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喘息治療配合剤「アドエア」の長期投与が可能に 30日分をおさめた60ブリスター製剤を新発売

グラクソ・スミスクライン株式会社は、喘息治療配合剤「アドエア」(サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル ドライパウダーインヘラー)の発売から1年が経過し、7月1日から長期投与が可能になるのに伴い、2週間分の薬剤(28ブリスター)をひとつの吸入器具におさめた従来の製剤に加え、30日分の薬剤をおさめた60ブリスター製剤を7月4日に発売すると発表した。「アドエア」は、気管支拡張作用を持つ長時間作用性吸入β2刺激薬(サルメテロールキシナホ酸塩)と抗炎症作用を持つ吸入ステロイド薬(フルチカゾンプロピオン酸エステル)の配合剤。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_07/P1000491.html

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関節リウマチ治療薬「エンブレル」の新剤形が発売

ワイス株式会社と武田薬品工業株式会社は、両社がコ・プロモーションしている関節リウマチ治療薬「エンブレル」(エタネルセプト)の新剤形となる「エンブレル皮下注25mgシリンジ0.5mL」を6月30日に新発売したと発表した。「エンブレル皮下注25mgシリンジ0.5mL」は、従来の「エンブレル皮下注用25mg」の薬剤をあらかじめ溶解して注射器に充填したシリンジ製剤。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_28156.html

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再発寛解型多発性硬化症に対するlaquinimod治療は、増量しても有効かつ耐用可能

再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の新たな治療薬であるlaquinimodは、0.6mg/日に増量しても十分に耐用可能で、MRI上の疾患活動性を有意に低減させることが、イタリアVita-Salute大学San Raffaele科学研究所のGiancarlo Comi氏らが実施した第IIb相試験で明らかとなった。すでに、laquinimod 0.3mg/日の安全性および有効性は確かめられていた。Lancet誌2008年6月21日号掲載の報告。2つの用量を比較する国際的なプラセボ対照無作為化第IIb相試験本研究は、9ヵ国51施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第IIb相試験。1年以内に1回以上のRRMSの再燃がみられ、MRIによるスクリーニングで1ヵ所以上のガドリニウム増強病変を認めた症例を登録することとした。720例がスクリーニングを受け、306例が適格例として登録された。年齢は18~50歳であった。プラセボ群に102例、laquinimod 0.3mg/日群に98例、laquinimod 0.6mg/日群に106例が割り付けられた。脳MRIおよび臨床評価は、ベースラインの4週前およびベースライン時に行い、その後は12週目から36週目まで毎月1回実施した。主要評価項目は、24、28、32、36週目のガドリニウム増強病変の累積数とした。0.6mg投与群で有意な改善効果0.6mg投与群では、最後の4回のMRI検査におけるガドリニウム増強病変の補正平均累積数のベースラインからの低下率が、プラセボ群の40.4%に減少し、有意な改善効果が認められた[単純平均4.2回(SD 9.2) vs. 2.6回(SD 5.3)、p=0.0048]。0.3mg投与群では有意な改善効果は認めなかった(p=0.6740)。両用量群とも、数例で肝酵素の用量依存性の上昇が一過性に見られたが、耐用性は良好であった。基質的に血液凝固亢進が見られる0.6mg群の1例で、投与1ヵ月後にBudd-Chiari症候群(肝静脈の血栓性の閉塞)が認められた。抗血栓療法によって肝酵素が減少し、臨床的に肝の代償不全の徴候のない状態に正常化した。Comi氏は、「RRMSに対するlaquinimod治療では、投与量を0.6mg/日に増量しても良好な耐用性を示し、MRI上の疾患活動性を有意に低減させた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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ボセンタンは軽度症候性の肺動脈高血圧にも有効

エンドセリン受容体拮抗薬ボセンタン(商品名:トラクリア)は、進行性のみならず軽度症候性の肺動脈高血圧(PAH)にも有効なことが、イタリアBologna大学心臓病研究所のNazzareno Galie氏らが実施した無作為化試験(EARLY試験)で明らかとなった。PAHの治療はおもに進行性病変について検討されており、軽症例に関する研究は少ないという。Lancet誌2008年6月21日号掲載の報告。WHO FC IIの軽度PAHを対象とした二重盲検プラセボ対照試験EARLY試験は、12歳以上のWHO機能分類(FC)IIの軽症PAH(6分間歩行距離が正常予測値の80%未満あるいは500m未満、Borg呼吸困難インデックスが2以上)を対象とした多施設共同二重盲検プラセボ対照試験であり、21ヵ国52施設が参加した。185例が登録され、中央統合音声認識システムを介して6ヵ月の二重盲検治療期間中にボセンタン群に93例、プラセボ群に92例が無作為に割り付けられた。主要評価項目は、ベースラインとの比較における6ヵ月後の肺血管抵抗性および6分間歩行距離のベースラインから6ヵ月目までの変化とした。ボセンタン群で肺血管抵抗性が有意に改善肺血管抵抗性の解析は168例(ボセンタン群80例、プラセボ群88例)で、6分間歩行距離の解析は177例(86例、91例)で行われた。ベースラインとの比較における6ヵ月後の肺血管抵抗性の平均値は、ボセンタン群が83.2%、プラセボ群は107.5%であった(治療効果:-22.6、95%信頼区間:-33.5~-10.0、p<0.0001)。平均6分間歩行距離は、ボセンタン群が11.2m(95%信頼区間:-4.6~27.0)延長したのに対し、プラセボ群では7.9m(-24.3~8.5)短縮しており、平均治療効果は19.1m(3.6~41.8、p=0.0758)であった。ボセンタン群の12例(13%)およびプラセボ群の8例(9%)で重篤な有害事象が報告され、ボセンタン群では失神が、プラセボ群では右心不全がもっとも多くみられた。Galie氏は、「EARLY試験の結果は、ボセンタン治療はWHO FC IIの軽症肺動脈高血圧に対し有効である可能性を示唆する」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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心房細動と心不全患者には心拍コントロールを主要戦略とすべき

心房細動および心不全患者の治療は、洞調律を回復し維持する方法が一般的である。これは、心房細動が心不全患者の死亡の予測因子であり、心房細動を抑制すれば転帰に有利な影響を及ぼす可能性があるというデータに基づいているが、この方法の利点とリスクについては、これまで十分に検討されなかった。カナダ・モントリオール大学心臓研究所のDenis Roy氏らAtrial Fibrillation and Congestive Heart Failure 共同研究グループは、心調律コントロールと心拍コントロールを比較検証した結果、心調律コントロールは死亡率減少に結びつかず、心拍コントロールが主要アプローチであると結論付けた。NEJM誌2008年6月19日号より。患者1,376例を37ヵ月間にわたり追跡調査本研究では、左室駆出率35%以下で、うっ血性心不全の症状と心房細動の既往歴を有する患者について、洞調律維持(心調律コントロール)と、心室拍動数制御(心拍コントロール)を比較する多施設共同無作為試験を行った。登録患者計1,376例を(心調律コントロール群682例、心拍コントロール群694例)、平均37ヵ月間にわたり追跡調査した。主要評価項目は、心血管系原因による死亡までの時間とした。主要・副次転帰とも両治療に有意差はないが心血管系原因での死亡は、心調律コントロール群182例(27%)、心拍コントロール群175例(25%)だった(心調律コントロール群のハザード比:1.06、95%信頼区間:0.86~1.30、log-rank検定によるP=0.59)。全死因死亡(心調律コントロール群32%、心拍コントロール群33%)、脳卒中(同じく各3%、4%)、心不全悪化(同じく各28%、31%)、心血管系原因・脳卒中または心不全悪化の複合死亡(同じく各43%、46%)であり、主要・副次転帰とも同程度だった。あらかじめ定義したサブグループでも、両治療戦略のいずれかを支持する有意差はなかった。この結果、心房細動とうっ血性心不全の患者に対して、ルーティンに心調律コントロール治療を行っても、心拍コントロール治療より心血管原因による死亡率を低下させないことが判明したとして、「心拍コントロール戦略は、電気的除細動を繰り返す必要性を排除し、入院率を低下させる。心拍コントロールが心房細動とうっ血心不全患者のための主要なアプローチと考えるべき」と強調している。(武藤まき:医療ライター)

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重篤な心不全患者へのdronedarone治療で死亡率は上昇

国際的な第III相試験が進められている抗不整脈薬dronedaroneは、強い副作用が問題とされているアミオダロン(商品名:アンカロン)に代わる心不全患者の治療薬として期待されている。本報告は、コペンハーゲン大学(デンマーク)のLars Kober氏らのdronedarone研究グループによるANDROMEDA試験(Antiarrhythmic Trial with Dronedarone in Moderate to Severe CHF Evaluating Morbidity Decrease)の結果で、「重症の心不全患者にdronedaroneを投与した場合、死亡率が上昇する」との警告が報告された。NEJM誌2008年6月19日号より。欧州6ヵ国72施設1,000例を予定してスタートしたがANDROMEDA試験は、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、オランダ、ハンガリーの72施設で実施された多施設二重盲検試験で、症候性心不全と重篤な左室収縮機能不全で入院した患者1,000例を、dronedarone投与群とプラセボ投与群(400mg、1日2回)に無作為に割り付ける予定でスタートした。主要エンドポイントは、全死因死亡の複合または心不全のための入院。追跡試験中に死亡者が増えたため研究中止試験は、患者627例(dronedarone群310例、プラセボ群317例)が登録された時点で、データ・安全性監視委員会の勧告を受け、研究終了についての事前規定に従い安全上の理由から早期中止となった。これは、中央値2ヵ月の追跡期間中に、dronedarone群で25例(8.1%)、プラセボ群で12例(3.8%)の死亡が発生したためである(dronedarone群のハザードリスク:2.13、95%信頼区間:1.07~4.25、P=0.03)。超過死亡は主に心不全悪化との関連が認められ、dronedarone群で10例、プラセボ群では2例が該当した。主要エンドポイントは、dronedarone群53例(17.1%)、プラセボ群40例(12.6%)で両群間に有意差はなかった(ハザード比:1.38、95%信頼区間:0.92~2.09、P=0.12)。しかしクレアチニン濃度上昇が、dronedarone群のほうがプラセボ群より多く、深刻な有害事象として報告されている。以上の結果から、「重篤な心不全と左心収縮機能不全の患者へのdronedarone投与は、心不全悪化に関連する早期死亡率上昇と関係していた」と結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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セント・ジョーンズ・ワートは注意欠陥多動障害(ADHD)に効果なし

年少者の注意欠陥多動性障害(ADHD)には興奮剤が有効で、患者の60%~70%を効果的に治療できるが、多くの親は代替療法を求める。米国では植物性薬品(ハーブ)が人気だが、その中でセント・ジョーンズ・ワート(セイヨワートギリソウ=Hypericum perforatum)は使用されるハーブの上位3つに入る。補完代替療法を主体とするバスティア大学(アメリカ)のWendy Weber氏らは、ADHD治療におけるセント・ジョーンズ・ワートの有効性と安全性を検討し報告した。JAMA誌2008年6月11日号より。54例に二重盲検プラセボ対照試験本研究は2005年3月から2006年8月までの間、ADHDの基準「精神疾患の分類と診断の手引第4版(DSM-IV)」を満たした6~17歳のボランティア患者54例を対象に、無作為二重盲検プラセボ対照試験が行われた。被験者は、1週間のプラセボ同時投与の後8週間にわたり、H perforatum300mg(ヒペリシン0.3%)を毎日3回服用する群(n=27)と、同量のプラセボ投与を受ける群(n=27)に無作為に割り付けられた。試験期間中、ADHDのための他の薬物投与は禁じられた。主要評価項目は「ADHD Rating Scale.IV」(範囲:0~54)と「Clinical Global Impression Improvement Scale=臨床全般印象尺度」(範囲:0~7)の成績と有害事象。試験期間中に、プラセボ群の患者1人が、有害事象のため試験を中止した。症状改善、副作用ともに有意差なしベースラインから第8週まで、H perforatum投与群とプラセボ群の間でADHD Rating Scale.IVスコアの変化に有意差はなかった。不注意症状の改善ではH perforatum群が2.6ポイント(95%信頼区間:4.6~0.6ポイント)、プラセボ群3.2ポイント(5.7~0.8ポイント)だった(P=0.68)。また多動症状の改善では、H perforatum群1.8ポイント(3.7~0.1ポイント)、プラセボ群2.0ポイント(4.1~0.1ポイント)だった(P=0.89)。「Clinical Global Impression Improvement Scale」による改善基準(スコア2)を満たした参加者の比率でもH perforatum群(44.4%)とプラセボ群(51.9%)に有意差はなかった(P=0.59)。研究期間中に有害事象を経験した参加者の数でも、H perforatum群(40.7%)、プラセボ群(44.4%)で違いはなかった(P=0.78)。「有意差はみられず、H perforatumが症状を改善されすることはなかった」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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2型糖尿病治療でかえってうつ発症率が高まる

抑うつ症状と2型糖尿病は関連が指摘されているが、2型糖尿病が抑うつ症状のリスク因子かどうかは不明である。抑うつ症状と2型糖尿病の相関関係を調べていたジョンズ・ホプキンス大学(アメリカ)のSherita Hill Golden氏らは、全体としての相関関係はないとしながらも、糖尿病治療中のほうが抑うつ症状発症率は高まることを示した。JAMA誌2008年6月18日号より。米国人男女約5,000人の追跡調査から関係推定本研究は、45~84歳の米国男女を2000~2002年に登録し、2004~2005年まで追跡した縦断的・多民族コホート研究「Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis」に基づいて行われた。主要評価項目は、疫学研究センター・うつ病スケール(CES-D)で16ポイント以上と定義される抑うつ症状か、抗うつ薬投与またはその両方とし、参加者を、空腹時血糖値が正常(100mg/dL)、境界型=IFG(100~125mg/dL)、2型糖尿病(126mg/dL以上または治療中)に分類。「分析1」では、ベースラインで2型糖尿病でない参加者5,201例を対象に、抑うつ症状の有無について、3.2年間にわたり2型糖尿病との相対ハザードを推定。「分析2」では、ベースラインで抑うつ症状のない参加者4,847例を対象に、2型糖尿病の有無について、3.1年間にわたり抑うつ症状発症との相対オッズを算出した。糖尿病とうつは関連するものの有意差なし「分析1」では、2型糖尿病発症率は、抑うつ症状群で1,000人/年につき22.0人、抑うつ症状のない群で同16.6だった。2型糖尿病のリスクは、人口動態的因子とBMIを補正後、CES-Dスコアが5単位増すごとに1.10倍高くなった(95%信頼区間:1.02~1.19)。この傾向は、代謝や炎症、社会経済、生活様式因子で補正しても同じだが、補正後は統計学的な有意差はなかった(相対ハザード比:1.08、95%信頼区間:0.99~1.19)。「分析2」では、抑うつ症発症率は、正常血糖群では1,000人/年につき36.8。IFG群では同27.9、未治療群は同31.2、治療群は61.9だった。正常血糖群で抑うつ症を発症する人口動態的補正オッズ比は0.79、IFG群は0.75、未治療と治療群では1.54だった。抑うつ症状と2型糖尿病の関連性は、BMIや社会経済、生活様式因子、共存症による補正後も同じだが、実質的に相関関係は存在しない。ベースラインにおける抑うつ症と2型糖尿病のおおまかな関連は、生活様式因子によって部分的に説明できた。IFG群と未治療群は、抑うつ症発症率と逆相関し、治療群は正相関を示した。 これらは人種民族集団全体で類似していた。(朝田哲明:医療ライター)

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限局性前立腺にホルモン単独療法は有用であるか? -第4回 日本泌尿器科学会プレスセミナー レポート-

 2008年6月25日に帝国ホテルにおいて「第4回日本泌尿器科学会プレスセミナー」が開催された。そこで話された、「泌尿器科疾患に関するトピックス」についてレポートする。 初めに、金沢大学大学院医学系研究科集学的治療学 教授の並木幹夫氏より、「前立腺の治療選択~ホルモン療法の役割と副作用対策~」が紹介された。 現在、前立腺は死亡率・死亡数共に増加の一途をたどっており、2020年には男性のがん罹患率第2位になるという。並木氏は、PSA(前立腺特異抗原)導入前後における治療の変遷、治療の進歩と共に、QOLに配慮した治療も発達してきた経緯を紹介した。 その治療法としては、放射線療法、手術療法、ホルモン療法があり、病期によって選択される。一方、ホルモン依存性の前立腺においては全身的な治療法であるホルモン療法が選択されることが多い。今回並木氏は、特に限局性前立腺に対するホルモン単独療法の有用性を紹介した。 限局性前立腺に対するホルモン療法の有効性に関する後ろ向き研究から、Low-risk症例やIntermediate-risk症例への効果が期待できるのではないか、と提案した。また、QOLの観点から行われた試験でも、ホルモン療法はQOLに影響しなかったという。しかし、その一方で、ホルモン療法による男性ホルモン低下が招く加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)の対策は必要であるとし、ホルモン療法の今後の課題や新たな薬剤であるSARMへの期待を述べた。 最後に並木氏は、様々な方法を駆使して前立腺の治療を行っていくことが我々の使命であるとまとめた。 続いて、国際医療福祉大学病院リプロダクションセンター 教授の岩本晃明氏より「男性不妊症の治療戦略~無精子症は増えているのか~」が紹介された。 冒頭、岩本氏は現在のカップルの不妊症の半分は男性に原因があることを述べ、その患者数に比し、男性不妊患者が専門医を受診していない現状を紹介した。続いて、男性不妊症の原因、診療、種類、治療法を解説した。 現在、50~60人に1人が体外受精によって誕生しており、今後はさらに増えていくであろうと岩本氏は述べた。しかし、現状では不妊治療が高コストであることから、若い夫婦などは子供をつくりにくいのではないか、という。岩本氏は泌尿器科学会として、不妊症における男性不妊専門医の利用を呼びかけ、行政に対しても、「男性不妊症の存在を認識して原因を究明し治療していくことが、少子化対策に寄与するのではないか」ということを訴えていきたいと述べた。最後に、男性不妊症にさらに光を当ててもらいたい、と強く訴えた。「前立腺がんホルモン療法」関連記事ホルモン療法未治療の前立腺がん、ADTにアビラテロンの併用は?/NEJM

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地中海式ダイエットは糖尿病予防効果あり

大量のバージンオリーブオイルを使い食物繊維なども豊富な地中海沿岸地方の伝統的な食習慣(地中海式ダイエット)に、心血管疾患の予防効果があることはこれまで多くの調査によって示されている。では、糖尿病に対する予防効果はどうなのか。ナバラ大学(スペイン)医学部予防医学・公衆衛生部門のM A Martinez-Gonzalez氏らは、地中海式ダイエットを嗜好する人々とそうでない人で、糖尿病発生率との相関関係を検討した。「地中海式ダイエットは糖尿病発生率を低減する」との結果を報告している。BMJ誌2008年6月14日号(オンライン版2008年5月29日号)掲載より。1万3,380例の食習慣を4.4年間追跡本研究は前向きコホート研究。性、年齢、大学教育年数、総エネルギー摂取量、BMI指数、身体活動度、座りっきりの習慣、喫煙、糖尿病の家族歴と高血圧の個人歴を調整した推定相対リスク値で検討された。参加者は、スペイン大学の卒業生で糖尿病歴のない1万3,380例。中央値4.4年間追跡調査が行われた。ベースライン時に参加者に、136種類の地中海式ダイエットメニューの摂取頻度アンケート(9ポイント制)を行い、2型糖尿病発病とスコアとの関連をみた。糖尿病発症者には、診断をした医師から送られた医療レポートと詳細な食習慣アンケート調査によって確認された。摂取頻度が高いほど糖尿病リスク低減結果、地中海式ダイエットの摂取頻度が高い参加者は、糖尿病リスクが低かった。発症率比率(性・年齢で調整済)は、摂取頻度が最も低い群(スコア

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椎間板ヘルニアに伴う坐骨神経痛には手術を

欧米では椎間板ヘルニアに伴う坐骨神経痛(1,000人中5、6人が毎年発症)の疼痛症状から軽減するためルーチンに手術が行われている。初発から6週間で70%は下肢痛減弱に至るが、大部分のガイドラインで手術が推奨されている。しかし障害が残ることへの恐れから保存療法を支持する手術慎重派も少なくなく、また手術の至適時期に関する知見も乏しいことから、オランダのライデン-ハーグ椎間板ヘルニア介入予後予測研究グループは、早期手術の有効性を保存療法群との比較で2年以上にわたり追跡調査を行い検討した。BMJ誌2008年6月14日号(オンライン版2008年5月23日号)にて掲載。283例を手術群と保存療法群に無作為化し2年以上追跡同グループは以前に追跡期間1年間での無作為化比較試験の結果を報告している。今回は追跡期間を2年以上として行った。オランダの9つの病院から集まった参加者は、坐骨神経痛を6~12週間有する椎間板ヘルニア患者283例。無作為に早期手術介入群と6ヵ月間の保存療法群(必要に応じた手術あり)とに割り付けられた。主要転帰は、ローランド障害アンケートによるスコア、下肢痛に関するビジュアルアナログスケールによるスコア、リカート自己評価法による回復度。手術はすみやかに痛みを軽減する早期手術を受けるよう割り付けられた患者141例中125例(89%)は内視鏡手術を受けた。保存療法に割り付けられた患者142例中62例(44%)は、結局は手術を必要とした。7例は追跡期間2年目に手術を実施している。2年の間の障害スコアに、全体的に有意な差は認められなかった(P=0.25)。下肢痛の改善は、早期手術に無作為化された患者のほうが有意に早かった(P=0.05)。この早期手術の有益性は、6ヵ月までよりも、6ヵ月~24ヵ月の間で高かった。患者満足度は、両群とも1年目よりも2年目で、わずかに減少した。全患者で見た場合2年目では、20%が不満足との結果を報告している。以上の結果から、「早期手術は保存療法より迅速に坐骨神経痛からの軽減を成し遂げた。予後に関して2年の間に、両群に差が生じることはなかった」と結論している。また手術至適時期については今回の試験では明らかにはできなかったとし、試験対象を疼痛発症2~4週以内の患者と設定しての試験が必要だとまとめた。

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「ランタス注ソロスター」新発売

サノフィ・アベンティス株式会社は、6月20日、 1型および2型糖尿病患者を対象とするディスポーザブル型インスリンペン型注入器を用いたキット製剤「ランタス注ソロスター」の販売を開始した。ランタス注ソロスターは、1日1回投与の持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタス」〔インスリン グラルギン(遺伝子組換え)〕を投与するためのディスポーザブル型の新しいインスリンペン型注入器を用いたキット製剤。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/ja/layout.jsp?scat=F46269E9-3D18-4250-BA23-5A6A7A0ECD74

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HIV感染症治療薬「ストックリン錠600mg」新発売

万有製薬株式会社は、HIV感染症治療薬「ストックリン錠600mg」(エファビレンツ)を、6月20日の薬価基準収載を受けて新発売した。ストックリンは米国本社が開発した非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤(NNRTI)で、1998年9月に米国で承認され、日本では1999年9月に「ストックリンカプセル200」を発売している。「ストックリン錠600mg」は、これまで「ストックリンカプセル200」が1日1回3カプセルの服薬であったのに対し、1日1回1錠の服薬となる。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/product_news_0620.html

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粘液溶解薬カルボシステインが、COPDの増悪予防に有効

粘液溶解薬であるカルボシステインが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪の予防に有効なことが、中国で実施された臨床試験で明らかとなった。COPDは気道制限を特徴とし、粘液過剰分泌、酸化ストレス、気道炎症など多くの構成因子を有する。カルボシステインは、喀痰を伴う呼吸器疾患の治療に広く用いられる粘液溶解薬のひとつであり、抗炎症作用および抗酸化作用を持つためCOPDの増悪の抑制に有効な可能性があるという。広州医科大学第一病院広州呼吸器疾患研究所のJin-Ping Zheng氏らの報告で、Lancet誌2008年6月14日号に掲載された。中国の22施設から709例が登録された二重盲検プラセボ対照無作為化試験PEACE試験は二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2005年1~9月に中国の22施設から709例が登録された。気管支拡張薬吸入後の1秒量(FEV1)と努力肺活量(FVC)の比(FEV1/ FVC)<0.7、FEV1の予測値が25~79%の場合にCOPDと診断し、年齢40~80歳、最近2年間に2回以上のCOPD増悪の既往歴を有し、試験前4週間以上は臨床的に病態が安定していた症例を適格例とした。症例は、カルボシステイン(1,500mg/日、1年間投与)あるいはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、主要評価項目は1年増悪率とした。1例当たりの1年増悪回数が有意に低下354例がカルボシステイン群に、355例がプラセボ群に割り付けられた。1例当たりの1年増悪回数は、プラセボ群に比しカルボシステイン群で有意に低下した[1.01(SE 0.06) vs. 1.35(SE 0.06)、リスク比:0.75(95%信頼区間:0.62~0.92、p=0.004)]。カルボシステインの予防効果は、吸入ステロイドの併用、COPDの重症度、喫煙との間に有意な相関を認めなかった。また、有害事象は胃腸障害が4例、肺炎、上気道感染、疲労感、倦怠感がそれぞれ1例ずつ見られたが、耐用性は良好であった。Zheng氏は、「カルボシステインなどの粘液溶解薬は、COPDの中国人症例における増悪の予防に用いる価値のある治療法とみなすべき」と結論している。なお、本試験ではカルボシステインによるQOLの改善効果も確認されている。また、治療3ヵ月の時点ではプラセボとの間に有効性の差は見られなかったことから、COPDの増悪予防には長期投与が有効なことが示唆されるという。(菅野守:医学ライター)

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旅行者下痢の予防に大腸菌由来毒素含有ワクチンパッチが有効

旅行者下痢に対し、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)由来の易熱性毒素(LT)を含有する経皮吸収型のワクチンが有効なことが、IOMAI Corporation(米国、Gaithersburg)のSarah A Frech氏らが健常な旅行者を対象に行った第II相試験で示された。ETECは、流行地への旅行者や開発途上国の幼児の下痢の主要原因である。毎年2,700万人の旅行者および2億1,000万人の小児が急性の下痢を発症し、38万人の子どもが死亡しているという。Lancet誌2008年6月14日号掲載の報告。メキシコあるいはグアテマラへの旅行者を対象とした無作為化第II相試験本研究は、メキシコあるいはグアテマラへの旅行を計画している18~64歳の健常成人のうち、米国の地域ワクチンセンターにアクセスした者を対象に行われた無作為化第II相試験である。割り付けには中央無作為化コードを用い、参加者および各施設のスタッフには割り付け状況はマスクされた。主要エンドポイントはETEC性下痢の発症率およびワクチンパッチから放出されたLTの安全性の評価とした。副次エンドポイントは旅行者下痢およびETECに対するワクチンの有効性などとした。参加者は旅行前に2~3週間隔で2枚のパッチを用いてワクチンを接種された。パッチにはLT 37.5μgあるいはプラセボが含有された。参加者は旅行先の国でカード形式の日誌に排便量を記録し、下痢を起こした場合は病原菌同定のためにサンプルを提出した。下痢の重症度は24時間における軟便の排便回数で評価した(軽度:3回、中等度:4、5回、重度:6回以上)。なお、旅行者下痢は一般に18回ほどの軟便の排便回数を伴って4~5日間持続し、通常、悪心・嘔吐、腹部疝痛、衰弱、脱水をきたす。ワクチンパッチは重度の下痢を有意に予防、罹病期間、軟便排便回数を低減2006年5~12月に201人が登録され、そのうち178人が2回のワクチン接種を受けてメキシコおよびグアテマラに旅行し、170人が解析の対象となった。プラセボ群の111人のうち24人(22%)が下痢を発症したが、ETEC性の下痢は11人(10%)であった。ワクチンは安全であり、免疫原性は発揮されていた。ワクチン群の59人においては、中等度~重度の下痢(予防効果:75%、p=0.0070)および重度の下痢(予防効果:84%、p=0.0332)に対する有意な予防効果が認められた。下痢をきたしたワクチン群の症例は、プラセボ群に比べ罹病期間が有意に短く(0.5日 vs 2.1日、p=0.0006)、軟便の排便回数が有意に少なかった(3.7回 vs 10.5回、p<0.0001)。Frech氏は、「旅行者下痢は一般的な疾病であり、旅行先での下痢の10%は腸管毒素原性大腸菌(ETEC)によるものである。ワクチン貼付薬は安全かつ実行可能であり、旅行者下痢の発症頻度および重症度を抑制する効果を有する」と結論している。また、同氏は「経皮的パッチは簡便かつ注射器不要で、低温流通体系(cold chain)を必要とせず、旅行者および途上国での使用に適するようデザインされている。今回確認された効果は第III相試験で検証する必要がある」とコメントしている。(菅野守:医学ライター)

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血糖降下強化療法は有害:ACCORD

2型糖尿病患者の糖化ヘモグロビン値と心血管イベントとの関連はこれまで疫学研究で示されている。2型糖尿病の大規模試験ACCORD(The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)研究グループは、糖化ヘモグロビン値を正常化するための強化療法が心血管イベントを減らすかどうかを検討していたが、死亡リスクが増大し試験は中止に至った。NEJM誌2008年6月12日号(オンライン版2008年6月6日号)より。患者1万251例を強化療法群と標準治療群に割り付け試験は、糖化ヘモグロビン値の中央値8.1%の患者計1万251例(平均年齢62.2歳、女性38%、心血管イベント経験35%)を、強化療法(糖化ヘモグロビン値の目標値6.0%未満)または標準治療(同7.0~7.9%)に無作為に割り付け行われた。主要転帰は、非致死的な心筋梗塞、非致死性の脳卒中、または心血管系の原因による死亡の複合。死亡率は上昇し心血管イベントの減少はわずか本試験は、平均3.5年の追跡調査後、強化療法群の死亡率が標準治療群よりも高まったため試験は中断されるに至った。試験開始1年目に、糖化ヘモグロビン値は強化療法群では6.4%、標準治療群では7.5%の安定した中央値が達成された。しかし追跡調査の間に、主要転帰の発生が、強化療法群では352例、標準治療群では371例でハザード比は0.90(95%信頼区間:0.78~1.04、P=0.16)。一方、死亡に関しては、標準治療群では203例だったのに対し強化療法群では257例発生し、ハザード比は1.22(95%信頼区間:1.01~1.46、P=0.04)だった。また強化療法群のほうが、低血糖症および10kg以上の体重増加の頻度が高かった(P

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強化血糖コントロールは血管系転帰を改善:ADVANCE

本論は、2型糖尿病の大規模試験ADVANCE(the Action in Diabetes and Vascular Disease:Preterax and Diamicron Modified Release Controlled Evaluation)研究グループによる、2型糖尿病患者に対する強化血糖コントロールの、血管系転帰に与える影響の検討結果。NEJM誌2008年6月12日号(オンライン版2008年6月6日号)に掲載された。同日掲載されたACCORD研究グループでは、「血糖降下強化療法は死亡率を高め心血管イベント減へのベネフィットはない」と結論していたが、ADVANCE研究グループからは反対の見解が報告されている。経口血糖降下薬で強化血糖コントロール2型糖尿病患者1万1,140例を、標準血糖コントロールと強化血糖コントロールに無作為に割り付け、強化コントロールでは、糖化ヘモグロビン値が6.5%以下になるように、SU系経口血糖降下薬グリクラジドと、必要に応じて他剤を併用した。主要転帰は、主要大血管イベント(心血管系の原因による死亡、非致死的な心筋梗塞または脳卒中)と主要細小血管イベント(腎症、網膜症の発現または悪化)の複合とし、合同評価と個別評価を行っている。腎症発生率21%低下で主要血管系イベントの複合転帰10%低下中央値5年の追跡調査の結果、糖化ヘモグロビン平均値は、強化コントロール群(6.5%)のほうが標準コントロール群(7.3%)より低く、主要大血管と細小血管イベントの複合発生率も、強化群(18.1%)のほうが標準群(20.0%)より低下した(ハザード比:0.90、95%信頼区間:0.82~0.98、P=0.01)。主要細小血管イベント単独でみた場合も、強化群のほうが標準群より低下した(9.4%対10.9%、ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.77~0.97、P=0.01)。これは主に、腎症発生率が低下したためで(4.1%対5.2%、0.79、0.66~0.93、P=0.006)、網膜症に対する有意な効果は認められていない(P=0.50)。血糖コントロール方法が違っても、主要大血管イベントや心血管系の原因による死亡に有意な影響はなかったことも確認された。強化コントロール群の主要大血管イベントのハザード比0.94(95%信頼区間:0.84~1.06、P=0.32)、同心血管系の原因による死亡のハザード比0.88(0.74~1.04、P=0.12)、同全死因死亡は0.93(0.83~1.06、P=0.28)。ただし重篤な低血糖症は、件数はまれだが強化群のほうが、発生率が高かった(2.7%対1.5%、ハザード比:1.86、95%信頼区間:1.42~2.40、P

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認知症改善のため日光浴を

多くの認知症高齢患者と介護者を苦しめる、認知低下や気分障害、行動・睡眠障害およびADL(日常生活動作)の制限は、サーカディアンリズム障害が関連している。オランダ神経科学研究所(Netherlands Institute for Neuroscience)のRixt F. Riemersma-van der Lek氏らは、サーカディアンリズムの2大同調因子である「明るい光」と「メラトニン」を長期間、単独もしくは組み合わせることで、認知症状の進行を改善できるかどうかを検証する長期2×2因子二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った。JAMA誌2008年6月11日号より。オランダの12施設で最長3.5年間にわたり比較試験は1999年から2004年にかけて、オランダのグループケア施設12ヵ所の居住者計189例を対象に行われた。平均年齢は85.8歳(SD:5.5年)、90%が女性、87%は認知症だった。対象を、平均15ヵ月間(SD:12ヵ月間、最長3.5年間)、全日明るい(±1000ルクス)もしくは薄暗い(±300ルクス)状況、夕方にメラトニン(2.5mg)またはプラセボを、施設ごとに無作為に割り付けた。主要転帰尺度は、6ヵ月ごとに、標準的な評価検査や指標[認知機能検査のMini-Mental State Examination (MMSE)、うつ症状を評価するCornell Scale for Depression in Dementia(CSDD)、看護情報に基づく日常生活動作スケールなど]を用いて認知症状の進行状況やADLの制限、および有害事象に関する評価を行った。光+メラトニン療法は攻撃的態度や夜間不穏もやや改善結果、光療法は、認知症状をMMSEで平均0.9ポイント改善させたほか、うつ症状はCSDDで1.5ポイント寛解、ADLの制限は年1.8ポイント改善した。メラトニン投与は睡眠開始までの時間を8.2分短縮し、睡眠時間を27分延長した。ただしメラトニン投与をPhiladelphia Geriatric Centre Affect Rating Scaleを用いて行った評価では、ポジティブ感情がマイナス0.5ポイント、ネガティブ感情がプラス0.8ポイントだった。またMulti Observational Scale for Elderly Subjects scaleを用いた評価では、引きこもり行動が1.02ポイント増加していたが、光療法との併用では増加はみられなかった。併用療法については、Cohen-Mansfield Agitation Indexの評価で、攻撃的態度が3.9ポイント減少させ、睡眠効率を3.5%増加し、夜間不穏を年間1時間当たり1分間改善させた。Lek氏は「光療法は、認知症高齢者の症状をある程度改善する効果がある。一方メラトニン投与は気分障害の副作用が出るため、光療法との併用のみ推奨される」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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QRS幅拡大は心不全患者の退院後死亡・再入院の独立予測因子

心不全で入院した患者は、退院後も死亡率と再入院率の高いことはわかっているが、入院中のQRS波持続時間による予後予測については、これまであまり検討されていない。そこで、米国ノースウエスタン大学医学部(シカゴ)のNorman C. Wang氏らは、左室駆出率(LVEF)低下に伴う心不全の入院患者のQRS幅と予後の関係について検討し、「QRS幅延長は、高い退院後死亡率の独立因子である」と報告している。JAMA誌2008年6月11日号より。南北アメリカ、欧州の2,962例を分析検討は、LVEF 40%以下の心不全入院患者を対象としたイベント駆動二重盲検無作為化プラセボ対照試験「Efficacy of Vasopressin Antagonism Heart Failure Outcome Study With Tolvaptan」(EVEREST)のデータに基づく遡及的解析。2003年10月7日~2006年2月3日にかけて、南北アメリカ、ヨーロッパの359施設で登録された患者4,133例のうち、登録時にペースメーカーや埋込型除細動器を装着していた1,029例、およびベースラインのQRS幅が報告されなかった142例を除外した2,962例が分析された。このうち1,641例はQRS幅正常(120ms未満)、1,321例はQRS幅拡大(120ms以上)だった。主要エンドポイントは全原因死亡率と、心血管死亡と心不全による再入院の組み合わせとした。QRS幅正常群よりも拡大群は、死亡率、再入院率ともに悪化中央値9.9ヵ月の追跡期間中、全原因死亡率は、ベースラインのQRS幅正常群は18.7%、QRS幅拡大群は28.1%だった(ハザード比:1.61、95%信頼区間:1.38~1.87)。心血管死亡または心不全再入院は、QRS幅正常群は32.4%だったが、拡大群では41.6%だった。QRS幅拡大がリスク上昇に関連することは、全原因死亡率でハザード比1.24、心血管死亡または心不全再入院で同1.28で、ともに確認された。ベースラインでQRS幅拡大群だった患者で、入院中の最終心電図でQRS幅正常に戻ったのは105例(3.6%)のみだった。QRS幅拡大は、LVEF低下による心不全入院患者に一般的に見られるが、Wang氏は「QRS幅拡大は、高い退院後死亡率と再入院率の独立予測因子である。これを介入の潜在的目標とすれば、退院後の死亡率、再入院率を改善できる可能性がある」と結論した。(朝田哲明:医療ライター)

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臨床試験での治療有効性に対する医師と患者の評価は一致している

さまざまな疾患の治療有効性を評価するため、患者および医師による総合評価(global assessments)が一般的に用いられるようになっている。しかし一方で、患者の総合評価と医師の総合評価は必ずしも一致しないとのエビデンスも示されている。そこでギリシャ・イオアニア医科大学Evangelos Evangelou氏らは、コクランデータベースで臨床試験における医師、患者の総合評価に関するシステマティックレビューを行った。結果は「おおむね一致する」と報告している。BMJ誌2008年6月7日号(オンライン版2008年5月21日号)掲載より。コクランデータベースから検証データを抽出治療効果に対する医師の総合評価が患者の総合評価と一致するかどうか調べるために、多様な状況下で行われた治療の系統的検討結果を蓄積した「コクランデータベース」から、同種治療に対する患者の総合評価と医師の総合評価に関する情報を抽出。主要転帰尺度は、相対オッズ比(実験的介入群と制御群の総合的改善に対して、患者評価と医師評価を比較したオッズ比の比率)と、医師と患者の評価に基づく改善比率とした。治験と日常診療を補完する情報を提供する可能性も18状況下63種類の治療(240の試験的治療を含む)で行われた、医師の総合評価と患者の総合評価の比較の結果では、相対オッズ比は0.98(95%信頼区間:0.88~1.08)で有意差はなかった(Iの2乗=0%、95%信頼区間:0%~30%)。ただし63種類のうち62種類の治療では、患者と医師の間に治療効果の評価に相違はなかったが、1種類だけ信頼区間の幅が明らかに大きいものがあった。平均改善率も、相対オッズ比は0.98(0.88~1.06)で、医師評価と患者評価に違いはなかった(Iの2乗=0%、0%~24%)。Evangelou氏は、治療効果に対する医師の総合評価と患者のそれとほぼ一致していると結論している。

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