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米国・カナダの臨床ガイドライン、作成委員の半数超が作成時に利害対立があったと報告

米国とカナダの脂質異常症(高脂血症)や糖尿病の臨床ガイドラインの作成委員のうち半数超が、いわゆる臨床家と産業界との利害対立が作成時にあったと報告したことが明らかにされた。その一方で、検証したガイドラインのおよそ3分の1は、利害対立に関する情報の開示をしていなかった。さらに、ガイドライン作成に関する出資元が政府の場合には、そうでない場合に比べ、利害対立があったことを報告した委員の割合が少ないことも示された。これは、米国・マウントサイナイ・メディカルスクール予防医学部門のJennifer Neuman氏らが、14の臨床ガイドラインとその作成に携わった委員に対して行った調査の結果で、BMJ誌2011年10月15日号(オンライン版2011年10月11日号)に掲載発表された。利害対立が事実あったと認めた委員は150人・52%、うち12人が未報告同研究グループは、2000~2010年、米国またはカナダで作成された、14の脂質異常症(高脂血症)や糖尿病の臨床ガイドラインについて調査を行った。このうち5つのガイドラインでは、利害対立に関する情報開示の宣言を行っていなかった。これらのガイドライン作成に携わった委員288人のうち、ガイドライン公表時に利害対立があったことを報告したのは138人(48%)、利害対立はなかった(73人)、または報告する機会がなかったとしたのは合わせて150人(52%)だった。しかし、公式には利害対立はなかったと報告していた73人のうち、実際には利害対立があったとした委員が8人(11%)いた。全体では、利害対立があったと認めた委員は150人(52%)に上り、そのうち12人がその旨を報告していなかった。作成委員会座長の半数が利害対立があったと報告調査対象の14のガイドラインのうち、座長が確認できたのは12ガイドラインだった。そのうち、利害対立があったことを認めたのは6人で、全員その旨を報告していた。また、ガイドライン作成委員会の出資元が政府の場合には、利害対立があったとした委員の割合が92人中15人(16%)と、そうでない場合の196人中135人(69%)に比べ、有意に大幅に低率だった(p<0.001)。(當麻 あづさ:医療ジャーナリスト)

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2004年のCONSORT拡張版発表後も、臨床試験報告の方法論基準に改善認められず

臨床試験報告に関する統合基準「CONSORT」(consolidated standards of reporting trials)の拡張版が2004年に発表されて以降、クラスター無作為化試験の報告基準には多少の改善がみられたものの、方法論基準には改善が認められないことが報告された。カナダ・Women’s College Hospital(トロント)のN M Ivers氏らが、300のクラスター無作為化試験について調べ明らかにしたもので、BMJ誌2011年10月15日号(オンライン版2011年9月26日号)で発表した。クラスター無作為化試験300のCONSORT遵守について、04年以前と05年以降を比較CONSORTの初版は1996年に作成されたが、その初版発表の影響についての調査では、1997~2000年に発表されたクラスター無作為化試験において、その大部分がCONSORTで推奨する方法論基準に遵守していないことが明らかになった。そのため2004年、方法論基準と報告基準に関する項目を強化した拡張版が作成された。Ivers氏らは、2000~2008年に英語雑誌にて発表された300のクラスター無作為化試験について、報告基準の14項目と方法論基準の4項目のCONSORT拡張版遵守の状況について調査を行い、2000~2004年に発表されたものと2005~2008年に発表されたものを比較した。報告基準14項目のうち5項目は改善、方法論基準4項目はいずれも改善認められず結果、報告基準14項目のうち5項目については、2005年以降に発表されたものに有意な改善が認められた。具体的には、無作為化されたクラスターについての説明、クラスターのデザインの正当性、アウトカムの評価はブラインドだったか否か、無作為化されたクラスターの数、追跡を失ったクラスターの数の5項目だった。一方で、方法論基準の4項目については、いずれも有意な改善は認められなかった。また全体的に、臨床的環境下の試験は非臨床的環境下の試験よりも、また医学雑誌に発表された試験結果はそうでないものよりも、報告基準や方法論基準がより遵守されている傾向が認められた。研究グループは、「クラスター無作為化試験におけるCONSORTの報告基準と方法論基準の遵守を促すには、さらなる改善のための働きかけが必要だ」と結論している。(當麻 あづさ:医療ジャーナリスト)

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「従業員健康管理クラウドサービス」産業医向けに提供開始

株式会社日立ソリューションズは24日、産業医や保健師の業務を効率化する「従業員健康管理クラウドサービス」を11月1日より販売を開始し、初期導入カスタマイズを経て、2012年4月からクラウドによるサービスの提供を開始すると発表した。同サービスは、産業医が必要とする各種データベースや帳票情報を一元化することで、紙や個別帳票で行われてきた煩雑な管理業務の負担を軽減する。また、クラウドを利用することで、人事情報と健康診断結果や面談日程・フォローなどの履歴情報(健康管理情報)を分離して管理することにより、情報漏えいのリスクを大幅に低減するとのこと。労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業所においては、産業医を選任することが義務付けられている。産業医や保健師は、健康診断、面談指導、労働衛生教育および職場の定期巡視など、職場環境の改善や労働者の健康維持管理に従事する役割を担っているが、現状では人事情報と健康管理情報の照合作業や紙帳票類の出力・整理などにより、多くの時間を煩雑な管理業務に割かれている。同社は、対象者の抽出から面談スケジュール設定・通知、帳票出力まで産業医や保健師が必要とする基本機能を備えた業務システムを、同社のクラウドサービス「SecureOnline」に構築し、提供する。産業医の管理業務は各企業により様々な形態があるが、同システムは基本機能を予め用意し、柔軟なカスタマイズに対応できる仕掛けとなっているため、産業医の業務に合わせた形で容易に提供が可能。また、人事情報を自社内で保有し、個人を特定できない健康管理情報(機微情報)をクラウド環境に分離して保有する同社サービス「匿名バンク」(※)を活用するため、個人情報漏えいのリスクを大幅に低減する。 ※「匿名バンク」とは、血圧や体重など個人のセンシティブ情報(機微情報)と、氏名や住所などの個人情報を分離して管理するクラウドサービス。詳細はプレスリリースへhttp://www.hitachi-solutions.co.jp/company/press/news/2011/1024.html

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認知症になった場合、女性の84%は、大切な人からの介護ではなく施設を希望-介護に関する意識調査結果

有料老人ホーム・高齢者住宅を運営するオリックス・リビング株式会社は25日、全国の40 代以上の男女1,238 名(男性689 名、女性549 名)を対象に実施した「介護に関する意識調査」の結果を発表した。これは「介護の日」(11 月11 日)に合わせたもので、今年で4回目となる。調査では「今後認知症を発症し、大切な方を忘れてしまった場合、その方に介護してほしいですか。もしくは施設に入りたいですか」という設問に、女性の84%は、大切な人からの介護ではなく施設を希望しているという結果となった。また、「配偶者を介護したいと思いますか」という問いには、配偶者について、介護をしたいと思わない女性は33.7%、男性は20.7%となり、女性の三人に一人が配偶者の介護を望まないという結果だった。介護ロボットによる身体介護については、「積極的に受けたい」(7.4%)、「推奨されていれば受けてもよい」(71.6%)と、約8割が肯定的な結果で年齢が若いほど介護ロボットに肯定的な人は増加傾向にあり、特に40代男性は、約9割(89.3%)が受けてもよいと回答したとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.orixliving.jp/company/pdf/pressinfo_111025.pdf

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術前の貧血は非心臓手術患者の予後を増悪させる

非心臓手術を受ける患者では、術前の貧血はたとえそれが軽度であっても術後30日以内の合併症や死亡のリスクを上昇させることが、レバノンAmerican University of Beirut医療センターのKhaled M Musallam氏らの検討で示された。心臓手術前に貧血がみられた患者は、術後の合併症の罹患率および死亡率が増大することが知られているが、非心臓手術における術前の貧血が予後に及ぼす影響は不明であった。術中の輸血は、少量であっても合併症率、死亡率を上昇させることが報告されており、術前貧血は術中輸血の機会を増大させるためリスク因子とみなされるという。Lancet誌2011年10月15日号(オンライン版10月6日号)掲載の報告。術前貧血が術後アウトカムに及ぼす影響を後ろ向きに評価するコホート試験研究グループは、非心臓手術を受ける患者において、術前の貧血が術後の合併症率、死亡率に及ぼす影響をレトロスペクティブに評価するコホート試験を実施した。「米国外科学会の手術の質改善プログラム(American College of Surgeons’ National Surgical Quality Improvement Program)」のデータベース(世界211病院からプロスペクティブに集められたアウトカムのレジストリー)を用い、2008年に主な非心臓手術を受けた患者のデータについて解析した。30日合併症率および30日死亡率(心臓、呼吸器、中枢神経系、尿路、創傷、敗血症、静脈血栓塞栓症)、人口学的因子、術前・術中のリスク因子に関するデータを収集した。貧血は軽度(ヘマトクリット値が男性29~39%、女性29~36%)および中等度~重度(男女ともヘマトクリット値<29%)に分けた。リスク因子(65歳以上、心疾患、重度COPD、中枢神経疾患、腎疾患、がん、糖尿病、敗血症、肥満)に基づくサブグループにおいて、貧血が術後のアウトカムに及ぼす影響について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。術後30日合併症率、死亡率が有意に上昇非心臓手術を受けた患者22万7,425例のうち6万9,229例(30.44%)に術前の貧血が認められた。術後の30日死亡率は、術前非貧血患者よりも貧血患者で有意に高く(調整オッズ比:1.42、95%信頼区間:1.31~1.54)、この差は軽度貧血(同:1.41、1.30~1.53)および中等度~重度貧血(同:1.44、1.29~1.60)に一致して認められた。術後30日合併症率も、術前非貧血患者に比べ貧血患者で有意に高く(調整オッズ比:1.35、95%信頼区間:1.30~1.40)、死亡率と同様に軽度貧血(同:1.31、1.26~1.36)および中等度~高度貧血(同:1.56、1.47~1.66)で一致していた。著者は、「非心臓手術を受ける患者では、術前の貧血はたとえそれが軽度であっても術後30日以内の合併症や死亡のリスクを上昇させる」と結論し、「この知見は、年齢、性別、手術手技にかかわらず一貫して認められ、貧血が既知のリスク因子と併存すると、リスク因子がアウトカムに及ぼす影響がさらに増大した」としている。(菅野守:医学ライター)

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終末期患者の多くが死亡前に外科治療を受けている

アメリカでは、高齢患者の3分の1近くが死亡の前年に外科治療を受けていることが、アメリカ・ハーバード公衆衛生大学院のAlvin C Kwok氏らの調査で示された。一般に、治療の量が多いほど優れた治療がもたらされると考えがちだが、終末期医療が活発な地域が必ずしも良好な予後を実現しているわけではない。アメリカでは、終末期の入院や集中治療の運用状況はよく知られているが、この時期の外科治療のパターンはほとんどわかっていなかったという。Lancet誌2011年10月15日号(オンライン版2011年10月6日号)掲載の報告。終末期外科治療の運用状況を評価する後ろ向きコホート試験研究グループは、2008年に死亡した65歳以上のメディケア受給者を対象に、終末期の外科治療の運用状況をレトロスペクティブに評価するコホート試験を行った。死亡前年の入院外科治療を同定して年齢や地域との関連を検討した。死亡前年に入院外科治療を受けた患者の割合(年齢、性別、人種、収入で調整)を終末期外科治療度(end-of-life surgical intensity; EOLSI)と定義し、個々の病院の所在地域ごとにEOLSIスコアを算出した。外科治療の死亡前年施行率は31.9%、前月18.3%、前週8.0%2008年に死亡した高齢のメディケア受給者180万2,029人のうち、31.9%(95%信頼区間:31.9~32.0、57万5,596人)が前年に入院外科治療を受けていた。死亡の前の月に外科治療を受けていた患者が18.3%(同:18.2~18.4、32万9,771人)、前の週に受けていた患者は8.0%(同:8.0~8.1、14万4,162人)であった。前年に外科治療を受けた高齢患者の死亡率は加齢とともに低下する傾向がみられ、80歳の患者の35.3%(95%信頼区間:34.7~35.9、8,858/2万5,094人)から、90歳の患者では23.6%(同:22.9~24.3、3,340/1万4,152人)と、33%の低下が認められた。EOLSIスコアは、最高34.4(95%信頼区間:33.7~35.1、Munster、インディアナ州)から最低11.5(同:11.3~11.7、Honolulu、ハワイ州)までの幅がみられた。また、人口1人当たりの病床数が多い地域ほどEOLSIスコアが高く(r=0.37、95%信頼区間:0.27~0.46、p<0.0001)、メディケアの総費用が高い地域もスコアが高かった(r=0.50、95%信頼区間:0.41~0.58、p<0.0001)。著者は、「アメリカでは、死亡の前年に多くの高齢患者が外科治療を受けていた。外科治療の施行率は年齢や地域によってばらつきがみられ、終末期の患者に外科治療を行うことに医療提供者が慎重になっている場合もあることが示唆された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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バレット食道患者の食道腺がんリスク、サーベイランスの推定リスクよりはかなり低い

バレット食道は、食道腺がんの強力なリスク因子であるが、年間絶対リスクは推定されているよりもずっと低いことが明らかにされた。デンマークのAarhus大学病院胃腸外科部門のFrederik Hvid-Jensen氏らが、デンマーク国内の病理およびがん登録データによるコホート研究から報告したもので、現行のサーベイランス・ガイドラインで根拠とする推定リスクは0.5%だが、本調査の結果、絶対年間リスクは0.12%であったという。バレット食道患者における食道腺がん、高度異形成については、正確な住民ベースの研究が求められていた。Hvid-Jensen氏は、「現行の異形成を伴わないバレット食道患者に行われているサーベイランスの正当性に、疑問を投じるデータが得られた」と結論している。NEJM誌2011年10月13日号掲載報告より。デンマーク住民ベースのコホート研究研究グループは、1992~2009年の間の、デンマークの全バレット食道患者を対象として全国住民ベースコホート調査を行った。患者のデータは、デンマーク病理登録データ、および同がん登録データを利用した。腺がんと高度異形成の発症率(1,000人・年当たりの症例数)を調べ、相対リスク指標として、調査期間中のデンマークの全国的ながん発生率を用いて標準化発生比を算出して評価を行った。バレット食道患者の食道腺がん、一般住民の11.3倍だが年間リスクは0.12%バレット食道患者1万1,028人(うち男性66.8%)について、中央値5.2年間のデータが解析された。内視鏡検査が行われた患者で、1年以内に腺がんが新たに診断されたのは131例だった。その後に新たに検出されたのは66例で、腺がん発症率は、1,000人・年当たり1.2例(95%信頼区間:0.9~1.5)だった。一般集団と比較したバレット食道患者の腺がんの相対リスクは、11.3倍(95%信頼区間:8.8~14.4)であった。食道腺がんの年間リスクは、0.12%(同:0.09~0.15)であった。内視鏡検査で軽度異形成が検出された人の腺がん発症率は、1,000人・年につき5.1例だった。対照的に、異形成を伴わなかった患者の発症率は、1,000人・年につき1.0例だった。高度異形成の推定発生リスク値は、腺がんの同値よりわずかに高かった(例:発症率1,000人・年当たり1.9例、95%信頼区間:1.6~2.3)。(武藤まき:医療ライター)

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MF59アジュバント不活化インフルエンザワクチン、乳幼児への有効性確認

新たなアジュバント製法によって開発された不活化インフルエンザワクチンについて、乳幼児に対する有効性が無作為化試験によって確認されたことが報告された。不活化インフルエンザワクチンは、乳幼児においては有効性が乏しいことが知られている。新たなアジュバントは水中油型乳剤のMF59で、成人用季節性インフルエンザに対する三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)のアジュバントとして1997年以降27ヵ国で利用接種が承認されている。乳幼児に対する有効性を検討した無作為化試験は、2ヵ国2シーズンにわたって行われた。NEJM誌2011年10月13日号掲載報告より。アジュバントワクチン(ATIV)、非アジュバントワクチン(TIV)、対照群で無作為化試験乳幼児(生後6ヵ月以上72ヵ月未満)におけるMF59アジュバントの三価不活化インフルエンザワクチンの有効性に及ぼす影響について検討した試験は、2回のインフルエンザ流行期にわたり、2007~2008年シーズンにドイツ(654例)、2008~2009年シーズンにドイツ(2,104例)、フィンランド(1,949例)の、合計4,707例の健常児を対象に行われた。被験児は、MF59アジュバント添加ワクチン(ATIV)接種群、アジュバント非添加ワクチン(TIV)接種群、非インフルエンザワクチン接種(対照)群に無作為化され接種を受け、インフルエンザ様疾患に対する絶対効果と相対効果について評価された。インフルエンザ様疾患の確認はPCR法にて行われた。なお接種間隔・回数はいずれも、28日間隔の2回で行われ、またアジュバント用量は年齢(生後6~36ヵ月未満、36~72ヵ月未満)により調整がされた。インフルエンザ様疾患発症率、ATIV群0.7%、TIV群2.8%、対照群4.7%PCR法にて確認されたインフルエンザ様疾患の発症率は、2回の流行期を合わせて、ATIV群0.7%、TIV群2.8%、対照群4.7%であった。全インフルエンザ株110例中94例はワクチンと一致するH3N2ウイルスだった。それら(全インフルエンザ株)に対する絶対効果は、ATIV群86%(95%信頼区間:74~93)、TIV群43%(同:15~61)であり、ATIVのTIVに対する相対効果は75%(同:55~87)だった。対象年齢別にみた有効率は、ATIV群は、生後6~36ヵ月未満児群79%(同:55~90)、36~72ヵ月未満児群92%(同:77~97)であったが、TIV群はそれぞれ40%(同:-6~66)、45%(同:6~68)だった。抗体反応はATIVのほうが高く、その状態は181日目まで持続した。ATIVとTIVそれぞれの、全身反応・局所反応の発現率は、生後6~36ヵ月未満児群においては同程度であったが、36~72ヵ月未満児群では全身性イベントの頻度がATIV群では63%と、TIV群44%、対照群50%より高かった。重篤な有害事象は3群で同程度だった。(武藤まき:医療ライター)

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ビタミンE摂取、前立腺がんの長期発症リスクを1.17倍に増大

ビタミンE摂取は、前立腺がんの発症リスクを有意に増大することが、無作為化プラセボ対照試験「Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial」(SELECT)の結果、示された。米国・クリーブランドクリニックのEric A. Klein氏らの報告で、JAMA誌2011年10月12日号で発表した。SELECT試験の結果は2009年に、追跡期間中央値5.5年時点の解析結果が発表され、セレン摂取もビタミンE摂取も前立腺がん発症リスクを減少しないことが認められた。同時に、統計的に有意な増大ではなかったが、ビタミンE摂取群で前立腺がんリスクの増加傾向が懸念される結果が示されていた。今回、より長期の追跡データを分析した結果、ビタミンE群の前立腺がん発症リスクの有意な増加が明らかになったという。前立腺がんの疑いのない約3万6,000人を7~12年追跡Klein氏らは、2001年8月22日~2004年6月24日の間に、米国、カナダ、プエルトリコの427ヵ所で、前立腺がんの兆候が認められない3万5,533人の男性について、無作為化プラセボ対照試験を行った。被験者は、黒人は50歳以上、それ以外は55歳以上で、前立腺特異抗原(PSA)血中濃度が4.0ng/mL以下、直腸診の結果でも前立腺がんの疑いはなかった。研究グループは被験者を無作為に4群に分け、セレン(200μg/日、8,752人)、ビタミンE(400 IU/日、8,737人)、セレンとビタミンEの両者併用(8,702人)、プラセボ(8,696人)をそれぞれ投与した。2011年7月5日まで追跡し、前立腺がんの発症率について比較した。追跡期間は7~12年だった。前立腺がんの絶対リスク増加、ビタミンEは1.6/1,000人・年追跡期間中に前立腺がんを発症したのは、プラセボ群529人に対し、ビタミンE群で620人で、ハザード比1.17(99%信頼区間:1.004~1.36、p=0.008)と、同発症リスクは有意に上昇した。セレン群で同発症が認められたのは575人で、同ハザード比は1.09(同:0.93~1.27、p=0.18)、セレン/ビタミンE群では555人で同ハザード比は1.05(同:0.89~1.22、p=0.46)と、いずれも同発症リスクの有意な増大は認められなかった。プラセボと比較した、1,000人・年当たりの前立腺がん発症に関する絶対リスク増加は、ビタミンEが1.6、セレンが0.8、両者併用が0.4だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

30650.

妊娠初期の葉酸摂取で、子どもの重度言語発達遅延リスクがおよそ半減

妊娠初期に葉酸を摂取することで、生まれた子どもの3歳時点における、重度言語発達遅延リスクが、およそ半減することが明らかにされた。ノルウェー国立保健院(Norwegian Institute of Public Health)のChristine Roth氏らが行った前向きコホート試験の結果、報告したもので、JAMA誌2011年10月12日号で発表した。これまでの研究結果から、妊娠中の葉酸摂取は、神経管欠損リスクを減少することなどが知られているが、生後の神経発生に関連する症状発症のリスクとの関連についての研究はほとんど行われていなかったという。被験児約4万人のうち、重度言語発達遅延発症率は0.5%研究グループは、1999~2008年末の間に妊娠中で、子どもが2008年中に誕生し、3年間の追跡調査票に回答した人とその子どもについて、2010年6月まで調査を行った。妊娠の時点から4週~8週までの期間の葉酸サプリメント摂取と、子どもの3歳時点での言語発達遅延との関連を調べた。言語発達の評価には、言語・文法に関する6ポイント尺度(6-point ordinal language grammar scale)を用い、言葉が一つしか話せないといった言語表現能力が最低レベルの子どもを、重度言語発達遅延と判断した。調査対象となった子どもは3万8,954人だった。そのうち3歳の時点で重度言語発達遅延だったのは、204人(0.5%)だった。葉酸や葉酸を含むサプリ摂取で、重度言語発達遅延リスクは0.55倍に妊娠4~8週の間にサプリメントをまったく摂取しなかった人は9,052人(24.0%、対照群)で、そのうち重度言語発達遅延を発症したのは81人(0.9%)だった。同期間に葉酸以外のサプリメントを摂取した群(2,480人)では、同発症率は0.9%(22人)で、対照群に対するオッズ比は1.04(95%信頼区間:0.62~1.74)と同等だった。一方、同期間に葉酸のみを摂取した群(7,127人)では、同発症率は0.4%(28人)で、同オッズ比は0.55(同:0.35~0.86)と有意に低下した。また、同期間に葉酸を含むサプリメントを摂取した群(1万9,005人)でも、同発症率は0.4%(73人)で、同オッズ比は0.55(同:0.39~0.78)と有意に低かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

30651.

喫煙は世界的な結核症例を増大し、死亡を増大する

喫煙は、将来的な結核症例数および死亡例を相当に増大することが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSanjay Basu氏らが行った数理モデル解析の結果、報告された。現在、喫煙者は世界で約20%だが、その割合は多くの貧困国で上昇すると予測されている。喫煙が喫煙者自身の結核感染および死亡のリスク増大と結びついているが、これらリスクが集団へ及ぼす影響については明らかにされていなかった。BMJ誌2011年10月8日号(オンライン版2011年10月4日号)掲載報告より。現在の傾向で喫煙者が増えていけば2050年までに結核1,800万人、死亡4,000万人過剰に発生研究グループは、2010年から2050年までのWHO加盟国における結核の発生率、有病率、死亡率を算出し、喫煙傾向、症例の検出、治療の成功、HIV有病率により推定値がどう変化するかを推計した。結果、もし現在の趨勢で喫煙者が増えていけば、2010~2050年の間に、結核症例は1,800万症例(標準誤差:1,600万~2,000万)過剰に発生し、結核による死亡は4,000万人(同:3,900万~4,100万)過剰に生じることが予測された。積極的喫煙コントロールで、結核死亡例を2,700万例回避し得る喫煙による結核症例は、喫煙を原因としなかった場合と比べて7%上昇(2億7,400万vs. 2億5,600万)、同比較の死亡は66%上昇(1億100万vs. 6,100万)することが推計された。また喫煙は、1990年から2015年までに結核死亡率を半減するという国連のミレニアム開発目標を遅らせることも予測された。一方で推計モデルから、積極的な喫煙コントロールの介入(喫煙が根絶するまで1%/年ずつ喫煙有病者の割合を減らしていく)が、2050年までの喫煙を起因とする結核による死亡を、2,700万例回避し得ることが示された。しかし、もし喫煙者成人の割合が50%まで増大したら(喫煙率の高い国で認められたとして)、2050年までの結核による死亡はさらに3,400万例起こり得ると推計された。

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麻酔記録と投与エラーを減らす新システムの有用性

麻酔薬に関する記録と投与エラーを減らすために開発された、マルチモードシステム「SAFERSleep」は、臨床でのエラー改善に有用なことが前向き非盲検無作為化臨床試験による評価の結果、報告された。記録の改善が主であったという。ニュージーランドのオークランド大学麻酔学部門のAlan F Merry氏らが、BMJ誌2011年10月8日号(オンライン版2011年10月4日号)で発表した。SAFERSleepは、ニュージーランド、英国のいくつかの病院で使用中で、特にオークランドの市立病院では2005年以来ほとんどの麻酔薬を対象として使用しているという。作業効率と無菌性を促進する新システム試験は、主要な第3次の高度機能紹介病院の5つの手術室で、同意を得た麻酔医89人が管理していた1万764例の薬剤投与があった1,075の症例について、新しいシステムと従来の手動記録による管理との比較が行われた。新しいシステムには、作業効率と無菌性を促進するため特注の薬品トレイと用途に見合ってデザインされたワゴンから構成され、一般的に使用される麻酔薬はあらかじめ充填されており、大きく読みやすいカラーコードラベルが貼付されている。バーコードリーダーはコンピュータ、スピーカー、タッチパネルとリンクしており、投与の直前に耳と目で選んだ麻酔薬を確認することができ、麻酔記録が自動的に編集され、もし投与開始15分以内に抗菌薬が投薬されない場合、また特定の手順、特に投薬前にラベルのスキャンニングがされていない場合、スクリーンと音声で警告が発せられる仕組みとなっていた。主要評価項目は、静脈注射の記録と投与のエラーの複合(直接観察、記録とバイアル中身との不一致の複合と断続的な視覚刺激への反応とした。副次評価項目には、患者のアウトカム、麻酔医の作業と作業負荷評価の解析、麻酔記録の読みやすさの評価、新システムの手順遵守の評価、参加者へのそれぞれのシステムのアンケート評価などが含まれた。読みやすい記録編集機能が麻酔医に好評、患者アウトカムと作業負荷は従来どおり投与エラーの全体平均は、100投与につき、新システムは9.1件(95%信頼区間:6.9~11.4)に対し、従来法は11.6件(同:9.3~13.9、9投与に1件)だった(格差のP=0.045)。新システムで最も多かったのは記録のエラーで、投与エラーはわずかだった。しかし、従来法と比較するとその差は有意ではなかった。投与エラーの割合は、麻酔医が新システムの2つの鍵となる原理(投与前バーコードスキャニング、音声喚起)を活用しなかった場合と比べて、常に活用した場合はより低かった。エラー平均は100投与につき、6.0件(同:3.1~8.8)vs. 9.7件(8.4~11.1)だった(P=0.004)。断続的な視覚刺激への反応は、新システムでは12%(58/471)、従来法では9%(40/473)だった(P=0.052)。新システムの記録はより読みやすく、麻酔医に好まれた。特に、長期、複雑、緊急の症例について評価が高かった。患者アウトカムや、麻酔医の作業負荷については新システムと従来法とに差は認められなかった。

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喫煙の冠動脈心疾患リスクへの影響、女性のほうが大きい

喫煙が冠動脈心疾患リスクの上昇に及ぼす影響は男性よりも女性で大きいことが、米国・ミネソタ大学のRachel R Huxley氏らの検討で示された。現在、世界の喫煙者数は11億人にのぼり、その5分の1が女性である。たばこを直接的原因とする死亡数は、毎年、500万人以上に達し、そのうち150万人が女性だという。この状況を放置すれば、2030年までにたばこで死亡する女性は250万にまで増加すると予想されている。喫煙は冠動脈心疾患のリスク因子だが、女性における喫煙の影響が男性と同じかは不明であった。Lancet誌2011年10月8日号(オンライン版2011年8月11日号)掲載の報告。前向きコホート試験のメタ解析研究グループは、喫煙が女性の冠動脈心疾患のリスクに及ぼす影響を男性との比較において検討することを目的に、文献を系統的にレビューしメタ解析を行った。1966年1月1日~2010年12月31日までに発表され、冠動脈心疾患や喫煙の相対リスクを男女別に検討したプロスペクティブなコホート試験を対象とした。データはinverse variance weightingによる変量効果モデルを用いて統合し、男女間の相対リスク比を推算した。若年女性の喫煙率が高い国は対策を86試験(391万2、809人、冠動脈心疾患イベント6万7、075件)に関する26論文が抽出された。冠動脈心疾患以外の冠動脈リスク因子で調整した75コホート(240万人)について総合解析を行ったところ、非喫煙者との比較における喫煙者の冠動脈心疾患リスクは、男性よりも女性で有意に高かった(相対リスク比:1.25、95%信頼区間:1.12~1.39、p<0.0001)。このアウトカムは出版バイアスで調整後も変化せず、試験間の大きな不均一性も確認されなかった(p=0.21)。追跡期間が1年長くなるごとに、相対リスク比は2%ずつ大きくなり、これは有意な変化であった(p=0.03)。53試験の統合データでは、喫煙経験者と非喫煙者の相対リスクに男女差は認めなかった(相対リスク比:0.96、95%信頼区間:0.86~1.08、p=0.53)。著者は、「冠動脈心疾患リスクにおける性差の基本的なメカニズムが、生物学的な要因によるのか、喫煙行動の男女差に関連するものなのかは不明」とし、「特に若年女性の喫煙率が上昇している国では、女性を対象とする喫煙管理プログラムの実施を考慮すべき」と提言している。(菅野守:医学ライター)

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急性躁病の薬物療法、抗精神病薬が気分安定薬よりも高い効果

成人の急性躁病の薬物療法では、全般的に、抗精神病薬は気分安定薬に比べ有意に良好な効果をもたらすことが、イタリアVerona大学のAndrea Cipriani氏らの検討で示された。躁病は気分が過度に高揚した病態で、通常はうつ病エピソードを伴い、双極性障害の診断の根拠となる。急性躁病の薬物療法では、主に抗精神病薬や気分安定薬が用いられてきたが、これまでの有効性に関するメタ解析では相反する結果が得られているという。Lancet誌2011年10月8日号(オンライン版2011年8月17日号)掲載の報告。約30年間に発表された68試験のメタ解析研究グループは、すべての抗躁病薬の効果を評価するために、複数の治療法を直接的、間接的に比較した試験のメタ解析を行った。1980年1月1日~2010年11月25日までに発表され、躁病の成人患者を対象に治療用量の13薬剤を比較した68件の無作為化対照比較試験(1万6,073例)について系統的なレビューを行った。対象となった薬剤は、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)、asenapine、カルバマゼピン(同:テグレトールなど)、バルプロエート(同:デパケンなど)、ガバペンチン(同:ガバペン)、ハロペリドール(同:セレネースなど)、ラモトリギン(同:ラミクタール)、リチウム(同:リーマス)、オランザピン(同:ジプレキサ)、クエチアピン(同:セロクエル)、リスペリドン(同:リスパダール)、トピラマート(同:トピナ)、ziprasidone。主要評価項目は、治療3週間における躁病評価スケールの変化の平均値および治療中止患者数とした。診療ガイドラインの策定時に考慮すべき知見プラセボに比べハロペリドール、リスペリドン、オランザピン、リチウム、クエチアピン、アリピプラゾール、カルバマゼピン、asenapine、バルプロエート、ziprasidoneは高い有効性を示したのに対し、ガバペンチン、ラモトリギン、トピラマート、ガバペンチンの効果はプラセボに比し高くはなかった。ハロペリドールの効果が最も高く、リチウム、クエチアピン、アリピプラゾール、カルバマゼピン、asenapine、バルプロエート、ziprasidone、ラモトリギン、トピラマートとの間には有意差が認められた。リスペリドンとオランザピンの有効性プロフィールはきわめて類似しており、いずれもバルプロエート、ziprasidone、ラモトリギン、トピラマート、ガバペンチンに比べ高い有効性を示した。オランザピン、リスペリドン、クエチアピンの治療中止例数は、リチウム、ラモトリギン、プラセボ、トピラマート、ガバペンチンよりも有意に少なかった。著者は、「全般的に、抗精神病薬は気分安定薬に比べ有意に良好な効果を示した。リスペリドン、オランザピン、ハロペリドールは、躁病エピソードの治療において最も有効な選択肢である」と結論し、「これらの結果は、診療ガイドラインの策定の際に考慮すべきと考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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HER陽性乳がんへのトラスツズマブ併用について新たなレジメン検討

HER陽性乳がんの補助療法として生存率改善が認められているトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)について、非アントラサイクリンベースレジメンへの併用の有効性と安全性が検討された。これまで、トラスツズマブのアントラサイクリンベースレジメンへの併用では心毒性が認められていた。試験・報告は、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDennis Slamon氏ら乳がん国際研究グループ(BCIRG)による。NEJM誌2011年10月6日号掲載報告より。AC-T群、AC-T+トラスツズマブ群、TCH群に無作為化し検討研究グループは2001年4月~2004年3月の間に、41ヵ国からHER2陽性で早期乳がん(ステージT1、T2、T3)の女性3,222例を対象に試験を行った。被験者は無作為に、(1)3週ごとに、ドキソルビシンとシクロホスファミド投与後にドセタキセルを投与する(AC-T)群、(2)(1)+トラスツズマブを52週併用投与する(AC-T+トラスツズマブ)群、または(3)ドセタキセルとカルボプラチンに、トラスツズマブを52週併用投与する(TCH)群に割り付けられ、無病生存率を主要エンドポイントに、副次エンドポイントは全生存率と安全性として検討された。無病生存率はAC-T群75%、AC-T+トラスツズマブ群84%、TCH群81%追跡期間中央値は65ヵ月だった。その間、事前特定されていたイベントの発生は656例だった。5年推定無病生存率は、AC-T群75%、AC-T+トラスツズマブ群84%、TCH群81%であった。推定全生存率はそれぞれ、87%、92%、91%であった。有効性(無病生存率と全生存率)について、2つのトラスツズマブ併用療法群の間に有意差は認められなかったが、いずれもAC-T群より優れていた。リスクベネフィットの観点からはTCH療法が優れるうっ血性心不全と心機能不全の発生率は、TCH群よりもAC-T+トラスツズマブ群で有意に高かった(P<0.001)。また急性白血病は8例報告された。そのうち7例はアントラサイクリンベースレジメンでの発生例だった。TCH群での1例の発生は、本試験後にアントラサイクリン投与を受けたことに起因していた。以上を踏まえて研究グループは、「トラスツズマブ併用レジメンの1年間施行は、HER2陽性乳がん患者の無病生存率と全生存率を有意に改善した」と述べた上で、「有効性は同等だが、急性毒性作用が少なく、心毒性や白血病のリスクも低いというリスクベネフィットの観点から、AC-T+トラスツズマブよりも非アントラサイクリンベースレジメンのTCH療法が支持される」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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新生児単純ヘルペスウイルス感染症への経口アシクロビルによる抑制療法

病変が中枢神経系に及んだ新生児単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症に対して、経口アシクロビル(商品名:ゾビラックスほか)の6ヵ月間にわたる抑制療法が、神経発達アウトカムを改善することが報告された。新生児単純HSV感染症の生存例では、神経発達のアウトカム不良や皮膚病変の再発が、容認できないほど高頻度にみられることから、米国・アラバマ大学小児学部門のDavid W. Kimberlin氏らが、経口アシクロビルによる抑制療法のアウトカムへの効果を検討した。NEJM誌2011年10月6日号掲載報告より。中枢神経系型と表在型それぞれに同一治療を行い有効性と長期安全性を評価試験は、治療は同一ながら対象を異にした2つの二重盲検プラセボ対照試験を並行して行う方法で検討された。HSV感染症が中枢神経系に及んだ新生児は第1試験に、皮膚・目・口腔のみの表在型発症の新生児は第2試験にそれぞれ登録された。治療は、まず非経口アシクロビルを中枢神経系型群は21日間、表在型群は14日間それぞれ投与完了後、ただちに、経口アシクロビル抑制療法(300mg/m2体表面積の経口投与を1日3回×6ヵ月間)を開始する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、有効性と長期使用の安全性について評価が行われた。なお皮膚病変再発時には、オープンラベルで治療が行われた。中枢神経系群では、アシクロビル抑制療法群はプラセボ群より有意にスコア上昇登録された新生児は、中枢神経系型群45例、表在型群29例の合計74例だった。中枢神経系型群45例中28例(62%)について、生後12ヵ月時点での新生児発達スコアのベイリー・スケール神経発達指数(スコア範囲:50~150、平均値100、それ以上のスコアは良好な神経発達アウトカムを示す)を評価した。共変量補正後の同指数は、アシクロビル抑制療法を受けるよう無作為に割り付けられた群は88.24で、プラセボに割り付けられた群68.12よりも有意にスコアが高かった(P=0.046)。なお全体的に、アシクロビル群のほうが、プラセボ群よりも好中球減少症を呈する傾向が認められた(P=0.09)。(武藤まき:医療ライター)

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リビング・ウィルが終末期医療費を抑制、院内死亡を低下、ホスピス利用を増大:米国

終末期の医療行為を特定のものに制限する事前指示書「リビング・ウィル」と米国終末期医療費、治療内容との関連を調べた結果、同費用が高い地域において同指示書があることは費用の有意な低下と関連していることが報告された。また、同費用が中程度~高い地域における院内死亡率の低下やホスピス利用の増大も認められたという。米国・ミシガン大学のLauren Hersch Nicholas氏らが、約3,300人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年10月5日号で発表した。終末期医療費が高い地域で、リビング・ウィルにより約5,600ドル有意に低下研究グループは、1998~2007年に死亡した65歳以上のメディケア加入者で、前向きに調査データが収集されていたHealth and Retirement Study被験者3,302人について、メディケア保険請求データと全米死亡統計(National Death Index)に基づき分析を行った。死亡者の入院先地域で照会したメディケア支払額ごとに、リビング・ウィルと終末期医療費、治療内容との関連について多変量回帰モデルを用いて解析した。主要評価項目は、死亡前半年間のメディケア医療費、延命治療、ホスピス・ケア、病院死亡率とされた。結果、終末期医療費が高い地域では、リビング・ウィルのない人の1人当たり終末期医療費の予測平均値が3万9,518ドルだったのに対し、リビング・ウィルのある人の同医療費の補正後予測平均値は3万3,933ドルと、5,585ドル低かった(95%信頼区間:-1万903~-267、p=0.04)。一方、終末期医療費が低い地域と中程度の地域では、リビング・ウィルの有無による終末期医療費の補正後予測平均値に有意差は認められなかった。終末期医療費が中程度~高い地域、院内死亡が低下、ホスピス入所が増大またリビング・ウィルは、終末期医療費が中程度~高い地域において、補正後院内死亡率予測値の低下と関連していた。同医療費中程度の地域は-5.3ポイント低下(95%信頼区間:-10~-0.4)、高い地域では-9.8ポイント低下していた(同:-16~-3)。さらにリビング・ウィルは、終末期医療費が中程度~高い地域において、補正後ホスピス入所率予測値の増大と関連していた。同医療費中程度の地域で11ポイント増(同:6~16)、高い地域で17ポイント増(同:11~23)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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米国小児喘息治療指標CACの遵守率、入院中は高率、退院後は中程度

米国小児病院において用いられている小児喘息治療指標「Children’s Asthma Care 」(CAC)は、米国病院認定合同委員会(JCAHO)が入院中の小児に対する医療の質を評価する唯一の指標となっている。フェニックス小児病院のRustin B. Morse氏らは、CAC遵守率とアウトカムとの関連について評価を行った。CACは大きく入院中の指標(CAC-1、CAC-2)と退院後家庭で用いる指標(CAC-3)に分けられる。結果、CAC-1、CAC-2の遵守率は高率だが、CAC-3は中程度であることが明らかになった。しかしCAC-3と、退院後の救急室利用率や再入院率等に有意な関連は認められなかったという。JAMA誌2011年10月5日号掲載より。退院後ケアプラン作成の遵守率、当初41%から73%に改善研究グループは、2008年1月1日~2010年9月30日にかけて、米国内30ヵ所の小児病院を対象に、喘息で入院した3万7,267人を対象に試験を行った。追跡期間は、2010年12月末までで、その間の入院件数は4万5,499件だった。病院ごとのCAC遵守率と、退院後の救急室利用、喘息による再入院について、調査した。結果、入院中の発作治療薬の処方指標(CAC-1)と全身性コルチコステロイドの処方指標(CAC-2)に関する四半期ごとにみた病院ごとの遵守率最低値は、それぞれ97.1%と89.5%と、いずれも高率だった。退院後の家庭におけるケアプラン作成のための指標(CAC-3)の遵守率は、試験期間中の最初の3回の四半期平均40.6%、最後の3回の四半期の平均値は72.9%で、増加傾向が認められた。ケアプラン作成の遵守率と退院後救急室利用率、再入院率に関連なし退院7日、30日、90日後の救急室利用率平均値は、それぞれ1.5%、4.3%、11.1%だった。四半期ごとの退院7日、30日、90日後の再入院率平均値は、それぞれ1.4%、3.1%、7.6%だった。CAC-3遵守率と退院後の救急室利用率には、有意な関連は認められなかった(遵守率5%増加ごとのオッズ比、7日:1.00;95%信頼区間:0.98~1.02、30日:0.97;同:0.90~1.04、90日:0.96;同:0.77~1.18)。またCAC-3遵守率と再入院率にも、有意な関連は認められなかった(遵守率5%増加ごとのオッズ比、7日:1.00;95%信頼区間:0.99~1.02、30日:0.99;同:0.96~1.02、90日:1.01;同:0.90~1.12)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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チョコレート高摂取による心血管代謝障害の抑制効果が明らかに

チョコレートの摂取量と心血管代謝障害(cardiometabolic disorder)の発生リスクには実質的な関連が認められることが、英国・ケンブリッジ大学のAdriana Buitrago-Lopez氏らの検討で示された。WHOによれば2030年までに約2,360万人が心血管疾患で死亡するとされ、現在、世界の成人の約5分の1が、糖尿病や心血管疾患の増加をもたらすメタボリック症候群に罹患しているとの研究結果もある。近年、心血管代謝障害が世界的に増加しているが、その多くは予防可能と考えられており、ココアやチョコレートは降圧、抗炎症、抗動脈硬化、抗血栓作用を有することが示唆されている。BMJ誌2011年10月1日号(オンライン版2011年8月29日号)掲載の報告。心血管代謝障害の発生リスクに及ぼす影響をメタ解析で評価研究グループは、チョコレートの摂取と心血管代謝障害のリスクの関連を評価するために、無作為化対照比較試験および観察試験の系統的レビューを行い、メタ解析を実施した。2010年10月までに発表された文献のデータベース(Medline、Embase、Cochrane Library、PubMed、CINAHL、IPA、Web of Science、Scopus、Pascal)を検索し、関連論文の文献リストを参照した。抽出された論文の著者に電子メールで連絡をとった。主要評価項目は、心血管疾患(冠動脈心疾患、脳卒中)、糖尿病、メタボリック症候群を含む心血管代謝障害とした。メタ解析では、チョコレートの摂取量が最も多い群と少ない群を比較することで、心血管代謝障害の発生リスクを評価した。最大摂取量群で、心血管疾患リスクが37%、脳卒中リスクが29%低下選択基準を満たした7試験(11万4,009人)のうち6つがコホート試験(日本の1試験[Oba S、et al. Br J Nutr 2010;103:453-9]を含む)、1つは横断的試験であり、無作為化試験は含まれなかった。これらの研究には、チョコレート摂取量の測定法、試験方法、アウトカムの評価法に大きな差異が認められた。5つの試験では、チョコレート摂取量が多いほど心血管代謝障害のリスクが低下していた。摂取量が最も多い群では、最も少ない群に比べ心血管疾患リスクが37%低下(相対リスク:0.63、95%信頼区間:0.44~0.90)し、脳卒中リスクが29%低下(同:0.71、0.52~0.98)した。心不全の抑制効果はみられなかった(相対リスク:0.95、95%信頼区間:0.61~1.48)。日本の試験では、男性で糖尿病の抑制効果が認められた(男性:ハザード比0.65、95%信頼区間0.43~0.97、女性: 同0.73、0.48~1.93)。著者は、「観察試験のエビデンスに基づけば、チョコレートの摂取量と心血管代謝障害のリスク低下には実質的な関連が認められた」と結論し、「チョコレート摂取のベネフィットを確定するには、さらなる検討が必要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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研究助成の決定、無作為性が十分ではなく申込者にコスト負荷

オーストラリアにおける保健・医療研究の助成金決定作業における無作為性と費用について検討した結果、無作為性は十分ではなく、申込者のコストがかさんでいる実態が報告された。オーストリア・クイーンズランド工科大学公衆衛生校&ヘルスバイオメディカル研究所のNicholas Graves氏らによる。研究助成に対する申し込みの成功率は世界的に低下しており、たとえば英国では2000年43%から2008年26%、オーストラリアでは2000年30%から2010年23%となっているという。Graves氏らは、本研究を行った目的について、申込不成功でキャリアへの打撃とさらなる参加コストを要することになる研究者に役立つ情報提供をすることだとしている。BMJ誌2011年10月1日号(オンライン版2011年9月27日号)掲載報告より。2009年にオーストラリアNHMRCに申し込みがあった2,705件を後ろ向きに解析研究は、オーストラリアのNational Health and Medical Research Council(NHMRC)の助成金事業に、2009年に申し込みのあった全2,983件のうち2,705件を対象に後ろ向きに解析した。NHMRC助成金委員会委員のスコアについても評価した。主要評価項目は、資金獲得について「常に」「時々」「一度もない」それぞれの助成申込研究の割合だった。評価は、各委員のスコアに起因する無作為変化を加味してから行われた。また、委員会規模(7名、9名、11名)の違いによる費用対効果についても評価が行われた。助成金獲得「一度もない」61%、「時々」29%解析対象だった2,705件の助成申込研究のうち、620件が助成金対象として選定された。そのうち資金獲得が「時々」だったのは、無作為変化を考慮後で、59%だった。全体(2,705件)をみたところ、資金獲得が「常に」だったのは9%(255件)だけで、「一度もない」は61%(1,662件)、「時々」は29%(788件)だった。研究者の大半は助成申請準備に、中央値22日間を要していた。先導研究者の2人は申し込みに65日以上を費やしていた。主任研究者の5人が費やしたのは15日未満だった。資金獲得運動の費用は総額4,787万豪ドルで、85%は申込者の負担となっていた。委員会規模が大きいほうがシステムは良好であった。最も効果的なシステムで資金提供するためにかかる追加コストは、1万8,541豪ドルであった。

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