サイト内検索|page:1604

検索結果 合計:34056件 表示位置:32061 - 32080

32061.

2009新型インフルワクチンの有効性:中国製不活化ワクチン

中国・江蘇省疾病管理予防センターのFeng-Cai Zhu氏ら研究グループは、中国国内で最近開発・販売承認された2009新型インフル用の単価不活化ワクチンの安全性と免疫原性について検討した、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果を発表した。試験は3~77歳の被験者を4つの年齢群に分け行われた。12~60歳では1回接種後(アジュバント非添加15μg)に大多数に十分な免疫応答が得られ、小児(3~11歳)および高齢者(61歳以上)では2回投与の必要性が認められる結果が得られたという。NEJM誌2009年12月17日号(オンライン版2009年10月21日号)より。年齢別にアジュバントの有無、抗原量・回数検討試験は、2009年7月から8月の間に、2,200例が参加し行われた。ワクチンは、21日間隔で2回接種された。2回とも接種を受けたのは2,103例(95.6%)。年齢別に階層化された被験者は、プラセボまたは抗原量7.5μg、15μg、30μgの各ワクチン(+アルミニウムアジュバント添加の有無それぞれ)の群別に無作為化され接種を受け、ベースラインと接種21日目、35日目に血清分析が行われた。12~60歳はアジュバント非添加の15μgワクチン1回接種で結果、アジュバント非添加の15μgワクチンを投与された被験者で、21日目までに赤血球凝集抑制抗体価が40倍以上に達した割合は、「3~11歳群」74.5%、「12~17歳群」97.1%、「18~60歳群」97.1%、「61歳以上群」79.1%だった。35日目までに達したのは、それぞれ98.1%、100%、97.1%、93.3%。40倍以上達成率が最も高かったのは、アジュバント添加・非添加にかかわらず30μgワクチンを接種された被験者群だった。また免疫応答は、アジュバント非添加ワクチン群の方が、添加ワクチン群より大きかった。なお安全性については、ワクチンと関連した重度の有害反応は認められず、アジュバント非添加ワクチン群で注射部位の局所反応または全身反応が観察されたが(5.5~15.9%)、ほとんどが軽度だった。局所反応はアジュバント非添加ワクチン群の方が添加ワクチン群より少なかった。(医療ライター:武藤まき)

32062.

2009新型インフルワクチンの有効性:細胞培養ワクチン

ノバルティス製造の細胞培養による2009新型インフル用のワクチン、MF59アジュバント添加ワクチンの忍容性と免疫原性について行われた臨床試験の結果が、英国レスター大学病院Tristan W. Clark氏らによって発表された。試験はレスター大学病院において、18~50歳の成人176例を対象に行われ、1回接種で予防効果があると思われる抗体反応が得られたという。NEJM誌2009年12月17日号(オンライン版2009年9月10日号)より。MF59アジュバントの有無、抗原量・回数検討A/California/2009(H1N1)表面抗原を含有するMF59アジュバント添加ワクチンに関する臨床試験は、2009年7月から9月の間に、アジュバント添加・非添加のワクチンを用いて行われた。被験者は、MF59アジュバント添加7.5μgワクチンの2回接種を、0日間隔(同日に両腕に接種)、7日間隔、14日間隔、21日間隔で受ける群に、または3.75μgワクチンの2回接種を21日間隔で受ける群に(以上、「添加群」)、あるいはアジュバント非添加の7.5μgワクチンまたは15μgワクチンの2回接種を21日間隔で受ける群(以上、「非添加群」)に、無作為に割り付けられた。接種後0、14、21と42日目に、赤血球凝集抑制試験とマイクロ中和試験を用いて、抗体反応を測定した。MF59アジュバント添加ワクチン1回接種で結果、21日目の測定で、MF59アジュバント添加ワクチン接種群の方が、非添加ワクチン群より、高い抗体価が認められた(マイクロ中和試験によるP

32063.

軽度アルツハイマー病へのtarenflurbil投与、認知機能やADL低下に効果なし:第3相臨床試験

軽度アルツハイマー病に対し、選択的Aβ42低下薬であるtarenflurbilを投与しても、認知機能やADL(日常生活動作)の低下を遅延させる効果は見られないことが、治験第3相の結果、報告された。治験第2相の結果で、その効果の可能性が期待されたが立証することはできなかった。tarenflurbil治験第3相の報告は、米国ボストン大学神経内科部門のRobert C. Green氏らにより、JAMA誌2009年12月16日号で発表された。全米133ヵ所で1,600人超を18ヵ月追跡同治験は多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照で、2005年2月21日~2008年4月30日にかけて、全米133ヵ所の医療機関で、1,684人の軽度アルツハイマー病患者を対象に行われた。解析対象に含まれたのは1,649人、試験を完了したのは1,046人。統合第一有効性エンドポイントは、アルツハイマー病評価尺度の認知サブスケール(ADAS-Cog、80ポイント版)とアルツハイマー病共同研究-日常生活動作スケール(ADCS-ADL)による、試験開始時点と開始後18ヵ月時点のスコアの変化とした。被験者へのコリンエステラーゼ阻害薬(商品名:アリセプト)やmemantineの併用投与は許可された。ADAS-Cog、ADCS-ADLのスコア変化、プラセボ群と有意差なし結果、tarenflurbil群とプラセボ群には、認知能力などの変化に有意差は見られなかった。両群の変化差は、ADAS-Cogは0.1(95%信頼区間:-0.9~1.1、p=0.86)、ADCS-ADLは-0.5(同:-1.9~0.9、p=0.48)だった。なお、ADAS-Cogスコアは、試験開始時点と比べ、18ヵ月時点ではtarenflurbil群で7.27ポイント、プラセボ群で7.08ポイント低下した。またtarenflurbil群では、めまい、貧血、感染症の頻度がわずかに増加した。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

32064.

血漿レプチン濃度が高い人ほど、認知症やアルツハイマー病発症リスクは低下

血漿レプチン濃度が高い人は、低い人に比べ、認知症やアルツハイマー病の発症リスクが低く、脳の高齢化の指標となる大脳容積も大きいことが明らかになった。米国ボストン大学神経内科部門のWolfgang Lieb氏ら「Framingham Heart Study」のグループメンバーが、JAMA誌2009年12月16日号で発表した。これまで動物モデルにおいては、レプチンが加齢やアルツハイマー病による記憶機能改善に関係があることが報告されていた。785人を約8年追跡Lieb氏らは、Framingham Heart Studyの被験者で認知症の認められなかった785人について、中央値8.3年(0~15.5年)追跡した。被験者の平均年齢は79歳(標準偏差5歳)で、うち62%が女性だった。血漿レプチンを採取して約7.7年後の1999~2005年にかけて、被験者のうちその時点で認知症の認められない198人について、容積測定脳MRIを行い、大脳容積と側頭角容積を測定した。その後2007年12月31日まで、認知症、アルツハイマー病の発症を追跡した。レプチン対数値の1標準偏差増加で、認知症発症リスクは0.68倍に追跡期間中(中央値8.3年)に認知症を発症したのは111人で、そのうちアルツハイマー病は89人だった。多変量解析の結果、血漿レプチン濃度が高いほど、認知症発症リスクが低かった。レプチン対数値が1標準偏差増加することによる認知症発症に関するハザード比は0.68(95%信頼区間:0.54~0.87)、アルツハイマー病発症に関する同ハザード比は0.60(同:0.46~0.79)だった。12年間追跡した際のアルツハイマー病発症の絶対リスクは、男女別の血漿レプチン濃度が最も低い四分位範囲群では25%なのに対し、最も高い四分位範囲群では6%だった。さらに、血漿レプチン濃度が1標準偏差増加することにより、大脳容積は増加し、側頭下角容積は低下する傾向があることがわかった。ただし、血漿レプチン濃度と側頭下角容積の関連については、有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

32065.

米国FDA、65 歳以上の年齢層に対する新しい季節性インフルエンザワクチンを承認

仏サノフィ・アベンティス社は12月23日(現地時間)、サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SANおよびNYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールが、高用量Fluzoneについての生物製剤一部変更承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)から承認されたと発表した。サノフィ・アベンティス株式会社が6日に報告した。65歳以上を対象としたこの新しい季節性インフルエンザワクチンは、2010~2011年インフルエンザシーズンに向けて、2010年秋には医療機関で接種できるようになるとのこと。高用量Fluzoneは、65歳以上の人でより確実に免疫応答が得られるよう、製剤化されたワクチン。65歳以上の人では免疫系が弱くなっているため、通常、標準用量のインフルエンザワクチンでは、若い人のような十分な免疫応答が得られないという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/87CDD01C-72BC-4C9A-8684-0A984D089695.pdf

32066.

開発中の抗(がん)剤BIBF 1120およびBIBW 2992の臨床開発プログラムを更に拡大

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は12月17日(現地時間)、臨床開発の後期段階にある2つの抗(がん)剤のうちBIBF 1120で、進行卵巣を対象とした第III相試験(LUME-Ovar-1試験)を開始すると発表した。本試験では、新規経口血管新生阻害剤BIBF 1120 またはプラセボを標準化学療法に併用した場合の有効性・安全性を比較検討するとのこと。LUME-Ovar-1試験(AGO-OVAR12)は、ドイツの研究グループAGO(AGO: Arbeitsgemeinschaft Gynaekologische Onkologie)が主導する国際コンソーシアムとベーリンガーインゲルハイムの共同研究。BIBF 1120(海外での予定製品名VargatefTM)は、腫瘍の増殖と拡大に必要な血管新生に関与する3つの受容体を同時に阻害する新規経口薬剤。血管新生は、すべての固形腫瘍の増殖で重要な役割を果たしていることから、現在、BIBF 1120では非小細胞肺(NSCLC)、大腸(CRC)、腎細胞(RCC)、肝細胞(HCC)などの一連の固形を対象として有用性が検討されているという。 詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9976

32067.

Herceptin 欧州においてHER2陽性の進行性胃がん治療に対する肯定的な見解を受領

スイス・ロシュ社は12月18日(現地時間)、HER2陽性の転移性胃がん(胃または胃食道接合部の転移性腺がん)患者の治療に対する標準的な化学療法とHerceptin(trastuzumab)の併用について、欧州医薬品審査庁(EMEA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が肯定的な見解を発出したことを発表した。25日、中外製薬株式会社が報告した。高いアンメットメディカルニーズと国際共同臨床試験であるToGA試験の良好なデータから、Herceptinは欧州において記録的な速さで、この新規効能・効果に対する肯定的な見解を受領したという。この試験では、Herceptinと化学療法(Xelodaまたは5-FU持続静注とcisplatin)の併用により、悪性度の高いがん患者の生存期間が延長されることが立証された。さらに、HER2高発現の患者の全生存期間中央値は、化学療法単独の患者が11.8ヵ月であるのに対して、Herceptin投与を受けている患者では16ヵ月だったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=NIHYDOPADRGFGCSSUIHCFEQ?documentId=doc_16801&lang=ja

32068.

企業の『喫煙対策』を始めるなら年始が一番!?

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカルカンパニーは、企業における禁煙啓発活動の一環として、全国の20歳代以上の企業の社長・役員(以下、経営陣)の男女500名を対象に、「禁煙と企業経営」に関する意識調査を2009年12月上旬に実施し、その結果を24日に報告した。調査結果では、企業の『喫煙対策』を開始する時期についての問いに、「年明けの始業日」(48.8%)が最も多く、次いで、「世界禁煙デー」(22.2%)、「営業期首」(17.8%)、4月1日(15.0%)となった。企業の『喫煙対策』に対して「賛成」(54.6%)の経営陣と、「どちらかといえば賛成」(23.4%)の経営陣を併せると、経営陣の大半が賛成(78.0%)という結果となった。また、多くの企業が『喫煙対策』を実施しており(77.0%)、実施している企業の半数以上が「分煙」(50.6%)だった。喫煙が企業にもたらすリスク要因で、経営陣が最も知っていた項目は、「従業員の健康への被害」(84.4%)で、最も知らなかった項目は、「約6坪の喫煙場所に、分煙のためにかかる維持管理費は、年間で数百万円」(15.8%)と最下位だった。詳細はプレスリリースへhttp://www.jnj.co.jp/group/press/2009/1224/index.html

32069.

中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群、ケンブリッジ・ダイエットで改善

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療の主要な選択肢として体重減少が推奨されており、軽度の場合の改善例はこれまでにも示されているが、中等度~重度の場合はどうなのか。スウェーデンKarolinska Institutet医学部肥満症部門のKari Johansson氏らの研究グループが、肥満男性で中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者を対象に、超低エネルギー食によるケンブリッジ・ダイエットで体重を落とした場合の影響を評価した。BMJ誌2009年12月12日号(オンライン版2009年12月3日号)より。通常の3分の1の超低エネルギー食、ケンブリッジ・ダイエットで体重減少試験は、Karolinska Institutet付属大学病院の肥満外来クリニックで、1センター2部門併行、無作為化対照オープンラベルにて行われた。治療割付にはブロック無作為化の手法が用いられた。対象は、中等度~重度(AHI〔無呼吸・低呼吸指数〕:≧15)の閉塞性睡眠時無呼吸症候群で、持続陽圧呼吸療法(CPAP)による治療が行われていた肥満男性63例(BMI:30~40、年齢30~65歳)。30例が介入群に、33例が対照群に無作為化された(うち対照群2例は割当に不満だとして直ちに中止。残りの患者は試験を完了した)。体重を落とすため介入群には、ケンブリッジ・ダイエットに従って液体超低エネルギー食(2.3MJ/日、参考:1MJ=239kcal)を7週間摂取した後、2週間にわたって徐々に標準食を導入し、9週時点で6.3MJ/日まで戻した。一方、対照群は9週の間、通常の食事を食べ続けた。主要評価項目はAHIで、無作為化された全患者のデータをintention to treat解析が行われた。超低エネルギー食治療の効果は重症ほど大きかった両群ともベースラインの平均AHIは、37/h(SD:15)だった。9週時点で、介入群は対照群より、平均体重は20kg(95%信頼区間:18~21)低く、平均AHIは23/h(同:15~30)低かった。介入群30例のうち5例(17%)は、介入後、症状がなくなり(AHI:30)と中等度(AHI:15~30)との比較で、体重減少は両群で同様だったが(-19.2対-18.2kg、P=0.55)、重度の患者の方が、ベースライン時AHIからの改善幅が有意に大きかった(AHI:-38対-12、P

32070.

オセルタミビル、その予防・治療効果に疑問符

ザナミビル(商品名:リレンザ)、オセルタミビル(同:タミフル)といったノイラミニダーゼ阻害薬の、健康成人のインフルエンザ症状に対する効果は「ささやかなものである」との報告が、Tom Jefferson氏らコクラン・急性呼吸器感染症共同研究グループによって発表された。ノイラミニダーゼ阻害薬(特にオセルタミビル)は世界的な抗インフルエンザ薬となり、インフルエンザ症状に対し予防効果があり、症状発現から48時間以内に服用すれば疾患期間が1日短くなると言われる一方、合併症への効果や毒性が議論の的にもなっている。BMJ誌2009年12月12日号(オンライン版2009年12月8日号)より。コクランデータベースから20試験を抽出・解析Jefferson氏らは、2005コクラン・レビューを更新するため、ノイラミニダーゼ阻害薬の効果(健康成人におけるインフルエンザ症状および感染拡大、合併症の予防と改善)と、有害反応の頻度推計を目的に、システマティックレビューとメタ解析を行った。論文検索は、コクランライブラリー2009(issue 2)、急性呼吸器感染症研究グループ専門レジスター、Medline(1950年~2009年8月)、Embase(1980年~2009年8月)、市販後調査データ、比較安全コホート研究から行った。選択基準は、季節性インフルエンザに罹患した健康成人に関するノイラミニダーゼ阻害薬の無作為化プラセボ対照試験とし、予防4試験、治療12試験、曝露後予防4試験の計20試験を選択した。主要評価項目は下気道感染症または類する症状の継続期間と発現率、有害事象とした。2人のレビュアーが基準を適用して、試験の質の評価、データ抽出を行った。データは予防、治療、有害事象ごとに、アウトカムと投与量でさらに細分化され解析された。合併症に効果なく、副作用データは過少報告か?予防に関しては、ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザ様疾患または無症候性インフルエンザに対する効果は認められなかった。診断がついたインフルエンザでの経口オセルタミビルは、75mg/日で有効率61%(リスク比:0.39、95%信頼区間:0.18~0.85)、150mg/日で73%(0.27、0.11~0.67)だった。吸入型のザナミビルは、10mg/日で62%(0.38、0.17~0.85)だった。曝露後予防では、オセルタミビルは家庭で行われた2試験でそれぞれ58%(95% CI 15~79%)と84%(49~95%)の有効率だった。ザナミビルも同様の試験が行われ、インフルエンザ様疾患が軽減するまでの時間に関するハザード比は、オセルタミビル1.20(1.06~1.35)、ザナミビル1.24(1.13~1.36)だった。合併症に関する試験(未発表8試験)は不適格として除外された。残った試験データのエビデンスから、オセルタミビルがインフルエンザに関連した下気道合併症を緩和しなかったこと(リスク比:0.55、95%信頼区間:0.22~1.35)、また嘔気を誘発することも明らかになった(オッズ比:1.79、95%信頼区間:1.10~2.93)。なお、研究グループは、市販後調査の「ごくまれ」とする有害事象のエビデンスは、質が悪いか、過少報告された可能性があると指摘している。以上を踏まえ研究グループは、「ノイラミニダーゼ阻害薬の効果はささやかで、曝露後のインフルエンザには効果的だが、これはインフルエンザ様疾患の一部に過ぎず、このアウトカムでは効果的な治療薬とは言えない。季節性インフルエンザの症状を軽減させるオプションと考えるべき」と述べている。また、良質なデータが不足していることは、オセルタミビルのインフルエンザ合併症予防に関する過去の所見を蝕んでしまった。それによって生じた疑念を解消するには独立した無作為化試験が必要だと結論づけている。

32071.

日本初の、子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」 2009年12月22日発売

グラクソ・スミスクライン株式会社は、子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」を、12月22日に発売した。サーバリックスは、日本初の子宮頸がん予防ワクチンであり、日本では、同社がワクチン事業を展開する最初のワクチンとなる。同社が10月16日に厚生労働省から製造販売承認を取得しており、世界ではすでに100ヵ国以上で承認されている。接種対象者は10歳以上の女性で、通常、1回0.5mLを3回(初回、初回から1ヵ月後、初回から6ヵ月後)、上腕の三角筋部に筋肉内接種する。また同社は、一般向けの子宮頸がんウェブサイト allwomen.jp(http://allwomen.jp/)を通じて、子宮頸がんの情報に加え、サーバリックス発売日以降、ワクチン接種可能な医療機関を検索できるようにした。携帯サイトからもアクセスできる。詳細はプレスリリースへhttp://www.glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000601.html

32072.

急性心筋梗塞後の抗血栓薬の併用数が多いと出血リスクが高まる

 初回心筋梗塞患者では、使用された抗血栓薬の数が多くなるに従って出血による入院のリスクが増大することが、デンマークCopenhagen大学Gentofte病院循環器科のRikke Sorensen氏らによる調査で明らかとなった。急性心筋梗塞の発症後は、虚血イベントの低減を目的にアスピリン(商品名:アスピリンなど)とクロピドグレル(同:プラビックス)の併用投与が推奨されているが、さらにビタミンK拮抗薬(同:ワーファリンなど)の追加が適応となる場合もある。一方で、抗血栓薬の多剤併用療法は出血リスクを高めるというジレンマがあるが、これまでに実施された臨床試験では主に効果に焦点が当てられ、安全性に関する検討は乏しいという。Lancet誌2009年12月12日号掲載の報告。初回心筋梗塞患者4万例を後ろ向きに解析 研究グループは、急性心筋梗塞に対する抗血栓療法に関連した出血による入院のリスクを検討するために、デンマークの全国的な登録データを基にレトロスペクティブな解析を行った。 2000~2005年までに初回心筋梗塞で入院した30歳以上の患者40,812例が解析の対象となった。退院時に処方されたレジメンによって、アスピリン、クロピドグレル、ビタミンK拮抗薬の単剤療法、アスピリン+クロピドグレル、アスピリン+ビタミンK拮抗薬、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬の2剤併用療法、これら3剤の併用療法に分類した。 薬剤曝露を時変的共変量とするCox比例ハザードモデルを用いて、出血による入院、心筋梗塞の再発、死亡について評価した。出血リスクは、アスピリン単剤が最も低く、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群と3剤併用で実質的に高い 平均フォローアップ期間476.5日における出血による入院率は4.6%(1,891/40,812例)であった。 年間出血発生率(/人・年)は、アスピリン単剤群が2.6%と最も低く、クロピドグレル単剤群は4.6%、ビタミンK拮抗薬単剤群は4.3%、アスピリン+クロピドグレル併用群は3.7%、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用群は5.1%、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群は12.3%であり、3剤併用群は12.0%であった。クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群と3剤併用群は実質的に発生率が高かった。 アスピリン単剤群をreferenceとすると、出血の補正ハザード比はクロピドグレル単剤群が1.33、ビタミンK拮抗薬単剤群が1.23、アスピリン+クロピドグレル併用群が1.47、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用群が1.84、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群が3.52、3剤併用群は4.05であった。ビタミンK拮抗薬単剤群を除き、アスピリン単剤群よりも有意に出血リスクが高かった。 1年に1例の出血が発現するのに要する抗血栓療法施行例数は、アスピリン+クロピドグレル併用群が81.2例、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用群が45.4例、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群が15.2例、3剤併用群は12.5例であり、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群と3剤併用は実質的に出血リスクが高かった。 試験期間中に心筋梗塞を再発あるいは死亡した症例の割合は、非致死的出血が見られなかった群の18.4%(7,178/38,960例)に対し、非致死的な出血をきたした群は37.9%(702/1,852例)と有意に高かった(ハザード比:3.00、p<0.0001)。 著者は、「心筋梗塞患者では、使用された抗血栓薬の数が多くなるにしたがって出血による入院のリスクが増大した」と結論したうえで、「3剤の併用やクロピドグレルとビタミンK拮抗薬の併用療法は、個々の患者のリスクを徹底的に評価し、リスク/ベネフィット比を注意深く考慮したうえでなければ処方すべきでない」と指摘する。

32073.

HPV-16/18ワクチンの子宮頸がん長期予防効果を確認

HPV-16/18 AS04アジュバントワクチン(商品名:サーバリックス)の接種により、6年以上が経過しても子宮頸がん発生に対する良好な予防効果が持続することが、カナダAlberta大学のBarbara Romanowski氏らが実施したフォローアップ試験で確認された。子宮頸がんは女性の悪性腫瘍のうち世界で2番目に頻度が高く、2002年にはほぼ50万人が新たに診断を受け約27万人が死亡しているが、その多くが開発途上国の女性だという。2001年に始まった本ワクチンの有効性に関する主試験の成果がすでに報告され、2003年に開始された長期フォローアップ試験についても2度の中間解析の結果が発表されている。なお、本ワクチンは日本でも2009年10月に承認を受けている。Lancet誌2009年12月12日号(オンライン版2009年12月3日号)掲載の報告。6.4年のフォローアップ試験と主試験の解析研究グループは、HPV-16/18 AS04アジュバントワクチンの有効性、免疫原性、安全性について評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験の接種後6.4年におけるフォローアップデータの解析を行った。スクリーニング時にHPV-16/18血清反応陰性、発がん性HPV DNA(14タイプ)陰性で細胞診が正常と診断された15~25歳の女性が、ワクチン接種群(560人)あるいはプラセボ群(553人)に無作為に割り付けられた。フォローアップ試験には3ヵ国27施設から登録された776人(ワクチン群393人、プラセボ群383人)が参加した。HPV DNA検査用の子宮頸部検体は6ヵ月毎に採取された。細胞診で異常所見を認めた場合の管理法は事前に規定され、HPV-16/18抗体力価の検査が行われた。HPV-16、HPV-18あるいは両方の子宮頸部感染に対するワクチンの長期的な予防効果について評価した。6.4年の時点におけるフォローアップ試験とともに、主試験の解析も行った。主要評価項目である有効性に関してaccording-to-protocol(ATP)解析を行い、grade 2以上の子宮頸部上皮内がん(CIN2+)については全ワクチン接種者(TVC)を対象に解析を行った。接種後6.4年の予防効果は95.3%、抗体濃度は自然感染の12倍以上を維持主試験とフォローアップ試験の統合解析ではワクチン群465人とプラセボ群454人についてATP解析を行い、TVC解析の対象となったのはそれぞれ560人、553人であった。HPV-16/18感染に対するワクチンの予防効果は95.3%であり、12ヵ月持続感染の予防効果は100%であった。CIN2+の予防効果は、HPV-16/18関連病変については100%、HPV DNA非検出病変では71.9%であった。HPVに自然感染した女性は新たに同型のHPVに感染しやすい状態が続くが、これは自然感染後の抗体濃度がHPVの予防には十分でないためとされる。今回、ELISA法で測定したところ、ワクチンで誘導された抗体濃度は、HPV-16、HPV-18ともに自然感染による抗体濃度の12倍以上が維持されていた。安全性のアウトカムは両群で同等であり、フォローアップ試験中に重篤な有害事象を発現したのはワクチン群が8%(30/373人)、プラセボ群は10%(37/369人)であった。そのうちワクチン接種に関連、あるいはその可能性があると判定されたものはなく、死亡者も認めなかった。著者は、「HPV-16/18 AS04アジュバントワクチンは、接種後6.4年が経過しても極めて良好な長期的有効性を示すとともに高い免疫原性が持続し、良好な安全性が確認された」と結論し、「本ワクチンはHPV DNAが検出されない病変やHPV-31、HPV-45の予防効果をも併せ持つことが確認された。今回のデータからは、HPV-16/18の予防効果はさらに長期にわたって持続すると予測される」としている。(菅野守:医学ライター)

32074.

新規抗血小板薬cangrelorのPCI前投与、クロピドグレルとの比較で優越性認められず

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行例への抗血小板薬として、新規開発中の非チエノピリジン系のADP受容体P2Y12阻害薬cangrelorの前投与(静注)は、チエノピリジン系のクロピドグレル(商品名:プラビックス)との比較で優越性は認められないことが報告された。現行ガイドラインでは、PCI時のリスク低減のためにクロピドグレル投与が推奨されているが、その効果は非常に不安定である。そのためcangrelorに、迅速性、予測可能性、可逆性という点での優越性が期待され大規模国際的な第III相無作為化試験が行われた。試験は薬剤投与がPCI前「CHAMPION PCI」とPCI後「CHAMPION PLATFORM」の2試験が行われたが、いずれも同様の結果が報告されている。本論は、CHAMPION PCIからの報告で、NEJM誌2009年12月10日号(オンライン版2009年11月17日号)で掲載された。全死因死亡・心筋梗塞・虚血による血行再建術の複合を主要エンド有効性ポイントにCHAMPION PCIは、急性冠動脈症候群でPCIを受ける患者を、cangrelor群(30μg/kgをボーラス静注後、4μg/kg/分を注入)とクロピドグレル群(600mgを経口投与)に無作為に、二重盲検ダブルダミーの実薬対照に割り付け行われた。cangrelor静注は、PCIの30分前より2時間以上もしくはPCI終了時(いずれか長時間の方)まで行われた(担当医の判断で4時間継続静注も可)。有効性の主要エンドポイントは、48時間時点での全死因死亡・心筋梗塞・虚血による血行再建術の複合とした。試験は70%の中間解析時点で、cangrelorの優越性が低いことが判断され、もう一方のCHAMPION PLATFORMでの70%中間解析でも同様の結果が得られた時点(2009年5月)で、試験登録は打ち切られた。そのためCHAMPION PCIには14ヵ国268施設から8,877例(当初予測の98.6%)が参加、PCI施行例はそのうち8,716例だった。48時間時点のオッズ比1.05主要エンドポイントの発生は、cangrelor群は7.5%、クロピドグレル群7.1%で、cangrelor群がクロピドグレルに優れることはなかった(オッズ比:1.05、95%信頼区間:0.88~1.24、P=0.59)。30日時点でも同様だった。また大出血(ACUITY基準に準拠)の発生率は、cangrelor群(3.6%)がクロピドグレル群(2.9%)に比べ、統計的に有意に近い差で高かった(オッズ比:1.26、95%信頼区間:0.99~1.60、P=0.06)。ただしその症例は、TIMI基準による大出血、GUSTO基準の重大あるいは致死的出血ではなかった。第2エンドポイント(予備解析)の全死因死亡・Q波心筋梗塞・虚血による血行再建術の複合は、cangrelor群で低下の傾向が見られたが、有意ではなかった(0.6%対0.9%、オッズ比:0.67、95%信頼区間:0.39~1.14、P=0.14)。(医療ライター:武藤まき)

32075.

dabigatranによる急性静脈血栓塞栓症治療の有効性、安全性はワルファリンと同等

直接トロンビン阻害作用を持つdabigatranは、血液凝固モニタリングを要せず、急性静脈血栓塞栓症治療において、ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)の代替薬としての可能性が期待されている。カナダ・マクマスター大学のSam Schulman氏らが無作為化二重盲検非劣性比較試験「RE-COVER試験」で有効性、安全性を検討した結果、いずれも同等であることが報告された。NEJM誌2009年12月10日号(オンライン版2009年12月6日号)掲載より。定量dabigatranとINRワルファリンを無作為割り付けRE-COVER試験は、発症初期に中央値で9日間(4分位範囲8~11日)にわたり非経口の抗凝固療法を施行された急性静脈血栓塞栓症患者を対象とした。被験者は、dabigatran投与群(150mgを1日2回経口投与)と、ワルファリン投与群(プロトロンビン時間国際標準比〈INR〉2.0~3.0維持を基準に経口投与)に割り付けられ追跡された。 主要評価項目は、投与開始から6ヵ月時点の、客観的に確かめられた静脈血栓塞栓症の再発と関連死の発生とした。安全性エンドポイントは出血イベント、急性冠症候群、その他の有害事象と肝機能検査結果などとした。抗凝固効果は同等、モニタリング不要という点でdabigatranが優位?再発は、dabigatran群1,274例の患者のうち30例(2.4%)で、ワルファリン投与群1,265例のうち27例(2.1%)でそれぞれ発生した。リスク差は0.4パーセンテージ・ポイント(95%信頼区間:-0.8~1.5、事前特定された非劣性マージンP

32076.

大豆製品の摂取は、乳がん患者の総死亡率を約3割削減

大豆製品の摂取は、乳がん患者の総死亡率を約3割削減する可能性があるようだ。以前から大豆製品に含まれるイソフラボンは、エストロゲン受容体調節因子として乳がんリスクの削減効果があると予想されていた。一方で、イソフラボンにはエストロゲン類似作用があり、乳がんを促進するのではないかとの懸念、さらにはイソフラボンとタモキシフェン(商品名:ノルバデックスなど)の相互作用可能性に関する心配もあった。報告は、米国Vanderbilt大学疫学センターのXiao Ou Shu氏らが、中国人の乳がん患者5,000人超について前向きに調べた大規模住民ベースコホート試験「Shanghai Breast Cancer Survival Study」の結果で、JAMA誌2009年12月9日号で発表されている。大豆摂取の最多四分位範囲群、最小四分位範囲群に比べ死亡ハザード比は0.71研究グループは2002年3月~2006年4月にかけて、20~75歳の乳がん患者、合わせて5,042人に対し調査を開始し、2009年まで追跡した。乳がんの診断後6ヵ月、18ヵ月、36ヵ月、60ヵ月のそれぞれの時点で、治療法や生活習慣、病気の進行度などについて調査を行った。被験者のうち、切除術を行わなかった9人を除く、5,033人について分析を行った。追跡期間の中央値は3.9年(0.5~6.2年)で、その間の死亡は444人、乳がんの再発または乳がんによる死亡は534人だった。その結果、大豆製品の摂取が最も多い四分位範囲群は、最も少ない四分位範囲群に比べ、総死亡に関するハザード比は0.71(95%信頼区間:0.54~0.92)、再発または乳がんによる死亡に関するハザード比は0.68(同:0.54~0.87)だった。エストロゲン受容体陽性・陰性やタモキシフェン服用にかかわらず、死亡リスク減補正後4年生存率は、大豆製品摂取が最も多い四分位範囲群が7.4%、最も少ない四分位範囲群が10.3%だった。再発または乳がんによる死亡の発生率は、同摂取の最多四分位範囲群が8.0%、最小四分位範囲群が11.2%だった。また、こうした傾向は、エストロゲン受容体陽性・陰性にかかわらず、認められた。さらに、タモキシフェンの服用・非服用者の両方で、同傾向が見られた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

32077.

群発頭痛の症状緩和に高流量酸素治療が有効

群発頭痛の症状緩和には、高流量酸素治療が有効であることが、英国ロンドンNational Hospital for Neurology and NeurosurgeryのAnna S. Cohen氏らの調べで明らかにされた。現在、急性の群発頭痛に対して公認されている治療法は、スマトリプタン(商品名:イミグラン)の皮下注射のみである。JAMA誌2009年12月9日号で発表された。高流量酸素100%を12L/分で吸入研究グループはロンドンにあるNational Hospital for Neurology and Neurosurgeryで2002~2007年にかけて、国際頭痛学会(International Headache Society)の基準で群発性頭痛の認められた、109人(18~70歳)について、二重盲無作為化プラセボ対照交差試験を行った。被験者はそれぞれ4回の頭痛について、高流量酸素治療とプラセボ治療を交互に受けた。高流量酸素群は、群発頭痛の発症時に、高流量酸素100%を12L/分の割合で顔マスクから吸入した。15分後の痛み消失は、高流量酸素群で78%、プラセボ群は20%分析対象としたのは、反復発作性群発頭痛の57人、慢性群発頭痛の19人だった。第1エンドポイントの、治療開始後15分の痛みの消失が認められた割合は、プラセボ群が20%(95%信頼区間:14~26%、148発作)だったのに対し、高流量酸素群では78%(同:71~85%、150発作)と有意差が見られた(p

32078.

肝細胞がん治療剤「ミリプラ」1月発売

大日本住友製薬株式会社は12月21日、肝細胞がん治療剤「ミリプラ動注用70mg」(一般名:ミリプラチン水和物)を、2010年1月20日付で発売すると発表した。同剤専用の懸濁用液として「ミリプラ用懸濁用液4mL」(一般名:ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル)も同時に発売するとのこと。「ミリプラ動注用70mg」は、「ミリプラ用懸濁用液4mL」に懸濁して肝動脈内に投与する。ミリプラは、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルへの懸濁性に優れている。また、肝動脈内投与後は腫瘍局所に滞留し、長期間に渡って白金成分が徐放され、全身への曝露は少ないという。同社の臨床試験では、再発率の高い肝細胞において、初回治療だけでなく、肝切除等の他の治療後に再発した患者に対しても良好な抗腫瘍効果を示したとのこと。また、本治療法で知られている一般的な副作用が認められたが、本治療法に精通した施設においては忍容可能なものであったという。本剤投与による肝動脈の血管障害の報告もなかったとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20091215.pdf

32079.

塩分の摂り過ぎで脳卒中と心血管疾患リスクが増大、メタ解析で明らかに

過去40年に実施されたプロスペクティブ試験のメタ解析の結果、塩分摂取量が多いと、少ない場合に比べ脳血管および心血管イベントの発生リスクが増大することが確認された。実験的研究、疫学調査、そして介入試験によっても、習慣的な塩分摂取量と血圧の間の因果関係が示され、減塩により高血圧患者だけでなく正常血圧者においても有意な降圧が得られることが報告されている。しかし、これらのうち十分な統計学的なパワーを持つ臨床試験はほとんどなく、また現状では同様の臨床試験を行うには大きな困難が伴うという。そこで、イタリア・ナポリ大学医学部臨床・実験医学科のPasquale Strazzullo氏らは過去の臨床試験のメタ解析を行い、BMJ誌2009年12月5日号(オンライン版2009年11月24日号)で報告した。塩分摂取量の多寡と脳卒中、心血管疾患リスクの関連を検討した前向き試験のメタ解析研究グループは、習慣的な塩分摂取と脳卒中、心血管疾患のアウトカムの関連について評価するために、プロスペクティブ試験に関する系統的なレビューを行い、メタ解析を実施した。1966~2008年までの医学関連データベースを検索した。適格基準を満たした論文から相対リスクおよび95%信頼区間(95%CI)を抽出し、分散逆数で重み付けした変量効果モデルを用いてプールした。不均一性および出版バイアスを評価し、サブグループ解析、メタ回帰解析を行った。適格基準には、1)成人を対象としたプロスペクティブな試験、2)ベースラインにおける塩分摂取の評価、3)アウトカムとしての脳卒中あるいは心血管疾患の評価、4)少なくとも3年以上のフォローアップ、5)個々の塩分摂取量別の対象人数およびイベント発生数の記述があることなどが含まれた。1日の塩分摂取量が5g多いと脳卒中が23%、心血管疾患が17%増える13の試験から19の独立コホートのサンプルが得られ、17万7,025人が解析の対象となった。フォローアップ期間は3.5~19年、脳血管および心血管のイベント数は1万1,000件以上にのぼった。塩分摂取量が多い群は、少ない群よりも脳卒中のリスクが有意に高く(相対リスク:1.23、95%CI:1.06~1.43、p=0.007)、心血管疾患リスクは有意差はないものの高い傾向が見られた(相対リスク:1.14、95%CI:0.99~1.32、p=0.07)。有意な出版バイアスは認めなかった。心血管疾患について感受性解析を行ったところ、1つの試験を除外するとプールされた相対リスクの推定値が1.17(95%CI:1.02~1.34)となり、有意な差が示された(p=0.02)。これら関連性は、塩分摂取量の差が大きくなるほど、またフォローアップ期間が長くなるにしたがって増強した。本試験における塩分摂取量の多い群と少ない群の摂取量の差の平均値は約5g/日(小さじ1杯分)であった。西欧諸国の習慣的な1日塩分摂取量は約10gである(東欧やアジア諸国はさらに多い)が、この5g分を減塩するとWHOの推奨摂取量である5g/日となる。著者は、「塩分摂取量が多いと、脳卒中および心血管疾患のリスクが有意に増大し、このリスクは摂取量依存性に上昇することが示された」と結論し、「塩分摂取量の測定の不正確さゆえに、効果量(effect size)が過小評価されている可能性がある」としたうえで、「心血管疾患を予防するには、一般人口における実質的な減塩の役割が大きいことが示唆される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

32080.

パンデミックの経済への影響、疾患そのもの以上に大きな要因が

インフルエンザによるパンデミックのイギリス経済への影響については、疾患そのものよりも、学校閉鎖と「普段の生活」とのバランス、および有効なワクチンの十分な備蓄が重大な決定要因であることが、イギリス・ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のRichard D Smith氏らによる推計で示された。パンデミックへの備えとして、経済的損失を最小限に止めるための「普段の生活(business as usual)」の維持と、健康への悪影響を最小限にするための「社会距離戦略(social distancing、感染者と非感染者の接触を減少させる方策、学校や職場の閉鎖など)」とのバランスをとることが重要とされる。しかし、不安による行動の変化や政府による職場および学校の閉鎖が経済に実質的なインパクトを及ぼし、経済的損失と健康上のベネフィットのバランスが崩れる可能性があるという。BMJ誌2009年12月5日号(オンライン版2009年11月19日号)掲載の報告。パンデミックの深刻度別のシナリオにおける経済的インパクトを評価研究グループは、公表されたデータを用いて、インフルエンザによるパンデミック、ワクチンの効果、学校閉鎖、予防的欠勤がイギリス経済に及ぼすインパクトについて一般均衡モデルによる推計を行った。最新の適切なイギリス経済データとして2004年度のデータを用い、国内総生産(GDP)、各経済セクターの生産高、等価変分(equivalent variation)に関して、パンデミックの深刻度別のシナリオ(3段階の発病率と3段階の致死率の組み合わせ)におけるワクチン接種、学校閉鎖、予防的欠勤の経済的インパクトを評価した。学校閉鎖と予防的欠勤は大きな経済的損失をもたらし、有効なワクチンは損失を軽減する疾患のみに関連したコストは、低致死率のシナリオの場合はGDPの0.5~1.0%に相当し、高致死率のシナリオでは3.3~4.3%、極度の致死率では6.0~9.6%に達した。学校閉鎖の経済的インパクトは、軽度のパンデミックのシナリオの場合に特に大きかった。広範な行動の変化が起き、大規模な予防的欠勤が生じた場合には、経済的損失は著明に増大し、健康上のベネフィットはほとんど得られなかった。パンデミック前にワクチン接種を行った場合は、GDPの0.13~2.3%に相当する額が損失されずに済んだ。適合ワクチンの1回接種ではGDPの0.3~4.3%が損失されずに済み、2回接種では全シナリオを通じて経済的損失はGDPの約1%にまで抑制された。著者は、「インフルエンザによるパンデミックのイギリス経済への影響については、疾患そのものよりも、学校閉鎖と“普段の生活”とのバランス、および有効なワクチンの十分な備蓄が重大な決定要因であり、感染への不安による予防的欠勤はかなりの経済的損失をもたらす可能性がある」と結論している。また、「パンデミックの深刻度が最も低い場合でも、ワクチン接種に要するコストよりも、それによって得られる経済的恩恵の方が大きい。高~極度のパンデミックの場合は、適合ワクチン接種が、不安による行動変化がもたらす未曾有の経済的損失を回避する唯一の方法となる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

検索結果 合計:34056件 表示位置:32061 - 32080