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加工食品の保存料は心疾患リスクを高める?

 出来合いの食品や冷凍食品は購入後も比較的長く保存できるという利便性がある一方、心血管疾患リスクを高める可能性もあることが示された。ソルボンヌ・パリ・ノール大学(フランス)およびパリ・シテ大学(フランス)のAnais HasenbÖhler氏らによるこの研究の詳細は、「European Heart Journal」に5月20日掲載された。 工場で製造される加工食品には、さまざまな保存料が添加されている。HasenbÖhler氏は、「実験的な研究では、一部の保存料が心血管の健康に有害な影響を与える可能性が示唆されている。しかし、こうした成分が人間に与える影響について、これまで十分なエビデンスはなかった。われわれの知る限りでは、これほど幅広い種類の保存料と心血管の健康との関連について調べた研究は、今回が初めてだ」と述べている。 この研究では、フランスの11万2,395人の成人(平均年齢42.8歳、女性78.7%)を対象に、24時間食事記録法を用い、摂取した食事内容を中央値7.9年にわたり追跡調査した。記録された食品に含まれている保存料の種類や量をデータベースや実験分析で評価し、保存料の累積摂取量の経時的変化と健康アウトカムとの関連を解析した。 その結果、いくつかの一般的な保存料が、高血圧や心血管疾患の発症率上昇に関連することが示された。具体的には、カビや細菌の繁殖を防ぐために使用される、抗酸化作用を持たない保存料の摂取量が最も多かった群では、最も少なかった群に比べて高血圧の発症リスクが29%、心血管疾患の発症リスクが16%高かった。また、食品の変色防止などに用いられる抗酸化性保存料の摂取量が多かった群は、高血圧の発症リスクが22%高かった。さらに、高血圧に関連する8種類の保存料も特定された。その中には亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、クエン酸などが含まれていた。一方、アスコルビン酸については、心血管疾患の発症リスク上昇との関連が認められた。 この研究結果について、研究論文の上席著者であるソルボンヌ・パリ・ノール大学のMathilde Touvier氏は、米食品医薬品局(FDA)や欧州食品安全機関(EFSA)などの機関が保存料のリスクとベネフィットの再評価を行う必要性を示していると指摘している。同氏は、「再評価の結果が出るまでは、加工されていない食品および加工度の低い食品を優先的に摂取し、不必要な保存料を含む超加工食品はなるべく避けるべきとする現行の推奨を支持する研究結果だといえる。医師やその他の医療専門職は、こうした推奨について一般の人に説明する上で、重要な役割を担っている」とニュースリリースの中で述べている

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精神疾患が障害による健康損失の最大の原因に

 2023年時点で精神疾患を抱えていた人は世界で約12億人に上り、1990年と比べてほぼ2倍に増加したことが、新たな大規模研究で明らかになった。また、精神疾患は現在、世界の障害による健康損失(障害生存年数〔YLD〕)の最大の原因となっていることも示された。Queensland Centre for Mental Health Research(オーストラリア)のDamian Santomauro氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet」5月23日号に掲載された。Santomauro氏は、「こうした増加傾向は、パンデミックに関連したストレスの長期的な影響に加え、貧困、不安定な生活環境、虐待、暴力、社会的つながりの希薄化といった、より長期的な構造的要因を反映している可能性がある」と述べている。 この研究では、2023年版世界疾病負担(GBD)研究のデータを用いて、204カ国・地域における12種類の精神疾患の有病率を推定した。また、各疾患の有病率に障害の重み付けを適用してYLDを算出し、さらに神経性やせ症については損失生存年数(YLL)も評価した。これらを基に、疾病負担の指標である障害調整生存年数(DALY)を評価した。12種類の精神疾患は、不安症、うつ病、気分変調症、双極症、統合失調症、自閉スペクトラム症(ASD)、素行症、注意欠如・多動症(ADHD)、神経性やせ症、神経性過食症、特発性知的発達症、その他の精神疾患であった。 その結果、2023年時点で12種類の精神疾患の有病者数は11億7000万人に上り、年齢標準化有病率は人口10万人当たり1万4,210.7人であった。これは、1990年と比較して、有病者数は95.5%増加、年齢標準化有病率は24.2%増加に相当した。2023年の精神疾患による世界全体のDALYは1億7100万で、全原因によるDALYの6.1%を占めた。また、精神疾患はDALYの原因として1990年の第12位から2023年には第5位へと上昇した。さらにYLDについては、2023年には精神疾患が全YLDの17.3%を占め、最大の要因となっていた。このほか、DALYに占める割合が大きかった精神疾患は不安症(304疾患中11位)、うつ病(15位)、統合失調症(41位)であることや、精神疾患の負担は男性よりも女性で大きく、年齢別では15〜19歳でピークに達することも示された。 論文の上席著者であるQueensland Centre for Mental Health ResearchのAlize Ferrari氏は、「今回の研究から、精神疾患による負担は15~19歳でピークに達することが示された。この時期は教育、就業、人間関係など、その後の人生の軌道を左右する重要な発達段階である」と述べている。 著者らは、この拡大する危機に対処するためには、メンタルヘルスケアへの投資拡大、治療へのアクセス向上、リスクの高い集団への支援強化が必要であるとしている。

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国産手術ロボットhinotoriによる大腸がん手術、94例の初期成績を報告

 ロボット支援手術の普及が進む中、日本初の国産手術支援ロボット「hinotori」の大腸外科領域における臨床データが報告された。今回、京都大学医学部附属病院でhinotoriによるロボット支援大腸手術を受けた大腸がん患者94例を解析した結果、開腹移行例やClavien-Dindo分類Grade III以上の重篤な術後合併症は認められなかった。著者らは、hinotoriを用いた大腸がん手術は安全かつ実施可能であることが示されたとしている。報告は京都大学医学部附属病院消化管外科の山本健人氏、板谷喜朗氏らによるもので、4月25日付の「Journal of the Anus, Rectum and Colon」に掲載された。 ロボット支援手術は近年、世界的に普及が進んでおり、大腸外科領域でも腹腔鏡手術と比べて良好な短期・長期成績を示す報告が蓄積されている。日本でもロボット支援直腸がん手術が2018年、結腸がん手術が2022年にそれぞれ保険収載されたが、これまでのエビデンスの多くは「da Vinci Surgical System(DVSS)」によるものだった。hinotori Surgical System(hinotori)は、川崎重工業とシスメックスの合弁会社メディカロイドが開発した日本初の国産手術支援ロボットで、名称は手塚治虫氏の『火の鳥』に由来する。同システムは2020年に泌尿器科領域で臨床導入され、その後は消化器外科や婦人科領域にも導入が広がっている。こうした背景から著者らは、hinotoriを用いたロボット支援大腸手術の臨床成績を検証した。 著者らは、2023年8月~2025年11月に京都大学医学部附属病院でhinotoriを用いたロボット支援大腸手術を受けた連続症例を対象に、単施設後ろ向き観察研究を実施した。術者はいずれも、日本内視鏡外科学会技術認定医で、既存のロボット支援手術システム(DVSS)による大腸手術を40例超経験していた。解析は、患者背景、手術関連因子、短期成績について、結腸がん群と直腸がん群に分けて実施した。 解析対象は94例で、このうち結腸がんが53例、直腸がんが41例だった。結腸がん群の手術時間中央値は255分だった。術後合併症はClavien-Dindo分類Grade IIのイレウスを1例(1.9%)に認めたが、絶食で改善し、Grade III以上の重篤な合併症は認められなかった。 一方、直腸がん群の手術時間中央値は327分だった。41例のうち、側方リンパ節郭清や他臓器合併切除、再発病変切除を伴う高難度手術(beyond-TME)を7例に実施した。術後合併症はGrade IIの排尿障害を1例(2.4%)に認め、経口抗菌薬で改善したが、Grade III以上の重篤な合併症は認められなかった。 いずれの群でも開腹移行例や術後30日以内の再手術例はなく、術後在院日数中央値は結腸がん群で10日、直腸がん群で12日だった。 著者らは、大腸外科領域におけるロボット支援手術の有効性は既に示されている一方、hinotoriに関する臨床データは限られていると指摘した。その上で、本研究では開腹移行例やGrade III以上の重篤な合併症を認めず、既報と概ね同等の短期成績が得られたとして、hinotoriを用いた大腸手術の安全性と実施可能性が示されたと考察した。一方、手術時間は既報よりやや長かったが、高難度症例を含んでいたことや、hinotoriを初めて使用する術者が多かったことが影響した可能性があるとしている。 また、現在はDVSSが手術支援ロボット市場で大きなシェアを占めているものの、hinotoriのような新規プラットフォームの登場は健全な競争につながるとの見方を示した。

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HER2陽性胃がんに対する二重特異性抗体薬zanidatamabの有用性―トラスツズマブとの比較試験(解説:上村直実氏)

 最近、分子標的薬を含む生物学的製剤の開発が進み、がん診療において効率の良い治療レジメンを選択するためにバイオマーカー検査が必須となっているが、胃がん治療でも「HER2」「PD-L1」「MSI」「Claudin18.2」の4つのバイオマーカー検査の確立に伴って切除不能胃がんに対する薬物療法が急激な変化を遂げている。HER2陽性胃がんに対する標準治療は、従来の化学療法に抗HER2モノクローナル抗体のトラスツズマブを追加した3剤併用療法が標準的1次治療として推奨されているが、今回、日本を含む33ヵ国の無作為化第III相試験の結果、2つの抗原を同時に標的とする二重HER2標的抗体薬であるzanidatamab+抗PD-1抗体チスレリズマブと化学療法の併用もしくはzanidatamab+化学療法の併用治療が、従来の標準治療であるトラスツズマブ+化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが2026年5月のNEJM誌に報告された。 日本では、HER2陽性・PD-L1陽性の切除不能進行胃がん患者を対象にトラスツズマブ+抗PD-1抗体ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法が昨年5月に承認されており、本研究は免疫療法の併用に加えてHER2標的治療そのものの質を高めるアプローチが企図された臨床試験といえる。この分野で先行している血液がんに対する抗体医薬は、すでにモノクローナル抗体から二重特異性抗体薬へと置き換わりつつある。二重特異性抗体薬はT細胞などの免疫細胞と腫瘍細胞とを近接化させて免疫攻撃を促進する機能や複数のシグナル経路を同時に制御して薬効が増強されることを期待する薬剤であり、最近では肺がんをはじめとする固形がんに対する二重特異性抗体薬の開発が進んでいる。 今回の研究結果から、固形がんに対する薬物療法においても二重特異性抗体薬の有用性が高くなることが期待されるが、二重特異性抗体薬の利点のみでなく課題も知っておく必要がある。すなわち、血液がんと違って固形がんの腫瘍不均一性による効果のばらつきに伴う混合反応性や過度の免疫活性化に伴うサイトカイン放出症候群、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群、標的分子が発現している正常細胞を攻撃する可能性などが報告されており、今後、このような課題を解決しつつ、本研究のように二重特異性抗体と免疫チェックポイント阻害薬を用いた薬物治療がさらに改善することが期待される。

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TOEICを受けてきた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(638)

六百三十八の段 TOEICを受けてきた!2026年も半分が過ぎました。早いものですね。さて、先日は人生初のTOEICを受けてきました。TOEICとはリスニングとリーディングからなる英語の試験。TOEFLが留学に備えたものなら、TOEICはビジネスに備えたもの、とされています。就活の時に、自らの英語力をアピールするのにも使われるのだとか。はたしてどんな人たちが受けているのか。英検との違いは?いろいろと興味津々です。必要に迫られて受ける人が大半なのでしょう。筆者のように趣味で受けるのは、何だか申し訳ない気がします。とはいえ、試験は試験。ウン十年前の大学受験や国家試験などの記憶が蘇ります。久々の緊張感!さて、会場は某大学でした。日曜日だというのに、見渡す限りの若者の集団。通路の突き当たりに人が2人立っていて、右がTOEIC、左が中国語検定試験の会場への案内でした。時代を感じさせますね。会場前で見渡すと、平均年齢は20歳くらいでしょうか。年配の人も2人くらいおられましたが、私より若いのかもしれません。この会場だけで数百人は受けていそうです。英検との違いは不正防止と音響。TOEICでは持ち物をロッカーに預けるなどというシステムはありませんでした。各教室に入った時に、受験票と身分証明書と受験者自身の照合を行います。リスニングテストに使われるのは、前方に置かれた特大スピーカー。私の席は前から3列目だったせいか、むしろうるさいくらいでした。席に着いたところで、またまた受験票と身分証明書と本人の照合。ジャケットや荷物類は床に置きます。スマホは電源を切ったうえでしまっておかなくてはなりません。マークシート方式なので、筆記用具は鉛筆と消しゴム。それと時間を見るための腕時計が必要です。いざ本番!まずはリスニング45分。ここで要求されるのは集中力と耐久力です。ところどころわからない問題がありました。選択肢の中に正解がないんじゃないか、と思うものです。残り10分くらいになると集中力が切れてきますが、何とか乗り切りました。コツがあるとすれば、注意して文頭を聴き取るということでしょうか。Whereで始まるのかWhenで始まるのか、それだけでかなり選択肢が絞られます。次がリーディング75分です。こちらはスピードと耐久力が必要。前日に本番を想定した問題をやっていて良かったです。その時は100問のうち、残り10問で時間切れとなりました。だから、本番ではできるだけ速く答える必要があります。たとえば、選択肢の中でAが正解と思ったら、もうAを選択!BもCもDも違う、というところまでは確認しなかったです。また、複数の文書を読んで解答する形式の問題に対しては、先に設問と選択肢を読んでから、本文に正解を探しにいくという方法で時間を節約しました。その結果、少し時間を残して終了。チラッと見えたところでは、周囲の受験生たちも皆、最後まで解答用紙を埋めていました。受験した感想は「疲れた!」の一言。英検2級のS-CBTに比べるとTOEICのほうがかなりヘビーな印象でした。面白いのはその日の夕方のYouTubeです。驚いたことに、多くの英語勉強系YouTuberがすでに「第430回TOEIC受験」という形で動画をあげていました。皆さん、ご自分でもTOEICを受けたうえで感想を述べておられます。「時間が足りずに10問ほど残した」とか「答えのわからない問題があった」とか。それはもういろいろなコメントが飛び交っています。中には「この問題の正解はこうだ」みたいなことを言っていた動画もありました。驚異の記憶力です。これらの動画を見ていると「同じ時間に皆で同じ経験を共有したんだなあ」と感慨深いものがありました。しばらく休んだら、再びTOEICを受けてみたい気がします。あれこれ対策を立てて勉強するのも、ゲーム攻略みたいで面白そうですから。ということで、私の経験が読者の皆さまの参考になれば幸いです。最後に1句 梅雨曇り 試験に集まる 数百人

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香川大学医学部附属病院 泌尿器・副腎・腎移植外科【大学医局紹介~がん診療編】

杉元 幹史 氏(教授)加藤 琢磨 氏(学内講師)中村 俊介 氏(専攻医)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴香川大学医学部泌尿器科学講座は、先代の筧 善行教授の時代から泌尿器科がん診療を中心に発展してきました。とくに前立腺がんに対する監視療法については、20年以上にわたり国際共同研究を通じてわが国の診療・研究を牽引してきた実績があります。地域のがん診療における医局の役割香川県唯一の大学泌尿器科教室として、研究・教育・医師派遣に加え、世界標準の医療を地域で実践することを重要な使命と考えています。そのため、MRI・超音波融合前立腺生検、HIFUによる前立腺がん局所療法、さらにはPSMAを用いた診断・治療システムなどの先進医療を積極的に導入し、県内のがん診療の発展に努めてきました。今後医局をどのように発展させていきたいか一方で、地方大学を取り巻く人材確保の課題は年々大きくなっています。そのような中でも、当教室には志を共有する若手医師が集まりつつあります。私たちは「適材適所」を基本方針とし、それぞれの長所を最大限に伸ばすことを重視しています。また、「Go for it!」を合言葉に、まず挑戦してみる姿勢を大切にしています。地域医療を守りながら世界に通用する研究を行う。その両立を実践できる医師を育てることが、私たちの目標です。力を入れている治療/研究テーマ香川大学医学部泌尿器科学講座では、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣腫瘍など幅広い泌尿器がん診療と腎移植医療に力を入れています。とくに前立腺がんでは、PRIAS-JAPAN事務局として監視療法研究を統括し、HIFUによる局所療法、PSMA-PET、PSMAリガンド療法など新しい診断・治療にも取り組んでいます。腎移植では、生体腎移植に加え、献腎移植や膵腎同時移植も実施しています。当科でのがん診療/研究のやりがい、魅力ロボット支援手術、放射線治療、薬物療法、治験診療まで、泌尿器がん診療を幅広く経験できます。また、各がん腫のエキスパートが在籍しており、世界標準の診療を学ぶことができます。さらに、多施設共同研究やJCOG研究にも参加しており、日常診療の疑問を研究につなげられることが大きな魅力です。医局の雰囲気、魅力若手からベテランまで相談しやすく、診療や研究について自由に議論できる雰囲気があります。新しい挑戦を歓迎する文化も当科の特徴です。医学生/初期研修医へのメッセージ世界標準の医療を地域で実践し、新たなエビデンスを発信する。そんな環境が香川大学泌尿器科にはあります。ぜひ一度見学にお越しください。「新たなエビデンスを香川から世界へ」 一緒に挑戦していきましょう!同医局を選んだ理由正直なところ、学生・研修医のころの自分にとって、泌尿器科領域は非常に難解な分野であり、当初から泌尿器科1本で考えていたわけではありませんでした。迷いに迷い、悩みに悩んだ進路でした。その中で、実習や学会、飲み会などを通して多くの先生方と接する機会をいただき、「香川大学泌尿器科」のスタッフのみなさんの人柄や雰囲気の良さに惹かれました。また、現在の指導医の先生からいただいた「最高の科を探すのではなく、自分が選んだ科を最高にせよ」という言葉が大きなきっかけとなり、泌尿器科への入局を決心しました。現在学んでいること入局後は、外来診療、病棟管理、手術助手など、日々の診療を通して泌尿器科医としての基礎を学んでいます。泌尿器科で扱う疾患は、良性疾患から悪性腫瘍まで幅広く、覚えることの多さに圧倒される毎日です。まだまだ未熟ではありますが、先輩方の指導のもと、日々の診療に何とか食らいつきながら、少しずつ経験を積んでいます。今後のキャリアプラン今後は、泌尿器科腫瘍学の分野に携わり、診療・研究の両面から患者さんに貢献できる医師を目指したいと考えています。一歩ずつ経験を積み重ね、将来的には患者さんや周囲の先生方から信頼される泌尿器科医になれるよう努力していきたいと思います。香川大学医学部附属病院 泌尿器・副腎・腎移植外科住所〒761-0793 香川県木田郡三木町池戸1750-1問い合わせ先uro-m@kagawa-u.ac.jp(泌尿器科医局 メールアドレス)医局ホームページ香川大学医学部附属病院 泌尿器・副腎・腎移植外科専門医取得実績のある学会日本泌尿器科学会日本がん治療認定医機構日本排尿機能学会日本透析医学会日本移植学会日本臨床腎移植学会日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会日本内視鏡外科学会研修プログラムの特徴(1)ロボット支援手術、腹腔鏡手術、内視鏡手術を中心に、泌尿器科手術を基礎から段階的に学ぶことができます。(2)泌尿器がん、腎移植、排尿機能診療など、幅広い専門領域をバランスよく経験できます。(3)大学病院と香川県内外の関連病院での研修を通じて、高度専門医療と地域医療の両方を学ぶことができます。

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大量飲酒者の緊急搬送、優先すべき薬剤は?【腕試し!内科専門医バーチャル模試】

大量飲酒者の緊急搬送、優先すべき薬剤は?37歳の男性。自宅で嘔吐し動けなくなっているのを発見され、救急搬送となった。家族への問診で大酒家であることがわかった。既往歴・内服薬なし。体温 35.4℃、血圧 113/74mmHg、脈拍 120回/分、呼吸数 24回/分。JCSII-30身体所見、神経学的所見に異常なし。血液検査は、白血球 9,100/μL、Hb 13.3g/dL、血小板 146,000/μL、Alb 3.0g/dL、AST97 U/L、ALT 54U/L、γ-GTP 286U/L、Na 135mEq/L、K 3.5mEq/L、Cl 96mEq/L、BUN 28mg/dL、Cre 1.3mg/dL、血糖 112mg/dL尿所見尿ケトン 3+、尿糖(-)動脈血ガス分析pH 7.240、pCO2 36mmHg、HCO3- 9mmol/L

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高齢者へのスタチン、フレイルの新規発症を抑制

 高齢者に対するスタチンの新規投与により、プレフレイルおよびフレイルの新規発症、ならびに死亡リスクが有意に低下することが明らかになった。本結果は、脂質異常症治療薬であるスタチンが持つ抗炎症作用などの多面的効果が、高齢者の身体機能などの低下抑制に寄与する可能性を示唆している。European Heart Journal誌2026年6月10日号オンライン版掲載の報告。 研究グループは、2002年1月~2018年12月に米国退役軍人省(VA)医療システムで定期的な医療ケアを受け、スタチン治療歴のない67歳以上の高齢退役軍人を対象に大規模な観察研究を実施。妥当性が確認された31項目のVAフレイル指数カテゴリー(VA-FI)に基づき、ベースライン時点で軽度フレイル(0.2以上)であった対象者を除外した。解析にあたり、MedicareおよびMedicaidのデータとリンクさせ、交絡因子を調整するために傾向スコア重み付け法(PSW)を用いた。スタチンの使用とフレイル新規発症(死亡による打ち切りを含む複合アウトカム)との関連を検討するために、Cox回帰モデルで解析し、ベースライン時にプレフレイル(VA-FIスコア0.1~0.2)であった症例を対象とした同様のサブ解析も実施した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象者は高齢退役軍人98万7,301例(平均年齢72±6歳、男性98%、白人87%)で、研究期間中に29万729例がスタチンを開始した。・平均追跡期間5.3±4.1年のなかで、フレイルの新規発症は63万6,195件発生した。1,000人年あたりの未調整のイベント発生率は、スタチン開始群で153.1件、非開始群で111.4件であった。・PSWによる調整後、新たなスタチン開始群は非開始群と比較して、フレイルの新規発症リスクが24%有意に低かった(ハザード比 [HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.75~0.76)。・ベースライン時にプレフレイル(VA-FIカテゴリー:0.1~0.2)であった退役軍人を対象とした解析においても、同様にスタチン開始による有意なフレイル新規発症リスクの低下が認められた。

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統合失調症の肥満に関連するリスク因子が判明〜メタ解析

 中国・Chongqing Mental Health CenterのJianmei Long氏らは、統合失調症患者における肥満の発生率およびその影響因子を調査するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2026年4月27日号の報告。 複数のデータベース(PubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Library、CNKI、Wanfang Data、VIP Database、SinoMedを含む)より、包括的な文献検索を実施した。検索対象は、2025年5月26日までのすべての論文とした。メタ解析は、RevMan 5.4およびStata 18.0ソフトウェアを用いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・18件の研究(統合失調症患者9,351例)が解析対象となった。・本メタ解析では、統合失調症患者における肥満の発生率は33.0%であった。・肥満リスク上昇と有意な関連(p<0.05)が認められた因子は次のとおりであった。【女性】オッズ比(OR):1.14、95%信頼区間(CI):1.10〜1.20【高血糖】OR:1.08、95%CI:1.04〜1.12【糖尿病】OR:2.36、95%CI:1.79〜3.10【高トリグリセライド血症】OR:1.13、95%CI:1.08〜1.18【高LDLコレステロール血症】OR:1.88、95%CI:1.45〜2.44【オランザピン使用】OR:7.40、95%CI:4.98〜11.00【抗精神病薬併用】OR:3.19、95%CI:2.31〜4.41【定型抗精神病薬使用】OR:1.46、95%CI:1.18〜1.82【非定型抗精神病薬使用】OR:1.70、95%CI:1.42〜2.03【赤血球増多】OR:2.80、95%CI:1.60〜4.90【低HDLコレステロール血症】OR:1.75、95%CI:1.41〜2.16 著者らは「現在のエビデンスによると、統合失調症患者における肥満の主なリスク因子は、女性、高血糖、糖尿病、高トリグリセライド血症、高LDLコレステロール血症、オランザピン使用、抗精神病薬併用、定型抗精神病薬使用、非定型抗精神病薬使用、赤血球増多、低HDLコレステロール血症であることが示唆された。臨床医は、統合失調症患者における肥満の発症を抑制し、生活の質を向上させるために、早期スクリーニングとターゲットを絞った介入を実施すべきである」と結論付けている。

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初発または再発の進行dMMR/MSI-H子宮体がんにdostarlimab+化学療法は長期PFSベネフィットを維持(RUBY)/ASCO2026

 ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する初発または再発の進行子宮体がん患者に対し、dostarlimabと化学療法の併用療法は、長期にわたる無増悪生存(PFS)ベネフィットを維持した。また、混合治癒モデル(mixture cure model[MCM解析])による推定治癒割合は50%を超えることが示された。 この結果はENGOT-EN6-NSGO/GOG-3031/RUBY試験の4年長期追跡および治癒モデリングに関する事後解析によるもの。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Matthew A. Powell氏(米国・ワシントン大学)が発表した。 同疾患に対するdostarlimabと化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル[CP])の併用は、RUBY試験において全生存期間(OS)およびPFSの有意な改善を示したが1,2)、長期の結果や治癒可能性については明らかにされていなかった。・試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検多施設共同第III相試験・対象:未治療または再発進行子宮体がん・試験群:dostarlimab+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→dostarlimab 6週ごと3年以内(dostarlimab+CP群、245例)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→プラセボ 6週ごと3年以内(プラセボ+CP群、249例)・評価項目[主要評価項目]治験担当医評価のPFS、OS[副次評価項目]BICR評価のPFS、PFS2、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値55.6ヵ月となるdMMR/MSI-H集団の追加追跡の結果、プラセボ+CP群のPFS中央値7.7ヵ月に対し、dostarlimab+CP群は依然として未到達であることが示された(ハザード比[HR]:0.30、95%CI:0.17~0.52)。・48ヵ月PFS割合はプラセボ+CP群の15.7%に対し、dostarlimab+CP群は57.9%であった。・条件付きPFS解析の結果、1年間進行がなかった患者における1~4年の3年PFS割合は88.6%、2年間進行がなかった患者における2~4年の2年PFS割合は91.7%であった。・条件付きOS解析の結果、1年間生存した患者における1~4年の3年OS割合は84.0%、2年間生存患者における2~4年の2年OS割合は88.0%であった。・混合治癒モデルを用いて4年時点の長期生存患者の割合(cure rate)を解析したところ、プラセボ+CP群では14%、dostarlimab+CP群では54%と推定された。・dostarlimab+CP群の主な試験治療下における有害事象(TEAE)は、脱毛(50.0%)、疲労(46.2%)、悪心(46.2%)、末梢神経障害(42.3%)、関節痛(36.5%)などであり、同群でもっとも頻度の高い免疫関連有害事象(irAE)は甲状腺機能低下症で15.4%であった。 本試験結果はGynecologic Oncology誌2026年5月29日オンライン版に同時掲載されている。

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帯状疱疹、感染部位も認知症リスクに影響する可能性/日本皮膚科学会

 近年、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の罹患が認知症の発症リスクを上昇させる可能性や、帯状疱疹ワクチンの接種がそのリスクを低減させる可能性を示す研究が相次いで報告されている。下畑 享良氏(岐阜大学)らは、「VZVの罹患は認知症の危険因子か?」という臨床疑問を検討することを目的に、21論文を対象としてスコーピングレビューを実施1)。このレビューからみえてきたVZV罹患と認知症発症の関連や、ワクチンが及ぼす影響などについて、最新の研究結果も踏まえて下畑氏が第125回日本皮膚科学会総会で講演した。システマティックレビューではVZV罹患との関連を肯定・否定する報告が混在 下畑氏はまず、スコーピングレビューの対象論文に含まれた3編のシステマティックレビュー/メタ解析の結果について解説した。 1つ目の論文(対象9研究)では、VZV罹患は認知症発症のリスク因子であり、ハザード比(HR)は1.11であることが示された。さらに、VZV罹患後に抗ウイルス薬を使用した場合、発症リスクはHR:0.84となり、16%のリスク抑制効果が認められた。 2つ目の論文(対象6研究)は、帯状疱疹ワクチン接種歴が認知症発症率に与える影響を検討したものであり、ワクチン接種歴は認知症のオッズ低下と関連し、統合オッズ比は0.76であった。 一方、3つ目の論文(対象9研究)では、全体としてVZV罹患と認知症発症に関連は認められず(HR:0.99、p=0.89)、アルツハイマー病のバイオマーカー(アミロイドβなど)との関連性も確認されなかった。しかし、「眼部帯状疱疹」の罹患に関しては認知症と強く関連する(HR:6.26)ことが示されており、感染部位によるリスクの違いが注目される。 ただし、これらの研究はいずれも無作為化比較試験ではなく前向き試験は1つのみであることから、現状のエビデンスには限界があることも示されている。個々の検討から背景因子を探る システマティックレビュー/メタ解析以外の研究についてみると、VZV罹患と認知症発症率について検討した研究は12研究存在した。うちVZV罹患が認知症発症率を増加させるとしたのは6研究、増加させないとしたのは3研究、またVZV罹患が認知症発症率を低下させるとしたものも3研究存在した。下畑氏は、この背景にワクチンの公的補助の有無がある可能性を指摘し、VZV罹患が認知症の危険因子とはならなかった研究の実施国は公的補助があり、ワクチン接種率の高い国が多く、対象者の抗ウイルス薬の処方率が高い傾向があったことを指摘した。 ワクチン接種歴と認知症発症率について検討した6研究では、接種したワクチンの種類によらず、いずれも、VZVワクチン接種歴が認知症または認知機能障害の少なさと関連することを示した。 帯状疱疹発症後の抗ウイルス薬使用と認知症発症率の関係については、検討した4研究のうち3研究で、抗ウイルス薬の使用は認知症発症率を低下させると報告している。 VZVの感染部位に注目した研究では、VZV罹患後1年以内の認知症発症率は全体では増加しなかったが、脳神経感染がある場合にはHR:1.83、中枢神経感染ではHR:6.83というデータが報告されている。また、別の研究でも、皮膚に限局した感染者と比較して、眼部感染、中枢神経感染、複雑性感染者の場合ではいずれも認知症発症リスクが有意に上昇してHR:1.28~1.44と報告されている。一方で、1つの研究では、眼部感染でも認知症発症率の増加を認めなかった。基礎研究でみえてきたメカニズムとは VZV感染はどのようなメカニズムで認知機能に影響を及ぼすのだろうか。VZV罹患に伴う認知症発症の病態について検討した研究は3つあり、単純ヘルペスウイルス(HSV)やVZVに感染した患者の脳脊髄液を調べると、VZV感染が潜伏HSV-1の再活性化を誘発し、アルツハイマー病様変化や神経炎症につながる可能性を示す仮説が提唱されている。さらに、リン酸化タウやミクログリアの活性化マーカーであるTREM2の上昇など、ウイルス感染を契機として脳内にアルツハイマー病に似た変化が惹起されることが示されている。 VZV罹患によるHSV-1再活性化が認知症発症の原因である可能性を検討した研究では、VZV単独の感染ではアミロイドβやリン酸化タウの蓄積は生じないが、あらかじめHSVに感染させて抗ウイルス薬で静止化させた後にVZV感染させると、HSV-1が再活性化し、結果としてアミロイドβやタウの蓄積が確認されるという。現在、VZV感染が潜伏しているHSV-1の再活性化を誘発し、それがアルツハイマー病様変化やミクログリアの活性化をもたらして認知症につながるという仮説が有力視されている。 また、水痘に罹患しやすい遺伝的要因(7つのSNP)を持つ人は認知症リスクが上昇するという報告もあり、遺伝的背景とウイルス感染の複雑な交絡も示唆される。帯状疱疹ワクチンによる認知症リスクの低減効果:最新の大規模コホート研究 ワクチンの認知症予防効果に関する大規模な疫学データが、相次いで発表されている。生年月日によるワクチン制度の適用の違いを利用し、カナダで行われた自然実験研究では、生ワクチン接種による認知症発症の減少効果が確認された2)。また、米国で約33万人を対象とした組換えワクチンの大規模コホート研究では、未接種群と比較して2回接種群で認知症発症ハザードが51%低く、強い関連が示された3)。 これらの報告を総合すると、複数回のワクチン接種で最大の効果が得られること、効果は年齢や人種間で一貫しているものの、女性においてより強い効果が得られる傾向がみられるという。一方で、生ワクチンの効果は時間の経過とともに減弱する可能性も指摘されている。VZVは皮膚症状だけでなく神経症状の有無にも着目を 下畑氏は講演の結びとして、「VZVは皮膚だけで完結するウイルスではなく、皮膚に現れた神経感染症と捉えてもよいのかもしれない。高齢者や免疫不全者、反復例においては、皮疹や疼痛だけでなく、頭痛、髄膜刺激徴候、片麻痺、構音障害、ふらつきといった神経症状の有無にも注意を払い、これらを認めた場合はぜひ脳神経内科へコンサルトしていただきたい」とした。 帯状疱疹ワクチンの接種による認知症発症リスクの低減については、今後のさらなる臨床研究とエビデンスの蓄積が期待される。

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ピボキシル基を有する小児用抗菌薬、低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖を「重要な基本的注意」に追記/厚労省

 2026年6月30日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、ピボキシル基を有する小児用抗菌薬4成分に対し、「重要な基本的注意」の項に低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖に関する注意事項が追記された。対象となる一般名および主な販売名は以下のとおり。<対象医薬品>・セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物(商品名:フロモックス小児用細粒100mgほか)・セフジトレン ピボキシル(商品名:メイアクトMS小児用細粒10%ほか)・セフテラム ピボキシル(商品名:トミロン細粒小児用20%)・テビペネム ピボキシル(商品名:オラペネム小児用細粒10%)改訂後の内容「重要な基本的注意」の項が新設され、主に以下の内容が追記された。・小児(とくに乳幼児)において、本剤を含むピボキシル基を有する抗生物質の投与後に、低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖、痙攣、脳症等を起こすおそれがある。・本剤の必要性を含む薬剤の選択や投与期間等については、最新のガイドライン等を参考にすること。・痙攣、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう家族等に指導すること。 これまでも、ピボキシル基を有する小児用抗菌薬による低カルニチン血症に伴う低血糖については、すでに「使用上の注意」の「重大な副作用」および「小児等」の項において注意喚起がなされていた。しかしながら、近年においても当該薬剤との因果関係を否定できない症例が報告されており、直近の報告では死亡に至った症例も認められたことから、追加の安全対策措置の要否について検討が行われた。 低カルニチン血症に伴う低血糖は主に乳幼児で報告されており、症状が急速に進行し重篤化するおそれがある。専門委員の意見も聴取した結果、投与の必要性や期間について最新のガイドライン等を参照し適切に判断すること、また低血糖症状発現時の速やかな受診につなげる観点から、医療従事者より家族等へ適切な指導を促すことが適正使用に不可欠と判断され、今回の改訂に至った。

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コントロール不良の2型糖尿病、週1回皮下投与のretatrutideが有効/Lancet

 食事療法および運動療法のみではコントロール不十分な2型糖尿病成人患者において、retatrutide単独療法はプラセボと比較し、血糖コントロールおよび体重減少に関して有意な改善を示し、有害事象のプロファイルは既知のGLP-1受容体作動薬と一致していた。カナダ・LMC Diabetes and EndocrinologyのHarpreet S. Bajaj氏らが、米国、メキシコおよびインドの48施設で実施した40週間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TRANSCEND-T2D-1試験」の結果を報告した。retatrutideは、GIP、GLP-1およびグルカゴンの3つのホルモンの受容体作動薬で、2型糖尿病、肥満、および関連する合併症を対象に臨床開発が進められている。Lancet誌2026年6月13日号掲載の報告。retatrutideの3用量をプラセボと比較、週1回40週間皮下投与 TRANSCEND-T2D-1試験の対象は、食事療法および運動療法のみでは血糖コントロール不良の18歳以上の2型糖尿病患者で、HbA1c値が7.0~9.5%、BMI値23以上、スクリーニング前90日間およびスクリーニング期間中に血糖降下薬を使用しておらず、インスリン療法歴がなく、スクリーニング前少なくとも90日間体重が安定していること(自己申告で変動が5kg以下)とした。 研究グループは適格患者を、retatrutide 4mg群、9mg群、12mg群またはプラセボ群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、週1回40週間皮下投与した。retatrutide群は全例2mgより投与を開始し、計画に従い割り付けられた維持用量(4mg、9mg、または12mg)に達するまで4週ごとに増量した。 主要エンドポイントは、ベースラインから40週時のHbA1cの変化量で、retatrutide各用量群のプラセボ群に対する優越性を両側有意水準0.0167として検証した(全体でα=0.05を各比較に分割)。重要な副次エンドポイントは、ベースラインから40週時の体重の変化率などであった。 主要エンドポイントおよび重要な副次エンドポイントについては、両側有意水準0.05でファミリーワイズの第1種の過誤確率を厳密にコントロールするため、グラフィカルアプローチを用いて検定を行い、多重性を調整した。HbA1c変化量の推定治療群間差は、-0.88~-1.12% 2024年4月10日~2025年4月21日に、930例がスクリーニングを受け、537例が無作為化された(retatrutide 4mg群134例、9mg群133例、12mg群136例、プラセボ群134例)。 ベースラインの患者背景は、女性296例(55%)、男性241例(45%)、平均年齢48.8歳(SD 12.1)、HbA1c7.9%(1.1)、2型糖尿病の罹病期間2.5年(4.4)、BMI値35.8(7.0)であった。490例(91%)が40週間の治療を完了し、504例(94%)が本試験を完了した。 ベースラインから40週時のHbA1cの変化量の治療レジメン推定値は、retatrutide 4mg群-1.69%(SE 0.11)、9mg群-1.86%(0.10)、12mg群-1.94%(0.08)に対し、プラセボ群は-0.81%(0.12)であった。 プラセボ群に対する推定治療群間差は、retatrutide 4mg群-0.88%(95%信頼区間[CI]:-1.18~-0.59)、9mg群-1.04%(95%CI:-1.32~-0.76)、12mg群-1.12%(95%CI:-1.39~-0.85)であり、retatrutide全用量群でプラセボ群と比較し、有意差が認められた(いずれもp<0.0001)。 ベースラインから40週時の体重の平均変化率は、retatrutide 4mg群-11.5%(SE 0.7)、9mg群-13.9%(0.8)、12mg群-15.3%(0.8)に対し、プラセボ群は-2.6%(0.5)であり、retatrutide群のプラセボ群に対する推定治療群間差はそれぞれ-8.9%(95%CI:-10.5~-7.2)、-11.3%(95%CI:-13.1~-9.5)、-12.7%(95%CI:-14.4~-11.0)であった(いずれもp<0.0001)。 retatrutide群で最も発現割合が高い有害事象は、軽度~中等度の消化器系イベント(下痢、悪心、嘔吐)であり、主に用量漸増期間中に発現した。 有害事象による試験中止は、retatrutide 4mg群3例(2%)、9mg群6例(5%)、12mg群7例(5%)に認められたが、プラセボ群では認められなかった。重症低血糖は報告されなかった。 試験期間中に死亡が2例報告されたが(いずれもretatrutide 4mg群)、試験薬とは関連がなかった。

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糸球体疾患によるCKD、フィネレノンが有用/JAMA

 糸球体疾患を有する非糖尿病性慢性腎臓病(CKD)患者において、フィネレノンにより腎機能低下の抑制、アルブミン尿の減少、および腎不全または著しい腎機能低下リスクの減少が認められた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBrendon L. Neuen氏らFIND-CKD Investigatorsが、24の国・地域で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「FIND-CKD試験」の、事前に規定された探索的解析結果を報告した。糸球体疾患は、CKDおよび腎不全の主たる原因である。非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノンは、CKDにおける腎機能低下のリスクを低減するが、糸球体疾患に起因するCKD患者における有効性は不明であった。著者は、「今回得られた知見は、糸球体疾患を有する患者集団における腎機能の維持において、フィネレノンが重要な役割を果たすことを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年6月5日号掲載の報告。非糖尿病性CKD患者対象試験の探索的解析 FIND-CKD試験の対象は、18歳以上のCKD患者である。CKDの定義は、(1)推算糸球体濾過量(eGFR)が25mL/分/1.73m2以上60mL/分/1.73m2未満、かつ尿中アルブミン/クレアチニン比が200mg/g以上500mg/g未満、(2)eGFRが25mL/分/1.73m2以上90mL/分/1.73m2未満、かつ尿中アルブミン/クレアチニン比が500mg/g以上3,500mg/g未満、とし、登録前4週間以上レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬)の安定かつ最大耐用量を服用しており、スクリーニング時の血清カリウム値が4.8mmol/L以下とした。 1型および2型糖尿病を有する患者、HbA1cが6.5%以上、駆出率低下を伴う症候性心不全を有する患者などは除外された。 適格患者をフィネレノン10mg群、同20mg群、プラセボ群に無作為に割り付け、RAS阻害薬の安定かつ最大耐用量に加えてそれぞれ1日1回経口投与した。 主要アウトカムは、ベースラインから32ヵ月時までのeGFRの年間平均変化率(総eGFRスロープ)で、探索的評価項目として糸球体疾患を有する患者集団(治験責任医師により糸球体疾患と診断された対象者)における総eGFRスロープ、ベースラインから12ヵ月時までの尿中アルブミン/クレアチニン比の変化、腎不全またはeGFRの40%以上の持続的な低下の複合アウトカムなどを事前に設定した。フィネレノン群で腎不全またはeGFR40%以上低下の複合リスクが26%減少 無作為化された1,584例のうち、903例(57.0%)が糸球体疾患を有していた。このうち416例(46.1%)が免疫グロブリンA腎症、215例(23.8%)が巣状分節性糸球体硬化症、90例(10.0%)が膜性腎症であった。糸球体疾患を有する患者集団は、平均年齢51.1歳(SD 13.6)、女性362例(40.1%)、アジア系558例(61.9%)、平均eGFRは48.8mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比の中央値は839.6mg/gであった。 糸球体疾患を有する患者集団において、ベースラインから32ヵ月時までの総eGFRスロープは、フィネレノン群で-3.50mL/分/1.73m2/年、プラセボ群で-4.23mL/分/1.73m2/年であった(群間絶対差は年間0.73mL/分/1.73m2、95%信頼区間[CI]:0.22~1.24)。 また、フィネレノン群ではベースラインから12ヵ月時までの尿中アルブミン/クレアチニン比が42%(95%CI:35~48)低下し、腎不全またはeGFRが40%以上低下するリスクをプラセボと比較して26%低減した(100患者年当たり7.42件vs.9.60件、ハザード比:0.74、95%CI:0.57~0.97)。

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転移TN乳がん1次治療におけるDato-DXd、TROPION-Breast02の日本人サブ解析/日本乳学会

 免疫療法が適応とならない未治療の局所再発・切除不能/転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)の1次治療としての有効性と安全性を治験責任医師選択の化学療法(ICC)と比較した国際第III相TROPION-Breast02試験における日本で登録された38例での解析結果を、福島県立医科大学の佐治 重衡氏が第34回日本乳学会学術総会で報告した。 本試験では、ITT集団において全生存期間(OS)および盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)が、Dato-DXd群で有意な改善が認められたことがESMO2025で報告されている。・対象:免疫療法が適応とならない未治療の局所再発・切除不能/転移TNBC・試験群:Dato-DXd(3週ごと6mg/kg点滴静注)・対照群:ICC(パクリタキセル、nab-パクリタキセル、カペシタビン、エリブリン、カルボプラチンから選択)・評価項目:[主要評価項目]OS、BICRによるPFS[副次評価項目]治験担当医師評価によるPFS、BICRによる奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・ITT集団644例のうち日本で登録された患者は38例(Dato-DXd群:17例、ICC群:21例)であった。・患者背景について、日本の集団ではICC群の選択薬剤がITT集団と比べてnab-パクリタキセルが少なく、多くの医師がパクリタキセルを選択していた。・BICRによるPFS中央値は、Dato-DXd群が15.0ヵ月とICC群の7.0ヵ月より改善し(ハザード比[HR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.19~1.01)、ITT集団と同様であった。・OS中央値は、Dato-DXd群24.0ヵ月、ICC群18.5ヵ月でITT集団とほぼ同様であった(HR:0.55、95%CI:0.22~1.30)。・BICRによるORRは、少数例ではあるもののDato-DXd群64.7%、ICC群23.8%であった。DoR中央値は順に、20.3ヵ月(95%CI:4.6~NR)と5.8ヵ月(同:4.2~NR)であった。・毒性について、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止例はDato-DXd群が12%、ICC群が16%とICC群のほうが多かった。TRAEは、Dato-DXd群では脱毛、悪心、口内炎、角膜炎など眼症状が多く発現し、脱毛は全体集団に比べて日本の集団で多かった。 佐治氏は、「例数は少ないが、日本サブセットでもDato-DXdは効果および安全性ともITT集団と同様のデータが示された」とまとめ、「日本の患者においてもITT集団のデータを基に説明したり、投与することが可能」と述べた。

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ボストン最終章、そして新天地オレゴンへ【臨床留学通信 from Boston】第24回

ボストン最終章、そして新天地オレゴンへ早いもので、ボストンに来てから2年が経とうとしています。渡米してからは通算8年になりますが、この2年は間違いなく最もエキサイティングなものでした。ハーバード系のMGH(マサチューセッツ総合病院)とBeth Israel Deaconess(BID)において、臨床の現場で働けたことはまさに誇りであり、大きなステップアップになったと確信しています。同時に、この2年はいろいろな「選択」の連続でもありました。何が正しかったのかは、今でもわかりません。大きな岐路は、MGHにアテンディング(指導医)として残るか、それともBIDで構造的心疾患治療を学ぶか、という選択でした。それまでの7年間、MGHを含めて「新しいことを貪欲に学ぶ機会」が少なくなっていると感じており、新しいチャレンジをする最後のチャンスとして、BIDへ行く道を選びました。BIDでの手技実績は、TAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)が250件を超え、MitraClip(経皮的僧帽弁クリップ術)も80件を超えました。ほかにも三尖弁、PFO/ASD(卵円孔開存・心房中隔欠損)の閉鎖術、左心耳閉鎖術やクリニカルトライアルなど、多岐にわたる経験を積むことができました。これらすべての細かい操作を英語で学び、実践していくことは非常にチャレンジングでしたが、大きなステップアップにつながりました。ビザの壁と、オレゴンとの新たな縁しかし同時に、この2年間でトランプ政権となり、ビザを取り巻く状況は急速に悪化してしまいました。現在のJ1 visa(交流訪問者ビザ)からO visa(卓越能力者ビザ)に変えることはMGHでも可能でしたが、そこからグリーンカード(米国永住権)に切り替えることはできません。アメリカに残るためには、「J1 waiver」と呼ばれる、医療過疎地や特定のニーズがある地域への従事を余儀なくされる状況になります。そうした状況の中、幸運にも縁があって、先日面接を受けさせていただいたオレゴン州最大都市ポートランドにあるオレゴン健康科学大学(Oregon Health and Science University:OHSU)から採用通知をいただくことができました。秋からは、faculty / assistant professorとして働くことになります。実は、OHSUのCardiologyのチーフがもともとMGHにいた方でした。おそらく、いろいろなルートから私の噂を聞いて、採用できると踏んだのだと思います。アメリカの医療界でもこうした「縁」は本当に重要で、真面目に働いていれば、どこかで必ず評価してもらえるのだと実感しました。こう言ってはなんですが、MGHにいた頃の私は、冠動脈インターベンションを粛々とこなしていました。日本で臨床経験を経てからの留学のため、当然ながら他のフェローとはレベルが違っていました。評価が高かったのはある意味で当たり前だったと言えます。ただアメリカでの就職というのは、わかってはいたものの手技にかなりの制限がかかります。今回の私のメインのポジションは「complex coronary intervention(複雑冠動脈インターベンション)」であり、現状では構造的心疾患のインターベンションはできないと言われています。とはいえ、子供の学校の新学期(9月)に合わせて仕事を見つけなければ、アメリカに滞在し続けることも難しく、悠長に仕事を選んでいる時間はありませんでした。実際に大学病院での構造的心疾患の求人は非常に少なく、MGHの同僚でさえ6月時点でまだ仕事が見つかっていないのが現実です。そうした状況下で「何に重きを置くか」ですが、西海岸で日本人もいる都市であり、気候も良く、全米で最も住みたい街No.1にも選ばれるポートランドで仕事ができること、そして何よりJ1 waiverを消化できることを考えれば、「これで良かったのだ」と納得するほかありません。アメリカのキャリアにおいて、100%完璧を求めるのは難しいものです。そこは少し肩の力を抜いていこうかと思います。それに、いざ「構造的心疾患のインターベンションをやる」となったとしても、いつでも対応できるレベルには到達できたという自負もあります。8年間で得た、最大の財産ビザの手続きのため、まずは一旦日本へ一時帰国します。大使館での手続きを済ませ、しっかりと充電したあと、9月からは新しい職場での仕事が始まります。また気持ちを新たに、気を引き締めていきたいと思います。この8年間で得たものは、英語力、手技力、論文の実績などもありますが、最も大きいと感じているのは、まさに「人との縁」です。現地のアメリカ人との縁や、日本人で臨床や研究をしている人たちとの縁。はたまた、日本にいながら将来の留学を目指している若い医師たちとの縁。これらすべてのつながりが、私のこれからの力になり、助けになると信じて、新天地でもやっていきたいと思います。

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第322回 遅々として進まぬタスクシフト、「臨時的」に「輸液」に限った訪問看護ステーションヘの薬剤配置をもっと緩和せよと日本維新の会

日本医師会の松本会長が3期目へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。日本医師会は6月27日の定例代議員会で、任期満了に伴う役員改選を行いました。会長選は現職の松本 吉郎氏(埼玉)以外に届け出はなく、3期目続投が決まりました。副会長、常任理事など、ほかの役職の届け出もすべて定数通りでこちらも無投票でした。いずれも無投票となるのは坪井 栄孝元会長が3期目を決めた2000年以来とのことです。松本会長になる前の何回かの日医会長選は結構泥臭い戦いが繰り広げられていましたが、診療報酬本体の改定率が30年ぶりに3%超えの3.09%となった”実績”を前に、さすがに現職に反旗を翻す勢力は現れなかったということなのでしょう。松本会長は山口県出身の71歳。浜松医大卒業後、埼玉県医師会理事・常任理事、大宮医師会長、日本医師会常任理事を経て、2022年から現職を務めています。ちなみに、1982年まで25年間も日医会長を務めた武見 太郎氏以降、日医会長を3期以上務めた人物は、羽田 春兔氏(4期)、坪井氏(4期)、横倉 義武氏(4期)、松本会長の4人しかいません。次の2年を無事乗り切れば、松本会長は歴史に残る“大会長”の仲間入りということになります。ということで、日本医師会の新体制も決まり、遅れていた財政制度審議会・分科会の通称「春の建議」(政府の経済財政運営と改革の基本方針[骨太の方針]を見据えた意見書)も6月26日にやっと出て、現時点で医療政策の方向性をリサーチするためのイベントは、残るは「骨太の方針」だけとなりました。通常は5月に出ているはずの「春の建議」もなかなかに読ませる内容になっていますが、今回は、6月16日、日本維新の会が「骨太の方針」に向けて行った提言に興味深い項目がありましたので、その内容を紹介したいと思います。日本維新の会が骨太に向けて「医療・介護、労働分野における社会実装の加速」を提言日本維新の会は6月16日、規制改革などを求める提言を城内 実規制改革担当相と遠藤 敬首相補佐官(連立合意政策推進担当)に提出しました。「日本再起への次なる一手~規制改革を中核とする経済成長戦略~」と題する提言書は、2025年10月の連立政権合意「日本再起への12本の矢」に続く次なる改革の柱として打ち出すもので、「副首都の実現に向けた官民連携・規制緩和の活用」「AI時代における社会実装の加速」などの各論項目とともに、「医療・介護、労働分野における社会実装の加速」も中心的な各論項目に加えられています1)。その中では、1)医療等データの利活用の抜本的拡大 、2)医療現場におけるタスクシフト・タスクシェアの推進 、3)医療AIの社会実装、4)医療法人の経営に関する制度の在り方の検討、5)かかりつけ医機能の強化に向けた総合診療科の制度的位置づけの見直し──の5点を提言しています。「訪問看護ステーションへの薬剤配置が認められていないため、患者ごとに予測される薬剤を事前に処方するという非効率な運用が常態化」私が注目したのは、2番目の「医療現場におけるタスクシフト・タスクシェアの推進」です。提言では、現状、医師から看護師へのタスクシフトについては、特定行為研修制度の下で一定の進展が見られるとしつつ、「看護師から介護職へのタスクシフトは依然として進んでいない。例えば、介護職による胃ろうからの栄養投与は認められている一方で、内服薬の投与は看護師でなければ行うことができず、合理的な区分とは言い難い」と指摘、そして、「訪問看護ステーションへの薬剤配置が認められていないため、発熱等の急変時に解熱剤等を即時に提供することができず、患者ごとに予測される薬剤を事前に処方するという非効率な運用が常態化している」とステーションにおける現状の問題点を挙げた上で、「政府は、医療現場におけるタスクシフト・タスクシェアの推進を、政府の規制改革の重要課題として位置づけ看護師から介護職への業務範囲の合理的な見直し、訪問看護ステーションへの薬剤配置等に取り組むべきである」としています。3年前、日本薬剤師会は「薬剤師の調剤権の侵害」として大反対訪問看護ステーションへの薬剤配置問題については、3年前、2023年の本連載「第162回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体(後編)『看護師に処方権』『 NP国家資格化』の行方は?」でも取り上げました。この時は、政府の規制改革推進会議で議論が進められている、訪問看護ステーションに配置可能な医薬品の拡大案について、日本薬剤師会の山本 信夫会長(当時)が「配置可能薬を拡大するということについては断固反対という立場だ」と語ったというニュースとともに、規制改革推進会議での議論の状況を紹介しました。当時、規制改革推進会議では「薬局の遠隔倉庫」案などが検討されていました。薬剤師はオンラインで訪問看護ステーションに配置された薬剤を遠隔管理(倉庫室温、ピッキングの適切性、在庫など)し、薬局がステーションに随時医薬品を授与。一方、ステーションの看護師は、必要に応じて医師の指示内容を薬局と共有、処方箋の写しに基づいてステーションの倉庫から薬剤をピッキング、患者に投薬するというスキームでした。しかし、こうした案に対し、当時の日本薬剤師会は「薬剤師の調剤権の侵害」として大反対していたのです。なお、規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループの中には一定の条件下で訪問看護師が処方箋を発行して投薬できるようにする、という大胆な規制緩和策を提案する委員もいました。2025年12月の通知で「臨時的な対応」として訪問看護ステーションへの輸液の配置が認められるそれが3年前のことですが、訪問看護ステーションへの薬剤配置は依然十分な形では実現していません。この問題は、2022年の秋から内閣府の規制改革推進会議のワーキング・グループで検討されてきた問題で、2025年5月に出された「規制改革推進に関する答申」では、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」として取り上げられ、「地方公共団体や関係団体等に対する要請や、個別の患者の状態や状況に応じ、在宅患者の療養を担う医師、薬剤師、訪問看護師等の協議の下、在宅患者の急な状態変化への対応のために必要な医薬品として、新たな品目(例:輸液)を事前に訪問看護ステーションに配置することを可能とする」と、2025年度中に所要の措置を講ずるとしていました。そして、2025年12月25日付の通知「指定訪問看護事業者における医薬品の取り扱いについて」2)が発出され、まずは輸液を対象にして、あくまでも「臨時的な対応」として訪問看護ステーションへの薬剤配置が認められました。「医師から看護師へのタスクシフト」も不十分では?3年前には「訪問看護師に処方箋を発行できるようにせよ」という意見すらあったにもかかわらず、「臨時的な対応」で輸液のみ配置というところに、規制改革の難しさ、壁の厚さを感じます。日本維新の会の今回の提言は、「発熱等の急変時に解熱剤等を即時に提供することができず、患者ごとに予測される薬剤を事前に処方するという非効率な運用が常態化している」と、輸液にとどまらず、広くコモンディジーズに用いる解熱剤等も配置できるようにせよ、と言っているわけです。無薬局地域の存在や、夜間・休日に非対応の薬局が少なくないことから考えても、まったくの正論と言えるでしょう。ところで、日本維新の会は、「医師から看護師へのタスクシフトについては、特定行為研修制度の下で一定の進展が見られる」としていますが、本当にそうでしょうか?たとえば米国では、ナースプラクティショナー(NP)に一定の処方権を与えている州もあります。そうした状況と比べても、日本の看護師へのタスクシフトの不十分さは明らかです。その延長線で言えば、老人保健施設など高齢者施設の施設長は、最新医学に疎いことの多いリタイア前の老齢医師ではなく、高齢者医療の教育を受けた看護師が務めてもいいと思うのですがいかがでしょう。NP創設に一貫して反対してきた日本医師会は断固反対だとは思いますが。参考1)日本再起への次なる一手~規制改革を中核とする経済成長戦略~/日本維新の会2)指定訪問看護事業者における医薬品の取扱いについて/厚生労働省

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アレルギー性鼻炎はアルツハイマー病のリスク因子?

 神経炎症は、アルツハイマー病(AD)の病態形成に関与していることから、公衆衛生上の懸念が高まっている。一般的な慢性炎症性疾患であるアレルギー性鼻炎は、全身性炎症の一因となり、ADリスクに影響を及ぼす可能性がある。台湾・台北医学大学のShih-Han Hung氏らは、アレルギー性鼻炎の既往歴とその後のAD発症との関連を詳細に評価するため、台湾の大規模かつ代表的なコホートを用いて検討を行った。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月2日号の報告。 台湾の国民健康保険研究データベース(LHID2010)を用いた本ケースコントロール研究では、初めてADと診断された65歳以上のAD群4,681例および傾向スコアマッチングで抽出された対照群1万4,043例を対象とした。アレルギー性鼻炎の既往歴は、耳鼻咽喉科専門医による診断を含む、2回以上の臨床診断と定義した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、潜在的な交絡因子を調整した後、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な内容は以下のとおり。・AD群におけるアレルギー性鼻炎の既往歴を有する割合は、対照群と比較し、有意に高かった(25.29%vs.21.01%、p<0.001)。・人口統計学的変数、社会経済的地位、地理的要因、併存疾患(高脂血症、糖尿病、冠動脈疾患、難聴、高血圧を含む)で調整を行った結果、アレルギー性鼻炎の既往歴はAD発症リスクの上昇と強い関連が認められた(調整OR:1.279、95%CI:1.182~1.384)。・この関連性は、男性(調整OR:1.196、95%CI:1.053~1.358)と女性(調整OR:1.339、95%CI:1.210~1.482)の両方において統計学的に有意であった。 著者らは「本研究において、アレルギー性鼻炎の既往歴とアルツハイマー病発症リスク上昇との間に有意な関連性が認められることを示唆している。これらの知見は、慢性末梢炎症が神経変性に関連する可能性のある因子であることを浮き彫りにしている」としている。

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