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英語で「肺塞栓症」、患者さんには「肺の血栓」で言い換えてみよう【患者と医療者で!使い分け★英単語】第14回

肺塞栓症 pulmonary embolism「肺塞栓症」は、専門用語ではpulmonary embolismといいます。これはご存じの方も多いでしょう。では、肺塞栓症について説明する際、患者さんには何と言い換えればよいでしょうか?講師紹介

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高脂血症は術後せん妄のリスク因子か~メタ解析

 術後せん妄のリスク因子としての高脂血症の潜在的役割について、中国・Zigong Fourth People's HospitalのLi-Quan Qiu氏らがメタ解析で検討した。その結果、高脂血症患者は術後せん妄リスクが有意に高く、術後せん妄患者では総コレステロール、トリグリセライド、LDLコレステロールが有意に高いことが示され、術後せん妄リスク因子としての高脂血症の潜在的役割が示唆された。Frontiers in Aging Neuroscience誌2025年3月18日号に掲載。 本研究では、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Library、ClinicalTrials.govを用いて、選択基準を満たす研究を系統的に検索し、術後せん妄患者と非術後せん妄患者の血中脂質レベル、高脂血症と術後せん妄リスクの関連などを調べた。  主な結果は以下のとおり。・4,686例を含む9件の研究がメタ解析に含まれた。・プール解析の結果、高脂血症患者は非高脂血症患者と比較して高い術後せん妄リスクと有意に関連していた(オッズ比:1.47、95%信頼区間[CI]:1.13~1.91、p=0.004)。・術後せん妄患者は非術後せん妄患者と比較して、総コレステロール(加重平均差[WMD]:0.31、95%CI:0.03~0.59、p=0.030)、トリグリセライド(WMD:0.37、95%CI:0.03~0.71、p=0.033)、LDLコレステロール(WMD:0.09、95%CI:0.01~0.17、p=0.023)が有意に高かった。・HDLコレステロールは術後せん妄患者で有意に低かった(WMD:-0.07、95%CI:-0.12~-0.01、p=0.026)。

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転倒リスクの高い2型糖尿病治療薬は?/筑波大

 骨格筋量の低下によって転倒リスクが増大することが知られており、一部の2型糖尿病治療薬は体重減少作用が強く、骨格筋量の減少を引き起こすことで転倒リスクを増大させる可能性が示唆されている。この課題について筑波大学システム情報系知能機能工学域の鈴木 康裕氏らの研究グループは、筑波大学附属病院に入院中の2型糖尿病患者を対象に転倒と糖尿病治療薬との関連を調査した。その結果、SGLT2阻害薬は転倒の危険因子であることが明らかになった。この結果はScientific Reports誌2025年3月17日号に掲載された。SGLT2阻害薬処方時は転倒リスクも考慮 研究グループは、いくつかの糖尿病治療薬、とくにSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が、筋肉および除脂肪体重の減少を引き起こすことと、転倒の関連を評価した。方法は、筑波大学附属病院に入院中の2型糖尿病患者を対象に、毎年1回転倒調査を最長5年間実施。転倒の危険因子は離散時間生存分析モデルを用いて同定した。 主な結果は以下のとおり。・調査では、471例の参加者を中央値2年間にわたって観察した。・参加者の年齢中央値は64歳で、転倒発生率は100人年当たり17.1件だった。・独立した転倒の危険因子は、「転倒歴」、「SGLT2阻害薬の使用」、「年齢」であった。・SGLT2阻害薬のみ使用のオッズ比(OR)は1.80(95%信頼区間[CI]:1.10~2.92)、GLP-1受容体作動薬のみ使用のORは1.61(95%CI:0.88~2.84)、両方使用のORは2.89(95%CI:1.27~6.56)だった。・SGLT2阻害薬の使用は、転倒の独立危険因子だったが、GLP-1受容体作動薬の効果は統計学的に有意ではなかった。・SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の併用は、転倒のリスクを有意に増加させた。 この結果から研究グループでは「2型糖尿病患者にこれらの薬剤を処方する際には、転倒のリスクを考慮することが重要」と示唆している。

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多発性骨髄腫と共に“生きる”選択を―Well-beingから考える

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年4月4日、「多発性骨髄腫患者のWell-being向上も考慮した治療目標を」と題したメディアセミナーを開催した。多発性骨髄腫は、根治が難しいものの、治療の進歩により長期生存が可能となってきている疾患である。本セミナーは、患者が「治療と生活を両立」させるために必要な視点として「Well-being」に焦点を当て、医療者と患者双方の視点からその意義を共有することを目的として開催された。 セミナーでは、群馬大学大学院医学系研究科 血液内科学分野の半田 寛氏が「診断から最新治療、そして患者自身ができること」について講演を行い、続いて日本骨髄腫患者の会代表の上甲 恭子氏が登壇し「Well-beingとは“一人一人が今どのように生きたいか”」をテーマに患者の視点から語った。「多発性骨髄腫の治療を諦めず、やりたいことも諦めないために」 多発性骨髄腫の診断・治療は、この20年間で著しい進歩を遂げてきた。新たな薬剤の登場により、生存期間は大幅に延伸し、治療の選択肢も増えている。一方、治療の選択肢の多様化は、治療の複雑化という新たな課題を生んでいる。 こうした状況において、半田氏は「治療の目標は深い奏効、すなわちMRD(微小残存病変)検出感度未満の達成に向かっている。そのうえで、いかに患者のQOL(生活の質)やADL(日常生活動作)を損なわずに治療を継続できるかが今後の大きな課題である」と指摘した。たとえ根治が難しくとも「治療をしながら、自分らしく生きる」ことの両立が、これからの治療においてますます重要になってくるという。 その鍵となるのが「どう生きたいか」という価値観を、患者と医療者が共有する“Shared Decision Making(共同意思決定)”であると半田氏は述べる。治療法を選ぶ際、注射か内服か、治療期間の長短、通院頻度、生活の目標など、個々の患者の価値観に沿って擦り合わせていくことが不可欠であると強調した。「“いい塩梅”の暮らしを支える:患者のWell-beingを考える」 「治療のために生きるのではなく、生きるために治療をする」。多発性骨髄腫の治療が進歩する中で、患者にとって大切なのは「今をどう生きるか」であると、日本骨髄腫患者の会で代表を務める上甲氏は語った。講演では、自身の家族の経験や患者支援の活動を通して見えてきた、多発性骨髄腫患者における「Well-being」の在り方について紹介した。 上甲氏は、Well-beingという概念を「絶妙なバランス、つまり“よい塩梅”」と表現し、患者調査の結果から「長生きしたい」よりも「自分らしく、元気に過ごしたい」と考える傾向が高齢患者に多いことを紹介した。一方で、痛みや不安、外見の変化に苦しむ声も届くことを紹介。ある患者の「病院には薬をもらいに行っているだけ」「主治医との会話にも虚無感がある」といった実情に対し、上甲氏は「医療者との対話の重要性、そして患者自身が正しい知識を持ち、信頼関係を築くこと」の必要性を訴えた。医師と患者、すれ違う“目標”と本音 パネルディスカッションでは、医師と患者それぞれの「治療目標」に関する意識の違いが調査結果を交えて紹介された。 患者が挙げた目標として最も多かったのは「以前と変わらない生活を送りたい」、次いで「好きなことを続けたい」であった。一方、医師は「生存期間の延長」など、科学的エビデンスに基づいた数値を重視していた。 これについて半田氏は、「医師は“提供できるもの”として科学的な指標を挙げているが、患者は“どう生きたいか”を大切にしている」と説明。上甲氏も「“治療目標”という言葉は患者には伝わりにくい。“どんな生活を望んでいるか”と問うことで、初めて本音が語られる」と述べた。日常の充実が、治療を支える 「治療以外の時間の充実」が治療に与える影響についての調査では、医師の92%、患者の96%が「かなり良い影響を与える」または「やや良い影響を与える」と回答した。 上甲氏は「夢中になれることを持っている患者は、生きる力が明らかに違う」と述べ、半田氏も「やりたいことを伝えてもらえれば、それを実現できる治療を一緒に考えられる」と応じた。まとめ 多発性骨髄腫の治療は進歩し続けている。しかし、医学的な成功が必ずしも患者の幸福と一致するとは限らない。治療を続けながらも、自分らしい生活、すなわちWell-beingを実現するためには、医療者と患者が対等な立場で治療目標を共有することが求められる。科学的根拠に基づく治療と、患者が描く人生の在り方。その両輪がかみ合ってこそ、多発性骨髄腫の治療は本当の意味で“前進”していくと考えられる。

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FDAで承認された初の経口産後うつ病治療薬zuranolone

 産後うつ病は、世界的に重大な懸念事項となっており、ホルモンの変化、遺伝的影響、環境ストレスなど、さまざまな要因が関連しているといわれている。その標準的な治療は、これまで心理療法や抗うつ薬治療などであったが、有望な代替治療として、zuranoloneが米国食品医薬品局(FDA)より承認された。zuranoloneは、効果発現が早く、治療アクセス性の向上が期待される初の経口産後うつ病治療薬である。パキスタン・Dow University of Health SciencesのMuhammad Haris氏らは、症状緩和や患者アウトカムへの影響を考慮し、産後うつ病治療におけるzuranoloneの有効性および安全性を評価するためナラティブレビューを行った。Health Science Reports誌2025年3月2日号の報告。 本レビューでは、産後うつ病の疫学、病態生理、治療介入に焦点を当て、産後うつ病の多面的な性質について検討した。産後うつ病、ホルモンの変化、遺伝的要因、治療法に関するキーワードを用いて、PubMed、Google Scholarなどのデータベースよりシステマティックに検索し、関連文献を特定した。 主な結果は以下のとおり。・産後うつ病と診断された女性を対象に実施した2つの厳格な第III相試験では、zuranoloneで治療された患者は、プラセボ群と比較し、抑うつ症状の有意な改善が示された。・その治療効果は、zuranoloneの最終投与から4週間持続しており、効果の持続性が認められた。・zuranoloneは、治療開始後3日目の早期段階で抑うつ症状軽減に対する有意な効果が示された。・zuranoloneは、投与の容易さ、投与量の柔軟性、早期介入の可能性などにより重度の産後うつ病の改善に期待される治療薬であると考えられる。 著者らは「産後うつ病は、世界的に大きな課題となっており、zuranoloneの承認により改善に向かうことが期待される。従来の治療法は、依然として重要ではあるが、zuranoloneの効果発現の速さや治療アクセスの改善により、より良い治療を行うことが可能となる。しかし、授乳中女性に対する安全性および潜在的な副作用に関する懸念は依然として残っているため、さらなる研究や慎重な使用が求められる。これらを踏まえ、zuranoloneは産後うつ病患者のアウトカム改善、生活の質向上に希望をもたらすであろう」と結論付けている。

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後方循環系の軽症脳梗塞、発症後4.5~24時間のrt-PA療法が有効/NEJM

 血栓除去術が予定されていない、主として後方循環系の軽症脳梗塞を発症した中国人患者において、発症後4.5~24時間のアルテプラーゼ(rt-PA)療法は標準薬物治療と比べて、90日時点の機能的自立の割合が高かった。中国・the Second Affiliated Hospital of Zhejiang UniversityのShenqiang Yan氏らEXPECTS Groupが中国の30ヵ所の脳卒中センターで行った多施設共同前向き無作為化非盲検アウトカム盲検試験の結果を報告した。後方循環系の虚血性脳卒中の発症後4.5~24時間に静脈内血栓溶解療法を用いることの有効性およびリスクは、十分に検討されていなかった。NEJM誌2025年4月3日号掲載の報告。アルテプラーゼvs.標準薬物治療で、90日時点の機能的自立を評価 研究グループは、後方循環系の脳梗塞を発症し、CT画像診断で早期の広範な低吸収域を認めず血栓除去術が予定されていない患者を、発症後4.5~24時間にアルテプラーゼ療法(0.9mg/kg体重、最大用量90mg)または標準薬物治療(Chinese Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute Ischemic Stroke 2018に基づく抗血小板療法およびその他の治療)を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、90日時点で評価した機能的自立(修正Rankinスケールスコア[範囲:0~6、高スコアほどより障害が重度であることを示す]が0~2と定義)とした。重要な安全性アウトカムは、無作為化後36時間以内の症候性頭蓋内出血および90日以内の死亡とした。90日時点の機能的自立、アルテプラーゼ群89.6%、標準薬物治療群72.6% 2022年8月~2024年5月に、計234例が無作為化された(アルテプラーゼ群117例、標準薬物治療群117例)。 ベースラインの両群特性はほぼバランスが取れており、年齢中央値は64歳(四分位範囲[IQR]:55~74)、女性が34.6%であった。既往歴は高血圧がアルテプラーゼ群70.9%と標準薬物治療群62.4%、糖尿病がそれぞれ34.2%と32.5%であった。発症前の修正Rankinスケールスコアは0の被験者が両群ともに97.4%で、無作為化前のNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア(範囲:0~42、高スコアほど神経学的障害の重度が高いことを示す)中央値は、両群ともに3(IQR:2~6)と、大半の被験者が軽症脳梗塞であった。 発症から無作為化までの時間中央値は564分(IQR:390~834)であった。 90日時点で、機能的自立の患者割合はアルテプラーゼ群(89.6%)が標準薬物治療群(72.6%)より有意に高かった(補正後リスク比:1.16、95%信頼区間[CI]:1.03~1.30、p=0.01)。 36時間以内の症候性頭蓋内出血は、アルテプラーゼ群で2/116例(1.7%)、標準薬物治療群で1/115例(0.9%)に発現した(補正後リスク比:1.98、95%CI:0.18~21.56)。90日以内の死亡は、それぞれ6/115例(5.2%)と10/117例(8.5%)であった(0.61、0.23~1.62)。 著者は、「今回の試験の結果は、血管内血栓除去術が選択できない場合、この延長された時間枠内(発症後4.5~24時間)にアルテプラーゼ治療を用いることを支持するものである」と述べている。

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マラソン中の心停止、発生は横ばいだが突然死は大幅に減少/JAMA

 米国では2010~23年に2,900万人以上がマラソンおよびハーフマラソンを完走しており、これは2000~09年の約3倍に相当するという。米国・エモリー大学のJonathan H. Kim氏らは、近年の長距離ランニングレースイベントにおける心停止の発生率と転帰を調べ、米国の長距離ランニングレースへの参加者は増加したが、心停止の発生率は一定していることを明らかにした。心停止による死亡率は大きく減少しており、十分な発生関連データがあった症例では、原因として冠動脈疾患(CAD)が最も多くみられたという。JAMA誌オンライン版2025年3月30日号掲載の報告。米国2010~23年のマラソンおよびハーフマラソンでの心停止の発生と転帰を調査 研究グループは、米国で行われた2010~23年のマラソンおよびハーフマラソンにおける心停止の発生と転帰を明らかにするため、レース完走者の記録およびメディア記事、レース主催者への直接的なコンタクト、全米陸上競技連盟(USA Track & Field)のインシデントレポートおよび生存者または近親者へのインタビューによる包括的なケースレビュー(観察的ケースシリーズ)を行った。 2010年1月1日~2023年12月31日の米国のマラソンおよびハーフマラソンのコホートデータをRace Associated Cardiac Event Registryから得て、ケースプロファイル・レビューを行い、原因および生存に関連した因子を調べ、発生および原因のデータを参照基準とした過去のデータ(2000~09年)と比較した。 主要アウトカムは、心停止発生率および死亡率とした。速やかな除細動器へのアクセスが生存率を向上か 米国の2010~23年の長距離ランニングレースのレース完走者2,931万1,597人(男性44.5%、マラソン完走者23.2%、ハーフマラソン完走者76.8%)において、心停止の発生は176件(男性127人、女性19人、性別不明30人)であった。心停止発生率は0.60件/10万人(95%信頼区間[CI]:0.52~0.70)であり、2000~09年(0.54件/10万人[95%CI:0.41~0.70])と比較して変化は認められなかった。 一方で、突然死の発生率(2010~23年0.20件/10万人[95%CI:0.15~0.26]vs.2000~09年0.39件/10万人[0.28~0.52])および致死的ケースの発生率(34%vs.71%)は、大幅な低下がみられた。 心停止は、男性(1.12件/10万人[95%CI:0.95~1.32])のほうが女性(0.19件/10万人[0.13~0.27])よりも多く、またマラソン参加中(1.04件/10万人[0.82~1.32])のほうがハーフマラソン参加中(0.47件/10万人[0.38~0.57])よりも発生が多かった。 心停止の原因が明確に特定できたランナーでは、肥大型心筋症よりもCADが最も多い原因であった。心肺蘇生時間の短縮と初期の心室頻脈性不整脈が生存と関連していた。 結果を踏まえて著者は、「効果的な緊急アクション計画による、速やかな除細動器へのアクセスが、生存率を改善していると思われる」としている。

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チャットボットもトラウマ的な話に不安を感じる

 ChatGPTのようなチャットボットも、人間と同じように、戦争、犯罪、事故などの悲惨な話にさらされると不安を感じる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。また、マインドフルネスに基づくリラクゼーション法により、そのような不安が軽減されることも確認されたという。チューリッヒ大学(スイス)精神病院のTobias Spiller氏らによるこの研究結果は、「npj Digital Medicine」に3月3日掲載された。Spiller氏は、「特に、立場的に弱く、影響を受けやすい人が関わる場合には、メンタルヘルスにおけるこうした大規模言語モデルの使用について話し合うべきだ」とThe New York Times紙に語った。 この研究でSpiller氏らは、GPT-4が、トラウマ体験の話に接することで不安感が増すのか、また、そのようにして誘発された不安がマインドフルネスに基づくリラクゼーション法により軽減されるのかを調べた。不安のレベルは、状態・特性不安検査(State-Trait Anxiety Inventory;STAI)を用いて評価された(20〜80点)。 まず、ベースラインとして、STAIによる質問のみをプロンプトとして入力し、基準となるGPT-4の不安レベルを評価したところ、STAIの平均スコアは30.8点であることが示された。これは、人間では「不安なし、または低い不安」(20〜37点)に相当する。 次に、不安を誘発するために、個人のトラウマ体験に関する約300語のテキストを提示し、再びSTAIの各項目で不安レベルを評価した。その結果、STAIの平均スコアは67.8点と著しく上昇していた。これは、人間では「高い不安レベル」(45〜80点)に相当する。トラウマ体験の内容別にスコアを見ると、事故に関する物語では61.1点、軍事的なことに関する物語では77.2点であった。 最後に、個人のトラウマ体験およびマインドフルネスに基づくリラクゼーションに関する、それぞれ約300語のテキストを提示してから不安の評価を行った。リラクゼーションに関するテキストは、例えば、「深呼吸をして海風の香りを吸い込む。熱帯のビーチで、足の裏にクッションのように柔らかくて温かな砂を感じている自分を想像する」などの内容だった。 その結果、全体的なSTAIの平均スコアは44.4点になり、トラウマ体験に関するテキストでの平均スコアから約33%の低下が認められた。リラクゼーションのテキストの内容別にスコアを見ると、GPT-4自身が考え出したリラクゼーションプロンプトが平均35.6点と最も低く、冬の景色に関するプロンプトが平均54点と最も高かった。この点について論文の筆頭著者である米イェール大学の臨床神経科学者であるZiv Ben-Zion氏は、「GPT-4自身が作成したプロンプトが最も効果的であり、不安レベルはほぼベースラインまで軽減した」と話している。 ただし、人工知能(AI)をメンタルヘルスの有用なツールと考える人がいる一方で、倫理的な懸念を抱く人もいる。テクノロジーを痛烈に批判する著書を執筆したNicholas Carr氏は、「米国人は、人との交流をスクリーン越しに行う孤独な国民となった。今やコンピューターと話すことで憂うつな気分を和らげることができると自分に言い聞かせている」と語る。同氏は、「人間の感情とコンピューターの出力の境界線を、たとえ比喩的にでも曖昧にすることは、倫理的に問題があるように思われる」とThe New York Times紙への電子メールで述べたという。 一方、米ダートマス大学のAIアドバイザーであるJames Dobson氏は、「AIツールへの信頼を確保するには、チャットボットがどのように訓練されているかについて十分な透明性を確保することが必要だ。言語モデルへの信頼は、それがどのように作られているのかを知ることにかかっている」との見方を示している。

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AIが早産児の完全静脈栄養を改善

 新生児集中治療室で治療を受けている早産児のうち、消化器系の発達が不十分で腸管で栄養を適切に吸収できない児には、点滴で栄養を与えられることがある。これを、完全静脈栄養(TPN)という。TPNの処方は医師が行うが、残念ながら、処方の適切性を判断するのは困難であり、間違いも起きやすい。こうした中、人工知能(AI)が、早産児の栄養管理を改善し、児が正常に成長し発達する可能性を高めるのに役立つことが、新たな研究で示唆された。米スタンフォード大学小児科准教授のNima Aghaeepour氏らによるこの研究結果は、「Nature Medicine」に3月25日掲載された。 新生児の約10%は、予定日より3週間以上前に早産で生まれる。研究グループによると、予定日より8週間以上早く生まれた場合、腸管から栄養を吸収する準備ができていないため、TPNが必要になることが多い。しかし、早産児が十分なカロリーを摂取しているかどうかを判断するための血液検査は存在しない上に、早産児は、必ずしも空腹時に泣いたり、満腹になると落ち着き、満足を示すわけでもない。そのため、TPNが適切に行われているかどうかの判断は難しい。Aghaeepour氏は、「世界中で、TPNは新生児集中治療室における医療ミスの最大の原因だ」と指摘する。 この問題を解決するためにAghaeepour氏らは、5,913人の早産児に対する7万9,790件のTPNの処方箋と、児の状態(治療やその効果など)に関する情報をリンクさせてAIアルゴリズムを訓練し、早産児に必要な栄養素とその量を予測することができるようにした。このアルゴリズムにより、無限のバリエーションを持ち得るTPN処方が15種類の標準的な処方に絞り込まれた。Aghaeepour氏は、「この15種類の処方は、医師、薬剤師、栄養士が推奨する内容とほぼ同じであることが判明した。しかし、AIによるこれらの処方を使えば、処方のスピードと安全性を大幅に向上できる可能性がある」と語る。 また、このAIアルゴリズムにより、早産児の医療データを用いて、15種類の処方のうちどれが必要なのかを予測できることも示された。さらに、児の成長や健康状態の変化に応じて、例えば「No.8の処方箋を5日続けた後、No.3を1週間、次いでNo.14を数日間」という具合に、毎日、推奨する処方箋を調整できることも確認された。 AIによるTPNの処方と実際の処方を比較するために、10人の新生児科医に、早産児の過去の臨床情報と、実際にその児が受けたTPN処方、およびAIが推奨したTPN処方を誰が作成したかを告げずに提示し、より良いと思う方を尋ねた。その結果、医師はAIが生成した処方の方を一貫して好ましく評価することが示された。 さらに、AIに過去の患者の電子カルテ情報を提示し、早産児が実際に受けたTPNがAIの推奨と大きく異なっていた事例について調べた。その結果、そのような児では、死亡率、敗血症、腸疾患のリスクが、AIの推奨と一致していた児よりも有意に高いことが判明した。最後に、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のリアルワールドデータ(3,417人の早産児に処方された6万3,273件のTPN)を用いて検討しても、AIアルゴリズムは同様の予測能を示すことが確認された。 このような有望な結果が得られたものの、研究グループは、AIアルゴリズムが何かを見落としていないかどうかを確認するために、AIの推奨事項を医師や薬剤師が確認する必要があると指摘している。共著者の1人である、米スタンフォード・メディシン・チルドレンズ・ヘルスのエグゼクティブ・ディレクター兼最高薬剤責任者であるShabnam Gaskari氏は、「AIによる推奨は、電子カルテに追加された情報に基づいているため、記録に不足があると推奨は正確ではなくなる。よって、最終的には臨床医が推奨内容を検討する必要がある」と説明している。 研究グループは次の段階として、通常の方法でTPNを受けた早産児と、AIが推奨するTPNを与えられた早産児を比較する臨床試験の実施を計画している。

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ヤマアラシのトゲ外傷の1例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第280回

ヤマアラシのトゲ外傷の1例皆さんは、ヤマアラシに遭遇したことはないでしょうか? 私はないです。Pandey AK, et al. A Rare, Atypical Case of Porcupine Quill Shot in the Glenoid Fossa: Case Report and Review of Literature. Indian J Otolaryngol Head Neck Surg. 2025 Jan;77(1):500-504.この論文は、顎関節窩にヤマアラシの針が刺さるという、きわめてまれな症例です。若い男性患者が森の中でバイクに乗っていた際、ヤマアラシと遭遇しました。ドラクエみたい。「ビビったヤマアラシが、自己防衛のために針を発射した」と論文には書かれています。かつてヤマアラシはトゲを飛ばして敵を攻撃すると考えられていましたが、実際はそのようなことはなく、触るとトゲは体から抜け落ちるそうです。刺さると痛いとは思いますが、ちょっとこの導入部の記載は修正が必要かもしれません。(インドの雑誌にわざわざ修正要請の手紙は出しませんが…)まあ、とにかくヤマアラシに襲われた患者は、左前腕と顔に8〜10本の針が刺さったそうです。しかし、左耳前部に深く刺さった3.5cmの針は、重度の痛みと開口障害を引き起こしたそうで、救急部門を受診することになりました。頭頚部CT検査により、耳前部から顎関節に達する透過性の高い鋭利な物体が確認され、この針が口を開ける際の下顎頭の動きを妨げていることが判明しました。患者は局所麻酔下で緊急手術を受け、鉗子を用いて慎重に取り出されました。感染予防のため、アモキシシリン+クラブラン酸+メトロニダゾールが投与され、破傷風トキソイドも適用されました。その後の経過観察で、患者の開口状態は正常に戻り、痛みも軽減し、合併症は残りませんでした。ヤマアラシの針は中空でケラチンでできており、後方に向いた鋭い「かえし」があります。刺さるとなかなか抜けません。針の長さは通常15〜30cm程度ですが、最大約50cmまで成長することもあるそうです。ほぼ凶器。読者の皆さんがもし道端でヤマアラシに遭ったら、トゲは飛んでこないかもしれないが、刺さったら大変だと思って、できるだけ触らないようにしましょう。

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第258回 G氏が状況操作か?上層部も鵜呑みに?~フジの中居問題

前回はフジテレビ女性社員Aさんが元SMAPの中居 正広氏から受けた性暴力に関する第三者委員会(以下、同委員会)報告書について、Aさんの入院直後までの状況と、精神的ダメージを受けた人への対応について、フジテレビ側がいかに場当たりな対応をしていたかについて触れた。今回もその続きである。前回までに登場した関係者は、中居氏、被害者のAさん、健康相談室のC医師、同相談室の心療内科医D医師、アナウンス室長E氏、アナウンス室部長で女性管理職のF氏、編成制作局長G氏、人事局長H氏である。前回取り上げたのは、性暴力を受け、健康相談室から「仕事関係者からのハラスメントによるうつ状態、食思不振」と記載された診療情報提供書により、Aさんが2023年6月10日頃、都内病院の消化器内科に精神科併診で入院。それが長期化しそうなことからF氏の提案により、E氏を通じてG氏、H氏への報告が上がったところまでのフジテレビ側の対応のまずさ、より具体的に言えばメンタルヘルスへの“無理解”である。想像を超えるAさんのつらい入院生活入院後のAさんは、フジテレビ社内の連絡窓口として一本化されていたF氏とチャットで病状確認や業務連絡を行っていたほか、消化器内科に入院中はC医師が週1回面会してその状況をF氏に報告。F氏から都度、E氏とG氏にAさんの状況がメールなどで報告された。入院後、Aさんは頻回なフラッシュバックに襲われて病状が悪化。当初の退院予定の2023年7月末直前に自傷行為におよび、退院が延期された。この時期、身体的にも発熱、痛み、蕁麻疹、光過敏などの症状が出ていたという。結果、2023年7月末頃、同病院の精神科に転科となり、主治医が交代。この主治医がAさんを「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と診断し、テレビ視聴をしないよう指示するとともにトラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)を受けるよう勧めた。これはPTSDの主な治療法である持続エクスポージャー療法と思われる。また、精神科への転科以後、Aさんの状況把握は従来のF氏とのチャットとD医師による主治医とのコミュニケーションとなった。フジテレビの健康相談室の産業医たちのAさんへの密な対応からは、それだけ気の抜くことが許されない病状だったことがうかがわれる。7月の段階では、フジテレビ内でAさんの性暴力被害を知っていた最上層部はG氏とH氏で、前回触れたようにG氏個人の判断で取締役への報告は預かりとなっていた。ところが同委員会報告書によると、2023年8月21日、G氏は突然E氏を呼び出し、当時の編成制作局管掌で専務取締役の大多 亮氏(2024年6月より関西テレビ代表取締役社長に就任。今回の事件の責任を取り、2025年4月4日辞任)を尋ねて、Aさんの問題を報告。大多氏はその場で代表取締役社長である港 浩一氏に電話連絡し、そのまま社長室で港氏、大多氏、G氏、E氏の4人での協議が行われた。そもそも取締役への報告を自身預かりにしていたG氏が、突如、大多氏に報告することになったのは、報告書によると「本事案をひとりで抱えられなくなったため」(G氏証言)と記載されている。利己的で場当たり的なG氏前回触れたようにG氏は、E氏からAさんが性暴力を受け入院に至るまで心身の状態が悪化しているとの報告を受けながら、この件は「プライベートな男女問題」と認識している。また、事件を認識直後に役員に報告しなかったのは、Aさんの「誰にも言わないでほしい」という希望があったためと説明しているが、これについては、前回に指摘したように、G氏が都合よく解釈したようにもうかがえる。そして最後は「抱えきれなくなった」と役員に丸投げするなど、G氏は“自分の都合”のみで場当たり的に動いていたと指摘されても仕方がない。また、G氏はE氏から報告を受けた段階で産業医であるC医師、D医師、さらにはAさんと恒常的に連絡を取っているF氏とも面談して状況を聴取するのが最も望ましいはずなのに、それもしていない。報告書によると、C医師がG氏とこの件で初めて顔を合わせたのは、約1年後にAさんが退職の意志を固めた面談の時である。しかも、これに加え報告を受けた大多氏と港氏も、明らかな業務時間外に中居氏所有のマンションで起きたことを主な理由に「性暴力」ではなく「プライベートな男女の案件」と単純にこの事件を捉えている。改めて流れを振り返ると、Aさんが初期に被害報告をしたC医師、D医師、E氏、F氏は、Aさんが性暴力の被害に遭ったと認識していたにもかかわらず、G氏に報告が上がった段階で「プライベートな男女の案件」に変わってしまい、結果的に大多氏、港氏も同様の認識となっている。G氏のところで“伝言ゲーム”が大きく変わっているのだ。また、この港氏、大多氏、G氏、E氏との協議では「なぜ自宅に行ってしまったのだろうか」などの発言もあり、同委員会は報告書内で「本事案についての認識・評価、発言などから、港社長ら3名(注:E氏以外の3名)の性暴力に対する無理解と人権意識の低さが見て取れる」と断じている。この会議で港氏が打ち出した方針は以下のようなものだ。Aさんの生命の安全と(心身の)ケアを最優先にして、本人の意向を汲んで対応していくAさんが笑顔で自然な形で復帰するまでサポートするAさんが業務復帰したら、不自然にならないような形で中居氏の番組起用を終わらせていく情報漏えいしないよう、情報共有範囲は、港社長、大多氏、G氏、E氏、F氏、C医師、D医師に限定する一見すると、ごく当然の方針にも思えそうだが、同報告書では9月上旬まで港氏、大多氏と時にG氏が加わって、最大3人で対応が協議されており、そこにはAさんの意志確認はなく、Aさんの状況をもっともよく知るF氏、C医師、D医師にも相変わらず状況を聞いていない。すべてがE氏やF氏から上がるG氏への報告が元になっている。報告書でもこの点を問題視し、「港社長及び大多専務は、F氏らの得ている情報はレポートライン、すなわち、E氏からG氏を通じて報告を受けることにより、本事案についての必要な情報を得ていたとし、F氏やC医師からの直接報告や意見聴取を不要としている。しかし、それでは、伝言ゲームのように、情報を下から上に伝えているだけである。すべての情報がG氏のフィルター(認識・評価)を通した内容に変換されるため、本事案の対応を検討する上で前提とすべき事実関係、Aさんの病状・心情とこれらの変化、業務復帰に向けた考えについて正確な情報を得ることはできない」と指摘している。また、前述の港氏が決定した方針の中の「笑顔で自然な形で復帰」という言葉も、聞こえは良さそうだが、性暴力被害を受けたAさんの心情を思えば、無神経とも言える。F氏がG氏の思惑を阻止ちなみにこの協議の翌日、傷病名PTSDで2023年9月末まで休務加療が必要である旨記載された診断書が、AさんからF氏を通じてH氏に提出され、その2日後には、Aさんから「医師チームや女性支援団体と具体的な退院時期や仕事復帰時期について意見交換する」といった話がチャットで送られてきたことが、F氏からE氏とG氏に対してメールで報告された。これに対してG氏は「Aさん本人と直接面会できないか、どういった支援団体とつながっているか知りたい」とのメールをF氏に送っているが、F氏は女性支援団体について詳しく確認しようとすることで、相談制限の意図があるように受け取られる可能性があり、また制限すべきでないと考えていたため、G氏に対して医療上必要な場合のみにしか入院患者に面会できない旨を返答し、指示を事実上拒否している。F氏の対応は至極真っ当である。第三者委員会の聴取に対し、G氏はAさんの意思確認だったと回答しているが、むしろ単なる組織防衛のようにしか映らない。実際、報告書では「当該メールの内容には、G氏の本事案への認識、対応方針の内容、中居氏の番組継続の是非についての考えなど、重要事項についての説明は記載されていない。質問の意図や指示の目的も不明である。G氏は、Aさんが中居氏や会社に対して何を求めているのか聞きたかっただけであり、何か会社としての対応方針があったわけではない、何か『こうしたい』という考えがあってAさんの意向を確認しようと思ったわけではないと述べている。以上から、「Aさんの会社や中居氏に対する要望や意思を真摯に確認しようとしたものとはいえない」と、G氏をかなり批判的に断じている。いずれにせよ、港氏がAさんのケアの重要性を打ち出しながら、PTSDと診断されている自社社員に対する適切な医療ケアの視点は、重要な意思決定を行う港氏、大多氏、G氏には微塵も感じられないのである。これら3人の壮年男性の対応は、民放他社のドラマのタイトルを借りるならば「不適切にもほどがある」のだ。さてこのテーマは本稿で終えるつもりだったが、業務に関連して心身を病んだ社員への会社の対応として医療的に問題がある部分は、同報告書を読む限りまだまだある。ということで、次回ももう一度だけこの問題に触れたいと思う。

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 1

今回のキーワードプレゼント仮説性選択(性淘汰)象徴機能指比「良い子」(過剰適応)マルトリートメント(不適切なかかわり)空虚感かんしゃく前回(その2)、共感性とシステム化のゼロサム説という仮説によって、以下の3つの謎を解き明かしました。自閉症のコミュニケーションの障害とこだわりがセットで出てくる現象定型発達の男の子よりも女の子のほうが言語や心の理論の発達が早い現象自閉症でいったん話していた言葉を途中から話さなくなる現象(折れ線型)また、超男性脳の病態が自閉症であるのとは対照的に、超女性脳の病態は情緒不安定性パーソナリティ障害であることを突き止めました。それでは、そもそもなぜ男性はシステム化が高く、女性は共感性が高いのでしょうか? そもそもなぜ共感性とシステム化はトレードオフの関係にあるのでしょうか? また、その1でも触れましたが、なぜ男性ホルモンが多いと人差し指が短くなるのでしょうか? さらに、自閉症は幼児期に発症するのに、なぜ情緒不安定性パーソナリティ障害は同じように幼児期に発症せずに、思春期になってようやく発症するというタイムラグがあるのでしょうか?これらの答えを探るため、今回(その3)は、進化精神医学の視点から、自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源を掘り下げます。そして、なんとこの2つの病態は人類進化の必然の産物であったわけをご説明しましょう。そもそもなんで男性はシステム化が高く女性は共感性が高いの?人類は、約700万年前に誕生してから、二足歩行をすることで手が自由になり、手に入れた食料を余分に持ち歩けるようになりました。その余分な食料を男性が女性にプレゼントすることで、女性はそのお礼にセックスをして、その男性との間にできた子供を育てるようになりました。これは、プレゼント仮説と呼ばれています1)。そして、これは人類最初の協力行動です。それでは、この時、どんな心理が進化するでしょうか? 男性と女性に分けて、それぞれ考えてみましょう。(1)男性に進化する心理―システム化まず、女性に選ばれるのは、プレゼントを毎回確実にくれる男性でしょう。それでは、プレゼント用を含めた食料をより多くより確実に得るために必要な男性の心理とは、どんなものでしょうか?たとえば、以下です。この足跡をたどれば獲物がいる(パターン認識)。この獲物の糞はかすかに温かいので(触覚過敏)、まだ近くにいる(パターン認識)。湿気を感じるので(触覚過敏)、このあとに雨が降るだろう(パターン認識)。あの獲物は夕方この辺りによく来るから、夕方はいつもここで待ち伏せしよう(パターン行動)。獲物や天敵の鳴き声・足音にすぐに気付ける(聴覚過敏)。これらは、動物の習性や自然の変化へのパターン認識、食料をより確実に取るためのパターン行動です。そして、そのための感覚過敏です。ちなみに、動物の鳴き声や足音への敏感さは、現代では、車のエンジン音や電車の走行音を区別する興味に置き換わっています。ジュリアがパニックになった消防車の警笛音もその1つです。つまり、男性に進化した心理とは、システム化であることがわかります。逆に言えば、システム化が高くない男性は、プレゼントを用意できないため女性から選ばれることはなく、性淘汰されます。プレゼントを用意できた原始の時代の男性たちの子孫である現代の男性たちは、当然ながら無意識にも女性にプレゼントをあげたがります。逆に、女性は男性ほど異性にプレゼントをあげたがりません。だからこそ、システム化はもともと男性に備わっている心理であり能力なのです。そして、男性ホルモンが高いと、システム化が高くなるのです。逆に言えば、男性はプレゼントをあげる側なので、女性ほど共感性を高くする必要はなかったのです。次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 2

(2)女性に進化する心理―共感性一方で、男性に選ばれるのは、プレゼントを毎回あげたくなるような女性でしょう。もちろん、無事に子供を産んでもらうために、見た目や肌が美しい(感染症の兆候がない)という身体的な特徴は重要です。これに加えて、必要な女性の心理とは、どんなものでしょうか?たとえば、以下です。男性の機嫌を察知する(感受性)。男性の声や動きをまねして合わせる(同調性)。男性にスキンシップをして気を惹く(操作性)。相手にされないと涙を見せる(操作性)。相手にされないと不安になる(見捨てられ不安)。相手にされないと嫌いになる(理想化と幻滅)。相手にされないと自分の頭や体を叩くなど、なりふり構わない行動をする(自傷を含む逸脱行動)。これらは、男性からのプレゼントをより確実にもらうためのアピール行動です。そして、そのための感受性です。つまり、女性に進化した心理とは、共感性であることがわかります。この共感性とは、同調性など気に入られるためのポジティブな共感です。不安・恐怖や嫌悪感など危険を避けるためのネガティブな共感は、約3億年前に哺乳類が誕生してから子供を守るために生まれ、約2千年前に類人猿が誕生してから群れでお互いを守るためにさらに進化しました。逆に言えば、共感性が高くない女性は、プレゼントをあげたいと思われないために男性から選ばれることはなく、性淘汰されます。プレゼントをあげたいと男性から思われる原始の時代の女性たちの子孫である現代の女性たちは、当然ながら無意識にも男性からプレゼントをもらいたがります。逆に、男性は女性ほど異性からプレゼントをもらいたがりません。だからこそ、共感性はもともと女性に備わっている心理であり能力なのです。そして、男性ホルモンが低いと、相対的に女性ホルモンが高くなり、共感性が高くなるのです。逆に言えば、女性はプレゼントをもらう側なので、男性ほどシステム化を高くする必要はなかったのです。以上より、プレゼントをあげる男性とプレゼントをもらう女性は、それぞれシステム化と共感性を性選択(性淘汰)によって進化させたと結論づけることができます。逆に言えば、1つの脳に両方とも進化させる必要がなかったのでした。そもそも、脳機能(脳容量)には限度があり、空間としてだけでなく性差として局在化したと捉えることができます。だからこそ、この両者は、主に男性ホルモンをパラメーターとしてトレードオフの関係になっていることがわかります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 3

なんで自閉症は人差し指が短いの?人類は、プレゼントとセックスのやり取りという協力行動を通して、システム化と共感性に加えて、実は3番目の脳機能を進化させたと考えられます。それは、何でしょうか?たとえば、プレゼントのやり取りの時、女性はアピール行動の1つとして、プレゼントに視線を向けたり、「それちょうだい」という指差しをしたでしょう。当然ながら、人類誕生の初期は言葉を話しません。最初は注意を向けるために、プレゼントそのものに触れていたでしょう。そして、やがて触れなくても指を差した先を見るようになったでしょう。これは、指差し(意図共有)の起源です。人類に最も近いチンパンジーでも指差しはしないことから、これは、最初の人間らしさの1つです。そして、男性と女性の間にはプレゼントを介した関係(三項関係)が成り立ちます。やがて、指差しや視線のやり取りは、「またあれちょうだい」のように、お互いに見えていなくてもお互いが意図している何かをイメージするようになっていったでしょう。つまり、進化した3番目の脳機能は、象徴機能です。これは、身振りや言葉によって目の前にない(いない)ものを認識する能力です。詳しくは、関連記事1をご覧ください。ここで、ある仮説が立てられます。男性は、女性による指差しを理解する必要はありますが、プレゼントをそのまま持っているので、女性ほど指差しを実際にする必要がありません。つまり、その1でも触れたように、女性よりも男性が人差し指が短い(指比が小さい)のは、人類誕生初期からもともと指差しする人差し指を女性ほど使わなかったからであるという仮説を立てることができます。つまり、男性は女性ほど人差し指が目立って長くなるように進化しなかったということです。だからこそ、男性ホルモンの多すぎる超男性脳の自閉症は、男女ともに人差し指がさらに短く、実際に指差ししないという臨床症状があるのです。つまり、進化の視点で見れば、自閉症は指差ししないから、人差し指が短くなったと言えます。さらに言えば、自閉症は、言葉の遅れと同時に抽象的な思考が苦手なのも、共感性だけでなくこの象徴機能がうまく発達していないからであることもわかります。ちなみに、指差しする指が、最も長い中指や最も太い親指ではなく、人差し指である理由については、以下の2つの理由から説明できます。1つは、物をつかむ時に最も使って動かしやすいのは人差し指と親指だからです。親指が片端(起点)になっており、そこから遠くなる中指以降の指は沿える程度で動かしにくいです。もう1つは、実際に両腕を自然に前に差し出して両手を広げた時に、一番正面を向いていて差しやすい指は人差し指だからです。中指はやや外側を向いており、親指はかなり内側を向いており、差しにくいです。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 4

なんで情緒不安定性パーソナリティ障害は幼児期に発症しないの?超男性脳の自閉症と超女性脳の情緒不安定性パーソナリティ障害は、共感性とシステム化の脳機能の極端な偏りとして対照的です。それなのに、なぜ自閉症は幼児期に発症するのに情緒不安定性パーソナリティ障害は思春期に発症するというタイムラグがあり、発症時期も対照的にはならないのでしょか?実際に、このタイムラグのために、現在の精神医学では、これら両者はそれぞれ発達障害とパーソナリティ障害というまったく別々の精神障害のカテゴリーに分類されてしまっています。タイムラグが起きる答えは、情緒不安定性パーソナリティ障害は、共感性が高くなりすぎることで、自閉症のような不適応としてではなく、過剰適応として幼児期は潜在していると考えられるからです。つまり、幼児期に自閉症と同じようになんらかの変化は臨床的に確認できるということです。たとえば、以下です。親の顔色や体調の変化によく気付く。よく気が利いて、親の言うことをよく聞く。自分からお手伝いをする。親を喜ばせる振る舞いをする。嫌な思いをしても、我慢して取り繕う。めったに泣かず、手がかからない。これらは、高すぎる共感性によって、観察力と演技力という潜在能力を発揮しています。これを一言で言えば、いわゆる「良い子」です。「良い子」は子育てするには楽で、親からは望ましいと思われがちです。「良い子」(過剰適応)の心理の詳細については、関連記事2をご覧ください。しかし、ある状況で、「良い子」であることが裏目に出ます。それは、虐待をはじめとするマルトリートメント(不適切なかかわり)です。「良い子」である分、親に十分に構ってもらえなくても、「良い子」であり続けようとします。そして、必死で親に構ってもらおうとして、構ってもらえるかどうかに敏感になります。その後、女性ホルモンの放出が高まる思春期に、交際相手に構ってもらえるかどうかにも敏感になり、「プレゼント」(構ってもらえること)を過剰に求めるようになるのです。このような行動を駆り立てるのは、情緒不安定性パーソナリティ障害の中核症状である空虚感が当てはまります。よくよく考えれば、共感性が高いということは、その共感する相手がいなければいないほど当然空しさは増します。つまり、空虚感も、自閉症のこだわり(システム化)と同じように機能であると捉え直すことができます。問題は、それが過剰であるということです。たとえば、相手にしがみついて、巻き込もうとします。これは、「死にたい」「死んでやる」など、いわゆる「死にたいアピール」として表現されます。さらに、これが行動化したのが自傷です。このような不適応を起こすことによって、情緒不安定性パーソナリティ障害はようやく顕在化するのです。しかも、重度の場合は、共感性が高すぎる一方でシステム化が低すぎるために、周りに流されやすく、些細なことで傷つき、理屈が通じません。このような人が、占いなどのスピリチュアル系にハマりやすいのも納得が行くでしょう。なお、傷つきやすさの心理の詳細については、関連記事3をご覧ください。逆に言えば、自閉症をはじめとするシステム化の高い男の子は、良くも悪くも鈍く「良い子」になりません。そのため、構ってもらえないことに鈍感で、情緒不安定性パーソナリティ障害を発症しにくいとも言えます。行動遺伝学の研究において、情緒不安定性パーソナリティ障害への家庭環境の違いの影響についての直接的なデータはまだ見当たりません。しかし、この病態の中核症状でもある「自殺念慮」については、遺伝12%、家庭環境11%、家庭外環境77%と算出され、家庭環境の違いの影響が出ています2)。家庭外環境の比率が大きいことから、実際の失恋(恋愛関係)やいじめ(友人関係)などの影響が大きいことも考えられます。臨床的にも従来から、情緒不安定性パーソナリティ障害の要因として、マルトリートメント(家庭環境)が指摘されています3)。逆に、自閉症においては、遺伝80%、家庭環境0%、家庭外環境20%という結果が出ており、家庭環境の違いの影響はありません。つまり、マルトリートメントによって自閉症になることはないことがわかります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 5

なんで自閉症はかんしゃくをよく起こすの?女の子は、共感性の高さから「良い子」になりがちであることがわかりました。逆に、男の子は、共感性の低さから「やんちゃ」になりがちです。そして、自閉症の場合は、さらにかんしゃくがよく見られます。それでは、そもそもなぜ自閉症はかんしゃくをよく起こすのでしょうか?その答えは、先ほどの「良い子」や定型発達の子供のようなポジティブなコミュニケーションが難しいため、代わりに極度に騒ぐというネガティブな「コミュニケーション」によって親の養育行動を引き出すように進化したからと考えられています1)。つまり、ポジティブであってもネガティブであっても、アピール行動としては適応的です。そもそも、人類が言葉を話すようになったのは進化の歴史ではごく最近の約20万年前です。自閉症(システム化)が生まれたのが人類初期の約700万年前と考えると、原始の時代、子供も大人も「騒いだもん勝ち」だったでしょう。育てやすい「良い子」や穏やかな人であることに価値が置かれるようになったのは、合理主義が広がった約200年前の産業革命以降の現代の価値観です。つまり、幼児期のかんしゃくは自閉症をはじめとする発達障害ならではの生存戦略であったことがわかります。ついでに言えば、情緒不安定性パーソナリティ障害の自傷(行動化)も「騒いだもん勝ち」の生殖戦略であったと言えます。人類進化の必然の産物であるわけは?実際に、自閉症も情緒不安定性パーソナリティ障害も、医学論文として症例報告されるようになったのは、20世紀前半で、ここ100年弱の話です。つまり、もともと原始の時代から受け入れられていたこの両者は、共感性とシステム化の両方がますます求められる高度な現代社会のなかでは「病」として問題視されるようになったのでした。これが、この記事の冒頭で触れた、この2つの病態は人類進化の必然の産物であるゆえんです。そして、実際の遺伝子研究において、この両者の遺伝子は多因子あることからも、より適応するための遺伝子を進化の歴史でこつこつと増やしていったということを物語っています。逆に言えば、ただの不適応を起こすものであれば、単一因子で十分なはずで、多因子である必要がないです。つまり、多因子であるということが、進化の過程で獲得していったという何よりもの証拠です。この点からも、自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害は、最初から「障害」であったのでなく、生存と生殖のための機能であり能力であったと言えるでしょう。ちなみに、約700万年前に人類が共感性とシステム化と一緒に進化させた象徴機能は、約10万年前に貝の首飾りを信頼の証とする概念化という脳機能にさらに進化したと考えられます。これが、統合失調症の起源です。この詳細については、関連記事4をご覧ください。1)進化と人間行動(第2版)pp.122-123, p.186:長谷川寿一ほか、東京大学出版会、20222)遺伝マインドp.58:安藤寿康、有斐閣、2011、※一卵性と二卵性の一致率のみの報告からそれぞれの比率をこの記事で算出3)標準精神医学(第8版)p.503:尾崎紀夫ほか、医学書院、2021<< 前のページへ■関連記事絵本「ねないこだれだ」【なんでお化けは怖いの?なんで親は子供にお化けが来るぞと言うの?(お化けの起源)】Part 1Mother(前編)【過剰適応】人間失格【傷付きやすい】[改訂版]映画「ミスト」 ドラマ「ザ・ミスト」(後編・その4)【実は双極性障害から進化したの!?(統合失調症の起源)】Part 3

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