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GIP増加が肥満に対しても好影響をもたらす?

 これまでGIPは、齧歯動物において膵β細胞の増殖促進効果と、脂肪細胞における脂肪蓄積効果の両方を発揮することが明らかになっており、そのためGIP受容体アゴニストとアンタゴニストの両方が、2型糖尿病の治療薬になり得るとして検討されてきた。 しかし、今回、Kim SJ氏らの検討から、GIPを過剰発現させたトランスジェニック(Tg)マウスにおいて、膵β細胞機能、耐糖能、インスリン感受性の改善が認められ、さらに食餌誘発性肥満についても減少させたという結果が示された。2012年7月17日、PLoS One誌で公開された報告。この結果から、栄養過多状態におけるGIP過剰発現は、グルコース恒常性の改善とともに、脂肪減少効果をもたらす可能性があることが示唆された。 GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)は、食事によるブドウ糖刺激がもたらすインスリン分泌を促進する消化管ホルモンで、最近では、インクレチンホルモンとして注目されている。 本研究は、「GIPレベルの慢性的増加がグルコース恒常性に対しては改善効果をもたらすが、脂肪蓄積を促進させる」という仮説をトランスジェニック(Tg)マウスモデルを用いて検証したものである。主な結果は以下のとおり。・GIP Tgマウスで、膵β細胞機能、耐糖能、インスリン感受性の改善が認められ、さらに食餌誘発性肥満についても減少させた。・GIP Tgマウスで、高脂肪食により誘導された体脂肪量の減少が認められた。・脂肪組織マクロファージの浸潤と肝脂肪の両方が大きく減少した。・脂質代謝や炎症性のシグナリング経路に関係する多くの遺伝子が、下方制御されていることが明らかになった。・GIP Tgマウスにおける脂肪減少は、視床下部におけるGIP過剰発現がもたらす、エネルギー摂取量の減少と関係していた。

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気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加

 双極性障害は一般的に躁症状とうつ症状を繰り返し発症する疾患である。これらの症状の発症には、季節性の要因が関与していることも少なくない。Sung氏らは気温と双極性障害との関係を明らかにするため、台湾における精神科入院患者を対象としたコホート研究を行った。Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol誌オンライン版2012年7月5日号の報告。 双極性障害患者の入院増加に関して平均日中気温の相対リスクを評価した。台湾の中央気象局(CWB)から得られた気象データより、352地域の平均日中気温を算出した。1996年から2007年のPIMC(Psychiatric Inpatient Medical Claim)データより、国民医療保険制度に加入する精神科入院患者を選別した。ポアソン分布による一般化線形モデルにて解析を行った(内部相関と人口統計学的共変量により調整)。主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者における入院の相対リスクの増加は、とくに成人と女性において24.0℃以上(50th‰)の温度で相関が認められた。・最大のリスクは、最高日中気温30.7℃以上(99th ‰)であった。・双極性障害における各症状エピソードの再発を予防するにあたって、極度の暑さと双極性障害の入院増加との関係を理解することが重要であると考えられる。関連医療ニュース ・双極性障害の再発予防に有効か?「Lam+Div療法」 ・「双極性障害に対する薬物療法レビュー」WPA報告 ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ

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妊婦への新型インフルエンザワクチン接種、出生児のリスク増大認められず

妊娠中へのアジュバント新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種は、重大な先天異常や早産、胎児発育遅リスクを、非接種と比べて増大しないことが報告された。デンマーク・Statens Serum InstitutのBjo rn Pasternak氏らが、新生児5万例超の国内登録コホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月11日号で発表した。妊娠第1期の予防接種での重大先天異常リスクは接種群5.5%、非接種群4.5%研究グループは、2009年11月2日~2010年9月30日にデンマークで生まれた単胎児5万3,432例を対象とする登録コホート試験を行った。傾向スコアによるマッチング解析を行い、妊娠中のアジュバント新型インフルエンザワクチン(Pandemrix)接種の有無による、致死的転帰発生リスクを比較した。主要アウトカムは、重大な先天異常、早産、在胎齢に対する過少体重だった。母親が妊娠中にインフルエンザ予防接種を受けていたのは、13.1%(6,989例)だった。そのうち妊娠第1期の接種は345例、第2~3期接種は6,644例だった。妊娠第1期接種者についての傾向スコアマッチング(330例曝露群、330例非接種群)の結果、重大な先天異常が認められたのは接種群18例(5.5%)に対し、非接種群では15例(4.5%)だった(有病割合オッズ比:1.21、95%信頼区間:0.60~2.45)。早産、在胎齢に対する過少体重ともに、妊娠中ワクチン接種によるリスク増大認められず早産の発生についても、曝露群31例(9.4%)、非接種群24例(7.3%)と、有意なリスク増大は認められなかった(有病割合オッズ比:1.32、同:0.76~2.31)。早産については妊娠第2・第3期についても比較したが、同発生は第2・第3期接種群6,543例中302例(4.6%)、非接種群6,366例中295例(4.6%)と、リスク増大は認められなかった(有病割合オッズ比:1.00、同:0.84~1.17)。在胎齢に対する過少体重は、妊娠第1期では接種群25例(7.6%)、非接種群31例(9.4%)に認められた(有病割合オッズ比:0.79、同:0.46~1.37)。妊娠第2・第3期接種群では、6,642例中641例(9.7%)、同非接種群6,642例中657例(9.9%)だった(有病割合オッズ比:0.97、同:0.87~1.09)。

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新型インフルエンザワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは?

新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは、小さいながら有意にあることが報告された。カナダ・Laval大学のPhilippe De Wals氏らが、ケベック州で地域住民対象のコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月11日号で発表した。ケベック州では2009年秋に新型インフルエンザのパンデミックを受けてワクチン接種キャンペーンを展開した。その際多くの人がAS03アジュバントワクチン(Arepanrix)の接種を受け、年度末までに住民780万人のうち57%が同ワクチン接種を受けたという。ギラン・バレー症候群71人中、8週間以内のワクチン接種は25人研究グループは、2009年10月~10年3月の6ヵ月間、カナダのケベック州で住民ベースのコホート試験を行った。試験期間中にギラン・バレー症候群が疑われた、または診断された患者について、地域の医師からの報告と病院の退院報告書で確認した。インフルエンザワクチン接種については、地域の予防接種登録名簿などで確認し、ギラン・バレー症候群発症との関連を、ポアソンモデルと自己対照ケースシリーズ法で分析した。その結果、6ヵ月の試験期間中、ギラン・バレー症候群が83人に認められ、そのうち71人はブライトン分類評価で1~3であった。そのうち、発症前8週間以内に新型インフルエンザワクチンの接種を受けていたのは25人、そのうち19人が同4週間以内に接種を受けていた。発症リスク、ワクチン接種後8週間は1.8倍、4週間は2.75倍ポアソンモデル解析の結果、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後8週間は1.80(95%信頼区間:1.12~2.87)、同4週間は2.75(同:1.63~4.62)だった。自己対照ケースシリーズ法では、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断(42人)に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後4週間は3.02(同:1.64~5.56)だった。ブライトン分類評価1~3(36人)についてみた場合のリスクは2.33(同:1.19~4.57)だった。ワクチン接種のギラン・バレー症候群発症への寄与リスクは、100万人当たり2人だった。Wals氏は、「ワクチン接種によるベネフィットは、リスクを上回るようだ」と結論している。

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SGLT2阻害薬「イプラグリフロジン」の、BG薬併用下での安全性は?

 2型糖尿病患者に対する、SGLT2選択的阻害薬「イプラグリフロジン」のメトホルミン(商品名:メトグルコなど)併用下での安全性データが発表された。Veltkamp SA氏らによるClin Ther誌オンライン版2012年7月13日付での報告。 この結果、イプラグリフロジンとメトホルミンの14日間併用投与は、低血糖の発現なく、良好な忍容性を示し、イプラグリフロジンの併用は、メトホルミンの薬物動態(PK)特性には、臨床的変化はもたらさないことが明らかになった。 イプラグリフロジン(ASP1941)は、2012年7月現在、国内において臨床開発段階にある。 本試験の主要評価項目は、メトホルミン併用下におけるイプラグリフロジンの安全性プロファイルおよび忍容性。副次評価項目は、メトホルミンのPK特性に対するイプラグリフロジンの影響であった。 対象は、メトホルミン投与中(850mg、1,000mg、または1,500 mgを1日2回服用)の2型糖尿病患者36例。対象者は、イプラグリフロジン投与群(n=18、300mg/日)、またはプラセボ投与群[メトホルミン単独群](n=18)に二重盲検法で無作為化割り付けされ、それぞれ14日間投与された。 試験期間を通じて、低血糖イベント、試験治療下における有害事象(TEAEs)、実験室測定、バイタルサインを含めた安全性プロファイルが評価された。 また、最大血中濃度およびAUC(0-10)の幾何平均比と90%CIは、メトホルミン+ イプラグリフロジン群(14日目) vs メトホルミン単独群(1日目)で算出された。 薬力学的特性は、24時間尿糖排泄(UGE(0-24))測定によって評価された。 主な結果は以下のとおり。 ・すべてのTEAEsは、1例を除き軽度であった。・TEAEsは、イプラグリフロジン併用群で15回(7例/18例 [38.9%])、プラセボ群で19回(8例/18例 [44.4%])観察された。・治療関連のTEAEsは、イプラグリフロジン併用群で18例中3例(16.7%)、プラセボ群では18例中5例(27.8%)で報告された。・低血糖イベント(血糖値

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アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指すJSMO2012 第10回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナーより

今年の日本臨床腫瘍学会(以下、JSMO)学術集会は10周年記念大会として、"Beyond the Global Standard of Medical Oncology 縲弃erspectives from Asia縲鰀"をテーマとして掲げ 、7月26日~28日の3日間、大阪国際会議場で開催される。10ヵ所の講演会場とポスター会場を使い、1,000題を超えるプレゼンテーションが行われる。今年の学術集会の見どころを、13日に行われたプレスセミナーで、会長である近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門 教授 中川和彦氏が紹介した。設立10周年記念企画 7月26日、10周年記念企画「わが国における臨床腫瘍学の歩みと今後の展望」が開かれる。ここではJSMOがこの10年間どのように成長したか、今後どのような方向に向かっていくのか、歴代会長と現役会員がそれぞれの観点からディスカッションを行う。国際化への取り組みJSMOは、“アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指す”と宣言しているが、その宣言を反映するように、海外から一般演題を募集するという初めての試みを行っている。その結果、今回の1,135演題のうち122演題が海外からの応募演題となった。これら海外からの演題は12のインターナショナルセッションに配置しているが、予定以上の演題数に、急遽6のミニインターナショナルセッションも設け、プレゼンテーションの機会を与えている。 7月26日にはASCO、27日にはESMO、28日にはCSCO(中国)およびKACO(韓国)の各臨床腫瘍学会とのジョイントシンポジウムが行われる。ASCOからは次期ASCO会長であるDr.Swain、ESMO からは機関誌Annal of Oncologyの編集者でもあるDr.Vermorken、また、CSCO、KACOからもそれぞれClinical oncologyの第一人者が出席する。これらのシンポジウムでは、国内外の最先端の研究報告が期待される。また、このような活動を通し、JSMOは今後、海外、とくにアジアでのコンセンサスを形成する活動を目指していくという。プレナリーセッションすべての演題の中から重要度の高い7演題をプレナリーセッションに取り上げている。腎がん、乳がん、胃がん、大腸がん2題、肺がん2題の演題はすべてPhase3であり、いずれも非常にインパクトが高く臨床に直結した発表である。また、プレナリーセッション開催時は、その他の会場でのプログラムがなく、同セッションだけに集中できるスケジュールとなっている。プレナリーセッション演題は下記のとおり。1:「Phase III AXIS trial of axitinib vs sorafenib in patients with metastatic renal cell carcinoma: Asian subgroup analysis」Hirotsugu Uemura (Department of Urology, Kinki University School of Medicine, Osaka2:「A Phase III, Multicenter, Randomized Trial of Maintenance Versus Observation After Achieving Clinical Response in Patients With Metastatic Breast Cancer Who Received 6 Cycles of Gemcitabine Plus Paclitaxel as First-line Chemotherapy (KCSG-BR 0702, NCT00561119) 」Young-Hyuck Im (Samsung Medical Center)3: 「Randomized phase III study of irinotecan (CPT-11) vs. weekly paclitaxel (wPTX) for advanced gastric cancer (AGC) refractory to combination chemotherapy (CT) of fluoropyrimidine plus platinum (FP) : WJOG4007 trial」Nozomu Machida (Division of Gastrointestinal Oncology, Shizuoka Cancer Center)4: 「Results of a phase III randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter trial (CORRECT) of regorafenib plus best supportive care (BSC) versus placebo plus BSC in patients (pts) with metastatic colorectal cancer (mCRC) who have progressed after standard therapies.」Takayuki Yoshino (National Cancer Center Hospital East)5: 「Results of ML18147: A phase III study of bevacizumab in 2nd line mCRC for patients pretreated with bevacizumab in 1st line」Stefan Kubicka (District Clinic Reutlingen)6: 「LUX-Lung 3: afatinib vs cisplatin and pemetrexed in Japanese patients with adenocarcinoma of the lung harboring an EGFR mutation」Nobuyuki Yamamoto (Thoracic Oncology Division, Shizuoka Cancer Center)7: 「Maintenance pemetrexed (pem) plus best supportive care (BSC) vs placebo plus BSC after pem plus cisplatin for advanced nonsquamous NSCLC」C. K. Obasaju (Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN, USA)学会へ行こうプログラム今回は、市民との対話の機会を設けるなど、アカデミックなプログラム以外の活動も企画している。具体的には「学会へ行こうプログラム」を企画。市民の学会への参加を呼びかけるとともに、市民公開講座、ペイシェント・アドボケイト・プログラムなどを実施する。今まで当学会への市民参加は行ったことがなかったが、がん診療のあり方を変える取り組みとして、市民に参加してもらう機会を作りたいという意図から実施に至った。 この中で、最も注目されるイベントは7月26日14時30分から開催される公開シンポジウムである。「がん患者の必要としているがん医療縲恍n域でがん患者を支えるためには縲怐vと題し、司会に田原総一朗氏を招き、学会・マスコミの第一人者を集めて2部構成で開催される。第1部では、がん対策基本法が制定されてから、これまでどのようなことが変わってきたか? 第2部では、政府の新たな指針に対する検証、各方面からの要望などを議論する。教育講演今回の大会の目玉の一つとして、充実した教育講演がある。具体的には、日本の第一人者による32の教育講演を3日間続けて行う。内容は支持療法から臓器各論、標準治療、分子標的治療薬に至るまでさまざまなテーマで開催される。今年は、海外からの参加者も念頭に置き、同時通訳と英語スライドを使用するとのこと。また、7月27日8時からは、JSMO専門医会がケースカンファレンスを行う。乳がん、原発不明がん、大腸がんを取り上げ、どのように専門医が有効に働いていくのかを知る良い機会となる。今回の大会では、今年6月のASCOで発表された注目の演題も数多く取り上げられているが、それだけでなく、日本での臨床応用についてのディスカッションも行われる。これは日本の臨床腫瘍学にとって、非常に有益なことであり、将来はJSMOから世界に発信するということを目標としたい、と中川氏は語った。 (ケアネット細田雅之)

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日本語版COPDアセスメントテスト(CAT)は普及するか?

「日本語版COPDアセスメントテスト(CAT)は、高い信頼性と妥当性を有する、短く簡単な質問表として、COPD患者の健康状態を的確に評価するうえで役立つ可能性がある」と霧ヶ丘つだ病院の津田氏らが報告した。CATはCOPD患者の健康状態を評価したり、心理特性を確認するために用いられる質問票であり、近年、海外で普及が進んでいる。Respiratory investigation誌2012年6月号(オンライン版2012年6月19日号)掲載の報告。言語的検証を加えながら翻訳された日本語版のCATが、信頼性や妥当性を有するかを評価するため、40歳以上で喫煙歴を有する日本人のCOPD患者301例を対象にインターネットによる調査が行われた。 主な結果は以下の通り。 ・日本語版のCATは高い内部一貫性を示した(クロンバックのα信頼性係数:0.891)・COPDにおける疾患特異的な健康関連QOLの評価指標であるSGRQ(the COPD-specific St. George’s Respiratory Questionnaire)と高い相関関係がみられた(相関係数:0.820)。・日本で広く用いられている健康関連QOLの質問票であるSF-12v2との相関関係も認められた。 (ケアネット 鎌滝 真次)〔関連情報〕  呼吸器疾患治療を考える第2回(医師限定)

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なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

アルツハイマー病(AD)にはアミロイドβ(Aβ)に対する自己抗体レベルの減少が関与していると考えられている。また、生涯にわたるうつ病の罹患はADリスクを2倍に上昇させるともいわれていることから、うつ病患者においてAβに対する自己抗体の減少がみられている可能性がある。Maetzler W氏らはうつ病患者におけるADリスクと自己抗体の関係についての検証を試みた。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月5日の報告。うつ病患者214名を対象に、Aβ1-42、S100b(AD病態を増悪させるアストロサイト特異的蛋白)、αシヌクレイン(パーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変異疾患の原因物質)に対する血清IgG自己抗体の測定値について、対照群214名と比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・Aβ1-42に対する測定値は、生涯うつ病患者で対照群と比較し低かった(5544.6±389.3 :7208.7±482.4、p=0.048)。・S100b、αシヌクレインに対する測定値は、コホート間で同等であった。・本研究より、うつ病患者における体液性免疫応答によるAD様の機能障害が示唆された。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・うつ病を合併した糖尿病患者では認知症のリスク上昇 ・アルツハイマーの予防にスタチン!?

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5大医学専門誌の情報提供の質は改善したか?

論文アブストラクトのミスリードを解消することを目的に、2008年1月にCONSORT(consolidated standards of reporting trials)ステートメントによって発表されたガイドラインの影響について、英国・オックスフォード大学のSally Hopewell氏らが5大医学専門誌(AIM、BMJ、Lancet、JAMA、NEJM)を対象に検討した。結果、媒体によって異なる傾向がみられたという。BMJ誌2012年7月2日号(オンライン版2012年6月22日号)掲載報告より。ガイドライン発表後の、5大誌のアブストラクトに含まれる推奨項目の変化を比較CONSORTガイドラインでは、アブストラクトで無作為化試験の主要な結果を報告する際に示すべき項目を定めている。Sally Hopewell氏らは、影響力の大きい医学専門誌5誌を対象に、ガイドラインに対する各媒体の編集方針、ガイドラインの推奨項目がアブストラクトでどれだけ採用されているかなどを分割時系列分析にて調査した。2006~2009年に発表された無作為化試験に関する主要な報告60題(アブストラクト電子版がPubMedに登録されたもの)を対象とし、電子版のアブストラクトのないもの、2次試験の報告論文や経済分析がなされていない報告は除外した。対象学術誌は、ガイドラインに関する編集方針に即して、「著者に対する指示でガイドラインについて言及していない」(JAMA、NEJM)、「著者に対する指示でガイドラインがあることを紹介はしているが、実行ポリシーは特段に示していない」(BMJ)、「著者に対する指示でガイドラインがあることを紹介し、実行するための積極的なポリシーもある」(AIM、Lancet)の3つに分類され、2人の本分析担当者が各々、CONSORTのアブストラクトチェックリストに基づいてデータを抽出した。主要アウトカムは、CONSORT推奨の9項目(2006年に刊行された医学専門誌5誌に発表されたアブストラクトにおいていずれも50%未満しか報告されていなかった項目)の、選択アブストラクトに含まれる平均項目数とした。BMJ、JAMA、NEJMは、推奨項目採用の増加みられず無作為化試験に関する955件のアブストラクトが選択され評価された。結果、ガイドライン準拠の積極的ポリシーを有する学術誌では、報告された平均項目数の即座の増加がみられた(1.50項目の増加、P=0.0037)。ガイドライン発表後23ヵ月時点で、アブストラクトにみられたガイドライン推奨平均項目数は5.41/9項目で、介入前の傾向を基に推定した期待値より53%増加した。一方、ガイドライン準拠のポリシーが示されていない学術誌(BMJ、JAMA、NEJM)では、項目や傾向の増加がみられなかった。結果を踏まえて研究グループは、「学術誌のCONSORTアブストラクトガイドラインの積極的ポリシーは、無作為化試験に関するアブストラクトの情報提供の改善につながる可能性がある」と結論している。

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医学専門誌の別刷部数、医薬品企業からの資金提供と関連

英国・オックスフォード大学のAdam E Handel氏らは、資金提供と研究デザインが医学専門誌の別刷の大量注文とどれだけ関連するかを評価するケースコントロール研究を行った。その結果、医薬品企業による資金提供と大量の別刷注文との関連が認められたという。BMJ誌2012年7月2日号(オンライン版2012年6月28日号)掲載報告より。Lancetグループ3誌とBMJグループ4誌を評価出版された論文の別刷は、情報を広める有益な手段で、論文執筆者自身が別刷を要請する場合もあるが、最大の発注者は医薬品企業で、別刷は贈り物やサンプル品に次いで、医師の間で流通する主要な製薬会社のプロモーション材料となっている。製薬会社が資金提供した論文が掲載された学術誌の別刷を発注する場合もあるため、論文の別刷は利害関係を生む基ともなり、出版バイアスを招く可能性が示唆されている。Handel氏らは、医学専門誌7誌の2002~2009年のトップ論文を評価対象として別刷注文数による比較研究を行った。対象となったのは「Lancet」「Lancet Neurology」「Lancet Oncology」(以上Lancetグループ)、「BMJ」「Gut」「Heart」「Journal of Neurology、Neurosurgery & Psychiatry」(以上BMJグループ)で、別刷大量注文リストになかった同時期掲載の記事と照合した。主要評価項目は、資金提供と無作為化試験デザインまたはその他試験デザインとした。医薬品企業からの資金提供がある論文は大量の別刷注文の傾向7誌の別刷注文数の中央値は3,000部から12万6,350部の範囲に及んだ。大量の別刷注文があった論文は、対照論文と比べて医薬品企業からの資金提供を受けている傾向がみられた。企業資金提供vs. 他の資金提供または提供なしのオッズ比8.64(95%信頼区間:5.09~14.68)、資金提供が複数(mixed funding)vs. 他の資金提供または提供なしのオッズ比3.72(同:2.43~5.70)だった。また、無作為化試験の論文がその他試験の論文よりも、大量の別刷注文が多いという傾向はみられなかった(オッズ比:1.04、95%信頼区間:0.70~1.54)。

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MediTalking(メディトウキング)終了のお知らせ

CareNetからのお知らせみなさまにご愛顧いただきました「MediTalking(メディトウキング)」は、7月23日に予定しておりますCareNet.comサイトリニューアルに伴い、誠に勝手ながら2012年7月19日にてサービスを停止させていただきました。「エキスパートに質問(臨床、経営、特別企画)」に掲載のコンテンツは、以下のリンクよりご覧いただけます。エキスパートに質問(臨床)戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」顧問 鳥谷部俊一先生「床ずれの「ラップ療法」は高齢者医療の救世主!」准教授 長谷部光泉 先生「すべては病気という敵と闘うために 医師としての強い気持ちを育みたい」教授 福島統 先生「国民のための医者をつくる大学 この理念の下に医師を育成する」教授 富田剛司 先生「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」教授 川合眞一先生「関節リウマチ治療にパラダイムシフトをもたらした生物学的製剤」部長 中山優子 先生「がん治療における放射線治療医は多くの可能性をもつ魅力ある分野」副院長 教授 加藤良二 先生「人を助けるために何かをしたい。その動機が医師の原点となる」教授 鈴木康夫 先生「最先端の治療で難病患者を支える、グローバルな医療現場」教授 向井秀樹先生「患者さんと真摯に向き合う中から病態は解明される」准教授 高橋 寛先生「人と交わり、先端を目指せ!-ある整形外科医の挑戦-」講師 斎藤充先生「骨粗鬆症治療「50%の壁」を打破する「骨質マーカー」」教授 尾﨑重之先生「弁膜症治療の歴史を変える「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」」主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」教授 白井厚治先生「「CAVI」千葉県・佐倉から世界へ 抗動脈硬化の治療戦略」教授 中村正人先生「カテーテルの歴史とともに30年、最先端治療の場で」准教授 平山陽示先生「全人的医療への入り口」准教授 小早川信一郎先生「白内障手術の光と影」エキスパートに質問(経営)守屋文貴「やりがいと誇りをもって働ける組織を創るには?(前編)」守屋文貴「やりがいと誇りをもって働ける組織を創るには?(後編)」西岡 篤志氏「税務3回目 交際費の必要経費化・損金化のポイント」院長 井出広幸先生「医師に必要な経営能力、マネジメント能力を身につけるために」事務局長 三谷博明「患者さんに情報を正しく伝える、インターネット時代の広告のあり方」西岡 篤志氏「税務2回目 開業医に対する税務調査の実態と対応術」企画広報室長 宇佐美 脩氏「医師と患者の架け橋 -病院広報の現場」西岡 篤志氏「税務1回目 新医療法人のデメリット・誤解の解明」エキスパートに質問(特別企画)座長:岩田健太郎先生「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる:CareNet+Style連携特別企画」PubMed CLOUD作りました、「時間がない人」専用のPubMed

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うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

うつ病リスクの増悪にn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取量や血中レベルの低下が影響していると考えられているが、まだ明らかになってはいない。Park Y氏らは赤血球中のn-3系PUFAや魚類の摂取量がうつ病リスクと負の相関を示すのではないかと考え、この仮説を明らかにするためケースコントロール研究を行った。Ann Nutr Metab誌オンライン版2012年7月6日号の報告。対象はうつ病自己評価尺度(CES-D)韓国版によりスコアが25以上で精神科医による診断を受けた韓国人うつ病患者80例(対照群:慢性疾患を合併していない88名)。赤血球中のn-3系PUFA、魚類の摂取量との関係を明らかにするため、多変量回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・うつ病リスクは、赤血球中の20:5 n-3(EPA)、22:6 n-3(DHA)、16:0(パルミチン酸)、18:0(ステアリン酸)と有意な負の相関を示し、18:2t、16:1(パルミトレイン酸)とは正の相関を示した(交絡因子調整後)。・うつ病リスクは、炭水化物、魚類、穀物の摂取と負の相関を示し、脂肪や肉の摂取とは正の相関を示した(交絡因子調整後)。・うつ病リスクを減少させるには、赤血球中のn-3系PUFAレベルや魚類(飽和脂肪酸)の摂取量を増加させることが必要であるが、韓国人では赤血球中のトランス型不飽和脂肪酸が減少していた。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ ・認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ

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多疾患罹患、もはや例外ではない

患者の約4分の1が多疾患に罹患しており、その頻度は加齢とともに上昇し、とくに貧困地区では発症時期が10年以上早く、精神疾患の併発頻度が高いことが、英国Dundee大学のKaren Barnett氏らの調査で明らかとなった。長期間にわたる疾患の管理は医療が直面する重要な課題だが、医療システムは複数の疾患の併存状態よりも個々の単一疾患を想定して構成されている。これまでに行われた多疾患罹患の調査は、疾患数が少なく、患者の自己申告に基づくものや高齢者、入院患者を対象としたものが多いという。Lancet誌2012年7月7日号(オンライン版2012年5月10日号)掲載の報告。多疾患罹患の発現状況を横断的研究で調査研究グループは、多疾患罹患、および身体疾患と精神疾患の併存状況を、年齢や社会経済的状態との関連において調査する横断的研究を実施した。2007年3月の時点で、スコットランドの314の診療所から登録されたデータベース(175万1,841件)を用い、40疾患のデータを抽出した。疾患数、疾患のタイプ(身体疾患、精神疾患)、性別、年齢、社会経済的状態について解析した。多疾患罹患は、2つ以上の慢性疾患の発現と定義した。多疾患罹患率23.2%、精神疾患併存率8.34%1つ以上の疾患の罹患率は42.2%、多疾患罹患率は23.2%で、身体疾患と精神疾患の併存率は8.34%だった。多疾患罹患率は加齢とともに上昇し、65歳以上の年齢層で最も高かったが、多疾患罹患の絶対数は65歳未満の年齢層のほうが多かった(21万500 vs 19万4,996)。最富裕地区に比べ最貧困地区の住人のほうが、多疾患罹患の発現が10~15年早く、社会経済的貧困は精神疾患を含む多疾患罹患と関連を認めた(身体疾患と精神疾患の併存率:最貧困地区11.0% vs 最富裕地区5.9%)。併存する身体疾患の数が増えるに従って精神疾患の発現が増加した(身体疾患が1つの場合の調整オッズ比1.95に対し、身体疾患が5つ以上併存する場合の調整オッズ比6.74)。精神疾患は富裕地区よりも貧困地区で多かった(調整オッズ比:2.28 vs 1.08)。著者は、「多疾患罹患は例外ではなく、もはや標準である」と結論し、「これらの知見は、単一疾患に焦点を当てた現在の医学研究、教育、治療の体制に対する挑戦である。特に社会経済的貧困地区において、プライマリ・ケア医が多疾患罹患者に対し個別に包括的な治療を提供できるよう支援する戦略の確立が必要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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硫酸マグネシウム、動脈瘤性クモ膜下出血の予後を改善せず:MASH-2試験

 動脈瘤性クモ膜下出血に対する硫酸マグネシウムの静脈内投与は臨床予後を改善しないことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのSanne M Dorhout Mees氏らが実施したMASH-2試験で示された。動脈瘤性クモ膜下出血は予後不良であり、1ヵ月後の死亡率は27~44%、過去10年で死亡率は低下傾向にあるものの生存者の20%は介助なしでは生活ができない。動脈瘤性クモ膜下出血では、発症後4~10日にみられる遅発性脳虚血が不良な予後の重要な原因であり、神経保護薬である硫酸マグネシウムは遅発性脳虚血を抑制したり、その予後を改善することで、クモ膜下出血そのものの予後を改善する可能性があるという。Lancet誌2012年7月7日号(オンライン版2012年5月25日号)掲載の報告。硫酸マグネシウムの効果を無作為化プラセボ対照第III相試験で評価 MASH-2試験は、硫酸マグネシウムによる動脈瘤性クモ膜下出血の予後改善効果を検証する無作為化プラセボ対照第III相試験。 脳のCT画像で動脈瘤性クモ膜下出血が確認され、出血から4日以内に参加施設に入院した18歳以上の患者を対象とした。これらの患者が、硫酸マグネシウム(64mmoL/日、20日間)を静脈内投与する群あるいはプラセボ群に無作為化に割り付けられた。腎不全や体重が50kg未満の患者は除外された。 患者、担当医、予後の評価やデータ解析を行う研究者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、発症から3ヵ月後の不良な予後(修正Rankinスケール[mRS]でスコア4~5と定義)および死亡とした。以前に行われたメタ解析に本試験のデータを加えて再解析を行った。硫酸マグネシウムは改善効果がないためルーチン投与は推奨されない 2004年4月~2011年9月までに、3ヵ国(オランダ、スコットランド、チリ)の8施設から1,204例が登録され、1,200例(マグネシウム群:604例、プラセボ群:596例)が解析の対象となった。 不良な予後の割合は、マグネシウム群が26.2%(158/604例)、プラセボ群は25.3%(151/596例)であり、両群間に有意な差はなかった(リスク比[RR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.85~1.25)。 無症状の患者の割合(7.6% vs 7.7%、RR:0.99、95%CI:0.67~1.46)、mRSのスコア(0:46例 vs 46例、1:222例 vs 210例、2:124例 vs 142例、3:54例 vs 47例、4:42例 vs 44例、5:25例 vs 22例、死亡:91例 vs 85例)も、両群間で有意差は認めなかった(p=0.95)。 不良な予後に関するサブ解析(性別、年齢[55歳以下 vs 55歳以上]、入院時の病態[WFNS基準:Grade <4 vs Grade 4/5]、治療法[コイル塞栓術 vs クリッピング術]、低マグネシウム血症に対するマグネシウム投与の有無)でも、有意な差はみられなかった。 これらのデータを含む7試験2,047例のメタ解析では、動脈瘤性クモ膜下出血発症後の不良な予後の抑制効果はマグネシウム群とプラセボ群で同等であった(RR:0.96、95%CI:0.84~1.10)。 著者は、「硫酸マグネシウムの静脈内投与は動脈瘤性クモ膜下出血の臨床予後の改善効果がないため、ルーチンの投与は推奨されない」と結論づけている。

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遺伝子タイプで、2型糖尿病リスクを予測?

遺伝子タイプは一生にわたって変化しないため、青年期の時点から2型糖尿病の高リスク例を同定できる可能性がある。Vassy JL氏らは、遺伝子スコアに基づく糖尿病予測モデルが、臨床上の危険因子のみに基づく糖尿病予測モデルを上回る可能性があるとして、検討を行った。この結果、遺伝子スコアに基づく糖尿病予測モデルは、白人および黒人の若年成人における、25年にわたる2型糖尿病の発症を予測するが、臨床上の危険因子に基づく糖尿病予測モデルを超えるには至らない、ということが明らかになった。Diabetologia誌オンライン版2012年7月11日付に報告されたCARDIA研究(The Coronary Artery Risk Development in Young Adults study)の結果。対象は、若年成人(18~30歳、平均年齢:25歳)で、成人期半ばまで経過観察が行われた。38の遺伝子多様体(variant)スコアの有無別に、青年期に評価された臨床上の危険因子(年齢、性別、人種、糖尿病の家族歴、BMI、平均動脈圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール、TG)に基づく2型糖尿病の予測モデルを用いてCox回帰分析を行った。これらモデルは、C統計量と連続的な純再分類改善スコア(NRI)とで比較された。 主な結果は以下のとおり。 ・2,439人の参加者のうち、830人(34%)は黒人で、ベースライン時BMI≥30kg/m2が249人(10%)であった。・フォローアップ期間(平均23.9年)の間に、215人(8.8%)の参加者が、2型糖尿病を発症した。・全モデルにおいて遺伝子スコアは、有意差をもって糖尿病発症を予測した。ハザード比は1.08(95%CI:1.04~1.13)であった。・全モデルで遺伝子スコアによる、再分類改善傾向がみられた(連続的NRI:0.285、95%CI:0.126~0.433)。しかし、有意差はなかった(C統計:遺伝子スコアあり0.824、遺伝子スコアなし 0.829)。人種層別解析も同様の結果であった。 (ケアネット 佐藤 寿美) 〔関連情報〕 動画による糖尿病セミナー (インスリンなど)

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慢性歯周炎の患者は乾癬の発症リスクが高い?

乾癬と慢性歯周炎(chronic periodontitis:CP)は共通して免疫異常が疾患発症の根底にあるとされているが、今日までに、小規模な横断的パイロットスタディのみでしかその可能性は研究されていない。台北医科大学のKeller氏らは台湾におけるコホートデザインと人口データベースを利用し、CPの診断後における乾癬の発症リスクについて調査を実施した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2012年7月号の報告より。研究コホートには115,365例のCP患者が含まれ、対照コホートには同数のCPに罹患していない患者が含まれた。個別の患者を5年間追跡し、乾癬の診断の有無を調べていった。CP診断後の5年間の乾癬発症リスクを割り出すために、Cox比例ハザード回帰分析を行った。 主な結果は以下の通り。 ・5年間における乾癬の発症率は、CP罹患患者では1,000人年あたり、1.88 (95% CI:1.77~1.99)、CP非罹患患者では1.22 (95% CI:1.14~1.32)であった。・フォローアップ期間中の被験者死亡による追跡の打ち切りや、被験者の月収や地域などで調整したうえで対照コホートと比較した結果、CP罹患者では、乾癬発症のハザード比は1.52 (95% CI:1.38~1.70)であった。・さらに、歯肉切除術やフラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)を受けた被験者は対照コホートと比較して、調整後の乾癬発症のハザード比がわずかに高かった (HR=1.26)。・今回の結果から、CPに罹患している患者においては、その後の乾癬の発症リスクが高くなることが示された。なお、CPの治療によって乾癬発症のリスクは減少するものの、完全に消えることはなかった。 (ケアネット 藤井 美佳) 関連コンテンツ【レポート】第111回皮膚科学会総会【投票受付中】皮膚科医師のための症例検討会「右鼠径部に掻痒、紅斑が認められる症例」

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CKD診断のためのGFR推定式、クレアチニン+シスタチンCが有用である可能性

慢性腎臓病(CKD)の診断指標である糸球体ろ過量(GFR)の推定について、血清クレアチニンまたはシスタチンCいずれか単独マーカーの値に基づく推定よりも、両者を組み合わせての推定が優れることが報告された。米国・タフツ医療センターのLesley A. Inker氏らCKD疫学共同研究グループの横断解析の結果で、「CKDの確認検査には複合推定式が有用かもしれない」と結論している。GFRの推定は血清クレアチニンに基づく推定式がルーチンに用いられているが、不正確でCKDの過剰診断につながる可能性が示唆されている。代替マーカーとして登場したのがシスタチンCで、Inker氏らはその有効性を検討するため、シスタチンC単独と、シスタチンCと血清クレアチニンとを組み合わせについて検証した。NEJM誌2012年7月5日号掲載報告より。シスタチンCまたはクレアチニン単独とクレアチニン+シスタチンCの推定式を検証Inker氏らは、13試験に参加した多様な被験者5,352例を開発データ群として、シスタチンC単独ベースの推定式と、シスタチンCとクレアチニンとの組み合わせによる推定式とを開発した。その推定式を、GFRが測定されていた別の5試験・1,119例の被験者(検証データ群)で検証した。シスタチンとクレアチニンの測定は、国際規定に準拠していた。開発データ群の測定GFR平均値は68mL/分/1.73m2体表面積、検証データ群の同値は70mL/分/1.73m2体表面積だった。複合推定式を用いることで分類が正確に改善検証の結果、クレアチニン-シスタチンC推定式は、クレアチニンまたはシスタチンC単独での推定式よりも優れることが示された。3つの推定式間のバイアスは同程度であり、測定値と推定値との差の中央値は、複合推定式では3.9mL/分/1.73m2で、これに対してクレアチニン単独式では3.7mL/分/1.73m2(P=0.07)、シスタチンC単独式では3.4mL/分/1.73m2(P=0.05)だった。複合推定式では、精度が改善し(差の四分位範囲:13.4対15.4、16.4mL/分/1.73m2)、結果が正確だった(推定値が測定値より>30%だった割合:8.5対12.8、14.1%)。推定GFRが45~74mL/分/1.73m2だった被験者において、複合推定式を用いることで分類が改善され、60mL/分/1.73m2未満または同以上へ再分類された(ネット再分類指数:19.4%、P<0.001)。また、推定GFRが45~59mL/分/1.73m2だった被験者の16.9%が、60mL/分/1.73m2以上に正確に再分類された。(武藤まき:医療ライター)

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高用量ビタミンD摂取、65歳以上の骨折リスクを低減

メタ解析の結果、65歳以上高齢者の高用量ビタミンD摂取(毎日≧800 IU)は、大腿骨頸部骨折およびあらゆる非椎体骨折の予防に多少ではあるが有望であることが示された。スイス・チューリッヒ大学のHeike A. Bischoff-Ferrari氏らによる解析結果で、「居住場所、年齢、性別とは独立して骨折リスクを低減する可能性があることが示された」と報告している。ビタミンD摂取と骨折の減少についてこれまでのメタ解析の結果は一貫していない。Bischoff-Ferrari氏らは、11の二重盲検無作為化比較試験の被験者を対象に解析を行った。NEJM誌2012年7月5日号掲載報告より。11試験の65歳以上被験者3万1,022例のデータをメタ解析解析には、カルシウムを併用または非併用のビタミンD経口摂取群(毎日、毎週、4ヵ月ごと)について、プラセボ群と比較またはカルシウム単独群との比較が行われた11の二重盲検無作為化比較試験の65歳以上被験者3万1,022例(平均年齢76歳、女性91%)が含まれた。主要エンドポイントは、年齢、性別、居住場所、試験で補正後のCox回帰分析による大腿骨頸部骨折とあらゆる非椎体骨折の発生だった。主要目的は、全試験の介入群におけるビタミンDの実際摂取量(各被験者の治療アドヒアランス分と試験プロトコール以外のサプリメント摂取分を含む)の四分位範囲からのデータを、対照群と比較することだった。骨折リスク低下は実際摂取の最高用量群でのみ解析の結果、大腿骨頸部骨折発生は1,111件、非椎体骨折発生は3,770件だった。ビタミンD摂取群に無作為化された被験者は、対照群と比較して、有意ではなかったが、大腿骨頸部骨折リスクが10%低く(ハザード比:0.90、95%信頼区間:0.80~1.01)、非椎体骨折リスクは7%低かった(同:0.93、0.87~0.99)。実際摂取量の四分位範囲での解析の結果、骨折リスクの低下は、最高用量摂取群(毎日の摂取量範囲:792~2,000 IU、平均800 IU)でのみ示され、大腿骨頸部骨折リスクは30%低下(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.58~0.86)、非椎体骨折リスクは14%低下(同:0.86、0.76~0.96)した。高用量のビタミンD摂取のベネフィットは、年齢層、居住場所、ベースラインの25-ヒドロキシビタミンD値、カルシウム摂取によって定義されるサブグループ群別にみた場合も一貫していた。(武藤まき:医療ライター)

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