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65歳以上の肥満や50歳からの体重増で、2型糖尿病リスクが大幅増加

65歳以上の肥満や、50歳からの体重増は、糖尿病発症リスクを増加するという。BMI値の最高五分位範囲の群では、最低五分位範囲の群に比べ、糖尿病発症リスクが4倍以上であったことが報告された。米国ワシントン大学公衆衛生校生物統計学部のMary L. Biggs氏らが、65歳以上の4,000人超を対象とした前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月23/30日号で発表した。これまで、若者や中年の肥満が2型糖尿病のリスク因子であることは知られていたが、高齢者の肥満と同リスクに関する研究報告はほとんどなかった。肥満について人体測定学と生体インピーダンス法で測定研究グループは1989~2007年にかけて、Cardiovascular Health Studyの被験者で65歳以上の4,193人について、前向きに追跡した。肥満測定は、ベースラインでは人体測定学と生体インピーダンス法を用い、3年後に人体測定学で再測定を行った。主要評価項目とした糖尿病の診断については、糖尿病治療薬の服用や空腹時血中血糖値が126mg/dL以上とした。追跡期間の中央値は12.4年(範囲:0.9~17.8年)だった。その間、糖尿病が確認されたのは、339人だった(7.1/1,000人・年)。糖尿病リスクは、各因子とも最高五分位範囲が最低五分位範囲の約4倍ベースラインのBMI値が、最高五分位範囲の最低五分位範囲に対する、糖尿病発症に関するハザード比は、4.3(95%信頼区間:2.9~6.5)、50歳時点のBMI値については同3.0(同:2.0~4.3)だった。ベースラインの体重が、最高五分位範囲の最低五分位範囲に対する同ハザード比は、4.2(同:2.8~6.4)、体脂肪量は同4.0(同:2.6~6.0)、ウエスト周囲が同4.2(同:2.8~6.2)、ウエスト・ヒップ比が同2.4(同:1.6~3.5)、ウエスト・身長比が同3.8(同:2.6~5.5)だった。ただこれらハザード比の傾向を年齢階層化してみると、75歳以上になるとリスクは、65~74歳と比べておよそ半分であった。また、体重増との関係についてみてみると、本試験登録時の体重について50歳時点から9kg以上増えていた人は、体重の増減が2kg以内の人と比べ、2型糖尿病発症のハザード比が2.8(95%信頼区間:1.9~4.3)、ベースラインから追跡中3回目の測定までに体重が6kg以上増えた人の同ハザード比は2.0(同:1.1~3.7)だった。ベースラインから3回目の測定までに、ウエストが10cm超増えた人の同ハザード比は、ウエスト増減が2cm未満だった人との比較で、1.7(同:1.1~2.8)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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職場、公共スペースの禁煙後、着実に心筋梗塞入院患者が減少

イングランドでは2007年7月1日に、一部例外を除き、職場および公共スペースを全面禁煙とする法律が施行された。同国バース大学公衆衛生校のMichelle Sims氏らは、禁煙法導入による心筋梗塞入院患者に関する短期的な影響について調査を行った結果、「禁煙法は心筋梗塞を減らす」とのエビデンスを肉付けする結果が得られたという。BMJ誌2010年6月19日号(オンライン版2010年6月8日号)掲載より。施行後-2.4%減少、施行1年で1,200件減少に等しいSims氏らは、イングランドの18歳以上で心筋梗塞と診断分類され緊急入院した、2002年7月~2008年9月分のデータ(禁煙法施行前5年分と施行後15ヵ月分)を、ポアソン回帰分析法を用いて解析した。データはルーチンに集められた断続的時系列な統計学的データだった。主要評価項目は、週ごとの入院患者数。信仰や季節的な傾向、母集団サイズを補正後の解析結果、わずかではあるが有意な心筋梗塞入院患者の減少が、禁煙法施行後に認められた(-2.4%、95%信頼区間:-4.06~-0.66、P=0.007)。これは、法施行後1年間で1,200件(再入院を含むと1,600件)の心筋梗塞入院減少に等しかった。男女とも60歳以上で有意な減少、60歳未満は男性のみ有意入院減少が有意だったのは、60歳以上の男性(3.1%、P=0.001)および女性(3.8%、P=0.007)で、60歳未満では、男性は有意だったが(3.5%、P

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乳児への肺炎球菌ワクチン接種の費用対効果:オランダ

 オランダで行われている全乳児への7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV-7)の4回投与の予防接種プログラムについて、費用対効果に関する研究が行われた。オランダ・フローニンゲン大学薬学部のMark H Rozenbaum氏らによるもので、PCV-7の投与回数を減らした場合や、10価(PCV-10)、13価(PCV-13)のワクチンを用いた場合との比較を行った結果、現行のPCV-7の4回投与は、費用効果的ではないことが明らかになったと報告している。BMJ誌2010年6月19日号(オンライン版2010年6月2日号)掲載より。PCV-7、PCV-10、PCV-13投与と非投与とを比較 Rozenbaum氏らは、デシジョンツリー分析モデル(予備研究データにより構築)を用いて、PCV-7、PCV-10、PCV-13の費用対効果をワクチン非投与との比較で検討した。 コホート母集団の被験児は、オランダ生まれの乳児18万人で5歳まで追跡された。PCV-7の4回投与が始まる前の肺炎球菌感染症の発病率と抗原型に関するサーベイランスデータは、2004~2006年分が入手できた。 主要評価項目は、コスト、獲得生存年およびQALYs(生活の質を調整した生存年)、増分費用効果比(incremental cost effectiveness)とした。 ワクチンの効果が5年に及ぶと仮定した条件下で解析した結果、5歳児集団におけるワクチン接種による副次効果(集団感染の抑制)は、推定ネットで認められなかった。PCV-7の4回(3+1)投与で予防できたのは、5歳児で、侵襲性症例は推定71例、非侵襲性症例は同5,778例で、173獲得生存年、277QALYsに相当するものだった。PCV-7の4回投与はコストの割には効果に乏しい PCV-7の増分費用効果比、すなわち1QALYを獲得するのにかかったコストは11万3,891ユーロで、当初、費用対効果があるものとして推計されていた1QALY当たり5万ユーロをかなり上回っていた。 PCV-7の3回(2+1)投与の場合は、8万2,975ユーロに減っていた。 また、PCV-10、PCV-13接種の場合は、仮定条件により異なるが、3万1,250~5万2,947ユーロの範囲だった。 Rozenbaum氏は、「現行のPCV-7の4回投与は、費用効果的ではない。ワクチン非接種者による感染者増加が、ワクチン接種者による集団への副次効果を減じ、ワクチン接種の予防ベネフィットを相殺しているためと思われる。その点、PCV-10、PCV-13接種の方が利点がありそうである。PCV-7についてはワクチンの接種回数を減らすこと、および値段の引き下げでプログラム全体のコストが減らすことができれば、増分費用効果比を寛容できる範囲に減らすことは可能である」と結論している。

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自閉症児に対する親によるコミュニケーション介入は症状を改善するか?

コアな自閉症の患児に対して、通常の治療に加え親によるコミュニケーションに焦点を当てた介入を行っても、症状の改善はわずかしか得られないことが、イギリス・マンチェスター大学精神科のJonathan Green氏らが行った無作為化試験で示された。自閉症は、その中核をなす患者のおよそ0.4%、広範な自閉症スペクトラムに属する患者の約1%が重篤で高度に遺伝性の神経発達障害をきたすと推察され、社会的な相互関係や意思疎通、行動の障害が、小児から成人への発達に多大な影響を及ぼすため、家族や社会に大きな経済的な負担が生じることになる。小規模な試験では、社会的コミュニケーションへの早期介入が自閉症児の治療に有効なことが示唆されているという。Lancet誌2010年6月19日号(オンライン版2010年5月21日号)掲載の報告。PACTによる介入群と非介入群を比較する無作為化試験研究グループは、中核的な自閉症の患児を対象に社会的コミュニケーションへの早期介入の有効性について検討する大規模な無作為化試験を実施した。イギリスの三つの専門施設(ロンドン、マンチェスター、ニューカッスル)に2歳~4歳11ヵ月の自閉症児が登録され、親によるコミュニケーションに焦点を当てた介入(Preschool Autism Communication Trial;PACT)を行う群あるいは通常の治療を行う群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。PACT群の患児には通常の治療も施行された。主要評価項目は、治療13ヵ月後の自閉症症状の重症度[Autism Diagnostic Observation Schedule-Generic(ADOS-G)の社会的コミュニケーションに関するアルゴリズム項目の総スコア(スコアが高いほど重症度が高度)]とし、補足的な副次評価項目として親子間の相互応答、患児の言語能、学校での適応能を測定した。親子間のコミュニケーションには明確なベネフィットが152例が登録され、PACT群に77例(ロンドン:26例、マンチェスター:26例、ニューカッスル:25例)、通常治療群には75例(ロンドン:26例、マンチェスター:26例、ニューカッスル:23例)が割り付けられた。13ヵ月の時点における症状の重症度の改善効果は、施設、性別、社会経済的状況、年齢、言語能、非言語能で補正後のADOS-Gスコアが、PACT群で3.9点低下し、通常治療群では2.9点低下しており、両群とも症状の改善効果が認められた。各群間の効果量(effect size)は-0.24(95%信頼区間:-0.59~0.11)であり、PACTによる介入の症状改善効果は小さいと推察された。親の子どもへの同期的応答(効果量:1.22、95%信頼区間:0.85~1.59)、子どもからの親への応答(同:0.41、同:0.08~0.74)、親子の配慮の共有(同:0.33、同:-0.02~0.68)にはPACTによる改善効果が認められた。言語能や学校での適応能に対するPACTによる改善効果は小さかった。これらの知見に基づき、著者は「自閉症児の症状の低減を目的に、通常治療にPACTを併用するアプローチは推奨されない。その一方で、親子間の社会的コミュニケーションには明確なベネフィットが認められた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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高尿酸血症治療薬アロプリノール、慢性安定狭心症患者の運動能を改善

痛風・高尿酸血症の治療薬として用いられているアロプリノール(商品名:ザイロリックなど)の高用量投与により、慢性安定狭心症患者の運動能が有意に改善することが、イギリスDundee大学Ninewells病院のAwsan Noman氏らが行った無作為化試験で明らかとなった。実験的な研究では、キサンチンオキシダーゼ阻害薬は1回拍出量当たりの心筋酸素消費量を低下させることが示されている。このような作用がヒトでも起きるとすれば、アロプリノールなどこのクラスのキサンチンオキシダーゼ阻害薬が狭心症患者における心筋虚血の新たな治療薬となる可能性があるという。Lancet誌2010年6月19日号(オンライン版2010年6月8日号)掲載の報告。高用量アロプリノールの運動能改善効果を評価する二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験研究グループは、高用量アロプリノールによる慢性安定狭心症患者の運動能の延長効果について検討する二重盲検プラセボ対照クロスオーバー無作為化試験を行った。イギリスの1病院と2診療所に、血管造影にて冠動脈疾患を認め、運動負荷試験で冠動脈の狭窄が確認された18~85歳の慢性安定狭心症患者(2ヵ月以上が経過)65例が登録された。これらの患者が、アロプリノール600mg/日を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられ、6週間の治療ののち治療法のクロスオーバーが行われた。主要評価項目はST低下までの時間とし、副次評価項目は総運動時間および胸痛発現までの時間とした。ST低下までの時間が43秒、総運動時間が58秒、胸痛発現までの時間は38秒有意に延長クロスオーバー前の6週間の治療においては、アロプリノール群に割り付けられた31例のうち28例が、プラセボ群の34例のうち32例が評価可能であった。クロスオーバー後の治療では、60例全例で評価が可能であった。ST低下までの時間の中央値は、アロプリノール群がベースラインの232秒から6週後には298秒にまで延長したのに対し、プラセボ群の延長は249秒までであり、有意な差が認められた(p=0.0002)。両群間の絶対差は43秒(95%信頼区間:31~58秒)であった。総運動時間の中央値は、アロプリノール群がベースラインの301秒から393秒にまで延長したのに対し、プラセボ群の延長は307秒までであり、有意な差を認めた(p=0.0003)。両群間の絶対差は58秒であった(95%信頼区間:45~77秒)。胸痛発現までの時間の中央値は、アロプリノール群が234秒から304秒へ、プラセボ群は272秒まで延長し、やはり有意な差が確認された(p=0.001)。両群間の絶対差は38秒であった(95%信頼区間:17~55秒)。治療に関連した有害事象は両群ともにみられなかった。著者は、「アロプリノールは、狭心症患者の運動能の改善薬として有用であり、安価で耐用性にも優れ高い安全性を有する可能性が示唆された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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検索経験者の4割がネット検索をきっかけに病院へ!

アイシェアが20代から40代の男女504名の回答を集計した「ネット医療情報検索に関する意識調査」によると、インターネットで自分の体の気になる症状を検索したことが「ある」人は62.1%(313名)。男性の55.4%に対し、女性は69.8%と7割にのぼったという。年代別では、20代(59.7%)に比べ、30代(64.1%)・40代(62.2%)が高めの結果となった。そこで、検索経験者に自分の体の気になる症状を検索したことがきっかけで、実際に病院の診察を受けたことがあるか尋ねたところ、「ある」とした人は39.6%だった。ここでも検索経験者の比率と同様に、男性(33.6%)より女性(45.1%)が高ポイントとなっている。さらに、自分の体に気になる症状がある時、病院の診察前にインターネットでその症状を検索することがあるか聞いたところ、「必ず検索する」は16.0%、「症状によっては検索する」は77.0%で、『検索する』人は合計93.0%と圧倒的多数を占めた。性別・年代別に見ても9割前後が診察前にあらかじめ症状を下調べしていることが浮き彫りとなった。●詳細はプレスリリースへhttp://release.center.jp/2010/06/2801.html

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初発の慢性骨髄性白血病に対するニロチニブ vs. イマチニブ

慢性骨髄性白血病の分子標的治療薬イマチニブ(商品名:グリベック)は、白血病細胞の原因となるBCR-ABL蛋白を阻害し作用を発揮する。ニロチニブ(商品名:タシグナ)は、イマチニブよりも強力かつ選択的にBCR-ABLを阻害するとして、イマチニブ抵抗性あるいは不耐容の慢性期および移行期のCML患者に対する治療に有用とされている。イタリア・トリノ大学のGiuseppe Saglio氏らの治験グループ「ENESTnd」は、ニロチニブの第3相試験として、初発の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML)患者を対象に、イマチニブとの直接比較で有効性と安全性の評価を行った。NEJM誌2010年6月17日号(オンライン版2010年6月5日号)より。分子遺伝学的寛解率はおよそ2倍非盲検多施設共同で実施された第3相試験は、846例のPh+ CML患者を、ニロチニブ1日2回300mg投与群、または同400mg投与群、もしくはイマチニブ1日1回400mg投与群に、 1:1:1の比率で無作為に割り付け行われた。プライマリーエンドポイントは、12ヵ月時点の分子遺伝学的Major寛解(MMR)率とした。試験の結果、投与後12ヵ月時点のMMRは、ニロチニブ群(300mg投与群44%、400mg投与群43%)で、イマチニブ群(22%)のおよそ2倍だった(両群間比較ともP

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母乳を介した乳児へのHIV-1伝播を抑える

世界では毎年、約20万人の乳児が母乳を通してヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に感染し、その半数は治療を受けられずに2歳の誕生日を迎えることなく死亡している。米国ノースカロライナ大学のCharles S. Chasela氏らの研究グループはマラウイで、HIV-1の出産後伝播を抑えるため、授乳期間中の28週に行う母親への3剤抗レトロウイルス・レジメンと、乳児に行うネビラピン(商品名:ビラミューン)予防投与による伝播抑制の有効性について評価を行った。NEJM誌2010年6月17日号より。母親への介入群、子どもへの介入群と、対照群とを比較研究グループは、HIV-1陽性で、CD4+リンパ球数250個/mm3以上の授乳中の母親2,369例とその子どもを、抗レトロウイルス・レジメン群(母親)、ネビラピン群(乳児)、出産後抗レトロウイルス・レジメンを延長しない群(対照群)の3群にランダムに割り付けた。すべての母親と乳児には周産期予防処置として、ネビラピン投与1回と、ジドブジン+ラミブジンの併用投与を1週間行った。評価は、カプラン・マイヤー法を用いて、生後2週でHIV-1陰性だった乳児の28週におけるHIV-1伝播または死亡の累積リスクを推定し、log-rank検定を用いて比較した。HIV-1伝播、早期死亡の危険率が有意に低下試験対象となった2,369例の母子のうち、生後2週で乳児がHIV-1陽性だった割合は5.0%だった。生後2~28週におけるHIV-1伝播の推定リスクは、対照群が5.7%と他の2群より高く、母親投与群は2.9%(P=0.009)、乳児投与群は1.7%(P

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早期肺がんの切除、実施率が低い原因は?

肺がんは米国において、がん死亡の主要な要因である。ステージI、IIの非小細胞肺がんでは、切除術が治癒の信頼性が高い唯一の方法であり、切除しない人の生存期間中央値は1年に満たない。しかし、早期肺がん患者の切除術実施率は低いのが現状で、特に黒人での実施率が低いという。米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校のSamuel Cykert氏らは、修正可能な手術に関する因子を特定し、なぜ黒人で特に実施率が低い理由を明らかにするため、400人超を対象とする前向きコホート試験を行った。JAMA誌2010年6月16日号掲載より。黒人の実施率は白人より11ポイント低率同氏らは、2005年12月~2008年12月にかけて、生検で確定または可能性が高いと判断された新規早期肺がん患者437人のうち、386人を対象に試験を行った。被験者の年齢は26~90歳で、中央値は66歳、また29%が黒人だった。その結果、診断後4ヵ月以内に手術を行ったのは、白人は66%(179/273人)だったのに対し、黒人は55%(62/113人)で、黒人で有意に低率だった(p=0.05)。がんについての医師とのコミュニケーションが悪いほど、切除術の実施率は下がり、コミュニケーション指標25ポイントで5ポイント下がることによる、切除術の実施に関するオッズ比は0.42(95%信頼区間:0.32~0.74)だった。黒人で二つ以上の共存症があると実施率は0.04倍に術後1年後の予後予測が悪いとの患者の認識も、切除術の実施率が低いことと関連(オッズ比:0.27、同:0.14~0.50、絶対リスク差:34%)していた。黒人の切除術実施率は、二つ以上の共存症があった場合13%で、そうでない場合の62%と比べ、大幅に低率だった(オッズ比:0.04、同:0.01~0.25、絶対リスク差:49%)。また、黒人で普段医療ケアを受けられない状態だった人は切除術実施率が42%と、通常医療ケアを受けられた人の57%に比べ、低率だった(オッズ比:0.20、同:0.10~0.43、絶対リスク差:15%)。研究グループは、手術拒否の決定要因として、コミュニケーションや予後に対する患者の認識、高齢であること、黒人であることが独立した因子であることが明らかになったとして、至適手術実施のためにも、これら因子を考慮する必要があると結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、肺がんリスクは大幅減少

血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、低濃度の人に比べ、肺がん発症リスクはおよそ半減するようだ。フランスInternational Agency for Research on CancerのMattias Johansson氏らが行ったケースコントロール試験で明らかになったもので、JAMA誌2010年6月16日号で発表した。これまで、ビタミンBのがん発症予防に関する研究は、主に葉酸塩値の大腸がん発症予防効果について行われ、ハイリスク集団についてその抑制効果を前向きに示すことはできなかったという。肺がん発症の約900人とコントロール群約1,800人を分析同研究グループは、1992~2000年にかけて、10ヵ国51万9,978人を対象に行った前向きコホート試験、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)のうち、血液採取データがある38万5,747人について追跡した。結果、2006年までに肺がんを発症した人は899人いた。そのコントロール群として、国や性別、誕生日、血液採取日をマッチングした1,770人を選び、両群の血中の4種のビタミンB(B2、B6、葉酸塩のB9、B12)とメチオニン、ホモシステイン濃度を調べ、肺がん発症率との関連を分析した。ビタミンB6濃度の最高四分位範囲の肺がん発症リスク、最低四分位範囲の0.44倍、メチオニンは同0.52倍喫煙の有無を補正した上で、血中ビタミンB6濃度が最も高い四分位範囲の最も低い同範囲に対する、肺がん発症に関するオッズ比は、0.44(95%信頼区間:0.33~0.60、傾向に関するp

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ただの貧血や血尿ではないかも?―命を脅かす超希少疾患、PNH

6月22日、東京のコンファレンススクエアにおいて、記者説明会「命を脅かす進行性の希少疾患 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」が開催された(主催:アレクシオン ファーマ)。大阪大学医学部血液・腫瘍内科の西村純一氏は、「PNH原因遺伝子の発見から治療薬『ソリリス(一般名:エクリズマブ)』の登場まで」と題して講演した。貧血やヘモグロビン尿で原因がはっきりせず、確定診断に至っていない場合は、PNHを鑑別診断に入れる必要がありそうだ。西村氏によれば、PNHは希少疾患であり、見過ごされがちであることから、ただの貧血や血尿として扱われている患者が多いとのことである。PNHは、造血幹細胞のPIG-A(Phosphatidyl Inositol Glycan class A)遺伝子に後天的変異が起こり、その幹細胞がクローン性に拡大する造血幹細胞疾患である(※)。正常赤血球においては自己補体による障害をブロックしているCD59やDAF(CD55)などの補体制御因子が、PNH細胞ではPIG-A遺伝子変異により欠損する。その結果、コントロール不能な終末補体複合体の形成が進み、補体による溶血が起こることで多様な症状を呈する。また、再生不良性貧血(AA)や骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄障害患者に多く認められている。生命を脅かし、QOLにも影響を及ぼすPNHには、溶血、血栓症、骨髄不全の3大徴候がある。西村氏は、中でも溶血が生命に関わる腎不全、肺高血圧症、血栓症を引き起こし、また重度の溶血で嚥下障害、疲労、勃起不全などのQOLに関わる症状を訴えることが多いため、PNHの治療方針においては溶血の抑制が重要であると語った。これまでのPNH治療としては、重篤な症例に対する造血幹細胞移植以外、輸血などの対症療法しか選択肢がなかった。PNH治療に光明しかし、PNHがPIG-A遺伝子変異から始まる一連の経路によって発症することが明らかとなったことで、治療薬のターゲットは終末補体複合体の形成阻害となった。補体カスケードの近位にはC3、終末にはC5が関与しており、より他の補体活性に影響の少ない抗C5ヒト化モノクローナル抗体のエクリズマブが開発された。エクリズマブの治療効果が見られるのは溶血症状を有する症例で、PNH患者の3分の1から半分を占める。骨髄不全で溶血がほとんどない場合はベネフィットが少ないが、中には有効な例もある。使い続けることによりQOLの維持や寿命延長も期待される。投薬中止がとりわけ危険ということではないので、スポット的な使用法も今後考えられるとのことである。わが国におけるPNHの患者数は現在400~500人と推定されているが、少なくともその2倍はいるだろうと西村氏は述べている。患者が中心施設に集中する海外とは対照的に、市中病院で1人や2人の患者を診るという状況であるため、医師たちに啓発活動を行い、本来エクリズマブで治療すべき患者を拾い上げていくことが必要であるとした。エクリズマブの有効性・安全性エクリズマブは国内第II相臨床試験(AEGIS試験)において、投与開始1週間でLDH値を有意に減少させ、平均低下率は87%と、主要評価項目である溶血抑制効果が示された。また、エクリズマブ投与前12週の平均輸血単位数が5.2単位であったのが、投与後12週では1.5単位へと有意な減少を示し、輸血を必要とした患者の67%が投与中に輸血不要となった。ヘモグロビン値は投与期間に比例して緩徐に上昇したが、それに関わらず疲労感は投与後2週目で有意なスコア改善が見られ、QOL向上につながると考えられた。他に、慢性腎臓病(CKD)の改善、血栓イベント数の低下が認められた。安全性について、有害事象による試験中止はなく、日本人患者においても忍容性が確認された。副作用の程度は、軽度/中等度が29例中26例、重度1例であり、主な副作用は頭痛、鼻咽頭炎、悪心などであった。なお、エクリズマブによって髄膜炎の発症リスクが上がるため、投与2週間前までに髄膜炎菌ワクチンを接種しなくてはならない。PNHの診断PNHの診断には、フローサイトメトリを用いて血球におけるCD59やCD55の発現低下を確認することが有用である。利用可能であれば、赤血球および顆粒球の定量的フローサイトメトリの実施が推奨される。そこでPNHクローンサイズが1%以上であれば、PNHを疑う必要がある。わが国において保険適応となっているのは、PNH診断時の赤血球CD59/CD55ダブル染色のみで、フォローアップには基本的に使えない。現在、診断網の確立を図っている段階とのことである。※PNH発症のメカニズム:PIG-A遺伝子変異の原因は現在明らかにされていない。また、PIG-A遺伝子変異だけではPNH発症に至らないため、2段階目としてのクローン性の増殖に関するメカニズムが解析の途上にある。仮説の一つとして、AA患者の半数以上はPNH細胞を持つ。AAでみられるような免疫機序による骨髄障害があるとき、PNH細胞は前述のCD59やCD55といったGPI(Glycosyl-Phosphatidyl Inositol)アンカー型蛋白が発現していないために自己免疫的な攻撃のターゲットにならない。すなわち増殖・生存に有利な状況となり、この環境下でさらに遺伝子変異が起こる確率が高まり、PNH細胞がより増殖可能となるという機序が考えられている。(ケアネット 板坂 倫子)

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ミドルエイジの女性にとって最もショックな老化症状は「老眼」

チバビジョン株式会社は23日、40~54歳の女性600人に実施した「エイジングケアに関する意識調査」の結果を発表した。同調査は、一般的に身体の変化(エイジングサイン)が現れやすいミドルエイジの女性のエイジングケアに対する意識を広く理解するために実施。調査結果からほとんどの人がいつまでも若々しくありたいと願っていて、エイジング対策をしている人には意識の差があることがわかった。また、様々な老化現象がある中で最もショックな症状は、「老眼」ということもわかったという。調査は、2009年10月にインターネットによるアンケートで行われ、対象は東京都・愛知県・大阪府在住の40~54歳の女性660名(CLユーザー、CLノンユーザー 各300名〔計600名〕、 遠近両用CLユーザー60名)。最もショックな老化現象を聞いたところ、「老眼があらわれたとき」と答えた女性が最も多く(36%)、「肌のしみ、しわ、くすみ」と、「白髪」を抜いてトップになっている。また、全体の約9割(88%)は老眼になるのは仕方のないことだと老眼を受け入れる気持ちをもつ半面、「老眼鏡をできれば使用したくない」と答えた女性が54%いた。その傾向は、エイジングケア意識の高い女性とコンタクトレンズ(以下、CL)ユーザーほど強く出ている。また、エイジングケア意識が高い人は「老眼」であることを周囲に気付かれたくないという意識が強く、遠近両用CLの使用意向も高い結果となったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.cibavision.jp/press_room/release_page.html?art_id=29

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急性肺損傷や急性呼吸不全症候群への高頻度振動換気法の有効性

急性肺損傷および急性呼吸不全症候群(ARDS)治療として高頻度振動換気法が従来の機械的人工換気法に代わって行われるようになってきているが、高頻度振動換気法が従来法に比べ死亡率を低下させるとのエビデンスは明らかになっていない。大規模試験は進行中だが試験完了にはまだ時間を要することから、カナダ・トロント大学のSachin Sud氏らは、過去に行われた8つの無作為化試験を対象とするメタ解析を行った。BMJ誌2010年6月12日号(オンライン版2010年5月18日号)掲載より。臨床転帰、生理学的転帰、安全性を比較検討Sud氏らは、急性肺損傷と急性呼吸不全症候群(ARDS)の治療について高頻度振動換気法と従来法との臨床的かつ生理学的効果を比較検討する、システマティック・レビューおよびメタ解析を行った。電子データソースを用い、2010年3月までの論文を検索し選定した。試験選択基準は、急性肺損傷あるいはARDSを有する成人または小児を対象に、高頻度振動換気法と従来の機械的人工換気法との比較が検討されていた無作為化試験とした。3人の研究者がそれぞれ個別に、あらかじめ定義されたプロトコルに従い、臨床転帰、生理学的転帰、安全性についてデータを抽出し、ランダム効果モデルを用いて解析を行った。また、選定した全試験研究者から、明確な試験方法を聞き取り、追加データを入手した。死亡率、治療の失敗、有害事象から高頻度振動換気法が優位と分析選定されたのは、8つの無作為化試験(n=419)。そのほとんど(86%)がARDS患者だった。方法論に質的問題はなかった。24時間、48時間、72時間時点での吸入酸素濃度に対する酸素分圧比(PaO2/FiO2)は、高頻度振動換気法を受けている患者の方が16~24%高かった。また同群の方が、平均気道内圧が22~33%まで上昇したが、酸素化指標に有意差は認められなかった(P≦0.01)。高頻度振動換気法群に無作為に割り付けられた患者では、死亡率が有意に低下し(リスク比:0.77、95%信頼区間:0.61~0.98、P=0.03、6試験、365例、死亡160例)、治療の失敗(難治性の低酸素血症、高炭酸血症、緊張低下、気圧性外傷)が治療中断によるものとの関連は低かった(同:0.67、0.46~0.99、P=0.04、5試験、337例、有害事象73例)。その他リスクは両群で同等だった。また、試験間の生理学的転帰にはかなりの不均一性が認められた(I2=21~95%)が、臨床転帰には認められなかった(I2=0%)。また臨床転帰の大半はイベントに基づくものではなかった。これらの結果から研究グループは、高頻度振動換気法は生存率を改善する可能性があり、かつ害悪ももたらさなさそうだと結論づけた。進行中の大規模多施設試験完了にはまだ数年を要する中、本解析データは現時点でARDS患者に対し同術式を用いている、あるいは適用を考えている臨床家に役立つものとなるとまとめている。

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新型インフル・パンデミックの機内伝播リスク、感染者席2列以内で3.5%

2009新型(A/H1N1)インフルエンザ・パンデミックに関して、WHOが非常事態を宣言したのは2009年4月25日だった。同日、ニュージーランドの開業医から、3週間のメキシコ旅行を終え米国ロサンジェルスから6時間前に帰国した高校生グループに、インフルエンザ様症状を認めたことが報告された。フライト中12人が症状を申告、後に9人が新型インフルだったことが特定された。旅客機内での感染伝播リスクは示唆されるが、機内でのインフルエンザ感染拡大が特定された例はこれまで3件しかなく、本件はそのうちの貴重な一つ。この事例を対象に、ニュージーランドのオタゴ大学公衆衛生学部門のMichael G Baker氏らは、旅客機内での感染伝播リスクと、着陸後の乗客に対するスクリーニングおよび追跡調査の効果について調査を行った。BMJ誌2010年6月12日号(オンライン版2010年5月21日号)掲載より。感染者がいた後部座席搭乗者の、到着後3.2日以内の罹患状況を追跡Baker氏らは、乗客に対し行われる健康調査票と、症状を呈した乗客への追跡検査の結果を利用し後ろ向きコホート研究を行った。対象としたのは、ニュージーランド、オークランドの国際空港に、2009年4月25日に到着したボーイング747-400機(定員379名)の後部座席搭乗者(定員128名)で、高校生グループ24人(学生22人、教師2人)と、周辺座席の搭乗者102人(うち74人はニュージーランド居住者、19人は外国人観光者、9人は乗継)のうちインタビュー調査に応じてくれた97人(95%)について検討された。主要評価項目は、到着後3.2日以内に新型インフル罹患が検査確認された搭乗者で、感染感度および特異度、またコンタクト追跡の完遂度およびタイムリーさについても調べられた。せき単独症状の感染感度92.3%と非常に高かった高校生グループでフライト中に症状を訴え、後に新型インフルと検査確定されたのは9人だった。その他の乗客のうち、到着後に新型インフルを発生した人は5人いたが、機内感染拡大例と検査確定されたのは12時間後に症状を発症した1人と、48時間後に症状を発症した1人の計2人だった。この2人は、フライト中以外の感染が考えられなかった。またこの2人の座席は、機内で罹患していたことが検査確定された乗客の座席から2列以内の範囲にあった。同範囲内の乗客は57人いて、感染リスクは3.5%(95%信頼区間:0.6~11.1%)と推計された。なお、後部座席全体での同リスクは1.9%(同:0.3~6.0%)と推計された。感染感度は、「せき」単独症状が非常に高く(症状を訴えなかったのは1例のみ)92.3%だった。その他の発熱、咽頭痛、鼻水などは30%台と低かった。また複数症状でのインフルエンザ様症状定義づけの感度は相対的に低く、米国版を用いた感度は38.5%、ニュージーランド版は米国版よりは高かったが61.5%だった。公衆衛生従事者による追跡精密検査が行われたのは93%だった。到着後72時間以内でコンタクトが取れたのは、52%にすぎなかった。以上からBaker氏は、「現代の商業飛行には、低いながらも確実に新型インフルエンザ・パンデミックの伝播リスクが、感染者の近くに集中し存在する。また曝露搭乗者の追跡調査、スクリーニングは、彼らがいったん空港を立ち去ってしまうと緩徐で困難であることが明らかになった」とまとめている。

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リコピンが腎臓のフリーラジカルの消去を早めることを確認

カゴメ株式会社は21日、国際医療福祉大学薬学部(栃木県大田原市)横山秀克准教授との共同研究で、動物試験において、リコピンの摂取が腎臓中のフリーラジカルの消去を早めることを明らかにしたと発表した。同研究では、リコピンの摂取が腎臓のフリーラジカルの消去に与える影響を明らかにする目的で、リコピンを含む飼料もしくはリコピンを含まない飼料を摂取させたラットの腎臓中のフリーラジカルをESR装置により直接分析した。その結果、リコピンの摂取は、腎臓のフリーラジカルをより素早く消去するため、フリーラジカルが原因である腎障害の予防に有効であることが期待できるという。 なお、同研究内容は第63回日本酸化ストレス学会(6月24日~25日、神奈川県県民ホール)にて発表されるとのこと。 詳細はプレスリリースへhttp://www.kagome.co.jp/news/2010/100621.html

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「アフィニトール」がVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤無効の進行性腎細胞がんの無増悪生存期間を延長する 米Cancer誌に掲載

ノバルティス ファーマ株式会社は21日、米国のがん専門誌「Cancer」の誌上掲載に先立ち、6月14日にEarly Viewとして「Cancer」誌のオンライン上で発表されたRECORD-1第III相試験データの最終解析結果において、血管内皮成長因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療中あるいは治療後に病勢が進行した進行性腎細胞がん(renal cell carcinoma: RCC)の患者に対する「アフィニトール」(一般名:エベロリムス)のベネフィットが確認されたと発表した。本試験の最終的な無増悪生存期間(PFS)に関する解析、および全生存期間(OS)結果を推測する探索的解析が、専門家が検証する学術誌で掲載されたのは、今回が初めてとのこと。今回新たに発表された第III相RECORD-1(REnal Cell cancer treatment with Oral RAD001 given Daily)試験データは、アフィニトールが、プラセボと比較してVEGFr-TKIによる前治療後に疾患が進行した進行性腎細胞がんの患者のPFS中央値を2倍以上延長(4.9ヵ月に対し1.9ヵ月)したことを示す以前の分析を裏付けるものだった。さらに、主要評価項目であるPFSにおいて、アフィニトールが、疾患の進行あるいは死亡のリスクを67%減少させた(ハザード比 = 0.33、95%信頼区間[CI]、0.25~0.43、p<0.001)ことも示されたという。アフィニトールは、日本では根治切除不能または転移性腎細胞がん治療薬として2010年1月に承認、4月に発売されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2010/pr20100621.html

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一般用医薬品の国内市場は今どうなっている?

富士経済は22日、改正薬事法により変動する国内の一般用医薬品の主要薬効73分野の調査を2010年1月から4月にかけて実施し、分析の結果をまとめたものを発表した。今回は、同社がまとめた報告書「一般用医薬品データブック 2010 No.2」「一般用医薬品データブック 2010 No.3」からの紹介。調査対象は、感冒関連用薬、循環器・血液用薬、泌尿器官用薬、歯科口腔用薬、ドリンク剤、ビタミン剤、その他精神神経用薬、それに漢方薬などの10分野50品目。市場を明らかにすると共に13年に向けて市場を予測した。改正薬事法(2009年6月施行)は、一般用医薬品を副作用リスクの高い順から第1類、第2類、第3類に分け、第1類は薬剤師に取り扱いを限定し、第2類は薬剤師の他に新たに登録販売者の取り扱いも可能としている。第3類は、通信販売も可能となる。ただし、通信販売の取り扱いが第3類に限定されることに対して日本オンラインドラッグ協会や全国伝統薬連絡協議会が反対の姿勢を表明しており、紆余曲折が予想される。また、第1類の取り扱いについてさまざまな課題が明らかになりつつある。2009年は、新型インフルエンザの流行で医療機関受診の傾向が強まり、市場規模の大きい総合感冒薬は562億円と前年から6.6%も落ち込み、感染予防意識の高まりから含嗽剤特需(96億円前年比33%増)が生じた。また、ドリンク剤とミニドリンク剤(一般用医薬品と医薬部外品を合わせた市場)は、2009年はミニドリンク剤が女性用や新コンセプト製品の投入で増加(621億円、前年比1.1%増)したが、冷夏でドリンク剤が低迷(1,039億円前年比3.9%減)して、前年同様、全体では減少という結果になった。改正薬事法は、第1類の取扱店減少や取扱い時間の縮小の影響から大幅に実績が減少する薬効品目も見られた。特に、販売実績が大きかった制酸薬、禁煙補助剤市場では09年は前年比で10%以上の大幅な減少となった。また市場は小規模であるが、新薬効製品として認知途上のしみ治療薬、口唇ヘルペス治療薬、エネルギー代謝改善薬などは、改正薬事法で第1類に分類され売り場の露出が低下して市場は減少した。市場全体では第2類の薬効品目が多いため、2009年の減少は季節要因による需要減退が大きかった。10年1月にはロキソプロフェンナトリウム水和物、エピナスチン塩酸塩、トロキシピドを有効成分とする第1類医薬品が承認されるなど、一般用医薬品市場の停滞状況を打破するために、スイッチOTCを積極的に展開し新規薬効領域開拓や顧客獲得を目指す動きが活発化している。詳細はプレスリリースへhttps://www.fuji-keizai.co.jp/market/10055.html

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ほんとうに、eGFR、蛋白尿はCKDの指標なのか?

一般住民を対象とした試験のメタ解析により、推定糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m2および尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)≧1.1mg/mmolは死亡リスクの独立の予測因子であり、慢性腎臓病(CKD)の定義やstagingの定量的なデータとして使用可能なことが明らかとなった。Johns Hopkins Bloomberg公衆衛生大学院のJosef Coresh氏ら「Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium」の研究グループがLancet誌2010年6月12日号(オンライン版2010年5月18日号)で報告した。アジアや欧米などでは成人の10~16%がCKDとされ、高血圧や糖尿病などにCKDが加わると全死亡や心血管死、腎不全の進行のリスクが増大する。しかし、CKDの定義やstageの決定にeGFRおよびアルブミン尿を使用することには大きな議論があるという。一般住民におけるeGFR、アルブミン尿と死亡率の関連を評価研究グループは、eGFR、アルブミン尿と死亡率の関連の評価を目的に、一般住民を対象とした臨床試験のメタ解析を行った。1,000例以上を対象としベースラインにおけるeGFR、尿中アルブミン濃度の情報を含む試験を選択し、全死亡および心血管死に関する標準化されたデータを抽出してプールした。Cox比例ハザードモデルを用いて、関連する交絡因子で補正したeGFR、アルブミン尿と全死亡、心血管死のハザード比(HR)を推算した。eGFRとACRが悪化すると死亡リスクが倍数的に増大解析の対象は、ACRの測定値を含む14試験に参加した10万5,872人(73万577人・年)および尿蛋白の試験紙検査値を含む7試験に参加した112万8,310人(473万2,110人・年)であった。ACR測定値を含む試験では、eGFRが75~105mL/分/1.73m2の範囲にあることや、eGFRが低値から上昇することと、死亡リスクとの間には関連は認めなかった。eGFR 95 mL/分/1.73m2との比較における、eGFR 60mL/分/1.73m2の場合の全死亡の補正HRは1.18(95%信頼区間:1.05~1.32)で、45mL/分/1.73m2の全死亡の補正HRは1.57(同:1.39~1.78)、15mL/分/1.73m2の全死亡の補正HRは3.14(2.39~4.13)であり、eGFRが60mL/分/1.73m2以下では値が低下するほど死亡リスクが増大した。ACR 0.6mg/mmolとの比較では、ACR 1.1mg/mmolの場合の全死亡の補正HRは1.20(95%信頼区間:1.15~1.26)で、3.4mg/mmolの全死亡の補正HRは1.63(同:1.50~1.77)、33.9mg/mmolの全死亡の補正HRは2.22(同:1.97~2.51)であり、ACRが1.1mg/mmol以上になると値が上昇するほど死亡リスクが上昇した。eGFRとACRには相互作用のエビデンスはないものの、双方が悪化すると死亡リスクが倍数的に増大した。同様の知見が、心血管死に関する解析でも確認され、蛋白尿試験紙検査を行った試験でも求められた。著者は、「eGFR<60mL/分/1.73m2およびACR≧1.1mg/mmolは一般住民における死亡リスクの独立の予測因子である」と結論し、「本試験は腎機能のリスク評価およびCKDの定義、stagingにおいて定量的なデータをもたらす」としている。(菅野守:医学ライター)

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高頻度振動換気法は、早産児の予後を改善するか?

早産児に対する人工換気法として高頻度振動換気法(HFOV)を選択的に施行しても、気管支肺異形成症のリスクの抑制効果は従来の人工換気法と同等であることが、ベルギーVrije Universiteit Brussel NICU科のFilip Cools氏らPreVILIG collaborationによるメタ解析で示された。新生児ケアの進歩にもかかわらず、早産児では気管支肺異形成症のリスクが依然として高く、長期的には神経発達の遅滞や肺障害が起きる。動物実験では、HFOVは換気法関連の肺疾患が少ない有望な人工換気法であることが示されており、呼吸窮迫症候群を呈する早産児の死亡/気管支肺異形成症のリスクを低減する可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年6月12日号(オンライン版2010年6月1日号)掲載の報告。10試験に登録された3,229例の個々の患者データを解析PreVILIG collaborationの研究グループは、早産児における選択的HFOVと従来の人工換気法の効果を比較する系統的なレビューとメタ解析を行った。解析の対象は、主要評価項目を妊娠週数36週における早産児の死亡/気管支肺異形成症、あるいは死亡/重症神経障害などとする試験とした。10の無作為化対照比較試験が抽出され、これらの試験に登録された3,229例の個々の患者データについて解析を行った。従来法に比べ、相対リスクに有意差なしHFOVを受けた早産児の妊娠週数36週における死亡/気管支肺異形成症の相対リスクは0.95(95%信頼区間:0.88~1.03)、死亡/重篤な神経障害の相対リスクは1.00(同:0.88~1.13)、これらのいずれかが発症する相対リスクは0.98(同:0.91~1.05)であり、いずれも有意な差は認めなかった。HFOVにより多少なりともベネフィットが得られた早産児のサブグループ(在胎週数、出生児体重、肺疾患の重症度、出生前の副腎皮質ステロイド曝露など)はなかった。換気法のタイプや戦略によって全体の治療効果が変化することはなかった。著者は、「HFOVは早産児に対し従来の換気法と同等の効果しかもたらさない」と結論し、「在胎週数、出生児体重、肺疾患の重症度などに基づいて選択的にHFOVを施行する治療戦略は支持されない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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心筋梗塞発症率、2000年以降有意に低下

大規模住民ベースを対象とした研究で、2000年以降、心筋梗塞の発症率が有意に低下していることが明らかにされた。ハーバード・メディカル・スクール、マサチューセッツ総合病院循環器部門のRobert W. Yeh氏らによるもので、NEJM誌2010年6月10日号で発表されている。近年の心筋梗塞発症率および転帰の傾向について、住民ベースの研究はほとんどなかったという。1999~2008年、1,869万超人・年の心筋梗塞発症率と転帰を調査Yeh氏らは、心筋梗塞の最近の傾向を明らかにするため、加入者300万人以上のHMO(健康維持機構)Kaiser Permanente Northern California加入者を研究対象とした。1999~2008年に心筋梗塞(ICD-9-CM規定)を発症し入院した30歳以上を同定し、年齢、性別で補正後、全心筋梗塞発症率と、ST上昇型・非ST上昇型別の心筋梗塞発症率を算出し検証した。患者特性、外来薬物療法、入院中の心臓バイオマーカー値は、保健計画データベースを用い、30日死亡率は州および米国社会保障局(SSA)の死亡データベースで確認された。1999~2008年の追跡期間中、1,869万1,131人・年のうち、心筋梗塞で入院した人は4万6,086例だった。ST上昇型心筋梗塞の発症率低下が顕著年齢・性補正後の心筋梗塞発症率は、1999年(274例/10万人・年)から2000年(287例/10万人・年)にかけては増加していた。しかし、その後は年々減少し、2008年までに24%の相対的減少を示した。2008年の発症率は、208例/10万人・年だった。同補正後のST上昇型心筋梗塞の発症率は、試験期間中低下し続けていた。1999年は133例/10万人・年だったが、2008年は50例/10万人・年だった(線形P

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