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患者さんの訴えには耳を傾けよう【Dr. 中島の 新・徒然草】(441)

四百四十一の段 患者さんの訴えには耳を傾けよう急に涼しくなりましたね。まだ8月が終わったばかりというのにもう秋です。さて、最近、考えさせられる症例があったので紹介したいと思います。その女性は70代。数ヵ月前に転倒して頭を打ちました。以来、物が覚えられなくなったとのこと。それだけでなく、疲れやすくなって1日のうちの大半寝ているとか、便秘になって困るとか。そのような不定愁訴的なことをおっしゃっていました。あまりにも便のことばかり言うので、「ウンコの事はウンコの病院で言うこと」と当時のカルテに私は書いています。で、その後に何度か脳外科外来を受診しているのですが、その都度、いろいろな訴えをされるわけです。ふらつきがある。耳鳴りがする。物忘れがあるのでメモをするが、そのメモを失くす。電話の内容も直後に忘れてしまうので、かけ直して確認する。薬を飲み忘れる等々。同伴の息子さんに尋ねてみると、「確かに母に質問しても意図したことと違う答えが返ってくることが多いです」とのこと。さらに、訴えは続きます。股関節が痛い、足趾が腫れる、耳鳴りがする、ふらつきがある、道に迷う、手が痛い、先生(中島のこと)の名前を思い出せない、家事に時間がかかる、髪の毛が抜けて仕方ない、等々。4年ほど前に当院の循環器内科にかかっているのですが、「その他の愁訴については近医受診を」とカルテに書いてあります。やっぱり循環器内科の先生も、この人の訴えに苦しめられていたのか、とちょっと安心しました。ん?4年ほど前にということは、症状と頭を打ったのは無関係かな、もしかして。ずっと前からいろいろな愁訴があったのでしょうか?物忘れがある、便秘がひどい、髪の毛が抜ける、疲れやすいって。それひょっとして甲状腺機能低下症じゃないですか。で、慌てて血液検査の結果を確認してみました。FT4 1.06ng/dL(1.10~1.80)TSH 4.43μIU/mL(0.27~4.20)括弧内は当院の基準値です。FT4もTSHも、それぞれ基準値をわずかに外れています。これをもって異常といっていいのか?でも、症状からはまさしく甲状腺機能低下症。「頭を打ってから」というご本人の申告に惑わされていました。で、本来なら内分泌の専門家に診察を依頼するところでしょう。でも、自らの恥ずかしい事は、人にバレないうちに何とかしたいというのが人情というもの。それで私は処方しましたよ、レボチロキシンを。その後、まだ次の診察日は来ていないので、私の処方が効果あったのかはわかりません。が、別の疾患で眼科に入院していて、看護記録に「ふらつかなくなった」「理解良好」とあったので、もしかしてうまくいっているのかも。というわけで、不定愁訴などと決めつけずに、虚心坦懐に患者の訴えに耳を傾けるべし、というお話でした。初診で患者さんに偉そうに言ってしまって、今思えば恥ずかしい限り。でも、確かに本人は頭打ってから調子悪いって言ってたんですけどね。ということで最後に1句秋風に 思い出したり 謙虚さを

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ドイツ赤ちゃんのトイレ事情〜オムツはどこで替える?〜【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第17回

先日、複合型施設の「お客様の声のコーナー」に、「男性用トイレにもオムツを交換できるスペースを作って欲しい」との要望が掲げられていました。日本では、この10~20年で「お父さんも子育て」の風潮が一気に広がってきている感じを受けます。30年前とはガラリと空気が変わってきていると思います。新しい建物では男性トイレにもオムツ交換の台が置いてあることは珍しくないですが、古い建物では近年のイクメン増加のスピードになかなか追いついていないのが現状です。ドイツのドラッグストアは親子にやさしいさて、「パパも子育てが当たり前」のドイツはどうなっているのでしょうか。地震のないドイツでは、かなり古いレンガ造りの建物が今も現役で使用されています。私が住んでいたGreifswaldは第二次世界大戦でもまったく標的にもならなかったほどの田舎でしたので、築100年の建物もざらにありました。ナポレオンに撃たれた大砲で空いた穴とか残っていたくらいです。ですから、トイレにオムツ台がなかなかなく、どこに行こうとトイレでオムツを替えることは難しいのですが…。実は他に便利な場所がドイツにはあるのです。これは“dm”(drogerie markt)と言う、日本で言うところのドラッグストアの中の画像で、店内に無造作に置かれたオムツ台です。小さい街でもだいたいdmはあるので、どこかに出かける際は、まずネットでdmの位置を確認していました。隅っこに目立たないように置かれていることもありますが、店の通路にドンと置かれていることもあります。オムツ台は画像のように丸見えです。横に商品が飾られてありますが、棚を探している最中に香しい匂いを感じることも珍しくありません。細かいことは気にしない、いかにもドイツらしい気の利かなさ。誰もクレームなんて言いません。この台の横に注目して欲しいのですが、実は置かれているオムツは無料の試供品です。自由に使ってよいのです!子連れで買い出しに街へ出たとしても、そもそもオムツを持っていく必要がないのです。行った先にdmがあれば、それで事足ります。子どもが小さくても、ドイツ旅行は心配ないですよ。事前にdmの位置さえ確認すれば“Kein Problem!”(問題なし)です。

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第9回 10月から適用「後期高齢者の2割負担」のポイント

日本はご存じのとおり「国民皆保険制度」があり、原則として全員が公的医療保険に加入するため、病気やけがをしても自己負担が低く抑えられます。現在のどの年代も、現役並みの所得がある人は皆さん3割負担なのですが、「後期高齢者医療制度」を適用されている75歳以上は、原則1割になっています。これが、2022年10月から2割負担に増加します。なぜこのような事態になったかというと、「少子高齢化」が原因です。高齢者の医療費がかさむと、当然現役世代の健康保険料は上昇しますが、支える側に立っている若者が減少して支えられる側の高齢者が増加しているので、高齢者の自己負担額を増やさざるを得ない状況になっているのです。単純にこれまでの自己負担が2倍になるということですから、医療機関を毎月受診している高齢者にとっては戦々恐々です。しかし、いくつか知っておきたい注意点があります。2割負担になるのは一部の人2割負担の該当者は、単身世帯で年収200~383万円、複数世帯で年収320~520万円となっています。全体の20%程度の人が負担増の対象になると考えられています(図1)。私の外来患者さんでも「2割負担のお知らせの紙が届いたわ…」とガッカリしている人がいました。画像を拡大する図1. 2割負担の対象者(参考資料1より引用)用意されている「配慮措置」2割負担になると、これまで支払っていた窓口負担が2倍になります。5,000円の自己負担額が1万円になるということです。さすがにこんなに自己負担が増えると、病院に行きたくなくなってしまいますね。そのため、2022年10月1日から2025年9月30日までの3年間、2割負担になる高齢者に対して、窓口負担増加額を月3,000円までに抑える配慮措置が適用されます。つまり、先ほどの5,000円の医療費が1万円になるような場合、「5,000円増はしんどいよね」ということで、2,000円が還付される仕組みになっています(図2)。画像を拡大する図2. 配慮措置(参考資料1より引用)COVID-19で問われる日本の医療のあり方COVID-19の感染拡大により、当たり前のように受診できていた医療機関を受診できなくなるという「医療危機」が生じました。待機手術やがん診療といった通常診療にもしわ寄せが来て、内視鏡やカテーテルなどの検査が止まってしまった病院もありました。都市部では救急車を呼んでも搬送されないということが、よく報道されていました。今後日本では、さらに高齢者が増えていきます。「日本はすばらしい国民皆保険の国なので、何かあったらすぐに病院へ」という、旧態依然とした考え方を変えていく必要があるのではないかと思います。参考文献・参考サイト1)厚生労働省・警察庁・消費者庁 後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しについて(お知らせ) 

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アトピー性皮膚炎患者へのデュピルマブ、治療継続率と関連因子が明らかに

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎(AD)患者におけるデュピルマブによる治療継続率と関連因子が、オランダ・ユトレヒト大学のLotte S. Spekhorst氏らが行った多施設前向き日常臨床BioDayレジストリのデータを解析したコホート試験により示された。デュピルマブ治療継続率は、1年時90.3%、3年時も78.6%と良好であったこと、また、ベースラインで免疫抑制剤を使用していた患者や4週目で治療効果が示されない患者は、治療中断となる傾向があることなどが明らかにされた。著者は、「今回示されたデータは、アトピー性皮膚炎のデュピルマブ治療に関する、より多くの洞察と新しい視点を提供するもので、患者に最適なアウトカムをもたらすことに寄与するだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年8月10日号掲載の報告。 研究グループは、これまで不足していたアトピー性皮膚炎患者におけるデュピルマブ治療の継続率と、関連因子を特定するコホート試験を、多施設前向き日常臨床BioDayレジストリのデータをベースに行った。BioDayレジストリには、オランダの大学病院4施設および非大学病院10施設で被験者が募集され、解析には、4週以上追跡を受けていた18歳以上の患者が包含された。BioDayレジストリで、デュピルマブ治療を受けた最初の患者が記録されたのは2017年10月であった。2020年12月時点でデータをロックし、データ解析は2017年10月~2020年12月に行われた。 治療継続率はカプランマイヤー生存曲線で、また関連特性を単変量および多変量Cox回帰法を用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・合計715例の成人AD患者(平均年齢41.8[SD 16.0]歳、男性418例[58.5%])が解析に含まれた。・デュピルマブの治療継続率は1年時90.3%、2年時85.9%、3年時78.6%であった。・無効性により治療の継続が短期となった特性として、ベースラインでの免疫抑制剤の使用(ハザード比[HR]:2.64、95%信頼区間[CI]:1.10~6.37)、4週時点で非レスポンダー(8.68、2.97~25.35)が特定された。・有害事象により治療の継続が短期であった特性としては、ベースラインでの免疫抑制剤の使用(HR:2.69、95%CI:1.32~5.48)、65歳以上(2.94、1.10~7.87)、そしてInvestigator Global Assessmentスコアできわめて重症なAD(3.51、1.20~10.28)が特定された。

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日本人高齢者におけるうつ病と道路接続性との関係~JAGES縦断研究

 高齢者において、メンタルヘルス対策は重要であり、近隣環境がうつ病の保護因子として注目されている。これまでの調査では、近隣環境の重要な指標である道路接続性が高齢者の健康と関連していることが示唆されている。しかし、道路接続性とうつ病との関連については、不明なままであった。千葉大学のYu-Ru Chen氏らは、高齢者のうつ病と道路接続性との関係について調査を行った。その結果、道路接続性と高齢者のメンタルヘルスとの関連が示唆された。著者らは、本調査結果が今後の健全な都市計画の検討に貢献する可能性があるとしている。Scientific Reports誌2022年8月8日号の報告。 日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)2013-2016のデータを用いて、2013年にうつ病でなかった高齢者(老年期うつ病評価尺度スコア5未満)2万4,141人を対象に評価を行った。アウトカム変数は、2016年のうつ病診断とした。説明変数は、対象者の近隣800m圏内の交差点密度および空間構文によって算出した道路接続性とした。2016年のうつ病の新規診断に対するオッズ比および95%信頼区間を算出するため、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・交差点密度が高い地域に住んでいる高齢者は、交差点密度が低い地域に住んでいる高齢者と比較し、3年後の新規うつ病発症率が17%低かった。・道路接続性が高い地域に住んでいる高齢者は、道路接続性が低い地域に住んでいる高齢者と比較し、3年後の新規うつ病発症率が14%低かった。・身体活動や社会的相互作用で調整した後でも、これらの関連は認められた。

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医療者のコロナ感染リスク、着用マスクや累積曝露時間による

 COVID-19患者との接触機会の多い医療従事者の感染予防に、サージカルマスクよりレスピレーターマスク(FFP2、N95やDS2に相当)が有用であることが示唆されているが、科学的エビデンスは少ない。今回、スイス・Cantonal Hospital St. GallenのTamara Dorr氏らの医療従事者を対象としたコホート研究で、レスピレーターマスク使用がサージカルマスク使用より感染リスクが40%以上低くなること、COVID-19患者への累積曝露時間と感染リスクに用量反応関係があることが示唆された。JAMA Network Open誌2022年8月15日号に掲載。 本コホート研究の対象は、スイス北部および東部の7つの医療ネットワークに所属する医療従事者で、2020年9月から週1回12ヵ月間、症状に基づいた鼻咽頭スワブの検査結果、曝露、リスク行動について報告した。2021年9月に過去1年間にエアロゾル産生手技以外でCOVID-19患者との接触時に使用したマスクの種類(サージカルマスクのみ/レスピレーターマスクのみ/両方)を申告した。COVID-19患者への累積曝露時間は、自己申告による患者との接触回数と平均接触時間を掛けた。ベースライン時、2021年1月、同9月に抗ヌクレオカプシド抗体のスクリーニング検査を実施した。主要評価項目は、追跡調査中の新型コロナウイルス感染(自己申告による鼻咽頭スワブ陽性または抗ヌクレオカプシド抗体陽転、もしくはその両方)とし、累積曝露時間の倍加当たりの陽性率増加のオッズ比(OR)をレスピレーターマスクのみ使用した医療従事者とサージカルマスクのみまたは両方を使用した医療従事者に分けて算出した。 主な結果は以下のとおり。・対象の医療従事者2,919人(年齢中央値:43歳、範囲:18~73歳)のうち、749人(26%)が新型コロナウイルスに感染していた。・新型コロナウイルス陽性率は、患者との接触がない医療従事者で13%だった。接触がある医療従事者では、レスピレーターマスクのみ使用した人が21%、サージカルマスクのみ/両方使用した人が35%で(OR:0.49、95%CI:0.39~0.61)、両群とも累積曝露時間が増えるに従って陽性率が増加した。・多変量解析では、家庭内接触あり(OR:7.79、95%CI:5.98~10.15)、COVID-19患者への曝露(累積曝露時間のカテゴリーごとのOR:1.20、95%CI:1.14~1.26)、レスピレーターマスクの使用(OR:0.56、95%CI:0.43~0.74)、ワクチン接種(OR:0.55、95%CI:0.41~0.74)が関連していた。 本研究では、医療従事者の新型コロナウイルス陽性率はCOVID-19患者の累積曝露時間と関連していた。また、今回の結果から、COVID-19患者に接触する医療従事者の業務関連リスクが、レスピレーターマスクの使用とワクチン接種により大幅に減少する可能性が示唆された。

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糖尿病性神経障害性疼痛、併用薬による効果の違いは?/Lancet

 糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)に対する鎮痛効果は、アミトリプチリン+プレガバリン、プレガバリン+アミトリプチリン、デュロキセチン+プレガバリンで同等であり、単剤療法で効果不十分な場合に必要に応じて併用療法を行うことで、良好な忍容性と優れた鎮痛効果が得られることが、英国・シェフィールド大学のSolomon Tesfaye氏らが英国の13施設で実施した多施設共同無作為化二重盲検クロスオーバー試験「OPTION-DM試験」の結果、示された。DPNPに対しては、多くのガイドラインで初期治療としてアミトリプチリン、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチンが推奨されているが、最適な薬剤あるいは併用すべきかについての比較検討はほとんど行われていなかった。OPTION-DM試験は、DPNP患者を対象とした過去最大かつ最長の直接比較のクロスオーバー試験であった。Lancet誌2022年8月27日号掲載の報告。DPNP患者140例を対象に、DN4の7日間平均疼痛スコアを評価 OPTION-DM試験の対象は、改訂トロント臨床神経障害スコア(mTCNS)が5以上の遠位対称性多発神経障害、および神経障害性疼痛4項目質問票(DN4)で7日間の1日平均疼痛(NRS)スコア(範囲0~10)が4以上の神経障害性疼痛を3ヵ月以上有する18歳以上のDPNP患者である。施設で層別化したブロックサイズ6または12の置換ブロック法を用い、アミトリプチリン+プレガバリン(A-P)、プレガバリン+アミトリプチリン(P-A)、デュロキセチン+プレガバリン(D-P)の3つの治療法を各16週間、次の順序で投与する6通りの投与群に、1対1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。A-P→D-P→P-A、A-P→P-A→D-P、D-P→A-P→P-A、D-P→P-A→A-P、P-A→D-P→A-P、P-A→A-P→D-P。 3つの治療法はいずれも、第1治療期6週間、第2治療期10週間から成り、第1治療期は単剤療法(A-PではA、D-PではD、P-AではP)を行い、6週後に7日間平均NRSスコアが3未満の奏効例は第2治療期も単剤療法を継続し、非奏効例では第2治療期に併用療法を行った。各治療期は最初の2週間を用量漸増期として、アミトリプチリン25mg/日、デュロキセチン30mg/日、プレガバリン150mg/日から投与を開始し、1日最大耐量(アミトリプチリン75mg/日、デュロキセチン120mg/日、プレガバリン600mg/日)に向けて用量を漸増した。 主要評価項目は、各治療法の最終週(16週時)に測定された7日間平均NRSスコアの治療群間差であった。 2017年11月14日~2019年7月29日に252例がスクリーニングされ、140例が6通りの治療順に無作為に割り付けられた。3つの治療法(A-P、P-A、D-P)で有効性に差はなし 無作為化された140例中、130例がいずれかの治療法を開始し(84例が少なくとも2つの治療法を完遂)、主要評価項目の解析対象となった。 16週時の7日間平均NRSスコア(平均±SD)はいずれも治療法も3.3±1.8であり、ベースライン(130例全体で6.6±1.5)から減少した。各治療法の平均差は、D-P vs.A-Pで-0.1(98.3%信頼区間[CI]:-0.5~0.3)、P-A vs.A-Pで-0.1(-0.5~0.3)、P-A vs.D-Pで0.0(-0.4~0.4)で、有意差は認められなかった。併用療法を受けた患者では、平均NRSスコアの減少が単剤療法を継続した患者より大きかった(1.0±1.3 vs.0.2±1.5)。 有害事象は、3つの治療法を比較すると(A-P vs.D-P vs.P-A)、P-Aではめまい(12% vs.16% vs.24%、p=0.036)、D-Pでは悪心(5% vs.23% vs.7%、p=0.0011)、A-Pでは口渇(32% vs.8% vs.17%、p=0.0003)の発現率が有意に高かった。

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ニルマトレルビル治療、65歳以上のコロナ重症化を予防/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で重症化リスクが高くニルマトレルビル治療の適応があると評価された患者において、ニルマトレルビル治療により65歳以上ではCOVID-19による入院および死亡が有意に減少したが、40~64歳では有益性は認められなかった。イスラエル・Clalit Research InstituteのRonen Arbel氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析し、報告した。ニルマトレルビル治療は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ変異株(B.1.617.2)に感染した高リスクでワクチン未接種の患者において有効性が示されているが、オミクロン変異株(B.1.1.529)によるCOVID-19の重症化予防に関するデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2022年8月24日号掲載の報告。40歳以上の高リスクCOVID-19患者を対象に、ニルマトレルビル治療の有効性を検証 研究グループは、イスラエル国民の約52%、高齢者の約3分の2が加入している同国最大の医療保険組織「Clalit Health Services」のデータを用い、同国でニルマトレルビル治療が開始された2022年1月9日から3月31日のデータを解析した。研究期間中、イスラエルではオミクロン株が優勢であった。 解析対象は、SARS-CoV-2感染が確認されCOVID-19と診断された40歳以上の外来患者で、重症化リスクが高くニルマトレルビル治療の適応があると評価された患者である。 主要評価項目はCOVID-19による入院、副次評価項目はCOVID-19による死亡で、時間依存共変量を用いるCox比例ハザード回帰モデルにより社会人口統計学的要因、併存疾患およびSARS-CoV-2免疫状態を補正し、ニルマトレルビル治療との関連を推定した。65歳以上では、非投与と比較しCOVID-19入院/死亡が有意に低減 計10万9,254例が適格基準を満たし、このうち3,902例(4%)が研究期間中に1回以上ニルマトレルビル治療を受けた。65歳以上は10万9,254例中4万2,821例(39%)で、このうちニルマトレルビル治療例は2,484例(6%)であった。 65歳以上において、COVID-19による入院は、ニルマトレルビル治療群で11例(10万人日当たり14.7)、未治療群で766例(10万人日当たり58.9)に認められ、補正後ハザード比(HR)は0.27(95%信頼区間[CI]:0.15~0.49)であった。また、COVID-19による死亡は、ニルマトレルビル治療群で2例、未治療群で158例に認められ、補正後HRは0.21(95%CI:0.05~0.82)であった。 一方、40~64歳の患者では、COVID-19による入院は、ニルマトレルビル治療群で7例(10万人日当たり15.2)、未治療群で327例(10万人日当たり15.8)に認められ、補正後HRは0.74(95%CI:0.35~1.58)であった。また、COVID-19による死亡は、ニルマトレルビル治療群で1例、未治療群で16例に認められ、補正後HRは1.32(95%CI:0.16~10.75)であった。

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新型コロナ発症抑制と治療に「エバシェルド」が特例承認/AZ

 アストラゼネカは8月30日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生抑制および治療の両方を適応として、同社の長時間作用型モノクローナル抗体の併用療法である「チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)」(販売名:エバシェルド筋注セット、以下エバシェルド)が、厚生労働省より製造販売の特例承認を取得したことを発表した。 新型コロナの発生抑制を適応としたエバシェルドの投与対象となるのは、成人および12歳以上かつ40kg以上の小児で、新型コロナワクチンの接種が推奨されない人、または、血液悪性腫瘍患者など、免疫機能の低下等によりワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある人となる。また、新型コロナ患者との濃厚接触者でない人のみ投与を受けられる。用法および用量は、筋肉内注射により、チキサゲビマブ150mgとシルガビマブ150mgの計300mgを投与する。なお、新型コロナの変異株の流行状況等に応じて、チキサゲビマブ300mgとシルガビマブ300mgの計600mgを投与することもできるとしている。 治療薬としてのエバシェルドの投与対象となるのは、成人および12歳以上かつ40kg以上の小児で、新型コロナ重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者となっている。用法および用量は、筋肉内注射により、チキサゲビマブ300mgとシルガビマブ300mgの計600mgを投与する。 効能または効果に関連する注意として、本剤の中和活性が低い変異株に対しては有効性が期待できない可能性があるため、最新の流行株の情報を踏まえ、本剤投与の適切性を検討することとしている。処方にあたり詳細については、添付文書を参照されたい。 今回の承認は、症候性COVID-19の曝露前予防の有効性を評価した、第III相PROVENT予防試験、外来患者を対象とした第III相TACKLE治療試験、および日本で実施された第I相臨床試験などのデータに基づいている。これらの臨床試験において、良好な忍容性が確認されている。 PROVENT試験では、エバシェルド300mg単回筋肉内投与により、プラセボ群と比較して症候性COVID-19の発症リスクを77%(95%信頼区間[CI]:46~90、p<0.001)減少した。中央値約6ヵ月の追跡期間での追加解析では、エバシェルドはプラセボ群と比較して発症リスクを83%(95%CI:66~91)減少し、1回の投与後6ヵ月間はウイルスからの保護が持続することが示された。 TACKLE試験では、病状発現から7日以内のCOVID-19外来患者において、エバシェルド600mg単回筋肉内投与により、29日目までのCOVID-19の重症化または全死亡(原因を問わない)の相対リスクが、プラセボ群と比較して50%(95%CI:15~71、p=0.010)有意に低減した。症状発現から3日以内にエバシェルドによる治療を受けた被験者の分析では、プラセボ群と比較してCOVID-19の重症化または全死亡のリスクが88%(95%CI:9~98)低減した。症状発現から5日以内にエバシェルドの投与を受けた被験者では、重症化または全死亡のリスクが67%(95%CI:31~84)低減したという。 なお本剤については、COVID-19の曝露前予防を適応として、米国(緊急使用許可)やEUなどで現在使用が許可されている。

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第124回 医療DXの要「マイナ保険証」定着に向けて日医を取り込む国・厚労省の狙いとは(前編)未対応は最悪保険医取り消しも

普及進まぬマイナンバーカード保険証こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。夏の甲子園が終わり、脱力していたらロサンゼルス・エンジェルスの身売り話が飛び込んで来ました。来季以降の大谷 翔平選手の去就に注目が集まる中、MLBでは喜ばしい話題もありました。シアトル・マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が27日(日本時間28日)、球団殿堂入り(MLBの野球殿堂ではなく球団独自の殿堂です)のセレモニーで15分を超える英語のスピーチを行い、超満員のスタンドを沸かせました。決して流暢とは言えない英語ながら、ユーモア溢れるそのスピーチは、英語での学会発表が苦手な皆さんにも参考になるのではないでしょうか1)。さて、世の中、相変わらずDX(デジタル・トランスフォーメーション)流行りです。ということで今回は、8月24日に開催された、医療機関向けの「オンライン資格確認等システムに関するWEB説明会」について書いてみたいと思います。「オンライン資格確認等システム」とは、マイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」のことで、これからの日本の医療DXの要とも言われています。ただ、その普及の割合はまだまだ低く、岸田 文雄首相も進捗の遅さにイラついているとも言われています。厚生労働省と三師会による合同説明会厚生労働省と三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)が合同で開催した「オンライン資格確認等システムに関するWEB説明会」は、8月24日夜、18時30分からYouTube上で開催されました。約1万6,000人が参加し、医療関係者の関心の高さがうかがえました2)3)。冒頭、厚生労働省の伊原 和人保険局長が挨拶し、オンライン資格確認は「今後のデータヘルスの甚盤になる仕組み」と語り、「原則義務化されることを踏まえ、速やかに顔認証付きカードリーダーが届けられるよう従来の受注生産を事前生産にすることにしており、導入の準備を進めていただきたい」と要請。続いて日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3師会の担当役員も挨拶し、揃って「早く導入しましょう。大変役立ちます」と訴えかけました。説明会の後半には、顔認認証付きカードリーダーのメーカーのプレゼンまで盛り込んだそのプログラムからは、遅々として進まぬマイナ保険証の普及・定着に対する、厚労省(と医療DX推進本部の長となる岸田首相)の焦りが伝わってくるようでもありました。中医協答申でオンライン資格確認導入の原則義務化が決定この説明会は、8月10日に開かれた中央社会保険医療協議会において、オンライン資格確認(いわゆるマイナンバーカードの保険証利用)導入の原則義務化が決定したことを受けて、急遽開催が決まったものです。6月7日に閣議決定されていた「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2022)で、オンライン資格確認を2023年4月から原則義務化し、現行の保険証の原則廃止の方向性は示されていました。8月10日、中医協が後藤 茂之厚生労働大臣(当時)に答申し、それが正式決定となったのです。保険医療機関運営の“法律”である「保険医療機関及び保険医療養担当規則」にその旨が定められることになったことで、マイナ保険証導入に向けての強制力は一段と強まったと言えるでしょう。「原則義務化」で例外もあるにはあるのですが、その例外は院長が高齢などの理由から紙レセプトでの請求が認められているごくわずかの保険医療機関・薬局に限られ、全体の4%ほどに過ぎません。ほとんどの医療機関はあと7ヵ月の間に「マイナ保険証」に対応しなければならないのです。ちなみに、既に運用開始した医療機関等は2022年8月14日時点で26.8%だそうです。なお、8月10日の中医協ではマイナ保険証対応に向け、医療機関、薬局向けの補助の拡充や、マイナ保険証を使う患者の自己負担の方が高いという現状の問題点を解決するための、10月1日からの診療報酬上の加算の取り扱いの見直しも決定しています。「全国医療情報プラットフォーム」の創設につなげるオンライン資格確認等システム、いわゆるマイナ保険証は、日本の医療DXの基盤になるものと位置づけられています。「骨太方針2022」では、マイナ保険証のシステムを、当初のレセプト・特定健診等情報の共有に加えて、予防接種、電子処方箋情報、電子カルテ等の医療情報についても共有・交換できるようにし、「全国医療情報プラットフォーム」の創設につなげるとしています。なお、今回の説明会の資料では、オンライン資格確認のメリットとして、次の2点が強調されていました。1)医療機関・薬局の窓口で、患者の方の直近の資格情報等(加入している医療保険や自己負担限度額等)が確認できるようになり、期限切れの保険証による受診で発生する過誤請求や手入力による手間等による事務コストが削減。2)マイナンバーカードを用いた本人確認を行うことにより、医療機関や薬局において特定健診等の情報や薬剤情報を閲覧できるようになり、より良い医療を受けられる環境に(マイナポータルでの閲覧も可能)。導入しなければ「保険医療機関等の指定の取り消し事由になりうる」24日の説明会そのものは制度概要の説明から、体制整備に向けての医療機関に対する補助金の仕組みの解説など、事務的に進みましたが、「導入義務対象機関が来年4月導入に間に合わない場合にどうなるか」という質問に対して、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の水谷 忠由課長が「保険医療機関等の指定の取り消し事由になりうる。療担規則が順守されないと地方厚生局で丁寧な指導を受けることになり、個別事案ごとに適宜判断される」との回答には、関係者は驚いたのではないでしょうか。救済措置の検討も予定されているようですが、救済措置は「関係者それぞれがしっかり対応を進めることを大前提に、それでもやむを得ない場合について検討する」(水谷課長)とのことです。救済措置の状況を待つことなく医療機関は「オンライン資格確認等システム導入に向けた顔認証付きカードリーダーの申し込み、システムベンダーとの契約を一刻も早く進めて欲しい」と水谷課長は強調していました。受療行動や、医療機関で提供された治療や投薬の情報が丸裸にさて、マイナ保険証の原則義務化で一体何が起るでしょうか。説明会では医療機関側の業務の効率化が盛んに強調されていましたが、国が最も期待するのは、先に示したメリットのうち2)であることは明らかでしょう。「全国医療情報プラットフォーム」が整備されれば、レセプト情報、さらに電子カルテ情報まで情報共有が行われることになります。この日の説明会でも、閲覧可能な情報が現行の薬剤情報、特定健診情報に加えて、9月からは透析、医療機関名の情報が、2023年5月からは手術情報が追加されると報告されています。患者の受療行動や、医療機関で提供された治療や投薬の情報が丸裸にされるということは、それらのデータを基に、究極的に効率化された(ムダを省いた)医療提供の仕組みがデザインされ、それが現場に要求されることを意味します。どこまでの情報が開示されるようになるかわかりませんが、重複受診、重複投与、ムダな薬剤投与、的外れの治療などが、他医にもばれてしまうわけで、「日本医師会をはじめ、医療関係団体がよくこぞって協力するな」というのが私の正直な感想です。「自院の治療は他の医師に見られたくない」というのが、多くの医師の本音でもあるからです。「首相≒財務省」vs.「厚労省≒日本医師会」の対立構造に変化?岸田首相は7月の参院選勝利を受け、8月10日に内閣改造を行いました。新内閣では加藤 勝信氏が3度目となる厚生労働大臣に就きました。親日医と見られる加藤厚労相が再び登用されただけでなく、厚労副大臣には日医推薦の羽生田 俊参議院議員が選ばれています。今年6月、中川 俊男前会長から松本 吉郎新会長に替わってからの政府の日本医師会への寄り添い振りは、やや気持ちが悪いくらいです。7月の参議院選挙直後、本連載の「第117回 医師法違反は手術だけではない!工学技士に手術をさせた病院が研修すべき『もう一つのこと』」で、「これから財務省主導の医療政策が、医療提供体制改革の“本丸”(病院の再編や、かかりつけ医の制度化など)に、どこまで切り込んでいくかが注目されます」と書きましたが、マイナ保険証と医療DXが政策の前面に出てきたことで、「第80回 『首相≒財務省』vs.『厚労省≒日本医師会』の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」などで度々書いてきた、この対立構造に少なからぬ変化が出てきたように見えます。(この稿続く)。参考1)イチロー氏のフルスピーチ2)厚生労働省・3師会 医療機関向けライブ配信/厚生労働省 保険局3)厚生労働省・3師会 医療機関向けライブ配信 当日資料/厚生労働省 保険局

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T-DXd単剤療法におけるILD発生状況、9試験のプール解析結果/ESMO Open

 間質性肺疾患(ILD)/肺炎は、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関連する重要な有害事象である。米国・マウントサイナイ医科大学のC A Powell氏らは、T-DXd単剤療法に関する9つの第I相および第II相試験のプール解析を実施し、ILD/肺炎のリスクを評価した。ESMO Open誌2022年8月10日号に掲載。 治験責任医師が評価したILD/肺炎について、独立判定委員会が後ろ向きにレビューし、薬剤関連ILD/肺炎と判定された事象について要約した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は1,150例(乳がん44.3%、胃がん25.6%、肺がん17.7%、大腸がん9.3%、その他のがん3.0%)。・治療期間中央値は5.8ヵ月(0.7~56.3)、前治療歴中央値は4ライン(1~27)だった。・薬剤関連ILD/肺炎の発生率は15.4%(Grade5:2.2%)だった。・ほとんどのILD/肺炎症例が低Grade(Grade1または2:77.4%)で、87.0%がT-DXdの初回投与から12ヵ月以内(中央値:5.4ヵ月[0.1~46.8])に最初のイベントを経験していた。・データレビューによると、判定されたILD/肺炎の発症日は、53.2%で治験責任医師が特定した日よりも早かった(発症日の差の中央値:43日[1~499])。・ステップワイズCox回帰分析により、薬剤関連ILD/肺炎リスク上昇に関連するいくつかのベースライン因子が同定された:年齢65歳未満、日本での登録、T-DXd用量>6.4 mg/kg、酸素飽和度<95%、中度/重度の腎障害、肺合併症、初診から4年以上経過していること。 著者らは、今回の解析の結果、ILD/肺炎の発生率は15.4%であり、その多くは低悪性度で治療開始後12ヵ月に発生したものであったとまとめている。T-DXd治療のリスクとベネフィットの評価は肯定的であるが、一部の患者ではILD/肺炎の発症リスクが高まっている可能性があり、ILD/肺炎リスク因子を確認するためのさらなる調査が必要とし、ILD/pneumonitis に対する綿密なモニタリングと積極的な管理がすべての患者に求められるとしている。

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第7波のコロナ重症化リスク因子/COVID-19対策アドバイザリーボード

 8月13日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで「第7波における新型コロナウイルス感染症 重症化リスク因子について(速報)」が報告された。 本報告は、蒲川 由郷氏(新潟大学大学院医学総合研究科 十日町いきいきエイジング講座 特任教授)らのグループが、2022年7月1日~31日までに新潟県内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断・届け出された3万6,937件を対象に調査したもの。 その結果、重症化のリスク因子として70代以上の高齢者、ワクチンの未接種、慢性呼吸器疾患、(非透析の)慢性腎臓病、男性、やせ体形につき、統計学的な有意差があった。第7波3万6,937件の新潟のCOVID-19患者を解析【調査概要】対象など: 2022年7月1日〜31日までに新潟県内でCOVID-19と診断届出された3万6,937件(重症度などの最終確認日は8月10日)。調査方法:陽性判明時点で収集可能な患者背景から、年齢・性別・ワクチン接種の有無などの患者基礎情報と高血圧・糖尿病・慢性腎臓病などの基礎疾患情報の項目を同時に投入し、多重ロジスティック回帰分析を実施。重症化リスク因子のオッズ比を算出。【結果】(1)年代別・3万6,937例中、103例が中等症II以上だった(中等症・重症化率 0.3%)。・中等症II以上103例のうち、施設入所者は41例(約40%)で、80代以上は41例中35例。・年代が高くなるほど、重症化のオッズ比は高い傾向にあり、30代と比較して、70代以上のオッズ比が63〜283と高い値。(2)性別・ワクチン接種・女性よりも男性が重症化リスクが高い(オッズ比2.67)。・ワクチン接種(2回以上)をしていると、重症化リスクが低くなる(オッズ比:2回で0.27、3回で0.2、4回で0.25)。(3)肥満・肥満(BMI 25以上)は有意差があるとはいえなかった(オッズ比:BMI 25~30未満で1.6、30以上で1.55)。・やせ型(BMI 18.5未満)のオッズ比は2.05と高い値だった。これは、やせの高齢者(いわゆるフレイル)が中等症IIとなる割合が大きいためと考えられる。(4)基礎疾患(オッズ比2以上のみ記載)・慢性呼吸器疾患(COPD、間質性肺炎、治療中の喘息などを含む)のオッズ比は2.84・慢性腎臓病の非透析のオッズ比は3.42、透析のオッズ比は2.67・持続陽圧呼吸療法(CPAP)使用のオッズ比は2.47・悪性腫瘍のオッズ比は2.24高齢者では肥満よりもやせ型の感染者に注意【追加解析】 2022年1~6月(第6波:6万4,000件)と2022年7月(第7波:3万6,937件)を追加解析(合計:10万937件)。・第6波と第7波での中等症II以上の割合の比較では、第6波の中等症I以下は99.5%、中等症II以上は0.5%だったのに対し、第7波での中等症I以下は99.7%、中等症II以上は0.3%と減少した。・第7波では少数だが10歳未満でも中等症II以上の患者が発生している(第6波ではみられていない)。【解析のまとめ】・中等症II以上のリスクは第6波と比べて第7波で低下。・80代以上でも、中等症II以上は2.3〜5.8%程度。・第7波の中等症II以上は、年齢中央値は83歳、4割が施設入所者。・ワクチン未接種は重症化リスクを上昇させる。中等症II以上の患者のうち、ワクチン未接種は約20%(ワクチン未接種者割合は5〜11歳67.9%、65歳以上4.4%)。・中等症IIのリスク上昇には、基礎疾患のほとんどは明確な寄与がなく、有意な差があったのは、(1)高齢(70、80代以上で高い)(2)ワクチン未接種(3)慢性呼吸器疾患*(COPD、間質性肺炎、治療中の喘息を含む)(4)非透析の慢性腎臓病(5)男性(6)やせ(BMI<18.5:高齢者のフレイルなど)であった。 また、第7波では小児の中等症II以上もみられており、注視が必要(小児へのワクチン接種が重要)。と同時にワクチン未接種者へのワクチン接種が重要である。*慢性呼吸器疾患ではもともと酸素飽和度が低い状態の方もおり、解釈に留意を要する。

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境界性パーソナリティ障害と統合失調症の幻覚・妄想症状の比較

 境界性パーソナリティ障害(BPD)でみられる幻覚・妄想は、これまで十分に研究されていなかった。オーストラリア・スウィンバーン工科大学のZalie Merrett氏らは、BPD患者の多感覚幻覚・妄想を現象学的に調査し、統合失調症スペクトラム障害(SSD)患者でみられるこれらの症状との比較を行った。併せて、臨床精神病理学的調査も行った。その結果、BPD患者では多感覚幻覚・妄想が頻繁に認められることから、BPDを治療する場合にはこれらの症状の把握が重要であることが報告された。Journal of Personality Disorders誌2022年8月号の報告。 調査対象は、成人患者89例。幻聴ありBPD群、幻聴なしBPD群、高BPD特性SSD群、低BPD特性SSD群の4群に分類した。 主な結果は以下のとおり。・BPD患者のうち、幻覚および幻触が81%、幻嗅が75%で報告され、妄想は94%が経験していた。・幻聴の有無にかかわらずBPD患者を比較したところ、非精神病性精神病理学の特徴に有意な差は認められなかった。・BPDの幻覚とSSDの幻覚の比較では、わずかな違いが認められたが、全体的には同様であった。・BPD群は、SSD群と比較し、パラノイア/不信感、罪業妄想の割合が有意に高かった。

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メポリズマブ、好酸球性喘息の小児患者で増悪を低減/Lancet

 都市部の低所得地域に居住する増悪を起こしやすい好酸球性喘息の小児患者において、インターロイキン-5(IL-5)に対するヒト化モノクローナル抗体であるメポリズマブによる表現型指向の治療法は、以前に成人で観察された有効性に比べれば劣るものの、プラセボとの比較で喘息増悪の回数の有意な減少をもたらすことが、米国・ウィスコンシン大学医学公衆衛生大学院のDaniel J. Jackson氏ら国立アレルギー・感染病研究所(NIAID)Inner City Asthma Consortiumが実施した「MUPPITS-2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年8月13日号に掲載された。米国の都市部9施設の無作為化プラセボ対照比較試験 MUPPITS-2試験は、増悪を起こしやすい好酸球性喘息の小児患者の治療における、ガイドラインに基づく治療へのメポリズマブの上乗せ効果の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、米国の都市部9ヵ所の医療センターが参加し、2017年11月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(米国NIAIDとGlaxoSmithKlineの助成を受けた)。 対象は、年齢6~17歳、社会経済的に恵まれない地域に住み、増悪を起こしやすい喘息(前年に2回以上の増悪と定義)を有し、血中好酸球数≧150個/μLの患者であった。 被験者は、ガイドラインに基づく治療に加え、メポリズマブ(6~11歳:40mg、12~17歳:100mg)またはプラセボを4週ごとに皮下投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、52週の投薬が行われた。患者、担当医、アウトカムの測定値を収集する研究者は、割り付け情報を知らされなかった。 主要アウトカムは、intention-to-treat集団における、52週の投与期間に全身コルチコステロイドによる治療を受けた重度の喘息増悪の数(増悪率/人年)とされた。また、鼻洗浄検体を用いたトランスクリプトミクスによるモジュール解析により、治療効果のメカニズムの評価が行われた。高リスク小児で増悪を回避するための新たな標的を確認 9都市(ボストン、シカゴ、シンシナティ、ダラス、デンバー、デトロイト、ニューヨーク、セントルイス、ワシントンDC)から290例(intention-to-treat集団)が登録され、メポリズマブ群に146例、プラセボ群に144例が割り付けられた。248例が試験を完遂した。全体の年齢中央値は10.0歳(IQR:9.0~13.0)、女性が43%で、人種は黒人/アフリカ系米国人が70%、白人が11%、民族はヒスパニック/ラテン系が25%であった。 52週の試験期間中に発生した喘息増悪の平均回数(増悪率/人年)は、メポリズマブ群が0.96(95%信頼区間[CI]:0.78~1.17)と、プラセボ群の1.30(1.08~1.57)に比べ有意に少なかった(率比:0.73、95%CI:0.56~0.96、p=0.027)。 喘息の初回増悪までの期間は、両群間に差はみられなかった(ハザード比:0.86、95%CI:0.63~1.18、p=0.36)。また、事後解析では、プラセボ群で強力な季節性の増悪パターンが認められたが、このパターンはメポリズマブによって有意に変化し(p=0.0006)、とくに秋の増悪のピークが鈍化した(オッズ比:0.64、95%CI:0.42~0.98、p=0.041)。 試験期間中に発現または悪化した有害事象は、メポリズマブ群が146例中42例(29%)、プラセボ群は144例中16例(11%)で認められた。注射部位反応はそれぞれ19例(13%)および7例(5%)で、皮膚/皮下組織障害は10例(7%)および1例(<1%)で、消化器障害は7例(5%)および3例(2%)で発現した。アナフィラキシーが5件(メポリズマブ群3件、プラセボ群2件)発生したが、いずれも試験薬との関連はなかった。 気道トランスクリプトーム解析では、メポリズマブ群とプラセボ群における喘息増悪リスクの差の促進因子として、好酸球と上皮に関連する複数の炎症経路が同定された。 著者は、「メポリズマブによる補助的治療は喘息の増悪を抑制したが、これ以外の喘息のアウトカムには影響を及ぼさなかった」とまとめ、「気道トランスクリプトーム解析により、これらの高リスクの小児における増悪による疾病負担を正確かつ効果的に軽減する可能性のある新たな標的が確認された。また、臨床試験で十分な数の被験者がおらず、喘息への罹患や死亡のリスクが最も高い都市部の黒人およびヒスパニック系の小児において、生物学的製剤や他の介入への治療反応を評価することの重要性が明らかとなった」としている。

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キムリア、再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人へのCAR-T細胞療法で追加承認/ノバルティス

 2022年8月26日、ノバルティス ファーマは再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の治療薬として、CAR-T細胞療法、キムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)の効能追加の承認を取得したことを発表した。今回の発表は、2次治療またはそれ以降の全身療法(抗CD20抗体およびアルキル化剤を含む)で再発または難治性の成人FL患者を対象とした、キムリアの有効性および安全性を評価する単群、非盲検、国際共同第II相臨床試験(ELARA試験)の結果に基づいたものである。 ELARA試験において、69%の患者が完全奏効、86%の患者が奏効(完全奏効または部分奏効)を達成した。奏効を達成した患者のうち、最初に奏効が確認されてから9ヵ月時点の奏効維持率は76%(完全奏効を達成した患者では87%)であり、持続的な奏効も示されていた。また、安全性プロファイルはこれまでに報告されたキムリアの適応症で認められたものと一貫していた。 今回の承認について代表取締役社長のレオ・リー氏は、「FL患者さんの中には、十分な効果が得られないまま、いくつもの治療を受け続けなければならない方も多く、そうした患者さん、ご家族の負担は計り知れません。『キムリア』は、長期に及ぶ治療に苦しまれる再発・難治性のFL患者さんを、治療サイクルの連鎖から解き放つ可能性があります。患者さんだけでなく、ご家族や治療に臨まれる医療従事者の方々の負担軽減と希望につながることを期待しています」と述べている。

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5~11歳への3回目ファイザー製ワクチンを承認/厚生労働省

 厚生労働省は8月30日、5~11歳を対象とするファイザー製新型コロナウイルスワクチン「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(販売名:コミナティ筋注5~11歳用)について、追加接種(追加免疫)の用法・用量追加について承認したことを発表し、添付文書を改訂した。 今回の追加接種の年齢層の拡大は、海外第I/II/II/相試験(C4591007試験)第II/III相パートのデータに基づいている。本試験では、本剤10μgを2回接種済みの5~11歳の小児参加者401例に、2回目接種から5~9ヵ月後に本剤10μgを1回接種したときの免疫原性および安全性が検討された。 SARS-CoV-2感染歴がない小児参加者における本剤接種後のSARSCoV-2血清中和抗体価を評価した結果、幾何平均抗体価(GMT)は、2回目接種1ヵ月後時点では1,253.9(両側95%信頼区間[CI]:1,116.0~1,408.9]、3回目接種前では271.0(両側95%CI:229.1~320.6)、3回目接種1ヵ月後時点では2,720.9(両側95%CI:2,280.1~3,247.0)となり、3回目接種1ヵ月後時点で上昇が認められた。2回目接種1ヵ月後時点の抗体価に対する3回目接種1ヵ月後時点の抗体価の幾何平均比(GMR)は2.17(両側95%CI:1.76~2.68)であった。 3回目接種後の安全性については、治験薬接種後7日間、電子日誌により報告された371例の副反応の発現状況を評価した。主な副反応の発現状況(事象全体およびGrade3以上)として、注射部位疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、発熱(38.0度以上)が報告された。注射部位疼痛は、接種当日に発現し、持続期間は2日であった(中央値)。その他の全身性の事象は接種翌日に発現し、持続期間は1日であった(中央値)。 添付文書における主な改訂は以下のとおり。6. 用法及び用量本剤を日局生理食塩液1.3mLにて希釈する。初回免疫の場合、1回0.2mLを合計2回、通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する。追加免疫の場合、1回0.2mLを筋肉内に接種する。7. 用法及び用量に関連する注意7.2 追加免疫7.2.1 接種対象者5歳以上11歳以下の者。SARS-CoV-2の流行状況や個々の背景因子等を踏まえ、ベネフィットとリスクを考慮し、追加免疫の要否を判断すること。7.2.2 接種時期通常、本剤2回目の接種から少なくとも5ヵ月経過した後に3回目の接種を行うことができる。7.2.3他のSARS-CoV-2ワクチンを接種した者に追加免疫として本剤を接種した際の有効性、安全性は確立していない。 なお、同ワクチンの5~11歳への追加接種について、米国では、2022年5月17日に米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)している。

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英語で「清潔を保つ」は?【1分★医療英語】第43回

第43回 英語で「清潔を保つ」は?Is there anything else I should be aware of?(ほかに何か知っておくべきことはありますか?)Please maintain good personal hygiene to prevent infections.(感染予防のために清潔を保ってください)《例文1》Good oral hygiene is vital for your overall health.(口内衛生を保つことは全般的な健康において大切なことです)《例文2》Proper hand hygiene is essential to reduce COVID-19 transmission.(適切に手指衛生を保つことは、新型コロナ感染症伝播を減らすために不可欠です)《解説》“hygiene”は「衛生」を意味し、広義の“clean”よりも、「生活習慣として清潔にする」というニュアンスを含みます。“personal hygiene”は直訳すると「個人の衛生習慣」ですが、意味としては「シャワーに入る」「歯や爪を清潔に保つ」「清潔な衣類を身に付ける」など多岐にわたります。《例文》にもあるように、“oral hygiene”(口内衛生)、“hand hygiene”(手指衛生)、“environmental hygiene”(環境衛生)など、清潔にすべき内容を具体的に示すことも多くあります。傷口や術後の管理、感染症対策、薬の副作用の説明など、“personal hygiene”を促す場面は多いと思いますので、ぜひ使ってみてください。講師紹介

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第127回 インフルエンザワクチン高用量投与で高齢者の死亡リスク低下

およそ20万人を募る大規模試験を無理なく実施するための下調べ試験DANFLU-1で早くも高齢者へのインフルエンザワクチン高用量投与の死亡予防効果が認められました1)。インフルエンザと心血管疾患(CVD)の関連を調べた試験は幾つかあり、たとえばその1つではインフルエンザ感染判明後1週間は心筋梗塞を約6倍生じ易いことが示されています2)。別の試験ではインフルエンザの季節の心不全入院のおよそ19%がインフルエンザにどうやら起因していました3)。インフルエンザ入院成人の退院時データを調べたところ約12%が急な心血管イベントを被っていたという試験結果もあります4)。そういう心血管イベントの予防にインフルエンザワクチンがどうやら有効なことが観察試験5)や無作為化試験6)で示唆されています。目当てのインフルエンザウイルス株の血球凝集素(HA)抗原60μgを含む高用量ワクチンはほとんどの国で65歳以上の高齢者に使うことが承認されています。また幾つかの国では60歳以上から使えるようになっています。しかしながら高齢者にまず投与すべきを高用量ワクチンとしている国は数えるほどしかなく、ゆえにその接種はあまり普及していません1)。高用量ワクチンはHA抗原量15μgの標準用量ワクチンに比べてインフルエンザやインフルエンザ関連死亡をより防ぐことを裏付ける試験結果は増えてはいます。しかし巷の高齢者の入院や死亡などの深刻な事態の予防効果を高用量ワクチンと標準用量ワクチンで比較した無作為化試験はこれまでありませんでした。そういう無作為化試験では多くの被験者を募らなければならず、その実現のためには無理なく実施できるようにする工夫が必要です。DANFLU-1試験はその工夫の検証のために準備され、デンマークで実施されてその結果が今回ESC Congress 2022で発表されました。試験には65~79歳の高齢者が参加し、1対1の割合で高用量4価ワクチンか標準用量4価ワクチン投与に割り振られました。1,000回を超えるそれらの接種の場はワクチン販売会社が手配しました。各地で得られた被験者の情報は1箇所に集められ、デンマーク人の健康情報登記簿(administrative health registries)と紐づけすることでそれら被験者のワクチン接種後の経過や安全性情報が追跡されました。必要な情報のほぼすべてはその健康情報登記簿から入手します。よって試験で被験者が必要とする来院はわずか1回きりであり、被験者と試験担当者の負担を大幅に減らすことができました。DANFLU-1試験の主な目的はやがて実施予定の大規模試験の被験者数などの仕様の検討であり、副次的目的として高用量ワクチンと標準用量ワクチンの効果が比較されました。最終的な解析対象の被験者は12,477人で、高用量ワクチンにそのうち6,245人、標準用量ワクチンには6,232人が割り振られました。試験の要である健康情報登記簿からのデータ取得は実現可能であり、被験者のほぼ全員(99.97%)の必要な経過情報すべてが手に入りました。被験者の特徴はデンマークの巷の65~79歳高齢者と同等でした。たとえば慢性心血管疾患の有病率はどちらも20%ほどです(被験者は20.4%、巷の高齢者は22.9%)。副次的目標であった効果も早速認められ、高用量ワクチン接種群のインフルエンザや肺炎での入院率は標準用量ワクチン接種群の半分で済んでいました(0.2% vs 0.4%)。その結果によると高用量ワクチンの標準用量ワクチンに比べたそれら入院の予防効果は64.4%(95%信頼区間:24.4~84.6%)です。高用量ワクチンは死亡もより減らしました。死亡率は高用量ワクチンでは0.3%、標準用量ワクチンでは0.7%であり、高用量ワクチンは標準用量ワクチンに比べて死亡リスクをおよそ半分に抑えました(効果:48.9%、95%信頼区間:11.5~71.3%)。深刻な有害事象に有意差はありませんでした。以上のようなDANFLU-1試験結果からデンマーク国民の健康情報登記簿のデータを拠り所とする無作為化試験の実施が可能と分かりました1)。次はいよいよ高齢者への高用量ワクチンと標準用量ワクチンを比較する本番の試験です。被験者数はおよそ20万人になる見込みです。参考1)Innovative randomised trial hints at mortality benefits with high-dose influenza vaccines/European Society of Cardiology2)Kwong JC,et al. N Engl J Med. 2018 Jan 25;378:345-353.3)Kytomaa S, et al. JAMA Cardiol. 2019 Apr 1;4:363-369.4)Chow EJ, et al. Ann Intern Med. 2020 Oct 20;173:605-613.5)Modin D, et al. Circulation. 2019 Jan 29;139:575-586.6)Frobert O, et al. Circulation. 2021 Nov 2;144:1476-1484.

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アドヒアランス改善による意識障害が生じたため薬剤を徹底見直し【うまくいく!処方提案プラクティス】第50回

 今回は、服薬アドヒアランスが改善したら治療効果が過剰に現れて意識障害を起こした事例を紹介します。薬剤師のさまざまな工夫や手法によってアドヒアランスが改善することは喜ばしいことですが、急激な変化が生じることもあるため、あらかじめ変化を予測して治療計画を立てておくことが重要です。患者情報88歳、男性(自宅で妻と2人暮らし)基礎疾患陳旧性脳梗塞(発症様式不明)、認知症、糖尿病、高血圧症 服薬管理妻身体所見身長161.5cm、体重54.7kg介入前の検査所見HbA1c 7.0、HDL 47mg/dL、LDL 83mg/dL、AST 19、ALT 23、Scr 1.03mg/dL、推算CCr 38.5mL/min処方内容1.チクロピジン錠100mg 2錠 分2 朝夕食後2.アログリプチン錠25mg 1錠 分1 朝食後3.カンデサルタン錠12mg 1錠 分1 昼食後4.ニフェジピン徐放(24時間持続)錠20mg 2錠 分2 朝夕食後5.グリメピリド錠1mg 1錠 分1 朝食後6.ボグリボースOD錠0.2mg 3錠 分3 毎食直前本症例のポイントこの患者さんの服薬管理は奥様が行っていましたが、PTPシートのままの管理で、かつ、服薬タイミングが複数回あることから飲み忘れが多かったため、訪問医の紹介で薬局が在宅訪問することになりました。訪問介入前の血圧は140〜160/80〜100と高めを推移していました。初回訪問時に飲み忘れや残薬を確認したところ、食直前や昼・夜の薬がとくに服用できておらず、少なくとも3ヵ月分の余剰があることがわかりました。そこで、奥様と医師に一包化管理の承認を取り、その日から始めることになりました。訪問介入開始後のフォローアップでは、血圧が110~120/60~70、心拍数が70台となりました。しかし、1ヵ月が経過したころに奥様より「夫の話のつじつまが合わない。そわそわしていて顔色も悪い。食事は元気がないこともあって、これまでの30~40%程度しか食べない。昼以降はうとうと寝ていることが多い。最近怒りっぽくなって常にイライラしている」と相談がありました。その日のバイタルを確認すると、血圧が170/100と高く、心拍数も95と頻脈になっていました。上腕は汗ばんでいて、衣服も汗で湿っているような感じがしました。また、最近になって便秘が出現し、お腹が張って不機嫌なのではないかという話も聴取しました。これらの追加情報から、下記のことを考察しました。(1)低血糖出現の可能性症状やその発現タイミングから、服薬アドヒアランスが改善して、これまで飲めていなかった薬の治療効果よりも副作用が強く現れたのではないかと考えました。一番懸念したことは、元々腎機能も悪く、HbA1cが高齢者の目標値の下限である7.01)であったことから、SU薬のグリメピリド錠が過度に作用して低血糖に陥っている可能性です。低血糖によるカテコラミン分泌上昇から、頻呼吸はないものの血圧上昇や頻脈、焦燥感、興奮、日中活動低下(ブドウ糖低下)に至っている恐れもあります2)。(2)食事量低下とボグリボースによる便秘発現の可能性便秘の発現については、低血糖によって食事量が低下したことで腸管蠕動が低下した可能性と、α-グルコシダーゼ阻害薬のボグリボース錠の服薬徹底により代表的な副作用でもある便秘が生じた可能性を考えました。(3)現状の服薬管理に合わせた薬剤の選定・見直しの必要性一包化管理を開始してから服薬アドヒアランスが安定しているため、服薬タイミングをシンプルに整理して、治療負担となっている薬剤の中止・減量を提案する必要があると考えました。とくに1日3回の食直前薬であるボグリボース錠は本人の服薬負担だけでなく、奥様の介護負担増加にも繋ります。血圧推移も安定してきたことから、降圧薬を減らすことも可能と考えました。処方提案と経過医師に電話で状況を報告したところ、臨時往診することになりました。診療中に医師より「低血糖症状が出現しているため治療薬を調整しようと思うが、考えがあれば教えてください」と聞かれたため、上記1~2より、グリメピリド錠は低血糖を起こしてることから中止、また便秘に影響している懸念からボグリボース錠の中止も提案しました。医師からは、今回採血もしているので次回の訪問診療まで経口血糖降下薬はすべて中止する旨の返答がありました。また、今回のことをきっかけにチクロピジン錠はクロピドグレル錠50mg 1錠 朝食後に変更となりました。昼のカンデサルタン錠は中止となり、ニフェジピン24時間持続徐放錠は40mg 1錠 朝食後に変更となりました。1週間後のフォローアップでは、食事量は50%程度であるものの活気が出てきていて、血圧は120~130/70~80台で推移していました。血色不良やイライラしていた様子、日中の傾眠もなく、デイサービスの利用ができるところまで回復しました。臨時往診時の採血結果では、HbA1cは5.5、空腹時血糖は60台まで低下していましたが、その後のHbA1cは6.0台で留まっており、経口血糖降下薬は再開せずに生活しています。1)日本糖尿病学会編著. 糖尿病治療ガイド2022-2023.文光堂;2018.2)岸田直樹著・監修. 薬学管理に活かす臨床推論.日経BP;2019.

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コロナ感染6日目、抗原検査陰性なら隔離解除は可能か?

 家庭用迅速抗原検査は、感染初期にはウイルス培養検査と相関するが、陽性から5、6日目以降のデータは少ない。そこで、新型コロナ陽性もしくは症状発現から6日目以降の抗原検査陽性率、症状、ウイルス培養陽性率について検証したところ、症状が残存している人でも自己抗原検査で陰性であれば隔離解除できるということが示唆された。一方で、抗原検査陰性を隔離解除の条件として常に求めることは、感染性のウイルスを排出しない人の隔離を過度に延長することになるかもしれないという。本結果は、米国・Brigham and Women's HospitalのLisa A. Cosimi氏らが、JAMA Network Open誌2022年8月3日号のリサーチレターで報告した。コロナ感染6日後の抗原検査陰性で培養検査陽性だった人はいなかった 2022年1月5日~2月11日のボストンでのオミクロン株BA.1流行期で、新型コロナ陽性と診断または症状発現の40例が登録された。被験者は平均年齢34(SD 9.5)歳、女性23例(57.5%)、男性17例(42.5%)であった。40例すべてがワクチンの初回シリーズを完了、うち36例がブースター接種1回を完了していた。入院を必要とした患者はいなかった。 被験者には、新型コロナ陽性と診断または症状発現のいずれかを0日目としてカウントし、6日目以降に、毎日の症状記録(咳、発熱、喉の痛み、呼吸困難、胸部圧迫感、疲労、筋肉痛、味覚・嗅覚の喪失、悪心、嘔吐、下痢、鼻水、鼻づまり、頭痛、その他)と家庭用迅速抗原検査の自己テスト結果を報告してもらった。また、被験者のうち17例(42.5%)から、6日目に鼻咽頭スワブと口腔スワブを採取し、ウイルス培養検査を行った。 新型コロナ感染6日目以降の抗原検査陽性率などについて検証した主な結果は以下のとおり。・全40例のうち、新型コロナ感染6日目の抗原検査で陽性30例(75%)、陰性10例(25%)だった。14日目には全員が陰性だった。・抗原検査が初めて陰性化した日数と年齢、最後のワクチン接種からの経過期間、診断時のサイクル閾値(Ct値)との間には相関はなかった。・無症状者(7例)と有症状者(33例)において、抗原検査の平均初回陰性日は、8.1(SD 3.0)日目vs.9.3(SD 2.4)日目(p=0.14)であった。・新型コロナ感染から6~14日目では、その日に無症状だった人のうち、抗原検査が陰性よりも陽性になる人のほうが多かった。・新型コロナ感染6日目にウイルス培養検査を受けた17例中12例が抗原検査陽性で、12例中6例は培養検査陽性だった。症状ありの人も含め、抗原検査陰性で培養検査陽性だった人はいなかった。・培養検査陽性6例のうち、新型コロナ感染6日目で2例は症状改善、2例は症状に変化なしと報告、2例は0日目から症状の報告がなかった。・培養検査を受けた被験者17例において、6日目に症状なしと報告した8例のうち、培養検査では陰性6例、陽性2例、抗原検査では陰性3例、陽性5例だった。 著者は本結果について、研究対象が若年者でワクチン接種済みの非入院患者の小規模コホートであることと自己採取技術や実験室ベースの培養法のばらつきの可能性を認めつつも、新型コロナの症状が残存している人の自己抗原検査で陰性であれば隔離解除できることを示唆するものだとしている。一方で、抗原検査陰性を新型コロナの隔離解除の条件として常に求めることは、感染性のウイルスを排出しない人の隔離を過度に延長することになるかもしれないと述べている。また、症状の改善のみに基づいて隔離を終了することは、ウイルス培養陽性の潜在的な新型コロナ感染者を早期に解放する危険性があり、陽性から10日目までの適切なマスク着用と、感染拡大のリスクが高い場所を回避することが重要だとしている。

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