急性躁病の薬物療法、抗精神病薬が気分安定薬よりも高い効果

提供元:ケアネット

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公開日:2011/10/20

 



成人の急性躁病の薬物療法では、全般的に、抗精神病薬は気分安定薬に比べ有意に良好な効果をもたらすことが、イタリアVerona大学のAndrea Cipriani氏らの検討で示された。躁病は気分が過度に高揚した病態で、通常はうつ病エピソードを伴い、双極性障害の診断の根拠となる。急性躁病の薬物療法では、主に抗精神病薬や気分安定薬が用いられてきたが、これまでの有効性に関するメタ解析では相反する結果が得られているという。Lancet誌2011年10月8日号(オンライン版2011年8月17日号)掲載の報告。

約30年間に発表された68試験のメタ解析




研究グループは、すべての抗躁病薬の効果を評価するために、複数の治療法を直接的、間接的に比較した試験のメタ解析を行った。

1980年1月1日~2010年11月25日までに発表され、躁病の成人患者を対象に治療用量の13薬剤を比較した68件の無作為化対照比較試験(1万6,073例)について系統的なレビューを行った。

対象となった薬剤は、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)、asenapine、カルバマゼピン(同:テグレトールなど)、バルプロエート(同:デパケンなど)、ガバペンチン(同:ガバペン)、ハロペリドール(同:セレネースなど)、ラモトリギン(同:ラミクタール)、リチウム(同:リーマス)、オランザピン(同:ジプレキサ)、クエチアピン(同:セロクエル)、リスペリドン(同:リスパダール)、トピラマート(同:トピナ)、ziprasidone。

主要評価項目は、治療3週間における躁病評価スケールの変化の平均値および治療中止患者数とした。

診療ガイドラインの策定時に考慮すべき知見




プラセボに比べハロペリドール、リスペリドン、オランザピン、リチウム、クエチアピン、アリピプラゾール、カルバマゼピン、asenapine、バルプロエート、ziprasidoneは高い有効性を示したのに対し、ガバペンチン、ラモトリギン、トピラマート、ガバペンチンの効果はプラセボに比し高くはなかった。

ハロペリドールの効果が最も高く、リチウム、クエチアピン、アリピプラゾール、カルバマゼピン、asenapine、バルプロエート、ziprasidone、ラモトリギン、トピラマートとの間には有意差が認められた。

リスペリドンとオランザピンの有効性プロフィールはきわめて類似しており、いずれもバルプロエート、ziprasidone、ラモトリギン、トピラマート、ガバペンチンに比べ高い有効性を示した。

オランザピン、リスペリドン、クエチアピンの治療中止例数は、リチウム、ラモトリギン、プラセボ、トピラマート、ガバペンチンよりも有意に少なかった。

著者は、「全般的に、抗精神病薬は気分安定薬に比べ有意に良好な効果を示した。リスペリドン、オランザピン、ハロペリドールは、躁病エピソードの治療において最も有効な選択肢である」と結論し、「これらの結果は、診療ガイドラインの策定の際に考慮すべきと考えられる」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)