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公共禁煙法施行で学童の受動喫煙減少

2006年3月から公共の屋内における喫煙が原則的に禁止された英国スコットランドでは、学童の受動喫煙が有意に減少していることがUniversity of EdinburghのPatricia C Akhtar氏らによるCHETS研究の結果、明らかになった。同研究報告はBMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。両親が喫煙しなければ子供にメリットCHETS(Changes in child exposure to environmental tobacco smoke)研究では、禁煙法制定前の2006年と施行後2007年における小学校最終学年の学童による受動喫煙量の変化を比較した。喫煙量の測定には唾液サンプル中のニコチン代謝物(コチニン)濃度を用いた。2006年には2,403サンプル、2007年にも2,270サンプルが提出された。その結果、2006年には0.35ng/mLだったコチニン濃度(幾何平均値)は0.21ng/mLへと有意(p

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公共禁煙法により非喫煙者の受動喫煙量が減少

2006年に公共の屋内における喫煙を禁じる法律が施行された英国スコットランドでは、非喫煙者の受動喫煙量が40%近く減少することが、英国NIHのSally J Haw氏とLaurence Gruer氏の調査で明らかになった。BMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。受動喫煙量が4割減少と推測される本研究では喫煙禁止前の2006年と禁止後2007年、無作為に抽出した16~74歳の住人に調査依頼を郵送し、受諾した家庭に赴き聞き取り調査を行った。2006年は1,815人、2007年には1,834人から聞き取り調査を行い、それぞれ627人と592人の非喫煙者から唾液サンプルの提供を受けた。その結果、受動喫煙量の指標となる唾液中ニコチン代謝物(コチニン)濃度は、2006年の0.43ng/mLから0.26ng/mLへと相対的に39%、有意(p

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薬物溶出ステントの安全性はベアメタルステントと同等か:メタ解析

(超)遠隔期のステント内血栓が問題となっている薬物溶出ステント(DES)だが、死亡率はベアメタルステント(BMS)と同等とするメタ解析がLancet誌9月15日号に掲載された。ドイツUniversity of BernのChristoph Stettler氏らが、ネットワークメタ解析と呼ばれる手法を用いて解析した結果だ。約20,000例のデータを解析ネットワークメタ解析とはAとBを比較したデータ、BとCを比較したデータを用いてAとCの比較まで行うメタ解析である。サンプル数が増えるという利点がある。さて、Stettler氏らはDESとBMSを比較した無作為化試験38件、18,023例のデータを用いて解析を行った。DESはシロリムス溶出ステント(SES)とパクリタキセル溶出ステント(PES)に分けて解析している。その結果、死亡リスクはBMS、SES、PES間に有意差はなかった。一方、心筋梗塞リスクはSESで有意に低く、相対リスクはBMSに比べ0.81(95%信頼区間:0.66-0.97、p=0.030)、対PESで0.83(95%信頼区間:0.71-1.00、p=0.045)だった。また内視鏡か剖検で確認された留置後1~4年間のステント内血栓のリスクも、BMSに比べPESでは1.43倍、SESは3.57倍となっていたが、いずれも有意な増加ではなかった。一方、各試験のプロトコールに従ったステント内血栓のリスクはBMSに比べ、PESで20.02と有意(p=0.0001)に増加していた。SESでもリスク増加は5.82と著明だったが、統計的に有意ではなかった(95%信頼区間:0.88-76.89)。またSES、PESとも責任病変部位血行再建術再施行のリスクはBMSより有意に低く、SESとPESを比較するとSESで有意に低かった。現実が反映された解析なのかこれらよりStettler氏らは、SESはPESやBMSよりも臨床的に有用であると結論するが、同号に掲載された論評では、対象となった臨床試験ではDESが現実に頻用されている高リスク病変ではなく低リスクに用いられている場合が多い、内視鏡・剖検で確認される血栓は臨床的に見られるステント内血栓の一部でしかない可能性などを指摘し、本解析の結論に疑問を呈している。(宇津貴史:医学レポーター)

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dabigatran etexilateの有効性・安全性はエノキサパリンと同程度:RE-NOVATE試験

関節置換術後のリスクとして静脈血栓塞栓症があり、その予防治療が術後および退院後も一定期間行われる。本稿は、その新しい予防治療剤として開発中の新規経口トロンビン阻害剤dabigatran etexilateに関する臨床試験RE-NOVATEの結果報告。LANCET誌9月15日号より。3,494例対象に無作為化二重盲見試験RE-NOVATEは欧州、南アフリカ、オーストラリアの115の医療センターにわたって行われた無作為化二重盲見試験で、人工股関節全置換術後の計3,494例を対象とする。対象は、dabigatran etexilate 220mg投与群1,157例または150 mg投与群1,174例(いずれも1日1回投与、術後1~4時間に半量投与で開始)と、エノキサパリン40mg投与群1,162例(1日1回投与、術前投与で開始)に無作為に割り付けられ実施された。主要評価項目は、静脈造影あるいは症候性に認められたすべての静脈血栓塞栓症の発生と、原因を問わない治療中のすべての死亡。試験結果には有効性解析の手法が用いられ、エノキサパリンとプラセボによる静脈血栓塞栓症発生率の絶対差を基礎とし、本試験の有効性マージンは7.7%と定義された。静脈血栓塞栓症予防への有効性および有害事象への安全性を確認投与期間の中央値は33日。有効性解析にかけられたのは220mg投与群880例、150 mg投与群874例、エノキサパリン投与群(対照群)897例だった。その他の症例は、主として静脈造影データの不足のため除外されている。主要評価項目が認められたのは、対照群6.7%(60/897例)に対し220mg投与群6.0%(53/880例、絶対差-0.7%、95%信頼区間:-2.9~1.6%)、150 mg投与群8.6%(75/874例、同1.9%、-0.6~4.4%)で、dabigatran etexilateはエノキサパリンと比べて非劣性であることが示された。また大出血の発生率に関しては、dabigatran etexilate投与群と対照群に有意差は認められなかった(220 mg投与:p = 0.44、150 mg投与:p = 0.60)。肝酵素濃度の上昇および急性冠動脈イベント発生についても有意差は認められなかった。以上の結果を踏まえ研究グループは、dabigatran etexilateの有効性と安全性はエノキサパリンと同程度であると結論付けている。

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エポエチンαの有効性と安全性に関する知見

重症患者によくみられる貧血に対して施行される赤血球輸血療法は、予後不良と関連している。そこでHoward L. Corwin氏らエポ治験グループは、「遺伝子組換え型ヒトエリスロポエチン(エポエチンα)の投与が赤血球輸血の必要性を減少させる」との仮説を立て、前向き臨床試験を行った。NEJM誌9月6日号の報告より。プラセボと有意差なし試験に登録されたのは、内科、外科、外傷で集中治療室に入室後48時間から96時間の患者1,460例。被験者はエポエチンα(40,000 U)またはプラセボを最高3週間、週1回投与され、140日間にわたって追跡された。主要エンドポイントは赤血球輸血を受けた患者の割合。2次エンドポイントは輸血された赤血球の単位数、死亡率、ベースラインからのヘモグロビン濃度の変化とされた。その結果、エポエチンα投与はプラセボと比較して、赤血球輸血を必要とする患者数の減少も(エポエチンα群対プラセボ群の相対危険度:0.95、95%信頼区間:0.85- 1.06)、輸血された赤血球単位の平均値(±SD)の低下ももたらさなかった(エポエチンα群:4.5±4.6単位、プラセボ群:4.3±4.8単位、 P = 0.42)。外傷患者で死亡率低下の可能性あるが、血栓イベント発生率上昇との関連もしかし、29日目にヘモグロビン濃度について、エポエチンα群がプラセボ群よりも上昇していた(1.6±2.0 g/dL対1.2±1.8 g/dL、P

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STAT4と関節リウマチや全身性エリテマトーデスのリスク

 関節リウマチは重要な遺伝的要因をもつ慢性炎症性疾患である。疾患に対する感受性は、染色体2q上の領域と関連付けられてきた。特に、Jakキナーゼアとともにサイトカインシグナルの伝達経路となるSTAT 分子は7種類あることがわかっており、Th1反応を起こすIL-12に反応するSTAT4 の役割の解明に注目が集まっている。 アメリカ国立衛生研究所関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所のElaine F. Remmers氏らは、すでに関節リウマチと関連づけられている染色体2q領域中の13の候補遺伝子の内外にある一塩基多型(SNP)を調べた。NEJM誌9月6日号の報告から。STAT4 第3イントロン(*1)のSNPハプロタイプ(*2)の関連を示唆 研究グループは、関節リウマチと診断された北米の症例患者群1,620例と対照群2,635例についてSTAT1-STAT4 領域の微細な遺伝子マッピングを実施した。関連するSNPについては独立したケース-対照群シリーズから、スウェーデンの初期関節リウマチ患者群 1,529例と対照群881例、さらに全身性エリテマトーデス(SLE)患者については3シリーズから計患者群1,039例と対照群1,248例を登録し、調査した。その結果、STAT4 の第3イントロンにおけるSNPハプロタイプが、関節リウマチとSLE両方の感受性と関連していることがわかった。ハプロタイプを定義しているSNPのマイナー対立遺伝子は、診断が確定した関節リウマチ患者群の染色体の27%に存在する一方、対照群では22%であった(関連が最も強く示されたIDナンバー SNP rs7574865についてP= 2.81×10(-7)、対照群に対して患者群が染色体にリスク対立遺伝子を持つオッズ比1.32)。この関連はスウェーデンの最近の初発関節リウマチ患者で繰り返され(P = 0.02)、対照群とも合致した。STAT4 は関節リウマチ・SLE双方に共通の伝達経路 rs7574865 でマークされたハプロタイプはSLEの主症状である狼瘡と強い関連があり、症例患者群31%の染色体上に存在し、対照群では22%だった(P=1.87× 10(-9)、対照群と比較して患者の染色体にリスク対立遺伝子が存在するオッズ比1.55)。リスク対立遺伝子のホモ接合性は、対立遺伝子の欠如と比較して、狼瘡では2倍のリスクと、関節リウマチでは60%のリスク増加と関連していた。これらの結果から研究グループは、STAT4 のハプロタイプは関節リウマチとSLEの両方のリスク増加と関連しており、これらの疾患には共通の経路があることが示唆されたとしている。*1 遺伝子中でタンパク質を作るための情報をもたない部分*2 同一染色体上で、遺伝的に連鎖している多型(一塩基多型:SNPなど)の組み合わせ(朝田哲明:医療ライター)

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医学教育研究における提供資金量と論文引用回数は相関する

医学教育研究の方法論上の弱点は資金の不足にあるとよく言われるが、資金と研究の質との相関は証明されていない。教育研究の質を測定する指標の開発とともに、研究資金と研究の質の関係を評価することを目的とした、学術誌に掲載された論文の質と提供された資金量についての調査が行われた。JAMA誌9月5日号より。210の医学研究論文をMERSQIで評価メイヨー・クリニック医科大学のDarcy A. Reed氏(米国ミネソタ州)らは、医学教育研究の質と提供資金量の関係を評価するために、ピア・チェックを受けた学術誌13誌に2002年9月1日から 2003年12月31日にかけて掲載された医学教育研究論文210の内的整合性、評価者間および内部評価者の信頼性と基準の妥当性を、研究デザイン・サンプリング・データタイプ・評価方法の妥当性・データ分析・アウトカムの6領域10項目にわたる医学教育研究質評価ツール(MERSQI)によって判定した。研究ごとに得られた提供資金量と主な執筆者の論文掲載記録を精査した上で判定された。主要評価項目はMERSQIによって正確に測定された研究の質(最大トータルスコアを18、6領域の各スコアは3)、研究ごとの提供資金量、主な執筆者の過去の論文掲載数。提供資金量と主な執筆者の論文掲載回数が相関MERSQI スコアの平均は9.95(SD:2.34、範囲5~16)だった。領域スコアの平均は、データ分析に関するものが最高(2.58)で、妥当性に関しては最低(0.69)だった。クラス内の相関係数の範囲は、評価者間については0.72~0.98、内部評価者の信頼度については0.78~0.998であった。トータルのMERSQIスコアは、専門家による格付け(スピアマン順位相関係数0.73、95%信頼区間:0.56- 0.84、P

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血漿ホモシステイン濃度低下は慢性腎臓病と末期腎不全の死亡率低下に有効か

血漿ホモシステイン濃度の上昇が死亡率と血管疾患の危険因子であることは慢性腎臓病患者の観察研究で明らかになっている。ホモシステイン濃度を下げる葉酸とビタミンB群の投与が、慢性腎臓病と末期腎不全患者の予後を改善するか否かをテーマに無作為化対照試験が実施され、その結果がJAMA誌9月12日号に掲載された。葉酸40mg、ビタミンB6100mgなどを毎日投与高用量葉酸とビタミンB群の毎日投与が慢性腎臓病患者の死亡率を減少させるかどうかを判定するため、Rex L. Jamison氏らのグループは米国退役軍人省医療センターの36病院で二重盲検無作為化対照試験(2001~2006年)を行った。追跡期間の中央値は 3.2年、21歳以上の進行性慢性腎臓病(推算クレアチニンクリアランス30mL/分以下、n=1,305)あるいは末期腎不全(n=751)で、かつ高ホモシステインレベル(15μmol/L)の患者計2,056例。参加者は葉酸40mg、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)100mg、シアノコバラミン(ビタミンB12)2mgを含むカプセルまたはプラセボを毎日投与された。主要評価項目は全原因死亡率。第2評価項目は心筋梗塞、脳卒中、下肢の全部または一部の切断、そしてこれら3つと複合死亡率、透析開始までの期間と血液透析患者の動静脈アクセスの血栓症に至る期間とした。生存率、血管系疾患発病率減少のいずれも効果なし平均のホモシステイン濃度は、ビタミン投与群が24.0μmol/L、プラセボ投与群は24.2μmol/L。3ヵ月で、ビタミン投与群は 6.3μmol/L(25.8%、P<0.001)、プラセボ投与群は0.4μmol/L(1.7%、P=0.14)低下したが、死亡率に明らかな影響はなかった(ビタミン投与群448対プラセボ投与群436、ハザード比:1.04、95%信頼区間:0.91-1.18)。第2 評価項目または有害事象においても明らかな影響は示されなかった。心筋梗塞はビタミン投与群129例対プラセボ群150例(同0.86、0.67- 1.08)、脳卒中はビタミン群37対プラセボ群41(同0.90、0.58-1.40)、そして下肢切断はビタミン群60対プラセボ群53だった(同 1.14、0.79-1.64)。さらに、死亡率を加えた心筋梗塞、脳卒中、切断の複合、透析に至る期間(P=0.38)と、血液透析患者の血栓症に至る期間(P=0.97)は、ビタミン群とプラセボ群で違いがなかった。これらから、高用量葉酸とビタミンB群の投与は生存率の向上、あるいは進行性慢性腎臓病と末期腎不全患者の血管疾患の発病率低下のいずれにも効果がなかったと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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血糖値自己測定を活かすには医療従事者の協力が必要

BMJ誌では7月にDiGEMスタディを掲載し、2型糖尿病患者による血糖値自己測定の有用性に疑問を呈したが、今回はその背景にある患者心理を調査した Aston University(英国)のElizabeth Peel氏らによる研究結果で、8月30日付けHPにて早期公開された(その後本誌では9月8日号にて掲載)。患者は自己測定の結果をどう利用するかを十分に教育されていないようである。自己測定経験者を聞き取り調査Peel氏らは2002年から3年の間に2型糖尿病と診断されて6ヵ月以内の18例を対象に、2006年までに4回の聞き取り調査を行った。これら18例は全例、血糖値自己測定を行った経験があるが、試験参加時に測定していたのは7例のみだった。1年後には16例まで増加していたが、最終的には10例に減っていた。何故、自己測定をやめてしまったのか──。医療従事者の態度や患者教育に改善の余地あり聞き取り調査から明らかになった第一点は、医療従事者が自己測定値にさほど興味を示さないため、患者が自己測定を無駄だと考えるようになるという傾向である。治療歴が長くなるとHbA1cの方が重要らしいと知り、血糖値測定を軽視するようになるケースが多いようだが、「測定して行っても誰も数値を見てくれなかった」という例まであった。また自己測定した値を自分で見ても、何をすべきか教わっていない──という問題点も浮き上がってきた。その結果、自己測定値が高値の際、その旨を医療従事者に告げるのではなく、絶食・摂食制限など、短期的に血糖値を低下させる行動に走る傾向があり、運動や服薬には意識が回らないのが一般的だった。医療従事者の態度が血糖値自己測定に与える影響や、好ましい自己測定のあり方などをさらに検討する必要があると筆者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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グリタゾン系薬剤は糖尿病合併心不全患者の予後増悪?:体系的レビュー

慢性心不全患者ではHbA1c低値が予後増悪の予知因子と報告されているが、予後を増悪させているのはチアゾリジン誘導体(グリタゾン系薬剤)で、メトホルミンではそのようなおそれが少ないことが示唆された。Institute of Health Economics(カナダ)のDean T. Eurich氏らがBMJ誌8月30日付けHPにて早期公開論文として報告した(その後本誌では9月8日号にて掲載)。メトホルミンでは増悪認めずEurich氏らは、血糖低下薬と死亡・入院の関係を糖尿病合併心不全患者で検討しており、チェックリストにより一定の質が認められた8試験(13論文)のデータを体系的にレビューした。その結果、まずインスリンは心不全患者の総死亡を増加させていた可能性が示唆された。SU剤も同様の可能性が示された。一方メトホルミンは、SU剤などと比較した2試験15,763例をプール解析したところ、「全入院」のリスクが有意に低下していた(オッズ比:0.85、95%信頼区間:0.76~0.95)。一方、グリタゾン系薬剤をSU剤などと比較したプール解析(4試験、22,476例)では、「全入院」のリスクがグリタゾン系薬剤群で有意に増加していた(オッズ比:1.13、95%信頼区間:1.04~1.22)。Eurich氏らは、ロシグリタゾンによる心不全増加が近年示唆されている点などを指摘しながら、「現状では心不全患者の予後を増悪させない唯一の血糖降下薬はメトホルミンである」と結論している。なお、米国医師会雑誌(JAMA)9月12月号に掲載されたWake Forest University(米国)のCurt Furberg氏らによるメタ解析は、当初Cleveland Clinic(米国)のSteven Nissen氏らによるメタ解析が見いだしたロシグリタゾンによる心イベント増加を否定している。Eurich氏らも述べているが、メトホルミンとグリタゾン系薬剤の直接比較が必要であろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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高リスク糖尿病患者に対する積極的降圧療法の有用性が示される:ADVANCE試験

心血管系高リスクあるいは既往を認める糖尿病患者では、血圧に関わりなくACE阻害薬+利尿薬を用いた降圧により血管系イベントが減少することが、 Lancet誌9月8日号に掲載されたADVANCE試験の結果より明らかになった。本研究は論文掲載に先立ち、欧州心臓病学会(ESC)において報告されている。高リスク糖尿病を対象、血圧は不問本試験の対象は55歳以上の2型糖尿病患者11,140例だが、心血管系イベント既往あるいは心血管系リスクを有する「心血管系高リスク」患者だった。心血管系リスクとされたのは「細小血管症」、「糖尿病性眼症」、「喫煙」、「脂質異常症」、「微量アルブミン尿」、「糖尿病歴10年以上」か「65歳以上」 ──である。試験参加に関し、血圧値は問われなかった。これら11,140例はACE阻害薬ペリンドプリルと利尿薬インダパミドの合剤を服用する「降圧薬群」(5,569例)と「プラセボ群」(5,571群)に無作為割り付けされ、二重盲検法で追跡された。試験開始時の背景因子は、平均年齢66歳、2型糖尿病発症平均年齢が58歳、32%に心血管系イベント既往を認めた。また降圧治療を受けていたのは69%、血圧平均値は145/81mmHgだった。1次評価項目は9%有意に減少4.3年間の平均追跡期間の血圧平均値は、「降圧薬群」で5.6/2.2mmHg有意に低かった。特に収縮期血圧は「降圧薬群」では試験開始6ヵ月後以降135mmHg前後が保たれていたのに対し、プラセボ群では常に140mmHg前後だった。その結果、1次評価項目である「大血管症(心血管系イベント)+細小血管症」の発生率は「プラセボ群」16.8%に対し「降圧薬群」では15.5%で、相対的に9%の有意な減少となった(95%信頼区間:0-17%、p=0.041)。年齢、試験開始時高血圧の有無や血管症既往の有無などで分けて検討しても、「降圧薬群」で1次評価項目が増加傾向を示すサブグループはなかった。また1次評価項目を大血管症と細小血管症に分けて比較すると「降圧薬群」における減少は有意差ではなくなるが、「主要冠動脈イベント」と「その他の冠動脈イベント(血行再建術施行や無症候性心筋虚血、不安定狭心症による入院)」を併せた「全冠動脈イベント」のリスクは相対的に14%、「降圧薬群」で有意に低下していた。同様に、「微量アルブミン尿出現」も「降圧薬群」において相対的に21%、有意にリスクが低下していた。これらより報告者らは、「ペリンドプリルとインダパミド合剤は、血圧の高低にかかわらず2型糖尿病患者の大血管症+細小血管症を減少させるだろう」と結論している。なお同号に掲載された「論評」ではUniversity of Texas(米国)のNorman M. Kaplan氏が、プラセボ群の83%が何らかの降圧薬(55%はペリンドプリル)を服用していたにもかかわらず5.6/2.2mmHgの血圧差があった点など、いくつか考慮すべきポイントを指摘している。(宇津貴史:医学レポーター)

30872.

うつ病は健康状態を悪化する一番の要因:WHO報告

うつ病は世界中で重要な公衆衛生問題であり主要な病因の1つとなっている。また他の慢性疾患との共存で健康状態を悪化させることは、少数ではあるが先行研究として伝えられてきた。 Lancet誌9月8日号に掲載された本報告は、世界保健機構(WHO)のSaba Moussavi氏らによる世界健康調査(World Health Survey:WHS)からの、うつ病の健康状態への影響を分析した結果。うつ病単独の有病率は3.2%WHSは18歳以上成人の健康状態および健康に関するデータ収集を目的とした調査で、世界60ヵ国、245,404例の参加者データから、うつ病と、ICD-10に基づく4つの慢性疾患(狭心症、関節炎、喘息、糖尿病)に関する有病率および健康スコアの分析が行われた。単独疾患の1年有病率は糖尿病が最も低く2.0%(95%信頼区間1.8-2.2)、次いで低かったのがうつ病で3.2%(同3.0-3.5)、その他は喘息3.3%(同2.9-3.6)、関節炎4.1%(同3.8-4.3)、狭心症4.5%(同4.3-4.8)だった。有病率9.3%~23.0%のうつ病+慢性疾患の状態が最も健康を悪化一方で、うつ病+4つの慢性疾患のうちのどれか1つ以上の有病率は、平均9.3%~23.0%までにわたっており(うつ病+糖尿病:9.3%、うつ病+狭心症:10.7%など)、前述のうつ病単独有病率よりも有意に高い(p<0.0001)。また社会経済的要因と健康状態を調整した後の健康スコアの比較からは、国や各人口統計学的特性を問わず、うつ病が健康スコアのマイナス要因として最も大きく影響していることが明らかとなった。Saba 氏らは、「うつ病が慢性疾患よりも健康状態を大きく減退させることが明らかとなった。特にうつ病+慢性疾患が共存する疾病状態は、うつ病単独よりも、慢性疾患単独よりも、また複数の慢性疾患共存状態よりも健康を悪化させる。うつ病対策に最優先で取り組なければならない」とまとめている。

30873.

抗不整脈薬dronedaroneの有効性:EURIDIS & ADONIS試験結果

アミオダロンは心房細動時の洞調律維持に有効だが、深刻な毒性作用が問題とされる。このアミオダロンの改良タイプとして位置付けられ、副作用リスクを低減するために開発された新しい抗不整脈薬がdronedaroneである(欧米で申請中)。その重篤な心イベントへの有効性と副作用に関する臨床試験結果が NEJM誌9月6日号に公表された。2つのエリアで同一の臨床試験を実施dronedarone の有効性を評価する臨床試験は、多施設共同二重盲検無作為化試験としてヨーロッパ(EURIDIS試験:Clinical Trials.gov番号NCT00259428)、および米国・カナダ・オーストラリア・南アフリカとアルゼンチンの非ヨーロッパ圏(ADONIS試験:同NCT00259376)で実施された。追跡期間は12ヵ月で、この間に律動を、2、3、5日目と3、5、7、10ヵ月目および不整脈再発時は電話による心電図テレメトリーで、また追跡期間中に予定された9回の外来時は心電図でモニターされた。主要エンドポイントは心房細動または粗動の初回再発までの期間。不整脈再発抑制と心室拍動数の減少に効果dronedarone 投与群(400mgを1日2回投与)828例、プラセボ群409例における不整脈再発までの期間中央値は、EURIDIS試験ではプラセボ群41日に対し dronedarone投与群は96日であった(P = 0.01)。ADONIS試験ではそれぞれ59日と158日(P = 0.002)。不整脈再発時の心室拍動数の平均値(±SD)は、EURIDIS試験ではdronedarone投与群で102.3±24.7回/分だったのに対しプラセボ群で117.5±29.1回/分であった(P

30874.

心室ペーシングを最小化する新型両室ペースメーカーの有効性

従来の両室ペーシングは房室同期を維持するものの、本来不要な心室ペーシングの割合を高める。そのため心室の脱同期化を来たし、洞房結節不全患者の心房細動リスクを高めるとの指摘がなされていた。そこで心室ペーシングを最少化する新型の両室ペースメーカーが開発。その有効性を検証する臨床試験の結果が公表された。NEJM誌9月6日号より。洞房結節不全患者1,065例を対象にSAVE PACe(Search AV Extension and Managed Ventricular Pacing for Promoting Atrioventricular Conduction)研究グループによる本臨床試験は、洞房結節不全患者(QRS間隔が正常、かつ房室伝導が良好な)1,065例を対象に、従来の両室ペーシングを受ける群(従来群:535例)と、新型の両室ペースメーカー(房室伝導を促進し心室伝導を保ち心室の脱同期化を予防するよう設計)で最小のペーシングを受ける群(新型群:530例)にランダムに割り付け実施された。主要エンドポイントは持続性心房細動が現れるまでの期間。持続性心房細動の出現リスクを中等度低下平均追跡期間(±SD)は1.7±1.0年だった。心室拍動のペーシング割合は、従来群(99.0%)より新型群(9.1%)の方が有意に低かった(P

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研修医の勤務時間改善で患者死亡率は改善されたか:民間病院での検証結果

米国では卒後医学教育認定委員会(ACGME:Accreditation Council for Graduate Medical Education)によって2003年7月1日より、研修医の勤務時間規則が施行されたが、これによる勤務時間改善と患者死亡率との関連、教育強度の異なる研修病院間での相関については、これまで検証されていなかった。フィラデルフィア退役軍人医療センターのKevin G. Volpp氏らは、その関連性を評価。JAMA誌9月5日号に掲載された本報告は、民間病院のメディケア対象の短期・急性期入院患者を対象とした検証結果である。勤務時間改善の前後で患者死亡率に差があったか政府系を除く民間病院3,321病院に2000年7月1日から2005年6月30日にかけて入院したメディケア患者8,529,595例を、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、消化管出血、脳卒中、あるいは全身性の整形外科的、または脈管手術のいずれかの診断関連群に分類し、時系列解析した観察研究。教育強度の多寡によって患者死亡率に違いがあるかを調べるため、勤務時間改善前後の2000~2003学校年度と2003~2005学校年度を対比させ、共存症の有無、期間傾向、病院立地を調整しつつロジスティック回帰分析を行った。主要評価項目は全対象病院の入院30日以内の死亡率とした。勤務時間の改善と死亡率の変化に相関はなかった結果は、内科系・外科系にかかわらず、勤務時間の改善と相対死亡率の増減に有意な相関は認められなかった。教育強度の多寡でも同様で、改善後1年の内科系疾患群との関連オッズ比は1.03(95%信頼区間0.98-1.07)、外科系疾患群とは1.05(同0.98-1.12)、改善後2年でもそれぞれ 1.03(同0.99-1.08)、1.01(同0.95-1.08)だった。唯一、脳卒中について、より教育強度の高い病院で勤務時間改善後に死亡率の上昇がみられたが、この関連は勤務時間改善前からみられたものだった。非研修病院と最も教育強度の高い研修病院とを比較すると、勤務時間改善前1年と改善後2年目との間で、内科系疾患群で0.42パーセンテージ・ポイント(4.4%の相対増加)、外科系疾患群で0.05パーセンテージ・ポイント(2.3%の相対増加)の死亡率の絶対的変化がみられたが、どちらも統計学的に有意ではなかった。これらから研究グループは、ACGMEの勤務時間改善は、少なくとも最初の2年間においてはメディケア患者の病状悪化と死亡率改善のいずれももたらしていないと報告した。なお同日号に、同一執筆者による退役軍人病院を対象に行った検証結果が報告されている。あわせて読むと興味深い。(朝田哲明:医療ライター)

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研修医の勤務時間改善で患者死亡率は改善されたか:退役軍人病院での検証結果

米国の研修医の勤務時間は、卒後医学教育認定委員会(ACGME:Accreditation Council for Graduate Medical Education)によって規定され2003年7月1日に施行されている。しかしこれまでこの制度上の変更と入院患者の死亡率との関連、教育強度の異なる研修病院間での相関はついて検証されていない。JAMA誌9月5日号に掲載された本報告は、フィラデルフィア退役軍人医療センターKevin G. Volpp氏らによる退役軍人病院の患者を対象とした検証結果である。内科系・外科系あわせて約32万例の急性期入院データを時系列解析勤務時間改善以前の2000年7月1日から改善後の2005年6月30日にかけて、急性期退役軍人病院(N=131)に入院した全患者(N= 318,636)のデータを、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、消化管出血、脳卒中、あるいは全身性の整形外科的、脈管手術のいずれかの診断関連群に分類し、時系列解析した観察研究。教育強度の多寡によって患者死亡率に違いがあるかを調べるため、勤務時間改善前後の 2000~2003学校年度と2003~2005学校年度を対比させ、共存症の有無、期間傾向、病院立地を調整しつつロジスティック回帰分析を行った。主要評価項目は全対象病院の入院30日以内の死亡率とした。内科系(特に急性心筋梗塞)患者で死亡率が低下改善後1年では、内科系・外科系とも死亡率の有意な変化は観察されなかった。改善後2年目に、研修医の病棟勤務比率が最も高い病院と最も低い非研修病院を比較すると、急性心筋梗塞患者の死亡率オッズ比は0.48(95%信頼区間0.33-0.71)で、4つの内科系疾患の合計オッズ比0.74(同0.61- 0.89)、急性心筋梗塞以外の内科系3疾患の合計オッズ比0.79(同0.63-0.98)と比べて有意に低下した。教育強度が25パーセンタイル値と低い病院と、教育強度の高い75あるいは90パーセンタイル値の病院それぞれの内科系疾患患者の死亡率を比較すると、勤務時間改善前1年と改善後2年目では、それぞれ0.70パーセンテージ・ポイント(11.1%の相対低下)、0.88パーセンテージ・ポイント(13.9%の相対低下)と確実な改善がみられた。ACGMEによる研修医の勤務時間改善は、改善後2年目の時点で、退役軍人病院の中でもより教育強度の高い病院で患者死亡率の顕著な改善と関連していた。ただし改善は一般的な4つの内科系疾患を有する患者においてで、外科系患者における死亡率の低下は確認されていない。本結果に関して同日号に、同一執筆者による民間病院を対象とした検証結果が掲載されている。あわせて読むと興味深い。(朝田哲明:医療ライター)

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「正常高値」血圧は中年女性でもリスク:WHSサブ解析

「正常高値」血圧の中年女性は、「正常血圧」の同年代女性に比べ、10年間の心血管系イベントリスクが2倍近く有意に増加することが、米国における約4万人の女性を追跡した結果、明らかになった。Harvard Medical School(米国)のDavid Conen氏らによるWomen’s Health Studyのサブ解析。BMJ誌オンライン版8月19日付で早期公開された。本誌では9月1日号で掲載。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にイベントが増加本解析に含まれたのは。45歳以上で心血管系疾患やその他重篤な疾患を有さない医療従事者の女性39,322例である。平均年齢は約55歳、喫煙者が15%弱、40%前後がホルモン補充療法を受けていた。28,863 例(73.4%)では高血圧を認めなかったが、そのうち17.3%(4,988例)は血圧130~139/85~89mmHgの「正常高値」血圧だった。一方、「正常血圧」(120~129/80~84mmHg)は39.2%(11,326例)、至適血圧(120/75mmHg未満)は43.5%だった(血圧分類は1999年WHO-ISH規準)。次に10.2年間の主要心血管系イベント発生リスクを上記血圧カテゴリー別に、多変量解析で年齢や肥満度などの背景因子を補正して比較した。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にリスクが増加していた。すなわち、「正常高値」群のリスクを1とした場合、「正常血圧」群のリスクは0.61(95%信頼区間:0.48~0.76)だった。「正常血圧」群と「至適血圧」群のリスクには有意差はなかった。なお、主要心血管系イベントとされたのは「心筋梗塞、脳卒中、心血管死、死亡」である。「高血圧」移行後は2年間でイベントリスクが50%上昇観察期間中の「高血圧」への移行リスクも同様で、「正常血圧」群に比べ「正常高値」群では2倍近く、有意に上昇していた。ここで興味深いのは、「至適血圧」群では「正常血圧」群に比べ、高血圧移行リスクが有意に低い点である。「正常高値」群の移行リスクを1とすると、背景因子補正後の「正常血圧」群におけるリスクは0.42(95%信頼区間:0.40~0.44)だったのに対し、「至適血圧」群では0.17(95%信頼区間:0.16~0.18)となっていた。また、ひとたび「高血圧」に移行すると、48ヵ月以内の主要心血管系リスク発生のイベントは「非移行」群の約1.5倍へ有意に増加することも本研究では明らかになっている。筆者らは「正常血圧」と「正常高値」を「preheypertension(前高血圧)」と分類する現在の米国高血圧ガイドライン(JNC7)を批判し、「正常高値」群を特に高リスクとして予防に努める必要があると述べている。(宇津貴史:医学レポーター)

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抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延

一般医の抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延させている、との興味深い論文が、BMJ誌オンライン版7月26日号、本誌9月1日号に掲載された。 英国一般診療で抗生物質の処方が最も多いのは、小児の急性呼吸器感染症に対してだが、コミュニティ・スタディなどがほとんど行われてこなかった。英国オックスフォード大学のAngela Chung氏らがあらためて観察研究を行った結果の報告。急性呼吸器感染症と診断の小児119例を追跡調査英国一般診療において抗生物質の処方と耐性菌出現との相関は低いと言われてきたが、最近の報告で、欧州19ヵ国のペニシリンのコミュニティにおける使用とペニシリン耐性菌出現との相関は0.84であると報じられた。ただし、スウェーデンやデンマークは英国よりも処方率は高いが耐性菌レベルは低く、一方フランスは処方率は高いが耐性菌レベルが高い。アイスランドのコミュニティ・スタディでは相関関係は特に見られないなど国によって異なる事実もある。Chung 氏らの観察研究は、オックスフォードシャー州の一般医開業医を受診し急性呼吸器感染症と診断された生後6ヵ月~12歳までの小児119例が対象。そのうち 71例はβラクタム系抗生剤(アモキシシリン70例、cephradine 1例)を処方されており、2週時点と12週時点に咽頭ぬぐい液検査を行い、アンピシリンの最小発育阻止濃度とICEHin1056耐性因子を4つのHaemophilus分離株で評価した。抗生物質投与群の耐性菌出現リスクは2倍2週時点の評価で、アンピシリンの最小発育阻止濃度は、アモキシシリン処方の有無で3倍以上の開きがあることが明らかとなった(処方あり9.2 μg/mL vs 処方なし2.7 μg/mL、P=0.005)。またICEHin1056耐性因子のリスクは約2倍になることも示された(処方あり67% vs処方なし36%、相対危険度1.9、95%信頼区間1.2-2.9)。耐性因子の増加は一過性だったが(12週時にアンピシリン耐性はベースライン近くに低下)、約35%の小児に耐性因子の存在が示され、本研究の一部ポイントでは83%(76%~89%)だった。Chung 氏らは、「プライマリ・ケアで処方されるアモキシシリンの短期的影響は、個々の小児にとって一過性かもしれないが、集団観点ではハイレベルの抗生物質耐性を蔓延させるのに十分足りうるものだ」と結論付け、一般診療での抗生物質の処方を大きく変化させる必要があると述べている。

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COPDのリスク因子、加齢・喫煙の寄与は明らか、他の因子も

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は罹患率、死亡率とも世界規模で上昇している。COPDによる将来的な負担を予測し、主要なリスク因子を見定め、関連健康サービスの供給計画を立案するには、その発症状況を正確に把握する必要がある。 アメリカ・オレゴン健康科学大学のA. Sonia Buist氏らは、BOLD(The Burden Of Obstructive Lung Disease)試験においてCOPDの有病率とそのリスク因子を評価し、国ごとの発症状況の変動を調査した。9月1日付Lancet誌の報告から。世界12地域からの対象を解析2006 年12月31日の時点で世界12地域から登録された40歳以上の9,425人が対象となった。気管支拡張薬投与後のスパイロメトリー検査と呼吸器症状に関する質問票、一般健康状態、COPDリスク因子の曝露状況に関するデータを解析した。COPDの診断はGOLDの病期判定基準に準拠して行った。ロジスティック回帰分析を用いて10歳ごと(40~49、50~59、60~69歳、70歳以上)および10 pack-year(pack-year:1日の喫煙本数/20本×喫煙年数)ごとのCOPDの有病率の増加に関して補正オッズ比(OR)を算出し、メタ解析により、各リスク因子についてプールされた推定値を算出した。加齢、喫煙状況のほかにもリスク因子が存在stage II以上のCOPDの全体の有病率は10.1%であり、男性では11.8%、女性では8.5%であった。stage II以上のCOPDに関する全体のORのプール推定値は10歳ごとに1.94(95%信頼区間1.80-2.10)増加した。地域特異的な10 pack-yearのORは女性で有意差が見られたが、男性では認めなかった(それぞれp=0.012、p=0.743)。Buist 氏は、これらの結果を「今回の国際的な研究においてスパイロメトリーで診断したCOPDは、典型的な既報のデータに比べ病期が進行していた。加齢および喫煙状況がCOPDの発症に強く寄与していたが、地域、加齢、性別、喫煙状況による有病率の変動を十分には説明できず、他の重要な因子の存在が示唆された」と総括している。また、「世界的な人口の高齢化とともに、禁煙は目標としての緊急性が増大しているが、COPDの促進因子をよりよく理解するには、地域ごとの最善の予防対策の構築に向けて地域の公衆衛生行政を支援することが重要」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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受動喫煙は、喫煙未経験者におけるCOPD発症のリスク因子

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2020年には世界的な死亡原因の第3位になると予想されている。喫煙がCOPDの主要なリスク因子であることはすでに明らかだが、受動喫煙の影響については情報がほとんどない。 イギリス・バーミンガム大学公衆衛生学・疫学科のP. Yin氏らは、中国の中高年者において受動喫煙がCOPDおよび呼吸器症状に及ぼす影響を調査、その関連性が明らかになるとともに深刻な事態が浮き彫りにされた。9月1日付Lancet誌掲載の報告。喫煙未経験者の受動喫煙状況とCOPDの関連を調査「広州バイオバンクコホート試験」は、中国南部地域における環境要因と呼吸器疾患の遺伝的因子の関連を調査する疫学研究で、2003~2006年に50歳以上の20,430人が登録された。Yin氏らは、今回、このうち15,379人(女性13,602人、男性1,777人)の喫煙未経験者のデータをもとに受動喫煙とCOPD、呼吸器症状の関連について解析を行った。在宅時および就業時の受動喫煙の曝露状況[曝露の程度(住居、職場の喫煙者数)および曝露期間]を自己申告によって記録した。COPDの診断は、スパイロメトリーを用いてGOLDガイドラインに基づいて行った。受動喫煙者に向け緊急対策を講じるべき高度曝露群(40時間/週、5年以上)は、軽度曝露群(40時間/週、2年未満)に比べCOPDのリスクが有意に増大していた(補正オッズ比1.48、 95%信頼区間1.18-1.85、p=0.001)。また、呼吸器症状全般の発現頻度も有意に増加していた(同1.16、1.07-1.25、p <0.0001)。Yin氏は、「受動喫煙はCOPDおよび呼吸器症状発現の有意なリスク因子である」と結論したうえで、「中国では、受動喫煙によって1,900万人の喫煙未経験者がCOPDで死亡していると推計されるが、これはきわめて深刻な事態だ」と指摘、「今回の知見は、受動喫煙者に向けた緊急対策を促す強力なエビデンスをもたらすものだ」と警鐘を鳴らしている。(菅野 守:医学ライター)

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