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進行TN乳がんへのアテゾリズマブ、どの免疫フェノタイプや分子サブタイプに有効か(IMpassion130)/ASCO2021

 未治療の進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する第III相IMpassion試験の探索的解析から、免疫フェノタイプや分子サブタイプによりアテゾリズマブの上乗せ効果が異なることが示された。米国・University of Pittsburgh Medical Center Hillman Cancer CenterのLeisha A. Emens氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。 IMpassion130試験は、進行TNBCの1次治療として、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ併用群、451例)をプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群、451例)と比較した第III相試験で、PD-L1 IC+(腫瘍浸潤免疫細胞が1%以上発現)患者において、アテゾリズマブ併用群で有意な無増悪生存期間(PFS)の改善と臨床的に意味のある全生存期間(OS)の改善が報告されている。また探索的分析では、腫瘍微小環境(TME)がリッチな患者や腫瘍遺伝子変異量が多い患者におけるアテゾリズマブ併用による臨床アウトカムの改善が、PD-L1 IC+患者に限られることも報告されている。今回は、アテゾリズマブの併用効果に関連するTMEの構成要素を特定するために探索的解析を実施した。 PD-L1発現の有無と免疫フェノタイプ(inflamed/excluded/desert)は免疫組織化学染色(IHC)で評価し、分子サブタイプと経路の分析にはRNA-seqを使用した。アテゾリズマブ併用群とプラセボ群のPFSおよびOSは、タキサン治療歴、肝転移を調整しCox回帰分析を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・免疫フェノタイプ別では、PD-L1 IC+患者のinflamedタイプ(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.42~0.80)およびexcludedタイプ(HR:0.72、95%CI:0.51~1.00)で、アテゾリズマブ併用群のPFS改善がみられ、OSの改善はinflamedタイプ(HR:0.61、95%CI:0.42~0.88)のみでみられた。・分子サブタイプ別には、PD-L1 IC+患者のBLIA(basal-like immune-activated)タイプ(HR:0.49、95%CI:0.34~0.69)およびBLIS(basal-like immune-suppressed)タイプ(HR:0.66、95%CI:0.44~0.98)でアテゾリズマブ併用群のPFS改善がみられ、OS改善はBLIAタイプ(HR:0.54、95%CI:0.36~0.80)のみでみられた。 Emens氏は、「TMEの特徴は、PD-L1 IC+の進行TNBC患者におけるアテゾリズマブ+nab-PTXの臨床アウトカムと関連している。一方、PD-L1 IC-の患者のアウトカムと関連する特徴は確認されていない」とまとめた。

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アテゾリズマブによるNSCLCアジュバントの成績は?(IMpower010)/ASCO2021

 完全切除された早期NSCLCにおける化学療法アジュバント後のアテゾリズマブを評価した無作為化第III相非盲検試験IMpower010中間解析の結果がASCO2021で発表された。アジュバントアテゾリズマブはBSCに比べ、良好な無病生存(DFS)を示した。・対象:Stage IB~IIIAで術後化学療法(プラチナ+ペメトレキセド/ドセタキセル/ゲムシタビン/ビノレルビン)、21日ごと最大4回サイクル)受けた完全切除NSCLC患者(ECOG PS 0~1)・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日 3週ごと16サイクル(Atezo群)・対照群:ベストサポーティブケア(BSC群)・評価項目[主要評価項目]治験責任医評価の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]Stage II~IIIAのPD-L1(TC)≥1%のDFS、Stage II~IIIA全患者の DFS、ITT集団(Stage IB-IIIA)のDFS、ITT集団のOS(階層的に検証)、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2021年1月21日)の追跡調査中央値は32.2ヵ月であった。・Stage II~IIIA PD-L1(TC)≧1%のDFS中央値はAtezo群未達、BSC群35.3ヵ月と、Atezo群で有意な改善を示した(HR:0.66、95%CI:0.50~0.88、p=0.0039)。・Stage II~IIIA全集団のDFS中央値はAtezo群42.3ヵ月、BSC群35.3ヵ月と、Atezo群で有意な改善を示した(HR:0.79、95%CI:0.64~0.96、p=0.0205)。・IITT集団のDFS中央値は、Atezo群未達、BSC群37.2ヵ月であった(HR:0.88、95%CI:0.67~0.99、p=0.0395)。・全Gradeの有害事象(AE)は、Atezo群92.7%、BSC群70.7%で発現した。Grade3/4はそれぞれ21.8%と11.5%であった。投与中止につながるAtezo群のAEは18.2%で発現、Grade5の治療関連AEはAtezo群の0.8%で発現した。

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ペムブロリズマブの腎細胞がん術後アジュバントが予後を改善(KEYNOTE-564)/ASCO2021

 淡明細胞型腎細胞がん(RCC)に対する腎摘除手術後の術後療法としてのペムブロリズマブの単剤治療が、生存の延長に寄与するという発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのToni K. Choueiri氏より発表された。 本試験(KEYNOTE-564)は、国際共同の無作為化二重盲検比較の第III相試験であり、今回が初めての中間解析結果報告である。・対象:腎摘除術を12週間以内に受け、再発リスク分類で中程度以上と判定された淡明細胞型RCC・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週間ごと最長1年間投与(Pembro群)・対照群:プラセボ 3週間ごと最長1年間投与(Pla群)・評価項目:[主要評価項目]主治医判定による無病生存期間(DFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2017年6月~2019年9月に、994例(Pembro群:496例/Pla群:498例)が登録された。・リスクカテゴリー中等度~高度の症例(N0/M0/核異形度4のpT2またはpT3)が、約86%を占め、PD-L1発現は、CPSスコア1以上が74%~77%、1未満が23~25%であった。・観察期間中央値が24.1ヵ月時点(データカットオフ2020年12月)でのDFS中央値は両群ともに未到達で、Pembro群のPla群に対するハザード比(HR)は0.68、95%信頼区間(CI)は0.53~0.87、p=0.0010と有意にPembro群で良好であった。・1年DFS率は、Pembro群85.7%、Pla群76.2%、2年DFS率は、Pembro群77.3%、Pla群68.1%で、両群のカプランマイヤー曲線は早期から離れる傾向を示していた。各サブグループでのDFS解析では、全体と齟齬のある因子は無かった。・OS中央値も両群未到達で、HRは0.54(95%CI:0.30~0.96)、p=0.0164であったが事前設定のp値の有意水準は超えていなかった。1年OS率は、Pembro群98.6%、Pla群98.0%、2年OS率はおのおの96.6%と93.5%であり、今後の追跡が期待される結果であった。・安全性については既報と同様、全身倦怠感、甲状腺機能異常、皮膚障害などがPembro群で多く報告された。治療関連有害事象による投薬中止はPembro群で17.6%(中止中央値7サイクル)であったが、両群とも治療関連死はなかった。免疫関連有害事象でステロイド剤の投薬が必要となったのはPembro群で7.4%であった。 発表者は、「KEYNOTE-564は、RCCの術後療法として、臨床的に意味のあるDFSの延長を示した初めての試験であり、今後の新しい標準療法としての可能性を示した」と結んだ。

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食道がんのニボルマブ術後補助療法、追加解析の成績(CheckMate 577)/ASCO2021

 CheckMate577試験は、食道がん/食道胃接合部がんに対する術後補助療法としての免疫チェックポイント阻害薬を評価した世界初の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、ニボルマブはプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を統計学的に有意に延長することが報告されている(N Engl J Med. 2021; 384: 1191-1203.)。米国・ベイラー医科大学医療センターのRonan Joseph Kelly氏は、既報の結果も含め有効性、安全性およびQOLに関する追加解析の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ群で無遠隔転移生存期間(DMFS)、無増悪生存期間2(PFS2;無作為化から2次治療の増悪、3次治療の開始または死亡までの期間)を延長したことを報告した。・対象:術前補助化学放射線療法および完全切除後に病理学的残存病変を認めたStageII~III食道/食道胃接合部がん患者、PS 0~1、794例・試験群:ニボルマブ240mgを2週間ごと16週間、その後480mgを4週間ごと投与(ニボルマブ群、532例)・対照群:プラセボ(プラセボ群、262例)・評価項目:[主要評価項目]DFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、1年OS率、2年OS率、3年OS率[探索的評価項目]安全性、DMFS、PFS2、QOL 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値24.4ヵ月であった。・DMFS中央値は、ニボルマブ群28.3ヵ月、プラセボ群17.6ヵ月であった(HR:0.74、95%CI:0.60~0.92)。・遠隔再発はニボルマブ群29% vs.プラセボ群39%、局所再発は12% vs.17%で、いずれもニボルマブ群で低頻度であった。・PFS2中央値は、ニボルマブ群未到達(95%CI:34.0~NE)、プラセボ群32.1ヵ月(95%CI:24.2~NE)であった(HR:0.77、95%CI:0.60~0.99)。・ニボルマブの忍容性は良好で、ほとんどの治療関連有害事象(TRAE)はGrade1/2であった。重篤なTRAEの発現率は、全Gradeでニボルマブ群8%、プラセボ群3%、TRAEによる治療中止は同様に全Gradeでそれぞれ9%、3%であった。・ニボルマブ群における主な免疫関連TRAEは、ほとんどがGrade1/2でありGrade3/4は1%以下で、Grade5はなかった。免疫関連TRAEは早期に発現し(発現までの期間中央値6〜13週)、ほとんどの患者は確立された管理アルゴリズムにより回復した(回復までの期間中央値3~21週間)。 Kelly氏は、「術前補助化学放射線療法と完全切除を受けても病理学的完全奏効が得られなかった食道/食道胃接合部がん患者に対し、ニボルマブによる術後補助療法は新たな標準治療となり得る」とまとめた。

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新型コロナ変異株、デルタ株の増加傾向顕著

 厚生労働省は6月16日、都道府県別の懸念される変異株(VOCs:Variant of Concern)について、最新の事例数を公表した(6月14日までにHER-SYSで把握した国内事例の累計)。このうち、インドで最初に報告されたB.1.617系統の変異株(デルタ株等1))への感染は新たに30例が確認され、累計は11都府県で117例となった。いわゆる南アフリカ型のベータ株やブラジル型のガンマ株がいずれも1例程度の増減だったのに比べ、デルタ株の新規感染例が大幅に増加しており、拡大が懸念される。1)デルタ株のほか、B.1.617.3系統およびB.1.617.1系統の変異株(カッパ株)が含まれている。 国内の新型コロナウイルス感染は、B.1.1.7系統の変異株(アルファ株 [英国型])にほぼ置き換わったと見られ、現在はB.1.351系統の変異株(ベータ株)、P.1系統の変異株(ガンマ株)、そしてB.1.617系統の変異株(デルタ株等)が懸念される変異株としてモニタリング対象となっている。 このうち、ベータ株は前週から新たに1例増加して累計24例となり、ガンマ株は1例の減少(公表後にHER-SYS上で事例削除・変更等の事例あり)だった。一方、デルタ株は1週間で新たに30例の増加となり、前週が34例増だったのに引き続き、増加傾向が顕著だ。 新規感染例が報告された都道府県別の内訳は、神奈川9例、東京7例、千葉・埼玉・静岡各4例、群馬2例。

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AZ製ワクチン接種後のVITT、免疫グロブリン療法による治療転帰/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンの、まれな副作用であるワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)の治療として、高用量免疫グロブリン静注(IVIG)療法と抗凝固薬の併用療法が推奨されている。カナダ・マックマスター大学のAlex Bourguignon氏らは、ChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)の接種後にカナダで確認されたVITTの、最初の3例におけるIVIG療法について報告した。NEJM誌オンライン版2021年6月9日号掲載の報告。3例とも動脈血栓症を発症 3例はいずれもインド血清研究所で製造されたワクチンを接種していた。また、63~72歳と高齢であるが、カナダでは、VITTは若年者に多いという欧州の報告に基づき、ChAdOx1 nCoV-19の使用を55歳以上に限定していたことが背景としてある。3例のうち1例は女性であった。 2例が四肢動脈血栓症、3例が脳静脈および脳動脈血栓症を発症した。注目すべきは、3例全例が1つ以上の動脈血栓症を発症したことで、高齢のVITT患者は動脈血栓症を呈しやすい可能性が推察された。 また、ヘパリンおよび血小板第4因子(PF4)に対する血小板活性化のパターンはさまざまであり、血清におけるVITTの兆候は不均一であることが示唆された。3例ともIVIG療法により抗体誘発性の血小板活性化が低下した。VITTを発症した3例の臨床経過【症例1】 72歳女性。特記すべき既往歴なし。接種7日後に左下肢痛と跛行を発症し、発症8日後に入院。画像診断にて、左浅大腿動脈と深部大腿動脈の閉塞、腹腔動脈と右腓骨動脈の部分的血栓を伴う副腎血栓を認めた。ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)は疑われなかったことから未分画ヘパリンの投与を開始し、3日後に外科的塞栓摘出術を実施。その頃にはVITTが疑われ、アルガトロバン投与を開始するも、5日間で血小板数の改善を認めず、高用量IVIGを投与した。その後、血小板数は増加し、アピキサバン経口投与を行い、退院となった。【症例2】 63歳男性。心血管リスク因子および血栓症の既往歴なし。接種18日後に左下肢けいれんを認め、その4日後に急性呼吸困難を発症。接種24日後に救急外来受診、造影CTにて左下肢急性動脈血栓症と広範囲の肺塞栓症を認め、低分子ヘパリンのtinzaparinを投与し、外科的塞栓摘出術を施行。VITTが疑われたため、ヘパリンからフォンダパリヌクスへ変更するとともにIVIG投与。その後、新たな血栓症は発症しなかったが、下肢遠位部の血栓残存のため足尖部の虚血性壊死となり、本報告時点では切断術の待機中。【症例3】 69歳男性。2型糖尿病、高血圧症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、前立腺がん(最近診断されステージはまだ不明)の既往あり。血栓症の既往なし。9ヵ月前に経カテーテル大動脈弁置換術を受けた際にヘパリンが投与され、その後1日1回アスピリン(81mg)を服用中。 接種12日後に、頭痛と混乱状態、進行性の左半身脱力を主訴に入院。入院3日目に左半身脱力の増強、出血性変化を伴う右中大脳動脈梗塞が確認され、VITTと診断した。さらに、右内頸動脈、右大脳横静脈洞とS状静脈洞、右内頸静脈、肝静脈、下肢遠位部静脈に血栓を認め、肺塞栓症も発見された。フォンダパリヌクスとIVIGで治療し、片麻痺は持続したが新たな血栓症は認めなかった。その後、血小板減少症が再発しIVIGを追加投与。その後、接種後47~62日の期間に血漿交換療法を13回行い、徐々に血小板数は回復し正常化した。

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子供への新型コロナワクチン、学会が声明発表/日本小児科学会

 2021年6月16日、日本小児科学会は新型コロナワクチンの子供への接種について、学会としての見解を発表した。「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」と題したこの声明では、子供を感染から守るためには、周囲の成人が免疫を獲得することが重要とし、まずは成人の接種が優先されるべきで、とくに医療的ケア児等や重篤な基礎疾患のある子供に関わる業務従事者、そして健康な子供に関わる業務従事者は、職種・勤務形態を問わずワクチンを接種することが重要とした。 そのうえで子供自身への接種に関しては、以下のように提言している。健康な子供 12歳以上はワクチン接種に意義がある。小児でもまれにある重篤化や同居する高齢者への感染リスクを防止できる。接種前に本人と養育者への十分な説明が必要となり、できれば個別接種が望ましい。ワクチン接種を希望しない子供と養育者が特別扱いされない配慮が必要となる。重篤な基礎疾患がある子供 基礎疾患がある子供はCOVID-19感染時に重症化する可能性があり、接種対象年齢の子供はワクチン接種でそれを防ぐことが期待できる。ただし、子供は副反応の頻度が高いことが報告されており、主治医と養育者による体調管理と接種後の観察が重要となる。 学会は、引き続き情報収集を行い、内容は随時アップデートする可能性があるとしている。

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骨髄腫新薬、ダラツムマブ皮下注が患者負担を軽減/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは5月に多発性骨髄腫の治療薬としてヒト型抗CD38モノクローナル抗体「ダラツムマブ(以下、ダラツムマブ)」を配合した皮下投与製剤「ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)」を発売開始した。これに伴い6月3日にメディアセミナーを開催し、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏が、多発性骨髄腫の基礎知識と新薬が診療に与える影響について講演を行った。 多発性骨髄腫は血液がんの一種で、骨髄にある形式細胞ががん化する疾患。国内における新規罹患者数は7,000人/年程度で、人口10万人当たりでは5.4人となる。診断時の年齢中央値は66歳で罹患率・死亡率とも高齢になるほど増加する。 鈴木氏は「診療をはじめた40数年前、多発性骨髄腫は平均余命3年程度の厳しい疾患だった。それが画期的な新薬の登場で7年程度まで延びてきた」と紹介し、「高齢の患者さんが多く、薬剤は有効性だけでなくQOL維持も重要となる」とした。 ダラツムマブはCD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体で、CD38に結合することによりADCC活性(抗体依存性細胞傷害活性)、CDC活性(補体依存性細胞傷害活性)、ADCP活性(抗体依存性細胞貪食活性)などの免疫系活性を介して抗腫瘍効果を示す。移植非適応患者の1次治療として、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾンの併用療法(DRd)等のレジメンが国内外で推奨治療とされている。 ただ、これまでの点滴薬のダラツムマブの場合、初回7時間、2回目以降4時間程度の投薬時間が必要で、診察等を含めると1日がかりとなり、治療開始時は週1回の投与が必要で患者と医療者の負担が大きかった。ダラキューロの場合、15mlを3~5分かけて皮下注することとなり、診察を含めても半日かからない程度まで短縮できるという。 ダラキューロのダラツブマブに対する非劣性はCOLUMBA試験※により示され、年齢や体重によっても有効性に差は生じず、新規の有害事象も認められなかった。補液量で懸念があった心機能低下患者やフレイルな患者にも投与の可能性が広がる。ただし、副作用が発現するまでの時間はダラキューロのほうが時間がかかる(1.5時間vs.3.6時間)ため、鈴木氏は「初回は入院治療が必要になるだろう」とした。 また、COLUMBA試験参加施設の医療従事者を対象とした追加調査では、点滴から皮下注となったことで医療従事者の関与時間も大幅に減ったとの結果も出ており、鈴木氏は「皮下注への切り替えは患者負担を減らすだけでなく、外来化学療法室の回転を上げ、医療スタッフ業務の効率化につながる可能性も高い」とした。

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統合失調症の認知機能とキノリン酸との関連

 トリプトファンとその代謝産物(TRYCATs)は、統合失調症やうつ病の病態生理に影響する末梢免疫系の活性化や中枢神経伝達物質の異常と関連することが示唆されている。しかし、これらの疾患におけるさまざまな精神病理的な関連は、まだ解明されていない。スイス・チューリヒ大学のFlurin Cathomas氏らは、統合失調症およびうつ病患者におけるTRYCATsの潜在的な違いを調査し、認知機能への影響について検討を行った。Scientific Reports誌2021年5月11日号の報告。 統合失調症患者45例、うつ病患者43例、健康対照者19例を対象に、血漿中のトリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸、3-ヒドロキシキヌレニン、キノリン酸の違い、血漿タンパク質と認知機能との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、BMI、喫煙、投薬の共変量で調整した後、うつ病患者は、健康対照者と比較し、キヌレニンと3-ヒドロキシキヌレニンのレベルが低かった。・統合失調症患者では、キノリン酸と複合的な認知機能スコアとの負の相関が認められ。より重篤な認知機能障害は、キノリン酸の血漿レベルの上昇との関連が認められた。この関連は、うつ病患者では認められなかった。 著者らは「統合失調症やうつ病では、キヌレニン経路の調節不全が関連していると考えられる。キノリン酸は、統合失調症患者の認知機能の病態生理ととくに関連している可能性が示唆された。これら神経精神疾患の病因とTRYCATsとの因果関係を判断するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

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肺がんリキッドバイオプシーの有効性を探る「LC-SCRUM-Liquid」【肺がんインタビュー】 第64回

第64回 肺がんリキッドバイオプシーの有効性を探る「LC-SCRUM-Liquid」出演:国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 善家 義貴氏肺がんでは、組織採取に侵襲を伴うことが多いため、リキッドバイオプシーが注目されている。リキッドバイオプシーの有効性を組織バイオプシーと比較した前向き研究「LC-SCRUM-Liquid」の結果が発表された。研究事務局の国立がん研究センター東病院 善家 義貴氏に研究結果および今後の展開について聞いた。

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500ページの英語を読んだ!【Dr. 中島の 新・徒然草】(379)

三百七十九の段 500ページの英語を読んだ!ついに読んでしまいました、500ページの英語小説『PACHINKO』を。休みの日にまとめて読んだり、朝早く目が覚めたときに寝床の中で読んだり。最近の数年間で最高に面白い小説でした。何が面白いかというと、多彩な登場人物による怒涛のストーリー展開です。読んでいて思わず「ええっ!」と声を上げたことが何度かありました。そのわりには最後は突然終わってしまい、「まさか、これだけ?」と思ったわけですが、その分、まだまだ物語は続いていくんだという余韻があったともいえます。内容については、前回の本欄で紹介したとおり20世紀初頭の釜山に始まり、主人公が大阪にやってきて1989年の東京に終わる親子四代の在日コリアンの物語です。前半はパチンコと全く関係なく話が進むのですが、後半になってようやくパチンコが重要な存在となりました。この小説はドラマ化される予定で配役も決まっているそうですが、それだけの価値はあると思います。さて、英語で500ページの小説を読もうと思うと大変です。しかし、長編小説に取り組むのに必要なのは、読者の英語力よりも話自体が面白いことと、キンドルで即座に辞書をひける環境にあることではないでしょうか。とくにキンドルのスマホ版は、知らない単語の上に指を置くだけで日本語訳が出てくるので、読書がはかどります。何度ひいたかわからない単語も沢山ありました。fuss、glimpse、gasp、grudge、moron、bigotryなど、受験英語や医学英語では出てこないのに、小説や日常会話では出てくるものばかりです。これらの英単語、皆さんは御存知でしたか?といったところで、長編英語小説を読み終えて少し自信がついたので、次に行こうと思っています。候補の1つは、吉本ばななの『キッチン』。これは短く読みやすいと言われています。ただ、少し読み始めてみると、情景描写が多く人物の動きが少ないので、ストーリーに引っ張られてついつい読んでしまう、というところまで達していません。もう1つは、カズオ・イシグロの『老歌手(Crooner)』。これは大阪府医ニュースで紹介されていたもので、60代だか70代だかの老いた歌手が若い女に走るべく、糟糠の妻を捨てるというものらしいです。ノーベル賞作家が世俗をどのように描くのか、興味ありますね。これらの本を読みかけて感じたことは、自分は登場人物の動きのある物語、会話の多いストーリーが好きだということ。窓の外の景色がどうとか、主人公の服がどうとか、そういう部分を読むのは正直なところ面倒です。日本語なら読めても、英語だと辛い、辛過ぎる。考えてみれば、自分の書いているものにも、情景描写だとか服装のことだかはほとんど出てきません。小説と読者の間にも相性があるということですね。繰り返しになりますが、英語小説を読み切ることができないのは、読者の英語力が足りないからでも、努力が足りないからでもありません。その小説との相性が悪いからです。なので、自分が面白いと思える小説を探しましょう。そしてキンドルのような文明の利器を使って、知らない単語を克服するといいですね。そうすれば誰でも英語小説を読める……はず!最後に1句キンドルで すいすい読める イシグロが

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「退職金引当金」でわかる、医療機関の経営状態ホントのところ【今さら聞けない!医療者のための決算書の読み方】最終回

<登場人物>病院で同期だったコンサルタントの田中に定期的に相談を始めた宮路は最近、実家の病院の経営会議に出るようになり、新たな疑問が出てきたようだ。宮路:減価償却の話、ありがとう! よく理解できた気がするよ。何かほかにも財務諸表を理解するうえで気を付けるべきポイントってあるかな?田中それはよかったよ。そうだね、宮路先生の実家の病院には、職員の退職金制度ってあるのかな?宮路はっきりとはわからないけれど…、聞いたことはあるな。田中そうか、それじゃあ退職金を例に「引当金」について見ていこう。宮路ひ、ひきあてきん…? 初めて聞くワードだ…。安田そうですね。普段あまり耳にすることがない用語ですね。でもこのポイントをマスターすれば、グッとレベルアップできますよ。では、「引当金」について説明しますね。公認会計士・安田の解説引当金は、会計の中でもとっつきにくいテーマの1つです。簡単に言えば「将来の支出に備えて、あらかじめ費用を計上して資金をためておく」という会計の技法です。引当金の中にもいくつかの種類があって、一番有名なのは「貸倒引当金」です。ほかにも返品調整引当金賞与引当金退職給付引当金特別修繕引当金製品保証等引当金などがあります。法人税法上では損金として計上することが認められない引当金でも、「財務会計上は期間損益計算を適正に行う」という財務会計の目的を満たすため、計上する必要があります。法人税法上損金になるかならないかに関係なく、引当金を計上しないと誤った経営判断をする恐れがあるためです。「財務会計上の費用として計上すること」と「法人税法上の損金(経費)として認められること」は、別問題なんです。負債である各種引当金を積み上げないと、財務諸表上の「見栄え」はよくなります。そういった「見栄え(だけ)がよい」財務諸表を基に医療機器を購入する、スタッフを雇うなどの投資の判断を行うことにはリスクが伴います。働く人の視点で考えると、自分の勤める病院、転職しようと思っている病院において退職給付引当金を計上されているかは「隠れ負債」の有無の判断の目安になりますし、退職給付引当金を計上しているほうが財務健全な経営をしていると言えます。シンプルに言えば、「自分が退職する際に退職金が支払われない」というリスクが少ない、とも言えますね。宮路なるほど、確かにそうですね…!安田だからといってやみくもに引当金を計上するのではなく、引当金を計上するには要件が必要なんです。その要件は次の4つです。1)将来の特定の費用または損失であること2)その費用または損失が当期以前の事象に起因して発生するものであること3)発生する可能性が高いこと4)金額を合理的に見積もれることこの4つすべて満たす必要があり、恣意的な計上はできないんです。田中:ではここから「退職給付引当金」が財務諸表にどういった影響を与えるかを見ていきましょう。コンサルタント・田中の解説画像を拡大する20年勤務したスタッフに、一括で2,000万円の退職金を支払うケースを例に考えてみましょう。まずはキャッシュフロー計算書を見てみます。キャッシュフロー計算書は実際の現金の流れを表しているので、退職金支払い時(勤続20年目)に退職金として2,000万円を計上する処理になりますね。次は損益計算書です。これは組織ごとの退職金のルールによりますが、人件費の項目として「退職引当金繰入額」が「1年当たりに積み上がる退職金の金額」として計上されます。ポイント制退職金(1年ごとに○ポイントが加算され、退職時にたまっているポイント×▲円の退職金が支給される方式)を例にとると、その1年間にたまるポイント、言い換えればその時点でスタッフがもらう権利のある金額が積み上がります。もちろん、これは実際に支払っているわけではありませんが、毎年相当額を計上するわけです。この例ではスタッフ1人分で見ているのでそこまで大きな額ではありませんが、病院全体で見れば退職金支給対象のスタッフ全員分が反映されるので、かなりの金額になるでしょう。最後に貸借対照表を見てみましょう。病院から見ると、退職給付引当金は将来的に支払わなければならない「負債」に当たるので、損益計算書に計上した額が毎年「固定負債」に積み上がり、退職金支払い時(勤続20年目)に退職金総額が負債からなくなります。田中:前回(第5回「『減価償却費』が、それぞれの財務諸表へ与える影響を知ろう」)で説明した減価償却とは逆のパターンだね。損益計算書上は毎年積み上がる退職金額が費用として発生しているけれどキャッシュは減らず、実際は退職年度に総額のキャッシュが減ることになるんだ。宮路:そうか、これも財務諸表上の表れ方がそれぞれ異なるんだね。田中:そう。減価償却でもそうだったけれど、損益計算書上と実際の現金の流れは異なるので、しっかりと把握して経営していかないとね。宮路:わかったよ。今までいろいろありがとう! 各財務諸表の性質と役割をしっかり理解して経営会議で意見するようにするよ!

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「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ【非専門医のための緩和ケアTips】第5回

第5回 「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ今回も元気に緩和ケアの実践について考えていきましょう。時間が限られた中で緩和ケアを実践するために、最重要となるコツの1つである「看護師との連携」についてお話しします。今日の質問診療所で働く医師です。看取りが近い状況の患者さんとの対話に苦手意識があります。私の世代は、緩和ケアについてきちんと学んだ経験もありません…。どう取り組めばよいでしょうか?今回のご質問、ベテランの先生からよく頂く内容です。まだまだ緩和ケア領域の教育は十分ではないとはいえ、医師国家試験・看護師国家試験の中で緩和ケアや在宅医療の問題が出題される時代になりました。そうした経験がまったくない上の世代の方が、緩和ケア全般に苦手意識を抱いたり「このやり方で大丈夫なの?」と不安になったりするのは、ある意味、当たり前のことでしょう。ですが、このような質問をする先生方の多くは、長い臨床経験に裏付けされた患者さんとの関係性の構築や、コミュニケーションスタイルを確立されている方が多いように感じます。そうした土壌があれば、緩和ケアの実践は難しいことではありません。前置きしたうえで、読者の皆さんに質問です。「緩和ケアを実践するうえで、最もオールラウンダーな医療職は誰だと思いますか?」緊急性や重症度の高い場面に遭遇する急性期医療では、医師の判断とトップダウン的な指示系統が重要なことも多いでしょう。一方で、緩和ケアで大切なのは、患者さん、家族ごとの個別性の高いナラティブな対話や全人的ケアです。こうした場面において、診断と投薬といった医師の役割が万能なわけではありません。ご想像のとおり、こうした分野に職種としての強みがマッチするのは看護師です。看護師は、さまざまな医療職の中で、医学知識とケアや対人援助的なスキルが役割の基盤になっています。あらためて見ると、患者さんの生活状況についてやけに詳しく、医師以上に信頼されている看護師…、きっと皆さんの周りにもいることでしょう。前回お話しした、ナラティブなエピソードを引き出す役割ですが、看護師の方によっては無意識にしていることも。医師が緩和ケアに苦手意識があっても、こうした看護師とうまく協働することができれば、素晴らしい緩和ケアを提供できる可能性がグッと高まります。では、看護師と協働して提供する緩和ケアについて、具体例を挙げてみましょう。今後、療養などの話し合いが必要になる患者さんを提案してもらう外来の待ち時間の間に声掛けし、「病気以外の生活の気掛かり」についても相談できることを周知してもらう緩和ケアニーズのスクリーニングツール(「生活のしやすさに関する質問票」緩和ケア普及のための地域プロジェクト:OPTIM study[厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究])を運用してもらう悪い情報を伝える面談に同席してもらい、面談後にしばらく対話してもらういかがでしょう? 看護師の強みを生かした、チーム医療としての緩和ケアのイメージが湧いたでしょうか? 次回は看護師と協働した緩和ケアを提供するうえでの障壁や、それを乗り越える工夫について、考えてみたいと思います。今回のTips今回のTips緩和ケア提供の主役は看護師、上手に連携することが緩和ケアの質を高めるカギ!

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第62回 医療界からもブーイング、東京五輪開催の問題点

東京と大阪の大規模接種センターの開設もあり、日本では5月になってから、新型コロナのワクチン接種が遅まきながら加速し始めた。先行するアメリカやイギリス、イスラエルでは、1回目接種率が約4割に達すると、新規感染者数が大幅に減少している。一方、日本は5月末現在で約7%。同じペースで接種が進むと仮定して試算すると、1回目接種率は6月末で20%、7月中旬で30%、同月末でようやく40%に達する見込みだという。五輪開催時に1回目接種率は4割に達せずコロナ禍で開催か中止かくすぶり続けている東京五輪は、7月23日~8月8日での開催を予定されている。先に示したワクチンの1回目接種率が40%に達するのは、17日間の開催予定期間も後半に差し掛かった頃だろう。そのような状況では、五輪開催に伴う再びの感染拡大や医療逼迫などが当然懸念される。東京五輪を待ち望んでいる人もいるが、中止や延期を求めている人も多い。オンライン署名サイト「Change.org」では、五輪中止を求める署名が42万筆を突破した。この数字は、同サイト日本語版が2012年に開設されて以降、最も多いという。また、ボランティアは約8万人のうち、約1万人が辞退。海外選手の事前合宿の受け入れを辞退する自治体も相次いだ。新型コロナの感染者を受け入れている病院の窓には「医療は限界・五輪やめて!」「もうカンベン・オリンピックはむり!」というメッセージが貼り出された。しかし菅 義偉首相には、このような状況を気にする節はない。菅内閣は昨年9月の発足時、65%と歴史的な高支持率を得たが、その後はコロナ対策が評価されず、今年5月には支持率が半減。秋までに行われる衆議院選で勝利し、自民党総裁選で再選されるには、東京五輪の開催と成功が不可欠となっているのだろう。観客や国内関係者を除いた組織委の感染試算当の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、感染状況をどう予測しているのだろうか。同組織委は6月11日、海外から訪れる選手および関係者の新規感染者数などの試算を公表した。新規感染者数は大会期間中、1日当たり7.7人で、入院はピーク時で11.7人、軽症や無症状による宿泊療養者数は57.6人とした。大会期間中、選手と関係者は計7万7,000人が滞在するとの前提で、過去のイベントによる感染者の発生状況などを踏まえて試算した。これはワクチン接種を考慮しない条件での試算で、実際は大幅に減少する可能性があると組織委は説明する。しかし、都内の観客数はピーク時の7月31日で22万5,000人、大会関係者やボランティアなどを合わせると、大会のために都内に集まる人数は最も多い日で34万人と想定されているにもかかわらず、観客や国内関係者の感染については試算に含まれていない。都合のいい試算と言わざるを得ない。ボランティアなどに実施されないワクチン接種医療人の間から東京五輪中止を求める声が上がる中、医療関連団体では大阪府保険医協会が6月10日、中止を求める声明を発表した。声明ではまず、選手が立ち入るエリアで活動するボランティアには一部を除きワクチン接種が実施されず、送迎を担う運転手はワクチン接種もPCR検査も行われないことが国会の質疑で明らかになった点を指摘した。また、6月9日に国会で行われた党首討論で、東京五輪の開催理由について説明を求められた菅首相は、質問の核心に答えず、1964年の東京オリンピックの思い出話で貴重な党首討論の時間を費やしたことも指摘。さらに、中止の際に科せられるとの違約金や罰金にも言及し、開催中止は国民の命を守ることに直結しており、賠償金と天秤にかけるのは論外と断じた。開催の意義を説明できず、開催した場合のリスクを過小評価している状況で強行するようでは、国民の不安は解消されず、いくら歴史的スポーツの祭典だと持ち上げても心から楽しめるわけがない、というのが開催国に暮らす1人としての偽らざる本音である。

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統合失調症患者における抗精神病薬の剤型と自殺および死亡リスクとの関連

 統合失調症は、死亡リスクが高いことから、最も深刻な精神疾患の1つとして考えられており、この死亡リスクの減少に寄与する方法を明らかにするための研究が行われている。台湾・Bali Psychiatric CenterのCheng-Yi Huang氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)とすべての原因、自然死、自殺による死亡リスクとの関連を調査し、新規統合失調症患者におけるLAIの早期使用の影響について、検討を行った。JAMA Network Open誌2021年5月3日号の報告。 台湾全民健康保険研究データベースを用いて、2002~17年に経口抗精神病薬(OAP)治療を行った統合失調症患者を対象に、人口ベースのコホートを構築した。本コホートにおけるLAI群の定義は、LAIへの切り替え、1年間で4回以上のLAI使用とした。LAI群は、同成分のOAP治療を行った患者と1対1でマッチした。抗精神病薬の投与経路変更、死亡、研究期間終了(2018年末)のいずれか早いほうまで、すべての患者をフォローアップした。データ分析は、2002年1月~2018年12月に実施した。主要アウトカムは、すべての原因による死亡率、自然死死亡率、自殺による死亡率、自殺企図とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は、LAI群2,614例(年齢中央値:30歳、四分位範囲[IQR]:23~39歳)、OAP群2,614例(年齢中央値:30歳、IQR:23~39歳)。両群共に、男性患者の割合は51.0%(1,333例)であった。・16年のフォローアップ期間中(中央値:14年、IQR:10~17年)におけるLAI群のすべての原因による死亡リスク、自然死死亡リスク、自殺企図発生率は、OAP群と比較し低かった。 ●すべての原因による死亡(調整ハザード比[aHR]:0.66、95%CI:0.54~0.81) ●自然死(aHR:0.63、95%CI:0.52~0.76) ●自殺企図(発生率比:0.72、95%CI:0.55~0.93)・OAP開始2年以内にLAIに切り替えた患者では、自殺による死亡リスクが47%低下した(aHR:0.53、95%CI:0.30~0.92)。 著者らは「新規統合失調症患者におけるLAI使用は、すべての原因による死亡リスクや自殺リスクの低下と関連していることが示唆された。さらに、OAP開始2年以内の早期にLAI治療を開始することで、自殺による死亡リスクの低下が期待できる。そのため、新規統合失調症患者に対する初期段階でのLAI使用は、積極的に検討する必要がある」としている。

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片頭痛治療に対するメマンチンの有効性~RCTのメタ解析

 片頭痛患者に対するメマンチンの有効性を評価するため、中国・Wenzhou People's HospitalのZhili Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2021年5月・6月号の報告。 2020年2月までに公表された、片頭痛治療におけるメマンチンとプラセボの効果を比較したランダム化比較試験を、PubMed、EMbase、Web of Science、EBSCO、コクランライブラリーデータベースより検索した。本メタ解析では、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3つのランダム化比較試験をメタ解析に含めた。・全体として、メマンチンによる治療は、1ヵ月当たりの発作頻度、片頭痛日数およびMigraine Disability Assessment(MIDAS:片頭痛の障害評価尺度)スコアの大幅な減少との関連が認められた。 ●発作頻度(平均差[MD]:-2.14、95%信頼区間[CI]:-2.83~-1.46、p<0.00001) ●片頭痛日数(MD:-4.17、95%CI:-6.40~-1.93、p=0.0003) ●MIDASスコア(MD:-5.63、95%CI:-6.46~-4.79、p<0.00001)・一方、急性鎮痛薬への影響は認められなかった(MD:-1.23、95%CI:-4.63~2.17、p=0.48)。 著者らは「片頭痛をコントロールするうえで、メマンチンによる治療は役立つ可能性が示唆された」としている。

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早期乳がん、遺伝子診断を加えたリスク評価で術後内分泌療法も省略可能に?(MINDACT)/ASCO2021

 MammaPrintによるゲノムリスクが超低リスクの患者では、8年時の無遠隔転移生存率(DMFI)が97.0%と非常に高いことが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのJosephine Lopes Cardozo氏が、第III相MINDACT試験から、超低リスク患者の長期生存についての解析結果を報告した。 本試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する第III相無作為化試験。これまでに、臨床リスクが高いがゲノムリスクが低い患者において、化学療法が省略できる可能性があることを示唆する結果が報告されている。・対象:年齢18~70歳、リンパ節転移0~3個、遠隔転移のない切除可能な浸潤性原発乳がん(最大腫瘍径5cm)患者 6,693例※70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)の結果、超低リスク:1,000例(15%)、低リスク:3,295例(49%)、高リスク:2,398例(36%)と報告されている。・評価項目:MammaPrint評価による高リスク/低リスク/超低リスク患者における、5年および8年時のDMFIと乳がん特異的生存率(BCSS)。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は8.7年。・ゲノムリスクが超低リスクと評価された患者では、>50歳:67%、腫瘍径≦2cm:81%、リンパ節転移陰性:80%、Grade 1または2:96%、HR陽性/HER2陰性:97%であった。術後に全身療法を受けなかったのは16%、内分泌療法を受けたのは69%、化学療法を受けたのは14%だった。・超低リスク患者を臨床リスクでみると、高リスクが259例、低リスクが741例。臨床リスク高の患者は腫瘍径が大きく、Gradeが高く、リンパ節転移陽性の傾向がみられた。・5年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:98.1%(95%信頼区間[CI]:97.2~99.0)、低リスク:97.5%(97.0~98.1)、高リスク:92.5%(91.4~93.6)だった(p<0.0001)。・8年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:97.0%(95.8~98.1)、低リスク:94.5%(93.6~95.3)、高リスク:89.2%(87.9~90.5)だった(p<0.0001)。・臨床病理学的特性および治療特性で調整後のDMFIのハザード比は、超低リスク vs.低リスク:0.65(0.45~0.94)、高リスク vs.低リスク:2.17(1.68~2.80)であった。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化して8年時のDMFIをみると、やや差がみられた(臨床リスク低:97.6%[96.4~98.8]、臨床リスク高:95.0%[92.3~97.8]、p=0.02)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について術後に受けた治療で層別化して8年時のDMFIをみると、全身療法なし:97.8%(95.3~100)、内分泌療法のみ:97.4%(96.1~98.7)、化学療法±内分泌療法:94.9%(94.4~98.7)だった(p=0.37)。臨床病理学的特性で調整後のDMFIのハザード比は、化学療法あり vs.化学療法なし:0.98(0.37~2.61)、内分泌療法あり vs. 内分泌療法なし:0.59(95%CI:0.27~2.13)だった。・8年時のBCSSは、ゲノムリスクの超低リスク:99.6%(99.1~100)、低リスク:98.2%(97.7~98.7)、高リスク:93.7%(92.6~94.7)だった(p<0.0001)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化してBCSSをみると、差はみられなかった(臨床リスク低:99.7%[99.3~100]、臨床リスク高:99.2%[98.0~100]、p=0.96)。 演者のCardozo氏は、MammaPrintによる評価で超低リスクとなった患者では、臨床リスクによらず8年BCSSが99%を超え、8年DMFIが95~98%という優れた予後を示したとまとめ、超低リスク患者は治療のさらなるde-escalationが可能な候補者であるとした。ディスカッサントを務めたフランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏は、本解析だけでは症例数が少ないが、ゲノムリスクが超低リスクかつ臨床リスクが低リスクの患者については術後内分泌療法を省略できる可能性があるとして、より詳細な研究が必要と述べた。

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「リモート医事(iisy)」で医療事務作業を改善/ソラスト

 医療事務受託サービスを展開する株式会社ソラストは、医療従事者の業務負担の軽減や患者の待ち時間短縮など、これからの時代に即した医療DX(Digital Transformation)パッケージ「リモート医事(iisy)」に関するメディア発表会をオンラインで行った。 今回発表された「リモート医事」は、医療機関の医療事務作業を“リモートセンター”からリアルタイムにサポートするサービスであり、医療事務だけでなく、「診療サポート」「経営支援」「ITサポート」を包括的にDX化して支援する。iisyのリモート医事サービスで現場の負担を軽減する はじめに同社の代表取締役社長の藤河 芳一氏が、会社概要の説明とともに「リモート医事」について、これから日本が直面する労働人口減少社会でのDX化が医療機関の直面する課題であり、これらに対応するために開発を行ったと経緯を説明。「今回の製品“iisy”は最初のステップであり、将来的には『医療・介護のデータビジネス』へステップアップしていきたい」と今後の展望を述べた。 続いて、「リモート医事サービス」について大島 健太郎氏(同社スマートホスピタル開発部長)が概要を説明した。 医療事務の仕事は、受付からはじまり料金計算、会計、レセプト請求処理、カルテ管理など多岐にわたる。リモート医事サービスは、これらの業務をオンラインで集約化して、スタッフの生産性の向上をはかることができるという。 iisyのリモート医事サービスは主に診療所や中小病院を対象とし、リモート医事センターのスタッフがオンラインで「予約、問い合わせ対応、受付処理、料金計算、レセプト事務」を行うもので、患者あたりの従量制の料金が予定されている。また、セキュリティではISMS/ISO27001認証取得と関係する省庁の2つのガイドラインに準拠した環境でのサービスが提供される。 リモート医事のメリットとして、医療事務では「専門性の向上」「デジタルへの移行」、医師・看護師では「本来業務への集中」「労務管理の軽減」、患者では「接遇が厚くなる」「院内滞在時間の短縮」などがあげられる。サービスの提供開始は、本年6月から提供され、本格的な展開は10月を予定している。すでに実証試験を行ったクリニックでの結果は良好だったという。 大島氏は最後に「本年は100医療機関の導入を目指す」と抱負を語った。なお、iisyのリモート医事サービスの展開では、協働先としてソフトバンク、名古屋大学医学部附属病院、日本医師会なども名を連ねている。

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抗HER3-ADC薬、治療抵抗性EGFR変異NSCLCに有望/ASCO2021

 前治療としてのTKIやプラチナ製剤に抵抗性となったEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるPatritumab-Deruxtecan(HER3-ADC)は、新規治療薬として有望であるとの発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのPasi A. Janne氏よりなされた。  HER3-ADCのNSCLCでの推奨用量は第I相試験で5.6mg/kgとされた。今回は第I相試験用量拡大パートの報告である。 ・対象:オシメルチニブを含むEGFR-TKIとプラチナ製剤の治療を受け抵抗性となったEGFR変異陽性NSCLC81例・介入:HER3-ADC 5.6mg/kg投与57例と3.2~6.4mg/kg投与24例(脳転移の有無は問わず)・評価項目:[有効性評価項目]全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、奏効とHER3発現の関連など[安全性評価項目]全有害事象(TAE)、治療関連有害事象 有効性解析は57例を、安全性評価は81例を対象とした。  主な結果は以下のとおり。 ・患者背景は、年齢中央値65歳、脳転移あり47%、前治療の中央値は4ライン(オシメルチニブの投与は86%、プラチナ製剤投与は91%、免疫チェックポイント阻害剤既治療は40%)であった。・観察期間中央値10.2ヵ月(データカットオフ:2020年9月)時点でのORRは39%(CR1例)で、DCRは72%であった。・PFS中央値は8.2ヵ月で、奏効期間中央値は6.9ヵ月であった。・脳転移あり症例のORRは32%、PFS中央値8.2ヵ月、脳転移なし症例のORRは41%、PFSは8.3ヵ月と、脳転移の有無とは関連がみられなかった。・抗腫瘍効果は、EGFR変異や他遺伝子の変異を問わず認められた。・HER3発現とORRの間には相関は認められなかった。・Grade3以上の全有害事象は、血小板減少、好中球減少、倦怠感、貧血などで、治療関連死は無かった。治療関連の間質性肺疾患は全症例のうち5%に発現したが、Grade4/5はなかった。  発表者は「本剤は、臨床的に意味のある有効性を示しており、忍容性も確認された。他のNCSLCの治験も進行中である」と結んだ。

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進行上咽頭がん、化学放射線療法後のカペシタビンによるメトロノーム療法でFFS改善/Lancet

 ハイリスク局所進行上咽頭がんにおいて、根治的化学放射線療法実施後に遠隔転移のない患者に対し、メトロノーム投与法による経口カペシタビンによるアジュバント療法を1年間行うことで、転移のない3年治療成功生存率(failure-free survival)を有意に改善したことが、中国・中山大学がんセンターのYu-Pei Chen氏らが400例超を対象に行った、第III相無作為化比較試験の結果、示された。局所進行上咽頭がん患者においては標準治療後、完全奏効を得る患者の割合が高いにもかかわらず再発のリスクが高く、効果的なアジュバント療法が切望されている。Lancet誌オンライン版2021年6月4日号掲載の報告。カペシタビン経口メトロノーム療法を1年間行い、治療成功生存率を評価 研究グループは2017年1月25日~2018年10月25日に、中国の14病院で、組織学的に確認されたハイリスク局所進行上咽頭がん(StageIII/IVA、T3/4N0とT3N1は除外)で、根治的化学放射線療法実施後に局所領域疾患や遠隔転移のない18~65歳の患者を対象に試験を実施した。被験者は、ECOG PSは0/1で、血液・腎・肝機能はいずれも十分で、無作為化時点で最終放射線治療を受けてから12~16週間経過していた。 被験者を2群に分け、一方にはメトロノーム投与による経口カペシタビン療法(650mg/m2体表面積、1日2回、1年間)を行い(カペシタビン経口メトロノーム療法群)、もう一方は経過観察を行った(標準治療群)。無作為化はコンピュータ生成法にて行い(4サイズブロック法)、試験センターや導入化学療法実施の有無により層別化した。 主要評価項目は、治療成功生存率(無作為化から再発[遠隔転移または局所再発]または全死因死亡までの期間と定義)で、ITT集団により解析した。 安全性は、カペシタビンを1回以上投与または観察が開始されていた全患者について評価した。3年治療成功生存率、標準治療群76%に対しカペシタビン群85% 被験者数は406例で、カペシタビン経口メトロノーム療法群は204例、標準治療群は202例だった。 中央値38ヵ月(四分位範囲:33~42)の追跡期間中、再発または死亡はカペシタビン経口メトロノーム療法群29例(14%)に対し、標準治療群53例(26%)だった。 3年治療成功生存率は、標準治療群75.7%(95%信頼区間[CI]:69.9~81.9)に対しカペシタビン経口メトロノーム療法群は85.3%(80.4~90.6)と有意に高率で、層別ハザード比は0.50(95%CI:0.32~0.79、p=0.0023)だった。 Grade3の有害事象は、カペシタビン経口メトロノーム療法群35/201例(17%)、標準治療群11/200例(6%)で報告された。カペシタビン経口メトロノーム療法に関連する有害事象で最も頻度が高かったのは手足症候群で、18例(9%)にGrade3の症状が認められた。Grade4の好中球減少症の発生は、カペシタビン経口メトロノーム療法群の1例(1%未満)のみだった。治療関連の死亡は両群共に報告されなかった。 著者は、「これらの結果は、上咽頭がんのアジュバント療法として、カペシタビン経口メトロノーム療法を潜在的に支持するものであった」とまとめている。

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