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モデルナのBA.4/5対応2価ワクチンを特例承認/厚労省

 厚生労働省は11月1日、モデルナのオミクロン株BA.4/5に対応した新型コロナウイルス2価ワクチン「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.4/5)について、承認事項の一部変更の特例承認をしたことを発表した。 一部変更申請の概要として、起源株およびオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードする mRNAを含む2価ワクチンが追加された。有効成分のエラソメランはSARS-CoV-2の起源株を、イムエラソメランはオミクロン株BA.1を、ダベソメランはオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードするmRNAだとしている。 本剤の接種対象者は、過去に初回免疫または追加免疫としてSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のある18歳以上であり、追加免疫として、1回0.5mLを筋肉内に接種する。接種間隔は通常、前回のワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後に接種を行うことができる。

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再発リスクの高い腎細胞がん術後患者においてアテゾリズマブ補助療法は有効性を見出せず(解説:宮嶋哲氏)

 転移性腎細胞がんに対する標準治療は、免疫チェックポイント阻害薬やチロシンキナーゼ阻害薬の併用療法である。抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブもまた、その有効性が期待される薬剤であるが、本研究は28ヵ国215施設において、外科的切除後に再発リスクの高い腎細胞がん患者を対象に、アテゾリズマブ補助療法の有効性を検討した第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験である(IMmotion010試験)。主要評価項目はDFS。 2017年から約2年に778症例が登録され、観察期間中央値はアテゾリズマブ群57.2ヵ月、プラセボ群49.5ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.75~1.15、p=0.50)。Grade3~4の有害事象のほとんどは高血圧、高血糖および下痢であった。アテゾリズマブ群の18%とプラセボ群の12%に重篤な有害事象が発生したが、治療に伴う死亡例は認めなかった。3年DFSでは、アテゾリズマブ群65.0%でプラセボ群62.7%と有意差を認めなかった。OSについても時期尚早とはいえ、アテゾリズマブによる死亡リスク低減を観察するに至らなかった。 KEYNOTE-564試験では抗PD-1抗体であるペムブロリズマブが腎細胞がん術後患者のDFSにおいて有効性を示しているので、本試験では明らかに異なる結果が導かれたことになる。その要因として、母集団の特徴が異なる点(転移の時期、Fuhrman gradeの程度、リンパ節転移症例の多さなど)を筆者らは考察している。昨今普及するようになった遺伝子パネル検査を含め、筆者らも指摘しているように免疫チェックポイント阻害薬の有効性を予測しうるバイオマーカーの探索も重要と考える。

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【第221回 】液体窒素を飲むとどうなるか?

液体窒素を飲むとどうなるか?いらすとやより使用私の子供がとあるYouTubeチャンネルの動画を見ていたとき「液体窒素を口に含んでも大丈夫」と言っていました。確かにそうかもしれない、と私も思いました。熱したフライパンに水を垂らしたとき、水滴は玉になったままフライパンの上を転がるのと同じ原理ということです。しかし、間違って飲んでしまったらどうなるんだろう…。ちょっと気になったので調べてみました。まとまった報告はなく、症例報告をいくつか紹介してみます。Kim DW.Stomach Perforation Caused by Ingesting Liquid Nitrogen: A Case Report on the Effect of a Dangerous Snack.Clin Endosc. 2018 Jul;51(4):381-383.これは13歳の男児が遊園地でお菓子を食べたところ、突然腹痛を訴えて来院した症例報告です。このお菓子は、液体窒素でキンキンに冷えていたことがわかりました。腹部CT検査で、消化管穿孔を起こしていることがわかり、緊急手術で胃穿孔が判明しました。液体窒素そのものか、ただ冷えていたことが原因なのかどうか、何とも言えない症例ではありますね。Zheng Y, et al. Barotrauma after liquid nitrogen ingestion: a case report and literature review.Postgrad Med. 2018 Aug;130(6):511-514.これは、25歳男性が液体窒素を含んだ自家製飲料を摂取した後に、急性腹症を起こした症例です。精査の結果、胃穿孔を起こしていることがわかり、緊急手術となりました。Pollard JS, et al.A lethal cocktail: gastric perforation following liquid nitrogen ingestion.BMJ Case Rep. 2013 Jan 7;2013:bcr2012007769.液体窒素を含むアルコール飲料を摂取した後に、胃穿孔を起こした18歳女性の症例報告です。胃の損傷の程度が大きかったため、Roux-en-Y再建による胃全摘術が必要でした。胃穿孔ばかり続きます。痛そうです。胃全摘はかなりシビアですね。Knudsen AR, et al.Gastric rupture after ingestion of liquid nitrogen.Ugeskr Laeger. 2009 Feb 9;171(7):534.28歳男性が、煙を吐き出して周囲を驚かせるために液体窒素15mLを飲み、その後重度の腹部膨満と縦隔気腫があったという症例報告です。小弯部を中心に胃が破裂していたため、開腹手術で縫合されました。上部消化管内視鏡検査では、冷却による潰瘍性病変などはありませんでした。おや?4つ目の報告は、ちょっと胃潰瘍とは異なる機序のようですね。実は、液体窒素による胃の傷害は、冷却による粘膜障害ではないとされています。ドライアイスなどを飲み込むと、長時間冷温に曝露されるので胃潰瘍のリスクがあるのですが、液体窒素はおそらくそれよりも早く気化します。液体窒素は、加熱されると数百倍に膨張することが問題になります。これによって、胃が極度に膨張して傷害を受けるのではないか、ということです。まぁ…どちらの機序が優勢にしても、こんなもんを飲み込むなんて狂気の沙汰ですから、決してマネしないように。ちなみにドライアイスを飲んだらどうなるかというと…実はこの連載の3回目で紹介しています。

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第133回 『かかりつけ医』制度化は骨太ならぬ“骨抜き”方針か!?

『かかりつけ医』は、たぶん一般にはある程度聞き慣れた言葉になっているだろうが、その定義はかなり曖昧と言って良いかもしれない。慢性疾患を有する患者の場合は、その主治医がいわゆる『かかりつけ医』だと思っているはずだ。しかし、ここでは釈迦に説法だが、厚生労働省や日本医師会が考える「かかりつけ医」の定義は異なる。厚生労働省(以下、厚労省)では「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」となる。ちなみに日本医師会の考える『かかりつけ医』は、同会ホームページで、この厚労省の定義をさらに詳しく説明したような内容になっている。というか、そもそも厚労省のホームページの説明の下にわざわざ「参考」として日医へのリンクが張られているのは、今風に言うと、なんとも「もにょって」しまう。さて、この定義に厳密に沿えば、前述の慢性疾患の主治医は実は多くの場合、かかりつけ医とは言えない。ちなみに日本医師会総合政策研究機構の「日本の医療に関する意識調査 2022 年臨時中間調査」によると、一般生活者1,152人に聴取した結果では「かかりつけ医がいる」との回答は55.7%で50代以降になると50%を超えるものの、20代では30%弱だ。前述の厚労省、日医の『かかりつけ医』の定義を見て「もにょる」を通り越して、やや言葉は悪いが「ウソつけ」と言いたくなる部分がある。それは厚労省のホームページの「『かかりつけ医』はご自身で選択できます」と日医の「『かかりつけ医』とは、患者さんが医師を表現する言葉です」である。文字上で言えばそうだろう。だが、現実にはそうなっていない。この問題を顕在化させたのは、今般の新型コロナウイルス感染症のワクチン接種開始時である。同ワクチンは超低温冷凍による保管が必要だったことから、当初は自治体主導の大規模接種会場での接種がモデルとして考えられたが、それが突如として多くの自治体で地域医師会の協力を得て個別医療機関での接種が中心となった。その先鞭が東京都練馬区の作成した「練馬区モデル」である。先日、ある自治体のワクチン接種担当の職員が、「練馬区モデルが出る前の自治体向けマニュアルを見ると、どう考えても大規模接種を前提としているようにしか読めないので、その路線での接種計画を組んでいたが、突如練馬区モデルの話が厚労省から出てきて驚いた」と聞かされた。これが全国での接種計画を一変させたのは間違いないようだ。かく言う私は練馬区民。この話を聞いた時は、「いやいや練馬区住民でよかった」と思っていたのだが、以前の本連載でも書いたように、いざ接種開始となって送付されてきた案内を見てややのけぞった。接種医療機関リストは白とオレンジの2色刷りで、色付きの医療機関は「かかりつけの患者のみ」という区分だったのである。しかも、誰でもが接種できる白色の医療機関は全体の3分の1程度。あの当時は「これは絵に描いた餅?」と思いもしたが、mRNAワクチンの接種自体が初の試みだったので、まあやむを得ないのだろうとくらいに捉えていた。後に区内在住の知人から「過去に急に体調が悪くなった時に2、3回受診した医療機関にワクチン接種の申し込み連絡をしたら、“申し訳ないですが、かかりつけは一定頻度で定期的に受診している方を指しています”と断られた」と聞かされた。ワクチンマニアを自認する私にも、先日ようやくオミクロン株対応ワクチンの4回目接種の接種券が届いた。だが、まだ接種はしていない。というのも「マニア心」で、より抗体価が上がりやすいモデルナの2価ワクチンの承認を待っていたからである。今月半ば過ぎには、たぶん安定的な供給も開始されるだろう。そして再び個別接種医療機関リストを見て、ため息が出てしまった。相変わらずオレンジ色の「かかりつけの患者のみ」が多いばかりではなく、逆にかつては誰でも受けられるはずだった白色のリスト分類だった医療機関の一部がオレンジ色に変更されていたからである。アナフィラキシーに対する懸念が今よりも強かった初期ならまだしも、もう最多では5回接種者がいる状態である。にもかかわらず、逆にかかりつけ患者のみに新たに限定してしまう理由とは何だろう? まったく意味不明である。前述の知人の体験である「医師から選ばれたかかりつけ患者」という現状も併せると、まったく納得できない。さてそんな昨今、話題になっているのは「『かかりつけ医』を制度上、どのように位置付けるか?」である。これは政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022 について(骨太方針2022)」で、「かかりつけ医機能の制度整備」が謳われたからである。該当部分を抜粋する。また、医療・介護提供体制などの社会保障制度基盤の強化については、今後の医療ニーズや人口動態の変化、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえ、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めることとし、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うとともに、地域医療連携推進法人の有効活用や都道府県の責務の明確化等に関し必要な法制上の措置を含め地域医療構想を推進する。敢えて太字にしたが、かかりつけ医機能にかかっているのが上の太字部分である。もっと言えば、「コロナ禍で顕在化した課題を踏まえ」の意味するところが大である。端的に言ってしまえば、前述のワクチン接種問題や、政府の呼びかけにもかかわらず発熱外来が思ったように増えなかった経験を踏まえ、「もう制度的に縛っちゃいますよ」と言っているのだ。そもそも岸田 文雄首相は就任当初からコロナ対策として、非常時の診療体制整備に国が関与を明言していたので、特段驚きはない。国が考える「かかりつけ医機能の制度整備」には、ヨーロッパやオーストラリアやカナダの家庭医登録制度に近いものが念頭にあると思われる。これまでフリーアクセスを維持しつつ、患者の受診行動を変えるために選定療養費制度などの政策誘導を行ったものの、ほぼ目的を達成できていない現実を考えればさもありなんだろう。そしてこうした家庭医制度を念頭に置くなら、当然ながら最終的な診療報酬は人頭払いと疾患別包括払いが視野に入る。もちろん開業医中心の日医は経営環境が激変するため、議論の入口から反対姿勢を示している。もっともヨーロッパの家庭医制度をモデルとした場合、日本への制度導入には大きなハードルが2つある。1つは今さっき触れた診療報酬の抜本的な改定である。これはかなり難儀な話であるのだが、DPC制度の前例を踏まえれば完全に不可能なことではない。現にこれを匂わす診療所向けの診療報酬点数は現時点でも存在する。その意味では家庭医への登録に基づく人頭払いをどのように導入していくかだが、そこは行政お得意の最初は日医などが受け入れしやすい軽い縛りを設け、徐々に真綿で首を締めるが如く浸透させていくのではないだろうか?むしろ最大の問題は家庭医の質の担保だろう。日医には会員の『かかりつけ医』機能の強化に向けて生涯教育制度はあるが、これは連続した3年間の単位数とカリキュラムコード数(同一コードは加算不可)の合計数が60以上の者に「日医生涯教育認定証」を発行するというもので、一部の人にはお叱りを受けるかもしれないが、はっきり言えば形式だけ整えたようなものだ。これに対してヨーロッパの家庭医制度は、世界家庭医機構(WONCA)が認証した研修プログラムがあり、日医の生涯教育制度よりもはるかに上位レベルの研修内容である。とくにWONCAの家庭医プログラムは医師と患者・家族、地域との関係性についてはかなり重点的なプログラムがあり、この点は日医の生涯教育制度はかなり薄め。かつ、そもそも海外の家庭医とは、日本でかかりつけ医と見なされる診療所の多くを占める一般内科とは異なり、軽度の外科や産科、手術以外の耳鼻咽喉科、眼科領域までも網羅的に最新のエビデンスに基づく診療に対応できることが原則である。このWONCAの国際認証を受けた日本プライマリ・ケア連合学会の研修プログラムを終了し、家庭医療専門医として認定された医師は現時点で1,000人を超えたぐらいである。日医が生涯教育制度に変えて、こうした制度を利用してかかりつけ医機能を強化するが、その代わりに国による“過度な”介入はご免こうむりたいと言うならばまだしも、そうした妥協はこれまでの日医の姿勢からは期待できないだろう。もちろん一部の日医会員の中には日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医研修を受けたいという人もいるだろうが、すでにかかりつけ医を自認している市中の開業医の多くはむしろ敬遠するだろう。国、日医、日本プライマリ・ケア連合学会という3者を当事者として、落しどころを探ろうにしても、たぶんWONCAの国際認証を受けている日本プライマリ・ケア連合学会は過度な妥協はしないだろうし、それは国民のためにしてはならない。もし国がかかりつけ医を海外の家庭医制度に寄せていくなら、それこそ大きな政治的な決断が必要になる。しかし、日医による後ろ盾が選挙を勝ち抜く大きな武器になっている与党・自民党にとってそれは無理だろうし、それ以前にかかりつけ医の定義ですら日医への忖度丸出しの厚労省が政治へのけん制に入ってしまうのは目に見えている。とくに今、支持率低迷にあえぐ岸田首相にとってはそんな危険な決断は無理と断言しても良い。その意味では一瞬威勢が良いように読める「骨太方針2022」も間もなく「骨抜き方針2022」になるという構図が見えてくる。私たちは不幸な歴史の証人になるだけなのだろうかと暗澹たる気持ちになってしまう。

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慢性期統合失調症における抗精神病薬の減量・中止後の再発リスク因子~メタ解析

 精神疾患の再発予防に抗精神病薬による維持療法は有効だが、高用量での使用はリカバリーを妨げる可能性がある。そのため、慢性期統合失調症患者では、抗精神病薬の減量または中止が検討される。オランダ・Mental Health Services RivierduinenのJan P. A. M. Bogers氏らは、抗精神病薬の減量に伴う精神疾患再発のリスク因子を特定しようと試みた。その結果、慢性期統合失調症患者における抗精神病薬の減量では、精神疾患再発のリスク因子を考慮する必要があること、抗精神病薬の比較的急激な減量を行う場合でもハロペリドール換算3~5mgを最低用量とすることなどが報告された。また、著者らは、抗精神病薬の漸減は投与中止に伴う再発を回避し、必要最低用量を達成できる可能性があるとしている。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2022年10月6日号の報告。 1950年1月~2021年1月に公表された研究をMEDLINE、EMBASE、PsycINFOよりシステマティックに検索し、慢性期統合失調症患者における抗精神病薬の減量または中止後の再発率を検討したランダム化比較試験(RCT)のレビューを行った。再発の潜在的なリスク因子を特定するため、人年当たりの相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、47件のRCT(患者コホート54件、1,746人年)を含めた。・維持療法と比較した場合、抗精神病薬の減量・中止の精神疾患再発RRは2.3人年(95%CI:1.9~2.8)であった。・RRを上昇させる因子は以下のとおりであった。 ●抗精神病薬の中止 ●ハロペリドール換算量3~5mg未満への減量 ●比較的急激な減量(10週未満)・RRは、抗精神病薬の経口剤を減量した場合よりも長時間作用型注射剤のほうが低かった。・精神疾患再発リスクの上昇に関連するその他の因子は、若年、フォローアップ期間の短さであった。

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直近1年のオンライン診療利用患者は2%未満、利用意向も低い

 9,000人超を対象としたアンケート調査で、直近1年のオンライン診療利用者は2%未満であり、利用経験者における今後の利用意向は高いものの、全体の利用意向は非利用意向よりも低いことが明らかになった。マイボイスコム株式会社は、「オンラインでの医療相談・診察」に関するインターネット調査を行い、その結果を2022年10月28日に公表した。結果概要・直近1年間のオンライン診療利用経験は1.8%であった。10代・20代では約6%、30代では約3%であった。・オンライン診療を知っているが利用したことはない人は75.3%で、オンライン診療を知らない人は20.7%であった。・オンライン診療を受けたきっかけや理由は、「かかりつけ医がオンラインでの診療や相談を実施していた」が41.0%で最も多く、「発熱・咳など新型コロナ感染の疑いがあった」21.3%、「待ち時間・通院時間をかけたくない」20.2%、「遠方の医師の診察を受けるため」18.0%、「新型コロナ予防のため医療機関へ行くのを控えたい」16.3%と続いた。・オンライン診療を受けた医療機関の探し方は、「かかりつけの医療機関がオンライン診療をしていた」が57.3%で最も多く、「インターネットでの検索」22.%、「保健所や自治体などの紹介」10.7%、「インターネット広告」8.4%、「自治体のHP、広報誌など」6.7%と続いた。・オンライン診療の利用意向は31.0%(利用したいと思う:9.0%、まあ利用したいと思う:22.0%)であった。男性の10~20代、女性の10~30代の利用意向それぞれ40%台であった。直近1年間のオンライン診療利用者の利用意向は80%弱であった。・一方、非利用意向は33.5%(あまり利用したいと思わない:17.6%、利用したいと思わない:15.9%)であった。男性の30~70代、女性の60~70代では、利用したくない人が、利用したい人より多かった。利用したいと思う理由(抜粋、一部改変)・待合室は人数制限で5人程度しか入れず、窓全開の外廊下で待たされる時間が長くなった。どの年代であっても、違う意味で受診がリスクとなっている。・軽症で病院に行くことによって他の病気をうつされる心配の方が大きい場合はオンラインで診察してもらった方が安全だから。・診察の往復にかかる時間、交通費を考えると、オンラインは効率的な方法であると思う。利用したいと思わない理由(抜粋、一部改変)・オンラインでは細かく患者の状態を確認できないのでは。見逃すことが多くありそう。・実際に診て確認してもらいたい。緊急性があるかもしれないから。・オンライン診療は好まない。診療は対面でこそ医師を信頼できる。・すべてがオンライン診察でできるわけではない。病院に行くことになるから、手間は一度で済ませたい。―――――――――――――――――――調査概要調査方法:インターネット調査調査時期:2022年10月1~5日回答者数:9,822人(男性5,602人[57%]、女性4,220人[43%])回答者年代:10代12人(0%)、20代192人(2%)、30代774人(8%)、40代1,874人(19%)、50代2,909人(30%)、60代2,542人(26%)、70代1,519人(15%)調査機関:マイボイスコム株式会社(東京都千代田区、 代表取締役社長:高井和久)―――――――――――――――――――

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家族性大腸腺腫症への新たな治療戦略を日本で開発(J-FAPP Study III)

 京都府立医科大学の石川 秀樹氏らが大腸がんの超高危険群である家族性大腸腺腫症(FAP)患者に対し、予防のための内視鏡的積極的摘除術を世界で初めて開発したことがEndoscopy誌2022年10月10日号オンライン版に掲載された。家族性大腸腺腫症におけるIDPは結腸直腸がんを予防する有用な手段 結腸全摘は、家族性大腸腺腫症の標準治療であるにもかかわらず、若年層の家族性大腸腺腫症患者が手術を延期したり、手術を拒否したりするケースもあるという。そこで、同氏らは家族性大腸腺腫症 にきわめて多発する大腸ポリープのダウンステージングを目的とする積極的な内視鏡的摘除(IDP)の有効性を評価することを目的に内視鏡的積極的摘除術の多施設共同介入試験(J-FAPP Study III)を実施した。本試験は22施設で実施した単群介入研究で、参加者は2012年11月24日~2014年9月25日の間に登録。結腸切除術を受けていない、または結腸切除術を受けたが大腸が10cm以上残っている16歳以上で、100個のポリープがあった家族性大腸腺腫症患者を対象とした。IDPでは、10mm以上の大腸ポリープが摘除され、続いて5mm以上のポリープが摘除された。主要評価項目は5年間の介入期間中の結腸切除術の有無、副次評価項目は内視鏡による穿孔/出血、結腸直腸がんの発生、内視鏡治療に適さない腫瘍の発生、結腸直腸がんおよびその他の原因による死亡だった。 家族性大腸腺腫症に対しての積極的な内視鏡的摘除の有効性を評価した主な結果は以下のとおり。・ 222例が本試験に適格だった。そのうち結腸切除を受けていない(非結腸切除群)のは166例、回腸直腸吻合を伴う結腸亜全摘術(IRA)を受けたのは46例、部分的な結腸切除術を受けていたのは10例だった。・介入期間中、5例(2.3%、95%信頼区間[CI]:0.74~5.18)が結腸切除術を受け、そのうち4例は非結腸切除群から、1例は結腸切除後群だった。・介入期間中、3例(1.4%)が死亡したが、死因から家族性大腸腺腫症との因果関係はないと推測された。・結腸切除なしの5年間の介入期間の完了は、結腸切除を受けていない者では150/166例(90.4%、95%CI:84.8~94.4)、以前に結腸切除を受けた者では47/56例(83.9%、95 %CI:71.7~92.4)だった。 本研究を踏まえ研究者らは、軽~中等度の家族性大腸腺腫症患者におけるIDPは、結腸切除術を実施せずに結腸直腸がんを予防する有用な手段となる可能性があることを示した。ただし、IDPの長期間の有効性はまだ不明であり多くの患者が結腸切除術を実施する必要がある可能性は残されたままである。

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ガーダントヘルスジャパン、Guardant360 CDxでエスアールエルと業務提携

 ガーダントヘルスジャパンとエスアールエルは、固形がん患者を対象とした包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)用リキッドバイオプシー検査Guardant360 CDx がん遺伝子パネル(Guardant360CDx)のサービス提供のために業務提携契約を締結した。 ガーダントヘルスジャパンは、今回の業務提携によりSRLの遺伝子検査領域におけるロジスティックスならびにネットワーク、サービスを活用することが可能となる。SRLが医療機関から検体を受理してから14日を目途に、国立がん研究センター、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)およびGuardant360 CDxがん遺伝子パネル検査ポータルに解析結果を提供する。 Guardant360 CDxは、米国食品医薬品局(FDA)から2020年8月、日本では2022年3月10日に、すべての固形がんに対する包括的リキッドバイオプシーとして承認を取得している。また、わが国のコンパニオン診断としては、2021年12月にKRAS G12C阻害薬ソトラシブの切除不能非小細胞肺がん、2022年3月にペムブロリズマブのMSI-High固形がんおよびニボルマブのMSI-High結腸・直腸がんに承認されている。

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ワクチン回数と感染歴、オミクロン感染予防効果の高い組み合わせは?/NEJM

 米国・スタンフォード大学のElizabeth T. Chin氏らは、感染ハイリスク集団である刑務所の収容者とスタッフ合計約7万6,000例を対象に行った後ろ向きコホート試験で、COVID-19のmRNAワクチン接種および既感染は、SARS-CoV-2のB.1.617.2(デルタ)変異株優勢前の感染予防効果は低かったが、B.1.1.529(オミクロン)変異株に対しては感染予防効果を有していたことを明らかにした。また、既感染者も含め、ワクチン3回接種が2回接種よりも感染保護効果が顕著に大きかったことも示されたという。NEJM誌オンライン版2022年10月26日号掲載の報告。米国カリフォルニア州刑務所の収容者・スタッフ対象に試験 研究グループは、米国カリフォルニア州立刑務所35ヵ所の収容者5万9,794例とスタッフ1万6,572例を対象に、mRNAワクチン接種と既感染のSARS-CoV-2オミクロン変異株感染への保護効果を評価した。 オミクロン変異株優勢時の2021年12月24日~2022年4月14日に集めたデータを用いて後ろ向きコホートデザインにより解析。加重Coxモデルを用いて、ワクチン接種歴(mRNAワクチンの接種回数により層別化)と感染歴(なし、またはデルタ変異株優勢前または優勢中に感染あり)の組み合わせ別にみた、ワクチン接種と既感染の有効性(1-ハザード比[HR]で算出)を比較した。 副次解析では、ローリング適合コホートデザインを用いて、ワクチン2回接種と比較した3回接種の有効性を評価した。ワクチン3回接種、2回接種に比べ有効性は25%以上増大 オミクロン変異株感染予防に関する推定有効率は、ワクチン未接種でデルタ変異株優勢前感染者では16.3%(95%信頼区間[CI]:8.1~23.7)だったが、ワクチン未接種でデルタ変異株優勢中感染者では48.9%(41.6~55.3)だった。 オミクロン変異株感染予防に関するワクチン接種の推定有効率は、感染歴で大きく違いがあり、2回接種では未感染18.6%(95%CI:7.7~28.1)~デルタ変異株優勢中感染83.2%(77.7~87.4)、3回接種では未感染40.9%(31.9~48.7)~デルタ変異株優勢中感染87.9%(76.0~93.9)にわたっていた。 ワクチン3回接種(ブースター)による有効性の推定増加幅は、未感染者の25.0%(95%CI:16.6~32.5)~デルタ変異株優勢前感染者57.9%(48.4~65.7)にわたっていた。

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院外心停止後、目標SpO2として90~94%は有効か/JAMA

 院外心停止後、自発循環を回復した意識不明の成人に対する、集中治療室(ICU)入室までの酸素飽和度90~94%をターゲットとした酸素療法は、98~100%をターゲットにした場合と比べ、生存退院率を有意に改善しなかった。ICU入室までの低酸素イベント発生率も、90~94%ターゲット群で有意に高率だった。オーストラリア・Ambulance VictoriaのStephen A. Bernard氏らが、425例を対象に行った無作為化比較試験「EXACT試験」の結果で、「試験はCOVID-19パンデミックにより早期中断となったが、試験結果は、心停止後の循環回復後における院外での酸素飽和度90~94%をターゲットした酸素療法を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2022年10月26日号掲載の報告。オーストラリア、15の病院と2つの救急医療サービスで無作為化試験 研究グループは、オーストラリアのビクトリア州と南オーストラリア州の2つの救急医療サービス(EMS)と15の病院を通じ、院外心停止後に自発循環を回復し、100%酸素吸入時に末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が95%以上の意識不明の成人を対象に、多施設共同並行群間無作為化比較試験を実施した。EMSと病院から2017年12月11日~2020年8月11日に医療記録データを収集した(最終フォローアップは2021年8月25日)。 被験者をパラメディックにより無作為に2群に分け、ICU入室までの間、一方には酸素飽和度90~94%をターゲットに(介入群)、もう一方には酸素飽和度98~100%をターゲットに(標準ケア群)、それぞれ酸素療法を行った。 主要アウトカムは、生存退院率だった。副次アウトカムは9項目で、低酸素(SpO2<90%)や再心停止を伴う低酸素症など、事前に規定した重度有害イベントなどだった。生存退院率、介入群38.3%、標準治療群47.9% 本試験は当初、被験者数1,416例を予定していたが、428例(介入群216例、標準ケア群212例)が無作為化を受けた時点でCOVID-19パンデミックにより中断となった。主要解析には425例(介入群214例、標準ケア群211例)が包含され(年齢中央値65.5歳、女性100例[23.5%])、全例が試験を完了した。 生存退院率は、介入群38.3%(214例中82例)に対し、標準ケア群が47.9%(211例中101例)と有意に高率だった(群間差:-9.6%[95%信頼区間[CI]:-18.9~-0.2]、補正前オッズ比[OR]:0.68[95%CI:0.46~1.00]、p=0.05)。 入院中に集められた事前規定の9項目の副次アウトカムのうち、8項目は有意差がなかった。 ICU入室までの低酸素エピソードは、介入群31.3%(67例)、標準治療群16.1%(34例)報告され、有意差が認められた(群間差:15.2%[95%CI:7.2~23.1]、OR:2.37[95%CI:1.49~3.79]、p<0.001)。

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第18回 もう個人防護具(PPE)を緩和していますか?

新型コロナの致死率は低下新型コロナの致死率は当初よりも低下しました1)。単純計算では、現在0.12%まで低下しています(図1)。季節性インフルエンザと同じレベルじゃないかという議論も出てきていますね。図1. 各波の新型コロナ死亡者数(左軸)と致死率(右軸)(厚生労働省のデータをもとに筆者作成)いつかはこういう楽観フェーズが来るだろうと思っていましたが、新興感染症の過渡期の対応は本当に難しい。とくに、どのように国民に説明していくのかというところで、かなりのコミュ力が問われます。現実的には全然説明が成されていないんですが…。こうなってくると、新型コロナとどのように医療従事者が向き合うかも考える必要が出てきます。ただ、現時点では多くの病院では「フルPPE」対応で新型コロナを診療していると思われます。個人的には、キャップとかもう要らないと思っているのですが、どうでしょう。「過渡期」の感染対策分科会メンバーらの有志による「『感染拡大抑制の取り組み』と『柔軟かつ効率的な保健医療体制への移行』についての提言」2)では、専用病棟でなくてもよい、個人防護具(PPE)の着用を少し緩和させる、などの策が紹介されています(図2)。これ結構現場に即した感じで、よい資料だと思います。ただ、こういう「少しずつ緩和していこうね」って日本人は苦手なんですよね。実際、病棟ゾーニングもやむなしとしている病院もあるでしょう。たとえば重症病床がメインの病院で、院内クラスターが出ても、それを他の軽症病床に転院させることはできませんので、自施設で患者をコホートせざるを得ません。図2の「ステップ2」のところ、「N95マスクは大事」いうのが強調されていますが、接触感染についてはそこまで重要視していません。確かに、飛沫・エアロゾルによる感染よりも、伝播リスクは低いとされていますが、院内クラスターや施設内クラスターをみていると、どう考えてもこれは接触感染だろうという場面はいまだによく見かけます。ベタベタ触って、その手で目や鼻などの粘膜を触れば、そりゃ感染するだろうとは思います。画像を拡大する図2. 「感染拡大抑制の取り組み」と「柔軟かつ効率的な保健医療体制への移行」についての提言 医療対応(参考資料2)どこかのモデル病院が、「うちはこうやっていますよ」みたいな啓発をしてくださるとよいかもしれませんね。あるいは学会レベルでのガイドラインをちゃんと出すとか(他力本願)。日本の病院は、周囲の動向を伺いながらおずおずと緩和していくことになるのですが、病院同士がそこまで連携を取っていないと、我流のままで「まだこんなことやってんの」みたいな病院が出てくるかもしれません。参考文献・参考サイト1)Horita N, et al. J Med Virol. 2022 Oct 17. [Epub ahead of print]2)第93回(令和4年8月3日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 「感染拡大抑制の取り組み」と「柔軟かつ効率的な保健医療体制への移行」についての提言

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老後の一人暮らしと認知症リスク

 米国・イリノイ大学シカゴ校のBenjamin A. Shaw氏らは、老後の一人暮らしと認知症発症との関連性を調査した。これまでの多くの研究では、単一の時点で得られた一人暮らしに関するデータを利用して検証されていたが、著者らは、高齢者の一人暮らしの状況を長期的に測定し、一人暮らしの期間が長いほど認知症発症リスクが高いかどうかを評価した。その結果、老後の一人暮らしは認知症の重大なリスク因子であるが、この影響はすぐに現れるわけではなく、時間とともに上昇する可能性があることが示唆された。The Journals of Gerontology誌オンライン版2022年9月30日号の報告。 分析データは、フォローアップ期間2000~18年の健康と退職に関する調査(Health and Retirement Study:HRS)より収集した。高齢者1万8,171人のフォローアップデータより得られた7万8,490人時期のデータは、マルチレベルロジスティックモデルを用いて分析した。一人暮らしの定義は、回答時の世帯人数が1である場合とした。累積一人暮らし期間は、世帯人数1がカウントされている期間で算出した。 主な結果は以下のとおり。・男性では、認知症リスクと一人暮らしとの関連は認められず、女性では、逆相関が認められた。・対照的に、累積一人暮らし期間が1期間増加するごとに、男女とも約10%の認知症リスク上昇(男性OR:1.111、女性OR:1.088)が確認された(婚姻状況、年齢、社会活動、社会的支援などいくつかの共変量で調整)。

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ニボルマブ+イピリムマブによるNSCLC1次治療、CheckMate227試験5年追跡結果/JCO

 CheckMate 227 Part1の5年間の結果がJournal of Clinical Oncology誌2022年10月12日号で発表された。ニボルマブとイピリムマブの併用は、PD-L1の状態にかかわらず、転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の5年生存(OS)率を改善していた。(試験デザインは下記関連記事を参照)ニボルマブ+イピリムマブの5年生存率は24% 最低追跡期間61.3ヵ月の解析で、PD-L1≧1%集団の5年OS率はニボルマブ+イピリムマブ群の24%に対し、化学療法群では14%であった。PD-L1<1%集団では、ニボルマブ+イピリムマブ群の19%に対し、化学療法群では7%であった。  PD-L1≧1%の奏効期間(DoR)はニボルマブ+イピリムマブ群の24.5ヵ月に対し、化学療法群では6.7ヵ月、PD-L1≧1%のDoRは19.4ヵ月対4.8ヵ月であった。投与中止後も生存ベネフィットは持続 ニボルマブ+イピリムマブの5年生存患者で、解析時点に投与を中止していた患者は、60%を超えていた(PD-L1≧1%集団66%、PD-L1<1%集団64%)。 治療関連有害事象でニボルマブ+イピリムマブを中止した場合も生存ベネフィットは持続しており、5年OS率は39%にのぼった。

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GRADE試験―比較効果研究(comparative effectiveness research)により示されたGLP-1受容体作動薬の優位性(解説:景山茂氏)

 GRADE試験は著者らが述べているように比較効果研究(comparative effectiveness research)である。糖尿病治療薬については2008年の米国FDAのrecommendation以来、新規に開発される薬物については治験段階から心血管イベントに対する影響が検討されている。これらの成果として、近年はGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の臓器保護効果が検証された。しかし、これらはプラセボを対照とした試験が多く、必ずしも数多くある治療薬の中でどれがよいかを示すものではなく、また、それを目的として行われたわけでもない。 比較効果研究で観察するのは、efficacyではなく、実臨床における効果effectivenessである。そして、対照はプラセボではなく実薬である。GRADE試験はランダム化比較試験 (randomized controlled trial:RCT)であるが、盲検化はされておらず、日常診療に近い形で行われている。また、比較効果研究のスタディ・デザインはRCTに限らず、観察研究やデータベース研究によっても行われる。 さて、GRADE試験は、これまでのプラセボ対照試験で示された成績からある程度推測される結果を示した。本試験は心血管イベントの群間差を把握するようデザインされていないが、GLP-1受容体作動薬の心血管系保護の優位性を示唆している。本試験にSGLT2阻害薬が含まれていないのは残念であるが、これはGRADE試験の計画開始時期によるのかもしれない。 糖尿病治療薬のように数多くの選択肢のある領域においては、何が最善の選択であるかを明確にすることを目的とした比較効果研究が必要であり、この分野の充実が望まれる。

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死にたいときに死ねない人【Dr. 中島の 新・徒然草】(450)

四百五十の段 死にたいときに死ねない人ついに11月になってしまいました。大阪でも気温が10℃を切る日が出てきてストーブの登場。そろそろ年賀状の準備も始めなくてはなりません。さて、こないだ脳外科外来にやって来たのは高齢女性。昔から頭痛があるというので、痛むところに注射を頼まれます。私も言われたところに言われたとおりに注射するのみ。何のヒネリもない1%キシロカインです。とはいえ、頭にブスブスと注射をするわけですから。傍から見ると、いささかシュールな光景なんでしょうね。患者「はあ~ん、気持ちいい。生き返るわ!」中島「生まれ変わりましたか?」患者「そうでもないけどな」だいたい大阪のおばちゃんには忖度というものがありません。中島「もうちょっとオベンチャラを言ってくださいよ」患者「私、生まれ変わった時には人間ちゃうモンになっていると思うんよ」そっちですか!イヌとかネコに生まれ変わるんですかね。患者「でも年は取りたくないわ。お姑さんが毎日そない言うとったけどな」中島「そりゃ、誰でも年は取りたくないでしょ」患者「そう言いながら長生きしはったけど」注射するたびに、どんどんと話が出てきます。患者「とうとう96歳の時に肺炎になって入院してもて」中島「そうなんですか」患者「胸水までたまってもてな」中島「そりゃあ残念でしたね。でも96歳まで元気に生きたのだから……」普通、話の流れからはそうなりますよね。患者「しまいに病気が治って退院しはったんよ」中島「ええっ!」患者「人間、死にたいときに死なれへんもんやな」これ、どうコメントしたらいいのでしょうか。私には難しすぎてわかりません。患者「お舅さんのほうはいつも『長生きしたい、長生きしたい』と言うとったけど」中島「早死にされたんですか」患者「そや。85歳やったかな」中島「それ、十分長生きじゃないですか!」もう無茶苦茶です。この患者さん、3ヵ月に1回、頭に10ヵ所ほど注射すると機嫌よく帰っていきます。1ヵ月ほどは効果があるのですが、後の2ヵ月間は頭痛に苦しめられるとか。寝るときに頭を冷やして、痛みを凌いでいるのだそうです。ちなみにこの方も80代。1人で公共交通機関を使って病院に来れるのだから大したもんです。案外、頭痛が生きる駆動力になっているのでしょうか。ということで最後に1句頭痛持ち 秋の夜長を 耐え忍ぶ

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従来の薬剤治療up dateと新規治療薬の位置付け【心不全診療Up to Date】第2回

第2回 従来の薬剤治療up dateと新規治療薬の位置付けKey Pointsエビデンスが確立している心不全薬物治療をしっかり理解しよう!1)生命予後改善薬を導入、増量する努力が十分にされているか?2)うっ血が十分に解除されているか?3)服薬アドヒアランスの良好な維持のための努力が十分にされているか?はじめに心不全はあらゆる疾患の中で最も再入院率が高く1)、入院回数が多いほど予後不良といわれている2)。また5年生存率はがんと同等との報告もあり3)、それらをできる限り抑制するためには、診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)の実施が極めて重要となる4)。なぜこれから紹介する薬剤がGDMTの一員になることができたのか、その根拠までさかのぼり、現時点での慢性心不全の至適薬物療法についてまとめていきたい。なお、現在あるGDMTに対するエビデンスはすべて収縮能が低下した心不全Heart Failure with reduced Ejection Fraction(HFrEF:LVEF<40%)に対するものであり、本稿では基本的にはHFrEFについてのエビデンスをまとめる。 従来の薬剤治療のエビデンスを整理!第1回で記載したとおり、慢性心不全に対する投薬は大きく2つに分類される。1)生命予後改善のための治療レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系(RAAS)阻害薬(ACE阻害薬/ARB、MR拮抗薬)、β遮断薬、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(ARNI)、SGLT2阻害薬、ベルイシグアト、イバブラジン2)症状改善のための治療利尿薬、利水剤(五苓散、木防已湯、牛車腎気丸など)その他、併存疾患(高血圧、冠動脈疾患、心房細動など)に対する治療やリスクファクター管理なども重要であるが、今回は上記の2つについて詳しく解説していく。1. RAAS阻害薬(ACE阻害薬/ARB、MR拮抗薬)1)ACE阻害薬、ARB(ACE阻害薬≧ARB)【適応】ACE阻害薬のHFrEF患者に対する生命予後および心血管イベント改善効果は、1980年代後半に報告されたCONSENSUSをはじめ、SOLVDなどの大規模臨床試験の結果により、証明されている5,6)。無症候性のHFrEF患者に対しても心不全入院を抑制し、生命予後改善効果があることが証明されており7)、症状の有無に関わらず、すべてのHFrEF患者に投与されるべき薬剤である。ARBについては、ACE阻害薬に対する優位性はない8–11)。ブラジキニンを増加させないため、空咳がなく、ACE阻害薬に忍容性のない症例では、プラセボに対して予後改善効果があることが報告されており12)、そのような症例には適応となる。【目標用量】ATLAS試験で高用量のACE阻害薬の方が低用量より心不全再入院を有意に減らすということが報告され(死亡率は改善しない)13)、ARBについても、HEAAL試験で同様のことが示された14)。では、腎機能障害などの副作用で最大用量にしたくてもできない症例の予後は、最大用量にできた群と比較してどうなのか。高齢化が進み続けている実臨床ではそのような状況に遭遇することが多い。ACE阻害薬についてはそれに対する答えを示した論文があり、その2群間において、死亡率に有意差は認めず、心不全再入院等も有意差を認めなかった15)。つまり、最大”許容”用量を投与すれば、その用量に関係なく心血管イベントに差はないということである。【注意点】ACE阻害薬には腎排泄性のものが多く、慢性腎臓病患者では注意が必要である。ACE阻害薬/ARB投与開始後のクレアチニン値の上昇率が大きければ大きいほど、段階的に末期腎不全・心筋梗塞・心不全といった心腎イベントや死亡のリスクが増加する傾向が認められるという報告もあり、腎機能を意識してフォローすることが重要である16)。なお、ACE阻害薬とARBの併用については、心不全入院抑制効果を報告した研究もあるが9,17)、生存率を改善することなく、腎機能障害などを増加させることが報告されており11,18)、お勧めしない。2)MR拮抗薬(スピロノラクトン、エプレレノン)【適応】スピロノラクトンは、RALES試験にて重症心不全に対する予後改善効果(死亡・心不全入院減少)が示された19)。エプレレノンは、心筋梗塞後の重症心不全に対する予後改善効果が示され20)、またACE阻害薬/ARBとβ遮断薬が85%以上に投与されている比較的軽症の慢性心不全に対しても予後改善効果が認められた21)。以上より、ACE阻害薬/ARBとβ遮断薬を最大許容用量投与するも心不全症状が残るすべてのHFrEF患者に対して投与が推奨されている。【目標用量】上記の結果より、スピロノラクトンは50mg、エプレレノンも50mgが目標用量とされているが、用量依存的な効果があるかについては証明されていない。なお、EMPHASIS-HF試験のプロトコールに、具体的なエプレレノンの投与方法が記載されているので、参照されたい21)。【注意点】高カリウム血症には最大限の注意が必要であり、RALES試験の結果発表後、スピロノラクトンの処方率が急激に増加し、高カリウム血症による合併症および死亡も増加したという報告もあるくらいである22)。血清K値と腎機能は定期的に確認すべきである。ただ近年新たな高カリウム血症改善薬(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物)が発売されたこともあり、過度に高カリウム血症を恐れる必要はなく、できる限り予後改善薬を継続する姿勢が重要と考えられる。またRALES試験でスピロノラクトンは女性化乳房あるいは乳房痛が10%の男性に認められ19)、実臨床でも経験されている先生は多いかと思う。その場合は、エプレレノンへ変更するとよい(鉱質コルチコイド受容体に選択性が高いのでそのような副作用はない)。2. β遮断薬(カルベジロール、ビソプロロール)【適応】β遮断薬はWaagsteinらが1975年に著効例7例を報告して以来(その時は誰も信用しなかった)、20年の時を経て、U.S. Carvedilol、MERIT−HF、CIBIS II、COPERNICUSなどの大規模臨床試験の結果が次々と報告され、30~40%の死亡リスク減少率を示し、重症度や症状の有無によらずすべての慢性心不全での有効性が確立された薬剤である23–26)。日本で処方できるエビデンスのある薬剤は、カルベジロールとビソプロロールだけである。カルベジロールとビソプロロールを比較した研究もあるが、死亡率に有意差は認めなかった27)。なお、慢性心不全治療時のACE阻害薬とβ遮断薬どちらの先行投与でも差はないとされている28)。【目標用量】用量依存的に予後改善効果があると考えられており、日本人ではカルベジロールであれば20mg29)、ビソプロロールであれば5mgが目標用量とされているが、海外ではカルベジロールであれば、1mg/kgまで増量することが推奨されている。【注意点】うっ血が十分に解除されていない状況で通常量を投与すると心不全の状態がかえって悪化することがあるため、少量から開始すべきである。そして、心不全の増悪や徐脈の出現等に注意しつつ、1~2週間ごとに漸増していく。心不全が悪化すれば、まずは利尿薬で対応する。反応乏しければβ遮断薬を減量し、状態を立て直す。また徐脈などの副作用を認めても、中止するのではなく、少量でも可能な限り投与を継続することが重要である。3. 利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、トルバプタン)、利水剤(五苓散など)【適応】心不全で最も多い症状は臓器うっ血によるものであり、浮腫・呼吸困難などのうっ血症状がある患者が利尿薬投与の適応である。ただ、ループ利尿薬は交感神経やRAS系の活性化を起こすことが分かっており、できる限りループ利尿薬を減らした状態でいかにうっ血コントロールをできるかが重要である。そのような状況で、新たなうっ血改善薬として開発されたのがトルバプタンであり、また近年利水剤と呼ばれる漢方薬(五苓散、木防已湯、牛車腎気丸など)もループ利尿薬を減らすための選択肢の1つとして着目されており、心不全への五苓散のうっ血管理に対する有効性を検証する大規模RCTであるGOREISAN-HF試験も現在進行中である。この利水剤については、また別の回で詳しく説明する。【注意点】あくまで予後改善薬を投与した上で使用することが原則。低カリウム血症、低マグネシウム血症、腎機能増悪、脱水には注意が必要である。新規治療薬の位置付け上記の従来治療薬に加えて、近年新たに保険適応となったHFrEF治療薬として、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(Angiotensin receptor-neprilysin inhibitor:ARNI)、SGLT2阻害薬(ダバグリフロジン、エンパグリフロジン)、ベルイシグアト、イバブラジンがある。上記で示した薬物療法をHFrEF基本治療薬とするが、効果が不十分な場合にはACE阻害薬/ARBをARNIへ切り替える。さらに、心不全悪化および心血管死のリスク軽減を考慮してSGLT2阻害薬を投与する。第1回でも記載した通り、これら4剤を診断後できるだけ早期から忍容性が得られる範囲でしっかり投与する重要性が叫ばれている。服薬アドヒアランスへの介入は極めて重要!最後に、施設全体のガイドライン遵守率を改めて意識する重要性を強調しておきたい。実際、ガイドライン遵守率が患者の予後と関連していることが指摘されている28)。そして何より、処方しても患者がしっかり内服できていないと意味がない。つまり、内服アドヒアランスが良好に維持されるよう、医療従事者がしっかり説明し(この薬がなぜ必要かなど)、サポートをすることが極めて重要である。このような多職種が介入する心不全の疾病管理プログラムは欧米のガイドラインでもクラスIに位置づけられており、ぜひ皆様には、このGDMTに関する知識をまわりの看護師などに還元し、チーム医療という形でそれが患者へしっかりフィードバックされることを切に願う。1)Jencks SF, et al. N Engl J Med.2009;360:1418-1428.2)Setoguchi S, et al. Am Heart J.2007;154:260-266. 3)Stewart S, et al. Circ Cardiovasc Qual Outcomes.2010;3:573-580.4)McDonagh TA, et al.Eur Heart J. 2022;24:4-131.5)CONSENSUS Trial Study Group. N Engl J Med. 1987;316:1429-1435.6)SOLVD Investigators. N Engl J Med. 1991;325:293-302.7)SOLVD Investigators. N Engl J Med. 1992;327:685-691.8)Pitt B, et al.Lancet.2000;355:1582-1587.9)Cohn JN, et al.N Engl J Med.2001;345:1667-1675.10)Dickstein K, et al. Lancet.2002;360:752-760.11)Pfeffer MA, et al.N Engl J Med. 2003;349:1893-1906.12)Granger CB, et al. Lancet.2003;362:772-776.13)Packer M, et al.Circulation.1999;100:2312-2318.14)Konstam MA, et al. Lancet.2009;374:1840-1848.15)Lam PH, et al.Eur J Heart Fail.. 2018;20:359-369.16)Schmidt M, et al. BMJ.2017;356:j791.17)McMurray JJ, et al.Lancet.2003;362:767-771.18)ONTARGET Investigators. N Engl J Med.2008;358:1547-1559.19)Pitt B, et al. N Engl J Med.1999;341:709-717.20)Pitt B, et al. N Engl J Med.2003;348:1309-1321.21)Zannad F, et al. N Engl J Med.2011;364:11-21.22)Juurlink DN, et al. N Engl J Med.2004;351:543-551.23)Packer M, et al.N Engl J Med.1996;334:1349-1355.24)MERIT-HF Study Group. Lancet. 1999;353:2001-2007.25)Dargie HJ, et al. Lancet.1999;353:9-13.26)Packer M, et al.N Engl J Med.2001;344:1651-1658.27)Düngen HD, et al.Eur J Heart Fail.2011;13:670-680.28)Fonarow GC, et al.Circulation.2011;123:1601-10.29)日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」

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11月3日 ホルモンの日【今日は何の日?】

【11月3日 ホルモンの日】イラスト・いわみせいじ氏〔由来〕ホルモンや内分泌疾患に関する正しい知識を社会に広め、早期診断・治療につなげることを目的にアドレナリンを発見した高峰譲吉博士の誕生日にちなみ日本内分泌学会が制定。関連コンテンツDr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 Part1第128回 承認済のホルモン薬でダウン症候群患者の認知機能が改善【バイオの火曜日】手引き改訂で診断基準に変化、テストステロン補充療法/日本メンズヘルス医学会5年間のビタミンD補給により自己免疫疾患のリスク低減/BMJ潜在性甲状腺機能低下症併発の急性心筋梗塞患者、ホルモン療法は有効か/JAMA

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第133回 三重大病院臨床麻酔部事件、元教授に懲役4年の求刑、大学は新教授で再スタート

事件発覚から2年2ヵ月、6ヵ月かかった公判を経てやっと結審こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この日曜日も、日本シリーズの第7戦の観戦のために神宮球場に行ってきました。オリックス・バファローズの26年ぶりの優勝(1996年はオリックス・ブルーウェーブ)の瞬間を目の前で見たのですが、中島 聡監督の胴上げに続いて、宮内 義彦オーナーも胴上げされていたのには驚きました。日刊スポーツ等の報道によれば、宮内氏は「冥土の土産と言ったら怒られるが、仰木さんにいい報告ができる。無上のよろこびです」と語っていたそうです。87歳(!)の老人を胴上げしてしまうほどの、オリックスの選手たちの若々しさと力強さ(とくに投手陣)が際立ったシリーズでした。宮内氏は今季でオーナーを退任し1ファンになるそうですが、胴上げで冥土に行かなくて本当に良かったです。さて、今回は診療報酬詐取と汚職の事件発覚から2年2ヵ月余り、三重大医学部付属病院の元臨床麻酔部教授の公判が6ヵ月かけてやっと結審し、検察側が懲役4年を求刑したので改めてこの事件を取り上げます。「悪質性の強い犯行だ」として元教授に懲役4年求刑三重大医学部付属病院の臨床麻酔部の薬剤(ランジオロール塩酸塩、商品名:オノアクト)発注などを巡る2件の汚職事件と診療報酬詐取事件で、第三者供賄と詐欺の罪に問われた同部元教授(56)の公判が10月18日、津地裁で開かれました。検察側は論告求刑で「職務の公正さに対する社会の信頼を大きく毀損した悪質性の強い犯行だ」として、元教授に懲役4年、被告が代表理事を務め賄賂の受け皿となったとされる一般社団法人に追徴金200万円を求刑し結審しました。判決は3ヵ月後の来年1月19日に行われる予定です。起訴状などによると、元教授は薬剤発注と医療機器納入で便宜を図る見返りに、小野薬品工業(大阪市)と日本光電工業(東京都新宿区)に金銭を要求。2019年9月~2020年4月には、電子カルテを改ざんして小野薬品のオノアクトを患者に投与したかのように装い、診療報酬をだまし取ったとされています。一連の事件では、診療報酬詐取事件で共犯とされた同部の元准教授、医療機器納入を巡る汚職事件で共犯とされた元講師、そして小野薬品の社員2人、日本光電の元社員3人の計7人の有罪が既に確定しています。ちなみに公電磁的記録不正作出、公電磁的記録供用と詐欺の罪に問われた元准教授には懲役2年6ヵ月・執行猶予4年、第三者供賄罪に問われた元講師には懲役1年・執行猶予3年の判決が下されています。一方、贈賄罪に問われた小野薬品の社員2人には懲役8ヵ月・執行猶予3年、同じく贈賄罪に問われた日本光電の元社員1人には懲役1年・執行猶予3年、元社員 2人には懲役10ヵ月・執行猶予3年の判決が下されています。度々世間を騒がせてきた“悪名”医局この事件の発端は、2020年9月8日、三重大病院が同病院の臨床麻酔部の医師が、実際には投与していないオノアクトを手術中に投与したかのように電子カルテを改ざんし、診療報酬を不正請求した事案が発覚した、と発表したことでした。その後、診療報酬不正請求や電子カルテ改ざんに加え、臨床麻酔部の元教授と小野薬品、日本光電との間の贈収賄事件も明らかとなって、元教授を含め合計8人の逮捕者が出る大事件となりました。さらに、この事件をきっかけに三重大病院において麻酔科医の大量退職も起き、地域の麻酔科医療を大混乱に落とし入れました。この事件については、本連載でも「第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?」、「第36回 元准教授逮捕の三重大・臨床麻酔部不正請求事件 法律上の罪より重い麻酔科崩壊の罪」、「第40回 三重大元教授逮捕で感じた医師の『プロフェッショナル・オートノミー』の脆弱さ」「第45回 製薬企業からの奨学寄付金が賄賂に、三重大元教授再逮捕の衝撃」、「第65回 三重大事件で製薬会社、医療機器メーカーの社員に有罪判決、大学は“どこ吹く風”と後任教授公募へ」と何度も取り上げ、元教授をはじめ、麻酔科医たちのあきれた所業を伝えてきました。そもそも三重大病院の麻酔科は、これまでも度々世間を騒がせてきた“悪名”高き医局として有名でした。2000年代初めに麻酔科医の大量退職(教授以外)が問題となり、その影響で、2004年に麻酔管理と臨床実習に業務を特化した臨床麻酔部がつくられました。2009年には大学医学部の講座(今回の事件を起こした臨床麻酔学講座)も設けられましたが、2018年には同講座の助教が教授をパワハラで訴えた民事訴訟があり、大学に賠償命令が下されています。今回、元教授が中心となって起こした事件によって、三重大麻酔科の“黒歴史”には新たな1ページが加わったことになります。小野薬品を巡る第三者供賄と診療報酬を巡る詐欺については無罪を主張今回求刑された元教授は、防衛医大の卒業で、国立循環器病研究センターなどを経て2016年4月に三重大病院臨床麻酔部に准教授として赴任しました。2018年4月に同部教授に就任、2年後の2020年3月にカルテ改ざんが発覚、同年9月の三重大病院の発表の後、10月に同病院を退職しています。このカルテ改ざんや贈収賄の発覚などで、2021年1月に元講師、日本光電工業の社員3人とともに逮捕・起訴、さらに小野薬品工業の社員2人とともに再逮捕・起訴されました。そして2月にはカルテ改ざん事件の共犯として、詐欺容疑で再逮捕・起訴されています。元教授の公判は、他の被告の公判がすべて終わった2022年4月から津地裁で始まり、計14回、6ヵ月にも及ぶ審理を経て、今回やっと結審しました。中日新聞等の報道では、公判で元教授は第三者供賄罪と詐欺罪で無罪を主張。製薬会社からの寄付金に対する見返りや診療報酬不正請求への認識などを争点に、検察側と弁護側は最後まで対立したとのことです。検察側は論告で「薬剤の大量処方を被告と約束したとする小野薬品工業の社内文書は信用できる。大量処方する対価であることを前提に寄付を受け取ったことは明らか。職務の公正さに対する社会の信頼を大きく損なった」と述べたとのことです。一方、弁護側は最終弁論で「小野薬品工業の担当者の証言や社内文書は信用できず、寄付金の対価性や請託は立証されていない」などと述べ、同社を巡る第三者供賄について無罪を主張、診療報酬を巡る詐欺についても無罪を主張したとのことです。診療報酬を巡る詐欺罪については、部下だった同部元准教授による不正請求を、被告が認識していたかどうかが争点となりました。検察側は「薬が使われずに捨てられていたことを認識しており、詐欺の故意が認められる」と述べたとのことです。これに対し弁護側は「元准教授の一連の行為を認識していた立証はなく、詐欺の故意は認められない」と反論しました。なお3つの事件のうち、日本光電の医療機器納入を巡る第三者供賄罪については起訴内容を認めています。報道等によれば、元教授は「職務権限を利用して対価をもらったことは恥ずかしい」と語るとともに、お金の使い道を「麻酔科医を集めるため。ほとんどを飲食代に充てた」と説明したとのことです。三重大の麻酔科は公募で岡山大から新教授就任元教授以外は既に有罪が確定しており、いずれのケースでも元教授の主導が認定されています。よって、来年1月に予定される判決は、厳しいものとなる公算が高いでしょう。元教授は現在、大阪市の民間病院で麻酔科医を続けているとの情報もありますが、判決内容によっては医師免許取り消し等の行政処分が下される可能性もあります。一方、三重大の麻酔科ですが、今年4月1日付で新たに賀来 隆治教授(51)が就任しています。元教授の退職後、約1年半にわたって麻酔科教授と三重大病院の麻酔科長が不在でしたが、今後は賀来教授が大学と病院の麻酔科の指揮を執るとのことです。5月26日、三重大病院は退職者が相次いだ麻酔部門について麻酔科医の増員など体制強化を発表し、賀来教授のお披露目も行っています。この席で三重大病院は、4月に行われた組織改編で、手術での麻酔を行う「臨床麻酔部」を廃止し、痛みを取り除く治療などを行う「麻酔科」に統合したことを発表しました。新体制で麻酔科医は8人となり、現在停止されている麻酔専門医を育成する研修プログラムについても2023年度の再開を目指すことも発表しました。5月27日付の毎日新聞等の報道によれば、この席で賀来教授は「県民が安心して手術を受けられる最低限の体制が整ったと考えている。風通しの良い職場環境をつくりたい」と話したとのことです。賀来教授は岡山大学医学部出身、今年3月まで岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 麻酔蘇生学講師を務めており、「第65回 三重大事件で製薬会社、医療機器メーカーの社員に有罪判決、大学は“どこ吹く風”と後任教授公募へ」でも書いた教授公募によって選ばれました。三重大よりも歴史があり、力もありそうな“旧六”(旧制医科大学10校のうち国立大学6校)の岡山大のジッツとなることで麻酔科医の安定確保を目指したい、といった病院幹部の思惑が働いたかもしれません。しかし、元教授が賄賂のお金を「麻酔科医を集めるため」にほとんど使っていた、というのが事実とするなら、麻酔科医の確保がそうそうラクになるとは思えません。また、岡山大という新たなプレーヤーの登場で、医局内のパワーバランスも少々心配です。三重大の麻酔科が新たな“黒歴史”を作らないことを祈るばかりです。

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TSLPを標的とした重症喘息の新たな治療選択肢

 2022年10月24日、アストラゼネカは、都内にて「テゼスパイアによる重症喘息治療への貢献」をテーマにメディアセミナーを開催した。TSLPは喘息の重症化や呼吸機能低下に関与 現在の重症喘息治療における課題は複雑な炎症経路である。ウイルスやアレルゲン、ハウスダストなど環境因子の刺激により、気道上皮から上皮サイトカインが産生され、その結果、アレルギー性炎症や好酸球性炎症、気道のリモデリングなど、複数の経路から喘息が増悪すると考えられている。 上皮サイトカインのなかでも、炎症カスケードの起点となっているのが胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)である。TSLPは、喘息の重症化や呼吸機能低下だけでなく、気道のリモデリングやステロイド反応性の低下、ウイルス感染に対する過剰な2型炎症にも関与していると考えられている。TSLPを標的とした生物学的製剤がテゼスパイア テゼスパイア皮下注210mgシリンジ(一般名:テゼペルマブ[遺伝子組換え]、以下「テゼスパイア」)はTSLPを標的とした生物学的製剤である。セミナーでは第III相国際共同試験(検証的試験)、NAVIGATOR試験について、昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 相良 博典氏が詳しく説明した。 対象は、コントロール不良な重症喘息(国際的な喘息診療指針Global Initiative for Asthma:GINAに基づく)を有する成人および12歳以上の小児患者1,061例。対象患者を地域および年齢によって層別化した後、テゼスパイア群およびプラセボ群に1:1で無作為に割り付け、52週間投与した。 主要評価項目である年間喘息増悪率はテゼスパイア群で0.93、プラセボ群で2.10であり、テゼスパイアの有効性が示された(プラセボ群に対する比:0.44、95%信頼区間[CI]:0.37~0.53、p<0.001)。また、その他の副次評価項目である血中好酸球数、FeNO、血清総IgE値のベースラインからの変化量について、テゼスパイア投与後、早期から低下する傾向が見られた。 安全性に関して、有害事象の発現率はテゼスパイア群で77.1%(407/528例)、プラセボ群で79.5%(422/531例)であった。主な有害事象(発現率>10%)は、テゼスパイア群(528例)で上咽頭炎が112例(21.2%)、上気道感染が58例(11.0%)、プラセボ群(531例)で上咽頭炎が113例(21.3%)、上気道感染が84例(15.8%)、喘息が56例(10.5%)に認められた。TSLPを阻害することでテゼスパイアは複雑な炎症経路を同時に抑制 テゼスパイアは、これまでの喘息治療薬とは異なる作用機序を有するため、新たな治療選択肢となる。「2型喘息患者では、いまだに増悪を来す患者が多く存在する。TSLPはさまざまな病態と関連しており、増悪・呼吸機能低下だけでなく、ステロイド抵抗性の獲得や粘液産生、気道リモデリング、神経炎症と、多岐にわたって影響を及ぼす。テゼスパイアは炎症の起点となるTSLPを阻害することで、複雑な炎症経路を同時に抑制し、優れた臨床的改善効果をもたらすことが期待される」と相良氏はまとめ、セミナーを終了した。

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futibatinib、既治療の切除不能肝内胆管がんに対しFDAの承認取得/大鵬

 大鵬薬品工業は、2022年10月3日、米国子会社の大鵬オンコロジーが、FGFR阻害薬futibatinib(開発コード:TAS-120)について、「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を伴う切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がん」の適応で米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表。今回の承認は、FOENIX-CCA2試験での全奏効率(ORR)と奏効期間結果に基づくものである。 FOENIX-CCA2試験は、FGFR2遺伝子融合またはその他の再構成を有する切除不能な肝内胆管がん患者103例を対象とした第II相試験である。全身療法治療歴のある患者を対象に、病勢進行または許容できない毒性が認められるまでfutibatinib20mg/日を経口投与した。本試験の主要評価項目は全奏効率である。

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