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大きく変わったインスリン療法

 2013年5月28日(火)都内にて、「大きく変わったインスリン療法」をテーマにセミナーが開催された(サノフィ株式会社開催)。演者である順天堂大学大学院の河盛 隆造氏(スポートロジーセンター・センター長)は、「古くからあるインスリンを効果的に使うことで、糖尿病治療の可能性がさらに広がる」と期待を述べた。 講演後半では、浜松医科大学の釣谷 大輔氏(第二内科)から超速効型インスリンであるインスリン グルリジンによる食後血糖コントロールの意義が語られた。 以下、内容を記載する。【インスリンはいまだmagic drug】 インスリンは1921年に発見された。2021年にはインスリン発見から100年を迎えるが、インスリンはいまだにmagic drugである。現在では、血糖自己測定により主治医は糖尿病患者の血糖値を診察室にいながら把握することができる。しかし、今なおインスリンの普及は進まず、インスリンが臨床現場で効率よく用いられているとはいえない。インスリンの使い方次第では、今以上に良好な血糖コントロールにつながる可能性がある。 【糖尿病、とくに食後高血糖は心血管イベントにつながる】 糖尿病患者において、心血管イベントリスクが非糖尿病に比べて増加することはよく知られている。実際、アテローム血栓性脳梗塞で入院した患者のうち、糖尿病、耐糖能異常を有する割合は80%以上との報告もあり、心血管イベント抑制を意識した治療が重要とされている。とくに食後血糖が高いほど脳梗塞、CHDの死亡率が高いことも示唆されており、食後の血糖管理が重視されるようになってきた。【食後1時間値の血糖コントロールが望ましい】 これを受けて2007年より「食後高血糖の管理に関するガイドライン」が発刊され、2011年度では食後1~2時間の血糖を測定し、食後血糖値は160mg/dL以下に維持することと改訂された。実際、食後2時間値よりも1時間値のほうが高いとする報告が国内外でなされていることから、食後1時間値を参考にした血糖コントロールが推奨される。すでに7点測定を実施しているのであれば、現在食後2時間値を測定しているところを、食後1時間値に変更し、測定してみることも、食後血糖の変動を把握するうえで望ましい。【超速効型インスリンは食後高血糖正常化の選択肢】 この時、わずかな食後高血糖であっても内因性インスリン分泌に与える悪影響が大きいことを理解しておくべきである。ではどう対処すべきか。食後高血糖を正常化し、インスリン分泌を改善するには、一度、インスリンを用いて高血糖を取り除くことが効果的だ。超速効型インスリンはその際の選択肢として有用といえる。【インスリン グルリジンの血糖改善効果】 浜松医科大学の釣谷氏は、近年登場したインスリン グルリジンについての研究結果を紹介した。超速効型インスリンを1日3回使用している2型糖尿病患者25例を対象に、他の超速効型インスリンをインスリン グルリジンに変更したところ、インスリン グルリジン使用時の食後30分、60分後血糖値は、ほかの超速効型インスリン(アスパルト・リスプロ)使用時と比べ低値で(30分値は有意差あり)、グルリジンの血中CPRの変動はほかの超速効型インスリンと比べて改善傾向にあった。釣谷氏はグルリジンの作用発現は早く、食後の早い時間帯での血糖改善が認められていることを述べ、1型糖尿病や低血糖の懸念がある患者、胃切除後、インスリン抗体陽性が疑われる患者にも使いやすいだろう、と期待を述べた。【まとめ】 このような利点をもつインスリンだが、なかなか普及しない事も事実だ。これはインスリンに対する悪いイメージの先行や、注射という製剤ゆえのアレルギーが大きいためと予想される。しかし、現在のインスリンは痛みも少なく、常温で保存できワイシャツの上からでも打つことができる。何より糖毒性を解除できれば経口薬に戻せる可能性もある。講演後、河盛氏は「インスリンを最後の手段にせずに、的確に、積極的にインスリン療法を施すことで、よりよい治療が患者さんに提供されることを期待したい」と思いを伝えた。

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てんかん患者の頭痛、その危険因子は?:山梨大学

 神経科医にとって頭痛とてんかん発作の関連は一般的であるが、いまだによくわかっていない。山梨大学の金村 英秋氏らは、前向き調査により小児てんかん患者における発作関連の頭痛についてそのタイプや発生頻度を評価し、危険因子の同定を試みた。その結果、部分てんかん患者や発作頻度の高い患者で頭痛の発生率が高いことが示された。Seizure誌オンライン版2013年5月20日号の報告。 対象は、部分発作や全般発作を有する小児てんかん患者98例(年齢範囲:5~18歳、部分発作74例、全般発作24例)。治療時に、てんかん発作に関連付けられる頭痛に苦しんだ経験があるかアンケートを行った。 主な結果は以下のとおり。・34例(34.7%)で発作関連頭痛の訴えが認められた。・発作関連頭痛が認められた患者において、頭痛は全般発作患者(3/24例、12.5%)よりも部分発作患者(31/74例、41.9%)で有意に頻繁であった(p=0.012)。・発作の頻度は、発作関連頭痛が認められた患者では4.1回/年、発作関連頭痛が認められなかった患者では1.3回/年であった。・発作関連頭痛が認められた患者のうち20例(58.8%)が前頭部の頭痛を訴えていた。・頭痛の位置は、必ずしも脳波によるてんかん焦点とは一致していなかった。頭痛は部分てんかん患者および発作頻度が高い患者において、より頻繁に起こっていた。関連医療ニュース 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか 小児の双極I型障害、アリピプラゾール有用性の定義は

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乳がん予防にSERMは有効か?(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(103)より-

女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏は、骨粗鬆症や高脂血症の原因となる。また、エストロゲン補充療法は、これらの症状を改善させる作用を持つが、乳がんのリスクを増加させることが問題となる。SERMとは、選択的エストロゲン受容体モジュレーターのことであり、エストロゲン受容体に相互作用を示すことにより、臓器特異的に、アゴニスト作用あるいは、アンタゴニスト作用を有する治療薬として期待がされている。 第1世代のSERMであるタモキシフェンは、乳がんの治療薬としても有名であるが、化学予防薬として、乳がんの高リスク女性に対して予防効果を示し(NSABP-P-1試験)、世界で初めて、がん予防薬としてFDAで承認された(1998年)薬剤である。タモキシフェンの1つの問題点は、子宮内膜がん・血栓塞栓症を増加させることであった。第2世代のラロキシフェンは、骨組織およびコレステロール代謝に対してアゴニスト作用を示すとともに、乳腺組織および子宮に対してアンタゴニスト作用を有しており、その効果が期待され、乳がん予防をエンドポイントに、タモキシフェンとラロキシフェンのランダム化比較試験が行われた(STAR試験) 結果は、ラロキシフェンはタモキシフェンと同様に乳がん発症を抑える一方で、血栓塞栓症・子宮内膜がん発症をタモキシフェンと比べ低下させたが、子宮体がん発症に関しては、統計学的有意差は無かった。また、非浸潤性乳がんの予防効果は、タモキシフェンの方が優れていた。その後、STAR試験の結果と、これまでに行われたRUTH、CORE/MORE試験と合わせて、2007年にラロキシフェンは乳がん予防薬としてFDAで承認されている。Lasofoxifene、Arzoxifenは新しいSERMであり、今後の期待がなされるところである。 今回のLancetに掲載されたメタアナリシスは、これらSERMの乳がん予防に関するメタアナリシスであるが、結果としては、SERMはER陽性乳がん発症を予防するが、その効果は最初の5年間くらいであり、5年以上になると効果が減弱する、また、椎体骨折を減らすが血栓塞栓症を増やす、というものであった。SERMは、乳がん発症を予防し骨合併症を減らすという、女性にとっては有望な薬剤として期待がある一方、血栓塞栓症の増加というリスクもあり、現時点では、ベネフィットがリスクを大きく上回るものではないため、安易に処方されるべき薬剤ではないと考えられる。 日本では、本論文中の薬剤のうち、タモキシフェンは乳がん治療薬として承認されているが、乳がん予防薬としての適応はない。ラロキシフェン(商品名:エビスタ)は、骨粗鬆症の治療薬として承認されているが、乳がん予防薬としての適応はない。日本人の乳がん発症率が低いことを考えると、絶対リスクの低下は欧米人と比べると小さいことが推察されるため、やはり乳がん予防を目的に安易に処方されることは慎まれるべきである。 今後もSERMの開発は、世界中でなされていくと思われるが、乳がん予防薬としても期待されている薬剤であるため、日本人でのエビデンスにも期待したい。勝俣 範之先生のブログはこちら

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低用量デキサメタゾンの予防的投与はTKAの術後悪心・嘔吐および疼痛軽減に有効

 デキサメタゾン(商品名:デカドロンほか)は強力な鎮痛薬であり、かつ制吐薬である。人工膝関節置換術(TKA)後のデキサメタゾン投与の利点は不明であったが、韓国・カトリック大学校議政府聖母病院のIn Jun Koh氏らは無作為化試験にて、ラモセトロン(同:ナゼアほか)単独投与に比べ、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与のほうが、創傷合併症のリスクが増加することなく術後嘔吐および疼痛が減少することを明らかにした。Clinical Orthopaedics and Related Research誌オンライン版2013年5月4日号の掲載報告。 本研究の目的は、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与がラモセトロン単独投与と比較して、術後悪心・嘔吐(PONV)ならびに術後疼痛を減少させ、TKA後の創傷合併症のリスクを増加させるかどうかを評価することであった。 TKA施行予定患者269例を、手術1時間前にデキサメタゾン10mgを投与し手術直後にラモセトロンを投与する群(Dexa-Ra群、135例)と、ラモセトロン単独投与群(Ra群、134例)に無作為化し、術後0~6時間、6~24時間、24~48時間および48~72時間におけるPONV発生率、悪心の重症度、制吐薬の要求頻度、完全抑制率、疼痛の程度およびオピオイド使用量を調べた。  また、術後少なくとも1年以内に、創傷合併症および人工関節術後感染について評価した。 主な結果は以下のとおり。・Dexa-Ra群では、術後72時間までのPONV発生率が低かった。また、術後0~6時間における悪心の重症度が低かったが、6~72時間においてはそうではなかった。・概して制吐薬のレスキュー使用は少なく、完全抑制率はDexa-Ra群で高かった。・Dexa-Ra群は疼痛の程度が低く、術後6~24時間および全期間を通してオピオイド使用量が少なかった。・両群間で創傷合併症の頻度に差はなかった。人工関節周囲感染症は各群1例ずつにみられた。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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特集 糖尿病 エキスパートへ質問!

一般内科の医師が、専門の医師に質問をぶつける人気コーナー。今回は「糖尿病」の中でも「インクレチン関連薬」にフォーカスを絞り、回答をいただきました。日常診療で使えるヒントをお届けします!!インクレチン関連薬とインスリンや他の経口血糖降下薬との併用の適応とその効果について、教えてください。インクレチン関連薬と他の経口血糖降下薬との併用適応に関しては、順次追加されており、一覧表のようになっています。また、GLP-1受容体作動薬に関してはリラグルチドが、SU薬との併用が可能であり、エキセナチドに関してはSU薬、メトホルミンとの併用が可能です。効果に関して血糖値に限って言えば、通常は血糖上昇にインスリン分泌を上昇、グルカゴンを低下させます。反対に、血糖値が低下すると、インスリンの分泌を低下させ、グルカゴンを上昇させます。そのため、低血糖発作の出現が抑えられるといわれています。しかしながら、高容量のSU薬との併用により、重篤な低血糖も報告されているため、注意が必要です。併用できる他の糖尿病治療薬の一覧画像を拡大するインクレチン関連薬を含む多剤との併用時の減量の順序や注意すべきポイントについて、教えてください。決まったアルゴリズムなどはないと思います。おそらくはSU薬が中~高容量でそれなりに投与されており、α-GIやメトホルミンが投与されている状況下で、何とか血糖コントロールがされている状況、例えばHbA1c 9%以上という血糖コントロール不良な状態と想定します。まず、SU薬に関しまして、併用により低血糖の頻度が増すとのことから日本糖尿病学会の勧告にしたがい減量を行います。それでも低血糖を起こすようであれば、更にSU薬を減量する必要があると考えます。純然たる薬効だけから考えればα-GIやメトホルミンは、インクレチン関連薬の作用に似た効果も得られるため、残しておきたいところです。しかしながら、年齢や腎機能、肝機能、消化器症状などを診てから減量を検討するのが、実際のところと考えます。インクレチン関連薬を使用するタイミングについて、発症すぐがよいのか、あるいはインスリン導入ぎりぎりまで待った方がよいのか、教えてください。これは難しいところです。あくまでもその患者の病態次第と考えます。年齢や肥満の程度、インスリン分泌能やインスリン抵抗性の程度を評価します。インクレチン関連薬には、多面的作用もあり、禁忌事項がなければ使用可能なわけですが、私の場合はあえてfirst choiceでは投与しません。費用対効果を考えてもメトホルミンやグリニドの投与を先に行い、それでも不十分であれば投与することが多いです。また、基本的にインスリン導入ぎりぎりまで待つ必要はないと考えます。大事なことは、あくまでも膵臓の負荷をとり、少しでも良好な血糖コントロールを得るために薬剤を投与することです。インスリン導入を遅らせるためにインクレチン関連薬を投与するのは、あまりお勧めできません。インクレチン関連薬使用前に、その有効性をある程度予想することはできるでしょうか?今まで投与可能であった他の経口血糖降下薬に関しては、ある程度予想が立ちました。患者の病態を把握し、インスリン抵抗性が首座なのか、インスリン分泌不全が主体なのかを考え、河盛 隆造 氏(順天堂大学大学院文科省事業スポートロジーセンター)が話されるように、「食後に肝臓に流れ込む門脈血中の糖、インスリンの割合を予想し、薬剤を投与する」を念頭に、私は処方してきました。今もその考え方には変わりありません。しかしながら、インクレチン関連薬に関しては、実際の臨床での使用経験が浅いこと、また、単に膵臓を刺激し、インスリンの分泌を促すだけではない作用が報告されていることもあり、予想とは乖離することがしばしばあります。どの薬剤も同様ですが、とくにインクレチン関連薬に関しては、投与してみないとわからない部分が大きいと思います。ご参考までに当院において新規にシタグリプチンが投与された2型糖尿病患者83例のデータをお示しいたします。●対象:当院通院中の2型糖尿病患者83例(インスリン投与: 36、インスリン非投与: 47)●評価項目:シタグリプチン投与前3ヵ月と投与後3ヵ月のHbA1cの推移、体重の推移を観察した●結果:有効例では、投与開始1ヵ月後より、HbA1cの低下が認められた有効例では、インスリン投与、非投与に関わらず有効で平均0.7%のHbA1cの低下が認められた有効例ではBMIの変化は乏しく、無効例ではBMIが上昇していた有効例では、開始前HbA1cが高いほどHbA1cの低下幅が大きかったとなりました。

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加齢黄斑変性に対するルテイン+ゼアキサンチン、オメガ3脂肪酸の効果は?/JAMA

 米国NIHのEmily Y. ChewらAge-Related Eye Disease Study(AREDS)2の研究グループは、経口サプリメント(抗酸化ビタミンCとE、βカロチンと亜鉛を含む:AREDS製剤)に加えて、ルテイン+ゼアキサンチン(カロチノイド)、ω-3長鎖不飽和脂肪酸(ドコサヘキサエン酸[DHA]+エイコサペンタエン酸[EPA])、あるいは両方を加えることで、加齢黄斑変性(AMD)の発症リスクがさらに低下するのか無作為化試験を行った。先行研究において、AREDS製剤の連日服用により、5年で25%、AMD発症リスクを抑制したことが示されていた。一方、観察研究のデータで、ルテイン+ゼアキサンチン、DHA+EPA、またはその両方を増強した食事の摂取と、AMD発症リスク低下との関連が示されており、これらをAREDS製剤に加えることの効果が検討された。JAMA誌2013年5月15日号(オンライン版2013年5月5日号)掲載の報告より。50~85歳の4,203例を対象に無作為化試験 研究グループは、(1)AREDS製剤単独と比べて、ルテイン+ゼアキサンチン、DHA+EPAをそれぞれ、または両方を加えることで、AMDの発症リスクがさらに低下するのか、さらに(2)AREDS製剤からβカロチンを除いた場合あるいは亜鉛量を低下した場合、またはその両方を行った場合の効果を調べること、を目的とし、第3相の2×2多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。 2006~2012年にかけて、50~85歳の、両眼に大型のドルーゼンがみられる、あるいは単眼に大型のドルーゼンがみられ他眼に進行期のAMDがみられる、進行期のAMDとなるリスクを有した4,203例を登録した。 被験者は、ルテイン(10mg)+ゼアキサンチン(2mg)、DHA(350mg)+EPA(650mg)、ルテイン+ゼアキサンチンとDHA+EPA、またはプラセボを投与されるよう無作為化された。さらに全員にAREDS製剤を受けたかについて質問し、βカロチン除去と低亜鉛のいずれかまたは両方を含めたAREDS製剤の4つの選択肢を含めた2回目の無作為化を行った。 主要評価項目は、単眼ごとのAMDの進行とした。各成分とも進行期のAMDへの進展を抑制せず 追跡期間中央値5年の間に、進行期AMDへの進展(AMD発症)は1,940眼(1,608例)で認められた。5年間でAMD発症が認められた割合(Kaplan-Meier分析による)は、プラセボ群31%(493眼・406例)、ルテイン+ゼアキサンチン群29%(468眼・399例)、DHA+EPA群31%(507眼・416例)、ルテイン+ゼアキサンチン+DHA+EPA群30%(472眼・387例)だった。 主要解析でのプラセボとの比較において、AMD発症が統計学的に有意に減少したことは実証されなかった(ルテイン+ゼアキサンチンのハザード比[HR]:0.90、p=0.12/DHA+EPAのHR:0.97、p=0.70、ルテイン+ゼアキサンチン+DHA+EPAのHR:0.89、p=0.10)。 AMD発症について、βカロチン除去または低亜鉛の効果も明らかにならなかった。 しかし、主に元喫煙者における肺がんの頻度が、βカロチン摂取群がβカロチン非摂取と比べて多かった[23(2.0%)対11(0.9%)、名目上のp=0.04]ことが示されたことが注目された。 これらの結果から研究グループは、「主要な解析において、AREDS製剤に対して、ルテイン+ゼアキサンチン、DHA+EPAまたはその両方の追加摂取が、進行期のAMD発症リスクをさらに抑制することはなかった」と結論。そのうえで、「元喫煙者は肺がんの潜在的発病率が高いことから、カロチンのリスクを考慮すると、代替としてルテイン+ゼアキサンチンをAREDS製剤に含めるべきか、さらに研究する必要がある」とまとめている。

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末梢挿入型中心静脈カテーテルは他のCVCと比べて深部静脈血栓症リスクが高い/Lancet

 末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)は、他の中心静脈カテーテル(CVC)と比べて、深部静脈血栓症のリスクが高いことが明らかにされた。とくに、重篤患者やがん患者でリスクが高かった。米国・ミシガン大学ヘルスシステムのVineet Chopra氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析による結果で、これまでPICCと静脈血栓塞栓症リスク増大との関連は知られていたが、他のCVCと比べてどれほどのリスクがあるのかは明らかにされていなかった。結果を踏まえて著者は、「PICCを用いるかどうかの判断は、デバイスがもたらすベネフィットと血栓症のリスクを十分に推し量って検討すべきである」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年5月20日号掲載の報告より。システマティックレビューおよびメタ解析でPICCとその他CVCのリスクを比較 研究グループは、静脈血栓塞栓症のリスクについて、PICCとその他CVCとの関連を比較するシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。 Medline、Embase、Biosis、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Conference Papers IndexおよびScopusなど複数のデータベースにて文献検索を行い、手動による参考文献とインターネット探索も行った。また、未公表データについて論文執筆者と連絡をとり入手した。 適格とした試験は、全文、アブストラクトあるいはポスター形式で発表されたすべてのヒト対象試験で、18歳以上成人がPICCを受けていたすべての試験とした。比較群のない試験に関しては、PICCを受けた患者における静脈血栓塞栓症のプール発生頻度を算出した。PICCとその他のCVCを比較した試験については、ランダムエフェクトメタ解析にてサマリーのオッズ比[OR]を算出した。PICCのオッズ比は2.55、肺塞栓症イベントはみられず 文献533件のうち、64試験(比較群あり12試験、なし52試験)・2万9,503例が適格条件を満たし解析に組み込まれた。 無比較群試験において、PICC関連の深部静脈血栓症の頻度は、重篤な疾患患者で最も高く(13.91%、95%信頼区間[CI]:7.68~20.14)、がん患者でも高かった(6.67%、同:4.69~8.64)。 11試験のメタ解析の結果、PICC関連の深部静脈血栓症リスクは、その他CVC関連と比べて有意に高かった(OR:2.55、95%CI:1.54~4.23、p<0.0001)。しかし、肺塞栓症リスクの増大はみられなかった(イベント発生なし)。 ベースラインでのPICC関連の深部静脈血栓症率2.7%とプールOR 2.55から求めた、CVCと比較した有害事象発生に必要な処置数(NNH)は26(95%CI:13~71)であった。■「深部静脈血栓症」関連記事下肢静脈瘤で深部静脈血栓症のリスク約5倍/JAMA

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アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度?

 双極I型障害(BPD)患者は多くの場合太りすぎか肥満であり、メタボリックシンドロームを合併している可能性が高い。いくつかのBPD治療薬では、体重増加や代謝パラメータの悪化が認められる。米国・ケースウエスタンリザーブ大学のDavid E. Kemp氏らは、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)と気分安定薬を併用した際のメタボリックシンドロームの発生率および代謝パラメーターの変化を調べた。Journal of affective disorders誌2013年5月15日号の報告。 BPD患者を対象とした52週間の長期試験における、アリピプラゾールと気分安定薬を併用した2つの有効性試験(リチウム/バルプロ酸試験、ラモトリギン試験)より代謝データを分析した。体重の変化、個々の代謝パラメーター、メタボリックシンドロームの発生率を評価した。 主な結果は以下のとおり。・リチウム/バルプロ酸試験では、両群ともに52週後のわずかな体重増加が認められた(リチウム/バルプロ酸単独群:1.7±0.8kg、アリピプラゾール併用群:1.6±0.7kg)。両群間に有意差はみられなかった。・ラモトリギン試験における52週後の体重増加は、ラモトリギン単独群で-2.2±1.0kg、アリピプラゾール併用群で0.4±1.0kgであった(ラモトリギン試験の試験完了率は低かった)。・両試験の結果において、アリピプラゾール併用群はベースラインと比較し、52週後のメタボリックシンドロームの発生率を増加させなかった。・個々の代謝パラメーターのベースラインからの変化量(中央値)においても、アリピプラゾール併用群は気分安定薬単独群と類似していた。・アリピプラゾールと気分安定薬の併用は、主に体重増加や肥満のBPD患者における代謝の変化への影響を最小限に抑えた。両試験の結果から、アリピプラゾールを併用することによるわずかな体重増加が、代謝パラメーターやメタボリックシンドロームの発症に及ぼす影響は小さいと考えられる。関連医療ニュース 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤 双極性障害患者の長期健康状態の独立予測因子は肥満! 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証

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皮膚科診療での医療ミス、最も多いのは?

 米国・マサチューセッツ総合病院のAlice J. Watson氏らは、患者の安全に立脚した分類システムの開発を目的に、皮膚科診療において医師が報告した医療ミスを集め分類を行った。150人から回答が得られ、直近のミスのうち85%が1年以内に発生していたこと、安全性のイニシアチブに必要な患者ケアにおけるキー(生検手順、薬物マネジメント、手術部位誤りの防止)が明らかになったことを報告した。著者らによれば、皮膚科診療における医療ミスの性質や領域についての研究は、本報告が初めてだという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年5月号(オンライン版2013年1月27日号)の掲載報告。 研究グループは、直近および最も重大な医療ミスを検証するサーベイ票を開発し、米国の皮膚科学会に参加した皮膚科医に配布した。 150人から回答を得られ、直近ミス152件、最重大ミス130件が示された。 得られたサーベイの回答を他科専門医のための分類システムとともに、皮膚科の医療ミス分類システム開発のために活用した。 主な結果は以下のとおり。・回答者の人口統計学的背景は、専門性を反映したものであった。すなわち63%が男性で、50歳以上が60%、60%が個人開業医あるいは民間グループ診療に属していた。・直近のミスのうち、85%は1年以内の発生であった。86%は、患者に危害(harm)を与えるものとはならなかった。・最も多かった医療ミスのカテゴリーは、「評価(assessment)」(直近41%、最重大31%)と、「介入(intervention)」(直近44%、最重大52%)であった。・評価のミスは、主に検査(investigation)と関連していて、概して多かったのは生検の進め方であった。・介入のミスは、「薬物療法関連」(直近54%、最重大27%)、「処置関連」(直近46%、最重大73%)に二分した。・注目すべきは、誤った部位への手術が、直近群で5件、最重大群で21件あったことである。・本所見については、回答が得られた範囲内のもので、思い出しバイアスを受けたものであり、本分類システムに限定されたものである。重要な第一歩ではあるが完全なものではない。

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統合失調症、デポ剤と抗精神病薬併用による効果はどの程度?

 統合失調症治療の主な目標は、機能の向上である。しかし、第一世代抗精神病薬と第二世代抗精神病薬、あるいはデポ剤/持効性注射薬(D/LAI)とD/LAI+経口抗精神病薬との有効性の相違については明らかとなっていない。スペイン・Canary Health ServiceのFrancisco J. Acosta氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の種類およびレジメンによる有効性の相違を検討した。その結果、第一世代抗精神病薬と第二世代抗精神病薬の間に相違はなく、D/LAIの抗精神病薬は経口抗精神病薬と併用せずに単独で使用するほうが統合失調症患者の機能向上に好ましいことを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年5月15日号の掲載報告。  本研究の目的は、種類の異なる抗精神病薬またはレジメンの、統合失調症患者の機能に対する有効性の相違を評価することである。対象は、前年の治療アドヒアランスが良好であり、経口抗精神病薬を併用または非併用のもとD/LAIの抗精神病薬による治療を受けている、統合失調症の外来患者85例。患者を、抗精神病薬の種類(第一世代vs. 第二世代)または経口抗精神病薬の併用の有無により群別し、社会人口統計学的特性、臨床的特性、治療関連、全体的重症度および機能について評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体的な機能において、第一世代抗精神病薬と第二世代抗精神病薬の間で相違は認められなかった。・リスペリドンLAI単独治療の患者は、リスペリドンLAIに第二世代経口抗精神病薬を併用している患者に比べ、全体機能、日常の社会活動における状態、個人と社会との関係が良好であった。・より良好な機能には、高学歴、統合失調症のパラノイドタイプ、ニコチンの有害な使用(harmful use)、経口薬のアドヒアランス、併用薬の経口抗コリン薬または精神薬理的学治療の欠如も関連していた。・以上から、より良好な機能を得るには、D/LAI抗精神病薬は可能な限り単独で使用すべきことが示唆された。また、これにより治療スケジュールもシンプルになるはずである。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は? 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤 どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与

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そのひと手間は必要か?ICD 留置の際の心房リードについて-米国ナショナルレジストリからの報告(コメンテーター:香坂 俊 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(102)より-

米国のナショナルデータベースである、NCDRからの解析である。こうした大規模レジストリからの研究もだいぶトップジャーナルに認知されるようになってきた。これは単に登録された数が大きくなってきたという「ハッタリ効果」1)だけではなく、解析手法が洗練されてきたことと、前向き試験だけではカバーできる患者さんが限られてくるといった、臨床研究全般に関する理解の進捗によるものと考えられる。 さて、今回の解析はICDに関して従来のSingle-Chamberタイプ(心室のみにリードを留置する)のものと、Dual-Chamberタイプ(心房と心室両方にリードを留置する)のものとを比較している。 結果は、長期的な予後(1年後の死亡率)に差はなかったものの、in-hospital(院内)での手技そのものに関連した合併症の発症率が、残念ながらDualの方が高かったというものであった。ICDは目的からしてSingle-Chamberであれば事足りるのであるが、Singleよりも若干手間のかかるDualは「労多くして実り少なし」ということなのであろうか?論文に書かれているとおり、Dualの方が得られる情報量も多いし、「適切」な除細動2)に貢献できるものと予想されていた。 そのDual-Chamber ICDの合併症の内実をみてみると、その多くは1回目の留置手術を終えた後に、もう一度システム変更のために再度手術を行わなくてはならないケースが多数を占めていた。筆者は最後にペースメーカーの留置術を行なってから5年以上経ってしまっているので、そのあたりの感触を現役のElectrophisiologist3)に聞いてみたところ、「System Revisionのためのリオペは術者の腕によって非常に差がつくところなので、この論文を読み、さらに自分の施設の成績と照らし合わせてSingleかDualかは決める必要があると思う」との意見をいただいた。 また、コストや医師の勤務時間、そして手術室の稼働時間などを細かく管理する米国と、わが国とでは、この試験の受け止め方は若干異なるように思われる。 いずれにせよ、こうした大規模レジストリデータの集積からの発信はわが国からも行うべきと思うが(日本人はこうしたデータを集めることは得意と思う)、循環器領域全般における今後の課題であろう。1) 正式には統計的なパワーstatistical powerが十分であり、βエラーを起こす確率が10から20%以下となることを指すのだが、筆者はしばしば「数による暴力」とか「ハッタリ効果」とか呼んでいる。2) ICDを留置した場合、おおよそ30%の患者さんが誤作動を経験する。これはICD留置前のムンテラに必ず含めなくてはならない情報でもある。3) T先生。拙著「もしも心電図が小学校の必修科目だったら」(医学書院)にも登場。ちなみに、わが国での小学校の科目は義務教育であるため、「すべて必修だ」というツッコミを多数の方からいただいた。

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ピロリ除菌療法とABC検診への見解に対し、日本胃がん予知・診断・治療研究機構がコメント

 NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構は18日、日本消化器がん検診学会が平成25年4月に出した「ヘリコバクターピロリ除菌療法に関する理事会声明」の中で示したヘリコバクターピロリ除菌療法、ABC検診への見解について、同機構の理事会が考えを発表した。 同機構理事会の見解については以下にて参照できる。日本消化器がん検診学会「ヘリコバクター・ピロリ除菌療法に関する理事会声明」を受けて

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精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

 最近の精神疾患患者は、自身の疾患に関して情報過多の状況にある。しかしながら、精神疾患患者が知りたいと思う内容に関する系統的研究はほとんど行われていなかった。英国・ロンドン大学のClaudia Hallett氏らは、統合失調症および気分障害患者が自身の疾患に関して知りたいと思っている内容、情報収集の手段に関するインタビュー調査を行った。その結果、知りたい内容の第1位は「疾患の原因」であり、精神科医と1対1の対話の中で情報を得たいと思っている実態を明らかにした。Psychiatric Services誌オンライン版2013年5月15日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症および気分障害の外来患者に、彼らが疾患について知りたいと思っている内容、およびどのようにして情報を得たいのかについて質問を行い、認識のギャップを調べた。2011年4月~2012年6月に、英国のイーストロンドン全域にある外来クリニックの精神疾患患者202例を対象に、探索的サーベイを実施した。対象者の内訳は、統合失調症または関連する障害(ICD-10コード:F20-F29)が106例、気分障害(同:F30-F39)が96例であった。通常の診察の後に、自由回答式と選択回答式の質問によるインタビューを実施し、自由回答式の質問は定性的に、選択回答式の質問は定量的に解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・3分の2を超える精神疾患外来患者(68%)が、疾患についてさらに学びたいと回答した。・学びたい内容は多様であったが、必要とする情報の第1位は「疾患の原因」であった。・大半の患者(統合失調症患者の92%、気分障害患者の84%)が精神科医と1対1の対話の中で情報を得たいと思っていた。・以上の結果を踏まえて著者は、「疾患に関する患者教育に万能なアプローチはない。医療従事者は各患者の学習の嗜好に敏感でいる必要がある。嗜好はさまざまなで、グループによるアプローチが必要になることもある。精神科医にはトレーニングが求められ、とくに患者が抱いている“疾患の原因に関する疑問”に対する回答を準備しておく必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症・双極性障害患者は「痛み」を抱えている 双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには? 統合失調症に「サッカー療法」その効果は?

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テリパラチド+デノスマブ、骨折リスクの高い患者に有用である可能性/Lancet

 骨粗鬆症治療薬のテリパラチド(商品名:テリボン、フォルテオ)とデノスマブ(同:プラリア)について、併用して用いると、それぞれを単独かつ承認最大用量で用いた場合よりも骨密度が有意に増大することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJoy N Tsai氏らによる、閉経後骨粗鬆症患者を対象としたオープンラベル無作為化試験の結果で、「併用療法は骨折リスクの高い患者に対する治療として有用である可能性がある」と報告した。ここ数十年で骨粗鬆症の治療薬は選択肢が拡大したが、骨粗鬆症が進行した患者の骨を完全に正常に回復することは困難で、また重症患者の治療オプションはなお課題とされている。これまでの併用療法による治療改善の検討は、大半が不成功に終わっていた。テリパラチドについてもビスホスホネートとの併用による治療の改善は示されなかった。Lancet誌オンライン版2013年5月15日号掲載の報告より。テリパラチド単独、デノスマブ単独、併用群を比較 研究グループは2009年9月~2011年1月に、45歳以上の閉経後骨粗鬆症女性を登録し、テリパラチド単独療法(20μg/日)とデノスマブ単独療法(60mgを6ヵ月毎)の各単独療法と、併用療法(両方を投与)を比較する無作為化試験を行った。被験者は、脊椎、股関節部または大腿骨頸部のTスコアが-2.5未満、またはTスコアが-2.0未満で骨密度(BMD)に対する独立リスク因子(50歳以後の骨折歴、喫煙など)が1つ以上ある、またはTスコアが-1.0未満で脆弱性骨折歴ありを適格条件とする骨折リスクが高い患者であった。 0、3、6、12ヵ月時点でBMDを測定し評価した。評価は修正intention-to-treat解析にて、ベースライン後1回以上BMDを測定した被験者を組み込んで行われた。同条件を満たした適格患者は100例のうち94例(94%)であった。腰椎、大腿骨頸部、股関節のBMDいずれも併用群が各単独群よりも有意に増大 12ヵ月時点で、後方-前方腰椎BMDは3治療群とも有意に増大したが、併用群が9.1%(SD 3.9)と、テリパラチド単独群6.2%(同4.6)、デノスマブ単独群5.5%(同3.3)よりも有意に増大した(p=0.0139、p=0.0005)。 大腿骨頸部BMDも同様の結果が示され、併用群(4.2%、SD 3.0)がテリパラチド単独群(0.8%、SD 4.1、p=0.0007)、デノスマブ単独群(2.1%、SD 3.8、p=0.0238)よりも有意に増大した。股関節総BMDも同様の結果が示された[併用群4.9%(SD 2.9)、テリパラチド単独群0.7%(SD 2.7、p<0.0001)、デノスマブ単独群2.5%(SD 2.6、p=0.0011)]。

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