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痛みの治療薬をどう選択するか 「抗うつ薬」

「抗うつ薬の鎮痛薬としての使用法とその具体例」独協医科大学医学部 麻酔科学講座 濱口眞輔氏2009年以降に発売された抗うつ薬、ミルタザピン、デュロキセチン、エスシタロプラムを中心に、その使用経験を含め解説する。まずミルタザピンであるが、この薬剤はNaSSA(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)とよばれ、構造的には四環系抗うつ薬に近い。2006年の海外の報告では、頭痛、腰背部痛、腹筋・筋膜性等の痛み、三叉神経痛、CRPS等594人の慢性痛患者に対しミルタザピン投与を投与した結果、80%の患者で無痛または中等度以上の改善を示している。用量設定は、15mg錠の1規格のみで、最大用量は3錠と増量もシンプルに行える。ただし、実際の使用にあたっては眠気を経験されている臨床医もおられると思う。また、体重増加についても報告があり、糖尿病患者などには注意が必要である。デュロキセチンは、日本ペインクリニック学会の神経障害性疼痛薬物療法アルゴリズムにも入っている。さらに最近では、糖尿病性神経障害痛に対する効能・効果の追加が承認された。デュロキセチンは、既存のSNRIよりノルアドレナリンの再取り込み阻害作用が強く、ドーパミン系の再取り込み作用が少ないといわれている。また、各神経伝達物質と受容体に対しての親和性が低く、抗コリン作用が少ない、α1遮断作用など副作用を抑えた抗うつ薬ともいわれるようである。離脱症候群は比較的軽度であるといわれ、これも安全に使うためには有利な点であると考えられる。デュロキセチンの実際の使用法であるが、用量設定20mgのカプセルのみで、3カプセルが最大である。日本のII相・III相試験では朝食後だったが、実際には少し眠気がでるため夕食後がよいという患者もいるようである。最後に、最近承認された薬剤でエスシタロプラムがある。SSRIの中で最も選択的な5-HT再取り込み阻害作用を有するといわれる。H1受容体に介した傾眠や沈静が発現する可能性は有しているが、これまで眠気が問題となり中止した症例は経験していない。論文では、抑うつをもっている患者の痛み強度を、最大用量でコントロール群に比して有意に減少させたという報告もある。また、痛みの減少は抑うつ状態のスコア変化で補正しても認められ、エスシタロプラム鎮痛効果は抗うつ作用とは独立していると報告している。実際の使用法であるが、用量設定は10mg錠のみで、最大用量は20mgとシンプルである。抗うつ薬の鎮痛機序として、最近は下降性痛覚抑制系以外の可能性も示唆されており、今後の研究が進められていくことと思う。とはいえ、新しい抗うつ薬は薬剤費が高い。患者の医療費負担と症状の改善、双方を考慮した有効な薬剤選択が必要だと考えている。

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痛みの治療薬をどう選択するか 「抗てんかん薬」

「抗てんかん薬の使い方」広島大学病院 手術部 大下恭子氏鎮痛薬としての抗てんかん薬の歴史は、1960年代のジフェニルヒダントイン、カルバマゼピンの三叉神経痛に対する報告から始まっている。その後、コントロールスタディや動物実験の疼痛モデルにおいて、鎮痛効果が次々と報告されるようになった。 1998年にRCTで帯状疱疹後神経痛に対するガバペンチンの有効性が報告され、米国でもガバペンチンの帯状疱疹後神 経痛への適応が承認され、国際疼痛学会でのアルゴリズムでも第一選択薬として発表されるに至っている。本邦の日本ペインクリニック学会の薬物治療アルゴリズムにおいても、Caチャネルα2σリガンドであるプレガバリンとガバペンチンが第一選択薬となっており、ほかの抗てんかん薬も、第一選択、第二選択、第三選択で効果が出ない場合に考慮してもよいオプションとして、その他に分類されている。それらガイドラインのアルゴリズムのもとになったのは、多くのRCTとNNTの指標であるが、ガバペンチン、プレガバリンはオピオイドや三環系抗うつ薬と並んでNNTが低く、有効性の高い薬物として分類されている。しかしながら、そのガイドラインにも問題点が指摘されている。RCTの対象疾患が限られた疾患であること、2剤の効果の直接的比較研究が少ないこと、長期予後を評価したものが少ないこと、臨床を反映したコンビネーション処方による研究が少ないことである。今回、当施設麻酔科外来において、抗てんかん薬のうちプレバカリンとクロナゼパムについて3年間の処方状況調査を行った。痛みの種類を持続痛・発作痛・誘発痛の3つに分け、投薬開始直前と投薬後の2点で患者に聴取しNRSで評価、同時に痛みの性状についても別の評価を行った。まず処方状況であるが、プレガバリン処方開始前はクロナゼパムが多かったが、プレガバリン処方開始後は、プレガバリンの処方件数が伸びている。プレガバリン処方患者数は、2012年3月までで114名。そのうち73名でプレガバリン開始後に痛みの改善を自覚している。投薬疾患は、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹の急性期の痛み、各種の神経障害を呈する疾患が多い。プレガバリン処方全症例でのNRSの変化をみると、持続痛・発作痛・誘発痛、いずれも開始後に有意差をもって低下している。他剤との併用も含め64%の症例で鎮痛効果を認めた。プレガバリンとの併用薬は、ほかの抗てんかん薬が26%、抗うつ薬が37%、オピオイドが31%であった。痛みの性状別でみると、ほとんどの痛みの性状で軽減を示しているが、しびれるような痛みを訴える患者では有効率が低く出ている。クロナゼパムについては、他剤との併用例を含め48%、約半数の症例で鎮痛効果を認めた。クロナゼパム処方症例全体ではNRSは減少傾向にあるものの、有意な変化はみられなかった。ただし、有効症例に限って変化をみると、持続痛、発作痛、誘発痛いずれも有意にNRSの低下をみている。痛みの性状と治療効果を検討すると、灼けるような痛み、電気が走るなどの発作性痛みや誘発痛に対して高い有効性を示していた。ただ、プレガバリンと同様にしびれるような痛みに関しては有効症例が少なかった。副作用はプレガバリン、クロナゼバムともに眠気やふらつきの副作用が他剤と比較して高い頻度で出ていた。副作用による中止症例はプレガバリンで6例、クロナゼバムで2例だった。抗てんかん薬とひとくくりにいっても、さまざまな作用機序がある。今後、作用機序の異なる薬物の併用が有効である可能性が考えられる。

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「慢性の痛み」へのオピオイド適正使用を考える

非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター 住谷昌彦氏非がん性疼痛におけるオピオイド鎮痛薬の位置づけ2010年、国際疼痛学会(IASP)は「疼痛治療を受けることは基本的人権である」とするモントリオール宣言を採択している。その中でもオピオイド鎮痛薬は多くの痛みの病態に対する有効性が確立した薬剤であり、非がん性疼痛患者のQOLを大きく改善することにつながるため、その役割は非常に重要である。がん性疼痛と非がん性疼痛の治療戦略は異なる。がん終末期の侵害受容性疼痛、いわゆるがんの内臓痛に対しては、WHOが3段階除痛ラダーを提案している。第一段階は NSAIDsやアセトアミノフェンなど、中等度の痛みには第二段階の弱オピオイド、非常に強い痛みには第三段階の強オピオイド、というものである。この場合、オピオイド鎮痛薬については用量上限を決めず必要量を投与すること、疼痛が増強した場合は速放剤を投入すること、必要があれば静脈投与も実施することとなっている。だが、これはあくまでも終末期のがん性疼痛に対するストラテジーであり、非がん性の慢性疼痛に対する治療は大きく異なる。非がん性疼痛でのオピオイド鎮痛薬の使用については、用量上限を設け、頓用は行わないなどの原則がある。非がん性慢性痛に対し、WHO3段階除痛ラダーを適用するケースを見受けることがあるが、適切な治療戦略にしたがったオピオイド治療を行う必要がある。非がん性疼痛における侵害受容性疼痛変形性股関節症や変形性の膝関節症など非がん性の侵害受容性疼痛に対し、オピオイド鎮痛薬の使用はもっとも高いエビデンスレベルで認められている。日本ペインクリニック学会でもオピオイド使用が必要な患者に対して積極的に使うべきであると推奨している。今回発表された「非がん性慢性疼痛に対するオピオイド処方ガイドライン」では、オピオイド鎮痛薬の上限用量は経口モルヒネ換算120mg/日以下とし、徐放剤を推奨している。一方、オピオイドの頓用、静脈投与は原則行わない事としている。これには、頓用や静脈投与によるオピオイド鎮痛薬の血中濃度が不安定な状態の繰り返しが招く依存性や耐性形成を防止するという理由がある。非がん性疼痛における神経障害性疼痛非がん性疼痛の中でも神経障害性疼痛は治療抵抗性である事が多い。2011年、日本 ペインクリニック学会が発行した「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」では、第一選択薬として三環系抗うつ薬、Caチャネルα2δリガンドであるプレカバリンやガバペンチン 、第二選択薬として、SNRI抗うつ薬デュロセキチン、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含(ノイロトロピン)、抗不整脈薬メキシレチン、第三選択薬として、麻薬性オピオイド鎮痛薬が推奨されている。このオピオイド鎮痛薬については、非がん性疼痛としての添付文書の適応を遵守したうえで、前出の「非がん性慢性疼痛に対するオピオイド処方ガイドライン」に基づき、徐放剤を推奨する、疼痛増強時の頓用および静脈投与もしないなどの原則があてはめられる。非がん性疼痛における中枢機能障害性疼痛中枢機能障害性疼痛は、central dysfunctional painといわれ、疼痛の下行性抑制系の機能減弱が原因とも考えられているが、その本態は十分解明されていない。実臨床では、治癒後も痛みが残る外傷や手術後の遷延性疼痛、線維筋痛症や慢性の腰背部痛などがこれにあたる。中枢機能性疼痛に対するオピオイド使用の是非については国際的にも統一見解はない。この疾患概念に対しては、他の代替療法が無効の場合に限り、オピオイドの使用を検討し、用量は最小用量にとどめるべきとされている。また、このようなケースでは、心理・情動的影響や精神疾患に対する評価が重要だといわれており、オピオイド鎮痛薬使用時には、より入念なフォローアップが必要である。がん終末期の神経障害性疼痛一方、がんの終末期の神経障害性疼痛、たとえば脊髄に浸潤しているような場合、麻薬性鎮痛薬を第一選択薬として使用することは妥当だと考えられる。国際疼痛学会のレコメンデーションにも、 オピオイドは神経障害性疼痛に対しても有用で、その効果の発現が早さから積極的に痛みが強い場合や終末期の場合には使っていくとある。終末期の場合、オピオイド鎮痛薬は上限を決めず必要量を投与し、疼痛増強時の速放剤頓用、必要時には静脈投与も実施するといったがん性疼痛の治療原則が支持されるが、がんの治療中あるは生命予後が十分にある場合には、痛みが非常に強くても、モルヒネ120mgの上限、徐放剤推奨など非がん性疼痛の治療原則は遵守されるべきである。今回のガイドラインのキーメッセージ今回の非がん性疼痛に対するオピオイド処方ガイドラインのキーメッセージは、(1)オピオイドを用いて患者の生活を改善すること、(2)オピオイドの乱用・依存から患者を守ること、(3)オピオイドに関する社会の秩序を守ること、である。そのためには、慢性疼痛、オピオイド、薬物依存に関する知識と経験を有する医師の育成、そして、痛みの原因理解、薬の管理、疼痛の緩和目標理解という患者側の啓発が重要である。このような資質を持つ医師と患者の信頼関係の上に、適切なオピオイド使用が成り立つ。非がん性疼痛におけるオピオイド使用はすでに特殊なこととはいえない。オピオイドを適切に用い、患者の利益につなげていくべきであると考える。

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活動性関節リウマチに対する新規経口薬のトファシチニブ単独療法

 活動性関節リウマチ患者に対し、新規経口薬のトファシチニブ(開発コードCP-690, 550、本邦では承認申請中)の単剤療法は、プラセボと比較して関節リウマチの徴候・症状を軽減し身体機能を改善することが、米国・Metroplex Clinical Research CenterのRoy Fleischmann氏らによる第3相無作為化試験の結果で示された。NEJM誌2012年8月9日号掲載の報告。トファシチニブは、関節リウマチの標的免疫調節薬および疾患修飾薬として研究されている経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で、炎症性サイトカインなどを対象とする現在の関節リウマチ薬とは異なる新しい作用機序の経口薬である。トファシチニブ単独療法(5mg、10mg)群とプラセボ群の3ヵ月時点の有効性を評価試験は611例の患者を対象とし、6ヵ月治療コースで検討する第3相二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験だった。治療コースは、(1)トファシチニブ5mgを1日2回投与群、(2)トファシチニブ10mgを1日2回投与群、(3)プラセボ投与3ヵ月+トファシチニブ5mg 1日2回投与を3ヵ月群、(4)プラセボ投与3ヵ月+トファシチニブ10mg 1日2回投与を3ヵ月群で、4対4対1対1の割合で無作為化された。被験者は、米国リウマチ学会基準(ACR)で活動性関節リウマチと判定され、1種類以上の非生物学的または生物学的な疾患修飾薬で効果不十分であるなどを適格条件とした。主要有効性エンドポイントは、3ヵ月時点での3つの評価で、トファシチニブ単独療法(5mg、10mg)群とプラセボ群とを比較して行われた。1つはACRが20%以上改善した患者(ACR 20)の割合で、2つ目が健康評価質問票-機能障害指数(HAQ-DI、スコア範囲0~3で高スコアほど機能障害が大きい)のベースラインからのスコアの変化、3つ目が(赤血球沈降速度に基づく28関節疾患活動性[DAS28-4(ESR)、スコア範囲0~9.4で高スコアほど疾患活動性が高い]のスコアが寛解達成基準の2.6未満となった患者の割合だった。ACR 20、HAQ-DIスコアは単独群が有意結果、ACR 20の基準を満たした患者の割合は、プラセボ群よりもトファシチニブ単独療法群が高率だった(トファシチニブ5mg群59.8%、トファシチニブ10mg群65.7%、プラセボ両複合群26.7%、各単独群とプラセボ群の比較はいずれもp

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心臓移植待ち小児の生存率、新たな補助人工心臓で有意に上昇

 心臓移植待機リスト上位に位置する重度心不全の小児に対し、新たに開発設計された体外式補助人工心臓装置は、これまでの体外式心肺補助(ECMO)と比べて有意に高い生存率を示したことが、米国・テキサス小児病院のCharles D. Fraser, Jr.氏らによる前向き試験の結果、報告された。移植までのブリッジ使用可能な機械的循環補助オプションは小児では限られており、唯一の頼みの綱とされていたのがECMOだった。しかし、その使用は重大合併症が起きるまでの10~20日間に限られ、移植までに結びつくのは40~60%という。NEJM誌2012年8月9日号掲載の報告。心臓移植待機中の16歳未満患児48例について前向き試験検討された新たな補助人工心臓(VAD)は「Excor Pediatric Ventricular Assist Device」(Berlin Heart社)で、ECMOと比較する前向き単群試験が2007年5月~2010年12月に、16歳未満の心臓移植待機中の患児48例を登録して行われた。患児は体表面積に基づき2つのコホート(コホート1:0.7m2未満、コホート2:0.7m2以上1.5m2未満)に24例ずつ分けられ検討された。2つのコホートの生存期間について(心臓移植実施時点または回復により機械から離脱した時点でデータを検閲)、それぞれにECMOを受けた傾向スコア適合ヒストリカル対照群(適合ECMO群1と2、2群とも48例)と比較した。生存期間は有意に改善、ただし重篤な有害事象が多発結果、コホート1(年齢中央値1歳、体重中央値9kg)は、174日時点でも生存期間中央値のデータ検閲に至っていなかったが、適合ECMO群1の生存期間中央値は13日と算出されていた(log-rank検定p

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AD患者におけるパッチ剤切替のメリットは?

 2011年、わが国では新たなアルツハイマー型認知症(AD)治療剤が複数承認された。中でも、唯一の経皮吸収型製剤であるリバスチグミンパッチ(以下、リバスチグミン)はAD治療の新たな選択肢として期待されている。では、経皮吸収型製剤の使用は、どのようなメリットをもたらすのか? Tian氏らは初めてドネペジルを使用する症例がリバスチグミンに切り替えた際の、アドヒアランスへの影響を後向きコホート研究にて検討した。その結果、1年以内にリバスチグミンへ切り替えを行った症例ではアドヒアランスの向上が期待できることを、Alzheimer Dis Assoc Disord誌オンライン版2012年8月12日号で報告した。 2004~2009年のMarketScan CommercialとMedicare data setsを使用した。治療日数カバー比率(PDC)およびドネペジルとリバスチグミンのPDCの差は切り替え時から算出し、1年間のフォローを行った。PDCは治療可能な薬剤日数/フォローアップ期間日数にて算出した。主な結果は以下のとおり。・772例が対象となった(平均年齢:77歳、男女比:42%:58%)。・リバスチグミンへの平均切り替え日数は579日(SD=317.3)であった。・リバスチグミンの平均PDCはドネペジルからの切り替え時と比較し、3ヵ月以内で切り替えた症例(80.4% : 90.7%、p=0.04)、7~9ヵ月以内に切り替えた症例(61.3% : 71.0%、p=0.05)で高かった。・アドヒアランスを年単位で分析したところ、1年以内にリバスチグミンに切り替えた症例ではドネペジルで治療を継続した症例に比べ、有意にアドヒアランスが高かった(PDC:69.3% : 60.6%、p=0.0004)。関連医療ニュース ・中等度~高度ADに対するドネペジル+メマンチンの有効性/安全性の検討 ・ドネペジル「新たな抗血管新生治療」の選択肢となりうるか? ・抗うつ薬切替のベストタイミングは?

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 『あめいろぐピックアップ』(第三回)透析をやめるとき

Medical U of South Carolinaで腎臓内科研修中サウスキャロライナ医科大学腎臓内科三枝 孝充(さいぐさ たかみつ)2012年8月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。紹介:「あめいろぐ http://ameilog.com/ 」は米国で働く日本人医療従事者による情報発信ブログポータルサイトです。米国で活躍する様々な専門科の医師やコメディカルが、現場から生き生きとした情報を日々発信しています。このシリーズでは、その中から選りすぐりの記事を皆さまにお届けします。「透析をやめるとき」余命6ヶ月といわれた患者に積極的な治療でなく緩和医療(palliative care)をオファーすることに抵抗は少ないと思いますが、余命が同程度と思われるESRD(末期腎不全)患者に透析を提供しないまたは透析をやめることに抵抗を感じる人は多いと思います。USRDS(米国腎臓データシステム)の統計( http://nihonjinken.kilo.jp/nichibei/figure/palliative_ESRD.pdf )によるとアメリカでは様々な理由から透析を行っている5人に1人の割合で透析から離脱しています。これは驚くことにESRDの死亡原因の3位(カナダでは2位)にあたる高い数字です。この中にはおそらく腎不全以外の理由で延命治療を施さない人も含まれていると思いますが、それでも日本では透析を中止する割合が

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3剤の降圧薬を処方しても降圧できないときの4剤目、5剤目

 利尿薬を含めた3剤併用によっても降圧目標に至らないケースは、わが国の実地医科における報告でも13%、ハイリスク例を数多く含み、プロトコルが順守される大規模臨床試験においてはその割合は30〜50%にまで上る。わが国で最も多く処方されている3剤併用療法は、ARB、Ca拮抗薬、利尿薬であるが、これら3剤を併用しても目標血圧に到達しない場合の次の処方を選択するエビデンスはほとんど見当たらない。 フランスで行われたオープン無作為化比較試験の結果によると、これら3剤に、4剤目としてアルドステロン拮抗薬、5剤目としてループ利尿薬を追加していく治療計画は、4剤目としてACE阻害薬、5剤目としてβ遮断薬を追加していく治療計画より有意に収縮期血圧を低下させた。この結果はJorunal of Hypertension誌8月号に発表された。 ARB、Ca拮抗薬、利尿薬の3剤併用によってもABPMで評価した昼間血圧が135/85mmHg未満に到達しない治療抵抗性高血圧患者167名が、下記の2つのグループに無作為化割り付けられた。2種の治療は、12週後のABPMで測定した昼間収縮期血圧が主要評価項目として検証された。順次的ネフロン遮断群 (n=85) 4剤目:アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトン)25mg/日を追加 4週目未達の場合、5剤目:ループ利尿薬(フロセミド)20mg/日を追加 8週目未達の場合、フロセミドを40mg/日に増量 10週目未達の場合、6剤目:カリウム保持性利尿薬(アミロライド)5mg/日を追加順次的レニン・アンジオテンシン(RA)系遮断群 (n=82) 4剤目:ACE阻害薬(ラミプリル)5mg/日を追加 4週目未達の場合、ラミプリルを10mg/日に増量 8週目未達の場合、5剤目:β遮断薬ビソプロロールを5mg/日を追加 10週目未達の場合、ビソプロロール10mg/日に増量主な結果は下記のとおり。(1) 順次ネフロン遮断群で、順次RA系遮断群より昼間収縮期血圧を10mmHg低く降圧した  (P

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インフルエンザウイルスキット「ブライトポックFlu」新発売

塩野義製薬株式会社は20日、体外診断用医薬品、インフルエンザウイルスキット「ブライトポックFlu」を9月11日に新発売することを発表した。「ブライトポックFlu」は、インフルエンザウイルスによる感染を迅速に診断する検査キット。同製品は高い感度(陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する割合)と特異度(陰性と判定されるべきものを正しく陰性と判定する割合)を有しており、患者さまの鼻腔や咽頭から採取した検体中のインフルエンザウイルスA型抗原およびB型抗原について、陽性判定を最短1分で行うことが可能である。ブライトポックFluの製品概要は以下のとおり。・測定方法:イムノクロマト法(A型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスをそれぞれ認識するモノクローナル抗体を用いた測定法)・使用目的:鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、鼻汁鼻かみ液および咽頭ぬぐい液中のインフルエンザA型抗原およびB型抗原の検出(インフルエンザウイルスA型およびB型感染の診断補助)・包装単位:10回用/箱・貯蔵方法:2~30℃で保存・有効期間:製造後24ヵ月・製品特長: (1)陽性判定が1分から可能 (2)高い感度と特異度 (3)カラーのラインで抗原識別が容易 (4)綿棒としてフロックスワブを採用・発売日:2012年9月11日・希望小売価:1箱10回要 11,500円(税抜き)・販売:塩野義製薬株式会社・製造販売元:株式会社ニチレイバイオサイエンス詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/120820.pdf

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(4)〕 シチコリン、急性虚血性脳卒中に対する有効性示せず:ICTUS試験

シチコリンは神経血管の保護と修復作用を併せ持つ新規薬剤で、動物モデルでは虚血発作から数時間後でも急性の脳損傷の抑制や機能の回復効果を示すことが報告され、統合解析で有効性のエビデンスが示されていた。ICTUS(international citicoline trial on acute stroke)試験は、急性虚血性脳卒中に対するシチコリンの有効性を検証する国際的な多施設共同プラセボ対照無作為化試験として実施され、対象は中等度~重度の急性虚血性脳卒中による入院患者とされた。発症後24時間以内にシチコリンあるいはプラセボを投与する群[1~3日は12時間ごとに1,000mgを静注投与し、その後6週間は12時間ごとに錠剤(500mg)×2錠を経口投与]に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、90日後の3つの指標に基づく総合評価による回復の達成[NIHSSスコア≦1、mRS≦1、Barthel index≧95]とされ、安全性は、rt-PA治療後の症候性脳出血、神経学的増悪、死亡について評価された。 2006年11月26日~2011年10月27日までに2,298例が登録され、シチコリン群に1,148例(平均年齢72.9歳、70歳以上67.4%)が、プラセボ群には1,150例(同:72.8歳、67.6%)が割り付けられた。しかし、3回目の中間解析で、2,078例のデータに基づき両群間に有効性および安全性の差は認めないと判定され、試験は中止された。 本邦におけるシチコリンは、1981年に販売開始となり、多くの症例に投与されてきた。1996年には再評価結果が公表され、現在の適応は、頭部外傷の意識障害、脳手術の意識障害、脳梗塞急性期の意識障害、脳卒中片麻痺の上肢機能回復促進、(急性膵炎、術後の急性膵炎、慢性再発性膵炎の急性増悪期)とされている。これまでエビデンスレベルの高い研究は行われておらず、ICTUS試験の結果が注目されていたが、残念ながら「シチコリンは、中等度~重度の急性虚血性脳卒中の治療においてプラセボを上回る効果は認めなかった。」と結論された。

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検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学

 末梢神経障害による気分障害を伴う神経障害性疼痛はQOLに影響を及ぼす重大な問題である。最近の研究では、大脳辺縁系の脳由来神経栄養因子(BDNF)の欠乏がpain-emotion(痛みの感情)を生じさせることが示唆されている。BDNFは4-メチルカテコール(4-MC)により培養神経細胞で誘発されるが、pain-emotionにおけるBDNFの役割は十分にわかっていない。山口大学 福原氏らは、BDNFが末梢神経障害後の慢性疼痛時に脳やうつ病様症状に対しどのように関与しているかを評価し、脳室内の4-MCが慢性疼痛を防ぎ、抗うつ効果を発揮するかどうかを検討した。その結果、BDNFの強化はうつ病を伴う慢性疼痛の新たな治療戦略となる可能性があることをCell Mol Neurobiol誌2012年8月号にて報告した。 PE-10チューブを脳室内に移植されたSDラットに対し、慢性狭窄損傷(CCI)を行った。痛みの指標として、Paw-Withdrawal-Latency(PWL)にてCCI後のマウスが熱刺激によって後肢を動かすまでの時間を計った。また、CCI後14~21日目まで強制水泳試験(FST)を実施しうつ病を伴う神経障害性疼痛モデルラットを作成した。痛みと情動行動の調節はPD0325901(MEK1/2インヒビター)の注射により行われた。CCI後14~21日目までの期間中に3日間連続で脳室内に4-MC(100nM)を投与した。4-MCの鎮痛効果および抗うつ効果を阻害するため、抗BDNF抗体またはK252a(TrkB受容体阻害薬)を4-MCと共に投与した。また、4-MCの鎮痛効果を確認するため、ナロキソンも同時投与した。主な結果は以下のとおり。・CCI後の慢性期において、うつ病様症状に関連したPWL(熱痛覚過敏)の持続的な減少が認められた。・PWL減少とうつ病様症状はPD0325901により有意に減少し、4-MCやERK1/2阻害薬による治療によっても減少した。・脳室内4-MCの効果は抗BDNF抗体、K252aにより逆転し、4-MCの鎮痛効果はナロキソンと拮抗した。・中枢神経系のpain-emotionネットワークにおいて、BDNFの欠如とERK1/2の活性化は慢性疼痛のうつ病様症状に関連している可能性が示唆された。・脳室内4-MCはBDNFを産生し、ERK1/2活性化を正常化することにより、慢性疼痛やうつ病様症状を改善する。関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチは? ・うつ病予防には「脂肪酸」の摂取を ・高齢者のQOL低下に深く関わる「うつ」

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米国在住HIV感染者のうち、米国外出生者は16.2%

 米国在住で2007~2010年にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の診断を受けた約19万人のうち、16.2%が米国外出生者だったことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のAdria Tassy Prosser氏らが、CDCに報告されたデータを調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月8日号で発表した。国内生まれの感染者と国外生まれの感染者とでは疫学的な特性が異なるという。米国外出生感染者の4割が、メキシコを含む中央アメリカ出生同研究グループは、CDCの「National HIV Surveillance System」を基に、2007~2010年にHIV感染の診断を受けた46州と5自治領の計19万1,697人について、その出生地を調べた。米国外で生まれた人は、米国市民権の有無にかかわらず米国外出生とした。その結果、19万1,697人のうち米国外出生者は3万995人で16.2%(95%信頼区間:16.0~16.3)だった。そのうち、出生地域の特定できた2万5,255人の出生地についてみると、14.5%(3,656人)がアフリカ、41.0%(1万343人)がメキシコを含む中央アメリカ、21.5%(5,418人)がカリブ海地域だった。米国外出生者の割合およびHIV感染者の割合ともに、カリフォルニア、フロリダ、ニューヨーク、テキサスの4州が最も高かった。異性間性交による感染、米国内出生感染者27%に対し米国外出生感染者39%米国外出生HIV感染者のうち、男性は73.5%(2万2,773人)だった。人種別に米国外出生者の割合をみると、白人は3.3%(1,841人/感染者5万5,574人)、黒人は10.0%(8,614人/感染者8万6,547人)、ヒスパニック系は42.2%(1万7,913人/感染者4万2,431人)、アジア系は64.3%(1,987人/感染者3,088人)だった。異性間性交による感染は、米国内出生感染者の27.2%だったのに対し、米国外出生感染者では39.4%に上った。

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被災地で心を病む人々と、ともに生きる―不幸な人?挑戦者? ―

相馬中央病院 副院長小柴 貴明2012年8月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。被災地 相馬市にある相馬中央病院周辺には、心の風邪に罹った患者さんが多い。風邪の程度は、軽いものから、かなりの重症まである。こういった患者さんは、診察室に入って来られた瞬間の表情が、どこか違う。うつむき加減で、来られる患者さん。険しい表情の患者さん。落ち着きのない患者さん。私は、仙台市の精神科医の友人から、相双地区から、多くの心を病む人が診察に来られるとの話を聞いた。震災以後、相双地区には、相当数の心を病む人がいるにも、かかわらず、そのような患者さんを専門に診る医者がほとんどいないのだという。このような、事情から相馬中央病院で、不眠や、不安、不定愁訴を訴える患者さんに、私は臓器移植やHIV感染症に携わってきた臨床医、研究者でありながら、精神科医のアドバイスを受け、心理医学療法を開始した。この仕事を始めようと考えた一つのきっかけは、あるサイコセラピストから、教わった、とても興味深い話。人の感情には、楽しい、うれしいなどのポジティブな感情と、悲しみ、怒り、恐怖などのネガティブな感情がある。人は、ポジティブな感情は、机の上に、ネガティブな感情は整理もせず、引き出しにしまってしまう。例えば、職場で嫌いな人への怒りを抑えなければ、人間関係に歪が入ったりする。しかし、ネガティブな感情をあるとき、敢えて引き出しから出して、整理する必要があるというのだ。ネガティブな感情を自分でも気づかないでいる人すらある。いつまでも、ネガティブな感情から逃げるのではいけない。自分のために認めてあげることで、病んだ心は少しずつ和らぐのだと、そのサイコセラピストは言う。仙台の精神科医の友人も、同意見であった。私は、最低30分の時間をかけて、心の風邪に罹った患者さんの机の引き出しを開き、封じ込まれたネガティブな感情を患者さんに認めてもらうように、努めている。7月25日は、朝9時から、夕方6時まで、昼食を取る間もなく、診察に来られる患者さんに、心の引き出しを開いて頂いた。そうして、新たなことに気付いた。受診される患者さんは、50代以降の高齢者。多くの人は、懸命に何十年もの間、悲しみ、怒り、恐怖 (例えば、幼少期の嫌な思い出、苦痛な人間関係) と戦ってきた。しかし、3.11 が起きて以降、これまでの長年の我慢の糸がプツンと切れてしまい、ついに心の病気となってしまったかのように見える。この世に生を受けた全ての人は、死を迎え永遠の休息を得るまで、必ず何かの苦悩を抱えて生きている。実に、3.11は、被災地の全ての人々の苦悩に、大きな追いうちをかけていたのだ。診察を受けられた患者さんには、家族、家が津波に流された人、仮設住宅に移って何時になったら元の家に戻れるかわからない人、仕事を失った人がおられる。私が封印された感情を引き出すと、多くの患者さんが咽び泣かれた。そして、この日、私の外来についてくれた 寺島和美看護師も、また、患者さんと一緒に涙を流した。はたして、患者さんの引き出しにしまわれていたネガティブな感情とは、なんだったのか?悲しみ?否。 怒り?否。 恐怖?否。私には、そのどれでもなく、もっともっと深遠なもの。言葉で表すことのできないほどの激しいものではないかと思われた。くたくたになって、帰宅してベッドに入った。しかし、その夜、私は、長時間にも亘る壮大な悲劇的シンフォニーを聞いたような興奮で、眠られぬ夜を過ごした。翌日、寺島看護師は、私に点滴を勧めた。彼女も同じく、眠れなかったという。彼女は細やかな心遣を、患者さんにだけではなく、私にも向けてくれた。点滴の最後の一滴が落下したとき、元気を取り戻した私は、彼女にこう言った。「私たちが、患者さんと共に、肩を落としてはいけない。私たちは、医療のプロ。咽び泣く患者さんは、不幸な人ではない。これから、立ち上がろうとする挑戦者。長距離ランナーが、疲れて、しばし道端に座りこんでいる。私たちは、懸命に生きる挑戦者たちと、ここでまた懸命にともに生きる。」その瞬間、私と同じく、睡眠不足で疲れきった表情をしていた寺島看護師の眼が、突如、キラッと輝いた。これからも、被災地の人々と、医療スタッフの果敢な挑戦は続く。

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世界で初めて家庭血圧計の測定値に基づいた降圧目標値を東北大学が検証 ーHOMED-BP研究の最終結果ー

 東北大学を中心に全国より457名の医師が参加して家庭血圧の適正な降圧目標値を検証した大規模無作為化比較試験HOMD-BP研究の最終結果が浅山 敬 氏によってまとめられ、Hypertension Research誌に発表された。この結果は8月16日に同誌のwebサイトにて「ADVANCE ONLINE PUBLICATION」として出版前に公開された。本研究では家庭血圧に基づき、125-134/80-84mmHgを降圧目標に薬物治療を強化していく通常コントロール群と、125/80mmHg未満を降圧目標とする厳格コントロール群のいずれかに無作為に分けられ、心血管イベントの発生を一次評価項目として実施されたが、厳格コントロール群で降圧目標に達した割合が有意に低く、両群間に一次評価項目で有意な差が認められなかった。 家庭血圧測定はある特定の1日だけでなく、長期間にわたり測定することが比較的簡単に行えるため、正確性、再現性、薬効評価などに期待が持てる。わが国では2005年においても臨床医の90%は患者に家庭血圧測定を勧め、高血圧患者の70%以上は家庭血圧計を所有している。しかし、現在のガイドラインの根拠となっている大規模臨床試験の結果は、すべて診察室血圧に基づいたものであり、家庭血圧の最適な降圧目標値の検証が求められていた。 そこで本研究は世界で初めて、家庭血圧計の測定値に基づき、降圧目標を定め、薬物治療を強化していく方法を採用し、最適な家庭血圧の降圧目標値と最適な初期薬物治療を検証するために、わが国で2001年より開始された。 本研究には457名の医師が参加し、3,518例の高血圧症例(家庭血圧の測定値が135-179/85-119mmHg)がエントリーされた。患者はまず、家庭血圧値125-134/80-84mmHgを降圧目標に薬物治療を強化していく通常コントロール群と、125/80mmHg未満を降圧目標とする厳格コントロール群のいずれか2群に無作為に割り付けられ、その後、初回治療としてACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬のいずれか3群に割り付けられ、2×3のマトリクスデザインによって研究が行われた。 主要評価項目としたエンドポイントは、心血管系疾患死、心筋梗塞、脳卒中のいずれかの発生とした。主な結果は下記のとおり。(1) フォローアップの中央値は5.3年。(2) 厳格コントロール群は通常コントロール群に比べ、多くの降圧薬を処方していた。   厳格群=1.82剤 vs 通常群=1.74剤(P=0.045)(3) 厳格コントロール群は通常コントロール群に比べ、家庭血圧の降圧度が大きかった。  〔収縮期血圧〕厳格群=22.7mmHg vs 通常群=21.3mmHg(P=0.018)  〔拡張期血圧〕厳格群=13.9mmHg vs 通常群=13.1mmHg(P=0.020)(4) しかし、降圧目標達成率は厳格コントロール群で有意に低かった。   厳格群=37.4% vs 通常群=63.5%(P

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(3)〕 急性虚血性脳卒中院内30日死亡リスクモデルの予測能がNIHSSスコアで改善

米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のGregg C. Fonarow氏らは、全米782ヵ所の病院で治療を受けた12万7,950人について追跡した結果、急性虚血性脳卒中30日院内死亡リスクモデルの予測能が、脳卒中の重症度を示す米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアを盛り込むことで、有意に改善することを明らかにした。NIHSSスコアを盛り込まない30日院内死亡モデルのC統計量は0.772(95%信頼区間:0.769~0.776)だったのに対し、盛り込んだ同モデルのC統計量は0.864(同:0.861~0.867)で識別能は有意に高かった(p<0.001)。また、30日院内死亡リスクモデルにNIHSSスコアを盛り込むことによる、ネット再分類改善度は93.1%(同:91.6~94.6、p<0.001)、統合識別能改善度は15.0%(同:14.6~15.3、p<0.001)だった。 NIHSSスコアは、t-PA静注療法の適応決定や予後予測において有用な示標とされ、本邦でもt-PA静注療法が考慮される脳梗塞超急性期にはこのスコアを用いることが必須とされている。今回の研究から、NIHSSスコアが急性虚血性脳卒中30日院内死亡リスクの予測にも役立つことが明らかにされ、急性虚血性脳卒中を扱う施設では、NIHSSスコアによる脳卒中の重症度評価とその幅広い臨床応用が求められる。

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寄稿 線維筋痛症の基本

廿日市記念病院リハビリテーション科戸田克広痛みは原因の観点から神経障害性疼痛(神経障害痛)と侵害受容性疼痛(侵害受容痛)およびその合併に分類され、世界標準の医学では心因性疼痛単独は存在しないという考えが主流である。通常、日本医学ではこれに心因性疼痛が加わる。線維筋痛症(Fibromyalgia、以下FM)およびその不全型は日本医学の心因性疼痛の大部分を占めるが、世界標準の医学では神経障害痛の中の中枢性神経障害痛に含まれる。医学的に説明のつかない症状や痛みを世界の慢性痛やリウマチの業界はFMやその不全型と診断、治療し、精神科の業界は身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断、治療している。FMの原因は不明であるが、脳の機能障害が原因という説が定説になっている。器質的な異常があるのかもしれないが、現時点の医学レベルでは明確な器質的異常は判明していない。脳の機能障害が原因で生じる中枢性過敏症候群という疾患群があり、うつ病、不安障害、慢性疲労症候群、FM、むずむず脚症候群、緊張型頭痛などがそれに含まれる。先進国においてはFMの有病率は約2%であるが、その不全型を含めると少なくとも20%の有病率になる。FMおよび不全型の診断基準は「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント -」に記載されている1)。医学的に説明のつかない痛みを訴える場合には、FMあるいはその不全型を疑うことが望ましい。FMもその不全型も治療は同一であるため、これらを区別する意義は臨床的にはほとんどない。薬物治療のみならず、禁煙、有酸素運動、患者教育、認知行動療法などが有効である。ただし、認知行動療法は具体的に何をすればよいかわからない部分が多く、それを行うことができる人間が少ないため、実施している施設は少ない。人工甘味料アスパルテームによりFMを発症した症例が報告されたため、その摂取中止が望ましい1)。当初は必ず一つの薬のみを上限量まで漸増し、有効か無効かを判定する必要がある。副作用のために増量不能となった場合や、満足できる鎮痛効果が得られた場合には、上限量を使用する必要はない。つまり、上限量を使用せずして無効と判断することや、不十分な鎮痛効果にもかかわらず上限量を使用しないことは適切ではない(副作用のために増量不能の場合を除く)。一つの薬の最適量が決まれば、患者さんが満足できる鎮痛効果が得られない限り、同様の方法により次の薬を追加する。これは国際疼痛学会が神経障害痛に一般論として推奨している薬物治療の方法である。2、3種類の薬を同時に投与することは望ましくない。どの薬が有効か不明になり、同じ薬を漫然と投与することになりやすいからである。世界標準のFMでは有効性の証拠の強い順に薬物を使用することが推奨されているが、その方法は臨床的にはあまり有用ではない。投薬の優先順位を決定する際には有効性の証拠の強さのみならず、実際に使用した経験も考慮する必要がある。さらに論文上の副作用、実際に経験した副作用、薬価も考慮する必要がある。FMは治癒することが少ない上に、FMにより死亡することも少ないため、30年以上の内服が必要になることがしばしばあるからである。FMの薬物治療においては適用外処方は不可避であるが、保険請求上の病名も考慮する必要がある。さらに、日本独特の風習である添付文書上の自動車運転禁止の問題も考慮する必要がある。抗痙攣薬、抗不安薬、睡眠薬、ほとんどの抗うつ薬を内服中には添付文書上自動車の運転は禁止されているが、それを遵守すると、少なくない患者さんの生活が破綻するばかりではなく、日本経済そのものが破綻する。以上の要因を総合して、薬物治療の優先順位を決めている1)。これにより医師の経験量によらず、ほぼ一定の治療効果を得ることができる。ただし、それには明確なエビデンスはないため、各医師が適宜変更していただきたい。副作用が少ないことを優先する場合や自動車の運転が必須の患者さんの場合には、眠気などの副作用が少ない薬を優先投与する必要がある。すなわち、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン) 、メコバラミンと葉酸の併用、イコサペント酸エチル、ラフチジン、デキストロメトルファンを優先使用している。痛みが強い場合には、有効性の証拠が強い薬、すなわちアミトリプチリン、プレガバリン、ミルナシプラン、デュロキセチンを優先使用している。抗不安薬は常用量依存を引き起こしやすいため、鎮痛目的や睡眠目的には使用せず、パニック発作の抑制目的にのみ使用し、かつ3ヵ月以内に中止すべきである。FMにアルプラゾラムが有効と抄録に書かれた論文2)があるが、本文中では有効性に関して偽薬と差がないという記載があるため、注意が必要である。ステロイドはFMには有害無益であり、ステロイドが有効な疾患が合併しない限り使用してはならない。昨年、日本の診療ガイドラインが報告された。筋緊張亢進型、腱付着部炎型、うつ型、およびその合併に分類する方法および各タイプ別に優先使用する薬は世界標準のFMとは異なっており、私が個人的に決めた優先順位と同様に明確なエビデンスに基づいていない。たとえば、腱付着部炎型にサラゾスルファピリジンやプレドニンが有効と記載されているが、それはFMに有効なのではなく、腱付着部炎を引き起こすFMとは異なる疾患に有効なのである。糖尿病型FMにインシュリンが有効という理論と同様である。薬を何種類併用してよいかという問題があるが、誰も正解を知らない。私は睡眠薬を除いて原則的に6種類まで併用している。1年以上投薬すると、中止しても痛みが悪化しないことがある。そのため、1年以上使用している薬は中止して、その効果が持続しているかどうかを確かめることが望ましい。引用文献1) CareNetホームページ カンファレンス Q&A:戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」2)Russell IJ et al: Treatment of primary fibrositis/fibromyalgia syndrome with ibuprofen and alprazolam. A double-blind, placebo-controlled study. Arthritis Rheum. 1991;34:552-560.

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うつ病はCOPD増悪・入院の独立した危険因子:久留米大学

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者はうつ病や睡眠障害を合併することが多いと言われている。そして、合併することで健康関連QOL(HRQOL)に悪影響を及ぼす。久留米大学 伊藤氏らはCOPD患者におけるうつ病および睡眠障害の影響を検討した。Respirology誌2012年8月号の報告。 40歳以上のCOPD患者85名とコントロール群46名のうつ病および睡眠障害に関して12ヵ月間調査を行った。COPDの診断にはスパイロメトリー、動脈血ガス分析を実施。HRQOLの評価尺度であるSGRQ(St. George's Respiratory Questionnaire)、うつ病自己評価尺度(CES-D: Center for Epidemiologic Studies Depression)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI:Pittsburgh Sleep Quality Index)により評価した。 主な結果は以下のとおり。・COPD患者ではコントロール群と比較し、うつ病および睡眠障害の有病率が有意に高く、相対リスクはうつ病で7.58(95%信頼区間:1.03~55.8)、睡眠障害で1.82(1.03~3.22)であった。・COPD患者ではCES-DとPSQIの間に相関関係があった。・うつ病および睡眠障害の発症率と有意に相関していた項目は、低BMI、重篤な呼吸困難、HRQOLの低さ、動脈血酸素分圧の低さ、動脈血二酸化炭素分圧の高さであった。・うつ病を伴うCOPD患者における症状増悪や入院に至る割合は、睡眠障害合併例やうつ病や睡眠障害を合併していない例と比較し有意に高かった。・うつ病はCOPD患者における症状増悪や入院の独立した危険因子であると考えられる。■関連記事ゲームのやり過ぎは「うつ病」発症の原因か?!気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(2)〕 運動不足解消の微妙な効果

運動不足の解消が0.68年寿命を延ばす。確かにそうかもしれない。日本人の摂取エネルギーは減少傾向にあり、正すべきは食事より運動不足の解消である、それは日本人にとってもあてはまるだろう。しかしちょっと待て、と思う。 40歳の人が毎日1時間運動して、16年間続けると約0.68年を運動に費やすことになる。さらに運動を24年間続けると、運動に費やす期間の合計は1年となってしまい、寿命の延びを相殺してしまうかもしれない。その1時間の運動の時間を、もっと自分の好きなことに使えば、0.32年長生きしたのと同じかもしれない。 1時間の運動を16年間続けて寿命が0.68年延びるのと、その1時間をのんびりソファで本でも読んで暮らすのと、どちらがいいかはほとんど好みの問題だ。寿命が延びるというコトバはわかりやすく魅力的だが、寿命を延ばすためにかける労力とのバランスで考えると、意外にその効果は大したことないのかもしれない。

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ACE阻害薬は肺炎リスクを減少、特に脳卒中、アジア人で大きい可能性

 ACE阻害薬とARBの肺炎リスクについて、ポルトガル・リスボン大学のDaniel Caldeira氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、これまで考えられていたようにACE阻害薬には肺炎に対する保護作用があることがエビデンスとして示された。また、「脳卒中既往」「アジア人」が最も大きな恩恵を享受できる可能性があることも示唆された。強力な支持データは不足していたが、肺炎関連死を抑制することも認められたという。BMJ誌2012年8月4日号(オンライン版2012年7月11日号)掲載報告より。システマティックレビューとメタ解析、適格試験は37件 Caldeira氏らによる検討は、PubMedを介したMedline、Web of Science、米国FDAのウェブサイトを2011年6月時点で検索して行われ、システマティックレビューと引用参考文献についても評価をした。解析対象試験は、2人の独立レビュワーにより、ACE阻害薬とARBの肺炎リスクとの関連を検討した無作為化対照試験、コホート試験、ケースコントロール試験を選出し、試験特性、推定データを取り出し分析した。適格試験は37件だった。 主要アウトカムは、肺炎罹患率とし、副次アウトカムは肺炎関連死とした。また、ベースラインで有していた疾患(脳卒中、心不全、慢性腎臓病)、患者特性(アジア人、非アジアン人)によるサブグループ解析も行われた。 主要アウトカムに関するデータが得られたのは、ACE阻害薬と対照治療とを比較検討した19試験、ARBと対照治療とを比較検討した11試験、ACE阻害薬とARBを直接比較検討した2試験だった。ACE阻害薬群は、対照治療群、ARB治療群よりも肺炎リスクが有意に減少 結果、ACE阻害薬群は対照治療群よりも[オッズ比:0.66、95%信頼区間:0.55~0.80、i2=79%]、またARB群よりも(直接的・間接的比較を合わせた推定オッズ比:0.69、0.56~0.85)、肺炎リスクの有意な減少が認められた。 サブグループ解析では、脳卒中患者において、ACE阻害薬群が対照治療群よりも(オッズ比:0.46、95%信頼区間:0.34~0.62)、またARBs群よりも(同:0.42、0.22~0.80)、肺炎リスクが低かった。 ACE阻害薬による肺炎リスクの低下は、非アジア人患者よりも(オッズ比:0.43、95%信頼区間:0.34~0.54)アジア人患者で有意に減少した(同0.82:0.67~1.00、サブグループ間p

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インフルエンザワクチン優先接種戦略、高齢化と獲得免疫が鍵

 世界各国にインフルエンザパンデミックへの対策プランがあり、ワクチン供給が不足した場合の優先接種方法が決められている。大半の国のプランは、他国やWHOの計画を基に作成されているが、オランダ・感染症疾病対策センターのAnna K Lugner氏らは、「各国の事情(人口構造、社会的接触パターン、医療システム、医療費構造)が異なるなかで、どのような優先接種方法が最も費用対効果に優れるのかは、これまで検証されていなかった」として、ドイツ、オランダ、イギリス3ヵ国を対象に4つの異なるワクチン戦略の費用対効果について比較検討する経済的疫学モデル研究を行った。BMJ誌2012年8月4日号(オンライン版2012年7月12日号)掲載報告より。想定パンデミック下で4つの戦略について3ヵ国の費用/QALYを算出し比較研究グループが検証したのは、異なる国で想定されるあらゆるインフルエンザパンデミックにおいても単一のインフルエンザワクチン接種戦略が費用対効果に優れるのかどうか、どの年齢群が資源注入によるベネフィットが最も高くワクチン接種を受けるべきか、また異なる国では異なる戦略が適用されるのかどうかについてだった。近接するが社会・文化的背景の異なるドイツ、オランダ、イギリス各国の社会的接触パターンや人口構造データを入手し、数理モデルを作成して解析した。各国で想定されるインフルエンザAウイルス伝播が描出された、ウイルス感受性・曝露・感染・リカバリー伝播を加味して作成した年齢群モデルを用いて、4つのワクチン接種戦略[ワクチン非接種、全員へワクチン接種、65歳以上高齢者へ接種、高伝播群(5~19歳)へ接種]を比較した。4つの戦略は、ワクチンがパンデミックの早期に接種可能だったかピーク時となったか、また全員がウイルス感受性が高く感染しやすい状態だったか、高齢者は免疫を獲得していたかについても評価された。主要評価項目は、1QALY(生活の質を調整した生存年)獲得に要する費用(費用/QALY)だった。高齢社会が顕著なドイツは65歳以上に、オランダとイギリスは5~19歳への接種戦略に軍配解析の結果、すべてのワクチン接種戦略が費用対効果に優れており、費用/QALYは非介入群と比較して介入群のほうが大きかった。費用/QALYの割合が大きかったのは、ワクチン接種がパンデミックピーク時となった場合、また高齢者が免疫を獲得していた場合だった。各国の1QALY獲得に要する費用は、ドイツが7,325ユーロ、オランダ1万216ユーロ、イギリス7,280ユーロだった。最も費用対効果に優れる至適戦略は、想定シナリオによってばかりでなく国によっても異なった。特にワクチンがパンデミック早期に接種可能な場合、また獲得免疫がなかった場合、最も費用効果に優れる接種戦略は、ドイツでは高齢者への接種戦略だったが(1QALY獲得に940ユーロ)、オランダとイギリスでは高伝播群への接種戦略だった(各国同525ユーロ、163ユーロ)。この違いは、ドイツでは高齢者の割合がオランダとイギリスに比べて有意に高いという各国人口構造の違いによるものだった。結果を踏まえLugner氏は、「どの国においても費用対効果に優れるという単一のワクチン接種戦略はなかった。今後、インフルエンザパンデミック緩和のための費用対効果に優れる選択肢の決定には、特に高齢者割合と獲得免疫が重要になるだろう」と結論している。

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