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ペムブロリズマブ+レンバチニブによるNSCLC1次治療の成績(LEAP-007)/ESMO-IO 2021

 転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブとレンバチニブの併用は、Study111 / KEYNOTE-146試験で、抗腫瘍活性を示している。欧州免疫腫瘍学会(ESMO-IO 2021)では、未治療のNSCLC患者に対するペムブロリズマブ+レンバチニブの有用性を評価する第III相LEAP-007試験の結果が報告された。ペムブロリズマブ+レンバチニブ群のPFS中央値6.6ヵ月・対象:未治療のNSCLC(PD-L1≥1%、ECOG PS 0/1)・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと+レンバチニブ20mg/日 連日(ペムブロリズマブ+レンバチニブ群)・対照群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと+プラセボ(ペムブロリズマブ群) 毒性発現または最大35サイクルまで投与・評価項目:[主要エンドポイント]BICRによる無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS) ペムブロリズマブ+レンバチニブの未治療のNSCLC患者に対する有用性を評価した主な結果は以下のとおり。・623例が1対1で2群に無作為に割付られた。患者の年齢中央値は66歳であった。・OS中央値はペムブロリズマブ+レンバチニブ群14.1ヵ月、ペムブロリズマブ群16.4ヵ月で、事前に指定されたOSの無益基準を満たした(HR:1.10、95%CI:0.87~1.39、p=0.79744)。・PFS中央値は、ペムブロリズマブ+レンバチニブ群6.6ヵ月、ペムブロリズマブ群4.4ヵ月、とペムブロリズマブ+レンバチニブ群で長かった(HR:0.78、95%CI:0.64~0.97、p=0.0064)。・全奏効率はペムブロリズマブ+レンバチニブ群40.5%、ペムブロリズマブ群27.7%、とペムブロリズマブ+レンバチニブ群で良好であった(p=0.00037)。・Grade3〜5の治療関連有害事象(TRAE)は、ペムブロリズマブ+レンバチニブ群の57.9%、ペムブロリズマブ群の27.7%で発現。Grade5のTRAEは、ペムブロリズマブ+レンバチニブ群の5.2%、ペムブロリズマブ群の1.9%で発現した。

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liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療の転帰改善(TRANSFORM)/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2021年12月11日、成人の再発・難治大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的としたCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)と標準療法(サルベージ化学療法とその後の大量化学療法と自家造血幹細胞移植からなる)を比較した、国際無作為化多施設第III相試験TRANSFORM試験の中間分析の結果を初めて開示した。 主要評価項目であるイベントフリー生存期間(EFS)中央値は追跡期間中央値6.2ヵ月の時点で、liso-cel群10.1ヵ月、標準治療群は2.3ヵ月で、liso-cel群で有意に改善した(HR:0.349、p<0.0001)。結果としてliso-celは、20年以上主流であった現在の標準療法の成績を上回ったことになる。データは第63回米国血液学会(ASH2021)で発表されている。 TRANSFORM試験では、自家幹細胞移植の対象となる再発・難治LBCL184例が、liso-cel(n=92)または標準治療(n=92)に無作為化された。50例の患者が標準治療群からliso-celにクロスオーバーした。 liso-celi群では、66%がCRを達成、PRを合わせた割合は86%であった。標準治療群では、CR39%、PRを合わせた割合は48%で、liso-celi群で有意な改善を示した(p <0.0001)。無増悪生存期間中央値は、liso-celi群14.8ヵ月、標準療法群5.7ヵ月と、liso-celi群で優れていた(HR:0.406、p=0.0001)。 この2次治療の設定でのliso-celiの新たな安全性シグナルは観察されなかった。この試験でのサイトカイン放出症候群(CRS)発現は全Gradeで49%、Grade3は1例で報告された。

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日本における抗精神病薬の持続性注射剤と経口剤との併用に関する調査

 統合失調症の維持療法において、長時間作用型持続性注射剤(LAI)抗精神病薬の単剤療法は、選択肢の1つとして考えられているが、最近の報告では、LAI抗精神病薬と経口抗精神病薬との併用療法が一般的であるといわれている。この状況について、山梨県立北病院の三澤 史斉氏らが調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年10月18日号の報告。 LAI第2世代抗精神病薬と経口抗精神病薬の併用療法の状況を調査するため、レトロスペクティブチャートレビューを実施した。また、処方医の併用療法に対する考えを調査するためのアンケート調査も実施した。LAI第2世代抗精神病薬を1ヵ月以上処方された患者を対象に、単剤療法群と併用療法群に分類した。年齢、性別、精神医学的診断、それに付随する向精神薬の併用に関する情報を収集した。 主な結果は以下のとおり。・132例中39例(29.5%)が、LAI第2世代抗精神病薬と経口抗精神病薬の併用療法を受けていた。・リスペリドンLAIは、アリピプラゾールLAIと比較し、併用療法の割合が有意に高かった。・LAI第2世代抗精神病薬との併用で最も処方された経口抗精神病薬は、オランザピンであった。・LAI第2世代抗精神病薬と同成分の経口抗精神病薬を処方された患者は8例(20.5%)であった。・患者の60%以上は、LAI第2世代抗精神病薬開始前に経口抗精神病薬の多剤併用を行っていた。・担当精神科医は、主にアドヒアランスを考慮しLAI第2世代抗精神病薬を処方していた。また、LAI第2世代抗精神病薬の投与量が不十分であると感じて経口抗精神病薬の併用療法を行っていた。・担当精神科医は、併用療法を行っている3分の2の患者は、経口抗精神病薬のアドヒアランスが80%以上であると考えていた。 著者らは「本研究により、LAI第2世代抗精神病薬と経口抗精神病薬の併用療法は、実際の臨床現場でしばしば行われていることが明らかとなった。臨床医は、LAI抗精神病薬の開始理由を今一度よく考え、併用療法で用いる経口抗精神病薬のアドヒアランスを注意深くモニタリングする必要がある」としている。

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ファイザーブースター接種、年齢層別の効果は/NEJM

 イスラエルで新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の3回目接種(ブースター接種)を受けた16歳以上について調べた結果、全年齢でCOVID-19感染および重症の発生率についてブースター接種者のほうが非接種者よりも大幅に低かったことが、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らにより報告された。イスラエルでは先行して実施された60歳以上へのBNT162b2ブースター接種の結果が有望であったことを受け、2回目接種から5ヵ月以上経つ若い年齢層にもブースターを接種するキャンペーンが拡大されていた。NEJM誌オンライン版2021年12月8日号掲載の報告。16歳以上469万6,865人のブースター接種者のデータを解析 研究グループは、2021年7月30日~10月10日のイスラエル保健省のデータベースから、5ヵ月以上前に2回目接種を終えた16歳以上469万6,865人のデータを抽出し、解析を行った。 主要解析では、ブースター接種後12日以上経過した人(ブースター群)とブースター接種を受けていない人(非ブースター群)の、COVID-19の感染、重症化、死亡の発生率を比較した。2次解析では、ブースター群とブースター接種後3~7日の人(ブースター直後群)で比較。Poisson回帰モデルを用いて潜在的交絡因子を補正後に率比を比較した。いずれの年齢でも、ブースター群の感染、重症化の発生率が大幅に減少 確認された感染の発生率は、ブースター群のほうが非ブースター群よりも低く、率比でみると約10分の1であった。比較検討した5つの年齢群(16~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)では、最小が30~39歳の9.0分の1、最大は16~29歳の17.2分の1であった。また、ブースター群はブースター直後群よりも低く、最小は30~39歳の4.9分の1、最大は16~29歳の10.8分の1であった。 補正後率比の差(10万人日当たりの感染件数)は、主要解析(ブースター群vs.非ブースター群)では最小が60歳以上の57.0、最大は30~39歳の89.5であり、2次解析(ブースター群vs.ブースター直後群)では最小が60歳以上の34.4、最大は50~59歳の38.3だった。 高年齢群(40~59歳、60歳以上)における重症化に関する検討では、60歳以上の重症化の発生率は主要解析、2次解析いずれもブースター群が低く、率比でみると主要解析(ブースター群vs.非ブースター群)は17.9分の1(95%信頼区間[CI]:15.1~21.2)、2次解析(ブースター群vs.ブースター直後群)は6.5分の1(5.1~8.2)であった。また、40~59歳では、それぞれ21.7分の1(10.6~44.2)、3.7分の1(1.3~10.2)であった。補正後率比の差(10万人日当たりの感染件数)は、60歳以上では主要解析(ブースター群vs.非ブースター群)で5.4、2次解析(ブースター群vs.ブースター直後群)で1.9であり、40~59歳ではそれぞれ0.6、0.1であった。 60歳以上の死亡に関する検討では、率比でみると主要解析(ブースター群vs.非ブースター群)で14.7分の1(95%CI:10.0~21.4)、2次解析(ブースター群vs.ブースター直後群)で4.9分の1(3.1~7.9)、いずれもブースター群が低かった。補正後率比の差(10万人日当たりの死亡件数)は、それぞれ2.1、0.8であった。

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早期乳がん術後化療中の遠隔ケア、予防的電話介入の効果は?/BMJ

 早期乳がんの外来化学療法中の毒性管理について、プロアクティブに電話で介入する方法は、救急部門の受診や入院の減少に結び付かなかったことが、カナダ・University Health NetworkのMonika K. Krzyzanowska氏らが行った検討で示された。がん化学療法中は、救急部門の受診や入院は一般的であり、外来で適切にサポートすれば予防できる可能性が示唆されているが、これまで遠隔管理の大規模な検討は限定的であった。結果を踏まえて著者は、「COVID-19パンデミックにより遠隔ケアが急速に増加しており、がん治療中の患者の遠隔管理について、実践可能な戦略を確立することはとくに重要な課題である」と述べている。BMJ誌2021年12月8日号掲載の報告。介入群vs.通常ケア、化学療法中の救急部門受診/入院回数を検証 研究グループは、早期乳がんの化学療法中の毒性管理について、プロアクティブな遠隔管理の効果を評価する、プラグマティックなクラスター無作為化試験を行った。 カナダ、オンタリオ州の20のがんセンターを、共変量制限付き無作為化法にて、毒性の遠隔管理を行う(介入)群または通常ケアを行う(対照)群に割り付けた。被験者は、各センターで早期乳がんによりアジュバント化学療法またはネオアジュバント化学療法を受けた全患者。また、各センターで25例に、アウトカムの質問票に回答してもらった。 介入群には、各化学療法サイクル後の2つの時点で、看護師によるプロアクティブかつ標準化された一般的な毒性の管理が電話にて行われた。 主要評価項目は、化学療法全コース中の、クラスターレベルでみた患者1人当たりの救急部門受診回数または入院回数の平均値で、ルーチンに利用可能な健康管理データを用いて評価した。また、患者の自己申告によるアウトカムには、毒性、自己効力感、QOLなどが含まれていた。両群間で有意差なし 被験者のベースライン特性は、介入群(944例)、対照群(1,214例)で類似していた。65歳超の被験者は22%で、占有率(各センターで介入を受けた患者の割合)は、50~86%であった。 患者1人当たりの救急部門受診/入院回数の平均値は、介入群0.91(標準偏差[SD] 0.28)、対照群0.94(0.40)だった(p=0.94)。47%(1,014/2,158例)が、化学療法中に1回以上、救急部門受診/入院を経験した。 患者が自己申告するアウトカム質問票に回答した580例において、Grade3の毒性を1回以上経験したと報告したのは、介入群48%(134/278例)、対照群58%(163/283例)であった。自己効力感、不安、うつ症状について差は認められなかった。また、ベースラインと比較した、がん治療試験の機能評価のアウトカム指数の低下は、介入群6.1ポイント、対照群9.0ポイントであった。

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COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチン同時接種における安全性と免疫原性(解説:小金丸博氏)

オリジナルニュース新型コロナとインフルワクチンの同時接種は安全か/Lancet(2021/11/29掲載) COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種における安全性や免疫原性を検討した研究がLancet誌オンライン版(2021年11月11日号)に報告された。英国で行われた多施設共同ランダム化比較第IV相試験であり、2種類のCOVID-19ワクチン(アストラゼネカ社製とファイザー社製)と3種類の季節性インフルエンザワクチンによる6通りの組み合わせで検討された。その結果、同時接種によって接種後7日間以内の全身反応(発熱、悪寒、関節痛、筋肉痛、疲労、頭痛、倦怠感、嘔気など)の有意な増加はなく、両ワクチンに対する抗体反応も維持されることが示された。2通りのワクチンの組み合わせで95%信頼区間の上限があらかじめ規定された非劣性マージンをわずかに超える全身反応を認めたものの、許容できる範囲と考察されている。 COVID-19ワクチンは比較的高率に発熱などの全身性副反応を認め、他のワクチンとの同時接種によって副反応が増加することが懸念されている。本研究で認めた全身性反応の多くは軽度~中等度であり、ワクチンに関連していると評価された重篤な有害事象は頭痛と視力障害を認め、片頭痛と診断された1例のみだった。安全性に関して大きな懸念がないことが示されたことによって、今後、日本でも同時接種に関する議論が進むことを期待したい。 6通りのワクチンの組み合わせで免疫応答に問題がないことも示された。ただし、SARS-CoV-2中和抗体やT細胞応答(細胞性免疫)は評価されておらず、それらの評価は今後の課題となる。 本研究は、COVID-19ワクチン2回目接種と季節性インフルエンザワクチンの同時接種について検討されたものである。今後行われる可能性が高いのは3回目以降のCOVID-19ワクチン接種との同時接種であり、それについては追加の検討が必要である。 日本では現在COVID-19ワクチンの3回目接種(ブースター接種)が開始されているが、インフルエンザワクチンを含め他のワクチン接種とは2週間の間隔を空けることと規定されている。COVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種することが可能になれば、患者や医療機関の負担を軽減することにつながる。今回の研究結果は同時接種を支持する結果であり、今後の同時接種スケジュールの確立に向けて有用な知見といえる。

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院内連携をスムーズにした「申し送りノート」と「多職種合同カンファ」【今日から始める「医師の働き方改革」】第6回

第6回 院内連携をスムーズにした「申し送りノート」と「多職種合同カンファ」どの医療機関においても、職種や診療科を超えた情報共有・連携は課題でしょう。前回ご紹介した長崎大学病院の外傷センターでは、専門職同士の情報連携のツールとして「申し送りノート」と「多職種合同カンファ」がつくられました。この狙いについて、外傷センターを取りまとめる宮本 俊之氏に聞きました。―「申し送りノート」を始めたきっかけは?患者さんの情報について、医師同士はカンファレンスで共有していましたが、医師と看護師の間は、電子カルテと個別のやりとりが中心でした。抜けている項目や急ぎで欲しい情報があれば院内PHSで呼び出すなど、やりとりが煩雑でした。連携をもっとスムーズにするため、何ができるかを考えました。そもそも勤務時間がズレている、という問題もありました。医師の勤務開始は朝7時半、一方で日勤の看護師は8時半。看護師が勤務を始める時間には、医師は手術や病棟勤務に出てしまい、その後も医師が手術などを終えて病棟に戻るのは夕方で、日勤の看護師と顔を合わせる機会がなかなかありません。そこで、医師と看護師の間で情報連携を行うノートをつくることにしたのです。―ノートはどんな内容ですか?記載内容はシンプルで「日付と患者さんの名前」「伝えたい内容と記載者」「担当者の確認欄」があります。申し送りノート書き手の多くは病棟看護師で、「Aさんの薬が切れそうです」「Bさんの次のリハビリはどうしますか」といった医師への確認事項が多いですね。看護師は患者さんと接する時間が長く、状態をよく見ているので「オムツかぶれがあるので軟膏を出してほしい」といった細かい要望もあります。医師も看護師も勤務日には必ず確認するようにしており、確認欄で伝わったこともわかるので安心です。―多職種合同カンファレンスはどのように運営されているのですか?週一度、医師、看護師、薬剤師、PT(理学療法士)・OT(作業療法士)、ソーシャルワーカーなど、幅広い職種が集まってカンファをします。内容は現在入院している全患者さんの情報共有です。15人程度の患者さんの状況を1人当たり2分程度で共有します。短い時間で進めるために全員が立ったままです。多職種合同カンファレンスの樣子工夫しているのは、このカンファを医師以外の職種を中心に行うことです。進行役は看護師やPT・OTが行い、医師は部屋の中央ではなく後ろに立ちます。医師も参加者の1人に徹し、他職種からの質問に答えます。米国の大学病院への留学時、よく医師と看護師が喧々諤々の議論をしている場面に出くわしました。専門職同士が対等に議論し、よい医療を提供するために全力を尽くす、そんなチームをつくりたい、という思いが根底にあります。―ノートとカンファはどういう効果がありましたか?「申し送りノート」をつくってから、医師の指示漏れの数が4割減少しました。多職種合同カンファでは、短い時間で多くの情報を共有できるようになり、質の高い医療の提供と共に、コミュニケーションエラーが大幅に減少したと感じます。余談ですが、私たちが手術中に使う放射線の防護服はピンクやオレンジの動物柄です。もともと看護師用でしたが「先生たちもどうぞ」と勧めてくれて。最初は気恥ずかしかったですが、私が率先して着ていると他の医師も着るようになりました。見学者には笑われますが、こうしたこともコミュニケーションの一環だと思っています。手術時には看護師とお揃いの防護服を着用医師には真面目な方が多く、「働き方改革も完璧にやらないと!」と考えがちではないでしょうか。でも、小さなことを1つずつこなしていくのが大切だと思います。整理整頓も、申し送りノートや多職種合同カンファも、一つひとつは小さく取り組みやすいことです。でも、小さな変化を起こし続けることで、若い医師の「自分も職場を変えられる」という成功体験につながります。どんどん意見を言って、働き方を変えていってほしい。ベテランも「これまでこうだったから」と慣習に従うのではなく、変革に対応しなければならない時代だと感じます。 ◆申し送りノートのポイント大学ノート1冊を用意し、「記入日」「患者の名前」「申し送りしたい内容」「記入者」「確認者」の欄を設けます。活用してほしいメンバーに対し、趣旨や使い方を説明する会を設けます。一斉に導入するのが難しいようであれば、特定の職種や人に限った試験的な導入から始めるのもよいでしょう。大切なのは、運用開始直後に多くの人に使ってもらうことです。開始から1~2週間後に再度集まり、使った感想を挙げてもらいます。改善点だけでなくよかった点も集めましょう。「よかったよ!」の声が集まることで活用する人が増えます。1ヵ月に1回程度は運用を見直し、書く内容や頻度、多く書かれているテーマについて先手を打ってできることはないか、など話し合ってみましょう。◆多職種合同カンファのポイント外傷センターでは看護師が中心となって進行役を務めていますが、コメディカルや若手など、日頃は進行を担わない人が進行役になることでスキルが高まります。他の専門職がどのような観点で患者さんを見ているかを学ぶこともできます。患者1人の説明にかけるべき時間は診療科で異なるでしょうが、まずは必要最低限の情報連携からスタートしましょう。立ったまま行うことで短時間化が図れます。参加者が多くなると発言のハードルが高まるので、最初は8人程度までがよいでしょう。申し送りノートと同様、1~2週間運用して、よかった点と改善点を振り返ります。 2回にわたり、長崎大学病院外傷センターの取り組みを紹介しました。フラットな組織づくりや、小さな変化を大きく育てていく姿勢が印象的です。大きな組織では「1人で変えられることなんてない」と思いがちですが、そんなことはありません。「こうしたい」と声を上げ、仲間を探して動いてみる試みを、ぜひ始めてください。

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第88回 厚労省よ、コロナQ&Aで示すべき心筋炎の資料はこっちなのでは!?

世界的にオミクロン株の市中感染が広がる中、各国とも新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)ワクチンの3回目接種の準備を前倒しで進めている。しかし、以前の本連載でも触れたが、日本で主力となっているファイザー製ワクチン「コミナティ筋注」は現在の年内調達量から考えて、医療従事者以外の優先接種に回せる十分量がないのが現実。この現状で“救世主”として登場したのが職域接種を中心に使用され、現時点で国内在庫が1,500万回分程度残っているとされるモデルナ製ワクチン「モデルナ筋注」だ。これについて厚生労働省の薬事食品衛生審議会・医薬品第二部会は12月15日、追加免疫である3回目接種の用法・用量追加を特例承認することを了承。翌16日に厚生労働省が特例承認した。ちなみにこれを機に商品名を「スパイクバックス筋注」へと変更した。これでファイザー製ワクチンに加えてモデルナ製ワクチンも3回目接種に使えることになり、3回目分の在庫は厚くなる。しかも、今回のモデルナ製ワクチンの追加免疫の用法・用量は1回0.25mLと従来の半量になる。つまり単純計算で在庫量は2倍だが、バイアルからの採取の手間などの関係から、最終的な在庫量は約2,200万回分程度と見積もられている。現状のファイザー製ワクチンの推定在庫量は約1,100万回だが、このうち約164万回が2回目接種待機者分、さらに約400万回程度が当面の優先接種対象の医療従事者用で必要であること、加えてまったくの初回接種者用の確保も考えると、高齢者などに使える3回目接種分は概算で最大約500万回分しかなかった。今回モデルナ分が加わることで、ざっと約2,700万回分が確保できたことになる。追加接種はあくまでmRNAワクチンという括りなので、ファイザー2回接種者が追加接種でモデルナを選択することも、その逆も可能である。医療従事者の次に来る優先接種対象である高齢者が約3,300万人と考えると、在庫の数字上、当面は問題ないことになる。だが、まだまだ「仏作って魂入れず」ではないだろうか?以前も書いたことだが、モデルナ製ワクチンは従来接種量が多かったこともあって副反応も強く、若年者ですらかなりの苦痛を経験したケースは少なくない。ネット上でもそうした書き込みはあちこちで散見される。しかも、若年者が中心とはいえ、モデルナ製ワクチンでは副反応で心筋炎の発症頻度がファイザー製ワクチンと比べかなり高いことも指摘されている。この印象の悪さゆえなのだろう。Yahoo!ニュースでモデルナ製ワクチンの3回目接種の特例承認を伝えた記事の中で最もコメント数が多いと思われる以下の記事のコメント欄は、上位にネガティブコメントが目立つ。「モデルナ製ワクチン、3回目接種を特例承認…18歳以上が対象」(読売新聞オンライン)厚生労働省が設けた「新型コロナワクチンQ&A」ページでは「ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか。」の項目で必死に説明しているのは承知している。しかし、ここでの説明は何とも間の悪いものなのだ。このQ&Aの内容の肝は「確かに新型コロナワクチン接種者ではごくまれに心筋炎が発生するが、新型コロナ感染時に心筋炎が発生する確率はそれを格段に上回るもので、明らかにワクチン接種のベネフィットが上回っている」という点のはず。ところが、ここで示している表は、単にワクチン接種者では若年者ほど心筋炎の報告が多く、それもモデルナ製ワクチンで突出していることを視覚的に理解させるだけになっている。少しでもインターネットに長けた高齢者ならば、Yahoo!ニュースのコメント欄や厚労省のページのぱっと見で、このようなネガティブ情報ばかりが目に付くモデルナ製ワクチンを選択するだろうか?実はモデルナ製ワクチンによる心筋炎の頻度が、新型コロナ感染時の心筋炎に比べ、大幅に頻度が低いという情報を視覚的に表示している好例がある。それはこの心筋炎に関するQ&Aのほぼ最下部に位置する「10代・20代の男性と保護者へのお知らせ~新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について~」というPDFファイルになったパンフレットだ。この冒頭に出てくる棒グラフで一目瞭然である。本来Q&Aで示すべきはこちらのグラフなはずだ。また、11月12日に合同開催された第72回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会・第22回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の資料の53ページにはコロナ禍前のNDB((レセプト情報・特定健診等情報データベース)から見られる心筋炎関連事象の発生件数が示してあり、この数字から前述のパンフレットにより近い年齢層の40歳未満での100万人当たりの心筋炎発生数を算出すると62.1となる。いずれと比べてもmRNAワクチンによる心筋炎は明らかに頻度が低い。本来はこれらをすべて棒グラフで一覧化させ前述のQ&Aの項目に一目でわかるよう示すのが適切な情報伝達というものではないだろうか?これはトリックでも何でもなく科学的データの一覧性を整えただけだ。せっかく接種を推進する意思がありながら、なぜこうも工夫ができないのだろう。その辺が見ていて何とも歯がゆいのである。

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エブリスディドライシロップ:初の経口脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬

2021年8月12日、脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬としては初の経口治療薬となるエブリスディドライシロップ60mg(一般名:リスジプラム)の販売が開始された。SMAとは?SMAは、脊髄の運動神経細胞が選択的に障害されることによって起こる神経原性の筋萎縮症を表す。SMAは運動神経細胞生存(Survival Motor Neuron:SMN)タンパクの欠損につながる5番染色体の変異によって起こる。SMA患者では、SMN1遺伝子の機能不全により、結果として十分な量・機能性のSMNタンパクが作られず、体幹や手足の近位部優位の筋力低下や筋萎縮などの症状が現れる。日本におけるSMA罹患率は、乳児期~小児期に発症するSMAで10万人あたり1~2人、推定患者数は1,000人前後と報告されている1)。SMAは発症年齢と最高到達運動機能により下記の通り0~IV型に分類される。0型胎児期に発症し、運動機能は獲得しない。I型新生児~乳児期(生後0~6カ月)に発症する重症型で、一人で坐位を保つことができない。II型幼児期(~1歳6カ月)の発症で、首がすわり、一人で坐位を保つことができるが、支えなしでは歩くことができない。III型1歳6カ月以降の発症で、歩くことはできるが、転びやすい、歩けない、立てないなどの症状が次第にあらわれる。IV型20歳以降の発症であり、運動機能を正常に獲得するが、徐々に筋力低下や筋萎縮がみられ、その進行はI~III型に比べ緩徐である。I型は無治療の場合、1歳までに呼吸筋の筋力低下による呼吸不全の症状をきたす。薬物治療をせず、人工呼吸器の管理を行わない状態では、90%以上が2歳までに死亡する。II型は呼吸器感染、無気肺を繰り返す例もあり、その際の呼吸不全が予後を左右することとなる。III型、IV型は生命的な予後は良好である、とされている。このように、SMAでは発症年齢の早いI型、II型の予後は良好とはいえないため、早期診断が求められる。また、治療開始が早ければ早いほど有効性が高いため、早期診断に加えて早期に治療を開始することも重要である。SMAの治療SMAはつい最近まで薬物治療という選択肢が存在していなかった。しかし、2017年に核酸医薬品であるヌシネルセン(商品名:スピンラザ髄注12mg)が発売され、SMA治療が大きく変わった。2020年にはアデノ随伴ウイルスベクターを用いた静脈投与による遺伝子治療であるオナセムノゲンアベパルボベク(商品名:ゾルゲンスマ点滴静注)が2歳未満の患者を適応として薬価収載された。オナセムノゲンアベパルボベクは1回1時間かけて点滴する静脈注射あり、発症前または発症後のできるだけ早期に1回投与し、再投与は行わない。一方、ヌシネルセンによる髄注治療は、定期的な投与が必要であり、投与のたびに入院が必須となる。そのため、髄注による治療は患者本人だけでなく、家族などの介助者や医療従事者の負担も大きいことが課題となっていた。エブリスディ投与によりSMNタンパク質の産生量が増加そこに2021年、SMA治療薬として初の経口薬であるエブリスディが登場した。エブリスディは経口投与によって、SMN2 pre-mRNAの選択的スプライシングを修飾することで、機能性SMNタンパク質の産生量を増加させる。エブリスディは経口薬のため在宅治療が可能であり、患者本人、患者家族の負担を減らすことが期待される。エブリスディの有効性及び安全性はI型SMA患者を対象としたFIREFISH試験とII型/III型SMA患者を対象としたSUNFISH試験で検討された。FIREFISH試験では1~7ヵ月齢のI型SMA患者にエブリスディを投与した結果、投与12ヵ月に人工呼吸管理を受けずに生存していた患者の割合は85.4%であり、自然歴に基づいて設定された達成基準、42%と比較して有意に高いことが示された。さらに、投与12ヵ月後における経口摂取能力を有する患者割合が82.9%であったことも報告されている。一方、SUNFISH試験は2~25歳のII型/III型SMA患者を対象としており、小児に限らず幅広い年齢の患者を対象とした臨床試験となっている。いずれの試験においてもSMNタンパク質量はエブリスディ投与によりベースラインから約2倍高くなっていた。それぞれの試験での副作用発現率は17.1%、13.3%であった。両試験とも投与中止に至った副作用は認められなかった。エブリスディが変えるSMA治療:未来への展望初の経口治療薬であるエブリスディの登場により、既存治療に伴う通院や入院による患者や患者家族の負担軽減が期待できる。さらに、器質的に髄注が困難など、さまざまな事情で治療を受けることができていない患者においても、薬物治療を受けられる可能性が出てきた。注目の新薬、エブリスディの登場により、今後のSMA治療が大きく変わっていくことが期待される。1)難病情報センター.脊髄性筋萎縮症(指定難病3).(2021年11月24日参照)

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自由の国と感染症 法制度が映すアメリカのイデオロギー

感染症対策を強力に形作るのは、法制度と市民のイデオロギーである米国での天然痘・腸チフス・黄熱病という3つの感染症の事例について、法制度との関係を中心に精緻な考察を展開する。ワクチン接種義務や検疫のように個人や商業の自由を大きく制限する措置は、合衆国憲法の規定のもとではさまざまな軋轢を生んだ。一方、上下水道のシステムが充実して公衆衛生が大きく改善されたのは、合衆国憲法が私有財産権を保障して信用市場の安定を促したためだった。公衆衛生とはこのように、国家構造を規定するイデオロギーや市民の選好が互いに影響を及ぼしあった結果として表れてくる。米国以外の国のデータを比較対象としながら、法制度と感染症の関係を巧みに描き出す。国家・市民・感染症の関係は、「経済繁栄と感染拡大のトレードオフ」という構図だけでは言い尽くせない複雑な様相を呈する。日本での感染症の状況を眺めるとき、本書の洞察はよい手がかりとなるだろう。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    自由の国と感染症 法制度が映すアメリカのイデオロギー定価4,620円(税込み)判型四六版頁数320頁発行2021年12月著者ヴェルナー・トレスケン訳者西村 公男、青野 浩

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統合失調症に対する抗精神病薬治療効果とテロメア長との関連

 統合失調症の重症度や認知機能障害に対する持続性注射剤(LAI)および経口剤の非定型抗精神病薬の有効性とテロメア長との関連について、インド・University College of Medical Sciences and Guru Teg Bahadur HospitalのNisha Pippal氏らが調査を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2021年10月29日号の報告。 18~50歳の性別を問わない統合失調症患者60例を対象に、12週間の研究を実施した。LAI抗精神病薬と経口抗精神病薬を、それぞれ30例に投与した。ベースライン時および12週間時点で、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)およびインド国立精神衛生神経科学研究所(NIMHANS)の神経心理学的テスト・バッテリーを用いた評価を行った。テロメア長は、ベースライン時に推定した。 主な結果は以下のとおり。・12週間の治療後、両群ともにPANSSスコアおよびNIMHANSテスト・バッテリーのスコアの有意な改善が認められた(p<0.001)。・ベースライン時の平均テロメア長は、LAI抗精神病薬治療群で407.58±143.93、経口抗精神病薬治療群で443.40±178.46であった。・テロメア長の短さと、治療後のPANSS陰性症状スコアの平均変化との有意な関係が認められた(r=-0.28、p=0.03)。 著者らは「LAI抗精神病薬は、統合失調症における重症度の軽減および認知機能障害の改善に対し、経口抗精神病薬と同様の効果を有していた。また、テロメア長が短い患者では、PANSS陰性症状スコアのより大きな改善が認められた。そのため、統合失調症患者に対する抗精神病薬の治療反応を予測するうえで、テロメア長は有用である可能性が示唆された」としている。

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早期乳がん、タキサンへのアントラサイクリン追加のベネフィットとリスク~メタ解析/SABCS2021

 早期乳がんに対するタキサンとアントラサイクリンをベースとした化学療法は、アントラサイクリンによる心毒性と白血病リスク増加の懸念から、アントラサイクリンを含まないレジメン、とくにドセタキセル+シクロホスファミド(DC)が広く使用されている。アントラサイクリン併用のベネフィットとリスクは複数の無作為化試験で検討されているが、結果が一致していない。今回、Early Breast Cancer Trialists Collaborative Group(EBCTCG)が、2012年以前に開始された16件の無作為化比較試験から約1万8,200例のデータのメタ解析を実施した。その結果、アントラサイクリン併用で、乳がん再発リスクが相対的に15%減少し、また同時投与レジメンで最大の減少がみられたことを、英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。・比較試験の種類:(A)アントラサイクリン+DC同時投与6サイクル vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が両群で同じ)3試験(B)アントラサイクリン/タキサン逐次投与 vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が併用群で少ない)8試験(C)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン±カペシタビン3試験(D)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン+カルボプラチン2試験・主要評価項目:再発率、乳がんによる死亡率 主な結果は以下のとおり。・全試験でのメタ解析では、タキサンに対するタキサン+アントラサイクリンでの再発リスクの相対的減少は15%(RR:0.85、95%CI:0.78~0.93、2p=0.0003)、10年での絶対的減少は2.5%(95%CI:0.9~4.2)だった。乳がん死亡リスクの相対的減少は13%(RR:0.87、95%CI:0.78~0.98、2p=0.02)、10年での絶対的減少は1.6%(95%CI:0.1~3.1)だった。・再発リスクの相対的減少は、アントラサイクリン同時投与の有無による比較(A)で42%(RR:0.58、95%CI:0.43~0.79)と最大だった。一方、アントラサイクリン/ドセタキセル逐次投与とDCの比較(B、ドセタキセル累積投与量が併用群で少ない)では、アントラサイクリン併用による有意なベネフィットはなかった(RR:0.92、95%CI:0.78~1.09)。・再発率の相対的減少について、エストロゲン受容体の発現状況やリンパ節転移の個数による違いはなかった。・心血管疾患や白血病による死亡の有意な増加は示されなかった(長期フォローアップが必要)。

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アトピー性皮膚炎に経口治療薬が登場/ファイザー

 ファイザー株式会社は、12月13日にアトピー性皮膚炎の治療薬として、経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤アブロシチニブ(商品名:サイバインコ)を発売した。アブロシチニブは、2020年12月に本剤の製造販売承認申請が行われ、2021年9月に承認を取得していた。 アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症や、皮膚バリア機能が損なわれる慢性皮膚疾患。紅斑、丘疹、痒み、浸潤、鱗屑、痂疲が主症状となる。幼少期から繰り返す慢性皮膚疾患のもっとも代表的な疾患で、世界中で成人の10%、小児の20%が罹患していると推定されている。 今回発売されたアブロシチニブは、選択的にヤヌスキナーゼ(JAK)1を阻害する低分子化合物。JAK1が阻害されることにより、病態生理学的にアトピー性皮膚炎に関与するとされるインターロイキン(IL)-4、IL-13、IL-31、IL-22、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を含む複数のサイトカイン・シグナルが抑制されると考えられている。 本剤の特性の1つとして、JAK1に対する生化学的な阻害活性があり、他の3種類のJAKアイソフォームと比較するとJAK2の28倍、JAK3の340倍超、TYK2の43倍の阻害活性であることが非臨床試験において示されている。 また、本剤では、臨床開発プログラムとしてJADE試験をはじめ20を超える治験を実施し、中等症から重症の成人および12歳以上の小児において、サイバインコの単剤投与および外用剤との併用投与における症状改善効果が認められている。当該治験の結果から、成人と12歳以上の小児で用法および用量が同じであることも特性の1つとなる。 海外では、イギリス、韓国、欧州連合(EU)で承認を受け、2020年10月に米国食品医薬品局(FDA)により、「中等症から重症のアトピー性皮膚炎」を対象とした1日1回投与の経口JAK阻害剤として承認申請が受理されている。アブロシチニブの概要製品名:サイバインコ錠(50mg/100mg/200mg)一般名:アブロシチニブ効能または効果:既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎用法および用量:通常、成人および12歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて200mgを1日1回投与することができる。製造販売承認取得日:2021年9月27日薬価基準収載日:2021年11月25日発売日:2021年12月13日製造販売元:ファイザー株式会社

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新型コロナを5類相当にすべき?すべきでない?医師が考えるその理由

 日本国内での新型コロナの感染状況は小康状態が続く中、ワクチン接種は進み、経口薬の承認も期待される。一方で、オミクロン株についてはいまだ不明な点が多く、国内での感染者数も少しずつ増加している。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を5類相当に格下げすべき」。これまで何度か話題に上ったこの意見について、医師たちはどのように考えているのか? CareNet.comの会員医師1,000人を対象にアンケートを行った(2021年12月3日実施)。新型コロナウイルス感染症は5類でも2類でもない特例的な枠組み 新型コロナウイルス感染症は現在、感染症法上「新型インフルエンザ等感染症」という特例的な枠組みに位置付けられ1)、入院勧告や外出自粛要請などが可能で、医療費が公費負担となる1~2類感染症に近い対応がとられている2)。その法的位置付けについて、今年初めまでは「指定感染症」に位置付けられていたこと、一部報道などでは“2類相当”との言葉が先行するケースもみられたことなどから、混乱が生じている側面がある。 「COVID-19の現行の感染症法上の位置付けについて、どの程度認識しているか」という問いに対しては、最も多い63%の医師が「何となく理解している」と回答し、「よく理解している」との回答は28%に留まった。新型コロナの位置付け変更「今すぐではないが今後状況をみて」が45% COVID-19を5類感染症相当の位置付けに変更すべきか? という問いに対しては、「今後状況の変化に応じて5類相当の位置付けに変更すべき」と回答した医師が45%と最も多く、「1~5類の分類に当てはめず、特例的な位置付けの中で状況に応じて変更すべき(25%)」、「現状の位置付けのまま、変更すべきではない(16%)」と続き、「今すぐに5類相当の位置付けに変更すべき」と答えた医師は13%だった。 COVID-19患者あるいは発熱患者の診療有無別にみると、「いずれも診療していない」と回答した医師で、新型コロナウイルス感染症を「今すぐに5類相当の位置付けに変更すべき」との回答が若干少なく、「現状の位置付けのまま、変更すべきではない」との回答が若干多かったが、全体的な回答の傾向に大きな違いはみられなかった。 また、どのような状況になれば新型コロナウイルス感染症を5類相当に変更すべきかという問いに対しては、「経口薬が承認されたら」という回答が最も多く、「第6波がきても重症者が増加せず、医療ひっ迫が起こらなかったら」という回答が続いた。新型コロナの5類相当への変更は行政の関与がほとんどなくなることを意味 新型コロナウイルス感染症を「今すぐに5類相当に」と回答した理由としては、「保健所を通さず診療所で診察できるようにして重症者を手厚く治療できるようにした方がいい」等、病院や医師判断での入院・治療ができるようにした方がよいのではないかという意見が目立った。 「今後状況の変化に応じて5類相当に」と回答した理由としては、「変異株が新たに報告されるたびに警戒を強めなければならない状況では、今5類にするのは危険。疫学的に理解が広まり、治療法(経口薬)が確立されれば検討の余地あり」等、経口薬の広まりや変異株の出現状況等に応じていつかは変更すべきとする意見が多かった。 「1~5類の分類に当てはめず、特例的な位置付けの中で状況に応じて変更すべき」と回答した理由としては、「5類への引き下げは行政の関与がほとんどなくなることを意味するため、その選択肢はありえない」といった意見や、フレキシブルに対応するため既存の枠組みに当てはめないほうがよいのではないかといった意見がみられた。 「現状の位置付けのまま、変更すべきではない」と回答した理由としては、「公費で診療にしないと診察にこない患者がいる」「自費となると治療薬が高額で治療を受けられなくなる人がでてくる」等、自費負担となることの弊害を挙げる意見や、万が一の場合に行動制限等の強い措置がとれるようにしておく必要を指摘する意見があがった。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。新型コロナウイルス感染症、感染症法上の現在の扱いは妥当?…会員1,000人アンケート

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モデルナ製ワクチンの追加接種を承認、「スパイクバックス」に名称変更も/厚労省

 厚生労働省は12月16日、モデルナ社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて用法・用量の追加を特例承認した(国内の申請者は武田薬品工業)。先行して承認されたファイザー製ワクチン同様、国内の18歳以上に対し、3回目のブースター接種(追加免疫)への使用が可能になる。ただし、追加接種では0.25mLと従来の半量になる(2回目までの初回免疫では0.5mL)。併せて、販売名が「モデルナ筋注」から「スパイクバックス筋注」に名称変更されることも周知された。モデルナ製ワクチンが名称変更でスパイクバックス筋注に 国内における追加接種は、現在、2021年12月1日から22年9月30日までを接種可能時期としており、▽2回目接種を完了した日から、原則8ヵ月以上経過▽18歳以上▽日本国内での初回接種(1・2回目接種)またはそれに相当する接種を完了―のすべてを満たす人が対象となっている。しかし、現在拡大が懸念されているオミクロン株のリスクを考慮し、諸外国では接種間隔を短縮したり、18歳以下にも対象を拡大したりする動きがある。<モデルナ製ワクチン添付文書情報> ※今回の主な追加・変更箇所を抜粋3.3 製剤の性状販売名:スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)6. 用法及び用量初回免疫:1回0.5mLを2回、通常、4週間の間隔をおいて、筋肉内に接種する。追加免疫:1回0.25mLを筋肉内に接種する。7. 用法及び用量に関連する注意7.2 追加免疫7.2.1 接種対象者18歳以上の者。SARS-CoV-2の流行状況や個々の背景因子等を踏まえ、ベネフィットとリスクを考慮し、追加免疫の要否を判断すること。7.2.2 接種時期通常、本剤2回目の接種から少なくとも6ヵ月経過した後に3回目の接種を行うことができる。7.2.3 初回免疫として他のSARS-CoV-2ワクチンを接種した者に追加免疫として本剤0.25mLを接種した臨床試験は実施していない。

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ファイザー製ワクチン、ブースター接種で死亡リスク9割減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNAワクチンのBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)の、2回接種から少なくとも5ヵ月後にブースター接種を受けた人は、ブースター接種を受けていない人と比較して、COVID-19による死亡リスクが90%低下した。イスラエル・Clalit Health ServicesのRonen Arbel氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析を行い報告した。SARS-CoV-2のデルタ(B.1.617.2)変異株の出現と、BNT162b2ワクチンの経時的な有効性の低下により、早期にワクチンを接種した集団においてCOVID-19の再流行が発生したことから、イスラエルの保健省は2021年7月30日にBNT162b2ワクチンの3回目接種(ブースター接種)を承認したが、ブースター接種でCOVID-19による死亡率が低下するかどうかのエビデンスが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2021年12月8日号掲載の報告。ブースター群と非ブースター群の計84万例超でCOVID-19死を比較 研究グループは、イスラエル国民の半数以上が加入している同国最大の医療保険組織「Clalit Health Services」のデータを用い、ブースター接種が承認された7日後の2021年8月6日時点で50歳以上であり、少なくとも5ヵ月前にBNT162b2ワクチンの2回目の接種を受けた人を対象として、2021年9月29日までの間のブースター接種者(ブースター群)と非接種者(非ブースター群)のCOVID-19による死亡について検討した。試験終了日において、ブースター接種後7日までの人は、非ブースター群に含めた。 時間依存共変量を用いるCox比例ハザード回帰モデルにより社会人口統計学的要因と併存疾患を補正し、ブースター接種の有無と死亡との関連を解析した。 解析対象は、適格基準を満たした84万3,208例であった。ブースター接種で死亡リスクが90%低下 84万3,208例中75万8,118例(90%)が、54日間の試験期間中にブースター接種を受けた。 COVID-19による死亡は、ブースター群で65例(0.16/10万人/日)、非ブースター群で137例(2.98/10万人/日)に認められた。非ブースター群に対するブースター群のCOVID-19による死亡の補正後ハザード比は、0.10(95%信頼区間[CI]:0.07~0.14、p<0.001)であった。 なお、著者は試験期間が54日間と短期であること、高齢者(60歳以上)が若年者(60歳未満)より早くブースター接種を開始していることが生存率に影響している可能性があること、重篤な有害事象に関するデータが不足していること、BNT162b2ワクチンのみの結果であること、などを研究の限界として挙げている。

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tapinarofクリームが尋常性乾癬に有効~第III相試験/NEJM

 軽度~重度の尋常性乾癬患者において、tapinarof 1%クリーム1日1回12週間塗布は、対照(基剤)と比較して重症度を有意に改善したが、局所および頭痛などの有害事象も伴った。米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のMark G. Lebwohl氏らが、tapinarofの2件の無作為化第III相試験「PSOARING 1」および「PSOARING 2」の結果を報告した。tapinarofは、インターロイキン(IL)-17と皮膚バリア機能に関与するフィラグリンおよびロリクリンの発現を調節するアリル炭化水素受容体調節薬で、クリーム剤が乾癬の治療薬として検討されており、第II相試験で有効性が示されていた。今回の結果を受けて著者は、「乾癬に対するtapinarofクリームの有効性と安全性を既存の治療薬と比較検討するためには、より大規模で長期的な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年12月9日号掲載の報告。tapinarofの有効性をPGAスコアで評価 研究グループは、ベースライン時の医師による全般的評価(PGA)スコア(範囲:0~4、スコアが高いほど乾癬の重症度が高いことを示す)が2~4(軽度~重度)で、病変面積が体表面積(BSA)の3~20%の成人乾癬患者を、tapinarof 1%クリーム(tapinarof群)または基剤クリーム(対照群)の2群に、2対1の割合で無作為に割り付け、1日1回12週間塗布した。 主要評価項目はPGA奏効(12週時のPGAスコアが0~1、かつベースラインから2ポイント以上低下)、副次評価項目は、それぞれ12週時における、PASI 75(乾癬面積重症度指数[PASI]スコアのベースラインから75%以上改善)を達成した患者の割合、PGA0/1(PGAスコア0または1)を達成した患者の割合、病変面積のBSAに占める割合のベースラインからの平均変化量、PASI 90を達成した患者の割合とした。また、患者報告アウトカムとして、そう痒重症度スコア(Peak Pruritus Numerical Rating Scale[PP-NRS]:かゆみなし[0]~想像できる限り最悪のかゆみ[10])のベースラインからの平均変化量および4ポイント以上改善した患者の割合、PP-NRS総合スコア、皮膚疾患特異的QOL(DLQI)合計スコア、乾癬症状日誌(Psoriasis Symptom Diary)スコアのベースラインからの平均変化量を評価した。PGA奏効率、tapinarof群35%、対照群6% 「PSOARING 1」および「PSOARING 2」において、それぞれ692例および674例がスクリーニングされ、510例および515例が登録された。 PGA奏効率は、「PSOARING 1」でtapinarof群35.4%、対照群6.0%、「PSOARING 2」ではそれぞれ40.2%および6.3%であった(いずれの試験もvs.対照群のp<0.001)。副次評価項目および患者報告アウトカムについても、主要評価項目と同様の結果が得られた。 有害事象については、tapinarof群で毛包炎、鼻咽頭炎、接触性皮膚炎、頭痛、上気道感染症、そう痒などが認められた。

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天疱瘡〔Pemphigus〕

1 疾患概要■ 概念・定義天疱瘡は、表皮細胞間接着に働くデスモグレイン:Dsg(カドヘリン型細胞接着分子)にIgG自己抗体が結合し、その接着機能を阻害するために皮膚・粘膜に水疱を形成する自己免疫性水疱症である。天疱瘡は、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡と、尋常性天疱瘡の亜型とされる増殖性天疱瘡や、腫瘍随伴性天疱瘡、落葉状天疱瘡の亜型とされる紅斑性天疱瘡、疱疹状天疱瘡などを含むその他の天疱瘡の3型に大別される。■ 疫学2015年の天疱瘡による受給者証所持数は5,777人、2017年は3,347人、2019年は3,091人であった1)。2017年以降の減少については、2015年に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、制度が変更されたことや経過措置の期限に伴う変動が考えられる。受給者証保持数の年齢分布は50~60歳台が多く、60歳台が最も多い1)。発症年齢は50歳台に多く、男女比はおおむね1:1.5と女性にやや多いとされる。病型については、世界では落葉状天疱瘡が多いブラジルなど地域により病型の頻度が異なる地域もあるが、一般的には尋常性天疱瘡が最も多く、わが国では尋常性天疱瘡が65%程度を占めており、落葉状天疱瘡が次に多く20%程度を占める2)。■ 病因前述のように、IgG自己抗体がDsgに結合することにより表皮細胞間接着機能を阻害することが天疱瘡における水疱形成の主な病態であると考えられている。接着機能阻害の機序として、自己抗体の結合によりDsgを直接阻害するほか、自己抗体結合後の細胞内シグナル伝達を介したDsgの細胞内への取り込みや抗原特異的T細胞およびB細胞、制御性T細胞の病態への関与などが考えられているが、今なお自己抗体が産生される原因は不明である。■ 症状尋常性天疱瘡は、粘膜皮膚型と粘膜優位型に分類され、粘膜皮膚型では抗Dsg3抗体と抗Dsg1抗体が、粘膜優位型では抗Dsg3抗体がみられる。各病型の症状を説明する上で、デスモグレイン代償説が知られている。Dsg3は皮膚では表皮下層優位に、粘膜では全層に強く発現し、Dsg1は皮膚では表皮全層に上層優位に、粘膜ではほぼ全層で弱く発現している。粘膜皮膚型尋常性天疱瘡では、両抗体により粘膜・皮膚ともに障害され、基底層直上で水疱を形成する。口腔内粘膜症状が初発症状となることが多い。水疱は弛緩性で破れやすく容易にびらんとなり、また、一見正常にみえる部位にも圧力によってびらんを来すNikolsky現象がみられる。一方、粘膜優位型尋常性天疱瘡では、阻害されたDsg3の機能をDsg1が代償しきれない粘膜で主に症状を呈するが、皮膚ではDsg1が代償し、症状がみられないかもしくは軽度に留まる。落葉状天疱瘡では、抗Dsg1抗体により、Dsg3の代償がない表皮上層に水疱が形成される。頭部や胸背部などの脂漏部位に小紅斑を伴う水疱とびらんがみられることが多いが、広範囲の紅斑を呈する場合もある。粘膜では阻害されたDsg1の機能をDsg3が代償するため、通常粘膜病変はみられない。リンパ系疾患に伴うことが多い腫瘍随伴性天疱瘡では、難治性の口腔内びらん・潰瘍や眼粘膜病変が特徴的であり、消化管や陰部の病変を伴うこともある。閉塞性細気管支炎を併発し得る。■ 予後一般に尋常性天疱瘡は、落葉状天疱瘡に比し重症であることが多いが、2010年に天疱瘡診療ガイドラインが示され2)、治療導入期の集中的治療が標準的になった近年、天疱瘡は寛解や軽快を達成し得る疾患となっている。施設間にもよるが、治療導入により一旦臨床的に寛解した症例は80~90%超などの報告がある3、4)。しかし、重症難治例や軽快しても再燃を起こす例がみられ、寛解後も病勢の変化に注意して経過観察する必要がある。また、本疾患は第1選択であるステロイド内服療法が長期となる場合が多いことから、感染症、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、消化管潰瘍などの合併症に十分留意する必要がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)天疱瘡診療ガイドラインに示されている診断基準を下記に示す2)。天疱瘡の診断基準(1)臨床的診断項目[1]皮膚に多発する、破れやすい弛緩性水疱[2]水疱に続発する進行性、難治性のびらん、あるいは鱗屑痂皮性局面[3]口腔粘膜を含む可視粘膜部の非感染性水疱、あるいはびらん[4]Nikolsky現象陽性(2)病理組織学的診断項目表皮細胞間接着障害(棘融解 acantholysis)による表皮内水疱を認める。(3)免疫学的診断項目[1]病変部ないし外見上正常な皮膚・粘膜部の細胞膜(間)部にIgG(時に補体)の沈着を直接蛍光抗体法により認める。[2]血清中に抗表皮細胞膜(間)IgG自己抗体(抗デスモグレインIgG自己抗体)を間接蛍光抗体法あるいはELISA法により同定する。[判定および診断][1](1)項目のうち少なくとも1項目と(2)項目を満たし、かつ(3)項目のうち少なくとも1項目を満たす症例を天疱瘡とする。[2](1)項目のうち2項目以上を満たし、(3)項目の[1]、[2]を満たす症例を天疱瘡とする。前述した臨床症状の他、皮膚生検による組織学的および免疫学的項目が必須となる。病理組織学的に棘融解を伴う表皮内水疱をみとめ、免疫学的に蛍光抗体直接法(DIF)にて表皮細胞間にIgGの沈着や、蛍光抗体間接法(IIF)にて表皮細胞間にIgG自己抗体を認める。また、enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA法[現在は多くの場合、chemiluminescent enzyme immunoassay(CLEIA法)]に移行している)にて自己抗体を検出する。また、重症度の判定としては現在、皮膚・頭皮・粘膜の皮疹を元に算出するPemphigus Disease Activity Index(PDAI)が主に用いられている2)。PDAIは急性期の病勢指標として優れており、また、治療維持期の病勢指標としては、ELISAもしくはCLEIA法による抗Dsg抗体価の追跡が有用である。しかし、抗Dsg抗体価は臨床的に寛解後も陽性のまま経過する場合も散見され、急性期に比し寛解期では陽性であっても低値となることが多いことが報告されているが5)、その値や経過は個人間によって異なるため、抗体価による評価は他症例との間でなく患者個々の経過の中で行うべきである。また、症状とELISAもしくはCLEIA法、DIF・IIFなどの検査間の乖離がみられる例もあり、病勢や経過の評価には総合的な判断が必要である。鑑別診断としては、水疱性類天疱瘡やDuhring疱疹状皮膚炎、後天性表皮水疱症などを含む表皮下水疱症、また、TEN(toxic epidermal necrolysis)・Stevens-Johnson症候群を含む重症薬疹や伝染性膿痂疹、多型紅斑などが挙げられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)天疱瘡の治療は治療導入期と治療維持期とに分かれる。治療導入期には、プレドニゾロン(PSL)が第1選択となり、重症から中等症ではプレドニゾロン1.0mg/kg/日の投与が標準的である。天疱瘡では初期治療が重要であり、ステロイド単剤で十分な効果が得られない場合には、速やかに免疫抑制剤やγグロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)、二重膜濾過血漿交換療法(double filtration plasmapheresis:DFPP)を主流とする血漿交換、ステロイドパルス療法などの集中的治療を考慮すべきである。免疫抑制剤としては、アザチオプリンがガイドラインにて推奨度Bである他、シクロスポリン、シクロホスファミドなどがC1とされている2)。病勢が制御できた後の治療維持期においてはステロイドの減量を行い、PSL20mg/日以上では1~2週で1回に5~10mg/日、20mg/日以下では1~2ヵ月で1回に1~3mg/日を減量する。免疫抑制剤を併用している場合は、ステロイドを十分減量した後に免疫抑制剤を減量する。治療においては、PSL0.2mg/kg/日もしくは10mg/日以下で臨床的に症状を認めない状態、すなわち寛解を維持することを目標とする。4 今後の展望わが国において2010年に天疱瘡診療ガイドラインが作成され、診断、重症度、治療アルゴリズムなどが示された2)。治療導入期のDFPPやIVIgを含めた集中的治療が標準化した現在、適切な初期治療を行うことにより、多くの症例で寛解もしくは無症状の状態を維持することが可能となった。一方で、重症難治例や臨床的に寛解に至ってもステロイドを減量することが困難な例や再燃を繰り返す例が存在するのも事実である。近年、天疱瘡の病態機序については、自己抗体による直接的な細胞接着障害の他、細胞内シグナルの活性化によるDsgの細胞内への取り込みや、抗原特異的T細胞およびB細胞、さらには制御性T細胞の病態への関与が知られるようになった6-9)。抗原特異的B細胞をターゲットとしたヒトCD20に対するモノクローナル抗体であるリツキシマブやキメラ自己抗体受容体T細胞を利用した治療は、より標的を絞った今後の治療として注目されている10-12)。天疱瘡に対する治療は目覚ましく発展しており、今後さらに予後が改善されることが期待されている。5 主たる診療科皮膚科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本皮膚科学会ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 天疱瘡(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班ホームページ(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報天疱瘡・類天疱瘡友の会(患者とその家族および支援者の会)1)難病情報センター 天疱瘡2)天谷雅行ほか. 日皮会誌. 2010;120:1443-1460.3)込山悦子,池田志斈. 日皮会誌. 2008;118:1977-1979.4)Kakuta R, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020;6:1324-1330.5)Kwon EJ, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2008;22:1070-1075.6)Jolly PS, et al. J Biol Chem. 2010;285:8936-8941.7)Takahashi H, et al. J Clin Invest. 2011;121:3677-3688.8)Takahashi H, et al. Int immunol. 2019;31:431-437.9)Schmidt T, et al. Exp Dermatol. 2016;25:293-298.10)Joly P, et al. N Engl J Med. 2007;57:545-552.11)Ellebrecht CT, et al. Sience. 2016;353:179-184.12)Joly P, et al. Lancet. 2017;389:2031-2040.公開履歴初回2021年12月16日

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FMラジオに出演しました【Dr. 中島の 新・徒然草】(405)

四百五の段 FMラジオに出演しました大阪医療センターでは、地元のFM局に医師が順に出演することになっています。完全に他人事だと思っていた私にも突然、順番が回ってきました。テーマを「頭痛」と決め、本番のやり取りを想像しながら台本を書いて送りました。2~3回のやりとりで手直しした後の収録日。当日は、地下鉄なんば駅から徒歩10分の湊町リバープレイスというビルに向かいます。指定された時刻に到着すると、営業部長さんが出迎えてくれました。早速、名刺交換です。このような時、私はいつも相手より1ミリでも下から名刺を出すことにしています。「貴方の人生にとって最も大切な1ミリだ」と耳にしたことがあるからです。ところがこの営業部長さん、10センチくらい下から名刺を出してきました。こうなると私の敗北です。完全にやられてしまいました。しばしの雑談の後にスタジオに案内されます。沢山の音響機器が並ぶ穴倉みたいなところだろう、と勝手に想像していました。実際は全く違っており、採光のよいガラス張りの広い部屋がいくつも並んでいます。働いているのも爽やか青年たちばかりで、頑固親父はどこにも見当たりませんでした。さて、私の担当DJは下埜 正太さん。簡単な打ち合わせの後、席に着きます。「もし不適切な発言があったら、編集よろしくお願いします」と頼むと「それはもう任せておいてください」と営業部長さんが請け合ってくれました。「マスクは外したほうがいいのでしょうか?」「どちらでもいいですよ」そう言われましたが、やはりFMラジオは音が命なので、マスクを外してしゃべることにしました。いざ本番、下埜さんのマシンガントークが全開炸裂!「今日のゲストは大阪医療センターの中島先生です」つづいて、台本にない話が振られました。いきなり予定外ですが、何とかそれに合わせて答えます。すると再び台本に戻ったので、必死についていきました。そうこうしている間に、あっという間に終了。内容については放送をお聞きください。おそらく素人が台本通りにしゃべると、棒読みになってしまうのでしょう。適度にアドリブを入れて、臨場感を狙ったのだと思います。結局、準備していた台本の冒頭部分しかしゃべることができませんでした。「いやあ中島先生、無茶苦茶面白かったですよ!」「あと2回来てください。是非お願いします」「先生が台本をつくってきてくれたんで、やりやすかったです!」口々に褒められた私も、少しにんまり。出演者自身が台本を作ってきたのは、前代未聞だったのかもしれません。それも3回分も!というわけで、珍しい体験をした1日でした。もし、私の出演した番組を聴いてやろうという読者がおられましたら、下記の通りです。番組LOVE FLAP放送局FM大阪 85.1MHz出演日時2021年12月16日(木)13時22分頃からの DOCTOR'S FLAP最後に1句冬日中(ふゆひなか) 台本確認 さあ本番

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人生の「裏道」にはお宝が埋まっている!?【医師のためのお金の話】第51回

株式投資には「人の行く裏に道あり花の山」という投資格言があります。投資家は群集心理のために、他の人が注目しているホットな銘柄に投資しがちです。しかしこの格言は、「むしろ他人と反対のことをやったほうが成功する確率が高い」と説いています。私も他人と同じ行動とならないよう心掛けて株式投資をしたところ、約8年でいわゆる「億り人」になりました。他人と真逆の行動になることも多いので精神的プレッシャーはキツイですが、得られる果実は大きいと感じています。この格言は株式投資の真理の一端を捉えていますが、実は日常生活でも有効なことが多いです。株式投資だけにとどめておくのはもったいない…。今回は「人の行く裏に道あり花の山」のおトクな使い方を伝授しましょう!秋の紅葉シーズンはどのような行動が最適?今年の秋の紅葉シーズンは晴天に恵まれました。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が減少したことも相まって、全国各地の紅葉スポットは混雑したようです。しかし医療従事者としては、人混みに出て感染するわけにはいかないのが悩ましいところです。ここで登場するのが「人の行く裏に道あり花の山」の考え方です。人混みを避けつつ紅葉見物するには混雑する週末を避ける必要があります。「そんなこと言われても、週末しか休めないよ」という声が聞こえてきそうですね。しかし裏道とて「タダ」では通れません。ここでは平日に紅葉狩りに行くという代償が必要です。有給休暇のハードルは高いと思われがちですが、強いキモチがあれば意外と取れちゃうものです。本当に紅葉狩りに行きたいのならサクッと有給休暇を取得しましょう!ちなみに私は平日に休みまくって各地の紅葉狩りを楽しみました。週末は観光客でごった返す有名スポットも、平日ならさほど混雑せずに堪能できます。心の持ち方だけで快適な紅葉狩りを楽しめるのです。裏道を行くには代償が必要紅葉狩り以外にも、高級ホテルに宿泊する際には、できるだけ平日になるように旅程を調整しています。週末をできるだけ避けて高級ホテルに宿泊するという、人と異なる選択をすることで安価に快適な旅行を実現できるのです。この場合も平日に有給休暇を取得する必要がありますが、裏道を行くからには何らかの代償は払わざるを得ません。有給取得は高いハードルかもしれませんが、株式投資で裏道を行くために必要な極度の精神的プレッシャーまでは必要ない、と割り切りましょう。このように投資や日常生活でうまくやっていくには「人の行く裏に道あり花の山」の考え方がポイントになりますが、「フリーランチ」というわけにはいかず、何らかの代償は支払う必要があります。周囲の人と同じ選択をしてコスパの悪い人生を歩むのか、はたまた何らかの代償を支払いながらも素晴らしい成果を得続けるのか…。あなたならどちらを選びますか?

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