5%)で、TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年(四分位範囲:0.07~6.6)だった。 年齢・性別で補正後の脳卒中10年累積発生率は、TIA初発群は0.46(95%信頼区間[CI]:0.39~0.55、130件/435例)、適合対照群は0.09(0.08~0.11、165件/2,175例)で、完全補正後ハザード比(HR)は4.37(95%CI:3.30~5.71、p<0.001)だった。 1948~85年のTIA後90日脳卒中発生率は16.7%(26件/155例)、1986~99年の同発生率は11.1%(18件/162例)、2000~17年の同発生率は5.9%(7件/118例)だった。第1期(1948~85年)と比較した脳卒中発生の90日リスクに関するHRは、第2期(1986~99年)は0.60(95%CI:0.33~1.12)、第3期(2000~17年)は0.32(95%CI:0.14~0.75)で、時代とともに低下している傾向が認められた(傾向に関するp=0.005)。

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経頭蓋MRガイド下集束超音波視床下核破壊術のパーキンソン病運動症状改善に対する新たなエビデンス(解説:森本悟氏)-1350

 本邦において、2000年に視床下核脳深部刺激療法(STN-DBS)がパーキンソン病症状に対して保険適用となり、薬物療法による症状のコントロールが難しいパーキンソン病患者に対しても、重要な治療選択肢の一つとなっている。ただし、パーキンソン病に対する脳神経外科手術療法の適応に関しては、現在厚生労働省から以下のような基準が定められている。L-dopa製剤による治療効果がある、薬物調整が困難な症状(日内変動やジスキネジア含む)がある、重度の精神症状や認知機能障害がない、全身麻酔等手術に耐えられる全身状態、など。また、脳内に刺激電極装置を埋め込む治療であり、手術による合併症も懸念される。したがって、運動症状が薬物療法でコントロール不良、あるいはDBSが適応とならない患者群において、新たな治療法が望まれている。 そんな中、2016年、2017年に振戦症状に対する集束超音波視床破壊術の有効性が報告され(Elias WJ, et al. N Engl J Med. 2016;375:730-739.、Bond AE, et al. JAMA Neurol. 2017;74:1412-1418.)、2018年にはパーキンソン病の運動症状に対する集束超音波視床下核/淡蒼球破壊術の有効性が示唆された(Martinez-Fernandez R, et al. Lancet Neurol. 2018;17:54-63.、Jung NY, et al. J Neurosurg. 2018;1-9.)。したがって、超音波を用いた比較的侵襲性の少ない本法は、パーキンソン病患者のアンメット・メディカル・ニーズを満たすことができる治療法として期待される。 今回Martinez-Fernandez氏らは、パーキンソン病の運動症状に対して集束超音波視床下核破壊術が有効か否かを検証するために、多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験を実施した。結果として、優位側の運動症状を評価するMDS-UPDRS III scoreの平均は、4ヵ月の時点において実治療群ではベースラインの19.9から9.9ポイントに低下、対照群では18.7から17.1ポイントに低下、群間差は8.1ポイントであった。 DBSによる治療では、抗パーキンソン病薬非服用下の術前と術後6~12ヵ月の刺激により、運動症状(UPDRS III score)が38~66%程度の改善が認められていることを鑑み(大島秀規ほか. 日大医誌. 2014;73:100-102.)、今回の報告において実治療群で約50%のスコア改善が得られた(4ヵ月間観察)という事実は、期待のもてる結果といえる。 有害事象については、顔面四肢の脱力や構音障害、歩行障害、およびジスキネジア等が認められ、中等度以上の有害事象も少なくはないため、治療法選択時のリスクに対する十分な説明が必要である。また、リクルートされた患者背景として、運動症状を表すMDS-UPDRS III scoreはほぼ同等となっているが、実治療群で罹病期間が短いこと(5.6±2.5年/実治療群、7.3±3.8年/対照群)、レボドパ換算投与量が少ないこと(729.7±328.3mg/実治療群、881.7±407.9mg/対照群)、が治療反応性に影響を与えている可能性には留意する必要がある。

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「タリオン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第37回

第37回 「タリオン」の名称の由来は?販売名タリオン錠5mgタリオン錠10mgタリオンOD錠5mgタリオンOD錠10mg一般名(和名[命名法])ベポタスチンベシル酸塩(JAN)効能又は効果<成人>アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚掻痒症)<小児>アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症)に伴う掻痒用法及び用量<成人>通常、成人にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。<小児>通常、7歳以上の小児にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。警告内容とその理由該当しない(現段階では定められていない)禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年2月3日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2018年1月改訂(第13版)医薬品インタビューフォーム「タリオン®錠5mg/タリオン®錠10mg・タリオン®OD錠5mg/タリオン®OD錠10mg」2)田辺三菱製薬:製品情報

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第43回 ドタバタ続きの旭川医大、ワンマン学長の言動を文科省が静観する理由

旭川医大、学長が院長を電撃解任こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今オフにニューヨーク・ヤンキースからフリー・エージェント(FA)になっていた、田中 将大投手の東北楽天ゴールデンイーグルス復帰が1月28日に正式発表され、30日には田中投手の記者会見も行われました。ヤンキースが再契約しなかったこと、MLBの他球団の獲得が実現しなかったことなど気になる点は多々ありますが、東北楽天ファンだけでなく、日本の野球ファンのほとんどは大歓迎ではないでしょうか。ヤンキースでの7年間のキャリアのうち、後半は早い回での降板も増え、好不調の波が激しかった気もします。ただ、全盛期を過ぎつつあるとはいえ、あの田中 将大です。本人も「キャリアの晩年ではなく、いいタイミングで、楽天でバリバリ投げたいという思いはあった」と語っています。今年は東日本大震災から10年目という節目でもあり、ひょっとして東北楽天に再び優勝をもたらしてくれるかもしれません。個人的には、引退間近とも言われる日本ハムの斎藤 佑樹との投げ合いが楽しみです。さて、今週は旭川医科大学のドタバタを取り上げます。旭川医大は26日、同大で記者会見を開き、旭川医大病院の古川 博之病院長を25日付で解任したことを明らかにしました。昨年11月、同大の吉田 晃敏学長が新型コロナウイルスのクラスターが発生した市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否する発言をしていたことが「週刊文春」で報道されましたが、この発言を録音し、外部に漏らしたことなどが解任理由となっています。「不利益処分を基礎付ける具体的証拠は何もない」と前院長この会見には吉田学長に加え、2人の理事と顧問弁護士が出席。理事は古川氏の解任理由について、(1)昨年11月の学内の会議をひそかに録画するなどし、外部に漏えいした、(2)11月、クラスターが発生した吉田病院の感染患者受け入れに関する吉田学長との協議内容を恣意的に報道機関に話した、(3)報道を受けた12月、難局を団結して乗り越えることを学内で確認したにもかかわらず、その後も取材に応じ続けた、という3点を挙げました。一方、解任された古川氏は25日夜に、報道関係者向けのコメント文書を出しています。それによると、15日に同大の役員会から辞任を求められたものの「解任相当とする具体的事実が事前に告知されておらず、告知・聴聞の手続きにおいては不適正」「ヒアリングでの質問内容は十分な反論も受け入れず、結論ありきのもの」と批判。役員会が指摘する情報漏洩の疑いも否定した、とし、「不利益処分を基礎付けるような具体的証拠は何もない」としています。さらに、文部科学省が吉田学長の不適切発言問題などで旭川医大を調査している最中に院長辞任を求めるのは、「真実隠しと思わざるを得ない」とし、旭川市の病院の新型コロナウイルス対策において「リーダーシップをとってきた私を解任することは、地域医療をないがしろにしている」と書いています。「吉田病院のコロナがなくなればいい、という趣旨だった」と弁明26日の旭川医大の記者会見において、吉田学長はそれまでの自身の発言について以下のようにコメントしました。「週刊文春」の2020年12月24日号で報道された市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否する発言、「コロナを完全になくすためには、あの病院がなくなるしかない。ここの旭川市の吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」については、「あのときの真意は吉田病院のコロナがなくなればいい、という趣旨だった。それが切り取られてしまった」と苦しい弁明。さらに、吉田病院の患者受け入れを巡り、吉田学長が古川氏に「受け入れるならおまえが辞めろ」などと発言したことについては、「11月8日と13日に私はある病院からの軽症者を断った。それは、私の教員として培ってきた知識と動物的な勘でそういう対応を取った。その後はコロナ対応の病床が32床使えるようになったことからも、(当時許可しなかった)私の判断は間違っていなかった」と話しました。 吉田学長のリコールを求める署名運動も「おまえが辞めろ」発言については、文科省がパワーハラスメントに当たるかどうかを調査中とのことです。萩生田 光一文科相は26日の閣議後会見で、旭川医大が古川病院長を解任したことについて「学長と付属病院長が争うことそのものが、道民や患者に不安を与える」と述べ、地域医療への影響に懸念を示すとともに、「学内人事は各大学の判断で、よしあしを判断する立場にない」とした上で、「学内で冷静な対応をしてもらいたい」と語ったとのことです。なお、週刊文春の暴言報道をきっかけとして、昨年末には同大OBが中心となった吉田学長のリコールを求める全国有志の会が発足し、署名運動が始まっています。同会は1万筆の署名を目指しており、3月を目標として文科省に提出予定とのことです。旭川医大の1期生学長による老害の数々一連の報道を読んでいて浮かんだのは、“老害”という言葉です。吉田学長は68歳。旭川医大1979年卒の1期生で眼科が専門です。2007年の学長選で同大出身者初の学長となり、その後、実に14年にわたって学長の座に就いています。ちなみに旭川医大の職員(教授など)の定年は多くの国立大と同じ65歳です。国立大学法人法では「学長の任期は、2年以上6年を超えない範囲内で、学長選考会議の議に基づき、国立大学法人が定める」とされています。旭川医大の場合、かつては「学長は1期4年を任期とし再任を1回だけ認め、再任後の任期は2年とする」という常識的なものでしたが、吉田学長になって「1期4年、再任は無限」に変更となりました。どこかの共産主義政権と同じことを強権で実行したわけです。もう一つ気になったのは、吉田学長の眼科学教室主任教授への返り咲きです。通常、学長をはじめ大学の運営に関与する役員は臨床から離れ、教授職などは返上して後任に譲ります。そもそも大学の経営をしながら、バリバリ手術や、診察、指導、研究はできないでしょう。ところが吉田学長は現在、眼科教授を兼任しています。報道等によれば、2020年、前任の教授(東大出身)を解任し、自らが眼科学講座の主任教授も兼任することにしたのです。1月15日付のFRIDAYデジタルは、昨年秋に学内に掲出された、吉田学長の第4代教授就任を伝えるポスターを掲載しており、これが笑えます。着物姿の吉田学長が色紙を掲げている写真なのですが、色紙には「二冠 学長・第四代教授」と書かれているのです。記事によれば、将棋二冠の藤井 聡太棋士を真似たとのことです。吉田学長を巡っては、2019~20年に麻酔科教授の不正報酬問題(本連載の「第2回 全国の麻酔科教室が肝を冷やしただろう事件」参照)など不祥事が続き、大学トップとして管理体制が問われていましたが、病院長解任直後の報道では、自身も公立病院とアドバイザー契約を結び月40万円(14年間で計6,920万円)受け取っていたことも明らかになっています。ちなみに、旭川医大眼科教室のWebサイトの医局員紹介を見てみると、教授が3人います。1人は主任教授の吉田学長、1人は旭川医大病院経営企画部教授、そしてもう1人は医工連携総研講座教授です。地方の医大に眼科医局所属の教授が3人とは、これも何らかの力が働いたのかもしれません。国立大学の学長は簡単にクビにはできない中央の目があまり届かない北の地の国立大学でやりたいようにやってきた吉田学長ですが、週刊文春やFRIDAYといった厳しいメディアの“目”に晒されたためか、北海道新聞など地元紙の報道もかなり批判的になってきているようです。しかし、文科省は今のところ「学内人事は各大学の判断で、よしあしを判断する立場にない」と静観の構えです。任命するのは国なのですから、交代させることも可能だと考えがちですが、そうは簡単にはいかない理由があります。国立大学法人法は「学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う」(同法12条)となっています。ただ、その申し出を文科相が拒否することはほとんどありません。国立大学法人が、同法人の規則に則って学長を選出、それを文科相に申し出ます。この申し出に明白に形式的な違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合などを除き、法人の申し出を国が拒否することはできない(申し出には法的拘束力がある)とされているのです。なにやら昨年話題となった日本学術会議会員の任命拒否問題とも似ていますが、考え方はまったく同じです。学術会議会員の任命拒否問題でもあれだけ大騒ぎとなりました。ですから、大学の自治尊重の考え方の下、国立大学の教職員が国家公務員だった時代でさえ行われなかった学長の任命拒否やクビのすげ替えが、そう簡単にできるわけがないのです。もっとも、昨年10月、学術会議の任命拒否問題が騒がれていた頃、国立大学学長の任命について聞かれた萩生田文科相は「基本的には(大学側の)申し出を尊重したい」とした上で、「文科相の判断で任命しないこともありうる」との認識も示しています。仮に老害を撒き散らしている学長だとしても、学内のルールに則ってことを収めてほしい、というのが国、文科省の強い意向だと言えそうです。とはいえ、今後、旭川医大がとくに学長を交代させることなく、今回の一連の事件をうやむやにしようとするならば、国も「明らかに不適切と客観的に認められる場合」として“立件”すべく、積極的な情報収集に動くかもしれません。今後の文科省の動きに注目したいと思います。

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GERDを増悪させる薬剤を徹底見直しして負のスパイラルから脱出【うまくいく!処方提案プラクティス】第32回

 今回は、胃食道逆流症(GERD)を悪化させる薬剤を中止することで症状を改善し、ポリファーマシーを解消した事例を紹介します。GERDは胸焼けや嚥下障害などの原因となるほか、嚥下性肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性咳嗽などの呼吸器疾患を発症・増悪させることもあるため、症状や発症時期を聴取して薬剤を整理することが重要です。患者情報70歳、女性(外来患者)基礎疾患発作性心房細動、慢性心不全、高血圧症、逆流性食道炎診察間隔循環器内科クリニックで月1回処方内容<循環器内科クリニック(かかりつけ医)>1.エドキサバン錠30mg 1錠 分1 朝食後2.ビソプロロール錠2.5mg 1錠 分1 朝食後3.スピロノラクトン錠25mg 1錠 分1 朝食後4.ニフェジピン徐放錠40mg 1錠 分1 朝食後(1ヵ月前から増量)5.エソメプラゾールマグネシウム水和物カプセル20mg 1カプセル 分1 朝食後<内科クリニック>1.モンテルカスト錠10mg 1錠 分1 就寝前(2週間前に処方)2.テオフィリン徐放錠100mg 2錠 分2 朝食後・就寝前(2週間前に処方)本症例のポイントこの患者さんは、なかなか胸焼けが治らないことを訴えて、半年前にGERDの診断を受けました。プロトンポンプ阻害薬による治療によって症状は改善したものの、最近はまた症状がぶり返しているとお悩みでした。患者さんの生活状況を聴取したところ、喫煙や飲酒はしておらず、高脂肪食なども5年前の心房細動の診断を機に気を付けて生活していました。心不全を併発していますが、体重は47.5kg程度の非肥満で増減もなく落ち着いていて、とくにGERD増悪の原因となる生活習慣や体型の問題は見当たりませんでした。さらに確認を進めると、最近の変化として、血圧が高めで推移したため1ヵ月前にニフェジピン徐放錠が20mgから40mgに増量になっていました。また、2週間前に咳症状のため、かかりつけの循環器内科クリニックとは別の内科クリニックを受診し、喘息様発作でモンテルカストとテオフィリンを処方されていました。GERDにおける食道内への胃酸の逆流は、嚥下運動と無関係に起こる一過性の下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)弛緩や腹腔内圧上昇、低LES圧による食道防御機構の破綻などにより発生します1)。また、GERDを増悪させる要因として、Ca拮抗薬やテオフィリン、ニトロ化合物、抗コリン薬などのLES弛緩作用を有する薬剤、NSAIDsやビスホスホネート製剤、テトラサイクリン系抗菌薬、塩化カリウムなどの直接的に食道粘膜を障害する薬剤があります1,2)。Ca拮抗薬は平滑筋に直接作用してCaイオンの流れを抑制することで、LES圧を低下させるとも考えられています3)。上記のことより、1ヵ月前に増量したCa拮抗薬のニフェジピン徐放錠がGERD症状の再燃に影響しているのではないかと考えました。その食道への刺激によって乾性咳嗽が生じて他院を受診することになり、そこで処方されたテオフィリンによってさらにLESが弛緩してGERD症状が増悪するという負のスパイラルに陥っている可能性も考えました。かかりつけ医では他院で処方された薬剤の内容を把握している様子がなかったため、状況を整理して処方提案することにしました。処方提案と経過循環器内科クリニックの医師と面談し、別の内科クリニックから乾性咳嗽を主体とした症状のためモンテルカストとテオフィリンが処方されていることと、患者さんの胸焼けや咳嗽がニフェジピン増量に伴うLES弛緩により出現している可能性を伝えしました。医師より、ニフェジピン増量がきっかけとなってGERD症状から乾性咳嗽に進展した可能性が高いので、ニフェジピンを別の降圧薬に変更しようと回答をいただきました。そこで、ACE阻害薬は空咳の副作用の懸念があったため、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を提案し、医師よりニフェジピンをオルメサルタン40mgに変更する指示が出ました。また、現在は乾性咳嗽がないため、心房細動への悪影響を考慮してテオフィリンを一旦中止し、モンテルカストのみ残すことになりました。変更した内容で服用を続けて2週間後、フォローアップの電話で胸焼け症状は改善していることを聴取しました。その後の診察でモンテルカストも中止となり、患者さんは乾性咳嗽や胸焼け症状はなく生活しています。1)藤原 靖弘ほか. Medicina. 2005;42:104-106.2)日本消化器病学会編. 患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド. 2018.3)江頭かの子ほか. 週刊日本医事新報. 2014;4706:67.

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小児アトピー性皮膚炎、精神障害との関連は?

 小児アトピー性皮膚炎(AD)と精神障害との関連について、デンマークで行われた大規模な調査結果が発表された。デンマーク・コペンハーゲン大学のI. Vittrup氏らによる検討で、病院でADと診断された児において、病院で精神障害を診断されるリスクは高くなかったが、治療リスクは高く、AD児における精神的問題は一過性で可逆的であり、軽度~中等度である可能性が示唆されたという。これまで、成人ADは不安症やうつ病との関連が示されているが、小児ADは注意欠陥多動性障害(ADHD)との関係が示唆されているものの、他の精神障害との関連性はほとんどわかっていなかった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2021年1月16日号掲載の報告。 研究グループは、1995年1月1日~2012年12月31日にデンマークで誕生したすべての児を対象に、小児におけるADと小児精神障害の診断および治療との関連を調べた。病院でADと診断された児(1万4,283例)と、ADと診断されなかった児を1対10の割合で適合抽出して分析した。 評価項目は、向精神薬の使用、病院で診断されたうつ病、不安症、ADHD、または自傷行為、不慮の死/自殺、および精神科医または心理学者への受診(コンサルテーション)であった。 主な結果は以下のとおり。・病院でのAD診断と有意な関連が観察されたのは、抗うつ薬(補正後ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.04~1.36)、抗不安薬(1.72、1.57~1.90)、中枢神経系の交感神経作用薬(1.29、1.18~1.42)であった。・精神科医(aHR:1.33、95%CI:1.16~1.52)または心理学者の(1.25、1.11~1.41)受診も、ADとの関連性がみられた。・一方で、うつ病(aHR:0.58、95%CI:0.21~1.56)、不安症(1.47、0.98~2.22)、自傷行為(0.88、0.27~2.88)は関連性が認められなかった。・しかし、ADHDはADとの顕著な関連が認められた(aHR:1.91、95%CI:1.56~2.32)。・絶対リスクは概して低かった。

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新型コロナ抗体薬、第III相試験で最大8割の予防効果/リリー

 米国・イーライリリーは1月21日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発したモノクローナル抗体薬bamlanivimab(LY-CoV555)の第III相試験(BLAZE-2)において、感染リスクを大幅に減少させることが確認されたと発表した。bamlanivimabは、成人および小児(12歳以上、体重が少なくとも40kg)における軽症~中等症COVID-19治療薬として、米国FDAが2020年11月より緊急使用を許可している。 BLAZE-2は、高齢者施設の入居者およびスタッフ965例(入居者:299例、スタッフ666例)を対象に実施。ベースラインでSARS-CoV-2陰性を確認した上で、bamlanivimab投与群とプラセボ群に無作為に割り付け、8週間後に追跡調査した。その結果、全体では投与群のCOVID-19発症リスクは、プラセボ群に比べ57%低かった(オッズ比[OR]:0.43、p=0.00021)。入居者に限って見ると、投与群ではプラセボ群よりも発症リスクが最大80%低下した(OR:0.20、p=0.00026)。 本結果についてリリー社は、発表したニュースリリースにおいて「bamlanivimabが社会で最も脆弱な集団の1つである高齢者施設の入居者においてCOVID-19発症を大幅に減らせることを示唆したことに満足している」とのコメントを掲載し、本剤の予防効果がCOVID-19パンデミックの潮流を変える上で重要な役割を果たすことができると期待感を示している。

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COVID-19入院患者、ACEI/ARB継続は転帰に影響しない/JAMA

 入院前にアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与を受けていた軽度~中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者では、これらの薬剤を中止した患者と継続した患者とで、30日後の平均生存・退院日数に有意な差はないことが、米国・デューク大学臨床研究所のRenato D. Lopes氏らが実施した「BRACE CORONA試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2021年1月19日号で報告された。アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、COVID-19の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の機能的な受容体である。また、RAAS阻害薬(ACEI、ARB)は、ACE2をアップレギュレートすることが、前臨床試験で確認されている。そのためCOVID-19患者におけるACEI、ARBの安全性に対する懸念が高まっているが、これらの薬剤が軽度~中等度のCOVID-19入院患者の臨床転帰に及ぼす影響(改善、中間的、悪化)は知られていないという。ブラジルの29施設が参加した無作為化試験 本研究は、軽度~中等度のCOVID-19入院患者において、ACEIまたはARBの中止と継続で、30日までの生存・退院日数に違いがあるかを検証する無作為化試験であり、2020年4月9日~6月26日の期間にブラジルの29の施設で患者登録が行われた。最終フォローアップ日は2020年7月26日であった。 対象は、年齢18歳以上、軽度~中等度のCOVID-19と診断され、入院前にACEIまたはARBの投与を受けていた入院患者であった。被験者は、ACEI/ARBを中止する群、またはこれを継続する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、無作為化から30日までの期間における生存・退院日数(入院日数と、死亡からフォローアップ終了までの日数の合計を、30日から差し引いた日数)とした。副次アウトカムには、全死亡、心血管死、COVID-19の進行などが含まれた。全死亡、心血管死、COVID-19の進行にも差はない 659例が登録され、ACEI/ARB中止群に334例、継続群には325例が割り付けられた。100%が試験を完了した。全体の年齢中央値は55.1歳(IQR:46.1~65.0)、このうち14.7%が70歳以上で、40.4%が女性であり、52.2%が肥満、100%が高血圧、1.4%が心不全であった。無作為化前に中央値で5年間(IQR:3~8)、16.7%がACEI、83.3%がARBの投与を受けていた。β遮断薬は14.6%、利尿薬は31.3%、カルシウム拮抗薬は18.4%で投与されていた。 入院時に最も頻度が高かった症状は、咳、発熱、息切れであった。発症から入院までの期間中央値は6日(IQR:4~9)で、27.2%の患者が酸素飽和度(室内気)94%未満であった。入院時のCOVID-19の臨床的重症度は、57.1%が軽度、42.9%は中等度だった。 30日までの生存・退院日数の平均値は、中止群が21.9(SD 8)日、継続群は22.9(7.1)日であり、平均値の比は0.95(95%信頼区間[CI]:0.90~1.01)と、両群間に有意な差は認められなかった(p=0.09)。また、30日時の生存・退院の割合は、中止群91.9%、継続群94.8%であり、生存・退院日数が0日の割合は、それぞれ7.5%および4.6%だった。 全死亡(中止群2.7% vs.継続群2.8%、オッズ比[OR]:0.97、95%CI:0.38~2.52)、心血管死(0.6% vs.0.3%、1.95、0.19~42.12)、COVID-19の進行(38.3% vs.32.3%、1.30、0.95~1.80)についても、両群間に有意な差はみられなかった。 最も頻度が高い有害事象は、侵襲的人工呼吸器を要する呼吸不全(中止群9.6% vs.継続群7.7%)、昇圧薬を要するショック(8.4% vs.7.1%)、急性心筋梗塞(7.5% vs.4.6%)、心不全の新規発症または悪化(4.2% vs.4.9%)、血液透析を要する急性腎不全(3.3% vs.2.8%)であった。 著者は、「これらの知見は、軽度~中等度のCOVID-19入院患者では、ACEI/ARBの適応がある場合に、これらの薬剤をルーチンに中止するアプローチを支持しない」としている。

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1回接種のコロナワクチンの有効率66%/J&J

 米国ジョンソン・エンド・ジョンソンは、現地時間の1月29日に第III相ENSEMBLE臨床試験から得られたトップライン有効性・安全性データを発表し、同社の医薬部門であるヤンセンで開発中のCOVID-19単回投与ワクチン候補(以下「ワクチン候補」という)が、すべての主要評価項目および主な副次評価項目を満たしたと発表した。 第III相ENSEMBLE試験は、18歳以上の成人を対象に、1回接種ワクチンの安全性と有効性をプラセボと比較して評価するために設計された無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験。被験者の45%が女性、55%が男性であり、参加者の41%は、重症化するリスク増加に関連する併存疾患を有していた(肥満が28.5%、2型糖尿病が7.3%、高血圧が10.3%、HIVが2.8%)。 このトップラインにおける有効性および安全性のデータは、43,783例の被験者(468例のCOVID-19症候性症例を含む)で行われ、この試験では本ワクチン候補が中等症から重症のCOVID-19感染症を予防する有効性と安全性を評価するよう設計され、ワクチン1回接種後14日以降と28日以降の評価を2つの主要評価項目(コプライマリ・エンドポイント)として設定した。 新興ウイルス変異株への感染例を含むさまざまな地域の被験者で、本ワクチン候補による接種後28日以降の中等症から重症のCOVID-19感染症の予防効果は、全体で66%だった。また、その予防効果は、接種後14日という早い段階で確認された。中等症から重症のCOVID-19感染症の予防率は、ワクチン接種後28日以降では、米国で72%、ラテンアメリカで66%、南アフリカで57%だった。重症例を予防し、2~8℃で安定保存もできる このワクチン候補は、1回接種後28日以降の、全試験対象地域の全成人被験者(18歳以上)において、重症疾患への予防効果が85%だった。重症疾患に対する有効性は経時的に増加し、49日目以降は、ワクチン接種者において重症例は報告されなかったま。また、本ワクチン候補は、COVID-19感染症による入院および死亡に対して、ワクチン接種後28日以降に被験者の全員に予防効果を示した。医学的介入を要するCOVID-19の症例(入院、集中治療室(ICU)入室、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)使用)に対するワクチンの明らかな効果が認められ、1回接種後28日以降で、本ワクチン候補の接種を受けた被験者に、そのような症例は報告されなかった。 なお、本ワクチン候補は標準的なワクチン流通手段に対応し、承認された場合、ワクチン候補は-20℃で2年間安定保存可能と想定され、少なくとも3ヵ月間は2~8℃で安定保存することができる。 同社では「できる限り多くの人に簡便で効果的な解決策を生み出し、パンデミックの終息にむけて最大限に貢献したい」と目標を語っている。

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希少がんのオンライン・セカンドオピニオンを開設/国立がん研究センター

 新型コロナウイルス感染症流行に収束の目処が立たない中、患者の受診控えが続いている。国立がん研究センター中央病院は、オンラインでのセカンドオピニオン外来をスタートすることを発表した。2021年2月15日(月)13時より予約を開始する。 利用者としては、原則として、希少がんなど専門医が限られる種類のがん患者を想定し、細かく分類したうえでそれぞれの専門医が対応する。同院が民間会社と共同開発した検査画像の閲覧ができるオンライン診察システムサービスを用い、PC、スマホ、タブレット等を使って受診する。感染リスクを考えて受診を控えていた患者や、地方在住者に利用を促す。(オンライン・セカンドオピニオンの対象患者)【治療開始前】・診断が正しいかどうか不安な方・がん治療が妊娠や出産に与える影響や対応方法等について知りたい方・主治医からの治療方針を確認したい方・複数の選択肢があるために当院の見解を知りたい方・主治医から診断や治療方針の決定が難しいと言われた方【治療中】・研究的な治療の相談(ゲノム検査結果を踏まえた治療など) 従来の対面でのセカンドオピニオンも引き続き行っており、「主治医から提示された治療が希望に合わず、当院で他の治療法がないかを知りたい」「転院を相談したい」という場合は対面を利用するよう推奨している。 患者本人からの相談を原則とし、家族からの相談は本人の同意書が必要。国外在住者の受診は不可となっている。完全予約制で時間は60分以内、料金は自費診療となり49,940円(税込、病理診断実施の場合は55,440円)。がん診療を中心に、オンラインでのセカンドオピニオンの開設は広がっており、がん研有明病院や亀田総合病院でも既に導入されている。申し込み・詳細は下記よりオンライン・セカンドオピニオン/国立がん研究センター中央病院

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FDA、アテゾリズマブ+抗TIGIT抗体tiragolumabを高PD-L1非小細胞肺がんのブレークスルーセラピーに指定/ロシュ

 ロシュ社は、2021年1月5日、新しい抗TIGIT抗体tiragolumabがアテゾリズマブとの併用で、転移を有するPD-L1高発現の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピー指定(BTD)を付与されたと発表。 今回の指定は第II相CITYSCAPE試験に基づくもの。CITYSCAPE試験の結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表され、追跡期間平均10.9ヵ月で、全奏効率(ORR)を改善(37%対21%)、アテゾリズマブ単独と比較して無増悪生存期間(PFS)を42%減少。PD-L1強陽性(TPS≧50%)を対象とした探索的分析では、アテゾリズマブ単独に対し、臨床的に意味のあるORRの改善(66%対24%)を示し、良好なPFS中央値を示した(未達対4.11ヵ月、HR:0.30、95%CI: 0.15~0.61)。また、tiragolumabとアテゾリズマブの併用は全体的に忍容性が高く、Grade3以上の有害事象の発生率はアテゾリズマブ単独と同程度であった(48%対44%)。

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統合失調症治療の有効性、安全性に対する抗精神病薬の用量依存作用

 統合失調症の薬理学的治療の中心は、抗精神病薬である。慶應義塾大学の吉田 和生氏らは、統合失調症の薬物療法を最適化するために、抗精神病薬の有効性、安全性、死亡率との関連を明らかにするため関連文献のレビューを行った。Behavioural Brain Research誌オンライン版2021年1月5日号の報告。 統合失調症患者における抗精神病薬の用量と有効性、有害事象、死亡率との関連を調査した文献をレビューした。 主な結果は以下のとおり。・急性期統合失調症患者に対する抗精神病薬の有効性は、用量依存性が高く、各抗精神病薬で、特定の用量反応曲線を有している。・用量依存性の有無とその程度は、副作用の種類によって異なる。・用量依存性の高い副作用は、パーキンソン症候群、高プロラクチン血症、体重増加、神経認知障害であると考えられる。・少なからず用量依存性との関連の可能性がある副作用は、アカシジア、遅発性ジスキネジア、骨粗鬆症、性機能障害、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、血栓塞栓症、QT延長、抗コリン性副作用、傾眠、肺炎、大腿骨近位部骨折、悪性症候群であった。・用量依存性との関連の可能性が低い副作用は、脂質異常症、発作、唾液分泌過多症、好中球減少症、無顆粒球症であった。・抗精神病薬の用量と低血圧リスクとの関連は、データが不足しており、不明であった。・抗精神病薬の生涯累積用量が高いと、死亡率に影響を及ぼす可能性が考えられるが、用量依存関係を結論付けることは困難であった。 著者らは「本知見は、統合失調症患者に対する抗精神病薬治療を最適化するために、臨床医が診療におけるリスクとベネフィットのバランスを取るうえで、役立つであろう。今後は、各抗精神病薬に焦点を当てた大規模かつ頑健にデザインされた研究が求められる」としている。

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国内初の1日2回投与型トラマドール製剤「ツートラム錠50mg/100mg/150mg」【下平博士のDIノート】第67回

国内初の1日2回投与型トラマドール製剤「ツートラム錠50mg/100mg/150mg」今回は、慢性疼痛治療薬「トラマドール塩酸塩徐放錠(商品名:ツートラム錠50mg/100mg/150mg、製造販売元:日本臓器製薬)」を紹介します。本剤は、1日2回(12時間間隔)の投与に最適化された徐放性製剤であり、非オピオイド鎮痛薬で十分な効果が得られない患者の疼痛緩和やアドヒアランス向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、非オピオイド鎮痛薬で治療困難な慢性疼痛における鎮痛の適応で、2020年9月25日に承認され、2021年1月8日より発売されています。なお、2022年5月に「疼痛を伴う各種がん」の効能・効果が追加されました。<用法・用量>通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100~300mgを2回(朝、夕が望ましい)に分けて経口投与します。症状に応じて1回200mg、1日400mgを超えない範囲で適宜増減できますが、1回50mg、1日100mgずつ行うことが推奨されています。なお、初回投与は1回50mgから開始することが望ましく、ほかのトラマドール塩酸塩経口薬から切り替える場合は、切り替え前の薬剤の1日投与量、鎮痛効果および副作用を考慮して本剤の初回投与量を設定します。<安全性>国内で日本人を対象に実施された第II、III相試験(慢性疼痛6試験併合)において、本剤との因果関係を否定できない有害事象は749例中597例(79.7%)で報告されています。主なものは、悪心329例(43.9%)、便秘308例(41.1%)、傾眠160例(21.4%)、嘔吐113例(15.1%)、浮動性めまい81例(10.8%)、口渇58例(7.7%)、食欲減退43例(5.7%)でした。なお、重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、呼吸抑制、痙攣、依存性、意識消失(いずれも頻度不明)が注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、脳内への痛みの伝達を抑え、一般的な鎮痛薬では治療困難な痛みを和らげます。2.眠気、めまい、意識消失が起こることがあるので、本剤を服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作をしないでください。3.この薬はゆっくり効く部分を持っていますので、割ったり、粉砕したり、かみ砕いたりせずに、そのまま服用してください。4.悪心・嘔吐、便秘、めまい、口が乾く、食欲が低下するなどの症状が現れることがあります。症状が重く、持続する場合はすぐに受診してください。5.有効成分が出た後の錠剤が糞便中に排泄されることがありますが心配ありません。6.飲酒により薬の作用が強くなり、呼吸抑制が起こることがあります。服用中の飲酒は避けてください。<Shimo's eyes>本剤は、速やかに有効成分が放出される速放部と、徐々に有効成分が放出される徐放部の2層錠にすることで、安定した血中濃度推移が得られるように設計された国内初の1日2回投与のトラマドール製剤です。厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で検討され、製造販売会社に開発が要請されました。トラマドールを含有する既存の経口薬としては、1日4回服用の速放性製剤(商品名:トラマール)、1日1回服用の徐放性製剤(同:ワントラム)、アセトアミノフェン配合製剤(同:トラムセットなど)が販売されていています。なお、トラマドールはWHO三段階除痛ラダーで「ステップ2」に位置付けられる弱オピオイド鎮痛薬ですが、わが国では麻薬の指定は受けていません。適応症である「慢性疼痛」は、腰痛症、変形性膝関節症、関節リウマチ、脊柱管狭窄症、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、線維筋痛症、複合性局所疼痛症候群など幅広い原因によって引き起こされます。本剤は、慢性疼痛治療で汎用されているプレガバリンやセレコキシブなどと同じ1日2回投与ですので、併用薬や生活様式に合わせた薬剤を選択することでアドヒアランスが維持・向上できると期待されます。22年5月の改訂で、がん患者の疼痛管理にも本剤が使えるようになりました。本剤を定時服用していても疼痛が増強した場合や突出痛が発現した場合は、即放性のトラマドール製剤(商品名:トラマール錠など)をレスキュー薬として使用します。なお、レスキュー投与の1回投与量は、定時投与に用いている1日量の8~4分の1とし、総投与量は1日400mgを超えない範囲で調節します。鎮痛効果が不十分などを理由に本剤から強オピオイドへの変更を考慮する場合、オピオイドスイッチの換算比として本剤の5分の1量の経口モルヒネを初回投与量の目安として、投与量を計算することが望ましいとされています。禁忌となるのは、ほかのトラマドール製剤と同様に、12歳未満の小児、本剤に対する過敏症、アルコールや睡眠薬、鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬または向精神薬による急性中毒、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を投与中または投与中止後14日以内、ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中または投与中止後1週間以内、てんかん患者などです。副作用としては、高頻度で悪心・嘔吐、便秘が報告されています。必要に応じて制吐薬や下剤の併用を提案するようにしましょう。※2022年6月、添付文書改訂の内容を基に、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ツートラム錠50mg/ツートラム錠100mg/ツートラム錠150mg

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