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「AYA世代」の緩和ケア、特有の難しさって?【非専門医のための緩和ケアTips】第49回

第49回 「AYA世代」の緩和ケア、特有の難しさって?緩和ケアを提供する患者さん、高齢の方が大半、というケースが多いのではないでしょうか。しかし、長く緩和ケアに関わっていると、終末期の若年者をケアする機会も出てきます。こうしたケースでは、高齢者へのケアとは異なる難しさを感じる方も多いのではないかと思います。今日の質問30歳の子宮頸がん患者さんへの訪問診療の依頼がありました。大学病院に通っていたそうですが、病状の進行に伴い訪問診療が必要になったとのこと。まだお子さんが5歳と小さく、多方面の支援が必要になりそうです。こうした若い方への緩和ケアは、どのような観点から考えればよいでしょうか?若年の終末期患者さんに対するケア、支援者自身が負担を感じることも多いでしょう。私も同世代のがん患者さんや、年下の患者さんを受け持った経験があり、今でも時々思い出します。若年患者は、がん領域ではしばしば「AYA(Adolescent and Young Adult:アヤ)世代」と呼ばれ、このカテゴリーで議論されることも多くあります。一般的には思春期の15歳ごろから30代までを指します。日本においては、年間約2万人のAYA世代ががんに罹患するとされ、罹患全体の2%程度を占めています。割合としてはそれほど多くないものの、総数はそれなりになるので、大学病院やがんセンター勤務でなくても、若年のがん患者さんと接する機会のある方は多いでしょう。AYA世代のがんとして多いのは、白血病などの血液腫瘍や生殖細胞から発生する胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、脳腫瘍など小児に多い腫瘍や、乳がん・子宮頸がんなどの婦人科腫瘍です。希少がんと呼ばれる悪性腫瘍も含まれます。こうした点から基幹病院の専門医との連携も重要になります。また、今回のご質問のように、患者さんが小さい子供を抱えていたり、収入基盤が脆弱だったりすることもしばしばです。とくに「子供にどう病状を伝えるか」について、誰にも相談できずにいるというケースが多くあります。AYA世代の患者さんは、小さなお子さんを含めた家族や周囲の方との関わり方、仕事や収入の確保、時には通学といった、高齢者ではあまり経験しない幅広い支援が必要になることが特徴です。基幹病院や大学病院であれば、認定看護師や臨床心理士など、経験ある専門職と連携してケアに取り組むことができますが、プライマリ・ケアの現場では現実的に難しいことも多いでしょう。つまり、日常的に対応しない方ほど、この分野についてあらかじめ学んでおく必要があるのです。この機会に国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」を確認するだけでも、とても役立つと思います。今回のTips今回のTipsAYA世代の緩和ケア、日常的に対応しない人ほど勉強が必要。

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片頭痛患者の血清尿酸値は痛みの強さに影響しているのか

 プリン体の最終代謝産物である尿酸は、抗酸化物質として作用し、酸化ストレスと関連している。血清尿酸(SUA)は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患の病因と関連している可能性が報告されている。しかし、片頭痛とSUAレベルとの関連を評価した研究は、これまでほとんどなかった。トルコ・Istanbul Basaksehir Cam ve Sakura City HospitalのYavuz Altunkaynak氏らは、片頭痛患者の痛みの特徴とSUAレベルとの関係を調査し、頭痛発作中および頭痛がない期間における片頭痛患者のSUAレベルを対照群と比較検討した。その結果、片頭痛患者の発作中と発作がない期間のSUAレベルの差は、痛みの強さと正の相関を示していることが報告された。Medicine誌2023年2月3日号の報告。 片頭痛患者78例、病院職員よりランダムに抽出した健康な対照群78例を対象に、プロスペクティブ横断研究を実施した。頭痛の特徴(発作持続時間、痛みの強さ、頻度)および社会人口統計学的特徴を収集した。片頭痛患者では頭痛発作中および頭痛がない期間の2回、対照群では1回、SUAレベルを測定した。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛患者における頭痛がない期間のSUAレベルは対照群より高かったが、その差は統計学的に有意ではなかった。・頭痛発作中および頭痛がない期間のSUAレベルの変化に、性差は認められなかった。・年齢、片頭痛の持続時間、頻度、間隔と痛みの強さの関連を調査したところ、女性の片頭痛患者においてSUAレベルの差は痛みの強さと弱い相関が認められ(p<0.05、R>0.250)、男性の片頭痛患者では中程度の相関が認められた(p<0.05、R>0.516)。・頭痛がない期間と比較した頭痛発作中のSUAレベルの差に痛みの強さとの正の相関が認められたことから、SUAはその抗酸化作用により片頭痛に関与している可能性が示唆された。

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乳児期アトピーの“早期治療介入”、鶏卵アレルギーの発症予防に/国立成育医療研究センター

 国立成育医療研究センターの大矢 幸弘氏らの研究グループは、2023年4月10日のプレスリリースで、食物アレルギーの発症リスクが高い、乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎の乳児に対する早期の積極的治療が食物アレルギーの発症を予防することを世界で初めて実証したと発表した。 大矢氏らは、食物アレルギー予防のためにアトピー性皮膚炎の乳児に対して早期に治療を行う臨床研究「アトピー性皮膚炎への早期介入による食物アレルギー発症予防研究/多施設共同評価者盲検ランダム化介入平行群間比較試験:PACI(パッチー)Study(スタディ)」を実施し、研究対象となるアトピー性皮膚炎の生後7週~13週の乳児を、標準的な治療を行う群と、ステロイド外用薬などを使った積極的な治療を行う群に分け、生後28週時点で鶏卵アレルギーがあるかどうかを調べた。その結果、積極的な治療を行った群は標準的な治療の群と比較し、鶏卵アレルギーの発症を25%削減できることがわかった。これは、皮膚への早期の治療介入が食物アレルギーの予防につながるという二重抗原曝露仮説を実証する世界で初めての研究成果である。 今回の研究により、乳児期のアトピー性皮膚炎の発症早期からの速やかな治療開始と、湿疹ゼロを目標とした治療強化により、食物アレルギーの発症を予防できること、アトピー性皮膚炎は食物アレルギーとの関連性が高く、食物アレルギー予防のためには乳児期の発症早期からしっかり湿疹を治療し、経皮感作のリスクを低下させることが重要であることが明らかになった。 大矢氏らは、食物アレルギー予防のためには、乳児期のアトピー性皮膚炎の発症早期からしっかり湿疹を治療し、湿疹ゼロを目標にすることが重要だと語った。ただし、実臨床では、患者さんの症状や重症度などに合わせて、適切な強さのステロイド外用薬の選択を行い、個々の患者さんごとに使用期間と減量のスケジュールを組み立てて副作用を回避し、湿疹ゼロの寛解状態を実現・維持していくことが求められる、と述べている。

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胃がん患者向けGLが19年ぶり改訂、2023年3月発表のエビデンスも反映

 2023年3月に「患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版」が発刊された。2004年版以来、19年ぶりの改訂となる。そこで、金原出版は2023年3月31日に、本ガイドラインの作成委員長を務めた寺島 雅典氏(静岡県立静岡がんセンター胃外科/副院長)を講師に迎え「胃がんの標準治療の今-開発の歴史と今後確立が予想されるエビデンス」をテーマにセミナーを開催した。患者さんに正しい情報へアクセスしてもらいたい 胃がんについては、2004年版を最後に患者さん向けのガイドラインが作成されていなかった。しかし、寺島氏は「患者さんがインターネットなどで目にする情報には不適切なものが多く、正しい情報にたどりつけない方も多い」と言う。そこで、「正しい情報を提供するには、患者さん向けのガイドラインが必要だと感じ、胃治療ガイドライン 第6版1)の内容を基に作成することにした」と述べた。 「患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版」は、第1章では「胃はどこにあるのか」といった基本的なことから、「胃がんはどのようながんか」「胃がんはどのように進展するか」といった内容まで、胃がんのことが総合的にわかるように作成されている。寺島氏は「この部分が患者さんへの説明に非常に役立つと考えている」と話した。第2章では、医師向けの「胃治療ガイドライン 第6版」の内容を患者さんがわかるように平易な言葉で説明されている。第3章では、患者さんが疑問に感じることについて、多くのQ&Aが用意されている。 本ガイドラインは患者団体からの意見も取り入れて作成されており、用語の解説を豊富に取り入れるなど、患者さんにとって理解しやすいように作成されているのも特徴である。胃がんの最新のエビデンスを反映 胃がんの外科的治療は目覚ましい進歩を遂げている。以前は、開腹手術が一般的で、進行がんの一部では拡大手術が推奨されていた。しかし、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)胃がんグループの進行胃がんに対する臨床試験2-5)において、進行胃がんに対する外科手術の意義が見直され、侵襲を減らすことの重要性が注目されるようになった。そしてStageIの胃がんでは、腹腔鏡下胃切除が開腹胃切除と比べて、無再発生存期間に関して非劣性であるというエビデンス(JCOG0912)6)などを基に、腹腔鏡下胃切除が標準治療の1つとして推奨されるようになった1)。さらに、2023年3月にはStageII/IIIの胃がん患者を対象とした幽門側胃切除術に関する臨床試験(JLSSG0901)において、腹腔鏡下胃切除は開腹胃切除と比べて無再発生存期間が非劣性であったという結果が報告された7)。「患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版」では、この2023年3月発表のエビデンスも盛り込まれ、腹腔鏡下胃切除術の解説が掲載されている。また、さらに進歩したロボット支援手術も推奨される時代になっており、これについても本ガイドラインで解説されている。 薬物治療についても進歩が著しく、抗PD-L1抗体薬の使用が推奨され、今後も新しい分子標的治療薬が登場する予定である。そこで本ガイドラインでは、2021年発刊の「胃治療ガイドライン 第6版」の情報だけでなく、WEB速報版8)の内容も取り入れられている。具体的には「図30 推奨されるがん薬物療法」において、「HER2陰性の治癒切除不能な進行・再発胃がん/胃食道接合部がんにおけるニボルマブと化学療法を含む治療」が、1次化学療法の選択肢に追加されている。 そのような背景を踏まえて、「Q3 HER2、CPS、MSIって何ですか?」など、用語の解説も多く掲載されている。寺島氏は「患者さんが治療を理解・納得したうえで、医療者と治療方法を決めていく、Shared Decision Making(SDM)が極めて重要である」と述べ、本ガイドラインを活用してほしいと語った。ガイドライン普及のために 本ガイドラインの患者さんへの普及のために医療者に期待することを聞くと、寺島氏は、「看護師をはじめとするコメディカルの方も手に取って、理解を深めてほしい。そうすることで患者さんの説明もよくわかるようになるため、日々の業務に活用できると考えている。そして、コメディカルの方からも患者さんへこのガイドラインを紹介していただけるとありがたい」と述べた。 なお、金原出版では国立がん研究センター中央病院に、本邦初の医学書の自動販売機を設置し、がん患者さん向けのガイドラインを販売する取り組みを行っている。書籍紹介『患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版』■参考文献1)日本胃学会編集. 胃治療ガイドライン 医師用 2021年7月改訂 第6版. 金原出版;2021.2)Sasako M, et al. N Engl J Med. 2008;359:453-462.3)Sasako M, et al. Lancet Oncol. 2006;7:644-651.4)Sano T, et al. Ann Surg. 2017;265:277-283.5)Kurokawa Y, et al. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2018;3:460-468.6)Katai H, et al. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2020;5:142-151.7)Etoh T, et al. JAMA Surg. 2023 Mar 15. [Epub ahead of print]8)日本胃学会. 胃治療ガイドライン 医師用 第6版 学会WEB速報

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60歳以上への2価RSVワクチン、下気道・急性呼吸器疾患を予防/NEJM

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価融合前F蛋白ベース(RSVpreF)ワクチンは、60歳以上の高齢者において、RSV関連下気道感染症およびRSV関連急性呼吸器疾患を予防し、安全性への明らかな懸念はないことが示された。米国・ロチェスター大学医療センターのEdward E. Walsh氏らが、日本を含む7ヵ国240施設が参加し行われた無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「RENOIR試験」の中間解析結果を報告した。RSV感染症は、高齢者に重大な疾患を引き起こすが、高齢者集団におけるRSVpreFワクチンの有効性と安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年4月5日号掲載の報告。60歳以上の約3万5,000例を対象に、RSVpreFワクチンの有効性と安全性を評価 研究グループは2021年8月31日~2022年7月14日に、60歳以上の高齢者合計3万5,971例を、RSVpreFワクチン120μg(RSVサブグループ、RSV-AおよびRSV-B、各60μg)群(ワクチン群)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、単回筋肉内投与した。 主要エンドポイントは2つで、少なくとも2つまたは3つの兆候/症状(咳、喘鳴、喀痰、息切れ、頻呼吸など)が1日以上持続し、かつ症状発現後7日以内にRT-PCR検査でRSV感染が確認されたRSV関連下気道感染症(すなわち急性呼吸器疾患)に対するワクチンの有効性であった。副次エンドポイントは、RSV関連急性呼吸器疾患に対するワクチンの有効性とした。 中間解析(カットオフ日2022年7月14日)時点で、3万4,284例がRSVpreFワクチン(1万7,215例)またはプラセボ(1万7,069例)の接種を受けた。兆候/症状を伴うRSV関連下気道感染症の予防効果(ワクチンの有効率)は67~86% 少なくとも2つの兆候/症状を伴うRSV関連下気道感染症は、ワクチン群11例(1.19例/1,000人年)、プラセボ群33例(3.58例/1,000人年)に認められ、ワクチンの有効率は66.7%(96.66%信頼区間[CI]:28.8~85.8)であった。また、少なくとも3つの兆候/症状を伴う同疾患はそれぞれ2例(0.22例/1,000人年)および14例(1.52例/1,000人年)で確認され、ワクチンの有効率は85.7%(96.66%CI:32.0~98.7)であった。 RSV関連急性呼吸器疾患は、ワクチン群22例(2.83例/1,000人年)、プラセボ群58例(6.30例/1,000人年)に発生し、ワクチンの有効率は62.1%(95%CI:37.1~77.9)であった。 注射部位反応の発現率はワクチン群(12%)がプラセボ群(7%)より高かったが、全身性のイベント発現率は同程度であった(それぞれ27%、26%)。ワクチン接種後1ヵ月までに報告された有害事象の発現率は同程度で(それぞれ9.0%、8.5%)、治験担当医師によって接種に関連した有害事象と判断されたのはそれぞれ1.4%、1.0%であった。 重症または生命を脅かす有害事象は、ワクチン群0.5%、プラセボ群0.4%で報告された。データカットオフ日までに報告された重篤な有害事象は、各群2.3%であった。

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IgA腎症での尿蛋白減少、sparsentan vs.イルベサルタン/Lancet

 IgA腎症の成人患者において、新規の非免疫抑制性単分子エンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬sparsentanの1日1回投与は、イルベサルタンとの比較において尿蛋白を有意に減少させ、安全性はイルベサルタンと類似していた。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らが、18ヵ国134施設で実施された無作為化二重盲検第III相試験「PROTECT試験」の、事前に規定された中間解析結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「今後、2年間の二重盲検期間完了後の解析により、今回示されたsparsentanの有益な効果が長期的な腎保護作用につながるかどうかが示されるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年4月1日号に掲載の報告。sparsentan vs.イルベサルタン、尿蛋白/クレアチニン比の変化量で検証 研究グループは、2018年12月20日~2021年5月26日に、生検でIgA腎症と確定診断されACE阻害薬またはARBの最大用量による治療を少なくとも12週間受けているが、スクリーニング時の尿蛋白が1.0g/日以上、推定糸球体濾過量(eGFR)が≧30mL/分/1.73m2の18歳以上の成人患者を登録し、スクリーニング時のeGFR(30~<60mL/分/1.73m2、≧60mL/分/1.73m2)および尿蛋白(≦1.75g/日、>1.75g/日)で層別化して、sparsentan(400mg1日1回投与)群またはイルベサルタン(300mg1日1回投与)群に無作為に割り付けた。 有効性の主要エンドポイントは、36週時における24時間蓄尿による尿蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化量とし、反復測定混合効果モデルを用いて評価した。安全性のエンドポイントは、治療下で発現した有害事象(TEAE)とした。 本稿は事前に規定された中間解析の結果を報告したもので、カットオフ日は、有効性が2021年8月1日、安全性が2022年2月1日であった。sparsentan群で尿蛋白/クレアチニン比が有意に減少 スクリーニングを受けた合計671例中406例が無作為化され、このうち2例(各群1例)が試験薬を投与されず、404例が解析対象となった(sparsentan群202例、イルベサルタン群202例)。 36週時における尿蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化率(幾何最小二乗平均値)は、sparsentan群-49.8%、イルベサルタン群-15.1%であり、sparsentan群がイルベサルタン群より41%有意に低下した(最小二乗平均比率:0.59、95%信頼区間[CI]:0.51~0.69、p<0.0001)。 TEAEは、sparsentan群とイルベサルタン群で類似していた。重度浮腫、心不全、肝毒性、浮腫に関連した投与中止は認められなかった。ベースラインからの体重変化は、sparsentan群とイルベサルタン群で差はなかった。

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第5回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会の開催について【ご案内】

 一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会は、5月13~14日に『第5回 AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会』を開催する。今回は、「Co-Creation ―対話からはじめる共創―」とし、長期的健康管理や身体活動性の維持、新規就労など社会とのつながりにおける課題、AYA世代と家族、終末期医療などAYA世代のがん医療を取り巻く多様な課題について取り上げる。大会長の渡邊 知映氏(昭和大学 保健医療学部)は、「この学術集会を通して、当事者と家族・医療者・支援者それぞれが向き合いながら、ときには立場を超えた対話をすることに挑戦したい」としている。 本研究会は、思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult,:AYA)のがん領域の学術活動、教育活動、社会啓発および人材育成などを行うことにより、わが国の思春期・若年成人がん領域における医療と支援の向上に寄与することを目的としている。 開催概要は以下の通り。【日時】現地開催:2023年5月13日(土)~14日(日)オンデマンド配信:5月下旬~6月末 予定※一部プログラムをオンデマンド配信【会場】昭和大学上條記念館〒142-0064 東京都品川区旗の台1丁目1番地20アクセスはこちら【会長】渡邊 知映氏(昭和大学 保健医療学部)【テーマ】Co-Creation ―対話からはじめる共創―【参加登録】下記URLから参加登録が可能https://eat-sendai.heteml.net/jcs/ayaken-cong5/regist/index.html【プログラム(抜粋)】会期前日5月12日(金) 19:00~20:30 ライブ配信(後日オンデマンド配信あり)市民公開講座 「AYA研ラジオ」AYA世代でがんを経験した患者さんから、そのエピソードを大会長と副大会長をMCに進行する予定。オンラインでどこからでもつながることができる。また、スペシャルなゲストも招く企画も進行中のため、乞うご期待!<5月13日(土)>シンポジウム1 「AYAがん患者における運動器障害マネジメント~がんであっても動きたい!」塚本 泰史氏(大宮アルディージャクラブアンバサダー 事業本部 社会連携担当)五木田 茶舞氏(埼玉県立がんセンター整形外科/希少がん・サルコーマセンター)岡山 太郎氏(静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科)パネルディスカッション1 「AYA世代がん患者と家族 親との関わりに着目して」前田 美穗氏(日本医科大学)山本 康太氏(東京ベイ・浦安市川医療センター 事務部総務課)枷場 美穂氏(静岡県立静岡がんセンター 緩和医療科)国際連携委員会企画米国におけるAYAがん支援プログラムの活動体制、支援内容、活動評価についてProf. Bradley J. Zebrack氏(University of Michigan School of Social Work)<5月14日(日)>シンポジウム2 「青年期および若年成人(AYA)がんサバイバーの長期的健康管理」三善 陽子氏(大阪樟蔭女子大学 健康栄養学部健康栄養学科 臨床栄養発育学研究室)志賀 太郎氏(がん研究会有明病院 腫瘍循環器・循環器内科)理事長企画おばさん(おじさん)どもに思春期なんてわかるもんか~コロナ世代のコミュニケーションと未来~大野 久氏(立教大学名誉教授)【主催】一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会【お問い合わせ】運営事務局 第5回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会E-mail: ayaken-cong.5@convention.co.jp

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既報のRCT 3研究の共同解析結果から、高感度CRPとLDLコレステロール濃度モニターでスタチン治療を成功に導く秘策を学ぶ!―(解説:島田俊夫氏)

はじめに 慢性炎症が血管障害、動脈硬化、がん等の発生に密接に関係していることは周知の事実である。Ridkerら1)は高感度CRP(hsCRP)の慢性炎症の評価マーカーとしての有用性に着目して多くの論文を発表しており、スタチン投与によるhsCRP濃度を下げることで、動脈硬化、血管障害、心血管イベント・死の評価に有用だと報告している。 とくに高LDLコレステロール(高LDL-C)血症、高血圧、糖尿病(DM)、肥満等の疾患を複数合併する患者へのスタチン投与でhsCRPが低下すれば、イベント抑制、予後の改善につながるとの期待を抱かせる。 一方で、高LDL-C血症が冠動脈疾患の重要なリスク因子であることは、欧米を中心に多数の研究論文の発表により周知されている。 今回取り上げた多国籍RCT 3研究の対象者(3万1,245例)はすべてが治療目的でスタチン投与を継続中であり、また、多くのDM患者を含んでいることは意味深長である。括弧内はDMを含むパーセントを示す。PROMINENT試験(100%)、REDUCE-IT試験(58%)、STRENGTH試験(70%)に参加し、かつ、スタチン投与が継続されているアテローム性動脈硬化症患者を対象に共同分析が行われた。Ridkerらによりその成果がLancet誌の2023年3月6日号にonlineで発表された。有益なメッセージを含んだ論文であり紹介する。hsCRPおよびLDL-C濃度の心血管死、全死亡および心血管障害の発生予測に関して 動脈硬化、DM、高血圧、高LDL-C血症、メタボ症候群らを有する患者では、hsCRP濃度が高値を示すことはよく知られている。これまでの研究から慢性炎症が関連する生活習慣病では、hsCRP濃度が上昇することがわかっている。 RCT 3研究においてもLDL-C、血清hsCRP濃度の四分位数データの解析結果から、今後発生する心血管イベント、心血管死および全死亡の予測マーカーとして両マーカーともにおしなべて有用であったが、調整済みハザード比による検討から心血管イベントおよび死亡への影響力に関しては、LDL-C濃度に比べてhsCRP濃度の影響力が勝っていた。結語 今回のRCT 3研究を要約すると、研究成果の共同解析結果からhsCRP(残存炎症リスク)とLDL-C濃度(残存LDL-Cリスク)を比較すると、残存炎症リスクマーカーのほうが残存LDL-Cリスクマーカーよりも、スタチン治療を受けている患者の心血管イベント・死に深く関連していることが明らかになった。両マーカーともに治療評価マーカーとして有用ではあるけれども、心血管イベント・死の評価にはhsCRPの影響力が優れていた。目的達成のためにはhsCRP濃度を目安に治療戦略を計画するほうが好ましいとのメッセージと理解する。 スタチン治療の評価には、治療後のLDL-C濃度(残存LDL-Cリスク)の重要性よりも、hsCRPの治療後の低下(残存炎症リスク)のほうが明らかに有用性は大きい。さらに、hsCRP濃度の低下が不十分な場合は、抗炎症剤の補助的使用2)も含んだ治療を考え、致命的な心血管イベント・死を回避するための補助治療の介入選択を示唆しているのではないか。

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【GET!ザ・トレンド】第2の聴診器ポケットエコーの進化はAirへ

(協力:GEヘルスケア社)医療検査機器の進歩は目覚ましいものがある。とくにCTやMRIは、さらに高画質化し、読影も立体的になるなど、最近ではソフトウェアの進歩も著しい。また、超音波も同様に高画質化、コンパクト化がはかられ、ベッドサイドではなくてはならない検査機器となりつつある。こうした診療機器を一堂に集めた国際医用画像総合展(ITEM 2023)が4月14日から3日間、パシフィコ横浜で開催される。ITEMの開催を前にCareNeTVやケアネットDVDでもお馴染みの白石 吉彦 氏(島根大学医学部附属病院 総合診療医センター センター長/隠岐広域連合立隠岐島前病院 参与)にポケットエコーの進化を振り返り、臨床現場での使い方のポイントや検査・読影のコツ、そして、今後の展望についてお聞きした。質問 ポケットエコーの進歩とハードウエアの課題について教えてください2010年にVscan(GEヘルスケア社製)がポケットエコーの嚆矢として発売されました。非常に衝撃的ではありましたが、当時は心エコーなど限定された部位・機能であり、現在のように処置などに使えませんでした。2010年に発売されたポケットエコーVscan(GEヘルスケア社製)その後、他のメーカーもポケットエコーを開発・発売していくなかで、先のVscanはプローブのデュアル化をしました。1個のプローブにセクタ型とリニア型が一体となり、携帯する機材の省力化で、臨床現場での使い勝手が向上しました。Vscan Dual Probe(GEヘルスケア社製)その間にも個々の機種は充電がしやすくなったり、起動までの時間が短縮化されたり、軽量化なども図られるとともに、本体の価格もかなり安くなっていきました。そして、現在の進化はVscan Air(GEヘルスケア社製)のように無線化であり、邪魔なコードがなくなり、プロ―ブを検査したいところに当て、機動性良く検査ができるようになりました。また、所見はタブレットやスマホに送ることができて、その画面で読影ができるようになりました。Vscan Air Carotid Artery(GEヘルスケア社製)臨床では、臨床判断と手技の向上に役立てる超音波検査を“point-of-care ultrasonography”(POCUS)と呼び、一般社団法人 日本ポイントオブケア超音波学会(j-pocus.com)が設立されるなど環境も大きくかわりつつあります。ポケットエコーで今後期待されることとしては、画質や画面の大きさ、価格、質の担保があります。たとえば、胆嚢炎について、本症では読影時に胆嚢壁の厚さや形状を知ることが大事です。ポータブルエコーでは、カラードップラーも使え、鮮明に壁の厚さもわかりやすい一方で、ポケットエコーではまだそこまで到達できていません。ほかに重要な点として非接触充電ができるようになったり、機能的にも良くなっていますが、「電池の持ち時間」がユーザーとしては気になります。もっと長時間使用できるようになって欲しいと思います。1点注意しなければいけないこととして、最近ではインターネットサイトで非常に安価なポケットエコーを入手することができます。サイトで買われたポケットエコーは、自己トレーニングなどでの使用は問題ありませんが、薬機法(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について安全性と、体への有効性を確保するための法律)を通っていない機器は、診療で使用すると法に抵触する恐れがあります。この点を医療者はよく理解して、診療にあたらなければいけないということがあります。質問 ポケットエコーの臨床現場での活用法やビギナー向けのポイントを教えてくださいポケットエコーは在宅診療をされている医療者などでは結構普及していますが、医師全体からすると、まだ5%も普及していません。理由はいろいろとありますが、はじめの頃は250万円くらいの高価なデバイスであったことが要因かと思います。ポケットエコーのメリットは、携帯性、経済性、起動時間の早さにあります。診療に使うことで診断精度と治療精度の向上が望めます。私の勤める病院では、看護師にも積極的にポケットエコーを扱ってもらっています。一例として「導尿」の有無の判断に膀胱にエコーを当て、導尿の必要があるかどうかを判断しています。導尿では、感染症のリスクや患者さんの羞恥心もあり、できればしたくない処置です。そこでエコーを当て要否を判断することで確実に導尿が必要な患者さんにだけ処置を施すことができます。これは全国でもまれかもしれません。また、膀胱の背側にある直腸の便を確認することもできます。膀胱横断面所見(提供:GEヘルスケア社)画像を拡大する診断の補助として、たとえばひざの腫れであれば、関節液の貯留か軟部組織の炎症による腫脹か、それ以外の原因なのか、ベテランでないと難しい診断もポケットエコーを使えば診断がし易くなります。触診した部位を見える化することによりポケットエコーで身体所見の診断の答え合わせもできます。ほかにもプライマリ・ケアでよくある主訴の「頻尿」では、問診では判断が難しい過活動膀胱か神経因性膀胱かどうかについて、ポケットエコーで膀胱の容量を把握し、残尿があるかないかを確認することができます。両疾患では治療薬も異なるので、適切な治療につなげることができます。エコーは軟部組織や水をよく描出するので胸水、肺B-line、胸膜、膝などの診断に強みを発揮します。今では初期の大動脈瘤の発見もできる精度であり、みつけることができれば予防的な治療も可能です。膀胱、前立腺所見(提供:GEヘルスケア社)画像を拡大する腹部大動脈所見(提供:GEヘルスケア社)画像を拡大する処置で使うのであれば、ひざの穿刺などで注射を必要な部位にピンポイントで施行できますし、膀胱、便秘、肺エコー、大静脈の点滴の適否、末梢血管確保についてポケットエコーは有効です。エコーを使用した処置により、ベテランでもそうでなくとも同じ視覚で処置ができるので、医療の均てん化にも役立つと考えています。質問 超音波所見の読影のコツやビギナー向けの学習法について教えてくださいエコーの上達については、とにかく「日々プローブを当てること」が基本です。自分でも仲間同士でもプローブを当て、手技や読影を訓練することです。もちろんこのときには指導する先輩医師の役割も重要ですし、身近にすぐできるエコーがあることも必要です。そういう意味ではポケットエコーは、エコーに馴染むという意味ではよいツールとなります。また、読影でわからない場合で先輩医師がいない場合には、成書やDVDなどで学習し、それでも難しいときは研修会などで勉強することが必要です。本当は、医学生のころからエコーに慣れ親しむのがいいのですが、現在、医学部でのエコーの講義や実習は、力の入れ具合に差があります。私が所属している島根大学医学部では、医学生にエコーの勉強会を実施していますし、エコーを使った診療の動画も島根大学医学部附属病院 総合診療医センターのサイトで公開して、学習のサポートを行っています。今年の7月には私が会長で行う「第15回 日本ポイントオブケア超音波学会学術集会」を島根で開催します。エコーに少しでも興味のある医療者にはぜひ参加していただきたいと思います。質問 ポケットエコーの将来の展望について教えてください診療でポケットエコーが普及していけば、診療ガイドラインなどにも記載されるようになるでしょう。日本ポイントオブケア超音波学会(JPOCUS)では、ガイドラインから試案を作成したりしていますし、日本救急医学会では「救急point–of–care超音波診療指針」を公開していますので、じわじわと臨床の中に入っていくと思われます。今後、プライマリ・ケアでも症状や病態の見える化は需要が増していきますので、「第2の聴診器」として医療者には必要な手技・スキルになると考えます。繰り返しますが、ポケットエコーの理想形としては、より小さく、軽く、鮮明な画像で、値段もお手ごろ、電池も長持ちし、操作も簡単、プローブのバリエーションもあり、そして、院内のPACSにつながるポケットエコーの登場を期待します。(インタビューは2023年3月6日に実施/ケアネット 稲川 進)

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花より団子【Dr. 中島の 新・徒然草】(472)

四百七十二の段 花より団子新年度、新メンバー!どこでもそうでしょうが、ウチもようやく軌道に乗った感じです。さて、先日のこと。いきなり私を訪ねて、めまいの新患がやって来ました。残念ながら午後から出張があり診察したのはほかの先生。翌日にカルテで確認してみると、入院になっていました。30代の女性ですが、「髄液漏出症疑い」となっています。訪室してご本人にお話を伺うことに……中島「なんで私だったんですか?」患者「友達が同じような症状で、以前に中島先生に診てもらったって」その友達は半年ほど前に私が診て、髄液漏出症と診断していたみたいです。患者「彼女とそっくりだったんですよ、頭痛が」寝ていると1/10程度の頭痛が、起き上がると10/10になるそうです。病室でもベッドの上に座ったら頭が痛くなり、10秒もしたら寝てしまいました。まさしく髄液漏出症の症状です。患者「何でこんなことになってしまったんでしょうか?」以下、私なりの説明をしました。エビデンスはまったくなく、自分の経験と想像をもとにしたものです。が、まあ聞いてやってください。まず原因です。これはまさしく脳脊髄液、いわゆる髄液が漏れることによって起こります。私が思うに、漏れる場所は頚椎神経根のroot sleeveではないかと。そもそもroot sleeve(神経根の袖)というのも変な名称です。でも、その由来を知ると、これほどピッタリの呼び方もありません。長袖のワイシャツを着た人間を想像してみましょう。人間の胴体が脊髄そのものです。左右にのびた上肢が神経根。ワイシャツが脊髄を包む硬膜。そしてワイシャツと人間の間に水が貯まっていると想像してください。その水が硬膜と脊髄の間にある髄液です。で、長袖のワイシャツの袖口のボタンを留めていると水は漏れません。が、ボタンが留まっていないと袖口から水が漏れます。これが髄液漏出症の本態ではないでしょうか。私の勝手な想像ですが。髄液が漏れるメカニズムの次は、頭が痛くなるメカニズムです。これは金魚鉢の水の中に脳が浮かんでいると想像してください。金魚鉢の水が減ると、浮かんでいた脳が下に引っ張られて頭が痛くなるわけです。だから立つと頭痛がして、寝ると楽になる。そして朝は調子いいのに、昼から頭痛がひどくなるわけです。これが髄液漏出症による頭痛の正体ですね。じゃあ、何がキッカケで髄液がroot sleeveから漏れるのか?まず、まったくキッカケのない特発性のものもあります。が、よくよく聞くと、いろいろとキッカケらしいものがあったりするわけです。追突事故を食らった、遊園地でジェットコースターに乗った、手を勢いよく引っ張られた、重い荷物を持った、等々。頚を捻ったり手を引っ張られたりすることが、神経根に影響するのではないでしょうか。とくに追突事故の場合は、受傷後1ヵ月ほどで頭痛が出てきます。なので、事故との因果関係の有無で揉めがちです。これら頚の運動のほかに、急に痩せて髄液漏出症になった人も見たことがあります。神経根周囲の脂肪が減ってシールされなくなるのかもしれません。謎ですね。話をこの患者さんに戻します。中島「何か原因について思い当たることはありませんかね?」患者「いや、普通の社会人ですから、何もありませんよ」中島「たとえば、普段やりなれないスポーツをしたとか」患者「数日前にバレーボールをしたけど、そんなに真剣ではなかったです」久しぶりのバレーボールですか!この方にとっては真剣でなくても、結構激しい内容だったようです。中島「普段曲げない方向に頚を曲げたりしたのが原因かもしれませんね」患者「そう言われれば、そんな気もします」次に診断です。造影MRIとかRIシンチとかの画像診断もありますが、私はほとんどやっていません。やるのは交通事故で証拠を示す必要がある時くらいです。いつも病歴と身体所見だけで診断しています。立位や座位で頭痛が悪化し臥位で改善する、という病歴が典型的です。そのほか、湯船に浸かると頭痛が悪化する、という患者さんもいました。身体所見では以下のうちのいくつかをチェックしています。頚部の静脈を軽く圧迫するクエッケンシュテット試験で頭痛が改善する。上肢を指先に向かって引っ張る(下制)と、頭痛が悪化する。上肢を指先から肩に向かって押す(下制の逆運動)と、頭痛が改善する。上肢を挙上すると、頭痛が改善する。下制するとroot sleeveが開いて髄液が漏出するのかもしれません。挙上は下制の逆にあたる動きなので、髄液漏出が改善するのでしょうか。この患者さんの場合は、これら身体所見もピッタリ当てはまりました。なので、髄液漏出症で間違いないことと思います。最後に治療です。私の経験では30人中29人くらいは3ヵ月以内に自然に治りました。残る1人は難治性なので、ブラッドパッチをしている施設に紹介しています。自然に治るとはいえ、少しでも早く良くなりたいというのが人情です。私がお勧めしているのは、なるべくゴロゴロして暮らすというもの。ちょっと調子がいいからといって、散歩したらまた悪化します。家事は全部誰かに頼むこと。この患者さんの場合は、ご実家でゴロゴロすることに決めたようです。それと、痩せると発症するので、太ると早く治る気がします。root sleeve周辺の脂肪が増えて、シール効果が上がるのかもしれません。というわけで、半年前のカルテを確認してみました。この方のお友達にも、私は「よく食べるように」とアドバイスをしていたようです。でも、自分ではまったく記憶に残っていません。最近はいろいろと忘れてしまうことが多いですけど、ちょっと情けないですね。最後に1句漏れた水 花より団子で 治療する

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第40回 「5類新型コロナ」の出勤停止は何日間?

意外にも政府は「5日間」を推す形にインフルエンザには、学校保健安全法において「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」という細かい規定があり、学校だけでなく、企業でもこれを用いて運用しているケースが多いと思います。新型コロナが「5類感染症」になった後、これまであった「療養期間はなしになる」という理解が広まっていますが、さすがにそれはないでしょう。たぶん。ゴホゴホ咳をして3日目で出勤されたら、いくら何でも迷惑というものですが、政府からは、どういうわけか「5日間」という提案がなされているようです。現在はまだ新型インフルエンザ等感染症のもとにあるため、感染症法に基づいて、症状がある人は7日間が経過し症状軽快から24時間経過した場合、無症状の人は5日目に検査キットで陰性が確認できたら6日目から解除可能、と定められています。有症状だと、インフルエンザより2日間長いくらい対応しないと、感染が広がりやすいという認識だったのです。それがどういうわけか、インフルエンザと同様「5日間」ということになりそうです。PCRで新型コロナ陽性が確定した後、感染性の新型コロナウイルスが検出されなくなるまでの期間は、オミクロン株で中央値5日間とされています1)。また、国立感染症研究所のデータでは10日を超えての感染リスクは低いとされています2)。7日間というのはちょうどこの間くらいの位置で、全員が感染させないというわけではない点に注意が必要です。発症後7日目には、幾何平均ウイルス力価が検出限界値を下回るというデータも直近示されており3)、CDCも現時点では療養期間は5日間としています。現状、いくらインフルエンザと同じ「5類感染症」に移行するとはいえ、同じようなウイルスだからということで5日間に短縮するとなると、それなりのリスクを抱えることになるかもしれません。学校保健安全法に明記される方針であり、近々厚労省から「5類」後の療養期間について正式な発表があるでしょう。医療機関で働く人の場合、感染の危険性にさらされるのは患者さんですから、個々の病院で検討されてもよいかもしれません。濃厚接触者の概念は新型コロナの濃厚接触者の自宅待機期間は5日間とされていました。しかしもはや、濃厚接触者かどうかなどあまり気にされていないムードになっていて、これについては「5類」化によって消失するのではないかと思います。濃厚に曝露した人は注意してください、くらいの文言になるかもしれません。参考文献・参考サイト1)Boucau J, et al. N Engl J Med. 2022;387:275-277.2)国立感染症研究所:SARS-CoV-2 オミクロン株感染による新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査(第6報):ウイルス学的・血清学的特徴3)国立感染症研究所:オミクロン系統感染者鼻咽頭検体中の感染性ウイルスの定量

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なぜジャンクフードを食べたくなる?おやつに意外な効果も?

 高脂肪・高糖質の食品には中毒性がある。高脂肪・高糖質の食事は、エネルギーの過剰摂取と体重増加をもたらすが、その根底にあるメカニズムは明らかになっていない。また、肥満が脳内ドパミン神経系の変化と関連することが知られているが、これらの変化が、「太りやすい体質にしているのか」「肥満に伴って2次的に生じるのか」「欧米型の食事に直接起因するのか」は解明されていない。そこで、ドイツ・マックスプランク代謝研究所のSharmili Edwin Thanarajah氏らは、正常体重の健康成人を対象に、通常の食事に加えて高脂肪・高糖質のヨーグルトまたは低脂肪・低糖質のヨーグルトを8週間摂取させる無作為化比較試験を実施した。その結果、高脂肪・高糖質のヨーグルトの摂取は、低脂肪食品への嗜好性を低下させたが、高脂肪・高糖質のミルクセーキに対する脳の反応を増加させた。さらに、食事とはまったく関係のない連合学習能力も向上させた。これらの変化は、体重や代謝パラメータとは関係がなかった。本研究結果は、Cell Metabolism誌4月4日号に掲載された。 正常体重の健康成人49人を通常の食事に加えて、高脂肪・高糖質のヨーグルト(高脂肪・高糖質群)または低脂肪・低糖質のヨーグルト(低脂肪・低糖質群)を摂取する群に無作為に割り付け、1日2回8週間摂取させた。ベースライン時と8週後において、BMIや空腹感、臨床検査値が評価された。また、脂肪や糖に対する嗜好性、ミルクセーキに対する脳の反応、食事とは関係のない連合学習能力などが評価された。脂肪に対する嗜好性は糖質の量を固定した4種の脂肪含有量(0%、3.1%、6.9%、15.6%)のプリン、糖に対する嗜好性は4種のスクロース添加量(0M、0.1M、0.56M、1.0M)のリンゴジュースで評価した。 主な結果は以下のとおり。・8週間後における体重や臨床検査値の変化について、高脂肪・高糖質群と低脂肪・低糖質群に有意差は認められなかった。・8週後において、高脂肪・高糖質群は低脂肪・低糖質群と比べて低脂肪の食品(脂肪0%のプリン)に対する嗜好性が有意に低下した(p=0.015)。・8週後において、高脂肪・高糖質群と低脂肪・低糖質群はいずれも低糖質の飲料に対する欲求がベースライン時と比べて低下し、両群間に有意差は認められなかった。・8週後において、高脂肪・高糖質群は低脂肪・低糖質群と比べて、ミルクセーキ提供の合図に対する神経反応が中脳、右背外側前頭前野、視床、両側後頭葉皮質において増加した。また、高脂肪・高糖質群はミルクセーキを飲んでいる際の神経反応が左の島皮質後部と右の島皮質中部・前部で増加した。・8週後において、食事とはまったく関係のない連合学習テスト(聴覚刺激と対応する視覚刺激を選択する)を実施したところ、高脂肪・高糖質群の腹内側前頭前野、腹側線条体、島皮質後部、海馬の神経反応が増加していた。 著者らは、「高脂肪・高糖質の食品を繰り返し摂取すると、等カロリーの低脂肪・低糖質食品を摂取した場合と比べて、体重や代謝パラメータに変化がないにもかかわらず、嗜好性の高い食品への反応が高まるように脳の神経回路が変化することが示された。肥満を抑制するためには、食環境を変えて高脂肪・高糖質の食品の摂取を減らすことが極めて重要と考えられる」とまとめた。

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オレキシン受容体拮抗薬を使用している日本人不眠症患者の特徴

 日本におけるオレキシン受容体拮抗薬(ORA)の処方パターンに関して、臨床現場のリアルワールドデータを調査した研究はほとんどない。MSDの奥田 尚紀氏らは、日本の不眠症患者へのオレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子を特定する初の調査を実施し、睡眠薬による治療歴の有無により、オレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子は異なることを明らかにした。著者らは、「本調査結果は、オレキシン受容体拮抗薬を用いた適切な不眠症治療の指針となりうる可能性がある」としている。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2023年3月3日号の報告。オレキシン受容体拮抗薬処方のオッズ比の高さと関連していた因子 対象は、2018年4月~2020年3月の間に、不眠症による1つ以上の睡眠薬の処方が12ヵ月以上継続していた20~74歳の外来患者。JMDC Claims Databaseより患者データを抽出した。睡眠薬の新規/非新規の使用(処方歴がない/ある)患者それぞれにおいてオレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子(患者の人口統計学的因子および精神医学的合併症)を特定するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。 日本の不眠症患者へのオレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子を特定する調査の主な結果は以下のとおり。・睡眠薬の新規使用患者5万8,907例中、評価時点でオレキシン受容体拮抗薬が処方されていた患者は1万1,589例(19.7%)であった。・睡眠薬の新規使用患者において、オレキシン受容体拮抗薬処方のオッズ比(OR)の高さと関連していた因子は、男性(OR:1.17、95%信頼区間[CI]:1.12~1.22)、双極性障害の合併(OR:1.36、95%CI:1.20~1.55)であった。・睡眠薬の非新規(処方歴がある)患者8万8,611例中、評価時点でオレキシン受容体拮抗薬が処方されていた患者は1万5,504例(17.5%)であった。・睡眠薬の処方歴がある患者において、オレキシン受容体拮抗薬処方のORの高さと関連していた因子は、若年と以下の精神疾患の合併であった。 ●神経認知障害(OR:1.64、95%CI:1.15~2.35) ●物質使用障害(OR:1.19、95%CI:1.05~1.35) ●双極性障害(OR:1.14、95%CI:1.07~1.22) ●統合失調症スペクトラム障害(OR:1.07、95%CI:1.01~1.14) ●不安症(OR:1.05、95%CI:1.00~1.10)

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ICI肺臓炎に対するプレドニゾロン6週間治療/日本臨床腫瘍学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連肺臓炎(irP)に対するプレドニゾロン6週間漸減療法の効果が示された。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)における、浜松医科大学の柄山 正人氏の発表。 irPはICIの重篤な有害事象(AE)であり、がん治療の経過にも大きく影響する。irPの標準治療は全身性ステロイドの投与だが、前向き試験は行われておらず、投与量・期間は明らかになっていない。そのような中、柄山氏らは、irPに対するプレドニゾロン6週間漸減療法の有効性と安全性を評価する前向き多施設単群第II相試験を行った。対象:ICI投与後にGrade2以上のirPを発症したがん患者(n=56)介入:プレドニゾロン 1mg/kg/日を投与、6週間で漸減評価項目:[主要評価項目]6週時の肺臓炎制御率[副次評価項目]12週時の肺臓炎制御率、肺臓炎再発率、安全性 主な結果は以下のとおり。・56例中51例が試験治療を完遂した。・対象の年齢は72歳、男性が85.3%、irPの重症度はGrade2が62.5%、Grade3が33.9%、Grade4が3.6%であった。・がん種は、肺がん67.9%、腎がん10.7%などであった。・6週時のirP制御率は91.1%(80.7〜96.2)であり、事前に設定した閾値(下限70%、上限85%)を上回った。・12週時のirP制御率は57.1%であった。・AE発現率は全Gradeで66%、Grade3/4では18%であった。 柄山氏は、irPに対するプレドニゾロン6週間漸減療法は有効かつ安全な治療選択肢であるとの結論を述べた。

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コロナ入院患者のヘパリンによる治療効果、重症度・BMIで差/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、治療量ヘパリン投与の効果にばらつきがあることが、カナダ・トロント総合病院のEwan C. Goligher氏らにより示された。治療効果の異質性(HTE)を3つの手法で評価した結果、入院時の重症度が低い人やBMI値が低い人では有益である可能性があるが、重症度が高い人やBMI値が高い人では有害となる可能性が高かったという。これまでに行われたCOVID-19入院患者を対象とした治療量ヘパリンに関する無作為化臨床試験(RCT)では相反する結果が示されており、個人間のHTEが原因ではないかとみなされていた。結果を踏まえて著者は、「RCTのデザインおよび解析では、HTEを考慮することが重要であることが示された」とまとめている。JAMA誌2023年4月4日号掲載の報告。治療効果の異質性を3つの手法で評価 研究グループは2020年4月~2021年1月に、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアで、COVID-19で入院した3,320例を登録し、治療量ヘパリン vs.通常ケアの薬物療法による血栓予防効果を比較した複数プラットフォーム適応型RCTについて、探索的解析を行った。また、治療量ヘパリンのHTEについて、(1)ベースライン特性の従来型サブグループ解析、(2)多変量アウトカム予測モデル(リスクベースのアプローチ)、(3)多変量因果フォレストモデル(効果ベースのアプローチ)の3つの方法で評価した。解析は、オリジナル試験と一貫したベイジアン統計を主として用いた。 主要アウトカムは、臓器支持療法を必要としない日数(入院中死亡は-1とし、退院まで生存した場合は、最大21日のうち心血管系・呼吸器系の臓器支援が不要だった日数)と、入院生存率だった。複数プラットフォームRCT集団では、治療量ヘパリンの効果認められず 治療量ヘパリン群と通常ケア群のベースラインの人口統計学的特性は似かよっており、年齢中央値は60歳、女性は38%、32%が非白人種、45%がヒスパニック系だった。 複数プラットフォームRCT集団では、治療量ヘパリンによる臓器支持療法を必要としない日数の増大は認められなかった(オッズ比[OR]の事後分布中央値:1.05、95%信用区間[CrI]:0.91~1.22)。 従来型サブグループ解析では、治療量ヘパリンの臓器支持療法を必要としない日数に対する効果は、ベースラインの臓器支持療法の必要性(OR中央値:重症0.85 vs.軽症1.30、OR差の事後確率99.8%)、性別(同:女性0.87 vs.男性1.16、96.4%)、BMI(30未満 vs.30以上、すべての比較において>90%)で差が認められた。 リスクベースの解析では、予後不良リスクが最も低い患者がヘパリンによる便益を得られる傾向が最も高く(最低十分位群:>1のORの事後確率92%)、予後不良リスクが最も高い患者がヘパリンによる害を受ける傾向が最も高かった(最高十分位群:<1のORの事後確率87%)。 効果ベースの解析では、害を受けるリスクが最も高い患者(治療効果の差に関するp=0.05)はBMI値が高く、ベースラインで臓器支持療法を要する可能性が高い傾向が認められた。

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妊婦への2価RSVワクチン、乳児の重症下気道感染を予防/NEJM

 妊婦への2価RSV融合前F蛋白ベース(RSVpreF)ワクチン投与は、乳児において診察を要する重症の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連下気道感染症に対し予防効果があり、安全性への懸念は示されなかった。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のBeate Kampmann氏らが、約7,400例の妊婦とその出生児を対象に行った第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。これまで、同ワクチンの妊婦への投与の効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年4月5日号掲載の報告。18ヵ国で49歳以下の健康な妊婦を対象に試験 研究グループは18ヵ国で、妊娠24~36週、49歳以下の健康な妊婦を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に割り付け、一方には2価RSVpreFワクチン(120μg)を、もう一方にはプラセボをいずれも単回筋肉内投与した。 有効性の主要エンドポイントは2つで、生後90日、120日、150日、180日以内の乳児における、診察を要した重症RSV関連下気道感染症と、診察を要したRSV関連下気道感染症だった。 ワクチンの有効性を示す信頼区間(CI)下限値(90日以内が99.5%CI値、それ以降は97.58%CI値)は20%超と規定した。有害事象発生率は両群で同等 2020年6月17日~2022年10月2日に7,392例の妊婦が無作為化され、そのうち7,358例(RSVpreFワクチン群3,682例、プラセボ群3,676例)が接種および評価を受けた。乳児についてはRSVpreFワクチン群3,570例とプラセボ群3,558例が組み込まれた。 本論は事前規定の中間解析の結果を示すもので、主要エンドポイントの1つに関して、ワクチンの有効性を示す基準が満たされた。 生後90日以内の、診察を要した重症RSV関連下気道感染症は、RSVpreFワクチン群の乳児で6件、プラセボ群では33件だった(ワクチン有効性:81.8%、99.5%CI:40.6~96.3)。同様に生後180日以内では19件と62件だった(ワクチン有効性:69.4%、97.58%CI:44.3~84.1)。 一方で、診察を要したRSV関連下気道感染症については、生後90日以内でRSVpreFワクチン群の乳児24件、プラセボ群56件が報告され(ワクチン有効性:57.1%、99.5%CI:14.7~79.8)、統計学的な有効性を示す基準を満たさなかった。 安全性に関連する兆候は、妊婦および生後24ヵ月までの乳幼児ともに認められなかった。ワクチン投与1ヵ月以内または生後1ヵ月以内に発生した有害事象の発生率は、RSVpreFワクチン群(妊婦13.8%、乳児37.1%)とプラセボ群(13.1%、34.5%)で同程度だった。

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sotaterceptは新しい作用機序の肺動脈性肺高血圧症の新薬である(解説:原田和昌氏)

 BMP(bone morphogenetic protein)シグナルの機能喪失とTGF-β(transforming growth factor-β)シグナルの過剰が肺動脈性肺高血圧症(PAH:pulmonary arterial hypertension)を進行させると報告されている。アクチビンIIA型受容体(ACTR IIA)-Fcは、免疫グロブリン(Ig)G1のFc領域とアクチビンIIA型受容体の細胞外領域からなる遺伝子組み換え融合糖タンパク質であり、アクチビンA/BとGDF(growth differentiation factor)8、GDF11を中和(trap)する。 STELLAR試験においてドイツ・Hannover Medical SchoolのHoeperらは、PAHにおいてACTR IIA-Fc(sotatercept)によるアクチビンとGDFの阻害がTGF-βシグナルの抑制により、BMPシグナルとTGF-βシグナルのバランスを修復し、肺血管リモデリングを防ぐ効果があると仮定して検討を行った。安定用量の基礎治療を受けているWHO Group 2/3成人PAH患者163例を対象に、sotaterceptの3週に1回皮下注射の効果・安全性を検証する第III相二重盲検RCTを行った。 この試験の主要評価項目であるベースラインから24週時の6分間歩行距離(6MWD)は、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した(差40.8m)。副次評価項目においては、9項目中8項目で統計学的な有意差が示された。これには複合的な評価項目の改善(6MWDの改善、NT-proBNP値の改善、かつWHO機能分類の改善またはWHO機能分類IIの維持と定義)を示した患者の割合や、死亡または最初の臨床的悪化イベントまでの時間などが含まれている。全般的な安全性プロファイルは第II相試験で確認された結果とほぼ一貫しており、鼻出血・めまい・毛細血管拡張・Hb値上昇・血小板減少・血圧上昇がより多く発生した。 増殖因子と増殖抑制因子の関係は自動車のアクセルとブレーキのような関係であるが、血小板にもPDGFのような正の増殖因子と、TGF-βという強力な増殖抑制因子が存在することが明らかとなった。その後、アクチビンやTGF-βII型受容体がクローニングされた。TGF-βには類似した物質が数多くあり、BMPやアクチビンはTGF-βスーパーファミリーに含まれる。1993年に宮園 浩平教授らはTGF-βII型受容体に類似したものの探索から6つのクローンを得たが、その1つがTGF-βI型受容体であった。また残りの受容体もアクチビンやBMP I型受容体であることが明らかとなり、TGF-βスーパーファミリーの受容体が系統的に明らかになった。 PAHにはすでに10薬がFDA承認されているが、なお予後不良な疾患である。sotaterceptは新しい作用機序の薬であり肺血管リモデリングの抑制が期待されている。エンドセリン受容体拮抗薬と並んで、日本人研究者による基礎研究の成果が実用化されようとしているよい一例である。

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ACC2023で発表、新たな関係を築くには学会での交流が欠かせない【臨床留学通信 from NY】第46回

第46回:ACC2023で発表、新たな関係を築くには学会での交流が欠かせない前回コラムでも書かせていただきましたが、3月上旬にニューオーリンズでACC(米国心臓病学会)がありました。Moderated Poster Sessionという、電光掲示板のポスターセッションでの発表でした。海外学会でよくある“ポスター貼り逃げ”(海外学会の通常のポスターセッションでは、日本と違って、発表、質疑応答などはなく、ただ立っているのみです)とはいかず、決まった時間の発表、および質疑応答の対応が必要です。渡米5年目とはいえ、1度や2度自作のポスターを眺めただけではすらすらとは英語は出てこないため、ある程度のストーリーを作って何回かぶつぶつ呟いて練習しておく必要があります。アメリカあるあるですが、行きの飛行機が5時間遅れだったため、そこで入念に練習することができ、発表は事なきを得ました。奇しくも、座長は私と同じMontefiore Medical Centerの先生でした。発表後、周りからの質疑にも回答することでき、他の座長の先生から「想定質問があったの?」とお褒めの言葉(?)もいただきました。心臓カテーテル領域のTCTという学会のニュースサイトのインタービューも受け、こちらの記事で紹介されました。学会といえば、セッションを聞いて、夕方になったらせっかく訪れた現地の観光もしたいところですが、ここはresearch giantsとのコネクションをキープするため、偉い先生方のセッションに足繁く通います。普段メールでやり取りしているとはいえ、学会の都度の挨拶は欠かせません。フェローシップのマッチの前などは、むしろ「推薦状を書いてください」といったお願いをすることが多かったのですが、今回は晴れてご挨拶のみで済んだのも気が楽でした。また、2024年7月からマサチューセッツ総合病院のカテーテル治療フェローを開始しますが、そこのプログラムディレクターが、実はACC2023のチェアパーソンのDouglas Drachman先生でした。昨年Zoom面接を経たのみだったので、直接にご挨拶ができたのもよかったです。それ以外にも、新たにメールで繋がることができていたハーバード系の先生方とも、現地で会うことで、新しい研究プロジェクトの話もできたのは有意義でした(Nice to e-meet youからNice to meet you)。米国内や日本から参加される日本人の先生方と会って情報交換できるのも楽しいものです。最近はハイブリッドの学会に慣れてきたせいか、ほとんどセッションには参加せず、後でオンデマンドを聴くことが多いです。朝一のセッションに早く起きれなくて間に合わなくても、オンラインでLate breaking clinical trialを聴くこともできます。結局、学会は人に会い、勉強はセッションをその場もしくはオンデマンドで聞く、または同時発表で文献になっていればそれを逐一チェックという流れになりそうです。実のところフェローの給料で学会参加はかなり大変なのですが、今回は発表があったので、プログラムが1,500ドルのサポートをしてくれました。といっても学会参加費用400ドル、宿泊3泊500ドル(他より安い反面、学会会場まで歩いて30分…)、飛行機350ドル(直行便が高く経由便にしてこの価格)となり、Uber、食事込みで合計1,500~1,600ドルかかりました。日本の学会に参加するよりはかなり高いのがネック、参加するためにはお金の工面も必要です。Column今回は同僚フェローのポスター発表セッションも聴講することができました。アメリカ人は合理的なのか、実はリサーチや学会発表に興味がある人はほんの一握りで、30人以上いるフェローの中で参加したのは6人のみ。参加しても多くはフェローシップアプライ前など、履歴書の見栄えを良くしたいという理由であって、リサーチ自体に興味がある人はほとんどいません。実際にこのような学会で発表する人は、レジデントでこれから循環器フェローを狙う人、はたまた循環器フェロー中で、インターベンション、不整脈や重症心不全といったアドバンスドフェローを狙う人に限定されています。

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第156回 大阪急性期・総合医療センターがサイバー攻撃の報告書公表、VPNの脆弱性狙われ閉域網破られる、IDとパスワード使い回しで被害拡大

診療システムの全面復旧に73日間を要し、逸失利益十数億円以上こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は足慣らし山行で久しぶりに奥多摩に行って来ました。奥多摩湖から惣岳山、御前山、湯久保山を経て檜原村に下るコース。例年この時期、御前山周辺ではカタクリの花が開花して楽しませてくれるのですが、今年は時期が早いのか遅いのか、花の数が今ひとつでした。カタクリは発芽したときは1枚葉で、この状態が7〜8年続き、葉が2枚になって初めて開花します。そういえば、今年の御前山周辺は1枚葉が多かった印象です。来春、再び訪れてみようと思います。さて、今回は昨年10月31日に起きた地方独立行政法人 大阪府立病院機構・大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)でのランサムウエア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃について再度書いてみたいと思います。ランサムウエアによるサイバー攻撃によって発生したシステム障害によって、診療の停止を長期間余儀なくされた同センターは3月28日、外部有識者による情報セキュリティインシデント調査委員会(委員長・猪俣 敦夫大阪大教授)の報告書を公表しました1)。委託先の給食事業者経由で病院サーバの認証情報が抜き取られ、病院内のシステムが攻撃を受けたことや、基幹システムのサーバの大部分がランサムウエアによって暗号化されてしまい、診療システムの全面復旧に73日間を要したことなど、被害の詳細が明らかになりました。報告書では、電子カルテを含む基幹システムが同じIDとパスワードを使い回す状態であったことが被害拡大を招いたとも指摘しています。被害総額は現在精査中としながらも「調査・復旧費用で数億円、診療制限に伴う逸失利益として十数億円以上を見込んでいる」としています。診療体制の完全復旧まで73日かかるこの事件については発生当初、本連載の「第135回 大阪急性期・総合医療センターにサイバー攻撃、『身代金受け取った』報道の町立半田病院の二の舞?」でも書きました。経緯を簡単に振り返っておきましょう。事件は2022年10月31日の早朝に発覚しました。午前6時40分ごろ、職員がサーバの障害に気づき、同8時半ごろ、業者の調査でランサムウエアの攻撃と判明しました。サーバ上の画面には英語で「すべてのファイルは暗号化された。復元したければ、指定のアドレスにメールを送りビットコインで支払え。金額はメールを送る時間で変わる」という文面と、データに対する「身代金」を要求するメッセージが表示されていました。同センターは「金銭を支払う考えはない」としてすぐに大阪府警に相談、同日夜に記者会見を行いました。同センターは、システム障害によって患者の電子カルテが閲覧できず、診療報酬の計算ができない状態に陥り、外来診療を中止、緊急以外の予定手術は延期となりました。電子カルテシステムを含む基幹システムが再稼働し、外来での電子カルテ運用が再開したのは約6週間後でした。病棟での電子カルテ運用の再開は12月、2023年1月11日に通常診療にかかわる部門システムが再開し、診療体制が完全復旧しました。ランサムウエア感染から実に2ヵ月以上、73日が経っていました。中核のサーバはすべて同じパスワードを使い回し報告書によれば、ウイルスは外部の給食事業者のVPN(仮想プライベートネットワーク)から侵入し、事業者側のサーバと常時接続されていたセンター側の給食管理用サーバに入り込んだとのことです。給食事業者のシステムは、配食数や食事内容を管理するもので、病院のネットワークや電子カルテシステムと常時つながっており、病院はこのネットワークを利用し、糖尿病などの患者の食事内容を事業者に伝えていました。さらに、電子カルテのシステムを構成する中核のサーバはすべて同じパスワードを使い回しており、ウイルス対策ソフトも導入されていませんでした。このためウイルスの侵入から、適切な対応がとられるまでの5時間弱の間に感染が急拡大し、約20台のサーバでデータが暗号化されてしまったとのことです。3月26日付の朝日新聞の報道によれば、電子カルテのシステムはNEC(日本電気)が構築したものでした。センター側から閉域網(外部のインターネットと完全に切り離された閉じられたネットワーク)であるとの説明を受けていた同社は「利便性などを考慮し、同じパスワードを使うことも可能だ」と提案、採用されていたとのことです。同紙によれば、NECは事件発覚後の昨年11月、同じ電子カルテを使う全国280の病院を調査しました。その結果、半数以上の病院で同様の使い回しが判明しました。その後、パスワードの変更やほかのセキュリティ対策を順次進めているとのことです。サイバー攻撃を受けた根本原因が「VPN装置の脆弱性を狙われ閉域網が破られた」という点は、一昨年10月の徳島県つるぎ町の町立半田病院(「第118回 ランサムウエア被害の徳島・半田病院報告書に見る、病院のセキュリティ対策のずさんさ」参照)とまったく同じです。ちなみに、給食事業者のVPN機器も町立半田病院と同じ製品で、この事業者もソフトウエアの更新を怠っていました。病院もセキュリティ意識を高く持ち組織的な取り組みが必要今回公表された75ページにも及ぶ報告書は、専門外の人間にはいささか読むのが大変です。ただ、幸いなことに7枚のスライドにまとめられた概要版も用意されているので、医療機関の経営者や幹部の方は、こちらには一度目を通しておいた方がいいと思われます。報告書では、サイバー攻撃を許してしまったセキュリティ上の課題を「技術的発生要因」 「組織的発生要因」「人的発生要因」に分けて分析、予防に向けた提案をしている点が参考になります。「技術的発生要因」については、外部接続(リモートメンテナンス)の管理不備と内部のセキュリティの脆弱性を指摘、「組織的発生要因」については、ガバナンスの欠如とベンダーとの契約に関するさまざまな問題を指摘しています。「人的発生要因」では、ベンダーに対してはシステムや機器を提供する専門家として、サイバーセキュリティの知識と経験向上に努めるべきと提案、病院に対してもセキュリティ意識を高く持ち、組織的にシステムや機器の導入および運用を心掛けた取り組みが必要だ、としています。「国はガイドラインや法整備、財源の確保など、その役割はますます重要」と提言さらに報告書は、国に対する要望もまとめています。そこでは、「国においては、ガイドラインや法整備、財源の確保など、その役割はますます重要」「国においては、医療機関へのサイバー攻撃を災害の一つとして捉え、その支援対策を充実させるなど、患者が安全安心に医療を受けられるよう、更なる取り組みの推進が必要」など、国が主導して医療機関のセキュリティ対策に取り組むべきだと要望しています。医療機関にとってセキュリティ対策は頭が痛い問題実際、医療機関にとってはセキュリティ対策の人材確保や、そのための予算確保はなかなか頭が痛い問題のようです。自民党の「医療分野のデジタルセキュリティ対策推進プロジェクトチーム」は3月28日に初会合を開き、医療機関のセキュリティ対策について、厚生労働省、日本医師会などにヒアリングを行いました。この席で日本医師会は提出資料で、医療機関が十分なセキュリティ対策をとれていない背景として、「医療関係者が教育を受けていない」「大部分の医療機関には専門家がいない」「対策の財源がない」と指摘、「必要となるセキュリティ対策にかかる費用は本来、国が全額負担すべき」と訴えています。厚労省、警察庁もサイバー攻撃対策に本腰町立半田病院、大阪急性期・総合医療センターなどのサイバー攻撃をきっかけとして、国側の動きも急となってきています。3月30日、厚生労働省は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」の案を公表、パブリックコメントの募集を始めました2)。同ガイドラインはこれまで、本編と別冊で構成されていましたが、今回の改定では、概説、経営管理、企画管理、システム運用の計4編の構成に変更されています。たとえば、システム運用編には、パソコンやVPN機器などの脆弱性や、ランサムウエアによるサイバー攻撃などに関する対策が明記されており、バックアップデータを保存した記録媒体を、端末やサーバ装置、ネットワークから切り離して保管するといった対策を求める内容となっています。同ガイドラインは、4月28日までパブリックコメントを募集し、5月中旬に公表する予定です。警察庁もサイバー攻撃被害に関する情報収集を強化する方針です。4月6日に開かれた警察庁の有識者会議の報告書の提言を基に、4月7日付の日本経済新聞は「警察庁はインターネットで通報できる一元窓口を2023年度内にも設け、企業の申告を促す」と報じています。同記事によれば、「これまでは都道府県ごとに窓口を設けていたが通報は低調だった。被害状況は捜査や分析に向けた端緒で、必要に応じて国直轄の専門部隊にも共有する」とのことです。国がサイバー攻撃対策に本腰を入れ始めたのは好ましいことです。ただ、病院や診療所の現場の経営者たちが、国任せ、行政任せ、ベンダー任せのままでは、医療機関に対するサイバー攻撃はこれからも増え続けるでしょう。財源は国にお願いするにせよ、医療機関内でもITや情報セキュリティに詳しい専門人材を確保することは、もはや急務と言えるでしょう。参考1)情報セキュリティインシデント調査委員会報告書について/大阪急性期・総合医療センター2)「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版(案)」に関する御意見の募集について

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