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5価ロタウイルスワクチンの有効性、1回接種88%、2回接種で94%に

 5価ロタウイルスワクチン(RV5、商品名:ロタテック)について、3回接種を完了していなくても、ロタウイルス胃腸炎に対し有効性を示すことが報告された。米国・OptumInsight EpidemiologyのWang FT氏らが、3回接種を完了しなかった乳児を追跡した結果で、著者は「規定接種を完了しなかった場合のベネフィットを考えるうえで意義ある結果が得られた」と述べている。Pediatr Infect Dis J誌オンライン版2012年9月25日号の掲載報告。 大規模な国民健康保険金請求データベースを利用して、2コホートの乳児[RV5とジフテリア・破傷風・百日咳混合ワクチン(DTaP)との同時接種を受けた乳児、DTapのみ接種の乳児]を、2007~2008年のロタウイルス・シーズン(1月1日~5月31日)間に追跡し、ロタウイルス胃腸炎またはあらゆる原因による胃腸炎で医療機関を受診した症例を特定した。 RV5の初回接種児、2回接種児のワクチンの有効性について、入院、救急外来受診、外来受診の減少を推定評価した。 主な結果は以下のとおり。・RV5初回接種児は4万2,306例、比較群のDTaP初回接種児は2万8,417例であった。RV5の2回接種児は4万3,704例、DTaPの2回接種児は3万1,810例であった。・RV5の1回接種による、ロタウイルス胃腸炎入院と救急外来受診に対する有効性は88%であった。全原因による胃腸炎入院と救急外来受診については44%であった。・RV5の2回接種による、ロタウイルス胃腸炎入院と救急外来受診に対する有効性は94%であった。全原因による胃腸炎入院と救急外来受診については40%であった。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・子どもの問題行動に対する行動予防モデルSWPBISの影響 ・学校でのワクチン接種プログラムに対し、多くの開業医が自院経営面への影響を懸念

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BRCA1/2突然変異キャリアの30歳以前の放射線検査は乳がんリスクを倍増

 BRCA1/2突然変異を有する女性の30歳前の放射線検査は、乳がんリスクを増大することが示された。オランダ・がん研究所のAnouk Pijpe氏らが、1,993例を対象とした後ろ向きコホート研究「GENE-RAD-RISK」の結果、報告した。リスクの増大は照射線量依存的で、その他の放射線曝露コホートで増大が認められた人よりも少ない照射線量でリスクの増大がみられたという。BMJ誌2012年10月13日号(オンライン版2012年9月6日号)掲載報告より。放射線検査と乳がんリスクとの関連を推定「GENE-RAD-RISK」は、BRCA1/2突然変異キャリアにおける放射線検査と乳がんリスクとの関連を推定することを目的とした後ろ向きコホート研究。2006~2009年にフランス、英国、オランダで行われた3つの試験「GENEPSO」「EMBRACE」「HEBON」に参加した女性計1,993例を対象とした。主要評価項目は、加重Cox比例ハザードモデルで推定した乳がんリスクで、個々の乳がん発生までの時間による推定、公表値に基づく推定照射線量による推定、自己報告に基づく放射線検査の回数に基づいて算出した。照射線量によりリスクは1.63~3.84倍結果、30歳前に放射線検査を受けたBRCA1/2突然変異キャリアは、乳がんリスクが1.9倍増大した[ハザード比(HR):1.90、95%信頼区間:1.20~3.00]。リスク増大は、照射線量依存パターンがみられ、推定累積照射線量が<0.0020 Gy群が1.63(0.96~2.77)、≧0.0020~0.0065Gy群が1.78(0.88~3.58)、≧0.0066~0.0173Gy群が1.75(0.72~4.25)、≧0.0174Gy群が3.84(1.67~8.79)であった。異なる放射線検査法についての解析では、20歳以前および30歳以前でX線受診を受けた回数が多い人で非受診群と比べてリスクが増大するというパターンが示された。30歳以前のマンモグラフィ既往も、乳がんリスク増大と関連していた(HR:1.43、0.85~2.40)。感度解析により、この知見は家族歴適応による交絡に起因しないことを示した。結果を踏まえて著者は、「この結果は、BRCA1/2突然変異キャリアの若い女性では、評価のための主要なツールとして、非電離放射線画像診断技術(たとえばMRI)の使用を支持するものである」と結論している。

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DES留置後のステント遠位部における血管内皮機能障害は、なぜ起こる?

 現在、薬剤溶出性ステント(DES)は再狭窄率の低さから多くの患者さんに使用されている。しかし、DES留置後の遅発性ステント血栓症が問題であり、ステント留置遠位部に血管内皮機能障害が起こることが報告されていた。この点に関し、久留米大学の光武氏らは、DES留置後の遠位部における血管内皮機能障害は、新生内膜被覆不良と関係することを報告した(JACC Cardiovasc Interv誌 2012年9月号 掲載報告)。対象は、第一世代のDESを留置された安定狭心症66例で、9ヵ月間フォローアップされた。冠動脈内皮機能は、冠動脈内にアセチルコリン(10-8、10-7、10-6)やニトログリセリン(200μg)を注入し、ステント留置部、遠位部における、注入前後の血管変化により評価された。新生内膜被覆度は、冠動脈内視鏡により評価された(grade 0:被覆なし~ 3:完全被覆)。 内膜被覆度により、内膜被覆不良群(grade.0-1、 n=33) と 内膜被覆良好群(grade.2-3、 n=33)に分けて検討された。主な結果は以下のとおり。・両群で、アセチルコリンに対して、用量依存性の血管収縮を示した。・遠位部において、アセチルコリンによる血管収縮は、内膜被覆不良群で内膜被覆良好群よりも有意に大きかった(p

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検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー

 大うつ病の急性治療について、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるデュロキセチンとその他の抗うつ薬との有効性、受容性、忍容性を比較するシステマティックレビューを、イタリア・ベロナ大学のCipriani氏らが行った。Cochrane Database Syst Rev2012年10月17日号の報告。 MEDLINE(1966~2012年)、EMBASE(1974~2012年)、CENTRAL(コクラン比較臨床試験登録)などをソースとして、2012年3月までに発表された試験論文および参照リストを検索した。デュロキセチンのメーカーのマーケティング部門、その他専門家からも補足データの提供を受けた。試験論文は言語を問わず、デュロキセチンとその他あらゆる抗うつ薬とについて検討した大うつ病患者を対象とする無作為化試験を適格とした。計16の無作為化試験(参加者合計5,735例)が、レビューに組み込まれた。主な結果は以下のとおり。・16試験中3試験は未発表のものであった。「デュロキセチンvs. 1つのSSRI」を検討したものが11試験(参加者計3,304例、対パロキセチン6試験、対エスシタロプラム3試験、対フルオキセチン2試験)、「デュロキセチンvs. 新規抗うつ薬」が4試験(同1,978例、対ベンラファキシン3試験、対デスベンラファキシン1試験)、「デュロキセチンvs.抗精神病薬」が1試験(同453例)で、三環系抗うつ薬と比較した試験はなかった。・プール解析の信頼区間(CI)は大きすぎて、デュロキセチンを他の抗うつ薬と比較した有効性についての統計学的有意差は認められなかった。・エスシタロプラムまたはベンラファキシンとの比較において、デュロキセチン群に無作為化された患者は何らかの原因によりドロップアウトした割合が高率であった[各群比較とのオッズ比(OR):1.62、95%CI:1.01~2.62、OR:1.56、95%CI:1.14~2.15]。・デュロキセチン服用患者がパロキセチン服用患者よりも有害イベントを経験したことが示されたが、エビデンスは弱かった(OR:1.24、95%CI: 0.99~1.55)。・比較試験はわずかで、臨床的に意義ある差を見いだすことは困難だった。また経済効果を報告するまでには至らなかった。関連医療ニュース ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・他SSRI切替、どの程度の効果?北海道大学の報告 ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か?

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過去20年で成人の血清脂質の傾向は良好に

 米国CDC・Carroll MD氏らは1988~2010年における米国成人の血清脂質の動向を調べ、「良好な傾向が認められた」と結論する報告を発表した。血清総コレステロール(TC)と低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)は、アテローム性動脈硬化症とその臨床アウトカムに寄与する。米国では1988~1994年と1999~2002年の間に、成人においてTCおよびLDL-Cの平均値が低下していた。背景には、同期間中に脂質低下薬治療を受けた成人の増加があったが、中性脂肪の相乗平均値は増加したが、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)の平均値は不変であったという。JAMA誌2012年10月17日号掲載報告より。1988~1994年、1999~2002年、2007~2010年のNHANES結果を分析研究グループは、3期分の全米健康栄養検査調査(NHANES)を対象に、血清脂質の動向を調べた。各期調査の参加者は、1988~1994年1万6,573例、1999~2002年9,471例、2007~2010年1万1,766例であった。主要評価項目は、TC、LDL-C、HDL-C、非HDL-Cの平均値と、中性脂肪濃度の相乗平均値、および脂質低下薬を服用していた人の割合とした。中性脂肪、HDL-Cも良好に変化、脂質低下薬の普及率は3.4%から15.5%に結果、TC平均値は、1988~1994年の206(95%CI:205~207)mg/dLから、2007~2010年は196(同195~198)mg/dLに低下した(線形傾向のp

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世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益

 WEBベースで行う気分変動調査(Mood Swings Questionnaire:MSQ)など自己診断双極性障害スクリーニングの尺度は、高い認容性を有し、良好なアウトカムに結びつくことが明らかにされた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のParker氏らが、WEB自己スクリーニング尺度の臨床への有用性を検討する公式では初となる試験の結果、報告した。Acta Psychiatr Scand誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。 WEBベースのMSQを完了し双極性障害の可能性があると判定された人が、そのテストを有用だと判断したか、またその後に優れた臨床経過を有したかどうかを検討した。被験者のベースライン時とフォローアップ3ヵ月時点のデータを解析した。主な結果は以下のとおり。・MSQによるスクリーニングで「陽性」であった665例を対象とした。・MSQに対しては、有益である(informative)、有効である(validating)、または動機づけとなる(motivating)との回答がみられ、満足度は高かった。・被験者が双極性障害との診断を受けたのは、最初のうつ病エピソードから平均12年後であった。・大半が、正確な診断を求めたかどうかにかかわらず自己マネジメント戦略を実行した。・被験者を、スクリーニング後にとった行動の程度により3群に分け解析した。その結果、積極的な行動をとった人、診断確認を行った人は、試験期間中に、抑うつ症状、QOL、全体的な身体機能の改善が認められ、最もよい臨床経過をたどった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は… ・検証!向精神薬とワルファリンの相互作用 ・特定の抗うつ薬使用で脳内ヘモグロビン濃度が増加!:名古屋大学

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わが国の医療関連無過失補償制度を概観する~その運用と問題点について~

9月29日(土)、帝京大学医学部(板橋キャンパス)において第3回医療法学シンポジウムが開催された。当日は全国より医師、医療従事者をはじめ約60名が参加した。今回はテーマに「医療関連無過失補償制度」を掲げ、医師、弁護士が制度の概要、現状、問題点をレクチャー、最後にパネルディスカッションを行った。※「無過失補償制度」とは、医療事故で障害を負った場合、医師に過失がなくても、患者に補償金が支払われる制度のことである。現在、わが国に存在する医療関連無過失補償制度は、1)予防接種健康被害救済制度、2)臨床研究、治験薬に係る補償制度、3)医薬品副作用被害救済制度、4)産科無過失補償制度の4つがある。シンポジウムでは、各制度が作られる原因となった訴訟等背景の事情から制度概要とその問題点についてまとめ、今後の医療紛争処理制度のあるべき姿を検討した。医療関連無過失補償制度の5つの概要はじめに「総論 わが国の医療提供体制と医療紛争処理制度」をテーマに山田奈美恵氏(東京大学医学部附属病院総合研修センター特任助教:医師)が、医療紛争処理制度の全体像を説明するとともに、諸外国の処理制度との比較を解説した。わが国で医療紛争が発生する要因として、多くは患者と患者家族の心理状況が、大きな影響を与えていること、それは患者と医療者が向き合う場が圧倒的に不足している中で起こるものであることが説明された。また、世界的な流れとして北欧を中心に「無過失補償制度」が導入されていることなどが紹介された。次に「予防接種健康被害救済制度」をテーマに神田知江美氏(帝京大学医療情報システム研究センター客員講師、かすが法律事務所:医師、弁護士)が、わが国の予防接種事情と問題が起った場合の救済制度について説明した。日本の予防接種の本格導入は、戦後からのスタートであり、世界標準から見るとわが国は「ワクチン後進国」である現状を指摘。過去に起こった予防接種に起因するさまざまな訴訟例を通じて、医療者に課される注意義務や救済制度の成り立ちなどを詳説した。続いて「臨床研究、治験薬に係る補償制度」をテーマに大磯義一郎氏(浜松医科大学医学部教授(医療法学)、帝京大学医療情報システム研究センター客員教授、加治・木村法律事務所:医師、弁護士)が、「臨床研究、治験薬」段階での補償制度について、制度の内容等を説明した。現在、薬事法で副作用報告は法定化されている。しかし、「副作用」や「有害事象」といった用語の意味が、一般市民の理解と異なっていることは問題であること。そして、治験薬の補償については「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)」で規定されており、この省令が拠り所となっていること。一方、臨床研究に係る補償制度は、法律ではなく倫理指針で規定されていること、まだ試行錯誤している最中であることを指摘した。次に「医薬品情報と副作用被害救済制度」として渡邊清高氏(国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報提供研究部医療情報コンテンツ研究室長:医師)が、主に抗がん剤の副作用が副作用被害救済の対象となるかという視点から解説を行った。「スモン事件」などの過去の薬害事件とその救済事例を述べるとともに、薬害では製薬メーカーの拠出金で救済されるのに対し、抗がん剤では「重篤な副作用発現頻度」「適正使用の未確立」「因果関係証明の困難」などの理由により、救済対象となっていないと指摘。現在、厚生労働省の審議会で議論が行われているが、制度化にはいたっていないと報告した。最後に「産科医療補償制度」として山崎祥光氏(井上法律事務所:弁護士、医師)が、同制度の内容や運用の実際を報告した。同制度は、産科に関係する民事事件の多発と産科の訴訟リスク、産科医の急激な減少から2009年に制度発足したものであり、各医療機関が民間保険会社と協力し、被害に応じて被害者等が医療機関から補償を受けるものである(運営:日本医療機能評価機構)。たとえば脳性麻痺など、民事訴訟であれば立証の段階で時間がかかる疾患もこの制度であれば、患者と家族に速やかな補償ができるなど恩恵は計り知れない。また、日本医療機能評価機構が審査を行うことで医療機関、患者・家族に異論を差しはさむ余地のない原因分析も行われている。現在2014年の制度見直しに向けて、掛金額、補償対象の範囲など見直しが進められている。「今後、こうした制度が他の疾患分野にも普及することを望む」と述べ、レクチャーを終了した。パネルディスカッション後半では、会場とのパネルディスカッションを開催。大磯義一郎氏をファシリテーターに、渡邊清高氏、山崎祥光氏が再登壇するとともに新たに小島崇宏氏(北浜法律事務所:弁護士、医師)を加え、会場から寄せられる質問に丁寧に回答をしていた。国民の生命・健康を具体的に守る基本法がないために、現在のような医療崩壊や医師の不足を招いたと思う。医療環境の整備をしないうちに、医師などの監督強化をしても逆効果だと考える。こうした現状をどのように思うか、考えをお聞かせ願いたい。大磯過去の経緯を俯瞰すると医師側で発言の機会を逸した結果、司法の側で制度設計をされてしまった感がある。本質的には医師の側から、患者救済は積極的にアピールしていかなくてはいけないと考えている。山崎たとえば産科医療補償制度では、医師の側の意見が、制度の準備段階できちんと入らなかったことに問題がある。制度設計の段階で主張すべきところはすべきと思う。渡邊医師が社会とコミュニケーションをしていないのが問題だと考える。医療に関する言葉の定義がされてこなかったこともあり、今後は患者側にわかってもらう医療を目指す必要がある。小島重篤な合併症でも医療側からの公表データが少ないように思う。医療側の情報の開示をもとに補償をきちんとすることが必要。山崎氏の講演であった産科医療補償制度の「現物支給」について聞かせて欲しい。また、明日からすぐできる患者救済方法が、あるかどうかも回答いただきたい。山崎「現物支給」とは医療費が無料ということ。申請しないと支給されない点が問題。医療側でそうした患者補助のリストなどを患者側に提供できたらいいと思う。渡邊通常、医師個人と患者個人で話をする機会が多いと思う。経済的な視点だけでは解決しないので、全体的なサポートの仕組みを作ることが重要。地域で救済のパッケージを渡す仕組みを自治体等が作っておくことが大事。大磯個別・具体的な地域のリソースを、優良な情報として必要としている個々の患者に提供することが患者救済に役立つ。刑事責任とのリンクについて大磯諸外国と比較して日本だけ、突出して医療の領域に司法が介入しているのは問題。山崎刑事責任とリンクすると制度設計としての「無過失責任補償」からも遠くなる。小島完全に刑事責任は免責とするのではなく、個々のケースによって判断・運用されるべき。大磯医療側がきちんと患者側にインフォームド・コンセントを行い、コンセンサスをとっておくことが大切。産科医療補償制度の改正の主眼は何か?山崎再設計では保険者との関係の見直し、掛金の配分の見直し(とくに介護費用の増額、できれば損害賠償と後遺障害事例の補償額の取り決め)、掛金は社会で担保するものであるから増やすためにコンセンサスが必要。小島補償範囲の拡大については、マンパワーの問題で難しい。医療側からの政策提言の必要性最後に古川俊治氏(慶應義塾大学法務研究科教授・医学部外科教授:弁護士、医師、参議院議員)が、「医療は政策で誘導され、決定される。そのため、政策提言をたくさん医療の側からも出してほしい。無過失責任制度が実現できれば素晴らしいが、国の逼迫した財政の中でどう財源を確保するかが重要。メリハリをつけて支出するために、対象疾患の絞り込みなどが必要となる。こうしたシンポジウムで、今後の医療の在り方や医師、医療従事者が輝ける医療を考えていきたい」と閉会の挨拶を述べ、シンポジウムは終了した。医療法学に関係するセミナー、シンポジウム等はこちら。11月10日・11日 現場からの医療改革推進協議会12月2日 医療事故調シンポジウム~真相究明と責任追及(懲罰、刑事罰)は両立するのか~〔主催:一般社団 全国医師連盟〕

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学校でのワクチン接種プログラムに対し、多くの開業医が自院経営面への影響を懸念

 米国・CDC公衆衛生予防サービス部門のMcCormick EV氏らは、学校で行われる青年期ワクチン(思春期ワクチン)およびインフルエンザワクチンの接種に対する医師の考え方について調査を行った。コロラド州の開業医1,337人を対象とした調査の結果、大半の医師が学校でのワクチン接種を支持する一方で、診療所経営への影響について懸念を抱いていることが明らかとなった。著者は、「医師の民間保険加入者への接種に対する支持が少なく、受診児の減少と収入への影響が障壁となっていることが示されたが、さらなる調査が必要である」とまとめている。Pediatrics誌オンライン版2012年10月1日号の掲載報告。 2010年7月~9月の間に、コロラド州で開業している家庭医と小児科医1,337人に対し、メールで20項目にわたる質問を行った。 標準統計方法にて、学校でのワクチン接種プログラムに対する医師の支持と因子との関連オッズ比を、補正前、補正後について算出した。 主な結果は以下のとおり。・全体で943例の医師が調査適格であった。回答は、584例(62%)で得られた。・半数以上の医師が、学校での青年期ワクチンおよびインフルエンザワクチンの接種を支持した。・青年期ワクチン接種を支持する医師は、インフルエンザワクチン接種を支持する医師と比べ少なかった。・公的保険加入者へのワクチン接種を支持する医師は多かったが、民間保険加入者へのワクチン接種を支持する医師は少なかった。・一部の家庭医(32%)と小児科医(39%)は、学校でのワクチン接種は定期健康診断受診児の減少につながると考えていた。また回答者の半分が、学校でのワクチン接種は診療所の経営にネガティブな影響を与えると考えていた。・多変量解析の結果、診療所の経営面への影響を懸念する医師は、学校でのワクチン接種プログラムを支持しない傾向がみられた。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・睡眠時間の増減が子どもの情緒・落ち着きに与える影響 ・小児臨床試験の潮流、感染症/ワクチン試験が23%と最も多くを占める

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ボラパクサール、心筋梗塞既往例で上乗せ効果、出血リスクは増大

 心筋梗塞の既往歴のある患者の2次予防において、標準的な抗血栓療法にボラパクサール(国内未承認)を追加する治療アプローチは、心血管死や虚血性イベントのリスクを抑制する一方で、中等度~重度の出血のリスクを増大させることが、米国・ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院のBenjamin M Scirica氏らが行ったTRA 2°P-TIMI 50試験のサブグループ解析で示された。プロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)拮抗薬であるボラパクサールは、トロンビンによって誘導されるヒト血小板表面上のPAR-1の活性化に対し拮抗作用を発揮することで、血小板の活性化を阻害する新規の抗血小板薬。心筋梗塞の既往歴を有する安定期の患者の長期的な2次予防におけるボラパクサールの上乗せ効果は不明だという。Lancet誌2012年10月13日号(オンライン版2012年8月26日号)掲載の報告。標準治療への上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価TRA 2°P-TIMI 50(Thrombin Receptor Antagonist in Secondary Prevention of Atherothrombotic Ischemic Events)試験は、アテローム血栓症(心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患)の既往歴のある患者における標準治療へのボラパクサールの上乗せ効果を検討する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験。今回は、あらかじめ規定されたサブグループとして、心筋梗塞の既往歴(登録前2週~12ヵ月に発症)のある患者の解析を行った。2007年9月~2009年11月まで患者の登録を行い、標準治療(アスピリン、チエノピリジン系薬剤)に加えボラパクサール 2.5mg/日を投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。患者、治療医と医療スタッフ、アウトカムの評価者、解析担当者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の発現とし、intention-to-treat解析を行った。イベントの発生状況はKaplan-Meier法で解析し、群間の比較にはCox比例ハザードモデルを用いた。心血管死、心筋梗塞、脳卒中の推定3年発生率:8.1% vs 9.7%全登録患者2万6,449例のうち心筋梗塞の既往歴を有する患者は1万7,779例で、ボラパクサール群に8,898例(年齢中央値59歳、75歳以上8%、女性21%、アスピリン98%、チエノピリジン系薬剤78%)、プラセボ群には8,881例(同:59歳、8%、20%、98%、78%)が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は2.5年だった。心血管死、心筋梗塞、脳卒中を発症した患者はボラパクサール群が610例で、Kaplan-Meier法による推定3年発生率は8.1%と、プラセボ群の750例、推定3年発生率9.7%に比べ有意に低頻度であった[ハザード比(HR):0.80、95%信頼区間(CI):0.72~0.89、p<0.0001]。中等度~重度の出血をきたした患者は、ボラパクサール群が241例で、Kaplan-Meier法による推定3年発生率は3.4%と、プラセボ群の151例、2.1%よりも有意に頻度が高かった(HR:1.61、95%CI:1.31~1.97、p<0.0001)。頭蓋内出血は、ボラパクサール群では43例にみられ、推定3年発生率は0.6%、プラセボ群は28例、0.4%で、両群間に有意な差はなかった(p=0.076)。その他の重篤な有害事象の発現状況は両群間で同等だった。著者は、「心筋梗塞の既往歴のある患者において、アスピリンを含む標準的な抗血栓療法にボラパクサールを追加する治療アプローチは、心血管死や虚血性イベントのリスクを抑制するが、中等度~重度の出血のリスクを増大させる」と結論し、「総合的な臨床ベネフィットはボラパクサール群が良好であり、とくに出血リスクの背景因子の少ない患者ではより良好な予後の改善が達成された」と指摘している。

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歩行補助器具の使用は変形性膝関節症に影響を与えるか

 高齢になると男女ともに歩行補助器具を使用する頻度が高く、使用開始の有意な理由は膝の痛みとバランスの問題であることが、米国・退役軍人医療センターのCarbone LD氏らによる「Health ABCスタディ」の前向きコホート研究から明らかとなった。本検討では、歩行補助器具と膝の痛みスコアあるいは膝関節腔狭小化の進行との間に一貫した関連は認められなかったが、著者はさらなる研究で、変形性膝関節症の進行と歩行補助器具使用との関連について調べる必要があると述べている。Arch Phys Med Rehabil誌オンライン版2012年10月4日号の掲載報告。 歩行補助器具(AWD)の使用発生を予測する因子を特定すること、AWD使用が変形性膝関節症の変化と関連しているかを調べることを目的とした。 Health ABC(Aging and Body Composition)スタディに参加した2,639例の高齢者を対象とし、AWD使用開始について追跡した。対象のうち、いわゆる膝痛がある人(サブセット)は874例だった。 主要評価項目は、追跡3年間における、AWD使用開始、疼痛スコアWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)の平均値、X線で認められた膝関節腔の狭小化の頻度だった。 主な結果は以下のとおり。・AWD使用開始は、Health ABC全コホートで9%、膝痛サブセットで12%であった。・両グループにおいて使用開始が予想された因子は、年齢が73歳超[全コホートOR:2.07(95%CI:1.43~3.01)、膝痛サブセットOR:1.87(95%CI:1.16~3.03)]、黒人[各々OR:2.95(2.09~4.16)、OR:3.21(2.01~5.11)]、バランス機能が低率[各々OR:3.18(2.21~4.59)、OR:3.77(2.34~6.07)]だった。・平均WOMAC疼痛スコアは、AWD使用群とAWD非使用群いずれにおいても、時間とともにわずかに低下した。・AWD使用群28%、AWD非使用群20%で、少なくとも片膝における脛骨大腿関節の関節腔狭小化の進行がX線上で認められた。・AWD使用群12%、AWD非使用群14%で、少なくとも片膝における膝蓋大腿骨関節の関節腔狭小化の進行がX線上で認められた。・探索的解析において、AWDとWOMAC疼痛スコアあるいは膝関節腔狭小化の進行との間に一貫した関連性は認められなかった。

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統合失調症患者の「自傷行為」に関連する予測因子

 精神疾患患者の自殺予防は、日本のみならず世界各国で重要な課題となっている。英国 シェフィールド大学Pluck氏らは、統合失調症患者の自傷行為における臨床的および神経心理学的側面を人口統計学的に調査し、臨床的介入に最も関連する独立した予測因子の検証を行った。Eur Psychiatry誌オンライン版2012年10月9日号の報告。 対象は、統合失調症患者87例。対象患者に対し薬物乱用、うつ症状、自暴自棄、陽性/陰性症状、病識に関する項目を調査した。神経心理学的評価は、病前のIQ、継続的なパフォーマンステスト、認知機能、衝動性にて評価した。3ヵ月間前向きに医療記録の調査を行った。主な結果は以下のとおり。・過去に自殺未遂を含む自傷行為を認めた患者は59例(68%)。・自傷行為の経験を有する患者は、経験のない患者と比較し、うつ症状、自暴自棄、衝動性、自傷行為の家族歴をもつ割合が有意に高かった。・3ヵ月の前向き調査期間中に自傷行為がみられた患者5例は、過去に自傷行為を経験しており、初期から抑うつ傾向が認められることが多かった。・ロジスティック回帰によると、統合失調症患者における自傷行為の独立した危険因子は発症前の高いIQと多剤乱用であった。・うつ症状は、過去およびフォローアップ期間中の自傷行為の独立した予測因子であった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺 ・自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は? ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関

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IgMリウマトイド因子が>100/IUmLの人、10年絶対発症リスクは最高で32%

 血漿IgMリウマトイド因子が>100 IU/mLの人は、同値が<25 IU/mLの人と比べて、関節リウマチの長期発症リスクが26倍であること、10年絶対発症リスク最高値は32%であることが明らかにされた。関節リウマチは人口の0.5~2%に発症する自己免疫疾患だが、臨床利用可能な長期リスクのインジケーターはなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のSune F Nielsen氏らが約1万人のコペンハーゲン住民を28年間追跡した前向きコホート研究の結果、明らかにした。BMJ誌2012年10月13日号(オンライン版2012年9月6日号)掲載報告より。一般住民9,712人を28年間追跡前向きコホート研究「Copenhagen City Heart Study」は、1981~1983年に採血をしたコペンハーゲン在住の一般住民を対象とし、2010年8月まで追跡した。参加者は20~100歳のデンマーク人で、試験開始時にリウマチを発症していなかった9,712人だった。参加者を、基線の血漿IgM型リウマトイド因子レベルで4群(<25、25~50、50.1~100、>100 IU/mL)に分け、関節リウマチの発症について、最低値(<25 IU/mL)群と各群を比較した。被験者のリウマトイド因子レベルは、年齢を問わず同程度だった。

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口腔粘膜の固定薬疹、鑑別診断で考慮すべきことは?

 口腔粘膜の固定薬疹(FDE)の特性については、ほとんど知られていない。トルコ・イスタンブール大学のOzkaya E氏は、臨床的に注目すべきポイントおよび鑑別診断を提示するため後ろ向き断面研究を行った。その結果、主要所見として口腔内局所のアフタ性病変や重度の水疱性/びらん性病変と、残存性色素沈着の欠如は、鑑別診断を難しくする可能性があると述べた。そのうえで、女性患者における月経困難に関連した非ステロイド性抗炎症薬による口腔内FDEと、月経が引き起こす単純ヘルペス感染症によるもの、およびベーチェット病由来の局所のorogenitalなアフタFDAとを区別することが、とくに疾患頻度の高い国では不適切な治療を避けるために重要であると結論した。J Am Acad Dermatol誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。 後ろ向き断面研究は、口腔内FDEを有する61例を対象とした。原因となる薬品は経口誘発試験で確認した。 主な結果は以下のとおり。・被験者61例(男性23例、女性38例)の年齢範囲は7~62歳であった。・主要な誘発因子は、ナプロキセン(商品名:ナイキサン)とコトリモキサゾールであった。・14例(23%)の患者は、口腔内の局所病変が、主として舌背上や硬口蓋にみられた。舌背上の局所病変は、コトリモキサゾールの関連が統計的に有意であった。・形態学的には、水疱性/びらん性病変47例、アフタ性12例、紅斑性2例が認められた。・被験者の相当数が、単純ヘルペスとベーチェット病の診断歴があって紹介されてきた患者であり、何人かは、アシクロビル(商品名:ゾビラックスほか)とコルヒチン(商品名:コルヒチン)の長期治療を受けていた。 なお筆者は、本検討は後ろ向きに行われたという点で、結果には限りがあると言及している。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(30)〕 自己拡張型ステント式の血栓回収デバイスの安全性と有効性を確認

rt-PA静注療法は、発症から4.5時間以内の急性期脳梗塞に対する有効な治療法としてすでに確立しているが、脳主幹動脈の急性閉塞に対する血流再開治療としては、その有効性に限界があることが明らかにされている。脳血管内デバイスによる機械的血栓回収療法は、rt-PA静注療法のこのような限界を超える治療として大きな期待が寄せられ、初期に米国で開発されたMerciデバイスが、2010年から本邦でも使用可能となっている。 しかし、今回報告された、TREVO 2試験およびSWIFT試験において、自己拡張型ステント式の血栓回収デバイスであるTrevoデバイスやSolitaireデバイスが、従来のMerciデバイスに比較して、閉塞血管の再開通率が高く、治療の安全性と有効性についても良好であったことが相次いで報告された。 このことから、脳主幹動脈の急性閉塞に対する血栓除去治療としては、自己拡張型ステント式の血栓回収デバイスがMerciデバイスよりも優先されるべきであるとする結論は妥当と考えられる。本邦では、依然としてデバイスラグが改善していないが、多くの患者のために早期の使用承認が待たれるところである。

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認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part2)

CareNet.comでは10月の認知症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より認知症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、朝田 隆先生にご回答いただきました。今回は残りの5問について回答を掲載します。6 アルツハイマー病と血管性認知症を簡単に鑑別する方法はあるか? 血管性認知症の具体的な治療方法は?6 この鑑別方法は認知症医療の基本と言えるテーマですね。鑑別については、血管性認知症では片麻痺をはじめとする神経学的な所見があり、その発症と認知症の発症との間に時間的な密着性があることが基本かと思います。そのうえで、段階的な悪化や、障害される認知機能の不均等さ(斑認知症)などの有無が鑑別のポイントになるでしょう。ところで、かつてはわが国で最も多いのは血管性認知症で、これにアルツハイマー病が次ぐとされていました。ところが最近では、両者の順位が入れ替わったとされます。また実際には、両者が合併した混合型認知症が最も多いともいわれます。それだけに、この鑑別は二者択一の問題から、両者をどう攻めたら効率的かの方略を考えるうえでの基本、という新たな意味を持つようになったと思います。7 アルツハイマー病とてんかんとの鑑別点は?7 認知症もどきの「てんかん」は最近のトピックスになっていますね。てんかんはややもすると子どもの病気というイメージがありましたが、最近では初発年齢が高くなる傾向があり、患者数も高齢者に多いという事実が知られるようになりました。てんかんも、明らかなけいれんを伴うタイプであれば、認知症との鑑別は簡単です。ところが、けいれん発作がないタイプのてんかんもあります。とくに海馬付近に発作の焦点をもつケースでは、主症状が健忘ということが少なくありません。注意深く観ているとそのような人では、時に数秒から数分、「ぼーっ」として心ここにあらずという状態が生じがちです。これが家族や同僚など周囲の人に気づかれていることも少なくありません。本人にはこのような発作中のことは、ほぼ記憶に残りません。また傍目には普通に過ごしているように見える時であっても、本人はぼんやりとしか覚えていないことがあります。このような状態が、周囲の人には認知症ではないかと思われてしまうのです。8 薬物治療を開始する際、専門医にアルツハイマー病の診断をしてもらうべきか? また、精神科へ紹介すべきなのはどのようなケースか?8 これもまた悩ましい問題ですね。と言いますのは、すごく診断に迷うような例外的なケースは別ですが、最も多い認知症性疾患はアルツハイマー病ですから、普通の認知症と思われたら、即アルツハイマー病という診断になるかもしれません。それなのにいちいち専門医にアルツハイマー病の診断をしてもらうべきなのか?というのもごもっともなことです。しかし、時としてアルツハイマー病と誤診されるものに、たとえば意味性認知症や皮質基底核変性症など、各種の変性性認知症があります。あるいは正常圧水頭症も、最大の可逆性認知症に位置づけられるだけに要注意です。臨床経過、神経心理学的プロフィール、神経学的所見、脳画像所見などから、これらとの鑑別がついているという自信があれば、紹介は不要でしょう。逆に、何となくひっかかりを覚えたら、必ず専門医に相談するようにされていれば、後悔を生まないことでしょう。次に、精神科医であれば誰でも認知症が診られるというわけではありません。しかし、他科の医師との比較で精神科医が得意とするのは、幻覚妄想などの精神症状や攻撃性・不穏興奮などの行動異常(両者を併せてBPSD)への対応でしょう。とくに暴力が激しくなった認知症のケースでは自傷他害の危険性も高いですから、早めに対応設備のある精神科の専門医に依頼されるようにお勧めします。9 抗アルツハイマー病薬の使い分けは? また、増量、切り替え、追加のタイミングは?9 ここでは、現在わが国で流通している抗アルツハイマー病薬の特徴と処方の原則を述べます。これらの薬剤は、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬に二分されます。前者にはドネペジル(商品名:アリセプト)、ガランタミン(同:レミニール)、リバスチグミン(同:イクセロン、リバスタッチ)の3種類があります。後者はメマンチン(同:メマリー)です。前者について、どのようなタイプのアルツハイマー病患者にはどの薬が適切といったエビデンスレベルは今のところありません。総じて言えば、どれもそう変わらない、同レベルと言っても大きな間違いではないでしょう。たとえ専門医であっても、3つのうちのどれかで始めてみて、効果がないとか副作用で使いづらい場合に、次はこれでというパターンが一般的かもしれません。増量法は、それぞれ異なりますが、ガランタミン、リバスチグミンの場合は、副作用のために最大用量の24mg/日、18mg/日まで増量せずに中間用量を維持した方がよい場合もあります。適応については、ドネペジルは軽症から重症まですべての段階のアルツハイマー病に適応があります。野球のピッチャーにたとえるなら先発完投型と言えます。これに対してガランタミン、リバスチグミンは軽度と中等度例を適応としますので、先発ながら途中降板のピッチャーです。NMDA受容体拮抗薬であるメマンチンについては、中等度と高度の例が適応ですからリリーフ専門のピッチャーと言えるでしょう。使用上の特徴として、コリンエステラーゼ阻害薬は複数処方できませんが、コリンエステラーゼ阻害薬と本剤の併用は可能なことがあります。この薬は原則として1週間ごとに増量していきます。ところが、わが国では15~20mg/日の段階で、強い眩暈や眠気などの副作用を来す例が少なくないことがわかっています。この副作用を防止するために、2~4週間毎に増量する方法を勧める専門医もいらっしゃいます。10 BPSDに対する抗不安薬や気分安定薬などの上手な使い方は?10 BPSDに対する治療の基本は薬物治療ではなく、対応法の工夫・環境調整やデイケアも含めた非薬物療法にあります。薬物は、それらでだめな場合に使うセカンドチョイスと位置づけたほうがよいと思われます。その理由として、せん妄や幻覚・妄想など精神面のみならず、錐体外路症状そして転倒などの副作用があります。また高齢者では10種類以上の薬剤を服用していることも珍しくありませんから、処方薬を加えることでさまざまな副作用を生じるリスクは指数関数的に上昇します。そうは言っても薬物治療が求められるのは、暴言・暴力、不眠・夜間の興奮、幻覚・妄想などのBPSDが激しいケースでしょう。このような場合に向精神薬を処方するとしたら、とくに以下の点を考慮してください。筋弛緩・錐体外路症状などの易転倒性を惹起する可能性、それに意識障害を起こす危険性です。そうなると、ほとんどの抗精神病薬(メジャートランキライザー)、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬は使えません。また三環系の抗うつ薬も同様です。そこで、あくまで私的な方法ですが、私は漢方薬を好んで使います。抑肝散、抑肝散加陳皮半夏などが主です。抗不安薬では、鎮静効果を狙って非ベンゾジアゼピン系のタンドスピロン、睡眠薬としてはむしろ睡眠・覚醒のリズム作りを狙ってラメルテオンを使うことがあります。こうした薬剤で無効なときには、バルプロ酸やカルバマゼピンといった抗てんかん薬も使います。どうにもならない激しい暴力・攻撃性には最後の手段として、スルトプリドをごくわずか(20~30mg/日)処方します。多くの場合、適応外使用ですから、このことをしっかり説明したうえで処方すべきでしょう。

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フィブリン-3濃度、胸膜中皮腫の新たなバイオマーカーとして有効

 血漿中フィブリン-3濃度は、胸膜中皮腫のバイオマーカーとして有用であることが示された。胸膜中皮腫を早期に発見し個々の治療戦略を立てるため、新たなバイオマーカーが必要とされているが、米国・ニューヨーク大学Langone Medical CenterのHarvey I. Pass氏らが、血漿中と胸水中のフィブリン-3濃度を測定し、胸膜中皮腫の有無による違いなどについて調べ明らかにした。中皮腫のないアスベスト曝露者と胸膜中皮腫患者の識別が可能であったという。NEJM誌2012年10月11日号掲載より。胸膜中皮腫に対する血漿中フィブリン-3濃度の感度・特異度を検証研究グループは、血漿中と胸水中のフィブリン-3濃度の胸膜中皮腫に対するバイオマーカーとしての感度・特異度を調べた。2つのコホート(デトロイトコホート、ニューヨークコホート)を対象とした。それらコホートのうち、中皮腫患者92人、がんのないアスベスト曝露者136人、中皮腫のない胸水患者93人と、コントロール群としての健康な人43人について、血漿中フィブリン-3濃度を測定した。また、中皮腫患者74人、良性胸水患者39人、中皮腫のない悪性胸水患者54人について、胸水中フィブリン-3濃度を測定した。腫瘍組織のフィブリン-3については免疫組織学的分析を行い、血漿中・胸水中フィブリン-3濃度は、酵素結合免疫測定(ELISA)法で測定した。血漿中フィブリン-3濃度による中皮腫スクリーニング、感度96.7%、特異度95.5%結果、血漿中フィブリン-3濃度は、胸膜中皮腫の患者群(デトロイトコホート:平均105±7ng/mL、ニューヨークコホート平均113±8ng/mL)が、中皮腫のないアスベスト曝露者群(同:平均14±1ng/mL、平均24±1ng/mL)に比べ、有意に高濃度だった(p<0.001)。また、胸水中フィブリン-3濃度も、胸膜中皮腫の患者群(同:平均694±37ng/mL、平均636±92ng/mL)が、中皮腫のない悪性胸水患者(同:平均212±25ng/mL、平均151±23ng/mL)に比べ、有意に高濃度だった(p<0.001)。中皮腫のある患者とない患者に関する受診者動作特性(ROC)曲線では、血漿中フィブリン-3濃度のカットオフ値を52.8ng/mLにしたところ、感度は96.7%、特異度は95.5%だった。初期中皮腫患者とアスベスト曝露者に関するROC曲線では、カットオフ値を46.0ng/mLにしたところ、感度は100%、特異度は94.1%だった。研究グループは、血漿中フィブリン-3濃度は中皮腫のないアスベスト曝露者と中皮腫患者の識別だけでなく、胸水中フィブリン-3濃度と合わせて用いることで、他の悪性腫や良性胸水と、中皮腫胸水との識別も可能だと結論づけている。

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子どもの問題行動に対する行動予防モデルSWPBISの影響

 SWPBIS(School-Wide Positive Behavioral Interventions and Supports)は、学校全体の積極的な介入と支援により、子どもの問題行動を予防するモデルである。教員の応対の変化や子どもの行動のニーズを満たすシステムや支援の開発によって、問題行動を減らすことを目的としており、現在アメリカ全域の16,000校を超える学校で実施されている。Bradshaw CP氏らは、SWPBIS有効性試験に基づき、子どもの問題行動と適応に対する介入の影響について報告した。Pediatrics誌 オンライン版2012年10月15日掲載報告。試験は37校の小学校で無作為化群間比較試験として実施された。対象は12,344人の小学生で、そのうち52.9%が男児であった。また、45.1%はアフリカ系アメリカ人で、46.1%は白人であった。約49%が無料または割引価格の食事サービスを提供されており、12.9パーセントは試験開始時に特別支援教育を受けていた。マルチレベル分析は教師の評価によって行われ、評価項目は子どもの問題行動、集中力、社会的および感情的機能、向社会的行動、訓告処分、停学(4学年の間に5回)であった。主な結果は以下のとおり。・SWPBISにより、子どもの問題行動、集中力、社会的および感情的機能、向社会的行動について有意な効果があったことが示された。・SWPBISを行った学校の子どもは、行っていない学校と比較して、訓告処分を受ける割合が33%少なかった。・幼稚園のときに初めてSWPBISを受けた児童において、効果が最も高い傾向があった。・調査結果より、SWPBISのトレーニング後は問題行動が減少し、向社会的活動や感情調節において改善効果があるという仮説が得られた。・SWPBISの仕組みは、小学生における問題の軽減と適応促進につながる有望な手法である。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・睡眠時間の増減が子どもの情緒・落ち着きに与える影響

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自家造血幹細胞移植患者の血小板減少症、出血時に行う治療的輸血が有効

 自家造血幹細胞移植患者にみられる血小板減少症の治療では、従来の予防的血小板輸血よりも、出血発生時に行う治療的血小板輸血が有効なことが、ドイツ・Klinikum NurembergのHannes Wandt氏らの検討で示された。欧米では、血小板産生能低下に起因する重度の血小板減少症の標準治療は、毎朝の血小板数の測定値に基づくルーチンの予防的血小板輸血とされる。一方、治療的血小板輸血が新たな治療戦略として有望なことを示唆するパイロット試験の結果が知られているという。Lancet誌2012年10月13日号(オンライン版2012年8月7日号)掲載の報告。治療的血小板輸血の有用性を無作為化試験で評価研究グループは、血小板産生能低下による血小板減少症の新たな治療戦略である治療的血小板輸血の、輸血回数や安全性に及ぼす影響を評価する多施設共同非盲検無作為化試験を実施した。ドイツの8つの専門施設から強化化学療法を施行された急性骨髄性白血病患者(16~80歳)および自家造血幹細胞移植を施行された造血器腫瘍患者(16~68歳)が登録された。これらの患者が、出血の発生時に血小板輸血を行う群(治療的血小板輸血群)または毎朝血小板数を測定して≦10×109/Lの場合に予防的に血小板輸血を行う群(予防的血小板輸血群)に無作為に割り付けられた。 介入を行う担当医には治療割り付け情報がマスクされなかった。主要評価項目は血小板輸血の回数とした。平均輸血回数が33.5%低下、急性骨髄性白血病患者で非致死的重度出血が増加2005年2月1日~2010年3月31日までに396例(治療的血小板輸血群199例、予防的血小板輸血197例)が登録され、391例(197例、194例)が解析の対象となった。急性骨髄性白血病患者は190例で、そのうち治療的血小板輸血群が94例(年齢中央値54.0歳、男性49%)、予防的血小板輸血群は96例(54.0歳、48%)であり、自家造血幹細胞移植患者は201例で、そのうち治療的血小板輸血群が103例(55.0歳、60%)、予防的血小板輸血群は98例(56.5歳、63%)だった。患者1人当たりの平均輸血回数は、治療的血小板輸血群が1.63回と、予防的血小板輸血群の2.44回に比べ33.5%有意に低下した(p<0.0001)。そのうち急性骨髄性白血病患者では、治療的血小板輸血群が1.83回と、予防的血小板輸血群の2.68回よりも31.6%有意に低下し(p<0.0001)、自家造血幹細胞移植患者ではそれぞれ1.18回、1.80回と34.2%の抑制効果(p=0.0193)が認められた。自家造血幹細胞移植患者では大出血のリスクは増加しなかったが、急性骨髄性白血病患者では非致死的なgrade 4の出血(ほとんどが中枢神経系出血)のリスクが増大した。非致死的出血は15例にみられた。網膜出血が両群4例ずつのほか、治療的血小板輸血群で膣出血が1例、脳出血が6例に認められた。試験期間中に治療的血小板輸血群で致死的脳出血により2例が、大出血とは無関係の死因で両群5例ずつ、合計12例が死亡した。著者は、「治療的血小板輸血は自家造血幹細胞移植施行後の新たな標準的治療となる可能性があるが、急性骨髄性白血病では予防的血小板輸血を標準とすべきである」と結論し、「新たな治療戦略は、医療スタッフが十分な教育を受けて経験を積み、中枢神経系出血の初回徴候に対し適切なタイミングと方法で対処可能な場合に限り、血液疾患専門施設において使用すべきである」と指摘している。

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認知症患者における「せん妄診断」有用な診断ツールは…

 せん妄は、高齢者入院患者の50%に出現するといわれており、さまざまな悪影響を及ぼすため、対応方法の確立が急がれる。せん妄の診断ツールはいくつか開発されており、数々の報告がなされている。Morandi氏らは認知症患者にみられるせん妄の診断において、それぞれの診断ツールが有用であるかをシステマティックレビューにより解析した。J Am Geriatr Soc誌オンライン版2012年10月5日号の報告。 Pubmed、Emdase、Web of Science より、1960年1月~2012年1月の間に英語で出版された文献について検索を行った。文献には、せん妄のアセスメントツールについて標準的な基準に照らして検証された場合の研究が含まれていた。認知症の有無については、確立されている手段を用いた標準的な基準に基づいて評価されていた。条件を満たした研究結果をもとに、認知症患者におけるせん妄診断ツール研究のシステマティックレビューを行った。主な結果は以下のとおり。・基準を満たした研究は9報。1,569例のうち認知症患者は401例、せん妄を併発した認知症患者は50例であった。6種類のせん妄診断ツールが用いられていた。・CAM(Confusion Assessment Method)を用いた1報では、認知症患者の85%において高い特異性(96~100%)、および適度な感度(77%)が示された。・CAM-ICU(CAM for the Intensive Care Unit)を用いた2報の集中治療室における研究では、認知症患者23例で100%の感度と特異性が認められている。・脳波を用いた1報では、全ての認知症患者で感度67%、特異性91%であった。・各研究において、認知症の重症度やサブタイプによる影響は調査されていなかった。・認知症患者におけるせん妄診断に対し、エビデンスは限定的ではあるものの、診断ツールは有用であると考えられる。サンプル数が少ないため、さらなる研究が必要である。関連医療ニュース ・せん妄はアルツハイマー病悪化の危険因子! ・がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… ・せん妄の早期発見が可能に

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