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2型糖尿病に対する早期強化療法により心血管イベントがわずかに低下傾向に:ADDITION-Europe試験

2型糖尿病に対する早期の多元的な強化療法によって、5年後の心血管イベントや死亡が有意ではないがわずかに減少することが、イギリス・代謝科学研究所のSimon J Griffin氏らが行ったADDITION-Europe試験で示され、Lancet誌2011年7月9日号(オンライン版2011年6月25日号)で報告された。2型糖尿病では、複数の心血管リスク因子に対する多元的な強化療法によって死亡率が半減する可能性が指摘されているが、血圧、脂質、血糖などの個々のリスク因子の治療を診断直後から開始した場合の有効性は不明だという。3ヵ国の343プライマリ・ケア施設が参加したクラスター無作為化試験ADDITION-Europe(Anglo-Danish-Dutch Study of Intensive Treatment In People with Screen Detected Diabetes in Primary Care)試験は、2型糖尿病に対する診断後早期の多元的治療が心血管リスクに及ぼす効果を検討する並行群間クラスター無作為化試験である。2001年4月~2006年12月までに、デンマーク、オランダ、イギリスの343のプライマリ・ケア施設が、ルーチンの糖尿病治療を行う群あるいは早期に多元的強化療法を施行する群に無作為に割り付けられた。患者は、スクリーニング検査で2型糖尿病と診断された40~69歳(オランダのみ50~69歳)の地域住民であった。多元的強化療法群は、既存の糖尿病治療に加え、プライマリ・ケア医や看護師による教育プログラム(治療ターゲット、アルゴリズム、ライフスタイルに関する助言など)への参加をうながし、Steno-2試験などで使用された段階的レジメンに基づくガイドラインに準拠した薬物療法や、健康なライフスタイル実践の指導が行われた。全施設で同じアプローチが使用されたが、薬剤の選択などの最終決定は担当医と患者が行った。ルーチン治療群ではプライマリ・ケア医が患者に検査結果を伝え、標準的な糖尿病治療が施行された。主要評価項目は、初発心血管イベント(5年以内の心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、血行再建術、非外傷性四肢切断)の複合エンドポイントとした。心血管リスク因子がわずかに有意に改善、心血管イベントは有意差はないがわずかに低下ルーチン治療群に176施設(1,379例、診断時平均年齢60.2歳、男性57.3%)が、多元的強化療法群には167施設(1,678例、60.3歳、58.5%)が割り付けられ、主要評価項目の解析は3,055例(99.9%)で可能であった。全体の平均フォローアップ期間は5.3年(SD 1.6)。心血管リスク因子[HbA1c、総コレステロール、LDLコレステロール、収縮期血圧、拡張期血圧]は、強化療法群でわずかではあるが有意に改善された。初発心血管イベントの発生率は、ルーチン治療群が8.5%(15.9/1,000人・年)、強化療法群は7.2%(13.5/1,000人・年)であり(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.65~1.05、p=0.12)、評価項目の個々のコンポーネントも強化療法群で良好な傾向がみられたが、有意差は認めなかった(心血管死:1.6% vs. 1.5%、非致死的心筋梗塞:2.3% vs. 1.7%、非致死的脳卒中:1.4% vs. 1.3%、血行再建術:3.2% vs. 2.6%、非外傷性四肢切断:0% vs. 0%)。全体の死亡率はルーチン治療群が6.7%、強化療法群は6.2%であった(ハザード比:0.91、95%信頼区間:0.69~1.21)。著者は、「2型糖尿病に対する早期の多元的強化療法によって、5年後の心血管イベントや死亡がわずかに減少したが有意差はなかった」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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イソニアジドの結核一次予防的投与、未発症、未感染を改善せず:南アフリカHIV曝露児対象試験

結核治療薬イソニアジド(商品名:イスコチンなど)の乳児への一次予防的投与について、南アフリカで行われた試験の結果、結核の未発症や未感染を改善しなかったことが報告された。試験対象児は、結核感染リスクの高いHIV感染児あるいは周産期にHIVに曝露された乳児で、いずれも生後30日までにBCGワクチンは摂取されていた。サハラ以南では結核が蔓延しており、特にHIV感染成人が多い地域での感染率の高さが問題となっており、イソニアジドによる結核予防戦略が提唱されているという。南アフリカ共和国・ヴィトヴァーテルスラント大学のShabir A. Madhi氏らは、イソニアジドは感染者からの感染が明らかな患児での治療効果は示されているが、サハラ以南のような結核感染リスクが高い環境下にいる乳児を対象とした試験は行われていないとして、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。NEJM誌2011年7月7日号掲載報告より。イソニアジド群、プラセボ群に無作為化し96週投与、その後108週までの転帰を比較試験は、南アフリカ共和国3施設とボツワナ共和国1施設から、生後91~120日で、30日までにBCGワクチン接種を受けていた、HIV感染児548例とHIV非感染児804例を登録して行われた。被験児は無作為に、イソニアジド群(10~20mg/kg体重/日)か同用量のプラセボ群に割り付けられ、96週間投与を受けた。その後108週までの間の、HIV感染児については結核発症と死亡について、HIV非感染児については潜在性結核感染症、結核発症、死亡を主要転帰として検討された。なお、HIV感染児には試験中、抗レトロウイルス治療が行われた(98.9%に実行)。HIV感染児にとって結核は、抗レトロウイルス治療環境が整っても負荷が大きい疾病結果、HIV感染児群、HIV非感染児群ともに主要転帰についてイソニアジド群とプラセボ群とで有意差は認められず、HIV感染児群での結核発症と死亡の発生は、イソニアジド群52例(19.0%)、プラセボ群53例(19.3%)だった(P=0.93)。この結果は、抗レトロウイルス治療開始時期、結核の母子感染歴で補正後も同様であった(P=0.85)。HIV非感染児群では、潜在性結核感染症・結核発症・死亡の複合発生率が、イソニアジド群(39例、10%)と、プラセボ群(45例、11%)で有意差がなかった(P=0.44)。結核罹患率は、HIV感染児群は121例/1,000児・年(95%信頼区間:95~153)、一方HIV非感染児群では41例/1,000児・年(95%信頼区間:31~52)であった。安全性に関して、グレード3以上の臨床毒性あるいはラボ毒性は、イソニアジド群とプラセボ群とで有意差は認められなかった。Madhi氏は、「イソニアジドの一次予防としての投与が、BCGワクチンを受けたHIV感染児の結核未発病生存を、また同HIV非感染児の結核非感染生存を改善しなかった。HIV感染児にとって結核の疾病負荷は、抗レトロウイルス治療を受けられる環境が整っても高いままだった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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急性心不全へのnesiritideの有効性と安全性

急性心不全へのnesiritideについて、死亡や再入院の増減との関連は認められなかったが、標準治療への上乗せ効果についても呼吸困難への効果は小さく有意差は認められないことが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ASCEND-HF」の結果、報告された。米国・デューク大学メディカルセンターのC.M. O’Connor氏らがNEJM誌2011年7月7日号で発表した。組み換え型B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)製剤nesiritideは、急性心不全患者の呼吸困難を早期に緩和する治療薬として2001年に米国で承認されたが、その後の小規模無作為化試験データのプール解析で、プラセボとの比較で腎機能悪化が1.5倍、早期死亡が1.8倍に上ることが示され、独立委員会からnesiritideの有効性と安全性に関する大規模臨床試験の実施が勧告されていた。6時間時点と24時間時点の呼吸困難の変化の2つを主要エンドポイントにASCEND-HF(Acute Study of Clinical Effectiveness of Nesiritide in decompensated Heart Failure)試験は2007年5月~2010年8月にかけて、欧米、環太平洋アジアの398施設から急性心不全で入院した7,141例が登録され、標準治療(利尿薬、モルヒネ、他の血管拡張薬など)に加えてnesiritideあるいはプラセボを投与される群に無作為化され追跡された。nesiritideは、治験参加医師の裁量で任意の2μg/kgの静脈内ボーラス投与後、0.010μg/kg/分の持続点滴を24時間以上、最長7日間(168時間)投与された。主要エンドポイントは2つで、6時間時点と24時間時点の呼吸困難の変化であり、患者自身による7段階のリッカート尺度評価を用いて測定評価した。また、30日以内の心不全による再入院と全死因死亡を複合エンドポイントとし、安全性のエンドポイントについては、30日以内の全死因死亡、腎透析を要した腎機能悪化(推定糸球体濾過量低下が>25%)などが含まれた。無作為化後に治療を受けたintention-to-treat解析対象は7,007例(98%、nesiritide群:3,496例、プラセボ群:3,511例)だった。幅広く急性心不全患者へルーチン使用することは推奨できないと結論結果、呼吸困難の改善について「著しく」と「中程度に」を合わせた報告が、6時間時点でnesiritide群44.5% vs. プラセボ群42.1%(P=0.03)、24時間時点では同68.2% vs. 66.1%(P=0.007)と、いずれの時点でも、nesiritide群での報告が多かったが事前規定の有意差(両評価がP≦0.005かどちらかのP≦0.0025)には達していなかった。30日以内の心不全による再入院と全死因死亡は、nesiritide群9.4%、プラセボ群10.1%で、nesiritide群の絶対差は-0.7ポイント(95%信頼区間:-2.1~0.7、P=0.31)だった。また、30日時点の死亡率(nesiritide群:3.6% vs. プラセボ群:4.0%、絶対差:-0.4、95%信頼区間:-1.3~0.5)、腎機能悪化率(同31.4% vs. 29.5%、オッズ比:1.09、95%信頼区間:0.98~1.21、P=0.11)は有意差が認められなかった。しかし、低血圧症(中央値80mmHg)について、nesiritide群での有意な増大が認められた(26.6%対15.3%、P<0.001)。Connor氏は、「nesiritideの他療法と組み合わせての使用は、死亡率、再入院の増減とは関連しないが、呼吸困難に対する効果は小さく、有意な効果は認められなかった。また、腎機能悪化との関連も認められなかったが、低血圧症の増加との関連が認められた」と結論。結果を踏まえて「nesiritideを、急性心不全の患者に幅広くルーチン使用することは推奨できない」と提言している。(武藤まき:医療ライター)

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米国農村部の拠点病院、医療設備劣り、心筋梗塞やうっ血性心不全などの死亡リスク増大

米国農村部の病院は、それ以外の病院に比べ医療設備が劣り、急性心筋梗塞やうっ血性心不全などの死亡率も高いことが明らかにされた。米国・ハーバード大学公衆衛生校のKaren E. Joynt氏らが、全米約4,700の病院について調査した結果による。農村部の病院は、その地域の医療を担う、クリティカル・アクセス・ホスピタル(CAH)として重要視されているものの、その医療の質や患者のアウトカムについては、あまり知られていないという。JAMA誌2011年7月6日号掲載報告より。農村部病院、ICU設置は30%、電子カルテ整備は6.5%研究グループは、米国4,738の病院について調査を行った。高齢者向け公的医療保険メディケア出来高払いプランの加入者で、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、肺炎の診断を受け2008~2009年に退院した人について、後ろ向きに、その治療過程やアウトカムを追跡した。主要アウトカムは、病院の集中治療室(ICU)など設備の有無、医療ケアの過程の質、30日死亡率などだった。その結果、ICUを設置していたのは、非CAHでは3,470病院中2581病院(74.4%)だったのに対し、CAHでは1,268病院中380病院(30.0%)と、有意に低率だった(p<0.001)。心臓カテーテル実施設備を備えていたのは、非CAHでは1,654病院(47.7%)だったのに対しCAHでは6病院(0.5%)、基本的な電子カルテを整備していたのは、それぞれ445病院(13.9%)と80病院(6.5%)で、いずれもCAHのほうが非CAHよりも低率だった(いずれもp<0.001)。農村部病院の30日死亡リスク、急性心筋梗塞は1.7倍、うっ血性心不全は1.28倍急性心筋梗塞(CAH:1万703人、非CAH:46万9,695人)、うっ血性心不全(CAH:5万2,927人、非CAH:95万8,790人)、肺炎(CAH:8万6,359人、非CAH:77万3,227人)について、米国の病院の質に関する提携プログラム(Hospital Quality Alliance:HQA)の治療過程に関する指標との一致率を比較したところ、急性心筋梗塞についてはCAHが97.8%に対し非CAHが91.0%、うっ血性心不全はそれぞれ93.5%と80.6%、肺炎は93.7%と89.3%で、いずれもCAH群のパフォーマンスが有意に低率だった(いずれもp<0.001)。また30日死亡率について、急性心筋梗塞では非CAHが16.2%に対しCAHが23.5%(補正後オッズ比:1.70)、うっ血性心不全はそれぞれ10.9%と13.4%(同:1.28)、肺炎は12.1%と14.1%(同:1.20)と、いずれもCAH群で有意に高率だった(いずれもp

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非喫煙、1日30分以上の運動など、健康的な生活習慣が多い女性ほど心臓突然死リスク低下

女性における非喫煙、1日30分以上の運動、BMI<25といった健康的な生活習慣について、実行項目が多い人ほど心臓突然死リスクが低下することが、大規模前向きコホート試験の結果、示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院不整脈予防センターのStephanie E. Chiuve氏らが、8万人超の女性看護師を対象とするNurses’ Health Studyのデータを分析し明らかにしたもので、JAMA誌2011年7月6日号で発表した。非喫煙、BMI、運動、地中海式ダイエット、いずれも心臓突然死の独立リスク低減因子研究グループは、Nurses’ Health Studyの被験者に対し、1984年6月から生活習慣に関する調査を行い、2010年6月までの26年間追跡し、心臓突然死リスクとの関連を調べた。健康的な低リスク生活習慣の定義は、非喫煙、BMI<25、1日30分以上の運動、地中海式ダイエット(野菜、果物、ナッツ、豆、全粒穀物、魚、適度なアルコール)スコア上位40%の4点とし、十分な回答が得られた8万1,722人について、結果を分析した。被験者の試験開始時点の平均年齢は50~51歳だった。結果、追跡期間中の心臓突然死は321人で、発症時の平均年齢は72(標準偏差:8)歳だった。また定義した低リスク生活習慣の4点いずれもが、心臓突然死の独立リスク低減因子であることが認められた。心臓突然死リスク、低リスク生活習慣実行1点で0.54倍に、4点では0.08倍に低リスク生活習慣にまったく該当しない人の心臓突然死の絶対リスクは22人/10万人・年、同習慣1点の人は17人/10万人・年、同習慣2点では18人/10万人・年、同習慣3点では13人10万人・年、同習慣4点すべてを行う人は16人/10万人・年だった。低リスク生活習慣にまったく該当しない人に対する、同習慣を1点行う人の、心臓突然死発症に関する多変量相対リスクは0.54(95%信頼区間:0.34~0.86)とおよそ半分近くに減少し、また、同習慣2点の人では0.41(同:0.25~0.65)、同習慣3点では0.33(同:0.20~0.54)と準じ低下し、同習慣4点の人では0.08(同:0.03~0.23)と大幅に低下が認められた。低リスク生活習慣の死亡に対する寄与を試算した結果、被験者全員が4点すべてを行っていた場合は心臓突然死の81%が予防可能だったと試算され、冠動脈心疾患が未診断の人では79%が予防可能と試算された。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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持続型赤血球造血刺激因子製剤エポエチン ベータ ペゴル(商品名:ミルセラ)

 エポエチン ベータ(遺伝子組換え)(商品名:エポジン)に1分子の直鎖メトキシポリエチレングリコール(PEG)を結合させた、長時間持続型の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)である「エポエチン ベータ ペゴル(遺伝子組換え)」(商品名:ミルセラ)が、2011年4月「腎性貧血」を適応として承認された。赤血球造血刺激因子製剤(ESA)治療の課題 腎性貧血は、腎機能障害によるエリスロポエチン産生能低下による貧血である。わが国ではその治療にESAが使用されるようになってから既に20年を越え、透析患者のみならず透析治療導入前の保存期慢性腎不全患者においても、ESAは腎性貧血治療薬として広く普及している。現在、透析患者約30万人のうち、約8割がESAによる貧血治療を受けていると考えられている。 従来のESAは血中半減期が短く、頻繁に投与する必要がある。透析患者では、通常、週3回透析がありESAもその際に投与できるため、通院回数が増えることはないが、保存期や腹膜透析の場合、通常、月に1回もしくは2ヵ月に1回の通院となるため、その間隔では従来のESAでは十分な効果が得られない。十分な効果を得るには、ESA投与だけのための通院が必要となることから、通院頻度が月1回という患者でも治療可能な、血中半減期の長いESAが求められていた。4週間に1回の投与で目標ヘモグロビン濃度を達成 今回承認されたエポエチンベータペゴルは長時間持続型のESAであり、既存のESAより長い血中半減期を有する。そのため、維持用量として、皮下または静脈内投与のいずれにおいても4週間に1回という少ない投与頻度で、確実かつ安定した効果が得られる。また本剤の投与により、腎性貧血治療のガイドライン1)の目標ヘモグロビン値を達成することが確認されている。これらの特徴から、通院が月1回という保存期や腹膜透析の患者に、とくにニーズが高いと予想される。 なお、皮下投与だけではなく静脈内投与においても、4週間に1回の投与が可能であることも特徴の1つである。 安全性については、既存のESAと異なる副作用は確認されていない。なお、本剤は2007年欧州での承認以降、すでに100ヵ国以上で発売されている。透析患者におけるリスク低減 一方、透析患者にとっては、通院の負担という面では従来のESAでも問題はないものの、注射という医療行為によるリスクの低減につながる。きわめて稀とはいえ、薬剤や用量の取り違えや感染のリスクはゼロではなく、できる限りリスクを軽減することが求められるが、従来のESAから本剤に変更することで、月に13回の注射が1回に減り、リスクは13分の1となる。 さらに、医療従事者における業務負担の軽減、薬剤の保管スペースの削減など、本剤のメリットは大きいと言えよう。個々の患者に適したESA治療が可能に ミルセラの登場により、患者の状態に合わせた腎性貧血治療の選択肢が増えると考えられる。今後は、保存期や透析期の病期の違い、貧血の程度や患者の状態により、それぞれの特徴を考慮し、個々の患者に合った適切なESA治療が可能になると考えられる。

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足痛を有する高齢者への多面的足治療が転倒リスクを低減

 足痛のある高齢者に対する足装具、靴の助言、自宅での足運動プログラム、転倒予防教育用の小冊子などから成る介入が転倒率を有意に低下させることが、オーストラリアLa Trobe大学のMartin J Spink氏らの検討で示された。高齢者の転倒は重大な公衆衛生学的な問題であり、毎年65歳以上の3人に1人が転倒を経験しているという。高齢者の転倒の原因として、視力障害、筋力低下、反応時間の遅延などが挙げられるが、最近、プライマリ・ケアでの診療機会も多い足の障害との関連が確認されている。足の障害に加え、不適切な履き物も身体バランスや歩行を損ない、転倒のリスクを増大させるという。BMJ誌2011年7月2日号(オンライン版2011年6月16日号)掲載の報告。多面的な足治療の転倒予防効果を評価 研究グループは、日常動作に支障を生じる足痛のある高齢者の転倒予防における多面的な足治療の有効性を検討するために、並行群間無作為化対照比較試験を実施した。 2008年7月~2009年9月までに、足痛があり転倒リスクが増大している高齢者305人[平均年齢73.9歳(SD 5.9)、女性211人、男性94人]が登録され、多面的足治療を受ける群(153人、介入群)あるいは通常の足治療を受ける群(152人、対照群)に無作為化に割り付けられた。 介入群には、足装具、靴の助言、靴の補助金、自宅での足運動プログラム、転倒予防教育用の小冊子、通常の足治療を行い、対照群には通常の足治療のみを施行した。治療期間は両群とも12ヵ月であった。 ベースラインから12ヵ月後までの転倒者率、複数回転倒者率(2回以上転倒した者の割合)、転倒率(転倒の発生率)、転倒によるけがの発生率を算出した。介入群で転倒率が36%有意に低下 試験期間中に264件(介入群103件、対照群161件)の転倒が発生した。12ヵ月の治療を完遂したのは296人で、介入群が147人(96%)、対照群は149人(98%)であった。介入のアドヒアランスは良好で、週3回の運動を75%以上実行した者は52%、装具をほぼ常時装着していたと報告した者は55%に達した。 12ヵ月後までの転倒率は、介入群が対照群よりも36%有意に低下した(発生率比:0.64、95%信頼区間:0.45~0.91、p=0.01)。転倒者率(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.66~1.08、p=0.19)および複数回転倒者率(同:0.63、0.38~1.04、p=0.07)は両群間に差を認めなかった。 骨折が介入群で1人、対照群では7人に発生した(相対リスク:95%信頼区間:0.02~1.15、p=0.07)。介入群では、対照群に比べ足関節の強度(足関節外反)、可動域(足関節背屈および内反/外反)、身体バランス(素足時の床上での身体動揺および靴を履いた状態での最大バランス範囲)が有意に改善された。 著者は、「多面的足治療による介入は、足痛のある高齢者の転倒率を有意に低下させた」と結論し、「介入の個々のコンポーネントは安価で施行法も相対的に簡便であり、ルーチンの足診療や集学的な転倒予防クリニックへの導入の可能性が示唆される」と指摘している。

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QFractureScoresの高い骨折リスク予測能を確認

イギリスで開発された骨折リスクの予測スコア法であるQFractureScores(http://www.qfracture.org/)は、骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の10年リスクを予測するツールとして有用なことが、イギリス・オックスフォード大学のGary S Collins氏らが行った外的妥当性の検証試験で確認された。国際的ガイドラインは、骨折リスクが高く、介入によってベネフィットがもたらされる可能性がある患者を同定するために、10年絶対リスクに基づいて高リスク例を絞り込むアプローチを提唱している。QFractureScoresは、イギリスの大規模な患者コホートの解析に基づいて開発された骨折リスクの予測モデルであり、内的妥当性の検証結果は2009年に報告されている。BMJ誌2011年7月2日号(オンライン版2011年6月22日号)掲載の報告。外的妥当性を検証する前向きコホート試験研究グループは、QFractureScoresの骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の予測能を評価するために、その外的妥当性を検証するプロスペクティブなコホート試験を行った。1994年6月27日~2008年6月30日までに、イギリスの364のプライマリ・ケア施設からThe Health Improvement Network(THIN)のデータベースに登録された224万4,636人(30~85歳、1,278万4,326人年)のうち、2万5,208人が骨粗鬆症性骨折(大腿骨近位部、橈骨遠位部、椎骨)を、1万2,188人が大腿骨近位部骨折を発症した。良好な予測能を示すデータが得られたQFractureScoresの独立した外的妥当性の検証結果は、この予測モデルの骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折に関する良好な予測能を示した。すなわち、大腿骨近位部骨折のリスクスコアの受信者動作特性(ROC)曲線下面積は女性が0.89、男性は0.86であった。また、骨粗鬆症性骨折のリスクスコアのROC曲線下面積は女性0.82、男性0.74であった。QFractureScoresのモデル・キャリブレーションも良好で、男女とも、骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の10段階のリスクのすべてで予測リスクと実際のリスクがほぼ一致しており、判別可能な過大予測や過小予測は認めなかった。同様に、年齢層別の骨折リスクも全年齢層で予測リスクと実際のリスクがほぼ一致した。著者は、「QFractureScoresはイギリス人の骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の10年リスクを予測するツールとして有用である」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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低リスク肺塞栓症の低分子量ヘパリンによる外来治療は入院治療に劣らない

低リスクの急性肺塞栓症に対する低分子量ヘパリンを用いた外来治療は、入院治療に劣らない有効性と安全性を有することが、スイス・ベルン大学病院のDrahomir Aujesky氏らの検討で示された。欧米では、症候性の深部静脈血栓症の治療では低分子量ヘパリンによる外来治療が通常治療とされる。肺塞栓症の診療ガイドラインでは、血行動態が安定した患者には外来治療が推奨されているが、現行の症候性肺塞栓症の治療の多くは入院患者を想定したものだという。Lancet誌2011年7月2日号(オンライン版2011年6月23日号)掲載の報告。外来治療の非劣性を評価する非盲検無作為化試験本研究は、4ヵ国(スイス、フランス、ベルギー、アメリカ)の19の救急診療施設の参加のもと、肺塞栓症の入院治療に対する外来治療の非劣性を評価する目的で実施された非盲検無作為化試験である。症状のみられる急性肺塞栓症で、死亡リスクが低い患者(肺塞栓症重症度インデックスでリスクがclass IあるはII)が、外来治療(看護師の指導でエノキサパリン1mg/kg×2回/日を自身で皮下投与し、24時間以内に退院)を行う群あるいは外来治療と同じレジメンを入院で施行する群に無作為に割り付けられた。外来治療群のうち自己注射が不可能な患者には、介護者あるいは訪問看護師が投与した。両群とも、経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬を早期に導入し、90日間以上継続することが推奨された。主要評価項目は、90日以内の症候性静脈血栓塞栓症の再発、14日あるいは90日以内の大出血などの安全性のアウトカムおよび90日死亡率とした。非劣性の定義は両群のイベント発生率の差が4%未満の場合とした。患者にも好評、在院期間の短縮に2007年2月~2010年6月までに344例が登録され、外来治療群に172例が、入院治療群にも172例が割り付けられた。評価可能例は、それぞれ171例、168例であった。外来治療群の171例のうち90日以内の静脈血栓塞栓症再発例は1例(0.6%)のみ、入院治療群では再発例はなく、非劣性の判定基準を満たした[95%上限信頼限界(UCL):2.7%、p=0.011]。90日死亡例は両群とも1例(それぞれ0.6%、95%UCL:2.1%、p=0.005)のみで、14日以内の大出血は外来治療群が2例(1.2%)、入院治療群では認めなかった(95%UCL:3.6%、p=0.031)。90日までに外来治療群の3例(1.8%)が大出血をきたしたが、入院治療群では認めなかった(95%UCL:4.5%、p=0.086)。平均在院期間は、外来治療群が0.5日(SD 1.0)、入院治療群は3.9日(SD 3.1)であった。著者は、「低リスク例の場合、肺塞栓症の入院治療を外来治療で用いても安全かつ有効と考えられる」と結論し、「患者にも好評で、在院期間の短縮につながるだろう」としている。(菅野守:医学ライター)

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携帯電話メールへの禁煙支援メッセージ自動送信は禁煙の継続に有効

携帯電話メールへの禁煙支援メッセージの自動送信による禁煙支援プログラムは6ヵ月後の禁煙継続率を有意に改善することが、イギリス・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のCaroline Free氏らが実施したtxt2stop試験で示された。タバコは予防可能な死亡の主要原因であり、喫煙が原因の死亡は毎年、世界で500万人以上に上ると推算されている。イギリスでは喫煙者の3分の2が禁煙の意思を表明しており、禁煙支援の効果的な介入法の確立が急務とされる。携帯電話のメッセージ送信機能を利用した禁煙支援は、短期的には自己申告による禁煙を増加させることが示されている。Lancet誌2011年7月2日号(オンライン版2011年6月30日号)掲載の報告。禁煙支援メッセージと行動変容支援から成るプログラムの禁煙継続効果を評価txt2stop試験の研究グループは、携帯電話のメール機能による禁煙支援メッセージの自動送信が禁煙の継続に及ぼす効果を評価する単盲検無作為化試験を実施した。2007年10月15日~2009年6月1日までに、16歳以上の禁煙の意思のある喫煙者で、携帯電話の所持者が登録され、禁煙の動機付けを促すメッセージと行動変容の支援から成る禁煙支援プログラム(txt2stop)を受ける群、あるいは禁煙とは無関係のメッセージを受信する群(対照群)に無作為に割り付けられた。アウトカムの評価を行う者には介入割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、自己申告による禁煙の継続とし、6ヵ月の時点で生化学的検査(ニコチンの代謝産物であるコチニンの唾液中濃度を測定)による確認が行われた。6ヵ月禁煙継続率:txt2stop群10.7%、対照群4.9%適格基準を満たした1万1,914人のうち5,800人が無作為化の対象となり、介入群に2,915人が、対照群には2,885人が割り付けられた。重複して無作為化された8人を除く、それぞれ2,911人、2,881人が解析の対象となった。主要評価項目の評価は5,524人(95%)で可能であった。6ヵ月の時点で生化学的検査によって禁煙の継続が確認されたのは、txt2stop群が10.7%と、対照群の4.9%に比べ2倍以上に達していた(相対リスク:2.20、95%信頼区間:1.80~2.68、p<0.0001)。フォローアップができなかった者を喫煙者とした場合の禁煙継続率は、txt2stop群が9%(268/2,911人)、対照群は4%(124/2,881人)で(相対リスク:2.14、95%信頼区間:1.74~2.63、p<0.0001)、これらの集団を除外した場合はそれぞれ10%(268/2,735人)、4%(124/2,789人)であり(相対リスク:2.20、95%信頼区間:1.79~2.71、p<0.0001)、双方ともにtxt2stop群で有意に良好な結果が得られた。事前に規定されたいずれのサブグループの解析でも不均一性は認められず、年齢35歳以上/35歳未満、ファガストローム・ニコチン依存度指数≦5/>5、無作為化割り付け時の禁煙製品・サービスの使用の有無にかかわらず、txt2stopは有効であった。著者は、「txt2stop禁煙支援プログラムは6ヵ月後の禁煙継続率を有意に改善したことから、禁煙サービスに加えることを考慮すべき」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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パーキンソン病治療剤 プラミペキソール(商品名:ミラぺックス)

ドパミン作動性パーキンソン病治療薬プラミペキソールの徐放性製剤(商品名:ミラペックスLA錠)が2011年4月、パーキンソン病を適応として承認された。今年7月に薬価収載・発売が予定されている。パーキンソン病治療の現状パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで有病率の高い神経変性疾患である。日本における患者数は13万9千人と推定されているが、今後、高齢化が進むとともにさらなる患者数の増加が見込まれている。現時点では、発症機序に関して不明な部分が多く、運動症状や非運動症状を改善し、生活の質(Quality of Life:QOL)や日常生活動作(Activities of Daily Living::ADL)をコントロールしながら、病状の進行を遅らせる治療が主となっている。薬物療法はその中核を担っており、数あるパーキンソン病治療薬のなかでも、ドパミンアゴニストはL-dopa同様、代表的薬剤の1つとして位置づけられている。1日1回投与のプラミペキソール製剤わが国では2003年にプラミペキソールの速放錠(商品名:ビ・シフロール錠)が承認されており、早期から進行期パーキンソン病の各種症状(ADL、運動能力)に対し高い有効性を持つことが知られている。今回承認されたミラペックスLA錠は同成分の徐放性製剤であり、1日1回の投与で24時間安定した血漿中濃度を示し1)、1日中持続する安定した効果が期待できる薬剤として注目を集めている。本製剤の有効性に関しては、国際共同試験*および国内の臨床試験1)により速放錠との非劣性が確認されており、安全性に関しても新規または予期しない有害事象は認められていない2)。また、速放錠から本製剤への切り替えに関しては、オーバーナイトスイッチで約85%の被験者で成功していることが海外における臨床試験で示されている3)。*パーキンソン病治療薬では初の国際共同試験服薬アドヒアランス向上も期待薬物療法による治療効果を十分に得るためには、服薬アドヒアランスの維持が重要なポイントとなる。しかし、現在のパーキンソン病治療では何種類もの薬剤を服用し、さらに、1日における服用回数が多いなど服薬方法が煩雑であり、アドヒアランスに影響を及ぼすといわれている。海外での試験によると、1日における服薬のタイミング(医師に服用するよう定められた時間)でのアドヒアランスは、1日3回服用の薬剤と比較すると1日1回服用のほうが有意に高いことが認められている4)。1日における服用回数が多いと、服用のタイミングにばらつきが生じ、医師が処方時に想定した薬効が必ずしも得られていないことが懸念される。だが、服用回数が少なければ、このようなリスクも軽減させることができ、より適切なコントロールが期待される。また、国内においてパーキンソン病患者を対象に行ったアンケート調査によると、70%以上もの患者が、服用している数種類の薬剤のうち1種類でも1日1回の服用になれば助かると回答している5)。この結果から、少ない服薬回数で治療効果を発揮する薬剤へのニーズが示唆される。以上より、服薬アドヒアランスの向上には服薬回数の少ない薬剤が好ましく、服薬方法をよりシンプルにしていくことが今後、さらに求められると考えられる。まとめ発症後、長期間に渡る薬物療法によって症状をコントロールし、QOLやADLの維持を図るために個々の患者に合った“テーラーメイドの”治療が求められるパーキンソン病治療において、本製剤は今後、重要な治療選択肢の一つとなると期待される。

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重症感染症児への輸液ボーラス投与、48時間死亡率を上昇

 ショック患者への急速早期の輸液蘇生術は、救急治療ガイドラインに示されており、小児科における生命維持訓練プログラムでも支持されている。しかし、処置法、用量、輸液の種類に留意したエビデンスはなく、集中ケア施設がまず利用できないアフリカのような、医療資源が限られた環境下でのショック患児や生命に関わるような重症感染症児への治療に対する輸液蘇生の役割は確立されていない。そこでケニア中央医学研究所(KEMRI)のKathryn Maitland氏らは、アフリカ東部3ヵ国で輸液蘇生の効果を調べる無作為化試験を行った。NEJM誌2011年6月30日号(オンライン版2011年5月26日号)掲載より。アルブミンボーラス、生食ボーラスと対照群の3群に無作為化し48時間後の転帰を比較 研究グループは、ウガンダ、ケニア、タンザニアで、重症熱性疾患と循環不全で入院した小児を、5%アルブミン溶液20~40mL/kg体重ボーラス投与(アルブミンボーラス群)もしくは0.9%生食液20~40mL/kg体重ボーラス投与(生食ボーラス群)する群か、ボーラス投与しない群(対照群)の3群に無作為に割り付け検討した(A層試験)。このA層試験では、重症低血圧の小児は除外されB層試験にて、いずれかのボーラス投与群に無作為に割り付けられ検討された。 >被験児は全員、ガイドラインに基づく、適切な抗菌薬治療や静脈内維持輸液ならびに生命維持のためのトリアージや救急療法を受けた。なお、栄養失調または胃腸炎の患児は除外された。 主要エンドポイントは、48時間時点の死亡率とし、副次エンドポイントには、肺水腫、頭蓋内圧亢進、4週時点の死亡または神経学的後遺症の発生率などが含まれた。 A層試験は3,600例の登録を計画していたが、3,141例(アルブミンボーラス群1,050例、生食ボーラス群1,047例、対照群1,044例)が登録された時点でデータ安全モニタリング委員会の勧告により補充が停止された。 マラリアの保有率(全体で57%)、臨床的重症度は全群で同程度だった。ボーラス後48時間死亡率が有意に上昇 A層における48時間死亡率は、アルブミンボーラス群10.6%(1,050例中111例)、生食ボーラス群10.5%(1,047例中110例)、対照群7.3%(1,044例中76例)だった。生食ボーラス群 vs. 対照群の相対リスクは1.44(95%信頼区間:1.09~1.90、P=0.01)、アルブミンボーラス群vs.生食ボーラス群の相対リスクは1.01(同:0.78~1.29、P=0.96)、両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.45(同:1.13~1.86、P=0.003)だった。 4週時点の死亡率は、それぞれ12.2%、12.0%、8.7%だった(両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.39、P=0.004)。神経学的後遺症発生率は、2.2%、1.9%、2.0%だった(同1.03、P=0.92)だった。肺水腫または頭蓋内圧亢進の発生率は、2.6%、2.2%、1.7%だった(同1.46、P=0.17)。 B層では、死亡率がアルブミンボーラス群69%(13例中9例)、生食ボーラス群56%(16例中9例)だった(アルブミンボーラスの相対リスク:1.23、95%信頼区間:0.70~2.16、P=0.45)。 これらの結果は、施設間、サブグループ間(ショック重症度や、マラリア、昏睡、敗血症、アシドーシス、重症貧血の状態に基づく)で一貫して認められた。 研究グループは「医療資源が限られたアフリカでの重症循環不全児に対する輸液ボーラスは、48時間死亡率を有意に高める」と報告をまとめている。

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BRAF V600E変異メラノーマに対するvemurafenib vs. ダカルバジン

 BRAF V600E変異を有するメラノーマで無治療の患者を対象とする、BRAFキナーゼ阻害薬vemurafenib(PLX4032)とダカルバジン(商品名:ダカルバジン注)を比較する第3相試験「BRIM-3」の結果、vemurafenibがダカルバジンと比べて全生存率および無増悪生存率を改善したことが報告された。米国・Sloan-Kettering記念がんセンターのPaul B. Chapman氏らによる。メラノーマ患者では、約40~60%にBRAF変異が認められ、その90%がBRAF V600Eという。vemurafenibは、BRAF V600E変異に顕著な抗腫瘍効果を有し、第2相試験で、治療歴のあるBRAF V600E変異進行性メラノーマ患者において奏効期間中央値6.7ヵ月、奏効率53%が示されていた。NEJM誌2011年6月30日号(オンライン版2011年6月5日号)掲載より。全生存率と無増悪生存率を主要エンドポイントに 本試験は、2010年1~12月の間に、12ヵ国104施設で2,107例がスクリーニングを受け、そのうち675例を、vemurafenib群(960mgを1日2回経口投与、337例)かダカルバジン群(1000mg/m2体表面積を3週ごとに静脈投与、338例)に無作為に割り付け行われた。 主要エンドポイントは、全生存率と無増悪生存率の2つとし、副次エンドポイントは、奏効率、奏効期間、安全性などとした。 最終解析は、死亡196例後に、中間解析は同98例後に行うよう計画された。 結果、中間解析時の死亡は118例であった。この時点でデータ安全モニタリング委員会は、2つのエンドポイントについて事前規定されたvemurafenib群の統計的有意性が満たされたと判定し、そのうえで、ダカルバジン群からvemurafenib群へのクロスオーバーを勧告した。 中間解析は、vemurafenib群が追跡期間中央値3.8ヵ月、ダカルバジン群2.3ヵ月に行われた。6ヵ月時点の全生存率、vemurafenib群84%、ダカルバジン群64% 6ヵ月時点の全生存率は、vemurafenib群84%(95%信頼区間:78~89)、ダカルバジン群64%(同:56~73)であった。 推定無増悪生存期間中央値は、vemurafenib群5.3ヵ月、ダカルバジン群1.6ヵ月であった。 全生存率の中間解析および無増悪生存率の最終解析から、vemurafenibがダカルバジンと比べて相対的に、死亡リスクを63%減少、死亡あるいは疾患進行リスクを74%減少したことが認められた(いずれの群間比較ともP<0.001)。 奏効率は、vemurafenib群48%、ダカルバジン群5%であった。 vemurafenib群でよくみられた有害事象は、関節痛、発疹、疲労、脱毛、角化棘細胞腫または扁平上皮がん、光線過敏、悪心、下痢であった。なお同群患者の38%が毒性のため、服用量の調節を要した。 Chapman氏は、「治療歴のないBRAF V600E変異メラノーマ患者において、vemurafenibが全生存率および無増悪生存率を改善したことが認められた」と結論。また報告の最後で、「本結果は、今後の併用療法開発の強力な基盤となるものだ」と展望している。

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ハイリスク中高年男性への肥満手術、死亡リスク減少せず

ハイリスク中高年男性に対して肥満手術を行っても、死亡リスクは減少しないことが明らかにされた。米国・ダラム退役軍人病院のMatthew L. Maciejewski氏らが、退役軍人向け病院のデータベースを用い、肥満手術を受けた850人とそのコントロール群について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。これまで、主に若い女性を対象とした、肥満手術と死亡リスクに関するコホート試験はあるが、より高齢の男性に関する研究はほとんど知られていない。手術群850人とコントール群4万人超について、約7年追跡研究グループは、退役軍人病院で2000年1月~2006年12月にかけて肥満手術を受けた男性850人と、非手術群4万1,244人について、後ろ向きコホート試験を行った。手術群の平均年齢は49.5(標準偏差:8.3)歳、BMIは平均47.4(同:7.8)だった。コントロール群の平均年齢は54.7(同:10.2)歳、BMIは平均42.0(同:5.0)だった。追跡期間の平均は6.7年。主要アウトカムは、2008年までの総死亡率だった。傾向スコアによるマッチング後、手術群で死亡率の低下みられずその結果、手術群の総死亡率は、1年が1.5%、2年が2.2%、6年が6.8%に対し、非手術群の死亡率はそれぞれ、2.2%、4.6%、15.2%だった。補正前Cox回帰分析の結果、肥満手術は死亡率の減少につながった(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.51~0.80)。共変量調整を行った後も、肥満手術による死亡率の減少が認められた(ハザード比:0.80、同:0.63~0.995)。ところが、傾向スコアによるマッチングを行い、手術群847人とコントロール群847人について比較したところ、肥満手術群のコントロール群に対する死亡に関する補正前ハザード比は0.83(同:0.61~1.14)、時間補正後のハザード比は0.94(同:0.64~1.39)と、いずれも有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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STEMI患者でDIDO時間が30分超は、30分以下に比べ院内死亡率が約1.6倍に

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のために、別の病院に転送されたST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者で、最初の病院に着いてから他院に向けて出発するまでの時間(door-in to door-out:DIDO)が30分以下の人は、全体の1割強にとどまるが、そうした人のPCI実施までの所要時間は短く、院内死亡率は低率であることが明らかにされた。米国・デューク大学のTracy Y. Wang氏らが、1万5,000人弱について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月22・29日号で発表した。米国病院の約75%は、緊急PCIに対応できないため、STEMI患者の多くが、最初に訪れた病院から他の病院へ転送されているのが現状という。DIDOは新たな臨床パフォーマンスの指標とされ、適切な再灌流治療のためには、DIDO時間30分以下が推奨されている。DIDO時間中央値は68分、30分以下は11%研究グループは、ACTION Registry-Get With the Guidelines登録患者で、2007年1月~2010年3月に、STEMIで病院を訪れ、プライマリPCIのために別の298ヵ所の病院に転送された、合わせて1万4,821人について後ろ向きコホート試験を行った。主要アウトカムは、DIDO時間とそれに関連する因子、来院から初回バルーン拡張までの時間(door-to-balloon:DTB)、補正後院内死亡率であった。その結果、DIDO時間の中央値は68分(四分位範囲:43~120)だった。また、DIDO時間が30分以下だったのは、1,627人(11%)にとどまった。DIDO時間が30分超だと、30分以下に比べ院内死亡率が1.56倍にDIDO時間が30分以下だった人のうち、DTB時間が90分以下だった人の割合は60%(95%信頼区間:57~62)と、DIDO時間が30分超だった人の同13%(同:12~13)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。また院内死亡率も、DIDO時間が30分以下の人は2.7%(同:1.9~3.5)であったのに対し、同30分超の人は5.9%(同:5.5~6.3)と、有意に高率だった(p<0.001、補正後オッズ比:1.56、95%信頼区間:1.15~2.12)。DIDO時間が30分超の関連因子は、高齢、女性、時間外の来院、最初の来院が救急車ではないなどであった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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C型慢性肝炎治療剤 テラプレビル

新規C型慢性肝炎治療剤であるテラプレビルが、2011年1月、承認申請された。優先審査品目に指定されたことから、早期の承認が見込まれる。社会的に大きな関心を集めるC型慢性肝炎治療肝臓がんは、がんの中でも予防可能ながんとして注目されている。わが国の肝臓がんは、72%がC型肝炎由来、17%がB型肝炎由来であることが報告されており、肝臓がん発症の高リスク例は、C型およびB型肝炎ウイルスの検査で事前に予測することができる。そのため、国としても対策に注力しており、肝炎ウイルス検診の実施、肝炎研究7ヵ年戦略、肝炎治療における助成金の交付など数多くの取り組みがなされている。また、報道機関などで取り上げられることも多く、国民の関心が高い疾患といえる。Genotype1・高ウイルス量におけるSVR率の向上が課題現在のC型慢性肝炎治療では、C型肝炎ウイルスのGenotypeとウイルス量をもとにした4つのカテゴリーに分け、それぞれで異なる治療戦略がとられている。近年の医療の発展により、多くの患者カテゴリーで治療成績が向上したが、Genotype1・高ウイルス量のカテゴリーに属する患者の治療成績は現在も良好とはいえず、大きな問題となっている。このカテゴリーに属する患者は、現在の治療の中心であるペグインターフェロン、リバビリンの併用療法(48週)であっても、SVR (Sustained Viral Response:ウイルス学的著効)率が約50%に留まり、約半分の患者でウイルス消失が達成できていない。さらに、多くの患者がこのカテゴリーに属しているため、Genotype1・高ウイルス量へのSVR率向上は大きな医療ニーズとなっている。テラプレビルの追加でSVR率の大幅な上昇が可能にC型慢性肝炎ウイルスの増殖抑制作用を有するNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤であるテラプレビルは、こうした医療ニーズを満たす薬剤として、すでに医師ばかりでなく患者からも大きな期待を集めている。国内でもGenotype1・高ウイルス量患者を対象に第Ⅲ相試験が行われている。ペグインターフェロンα-2b、リバビリンの2剤併用療法48週(PR48)群と、最初の12週をテラプレビル、ペグインターフェロンα-2b、リバビリンの3剤併用療法を行い、その後12週をペグインターフェロンα-2b、リバビリンの2剤で後観察したテラプレビル追加群(TVR12/PR24)の2群に割り付け、SVR、HCV RNA陰性化率、および安全性を検討した。この試験におけるPR48群のSVRは初回治療例で49.2%であった。TVR12/PR24群においては、初回治療例73.0%、前治療再燃例88.1%、前治療無効例が34.4%であった。、初回治療無効例でのSVR率の差はもちろんだが、現在有効な治療手段を持たない前治療無効例の3分の1でSVRを獲得し、新たな治療手段を示した点も興味深い。HCV RNAの累積陰性化率をみると、PR48群が6週で15.9%、48週で79.4%と比較的緩やかに上昇しているのに対し、TVR12/PR24群は6週時点ですでに97.6%、24週では98.4%と、早期かつ高い陰性化を示している。一方、有害事象の発現率では、PR48群においてもすでにヘモグロビン量減少や皮膚症状の発現例がみられ、テラプレビルの併用により発現率が強まる可能性が示唆された。今後は、皮膚症状への適切な対応については皮膚科との連携がより重要視されよう。テラプレビルの併用は、副作用上昇の可能性があるため注意が必要であるが、治療期間の短縮化、SVR率の向上性などを鑑みても有用な治療法だといえよう。承認前から治療ガイドラインで推奨これらの試験結果を受け、厚生労働省研究班は、すでにテラプレビル承認後の治療ガイドライン(初回投与)を策定・発表している。テラプレビル承認後のガイドラインでは、Genotype1・高ウイルス量の患者さんに対しては、ペグイントロン、レベトール、テラプレビルの3剤併用24週投与が推奨される。肝炎の治療薬が、承認前からガイドラインで推奨されるのは、今やB型肝炎治療のスタンダードなったバラクルードと同じで、その期待の高さがうかがえる。実際、テラプレビルは、わが国で優先審査品目に指定され、通常の新薬よりも早い承認が予想される。すでにFDAでは、今年4月に諮問委員会が満場一致で承認を支持、5月には正式に承認された。このような背景がわが国でも追い風になる可能性は高い。

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座長:岩田健太郎先生「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる:CareNet+Style連携特別企画」

【CareNet+Style連携特別企画】6月12日(日)神戸にて、震災の復興支援活動として災害発生時のリスク・コミュニケーションを考える機会を得ることを目的に、チャリティー・シンポジウムが開催されました。 これは、災害時の記者会見、メディア報道、言葉、コミュニケーションはどうあるべきなのか。当代きっての論客が登場し、東日本大震災時のコミュニケーションのあり方を総括し、あるべき姿を模索したものです。なお、収益は全額寄付し被災地の支援に役立てられます。ケアネットでは、チャリティー・シンポジウムの趣旨に賛同し、映像の撮影、配信、告知をサポートします。※「DocFun」はリニューアルし「CareNet+Style」に生まれ変わりました。1.シンポジウムPR用映像本編はCareNet+Style「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる」をご覧ください視聴者の皆様から義援金を募集しております。振込み先情報は上記ページに記載されております。ご協力賜れますようお願い申し上げます。 2.出演者プロフェール(敬称略、五十音順)※1岩田健太郎 神戸大学都市安全研究センター、大学院医学研究科教授島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、セントルークス・ルーズベルト病院、亀田総合病院などを経て現職。専門は感染症学。著書に『バイオテロと医師たち』『悪魔の味方 米国医療の現場から』『予防接種は「効く」のか?『「患者様」が医療を壊す』『感染症は実在しない』など。上杉隆 ジャーナリスト 都留文科大学卒業。テレビ局・衆議院公設秘書・「ニューヨークタイムズ」東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。政治・メディア・ゴルフなどをテーマに活躍中。自由報道協会(仮) 暫定代表。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『ジャーナリズム崩壊』『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』など多数。内田樹 武道家、思想家。神戸女学院大学名誉教授東京大学卒業。東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。同大学助手を経て神戸女学院大学へ異動。2010年3月に同学教授職を退職。神戸女学院合気道会主宰(合気道6段)。著書に『他者と死者 ――ラカンによるレヴィナス』『現代思想のパフォーマンス』『先生はえらい』『私家版・ユダヤ文化論』(第6回小林秀雄賞)『下流志向』『日本辺境論』(2010年新書大賞)『街場のメディア論』ほか多数。2011年 伊丹十三賞受賞。蔵本一也 神戸大学大学院経営学研究科准教授関西学院大学卒業後、ミズノ株式会社などを経て現職。33年間のサラリーマン経験を活かし、企業活動における社会的責任のあり方に関心を寄せる。コンプライアンス、消費者対応、消費者問題にも詳しい。消費者問題に関する論文多数。2009年 内閣府消費者担当大臣賞受賞。鷲田清一 哲学者 大阪大学総長京都大学大学院文学研究科博士課程修了。関西大学教授、大阪大学大学院文学研究科教授、同理事・副学長を経て、2007年8月大阪大学総長に就任。著書に『モードの迷宮』(サントリー学芸賞受賞)、『じぶん-この不思議な存在』『「聴く」ことの力』 (桑原武夫学芸賞受賞)、『「待つ」ということ』、『てつがくを着て、まちを歩こう―ファッション考現学』、『死なないでいる理由』、『新編 普通をだれも教えてくれない』、『臨床とことば』(河合隼雄氏との共著)、『わかりやすいはわかりにくい?-臨床哲学講座』 など多数。2004年紫綬褒章。※1岩田健太郎氏ブログ『楽園はこちら側から http://georgebest1969.typepad.jp/blog/ 』「災害時のリスクとコミュニケーションを考えるチャリティー・シンポジウム開催について(ご案内)」より転載。写真はシンポジウム時のもの。本編はCareNet+Style「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる」をご覧ください質問と回答を公開中!

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岩田健太郎先生の回答

PTSD日本人はPTSDの頻度は低いと聞きますがその理由は何が考えられますか?そういう話は初耳でした。僕は専門家ではないのであまりうまいコメントはできませんが、PTSDってシチュエーションによって発症頻度にものすごい差があるのですね(1-80%以上まで)。日本ではPTSDという概念の認知そのものが遅いみたいですし、その頻度が本当に低いかは僕にはよく分かりません。阪神淡路大震災後16ヶ月のフォローでは被害の程度にもよりますがだいたい3%くらいの有病率だったそうです(窪田 予防時報2005)。新しいメディアの形内田先生のお話の中で、巨大メディアが崩壊したときに情報難民が生まれる、この層に向けた対処が必要とのお話があったかと思います。岩田先生が考える情報難民を救う新しいメディアの形とは?もしアイデアがありましたらご教示願います。多分、ある特定の新しいメディアというより、いろいろなメディアのミックスをあちこちつまみ食いする、、、というのが新しい形だと思います。新聞とテレビだけ、という定型から脱却するところからスタートではないかと。健康被害が懸念されたタイミングについて医師の目からみて、今回どのあたりの段階から放射性物質による健康被害が懸念されたのでしょうか?医師の中には震災直後から疎開された方がいると聞きました。医師のネットワークの中で何か特別な情報等が流れていたのでしょうか?「懸念」は震災直後からありました。その懸念がどれくらいのものかを見積もるのは、とても困難だと思いましたが(今でも困難を感じています)。医師のネットワークだけで「特別な」情報が流れていたとは思いません。ただ、ネット上にも公開されているチェルノブイリ関係の論文とかの多くは英語ですし、そういう論文へのアクセスや読み方には医師は慣れている傾向があります。メディア今回の論客は皆さん素晴らしい方だと思います。皆さんとは、普段からメディアのあり方について議論するようなお知り合いだったのでしょうか?上杉さん、藏本さん、鷲田さんとは初対面。内田さんとはよくメディアの話をする機会がありました。「街場のメディア論」も愛読しましたし。内田さんと鷲田さんはお知り合いですが、それ以外はみな初対面だったと思います。メディア崩壊について利益相反のお話、大変興味深く拝聴しました。巨大メディアがスポンサーに逆らえない。とはいえ、昔から収益の構造は同じはず。ここまで廃れた原因はなんでしょうか?昔から同じだと思います。露呈しただけで。潔癖症の方へのケア被災された方の中には潔癖症の方もいらっしゃったかと思います。避難所ではどのような行動を取っていたのでしょうか?また、そんな方へのケア方法などございましたら教えてください。避難所で潔癖症の方がどうされていたかは寡聞にして存じません。清潔の維持やプライバシーについては皆さん、大分お悩みだったと思います。避難所での簡易住宅を提供している建築家もいたとききました(段ボールだけだとさすがに、と僕も思います)。アルコールの手指消毒薬はわりとふんだんに提供されていたようですが、お風呂とかはたいへんでしょうね。仮設住宅入居者へのケア避難所と仮設住宅では、ケアの方法も変わってくるかと思います。仮設住宅にいる方々のQOLを考えた場合、必要なケアは何ですか?また、仮設住宅地で懸念される感染症についてもご教示いただければ幸いです。僕の意見では、やはりコミュニケーションだと思います。阪神淡路大震災でも仮設住宅で孤独になってしまった人は多かったとききます。仮設住宅に特化して増える感染症は特にないと思います。高齢者とのコミュニケーション仮設住宅地をボランティアで回っている医学生です。高齢者とうまくコミュニケーションがとれる秘訣があればご教示下さい。一般のコミュニケーションと同じです。相手の話を聞くこと。岩田先生の情報ソースを教えて下さい。岩田先生は、基本テレビは見ない(サッカーしか見ない)、ニュースも最低限だけとおっしゃっていましたが、そんな中で、岩田先生の一番重要な情報ソースは何でしょうか?一番、というのを作らないようにしています。いろいろな情報ソースからトライアンギュレーションをかけています。上杉さんもそんなことおっしゃってましたよね。総括みなさんするどい質問ばかりですね。緊張しました。座長:岩田健太郎先生「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる:CareNet+Style連携特別企画」

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暴力事件防止のため匿名情報を医療機関、警察、自治体で共有・活用することは有効

世界保健機構(WHO)では、個人間の暴力による死者は世界中で60万人、重傷者は1,720万人に上り、15~29歳の死因の第5位、30~44歳では第6位という実情を踏まえ、「個人間の暴力は世界的な保健問題」と位置付けている。個人間の暴力事件には地域レベルでの防止戦略が有効な可能性はあるが、そうした取り組みについてこれまで科学的に検証はされていなかった。そこで、米国疾病管理予防センター暴力事件部門のCurtis Florence氏らは、イギリス・ウェールズの首都カーディフで2001年に導入された地域暴力事件防止プログラムの評価を行った。BMJ誌2011年6月25日号(オンライン版2011年6月16日号)掲載より。プログラムを開発・導入したカーディフと、その他14都市との変化を比較各種調査により世界的に、医師が治療にあたった相当数の暴力事件が警察に知られていないことが明らかになっているなかで、また警察情報は被害者の申告に頼っているのが実態のなかで、カーディフの防止プログラムは、警察情報に医療機関のERからの情報を加味することで防止効果を高めることを狙いとした点が斬新なものであったという。開発には3年がかけられていた。なおイギリスでは1998年に、警察、自治体、NHS機関が協力して地域暴力防止戦略を開発し取り組むことが法的義務として課せられているという。Florence氏らは、カーディフで策定された地域協力体制に基づくプログラムの有効性を、実験的研究・時系列解析にて評価した。比較対象として、イギリスおよびウェールズから内務省データに基づきカーディフと最もよく似た14都市を選び、暴力事件に関連する入院記録と、暴力事件および軽度な暴力事件の警察記録データを主要評価項目として検証した。カーディフでは、33ヵ月を開発期間として、市内ER受診患者または重傷例の報告から、暴力事件防止に重要とみなされ匿名化された情報(事件発生場所、時間、月日、武器の詳細)を集積し、その後51ヵ月間にわたり警察と自治体で共有し、事件防止のリソースとして活用された。カーディフ vs. その他都市発生率比、入院0.58、傷害事件0.68、軽度暴力事件1.38結果、情報共有と活用は、暴力事件による入院件数を相当数、有意に減少したことが認められた。カーディフでは、人口10万あたり月7件から5件へと減少していた。一方でその他の都市では、5件から8件に増えていた(補正後発生率比:0.58、95%信頼区間:0.49~0.69)。警察の暴力事件記録は、カーディフでは人口10万あたり月54件から82件への変化であったが、その他の都市では54件から114件に増えていた(同:0.68、0.61~0.75)。軽度な暴力事件は、カーディフの警察では記録例が15件から20件に増えていたが、その他の都市では42件から33件に減っていた(同:1.38、1.13~1.70)。Florence氏は、「カーディフでの医療機関、警察、自治体間の情報共有の取り組みは、その他の取り組みを行っていない都市と比べて、暴力事件負傷者の有意な減少に結びつき、軽度な暴力事件の検挙数を増やした」とまとめている。

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プライマリ・ケア患者におけるハイリスク薬処方の割合およびパターン

イギリス・ダンディー大学のBruce Guthrie氏らは、スコットランドの一般診療所(GP)を対象に、ハイリスク薬処方の処方割合とそのパターンを調べること、また、プライマリ・ケア患者が特に薬物有害事象の影響を受けやすい不適切処方を受ける可能性について明らかにするため、横断的集団データベース分析を行った。BMJ誌2011年6月25日号(オンライン版2011年6月21日号)掲載より。ハイリスク薬処方を15指標で検証対象となったのは、176万人の登録患者を受け持つ315のスコットランドの一般診療所のうち、年齢、共存症、同時処方(co-prescription)を理由として、特に薬物有害事象の影響を受けやすいと定義された13万9,404人(7.9%)の患者であった。主要評価項目は、15の処方指標(NSAID薬に関する4つの指標、ワルファリンとの同時処方についての4つの指標、心不全での4つの指標、メトトレキサートの服用量指示に関する2つの指標、認知症への抗精神病薬処方に関する1つの指標)がどれだけ信頼できるかであった。また15指標の組み合わせは、ハイリスク薬処方の割合という点で診療所を識別することができた。また、マルチレベル・モデルでの、患者および診療所のハイリスク薬処方との関連を特徴付けることができた。診療所間の大きな差は改善の余地あり結果、過去1年の間に、13万9,404人の患者のうちの1万9,308人(13.9%、95%信頼区間:13.7%~14.0%)が、1つ以上のハイリスク薬処方を受けていた。各指標は、ハイリスク薬処方率の尺度として合理的かつ信頼度が高いものであった(診療に対する信頼度>0.7が95.6%、>0.8が88.2%)。ハイリスク薬処方と最も関連が強い患者特性は、処方薬の数であった(長期処方薬>11対 0のオッズ比:7.90、95%信頼区間7.19~8.68)。患者特性による補正後、ハイリスク薬処方の割合は診療所間で4倍も変化したが、それについて診療所の特性からは説明できなかった。Guthrie氏らは、「特に薬物有害事象の影響を受けやすいと定義された患者の約14%が、1つ以上のハイリスク薬が処方されていた。ハイリスク薬処方に使われた複合指標は、診療所でのハイリスク薬処方割合が平均以上か以下かを合理的な信頼度で識別することが可能であった」と結論。「補正後、ハイリスク薬処方と強く関連していたのは、長期処方薬の剤数が増えることのみであったが、無視できない未解明なバリエーションが診療所間で存在した。ハイリスク薬処方は概ね妥当だが、診療所間の大きなバリエーションは改善の余地があることを示唆している」と述べている。

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