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尿を用いた遺伝子検査で進行性前立腺がんを高精度で検出

 前立腺がんの診断を受けた場合には、どうすればよいのだろうか。がん自体が命に関わるものではない場合でも、治療の結果として失禁や勃起不全に悩まされることは少なくない。患者によっては、不安を抱えはするが、がんとともに生きながら経過観察を続ける方が良い場合もある。 こうした中、尿サンプルを用いた遺伝子解析に基づく新しい検査が、早期死亡につながる可能性の高い進行性の前立腺がんの特定に役立つ可能性が示された。研究グループは、この検査が、前立腺がんを治療すべきか、経過観察すべきかを判断する際に役立つ可能性があるとしている。米ミシガン大学泌尿器科学分野のGanesh Palapattu氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Urology」に1月21日掲載された。 MyProstateScore 2.0(MPS2)と呼ばれるこの検査は、尿サンプルから抽出したRNAを用いて解析を行い、進行性前立腺がんに関連する18種類の遺伝子(高悪性度がん特異的遺伝子4種類、がん特異的遺伝子13種類、リファレンス遺伝子1種類)の発現レベルを評価する。MPS2のグレードグループ(GG)≧2(前立腺がんの悪性度の評価で用いられる指標であるグリソンスコアで7点以上に相当)の前立腺がんに対する検出精度は過去の研究ですでに検証済みであるが、その際には、直腸内触診(DRE)後に採取された尿サンプルが用いられていた。DREでは前立腺が押しつぶされるため、腫瘍からのDNAの破片が患者の尿サンプルに混入する可能性が高くなるという。 今回の研究では、検査の利便性を高めるために、DREを受けていない対象者から提供された起床後最初の尿(初尿)サンプルを用いてMPS2の性能を検証し、また臨床的影響を前立腺特異抗原(PSA)検査および前立腺がん予防試験リスク計算ツール(Prostate Cancer Prevention Trial risk calculator;PCPTrc)と比較した。対象者は、PSAの中央値が6.6ng/mLの男性226人で、うち103人(39%)は生検でGG≧2の前立腺がんが確認されていた。 その結果、GG≧2の前立腺がんの検出精度(AUC〔曲線下面積〕)は、PSA検査で57%、PCPTrcで62%であった。一方、MPS2では、バイオマーカーのみを使用するモデルで71%、バイオマーカーと臨床要因を含むモデルで74%、バイオマーカー、臨床要因に前立腺体積を含めたモデルで77%であることが示された。「GG≧2の前立腺がんの90%超の検出」という基準で比較した場合、MPS2検査では36〜42%の生検を回避できるのに対し、PCPTrcではわずか13%の回避にとどまると見積もられた。さらに、過去に生検で陰性だった患者においては、MPS2検査を使用すれば44~53%の再生検を回避できるのに対し、PCPTrcではわずか2.6%の回避にとどまると推定された。 Palapattu氏は、「この検査の最大の利点は、進行性前立腺がんの発症リスクを正確に予測できるため、患者と医師の双方に安心感をもたらす点だ」と話す。現在の前立腺がん検査のゴールドスタンダードはPSA検査である。しかし、MPS2検査の製造元であるLynx Dx社によると、PSA値が上昇した男性のうち、実際に早急な治療が必要なのは25%未満に過ぎないという。 本研究で、DREを受けなくてもMPS2検査により進行性の前立腺がんを正確に予測できることが示されたことから、Lynx Dx社は、MPS2検査で使う尿サンプルを自宅で採取し送付する仕組みを整える予定だとしている。同社の最高医療責任者であるSpencer Heaton氏は、「自宅で尿サンプルを採取できるようにすることは、前立腺がんのリスク評価と患者中心のケアに対する当社の取り組みにおいて大きな進歩だ」と述べている。 研究グループは、MPS2検査により低リスク前立腺がんを検出できるかどうかを調べる予定であるとしている。

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GLP-1受容体作動薬は目に悪影響を及ぼす?

 減量薬として広く使用されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、まれに視力障害を引き起こす可能性のあることが分かってきた。しかし、新たな小規模研究によると、現時点では、そのような目の合併症の原因がGLP-1RAであるのかどうかについての結論は出せないという。米ユタ・ヘルス大学のジョン・A・モラン・アイセンターのBradley Katz氏らによるこの研究は、「JAMA Ophthalmology」に1月30日掲載された。 この研究を実施するきっかけとなったのは、論文の筆頭著者であるKatz氏が、ある患者において、GLP-1RAのセマグルチドの使用開始後に片方の目の視力が突然、痛みもなく低下したことに気付いたことだったという。患者は一時的にセマグルチドの使用を中止したが、使用を再開したところ、もう片方の目にも視力低下が起こったという。不安を感じたKatz氏は、メーリングリストを通じて他の眼科医に同じようなことが起きていないかを尋ねた。その結果、GLP-1RAの使用後に目の視神経周辺の血管の機能障害など視力を低下させるような問題が起こった症例として、9例の報告が寄せられた。 そこでKatz氏らは、これらの9人の症例(平均年齢57.4歳、範囲33〜77歳、女性56%)について検討した。症例はいずれも、肥満や糖尿病の治療薬としてセマグルチド(商品名ウゴービ、オゼンピック)やチルゼパチド(商品名マンジャロ、ゼップバウンド)などのGLP-1RAを使用していた。 その結果、9人のうち7人は非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)として知られる疾患を発症していた。これは、視神経に十分な血液が供給されないことで起こる疾患だ。NAIONでは、視神経の損傷から視野の部分的な欠損が突然起こり、それが恒久的に残る可能性がある。他の1人はGLP-1RAの使用後に視野の一部が見えにくくなる傍中心窩急性中間層黄斑症を、残る1人は視神経の端に炎症が起こる両側性視神経乳頭炎を発症していた。 Katz氏らは、これまでに、極めてまれではあるが勃起不全治療薬や不整脈治療薬の使用に関連してNAIONを発症した例が報告されていると指摘している。その一方で、糖尿病や心臓病などの慢性疾患や肥満も視力障害を引き起こす可能性のあることが知られている。したがって、視力障害に関連しているのがGLP-1RAなのか、あるいは患者が抱えていた基礎疾患の一つなのかについては不明であるとKatz氏らは述べている。また、論文の共著者である米ニューヨーク州立大学バッファロー校神経学分野のNorah Lincoff氏は、「まれなケースではあるが、GLP-1RAの使用に伴う突然の急激だが正常範囲内の血糖値の低下が目を脆弱にすることもある」と話す。 Lincoff氏は、「患者へのメッセージとしては、これらの薬が虚血性視神経障害のリスクを高めるかどうかに関しては、まだ調査中の段階にあるということだ」と述べている。また、医師に対しては、「GLP-1RAを使用中の患者から目のかすみや視力低下があるとの連絡があった場合には、できるだけ早く眼科医に診てもらうようにしてほしい。目の症状は、グルコースの変動のせいかもしれないが、より深刻な問題の兆候である可能性もある」と助言している。 一方、すでにGLP-1RAを使用している人に対して研究グループは、この薬剤による視力障害の発生は極めてまれであり、パニックに陥る必要はないが、万一、問題が起こった場合には主治医に確認する必要があるとしている。

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第251回 医療保険の国民負担軽減は夢のまた夢?この30年を振り返る

2024年10月の衆議院選挙の敗北で少数与党に転落した自民党・公明党の下で2025年度予算案成立は不透明と評されてきたが、2月25日、高校教育無償化を訴える野党・日本維新の会の主張を受け入れる形で3党合意が成立。これにより2025年度予算案の年度内成立はほぼ確実となった。だから何だと思う人もいるかもしれないが、実はこの合意内容は4項目あり、2番目に掲げられた「現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減」は、まさに医療に直接関わる合意内容なのである。端的に言うと、(1)OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し(2)現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底(3)医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現(4)医療介護産業の成長産業化について、3党の協議体を設置して「令和7年末までの予算編成過程(診療報酬改定を含む)で論点の検討を行い、早期に実現が可能なものについて、令和8年度から実行に移す」というものだ。加えてこの検討に当たって、政府与党が策定した「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、公明党が策定した「公明党 2040 ビジョン(中間とりまとめ)」、日本維新の会が策定した「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」を念頭に置くとも明記した。日本維新の会の「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」の大枠は、国民医療費総額を年間で最低4兆円削減することにより、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間6万円引き下げる」というもので、これを実現するための政策は前述した3党合意の(1)~(4)の内容とほぼ同じである。日本維新の会が国会に議席を有して以来、与党の予算案に賛成するのは初となる。今回の3党合意について、同党幹事長の岩谷 良平氏(衆院大阪13区)は翌2月26日の記者会見で次のように評した。やや長くなるが、その発言を引用する(なお、話し言葉ゆえに趣旨を変えずに一部修正)。<日本維新の会、幹事長コメント>「ある意味、歴史的な合意が締結された。日本の成長を阻害している過度に進行している少子化、現役世代の手取りが減少と負担増加という2大要因に対処していくため、維新は解決策として教育を無償化すること、社会保障改革を行い現役世代の社会保険料負担を下げることの2つを掲げてきた。今回、教育の無償化は大幅に前進し、結果を出すことができたと考えている。社会保険料の軽減に関しては大変重い扉ではあったが、ようやくその扉が開いた。合意で決定した自公維のハイレベルの協議体の中で、国民医療費を年間4兆円下げ、1人当たりの社会保険料を年間6万円引き下げるというわれわれの考えをしっかり主張し、結果を出していきたいと考えている」30年前と同じことを言っているだけ?さてこの自信満々(のふり?)とも言える日本維新の会への世間の評価は分かれるだろう。私の評価は「空手形」あるいは「取らぬ狸の皮算用」である。とくに(1)と(2)については強くそう思わざるを得ない。まず、OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しについては、この業界の経験が長い人ほど「またか?」と思うのではないだろうか?この問題は、医療保険制度改革の検討事項として1990年代前半から繰り返し議論されてきたことである。1993年に公表された旧厚生省医療保険審議会の建議書では、保険給付のあり方などについて検討を要する旨が記載され、1996年の旧大蔵省財政制度審議会・財政構造改革特別部会が取りまとめた1997年度の医療保険制度改革の最終報告書では露骨に保険給付除外にまで言及した。その後もこの件は厚生労働省や財務省の審議会などで何度も論点となっている。にもかかわらず、過去30年間でこのテーマについて目立った進展がない大きな理由の1つは、“日本医師会が実施に強く反対している”からであるのは、多くの関係者にとって周知のことだろう。実際、維新が前述のたたき台を公表したのと同じ2月13日、日本医師会の定例会見で常務理事の宮川 政昭氏が、「社会保険料の削減を目的にOTC類似薬の保険適用除外やOTC医薬品化を進めることには重大な懸念が伴う」と反対の姿勢を明確にしている。この際の宮川氏の発言では、「医療機関の受診控えによる健康被害」と「経済的負担の増加」を反対の主な理由に挙げた。また、維新のたたき台にも含まれる高齢者の医療費3割負担の対象拡大についても日本医師会は従来から慎重な姿勢を示している。私個人は一律にOTC類似薬を保険適用除外にすることは決して賛成ではないし、前述の日本医師会の主張にも一理あると思っている。しかし、医療保険財政のひっ迫が明らかな今、この問題は日本医師会の懸念などを基に一律現状維持で良いものとは思っていない。そして、部分的には医療保険適応外にしても差し支えのない部分はあるだろうと思っている。たとえば保険適応での自己負担額とOTC購入による自己負担額との差が少ない領域、かつ疾患として重篤ではないものなどでは検討の余地があるはずである。もっと言えば、その前提に立てばこの30年間にそれが可能かどうかのエビデンスを収集する時間もあったはずだ。結局、政府・与党、厚生労働省、日本医師会とも本格的議論を避けてきたに過ぎない。さて今回の合意について、日本維新の会は自らが主張する「国民医療費4兆円削減」「1人当たりの社会保険料を年間6万円引き下げ」が合意文書に明記されたことを前述のように自画自賛している。もし、日本維新の会が本気で大きな成果だと考えているならば、楽観的過ぎると言わざるを得ない。なぜなら、合意はあくまで「論点の検討を行い、早期に実現が可能なものについて実行に移す」であり、その主張の実現が確約されたものではない。検討を行った結果、ほぼすべてが実現不可能と判断されれば、何も実行されないことも十分想定できる。前述したように過去30年間のこの問題に関する議論がそうだったからだ。また、「3党合意」ではあるものの、自民党は支持率低調な“石破政権下の自民党”の合意である。自公与党体制が今後3年程度続くとしても石破政権が崩壊すれば、党としての合意など紙切れで終わることさえ、まったくの非常識にならないのが魑魅魍魎うごめく政界の常である。百歩譲って石破政権が存続するとしても、そのためには今夏の参議院選挙を勝ち抜くことが絶対条件である。だとするならば、自民党の有力支持組織である日本医師会が反対する政策を選挙公約で掲げることなぞ無理筋。そこまでしなくとも今後の政権運営を考えれば、実現に向けて動くことなど石破政権にできるはずもない。どこをどう突いても現下の情勢では、維新のたたき台が実現に向かう可能性は低いのである。長らく政権を担い続け、しがらみだらけの自民党は、とりわけ若年層には「古き悪しき存在」」に映るだろう。しかし、「悪しき存在」であっても「古き存在」であるということは、理屈ではどうにもならないことですら、なりふり構わず切り抜けてきた結果でもある。それを頭でっかちのまま切り崩すのは容易ではない。結局、維新は自民党のしたたかさに丸め込まれただけに映るのだ。もっとも維新の側では内心、「そんなことは百も承知だが、半歩でも前進するためにあえて“毒”を飲んだ」という思惑があるかもしれない。しかし、それならば国民の前で「教育無償化を実現した」という爪痕を見せたい党利党略のため、形だけの医療保険制度改革を示したとの批判は免れないだろう。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(1)周術期薬物療法を内科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(1)周術期薬物療法を内科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(2)周術期・IV期薬物療法を外科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(2)周術期・IV期薬物療法を外科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(3)周術期薬物療法を外科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(3)周術期薬物療法を外科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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beriberi(脚気)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第21回

言葉の由来「脚気」は英語で“beriberi”といいます。特徴的な音のこの病名、起源については諸説ありますが、最も広く受け入れられている説は「シンハラ語に由来する」というものです。シンハラ語はスリランカで話されているシンハラ人の言葉です。シンハラ語で「I can’t(私にはできない)」を意味するのが“beri”という言葉で、これを2回繰り返すことで生まれたのが“beriberi”というわけです。2回繰り返すのは「力がまったくない」「極度に弱い状態」を強調するためで、脚気の主要な症状である筋力低下や歩行困難を反映したものです。そのほかにも、患者の歩行が羊のように弱々しく見えることから、ヒンドゥー語の方言で羊を意味する言葉に由来して“beriberi”と呼ばれるようになった、などの説も存在します。脚気はビタミンB1の欠乏が原因で発生する病気で、とくにかつて精白米が主食だった地域で多く見られました。欧米では19世紀後半に植民地政策が進む中でこの病気が広く知られるようになり、アジアの地域名や言語に由来する病名が取り入れられた、という歴史的経緯があります。日本では江戸時代に白米を食べる習慣が広まったことに伴い、米ぬかに含まれるビタミンB1が不足して脚気が増加していきました。江戸を訪れた地方の大名や武士が体調を崩し、故郷に帰ると治ることから「江戸わずらい」とも呼ばれましたが、しびれや下腿浮腫による歩行困難を伴うことから、足の病気、つまり「脚気」と呼ばれるようになったとされています。併せて覚えよう! 周辺単語チアミン欠乏症thiamine deficiency湿性脚気wet beriberi乾性脚気dry beriberi末梢神経障害peripheral neuropathyこの病気、英語で説明できますか?Beriberi is a disease caused by a thiamine deficiency. It can affect the cardiovascular system (wet beriberi) or the nervous system (dry beriberi). Symptoms may include difficulty walking, loss of feeling in hands and feet, and in severe cases, heart failure. It was historically common in Asia due to diets based on polished white rice.講師紹介

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COVID-19が日本の精神科医療に及ぼした影響

 COVID-19パンデミック中、日本では他の多くの国とは対照的に自殺が増加した。北海道大学の阿部 計大氏らは、COVID-19パンデミック中の日本における精神疾患患者の外来および入院治療へのアクセスが維持されていたかどうかを調査した。Social Science & Medicine誌2025年2月号の報告。 日本の急性期病院242施設のデータを用いて、COVID-19前後(2015〜19年vs.2020年)の精神疾患患者の精神科入院を比較するため、ポアソン回帰による差分分析を行った。2020年4月の日本政府による緊急事態宣言を外生的ショックとみなした。主要アウトカムには、統合失調症、気分障害、不安症、認知症、アルコール関連疾患の入院患者数および入院した外来患者数を含めた。 主な結果は以下のとおり。・研究期間中の外来患者数は7万9,867例、入院患者数は2,600例。・差分分析では、2020年4月以降、不安症を除く精神疾患患者で入院患者数および入院した外来患者数が減少していた。 【統合失調症】外来患者の入院率:0.92(95%信頼区間[CI]:0.83〜1.02)、入院患者数:0.71(95%CI:0.46〜1.09) 【気分障害】外来患者の入院率:0.92(95%CI:0.85〜0.99)、入院患者数:0.87(95%CI:0.50〜1.49) 【不安症】外来患者の入院率:1.02(95%CI:0.92〜1.13)、入院患者数:1.07(95%CI:0.69〜1.65) 【認知症】外来患者の入院率:0.88(95%CI:0.80〜0.96)、入院患者数:0.68(95%CI:0.38〜1.22) 【アルコール関連疾患】外来患者の入院率:0.77(95%CI:0.54〜1.11)、入院患者数:0.63(95%CI:0.43〜0.90) 著者らは「日本では、COVID-19パンデミックにより、不安症を除く精神疾患患者の入院が全体的に減少した。精神科医療の利用頻度減少は、日本における自殺率の上昇と対照的な関連があり、緊急時の精神科アクセスを評価する必要性が示唆された」と結論付けている。

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「DNAR」を説明できますか?高齢者救急について日本救急医学会が提言

 日本救急医学会では、高齢者救急に関連する学会・団体と共同で、高齢者が救急医療を必要としたときに適切で意に沿った医療を受けることができ、その後も納得できる暮らし方を選ぶことができるようにすることを目的として、「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」を策定、2025年2月号の学会雑誌に掲載した。医療・福祉従事者のほか、市民、施設職員、救急隊員などそれぞれの立場に向けて提言を提示している。また、高齢者救急に関する用語が正しく使用されていない状況があることから、臨床現場で正しく使用されるようになることを目的として、「高齢者救急に関する用語の統一概念」が策定された。医療従事者にも誤用がみられる「DNAR」 「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」では、“高齢者の医療・ケアに日常的に関係する医療・福祉スタッフの方々へ”、“急性期〜慢性期病院の方々へ”などの形でそれぞれの立場に対して提言が示され、急変時の対応手順の例やアドバンス・ケア・プランニング(ACP)での対話を意味あるものにするための注意点などが示されている。 DNAR(do not attempt resuscitation)については、「患者本人または患者の意思を推定できる者の意思決定に沿い、心停止の際に心肺蘇生法(CPR)を行わないこと」であるが、医療従事者の間でも「DNAR」の提示があれば積極的な医療を行わなくてよいと誤認するなど、臨床現場で誤って使用されていることも少なくないと指摘し、“「DNAR」はあくまでも心停止時の対応であり、心停止でない急変時に救命処置を行わなくてよいということではない“と注意喚起している。「予想しない急変」「予想された急変」など、用語の統一概念を提示 2017年に発足した日本救急医学会の高齢者救急委員会において、DNARやACPなどの高齢者救急に関連する用語の統一概念の検討・定義が行われ、「高齢者救急に関する用語の統一概念」として策定された。 「予想しない急変」「予想された急変」「延命医療・延命措置」など、大きく15の項目について定義が簡潔に示されており、国内だけでも学会や医師会などで複数の定義が示されているACPに関しては、それらを一覧できる形で示している。

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臨床意思決定支援システム、不適切な画像診断依頼を減らせず/JAMA

 臨床意思決定支援システム(CDSS)を導入しても、大学病院における医師による不適切な画像診断依頼の数は減少しなかった。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのStijntje W. Dijk氏らが、CDSSとしての欧州放射線学会(ESR)iGuideの導入が医師の画像検査発注行動の適切性に与える影響を評価する目的で実施したクラスター無作為化臨床試験「Medical Imaging Decision And Support trial:MIDAS試験」の結果を報告した。医療画像診断が広く使用されていることを考慮すると、適切性を向上させるための介入の有効性を評価することは、医療資源と患者のアウトカムの最適化において非常に重要とされる。JAMA誌オンライン版2025年2月10日号掲載の報告。ドイツの3大学病院26診療科によるクラスター無作為化試験 研究グループは、ドイツの大学病院3施設の26診療科を対象にクラスター無作為化臨床試験を実施した。2021年12月~2024年6月の2.5年間にわたり、参加診療科の医師によるすべての画像診断依頼を対象とした。 全診療科においてCDSS非使用で試験が開始され、構造化された臨床適応データの入力と画像診断依頼の追跡が求められた。その後、無作為化され、13の診療科(クラスター)がCDSS介入を受け(介入群)、13の診療科は介入を受けなかった(対照群)。 介入群では、画像診断依頼が「適切」「条件付きで適切」「不適切」かの情報が医師に提示され、さらにCDSSより代替の診断検査とその適切性スコアが提案され、それに基づき医師は画像診断依頼の修正を選択することができた。 主要アウトカムは、診療科別の不適切な画像診断依頼の割合とした。差分の差分法を用い、CDSSを導入している診療科と導入していない診療科での不適切な画像診断依頼の割合の変化を比較した。CDSS導入前後で、不適切な画像診断依頼は減少せず 計6万5,764件の画像診断依頼がCDSSによりスコア付けされた。画像診断依頼の50.1%は女性患者に関するもので、患者の平均年齢は64歳(標準偏差17.1歳)であった。 CDSS導入前において、対照群の画像診断依頼は2万1,625件で、そのうち1,367件(6.3%)が不適切と分類された。また、介入群の画像診断依頼は1万3,338件で、そのうち1,007件(7.6%)が不適切と分類された。 CDSS導入後、不適切に分類されたのは、対照群で画像診断依頼1万55件中518件(5.2%)、介入群で7,206件中461件(6.4%)であった。 不適切な画像診断依頼の減少は、介入群で平均差-0.5%(99%信頼区間[CI]:-2.4~0.4)であり、対照群の-1.8%(-4.3~-0.4)と変わらなかった。差分の差分析の結果、群間差は1.3%ポイント(99%CI:-2.0~1.8、p=0.69)であり、統計学的な有意差は認められなかった。

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血栓溶解療法なしの急性期脳梗塞、nerinetideの有用性は?/Lancet

 シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)を阻害するエイコサペプチドであるnerinetideは、発症後12時間以内の急性期虚血性脳卒中患者において良好な機能的アウトカムの達成割合を改善しなかった。重篤な有害事象との関連はみられなかった。カナダ・カルガリー大学のMichael D. Hill氏らが、カナダ、米国、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スイス、オーストラリア、シンガポールの77施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ESCAPE-NEXT試験」の結果を報告した。先行のESCAPE-NA1試験で、nerinetideは静脈内血栓溶解療法の非併用集団において機能的アウトカムの改善と関連していたが、血栓溶解療法との併用における有益性は確認されていなかった。著者は、「さらなる研究により、投与の最適なタイミングや、現在の再灌流療法との併用で有益性を得られる可能性のあるサブグループ集団を特定する必要があるだろう」とまとめている。Lancet誌2025年2月15日号掲載の報告。プラスミノーゲン活性化因子を投与していない急性期脳梗塞患者が対象 研究グループは、発症後12時間以内の前方循環系主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中の患者を登録した。 適格基準は、18歳以上、無作為化時点で障害を伴う虚血性脳卒中を発症(ベースラインのNIHSSスコア>5)、脳卒中発症前は地域社会で自立して生活しており(Barthel Indexスコア>90)、ASPECTS>4、プラスミノーゲン活性化因子による治療を受けていない患者とした。 適格患者を、インターネットを用いたリアルタイムの動的・層別・最小化法を用い、nerinetide群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。nerinetide群では推定体重または実測体重(判明している場合)に基づきnerinetide 2.6mg/kgを最高用量270mgまで、プラセボ群では生理食塩水をそれぞれ単回静脈内投与した。全例に血管内血栓除去術を施行した。 主要アウトカムは、無作為化から90日後の良好な機能的アウトカムで、修正Rankinスケール(mRS)スコア0~2と定義した。ITT解析を実施し、脳卒中発症から無作為化までの時間(≦4.5時間/>4.5時間)、年齢、性別、ベースラインのNIHSSスコア、閉塞部位、適格な画像診断から無作為化までの時間、ベースラインのASPECTS、および地域で補正した。副次アウトカムは、死亡率、脳卒中の悪化、機能的自立の改善、および神経学的障害であった。良好な機能的アウトカムの達成割合は、nerinetide群45%、プラセボ群46% 2020年12月6日~2023年1月31日に、850例がnerinetide群(454例)またはプラセボ群(396例)に割り付けられた。 主要アウトカムである90日時点のmRSスコア0~2を達成した患者の割合は、nerinetide群45%(206/454例)、プラセボ群46%(181/396例)であった。オッズ比は0.97(95%信頼区間:0.72~1.30、p=0.82)で、両群間に有意差は認められなかった。 安全性については(解析対象集団は試験薬の投与を受けた844例)、重篤な有害事象の発現率はnerinetide群41%(183/451例)、プラセボ群34%(134/393例)であり同程度であった。

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高齢透析患者のHb値と死亡の関連、栄養状態で異なる可能性/奈良県立医科大

 血液透析を受けている患者における最適なヘモグロビン(Hb)値は依然として議論が続いている。今回、日本における高齢の透析患者では、Hb値と死亡の関連は栄養状態によって異なり、栄養リスクの低い群ではHb値が10.0g/dL未満および13.0g/dL以上の場合に死亡リスクが増大したが、栄養リスクの高い群ではHb値が死亡に与える影響は弱まったため、栄養不良の高齢患者では貧血管理よりも栄養管理を優先する必要があることを、奈良県立医科大学の孤杉 公啓氏らが明らかにした。Journal of Renal Nutrition誌オンライン版2025年1月24日号掲載の報告。 貧血は血液透析を受けている高齢患者の一般的な合併症で、予後不良と関連している。高齢患者は栄養失調や蛋白・エネルギー消耗状態(protein-energy wasting)、フレイルになりやすい傾向があり、これらが貧血の経過に影響を及ぼすこともある。そこで研究グループは、血液透析を受けている高齢患者の最適なHb値は栄養状態などの全身状態によって異なるという仮説を立て、栄養状態別のHb値と死亡との関連を調査するために、2019~21年の日本透析医学会統計調査(JRDR)のデータベースを用いて観察研究を実施した。 解析対象は、週3回の血液透析を受けている75歳以上の9万5,771例であった。栄養指標であるNRI-JHを算出し、低リスク(<8点)、中リスク(8~10点)、高リスク(≧11点)の3つのグループに分類した。Hb値は、基準を10.0~10.9g/dLとして6つのグループに分類した(<9.0、9.0~9.9、10.0~10.9、11.0~11.9、12.0~12.9、≧13.0g/dL)。主要評価項目は全死因死亡であった。Hb値と死亡の関連はCox回帰分析を用いて推定した。非線形関係は制限付き3次スプライン解析を用いて検証した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値24ヵ月で2万7,611例が死亡した。・全体集団において、Hb値10~10.9g/dLの場合と比較して、10.0g/dL未満および13.0g/dL以上で全死因死亡リスクが増大した(<9.0g/dLの調整ハザード比[aHR]:1.21[95%信頼区間[CI]:1.16~1.26]、9.0~9.9g/dLのaHR:1.06[1.02~1.10]、≧13g/dLのaHR:1.15[1.07~1.22])。・NRI-JHリスク別の解析では、低リスク群でもHb値10.0g/dL未満および13.0g/dL以上で全死因死亡リスクが増大した(<9.0g/dLのaHR:1.45[95%CI:1.32~1.59]、9.0~9.9g/dLのaHR:1.15[1.08~1.22]、≧13g/dLのaHR:1.18[1.07~1.29])。・NRI-JH高リスク群では、Hb値が<9.0g/dLの場合でのみリスクがわずかに増大した(aHR:1.07[95%CI:1.01~1.15])。 これらの結果より、研究グループは「高齢の透析患者のうち、高リスクの栄養状態にある患者ではHb値が死亡に与える影響は弱まった。維持すべきHb値の範囲は栄養状態によって異なる可能性があり、血液透析を受けている栄養不良の高齢患者では貧血管理よりも栄養管理を優先する必要がある」とまとめた。

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血液検査で大腸がんを正確に検出/ASCO-GI

 実験的な血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査により、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人において、大腸がんを効果的に検出できることが示された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のAasma Shaukat氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025、1月23〜25日、米サンフランシスコ)で発表された。Shaukat氏は、「このような血液検査は、大腸がんのスクリーニング検査の受診率を高めるのに役立つ可能性がある」と述べている。 現状では、大腸がんのスクリーニング検査のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査であるが、この検査では事前に下剤服用や食事調整などの準備が必要な上に、検査時には麻酔や鎮静薬を使用する。便中の血液の有無を調べる便潜血検査も大腸がんのスクリーニングに用いられるが、現在のガイドラインでは毎年の検査実施が必要である。こうした現状を踏まえてShaukat氏は、「便利で安全、かつ実施も容易な新たな大腸がんスクリーニング検査の手段が求められている」と話す。 Shaukat氏らの研究(PREEMPT CRC)は、全米200カ所以上の施設で登録された、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人を対象に、Freenome社の血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査の有効性を検討している最大規模の研究である。2024年の報告では、この検査は、大腸がんに対する感度が79.2%、advanced colorectal neoplasia(ACN;直径10mm以上の腺腫と大腸がんを包括する概念)に対する特異度が91.5%、ACNの陰性的中率(NPV)は90.8%、陽性的中率(PPV)は15.5%、進行前がん病変(APL)に対する感度は12.5%であることが報告されていた。 今回の研究では、この検査が標準的な米国人口においてどのように機能するかを評価するために、米国の年齢層や性別の分布に基づく重み付けを行った上で解析を実施した。解析対象は、PREEMPT CRCに登録された3万2,731人のうち、評価可能な血液サンプルと大腸内視鏡検査のデータが完備した2万7,010人(年齢中央値57.0歳、女性55.8%)であった。 その結果、大腸がんに対する感度は81.1%、ACNを持たない人に対する特異度は90.4%、ACNを持たない人に対するNPVは90.5%、ACNのPPVは15.5%、APLに対する感度は13.7%であることが示された。 この研究には関与していない、米イェール大学医学部消化器腫瘍学主任のPamela Kunz氏は、「この血液検査は、大腸がんスクリーニングの検査法の選択肢に新たに加わるものだ」と述べている。同氏は、「これらの結果は、このような血液検査が、平均的なリスクを持つ米国人口の大腸がんスクリーニング検査において、便利で効果的な選択肢となる可能性があることを示している」と話す。 研究グループは、大腸がんのスクリーニングの検査法としてのこの血液検査の長期的な影響について研究を続ける予定であるとしている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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脊髄刺激療法が脊髄性筋萎縮症患者の筋力回復を促す

 脊髄の硬膜外腔に挿入した電極を通して電気刺激を与える脊髄刺激療法が、脊髄性筋萎縮症(SMA)患者の筋肉の機能回復を促し、運動機能の強化や歩行機能の改善につながる可能性のあることが、新たな研究で示された。SMAは徐々に筋力が低下する遺伝性疾患の一つだが、1カ月間の小規模な予備的研究で、3人のSMAの成人にデバイスを植え込んで微弱電流で脊髄を刺激したところ、予想外の改善が認められたという。米ピッツバーグ大学のMarco Capogrosso氏らによるこの研究は、「Nature Medicine」に2月5日掲載された。 SMAは、脊髄から筋肉に信号を送る神経細胞である運動ニューロンに影響を及ぼす。これらのニューロンが衰えると筋肉が弱まり、歩く、立ち上がる、さらには呼吸することさえ困難になる。 脊髄刺激療法で植え込むデバイスは、下部脊髄に電気パルスを送り、時間の経過とともに弱くなった筋肉の活性化を促す。Capogrosso氏らは、3人のSMAの成人を対象に、1日に2時間、4週間にわたって、運動タスクを行っている間に脊髄刺激療法を行い、デバイスの電源がオンのときとオフのときの筋力や疲労度、可動域、歩行能力の変化を測定した。 その結果、この治療は正常な動きを完全に回復させるものではなかったが、顕著な改善が見られた。具体的には、参加者全員が、6分間歩行試験でより遠くまで歩けるようになり、この試験の評価尺度であるストライド速度が13〜114%改善した。また、研究開始時には膝をついた姿勢から立ち上がることができなかったある参加者は、研究終了時には立ち上がれるようになった。別の参加者では歩幅が3倍になった。 参加者の1人である米ニュージャージー州フランクリンパーク在住のDoug McCulloughさん(57歳)は、AP通信の取材に対して、「進行性の疾患というのは、安定しているか悪化しているかのどちらかであり、良くなるということは決してない。それゆえ、何であれ改善するのであれば、それは、これまででは考えられない極めて素晴らしい効果だと言える」と話している。 しかも、このような効果は、デバイスの電源を切った後もすぐには消失しなかった。時間の経過とともに効果は薄れていったが、治療後もしばらくの間、筋力の強化を感じた参加者もいた。AP通信によると、McCulloughさんは、デバイスの電源が入っていないときも自分の足が「まるでエネルギーに満ちあふれている感じがした」と表現したという。 この結果から、脊髄刺激療法がSMAや他の筋消耗性疾患の治療における新たなツールになり得ることが示唆された。ただし、今回の研究は短期研究であったため、対象者からデバイスを摘出しなくてはならなかった。McCulloughさんがこの治療を通して得た効果は、6週間後の検査の時点では残っていたが、6カ月後には消失していたという。 米ルイビル大学で脊髄損傷に対する刺激療法の先駆的研究を主導し、現在は非営利団体のケスラー財団に所属している神経科学者のSusan Harkema氏は、「今回の研究結果は重要なものだ」との見解を示している。同氏は、「人間の脊髄回路は極めて精巧にできており、脳により制御される反射神経の単なる集まりではない。本研究は極めて信頼性が高く、今後の進歩に寄与する重要なものだ」とAP通信に語っている。

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食物アレルギーの原因、直近10年の変化

食物アレルギーの原因として“木の実類”が増加◆“木の実類”の内訳は…◆調査年ごとの上位5品目の症例数比率(%=各品目の症例数/解析対象症例数)(%=各品目の症例数/解析対象症例数)40%16%39.0%15.2%鶏卵34.7%14%33.4%35.0%30%くるみ12%牛乳21.8%22.3%木の実類26.7%24.6%22.0%18.6%20%12.5%10.6%10%落花生5.1%2.3%13.5%13.4%8.8%5.6%3.6%8.2%5.1%6%8.1%7.0%6.1%n=6,033人2.9%20202023 [年]1.7%1.6%1.1%0.6%2017カシューナッツ4.6%2% 1.4%0%20145.2%4%0%20117.6%8%小麦11.7%10%0.1% 0.2%0%0%20112014マカダミア1.1%0.7%0.4%0.8%0.6%0.1% 0.4%201720202023 [年]アーモンドピスタチオ消費者庁「第7回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議(2025年1月25日開催)」資料「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」から「上位品目の症例数比率の推移」・「木の実類の症例数比率の推移」を基に作成Copyright © 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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ケアネットが役に立った!【Dr. 中島の 新・徒然草】(569)

五百六十九の段 ケアネットが役に立った!2月も終わりが近づいてきました。少しずつ日が長くなり、春の気配を感じます。来月には、もう少し暖かくなることを期待したいですね。さて、今回は「ケアネットが役に立った!」という話をしたいと思います。もちろん、普段からケアネットの記事は有用ですが、今回はとくに「これは!」と思う内容でした。それは、論文/ニュースの欄で紹介されていた、「急性期脳梗塞、EVT+高気圧酸素治療vs.EVT単独/Lancet」という記事です。実は私は以前から、急性期脳梗塞では高濃度酸素吸入が有効ではないかと考えていました。というのも、片麻痺のある陳旧性脳梗塞の患者さんに、マスクで10L/分程度の100%酸素を吸入してもらうと、一時的に麻痺が改善することがあるからです。これは外来でも簡単に試せるので、興味のある方は一度やってみてもよいかもしれません。酸素を吸入すると、一時的とはいえ麻痺のある手足の動きが改善し、びっくりさせられます。「陳旧性の脳梗塞ですら効果があるのだから、急性期ならなおさら効果が期待できるのではなかろうか。高濃度酸素吸入で閉塞血管再開通までの時間を稼ぐことができれば、最終的な転帰も改善するかも?」と私は思っていました。そこで、同僚のストロークチームの先生に「患者さんの搬入時に酸素吸入しているの?」と尋ねてみたところ、返ってきたのは「いやあ、あまりやっていませんねえ」という答え。しかし、今回の論文(Lancet. 2025;405:486–497)を読んで驚きました。まさに私が考えていたことが実際に行われていたのです。この研究では、血栓回収療法(EVT:endovascular thrombectomy)の適応となる急性期脳梗塞の症例が、以下の2群にランダムに振り分けられています。高濃度酸素吸入群- 非再呼吸マスクを用い、10L/分の100%酸素吸入- 気管挿管されている場合は100%酸素での換気シャム治療群(対照群)- 1L/分の100%酸素(低流量)- 気管挿管されている場合は30%酸素での換気いずれも、酸素吸入は4時間行われました。結果はどうだったか。高濃度酸素吸入群は、シャム治療群に比べ、90日後のmRSの中央値が1ポイント良好だったと報告されています。mRS(modified Rankin Scale)は、無症状(0)から死亡(6)までの7段階で機能予後を評価する指標であり、1ポイントの違いはADLに大きな影響を与えます。つまり、この研究によれば、血栓回収療法に伴う高濃度酸素吸入で転帰が改善する可能性が示唆されたのです。まさに、以前から私が考えていたことがこの論文で裏付けられた形になりました。マスクでの高濃度酸素吸入は、特別な手間もかからず、副作用のリスクもごく低いものです。この方法が今後、脳卒中治療の現場で広がっていく可能性は十分にあるのではないでしょうか。今回は、ケアネットで非常に有益な記事を見つけた、というお話でした。最後に一句春寒に わが意を得たり ケアネット

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せん妄時にハロペリドール5mg投与は適切か?【こんなときどうする?高齢者診療】第10回

CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロン」で2025年1月に扱ったテーマ「せん妄と認知症のBPSD:5つのMを使って症状と原因に対応する」から、高齢者診療に役立つトピックをお届けします。高齢者診療において、認知症、せん妄、抑うつの3つは頻繁にみられる精神・認知にまつわる症状です。これらはオーバーラップし、併発することも多く、正確に3つを見分けることは非常に難しいのが現実です。しかし、安易に「せん妄」とラベリングをして身体拘束、薬剤対応をするのではなく、原因を考える視点が不可欠です。今回は、ケースを通じて、適切な評価と対応について一緒に考えていきましょう。85歳女性 呼吸困難を生じ自宅で転倒。救急を受診し、心不全急性増悪と診断される。尿閉はないが、「尿量把握」のため導尿カテーテル挿入、フロセミド投与による利尿処置を行い、入院治療・観察開始。既往症高血圧、心不全、2型糖尿病、CKDIII、軽度認知機能障害、TIA(3年前)入院1日目21:30心臓モニター、酸素飽和度モニター、末梢点滴、導尿カテーテルなどを開始された状態で病棟に到着。転倒防止のためにベッドアラームも開始された。22:30「不安を訴えた」ため頓服オーダーされていたロラゼパム服用。また痒み症状緩和のためジフェンヒドラミンを経口投与された。3:00不安と痒み症状は軽快せず、体動が続き、ベッドアラーム音により興奮症状が悪化。ベッドから起きてモニターを外し、病院を出ようと試みる過活動性せん妄と判断され、ハロペリドール5mg静注。投与後、就寝し興奮・行動症状は軽快。看護師の報告には「薬剤投与による良好な効果」と記載されていた。入院2日目8:00起床せず、朝食摂取なし。10:30ベッド上におり、ほぼ目を覚まさない。薬剤で興奮がおさまったのは、本当に「良好な効果」だったのか?ベッドサイドで対応した看護師からすると、“興奮症状が出て、指示に従わず自己離床し、病院から出ようとした患者が、薬剤投与後に落ち着いて就寝した。その後、アラームが鳴らず、転倒やモニター外しなどの行動も見られなかった”という状況は、薬剤投与による「良好な効果」に見えてしまうかもしれません。しかし、この状況の正しい解釈は何だったのでしょうか。この状況の適切な解釈のひとつは「過活動性せん妄が過鎮静され、眠ってしまった」ということです。過鎮静を「治療効果」と誤認してしまうと食事摂取量の減少、身体活動量の低下、廃用症候群の進行、転倒、誤嚥リスクの上昇、そして抗精神病薬による死亡率の上昇といった負の影響を招きます1)。薬剤による身体拘束(薬剤拘束)は避けるべき。それでも薬を使うならば-ハロペリドール、クエチアピンやオランザピンのような抗精神病薬は半減期が長いものが多く、高齢者では10時間以上効果が持続する場合もあります。これらの背景を考慮して安全に使用するには、効果が期待できる最少量から始める慎重さが必要です。もちろんどの程度の用量で効果を期待できるかは、患者の身体的な状況や行動精神症状により異なりますので、少量から始め、薬剤それぞれの最高血中濃度到達時間を目安に症状を再評価、薬剤による効果を確認します。※例:静注・筋注のハロペリドールの最高血中濃度到達時間は10~20分症状が治まらなければ再度同量、または必要に応じて増量し再評価。これを繰り返して患者ごとの「効果が確認できる最少量=適量」を見つける手順を踏むのが賢明です。しかし、薬の投与方法を変更することは対処方法のひとつではあるものの、薬剤による鎮静や精神行動症状への対応も「身体拘束のひとつ」であるという認識を持っておくことが重要です。アメリカの長期療養施設や回復期病院では薬剤的か機械的(拘束帯、抑制ミトンなどの使用)かを問わず、身体拘束の実施は行政から厳しく監視されており、実施率の高い病院や施設にはさまざまなペナルティや罰則が課されるとともに、その情報も一般公開されています。日本の身体拘束の実施率は世界と比較して高く、国内でも問題視されはじめていることは近年の診療報酬改定からも明らかです。身体拘束を極力行わないという時代の流れからも、せん妄対策は予防が最も優先されるべきである2)という自覚を持ち、非薬物対応を優先して考え続けることがすべての医療者に求められています。5つのMを使ってせん妄のリスクを見つけ、予防するでは、どのようにせん妄を予防したらよいのでしょうか?ここでも5つのMが役立ちます。5つのMを使って事前にリスク要因を見つけ、環境調整によってせん妄を予防することを考えてみましょう。Matters Most    安心できる環境の欠如Medication     ベンゾジアゼピン系薬、抗コリン薬、不適切な麻薬鎮痛薬使用、中枢神経に影響を及ぼす薬剤Mind       認知症、抑うつ、不安、意思疎通の不具合Morbidity    身体行動の制限、低栄養・脱水、身体の痛み、感覚器官の不具合、照明、部屋の明るさや騒音などの環境Multi complexity急な環境の変化、社会的孤立、家族の訪問などいかがでしょうか?こうしたアセスメントから、環境の変化や痛みが身体・精神・認知に過剰なストレスを与えているかもしれない、腹痛や便秘などがあってもそれを自覚できないかもしれない、あるいは自覚があっても訴え出ることができないのではないかという仮説を立てることができ、身体症状の解消を図るなどの予防的介入を考えられるようになります。せん妄はコモンに起きていて、しかも見逃されている急性期病棟では3人に1人が発症しているといわれるほど、せん妄の頻度は高いものです3)。問題行動が目立つ過活動性せん妄は発見される一方で、その3倍以上の患者が一見症状が顕著でない低活動性せん妄を生じているという報告もあります4)。低活動性のせん妄は見過ごされやすいことに加え、せん妄が生じた後の死亡率が上昇することはあまり周知されていません5)。これらの事実と向かい合い、せん妄を予防し、非薬物療法を最大限に活用し、薬物療法を最小限にすることが、患者の予後とQOLに結び付いているかお判りいただけると思います。これを機に、せん妄の予防にぜひ一緒に取り組んでいきましょう! せん妄のより詳しい対応策はオンラインサロンでオンラインサロンメンバー限定の講義では、問診や日々の観察でせん妄に気付くためのコツ、せん妄に対応するときに使えるHELPプログラムを解説しています。また、酒井郁子氏(千葉大学大学院看護学研究院附属病院専門職連携教育研究センター長)を迎えた対談動画で、看護からみた身体拘束についての学びもご覧いただけます。参考1)Dae H Kim, et al. J Am Geriatr Soc. 2017: Jun;65:1229-1237.2)Chiba Y, et al. J Clin Nurs. 2012 May:21: 1314-1326.3)Inoue SK, et al. N Engl J Med.2006:354:1157-1165.4)Curyto KJ. Am J Geriatr Psychiatry. 2001:9:141-147.5)樋口雅也ほか.あめいろぐ高齢者診療. 112. 2020. 丸善出版

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出血リスクを比較、NOACs vs.アスピリン~9試験のメタ解析

 新規経口抗凝固薬(NOAC)とアスピリンは広く用いられているが、出血リスクの比較に関するデータは限られている。そこで、カナダ・マクマスター大学のMichael Ke Wang氏らの研究グループは、NOACとアスピリンを比較した無作為化比較試験(RCT)について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、出血リスクを評価した。その結果、アピキサバンとダビガトランはアスピリンと比較して出血リスクを上昇させなかったが、リバーロキサバンは上昇させる可能性が示唆された。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2025年2月11日号に掲載された。 研究グループは、MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ClinicalTrials.govより、2024年6月までに登録された研究のうち、NOACとアスピリンを比較したRCTを検索した。その結果、9つのRCTが抽出された。これらの研究のメタ解析を行い、大出血、頭蓋内出血のリスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された9つのRCTの内訳は、アピキサバンとアスピリンの比較が5試験、ダビガトランとアスピリンの比較が2試験、リバーロキサバンとアスピリンの比較が2試験であった。・対象患者は2万6,224例で、平均年齢は67歳、男性は58%、平均追跡期間は20ヵ月であった。・アスピリンの用量は、8つのRCTで81~100mg/日であった(アピキサバンとアスピリンを比較した1つのRCTで81~324mg/日)。・大出血、頭蓋内出血について、いずれのNOACもアスピリンと比べて有意なリスク上昇はみられなかったが、リバーロキサバンではリスクが高い傾向にあった。各NOACのアスピリンに対するリスク差および95%信頼区間は以下のとおり。【大出血】 アピキサバン:0.0%ポイント、-1.3~2.6 ダビガトラン:0.5%ポイント、-2.1~19.6 リバーロキサバン:0.9%ポイント、-0.1~3.7【頭蓋内出血】 アピキサバン:-0.2%ポイント、-0.6~1.4 ダビガトラン:0.0%ポイント、-1.1~24.5 リバーロキサバン:0.3%ポイント、-0.1~79.7 本研究結果について著者らは、信頼区間の幅が広いという限界が存在することを指摘しつつ「今回のシステマティックレビューおよびメタ解析では、アピキサバンとダビガトランは大出血の発現率がアスピリンと同程度であったが、リバーロキサバンはアスピリンより高い傾向にあった」と結論を述べている。

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