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インサイド・ヘッド【なんで悲しみは「ある」の?どうすれば?(感情心理学)】Part 2

(4)ムカムカ-嫌悪ムカムカのイメージカラーは緑。彼女は、おしゃれで小生意気。よく「キモい!」と言っています。幼いライリーが初めてブロッコリー(吹き替え版ではピーマンに変更)を食べさせられるとき、ムカムカはその見慣れない形を見て感情操縦デスクのボタンを押します。すると、ライリーは吐き出すのです。ムカムカの役割は、ライリーを嫌な気持ちにさせることです。感情心理学的に言えば、これは、適度に回避する感情であるムカつき(嫌悪)です。完全に回避する恐怖ほど危険ではない対象や状況に対して一定の距離を取る感情です。たとえば、それは、まずい味、糞尿、病気、死骸から、よそ者、不倫、犯罪などへと広がっていきます。一方、ムカムカの欠点は、行き過ぎると、食わず嫌い、潔癖、差別を招くことです。たとえば、ライリーが新しい学校のイケてる女子たちを見たとき、ムカムカは「こっちから話しかけちゃだめ。話しかけられるのを待つの」と言います。ムカムカの表情は、目、鼻、口を閉じ気味の態勢を取っています。この表情(しかめっ面)の起源は、太古の昔に哺乳類が毒物や悪臭が目や鼻や口に入らないようにしていた行動まで遡ります。そして、原始の時代の人類からは、物質的な毒(まずさ)だけでなく、社会的な毒(気まずさ)にも反応するようになったのです。なお、嫌悪(バッシング)の起源の詳細については、関連記事4をご覧ください。 (5)カナシミ-うつカナシミのイメージカラーは青。彼女は、いつもうつむき加減で、動きはゆっくり。そして、「失敗してばかり。私って最低」とぼそっと言います。ライリーが転校先の教室で自己紹介をしている時、楽しかったミネソタの思い出をがんばって語る中、急に泣き出してしまいます。それは、カナシミがミネソタでの楽しかった思い出ボールを勝手に触り、金色から青色にしていったからです。カナシミの役割は、ライリーを悲しい気持ちにさせることです。感情心理学的に言えば、これは、行動にブレーキをかける感情である悲しみ(うつ)です。果たしてこの感情は必要なのでしょうか? むしろこれは、欠点そのもののように思えてしまいます。しかし、ラストシーンでカナシミの真の役割が判明します。ライリーは、引っ越してからずっとパパとママに気を遣い、悲しい気持ちを押し殺してきました。そして、それに堪えられなくなり家出をします。それは、ヨロコビとカナシミが特別な思い出ボールと一緒に吸飲チューブに吸い込まれ、ビビリとイカリとムカムカを残して司令部から放り出されてしまった事件にリンクします。あんなに素直で明るかったライリーは、ビビリやムカムカによって心を閉ざし、イカリによって突然キレるむっつりした女の子になってしまったのです。そして、最後にヨロコビとカナシミが司令部に戻った時、ムカムカが「ヨロコビ、何とかして!」と切羽詰まった声をあげます。私たちも同じ気持ちになっていました。ところが、ヨロコビは、「カナシミ、これを切り抜けるかは、あなたにかかっている」と言い、カナシミを感情操縦デスクの前に押しやるのです。すると、ライリーは寂しくなり、ミネソタ行きの夜行バスを飛び降りて家に帰るのです。そして、家でパパとママに会った瞬間、「私、ミネソタが恋しいの」「パパやママは私に明るく前向きでいてほしいんだろうけど、ミネソタの友達に会いたい。ホッケーチームに戻りたい。あの家に戻りたい」と泣きながら素直に打ち明けます。そんなライリーをパパとママは抱き寄せて、「私たちもミネソタが大好きだよ」と話し始めるのです。つまり、カナシミの真の役割は、何かを失ったときに周りからサポートを引き出すことです。そのサポートとは、共感などの心理的なサポートだけでなく、学校と連携して保健室などの居場所の確保をするなどの物理的なサポートや、場合によっては心理療法を受けるなど経済的なサポートもあるでしょう。カナシミの役割は、決してライリーを不幸にすることではないです。この点で、カナシミはヨロコビと対極にあり、陰のリーダーとも言えるでしょう。カナシミの表情は、眉がハの字になり口角が下がり、ときに涙や嗚咽を伴います。この表情(泣き顔)の起源は、太古の昔に人類が、仲間同士で助けを求めるために、目や口に砂などの異物が入っているのに取り除けずにひざまずいて弱っている様子(結果的に涙や嗚咽が出る様子)を見せていた非言語的コミュニケーションであることが考えられます。実際に、眉をハの字にして目を細めると、笑ったりあくびをするときと同じように、眼球が圧迫され、反射的に涙が出やすくなります。ちなみに、人類以外の動物については、その助け合い(協力行動)が極めて限定的であるため、涙の役割は、もっぱら目を乾燥や細菌から守ったり(基礎分泌)、砂などの異物を洗い流すためにあり(反射分泌)、悲しみを伝えること(感情性分泌)は考えにくいでしょう。なお、悲しみ(うつ)の起源の詳細については、関連記事5をご覧ください。 (6)ビックリ-注意喚起最後に、この作品で登場していない6つ目の基本感情があります。名付けるとしたら、ビックリでしょう。イメージカラーを付けるとしたら、頭が真っ白になることを連想して、白でしょう。この作品では、ビックリの役割をビビリやヨロコビが掛け持ちして取り込んでいます。ビックリの役割は、感情心理学的に言えば、新奇な対象や状況に遭遇した瞬間に注意力を高める感情である驚き(注意喚起)です。この感情は、一瞬だけ働き、速やかに恐怖や幸福に取って替わります。ビックリの表情は、目が大きく開き、口は半開きで息を吸い、叫び声を伴うこともあるでしょう。この表情(あんぐり顔)の起源は、太古の昔に哺乳類が、新奇な対象や状況をよりよく見て、十分に息を吸って次の行動にすぐに移れる準備をする状態に遡ります。そして、叫び声は、仲間に危険(恐怖)を知らせる役割があることが考えられます。なお、人類のあんぐり顔は、恐怖だけでなく幸福を伝える役割も担うようになっています。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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インサイド・ヘッド【なんで悲しみは「ある」の?どうすれば?(感情心理学)】Part 3

より良い悲しみのあり方とは?5人の感情の小人たちを通して、6つの基本感情をまとめました。そして、悲しみという感情が「ある」のは、周りからサポートを引き出すためであることが分かりました。ところで、ラストでライリーが家出を踏み止まるシーンで、ヨロコビはなぜ自分ではなくカナシミこそ感情操縦デスクの前に立つべきだと悟ったのでしょうか? それには、次のような伏線シーンがありました。ヨロコビとカナシミが指令部に戻る旅の途中、ビンボンに出会います。彼は、幼い時のライリーの空想の友達です。彼は司令部に帰るための道案内役になってくれますが、その最中、ライリーとの思い出のロケット号を記憶の作業員たちに捨てられてしまいます。悲しんで動けなくなっているビンボンに、帰りを急いでいるヨロコビは、ビンボンを元気づけようと「ほ~ら、こちょこちょお化けが来たわよ~」と体をくすぐってふざけます。しかし、ビンボンはしょんぼりしたままでした。そのときです。カナシミが近づいてきて、ビンボンの横に座り、「ロケットがなくなって、ほんと残念ね」「あなたの愛するものが奪われ、消えてしまった。永遠に」と慰めます。ヨロコビは「ビンボンをこれ以上落ち込ませないで」と口出ししますが、カナシミは「あなたとライリーは素敵な冒険をしてたんでしょうね」と続けます。すると、ビンボンは、「そう。僕たちは親友だった」とわんわんと泣き出します。そして、たっぷり泣いたあと、涙をぬぐって、深呼吸して、「もう大丈夫」「行こう」と歩き出すのです。ヨロコビは「どうやって彼を立ち直らせたの?」と不思議がります。カナシミは「分からないわ。ただ、ビンボンは悲しかった。だから私はその悲しみに寄り添っただけ」と答えます。それでは、ここから、より良い悲しみのあり方を3つ考えてみましょう。(1)悲しみを味わう-カタルシス1つ目は、悲しみを味わうことです(カタルシス)。ビンボンもライリーも、悲しみをそのまま出すことで前向きになりました。そもそも悲しみは、家族や仲間に助けを求めるための働きがあります。つまり、悲しみを誰かに伝えるだけで、サポートが得られた感覚になり、すっきりするため、悲しいと言うこと自体に意味があります。また、もともと悲しみは、それまでの行動が原因で何かを失った場合にその行動にブレーキをかける働きもあります。よって、その行動をいったんリセットするために、じっくり時間をかけて、悲しみを味わうことにも意味があります。逆に言えば、悲しみを我慢したり(過剰適応)、なかったことにすると(抑圧)、サポートが得られないと思い込んでしまいます。これは、秘密をバラさないことと同じように、言いたくても言えない葛藤でもあります。こうして、ライリーが家出をするように自暴自棄になってしまうリスクが高まります。(2)悲しみを受け止める-受容2つ目は、悲しみを受け止めることです(受容)。ビンボンもライリーも、悲しみを受け止められて初めて前向きになりました。逆に言えば、悲しみに対して、いきなり助言したり、励ましたり、ふざけてごまかしたりしても効果は期待できないです。たとえば、鈍感なライリーのパパは、夕食のときに反応が乏しく様子がおかしいライリーに、最初「その態度は何だ?」「部屋に行きなさい!」と父としての威厳を見せてしまいます。そのあと、言いすぎたと反省して、「学校で何があったか話してみないか? おいおい、パパの幸せなオサルさんはどうしちゃったんだ? ウッホウッホ」と言い、ライリーを無理やり盛り上げようとしていました。(3)悲しみを成長の糧にする-自己成長3つ目は、悲しみを成長の糧にすることです(自己成長)。カナシミから学んだヨロコビと同じように、ライリーも悲しみを通して寄り添って優しくしてもらった体験が、やがて誰かに寄り添って優しくする原動力になります。自分の悲しみをよく知っているからこそ、友達思いになり、やがて親になれば子ども思いになります。逆に言えば、悲しみの体験に向き合っていないと、悲しみの感情をよく分からないまま、相手の悲しみにも思いを馳せることが難しくなるとも言えます。悲しみとは?より良い悲しみのあり方とは、悲しみを味わい、受け止めてもらい、そして成長の糧にすることが分かりました。つまり、悲しみは、決してなくなればいいものではないことが分かります。もともと「かなしい」の語源は、感動の終助詞の「~かな」から転じた形容詞で、「愛(かな)しい」とも漢字表記します。悲しみとは、失った大切な何かへのこの「愛(いと)おしさ」でもあることをよく理解した時、私たちは、より良く悲しむことができるのではないでしょうか? << 前のページへ1)感情心理学・入門:大平秀樹(編)、有斐閣アルマ、20102)進化と感情から解き明かす社会心理学:北村英哉・大坪康助、有斐閣アルマ、20123)人は感情によって進化した:石川幹人、ディスカヴァー携書、2011

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相次ぐ後発医薬品の不祥事に薬剤師として思うこと【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第65回

この20年ほどの間に後発医薬品市場は急激に成長し、患者さんにも広く受け入れられるようになりました。しかし、昨年から残念な事件が立て続けに起こっています。2020年12月に福井県の小林化工において、経口抗真菌薬に睡眠薬の成分が混入し、死亡を含む多数の健康被害が発生しました。また、富山県の日医工は、承認されていない工程で医薬品を製造したとして、昨年から本年1月にかけて75品目を相次いで自主回収しました。どちらも医薬品の見た目では瑕疵を判断ができないこともあり、後発医薬品全体の信頼を失うことになりました。結果として、小林化工・日医工ともに、業務停止命令が出されました。小林化工は医薬品史上最長となる116日間の業務停止となり、日医工は主力の富山第一工場での製造は32日間、全社での販売業務は24日間の停止となりました。どちらも非常に重い行政処分であり、医療者や患者さんからの信頼を回復するのは簡単ではないでしょう。事件の背景や原因に関しては徐々に明らかになってきていますが、その要因の1つとして、市場の急拡大と社内の体制整備に乖離があったのではないかと思います。小林化工においては、製造手順の不正は2005年ごろから行われ、試験結果の捏造に至っては1970年代から続いていたといいます。小林 広幸社長は、記者会見で「ルールより作業効率を優先してしまった」と述べています。人の健康に寄与しているという自覚が足りないと言わざるを得ないひどい話です。また、新しい品目の承認を得る際に、製造販売業および製造業の許可権者である都道府県の実地や書面の調査が入っていたはずですが、許可権者である行政がその不正を見抜けなかったことにも重大な責任があると思います。今後、他の都道府県においても、行政からの抜き打ち検査が増えることは間違いないでしょう。薬局業務を省みても他人事と言えるのか?代替医薬品の確保に奔走している方は、「社内工程に問題があるなんて信じられない」と怒り心頭だと思いますが、かくいう私たちの薬局はどうでしょうか。どんどん店舗が増えていき、既存店舗の人が減らされ、店舗のシフトや運用がうまくいかない、となった経験がある人もいるでしょう。そんな場合に、「ちょっとくらい…」と思って手順を飛ばす、薬剤師でないスタッフに薬剤師の業務を依頼するなど、認められていないことを行ってはいないでしょうか。どのような状況であっても、法令順守違反をしてもよいという言い訳はありません。なぜ薬局開設や医薬品販売に許可が必要なのか、なぜ手順を定めなければならないのかを改めて考えて、すべての方が安心・安全に医療を受けられるように襟を正したいものです。

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第52回 南ア変異株を取り入れたCOVID-19ワクチンはより心強い

南アフリカでの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症流行第二波で台頭した変異株(南ア変異株)B.1.351の感染はSARS-CoV-2の古参も新顔も手広く相手する抗体一揃いを生み出すようで、その配列を取り入れたワクチンはどうやらより頼りがいがあるようです。同国での去年9月初めまでの流行第一波の後の10月に見つかって瞬く間に広まった1)B.1.351は回復者血漿(convalescent plasma)やモノクローナル抗体を効き難くするかまったく効かなくする変異を有し、取り急ぎ認可されたワクチンの効果にも差し障るのではないかと懸念されました。その懸念は杞憂ではなく、AstraZenecaのSARS-CoV-2ワクチンChAdOx1 nCoV-19(AZD1222)の試験ではB.1.351感染者の発症を防げませんでした2)。それに、Pfizer-BioNTechやModernaのワクチン接種者の血清(抗体)のB.1.351中和はかなり劣りました3)。その結果を踏まえてModernaはB.1.351の配列を取り入れたワクチンmRNA-1273.351を仕立てており、早くも今月前半には第II相試験でその投与が始まっています4)。mRNA-1273.351はB.1.351を含むSARS-CoV-2変異株も相手できるように免疫反応の幅を広げることを目指します。南アフリカの中心都市ヨハネスブルグのウィットウォータースランド大学の ペニー・ムーア(Penny Moore)氏のチームが今月11日にbiorxivに発表した報告5)によるとmRNA-1273.351はその狙い通りの効果をもたらしてくれそうです。ムーア氏等はB.1.351が免疫の網をかいくぐることなく強力な免疫反応を引き出しうると期待し6)、ケープタウンの病院にB.1.351感染で入院した89人の血清(抗体)のSARS-CoV-2代理ウイルス(pseudovirus)阻止効果を調べました。代理ウイルスはSARS-CoV-2スパイクタンパク質を使って細胞に感染するように加工したHIVです6)。結果はムーア氏等の期待に沿うもので、B.1.351感染者の抗体はB.1.351変異を有する代理ウイルスの阻止のみならずB.1.351台頭前の流行第一波の代理ウイルスやブラジルで見つかった変異株501Y.V3 (P.1)代理ウイルスも食い止めました5)。P.1もB.1.351と同様に手強く、抗体が効きにくいことが知られています。B.1.351も相手しうるワクチンの取り組みはModernaのみならずPfizer-BioNTechやその他のワクチン開発会社も進めています。それらのワクチンはおそらくより高性能であろうとムーア氏は言っています6)。変異株感染は総じてSARS-CoV-2を手広く相手する免疫反応を引き出すかというとそうではなさそうです。たとえば英国で見つかった変異株B.1.1.7感染で備わる抗体は南ア変異株や先立って流行したウイルスの面々の認識や抑制がより不得手です7)。南ア変異株B.1.351感染でSARS-CoV-2あれこれへの手広い免疫反応が備わる仕組みは不明で、これから調べる必要があります。もしかするとB.1.351は変異株の間で共通するスパイクタンパク質特徴を認識する抗体を引き出すのかもしれません6)。参考1)Emergence and rapid spread of a new severe acute respiratory syndrome-related coronavirus 2 (SARS-CoV-2) lineage with multiple spike mutations in South Africa. medRxiv. December 22, 20202)Madhi SA,et al, N Engl J Med.2021 Mar 16. [Epub ahead of print]3)Wang P, et al.Nature.2021 Mar 8. [Epub ahead of print]4)Moderna Announces First Participants Dosed in Study Evaluating COVID-19 Booster Vaccine Candidates / businesswire5)SARS-CoV-2 501Y.V2 (B.1.351) elicits cross-reactive neutralizing antibodies. bioRxiv. March 11, 20216)Rare COVID reactions might hold key to variant-proof vaccines / Nature7)Reduced antibody cross-reactivity following infection with B.1.1.7 than with parental SARS-CoV-2 strains. bioRxiv. March 01, 2021.

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mRNAワクチン、無症候性感染リスクも低下/大規模調査

 新型コロナウイルスワクチンは無症候性感染にも有効なのか。米国・メイヨークリニックのAaron J. Tande氏らによる大規模調査によって、ワクチン接種によって 無症候性の感染リスクも低下することがわかったという。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2021年3月10日号掲載の報告。 該当地域においてワクチン接種が始まった2020年12月17日から2021年2月8日の間に、処置/手術前にSARS-CoV-2検査を受けた無症状の患者(3万9,156例)の検査4万8,333件を対象として、後ろ向きコホート研究を実施した。 mRNAワクチン(ファイザーもしくはモデルナ社製)を1回以上接種した群(接種群)と、同じ期間内に接種しなかった群(未接種群)の間でSARS-CoV-2検査の陽性率を比較し、相対リスク(RR)を算出した。RRは混合効果log-binomial回帰を用いて、年齢、性別、人種/民族、病院と居住地の相対位置(医療アクセス)、地域の医療システム、反復検査について調整した。 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は54.2(SD:19.7)歳で、2万5,364例(52.5%)が女性だった。接種群の検査数は3,006件(6.2%)、未接種群は4万5,327件(93.8%)だった。・接種群の初回接種から検査までの日数の中央値は16(四分位範囲:7~27)日だった。・接種群の検査3,006件中、陽性は42件(1.4%)、未接種群の検査4万5,327件中、陽性は1,436件(3.2%)だった(RR:0.44、95%CI:0.33~0.60、p<0.0001)。・接種群が未接種群と比較して調整後RRが低かった検査時期は、ワクチンの初回接種後11日以降2回目の接種前(RR:0.21、95%CI:0.12~0.37、p<0.0001)、および2回目の接種翌日以降(RR:0.20、95%CI:0.09~0.44、p<0.0001)だった。 研究者らは、mRNAワクチンは症候性の感染同様に無症候性感染のリスクも減らすことが裏付けられた、としている。

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日本人高齢者の認知症リスクと近隣歩道環境~日本老年学的評価研究コホート

 日常生活に欠かせない環境資源の1つである歩道は、身体活動を促進するうえで重要なポイントとなる。しかし、先進国においても歩道の設置率は十分とはいえない。東京医科歯科大学の谷 友香子氏らは、日本における近隣の歩道環境と認知症リスクとの関連を調査した。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年2月19日号の報告。 地域在住の高齢者の人口ベースコホート研究である日本老年学的評価研究の参加者を対象に、3年間のフォローアップ調査(2010~13年)を実施した。公的介護保険制度のデータより高齢者7万6,053人の認知症発症率を調査した。436ヵ所の住宅近隣ユニットの道路面積に対する歩道の割合を、地理情報システムを用いて算出した。認知症発症率のハザード比(HR)は、マルチレベル生存モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は5,310人であった。・都市部では、歩道割合が最低四分位の地域と比較し、最高四分位の地域における認知症のHRは0.42(95%CI:0.33~0.54)であった(共変量で調整後)。・土地の傾斜、病院数、食料品店数、公園数、駅数、バス停数、教育レベル、失業率などのその他の近隣要因で連続調整した後でも、HR(0.75、95%CI:0.59~0.94)は統計学的に有意なままであった。 著者らは「都市部においては、歩道の割合が高い地域に住むことと認知症発症率の低さとの関連が認められた」としている。

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統合失調症患者の乳がん、術後合併症が多い~日本の全国データ

 統合失調症患者は一般集団より乳がん発症リスクが高いが、乳がんの術後合併症を調査した研究はほとんどない。今回、東京大学の小西 孝明氏らの研究から、統合失調症患者では精神疾患のない患者より乳がんの術後合併症発生率や入院の総費用が高いことが示唆された。British Journal of Surgery誌2021年3月号に掲載。 本研究は、全国的な入院患者データベースから、2010年7月~2017年3月にStage 0~III乳がんで手術を受けた患者を特定し、多変量解析を用いて統合失調症患者と精神疾患のない患者について術後合併症と入院費用を比較した。感度分析は、入院時の年齢・施設・年度で1:4にマッチングさせたペアコホート分析、抗精神病薬を服用していなかった統合失調症患者を除外した分析、意思に反して入院した統合失調症患者を除外した分析の3つを実施した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者3,660例、精神疾患のない患者35万860例が対象となった。・統合失調症患者のほうが術後合併症発生率が高く(オッズ比:1.37、95%CI:1.21〜1.55)、合併症別のオッズ比は術後出血多量が1.34(95%CI:1.05〜1.71)、手術部位感染が1.22(95%CI:1.04〜1.43)、敗血症が1.20(95%CI:1.03~1.41)だった。・統合失調症患者での入院の総費用は、精神疾患のない患者よりも高かった(多変量解析で精神疾患のない患者を基準にした係数:743ユーロ、95%信頼区間:680〜806)。・すべての感度分析において主要分析と同様の結果を示した。

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認知症への中枢神経系作用薬巡るポリファーマシーの実態/JAMA

 2018年に、米国の認知症高齢患者の13.9%で、中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用(ポリファーマシー)の処方が行われており、曝露日数中央値は193日に及び、最も多い薬剤クラスの組み合わせは抗うつ薬+抗てんかん薬+抗精神病薬であることが、同国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年3月9日号に掲載された。米国では、地域居住の認知症高齢者は、向精神薬やオピオイドの使用率が高いとされる。また、これらの患者では、中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用により、認知機能の低下、転倒関連の傷害、死亡のリスクが増加する可能性があるという。不適切な多剤併用の広まりを評価する米国の横断研究 研究グループは、米国の地域居住の認知症高齢患者における中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用の広まりを評価する目的で横断研究を行った(米国国立老化研究所[NIA]の助成による)。 対象は、2015~17年の期間に、認知症を有し、従来のメディケア保険に加入していた地域居住のすべての高齢患者であった。薬剤曝露は、2017年10月1日~2018年12月31日の期間の処方箋の調剤データを用いて推定した。観察期間は2018年で、最終的な調査コホートに含まれるには、2018年1月1日の時点でメディケア・パートD(外来処方薬の保険給付)の保険適用があることが求められた。 主要アウトカムは、2018年における中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用の発生とされ、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬、オピオイドのうち3剤以上に、30日以上連続的に曝露した場合と定義された。 また、不適切な多剤併用の基準を満たした患者において、曝露期間、処方された薬剤と薬剤クラスの数、最も多い薬剤クラスの組み合わせ、最も使用頻度の高い中枢神経系作用薬を調べた。6.8%が1年曝露、全曝露日数の92%に抗うつ薬 認知症の高齢患者115万9,968例(年齢中央値83.0歳[IQR:77.0~88.6]、女性65.2%)が解析に含まれた。このうち13.9%(16万1,412例)が中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用の基準を満たし、全曝露日数は3,213万9,610人日であった。 中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用の基準を満たした患者は、満たさなかった患者に比べて年齢中央値が低く(79.4歳[IQR:74.0~85.5]vs.84.7歳[78.8~89.9])、女性が71.2%を占めた。また、基準を満たした患者の曝露日数中央値は193日(IQR:88~315)で、57.8%が180日以上、6.8%は365日曝露しており、29.4%は5剤以上、5.2%は5クラス以上に曝露していた。 全曝露日数(3,213万9,610人日)の92.0%に抗うつ薬が、62.1%に抗てんかん薬が、47.1%に抗精神病薬が、40.7%にベンゾジアゼピン系薬剤が含まれた。最も多い薬剤クラスの組み合わせは、抗うつ薬+抗てんかん薬+抗精神病薬で、全曝露日数の12.9%に相当した。 また、最も多く処方されていた薬剤はガバペンチンで、全曝露日数の33.0%、すべての抗てんかん薬の曝露日数の53.2%を占めた。次いで、トラゾドン(全曝露日数の26.0%)、クエチアピン(24.4%)、ミルタザピン(19.9%)、セルトラリン(18.7%)の順であった。 著者は、「処方の適応に関する情報がないため、個々の患者における薬剤の組み合わせの臨床的妥当性に関する判断には限界がある」としている。

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第47回 要申請、市町村へアドレナリン製剤の無償提供/マイラン

<先週の動き>1.【要申請】市町村へアドレナリン製剤の無償提供/マイラン2.緊急事態宣言の解除後、感染対策に「5つの柱」3.勤務医の働き方改革など、医療法改正法案が審議入り4.高齢者ワクチン、医師確保が間に合わない自治体2割5.ワクチン優先接種、精神疾患などの患者も対象に6.科学的介護情報システム「LIFE」を訪問・居宅支援に活用へ1.要申請、市町村へアドレナリン製剤の無償提供/マイラン厚生労働省は、4月12日から開始される高齢者の新型コロナワクチン接種に必要となる予診票などの情報提供を開始している。抗血小板薬や抗凝固薬を内服している患者については、接種前の休薬は必要なく、接種後は2分間以上しっかり押さえるようにと具体的な記載がされている。また、ワクチン接種の際にアナフィラキシーショックなどを発現した場合に必要となるアドレナリン製剤(商品名:エピペン注射液0.3mg)については、製造販売元であるマイランEPD合同会社より無償提供について、各市町村(特別区を含む)へ告知されるなど準備が進んでいる。なお、無償提供を希望する市町村は、専用のWEBサイト(https://med.epipen.jp/free/)を通じて申請を行うこと。受付は、18日より開始されている。(参考)新型コロナワクチンの予診票・説明書・情報提供資材(厚労省)予防接種会場での救急対応に用いるアドレナリン製剤の供給等について(その2)(同)マイランEPD 自治体向け「エピペン」無償提供の受付開始 コロナワクチン接種後のアナフィラキシー対応で(ミクスオンライン)2.緊急事態宣言の解除後、感染対策に「5つの柱」菅総理大臣は18日夜、東京都を含む1都3県の緊急事態宣言について、21日をもって解除することを明らかにした。1都3県の新規感染者数は、1月7日の4,277人と比較して、3月17日は725人と8割以上減少しており、東京では、解除の目安としていた1日当たり500人を40日連続で下回っていた。宣言解除に当たり、感染の再拡大を防ぐための5本の柱からなる総合的な対策を決定し、国と自治体が連携して、これらを着実に実施することを発表した。第1の柱「飲食の感染防止」大人数の会食は控えて第2の柱「変異ウイルス対応」第3の柱「戦略的な検査の実施」第4の柱「安全 迅速なワクチン接種」第5の柱「次の感染拡大に備えた医療体制の強化」また、ワクチンについては、今年6月までに少なくとも1億回分が確保できる見通しを示し、医療従事者と高齢者に行きわたらせるには十分な量だと述べた。(参考)新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見(首相官邸)【菅首相会見詳報】“宣言”解除へ 再拡大防ぐ「5つの柱」示す(NHK)3.勤務医の働き方改革など、医療法改正法案が審議入り長時間労働が問題となっている勤務医などの働き方改革を目指し、2024年度から、一般の勤務医は年間960時間、救急医療を担う医師は年間1,860時間までとする時間外労働規制を盛り込んだ医療法の改正案が、18日に衆議院本会議で審議入りした。今回の法案には、各都道府県が策定する医療計画の重点事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療」が追加された。このほか、医師養成課程の見直しであるStudent Doctorの法的位置付けや地域医療構想の実現に向けた医療機関の再編支援、外来医療の機能の明確化・連携といった2025年問題と、今後の地域医療の提供体制にも大きな影響が出ると考えられる。(参考)勤務医などの働き方改革を推進へ 医療法改正案 衆院で審議入り(NHK)地域医療の感染症対策を強化、医療法改正案を閣議決定(読売新聞)資料 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(厚労省)4.高齢者ワクチン、医師確保が間に合わない自治体2割4月12日から開始される65歳以上の高齢者対象の新型コロナウイルスワクチン接種について、厚労省が全国1,741の自治体を対象に行った調査の結果、約2割の自治体が接種を担う医師を確保できていないことが明らかになった。調査は3月5日時点の各自治体の状況についてたずね、各接種会場で1人以上の医師を確保できているとする自治体は1,382(79.3%)だが、残り約2割の自治体では「0人」だった。地元医師の調整に時間がかかっている自治体や医師不足のため近隣自治体と調整中の自治体もあるため、体制の確立には時間を要するとみられる。また、各自治体より高齢者分の接種券の配送時期については4月23日が最も多く、次いで4月12日とする自治体が多かった。(参考)医師確保「0人」が2割 高齢者ワクチン接種(産経新聞)資料 予防接種実施計画の作成等の状況(厚労省)5.ワクチン優先接種、精神疾患などの患者も対象に厚労省は、18日に第44回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催し、新型コロナウイルスワクチン接種の接種順位、対象者の範囲・規模について議論した。接種の対象については、接種実施日に16歳以上とし、一定の順位を決めて接種を進める。4月12日から高齢者への接種を始め、基礎疾患のある人などに優先して接種を行う。(1)医療従事者等(2)高齢者(2021年度中に65歳に達する、1957年4月1日以前に生まれた方)(3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方(4)それ以外この会議において、優先接種に「重い精神疾患」や「知的障害」がある人も加えることになった。具体的には精神疾患で入院中の患者のほか、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳を持っている人などが対象で、合わせておよそ210万人と見積もられている。(参考)資料 接種順位の考え方(2021年3月18日時点)(厚労省)6.科学的介護情報システム「LIFE」を訪問・居宅支援に活用へ厚労省は、2021年の介護報酬改定により、科学的介護情報システム「LIFE」の運用を始め、科学的なエビデンスに基づいた自立支援・重度化防止の取り組みを評価する方向性を打ち出した。今回の介護報酬改定で新設される「科学的介護推進体制加算」をはじめ、LIFEの取り組みには多くの加算が連携しており、対応を図る介護事業者にとってはデータ提出などが必須だ。さらに、改定では「訪問看護」にも大きなメスが入った。訪問看護ステーションの中には、スタッフの大半がリハビリ専門職で「軽度者のみ、日中のみの対応しか行わない」施設が一部あり、問題視されていたが、今回の改定ではリハビリ専門職による訪問看護の単位数を引き下げる、他職種と連携のために書類記載を求めるなど対策が行われている。(参考)2021年度介護報酬改定踏まえ「介護医療院の実態」「LIFEデータベース利活用状況」など調査―介護給付費分科会・研究委員会(Gem Med)リハビリ専門職による訪問看護、計画書や報告書などに「利用者の状態や訪問看護の内容」などの詳細記載を―厚労省(同)介護報酬の“LIFE加算”、計画の策定・更新が必須 PDCA要件の概要判明(JOINT)資料 訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて(厚労省)

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書類仕事は苦手…、そんなこと言ってると痛い目に遭いますよ、という話【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第14回

第14回 書類仕事は苦手…、そんなこと言ってると痛い目に遭いますよ、という話漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継や開業においては、多くの契約が発生します。これらの契約について「固い文書は苦手だから」「業者を信頼しているから」といった理由から、十分な確認をしないまま契約を締結するケースが散見します。医業承継における主な契約には下記のようなものがあります。業務委任契約(医業承継仲介契約)秘密保持契約基本合意契約最終契約(譲渡契約)融資契約テナント賃貸借契約不動産仲介契約リース契約雇用契約今回はテナント賃貸借契約のトラブル例を紹介しました。テナント賃貸借契約は、立地がよい物件ほど多くの入居相談があり、必然的にオーナー(貸主)側の交渉力が高い傾向があります。そうした際には、貸主に有利となる条項が盛り込まれている場合があり、十分に確認をして契約を締結する必要があります。今回のケースでも、テナント賃貸借契約に「診療所を第三者に承継する場合は不動産オーナーの許可が必要となり、さらにその際には不動産オーナーに対し『承諾金』を支払う」という条項が盛り込まれていました。これは実際に私たちが手掛けた案件にあった例です。さらに、「承諾金」の200万円のほか、買い手側が不動産オーナーに賃料の2ヵ月分の礼金、不動産仲介会社に賃料1ヵ月分の仲介手数料を支払う、という内容まで盛り込まれていました。旧院長がしっかり内容を確認しなかったために、貸し手にかなり有利な契約となっていたのです。実際のところ、不動産仲介会社が不動産オーナーにこうした条項を入れるように提案するケースが多いようです。こうしたケースでは、当初の契約内容に従って案件を進めざるを得ませんが、交渉によって当初の条件が緩和されることもあるため、まずは再度きちんと契約内容を確認したうえで、交渉のステージに上がることが重要です。

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マスクと認知症【コロナ時代の認知症診療】第1回

診察室でまずマスクをはずす患者さん、背後にある特有の事情新型コロナウイルス感染症(以下:コロナと略)の問題は、高齢者全般に関わるものである。けれども認知症の高齢者には特有の問題がある。それはテレビなどの報道を見てこれが恐ろしい感染症だとその瞬間は分かっても、コロナ禍全体が把握できないことである。致死性が高い感染症と言われても、自分を守る、咳エチケットを守るといった現実的な行動がとれない。たとえばマスクをすぐに外してしまう、人前で咳をしても平気である。筆者がよく経験するのは、診察室に入って着席するなり「(先生の前で)失礼ですから」、とマスクを外す人である。家族が大慌てで、「だめだめ、今はマスクをしないのが失礼なの」などと言ってもキョトンとするか、逆に何が悪いのだ、という表情を浮かべるかのいずれかである。時には、「マスクをして喋ると苦しいから、ここでは外させていただく」と述べる患者さんもいる。また素手でどこでも触ってしまう。ご家族からいくら注意されても改めることは難しい。また失敗しても沁みない。あるいは強制と受けとめ怒りを炸裂させてしまうこともある。このように指摘されて、そのときはそうかなと思っても、それが覚えられず古いルールに固執してしまうのは認知症の主症状の一つかもしれない。それだけに感染症予防の基本理解が簡単ではない、まして対応策は容易でない。数字が示す認知症患者の新型コロナ感染リスクの高さところで2021年になって認知症患者のコロナ感染に関する実証的な報告がなされたが、ここでマスク問題に言及がなされている。以下に概要を説明する。アメリカの成人6,190万人のデータから、認知症患者が新型コロナウイルスに感染するリスクは一般集団より高く(オッズ比:2.0)、認知症性疾患の中でも脳血管性認知症の患者のオッズ比が3.17と最も高かった。さらに認知症ではない感染者と比べて、入院率は3倍弱、死亡率4倍とも報告されている。こうした背景に何があるかが重要である。まず認知症が、マスクを着用したり、人と距離を保ったり、手を頻繁に洗ったりする能力を妨げている可能性が指摘されている。また心血管疾患や糖尿病、肥満、高血圧症などの疾患は、認知症と新型コロナウイルスの両方に共通するリスク要因であり、それが転帰不良を招いているとも考えられている。さらにクラスターという観点からは、認知症患者の多くが長期療養施設に滞在している点も注目されている。というのは長期療養施設における新型コロナウイルス死亡者数は、米国全体の死亡者のほぼ半数を占めているのである。いずれもこの1年あまり見聞きしてきたことがなるほどと数字として納得できる。さて、何と声をかけるのが有効か?さてそこでどう対応するか? が問題だ。たとえば、外出に際してご家族がマスクを装着させた上で、マスクをつけた周囲の人々を指して「怖いばい菌にやられないよう、今は誰でもやるの」などとうまく常識として諭すご家族がある。要は、個人に対する否定や命令でなく「今時はこうするものよ」という一般化した言い方が望ましいことにある。またそうしてもらったら「さすが! 今風がわかっている」といった誉め言葉がさらなる効果をもたらすだろう。もっとも忘れてしまうのが認知症だから、この諭しと褒めは繰り返す必要があるだろう。マスクに限らず、感染から自身や社会を守る自粛とは、結局は行動制限だから認知症の当事者にとっては息が詰まり、愉快なものでない。そこで、ご家族には、気分転換を計画的にはかることが大切になる。たとえば、人のいない早朝や夕方の時間帯に公園に出かける、女性なら開店間もないデパートを歩いてみるのもいい。また休日、人の少ない時間帯に電車に乗り1時間以内の小旅行をしてみるのも面白い。さらにはお孫さんとお子さん、それに老夫婦が庭園に集って季節の美しさを楽しみながらのお弁当会も良さそうだ。月に1度の通院は電車利用をやめて、家族数人のドライブにすることが、まさに望外の喜びになることもある。以上はすべて私の周囲の方々の経験だが、このような非日常的な活動は、たとえ認知症があっても、多くの人が小さな生きがいを楽しめ、効果的な息抜きになる。参考文献・参考情報1)Wang Q, et al. et al.Alzheimer’s Dement 2021 Feb 9. [Epub ahead of print]

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専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話

忽那賢志氏が解説する新型コロナの正体と正しい対処法「新興再興感染症に気を付けろッ!」や「診療よろず相談TV」、最近ではYAHOOニュースでもお馴染みの忽那 賢志氏の新刊です。世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。症状はどんな経過をたどり、どんな治療が行われるのか?他の感染症と比べてどんなところが怖く厄介か? 感染はどうしたら防げるか? ワクチンはどのぐらい有効なのか? そもそも感染症とは何か?新型コロナの日本上陸直後から最前線で治療にあたる感染症専門医が、自身の現場での経験と最新の科学データをもとにやさしく解説。新型コロナの正体と正しい対処法に加えて、コロナ禍を乗り切り、次のパンデミックに備えるための知識も身につく、必読の教科書です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話定価900円 + 税判型新書判頁数264頁発行2021年3月著者忽那 賢志Amazonでご購入の場合はこちら

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mRNAワクチン後のアナフィラキシー、医療者で報告多い?/JAMA

 Pfizer-BioNTech社およびModerna社のmRNA新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、米国の医療従事者約6万5,000人を対象に、初回接種後の急性アレルギー反応発生状況について調査が実施された。マサチューセッツ総合病院のKimberly G. Blumenthal氏らによる、JAMA誌オンライン版2021年3月8日号リサーチレターでの報告。 2020年12月16日~2021年2月12日(フォローアップは2月18日まで)に、mRNA COVID-19ワクチンの初回投与を受けたMass General Brigham(MGB;ボストンを拠点とする非営利の病院および医師のネットワーク)の従業員が前向きに調査された。ワクチン接種後3日間、従業員は電子メール、テキストメッセージ、電話、スマートフォンアプリケーションのなどを通じて症状を報告した。 報告が求められた急性アレルギー反応の症状には、接種部位以外の発疹またはかゆみ、じんましん、口唇・舌・目・顔の腫脹、喘鳴・胸部圧迫感または息切れが含まれた。報告された症状は、Brighton Criteria2および国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)/食物アレルギー・アナフィラキシーネットワーク(FAAN)基準を使用して評価され、2つのうち少なくとも1つの基準を満たした場合にアナフィラキシーと判定された。 主な結果は以下の通り。・ワクチン初回接種を受けた6万4,900人のうち、2万5,929人(40%)がPfizer-BioNTech社、3万8,971人(60%)がModerna社のワクチンを接種した。・5万2,805人(81%)が1回以上回答した。・自己申告の急性アレルギー反応は、全体で1,365人から報告され(2.10%[95%CI:1.99~2.22%])、Pfizer-BioNTech社と比較してModerna社のワクチンでより頻繁に報告された(2.20%[2.06~2.35%] vs.1.95%[1.79~2.13%]、p=0.03)。・アナフィラキシーは16人で確認された(0.025%[95%CI:0.014~0.040%])。Pfizer-BioNTech社ワクチンでは7例(0.027%[0.011~0.056%])、Moderna社ワクチンでは9例(0.023%[0.011~0.044%])報告された(p=0.76)。・アナフィラキシーが確認された人の平均年齢は41(±13)歳、94%(15人)が女性だった。63%(10人)はアレルギー歴があり、31%(5人)はアナフィラキシー歴があった。・アナフィラキシー発症までは平均17(±28、1~120)分であった。・1人が集中治療室に入り、9人(56%)がエピネフリンの筋肉内投与を受け、全員がショック療法または気管挿管なしで回復した。 著者らは、本コホートで得られたアナフィラキシー発生率(2.47回/1万回ワクチン接種)は、CDCによる受動的サーベイランス(自発的報告)による報告(0.025~0.11回/1万回ワクチン接種)と比較して高いことに言及。それでも、mRNA COVID-19ワクチンによるアナフィラキシーの全体的なリスクは非常に低く、他の一般的な医療行為と同等としている。また、 本コホートの参加者は主に医療従事者であったため、自己申告データの信頼性は高い可能性があると考察している。 また、成人の約5%が重度の食物アレルギー歴、約1%が重度の薬物アレルギー歴を有していることを考慮すると、安全にワクチン接種された人のうち重度の食品または薬物アレルギー歴を持つ約4,000人が含まれている可能性があるとしている。

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CGRPを標的とした片頭痛治療薬の作用機序比較

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした片頭痛治療薬の臨床効果は、片頭痛の病因に対し重要な役割を果たしている。3つのCGRPリガンドに対する抗体(fremanezumab、ガルカネズマブ、eptinezumab)とCGRP受容体に対する抗体(erenumab)は、米国において片頭痛予防に承認された薬剤である。また、2つの小分子CGRP受容体拮抗薬(ubrogepant、rimegepant)は、急性期片頭痛の治療薬として承認されている。片頭痛の治療では、CGRPリガンドまたは受容体を標的とすることが効果的であるが、これらの治療薬を比較したエビデンスは十分ではなかった。米国・Teva BiologicsのMinoti Bhakta氏らは、これらCGRPを標的とした薬剤における作用機序の違いを明らかにするため、検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年2月24日号の報告。片頭痛に対するCGRPを標的とした薬は標的部位により薬剤間で作用機序が異なる CGRPリガンド抗体(fremanezumab)、CGRP受容体抗体(erenumab)、小分子CGRP受容体拮抗薬(telcagepant)の潜在的な違いを評価するため、結合能、機能、イメージングアッセイの組み合わせを用いた。 CGRPを標的とした薬剤における作用機序の違いを明らかにするために検討を行った主な結果は以下のとおり。・erenumabやtelcagepantは、古典的な(canonical)ヒトCGRP受容体においてCGRP、アドレノメデュリン、インテルメジンのcAMPシグナル伝達と拮抗する。・fremanezumabは、ヒトCGRP受容体においてCGRP誘導cAMPシグナル伝達のみと拮抗する。・erenumabは、古典的なヒトCGRP受容体と結合し、内在化するだけでなく、ヒトAMY1受容体に対しても同様に作用する。・erenumabやtelcagepantは、アミリン誘発性cAMPシグナル伝達と拮抗したが、fremanezumabでは認められなかった。 著者らは「片頭痛の予防や急性期の治療に対するCGRPを標的とした薬剤を用いた治療では、標的部位により薬剤間で作用機序が異なる。この異なるメカニズムは、片頭痛患者に対する有効性、安全性、忍容性に影響を及ぼす可能性がある」としている。

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最近発症した統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール持続性注射剤の影響

 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾールの有用性は、これまでの報告で明らかとなっているが、最近発症した統合失調症患者を対象とした報告はあまりなかった。認知機能障害には、統合失調症の病態生理に関与しているカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)、セロトニントランスポーター(SERT)の遺伝子多型が関連しているといわれている。クロアチア・University Hospital Centre Sestre MilosrdniceのVjekoslav Peitl氏らは、アリピプラゾール持続性注射剤(LAI)のCOMT、MTHFR、SERT遺伝子多型への短期的な影響および最近発症した統合失調症入院患者の臨床症状や認知機能に対するこれらの関連について検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2021年2月13日号の報告。 対象は、最近発症した統合失調症入院患者98例(DSM-V基準)。アリピプラゾールLAI開始3ヵ月後の症状重症度および認知機能は、それぞれ陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、5-KOGテストを用いて測定した。SERT、MTHFR、COMTの遺伝子多型は、さまざまなPCR法によって測定した。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療によって、有意な改善が認められた項目は以下のとおりであった。 ●PANSS合計スコア(p<0.001) ●PANSSサブスケールスコア(p<0.03) ●遅延再生(p<0.03) ●注意力(p<0.01) ●固執性の少ない実行機能(p<0.03) ●複合認知スコア(p<0.02)・調査した遺伝子多型のうち、COMT遺伝子多型(Met/Met対立遺伝子保有者)と注意力との間に正の関連が認められた(p<0.01)。・COMT-MTHFR相互作用と注意力(p<0.02)および実行機能に属する固執性(p<0.01)との間に正の関連が認められた。・他の遺伝子多型では、認知機能との有意な関連は認められなかった。・各遺伝子多型とそれらの相互作用では、PANSSとの関連は認められなかった。 著者らは「最近発症した統合失調症に対するアリピプラゾールLAI治療は、認知機能改善が期待できる。注意力や実行機能との関連が認められたCOMT遺伝子多型は、統合失調症の認知機能に対するバイオマーカーである可能性が示唆された」としている。

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妊娠糖尿病スクリーニング、1段階法 vs.2段階法/NEJM

 妊娠糖尿病のユニバーサルスクリーニングでは、推奨されている2つの方法のうち、1段階法は2段階法と比較して妊娠糖尿病の診断の割合が約2倍に高くなるが、周産期合併症と母体合併症に関連する主要アウトカムのリスクには、両スクリーニング法に有意な差はないことが、米国・カイザーパーマネンテ・ノースウェストのTeresa A. Hillier氏らが実施した「ScreenR2GDM試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2021年3月11日号で報告された。妊娠糖尿病は頻度の高い疾患であり、母体と周産期の有害なアウトカムのリスクが増大する。米国では、妊娠女性に妊娠24~28週時の妊娠糖尿病ユニバーサルスクリーニングが推奨されているが、2つの推奨スクリーニング法のどちらを使用すべきかに関して専門家の合意は得られていないという。米国の2施設の実践的無作為化試験 本研究は、米国のカイザーパーマネンテ・ノースウェストとカイザーパーマネンテ・ハワイで行われた実践的な無作為化直接比較試験であり、2014年6月~2017年12月の期間に患者登録が行われ、新生児の出生(2018年)までアウトカムのデータが収集された(米国ユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健人間発達研究所[NICHD]の助成による)。 対象は、2つの参加施設を受診したすべての妊娠女性であった。被験者は、1段階スクリーニング法または2段階スクリーニング法を受ける群に無作為に割り付けられた。 1段階スクリーニング法では、ブドウ糖負荷試験が行われ、空腹時にブドウ糖75gを経口投与後に血糖値が測定された。2段階スクリーニング法では、GCT(glucose challenge test)として非空腹時にブドウ糖50gを経口投与後に血糖値が測定され、陽性の場合は、引き続きブドウ糖負荷試験として空腹時にブドウ糖100gを経口投与後に血糖値が測定された。 主要アウトカムは、妊娠糖尿病の診断、在胎不当過大児(在胎期間の標準出生時体重の>90パーセンタイル)、周産期の複合アウトカム(死産、新生児死亡、肩甲難産、骨折、分娩外傷に関連する腕または手の神経麻痺)、妊娠高血圧症または妊娠高血圧腎症、初回帝王切開の5つであった。副次アウトカムや安全性アウトカムにも差はない 合計2万3,792例の女性が妊娠糖尿病の2つのスクリーニング法に無作為化された(試験中に複数回妊娠した女性は、1種類以上のスクリーニング法に割り付けられた可能性がある)。1段階群が1万1,922例(平均母体年齢[±SD]29.4±5.5歳)、2段階群は1万1,870例(29.3±5.5歳)であった。割り付けられたスクリーニング法を実際に受けた妊婦の割合は、1段階群が66%と、2段階群の92%に比べて低かった。 妊娠糖尿病の診断を受けた女性の割合は、1段階群が16.5%、2段階群は8.5%であった(未補正相対リスク[RR]:1.94、97.5%信頼区間[CI]:1.79~2.11)。 intention-to-treat解析による他の主要アウトカムの発生率はいずれも、両群間に有意な差は認められなかった。すなわち、在胎不当過大児は1段階群8.9%、2段階群9.2%(補正前RR:0.95、97.5%CI:0.87~1.05)、周産期の複合アウトカムはそれぞれ3.1%および3.0%(1.04、0.88~1.23)、妊娠高血圧症/妊娠高血圧腎症は13.6%および13.5%(1.00、0.93~1.08)、初回帝王切開は24.0%および24.6%(0.98、0.93~1.02)であった。 妊娠糖尿病で補正後の解析、および妊娠糖尿病、事前に規定された他の共変量、スクリーニングの順守状況で補正後の解析でも、妊娠糖尿病の診断を除き、いずれの主要アウトカムにも有意な差はなかった。また、逆確率重み付け(inverse probability weighting)を行ったintention-to-treat解析でも、結果はほとんど変わらなかった。 副次アウトカム(巨大児[出生時体重>4,000g]、在胎不当過小児[在胎期間の標準出生時体重の≦10パーセンタイル]、インスリンや経口血糖降下薬による治療を要する妊娠糖尿病など)の多く、および周産期複合アウトカムの個々の構成要素、安全性アウトカム(新生児敗血症、新生児集中治療室への入室、早産など)についても、両群間に有意な差はみられなかった。 著者は、「1段階スクリーニング法では順守率が低かったが、この違いを考慮した解析でも、結果はほぼ同様であった」とまとめ、「実践的な試験の性質として、医療従事者は割り付けられたスクリーニング法や診断結果を知りうるため、これがいくつかのアウトカムに影響を及ぼした可能性は排除できない」と指摘している。

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COVID-19疑いへのアジスロマイシン追加の臨床的意義/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染疑い例の治療において、アジスロマイシンを通常治療に追加するアプローチは通常治療単独と比較して、回復までの期間を短縮せず、入院リスクを軽減しないことが、英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らPRINCIPLE Trial Collaborative Groupが行った「PRINCIPLE試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年3月4日号に掲載された。アジスロマイシンは、抗菌作用と共に抗ウイルス作用や抗炎症作用が期待できるためCOVID-19の治療に使用されているが、市中の無作為化試験のエビデンスは不足しているという。英国のプライマリケアの適応的プラットフォーム試験 本研究は、英国のプライマリケアをベースとし、合併症のリスクの高い市中COVID-19疑い例の治療における複数の薬剤の有用性を同時に評価する、非盲検無作為化適応的プラットフォーム試験である(英国研究技術革新機構[UKRI]と同国保健省の助成による)。本研究ではこれまでに、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、吸入ブデソニドの検討が行われており、今回はアジスロマイシンのアウトカムが報告された。 対象は、年齢65歳以上または1つ以上の併存症を有する50歳以上で、直近の14日以内にCOVID-19(確定例、疑い例)による症状(発熱、新規の持続的な咳嗽、臭覚または味覚の変化)がみられる患者であった。被験者は、通常治療+アジスロマイシン(500mg/日、3日間)、通常治療+他の介入、通常治療のみを受ける群のいずれかに無作為に割り付けられた。 無作為化から28日以内に2つの主要エンドポイントの評価が行われた。1つは患者の自己申告による初回の回復(ベイズ区分指数モデルで評価)、もう1つはCOVID-19関連の入院または死亡(ベイズロジスティック回帰モデルで評価)であった。 2020年4月2日にPRINCIPLE試験の最初の参加者が登録され、アジスロマイシンの試験には、2020年5月22日~11月30日の期間に英国の1,460の総合診療施設から2,265例が登録された。このうち2,120例(94%)で追跡データが得られ、500例がアジスロマイシン群、823例が通常治療単独群、797例は他の介入群だった。 11月30日、予定されていたデータ監視・安全性審査委員会による中間解析において、事前に規定された無益性基準を満たしたため、PRINCIPLE試験運営委員会によりアジスロマイシン試験への患者の割り付けの中止が勧告された。28日回復割合:80% vs.77%、入院/死亡割合:3% vs.3% アジスロマイシン試験(1,388例、アジスロマイシン群526例、通常治療単独群862例)の全体の平均年齢は60.7(SD 7.8)歳、女性が57%で、88%が併存症を有し、無作為化前の罹病期間中央値は6日(IQR:4~10)、83%がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の検査を受け、全体の31%が陽性だった。アジスロマイシン群の87%がアジスロマイシンの1回以上の投与を受け、71%は全3回の投与を受けた。 28日以内に回復したと報告した患者の割合は、アジスロマイシン群が80%(402/500例)、通常治療単独群は77%(631/823例)であった。初回回復の報告までの期間に関して、アジスロマイシン群は通常治療単独群と比較して意義のある有益性は認められず(ハザード比[HR]:1.08、95%ベイズ信用区間[BCI]:0.95~1.23)、初回回復までの期間中央値の有益性の推定値は0.94日(95%BCI:-0.56~2.43)であった。回復までの期間が臨床的に意義のある有益性を示すとされる1.5日以上の短縮を達成する確率は0.23だった。 入院は、アジスロマイシン群が3%(16/500例)、通常治療単独群も3%(28/823例)で認められた(絶対有益性割合:0.3%、95%BCI:-1.7~2.2)。死亡例は両群ともみられなかった。入院/死亡が臨床的に意義のある有益性を示すとされる2%以上の低下を達成する確率は0.042であった。 また、安全性アウトカムは両群で同程度だった。試験期間中に、COVID-19と関連しない入院が、アジスロマイシン群で1%(2/455例)、通常治療単独群で1%(4/668例)に認められた。 著者は、「抗菌薬の不適切な使用は抗菌薬耐性の増加につながるため、今回のCOVID-19の世界的大流行中は抗菌薬の適正使用の支援が重要な意義を持つことを、これらの知見は示している。他の研究により、今回の世界的大流行中の英国におけるアジスロマイシン使用の増加のエビデンスが報告されている」とまとめ、「これまでのエビデンスと今回の知見を統合すると、市中でも病院でも、アジスロマイシンはルーチンの使用を正当化する十分な有効性を持つ治療ではないことが示唆される」と指摘している。

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COVID-19に脳髄膜炎はあるのか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第183回

COVID-19に脳髄膜炎はあるのか?pixabayより使用日本でも髄膜炎合併COVID-19が第1波の頃にニュースになり、当該症例が論文化されています1)。この24歳男性では、頭部MRIで脳室炎・脳炎がみられ、髄液のSARS-CoV-2 PCRも陽性になりました。その後、海外でもいくつか中枢神経の炎症を合併した症例が報告されているのですが、脳脊髄液(CSF)PCRは陰性になることが多いようです。さて、2021年に入ってまとまった報告がありました。Pilotto A, et al.Clinical Presentation and Outcomes of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2-Related Encephalitis: The ENCOVID Multicenter Study.J Infect Dis . 2021 Jan 4;223(1):28-37.イタリア13施設における多施設共同観察研究であり、CSF、脳波検査(EEG)、MRIデータが得られた脳炎合併SARS-CoV-2陽性患者が登録されました。現在、私はコロナ病棟でも勤務しておりますが、脳のMRIを撮影しに行くのは、なかなか大変だと思います。SARS-CoV-2陽性の脳炎25例が含まれました。CSFは68%の症例でタンパク高値、細胞上昇が見られましたが、CSF PCRは全例陰性だったそうです。MRI所見によると、25人のうち5人が急性散在性脳脊髄炎(ADEM)あるいは辺縁系脳炎で、これらの症例はほかの脳炎症例と比較して、発症が遅く(p=0.001)、重症COVID-19と関連していました。CSFのPCRが陰性というのはどういうことかというと、ウイルスが直接血液脳関門を突破して髄膜脳炎になったというよりも、炎症性サイトカインに関連した免疫介在性脳炎が主病態であることを意味します。――とはいえ、CSF PCRが陽性のCOVID-19もしばしば報告されており、8人のCSF PCR陽性例の報告を見ると2)、そのうち4人が血清に匹敵するほどの高力価を示しています。ちなみに、頭部MRIで異常が見られる頻度としては、これら髄膜脳炎よりも脳梗塞のほうが多いのが現状です3)。また、頭痛・倦怠感・息切れなどがあり、SARS-CoV-2が陽性となった患者に対して、入院後腰椎穿刺を行い、HIV合併クリプトコッカス脳髄膜炎と診断された症例も報告されています4)。ここぞというときにCSF検査を行うことが重要ですね。また、SARS-CoV-2 PCRが陽性でも、他疾患が隠れている可能性をいつも考える必要があることを思い知らされます。コロナ禍の上に、われわれはあぐらをかいてはいけないのです。1)Moriguchi T, et al. Int J Infect Dis . 2020 May;94:55-58.2)Alexopoulos H, et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm . 2020 Sep 25;7(6):e893.3)Kremer S, et al. Neurology . 2020 Sep 29;95(13):e1868-e1882.4)Cabot RC, et al. N Engl J Med. 2020 Dec 24; 383(26): 2572–2580.

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