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ミドルエイジの女性にとって最もショックな老化症状は「老眼」

チバビジョン株式会社は23日、40~54歳の女性600人に実施した「エイジングケアに関する意識調査」の結果を発表した。同調査は、一般的に身体の変化(エイジングサイン)が現れやすいミドルエイジの女性のエイジングケアに対する意識を広く理解するために実施。調査結果からほとんどの人がいつまでも若々しくありたいと願っていて、エイジング対策をしている人には意識の差があることがわかった。また、様々な老化現象がある中で最もショックな症状は、「老眼」ということもわかったという。調査は、2009年10月にインターネットによるアンケートで行われ、対象は東京都・愛知県・大阪府在住の40~54歳の女性660名(CLユーザー、CLノンユーザー 各300名〔計600名〕、 遠近両用CLユーザー60名)。最もショックな老化現象を聞いたところ、「老眼があらわれたとき」と答えた女性が最も多く(36%)、「肌のしみ、しわ、くすみ」と、「白髪」を抜いてトップになっている。また、全体の約9割(88%)は老眼になるのは仕方のないことだと老眼を受け入れる気持ちをもつ半面、「老眼鏡をできれば使用したくない」と答えた女性が54%いた。その傾向は、エイジングケア意識の高い女性とコンタクトレンズ(以下、CL)ユーザーほど強く出ている。また、エイジングケア意識が高い人は「老眼」であることを周囲に気付かれたくないという意識が強く、遠近両用CLの使用意向も高い結果となったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.cibavision.jp/press_room/release_page.html?art_id=29

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急性肺損傷や急性呼吸不全症候群への高頻度振動換気法の有効性

急性肺損傷および急性呼吸不全症候群(ARDS)治療として高頻度振動換気法が従来の機械的人工換気法に代わって行われるようになってきているが、高頻度振動換気法が従来法に比べ死亡率を低下させるとのエビデンスは明らかになっていない。大規模試験は進行中だが試験完了にはまだ時間を要することから、カナダ・トロント大学のSachin Sud氏らは、過去に行われた8つの無作為化試験を対象とするメタ解析を行った。BMJ誌2010年6月12日号(オンライン版2010年5月18日号)掲載より。臨床転帰、生理学的転帰、安全性を比較検討Sud氏らは、急性肺損傷と急性呼吸不全症候群(ARDS)の治療について高頻度振動換気法と従来法との臨床的かつ生理学的効果を比較検討する、システマティック・レビューおよびメタ解析を行った。電子データソースを用い、2010年3月までの論文を検索し選定した。試験選択基準は、急性肺損傷あるいはARDSを有する成人または小児を対象に、高頻度振動換気法と従来の機械的人工換気法との比較が検討されていた無作為化試験とした。3人の研究者がそれぞれ個別に、あらかじめ定義されたプロトコルに従い、臨床転帰、生理学的転帰、安全性についてデータを抽出し、ランダム効果モデルを用いて解析を行った。また、選定した全試験研究者から、明確な試験方法を聞き取り、追加データを入手した。死亡率、治療の失敗、有害事象から高頻度振動換気法が優位と分析選定されたのは、8つの無作為化試験(n=419)。そのほとんど(86%)がARDS患者だった。方法論に質的問題はなかった。24時間、48時間、72時間時点での吸入酸素濃度に対する酸素分圧比(PaO2/FiO2)は、高頻度振動換気法を受けている患者の方が16~24%高かった。また同群の方が、平均気道内圧が22~33%まで上昇したが、酸素化指標に有意差は認められなかった(P≦0.01)。高頻度振動換気法群に無作為に割り付けられた患者では、死亡率が有意に低下し(リスク比:0.77、95%信頼区間:0.61~0.98、P=0.03、6試験、365例、死亡160例)、治療の失敗(難治性の低酸素血症、高炭酸血症、緊張低下、気圧性外傷)が治療中断によるものとの関連は低かった(同:0.67、0.46~0.99、P=0.04、5試験、337例、有害事象73例)。その他リスクは両群で同等だった。また、試験間の生理学的転帰にはかなりの不均一性が認められた(I2=21~95%)が、臨床転帰には認められなかった(I2=0%)。また臨床転帰の大半はイベントに基づくものではなかった。これらの結果から研究グループは、高頻度振動換気法は生存率を改善する可能性があり、かつ害悪ももたらさなさそうだと結論づけた。進行中の大規模多施設試験完了にはまだ数年を要する中、本解析データは現時点でARDS患者に対し同術式を用いている、あるいは適用を考えている臨床家に役立つものとなるとまとめている。

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新型インフル・パンデミックの機内伝播リスク、感染者席2列以内で3.5%

2009新型(A/H1N1)インフルエンザ・パンデミックに関して、WHOが非常事態を宣言したのは2009年4月25日だった。同日、ニュージーランドの開業医から、3週間のメキシコ旅行を終え米国ロサンジェルスから6時間前に帰国した高校生グループに、インフルエンザ様症状を認めたことが報告された。フライト中12人が症状を申告、後に9人が新型インフルだったことが特定された。旅客機内での感染伝播リスクは示唆されるが、機内でのインフルエンザ感染拡大が特定された例はこれまで3件しかなく、本件はそのうちの貴重な一つ。この事例を対象に、ニュージーランドのオタゴ大学公衆衛生学部門のMichael G Baker氏らは、旅客機内での感染伝播リスクと、着陸後の乗客に対するスクリーニングおよび追跡調査の効果について調査を行った。BMJ誌2010年6月12日号(オンライン版2010年5月21日号)掲載より。感染者がいた後部座席搭乗者の、到着後3.2日以内の罹患状況を追跡Baker氏らは、乗客に対し行われる健康調査票と、症状を呈した乗客への追跡検査の結果を利用し後ろ向きコホート研究を行った。対象としたのは、ニュージーランド、オークランドの国際空港に、2009年4月25日に到着したボーイング747-400機(定員379名)の後部座席搭乗者(定員128名)で、高校生グループ24人(学生22人、教師2人)と、周辺座席の搭乗者102人(うち74人はニュージーランド居住者、19人は外国人観光者、9人は乗継)のうちインタビュー調査に応じてくれた97人(95%)について検討された。主要評価項目は、到着後3.2日以内に新型インフル罹患が検査確認された搭乗者で、感染感度および特異度、またコンタクト追跡の完遂度およびタイムリーさについても調べられた。せき単独症状の感染感度92.3%と非常に高かった高校生グループでフライト中に症状を訴え、後に新型インフルと検査確定されたのは9人だった。その他の乗客のうち、到着後に新型インフルを発生した人は5人いたが、機内感染拡大例と検査確定されたのは12時間後に症状を発症した1人と、48時間後に症状を発症した1人の計2人だった。この2人は、フライト中以外の感染が考えられなかった。またこの2人の座席は、機内で罹患していたことが検査確定された乗客の座席から2列以内の範囲にあった。同範囲内の乗客は57人いて、感染リスクは3.5%(95%信頼区間:0.6~11.1%)と推計された。なお、後部座席全体での同リスクは1.9%(同:0.3~6.0%)と推計された。感染感度は、「せき」単独症状が非常に高く(症状を訴えなかったのは1例のみ)92.3%だった。その他の発熱、咽頭痛、鼻水などは30%台と低かった。また複数症状でのインフルエンザ様症状定義づけの感度は相対的に低く、米国版を用いた感度は38.5%、ニュージーランド版は米国版よりは高かったが61.5%だった。公衆衛生従事者による追跡精密検査が行われたのは93%だった。到着後72時間以内でコンタクトが取れたのは、52%にすぎなかった。以上からBaker氏は、「現代の商業飛行には、低いながらも確実に新型インフルエンザ・パンデミックの伝播リスクが、感染者の近くに集中し存在する。また曝露搭乗者の追跡調査、スクリーニングは、彼らがいったん空港を立ち去ってしまうと緩徐で困難であることが明らかになった」とまとめている。

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リコピンが腎臓のフリーラジカルの消去を早めることを確認

カゴメ株式会社は21日、国際医療福祉大学薬学部(栃木県大田原市)横山秀克准教授との共同研究で、動物試験において、リコピンの摂取が腎臓中のフリーラジカルの消去を早めることを明らかにしたと発表した。同研究では、リコピンの摂取が腎臓のフリーラジカルの消去に与える影響を明らかにする目的で、リコピンを含む飼料もしくはリコピンを含まない飼料を摂取させたラットの腎臓中のフリーラジカルをESR装置により直接分析した。その結果、リコピンの摂取は、腎臓のフリーラジカルをより素早く消去するため、フリーラジカルが原因である腎障害の予防に有効であることが期待できるという。 なお、同研究内容は第63回日本酸化ストレス学会(6月24日~25日、神奈川県県民ホール)にて発表されるとのこと。 詳細はプレスリリースへhttp://www.kagome.co.jp/news/2010/100621.html

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「アフィニトール」がVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤無効の進行性腎細胞がんの無増悪生存期間を延長する 米Cancer誌に掲載

ノバルティス ファーマ株式会社は21日、米国のがん専門誌「Cancer」の誌上掲載に先立ち、6月14日にEarly Viewとして「Cancer」誌のオンライン上で発表されたRECORD-1第III相試験データの最終解析結果において、血管内皮成長因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療中あるいは治療後に病勢が進行した進行性腎細胞がん(renal cell carcinoma: RCC)の患者に対する「アフィニトール」(一般名:エベロリムス)のベネフィットが確認されたと発表した。本試験の最終的な無増悪生存期間(PFS)に関する解析、および全生存期間(OS)結果を推測する探索的解析が、専門家が検証する学術誌で掲載されたのは、今回が初めてとのこと。今回新たに発表された第III相RECORD-1(REnal Cell cancer treatment with Oral RAD001 given Daily)試験データは、アフィニトールが、プラセボと比較してVEGFr-TKIによる前治療後に疾患が進行した進行性腎細胞がんの患者のPFS中央値を2倍以上延長(4.9ヵ月に対し1.9ヵ月)したことを示す以前の分析を裏付けるものだった。さらに、主要評価項目であるPFSにおいて、アフィニトールが、疾患の進行あるいは死亡のリスクを67%減少させた(ハザード比 = 0.33、95%信頼区間[CI]、0.25~0.43、p<0.001)ことも示されたという。アフィニトールは、日本では根治切除不能または転移性腎細胞がん治療薬として2010年1月に承認、4月に発売されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2010/pr20100621.html

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一般用医薬品の国内市場は今どうなっている?

富士経済は22日、改正薬事法により変動する国内の一般用医薬品の主要薬効73分野の調査を2010年1月から4月にかけて実施し、分析の結果をまとめたものを発表した。今回は、同社がまとめた報告書「一般用医薬品データブック 2010 No.2」「一般用医薬品データブック 2010 No.3」からの紹介。調査対象は、感冒関連用薬、循環器・血液用薬、泌尿器官用薬、歯科口腔用薬、ドリンク剤、ビタミン剤、その他精神神経用薬、それに漢方薬などの10分野50品目。市場を明らかにすると共に13年に向けて市場を予測した。改正薬事法(2009年6月施行)は、一般用医薬品を副作用リスクの高い順から第1類、第2類、第3類に分け、第1類は薬剤師に取り扱いを限定し、第2類は薬剤師の他に新たに登録販売者の取り扱いも可能としている。第3類は、通信販売も可能となる。ただし、通信販売の取り扱いが第3類に限定されることに対して日本オンラインドラッグ協会や全国伝統薬連絡協議会が反対の姿勢を表明しており、紆余曲折が予想される。また、第1類の取り扱いについてさまざまな課題が明らかになりつつある。2009年は、新型インフルエンザの流行で医療機関受診の傾向が強まり、市場規模の大きい総合感冒薬は562億円と前年から6.6%も落ち込み、感染予防意識の高まりから含嗽剤特需(96億円前年比33%増)が生じた。また、ドリンク剤とミニドリンク剤(一般用医薬品と医薬部外品を合わせた市場)は、2009年はミニドリンク剤が女性用や新コンセプト製品の投入で増加(621億円、前年比1.1%増)したが、冷夏でドリンク剤が低迷(1,039億円前年比3.9%減)して、前年同様、全体では減少という結果になった。改正薬事法は、第1類の取扱店減少や取扱い時間の縮小の影響から大幅に実績が減少する薬効品目も見られた。特に、販売実績が大きかった制酸薬、禁煙補助剤市場では09年は前年比で10%以上の大幅な減少となった。また市場は小規模であるが、新薬効製品として認知途上のしみ治療薬、口唇ヘルペス治療薬、エネルギー代謝改善薬などは、改正薬事法で第1類に分類され売り場の露出が低下して市場は減少した。市場全体では第2類の薬効品目が多いため、2009年の減少は季節要因による需要減退が大きかった。10年1月にはロキソプロフェンナトリウム水和物、エピナスチン塩酸塩、トロキシピドを有効成分とする第1類医薬品が承認されるなど、一般用医薬品市場の停滞状況を打破するために、スイッチOTCを積極的に展開し新規薬効領域開拓や顧客獲得を目指す動きが活発化している。詳細はプレスリリースへhttps://www.fuji-keizai.co.jp/market/10055.html

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ほんとうに、eGFR、蛋白尿はCKDの指標なのか?

一般住民を対象とした試験のメタ解析により、推定糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m2および尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)≧1.1mg/mmolは死亡リスクの独立の予測因子であり、慢性腎臓病(CKD)の定義やstagingの定量的なデータとして使用可能なことが明らかとなった。Johns Hopkins Bloomberg公衆衛生大学院のJosef Coresh氏ら「Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium」の研究グループがLancet誌2010年6月12日号(オンライン版2010年5月18日号)で報告した。アジアや欧米などでは成人の10~16%がCKDとされ、高血圧や糖尿病などにCKDが加わると全死亡や心血管死、腎不全の進行のリスクが増大する。しかし、CKDの定義やstageの決定にeGFRおよびアルブミン尿を使用することには大きな議論があるという。一般住民におけるeGFR、アルブミン尿と死亡率の関連を評価研究グループは、eGFR、アルブミン尿と死亡率の関連の評価を目的に、一般住民を対象とした臨床試験のメタ解析を行った。1,000例以上を対象としベースラインにおけるeGFR、尿中アルブミン濃度の情報を含む試験を選択し、全死亡および心血管死に関する標準化されたデータを抽出してプールした。Cox比例ハザードモデルを用いて、関連する交絡因子で補正したeGFR、アルブミン尿と全死亡、心血管死のハザード比(HR)を推算した。eGFRとACRが悪化すると死亡リスクが倍数的に増大解析の対象は、ACRの測定値を含む14試験に参加した10万5,872人(73万577人・年)および尿蛋白の試験紙検査値を含む7試験に参加した112万8,310人(473万2,110人・年)であった。ACR測定値を含む試験では、eGFRが75~105mL/分/1.73m2の範囲にあることや、eGFRが低値から上昇することと、死亡リスクとの間には関連は認めなかった。eGFR 95 mL/分/1.73m2との比較における、eGFR 60mL/分/1.73m2の場合の全死亡の補正HRは1.18(95%信頼区間:1.05~1.32)で、45mL/分/1.73m2の全死亡の補正HRは1.57(同:1.39~1.78)、15mL/分/1.73m2の全死亡の補正HRは3.14(2.39~4.13)であり、eGFRが60mL/分/1.73m2以下では値が低下するほど死亡リスクが増大した。ACR 0.6mg/mmolとの比較では、ACR 1.1mg/mmolの場合の全死亡の補正HRは1.20(95%信頼区間:1.15~1.26)で、3.4mg/mmolの全死亡の補正HRは1.63(同:1.50~1.77)、33.9mg/mmolの全死亡の補正HRは2.22(同:1.97~2.51)であり、ACRが1.1mg/mmol以上になると値が上昇するほど死亡リスクが上昇した。eGFRとACRには相互作用のエビデンスはないものの、双方が悪化すると死亡リスクが倍数的に増大した。同様の知見が、心血管死に関する解析でも確認され、蛋白尿試験紙検査を行った試験でも求められた。著者は、「eGFR<60mL/分/1.73m2およびACR≧1.1mg/mmolは一般住民における死亡リスクの独立の予測因子である」と結論し、「本試験は腎機能のリスク評価およびCKDの定義、stagingにおいて定量的なデータをもたらす」としている。(菅野守:医学ライター)

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高頻度振動換気法は、早産児の予後を改善するか?

早産児に対する人工換気法として高頻度振動換気法(HFOV)を選択的に施行しても、気管支肺異形成症のリスクの抑制効果は従来の人工換気法と同等であることが、ベルギーVrije Universiteit Brussel NICU科のFilip Cools氏らPreVILIG collaborationによるメタ解析で示された。新生児ケアの進歩にもかかわらず、早産児では気管支肺異形成症のリスクが依然として高く、長期的には神経発達の遅滞や肺障害が起きる。動物実験では、HFOVは換気法関連の肺疾患が少ない有望な人工換気法であることが示されており、呼吸窮迫症候群を呈する早産児の死亡/気管支肺異形成症のリスクを低減する可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年6月12日号(オンライン版2010年6月1日号)掲載の報告。10試験に登録された3,229例の個々の患者データを解析PreVILIG collaborationの研究グループは、早産児における選択的HFOVと従来の人工換気法の効果を比較する系統的なレビューとメタ解析を行った。解析の対象は、主要評価項目を妊娠週数36週における早産児の死亡/気管支肺異形成症、あるいは死亡/重症神経障害などとする試験とした。10の無作為化対照比較試験が抽出され、これらの試験に登録された3,229例の個々の患者データについて解析を行った。従来法に比べ、相対リスクに有意差なしHFOVを受けた早産児の妊娠週数36週における死亡/気管支肺異形成症の相対リスクは0.95(95%信頼区間:0.88~1.03)、死亡/重篤な神経障害の相対リスクは1.00(同:0.88~1.13)、これらのいずれかが発症する相対リスクは0.98(同:0.91~1.05)であり、いずれも有意な差は認めなかった。HFOVにより多少なりともベネフィットが得られた早産児のサブグループ(在胎週数、出生児体重、肺疾患の重症度、出生前の副腎皮質ステロイド曝露など)はなかった。換気法のタイプや戦略によって全体の治療効果が変化することはなかった。著者は、「HFOVは早産児に対し従来の換気法と同等の効果しかもたらさない」と結論し、「在胎週数、出生児体重、肺疾患の重症度などに基づいて選択的にHFOVを施行する治療戦略は支持されない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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心筋梗塞発症率、2000年以降有意に低下

大規模住民ベースを対象とした研究で、2000年以降、心筋梗塞の発症率が有意に低下していることが明らかにされた。ハーバード・メディカル・スクール、マサチューセッツ総合病院循環器部門のRobert W. Yeh氏らによるもので、NEJM誌2010年6月10日号で発表されている。近年の心筋梗塞発症率および転帰の傾向について、住民ベースの研究はほとんどなかったという。1999~2008年、1,869万超人・年の心筋梗塞発症率と転帰を調査Yeh氏らは、心筋梗塞の最近の傾向を明らかにするため、加入者300万人以上のHMO(健康維持機構)Kaiser Permanente Northern California加入者を研究対象とした。1999~2008年に心筋梗塞(ICD-9-CM規定)を発症し入院した30歳以上を同定し、年齢、性別で補正後、全心筋梗塞発症率と、ST上昇型・非ST上昇型別の心筋梗塞発症率を算出し検証した。患者特性、外来薬物療法、入院中の心臓バイオマーカー値は、保健計画データベースを用い、30日死亡率は州および米国社会保障局(SSA)の死亡データベースで確認された。1999~2008年の追跡期間中、1,869万1,131人・年のうち、心筋梗塞で入院した人は4万6,086例だった。ST上昇型心筋梗塞の発症率低下が顕著年齢・性補正後の心筋梗塞発症率は、1999年(274例/10万人・年)から2000年(287例/10万人・年)にかけては増加していた。しかし、その後は年々減少し、2008年までに24%の相対的減少を示した。2008年の発症率は、208例/10万人・年だった。同補正後のST上昇型心筋梗塞の発症率は、試験期間中低下し続けていた。1999年は133例/10万人・年だったが、2008年は50例/10万人・年だった(線形P

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オセルタミビル予防的投与と集団隔離は、新型インフル感染封じ込めに有効だったか

2009年6月22日から6月25日にかけて、シンガポール軍キャンプ内で新型インフルエンザ(H1N1ウイルス)による4つの集団感染が発生した。防衛省バイオ防御センターのVernon J. Lee氏らは、このケースでオセルタミビル(商品名:タミフル)投与(1日1回75mg)による包囲予防薬物療法(ring chemoprophylaxis)を試み、その有効性を検証した。NEJM誌2010年6月10日号掲載より。感染者を隔離、感染者が出た部隊全員に予防投与試験では、感染が疑われた全隊員が検査を受け、感染が確認された隊員は入院隔離とした。そのうえで、ウイルスが拡散しないよう、オセルタミビルによる包囲予防薬物療法を施した。なお、部隊単位での隔離(感染者が出た部隊は他の部隊と接触しないよう隔離)も行われた。全隊員は毎週3回、ウイルス学的感染症有無のスクリーニング(鼻腔・咽頭スワブを採取し、定量的逆転写RT-PCR法と塩基配列決定法による)と、質問票による臨床症状評価のスクリーニングを受けた。4集団で、感染の危険に曝されていた隊員は計1,175人。1,100人がオセルタミビルによる予防投与を受けた。介入後は感染率が有意に低下介入前に感染していた隊員は75人(6.4%)だったが、介入後の感染は7人(0.6%)だった。全体の再生産数(1人の感染者が生産する2次感染者数)は、介入前の1.91(95%信頼区間:1.50~2.36)に対し、介入後は0.11(95%信頼区間0.05~0.20)と有意に減少した。4集団のうち3集団は、介入後の感染率が有意に減少した。分子疫学的解析の結果、この集団感染は4例ともニューヨーク由来のA/ニューヨーク/18/2009(H1N1)型ウイルスによるもので、感染各事例は集団内感染によるもので、無関係な事例からの感染ではないことが明らかにされた。オセルタミビルの投与を受けた隊員816例を調べたところ、63例(7.7%)で軽度の非呼吸器系の副作用が報告されたが、重度の有害事象はみられなかった。研究グループは、オセルタミビルの包囲予防薬物療法と、感染者(隊員)の迅速な同定と隔離は、セミ・クローズドな環境での新型インフル集団感染の封じ込めに有効だったと報告している。(医療ライター:朝田哲明)

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インフルエンザウイルスの家庭内感染率やウイルス排出パターン、新型も季節性も類似

家族がインフルエンザに感染し発症した場合、同居する家族への感染率やウイルス排出のパターンは、H1N1(新型)も季節性も類似していることが明らかにされた。香港大学Li Ka Shing医学公衆衛生校感染症疫学のBenjamin J. Cowling氏らが、約100人の患者とその同居する家族を対象に調べたもので、NEJM誌2010年6月10日号で発表した。患者と同居する家族300人弱のスワブについて、RT-PCR法とウイルス培養研究グループは、2009年7~8月にかけて、香港の14ヵ所の外来診療所を訪れた、急性気道疾患の患者348人のうち、インフルエンザ迅速診断キット「QuickVue」でA型ウイルスが確認された99人と、その同居する家族について調査を行った。発症後7日以内に3回訪問し、患者と同居する家族全員の鼻腔・咽頭スワブを採取し、定量的逆転写RT-PCR法とウイルス培養を行い、ウイルス排出や感染の有無を調べた。同居する家族の数は、新型インフルエンザが130人、季節性が154人だった。なお、QuickVue検査の感受性は、新型インフルエンザが80%、季節性インフルエンザが77%だった。新型と季節性、家族への二次感染までの日数も同等その結果、RT-PCR法でインフルエンザウイルスへの二次感染が認められた同居する家族の割合は、新型インフルエンザが8%(95%信頼区間:3~14)で、季節性インフルエンザが9%(同:5~15)と、同等だった。また、患者から家族への二次感染までの日数は、新型が3.2日(95%信頼区間:2.4~4.0)、季節性が3.4日(同:2.7~4.1)と同等だった。さらに、ウイルス排出は発症後5~7日後に終息するなど、パターンも類似していた。気道症状はまた、いずれも発症後10日まで持続した。なお、サブグループとして、試験開始時と回復時に血清検査を行い、RT-PCR法で感染が確認された家族19人のうち、新型に感染した11人の36%、季節性に感染した8人の50%で、ウイルス排出が認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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アイスホッケージュニアリーグ、ボディチェック容認で試合中の怪我3倍超

カナダのアイスホッケージュニアリーグで、ボディチェック(相手の動きに対し体を使って妨害する)行為を容認した場合、容認していない場合と比べて、試合中の怪我の発生リスクが3倍超に増大することが明らかにされた。カナダRoger Jackson Centre for Health and Wellness ResearchのCarolyn A. Emery氏らが、カナダの二つの州のリーグを対象に前向きコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月9日号で発表した。アルバータ州の試合中の怪我発生リスク、ケベック州の3.26倍同氏らは、2007~2008年シーズン中、カナダのアルバータ州とケベック州の11~12歳を対象にしたアイスホッケー・リーグ「Pee Wee」の選手、合わせて2,154人について追跡した。アルバータ州は74チーム(1,108人)、ケベック州は76チーム(1,046人)だった。ボディチェックについて、アルバータ州では容認しているが、ケベック州では違反行為となっている。追跡期間中の怪我は、アルバータ州で241件(うち脳震盪は78件、試合や練習の曝露時間合計:8万5,077時間)、一方ケベック州では91件(うち脳震盪は23件、同:8万2,099時間)だった。アルバータ州とケベック州の、試合中の怪我の件数はそれぞれ、209件と70件で、罹患率比は3.26(95%信頼区間:2.31~4.60)だった。脳震盪や重度の怪我発生リスクも、それぞれ3.88倍と3.30倍また、アルバータ州とケベック州の、試合中の脳震盪の件数はそれぞれ、73件と20件で、罹患率比は3.88(同:1.91~7.89)だった。さらに、プレイできない期間が7日超に及ぶ重度の怪我発生に関する、アルバータ州のケベック州に対する罹患率比は、3.30(同:1.77~6.17)、同期間が10日超に及ぶ重度の脳震盪の罹患率比は、3.61(同:1.16~11.23)だった。アルバータ州のリーグでボディチェックを違反とすることで、減らすことのできる試合中の怪我の絶対件数は、1,000プレイ時間中2.84(同:2.18~3.49)件、脳震盪の件数は1.08(同:0.70~1.46)件だった。なお、練習中の怪我の発生リスクについては、両州で有意差はみられなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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スタチンの思わぬ効果・有害事象

スタチンの想定されていない効果および有害事象について検討する、英国人男女200万人超を対象とする前向きコホート研究が、英国ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らにより行われた。思わぬ効果として、食道がんリスク低下の有益性が認められた一方、様々な有害事象リスク上昇との関連が確認されたという。BMJ誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月20日号)掲載より。スタチン各種、用量、投与期間ごとに効果・有害事象を定量化Hippisley-Cox氏らは、スタチンの思わぬ効果・有害事象について、種類・用量・投与期間別に定量化することを目的とし、イングランドおよびウェールズの開業医(GP)368人の診療データをQResearch databaseから収集し検討した。200万4,692例分の患者データ(30~84歳)のうち、スタチン服用新規患者は、22万5,922例(10.7%)だった。処方の内訳は、15万9,790(70.7%)がシンバスタチン(商品名:リポバスなど)、5万328例(22.3%)がアトルバスタチン(商品名:リピトール)、8,103例(3.6%)がプラバスタチン(商品名:メバロチンなど)、4,497例(1.9%)がロスバスタチン(商品名:クレストール)、3,204例(1.4%)がフルバスタチン(商品名:ローコールなど)だった。検討された主要評価項目は、心血管疾患の初回発生、中等度~重度ミオパシー、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、静脈血栓塞栓症、パーキンソン病、認知症、関節リウマチ、白内障、骨粗鬆症性骨折、胃がん、食道がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がん。食道がんリスク低下、肝機能障害・急性腎不全・ミオパシー・白内障リスク増大スタチンとの関連が有意ではなかったのは、パーキンソン病、関節リウマチ、静脈血栓塞栓症、認知症、骨粗鬆症性骨折、胃がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がんの各リスク。食道がんリスクについては低下が認められた。一方で、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、中等度~重度ミオパシー、白内障のリスクは増大することが認められた。有害事象は、スタチンの種類を問わず同等にみられた。ただし肝機能障害についてはフルバスタチンでリスクが高かった。用量反応効果は、急性腎不全、肝機能障害で明瞭だった。服用期間中の全リスク増加は、最初の1年目が最も高かった。白内障リスクは男女とも、服用中止後1年以内で標準に戻った。食道がんのリスクは、女性は1年以内に男性は1~3年以内で標準に戻った。急性腎不全リスクは、男女とも1~3年以内に、肝機能障害リスクは、女性は1~3年以内に男性は3年以降に標準に戻った。心疾患リスク20%閾値に基づく5年予防NNT(治療必要数、対患者1万例)は、女性の場合、心血管疾患が37例(95%信頼区間:27~64)、食道がんは1,266例(850~3,460)だった。男性はそれぞれ、33例(24~57)、1,082例(711~2,807)だった。一方、5年NNH(有害必要数、対患者1万例)は、女性の場合、急性腎不全が434例(284~783)、中等度~重度ミオパシーは259例(186~375)、中等度~重度肝機能障害136例(109~175)、白内障33例(28~38)だった。男性のNNHは、ミオパシーのNNHが91例(74~112)だった以外は、全体として女性と同等だった。Hippisley-Cox氏は、「食道がん以外の有益性は証拠立てることができなかったが、有害事象については母集団に潜在する事象が確認でき定量化できた。さらに、有害事象の最もリスクの高い患者をモニターできるよう個別リスクのさらなる検討を進める必要がある」と結論している。

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QRISKスコアはFraminghamよりも、心血管ハイリスク患者の特定に優れる

心血管疾患10年リスクを予測するものとして英国ノッティンガム大学のQRESEARCH研究グループによって開発されたQRISKスコアのパフォーマンス検証試験が、英国オックスフォード大学Wolfso校医学統計センターのGary S Collins氏らにより行われた。検証されたスコアは最新のQRISK2で、英国政府機関NICEが推奨するFramingham方式との比較、およびQRISK1との比較が行われた。BMJ誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月13日号)掲載より。住民158万人、心血管イベント7万例超のデータを用い各スコアの識別、検定力を検証試験は、英国の開業医365人からの診療データが集約されるTHIN(The Health Improvement Network)データベースを活用して行われた。158万人分の患者データ(1993年1月1日~2008年6月20日)のうち、心血管イベント例は、35~74歳(940万人・年)で7万1,465例あった。主要評価項目は、開業医で記録された最初の心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、冠動脈心疾患、脳卒中、一過性虚血性脳卒中)の診断記録とされた。QRISK2とQRISK1との間のパフォーマンスの違いはあまりなしQRISK2は、NICEのFramingham方式が示した心血管疾患10年リスクの予測を改善したことが認められた。識別および検定統計は、QRISK2の方がより良好だった。なお、QRISK2とQRISK1との間のパフォーマンスの違いはあまりなかった。具体的に、QRISK2が示した10年リスクは男性33%、女性40%。これに対しNICEのFramingham方式は、29%、34%だった。QRISK1は、32%、38%だった。男性ハイリスク群の心血管イベント発生率は、QRISK2では1000人・年につき27.8件(95%信頼区間:27.4~28.2)だったが、NICEのFramingham方式は21.9件(21.6~22.2)だった。QRISK1は24.8件(22.8~26.9)。女性ハイリスク群の同発生率は、QRISK2は24.3件(23.8~24.9)、NICEのFramingham方式は20.6件(20.1~21.0)、QRISK1は21.8件(18.9~24.6)。Collins氏は、「QRISK2は、NICEのFramingham方式より、英国の心血管疾患ハイリスク群をより正確に特定することができる」と結論している。

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2008年の5歳未満の子どもの死亡数、死因:MDG4達成に向けて

2008年の世界193ヵ国における5歳未満の子どもの死亡数は879万5,000人、その死因の68%が感染症であることが、アメリカJohns Hopkins Bloomberg公衆衛生大学院のRobert E Black氏らによる系統的な解析で示された。子どもの死亡率は、社会経済的な発展や子どもへの生存介入が実行された結果として世界的に低下しているが、いまだに毎年880万人が5歳の誕生日を迎えられずに死亡している。ミレニアム開発目標4(MDG4)の目的は、「2015年までに5歳児未満の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する」ことであるが、特に南アジアとサハラ砂漠以南のアフリカ諸国では達成が難しい状況にあり、その改善には子どもの死因に関する最新情報の収集が重要だという。Lancet誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月12日号)掲載の報告。2008年の193ヵ国における原因別の死亡数を算出研究グループは、5歳未満の子どもの主な死亡原因について、2008年の最新の推定データを報告した。多原因比例死亡モデル(multicause proportionate mortality model)を用いて生後0~27日の新生児、1~59ヵ月の小児の死亡を推定し、死因が予測可能な場合は単一原因死亡モデルを用い、健康状態登録データの解析を行った。中国とインドの新データは、以前に実施されていた統計モデルに基づく予測に代わって、これらの国で使用されている全国データを採用した。193ヵ国における死亡原因を推定し、5歳未満の子どもの国別の死亡率および出生率にこれらの推定値を当てはめることで、国、地域、世界の原因別の死亡数を算出した。死因の68%が感染症、41%が新生児、5ヵ国で49%を占めた2008 年における世界の5歳未満の子どもの死亡数は879万5,000人と推定され、そのうち68%(597万人)は感染症が原因で死亡しており、肺炎が18%(157万5,000人)、下痢が15%(133万6,000人)、マラリアが8%(73万2,000人)であった。死亡した子どもの41%(357万5,000人)が新生児であり、その最も重大な原因として早産合併症が12%(103万3,000人)、出生児仮死が9%(81万4,000人)、敗血症が6%(52万1,000人)、肺炎が4%(38万6,000人)を占めた。5ヵ国(インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、パキスタン、中国)で、5歳未満の子どもの死亡の49%を占めた。著者は、「これら国別の子どもの主な死因の推定値は、国の計画や援助国の支援の焦点をどこに置くべきかを検討するうえで役立つであろう」とまとめ、「MDG4の達成は、妊婦、新生児、小児の健康状態への介入によって多大な死亡数の抑制に取り組むことでのみ可能となる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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20年間で世界の子どもの死亡数は減少したか?:MDG4達成に向けて

世界の5歳未満の子どもの死亡数は1990~2010年の20年間で420万人減少し、低所得国を含む13地域では低下速度が加速化していることが、アメリカWashington大学のJulie Knoll Rajaratnam氏らによるミレニアム目標4(MDG4、2015年までに5歳児未満の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する)の進捗状況の調査から明らかとなった。MDG4の目標達成期限まであと5年しか残されていない。以前の調査では、MDG4達成の軌道上にある国は4分の1以下であることが示され、2000年以降になされた施策構想や投資の観点からは、MDG4達成に向けた進展に増強傾向が認められるか否かの見極めが重要なことが示唆されているという。Lancet誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月24日号)掲載の報告。1970~2010年における187ヵ国の5歳未満の子どもの死亡について検討研究グループは、1970~2010年における187ヵ国の5歳未満の子どもの死亡数について検討した。健康状態登録システム、国勢調査の略式出産記録、完全出産記録などの情報源のデータをすべて用いて死亡に関する1万6,174の測定値のデータベースを構築した。ガウス過程回帰モデルを用いて出生から5歳までの死亡の推定値を算出した。本試験は、子どもの死亡の推定にガウス過程回帰モデルを使用した初めての研究であり、この手法は従来の方法に比べサンプル外の予測の妥当性が良好で、データのタイプの違いに起因するサンプリングおよび非サンプリングエラーによって生じる不確かさを把握できる。健康状態登録システムと、新生児(生後1ヵ月未満)および0歳児(生後1ヵ月~1歳の誕生日の前日まで)の死亡に関する情報を含む完全出産記録に基づく1,760の測定値を使用して得た5歳未満の子どもの死亡数から、新生児、0歳児、1~4歳児の死亡数を推定した。子どもの死亡率の迅速な低減は、世界の医療の継続的な優先課題世界の5歳未満の子どもの死亡数は、1990年の1,190万人から2010年には770万人にまで低下した。2010年の内訳は、新生児の死亡数が310万人、0歳児は230万人、1~4歳児が230万人であった。5歳未満の子どもの死亡の33.0%が南アジアで発生し、49.6%がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で発生していたが、高所得国は合わせても1%に満たなかった。世界21地域で新生児、0歳児、1~4歳児の死亡率が低下していた。1990~2010年までの新生児死亡率の年次低下率は2.1%であり、0歳児死亡率の年次低下率は2.3%、1~4歳児の場合は2.2%であった。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国を含む世界13地域では、1990~2000年の10年間に比べて2000~2010年の方が死亡率の低下速度が加速化しているとのエビデンスが得られた。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国のうち死亡率の低下率が1%以上であったのは13ヵ国(アンゴラ、ボツワナ、カメルーン、コンゴ、コンゴ民主共和国、ケニア、レソト、リベリア、ルワンダ、セネガル、シエラレオネ、スワジランド、ガンビア)であった。著者は、「5歳未満の子どもの死亡のロバスト測定により、いくつかの低所得国では死亡率の低下速度が加速化していることが示された。これらの良好な進展は注目に値するものであり、施策への関心の高まりや医療資源の増強を求める声が大きくなる可能性がある」と結論し、「死亡率の改善が加速化している国のほとんどがMDG4を達成できないであろうが、国際的な共同体は医療資源や技術供与によってこれらの動向の助成に重要な役割を担いうると考えられる。子どもの死亡率を迅速に低減させることは、世界の医療の優先課題であり続けなければならない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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臨床検査結果をインターネット経由で入手可能に -BMLが臨床検査結果のWEB照会サービスを開始-

 臨床検査受託大手のビー・エム・エル(東京都渋谷区)は、医師が臨床検査結果をインターネット経由で閲覧できるサービス「WEB照会サービス」を開始した。インターネットを介することで半日から1日の時間短縮が見込める。 ビー・エム・エル(BML)社では従来、血液検査の場合、医療機関から検体を受け取った当日に検査を開始し、翌日までに検査結果が判明する。その検査結果が全国の営業所に伝送された後、現地にて出力し、検査結果が届くのが翌日午後であった。本サービスを利用すると、医師がインターネットを通じてアクセスすれば、検査結果が総合研究所内の専用サーバーに保存された時点で、検査結果を知ることができる。従来に比べて後工程が短縮されるため、医師は検査結果を得るまでの時間が半日から1日短縮できる。 特に細菌、病理検査は紙を使った結果報告であったため、総合研究所において得られた結果が全国の営業所に郵送された後、医療機関に届けられていた。本サービスでは、診断確定後、データサーバーに検査結果が格納されるため、画像やグラフ、数値などの検査結果を電子的に入手できるようになり、入手までの時間が1~2日ほど早くなる。診断結果によって治療内容が大きく異なる感染症、がんなどにおいてはより一層注目される。さらに、分離菌集計状況の集計、使用薬剤の耐性傾向の分析などの統計処理機能を備えており、院内感染対策にも活用できる。 この「WEB照会サービス」は、利用申込み後、電子証明書が発行され、利用するパソコンにインストールすることで本人確認が行われる。ID、パスワードは利用者ごとに発行され、データは暗号化されて取り扱われる。導入コスト、人的負荷、専門知識を必要としないため、導入や操作が簡単なことも医師にとってはありがたい。 5月にサービスを開始して依頼、診療所中心に毎日数十件を超える申し込みがあるという。BML社は幅広いユーザー層の利用を想定している。 電子カルテや他のWEBサービスとのデータ連関が実現すれば、サービスの充実化、拡大につながると考えられる。

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東邦大学医学部が『研修医支援』新プログラムを導入へ

東邦大学医学部は15日、医師のワークライフバランスを保つ職場環境づくりを行い、潜在医師(研修を受けられなかった国家資格保有者)を減らす施策として、研修医のための新しいプログラムを導入すると発表した。まずは同プログラムの一環として、平成23年度前期臨床研修プログラムから、子育て・出産などの事情で4月に研修を開始できない研修希望者に対して、10月から開始できる「男女共同参画型臨床研修プログラム」が東邦大学医療センター佐倉病院で導入される。このプログラムは、24時間保育の可能な佐倉病院を基幹型病院として研修が行われるため、出産・育児と研修を無理なく両立でき、個別事情による研修開始の時期変更や一時中断など、研修希望者の様々な状況に配慮されている。研修方式は、通常の前期臨床研修医と同等、24ヵ月にわたる厚生労働省が定める到達目標に準じているため、到達目標達成後は、希望専攻する診療科での後期臨床研修へと連続した形で研修を継続できる。個別事情等で研修が期間内に修了できない場合でも引き続き形成的な研修が行われ、修了後より希望専攻する診療科での後期臨床研修を行うことが可能である。 【お問い合わせ先】 東邦大学医学部 卒後臨床研修/生涯教育センター(TEL:03-3762-4151/FAX:03-5763-6574)http://www.trainee.med.toho-u.ac.jp/ 女性医師支援プログラム(支援体制)http://www.t-womd.med.toho-u.ac.jp/program/support.htm

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尿道スリング手術、恥骨後式と経閉鎖孔式どちらが有効?

腹圧性尿失禁の手術療法である尿道スリング手術について、スリングタイプの違い(恥骨後式と経閉鎖孔式)の有効性と合併症に関する大規模な比較検討試験が行われた。結果は両者の有効性は同等で、合併症がそれぞれ異なることが明らかにされている。米国アラバマ大学バーミンガム校のHolly E. Richter氏ら尿失禁治療ネットワークの研究グループによるもので、NEJM誌2010年6月3日号(オンライン版2010年5月17日号)で発表された。術後12ヵ月時点の手術の成功率を、主観的、客観的に評価し比較1996年にUlmstenらが発表した、メッシュテープを用いて恥骨裏側に吊り上げる恥骨後式は、従前のバーチ法(膣断端を腹部靱帯に固定し尿道を吊り上げる)と有効性・安全性で差異はない。それでも尿道スリング手術実施は100万件を超え手術療法の標準治療となりつつあるという。一方で、恥骨後式で術後問題となる合併症(排尿困難、切迫性尿失禁など)回避のため編み出されたのが経閉鎖孔式で、合併症の原因となる膀胱や腸への傷害を回避するために開発された。しかし両タイプについては、小規模な優位性試験で有効性は同等であると確認されているのみで、Richter氏らは大規模な多施設共同の無作為化同等試験を行った。試験は、2006年4月~2008年6月の間に3,521例が登録、うち597例が無作為化され、術後12ヵ月時点の治療成功を主要アウトカムに評価が行われた。被験者平均年齢は66歳、43人の外科医が平均10例ずつ手術を施行していた。主要アウトカムは、客観的判定(誘発テスト陰性、24時間尿パッドテスト陰性、再治療なし)と主観的判定(MESA調査票に基づく症状の自己申告なし、3日間排尿日誌に尿漏れエピソード記録なし、再治療なし)の両方で行われた。同等性マージンは、±12ポイントと定められた。合併症は、恥骨後式が排尿障害、経閉鎖孔式は神経学的症状12ヵ月時点の主要評価が行われたのは、565例(94.6%)だった。客観的評価による治療成功率は、恥骨後式80.8%、経閉鎖孔式77.7%で、両式の差は3.0ポイント(95%信頼区間:-3.6~9.6)で同等性マージンの基準も満たしていた。一方、主観的評価では、それぞれ62.2%、55.8%で6.4ポイント差(同:-1.6~14.3)と、同等ではあったがマージンの基準は満たさなかった。合併症に関しては、手術を要した排尿障害発生の割合は、恥骨後式の方が高く2.7%で、経閉鎖孔式は0%だった(P=0.004)。反対に神経学的症状(麻痺、脱力感)の発生は、恥骨後式4.0%に対し、経閉鎖孔式が9.4%だった(P=0.01)。術後の切迫性尿失禁の発生は有意差がなかった。また、術後満足感、QOLに対する満足感についても有意差がなかった。これらからRichter氏は、「有効性はほぼ同等。手術を考慮する患者とは合併症の違いについて、十分話し合う必要があるだろう」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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侵襲性細菌感染症の遺伝子感受性

世界で年間死者500万人に達する結核やマラリアなどの侵襲性細菌感染症で、疾患感受性の個体差が一部で有意にみられることについては、栄養失調やHIV罹患など環境要因によると考えられているものの、実態としては謎のままである。そこで、シンガポール遺伝子研究所感染症疾患部門のChiea C. Khor氏らは、感染症病原体に対するヒト免疫応答に注目した。免疫応答の際には炎症性サイトカインが産生される。その反応が過剰となると(サイトカインシグナル伝達により)、マラリアなどの重症化を招くのではないか。一方でヒト免疫応答には、炎症反応をコントロールするサイトカインシグナル伝達抑制蛋白質CISHが存在し関与することも知られる。Khor氏らは、CISHが疾患感受性と関連しているのではないかと仮定し、検討を行った。NEJM誌2010年6月3日号(オンライン版2010年5月19日号)掲載より。8,402例の血液検体を用いて、CISH遺伝子多型と主要感染症感受性との関連を調査Khor氏らが注目したのは、病原体免疫応答にプリンシパルな炎症誘発性のサイトカインであるインターロイキン(IL)2と、そのIL-2において特にシグナル伝達をコントロールするCISH[Cytokine-inducible SRC homology 2(SH2)domain protein]。ガンビア、香港、ケニア、マラウイ、ベトナムで行われた感染症の症例対照研究(計7件)の対象者8,402例の血液検体を用いて、CISH遺伝子多型と主要感染症(菌血症、結核、重症マラリア)感受性との関連を調べた。なお研究グループは、これまでにこの対象者で20の免疫関連遺伝子の検討を行っている。CISH変異体と感染症感受性との関連を確認結果、複数のCISH遺伝子多型の変異アレルが、感染症の感受性増大と関連していることが認められた。またCISH関連遺伝子座で特定した一塩基多型遺伝子(SNP)5つ(-639、-292、-163、+1320、+3415)を、一つの多重SNPとみなした場合、CISH遺伝子変異体と主要感染症(菌血症、結核、重症マラリア)感受性との間の関連性が確認された[すべての比較P=3.8×10(-11)]。特に-292変異体は、関連するシグナル伝達のほとんどに関与していた[P=4.58×10(-7)]。また、-292変異体を有する成人被験者から採取した末梢血分子細胞は、野生型細胞と比べて、IL-2産生刺激に対する反応が弱く、CISH発現が25~40%少ないことも明らかになった。Khor氏は、「CISH変異体が、多様な感染症病原体に起因する疾患感受性と関連しており、サイトカインシグナル伝達抑制因子は種々の感染症に対する免疫に関与していることが示唆された。またCISH変異アレルを有するヒトでは、主要感染症のうちの一つの全リスクが18%以上増加した」とまとめている。(医療ライター:武藤まき)

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