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CLLに対するBTK阻害薬、アカラブルチニブvs.イブルチニブ/ASCO2021

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)治療に対して選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブが国内承認された。アカラブルチニブの有用性を先行薬イブルチニブと比較した非盲検非劣性第III相無作為化比較試験ELEVATE-RRの結果について、オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。BTK阻害薬比較でアカラブルチニブはイブルチニブより心毒性が少ない・対象:17p欠失または11q欠失判定、ECOG PS≦2で治療歴のあるCLL患者(17p欠失の有無、ECOG PS[2vs.≦1]、前治療の回数[1~3 vs.≧4]で層別化)・試験群:アカラブルチニブ群(Aca群:100mg 1日2回)・対照群:イブルチニブ群(Ib群:420mg 1日1回) いずれも無増悪または許容できない毒性が発現するまで経口投与・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全Gradeの心房細動(AF)、Grade3以上の感染症、リヒター症候群、全生存期間(OS) BTK阻害薬を比較した主な結果は以下のとおり。・533例(Aca群:268例、Ib群:265例)は年齢中央値66歳、前治療歴中央値2回、17p欠失45.2%・11q欠失64.2%だった。・観察期間中央値40.9ヵ月時点での両群のPFS中央値は38.4ヵ月で、Aca群はIb群に対して非劣性を示した(HR:1.00、95%CI:0.79~1.27)。・AF発生率では、Aca群がIb群よりも統計的に優れていた(9.4%vs.16.0%、p=0.023)。・副次評価項目のうち、Grade3以上の感染症(Aca群:30.8%、Ib群:30.0%)およびリヒター症候群(Aca群:3.8%、Ib群:4.9%)の発生率は同等だった。・いずれかの群で20%以上の患者に発生した有害事象のうち、Aca群は高血圧(9.4%、23.2%)、関節痛(15.8%、22.8%)、下痢(34.6%、46.0%)の発生率が低かったが、頭痛(34.6%、20.2%)、咳(28.9%、21.3%)の発生率が高かった。・有害事象により治療を中止したのは、Aca群では14.7%、Ib投与群では21.3%だった。 Byrd氏は、アカラブルチニブはイブルチニブと比較して心毒性が少なく、有害事象による中止も少なく、PFSが非劣性であることが示された、とまとめている。

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アルツハイマー病に対する抗Aβ抗体の有効性と有害事象リスク~第III相RCTのメタ解析

 米国国立衛生研究所(NIH)のKonstantinos I. Avgerinos氏らは、アルツハイマー病におけるAβに対するモノクローナル抗体の認知、機能、アミロイドPET、その他のバイオマーカーへの影響およびアミロイド関連画像異常やその他の有害事象のリスクについて、調査を行った。Ageing Research Reviews誌オンライン版2021年4月5日号の報告。 PubMed、Web of Science、ClinicalTrials.govおよび灰色文献より第III相のRCTを検索し、ランダム効果メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・17件の研究(1万2,585例)をメタ解析に含めた。・抗体によるアルツハイマー病評価尺度の認知アウトカム(ADAS-Cog、SMD:-0.06、95%CI:-0.10~-0.02、I2=0%)およびミニメンタルステート検査(MMSE、SMD:0.05、95%CI:0.01~0.09、I2=0%)の統計学的に有意な改善が認められた(エフェクトサイズ:小)。一方、臨床的認知症重症度判定尺度の認知、機能測定では改善は認められなかった(CDR-SOB、SMD:-0.03、95%CI:-0.07~0.01、I2=18%)。・抗体によりアミロイドPET SUVR(SMD:-1.02、95%CI:-1.70~-0.34、I2=95%)およびCSF p181-tau(SMD:-0.87、95%CI:-1.32~-0.43、I2=89%)の減少が認められた(エフェクトサイズ:大)。・抗体によりアミロイド関連画像異常リスク(RR:4.30、95%CI:2.39~7.77、I2=86%)の増加が認められた(エフェクトサイズ:大)。・アミロイドPET SUVRの減少に対する抗体の影響は、ADAS-Cogの改善に対する抗体の影響と相関が認められた(r=+0.68、p=0.02)。・サブグループ解析による薬剤別の影響は、以下のとおりであった。 【aducanumab】 ●ADAS-Cog、CDR-SOB、ADCS-ADLの改善(エフェクトサイズ:小) ●アミロイドPET SUVR、CSF p181-tauの減少(エフェクトサイズ:大) 【solanezumab】 ●ADAS-Cog、MMSEの改善(エフェクトサイズ:小) ●CSF Aβ1-40レベルの増加(エフェクトサイズ:中) 【bapineuzumab】 ●臨床アウトカムの改善なし ●CSF p181-tauの減少(エフェクトサイズ:小) 【gantenerumab】 ●臨床アウトカムの改善なし ●CSF p181-tauの減少(エフェクトサイズ:大) 【crenezumab】 ●臨床アウトカムの改善なし・solanezumabを除くすべての薬剤において、アミロイド関連画像異常リスクの増加が認められた。 著者らは「全体として、抗Aβモノクローナル抗体には、臨床アウトカムの改善(エフェクトサイズ::小)、バイオマーカーの改善(エフェクトサイズ:大)、アミロイド関連画像異常リスクの増加(エフェクトサイズ:大)が認められた。薬剤別では、aducanumabが最も有望であり、次いでsolanezumabが挙げられる」とし、「本結果は、アルツハイマー病治療薬としての抗Aβモノクローナル抗体の継続的な開発を支持するものである」としている。

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植込み型ループレコーダーの遠隔モニタリングが虚血性脳卒中のAF検出に有効/JAMA

 心房細動(AF)の既往歴のない虚血性脳卒中患者における長期間の心電計によるモニタリング法として、12ヵ月間の植込み型ループレコーダーは30日間の体外式ループレコーダーと比較して、1年間のAF検出率が有意に優れることが、カナダ・アルバータ大学のBrian H. Buck氏らが実施した「PER DIEM試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年6月1日号に掲載された。植込み型ループレコーダーを遠隔モニタリングする群と体外式を装着する群の非盲検無作為化試験 本研究は、カナダ・アルバータ州の2つの大学病院と1つの地域病院が参加した医師主導の非盲検無作為化試験であり、2015年5月~2017年11月の期間に患者登録が行われた(カナダAlberta Innovates Health Solutions Collaborative Research and Innovations Opportunities[AIHS CRIO]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、AFの既往歴がなく、無作為化前の6ヵ月以内に虚血性脳卒中と診断された患者であった。 被験者は、長期心電図モニタリング法として、植込み型ループレコーダーを装着し遠隔モニタリングを行う(Reveal LINQ、Medtronic製)群、または体外式ループレコーダー(SpiderFlash-t、Sorin製)を装着する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。参加者は、フォローアップのために、30日、6ヵ月、12ヵ月後に受診した。 主要アウトカムは、definite AFまたはhighly probable AF(無作為化から12ヵ月以内に、2分以上持続する新たなAFと判定された場合)の発現とした。植込み型ループレコーダー遠隔モニタリング群が主要アウトカムで有意に高率 300例が登録され、植込み型ループレコーダーを装着し遠隔モニタリングを行う群と体外式ループレコーダーを装着する群に150例ずつが割り付けられた。全体の年齢中央値は64.1歳(IQR:56.1~73.7)、121例(40.3%)が女性で、66.3%がCHA2DS2-VAScスコア(0~9点、点数が高いほど虚血性脳卒中の年間リスクが高い)中央値4(IQR:3~5)の原因不明の脳卒中であった。このうち273例(91.0%)が24時間以上の心臓モニタリングを完了し、259例(86.3%)が割り付けられたモニタリングと12ヵ月後のフォローアップ受診を完遂した。 主要アウトカムは、植込み型ループレコーダー遠隔モニタリング群が15.3%(23/150例)で検出され、体外式ループレコーダー群の4.7%(7/150例)に比べ、有意に高率であった(群間差:10.7%、95%信頼区間[CI]:4.0~17.3、リスク比:3.29、95%CI:1.45~7.42、p=0.003)。 事前に規定された8つの副次アウトカムのうち6つには有意差が認められなかった。すなわち、無作為化から2分間以上持続するAFの初回検出までの時間(年齢と性別で補正したハザード比[HR]:3.36、95%CI:1.44~7.84、p=0.005、log-rank検定のp=0.002)と、12ヵ月以内のAFの検出と死亡の複合(植込み型17.3% vs.体外式6.7%、群間差:10.7%、95%CI:3.4~17.9、p=0.007、補正後HR:2.64、95%CI:1.27~5.49、p=0.009)は植込み型ループレコーダー遠隔モニタリング群で良好であったが、虚血性脳卒中再発(3.3% vs.5.3%、群間差:-2.0%、95%CI:-6.6~2.6)、頭蓋内出血(0.7% vs.0.7%、群間差:0%、95%CI:-1.8~1.8)、死亡(2.0% vs.2.0%、群間差:0%、95%CI:-3.2%~3.2%)、デバイス関連の重篤な有害事象(0.7% vs.0%)などには、植込み型ループレコーダー遠隔モニタリング群と体外式ループレコーダー群間に差はなかった。 著者は、「これらのモニタリング戦略に関連する臨床アウトカムや相対的な費用対効果を比較するには、さらなる研究を要する」としている。

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1型DM成人患者、リアルタイムCGMで血糖コントロール改善/Lancet

 1型糖尿病成人患者の血糖測定法を、必要に応じて測定する間欠スキャン式持続血糖モニタリング(isCGM)から、リアルタイムで測定し血糖値の高低を予測して警告を発する機能の選択肢を有する持続血糖モニタリング(rtCGM)に変更すると、isCGMの使用を継続した場合と比較して、6ヵ月後のセンサーグルコース値が70~180mg/dLの範囲内にある時間の割合が高くなり、全体として血糖コントロールが改善されることが、ベルギー・KU Leuven病院のMargaretha M. Visser氏らが実施した「ALERTT1試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年6月2日号掲載の報告。ベルギーの6病院の無作為化対照比較試験 本研究は、ベルギーの6つの病院が参加した無作為化対照比較試験であり、2019年1月29日~7月30日の期間に参加者の募集が行われた(米国・Dexcomの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、1型糖尿病の診断から6ヵ月以上が経過し、頻回注射またはインスリンポンプによる治療を受けており、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値≦10%で、少なくとも6ヵ月間isCGMを使用している患者であった。 被験者は、isCGMからrtCGM(Dexcom G6)に変更する群(介入群)またはisCGMを継続する群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。参加者、担当医、試験チームは割り付け情報をマスクされなかった。 主要エンドポイントは、intention-to-treat集団における6ヵ月後の血糖値が目標範囲内(センサーグルコース値3.9~10.0mmol/L[70~180mg/dL])にある時間(time in range:TIR)の平均群間差とした。HbA1c値、低血糖、低血糖恐怖スコアもrtCGM群で良好 254例が登録され、rtCGM群に127例(平均年齢42.8[SD 13.8]歳、男性64%)、isCGM群に127例(43.0[14.5]歳、60%)が割り付けられ、それぞれ124例および122例が試験を完了した。ベースラインの平均HbA1c値は両群とも7.4(0.9)%だった。 6ヵ月の時点におけるTIRの割合は、rtCGM群が59.6%と、isCGM群の51.9%に比べ有意に高かった(平均群間差:6.85ポイント、95%信頼区間[CI]:4.36~9.34、p<0.0001)。 また、rtCGM群はisCGM群に比べ、6ヵ月時のHbA1c値(rtCGM群7.1% vs.isCGM群7.4%、p<0.0001)、臨床的に意義のある低血糖(センサーグルコース値<54mg/dL)の時間の割合(0.47% vs.0.84%、p=0.0070)、低血糖恐怖調査(Hypoglycaemia Fear Survey version II worry subscale)のスコア(15.4点vs.18.0点、p=0.0071)がいずれも良好であった。 重症低血糖は、rtCGM群で少なかった(3例vs.13例、p=0.0082)。センサー挿入部位からの出血の報告はrtCGM群(12例に14件、このうち5件でセンサーの交換を要した)でのみ認められた。皮膚反応はisCGM群で頻度が高かった。 著者は、「rtCGM群はisCGM群よりも、血糖コントロールと患者報告アウトカムが良好であり、臨床医は患者の健康状態や生活の質を改善するために、rtCGMを考慮すべきと考えられる」としている。

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HR+/HER2+進行乳がん1次治療、トラスツズマブ+内分泌療法vs.化学療法(SYSUCC-002)/ASCO2021

 ホルモン受容体陽性HER2陽性(HR+/HER2+)進行乳がんの1次治療において、トラスツズマブ+内分泌療法がトラスツズマブ+化学療法に対し非劣性で毒性も少ないことが、第III相SYSUCC-002試験で示された。中国・Sun Yat-sen University Cancer CenterのZhongyu Yuan氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。 HER2+進行乳がんの1次治療において、抗HER2治療+化学療法は生存ベネフィットが示されている。一方、HR+進行乳がんには、安全性の面で化学療法より内分泌療法が推奨されている。しかしながら、HR+/HER2+進行乳がんの1次治療として、抗HER療法に内分泌療法と化学療法のどちらを併用したほうがよいのか示されていない。そこで、Yuan氏らは、中国の9病院で2013年9月16日~2019年12月28日に登録された、HR+/HER2+進行乳がん患者を対照に非盲検非劣性第III相無作為化比較試験を実施した。・対象:18歳以上、術後無病期間12ヵ月超、ECOG PS 0もしくは1、HR+/HER2+の進行乳がん 396例・試験群:内分泌療法+トラスツズマブ(内分泌療法群)196例・対照群:化学療法(タキサン、カペシタビン、ビノレルビン)+トラスツズマブ(化学療法群)196例・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)(ハザード比[HR]の非劣性マージン上限を1.35とした)[副次評価項目]全生存率(OS)、奏効率、安全性 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目であるPFSでは、内分泌療法群の化学療法群に対するHRが0.88(95%信頼区間[CI]:0.71~1.09、log-rank p=0.250)と非劣性を示した(非劣性のp<0.0001)。・OSについては、内分泌療法群の化学療法群に対するHRは0.82(95%CI:0.65~1.04、log-rank p=0.090)であった。・探索的解析では、術後無病期間が24ヵ月より長い患者では内分泌療法群のほうが良好(HR:0.77、95%CI:0.53~1.10)であり、24ヵ月以下の患者では化学療法群のほうが良好(HR:0.77、95%CI:0.97~1.980)である可能性が示唆された。・有害事象は、化学療法群で内分泌療法群に比べて発現頻度が高かった(白血球減少症:50.0% vs.6.6%、悪心:47.4% vs.12.2%、疲労:24.0% vs.15.8%、嘔吐:23.0% vs.6.1%、頭痛:33.2% vs.12.2%、脱毛症:63.8% vs.4.1%)。

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AZ製ワクチン、血小板減少症を伴う血栓症5例の共通点/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)の接種により、まれではあるが重篤な血栓症が発生する。ノルウェー・オスロ大学病院のNina H. Schultz氏らは、ChAdOx1 nCoV-19初回接種後7~10日に血小板減少症を伴う静脈血栓症を発症した5例について詳細な臨床経過を報告した。著者らは、このような症例を「vaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia(VITT):ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症」と呼ぶことを提案している。NEJM誌2021年6月3日号掲載の報告。初回接種後、血小板減少症を伴う静脈血栓症を発症した5例の臨床経過 ノルウェーでは、ChAdOx1 nCoV-19の接種が中止された2021年3月20日の時点で、13万2,686例が同ワクチンの初回接種を受け、2回目の接種は受けていなかった。ChAdOx1 nCoV-19の初回接種後10日以内に、32~54歳の健康な医療従事者5例が特異な部位の血栓症と重度の血小板減少症を発症し、そのうち4例は脳内大出血を来し、3例が死亡した。【症例1】37歳女性。接種1週間後に頭痛を発症、翌日救急外来受診。発熱と頭痛の持続、重度の血小板減少症が確認され、頭部CTで左横静脈洞およびS状静脈洞に血栓を認めた。低用量ダルテパリンの投与を開始、翌日に小脳出血と脳浮腫を認め、血小板輸血と減圧開頭術を行うも、術後2日目に死亡。【症例2】42歳女性。接種1週間後に頭痛発症、3日後の救急外来受診時には意識レベル低下。横静脈洞とS状静脈洞の静脈血栓症と、左半球の出血性梗塞を認めた。手術、ダルテパリン投与、血小板輸血、メチルプレドニゾロン、免疫グロブリン静注が行われたが、2週間後に頭蓋内圧上昇および重度の出血性脳梗塞により死亡。【症例3】32歳男性。接種1週間後に背部痛を発症し救急外来受診。喘息以外に既往なし。重度の血小板減少症と、胸腹部CTで左肝内門脈および左肝静脈の閉塞と、脾静脈、奇静脈および半奇静脈に血栓を認めた。免疫グロブリンとプレドニゾロンで治療し、12日目に退院。【症例4】39歳女性。接種8日後に腹痛、頭痛で救急外来受診。軽度の血小板減少症、腹部エコー正常により帰宅するも、2日後に頭痛増強で再受診。頭部CTで深部および表在性大脳静脈に大量の血栓と、右小脳出血性梗塞を確認。ダルテパリン、プレドニゾロン、免疫グロブリンで治療し、10日後に退院(退院時、症状は消失)。【症例5】54歳女性。ホルモン補充療法中であり、高血圧の既往あり。接種1週間後、左半身片麻痺等の脳卒中症状で救急外来受診。造影静脈CTでは全体的な浮腫と血腫の増大を伴う脳静脈血栓症を認め、未分画ヘパリン投与後に血管内治療により再開通したが、右瞳孔散大が観察され、ただちに減圧的頭蓋骨半切除術を行うも、その2日後にコントロール不能の頭蓋内圧上昇がみられ治療を中止。全例、ヘパリン投与歴はないがPF4/ヘパリン複合体に対する抗体価が高い 免疫学的検査および血清学的検査等の結果、5例全例に共通していたのは、血小板第4因子(PF4)-ポリアニオン複合体に対する高抗体価のIgG抗体が検出されたことであった。しかし、いずれの症例もヘパリン曝露歴はなかった。 そうしたことから著者は、これらの症例を特発性ヘパリン起因性血小板減少症のまれなワクチン関連変異型として、VITTと呼ぶことを提案。そのうえで、「VITTは、まれではあるが健康な若年成人に致命的な影響を与える新しい事象であり、リスクとベネフィットを徹底的に分析する必要がある。なお、今回の研究結果からVITTは、ChAdOx1 nCoV-19の安全性を評価した過去の研究結果よりも頻繁に起こる可能性があることが示唆される」と述べている。

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令和の小児科医マンガ【Dr.倉原の“俺の本棚”】第43回

【第42回】令和の小児科医マンガ久しぶりに医療マンガの紹介です。お気に入りだった「コウノドリ」が最終話を迎えてしまい、医療マンガに飢えていた矢先に、本屋で目にした作品です。『プラナタスの実』東元 俊哉/著. 小学館. 2021年医療マンガの中でも、かなり新しい部類に入る『プラナタスの実』。第1巻の発刊日が2021年1月なので、このマンガ自体を知らない人もまだ多いのではないでしょうか。「売れないYouTuber非常勤小児科医」というなかなかブッ飛んだ主人公設定ですが、患者が苦しむ状況から得られる、わずかな情報から的確に診断をくだしていきます。中には、なかなかマンガに表現しにくい稀な病態もあるのですが、診断学的に勉強になる側面もあって、「この診断はなんだ!?」という切り口で読むと、かなり面白いと思います。診断をくだすシーン、どこかで見た気がする……と思ったら、『ガリレオ』の福山 雅治さんと似ていますね。診断をくだしたはいいけど、見当違いだとかなり恥ずかしい描写になりますが、マンガであれドラマであれ、こういう推論力がある人はちょっと羨ましいですね。さてこの作品、背景に「家族」というテーマがあるのですが、主人公の家族と、オムニバス形式の話に登場する患者の家族という2つを織り交ぜながら話が展開されていきます。医療マンガでは、よく迫力を出すために効果線が多用されますが、「プラナタスの実」では、切迫したシーンで敢えて温度感を抑えるという東元先生ならではのテクニックが光ります。代表作である『テセウスの船』でも、ゾっとするシーンでこそ淡々とした描写だったのが思い出されます。私も、かしこまった書評を書かないといけないのに、あえてそこで、パラドキシカルにチャラさを出していく「チャラ書評」を淡々と続けたいと思います!『プラナタスの実』東元 俊哉 /著出版社名小学館定価本体650円+税サイズB6判刊行年2021年

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第61回 アデュカヌマブのFDA承認は薄氷を踏むが如し、次に待ち受けるのは…

「進むも地獄退くも地獄」。あるニュースを見て、ふとそんな言葉が頭をよぎった。6月7日夜から日本中を駆け巡った米国食品医薬品局(FDA)によるアルツハイマー病治療薬アデュカヌマブ承認の件だ。アメリカでのアルツハイマー病治療薬の承認は18年ぶり。現在、同薬を承認申請中の日本も2011年7月以来、10年もアルツハイマー病治療薬は登場していない。厚生労働省の推計では2025年の国内の認知症患者推計は700万人前後。認知症の約6割がアルツハイマー病とされ、これだけでも400万人以上。加えてこの前駆段階の軽度認知障害(MCI)の患者が同じく約400万人いると推計されている。この総計約800万人の患者がいる市場でこれほど長期間、新薬が登場しなかったことは極めてまれだ。その原因は新薬開発が極めて困難な領域であるという点に尽きる。そのことを表す数字がある。米国研究製薬工業協会(PhRMA)が2016年7月に公表したアルツハイマー病治療薬開発に関する報告書である。同協会会員の製薬企業が1998~2014年に臨床試験を行ったアルツハイマー病の新薬候補127成分のうち、規制当局から製造承認取得を得るに至ったのはわずか4成分、確率にして3.1%に過ぎない。この4成分とは、エーザイが1999年に世界初のアルツハイマー病治療薬として世に送り出したアリセプトを含む、現在ある4種類の治療薬そのものだ。一般的にヒトでの臨床試験に入ったもののうち10%強が実用化に至るといわれる新薬開発の現状からすれば、かなりの低確率だ。新薬開発が難しい最大の理由はアルツハイマー病の原因がいまも仮説の域を超えていないからである。今回承認されたアデュカヌマブは、脳内に蓄積するタンパク質「アミロイドβ(Aβ)」が神経細胞を死滅させることでアルツハイマー病になる、という仮説に基づき開発されたAβを除去する抗体医薬品。だが、Aβの蓄積の結果として神経細胞が死滅するのか、それとも別の原因で神経細胞が死滅した結果としてAβの蓄積が起こるのかは判別ができていない。そして過去15年ほどはこのAβを標的に、その前駆タンパク質からAβが作り出される際に働く酵素のβセクレターゼ(BACE)の阻害薬、アデュカヌマブと同じ脳内に沈着したAβを排除する抗Aβ抗体の2つの流れで新薬開発が進められてきたが、ロシュ、ファイザー、イーライリリー、メルク、ノバルティスといった名だたるメガファーマが最終段階の第III相試験で次々に開発中止に追い込まれた。その数は2012年以降これまで実に7件、まさに死屍累々と言っていいほどで、特定領域でここまで開発失敗が続くのは異例だ。実はアデュカヌマブもこの7件に含まれている。2019年3月に独立データモニタリング委員会の勧告により進行中の2件の第III相試験が中止。しかし、その後、新たな症例を加えて解析した結果、うち1件では高用量群でプラセボ群と比較し、臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB)の有意な低下が認められ、一転して承認申請に踏み切った。そして提出されたデータに対するFDA諮問委員会の評決では、ほぼ一貫して否定的な評価を下されていたものの、最終判断で新たな無作為化比較試験の追加実施を条件に、その結果次第では後日承認を取り消しができるという条件付き承認となった。まさに薄氷を踏むような事態を繰り返し、ようやく承認にこぎつけたのである。今後、日本での審査がどのようになるかはまだわからないが、「FDAが風邪を引けば、厚労省はくしゃみをする」とも揶揄される中で、日本で承認が得られないと思っている人はまずいないだろう。今回のニュースはアルツハイマー病患者・家族団体の関係者のインタビューでも報じられているように、これまで何度も落胆し続けてきた当事者にとって大きな光明だ。とはいえ、これからも薄氷を踏む状況は変わらない。ご承知のように現時点でアデュカヌマブの有効性が示唆されているのは軽度のアルツハイマー病あるいはMCIのみである。ただし、添付文書上では「アルツハイマー病」という全般的な適応表記である。アデュカヌマブの登場は医学的観点から「使える人」と「使えない人」という患者・家族の分断を生む危険性をはらんでいる。また、追加試験を要求されている以上、製薬企業もリアルワールドデータも含めて今後ネガティブな評価やデータが浮上してくるのは避けたいはずで、彼らもまた有効性が担保できそうな厳格な症例基準を持ち出してくるだろう。さらに現時点で標準用量の年間薬剤費が600万円と報じられているように、経済的に「使える人」と「使えない人」の分断も顕在化させる可能性がある。これは高額療養費制度を持つ日本で承認された場合でも大なり小なり同じ問題は浮かび上がってくるだろう。また、このことは同時に「患者数の多い巨大市場×高薬価」という社会保障制度をコントロールする側からすればもっとも歓迎できないファクターも抱えている。いずれにせよ、今後アデュカヌマブが乗り越えなければならない壁はいくつもある。かくいう私自身、MCIの父親を抱える立場として、「父親には使えるだろうか?」「もし使えるとしても父親は納得してくれるだろうか?」「母親は何と考えるだろうか?」「経済的負担は?」「もし有効性が示せなかったら?」「そもそも使うのが本当に良いことなの?」などなどの疑問や思いがぐるぐる脳内を駆け巡っている。

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統合失調症における血清脂質と自殺リスク~メタ解析

 統合失調症スペクトラム障害患者における血清脂質と自殺リスクとの関連を明らかにするため、オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のAnoop Sankaranarayanan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年4月9日号の報告。 2020年9月2日までに公表された成人の統合失調症スペクトラム障害患者(18~65歳)における血清脂質と自殺リスクとの関連を調査した研究を、複数のデータベースよりシステマティックに検索した。定性分析には、米国国立衛生研究所(NIH)スケールを用いた。標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)は、各研究で算出し、相対的に標準化した。調整されたp値、Z検定、不均一性を算出し、出版バイアスのテストも行った。 主な結果は以下のとおり。・抽出された1,262件中17件(3,113例)がシステマティックレビューに含まれ、そのうち11件をメタ解析に含めた。・大部分の研究(11件)は、定性分析で公正と評価された。・7件の研究データ(1,597例)より、総コレステロールの低さと自殺企図との関連が認められた(エフェクトサイズ:中程度、SMD:-0.560、95%CI:-0.949~-0.170、p=0.005)。・自殺企図の既往歴のある患者の平均コレステロール値は、自殺企図のない患者と比較し、0.56SD低かった。・自殺企図の定義に違いがあり、異質性が高かった(I2=83.3%)。・血清脂質パラメータと自殺念慮との間に、有意な関連は認められなかった。・ファンネルプロット分析では、出版バイアスに伴う小さな影響が認められた。 著者らは「統合失調症スペクトラム障害患者における自殺企図は、平均総コレステロール値の低下と関連している」としている。

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PSMA標的治療薬ルテチウム-177、去勢抵抗性前立腺がんの予後改善(VISION)/ASCO2021

 複数の治療歴を有し、転移もある去勢抵抗性前立腺がん患者(mCRPC)に対し、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に選択的に結合するリガンドに放射線核種のルテチウム-177を結合させた177Lu-PSMA-617を用いた、大規模国際共同試験(VISION試験)の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのMichael J. Morris氏より発表された。 本試験はオープンラベル第III相ランダム化比較試験である。・対象:1レジメン以上の抗アンドロゲン受容体阻害薬、ならびに2レジメン以内のタキサン系薬剤の治療歴を有するmCRPC患者・試験群:177Lu-PSMA-617(7.4GBqを6週ごとに4~6サイクル投与)と標準治療薬(SOC)の併用(LuPSMA群)・対照群:主治医選択のSOC*のみ(SOC群) *化学療法薬、免疫チェックポイント阻害薬、治験薬、ラジウム223は除外・評価項目:[主要評価項目]独立中央判定によるPCWG3基準を用いた画像評価による無増悪生存期間(rPFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]RECIST評価による奏効率、安全性、最初の症候性骨関連事象発現までの期間、病勢コントロール率など 主な結果は以下の通り・2018年6月~2019年10月にPSMA-PET/CTを受けた1,003例のうち、PSMA陽性は869例(86.6%)、陰性は126例(12.6%)だった。・上記対象中831例が無作為に割り付けられた。(LuPSMA群:551例、SOC群:280例)・登録開始から2019年3月までに各群に登録があったが、SOC群で56%の早期脱落例があったため、参加施設を限定したり、試験参加医師への教育強化などを行って試験は継続された。・rPFSは2019年3月~2019年10月までの581例を、OSは2018年6月~2019年10月までの831例を対象に解析された。・両群間に登録症例の偏りは無かったが、白人種が84~88%と主な集団であった。・OS中央値は、LuPSMA群で15.3ヵ月、SOC群11.3ヵ月、ハザード比(HR): 0.62(95%信頼区間[CI]:0.52~0.74)、p<0.001と有意な延長がみられた。・rPFSにおいても、その中央値は、LuPSMA群8.7ヵ月、SOC群3.4ヵ月、HR0.40(99.2%CI:0.29~0.57)、p<0.001と有意な延長が見られた。・奏効率は、LuPSMA群では51%(完全奏効[CR]9.2%、部分奏効[PR]41.8%)で、SOC群では3.1%(CR0%、PR3.1%)であった。PSA奏効については、50%以上の低下が、LuPSMA群で46.0%、SOC群で7.1%、80%以上の低下は33.0%と2.0%であった。・LuPSMA群の忍容性は良好で、新たな有害事象の兆候は見られなかったが、治療関連有害事象(TEAE)は、全GradeでLuPSMA群85.3%、SOC群28.8%に発現した。血小板減少を含むGrade3~5の骨髄抑制がLuPSMA7群で23.4%、SOC群で6.8%、倦怠感はそれぞれ7.0%、2.4%、腎毒性は3.4%、2.9%に発現した。 最後に Morris氏は「今回の試験結果より、177Lu-PSMA-617はmCRPC患者に対する新たなる治療選択肢となり得るだろう」と結んだ。

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HR-/HER2+乳がん術前治療、トラスツズマブ+ペルツズマブ±PTXの予後(ADAPT)/ASCO2021

 ホルモン受容体陰性HER2陽性(HR-/HER2+)の乳がん患者に対する、トラスツズマブ+ペルツズマブ±パクリタキセルによる術前療法の予後に関する有望な結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、ドイツ・West German Study Group(WSG)のNadia Harbeck氏から報告された。 このADAPT試験はWSGにより実施されたオープンラベルの第II相無作為化比較試験である。この試験のpCR率の結果は2017年に公表されており、今回はその生存に関する報告である。また、本試験と同じデザインでのHR-/HER2+集団に対するpCR率の良好な結果は2020年のESMOで公表されている。・対象:遠隔転移のないHR-/HER2+乳がん134例(5:2の割合で2群に割り付け)・試験群A:トラスツズマブ(初回8mg/kg、その後3週ごとに6mg/kg)+ペルツズマブ(初回840mg、その後3週ごとに420mg)(TP群:92例)・試験群B:トラスツズマブ+ペルツズマブ+パクリタキセル(80mg/m2を1回/週)(TPPtx群:42例)・評価項目:[主要評価項目]pCR率(乳房内の浸潤がんとリンパ節転移がない例[ypT0/is ypN0]におけるpCR率と、非浸潤がんも含めて完全に残存腫瘍のない例[ypT0 ypN0]におけるpCR率)[副次評価項目]無浸潤疾患生存期間(iDFS)、遠隔無再発生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、安全性、バイオマーカー検索など 3週間目にKi67値がベースライン比30%以上低下、もしくは浸潤がん細胞数が500個以下への減少が認められた症例などを早期奏効例とした。 主な結果は以下のとおり。・患者背景は、50歳未満が33~41%(年齢中央値:52~54歳)、N0が54~62%、核異形度3が88.0%、HER2-IHC3+が86~91%、ベースラインのKi67値は50%であった。・既報のpCR率は、ypT0/is ypN0でTP群34.4%、TPPtx群90.5%であった。また、ypT0 ypN0ではTP群24.4%、TPPtx群78.6%であった。・iDFS率は、5年時点でTP群87%、TPPtx群98%、ハザード比[HR] 0.32(95%信頼区間[CI]:0.07~1.47)、p=0.144であった。・OS率は、5年時点でTP群94%、TPPtx群98%(死亡は1名のみ)、HR 0.41(95%CI:0.05~3.55)、p=0.422であった。・pCRが得られた症例(69例)と得られなかった症例(63例)でiDFSを比較した場合、pCR例は5年時iDFS率が98%、non-pCR例では82%、HRは0.14(95%CI:0.03~0.64)、p=0.011であった。・TP群において、pCRが得られなかったIHC1+/2+およびFISH陽性例や、Basalタイプ、または早期奏効を得られなかった症例を、non-sensitive症例(31例)として、その他の症例とiDFSを比較した場合、5年時のiDFS率はnon-sensitive79%、その他93%、HRは1.99、p=0.255であった。 演者のHarbeck氏は「化学療法の有無によらず、両群とも優れたpCR率と生存率を示した。また、抗体2剤のみによる術前治療は早期奏効が得られた場合に有望であり、今後はさらにIHC3+症例やBasalタイプ以外、RNAなどで選別した症例でも検討する必要がある」と述べた。

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2型DMの心血管リスク、スクリーニング普及で変化/Lancet

 糖尿病スクリーニングが広く普及する前に開発された心血管リスク予測式は、スクリーニングで検出された多くの患者の心血管リスクを過大評価することを、ニュージーランド・オークランド大学のRomana Pylypchuk氏らが明らかにした。スクリーニングで発見された最近の糖尿病患者の多くは、腎機能が正常で、血糖降下薬を投与されておらず、心血管リスクは低いことも示された。スクリーニング普及前は、ほとんどの糖尿病患者は糖尿病と診断された時に症候性であり、心血管リスクが高く心血管イベント予防薬を処方すべきと考えられていたが、ニュージーランドで世界初となる全国的な糖尿病スクリーニングが導入されて以降、その受検率は2012年の50%から2016年には90%に増加し、検出される糖尿病患者の多くは無症状で発症早期例が占めるようになったという。著者は、「肥満の増加、スクリーニング検査の簡素化、心血管イベントを予防する新世代の血糖降下薬の導入などにより、糖尿病スクリーニングが増加することは間違いないが、今回の結果は、ほとんどの心血管リスク評価式は現代の糖尿病患者集団において検証し更新する必要があることを強く示唆している」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年6月2日号掲載の報告。プライマリケア40万人のコホートで新たな心血管リスクの予測式を作成・検証 研究グループは2004年10月27日~2016年12月30日に、プライマリケアにおいて意思決定支援ソフトウエアのPREDICTを用いて、心血管リスクの評価を受けた約40万人の参加者から、2型糖尿病で、心血管疾患、心不全または腎機能障害を有しない30~74歳のニュージーランド人を特定し、PREDICT-1°糖尿病サブコホートとした。 Cox回帰モデルにより、事前に規定した18の予測因子(糖尿病関連および腎機能測定値など)を用い、男女別の心血管疾患5年リスク予測式を開発作成し、その性能を、2000~06年に開発されたNew Zealand Diabetes Cohort Study(NZDCS)の心血管リスク予測式と比較した。糖尿病スクリーニング普及後の糖尿病患者の心血管リスクは低い PREDICT-1°糖尿病サブコホートは4万6,652例で、このうち4,114例で追跡期間中(中央値:5.2年、IQR:3.3~7.4)に初発心血管イベントを認めた。 ベースラインで経口血糖降下薬またはインスリンを使用していなかったのは、1万4,829例(31.8%)であった。新しい推定式による5年心血管リスク中央値は、女性で4.0%(IQR:2.3~6.8)、男性で7.1%(4.5~11.2)であった。一方、従来のNZDCS予測式での心血管リスクは、女性でリスク中央値14.2%(IQR:9.7~20.0)と3倍、男性で同17.1%(4.5~20.0)と2倍、それぞれ過大評価された。 PREDICT-1°糖尿病サブコホート予測式のモデルおよび識別能は、NZDCS式より有意に良好であった。たとえば女性において、R2値は32%(95%信頼区間[CI]:29~34)vs.24%(21~26)、Harrell's C値は0.73(95%CI:0.72~0.74)vs.0.69(0.67~0.70)、Royston's D値は1.410(95%CI:1.330~1.490)vs.1.147(1.107~1.187)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「ますます多様化する患者集団において、糖尿病関連および腎機能予測因子を用いた現代の糖尿病集団から作成した心血管リスクの予測式で、低リスク患者と高リスク患者を区別することが必要であり、適切な非薬物療法を知らしめ、高価な新薬の費用対効果を高めることが求められるだろう」と述べている。

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モデルナ製ワクチン、現時点でアナフィラキシー・死亡例なし/厚労省

 厚生労働省は6月9日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、5月21日に承認されたモデルナ社のコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」による副反応の報告事例を初めて公表した。それによると、国内での接種が始まった5月22日から30日までの時点で17例の副反応が疑われる症状が報告されていた。いずれも症状の程度は「重くない」と評価され、アナフィラキシーや死亡例は確認されなかった。 公表資料によると、5月22~30日における「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の推定接種者数は、9万241人だった。このうち、49~96歳の男女計17例でワクチン接種による副反応が疑われる症状が医療機関から報告されたという(報告頻度は0.02%)。17例いずれも接種当日に単独もしくは複数の症状が発生しており、皮疹・発疹・紅斑(3例)、血管迷走神経反射、頭痛、浮動性めまい、動悸、そう痒症(各2例)、過敏症、異常感、感覚異常、血圧上昇、悪心・嘔吐、羞明、冷感、咽頭刺激感、口腔咽頭不快感、蕁麻疹(各1例)が報告された。  なお、5月30日までの時点におけるアナフィラキシーおよび死亡例の報告はなかった。

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050)新型コロナワクチン2回目接種後の3日間【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第50回 新型コロナワクチン2回目接種後の3日間ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆先月の連載で1回目接種の様子を漫画にしましたが、今回は2回目のお話。皆さまの周囲でも、2回目接種を終えた方がどんどん増えているのではないかと思われます。私の周囲では2回目接種の後に発熱した人が多く、中には1週間くらい倦怠感が続いた、という人もいました。私の場合どうだったかというと、1回目よりも接種部位疼痛が強く出た以外は、とりわけ大きな症状もなく、発熱の心配は杞憂に終わりました(笑)。若い女性スタッフほど熱を出しているような印象で、翌日に熱が出て動けなくなった、という話も聞いていたので、いつ発熱してもいいよう枕元に解熱剤や水筒を用意していたのですが、微熱すら出ず。常時平熱のまま、接種後の3日間を乗り切りました。勤務先の医局は、高齢男性の医師がほとんどを占めるのですが、1回目接種の時は筋肉痛の話などで盛り上がっていた医局も、2回目接種ともなると副反応の話題は一切出ないほど。熱が出たり寝込んだりという話は耳にしませんでした。「やはり若い方に反応が出やすいという話は本当なのだな」と、ひとり納得したのでした(笑)。接種から2週間がたち、新型コロナへの抗体も獲得できているはず。早く一般の方々への接種が進むとよいなと願っています。それでは、また~!

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長編小説を読んで英語を勉強しよう【Dr. 中島の 新・徒然草】(378)

三百七十八の段 長編小説を読んで英語を勉強しよう大阪のコロナ新規感染者数は徐々に減り、本日(2021年6月8日)の7日間平均は173人です。1週間前が235人、4週間前が851人だったのと比べると、大幅に減少しました。ワクチン接種も物凄い勢いで進んでおり、外来患者さんからも「来週に1回目の予約が取れました」とか「1回目の接種を済ませましたが、副反応は全く起こりませんでした」とか、前向きな話を聞きます。また、ホテルのルーム清掃をしている患者さんは、「いよいよ本当にオリンピックやるみたいですよ。9月初めまで東京に行きっぱなしになります」と言っておられました。果たしてどうなるのか?さて、今回は前回に引き続き、英語の勉強法です。前回の本欄では、面白いゲームで英語を習得しようという提案をしました。大切なことは、英語習得のモチベーションをどう持続するか、言い換えれば勉強の駆動力をどこから持ってくるのか、ということです。夢中になれるゲームをプレイすれば、英語の世界にのめり込んで数時間があっという間に過ぎた、ということが期待できるわけです。なら、その駆動力はゲームに限らず、手に汗を握る小説でもいいんじゃないか、と思って探してみました。そして、見つけたのが“PACHINKO”。パチンコですよ、パチンコ。タイトルが! 「なんじゃそりゃ?」と言われそうですが、アマゾンのレビューでは電子版に1万2,000件以上のレビューがつき、5段階評価の平均点は4.6です。日本語訳の方は200件近いレビューで、こちらも平均点が4.6になっています。ネタバレしない程度に“PACHINKO”の内容を紹介しましょう。といっても、私もまだ半分くらいしか読んでいませんが。舞台は20世紀初頭の釜山に始まります。貧しい漁村の夫婦の間に生まれた男の子Hoonieは、cleft palateとtwisted footという障害をもっていましたが、勉強がよくでき、周囲の人たちにも信用される働き者でした。1910年、彼が27歳のときに日韓併合があり、その翌年にお見合いで15歳のYangjinと結婚します。といっても、2人が会ったのは結婚式当日が初めてでした。当時の医療事情などから、HoonieとYangjinは上の3人の男の赤ちゃんを亡くし、4番目に生まれたのがSunjaという女の子です。彼女は健康に育ち、やがて1933年に大阪に行くことになります。ここから大阪編になるのですが、猪飼野とか鶴橋とか私には馴染のある地名が出てくるので、どんどんストーリーに引き込まれました。言葉の通じない異国、貧乏のどん底で奮闘するSunjaですが、この頃から日本は戦争の泥沼に入り込み、ついには太平洋戦争が勃発します。そして1945年初め、一家の大黒柱であるYosebはよりよい賃金を求めて長崎へ向かい、Sunjaはある人に田舎への疎開を勧められます。まだ空襲が始まる前のことなので、これからの大阪がどうなるかを予想できるはずもなく、彼女は田舎への移住に抵抗します。もうここまで来ると読んでいる私のほうもすっかり感情移入してしまい、「お金につられて長崎に行ったりしたら大変なことになるぞ、Yoseb!」「ぐじゃぐじゃ言わんと、早いこと疎開せんかい、Sunja!」などと思ってしまいました。そうこうしているうちにSunjaたちは終戦を迎えます。今のところ読んだのはここまでです。この後1989年の東京まで、親子四代にわたる大河ドラマが続くということなので、タイトルの“PACHINKO”も何らかの形で関係してくるのでしょう。この小説の作者はMin Jin Leeという韓国系アメリカ人ジャーナリストで、彼女自身が米国の学校で学んだことを基に、日本在住経験も踏まえ、何年もかかって500ページ以上にも及ぶ大作を完成させたとのことです。戦前の釜山に始まり、主人公が大阪にやってくるという設定からすると日本人が悪役にされているのではないかと心配になりますが、あまりそんなこともなく、善玉日本人も少しは出てきます。むしろ、前半の物語のほとんどが鶴橋周辺の在日コリアンのコミュニティの中の出来事で進んでいくので、今のところ日本人は脇役にすぎません。英語については1ページに知らない単語が5~10個くらいはあるでしょうか。しかし、怒涛のストーリーが駆動力になり、未知の単語を飛ばしてでも読み進めてしまいます。また、私はkindleの電子辞書機能を使いながら読んでいるので、frownとかbarnとかdwellerとか、知らない単語も何度か出てくるうちに覚えてしまいました。あと、私は周囲に人がいないときは声を出して読んでいます。目で文字を追うだけよりも、音読するほうが何となく英語が身につくような気がするからです。ということで、勉強のために英語小説を読んでみようかと思う方がおられましたら“PACHINKO”はお勧めで、物語の世界にどっぷりと浸ることができます。これからも面白い英語小説に出会うことがあったら、読者の皆さんに紹介させていただこうと思います。最後に1句戦後すぎ、ふと気がつけば 令和かな★参考までに電子版の英語“PACHINKO”は500円、電子版の日本語『パチンコ』は上下巻で4,800円です。やはり英語で読むほうが良さそうですね。

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