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サル痘予防が追加された乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」【下平博士のDIノート】第105回

サル痘予防が追加された乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」今回は、「乾燥細胞培養痘そうワクチン(商品名:乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16[KMB]、製造販売元:KMバイオロジクス)」を紹介します。本剤は、世界で感染が拡大しているサル痘の発症予防に用いることができる国内唯一のワクチンです。<効能・効果>本剤は、2004年1月に「痘そうの予防」の適応で販売され、2022年8月に「サル痘の予防」が追加されました。<用法・用量>本剤は、添付の溶剤(20vol%グリセリン加注射用水)0.5mLで溶解し、通常、二叉針を用いた多刺法により皮膚に接種します。回数は15回程度を目安とし、血がにじむ程度に圧刺します。なお、他の生ワクチンを接種した人には、通常27日以上の間隔を置いて本剤を接種します。他のワクチンとは、医師が必要と認めた場合は同時に接種することができます。<安全性>主な副反応は、接種部位圧痛、熱感、接種部位紅斑などの局所反応ですが、約10日後に全身反応として発熱、発疹、腋下リンパ節の腫脹を来すことがあります。また、アレルギー性皮膚炎、多形紅斑が報告されています。重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)、けいれん(0.1%未満)が設定されています。<使用上の注意>本剤は-20℃~-35℃で保存します。ゴム栓の劣化や破損などの可能性があるため、-35℃以下では保存できません。添加物としてチメロサール(保存剤)を含有してないため、栓を取り外した瓶の残液は廃棄します。<患者さんへの指導例>1.本剤を接種することで、痘そうウイルスおよびサル痘ウイルスに対する免疫ができ、発症や重症化を予防します。2.医師による問診や検温、診察の結果から接種できるかどうかが判断されます。発熱している人などは接種を受けることができません。3.本剤はゼラチンを含むため、これまでにゼラチンを含む薬や食品によって蕁麻疹、息苦しさ、口唇周囲の腫れ、喉の詰まりなどの異常が生じたことがある方は申し出てください。4.BCG、麻疹、風疹ワクチンなどの生ワクチンの接種を受けた場合は、27日以上の間隔を空けてから本剤を接種します。5.接種を受けた日は入浴せず、飲酒や激しい運動は避けてください。6.接種翌日まで接種を受けた場所を触らないようにしてください。接種翌日以後に、水ぶくれやかさぶたが出る場合がありますが、手などで触れないようにして、必要に応じてガーゼなどを当ててください。7.(妊娠可能な女性に対して)本剤接種前の約1ヵ月間、および接種後の約2ヵ月間は避妊してください。<Shimo's eyes>サル痘は、オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症です。これまでは主にアフリカ中央部から西部にかけて発生してきました。2022年5月以降は欧米を中心に2万7千例以上の感染者が報告されていて、常在国(アフリカ大陸)から7例、非常在国からの4例の死亡例が報告されています(8月10日時点)。WHOによると、現在報告されている患者の大部分は男性ですが、小児や女性の感染も報告されています。国内では感染症法において4類感染症に指定されていて、届出義務の対象です。サルという名前が付いていますが、もともとアフリカに生息するリスなどのげっ歯類が自然宿主とされています。感染した人や動物の体液・血液や皮膚病変、飛沫を介して感染します。潜伏期間は通常7~14日(最大5~21日)で、発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状に続いて発疹が出現します。ただし、常在国以外での感染例では、これまでのサル痘の症状とは異なる所見が報告されています。確定診断は水疱などの組織を用いたPCR検査で行います。通常は発症から2~4週間後に自然軽快することが多いものの、小児や免疫不全者、曝露量が多い場合は重症化することがあります。国内ではサル痘に対する治療方法は対症療法のみで、承認されている治療薬はありません。欧米では、天然痘やサル痘に対する経口抗ウイルス薬のtecovirimatが承認されています。日本でも同薬を用いた特定臨床研究が始まりました。乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」は、もともと痘そう予防のワクチンとして承認を受けていましたが、2022年8月にサル痘予防の効能が追加されました。本剤はWHOの「サル痘に係るワクチンおよび予防接種の暫定ガイダンス(2022年6月14日付)」において、安全性の高いワクチンであり、サル痘予防のために使用が考慮されるべき痘そうワクチンの1つに挙げられています。本剤は、サル痘や天然痘ウイルスと同じオルソポックスウイルス属の1つであるワクチニアウイルス(LC16m8株)の弱毒化生ワクチンです。ウイルスへの曝露後、4日以内の接種で感染予防効果が得られ、14日以内の接種で重症化予防効果が得られるとされています。接種後10~14日に検診を行い、接種部位の跡がはっきりと付いて免疫が獲得されたことを示す善感反応があるかどうかを確認します。他の生ワクチンと同様に、ワクチンウイルスの感染を増強させる可能性があるので、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリンなどの免疫抑制薬は併用禁忌となっています。

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英語で「それでお願いします」は?【1分★医療英語】第44回

第44回 英語で「それでお願いします」は?How about coming to see me again next week?(次に来るのは来週でいいですか?)Yes, that sounds good to me.(はい、それでお願いします)《例文1》医師I think everything looks good. Is it okay if we proceed to the surgery?(すべてが良い感じですね。手術に進んでもよいですか?)患者That sounds good to me. Please proceed.(はい、それでお願いします)《例文2》医師You can go home tomorrow. How does that sound?(明日自宅退院できますよ。いかがですか?)患者That sounds good to me!(それでお願いします!)《解説》これはもう「頻出中の頻出」といえる表現です。私自身も最低1日1回は使っています。“that”で直前の会話の内容を受けたうえで、“sounds good to me”で「私にとって、(その内容が)よく聞こえる」、つまりは「それでお願いします」という意味になります。日本の英語教育の中にはあまり出てこない表現ですが、医療現場に限らず日常でも非常によく使われる便利な言い回しです。場面、文脈、内容にほとんど制限されることなく使えるので、ぜひ皆さんも身に付けて会話に花を咲かせましょう。講師紹介

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第128回 承認済のホルモン薬でダウン症候群患者の認知機能が改善

新生児800人当たり1人に生じるダウン症候群は21番染色体が1つ余分になることを原因とします。ダウン症候群の不調はさまざまで、若くしてのアルツハイマー病様病態に起因する認知機能低下、性成熟前の嗅覚障害、生殖困難などをもたらします。高齢の女性ほどダウン症候群の子を出産することが多く、たとえば45歳の女性の30に1つの妊娠でダウン症候群が生じます。出生前診断を機会にダウン症候群の妊娠を断つことを選べますが、米国の多くの州では中絶の方針を最近変えており、もう間もなく何百万人もの女性がその選択が不可能になります。高齢出産も増えていることから、今後ダウン症候群で生まれてくる子が増えることは間違いないようです。より多くのダウン症候群患者が自立生活を営めるように学習や意思疎通を改善する治療薬の検討が試みられてきましたがまだ成功していません。マウスでは有望な結果が得られた薬は数多くあれども、臨床試験で認知機能を改善することが示されたことはこれまでありませんでした。しかしとうとう小規模ながらある薬が臨床試験で効果を発揮しました。それは不妊治療に広く使われているホルモン・ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)です。視床下部の神経から間欠的に放出されるGnRHは哺乳類の生殖制御の元締めの役割を担います。生涯に渡ってGnRHは下垂体に放出されて黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの放出を促し、それらが男性の精巣や女性の卵巣に作用します。下垂体ではなく学習や記憶に必要な海馬や大脳皮質に伸びるGnRH生成神経もあることが知られていますが、その生理的な役割はこれまでよくわかっていませんでした。臨床試験を実施した研究チームはまずはマウスの実験で海馬や大脳皮質に伸びるそれらGnRH生成神経の働きを調べました1)。その結果、ダウン症候群を模すマウスはGnRH発現に難があり、小さなポンプでGnRHを間欠的に投与するか海馬や皮質などの認知中枢に伸びるGnRH生成神経の機能を回復させたところ物体認識記憶や嗅覚が回復しました。アルツハイマー病もGnRH神経機能障害を特徴の一つとします。果たして間欠的なGnRH投与はアルツハイマー病を模すマウスの認知機能も改善しました。マウスに投与されたGnRHはヒトにすでに広く使われている薬剤Lutrelefです。日本では性腺機能低下症の治療薬(商品名:ヒポクライン)として販売されています。20~50歳の男性のダウン症候群患者7人を募って実施された下調べの臨床試験でもLutrelefが投与されました。マウス実験のときと同様に被験者には小さなポンプが皮下に植え込まれ2)、そのポンプから2時間ごとにLutrelefが投与されました。6ヵ月後、嗅覚は改善しなかったものの1人を除く6人の認知機能が改善し、作業記憶(ワーキングメモリー)、注意、言語の理解が向上しました。また、MRI造影で脳を調べたところ海馬や皮質などの認知に携わる脳領域の神経連結が増えていました。その下調べ試験結果を受けてLutrelefの開発はすでに次の段階に進んでおり、ダウン症候群の男女32人を募るプラセボ対照試験が進行中です3)。今回発表された試験での認知機能改善は僅かですが、親に様子を尋ねたところ変化が実感されています3)。たとえばある親は電話で息子と話しやすくなったと報告しています。街で目当ての場所を目指すなどの日常生活を助けうる物覚えや注意持続が改善したとの報告もありました。研究者が目指すのはダウン症候群患者が日々を暮らしやすくなるようになることです。GnRHの可能性は広く、アルツハイマー病などの神経変性疾患への効果を調べる臨床試験も必要と研究者は示唆しています4)。参考1)Manfredi-Lozano M,et al. Science. 2022 Sep 2;377:eabq4515.2)Boosting cognition with a hormone / Science3)Restoring a key hormone could help people with Down syndrome / Science4)A therapy found to improve cognitive function in patients with Down syndrome / Eurekalert

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HEPAフィルター空気清浄機により新型コロナウイルス除去に成功/東大

 東京大学医科学研究所と国立国際医療研究センターは、8月23日付のプレスリリースで、河岡 義裕氏らの研究により、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機を用いることで、エアロゾル中に存在する感染性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を経時的に除去できることが実証されたことを発表した。なお本結果は、mSphere誌オンライン版8月10日号に掲載された。 本研究は、東京大学と進和テックの共同で行われた。本研究に用いられたHEPA(high-efficiency particulate air)フィルターは、米国環境科学技術研究所の規格(IEST-RP-CC001)で、0.3μmの試験粒子を99.97%以上捕集可能なフィルターとして定義されている。HEPAフィルターのろ過効果を検証するため、コンプレッサーネブライザーでSARS-CoV-2エアロゾルを試験チャンバー内に噴霧して満たした後、HEPAフィルター搭載の空気清浄機を毎時12回換気の風量で5分間、10分間、35.5分間稼働させた。所定の稼働時間後、チャンバー内のSARS-CoV-2エアロゾルをエアサンプラーで採取し、プラークアッセイを用いて、サンプル中の感染性ウイルス力価を測定した。さらに、1価の銅化合物を主成分とし、活性酸素を発生させてフィルター面に付着したウイルスを不活性化することができる抗ウイルス剤のCufitec®を塗布したHEPAフィルターを用いた場合でも、同様の条件で感染性ウイルス力価を測定した。 主な結果は以下のとおり。・HEPAフィルターによるウイルス除去率は、5分間、10分間、35.5分間の稼働時間で、それぞれ85.38%、96.03%、>99.97%だった。空気清浄機の稼働時間の経過とともに、ウイルス除去率が高くなることがわかった。・抗ウイルス剤Cufitec®を塗布したHEPAフィルターを用いた場合では、通常のHEPAフィルターとほぼ同等のウイルス除去率が認められた。 研究チームは本結果について、空間中のSARS-CoV-2を除去するためには、HEPAフィルター付き空気清浄機を室内の適切な場所に設置し、風量や風向きを適宜調整するなど適正に使用することが重要だとしている。また、HEPAフィルター付き空気清浄機を室内の換気と併用することで、より短時間で効率的に空間中のSARS-CoV-2を除去することが可能になり、さらに、抗ウイルス剤を塗布したHEPAフィルターを空気清浄機に取り付けることで、フィルターを交換する際の曝露リスクを減らせる可能性があると述べている。

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エバシェルドの追加など、コロナ薬物治療の考え方14版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏)は、8月30日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第14版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、チキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)の追加、治療薬の削除など整理も行われたほか、最新の知見への内容更新が行われた。 以下に主な改訂点について内容を抜粋して示す。全体の考え方について【2 使用にあたっての手続き】・チキサゲビマブ/シルガビマブとバリシチニブを追加【3 抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング】・「図 COVID-19の重症度と治療の考え方」の注釈を改訂。・「2 主な重症化リスク因子」で65歳以上の高齢者、悪性腫瘍、COPDなどの慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患、脳血管疾患、肥満(BMI 30kg/m2以上)、喫煙、固形臓器移植後の免疫不全、妊娠後期など内容を改訂。・「3」で「一般に、重症化リスク因子のない軽症例では薬物治療は推奨しない」と改訂。・「表1 軽症~中等症I」で治療薬の使用を優先させるべきリスク集団を追加。・「4 抗ウイルス薬等の選択」で知見より「高齢者、複数の重症化リスク因子がある患者、ワクチンの未接種者などでは症状が進行しやすいことを踏まえ、患者ごとの評価において、中等症への急速な病状の進行など、非典型的な臨床経過の症例や免疫抑制状態などの重症化リスクが特に高い症例などでは、併用投与または逐次投与の適応を考慮する」と表現を改訂。個々の治療薬について【抗ウイルス薬】・レムデシビル(商品名:ベクルリー)の「投与時の注意点」で「7)2022年1月21日の中央社会保険医療協議会(中医協)において、保険医の指示の下で看護師による在宅・療養施設等の患者へのレムデシビル投与が可能となった」を追加。・モルヌピラビル(同:ラゲブリオ)の「入手方法」で「2022年8月18日に薬価収載されたことから、今後、一般流通の開始およびそれに伴う国購入品と一般流通品の切替えが行われる見込みである」を追加。・ニルマトレルビル/リトナビル(同:パキロビッドパック )の「国内外での臨床報告」で「10万9,254例の後方視コホート研究(65歳以上の高齢者ではニルマトレルビルの治療介入により入院の有意なリスク減少を認めた(HR:0.27、95%CI:0.15~0.49)。一方で40~64歳では、有意なリスク減少を認めなかった (HR:0.74、95%CI:0.35~1.58)を追加。また、投与時の注意点に「5)新型コロナウイルスワクチンの被接種者は薬剤開発のための臨床試験で除外されているが、市販後の評価では、高齢者での重症化予防などの有効性が示唆されている」を追加。そのほか、投与時の腎機能の評価の詳細についても追加。・ファビピラビルの項目は削除。【中和抗体薬】・「チキサゲビマブ/シルガビマブ(同:エバシェルド)」を新しく追加。〔国内外での臨床報告〕重症化リスク因子の有無を問わない、軽症~中等症IのCOVID-19外来患者822人を対象としたランダム化比較試験では、発症から7日以内のチキサゲビマブ/シルガビマブの単回筋肉内投与により、プラセボと比較して、COVID-19の重症化または全死亡が50.5%(4.4%対8.9%、p=0.010)有意に減少したなどを記載。〔投与方法〕・発症後通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブおよびシルガビマブとしてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射。・曝露前の発症抑制通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブおよびシルガビマブとしてそれぞれ150mgを併用により筋肉内注射する。なお、SARS-CoV-2変異株の流行状況などに応じて、それぞれ300mgを併用により筋肉内注射することもできる。〔投与時の注意点〕オミクロン株(BA.4系統及びBA.5系統) については、本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に本剤の投与を検討することなど。〔発症後での投与時の注意点〕1)臨床試験における主な投与経験を踏まえ、COVID-19の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与を行うこと。2)他の抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体が投与された高流量酸素または人工呼吸管理を要する患者において症状が悪化したとの報告がある。3)COVID-19の症状が発現してから速やかに投与すること。4)重症化リスク因子については、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」などにおいて例示されている重症化リスク因子が想定。〔発症抑制での投与時の注意点〕1)COVID-19の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤はワクチンに置き換わるものではない。2)COVID-19患者の同居家族または共同生活者などの濃厚接触者ではない者に投与すること。COVID-19患者の同居家族または共同生活者などの濃厚接触者における有効性は示されていない。3)本剤の発症抑制における投与対象は、添付文書においては、COVID-19に対するワクチン接種が推奨されない者または免疫機能低下などによりCOVID-19に対するワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある者とされているが、原発性免疫不全症、B細胞枯渇療法を受けてから1年以内の患者など免疫抑制状態にある者が中和抗体薬を投与する意義が大きいと考えられる。4)3)の投与対象者については、チキサゲビマブ/シルガビマブを用いた発症抑制を行うことが望ましいと考えらえる。〔入手方法〕本剤は、安定的な入手が可能になるまでは、一般流通は行われず、厚生労働省が所有した上で、発症抑制としての投与について、対象となる免疫抑制状態にある者が希望した場合には、医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡される。・カシリビマブ/イムデビマブ(同:ロナプリーブ)とソトロビマブ(同:ゼビュディ)の「投与時の注意点」として「1)オミクロン株(B1.1.529系統/BA.2系統、BA.4系統およびBA.5系統) では本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討する」を追記。【免疫調整薬・免疫抑制薬】・シクレソニド(国内未承認薬)の項目を削除。【その他】・その他の抗体治療薬(回復者血漿、高度免疫グロブリン製剤)の項目を削除。・附表1と2の「重症化リスクを有する軽症~中等症IのCOVID-19患者への治療薬の特徴」の内容を更新。・参考文献を52本に整理。 なお、本手引きの詳細は、同学会のサイトなどで入手の上、確認いただきたい。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

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統合失調症患者のメタボリックシンドロームリスクに対する抗精神病薬の影響

 抗精神病薬が統合失調症患者のメタボリックシンドローム(MetS)発症に影響していることが、多くの研究で示唆されている。セルビア・クラグイェバツ大学のAleksandra Koricanac氏らは、抗精神病薬治療を受けている統合失調症患者におけるMetSの発症リスクおよび発症しやすい患者像を明らかにするため、検討を行った。その結果、リスペリドン治療患者およびクロザピン治療患者は、アリピプラゾール治療患者よりも、MetS発症リスクが高い可能性が示唆された。また、リスペリドン治療患者は、健康対照群と比較し、TNF-αとTGF-βの値に統計学的に有意な差が認められた。Frontiers in Psychiatry誌2022年7月25日号の報告。 安定期統合失調症患者60例を対象に、単剤使用の各抗精神病薬に応じて3群(リスペリドン群、クロザピン群、アリピプラゾール群)に分類した。また、健康な被験者20例を対照群とした。最初に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いて評価し、その後プロラクチン値、脂質状態、血糖値、インスリン値、サイトカイン値(IL-33、TGF-β、TNF-α)、C反応性タンパク質(CRP)を測定した。BMI、HOMA指数、ウエスト/ヒップ比(WHR)、血圧も併せて測定した。 主な結果は以下のとおり。・リスペリドン群は、対照群およびアリピプラゾール群と比較し、プロラクチン値に有意な差が認められた。・クロザピン群は、対照群と比較し、HDLコレステロールおよびグルコースのレベルに有意な差が認められた。・アリピプラゾール群は、対照群と比較し、BMIの有意な差が認められた。・統計学的に有意な関連は、リスペリドン群ではTNF-αとグルコースおよびHOMA指数(IL-33とグルコース、TGF-βとグルコース)、クロザピン群ではTNF-αとBMI(IL-33とBMI、TGF-βとインスリンおよびHOMA指数)において認められた。・アリピプラゾール群のTGF-βとLDLコレステロールにおいて、統計学的に有意な負の関連が認められた。

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MTX維持療法中のolokizumab、関節リウマチの改善率は?/NEJM

 メトトレキサート(MTX)による維持療法を受けている関節リウマチ(RA)患者において、インターロイキン-6(IL-6)を直接の標的とするヒト化モノクローナル抗体であるolokizumabを併用すると、12週の時点における米国リウマチ学会基準の20%の改善(ACR20)の達成に関して、プラセボと比較して優越性を示し、ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体アダリムマブに対し非劣性であることが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが実施した「CREDO2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年8月25日号に掲載された。世界209施設の無作為化プラセボ対照・実薬対照第III相試験 CREDO2試験は、RA治療におけるMTXへのolokizumab追加の有効性と安全性の評価を目的とする24週間の二重盲検無作為化プラセボ対照・実薬対照第III相試験であり、2016年5月~2019年11月の期間に、米国、欧州、英国、アジア(韓国、台湾)、中南米の209施設で参加者の登録が行われた(ロシアR-Pharmの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、活動性のRAで、ACR-EULAR分類基準(2010年改訂版)を満たし、12週間以上にわたりMTX(15~25mg/週、この用量で許容されない有害事象がみられる場合は≧10mg/週[韓国は≧7.5mg/週])の効果が不十分で、66関節中腫脹関節が6ヵ所以上、68関節中圧痛関節が6ヵ所以上、C反応性蛋白>6mg/Lの患者であった。 被験者は、24週にわたり、olokizumab(64mg)を2週ごと、同4週ごと、アダリムマブ(40mg)を2週ごと、プラセボを2週ごとに投与する群に、2対2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。全例でMTXの投与が継続された。 主要エンドポイントは、12週の時点におけるACR20(圧痛・腫脹関節数が20%以上減少、他の5つの項目のうち少なくとも3項目で20%以上の改善)の達成とされた。ACR20の達成について、olokizumab群のプラセボ群に対する優越性の評価とともに、olokizumab群のアダリムマブ群に対する非劣性の評価が行われた(非劣性マージンは、群間差の97.5%信頼区間[CI]下限値が-12ポイントとされた)。3割以上で感染症が発現 1,648例(intention-to-treat集団)が登録され、olokizumab 2週ごと投与群に464例、同4週ごと投与群に479例、アダリムマブ群に462例、プラセボ群に243例が割り付けられた。これら4つの群の平均年齢の幅は53.3~54.7歳で、女性の割合の幅は75.9~78.9%であった。1,479例(89.7%)が24週の投与を完遂した。 プラセボ群における12週時のACR20の達成割合は44.4%であった。これに対し、olokizumabの2週群のACR20達成割合は70.3%(プラセボ群との差:25.9ポイント、97.5%CI:17.1~34.1)、同4週群は71.4%(27.0ポイント、18.3~35.2)、アダリムマブ群は66.9%(22.5ポイント、95%CI:14.8~29.8)であり、2つの用量のolokizumab群はいずれも、プラセボ群に比べ有意に優れた(いずれもp<0.001)。 また、12週時のACR20の達成割合に関して、2つの用量のolokizumab群はいずれも、アダリムマブ群との差の97.5%CI下限値が-12ポイントを上回っておらず(olokizumabの2週群:3.4ポイント[97.5%CI:-3.5~10.2]、同4週群:4.5ポイント[-2.2~11.2])、2つのolokizumab群のアダリムマブ群に対する非劣性が示された。 一方、試験薬の1回目の投与以降に、初めて発現または重症度が悪化した有害事象が少なくとも1件認められた患者の割合は全体で68.0%であった(olokizumab 2週群 70.0%、同4週群70.9%、アダリムマブ群65.4%、プラセボ群 63.4%)。最も頻度の高い有害事象は、感染症(鼻咽頭炎、上気道感染症、尿路感染症など)だった(30.2%、34.0%、32.0%、34.6%)。また、試験薬の投与中止の原因となった有害事象は、それぞれ4.5%、6.3%、5.6%、3.7%で、重篤な有害事象は、4.8%、4.2%、5.6%、4.9%で認められた。 olokizumabに対する抗体は、2週群が3.8%、4週群は5.1%で検出された。 著者は、「RA患者におけるolokizumabの有効性と安全性を明らかにするには、より大規模で長期の試験が求められる」としている。

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第115回 感染症法改正、病床確保拒否する病院に罰則を/内閣府

<先週の動き>1.感染症法改正、病床確保拒否する病院に罰則を/内閣府2.オミクロン株対応の新ワクチン、今月中に接種開始へ/厚労省3.病院のかかりつけ医機能は中小病院が中心に/日本病院会4.日本ようやく「結核低まん延国」に/厚労省5.世界初の高血圧の治療アプリが保険適用に/厚労省6.介護保険の給付が10兆円越え、高齢化で過去最高に/厚労省1.感染症法改正、病床確保拒否する病院に罰則を/内閣府岸田内閣は、9月2日に新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた、次の感染症危機に備えるための具体策をまとめた。この中で、感染症法の改正を行い、感染症発生・まん延時に備えて、都道府県に対してあらかじめ、各医療機関と具体的な役割・対応について協定を締結しておくことを求める。さらに、公立・公的医療機関などや特定機能病院・地域医療支援病院に対しては、感染症発生時に担うべき医療の提供を義務付け、応じない場合は罰則を盛り込む方針を明らかにした。また、次の感染症危機に対して、政府の司令塔機能の強化するため、司令塔機能を担う組織として「内閣感染症危機管理統括庁(仮称)」を設置を盛り込んだ法案をこの秋の臨時国会に改正案を提出し、次年度の設立を目指す。(参考)第97回 新型コロナウイルス感染症対策本部(首相官邸)政府が新たな感染症対策 医療機関に罰則、23年度中に司令塔組織(毎日新聞)政府、病床確保拒否に罰則 5年度に司令塔組織創設(産経新聞)大病院の病床確保へ法改正 実効性に課題(日経新聞)2.オミクロン株対応の新ワクチン、今月中に接種開始へ/厚労省厚生労働省は9月2日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論で、オミクロン株対応ワクチン接種については、接種時期や接種対象者についての方針を取りまとめた。政府はすでにオミクロン株対応ワクチンの輸入を一部前倒しして開始しており、薬事承認を経て、9月中旬開催予定の分科会において、オミクロン株対応ワクチンの接種を特例臨時接種として諮問し、オミクロン株対応ワクチン接種を開始するとしている。各自治体に対しては、接種の準備を行い、開始時期は令和4年10月半ばを目途としているが、準備ができ次第開始する。また、現在、高齢者、重症化リスクの高い人や医療従事者など4回目接種の対象者に対して行なっている従来のワクチン接種について、2価のオミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)へ切り替えも早期に行うこととした。(参考)第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(厚労省)オミクロン株に対応した新型コロナワクチンの接種体制確保について(その3)(事務連絡)新ワクチン、今月半ばにも オミクロン対応、高齢者などから(東京新聞)オミクロン株対応ワクチン、今月半ばに配送開始…高齢者ら優先で接種(読売新聞)改良ワクチン3,000万回分 オミクロン型対応 19日ごろから配送(日経新聞)3.病院のかかりつけ医機能は中小病院が中心に/日本病院会日本病院会の相澤孝夫会長は、8月29日の記者会見で「かかりつけ医機能」について、「医師個人の機能ではなく、医療機関としての機能であるとして、かかりつけ医機能を推進する病院として『地域を支えていく中小規模病院』の機能を充実・強化が必要である」と見解を述べた。具体的な機能としたのは、地域の医療機関などとの連携や在宅医療支援、介護などとの連携について示した。日本病院会では、病院のかかりつけ医機能の在り方にさらに議論を進め、厚生労働省の「第8次医療計画等に関する検討会」に見解を示す見込み。(参考)病院のかかりつけ医機能、「中小規模病院」を中心に 日病が方向性(MEDIFAX)「かかりつけ医機能」、急病対応や総合診療などが最重要要素で、中小病院で充実していくべき-日病・相澤会長(Gem Med)4.日本ようやく「結核低まん延国」に/厚労省厚生労働省は、8月30日に2021年の結核登録者情報調査年報集計結果を公表した。これによると、わが国の2021年の結核罹患率(人口10万対)について、前年と比較して0.9減少し、人口10万人あたりの活動性結核患者の発生数が10人未満の結核の低まん延国となったことが明らかとなった。わが国は過去に結核が蔓延した影響があり、結核患者の高齢化はますます進行し、新登録結核患者のうち70歳以上が占める割合は63.5%と高く、引き続き対策が求められる。(参考)2021年 結核登録者情報調査年報集計結果について(厚労省)2021(令和3)年結核年報速報(疫学情報センター)日本、結核「低まん延国」に…人口10万人あたりの患者数が初めて10人を下回る(読売新聞)国内結核患者 過去最少「結核低まん延国」に コロナ対策影響か(NHK)5.世界初の高血圧の治療アプリが保険適用に/厚労省CureApp社は、禁煙補助に続いて、世界初の高血圧治療補助アプリ「CureAppHT」を9月1日に「成人の本態性高血圧症の治療補助」で保険適用されたことを受け、即日発売した。高血圧患者の行動変容を促し、生活習慣の改善による降圧効果を図るとする医療機器として認められた。6ヵ月を限度に毎月830点(初月のみ計970点)を算定するためには200床未満の医療機関では、地域包括診療料、地域包括診療加算、高血圧症を主病とする生活習慣病管理料のいずれかの算定実績が要件とされている。一方、200床以上の医療機関では、日本高血圧学会の定める「高血圧認定研修施設」であり、かつ22年度診療報酬改定で新設された「紹介受診重点医療機関」であることが要件とされた。(参考)CureAppが高血圧の治療用アプリを承認申請、薬なしで12週後の降圧効果を確認(日経クロステック)CureApp 高血圧治療補助アプリが保険適用、即日発売 生活習慣修正をトータルサポート(ミクスオンライン)中医協総会 CureAppの高血圧治療補助アプリは「新規技術料」で評価 使用実態のフォローアップを(同)6.介護保険の給付が10兆円越え、高齢化で過去最高に/厚労省厚生労働省は、令和2年度の介護保険事業状況報告の年報を8月31日に公表した。これによると、令和2年度の保険給付関係の累計の総数は、件数1億6,303万件、費用総額10兆7,247億円と過去最高となったことが明らかになった。給付費の内訳は、居宅介護(介護予防)サービス4兆7,872億円、地域密着型介護(介護予防)サービス1兆6,459億円、施設介護サービス3兆1,629億円となっており、要介護・要支援認定者数は、令和2年度末現在で682万人と前年度より13万人増加している。介護保険の給付費は過去20年間で3倍以上の増加となっており、今後はさらに団塊の世代が75歳以上となることで、介護費の増加は加速するとみられる。(参考)令和2年度 介護保険事業状況報告(厚労省)介護給付、初めて10兆円超え 20年度、高齢化で過去最高(共同通信)介護給付費、初の10兆円超え 20年度 20年間で3倍超、厚労省(CB news)要介護・要支援認定は過去最多の682万人 厚労省が20年度の年報公表、前年度比13万人増(同)

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インフルエンザと新型コロナ:動脈血栓の視点ではどっちが怖い?(解説:後藤信哉氏)

 新型コロナウイルス感染症の特徴として、深部静脈血栓症・肺塞栓症などの静脈血栓症リスクの増加が注目された。静脈血栓症リスクは、新型コロナウイルス以外の感染症でもICU入院例では高かった。インフルエンザなど他のウイルス感染と比較して、新型コロナウイルスにはACE-2受容体を介して血管内皮細胞に感染するとの特徴があった。血管内皮細胞は血管内の血栓予防にて死活的に重要な役割を演じている。新型コロナウイルス感染により血管内皮細胞の機能が障害されれば、微小循環の過程にて血小板、白血球が活性化し全身循環する血液の血栓性は亢進する。静脈血栓症以外に、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈血栓リスクも新型コロナウイルス感染後に増加すると想定された。また、新型コロナウイルス感染症例の心筋梗塞、脳梗塞リスクの増加を示唆する論文も多数出版されている。 本研究は米国の健康保険のデータベースの後ろ向き解析である。新型コロナウイルス感染症にて入院した症例の静脈血栓、動脈血栓リスクは高いが、われわれに十分な経験のあるインフルエンザの入院例との比較において動脈、静脈血栓リスクを評価したのが本研究の新規性である。また、新型コロナウイルスのワクチン接種のインパクトの評価も志向している。もっとも、本研究は重症の入院例に限局しているので、ワクチンの血栓イベントに及ぼす効果は評価できないことを理解する必要がある。 ワクチン普及後でも、新型コロナウイルス感染症による入院後90日以内の動脈血栓イベント発症率は16.3%(95%CI:16.0%~16.6%)と高い。新型コロナは恐ろしい。しかし、インフルエンザでも入院例では90日以内に14.4%(95%CI:13.6%~15.2%)が動脈血栓を発症している。新型コロナは恐ろしいが、インフルエンザも怖い。動脈血栓イベントリスクは年齢に依存している。高齢者であれば、新型コロナであろうとインフルエンザであろうと入院後の動脈血栓イベントには注意が必要である。本研究では血管内皮細胞への感染を特徴とする新型コロナウイルスの血栓性亢進は静脈血栓のみにて確認された。米国の保険医療データベースのラフな解析の結果である。英国などの精緻なデータが待たれる。 時に、現在まで日本は全数把握を行政が主導してきた。全数把握しながら、日本のデータベースから新型コロナウイルスに関する科学的情報の発表は乏しい。労力をかけて情報を収集するのであれば、科学的情報を発信できる情報にしなければならない。厚労省に論文出版課などができれば科学的情報解析に目が向くだろうか?

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線画編:デジタル機能を駆使して細かな線を簡単に~腹腔鏡下下行結腸切除術~【誰も教えてくれない手術記録 】第18回

第18回 線画編:デジタル機能を駆使して細かな線を簡単に~腹腔鏡下下行結腸切除術~こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。前回の記事では、腹腔鏡下下行結腸切除術を題材にして、手術イラストを描く際にとても重要となる下書きのポイントを紹介しました。今回は次のステップである「線画作成」に進んでみましょう。デジタルツールの特性を活かす!読者の皆さんは、iPadなどのデジタルデバイスを用いてイラストを描くことが多いと思います。過去の記事でも紹介しましたが、デジタルツールには、層に分けてイラストを完成させていく「レイヤー機能」があります。複雑なイラストを描く際に非常に有用な機能なのでぜひ活用してくださいね。始めに描いた下書きのレイヤーとは別に新たなレイヤーを作成し、そこに線画を清書していきます。ポイントは、下書きのレイヤーの「不透明度」を下げておくことです。これにより下書きと線画の描画が区別されるので、線画がグンと描きやすくなります。画像を拡大する不透明度の調整使用するペンには好みやこだわりがあると思いますが、今回作成したイラストは「モノライン」というペンを用いて描いています。他には「製図ペン」「スタジオペン」などもおすすめです。下書きを元にどんどん線画を描き進めていきましょう。しかし、描き込んでいくうちに、血管や神経、膜の癒着など細かな線が必要となり、行き詰まってしまう場面もあると思います。そのようなときは「拡大機能」を活用しましょう。アナログ的に紙に描く場合と異なり、デジタルツールであれば容易に拡大することができるため、精緻なイラストが誰でも描けるようになります。デジタルならではの拡大機能また、鉗子などの手術器具のように直線を描く必要がある場合、デジタルツールに備わっている「オートシェイプ」の機能を活用するといいですよ。ゆがんだ線を自動で直線化したり、きれいなカーブに整えたりできます。僕が使用しているアプリケーションでは、線を引いた後にペンを離さずに固定しておくと、オートシェイプされるように設定しています。(左)オートシェイプ前、(右)オートシェイプ後壁にぶち当たった箇所こそこだわって描く!線画を描き進めるうちに、「ここはどうやって描けばいいのだろう…?」と手が止まる瞬間があると思います。うまく描けないところは、自身の中で視野や解剖構造のイメージが十分でない場所であり、どこよりもこだわって描くべきところです。手術書や自身の手術ビデオを振り返り、課題を突き詰めていきましょう。手術記録は手術がうまくなるために描くものですから、曖昧な線でごまかしていては意味がありません。線画をどこまで描き込むかは好みによると思いますが、僕は各臓器と血管構造、あとは臓器間のつながりや膜構造が示せていれば十分だと思っています。より精緻なイラストを描くことも可能かもしれませんが、日々仕事に追われる中ではなかなかそんな凝ったイラストを描く時間はありませんよね。今回提示したイラスト程度が描けていれば十分ではないでしょうか。完成した線画(それぞれ20分ほどで作成)まとめ線画のポイント:1.レイヤー、拡大、オートシェイプなどのデジタルツール特有の機能を活用する!2.うまく描けない場所は手術書や手術ビデオを振り返る!3.臓器の位置関係や膜構造を十分に示す!デジタルツールの機能を活かして、比較的簡単に整った線画を描くことができました。満足がいく形で線画を書き終えると、「これで完成でもいいかな…」と思ってしまいがちですが、やはりモノクロよりカラーのほうがより伝わるイラストになります。手術内容を正確に伝えることも手術イラストの目的の1つですから、できるだけカラーで仕上げるようにしましょう。次回はイラストのカラー化(着色)について深掘りしていきたいと思います。ではまた!

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サル痘患者に遭遇する前に…押さえておきたい鑑別方法とワクチン接種の注意点

 国内でも症例がじわじわと増えているサル痘。皮膚病変だけではなく、扁桃炎や口腔病変が報告され、ペットからの感染リスクも出てきているというから、医療者はいつ自分が感染者対応に追われるかわからない。そんな時のためにもサル痘やそのワクチンの知識を蓄えておく必要がありそうだ。8月2日にはKMバイオロジク社の天然痘(痘そう)ワクチンLC16「KMB」にサル痘の効能追加が承認され、順次、感染リスクの高い医療者への接種が見込まれる。しかしこのワクチン、添付文書の用法・用量を見てみると“二叉針を用いた多刺法により皮膚に接種”となかなか特徴的である。 そこで今回、氏家 無限氏(国立国際医療研究センター/国際感染症センター トラベルクリニック医長・予防接種支援センター長)に協力いただき、同氏の所属施設が医療者向けに提供する動画「天然痘ワクチンガイド」とその補足情報についてお届けする。◆参考◆ 添付文書だけではわからない!?サル痘ワクチンの打ち方――― ―接種対象者は誰ですか? 厚生労働省の資料にも挙げられていますが、とくに泌尿器科、救急部門、皮膚科、眼科、性感染症を扱うクリニックの方が対象になるでしょう。また、患者検体を扱う臨床検査技師や保健所の方も該当すると考えます。―過去に接種経験があっても接種するべきでしょうか? 痘そうワクチンは1976年に定期接種が廃止されているので、1975年以前に生まれている方は接種経験があります。しかし、今回サル痘に効能追加が承認されたLC16ワクチンは当時打っていたワクチンとは異なります。また、海外ではハイリスク者には定期的な接種が推奨されています。加えて、今回の流行における感染者には接種歴のある方も一定数いるので、適応があれば、接種を受けることが望ましいだろうと思います。―接種方法と注意すべきポイントはなんですか。 サル痘の効能追加に伴い、LC16ワクチンの添付文書の用法・用量や妊婦、産婦、授乳婦等への接種の項などが改訂されたのでここは注意が必要です。痘そう予防の時の接種方法は「初種痘で5回、その他の種痘で10回」の記載でしたが、現在は「通常、専用の二叉針を用いて15回を目安」となっています[添付文書の6.接種時の注意(4)を参照]。また、妊娠している方に接種を行わないことが明記されました。―接種後は免疫獲得の指標となる「善感反応」を確認するそうですが、これについて教えてください。 善感反応とは、種の跡がはっきりと付いて免疫が獲得されたことを示す状態(接種部位の膿疱、硬結、痂疲などの局所反応が確認できた状態)1)のことで、接種10~14日後にその反応を確認します。見た目は米国・CDC(疾病予防管理センター)のホームページに具体例が提示してあるので参考にしてください。この反応の出方も個体差が大きく、ひとつの模範例を示すのはなかなか難しいです。また、接種部位には弱毒化されたワクチンのウイルスが存在しているので、触らないようにしてください。データは乏しいですが、完全に皮膚が良くなるまでは注意が必要だと思います。―副反応はどんなものが挙げられますか。男女差はありますか? 主な副反応として、過去の臨床研究2)では接種側の腋窩リンパ節腫脹が10~20%、37.5℃以上の発熱が1~3%程度報告されています。また、一般に安全性評価の臨床研究において女性のほうが副反応を報告しやすい傾向がありますが、重篤な副反応での明らかな性差は報告されていません。―――疑わないと診断できず、診断できないと感染対策につながらない このほか、氏家氏はサル痘が4類感染症に位置付けられていることや世界情勢を踏まえ、各医療者に向けて以下について強調した。 「サル痘は4類感染症のため感染症指定医療機関のみが診療するものではなく、さまざまな症状(皮膚病変、口腔病変、眼病変など)を有することから種々の鑑別疾患が挙げられ、誰もが診る可能性のある疾患だ。現在は海外での男性同士の性的接触が感染拡大の主な原因だが、感染がさらに広がると海外渡航歴がないなど典型的ではない患者が診断されることも想定される。そのため、感染症の非専門医であっても、今回の流行で報告されている症状や感染経路(性交渉などに伴う接触感染など)、世界の感染者数増加を踏まえ、鑑別疾患に挙がる疾患(水痘、梅毒など)3)4)が典型的な経過ではない場合では、ほかの疫学情報(性別、年齢、性交渉歴など)と併せて、サル痘を疑う目を持つことが重要である。“疑わないと診断できず診断できないと感染対策につながらない”という問題を起さないためにも、社会的に感染状況を評価するためにも、常に情報を更新しながら適切な診療にあたってほしい」サル痘は4類感染症、ただちに届出を サル痘を診断あるいは検体した場合には感染症法に従い、ただちに最寄りの保健所へ届出を行う必要がある。厚生労働省は「サル痘への対応」通知において、疑い例及び接触者に関する暫定症例定義を以下のように示している。1)「疑い例」の定義:原則、下記の[1]~[2]全てを満たす者とするが、臨床的にサル痘を疑うに足るとして主治医が判断をした場合については、この限りではない。[1]少なくとも次の1つ以上の症状を呈している。・説明困難*1な急性発疹(皮疹又は粘膜疹)*1:水痘、風疹、梅毒、伝染性軟属腫、アレルギー反応、その他の急性発疹及び皮膚病変を呈する疾患によるものとして説明が困難であることをいう。ただし、これらの疾患が検査により否定されていることは必須ではない。・発熱(38.5℃以上) ・頭痛 ・背中の痛み ・重度の脱力感 ・リンパ節腫脹・筋肉痛 ・倦怠感 ・咽頭痛 ・肛門直腸痛 ・その他の皮膚粘膜病変[2]次のいずれかに該当する。・発症21日以内にサル痘常在国やサル痘症例が報告されている国に滞在歴があった。・発症21日以内にサル痘常在国やサル痘症例が報告されている国に滞在歴がある者と接触があった。・発症21日以内にサル痘の患者又は[1]及び[2]を満たす者との接触があった。・発症21日以内に複数または不特定の者と性的接触があった。・臨床的にサル痘を疑うに足るとして主治医が判断をした。感染状況を患者に聞かれたら… 9月1日現在、WHO5)がまとめた報告によると、世界で5万496例が確定、301例が可能性ありと報告され、死亡は16例にのぼる。男性同性愛者を除いた感染経路を見ても半数以上が性的接触によるもので、医療従事者の感染もほとんどが地域社会で院内感染は少ないと記されている。 これらの報告を踏まえ、患者に感染力や感染経路について聞かれた場合の説明について「麻疹などの感染症のように必要以上に日常生活での感染を恐れる必要はない。法律上でも行動範囲の規制があるわけではなく、性交渉による接触感染を筆頭に考えられ得る感染経路(性感染症、飛沫感染、エアロゾル感染など)は多々あるものの、新型コロナウイルスでも実施している、密接を避ける、手洗いをする、換気を行うといった基本的な感染対策をしていれば、感染リスクは低い」と述べた。参考1)国際医療研究センター病院:天然痘(痘そう)ワクチンについて2)Saito Tomoya, et al. JAMA. 2009;301:1025-1033.3)国立国際医療研究センター 国際感染症センター:感染症対策支援サービス4)国立感染症研究所:令和4年度緊急企画サル痘研修会(令和4年7月29日開催)5)WHO:Emergency situation reports厚生労働省:サル痘厚生労働省事務連絡:サル痘に関する情報提供及び協力依頼について

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標準治療に不応または不耐のGISTにHSP90阻害薬ピミテスピブ発売/大鵬

 大鵬薬品工業は2022年8月30日、経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害薬ピミテスピブ(製品名:ジェセリ)を発売したと発表した。 ピミテスピブは大鵬薬品が創製した化合物で、HSP90を阻害することによりがんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示す。 今回の承認は標準治療薬に不応または不耐と判断されたGIST患者において、同剤とプラセボを比較した無作為化二重盲検第III相臨床試験(CHAPTER-GIST-301試験)の結果に基づいたもの。2022年6月に同適応症で製造販売承認を取得していた。

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人工関節置換術後のVTE予防、アスピリンvs.エノキサパリン/JAMA

 股関節または膝関節の変形性関節症で人工関節置換術を受けた患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の予防では、アスピリンはエノキサパリンと比較して、90日以内の症候性VTEの発現率が統計学的に有意に高く、死亡や大出血、再入院、再手術の頻度には差がないことが、オーストラリア・インガム応用医学研究所のVerinder S. Sidhu氏らが実施した「CRISTAL試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年8月23日号に掲載された。オーストラリアのレジストリ内クラスター無作為化非劣性試験 CRISTAL試験は、人工股関節置換術(THA)および人工膝関節置換術(TKA)に伴うVTEの予防における、アスピリンのエノキサパリン(低分子量ヘパリン)に対する非劣性の検証を目的とするレジストリ内クラスター無作為化クロスオーバー試験であり、2019年4月~2020年12月の期間に、オーストラリアの31の病院で参加者の登録が行われた(オーストラリア連邦政府の助成を受けた)。 クラスターは、参加施設募集の前年に年間250件以上のTHAまたはTKAを行っている病院とされた。対象は、年齢18歳以上で、試験参加施設でTHAまたはTKAを受けた患者であった。術前に抗凝固薬の投与を受けた患者や、試験薬が禁忌の患者は除外された。 試験参加施設は、THA施行後は35日間、TKA施行後は14日間、アスピリン(100mg/日、経口投与)またはエノキサパリン(40mg/日、皮下投与)の投与を行う群に無作為に割り付けられた。また、試験参加施設は、無作為割り付けされた薬剤群で目標登録患者数が達成された時点で、試験薬をクロスオーバーするよう求められた。 主要アウトカムは、術後90日以内の症候性VTE(肺塞栓症[PE]、膝下または膝上の深部静脈血栓症[DVT])であり、非劣性マージンは1%とされた。副次アウトカムは、90日以内の死亡や大出血など6項目が設定された。解析は、クロスオーバー前の無作為化された薬剤群で行われた。 本試験は、2回目の中間解析(2020年12月)で停止規則が満たされたため、データ安全性監視委員会により患者の登録の中止が勧告され、早期中止となった。膝下DVTがアスピリン群で有意に多い 本試験の当初の目標登録患者数は1万5,562例(各群251例ずつ×31施設)で、9,711例(62%)(年齢中央値68歳、女性56.8%)が登録された時点で中止となった。このうち9,203例(95%)が試験を完遂した。アスピリン群に5,675例、エノキサパリン群に4,036例が割り付けられた。 術後90日以内に、256例で症候性VTEが発現し、PEが79例、膝上のDVTが18例、膝下のDVTは174例で認められた。 90日以内の症候性VTE発現率は、アスピリン群が3.45%(187/5,416例)、エノキサパリン群は1.82%(69/3,787例)であり(推定群間差:1.97%、95%信頼区間[CI]:0.54~3.41)、アスピリン群の非劣性基準は満たされず、エノキサパリン群で統計学的に有意な優越性が示された(p=0.007)。 主要アウトカムの構成要件のうち、90日以内のPE、PEとDVTの双方、膝上のDVTの発現には有意差はなかったが、全DVT(p=0.003)と膝下のDVT(p=0.004)がエノキサパリン群で有意に少なかった。 また、副次アウトカムである90日以内の死亡、大出血、再入院、再手術、6ヵ月以内の再手術、薬剤アドヒアランスには、両群間に有意な差は認められなかった。 著者は、「最近のVTE予防に関する国際的なコンセンサス会議のガイドラインでは、アスピリンの使用が強く推奨されているが、これは症候性VTEと無症候性VTEを区別していない後ろ向き観察研究を多く含むネットワークメタ解析に基づいている」と指摘し、「これらの結果の解釈では、両群間のVTE発生の差は主に膝下のDVTの差によるもので、膝下DVTは膝上DVTやPEに比べ臨床的な重要性が低いことから、今回の知見の臨床的重要性は明確ではない」としている。

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再発性多発性硬化症の再発率をublituximabが低減/NEJM

 再発性多発性硬化症の治療において、抗CD20モノクローナル抗体ublituximabはピリミジン合成阻害薬teriflunomideと比較して、96週の期間における年間再発率を低下させ、MRI上の脳病変を減少させる一方で、障害の悪化リスクを抑制せず、インフュージョンリアクションを増加させることが、米国・スタンフォード大学のLawrence Steinman氏らが実施した「ULTIMATE I/II試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年8月25日号で報告された。10ヵ国の無作為化実薬対照第III相試験 ULTIMATE I/II試験は、再発性多発性硬化症患者におけるublituximabの有効性と安全性を、teriflunomideとの比較において評価することを目的とする、同一デザインの2つの二重盲検ダブルダミー無作為化実薬対照第III相試験であり、2017年9月~2018年10月の期間に、10ヵ国の104の施設で参加者の登録が行われた(米国・TG Therapeuticsの助成による)。 対象は、年齢18~55歳、再発性多発性硬化症(McDonald診断基準[2010年改訂版]を満たす)と診断され、過去2年間に少なくとも2回の再発がみられるか、スクリーニングの前年に1回の再発またはMRI検査で少なくとも1つのガドリニウム増強病変(あるいはこれら双方)が認められ、脳MRIで多発性硬化症に一致する異常所見が確認された患者であった。 被験者は、ublituximabの静脈内投与(1日目に150mg、それ以降は15日、24週、48週、72週目に450mg)とプラセボの経口投与を受ける群、またはteriflunomideの経口投与(14mg、1日1回、95週目の最終日まで)とプラセボの静脈内投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは多発性硬化症の年率換算の再発率とされ、1人年当たりの確定再発数と定義された。階層的に順序付けされた6項目の副次エンドポイントが設定された。約半数でインフュージョンリアクションが発現 ULTIMATE I試験に549例(ublituximab群274例、teriflunomide群275例)、ULTIMATE II試験に545例(272例、273例)が登録された。modified intention-to-treat集団における4つの群の平均年齢の幅は34.5~37.0歳で、女性の割合の幅は61.3~65.4%であった。追跡期間中央値は95週だった。 年間再発率は、ULTIMATE I試験ではublituximab群が0.08、teriflunomide群は0.19(率比:0.41、95%信頼区間[CI]:0.27~0.62、p<0.001)、ULTIMATE II試験ではそれぞれ0.09および0.18(0.51、0.33~0.78、p=0.002)であり、両試験ともublituximab群で有意に低かった。 ガドリニウム増強病変数の平均値は、ULTIMATE I試験ではublituximab群が0.02、teriflunomide群は0.49(率比:0.03、95%CI:0.02~0.06、p<0.001)、ULTIMATE II試験ではそれぞれ0.01および0.25(0.04、0.02~0.06、p<0.001)であり、いずれの試験でもublituximab群で有意に少なかった。 2つの試験の統合解析では、12週の時点での障害の悪化の割合は、ublituximab群が5.2%、teriflunomide群は5.9%(ハザード比[HR]:0.84、95%CI:0.50~1.41、p=0.51)、24週時はそれぞれ3.3%および4.8%(0.66、0.36~1.21)であり、いずれも両群間に有意な差は認められなかった。 有害事象の統合解析では、ublituximab群の89.2%、teriflunomide群の91.4%で少なくとも1件の有害事象が発現し、Grade3以上の有害事象はそれぞれ21.3%および14.1%で認められた。 最も頻度の高い有害事象は、ublituximab群がインフュージョンリアクション(47.7%)で、次いで頭痛(34.3%)、鼻咽頭炎(18.3%)、発熱(13.9%)、悪心(10.6%)の順であり、teriflunomide群は頭痛(26.6%)、鼻咽頭炎(17.9%)、脱毛(15.3%)、インフュージョンリアクション(12.2%)、下痢(10.6%)の順であった。重篤な有害事象はそれぞれ10.8%および7.3%で、重篤な感染症は5.0%および2.9%で発現し、いずれもublituximab群で多かった。 著者は、「2つの試験とも、teriflunomideの先行研究に比べ障害の悪化の割合が低かったが、これは両試験の2つの群とも年率に換算した再発率が低かったため、再発に伴う障害の悪化の割合が低くなったことが原因の可能性がある」と指摘し、「既存の抗CD20モノクローナル抗体などの疾患修飾薬による治療との比較を含め、再発性多発性硬化症におけるublituximabの有効性と安全性を明らかにするために、より大規模で長期の試験が求められる」としている。

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COVID-19パンデミック中のスマホ依存症とその後の自殺リスク

 COVID-19パンデミックによるロックダウン中、青少年のスマートフォン依存症や自殺率の増加が認められた。しかし、スマートフォン依存症と自殺リスクとの関係、その根底にある心理的メカニズムについてはよくわかっていない。中国・四川大学のGangqin Li氏らは、ロックダウンの最初の1ヵ月間における青少年のスマートフォン依存症と、その後5ヵ月間の自殺リスクとの関連を評価した。その結果、スマートフォン依存症の青少年における自殺リスクを減少するためには、日中の眠気や抑うつ症状の改善を目的とした介入プログラムがとくに有用である可能性が示唆された。BMC Public Health誌2022年8月12日号の報告。 中国の高等学校の生徒1,609人を対象に、Webベースの短期縦断調査を実施した。第1段階(T1)の調査では、2020年2月24日~28日(パンデミックのピーク時)に中国・四川省で、スマートフォン依存症の重症度および基本的な人口統計学的データを収集した。第2段階(T2)の調査では、T1の5ヵ月後に当たる7月11日~23日に、過去5ヵ月間のスマートフォン依存症、日中の眠気、抑うつ症状、自殺傾向を測定した。 主な結果は以下のとおり。・回帰分析により、隔離期間中のスマートフォン依存症は、抑うつ症状や日中の眠気で調整した後においても、その後5ヵ月間の自殺傾向の直接的な予測因子であることが明らかとなった。・一方、T1でのスマートフォン依存症は、T2での自殺傾向も間接的に予測し、抑うつ症状や日中の眠気はこの関連性を仲介していた。

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世界初の高血圧治療補助アプリが保険適用/CureApp

 CureAppの開発した治療アプリ「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」が2022年9月1日に保険適用された。高血圧領域での治療アプリの保険適用は世界初。保険診療において、治療アプリ・血圧測定・医師の指導による「三位一体の6ヵ月指導プログラム」の処方・提供が可能となり、患者ごとに行動変容を促して生活習慣を修正することが期待されている。 本アプリを用いた治療の流れは、まず医師が診察においてアプリ利用の合意を得て処方コードを発行し、患者がアプリをインストール・セットアップすることから始まる。通院と通院の間は行動目標の実践や家庭血圧などの記録をアプリがサポートし、医師はその記録情報をもとに治療の継続や見直しを行う。アプリと血圧計はBluetooth接続され、情報が医師と共有される。 患者の自己負担額は、3割負担の場合で月々2,490円(初回のみ2,910円)で、初診・再診料などの他の診察費用は別途必要となる。保険算定・初回使用日の属する月B100 禁煙治療補助システム指導管理加算を準用して算定 140点C150 血糖自己測定器加算(「4」月60回以上測定する場合)を準用して算定 830点・2ヵ月目~6ヵ月目C150 血糖自己測定器加算(「4」月60回以上測定する場合)を準用して算定 830点(月1回に限り算定)なお、前回算定日から、平均して7日間のうち5日以上血圧値がアプリに入力されている場合のみ算定することができる。

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高層マンションの心停止は生存率が低い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第217回

高層マンションの心停止は生存率が低いいらすとやより使用医師の中には高層マンションに住んでいる人も多いと思いますが、25階以上に住んでいる人はちょっと要注意です。そんな話をご紹介しましょう。Han MX, et al.Cardiac Arrest Occurring in High-Rise Buildings: A Scoping Review.J Clin Med . 2021 Oct 13;10(20):4684.高層ビルで発生した院外心停止(OHCA)は、結構問題です。そもそも閉鎖空間であり人手が集まりにくいこと、そして救急搬送が難しいことがしばしばあるためです。最近は広いエレベーターも多いですが、救急隊のストレッチャーを入れるのにエレベーターのトランクルームを開けないといけない高層ビルもまだまだ多いです。マンションやビルのエレベーターには、急病人をストレッチャーに乗せて運搬できるよう、エレベーター内にトランクルームが設置してあります。一見わからないことが多いですが、壁にマットが貼り付けてあったり、鏡が観音開きになる仕様になっています。搬送に時間がかかってしまうことから、高層マンションに住む場合、よくよく検討しましょう。高層階が低層階よりも搬送に時間がかかることはすでに報告されています1)。今回の研究は、高層ビルにおけるOHCAに関する文献を収集したもので、23件がレビューされました。4件の研究では、循環動態の回復率が有意に低く、7件の研究では、退院までの生存率(n=3)および神経学的に良好な生存率(n=4)が、高層階で有意に低くなっていることが明らかにされています。ダメじゃん、怖いじゃん!OHCA7,842例を扱った大規模な研究1)では、5,998例(76.5%)が3階以下、1,844例(23.5%)が3階以上で、たったこの階層差だけでも低層階のほうが生存率は高かったと報告されています(4.2% vs.2.6%、p=0.002)。階を重ねるごとに生存率は低下し、16階以上で0.9%、25階以上でなんと0%と報告されています。25階以上に住んではいけないのか…ガクブル。この論文では、高層階におけるOHCAのアプローチとして、AEDの設置台数を増やしたり、機械的な胸部圧迫装置を常備したりするなどの策が提案されています。1)Drennan IR, et al. Out-of-hospital cardiac arrest in high-rise buildings: delays to patient care and effect on survival. CMAJ. 2016 Apr 5;188(6):413-419.

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第124回 全数把握見直し、流れ弾に当たるのは肥満の自覚がない自宅療養者

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、保健所や医療機関の負担増になっていたと言われる全数把握の見直しが31日にスタートした。今回の措置は厚生労働省がわざわざ「緊急避難措置」と銘打っているが、申し出を行った都道府県では新型コロナ発生届を簡略化できる。具体的には、全数把握から患者発生届義務の対象者を▽65歳以上▽入院を要する▽重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与が必要▽重症化リスクがあり、罹患により新たに酸素投与が必要▽妊婦、の範囲に限定する。9月2日からのスタート第1陣に名乗りを上げたのは宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県。各地で不満がたまっていただろうと思われたわりには、手を挙げた自治体は思いのほか少なかった。さて今回の緊急避難措置に関する厚生労働省の事務連絡通知を眺めてみると、やはり急ごしらえである感は否めない。たとえば新制度に切り替えた都道府県では、前述のように発生届対象は限定されるが、対象外を含めた毎日の患者総数と年代別の内訳はなるべく把握するよう求められている。この点について事務連絡通知では以下のような記述がある。「医療機関が紙又はExcelで作成し、FAX又はメールで提出を求めることが想定される。ただし、報告様式や提出方法についてはこれに限るものではなく、都道府県において工夫し、より効率的な方法で行っていただくことは差し支えない。この際、都道府県が医療機関から直接報告を受ける等、効率的な運用を工夫いただきたい」もちろん、従来の全患者を把握するために厚生労働省が開発した「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(My HER-SYS)」への入力に比べれば、対象を限定し、それ以外は総数と年代別内訳を報告すれば良いという新制度で医療機関の負荷は改善されるだろう。しかし、HER-SYSと総数報告の2ルートでの報告が必要になるわけで、それ相当に現場は混乱するだろう。しかもこれを「都道府県が医療機関から直接報告を受ける等」となると、都道府県側は紙ベース、電子ベース、あるいはその混合の膨大なデータを集計することになり、事務方で汗水を流す作業が発生することになる。それを避けるためには都道府県が独自の電子集計システムを構築し、それを各医療機関に公開して入力してもらうという手が考えられる。しかし、そのためには予算確保と実際のシステム構築、運用テストが必要であり、一朝一夕に対応できるものではない。実際にシステムが運用できる段階になったとしても医療機関への周知徹底はこれまた大変な作業である。現在、都道府県単位でみると最も医療機関数が少ない鳥取県ですら984施設もある。もちろん各地域の医師会などを通じればやや効率的だが、それでも医療機関数が1万施設を超える首都圏や近畿圏の各自治体となると、かなり労力を割かねばならなくなる。この辺が今のところ手を挙げたのが4県にとどまる1つの理由かもしれない。そしてこの新たな発生届の対象でもやや面倒が生じる可能性がある。その代表例が報告対象となる「重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与が必要」という基準だ。通知では「新型コロナ治療薬」の範囲も厚生労働省作成の「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」に記載された治療薬がすべて網羅されており、文言上は至極まっとうだ。しかし、昨年のデルタ株による第5波で自宅療養者が増えた際にかなり問題となったのが、「隠れ重症化リスク」とでもいうべき肥満者の存在である。保健所のフォローアップ中に若年で重症化リスクはないと思われていたものの、実際に容体が急変して医師が駆け付けると肥満者で、血液検査を実施すると血糖値も高く、医療機関を受診したこともなかったので本人も気づいていなかったというケースだ。血糖値が高ければ、当然ながら緊急避難的なステロイド薬も使いにくい。一応、これまでの新型コロナワクチン接種の初回優先接種対象者や4回目接種対象者で「BMI 30以上」と規定はあるものの、そもそも一般人の多くは日常的に自分のBMIを計算しているわけではない。そのため自分が該当者と自覚していない人がそれなりに存在すると考えられる。というか、薄々気づいていても認めたくない人も少なくないだろう。医療従事者も「あなたは肥満ですか?」とは尋ねにくいケースも少なからず想定される。いずれにせよ、この部分は新制度では抜け落ちる危険性がある。そして都道府県による手挙げにした結果として、隣接する自治体で対応が変わってしまうケースも起こりえる。とくに首都圏のように居住地、勤務地が自治体をまたぐことが普通の地域では、そのことに伴う混乱も想定しなければならない。さらにすでに多くの自治体が懸念を示しているのが無症状・軽症者の自宅療養者の取り扱いだ。新制度を使えば、こうした人はMy HER-SYSへの登録が不要となるため、療養証明を入手できなくなる。すでに新型コロナに関わる民間医療保険では、新制度の報告対象者以外は保険金支払いの対象外にする見込みだと報じられているが、その場合、非対象者が支払った保険料の扱いはどうなるのか? さらに、勤務先などに療養証明提出などは求めないように国は再三呼び掛けているものの、それも十分ではない。ここに挙げた懸念はほんの一部に過ぎない。私個人は以前から新興感染症では逐次最適化、今風に言えば「アジャイル」な対応が必要だと主張しているが、第7波真っ盛りの中で、これほど多くの問題を置き去りにして進む今回の新制度に関しては「アジャイル」ではなく完全な「泥縄」だと言わざるを得ない。

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