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経口rimegepantに片頭痛の予防治療効果を確認/Lancet(解説:中川原譲二氏)-1387

 経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬rimegepantは、すでに急性期治療における有効性と安全性が確認されているが、著者らは新たに、片頭痛の予防治療におけるrimegepantの有効性を検討した。多施設二重盲検プラセボ対照無作為化第II/III相試験 片頭痛の予防治療におけるrimegepantの有効性の評価を目的とする多施設二重盲検プラセボ対照無作為化第II/III相試験が、米国の92施設で行われた。対象は、1年以上持続する片頭痛を有する成人が登録された。被験者は、4週間の観察期の後、経口rimegepant 75mg、またはプラセボを隔日投与する群に無作為に割り付けられた(12週間の治療期)。 有効性の主要エンドポイントは、4週間の観察期から、治療期の最後の4週間(第9~12週)における、片頭痛の平均日数/月の変化とした。有効性の解析は、試験薬の投与を1回以上受け、観察期のデータが14日以上あり、二重盲検下治療期における4週間ごとの3つの期間の少なくとも1つで14日以上のデータがある参加者で行われた。安全性の解析は、試験薬の投与を1回以上受けた参加者で行われた。月当たりの発症日数が4.3日減少 2018年11月~2019年8月の期間に1,591人の患者が登録され、747例(rimegepant群373例、プラセボ群374例)が無作為化され、このうち有効性解析には695例(348例、347例)が含まれた。rimegepantは、有効性の主要エンドポイントにおいて、プラセボ群よりも優れていた。4週間の観察期から治療期の第9~12週における片頭痛の平均日数/月の変化は、rimegepant群が-4.3日(95%信頼区間[CI]:-4.8~-3.9)と、プラセボ群の-3.5日(-4.0~-3.0)に比べ有意に優れていた(最小二乗平均[LSM]の差:-0.8日、95%CI:-1.46~-0.20、p=0.0099)。741例の安全性解析では、rimegepant群の370例中133例(36%)、プラセボ群の371例中133例(36%)で有害事象が報告された。rimegepant群の7例(2%)およびプラセボ群の4例(1%)で、有害事象による試験中止が報告されたが、死亡例はなかった。経口rimegepantに片頭痛の予防治療効果を確認 本研究により、隔日投与のrimegepantは、片頭痛の予防治療においても有効であることが判明した。また、忍容性はプラセボと同程度であり、予期せぬ事象や有害な安全性事象も認められなかった。 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした片頭痛治療薬の臨床効果は、片頭痛の病因や治療戦略を考えるうえで、重要な役割を果たしている。米国では、3つのCGRPリガンドに対する抗体(fremanezumab、ガルカネズマブ、eptinezumab)とCGRP受容体に対する抗体(erenumab)が、片頭痛の予防治療薬として承認されている。また、2つの小分子CGRP受容体拮抗薬(ubrogepant、rimegepant)が、片頭痛の急性期治療薬として承認されている。今回、経口rimegepantに片頭痛の予防治療効果が確認されたことは、片頭痛患者の治療において、薬剤選択の幅を広げるものとして注目され、国内での治験・承認が待たれる。

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ケアネットDVD 2021年6月以降のお取り扱い商品につきまして【2024年3月14日 更新】

DVDインデックスページへ戻る日頃よりケアネットDVDをご愛顧いただきありがとうございます。このたび弊社では、ケアネットDVDの個人向けの販売方法を変更する運びとなりました。2021年6月以降につきましては、Amazon.co.jpにて販売させていただきます。なお、一部商品につきましてはDVD販売が終了となるものもございますので、詳細は下記をご参照ください。DVD販売が終了した商品も、臨床医学チャンネル『CareNeTV』にて引き続きオンデマンド配信(有料)を行っておりますので、こちらをぜひご利用ください。今後ともCareNeTV、ケアネットDVDをご愛顧のほどお願い申し上げます。本件に関する問い合わせは、お問い合わせフォーム までお願いいたします。※下記の一覧は、2024年3月14日時点のものです。※販売を継続するタイトル一覧にある商品でも、弊社の在庫がなくなりしだい販売終了となる場合がございます。何卒ご了承ください。販売を継続するタイトル  販売を終了するタイトル販売を継続するタイトルCND0002 平本式 皮膚科虎の巻<上巻>CND0003 平本式 皮膚科虎の巻<下巻>CND0008 Dr.東田の今さら聞けない病態生理<上巻>CND0009 Dr.東田の今さら聞けない病態生理<下巻>CND0010 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第1巻>CND0011 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第2巻>CND0012 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第3巻>CND0013 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第4巻>CND0014 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第5巻>CND0015 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第6巻>CND0019 チャレンジ!超音波走査<上巻>CND0020 チャレンジ!超音波走査<下巻>CND0028 マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>CND0030 マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>CND0033 骨太!Dr.仲田のダイナミック整形外科<下巻>CND0039 Dr.林の笑劇的救急問答 1 <上巻>CND0044 もう迷わない!好きになる心電図<下巻>CND0045 Dr.岩田の感染症アップグレード<第1巻>CND0046 Dr.岩田の感染症アップグレード<第2巻>CND0047 Dr.岩田の感染症アップグレード<第3巻>CND0048 Dr.岩田の感染症アップグレード<第4巻>CND0049 Dr.さわやまの心音道場<上巻>CND0052 Step By Step!初期診療アプローチ<第1巻>/疼痛(前編)CND0053 Step By Step!初期診療アプローチ<第2巻>/疼痛(後編)CND0054 Dr.古谷の実践!ザ・診察教室<上巻>CND0055 Dr.古谷の実践!ザ・診察教室<下巻>CND0056 Dr.林の笑劇的救急問答 2 <上巻>CND0057 Dr.林の笑劇的救急問答 2 <下巻>CND0058 Dr.林の笑劇的救急問答 3 <上巻>CND0059 Dr.林の笑劇的救急問答 3 <下巻>CND0060 "の"の字2回走査法で出来る!超音波手技大原則<第1巻>CND0061 "の"の字2回走査法で出来る!超音波手技大原則<第2巻>CND0063 mの字走査法で出来る!乳腺超音波手技大原則CND0064 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第1巻>CND0065 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第2巻>CND0066 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第3巻>CND0067 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第4巻>CND0068 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第5巻>CND0071 Step By Step!初期診療アプローチ<第3巻>/神経(前編)CND0072 Step By Step!初期診療アプローチ<第4巻>/神経(後編)CND0082 Dr.夏井の創傷治療大革命CND0088 Dr.岸本の関節ワザ大全<第1巻>CND0089 Dr.岸本の関節ワザ大全<第2巻>CND0090 Dr.岸本の関節ワザ大全<第3巻>CND0101 Dr.須藤のやりなおし輸液塾<上巻>CND0102 Dr.須藤のやりなおし輸液塾<下巻>CND0103 Step By Step!初期診療アプローチ<第5巻>/呼吸器CND0104 Step By Step!初期診療アプローチ<第6巻>/消化器CND0105 Dr.林の笑劇的救急問答 4 <上巻>CND0106 Dr.林の笑劇的救急問答 4 <下巻>CND0107 Dr.鈴木の眼底検査完全マスターCND0114 内科医のための精神科的対応“自由自在”<上巻>CND0115 内科医のための精神科的対応“自由自在”<下巻>CND0123 Step By Step!初期診療アプローチ<第7巻>/マイナー症候CND0129 Dr.林の笑劇的救急問答 5 <上巻>CND0130 Dr.林の笑劇的救急問答 5 <下巻>CND0134 出直し看護塾<第1巻>CND0135 出直し看護塾<第2巻>CND0140 Dr.坂根のなるほど!納得!ダイエット!CND0143 ワクワク ! 臨床英会話<上巻>CND0144 ワクワク ! 臨床英会話<下巻>CND0150 Dr.林の笑劇的救急問答 6 <上巻>CND0151 Dr.林の笑劇的救急問答 6 <下巻>CND0154 聖路加GENERAL 【心療内科】CND0155 聖路加GENERAL 【神経内科】CND0156 聖路加GENERAL 【がん検診】CND0157 聖路加GENERAL 【一般診療に役立つ腫瘍内科学】CND0158 聖路加GENERAL 【内分泌疾患】<上巻>CND0159 聖路加GENERAL 【内分泌疾患】<下巻>CND0161 人のハいで読める! 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CND0262 Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)CND0263 Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(下巻)CND0265 Dr.林の笑劇的救急問答 13<上巻>CND0266 Dr.林の笑劇的救急問答 13<下巻>CND0267 Dr.徳田のすぐできるフィジカル超実技CND0268 プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!【整形外科編】CND0269 Dr.志賀のパーフェクト!基本手技 CND0270 志水太郎の診断戦略エッセンス CND0271 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.1CND0272 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2CND0273 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.3CND0274 Dr.長尾の胸部X線クイズ 初級編 CND0275 Dr.長尾の胸部X線クイズ 中級編 CND0276 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.1CND0277 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.2CND0278 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.3CND0279 Dr.小松のとことん病歴ゼミCND0282 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上下巻2枚組)CND0283 肩腰膝の痛みをとる Dr.究のあなたもできるトリガーポイント注射 CND0284 Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡 CND0285 Dr.長尾の胸部X線クイズ 上級編 CND0286 志水太郎の診断戦略ケーススタディCND0287 Dr.林の笑劇的救急問答 14<上巻>CND0288 Dr.たけしの本当にスゴい高齢者身体診察CND0289 プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】CND0290 Dr.安部の皮膚科クイズ 初級編CND0291 Dr.林の笑劇的救急問答14<下巻>CND0292 毎日使える 街場の血液学CND0293 Dr.白石のLet's エコー 運動器編CND0294 一発診断CND0295 Dr.林の笑劇的救急問答15<上巻>CND0296 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 医療関連感染症編CND0297 Dr.飯島の在宅整形CND0298 岡田正人のアレルギーLIVECND0299 Dr.皿谷の肺音聴取道場CND0300 Dr.林の笑劇的救急問答15<下巻>CND0301 Dr.増井の心電図ハンティングCND0302 Dr.長門の5分間ワクチン学CND0303 Dr.安部の皮膚科クイズ 中級編CND0304 プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!【糖尿病・内分泌疾患編】CND0305 Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルトCND0306 Dr.飯村の英語の発音が劇的に変わるトレーニングCND0307 Dr.田中和豊の血液検査指南 総論・血算編CND0308 脳血管内治療STANDARDCND0309 Dr.林の笑劇的救急問答16<上巻> 肺炎編CND0310 Dr.安部の皮膚科クイズ 上級編CND0311 Dr.須藤の輸液大盤解説CND0312 総合内科専門医試験オールスターレクチャー アレルギーCND0313 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 血液CND0314 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器CND0315 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経CND0316 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 内分泌・代謝CND0318 Dr.林の笑劇的救急問答16<下巻> 皮膚科救急編CNPA003 Dr.東田の病態生理学 自由自在!【糖尿病編】CNPA004 Dr.東田の病態生理学 自由自在!【循環器編】1CNPA005 Dr.東田の病態生理学 自由自在!【循環器編】2ページTOPへ販売を終了するタイトルCND0006 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ/高脂血症篇 <上巻>CND0007 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ/高脂血症篇 <下巻>CND0026 Dr.箕輪の実戦救急指南CND0027 実践!Dr.鳥谷部の How to ラップ療法-注目の新しい褥創治療-CND0029 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ <ルーチンの落とし穴>CND0032 骨太!Dr.仲田のダイナミック整形外科<上巻>CND0035 激辛!伊賀流心臓塾<第2巻>CND0036 激辛!伊賀流心臓塾<第3巻>CND0037 小三J読影法でわかる!Dr.佐藤の胸部写真の楽しみ方<上巻>CND0038 小三J読影法でわかる!Dr.佐藤の胸部写真の楽しみ方<下巻>CND0041 みんなの症候診断<上巻>CND0042 みんなの症候診断<下巻>CND0043 もう迷わない!好きになる心電図<上巻>CND0050 Dr.さわやまの心音道場<下巻>CND0051 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ <必ず遭遇する壁>CND0062 "の"の字2回走査法で出来る!超音波手技大原則<第3巻>CND0069 亀井道場スーパーライブ 臨床呼吸器ブラッシュアップ<上巻>CND0070 亀井道場スーパーライブ 臨床呼吸器ブラッシュアップ<下巻>CND0073 Dr.岩田のスーパー大回診<上巻>CND0074 Dr.岩田のスーパー大回診<下巻>CND0077 褥創治療最前線!Dr.鳥谷部の超ラップ療法CND0078 激辛!伊賀流心臓塾<第4巻>CND0079 ケイコ先生の肺ガン読影講座CND0081 ジェネラリストのための他科診療エッセンスQ&A II―整形外科、心療内科CND0083 Dr.岡田のアレルギー疾患大原則<第1巻>CND0084 Dr.岡田のアレルギー疾患大原則<第2巻>CND0085 Dr.岡田のアレルギー疾患大原則<第3巻>CND0086 Dr.齋藤のハワイ大学式スーパートレーニング<上巻>CND0087 Dr.齋藤のハワイ大学式スーパートレーニング<下巻>CND0091 ジェネラリストのための内科外来Q&A -不整脈-CND0092 ジェネラリストのための内科外来Q&A -脳梗塞-CND0093 ジェネラリストのための内科外来Q&A -腎疾患-CND0094 ジェネラリストのための内科外来Q&A -消化性潰瘍-CND0095 カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>CND0096 カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>CND0097 Dr.須藤のビジュアル診断学<第1巻>CND0098 Dr.須藤のビジュアル診断学<第2巻>CND0099 Dr.須藤のビジュアル診断学<第3巻>CND0108 USA発!関節X線ASBCD<上巻>CND0109 USA発!関節X線ASBCD<下巻>CND0110 Dr.岡田の膠原病大原則<第1巻>CND0111 Dr.岡田の膠原病大原則<第2巻>CND0112 Dr.岡田の膠原病大原則<第3巻>CND0113 一般医療機関における暴言・暴力の予防と対策CND0116 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第1巻>CND0117 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第2巻>CND0118 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第3巻>CND0119 T&A 動きながら考える救急初療<上巻>CND0120 T&A 動きながら考える救急初療<下巻>CND0124 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第1巻>CND0125 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第2巻>CND0126 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第3巻>CND0127 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第4巻>CND0128 Dr.岡田のみんなの関節リウマチ診療CND0131 リウマチ膠原病セミナー<第1巻>CND0132 リウマチ膠原病セミナー<第2巻>CND0133 リウマチ膠原病セミナー<第3巻>CND0138 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第4巻>CND0139 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第5巻>CND0141 Dr.能登のもう迷わない!臨床統計ここが知りたい!!<上巻>CND0142 Dr.能登のもう迷わない!臨床統計ここが知りたい!!<下巻>CND0145 外傷治療ベーシックCND0146 Dr.安田のクリアカット腎臓学<上巻>CND0147 Dr.安田のクリアカット腎臓学<下巻>CND0152 北米式☆プレゼンテーション上達ライブCND0153 北米式臨床力強化プログラム Vol.1CND0160 プライマリケアでよく見る精神症状の診方と対応のコツCND0163 Dr.中野のこどものみかたNEOCND0166 リウマチ膠原病セミナー<第4巻>CND0172 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第6巻>CND0182 激辛!伊賀流心臓塾<第1巻> 増補改訂版CND0194 さわやま流 音楽的聴診術<上巻>CND0195 さわやま流 音楽的聴診術<下巻>CND0199 Dr.山中の攻める問診<上巻>CND0200 Dr.山中の攻める問診<下巻>CND0201 CliPS -Clinical Presentation Stadium- @TOKYO2013CND0204 Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術CND0209 Dr.ハギーの関節リウマチ手とり足とり<早期介入編>CND0210 Dr.ハギーの関節リウマチ手とり足とり<長期罹患編>CND0215 ひと・身体をみる認知症医療CND0219 Dr.山田のゆるい糖質制限 -医学的根拠と実践方法-CND0234 Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療CND0241 総合内科専門医試験対策 【アップデート問題はココが出る!】 2016CND0242 総合内科専門医試験対策 【“苦手”科目をクイック復習】 2016CND0254 無敵の研修医ストレスマネジメントCND0255 長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.1CND0256 長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.2CND0257 長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3CND0264 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017(2枚組)CND0280 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上巻) CND0281 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(下巻)ページTOPへ

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OTC薬の自動販売機が来年にも登場!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第67回

一般用医薬品を購入する場所というと、当然のように薬局やドラッグストア、最近ではインターネットやコンビニエンスストアなどが挙がりますが、来年には新たな販売チャネルが登場しそうです。政府内閣官房がOTC薬の「自動販売機」による販売を後押しすることになった。現在進行形のOTC薬に絡む規制緩和策は、規制改革推進会議が店舗における専門家の販売時間を規定した、いわゆる「2分の1ルールの撤廃」とテレビ電話などの「情報通信機器を活用した販売の認可」の2点。規制の「サンドボックス制度」(新技術等実証制度)に基づき、大正製薬が参画。厚生労働省は「容認」する方向で、すでに実証計画を詰め、2022年にはスタートする予定だ。OTC薬の自販機販売は話題性、インパクトともに十分で、さらなる規制緩和に向けた世論を惹起しそうだ。(2021年4月21日付 RISFAX)「サンドボックス制度」とは、参加者や期間を限定することで、新しい技術などの実証を迅速に実施し、実証で得られた情報・資料を活用できるようにする制度です。緩和される制度の1つである「2分の1ルール」はご存じの方も多いと思いますが、店舗での販売時間の規定です。一般用医薬品を販売するに当たっては、保健衛生上支障が生じることがないように、現状は薬剤師または登録販売者が店舗内に常駐して対応することが求められています。その中で、医薬品の相談を受けて対応できる時間を十分確保するという意味で、医薬品の相談を受けられる時間(資格者が店舗内にいる時間)が対応できない時間(資格者が店舗内にいない時間)を上回ることが条件とされており、これをいわゆる「2分の1ルール」と呼んでいます。「2分の1ルール」を守るためには、多くの資格者を抱える必要がありますので、一般用医薬品の販売ができる店舗を増やしたいコンビニエンスストア業界が「2分の1ルール」の撤廃を求め、逆に資格者を多く抱える薬局やドラッグストア業界は規制緩和に反対してきました。OTC自動販売機は店舗と一体で営業時間中のみ2つ目の「情報通信機器を活用した販売の認可」によって登場するのは、まさかの一般用医薬品の自動販売機です。これにより、大正製薬が第2類と第3類の一般用医薬品を販売する自動販売機(以下、OTC販売機)を品川駅の改札内に設置すると報じられています。あくまでも実証実験ということになりますが、インパクトはかなり大きいですよね。本制度の概要は、以下のとおりです。【許認可について】所轄の都道府県などの保健所に、店舗販売業の変更(駅改札内に開設済みのドラッグストアの店舗の一部としてOTC販売機を設置)の届出を行い、許可を得る。【販売場所、販売する品目について】OTC販売機から店舗を視認可能で、容易に店舗へ誘導可能な場所に設置する。OTC販売機と一体である店舗の営業時間中のみ、第2類医薬品および第3類医薬品の販売を行う。【販売方法について】(1)OTC販売機を通じて、購入希望者への確認を行う。情報提供を要する場合、年齢、販売個数などの条件を満たさない場合は、店舗に誘導して店舗で販売する。資格者が設定した条件を満たす場合は、購入決定画面に移行する。(2)購入希望者が購入決定ボタンを選択した後、資格者の勤務する店舗のPCなどに通知され、確認して販売しても問題ないと判断した場合は「販売可」ボタンを押すことで、OTC販売機上で決済が可能となる。販売記録は情報端末上のシステムにすべて保存され、店舗の資格者が随時確認できる。本実証においては、OTC販売機は店舗の一部であり、店舗には資格者がいるため、薬機法には抵触しないとされています。OTC販売機と店舗が一体的である必要があり、店舗の営業時間中のみ利用可、といった縛りはありますが、まずはこの実証において医薬品の管理と販売の安全性が担保できると証明されたら、OTC販売機の設置が店舗の一部ではない場合という次のステップに移行するのでは?と思っています。本制度において、一般用医薬品の販売に関する実証計画を認定するのはこれが初めてとのことです。OTC販売機によって一般用医薬品を入手しやすくなり、セルフメディケーションの意識に影響するのでしょうか。実証期間は3ヵ月程度とされており、どのような結果が出るのか楽しみにしたいと思います。

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リンヴォック:さまざまな患者の治療選択肢となる経口tsDMARD

関節リウマチ治療におけるT2Tの実践と課題関節リウマチ治療は、長期的なQOL改善につながる「臨床的寛解」を目標(Target)として設定し、これに向けて治療(Treat)を最適化する戦略、Treat to Target(T2T)が推奨されている1)。具体的には、疾患活動性を評価しながら薬物治療を見直し、適切な治療方針を検討することが勧められる。近年、臨床的寛解の達成率は上昇しているが、いまだ達成に至らない患者も多い2)。こういった患者に対し、新たに選択肢となる治療薬が求められている。JAK阻害薬「リンヴォック」関節リウマチ治療薬には、従来型合成抗リウマチ薬(csDMARD)、生物学的製剤(bDMARD)、分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARD)などがある。リンヴォック(一般名:ウパダシチニブ)は、炎症性サイトカインに関わるヤヌスキナーゼ(JAK)、とくにJAK1を強く阻害する経口のtsDMARDであり、新しい治療選択肢の1つとなっている。6つの大規模臨床試験で効果を検証リンヴォックは、中等症~重症の活動性関節リウマチ患者計4,500例以上を対象とした6つのSELECT試験により、有効性、安全性が検討された。有効性は、主に米国リウマチ学会基準の20%、50%の改善率(ACR20、ACR50)と、28関節の疾患活動性スコア(DAS28)に基づいて評価された。SELECT-COMPARE試験:MTX(メトトレキサート)で効果不十分な患者に対し、リンヴォック15mgとMTXを併用し(リンヴォック群)、プラセボ群およびアダリムマブ群と比較した。「ACR20改善率(12週時)」は70.5%(プラセボ群36.4%)、「DAS28(CRP)<2.6に基づく臨床的寛解達成率(12週時)」は28.7%(プラセボ群6.1%)であり、いずれもリンヴォック群の優越性が検証された(p<0.001)。また、「ACR50改善率(12週時)」は45.2%(アダリムマブ群29.1%)であり、リンヴォック群の優越性が示された(p<0.001)。主な有害事象は、上気道感染(5.7%)、鼻咽頭炎(5.5%)、気管支炎(4.6%)などであった(26週時)。SELECT-MONOTHERAPY試験※:MTXで効果不十分な患者に対し、リンヴォック15mgを単独投与し(リンヴォック群)、MTX群と比較した。「ACR20改善率(14週時)」は67.7%(MTX群41.2%)、「DAS28(CRP)≦3.2に基づく低疾患活動性達成率(14週時)」は44.7%(MTX群19.4%)であり、いずれもリンヴォック群の優越性が検証された(p<0.001)。主な有害事象は、尿路感染および上気道感染(各4.1%)などであった(14週時)。SELECT-SUNRISE試験※:csDMARDで効果不十分な患者に対し、リンヴォック7.5mg、15mgとcsDMARDを併用し(リンヴォック群)、プラセボ群と比較した。「ACR20改善率(12週時)」は、7.5mg群、15mg群でそれぞれ75.5%、83.7%(プラセボ群42.9%)であり、リンヴォック群の優越性が検証された(p<0.001)。7.5mg群の主な有害事象は、鼻咽頭炎(10.2%)、口内炎および高血圧(各6.1%)、15mg群は、鼻咽頭炎(12.2%)、肝機能検査値上昇(6.1%)などであった(12週時)。このほかにも、SELECT-NEXT試験(csDMARDで効果不十分な患者に対し、csDMARD併用下での効果をプラセボと比較)、SELECT-BEYOND試験(bDMARDで効果不十分・不耐容の患者に対し、csDMARD併用下での効果をプラセボと比較)、SELECT-EARLY試験※(MTX未治療の患者に対し、単独投与での効果をMTXと比較)が実施され、効果が検証されている。※日本人患者を含む試験(SELECT-SUNRISEは国内試験)リンヴォックへの期待SELECT試験は、臨床におけるさまざまな患者像を想定したデザインで実施された。いずれの試験でも有効性、安全性が示されたことで、リンヴォックが多くの患者に使用できる有用な選択肢になると考えられる。また、『関節リウマチ診療ガイドライン3)』の改訂により、今後JAK阻害薬の使用機会増加が予想される。各JAK阻害薬の特徴による違いも含め、実臨床での使用データが蓄積することで、リンヴォックが適する患者像はより明確になっていくだろう。新たな選択肢の登場により、1人でも多くの患者が臨床的寛解を達成することを期待したい。1)Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis. 2016;75:3-15.2)Yamanaka H, et al. Mod Rheumatol. 2020;30:1-6.3)日本リウマチ学会. 関節リウマチ診療ガイドライン2020

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第59回 新型コロナウイルスの配列が感染細胞ゲノムに紛れ込む?

なんとも不気味で良いのか悪いのか現時点ではわかりませんが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ゲノム配列は場合によるとレトロトランスポゾンの働きでヒト感染細胞のゲノムに紛れ込めるようです1)。ヒトゲノムに存在する可動領域・レトロトランスポゾンはほとんどの細胞で発現が抑制されています。しかし、SARS-CoV-2を含むコロナウイルスに感染した細胞ではレトロトランスポゾンの発現が亢進します2)。RNAウイルスの幾つかはそのレトロトランスポゾンに繋がり、連れ立って感染細胞のゲノムに収まりうることが10年以上前から示唆されています3,4)。そして最近の研究によるとSARS-CoV-2のゲノム(RNA鎖)の断片もレトロトランスポゾンと連結可能です2)。SARS-CoV-2のゲノム断片は数あるレトロトランスポゾンの1つ・LINE1ととくに融合体(キメラ)を形成しやすく2)、LINE1を過剰発現したヒト細胞にSARS-CoV-2を感染させたところSARS-CoV-2のゲノム配列が感染細胞のゲノムから検出されました5)。すなわちSARS-CoV-2のRNAゲノムの一部はLINE1が過剰発現しているとDNAに置き換わってヒトゲノムに紛れ込めるようです。これらの結果は培養細胞での実験に基づくものです。今後の課題として感染患者の細胞ではどうなのかを検討する必要があります。そのような研究で感染者のゲノムからSARS-CoV-2のゲノム配列が確かに検出されたら次はその意義が調べられるでしょう。たとえばヒトゲノムに紛れ込んだSARS-CoV-2ゲノムの欠片は感染患者に認められている自己免疫病態・ギラン・バレー症候群6)などの長引く後遺症の引き金になっているのかもしれません5)。一方、悪いことばかりではなさそうで、ヒトゲノムに納まったウイルスDNAは感染防御を引き出してくれる可能性があります。20年以上前のNatureに掲載された報告ではリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のRNAがDNAに置き換わってマウス体内に長く存在し続けることが示されており、著者はそういうウイルス起源DNAがワクチンのような働きをするのではないかと推測しています7)。もしヒトゲノムに統合されたSARS-CoV-2の配列が発現して抗原の役割を担うなら免疫が絶えず刺激され続けて感染防御の砦を築けるかもしれません5)。しかしそれは諸刃の剣で、上述したような自己免疫疾患などの事態の火種になる恐れもあります。参考1)Further evidence supports controversial claim that SARS-CoV-2 genes can integrate with human DNA / Science.2)Yin Y,et al.Front Cell Infect Microbiol.2021 Feb 25;11:609160.[Epub ahead of print]3)Horie M,et al. Nature. 2010 Jan 7;463:84-7.4)Geuking MB, et al.Science.2009 Jan 16;323:393-6.5)Zhang L, et al.Proc Natl Acad Sci USA.2021 May 25;118:e2105968118.[Epub ahead of print]6)Dalakas MC,et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2020 Jun 9;7:e781.[Epub ahead of print]7)Klenerman P, et al. Nature. 1997 Nov 20;390:298-301.

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AZ製ワクチン後の血栓症、発症者の臨床的特徴/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するChAdOx1 nCoV-19ワクチン(アストラゼネカ製)の接種により、因果関係は確定されていないものの、血液凝固異常(主に脳静脈血栓症と血小板減少症)に関連する、まれだが重篤な有害事象が引き起こされる可能性が示唆されている。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのMarie Scully氏らは、同ワクチン接種後に、ヘパリン療法の有無とは無関係に、血小板第4因子(PF4)依存性症候群が発現する可能性を示し、このまれな症候群の迅速な同定は、治療との関連で重要であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年4月16日号に掲載された。23例の1回接種後の臨床的特徴、検査値を評価 研究グループは、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後6~24日の期間に血栓症と血小板減少症(ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症[VITT])を発症した患者の臨床的特徴と検査値に基づき、これらの病態の新たな基本的発症機序を検討し、その治療上の意義について評価した。 23例が登録された。平均年齢は46歳(範囲:21~77歳)、16例(70%)が50歳未満であり、14例(61%)が女性であった。深部静脈血栓症の既往歴のある1例と、配合経口避妊薬を服用している1例を除き、血栓症を引き起こす可能性のある病態や薬剤の使用歴のある患者はいなかった。 全例が、血栓症と血小板減少症の発症前6~24日(中央値12日)に、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの1回目の接種を受けていた。23例中22例が、急性血小板減少症を伴う血栓症(主に脳静脈血栓症)で、残りの1例では孤立性の血小板減少症を伴う出血性症状が認められた。23例中22例で抗PF4抗体陽性 全例が、発症時のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による検査でSARS-CoV-2陰性であった。また、血清学的検査用の検体が得られた10例は、いずれもヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体が陰性であったことから、最近、SARS-CoV-2に曝露された可能性は低いと考えられた。 全例で、発症時のフィブリノゲンは低~正常値で、Dダイマー値は急性血栓塞栓症患者で予測される値に比べ大きく上昇していた。また、血栓性素因やその原因となる前駆的要因の証拠はなかった。 全例で、ヘパリンベースの治療の施行前に採取された検体を用いてELISA法によるPF4に対する抗体検査が実施され、23例中22例が陽性(1例は不確定)、1例は陰性であった。また、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の検査を受けた9例は、全例が陰性だった。 著者は、「これらの患者で観察された病態生理学的特徴に基づき、血栓性症状の進行のリスクがあるため、血小板輸血治療は回避し、血栓性症状の初回発現時には、非ヘパリン系抗凝固薬と、免疫グロブリンの静注を検討することが推奨される」としている。

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研修医の基本的臨床能力獲得に施設間差

 2年にわたる新型コロナウイルス感染症の流行という異例の社会環境の中で、本年度の初期臨床研修がスタートした。感染症流行下で患者さんの診療控えなどもあり、臨床研修病院では初期臨床研修医の教育に例年にない苦労があると聞く。 さて、初期臨床研修医の基本的臨床能力の向上について、研修先の施設間で差は生まれるのであろうか。JAMEP(Japan Institute for Advancement of Medical Education Program)が開発した、初期臨床研修医の客観的な臨床能力を測る基本的臨床能力評価試験(GM-ITE: General Medicine In-Training Examination)の解析結果から、大学病院で研修を受けた初期臨床研修医は、市中病院で研修を受けた初期臨床研修医よりもGM-ITE合計スコアが、低い傾向にあることが報告されてきている。しかながら、基本的臨床能力を構成するいくつかの要素のうち、どの要素に差があるのか、その詳細については明らかになっていない。そこで、順天堂大学医学部 医学教育研究室 西崎 祐史氏らは、GM-ITEの結果を用い、この疑問を解決するべく観察研究を実施した。全国1万 5,188人の初期臨床研修医のデータを解析 西崎氏らは、日本全国1万 5,188人の初期臨床研修医のGM-ITEスコアを用い、初期臨床研修医の基本的臨床能力と研修医が所属する研修病院との関連性について、詳細な検討を行った。具体的には、基本的臨床能力を構成する4分野である、「医療面接・プロフェッショナリズム」、「症候学・臨床推論」、「身体診察・臨床手技」、「疾病各論」について、大学病院に所属する研修医と市中病院に所属する研修医との間にGM-ITEスコアに違いがあるかどうかを評価した。 その結果、「医療面接・プロフェッショナリズム」の分野については、大学病院および市中病院に所属する初期臨床研修医の間に、GM-ITEスコアの差は認められなかった。その一方で、「症候学・臨床推論」、「身体診察・臨床手技」、「疾病各論」においては、大学病院で研修を受けた初期臨床研修医は、市中病院で研修を受けた初期臨床研修医よりもGM-ITEスコアが、低いことが分かった。特に研修医1年次の「身体診察・臨床手技」においては、他の分野と比較して顕著な差を認めた。 西崎氏らは結論として、本邦の初期臨床研修医が受ける研修プログラムは日本全国で標準化されるべきであると述べている。特に、大学病院で研修を受けた研修医は市中病院で研修を受けた研修医と比較して、「身体診察・臨床手技」の分野でGM-ITEスコアが低いことが明らかになったことから、本分野における革新的な教育プログラムの開発が必要であると論じている。

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統合失調症患者の抗精神病薬誘発性脂質異常症に対する薬理学的介入~メタ解析

 抗精神病薬誘発性脂質異常症は、統合失調症患者で一般的にみられる副作用であり、代謝性合併症や心血管疾患の発症リスクを高める可能性がある。このような問題があるにもかかわらず、抗精神病薬誘発性脂質異常症に対する治療は十分でなく、脂質異常症を軽減するための薬理学的介入の有効性は、十分に評価されていない。カナダ・ウォータールー大学のPruntha Kanagasundaram氏らは、統合失調症患者の脂質異常症を軽減するための薬理学的介入の有用性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年3月17日号の報告。 Medline、PsychInfo、EMBASEより、1950~2020年11月に英語で公表されたランダム化プラセボ対照試験を検索した。主要アウトカムは、治療群とプラセボ群におけるトリグリセライド、HDLコレステロール、LDLコレステロール、VLDLコレステロールの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化比較試験48件(3,128例)を特定し、29件の薬理学的介入について調査した。・全体として、薬理学的介入により、HDLコレステロールレベルは上昇し、LDLコレステロール、トリグリセライド、総コレステロールレベルは低下した。・治療群のサブグループでは、承認されている脂質異常症治療薬では、総コレステロール以外の脂質パラメータを低下させなかった。一方、抗精神病薬の切り替えや追加投与により、トリグリセライド、LDLコレステロール、HDLコレステロール、総コレステロールを含む複数の脂質パラメータの改善が認められた。・適応外の脂質異常症治療薬では、トリグリセライド、総コレステロールレベルの改善が認められ、メトホルミンにおいて、統計学的に有意な変化が認められた。 著者らは「現在利用可能な脂質異常症治療薬は、抗精神病薬で治療されている統合失調症患者では、効果が不十分な可能性がある。また、抗精神病薬の切り替えや追加投与および特定の適応外の脂質異常症治療薬による介入は、一部の脂質パラメータに対する改善効果が期待できる。今後の研究により、抗精神病薬誘発性脂質異常症を効果的にマネジメントするための新たな介入の発見が望まれる」としている。

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乳房温存術が切除術より生存率が高いのは独立した効果か

 術後放射線療法を伴う乳房温存術が、放射線療法を伴わない乳房切除術より生存率が高いことがコホート研究で示されているが、独立した効果なのか、選択バイアスの結果なのかは不明である。今回、スウェーデン・Capio St Goran's HospitalのJana de Boniface氏らは、重要な交絡因子である併存疾患および社会経済的状態の補正後も、乳房温存術の生存ベネフィットがみられるかどうか検討した。JAMA Surgery誌オンライン版2021年5月5日号に掲載。 本研究は、前向きに収集されたスウェーデンの全国的なデータ(National Breast Cancer Quality Registerからの全国的な臨床データ、National Board of Health and WelfareのPatient Registersからの併存疾患データ、Statistics Swedenからの個人レベルの教育と収入のデータ)を使用したコホート研究。スウェーデンで2008~17年にT1-2 N0-2の浸潤性乳がんと診断され手術を受けたすべての女性を対象に、放射線療法ありの乳房温存術、放射線療法なしの乳房切除術、放射線療法ありの乳房切除術の3群に分け、全生存率(OS)と乳がん特異的生存率(BCSS)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・計4万8,986例のうち、放射線療法ありの乳房温存術が2万9,367例(59.9%)、放射線療法なしの乳房切除術が1万2,413例(25.3%)、放射線療法ありの乳房切除術が7,206例(14.7%)で、観察期間中央値は6.28年(範囲:0.01~11.70)だった。・全死亡は6,573例、乳がんによる死亡は2,313例で、5年OSが91.1%(95%CI:90.8~91.3)、5年BCSSが96.3%(95%CI:96.1~96.4)だった。・放射線療法なしの乳房切除術を受けた女性は、年齢が高く、教育レベルと収入は低かった。・乳房切除術を実施した2つの群では、放射線療法の有無に関係なく併存疾患の負荷が大きかった。・すべての共変量の補正後、OSおよびBCSSは、放射線療法ありの乳房温存術に比べ、放射線療法なしの乳房切除術(OSのハザード比[HR]:1.79、95%CI:1.66~1.92、BCSSのHR:1.66、95%CI:1.45~1.90)および放射線療法なしの乳房切除術(OSのHR:1.24、95%CI:1.13~1.37、BCSSのHR:1.26、95%CI:1.08~1.46)で有意に悪かった。 本研究では、これまで測定されていなかった併存疾患および社会経済的状態の補正後も、放射線療法を伴う乳房温存術が、乳房切除術(放射線療法の有無に関係なく)より生存率が高いことが示された。著者らは「どちらの治療も妥当な選択肢であれば、乳房切除術が乳房温存術と同等と見なされるべきではない」と結論している。

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第53回 時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省

<先週の動き>1.時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省2.コロナ即日受け入れ、外来・入院加算の併算定が可能に3.コロナ労災6,041件、医療・福祉関係が75%を占める4.大規模接種センター開設も、医療者の未接種が先決問題か5.大学病院の経営状況、コロナ再拡大で回復の見込みなし6.受診控え、10ヵ月で1診療所当たり500万円以上の減収1.時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省厚労省は、7月末までに希望する高齢者全員に接種を完了できるよう、ワクチン接種を行う医師・看護師等を確保するため、時間外・休日の接種について、被接種者1人当たりのワクチン接種対策費負担金2,070円に、診療報酬上の時間外等加算相当分の上乗せを行うと発表した。また、医師が不足すると都道府県が判断した地域に対しては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」により、接種会場に時間外・休日の医師・看護師等を派遣した医療機関に対しても、財政支援が実施される。(参考)ワクチン接種要員派遣、医療機関に財政支援 医師1人1時間ごと最大7,550円、時間外・休日(CBnewsマネジメント)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)における「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」について(事務連絡 令和3年4月30日)2.コロナ即日受け入れ、外来・入院加算の併算定が可能に厚労省は7日、新型コロナ患者の受け入れをスムーズに行う目的で、初診・再診の後、その患者がただちに入院した場合、「医科外来等感染症対策実施加算」と「入院感染症対策実施加算」の同時算定で1日あたり10点が加算できるとの事務連絡を発出した。ただし、算定に当たっては、院内感染予防策を実施した上で、患者あるいは家族等に対して、十分な対応を行っている旨を説明することが求められている。この加算は、2021年4月から9月診療分までであり、2月26日に発出された通知に対するQ&Aの形で発出されている。(参考)初・再診後の入院も10点加算 感染予防策が前提、新型コロナ臨時措置(CBnewsマネジメント)初・再診から直ちに入院した場合、【医科外来等感染症対策実施加算】と【入院感染症対策実施加算】を併算定可―厚労省(Gemmed)新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その44)(事務連絡 令和3年5月7日)3.コロナ労災6,041件、医療・福祉関係が75%を占める昨年、新型コロナウイルス感染症が原因の労働災害の発生件数は、全業種で合計6,041件、うち医療保健業(病院など)の発生が2,961件、社会福祉施設での発生が1,600件に上ることが明らかとなった。これは、2020年1月1日~12月31日までに新型コロナウイルス感染による労災(休業4日以上の休業や死亡)について、厚労省が報告したもの。これより、医療機関や福祉施設における感染防御がより重要だと言える。(参考)コロナ労災、昨年1年間で6,041人…医療・福祉関係者らが計75%(読売新聞)資料 令和2年労働災害発生状況の分析等(厚労省)4.大規模接種センター開設も、医療者の未接種が先決問題か菅 義偉首相は、新型コロナワクチン接種について、1日100万回を目標とする方針を7日に明らかにした。24日に東京と大阪で大規模接種センターを開設し、6月末には高齢者の5割、7月末には全員の接種完了を目指す。なお、厚労省の4月時点の調査では、集団接種を行う2割の自治体で医師や看護師の不足が課題とされており、地方自治体の中には、高齢者ワクチンの配送が急増しても、接種を行う医療従事者の確保が十分でない現状。また、医師・看護師で2回目の接種を終えている者はまだ2割前後であり、ワクチン接種を受ける前にワクチン接種に従事することになるなど、医療従事者側にも混乱が見られる。今後、これらの課題を対応しつつ、7月末までの接種完了に向けた取り組みが強化されるだろう。(参考)新型コロナ 接種従事、医師にリスク 8割ワクチン未完了(毎日新聞)新型コロナワクチンの高齢者向け接種の前倒しについて(事務連絡 令和3年4月30日)5.大学病院の経営状況、コロナ再拡大で回復の見込みなし全国医学部長病院長会議は、新型コロナウイルス感染症に関する昨年度の大学病院の経営状況について発表した。アンケート結果によると、第3波のコロナ患者増加の中で、収支状況についても落ち込みが見られ、初診外来患者数は前年度に比べて19%減少、入院延べ患者数、新入院患者数は前年度に比べて9.9%減少、2021年1月末時点の2020年度の医業収益率は8.4%(2,196億円)減収となり、依然として厳しい経営状況にある。大学病院が通常の重症患者の医療も維持しながらコロナへの対応を果たしていくために、医療連携体制の構築や一層の財政支援を要望している。(参考)資料 新型コロナウイルス感染症に関する大学病院の経営状況調査(1月度)(全国医学部長病院長会議)コロナ入院1人につき診療報酬500万円減 京大推計(朝日新聞)6.受診控え、10ヵ月で1診療所当たり500万円以上の減収日本医師会は、新型コロナウイルス感染症による2021年1月までの診療所経営への影響に関する調査結果を公表した。これによると、「入院外(外来と在宅医療)総件数の対前年同月比」で、総件数は2020年5月を底として6月以降改善傾向だったが、11月に再び大きく落ち込み、2021年1月の対前年同月比は、小児科38.5%減、耳鼻咽喉科25.1%減と受診控えが再び見られたことが明らかとなった。また、2020年4月~2021年1月の10か月で、1施設当たり医業収入の増減額の累計は、有床診療所で573万8,000円減、無床診療所で1,091万7,000円減であった。(参考)新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響-2020年11月~2021年1月分-(日本医師会)

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IL-6受容体拮抗薬の新型コロナ重症化阻止には低用量ステロイドの併用が必要?(解説:山口佳寿博氏)-1383

 新型コロナ感染症の重症化は生体の過剰免疫反応に誘発されたサイトカイン・スト-ムに起因する。サイトカイン・スト-ムの形成にはIL-6関連細胞内シグナル伝達系の賦活が重要な役割を担うと考えられており、IL-6受容体拮抗薬の効果を検証するために多数の試験が施行されてきた。しかしながら、期待とは裏腹に新型コロナ感染症の重症化に対するIL-6受容体拮抗薬の効果を肯定する論文と否定する論文が混在し、IL-6受容体拮抗薬の効果が確実だと断定できないのが現状である。本論評では、2021年2月下旬にNEJM に同時に掲載されたIL-6受容体拮抗薬の効果を肯定する論文(REMAP-CAP Investigators. N Engl J Med. 2021 Feb 25. [Epub ahead of print])と否定する論文(Rosas IO,et al. N Engl J Med. 2021 Apr 22;384:1503-1516.)をとり上げ、なぜこのような正反対の結果が得られたのか、その原因について考察する。 新型コロナ重症肺炎に対するIL-6受容体拮抗薬(トシリズマブ、商品名:アクテムラ)の効果を肯定した最初の論文は、イタリアにおける後ろ向き観察研究TESEO Trialであった(Guaraldi G,et al. Lancet Rheumatol. 2020 Aug;2:e474-e484.)。この解析では、静注、皮下注の別なくトシリズマブ投与は、重症肺炎患者における入院2週間以内の累積死亡率を62%低下させることが示された。中等症以上の肺炎患者を対象としたフランスの多施設ランダム化非盲検対照試験CORIMUNO-19 Trialでは入院後4週までの死亡率に有意差を認めなかったものの2週までの死亡率はトシリズマブ群で有意に低かった(Hermine O,et al. JAMA Intern Med. 2021 Jan 1;181:32-40.)。米国の多施設観察研究STOP-COVID Trialは、ICU入院の重症~重篤肺炎患者を対象としたものである(Gupta S,et al. JAMA Intern Med. 2021;181:41-51.)。この解析では、ICU入院2日以内の早期にトシリズマブを投与すると4週後の死亡リスクが29%低下すると報告された。英国での多施設ランダム化非盲検対照試験REMAP-CAP Trialは、ICU入院の重篤肺炎患者を対象として2種類のIL-6受容体拮抗薬(トシリズマブ群: 353例、サリルマブ[商品名:ケブザラ]群: 48例)の効果を解析したものであり、対照群として402例が登録された(REMAP-CAP Investigators. N Engl J Med. 2021 Apr 22;384:1491-1502.)。本試験では、全対象の93%で何らかのステロイドが基礎治療として導入されていた。IL-6受容体拮抗薬はICU入院1日以内に静脈投与されており、その結果として、IL-6受容体拮抗薬は、ICU入院3週目までの心肺機能支持療法の必要日数、病院内死亡率、3ヵ月後の死亡率において有意な改善効果を示した。4月29日現在、正式論文として出版されていないが英国の大規模RECOVERY Trial(多施設ランダム化非盲検対照試験、トシリズマブ群: 2,022例、対照群: 2,094例)でもIL-6受容体拮抗薬によって4週間以内の死亡率が有意に低下すると報告された(RECOVERY Collaborative Group. medRxiv.)。RECOVERY Trialにおいては、基礎治療としてのステロイドが全対象の82%に投与されていた。 トシリズマブの効果を否定した最初の論文は、イタリアから報告された(Salvarani et al. JAMA Intern Med. 2021;181:24-31.)。この試験は、前向き多施設ランダム化非盲検対照試験で中等症の急性呼吸不全/ARDSを呈した肺炎患者を対象としたものであり、ランダム化は症状発現から8日以内に行われ、トシリズマブはランダム化から8時間以内に投与された。本試験では、トシリズマブの効果を認めず、2週、4週以内の死亡率はトシリズマブ群と対照群でほぼ同一であった。米国における多施設ランダム化二重盲検対照試験BACC Bay Tocilizumab Trialでは、中等症~重症の肺炎患者を対象としてインフォ-ムド・コンセント取得3時間以内にトシリズマブが投与された。4週目までに挿管に至った、あるいは、死亡した患者の割合は、トシリズマブ群と対照群で有意差を認めなかった。英国、米国など世界9ヵ国62施設が参加して施行された国際的多施設ランダム化二重盲検対照試験COVACTA Trialでは、重症肺炎患者を対象とし、トシリズマブ群:294例、対照群:144例が登録された(Rosas IO,et al. N Engl J Med.2021 Apr 22;384:1503-1516.)。本試験では、退院までの日数はトシリズマブ群で有意に短かったが、4週目までの死亡率には両群間で有意差を認めなかった。本試験における基礎治療としてのステロイドは全対象の24%のみにしか投与されておらず、REMAP-CAP Trial、RECOVERY Trialに比べ明らかに少なかった。 REMAP-CAP Trial(IL-6受容体拮抗薬の効果を肯定)とCOVACTA Trial(IL-6受容体拮抗薬の効果を否定)における試験計画には種々の差が存在する。たとえば、対象患者のエントリ-基準(対象患者の重症度など)、IL-6受容体拮抗薬の投与時期、Primary endpointの内容ならびに判定時期、試験の盲検性(二重盲検か非盲検か)などが異なっている(Angriman F,et al. Lancet Respir Med. 2021 Apr 27. [Epub ahead of print])。しかしながら、論評者は、両試験の差の中で最も重要なものは基礎治療としてのステロイドの導入頻度だと考えている(REMAP-CAP Trial: 93%、COVACTA Trial: 24%)。 新型コロナ感染症における重症化の最も重要な機序であるサイトカイン・スト-ムの発生にはIL-6関連シグナル伝達経路の賦活化が重要である。コロナウイルスが生体細胞に感染し細胞のACE2を占有すると、ACE2のリガンドであるアンギオテンシンII(AT)はACE2ではなくType 1アンギオテンシン受容体(AT1R)と結合する経路に流入する(AT-AT1R複合物の形成)。AT-AT1R複合物は、細胞膜に存在するタンパク分解酵素ADAM-17を賦活化し、細胞膜に付着しているTNFα、IL-6受容体α(IL-6Rα)を膜から切断、可溶性TNFα、可溶性IL-6Rα(sIL-6Rα)を産生する。可溶性TNFαは転写因子NF-кBを活性化し、TNFα、IL-1、IL-6、IL-8など多様な炎症性サイトカインを産生する。すなわち、可溶性TNFαは、NF-кBを活性化、活性化されたNF-кBはTNFαを再度産生するという“positive feed back回路”を形成する。本論評では、この回路をTNFαル-プと定義する。一方、sIL-6RαはIL-6と結合し、種々の細胞において転写因子STAT3を活性化する。STAT3はNF-кBとの物理的結合などの機序を介してNF-кBの活性を上昇させる(STAT3とNF-кBのcross talk)。このようなSTAT3を介するNF-кBの活性化はIL-6 amplifier(IL-6アンプ)と呼称される(Hirano T, et al. Immunity. 2020 May 19;52:731-733.)。IL-6アンプは、NF-кBの活性化によって細胞遊走因子(ケモカイン)を含む多様な炎症性サイトカイン(TNFα、IL-1、IL-6、IL-8など)の持続的過剰産生を惹起する。それ故、IL-6アンプはNF-кBの活性化を持続させる“positive feed back回路”の1つと考えることができる。以上のTNFαル-プとIL-6アンプは互いに連携しており、サイトカイン・スト-ムの主たる発生機序として重要である。IL-6アンプを阻止するためには、可溶性IL-6Rαの効果を抑制すればよく、IL-6受容体拮抗薬が最もシンプルかつ有効な手段である。しかしながら、IL-6受容体拮抗薬はTNFαル-プの一部を抑制するもののすべてを抑制する訳ではなく、TNFαル-プの確実な抑制のためにはTNFα阻害薬の投与が必要である(Feldmann MJ,et al. Lancet. 2020 May 2;395:1407-1409.)。TNFαル-プとIL-6アンプの同時抑制には、これら2つの経路に対して“扇の要”として作用するNF-кBの活性を、たとえば、低用量ステロイドなどによって阻害すればよい。 以上の分子生物学的機序を基礎として、IL-6受容体拮抗薬が新型コロナ感染症の重症化阻止に有効であると報告したREMAP-CAP Trial、RECOVERY Trialとそれらとは逆に無効と報告したCOVACTA Trialの意味する内容について考察する。有効と報告した前2つの試験では、対象の82~93%に基礎治療としてステロイドが投与されていた。すなわち、REMAP-CAP Trial、RECOVERY Trialは、IL-6アンプとTNFαル-プに対して“扇の要”として作用するNF-кB活性をステロイドによる基礎治療によって抑制したものであり、IL-6ル-プ単独の効果を見たものではない。言い換えれば、REMAP-CAP Trial、RECOVERY TrialからはIL-6受容体拮抗薬が単独で新型コロナ感染症の重症化阻止に真に有効であるとは結論できない。一方、無効と報告したCOVACTA Trialでは基礎治療としてステロイドが投与されていた対象の割合は24%と低いものであった。すなわち、COVACTA Trial は、ほぼ純粋にIL-6アンプの効果を観察したものであり、COVACTA Trialの結果は、IL-6受容体拮抗薬の単独投与が新型コロナ感染症におけるサイトカイン・スト-ムに起因する病態の重症化を有意に抑制するものではないことを示唆する。以上の考察より、現時点では、IL-6受容体拮抗薬自体の新型コロナ感染症重症化阻止作用は否定的と考えなければならず、IL-6受容体拮抗薬の臨床的効果発現のためには、ステロイド(低用量)の併用が必要であるものと推察される。これに関する明確な機序は不明であるが、IL-6受容体拮抗薬の効果発現には、IL-6アンプに加えTNFαル-プの同時抑制が必要、あるいは、IL-6受容体拮抗薬とステロイドとの間に本論評で考察した機序以外の相加/相乗効果が存在するのかもしれない。今後、IL-6アンプの抑制、TNFαル-プの抑制、あるいは、両者の同時抑制を意識した確実な臨床試験を期待するものである。

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Lancetでもこんなことがあるんだ…(解説:後藤信哉氏)-1386

 各種学会の作る診療ガイドラインでは、観察研究よりもランダム化比較試験のエビデンスレベルが高く、ランダム化比較試験のメタ解析のエビデンスレベルがさらに高いと書いている。しかし、メタ解析のエビデンスレベルは本当に高いのだろうか? チカグレロル、プラスグレルなどの高価な新薬がクロピドグレルの特許切れ後に販売されたとき、価格の圧倒的に安いクロピドグレルに著しく勝る有効性、安全性を示すことは困難であった。実際、いずれの薬剤も血小板のP2Y12 ADP受容体の選択的阻害薬なので有効性、安全性の革新を期待することは困難であった。チカグレロル、プラスグレルともにクロピドグレルに対する有効性の優越を目指したため、pivotal trialでは患者集団の重篤な出血が増加して標準治療の転換はできなかった。 肝臓で代謝される薬剤は多数ある。どのような薬剤でも有効性、安全性は、ランダム化比較試験など患者集団を対象として施行される。不思議なことに、クロピドグレルではCYP2C19による代謝速度の個体差が問題とされた。個別最適化医療の論理は確立されておらず、血栓イベント・出血イベントにおける血小板の役割も正確に解明されていないのに、血小板凝集などの確立されていないバイオマーカーを用いた臨床研究が多数施行された。本論文は、それらの、なぜ施行されたのか、科学的観点では不明の臨床研究のメタ解析である。 本研究の対象症例は2万743例と多数になった。しかし、本研究はランダム化比較試験と観察研究のメタ解析である。仮説検証を目指すランダム化比較試験と仮説を生み出す観察研究では登録基準、除外基準のハードルが異なる。比較的サイズの大きい個別のランダム化比較試験では、MACEにはguided therapyとnon guided therapyに差がない。小規模のランダム化比較試験にはguided therapy betterに見えるものが多い。メタ解析全体ではguided therapyが良いように結論されている。さまざまな視点のランダム化比較試験が一様の結果を示すメタ解析はエビデンスレベルが高いかもしれない。しかし、異なる方向の結果を集めたメタ解析には意味がない。Lancetでもこんなことがあるんだ…と正直感じた。

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診療所を売った後、「もう少し働く」メリット&デメリット【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第17回

第17回 診療所を売った後、「もう少し働く」メリット&デメリット漫画・イラスト:かたぎりもとこ診療所の引き継ぎ後、売り手はさっさと引退して第二の人生を楽しみ、買い手はやる気に満ちて働きはじめる…。そんなイメージがありますが、実際には、医業承継後に買い手側の新院長が売り手側の旧院長に対して「承継後も継続して勤務してほしい」と考えるケースが半数を超えています(弊社調査)。これはなぜでしょうか?買い手側には、大別して下記の2パターンの方がいます。(1)医療法人の理事長(分院として承継する)(2)開業する勤務医(自分が院長となって承継する)(1)の医療法人の理事長の場合には、旧院長の継続雇用を希望する割合は9割超と圧倒的です。この理由としては、医療法人の場合、その経営者が新院長になって自ら診療する、というケースは滅多にありません。つまり、新院長を自分の医療法人から、もしくは新たに探して雇用しなくてはならないのです。これは簡単なことではなく、新たな院長が見つかるまでの数ヵ月から数年間は、売り手側の旧院長に継続して勤務してほしい、と希望するのです。旧院長が引き続き勤務することで、スタッフや患者の離反防止も期待できます。(2)の開業する勤務医の場合でも、患者やノウハウの引き継ぎを期待して、旧院長にしばらく働いてほしいと希望するケースが多いのです。弊社の過去の実績でも、売り手の旧院長が継続勤務できる期間が長いほど、またその勤務可能日が多いほど「成約率」と「譲渡対価」が上がる傾向にあります。それだけ前任者に対する期待値は高い、ということです。ただし、旧院長と買い手側で診療所の経営方針がまったく違う場合には、継続勤務はリスクともなるので、その点は慎重に検討する必要があります。承継後の旧院長の継続勤務はメリットやデメリットを踏まえておけば、お互いにとって良い機会にできるのです。

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第37回 調和平均値とは?【統計のそこが知りたい!】

第37回 調和平均値とは?通常、私たちが使う平均値は、「平均年齢」「平均身長」「平均体重」で用いるように、データをすべて足し合わせ、データの個数(人数)で割って求める平均値です。これを「算術平均値」(Arithmetic average)と言います。前回は、「幾何平均値」(Geometrical average)について解説しました。では、「調和平均値」(Harmonic average)とは、どのような平均値なのでしょうか。今回は、調和平均値について解説します。■調和平均値(Harmonic average)調和平均値は、n個のデータがあるとき個々のデータの逆数をとり、これらの算術平均値を求め、算術平均値の逆数をとった値です。調和平均値は、データの逆数に意味があるときによく用いられます。逆数に意味があるとは、たとえば、ある距離を移動したときの「時速x=30km/時」であるとき、その逆数は 「1/x=1/30」です。これは「1km進むのに要した時間」に当たるため、「逆数に意味がある」ということになります。■調和平均値の計算式表に時速の調和平均を求めてみましょう。各時速を上から順に x1, x2, x3,とし、前述の計算式に代入します。 となり、調和平均値は、20km/時ということになります。■調和平均値に関する留意点上記の事例は、合計180kmを9時間かけて走ったので、平均は180km÷9=20km/時と考えられます。この考え方が調和平均です。余談になりますが、音の調和を「ハモる」といいますね。2つの音が調和する(ハモる)かどうかは、2つの音の周波数の比率で決まります。その関係から、比率の平均を調和平均(ハーモニック平均)と呼びます。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第36回 幾何平均値とは?「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション2 量的データは平均値と中央値を計算せよ

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新型コロナワクチン接種で注目の副反応、SIRVAとは?

新型コロナワクチン接種による副反応疑いとして「ワクチン投与関連肩損傷(ワクチン投与関連肩損傷)」「ワクチン接種部位疼痛」などが報告されている。しかし、これはワクチン成分自体による副反応ではなく、接種手技により避けられる可能性がある。これらの発症予防のための必要な知識について、プライマリ・ケア連合学会の動画監修にも関わった仲西 康顕氏(奈良県立医科大学整形外科・臨床研修センター 講師)を取材し、末梢神経を損傷してしまう原因や実際の症状、注意点について伺った。末梢神経障害やSIRVAとは、その症例数や日本での認知度はどのくらいでしょうか?筋肉注射の手技が原因で生じる問題には、不適切な部位への接種による腋窩神経や橈骨神経などの末梢神経損傷とSIRVA(Shoulder Injury Related to Vaccine Administration)があります。三角筋への筋肉注射によるワクチン接種が一般的ではない日本においては、医原性末梢神経障害を専門とする私でも、筋肉注射に関わる症例には数例しか関わったことがありません。近年、整形外科医のなかで問題視されているSIRVAは、「ワクチン接種に関連した肩関節障害」と訳され、三角筋下滑液包内への不適切な薬剤注入が原因で生じる肩の急性炎症(肩関節周囲炎、滑液包炎、腱板炎など)のことです。米国で2010年頃に報告されたのをきっかけに徐々に報告数も増えていますが、2016年時点での米国での年間報告数はわずか200例超1)と世界的にもまだまだ稀な疾患です。そのため、整形外科医以外には聞き慣れない病名だと思います。しかし、これらの合併症はワクチン接種後の患者さんのQOLを損なう恐れがあり、新型コロナワクチンの安全な投与のための手技マニュアル作成には重要だと考え、プライマリ・ケア連合学会の動画「新型コロナワクチン より安全な新しい筋注の方法 2021年3月版」の監修にも携わらせてもらいました。また、マニュアルと同時に作成した、われわれの筋肉注射手技の根拠に関する論文2)は、現在、オンラインで一般公開されています。私たちが提示した安全な手技に従って注射した場合、神経損傷やSIRVAについて避けることが可能です。ただし、ワクチン接種現場でこれらの合併症の診断方法や治療方法まで医療関係者の一人一人が“深く理解しておく必要性はない”というのが個人的な意見です。今回は従来の手技によって生じる可能性のある副反応について解説しますが、神経損傷とは関係なくワクチン接種後に生じる手の違和感などへの実際の対応については別稿で述べたいと思います。末梢神経障害やSIRVAを予防するための対策を教えてください筋肉注射に関する多くの手技解説には、穿刺部位について「肩峰から3横指下(5cm)」と書かれていますが、その部位には三角筋を支配し肩関節の外転を司る腋窩神経が走行しています。また、橈骨神経は上腕骨に螺旋状に巻き付くように走行しているため、腕の肢位によっては神経の走行を推測しにくく誤った穿刺を起こしかねないんです。さらに、前述のSIRVAは三角筋下滑液包へのワクチンの注入が原因と考えられますが、高齢者では症状がなくても腱板の広範囲断裂や滑液包内の液体貯留は珍しいことではなく3)、滑液包の形状が変化するこれらの疾患では肩峰より5cm以内の接種は滑液包内への誤注入のリスクがより高くなると推測されます(図1)。(図1) 正常の肩関節と腱板断裂、滑液包水腫画像を拡大する広範囲腱板断裂では、正常よりも末梢まで三角筋下滑液包が拡張することがある。さらに水腫がある場合、滑液包内への誤注入の可能性は高くなる。高齢者ではこれらの変化は症状を伴っていないことも稀ではない。われわれ整形外科医はこれらの神経損傷に必ず注意を払って手術に臨むわけですが、ワクチン接種現場の報道映像では “腰に手を当てて上腕後方を差し出す姿勢”のように神経損傷を招く可能性のある手技が多く見受けられました。これらの神経損傷を避けるために、整形外科では髄内釘のスクリューや創外固定のピンを安全に上腕骨に刺入することのできる部位について、永年蓄積されてきたノウハウがあります。当院では過去の複数の文献報告なども踏まえて、新しく筋肉注射を行うためのマニュアルを作成しました。ですが、“従来の手技での合併症の発生頻度”も“新たな接種方法による予防効果“も高いエビデンスを示すことのできる臨床研究はこれまで行われておらず、まだまだ議論の余地は残っています。<現時点で仲西氏らが提案する新たな接種方法>上腕が内旋しないように力を抜き、肘は自然に伸ばして腕をおろしてもらう肩峰から下ろした垂線と前腋窩線の頂点・後腋窩線の頂点を結ぶ線の2つの線が交わる点に穿刺する接種者、被接種者が共に腰掛けた状態で接種する末梢神経損傷やSIRVAを生じた患者が訴える症状、その対処法を教えてください腋窩神経損傷では穿刺時も含めて痛みや痺れもなく、数日後に肩を挙上しにくいと気付いたとの症例報告があります。診断するには、両肩を十分に露出した上で部分的な三角筋の収縮力の低下がないか観察する必要があるでしょう。しかし、腋窩神経損傷は比較的自然に治りやすく、おそらく医療従事者に十分認識されないまま治ってしまうことも多々あると思われます。一方、橈骨神経損傷は受傷後の比較的早期に手の甲から親指や人差し指にかけての痺れ、手首や指の動かしにくさを訴えることが多いようです。一言で神経損傷と言ってもその度合いにより、自然回復が見込めるか、あるいは何らかの外科的な治療を検討すべきかで治療方針は異なります。筋肉注射によって生じた重度の橈骨神経麻痺症例を経験したことがありますが、日常生活や就労に大きく影響する後遺症が残りました。もし橈骨神経損傷を疑った場合は、自然回復を待つのではなく早期に手の外科を専門に行っている整形外科あるいは形成外科医に相談すべきと考えます。正確な神経学的評価に加えて、近年では末梢神経の超音波による観察が診断に有用です。SIRVAに関しては、まだまだ日本では報告されている症例は多くありません。海外の報告を見ると、ワクチン接種後数時間から2日程度の間に肩関節の強い自発痛を生じ、自然に改善しないことが多いようです。新型コロナワクチンの2回目の接種では、三角筋の強い痛みを生じることがしばしばあるようなので、発症早期に診断することは難しいかもしれません。ワクチン接種から数日経っても安静時に軽減することのない強い肩の痛みが続く場合は、肩関節の単純MRIが有用と考えます。接種された三角筋ではなく、肩関節の滑液包を中心として広範囲に炎症を示す所見があれば、より積極的にSIRVAを疑うことができます。治療としては、初期には滑液包内へのコルチコステロイド投与が検討されますが、早めに整形外科へ紹介することをお勧めします。ワクチン接種部位に関する問題の背景を踏まえ、今後の手技の標準化についてはどのように考えますか?実は整形外科医の中でも、前医とのトラブルをしばしば抱えて受診される「医原性末梢神経損傷」の患者さんを積極的に診ようという医師は多くありません。また、筋肉注射の手技自体が全体的に少なく、さらには医療トラブルへの対応に慎重になるあまり、まとまった症例の検討や論文による知識の共有が行われにくかった背景があるのではと思います。そのために厚生労働省を含めて安全なワクチンの接種方法を検討する内科、小児科の医師の間には神経損傷が現実的な問題として認識されてこなかったのではないでしょうか。今回、当院のパンフレット公開後に日本プライマリ・ケア連合学会の中山 久仁子先生、守屋 章成先生から連絡があり、専門性を越えて議論した結果、整形外科医の声に耳を傾けていただき、一旦公開した筋肉注射手技の動画を再度撮影し公開するという決断まで下されました。おそらく、この動画で新しい手技を知った方がとても多いのではと思います。神経損傷やSIRVAといった問題が発生した際、実際に治療にあたるのは整形外科医ですが、コロナ禍で筋肉注射についての問題が注目を集めています。整形外科医の中にも、私が尊敬する名古屋大学の平田 仁教授をはじめとして、真剣に医原性末梢神経損傷の問題に取り組んでいる医師がおります。今後、筋肉注射の手技について検討する際には、ぜひ整形外科医の持つ知識も参考に、さらに安全性を高めるための建設的な議論に結びつくことを期待しています。現時点では筋肉注射の推奨接種部位について、各団体間で統一されていません。しかし、これからもワクチン接種に関わる医療者にも、接種を受ける多くの人にも安心してもらえるように取り組み、新型コロナウイルス感染症対策に貢献していきたいと思っています。次回「ワクチン接種後の手のしびれ、痛みをどう診るか」に続く。(インタビュー:2021年4月20日、聞き手・構成:ケアネット 土井 舞子)参考1)Hesse EM, et al. Vaccine. 2020;38:1076-1083.2)仲西 康顕ほか. 中部整災誌. 2021;64:1-9.3)Minagawa H, et al. J Orthop. 2013;10:8-12.*奈良県立医科大学附属病院臨床研修センターのサイトに「Q&A」などを掲載中厚生労働省予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について(令和3年2月17日から令和3年4月4日報告分まで)

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肺がん再生検のモダリティ、気管支鏡 vs.CTガイド下針生検/Respir Investig

 治療薬の進歩により進行非小細胞肺がん(NSCLC)の再生検の必要性が増している。再生検のモダリティは、気管支鏡検査やCTガイド下針生検(CTNB)などのがあるものの、どの手法が最適か、コンセンサスはない。そのような中、岡山大学による気管支鏡検査とCTNB生検を比較した後ろ向き研究の結果がRespiratory Investigation誌に発表された。 対象は、2014年1月~2016年12月に、岡山大学で気管支鏡検査またはCTNB再生検を受けたNSCLC79例。 主な結果は以下のとおり。・再生検採取は気管支鏡検査49例、CTNBは30例であった。・診断率は気管支鏡検査83.7%に対し、CTNBは100%であった(p=0.023)。・処置による合併症率は気管支鏡検査18.4%に対し、CTNBは36.7%であった(p=0.11)。・気胸の発生率は気管支鏡検査0%に対し、CTNBは23.3%と有意に差があった(p<0.01)。

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トシリズマブ、重症COVID-19肺炎入院患者の病態改善せず/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症肺炎で入院した患者の治療において、IL-6受容体モノクローナル抗体のトシリズマブはプラセボと比較して、28日後の臨床状態を改善せず、死亡率を抑制しないことが、米国・ベイラー医科大学のIvan O. Rosas氏らが行った「COVACTA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年4月22日号に掲載された。欧米9ヵ国のプラセボ対照無作為化第III相試験 COVACTA試験は、重症COVID-19肺炎入院患者におけるトシリズマブの有効性と安全性を評価する国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(F. Hoffmann-La Rocheなどの助成による)。 2020年4月3日~5月28日の期間に、北米と欧州の9ヵ国62施設で、年齢18歳以上、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法と、胸部X線またはCT検査で重症COVID-19肺炎と確定された患者が登録された。 被験者は、トシリズマブ(8mg/kg体重)の静脈内投与を1回受ける群またはプラセボ群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。参加者の約4分の1が、トシリズマブまたはプラセボの1回目の投与から8~24時間に、2回目の投与を受けた。 主要評価項目は、修正intention-to-treat集団(トシリズマブまたはプラセボの投与を少なくとも1回受けたすべての患者)の28日目の臨床状態とした。臨床状態は、1(退院または退院準備の状態)~7(死亡)の順序尺度で評価された。28日の臨床状態中央値:1.0 vs.2.0、死亡率:19.7% vs.19.4% 438例が登録され、トシリズマブ群に294例(平均年齢[±SD]60.9±14.6歳、男性69.7%)、プラセボ群に144例(60.6±13.7歳、70.1%)が割り付けられた。 28日の時点での順序尺度による臨床状態中央値は、トシリズマブ群が1.0(95%信頼区間[CI]:1.0~1.0)、プラセボ群は2.0(酸素投与がなく、集中治療室[ICU]以外に入院)(1.0~4.0)であり、両群に有意な差は認められなかった(群間差:-1.0、95%CI:-2.5~0、van Elteren検定によるp=0.31)。 安全性解析集団では、重篤な有害事象は、トシリズマブ群が34.9%(103/295例)、プラセボ群は38.5%(55/143例)で発生した。また、28日時点の死亡率は、トシリズマブ群19.7%、プラセボ群19.4%であり、両群に有意差はなかった(加重平均差:0.3ポイント、95%CI:-7.6~8.2、名目上のp=0.94)。 著者は、「今回のデータからは、退院または退院準備までの期間、およびICU入室期間においては、トシリズマブが有益である可能性が示唆されたが、これらはいずれも別の追加研究を要する」としている。

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ポロキサマー188、鎌状赤血球症の血管閉塞性疼痛改善せず/JAMA

 鎌状赤血球症の小児/成人患者における血管閉塞性の疼痛エピソードの治療では、ポロキサマー188はプラセボと比較して、非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの期間を短縮しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のJames F. Casella氏らが行った「EPIC試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年4月20日号で報告された。12ヵ国66施設のプラセボ対照無作為化第III相試験 研究グループは、鎌状赤血球症患者における血管閉塞性の疼痛エピソードに対するポロキサマー188の有効性を再評価する目的で、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した(米国・Mast Therapeutics, Inc.の助成による)。 2013年5月~2016年2月の期間に、12ヵ国66施設で、年齢4~65歳、鎌状赤血球症(ヘモグロビンSS、鎌状赤血球、S-β0サラセミア、S-β+サラセミア)と診断され、非経口オピオイド鎮痛薬による治療を要する血管閉塞性の急性疼痛エピソード(4時間以上持続する中等度~重度の疼痛)で入院となった患者が登録された。 被験者は、ポロキサマー188(負荷投与量100mg/kg/時を静脈内投与後、30mg/kg/時を12~48時間持続注入)の投与を受ける群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 388例(平均年齢15.2歳、女性176例[45.4%])が無作為化の対象となり、ポロキサマー188群に194例、プラセボ群に194例が割り付けられた。15日の時点でフォローアップができたのは357例(92.0%)、30日時にフォローアップができたのは368例(94.8%)だった。16歳未満では明らかな有害性 無作為化の時点から非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの平均時間(主要評価項目)は、ポロキサマー188群が81.8時間、プラセボ群は77.8時間であり、両群間に有意な差は認められなかった(群間差:4.0時間、95%信頼区間[CI]:-7.8~15.7、幾何平均比:1.2、95%CI:1.0~1.5、p=0.09)。 年齢と試験薬の有意な交互作用(p=0.01)に基づき年齢別の解析を行ったところ、16歳未満では、非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの平均時間は、ポロキサマー188群の88.7時間に比べ、プラセボ群は71.9時間と有意に短かった(群間差:16.8時間、95%CI:1.7~32.0、幾何平均比:1.4、95%CI:1.1~1.8、p=0.008)。 ポロキサマー188群で頻度が高かった有害事象は高ビリルビン血症(12.7% vs.5.2%)などであり、プラセボ群で高頻度の有害事象は低酸素症(5.3% vs.12.0%)などであった。1件以上の重篤な有害事象が発現した患者は、ポロキサマー188群が33.9%、プラセボ群は29.8%だった。 著者は、「ポロキサマー188は、鎌状赤血球症患者における血管閉塞性疼痛の期間を短縮しなかった。既報の他の第III相試験では、16歳未満で明らかな有益性を認めたのに対し、本試験では有害性が示された」とまとめている。

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ファイザー社ワクチン、英国・南ア変異株に対する有効率は?/NEJM

 有効率95%と報告されているファイザー/ビオンテック社製COVID-19ワクチン(BNT162b2)だが、英国で確認された変異株(B.1.1.7)および南アフリカで確認された変異株(B.1.351)に対する実社会での有効率はどの程度なのか? カタール・Weill Cornell MedicineのLaith J. Abu-Raddad氏らが、変異株への感染および重症化に対する同ワクチンの有効性を検証したコホート研究結果を、NEJM誌オンライン版2021年5月5日号のCORRESPONDENCEに報告した。 カタールでは、2月23日~3月18日にゲノム解析された症例の50.0%がB.1.351、44.5%がB.1.1.7により引き起こされていた。また3月7日以降はゲノム解析されたほぼすべての症例が、B.1.351またはB.1.1.7のいずれかへの感染であった。同ワクチンの接種は2020年12月21日に開始され、2021年3月31日時点で計38万5,853人が少なくとも1回のワクチン接種を受け、26万5,410人が2回の接種を完了している(訳注:カタールの総人口は約280万人)。 ワクチン接種状況、PCR検査結果、および臨床的特徴に関するデータは、流行開始以来蓄積されている全国的なCOVID-19データベースより抽出された。 主な結果は以下のとおり。・B.1.1.7への感染に対するワクチンの推定有効率は、2回目接種後14日以上で89.5%(95%信頼区間[CI]:85.9~92.3)であった(ワクチン2回接種群:PCR陽性50例 vs. PCR陰性465例、ワクチン非接種群:16,354例 vs.15,939例)。・B.1.351への感染に対するワクチンの推定有効率は、2回目接種後14日以上で75.0%(95%CI:70.5~78.9)であった(ワクチン2回接種群:179例 vs. 698例、ワクチン非接種群:19,396例 vs.18,877例)。・B.1.1.7およびB.1.351への感染が優勢である中、SARS-CoV-2感染による重症、重篤、および致命的な病態に対する2回目接種後14日以上における有効率は非常に高く、97.4%(95%CI:92.2~99.5)であった(ワクチン2回接種群:3例 vs.109例、ワクチン非接種群:1,692例 vs.1,586例)。・全国コホートの抗体陰性者の感染率と比較したnegative case-control designによる有効率は、B.1.1.7に対して87.0%(95%CI:81.8~90.7)、B.1.351に対して72.1%(95%CI:66.4~76.8)と推定され、上記結果が確認された。 著者らは、B.1.1.7およびB.1.351が国内で優勢の状況の中で、BNT162b2は感染および重症化に対して有効であったとまとめている。ただし、とくにB.1.351への感染に対する有効率は同ワクチンの臨床試験やイスラエル・米国からの実社会での報告(>90%)よりも約20%低かったと指摘。カタールでは、3月31日時点で、ワクチンを1回接種した6,689例と、2回接種した1,616例でブレークスルー感染が確認されている。また、ワクチン接種者におけるCovid-19による死亡も7例報告されている(1回接種後5例、2回接種後2例)。そのうえで、B.1.351感染に対しても、入院または死亡につながる最も深刻な感染に対する有効率は90%を超える強力なものであったとしている。

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依存症の衝動性に対する認知機能改善介入~メタ解析

 衝動的な行動や選択に対する3つの認知機能介入アプローチ(コンピューター化された認知トレーニング、認知矯正療法、薬理学的な認知機能介入)の効果を評価し、それらの比較検討を行うため、オーストラリア・モナシュ大学のAlexandra C. Anderson氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Addiction誌オンライン版2021年3月10日号の報告。 物質使用障害またはギャンブル依存症の治療を求めている成人患者を対象として認知機能改善介入を評価した研究を抽出した。主要アウトカムは、介入後に検証した衝動的な行動または選択に関する認知機能スコアの減少とした。バイアスリスクは、Cochrane Collaborationツールを用いて評価し、選択した研究よりプールした推定値を決定した。衝動的な行動および選択の結果について、ランダム効果分析を実施し、モデレーター分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・特定された研究2,204件のうち、60件を全文レビューした。・適格基準を満たしていた研究23件のうち、16件をメタ解析に含めた。・分析対象研究の内訳は、以下のとおりであった。 ●コンピューター化された認知トレーニング:5件、236例 ●認知矯正療法:3件、99例 ●モダフィニルによる薬理学的介入:4件、160例 ●ガランタミンによる薬理学的介入:4件、131例・研究期間は、5日~13週間の範囲であり、即時フォローアップ評価が行われていた。・ギャンブル依存症を対象とした研究は、確認されなかった。・66例が参加した2つの研究のみで、認知矯正療法の衝動的な選択に対する有用性が認められた(標準化平均差:0.86、95%CI:0.49~1.23、p=0.02、I2=0%、p=0.95)。 著者らは「依存症の衝動性の調整に対し、コンピューター化された認知トレーニングや薬理学的介入の効果は認められず、認知矯正療法のみが、依存症の衝動的な選択に有用な治療法である可能性が示唆された」としている。

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