QRISKスコアはFraminghamよりも、心血管ハイリスク患者の特定に優れる

提供元:ケアネット

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公開日:2010/06/18

 



心血管疾患10年リスクを予測するものとして英国ノッティンガム大学のQRESEARCH研究グループによって開発されたQRISKスコアのパフォーマンス検証試験が、英国オックスフォード大学Wolfso校医学統計センターのGary S Collins氏らにより行われた。検証されたスコアは最新のQRISK2で、英国政府機関NICEが推奨するFramingham方式との比較、およびQRISK1との比較が行われた。BMJ誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月13日号)掲載より。

住民158万人、心血管イベント7万例超のデータを用い各スコアの識別、検定力を検証




試験は、英国の開業医365人からの診療データが集約されるTHIN(The Health Improvement Network)データベースを活用して行われた。

158万人分の患者データ(1993年1月1日~2008年6月20日)のうち、心血管イベント例は、35~74歳(940万人・年)で7万1,465例あった。

主要評価項目は、開業医で記録された最初の心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、冠動脈心疾患、脳卒中、一過性虚血性脳卒中)の診断記録とされた。

QRISK2とQRISK1との間のパフォーマンスの違いはあまりなし




QRISK2は、NICEのFramingham方式が示した心血管疾患10年リスクの予測を改善したことが認められた。識別および検定統計は、QRISK2の方がより良好だった。なお、QRISK2とQRISK1との間のパフォーマンスの違いはあまりなかった。

具体的に、QRISK2が示した10年リスクは男性33%、女性40%。これに対しNICEのFramingham方式は、29%、34%だった。QRISK1は、32%、38%だった。

男性ハイリスク群の心血管イベント発生率は、QRISK2では1000人・年につき27.8件(95%信頼区間:27.4~28.2)だったが、NICEのFramingham方式は21.9件(21.6~22.2)だった。QRISK1は24.8件(22.8~26.9)。女性ハイリスク群の同発生率は、QRISK2は24.3件(23.8~24.9)、NICEのFramingham方式は20.6件(20.1~21.0)、QRISK1は21.8件(18.9~24.6)。

Collins氏は、「QRISK2は、NICEのFramingham方式より、英国の心血管疾患ハイリスク群をより正確に特定することができる」と結論している。