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75%が未治療!治療可能な筋疾患「神経内科医の積極的な診断を」

 第53回日本神経学会学術大会(5月22日~25日、東京国際フォーラム)における共催セミナー(ジェンザイム・ジャパン株式会社)にて、東北大学 青木 正志氏が「神経内科医が見過ごしてはいけない治療可能な筋疾患~遅発型ポンペ病診断のポイント~」と題して講演した。ポンペ病は小児の病気ではない「約60%が18歳以上で発症」 ポンペ病(糖原病II型)は酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の欠損または活性の低下を原因とする希少疾患であり、発症時期により乳児型、小児型、成人型に分類される。これまでポンペ病は、乳児・小児の疾患だと捉えられがちであったが、62%の症例が18歳以上で発症していることが報告された。推定患者300人、しかし治療率は25%程度 わが国におけるポンペ病の患者数は約300人と推定されている。しかし、実際に治療を行っている患者は約75名にとどまり、多くの患者は未治療のままである。発症時期が遅い成人型ポンペ病では症状の進行が緩やかで、診断に至るまでに長い年月を要することも少なくない。ポンペ病は現在治療薬が発売されており、治療可能な疾患であることから、積極的な診断が求められている。簡便な診断方法を推奨「乾燥ろ紙血検査」 ポンペ病の診断では、酵素活性測定、筋生検、遺伝子検査などが実施されてきた。しかし、酵素活性測定は実施可能な施設が限られていることや、侵襲的な筋生検の実施を躊躇することなどから診断の遅れが懸念されていた。現在では、簡便かつ非侵襲的にGAA酵素活性を測定することのできる「乾燥ろ紙血検査」が行われるようになっている。乾燥ろ紙血検査であれば、産科・新生児室で用いられるマス・スクリーニング用ろ紙に全血を滴下し、測定可能施設へ郵送による検査依頼を行うことができる。現在、ろ紙血検査対応可能な施設は、東京慈恵会医科大学と国立成育医療研究センターの2施設である。ポンペ病を疑うポイント それでは、どのような患者でポンペ病を疑い、検査を行えばよいのだろうか。青木氏は「原因不明の血清CK値上昇、近位筋の筋力低下、呼吸筋の筋力低下のいずれか1つでもみられた場合には検査を実施すべき」という。ポンペ病は早期に治療を開始することで、症状や予後の改善はもちろんQOLの改善も期待できるため、できるだけ早期の診断を推奨している。そして、ポンペ病と診断された際には、唯一の治療薬であるアルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)による酵素補充療法が有用であることを、いくつかの症例を交えて紹介した。

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中等度~高度のアルツハイマー型認知症に対するドネペジル+メマンチンの有効性・安全性の検討

Doody氏らは中等度~高度のアルツハイマー型認知症(AD)に対しドネペジル23㎎/日または10㎎/日を実施した大規模多施設試験に参加した患者に対し、メマンチンを併用した際の有効性および安全性を検討した。Dement Geriatr Cogn Disord 誌オンライン版2012年5月10日掲載の報告。24週の無作為化二重盲検比較試験のデータを事前に分析し、ドネペジルの用量をランダム化したうえでメマンチン投与の有無にて層別化した。有効性および安全性はドネペジルの用量ごとにメマンチンの併用の有無により評価した。主な結果は以下のとおり。 ・高度AD患者ではメマンチンの併用の有無にかかわらず、ドネペジル23㎎/日群で有意な認知機能への影響を示した(p

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耳鳴り順応療法、耳鳴りに悩む人のQOLを改善

 耳鳴り症状に対し、通常ケアと比較して認知行動療法が、健康関連QOLや耳鳴り重症度を改善することが、オランダ・マーストリヒト大学のRilana F F Cima氏らによる無作為化試験の結果、報告された。耳鳴り症状を呈する成人は最高で21%にも達し、最も苦痛で消耗が激しい聴覚医学的問題の1つとされている。しかし臨床的治癒を導く標準療法がないため、コスト高で長期にわたる治療となりやすい。そこでCima氏らは、認知行動療法による段階的ケアアプローチの効果について通常ケアと比較する評価を行った。Lancet誌2012年5月26日号より。耳鳴りの音に脳を順応させる認知行動療法と通常ケアを比較 試験は、オランダ・HoensbroekにあるAdelante Department of Audiology and Communicationで被験者を募り行われた。耳鳴りを主訴とするが、試験参加を妨げるような健康問題を有していない、18歳以上の未治療のオランダ語を話せる人を登録した。 独立した研究アシスタントがコンピュータを使って、被験者を耳鳴り重症度と聴力で4つのグループに層別化し、認知行動療法として耳鳴りの音に脳が順応するよう訓練する耳鳴り順応療法(tinnitus retraining therapy:TRT)を受ける群(専門治療群)と、通常ケアを受ける群に患者を1対1となるよう無作為に割り付けた。患者と評価者に治療割付情報は知らされなかった。 主要評価項目は、健康関連QOL(健康ユーティリティ・インデックス・スコアで評価)、耳鳴り重症度(耳鳴りアンケート・スコア)、耳鳴り機能障害(耳鳴りハンディキャップ項目スコア)とした。評価は治療前と、無作為化後3ヵ月、8ヵ月、12ヵ月時点で行われ、マルチレベル混合回帰分析法を用いてintention-to-treatでのアウトカム評価が行われた。健康関連QOL、耳鳴り重症度および機能障害が改善 2007年9月~2011年1月の間に741例がスクリーニングを受け、492例(66%)が登録され治療を受けた。 結果、専門治療群(245例)は、通常ケア群(247例)と比較して、12ヵ月で健康関連QOLの改善が認められ(群間差:0.059、95%信頼区間:0.025~0.094、コーエン効果サイズについてのd=0.24、p=0.0009)、耳鳴り重症度指数が低下し(同:-8.062、-10.829~-5.295、d=0.43、p<0.0001)、耳鳴り機能障害指数が低下した(-7.506、-10.661~-4.352、d=0.45、p<0.0001)。 耳鳴り順応療法は、初期の耳鳴り重症度にかかわりなく効果的であり、有害事象もみられなかった。研究グループは、「認知行動療法に基づく耳鳴り専門治療は、重症度の異なる患者に広く実施可能と言える」と結論している。

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世界各国受刑者における過体重・肥満の有病率と身体活動度

英国・オックスフォード大学のKatharine Herbert氏らは、これまで行われていなかった刑務所に収監されている受刑者について、栄養的に貧しい食事や不十分な運動がもたらす過体重や肥満の有病率についてシステマティックレビューで評価を行った。Herbert氏らは本研究の目的について「肥満などの非感染性疾患(NCD)は、低・中所得国や受刑者といった社会的不利な条件にある階層に偏って負荷がかかっている。受刑者についての評価は行われたことがなく、現在のエビデンスを総合し、今後の研究活動・領域を明らかにするため」としている。Lancet誌2012年5月26日号掲載報告より。システマティックレビューで15ヵ国6万人以上の受刑者について評価Herbert氏らは、PubMed、EMBASEなどオンライン・データベース上にある1948年から2011年5月までに発表された研究についてシステマティックに検索し、2人の著者が事前に決めた形式に則り独立的にデータを抽出するスクリーニングにより適格試験を選定した。バイアスリスクについては各々の研究について領域ベースで評価した。29の出版物から31の研究報告が選定され、15ヵ国884施設の受刑者6万人以上が解析に含まれた。試験は、オーストラリア、バングラディッシュ、カメルーン、東アフリカ、ドイツ、コートジボアール、日本、ナイジェリア、パキスタン、ルーマニア、ロシア、台湾、英国、米国、西アフリカで行われたものだった。結果、過体重・肥満の有病率の解析の結果(13試験・4万6,711例)、男性受刑者は一般男性集団と比べて過体重という傾向は認められなかった。評価をした10試験の有病率比は、1試験で1.02(95%信頼区間:0.92~1.07)を示したものがあったが、それを除くと0.33~0.87の範囲であった。一方、女性受刑者については、米国(解析対象は1試験、有病率比:1.18、95%信頼区間:1.08~1.30)とオーストラリア(同3試験、有病率比は1.15~1.20にわたった)で、非収監女性と比べて過体重の傾向が認められた。女性受刑者の平均エネルギー摂取量は過度オーストラリアの受刑者は英国の受刑者と比べると、一般集団との比較で活動レベルが有意に十分なレベルに達している傾向が認められた。両国の結果を男女別試験実施年別にみると、女性については2009年にそれぞれの国で行われた試験の結果(有病率比)は英国0.32(95%信頼区間:0.21~0.47)に対して、オーストラリアは1.19(同:1.04~1.37)だった。男性については試験年が一致しなかったが、英国(1994年実施)の0.71(同:0.34~0.78)に対して、オーストラリア(1997、2001、2009年実施の3試験の結果)は1.37~1.59の範囲を示した。女性の平均エネルギー摂取量は推奨レベルを上回っており、特にナトリウム摂取量は全受刑者の推奨摂取量の約2~3倍だった。Herbert氏は、「この脆弱集団の健康を促進するには刑事司法制度と接触することである。これらの重要な公衆衛生問題に言及しないことによる個人および社会にかかるコストは相当なものとなるだろう」と述べ、「適切なターゲッティングによる公衆衛生介入を知らしめるモニタリングの改善とさらなる研究が必須だ」と結論。またその際に、オーストラリアと日本の研究が描出する刑事司法制度はNCDリスク改善につながるものかもしれないことについて言及している。

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特発性静脈血栓塞栓症の再発予防にアスピリン投与は臨床的ベネフィットあり

誘因が認められない非誘発性静脈血栓塞栓症を発症した患者に対し、アスピリン投与は、出血リスクを明らかに増大することなく再発リスクを有意に減らすことが報告された。イタリア・ペルージャ大学のCecilia Becattini氏らが行った無作為化試験の結果による。非誘発性静脈血栓塞栓症患者では、経口抗凝固療法中止後2年以内に再発する人が約20%を占め、抗凝固療法を延長することで再発は予防し得るものの、出血リスクが増大することが報告されていた。一方アスピリンの再発予防へのベネフィットについては、明らかになっていなかった。NEJM誌2012年5月24日号掲載報告より。403例をアスピリン群100mg/日とプラセボに割り付け2年間投与追跡Becattini氏らは、2004年5月~2010年8月の間に初発の特発性静脈血栓塞栓症を発症し6~18ヵ月の経口抗凝固療法を完了した403例を対象に多施設共同研修者主導二重盲検無作為化試験を行った。205例はアスピリン群(100mg/日)に、197例はプラセボ群に割り付けられ、2年間治療が行われた(1例はプラセボ群に無作為化後、治療開始前に死亡となった)。試験治療期間はオプションで延長可能とした。主要有効性アウトカムは、静脈血栓塞栓症の再発とし、主要安全性アウトカムを大出血とした。アスピリン群の再発は約半減と有意に減少試験期間中央値24.6ヵ月の間に、アスピリン群205例のうち28例が、プラセボ群197例のうち43例で静脈血栓塞栓症の再発が認められた。年間発症率はアスピリン群6.6%、プラセボ群11.2%で、ハザード比は0.58(95%信頼区間:0.36~0.93、P=0.02)であった。投与期間中央値23.9ヵ月の間の再発は、アスピリン群23例、プラセボ群39であった。年間発症率はそれぞれ5.9%、11.0%で、ハザード比は0.55(95%信頼区間:0.33~0.92、P=0.02)であった。各群それぞれ1例の大出血事例があった。有害事象は両群で同程度であった。

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望まない妊娠回避にはピル・パッチ・リングよりもIUD・インプラントを

望まない予定外の妊娠を回避するためには、子宮内避妊器具(IUD)など長期作用型可逆性避妊法を普及することが10代女性および若年女性を問わず有効であるとの報告が、米国・ワシントン大学医学部のBrooke Winner氏らが大規模な無作為化試験を行い発表した。米国では、予定外妊娠が他の先進国と比べて多く、その半数は避妊方法の誤った使用あるいは不適切な使用によるものとされている。Winner氏らは、米国では一般的な避妊方法として経口薬が用いられているが、イギリスやフランスではIUDなどの普及率が高く、予定外妊娠の割合も低いことに着目。また、予定外妊娠に関する大規模な前向き試験データがないことから、長期作用型可逆性避妊法と一般的な避妊法との避妊失敗率を比較した。NEJM誌2012年5月24日号掲載報告より。避妊失敗率を各避妊法別、21歳未満・以上の年齢階層別で比較研究グループは、2007年8月~2011年5月の間に8,445例を試験に登録し、無償で、長期作用型可逆性避妊法[IUD、インプラント(皮下埋め込み式)避妊法]か、一般的に処方されている避妊法[経口避妊薬、経皮性パッチ、膣リング、徐放性酢酸メドロキシプロゲステロン(DMPA)注射]の可逆性避妊が提供された。いずれかの避妊方法を選択使用した7,486例について解析を行い、全体コホートにおける各避妊方法別の避妊失敗率、年齢階層群(21歳未満群と21歳以上群)別にみた各避妊方法別の避妊失敗率について検討した。ピル・パッチ・リング使用者の避妊失敗率は、IUD・インプラント使用者の約22倍7,486例のうち予定外妊娠例は334例であった。ピル・パッチ・リング使用被験者における避妊失敗率は、100参加者・年につき4.55である一方、長期作用型可逆性避妊使用被検者の同割合は、0.27だった。年齢・教育水準・予定外妊娠歴で補正後のハザード比は、21.8(95%信頼区間:13.7~34.9)だった。ピル・パッチ・リング使用被験者の年齢階層別の避妊失敗率についてみると、21歳未満群における同割合は、21歳以上群のほぼ2倍であった。年齢にかかわりなく、DMPA注射使用者とIUD、インプラント使用者の避妊失敗率は、いずれも低く同程度であった。(武藤まき・医療ライター)

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統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

統合失調症は早期診断、早期治療を行うことで予後改善が期待できる。Benson氏らは統合失調症の高感度スクリーニング検査として眼球運動を測定することが有用であることを報告した。Biol Psychiatry 2012年5月22日オンライン版に掲載の報告。統合失調症患者88例とコントロール群88例の眼球運動の範囲を記録し、9ヵ月の再試験症例とコントロール群の34例、および新規統合失調症患者36例とコントロール群52例から得られた眼球運動データにより試験の予測的妥当性を評価した。眼球運動は円滑追跡などを測定し、単変量分析と多変量分析にて解析を行った。主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者ではほとんどすべての眼球運動試験でコントロール群と異なった。中でも、free viewingの固定分散は最も独立した因子であった。・性別、薬物、喫煙の有無とは独立していた。・統合失調症患者とコントロール群は完全に識別された。再試験症例とコントロール群における予測的妥当性は87.8%であった。・全298データにおける識別率は98.3%とほぼ完全に近い精度で識別可能であった。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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EGFR変異陽性非小細胞肺がん患者のQOLを改善するゲフィチニブ NEJ(North East Japan)002 試験 QOL分析

Oizumi氏らは、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん患者のQOLに対するゲフィチニブの効果を評価した。本報告は、The Oncologist誌オンライン版2012年5月11日号に掲載された。NEJ002試験では、EGFR変異陽性の非小細胞肺がんにおいて、ゲフィチニブ一次治療は無増悪生存期間(PFS)の有意差を証明したものの全生存期間(OS)の有意差を示すにはいたっていない。このレポートでは、同試験におけるQOL分析を紹介している。EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん患者は、ゲフィチニブ群と化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)群に無作為に振り分けられ、それぞれのQOLについてケアノートを用いて評価した。主要エンドポイントは、身体性、心理的、生活の各QOL尺度の無増悪期間である。148例(ゲフィチニブ群 72例、カルボプラチン+パクリタキセル群76例)のQOLデータ分析の結果、身体性QOL尺度と生活QOL尺度は、化学療法群に比べゲフィチニブ群で有意に無増悪期間が長かった(HR:0.34、95%CI:0.23~0.50、p

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神経内科医の注目が集まる「てんかん診療」高齢者のてんかん患者が増加!

第53回日本神経学会学術大会(5月22日~25日、東京国際フォーラム)における共催セミナー(グラクソ・スミスクライン株式会社)にて、産業医科大学 辻 貞俊氏が「高齢者てんかんについて」と題して講演した。高齢者てんかん患者は50万人以上てんかんは小児および若年者での発症が多い疾患である。一方、加齢に伴う中枢神経疾患は、高齢者におけるてんかんの新規発症の原因となる。高齢者のてんかんは若年者のものとは病態が異なり、若年者とは異なった治療が必要となる。わが国では急速な高齢化に伴って、このような高齢発症のてんかん患者が増えており、若年発症てんかん患者のキャリーオーバーともあいまって、高齢世代のてんかん患者が増加している。高齢者てんかん(65歳以上で発症)は対人口比2~7%と言われており、患者数は50万人程度と推定される。診断が難しい、高齢者てんかん高齢者てんかんは脳血管障害や脳腫瘍、認知症などを原因とする症候性てんかんである。約1/3は脳波が正常であり、鑑別診断が難しい。そのため、高齢者てんかんの特徴を理解し、診断・治療を行うことが求められる。中でも最も重要なのが「失神」である。失神は70歳以上の約23%が経験するともいわれている。また、神経疾患(TIA、TGAなど)、循環器疾患、代謝・内分泌疾患、睡眠時行動異常、心因性非てんかん性発作などとの鑑別を行う必要がある。高齢者てんかんの特徴は、・複雑部分発作、過運動発作が多い・約1/4は鑑別が難しく、診断できない(約1/3は脳波正常)・部分てんかん(側頭葉てんかん、前頭葉てんかんが大部分)が最も多い・二次性全般発作が少ないため見逃されている可能性が高い・発作後のもうろう状態が数時間~数日続くことがある・非特異的な症状(ボーとした状態、不注意、無反応など)が多い  などである。高齢者てんかんは抗てんかん薬単剤で奏功率約80%高齢者てんかんは診断が難しい側面はあるものの、薬物療法による奏効率は高く、比較的予後は良好である。ただし、再発率は高く、再発による患者の心理的負担を考慮し、初回発作時から薬物療法を開始することが推奨される。高齢者てんかんの薬物療法のポイントは以下のとおりである。・初回発作時から薬物療法を開始する・相互作用に注意し、少量から投与を開始する・米国ガイドラインでは部分発作の場合、合併症がなければカルバマゼピン、ラモトリギンの順、合併症があればレベチラセタム、ラモトリギンの順、全般発作の場合はラモトリギン、バルプロ酸の順で推奨されている・約80%は単剤にて効果が認められている(成人の投与量より少量)・海外データによると新規抗てんかん薬は発作軽減に有効である・長期にわたり治療を継続することが重要であるまとめ 高齢者てんかんが増加している現状を踏まえ、神経内科医によるさらなるてんかん診療の推進が求められる。また、発症後6年以上経過した認知症患者ではてんかん発作の発現率が一般の5~10倍に増加するともいわれており、注意が必要である。辻氏は「まずは、正確な診断、そして積極的な治療を行ってほしい」と締めくくった。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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労働安全衛生法改正法案は本当にメンタルヘルス対策の充実・強化になるのか

井上法律事務所 弁護士井上 清成 2012年6月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 1. メンタルヘルス対策の充実・強化 労働安全衛生法の一部を改正する法律案が政府より提出され、国会で審議中である。今は、受動喫煙対策の充実・強化の一環として打ち出された「職場の全面禁煙、空間分煙」の事業者への義務付けが議論の中心となっているらしい。しかし、その法律案の真の問題点は、むしろ「メンタルヘルス対策の充実・強化」というもう一つの柱の方にあるように思う。メンタルヘルス対策の充実・強化については、「労働者の安全と健康の一層の確保を図るため、労働者の精神的健康の保持増進のための措置を充実する」必要があることが、その法律案の提出理由とされている。確かに、自殺者が毎年3万人を超えている現状においては、メンタルヘルス対策の充実・強化は喫緊の課題であろう。しかし、法律案を読む限り、本当にメンタルヘルス対策の充実・強化になっているのか、疑問が拭えない。2. 精神的健康の状況を把握するための検査法律案は、現行の労働安全衛生法で第66条から第66条の9までの10ヶ条に「健康診断」として規定されている条文の後ろに、「精神的健康の状況を把握するための検査等」という1ヶ条を、第66条の10として追加するものである。現行法に1ヶ条追加するのであるから、その程度はともかく、少なくとも充実・強化にはなるように、一見すると思えよう。新設の第66条の10の概要は、次のようなものである。「○医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付ける。○労働者は、事業者が行う当該検査を受けなければならないこととする。○検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から、労働者に対し通知されるようにする。医師又は保健師は、労働者の同意を得ないで検査の結果を事業者に提供してはならないこととする。○検査の結果を通知された労働者が面接指導の申出をしたときは、医師による面接指導を実施することを事業者に義務付ける。○面接指導の申出をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこととする。○事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。」3. 健康診断からメンタルヘルス検査に縮減現行の労働安全衛生法は、その第66条第1項において、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」と規定していた。この「健康診断」には、問診その他の方法により心身の状況を把握することも含まれていると思われる。つまり、法的には、「精神的健康の状況を把握する」ことも包含されていたと言えよう。しかし、法律案は、メンタルヘルス検査などとして第66条の10を単に追加したのではない。併せて、第66条第1項にも修正を加えようとしている。「医師による健康診断」から「精神的健康の状況に係るものを除く。」とした。つまり、現行の労働安全衛生法上の「健康診断」から「精神的健康の状況を把握する」ことを除外し、「健康診断」の内容を縮減してしまおうとしているように思う。いわば「健康診断」から単なる「検査」への縮減である。そうだとすれば到底、メンタルヘルス対策の「充実・強化」とは評しえない。現に、日本産業衛生学会の産業医部会幹事会による2012年1月13日付け「“労働安全衛生法の一部を改正する法律案”のうち、『メンタルヘルス対策の充実・強化』の部分が、労働者のためにならないことが明らかなために、廃案または一旦保留として大幅な修正を求めます」との要望(ただし、現在は、改訂により廃止されたらしい。)では、「医師による健康診断で心の健康面は診ないことを求め」「心身の健康を分離して健康診断を行うことを強いる施策」として批判されていた。4. 医師の意見から労働者の自己申告に縮減健康診断からメンタルヘルス検査への縮減と共に、医師の意見から労働者の自己申告への縮減という問題点もある。それは、現行の健康診断が「医師による」となっていたのを、メンタルヘルス検査を「医師又は保健師による」としたことに伴う。典型的には、今までは事業所の産業医が健康診断の結果を知っていたので、事業者に意見を申し述べることができた。ところが、今後は産業医自らが担当するとは限らないので、メンタルヘルス検査の結果を事業所の産業医が知りえるとは限らない。検査の結果を通知された労働者が自発的に医師による面接指導を受けることを「希望する旨を申し出」ない限り、事業所の産業医は精神的健康の状況を知りえないかもしれないのである。いわば医師の主導的な意見による改善から、今後は労働者の自発的な自己申告による改善へと、システムが一気に変更してしまいかねない。少なくとも、医師の指導中心から労働者の自己責任中心へと、大なり小なり考え方がシフトしていくように思う。果たしてそれが本当にメンタルヘルス対策の充実・強化と言えるのかどうか、十分な議論が必要である。5. 技巧的な仕切りより全面的な助成を今回の労働安全衛生法改正法案は、健康診断と検査とに仕分け、保健指導と自己申告とを仕切り、それらをもってメンタルヘルス対策の「充実・強化」だと称しているにすぎないと思う。本当の「充実・強化」につなげるためには、むしろ、技巧的な仕分けや仕切りは要らない。プライバシー保護を十分に踏まえつつも、健康診断・保健指導・面接指導を充実させ、産業医と精神科医・心療内科医との連携を強化させるなど、諸施策を総合的に推進していくべきである。そして、そこにおいて政府の果たすべき役割は、技巧的な仕分けや仕切りなどでなく、諸施策推進のための全面的な支援や助成に徹し切ることであろう。

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わが国の乾癬治療における生物学的製剤の費用対効果 3剤比較

わが国では、この数年のうちに、中等症から重症の乾癬に対して生物学的治療が導入されるようになった。NTT東日本関東病院の五十嵐氏らは、日本の医療環境におけるアダリムマブ、インフリキシマブ、ウステキヌマブによる治療の費用対効果を評価すべく、本試験を実施。「日本の乾癬治療の現場においても、ウステキヌマブはアダリムマブやインフリキシマブと比較して費用対効果のよい生物学的製剤である」と結論づけている。Journal of Dermatological Treatment誌オンライン版2012年5月28日掲載の報告。本試験は、二重盲検無作為化比較試験のデータを元にPASIスコア(乾癬の面積重症度指数)を用いて有効性を算出し、混合治療比較法にて検討された。また、国内において承認された用量と投与スケジュールにて割り出された薬剤費をコストとした。費用対効果はコストをPASI75達成の確率で割り、算出した。主な結果は以下のとおり。 ・インフリキシマブはPASI75を達成した割合が最も高く(83%)、次にウステキヌマブ45mg(74%)、アダリムマブ(59%)と続いた。・インフリキシマブは最も薬剤費の高い生物学的製剤である一方、ウステキヌマブ45mgとアダリムマブのコストは同程度であった。・1年間の導入療法期において、反応を示した患者一人当たりのコストはウステキヌマブ45mgが最も低く、アダリムマブ、インフリキシマブと続いた。・続く維持療法期においても、一人当たりのコストはウステキヌマブ45mgが最も低かった一方で、インフリキシマブとアダリムマブでは費用対効果に差がなかった。(ケアネット 藤井 美佳) ========================================【関連コンテンツ】いかに寛解を維持するか?アトピー性皮膚炎再発抑制のコツを伝授!

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日中眠気を伴わない睡眠時無呼吸症候群に対する持続気道陽圧療法

持続的気道陽圧(CPAP)療法は症候性閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の第一選択治療だが、昼間に眠気を伴わない場合は同法を行っても、体高血圧症や心血管イベント発生リスクの減少にはつながらないことが明らかにされた。スペイン・Arnau de Vilanova大学病院のFerran Barbe氏らが、700人超について行った無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年5月23・30日合併号で発表した。これまでCPAP療法の有効性について、症状の有無により違いがあるかどうかは明らかでなかった。14ヵ所の教育病院で725人を無作為化、エプワース眠気尺度は10以下研究グループは2004年5月~2006年5月にかけて、スペイン14ヵ所の教育病院を通じて、昼間に眠気を伴わないOSA患者725人に対し、CPAPの効果について試験を行った。被験者は、無呼吸・低呼吸指数が20h-1以上で、エプワース眠気尺度が10以下だった。研究グループは、被験者を無作為に2群に分け、一方にはCPAP療法を、もう一方には対照群として積極的治療は行わなかった。また、被験者全員に対し、食事や睡眠に関するカウンセリングやアドバイスを提供した。追跡は、2009年5月まで行われた。主要アウトカムは、体高血圧症、または非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、一過性脳虚血発作などの心血管イベントの発生率とした。体高血圧症または心血管イベント罹患密度、CPAP群と対照群で同等被験者のうち追跡可能だったのは723人、そのうちCPAP群は357人、対照群は366人だった。追跡期間の中央値は4年(四分位範囲:2.7~4.4)だった。結果、CPAP群では、新たな体高血圧症の発症が68人、心血管イベント発生が28人に認められた。対照群では、体高血圧症は79人、心血管イベントは31人に発生した。体高血圧症または心血管イベントの罹患密度は、対照群が11.02/100人・年(95%信頼区間:8.96~13.08)、CPAP群は9.20/100人・年(同:7.36~11.04)と、両群で有意差はみられなかった。罹患密度比は0.83(同:0.63~1.1、p=0.20)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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高齢者介護施設での身体拘束、ガイドラインや行動理論による介入で減少

高齢者介護施設(nursing home)に対し、ガイドラインや行動理論による介入を行うことで、身体拘束を受ける入所者の割合が減少することが示された。ドイツLubeck大学のSascha Kopke氏らが、36ヵ所の高齢者介護施設について行った集団無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年5月23・30日合併号で発表した。ドイツでは、身体拘束は法的に規制されており、また身体拘束の有効性と安全性についてエビデンスがないにもかかわらず、多くの高齢者介護施設でいまなお行われている現状だという。また米国の高齢者介護施設では20%で身体拘束が行われているとの報告もあるという。入所者の2割以上が身体拘束を受ける、36施設について無作為化試験研究グループは、2009年2月~2010年4月にかけて、高齢者介護施設36ヵ所を無作為に2群に分け試験を行った。試験適格とされた施設では、入所者の2割以上が身体拘束を受けていた。対象施設の一方の群(18施設、入所者数2,283人)にはエビデンスに基づき作成されたガイドラインおよび計画的行動理論に基づく介入を行い、もう一方の群(18施設、同2,166人)は対照群として特別の介入は行わなかった。介入を行った施設に対しては、看護職員に対するグループセッション、一部の看護師に対する追加的訓練、看護師や入所者、親戚などに対する教育的資料の配布などを行った。対照群には、一般的な情報を提供した。身体拘束を受ける割合、介入群は対照群より6.5%ポイント低率主要アウトカムは、試験開始から6ヵ月時点の、ベッド両側柵、ベルト、固定テーブルの設置、その他自由な行動を規制する仕掛けを用いた身体拘束を受けている入所者の割合とした。評価は、覆面調査員による1日3回の直接的評価で行われた。調査を開始したすべての施設で調査は完遂し、被験者全員について追跡を完了することができた。調査開始時点で、身体拘束を受けていた入所者の割合は対照群が30.6%、介入群では31.5%と同等だった。6ヵ月時点の同割合は、対照群が29.1%に対し、介入群では22.6%と有意に低率で、絶対格差は6.5%だった(95%信頼区間:0.6~12.4、クラスター補正後オッズ比:0.71、同:0.52~0.97、p=0.03)。同割合は、3ヵ月時点から6ヵ月時点に安定的に推移していた。転倒や転倒による骨折、向精神薬の処方率について、両群で有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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「双極性障害に対する薬物療法レビュー」世界精神医学会(WPA)での報告

Fountoulakis氏らは2012年3月10までに更新された双極性障害に対する薬物療法に関するランダム化比較試験のシステマティックレビューをおこなった。Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci誌オンライン版2012年5月24日掲載の報告より。主な結果は以下のとおり。 ・急性躁症状に対しリチウム、第1世代抗精神病薬、第2世代抗精神病薬、バルプロ酸、カルバマゼピンが有効であることが示唆された。・クエチアピンとオランザピン/フルオキセチンの併用は双極性障害のうつ症状に対し有効である。・抗躁薬の単剤投与を目指し、抗うつ薬は併用のみで使用した方が良い。・リチウム、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールは維持治療期に有効である。・ラモトリギンはうつ症状の予防に有効である。また、躁症状への有効性は明らかになっていない。・薬物療法の補助療法として心理社会的介入が有効であるとも報告されている。・電気ショック療法は難治例でのオプションとなりうる。・リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンに対し部分奏効した急性躁病患者では抗精神病薬の併用が効果的である。・急性双極性うつ病に対しリチウム+ラモトリギンは最良の選択肢である。・単剤治療移行中の悪化時にみられる急性症状に対しオランザピン、バルプロ酸、抗うつ薬、ラモトリギンの併用は有効である。著者は最後に、「双極性障害に対する治療選択肢は増えてきたが、まだ十分ニーズを満たしているとはいえない。併用療法をおこなうことで転帰の改善が期待できるようになったが、一方で副作用も問題となっている。今後、段階的かつ合理的な治療をおこなうためにガイドラインやアルゴリズムが整備されることを願う」としている。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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タダ(無料)ほど高い物はない~医療の無駄について~

つくば市 坂根Mクリニック坂根 みち子 2012年6月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 福島県が独自に18歳以下の子供の医療費を無料にするという。これについて全国保険医団体連合会や著名人たちが中心となって福島の子供たちの医療費をタダにすべしと国にも訴えている。大変言いにくいが反対である。一見聞こえのいいスローガンだが、タダほど高い物はない。結局子供たちのためにならない。ただには多くの無駄がもれなくセットで付いてくる。これから先、福島原発に関連してお金は果てしなく掛かる。貴重な財源は本当に必要な時に必要な人に届くような制度設計にしなくていけない。医療に携わっている者なら、ただ(無料)の分野にいかに無駄が多いか知っているはずである。右肩上がりの社会ならば無駄も含めて許容することもあるだろう。だが現実を見て欲しい。今の日本にそのゆとりはない。結局必要な人に使われるべき財源が無駄な部分に使われ、真に必要な人に医療が届かなくなる。今回と同じように子供の医療費無料をうたう自治体や政治家が多い。選挙民の受けはいいがコンビニ受診を誘発している。時間外の医療費は通常の1.2倍から1.5倍掛かるがタダだと使う方にもその認識がない。自分の懐が痛まなければ、仕事を早く切りあげて時間内の病院に行こうというインセンティブが働かない。税金の無駄使いである。過重労働の勤務医対策としても逆行する。時間外のコンビに受診は医療者をとても疲労させる。まして福島県は医師や看護師が足りず四苦八苦している。どうしてもやるなら子供の時間内の医療費無料とすべきである。身体障害者の1級は医療費が掛からない。例えば心臓弁膜症で手術を受けた場合やペースメーカーを入れた場合は、現在では手術前より元気になってまったく普通に暮らせる人が多いが、術後は無条件で身体障害者1級となる。以後の医療費は生涯すべて無料である。疾患に関連する部分のみ無料とか、元気になって普通に暮らせるようになるまで無料という制度ではない。一度1級になると生涯無条件に更新される。一見誰も困らないのでこちらもずっとおかしいと言われながら放置されたままである。透析患者についても同様のことが言える。 以前は腎炎からの透析が多く、透析導入されると田畑を売ってお金を工面しなければいけない時期があった。多くの先人たちの苦労の末、透析はお金の心配をしなくても受けられるようになった。ところが、現在の透析導入理由は糖尿病が一位である。外来もしくは入院で食事や運動療法の指導をしても、まったく聞く耳を持たずに結局最後は透析導入、心筋梗塞、脳梗塞となっていく人もいる。この方々も透析となった時点で身障者1級、医療費はほぼ無料となるが、糖尿からの透析は様々な合併症が出てくるために一人当たりの医療費がと突出して多くなる。生活保護の人たちは医療費が掛からない。最近ようやく統計的にも明らかにされたが、軽症でも繰り返し病院に掛かる人たちがいる。病院側でも確実にお金が取れるので、外来のみならず、入院させて隅々まで検査を繰り返し、3カ月毎に転院してまた繰り返すといういわゆる貧困ビジネスに手を染める病院が後を絶たない。そこまでいかずとも、経営的に苦しい病院では阿吽の呼吸で生保の人たちに少しずつ余分な検査をして稼ぐのは日常茶飯事である。取りっぱぐれがなく、一見誰の懐も痛まないのでこの制度には付け入る隙があるのである。国は医療に営利化を促す点数をつけている。民間の医療機関は赤字になるくらいなら点数の取れる検査や治療をするのは当たり前である。不安定狭心症で心臓カテーテル治療をした人がいた。治療して元気になったがその間一旦職を失ってしまった。同時にやる気も失ってしまったらしい。本人は職探しをするより生活保護を申請した。こちらは労務の可否欄に当然可と書いた。面談に来た役所の人にも、生保より仕事を斡旋して欲しいと話した。すると、役所では話はするが自分でハローワークに行って仕事を捜す以外斡旋はできないと言われた。結局その人は生保をもらい続け、日がな一日テレビを見て糖尿病は悪化していった。健康に不安を持つ人は多い。病院に来てあれもこれも調べて欲しいという方はよくいる。それが病院にとっても利益となり患者の負担にもならなければ、いったい誰がそれを拒むというのだろう。そこで訴訟のリスクも負ってまで余分な検査はすべきでないと患者を説得する医師がどれほどいるだろうか。大学病院をはじめとする公立病院では働く方のコスト意識も低い。大学病院のような高度医療を提供するところに対して医療の内容を吟味するには、相当の専門的力量が要る。従って支払基金も高度医療提供病院の医療内容に関してはかなり素通りが多い。だが、レセプト上位 1%の人が総医療費の30%近くを消費し、レセプト上位 10%の人が総医療費の実に7割を占めているという。総額の医療費が事実上決まっている中で、高額医療費を使い続ける人が増えれば、一方で必要な医療が届かない人たちがでる。問題は目の前の患者に医療費という観点からは無自覚に医療を提供し続ける医療者側にもあるし、枝葉末節にばかり目を向けて、本来その医療が必要かどうかチェックする体制を作ってこなかった支払基金や厚労省にもある。聖域は要らない。すべて公開して欲しい。本質的な点検をやるには支払い側も専門的知識が必要になり、そうなると医療者側にも緊張感がもたらされる。書類さえ整っていれば素通りで、貧困ビジネスにも無料の医療分野にも踏み込まない、枝葉末節にばかり神経を使う今の支払い基金はない方がましである。同時に厚労省の不作為ぶりも目に余る。保険は互いの支え合いのシステムである。医療費の無料という大きな権利を手に入れる時には、医療費は謙抑的に大事に使わなくてはならないという義務も一緒に知って頂かなくてはならない。小学生の頃から社会保障のシステムと使い方を繰り返し教育しなくてはいけない。医療費は無料の人でも明細書を受け取りいくらかかったのか知らなくてはいけない。自分の医療が皆の保険料と税金に支えられていることを理解しなければならない。厚労省は、権利ばかり教えて守らなければいけないルールについて周知する努力はしているのだろうか。まさかそれは文科省の仕事と考えているわけではあるまいか。作家の曽野綾子氏が著書「老いの才覚」の中で、健康保険を出来るだけ使わないようにすることが目標の一つです。幸い健康なら、保険を使わずに病気の方におまわしできてよかったなと思うと述べられていた。この精神が医療保険を維持するために不可欠だが、残念ながらこう考えられる人はとても少ない。先日99才でペースメーカーを入れている人の家族から間接的に相談があった。もうすぐペースメーカーの電池が切れる可能性があるが電池交換に主治医が難色を示していると、家族は希望しているのにどうしたらいいでしょう、ということだった。なんといっていいのか返答に詰まった。セーフティーネットとしての保険の意味を理解していない。電池交換は、最低でも100万円かかる。身体障害者1級なので本人と家族の負担はない。保険は助け合いのシステムです。ペースメーカーのおかげで99歳まで心臓が止まらずに生きてこられたのならもう十分でしょう。どうぞそのお金は後進に譲ってください。そこまで言わないといけないか。この場合自費なら交換してくれと言うだろうかという意地悪な考えも浮かんでくる。罹る疾患によって医療格差が大きくなっている。特定疾患の指定を受けていない難病や高価な抗がん剤を毎月飲み続けなければいけない人にとって、医療費の工面が死活問題となっている。子供たちのワクチン接種も先進国の中で大きく後れを取っているが、財源がネックとなっている。一方、身障者の認定や生保など医療費が無料となる制度では、医療の進歩や相互扶助の精神が制度に反映されず、結果として一部の人たちは野放図に医療費が使えることになっている。透析や身障者であっても払える方には払っていただきたい。生保の人にも一旦払っていただきたい。身体障害者の認定は今の時代に合ったものに改定し本当に必要な人だけに出してほしい。今、医療費は決定的に足りない。医療機関は原価計算をしない公定価格のために慢性の赤字体質であり、医療費のかなりの部分が医療機関を通り越して営利企業に行っている。連続勤務の夜勤を寝ている扱いにして労働基準法違反からも賃金面からもスルーされている勤務医の労働環境もいつまで経っても手当てされない。健康保険は助け合いのシステムであるという啓蒙もなく、無料の医療費を使うときのチェック体制もなく、施された医療の内容を検証する体制がない今のシステムのままでこれ以上無料を増やしてはいけない。モラルハザードが増え大切な医療費が垂れ流されている。今の日本は生活保護者が200万人を越え、団塊の世代は退職し、子供が減って高齢者が増え、若者は就職できずにいる。つまり無産層が増え税金を払う人が減っているということである。その少ない納税者にとってほぼ恒久化した復興増税を含め、近年は実質増税が続き可処分所得は減り続け生活は真綿で首を絞めるように苦しくなっている。東電の賠償金も廻り回って納税者が払うことになるだろう。国に請求するということは、納税者全員で分担しましょうと同意義語である。国も自治体も安易に無料をうたってはいけない。口にする方は気持ちがいいかもしれないが、それはあなた達のお金ではない。本当は子供たちの借金である。今、福島の子供たちの未来を考えてすることは医療費を無料にすることではない。必要な人にはあとから還付すればいい。そこに必ずセットで付いてくる無駄がもったいない。結局子供たちのつけを大きくしてしまう。今の日本にそれだけのゆとりはない。子供たちの未来を考えるからこそ、1円たりとも無駄にしてはいけないのである。

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福島の医療現場から見えてきたもの

南相馬市立総合病院 神経内科小鷹 昌明 2012年6月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 2012年3月5日の福島県は、朝から雪だった。震災から1年が経とうとするこの日は、私が大学病院・准教授を退職してから初めて勤務する、市立病院への挨拶の日であった。私は郡山市のホテルから、浜通りまでの足をどう確保したらいいかを考えあぐねていた。病院事務に電話で尋ねたところ、「福島駅までは新幹線で行き、そこからタクシーを利用すればいい」との返答であった。関東の人間から見れば、「まさか」と思うような積雪量であったが、指示された方法は当たり前の交通手段だった。飯舘村を横切る阿武隈山中の県道は除雪されており、事務職員の言うように簡単に往訪を果たした。雪は小雨に変わり、降りしきる南相馬市の街並みは寒々しく、寂しかった。タクシー運転手と昼食を求めてレストランを探したが、オープンしている店はココスだけであった。のっけから不安を感じたが、病院の復興を願う院長・副院長の言葉は熱く、帰り際には事務職員一同が、立ってお辞儀をしてくれた。南相馬市の医療現場に行くことを打ち明けた数少ない知人の中で、私が福島県人からいただいた言葉は、『大学の現場の第一線で活躍されてきた先生が、被災地の医療機関にやって来てくれるということ、そのこと自体が“復興”であると感じました。今の福島には、先生のような明るさと勢い(すみません!)がとっても必要です。私は、「決意して来ました」と熱く語られる人の言うことよりも、「いや~、勢いだけで来ちゃって、やっちゃたかなぁ」と、笑って理由を話してくださった先生がとても好きになりました』という内容だった。正直、虚勢を張った部分もあるにはあったが、自分は期待され、注目され、勇気づけられた。これまでも何度か述べてきたように、私は、「より必要とされる現場に赴く」というシンプルな考察結果を得たので、この地を訪れたのだが、その一言がとても嬉しくて、嬉しくて、自分はこの土地でやっていけると思った。4月から本格的な勤務が始まった。そこには、一般診療科に混じって総合診療科や在宅診療科などが立ち上がっていた。14人いた常勤医は震災直後に一時期4人に減ったが、産婦人科医や小児科医が戻り、外科医も新たに加わり、現在15人に増えていた。いろいろなキャリアを積んだ医師が、いろいろな立場と役割とで、いろいろな働き方で働いていた。自分のやりたい理想の地域医療の実践を求めて、文字通り奮闘していた。それが実に快活というか、風通しが良いというか、気兼ねのない伸び伸びした雰囲気を感じた。意外にも、先輩医師の配慮からか、私の技術がすぐに求められるという状態ではなかった。すでに、非常勤にしろ、ボランティアにしろ、多くの医療者の支援が入っていた。私の診療すべき患者が外来に溢れているという状態では、けっしてなかった。ただ、半数近くの医師は、月単位、あるいは1年程度で移動していく派遣医師であった。もちろん、そうした応援はありがたいことではあったであろうが、短期的な支援しかできない医師では、患者の、延いては市民の信頼も定着していかないのではないか。慣れてきた頃に撤退しなければならないという、とても効率の悪い、綱渡り的な診療体制が続いていた。「今度新しく来た先生ですね。でも、また半年くらいで交代ですか」というような質問を、数人の患者から受けた。この病院で完結するような標準医療を提供するには、人の手はまだまだ足りなかった。隠さずに言うならば、医局でもっとも忙しそうで目立っている人は、それらの応援医師を束ね、もてなすとともに管理しなければならない、元気な“医局秘書”であった(秘書は仮設住宅にお住まいだった)。就任して1ヵ月、私は秘書より早く出勤することも、遅く帰宅することもなかった。南相馬市では、7万1千人いた人口が震災後に1万人にまで減少したが、現在4万6千人(3月末)に回復している。しかし、65歳以上の高齢者がそのうちの3割強を占め、仮設や借り上げ住宅での生活者は、合わせて2割にのぼる。被災地の中でも、原発問題を抱えるこの浜通りの疎外感は、おそらく特異的なものなのではないか。とにかく子供がいない。日曜日なのに公園に人がいない。だから、非常に静かであり、老人も、孫の“おもり”をする必要がない。高齢者は家に閉じ籠もりがちになり、支援の手が届かなければ、やがて“孤立死”が多発することは目に見えている。高齢化が加速度的に進行するこの地域の医療をどうしていけばいいのか。きれい事を言うならば、放射線被曝の低減は当たり前で、それに加えて雇用の確保、生活インフラの整備、教育、医療、福祉の充実、そして、文化的な暮らしを推進していかなければならない。経済や産業の停滞と、生活や文化の低下したこの土地に人が流入しないとしたら、市民は市民の力で支え合っていくしかない。現地でヘルパーを養成するとか、ケア・マネや介護士資格のある人に復帰してもらうとか、保健師にもっと権限を持たせるとか、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)をどんどん推進するとか、治療食をデリバリーするとか、NPOに業務を委託するとか、診療のサポートをすることはもちろんだが、職種を越えた“地域連携医療ネットワーク”の構築が急務だと感じた。南相馬市には、離散してどこでどうしているか分からない人たちが、まだまだたくさんいる。医療の提供側においても、子供を持つ母親の多くがこの土地を離れ、今では、医師よりも看護師や介護士不足の方が深刻である。このため市立病院では、4病棟のうち1病棟が稼働できないでいる。原発事故を契機に転院を余儀なくされた難病患者の多くも、病床不足で市内に戻れない。市に残った神経難病患者に、「もっとも厳しい状況は何か?」を尋ねてみた。「震災前は、デイ・ケアやショート・ステイを利用することができたが、他の土地でも働けるような健康な人たちがバラバラになってしまったので、福祉や介護を支える人が減ってしまった。これまでのサービスを受けられないので、家にいるしかない。しかし、その分、妻に大きな負担を強いてしまっていることが何より辛い」と話されていた。原発に対してストレートな怒りをぶつけるような人は、もうあまりいないし、津波被害の落胆を語る人も、それほど多くはない。そういう意味では、震災後のことを尋ねても、住人の気持ちはさまざまである。「もう、悲惨な過去ばかりを強調するのではなく、復興と再生なのではないか」という風潮と、「まだまだ多くの爪痕を残し、暗く沈んだ空気のままだ」という雰囲気とが交錯している。「復興に向けてがんばろう」と思っている人と、「なるようにしかならない」と思っている人とで、二分されているような気がする。つまり、「結構熱いが、肩の力は完全に抜けている」、そんな印象である。浜通りの人々にとっての海や大地というのは、単なる労働用地でも、物的資源でも、固定資産でもない。自分たちとは分離することのできない恵みや悦びの場であり、いわば共同のエリアである。そんな拠り所を奪われた人々の気持ちとは、一体どういうものなのか。自分の人生の再建に対して逡巡し、思案し、葛藤しているのが、今のこの土地における偽りのない、人々の姿なのではないか。「仮設は3年くらいしか住めない。土台作りもいい加減だからいつまでも住めるはずがない。東電の補償もいつまで続くか分からない。帰れるのか、それともここに新しい街を作るのか。それにしても、一体何が新しい生活なのだろうか?」という自問や、「飲んで食って寝るだけだから、楽と言えば楽だ」、「ここに居るしかないのだから諦めているというか、他に行くところもないから家に閉じ籠もっている」、「パチンコと散歩くらいしかやることないな」と打ち明けている住民に対して、何を届けていったらいいのか。「一夜にして解決できる」と凄んでいる説明や、「被災地に行ったら逆に励まされた」というような紋切り型の感動は、もう薄っぺらな言説にしか思えない。現状を目の当たりして、私は考えを是正せざるを得なかった。「何かを始めたい」と意気込んでは来たものの、“医療復興”というのは、システムを創造したり、パラダイムを変換したりすることではなかった。むしろ丁寧に修繕するとか、再度緻密化するとか、改めて体系化するとか、有機的に規模を拡大するとか、人を集めてそれらを繋ぐとか、そういうことが医療の復興であった。震災から1年が経過したこれからの時期は、言ってみれば救急処置を済ませた後の長い長いリハビリ期間である。“丸ごと刷新”とか、“そっくり改正”いうのではなく、手厚く手直しをしていくことである。復元とか修正とか補正とか綻びを繕うとか、そういうことである。だから私は、そういう場面を捉えたいと思っているし、データで示されないような事実を文章にして伝えたいのだが、そういうことは学術と一線を画する作業であり、学者からは一蹴されるに決まっている。医療の相手は一般の人々であるはずなのに、日本の医学界の中枢にいる人たちの対象は、やはり医師仲間であり、そんな仕事は間違ってもしない。であるからして、私のような医療の周辺にいる人間が言葉を置き換えて、分かりやすい事例を添えて“別の角度から見た医療”を、一般の方に説明しなければならない。そのためにも、直向(ひたむき)に自分というものを手がかりに思索し、自身の感じる違和を大切に、他者と向き合っていくつもりである。市立病院で展開されるであろう医療の現実を伝えていきたい。これが、私が福島に来たもうひとつの理由なのかもしれない。人が人に冷たくなれるのは、その土地に対して人間の出入りが多いときである。流動的な世界では、じっくり人間関係を組み立てることができない。「若い無知な人をじっくり育てる」とか、「老いた非力な人をゆっくり見守る」とか、あるいはまた、「傾いた商店を長い付き合いだから応援する」とか、「地元の特産品や伝統工芸を守ろう」とかいう気にならない。他人のために何かをするということは、想像するほど簡単なことではない。「人間は、自分で体験したことでないと分からない」と、つぶやいていた患者の言葉が引っ掛かる。支援者というのは、時として、当事者を置いてきぼりにして、自分が主役になろうとすることがある。だから、こういう状勢のときは、駆け回って何かをするのもいいが、本当はゆっくり話しを聞くところから始めなければならない。兎にも角にもゆっくり訴えを聞く。聞いて、見て、感じることである。そうした診療はとても地味な作業であり、根気が要る。あまりにも地味なので、「何もしていない」と思われるかもしれないが、新参者の私にできることは、結局、当面、取り敢えずは、人を好きになることぐらいしかなかった。『from FUKUSHIMA to our future』というようなニュアンスの言葉を、どこかしこで聞く。新しい生活に対して、「だいぶ落ち着いてきた」という声も確かに聞く。しかし、それは、やむを得ない選択肢の中での落ち着きであって、低位水準での安定であった。現実には、その土地に居るものにしか分からない、さまざまな葛藤が繰り広げられるであろう。昨年の夏に来たときよりも街の灯りは増えた。ココス以外にも、たくさん飲食店はあった。初めて暮らす潮風の街にも慣れつつある。そして、何よりも小雨の日でも寂しくなくなってきた。生活を立ち上げたばかりではあるが、何とかがんばれそうだ。この市立病院は、市民にとっての最後の砦であり、終着駅でもあった。そして、復興の拠点であり、シンボルであった。かろうじて津波の難を逃れた、市内でもっとも高い7階建てのこの巨塔は、医師4人、患者0人から奇跡的にも再建を果たしつつある。医療者たちの孤軍奮闘により、充分とはけっして言えないが、紛れもなく機能は保持されている。筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病など、進行するだけの疾患を扱う私のような神経内科医は、日々のメンテナンスの仕方を知っている。私は、己のそういう知識を応用して、この街の復興に役立てていくつもりである。

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認知症患者の興奮症状に対するメマンチンの効果を検討

アルツハイマー型認知症(AD)で多くみられる興奮症状は、患者の生活の質や介護者の負担に影響を与える。Fox氏らは中等度~重度のAD患者への有効性が示されているメマンチンの興奮症状に対する効果をプラセボ対照二重盲検比較試験にて検討した。本結果はPLoS One誌オンライン版に2012年5月2日掲載された。病院またはケアホームから抽出された臨床的に意義のある興奮症状を伴う認知症患者153例のうち、149例を対象にメマンチンとプラセボによる無作為化二重盲検比較試験を実施した。主要評価項目は6週目におけるコーエン・マンスフィールドagitation評価(CMAI)スコアの変化とした。また、副次的評価項目として12週目のCMAIスコア、6週目および12週目の神経精神症状尺度(NPI)スコア、臨床全般印象評価(CGI-C)スコアなどの変化とした。混合効果モデルによる解析。主な結果は以下のとおり。 ・主要評価項目である6週目のCMAIスコア変化は両群間で有意な差が認められなかった(-3.0; -8.3~2.2、p=0.26)。また、副次的評価項目である12週目のCMAIスコア、6週目または12週目のCGI-Cスコアおよび有害事象においても有意な差は認められなかった。・6週目および12週目の神経精神症状尺度(NPI)スコアの平均値において、メマンチン群で有意な改善が認められた(6週目:-6.9; -12.2~-1.6、p=0.012、12週目:-9.6; -15.0~-4.3、p=0.0005)。・メマンチン群ではプラセボ群と比較して認知機能の改善に関して有意であった。・認知症患者の軽度な興奮症状に対するメマンチンの効果については、まだ明らかではない。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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