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喫煙や肥満は膀胱がん再発の危険因子

 膀胱がんは再発が多く、再発率を減少させるために危険因子を特定することが必要である。米国ダートマス大学のAsaf Wyszynski氏らが、膀胱がん患者の喫煙習慣とBMI、長期予後を調査した結果、とくに喫煙者においては肥満が膀胱がん再発の危険因子であることが示唆された。Cancer誌オンライン版2013年10月10日号に掲載。 米国ニューハンプシャー州の膀胱がん患者726例の人口ベースの研究において、喫煙習慣およびBMIについて、膀胱がんの再発との関連性を調べるために診断時に調査し、筋層非浸潤性尿路上皮がんと診断された患者の長期予後を追跡した。再発までの期間は多変量Cox回帰モデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・喫煙者は再発までの期間が短かった(喫煙継続者のハザード比[HR]=1.51、95%信頼区間[CI]:1.08~2.13)。・診断時の過体重(BMI>24.9kg/m2)は強力な独立因子ではなかった(HR=1.33、95%CI:0.94~1.89)。しかし、喫煙継続者の場合、過体重者は正常体重者に比べて再発リスクが2倍以上と高かった(HR=2.67、95%CI:1.14~6.28)。

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アルコール依存症に介入療法は有効か?/JAMA

 アルコールおよび薬物依存症患者に対し、医療・福祉サービスを調整・包括して提供する慢性疾患ケア管理(chronic care management:CCM)の有効性について検討した結果、通常プライマリ・ケアによるサービス提供と比べて、12ヵ月時点の離脱率に有意差はみられなかったことが報告された。米国・ボストン医療センターのRichard Saitz氏らが、無作為化試験「AHEAD」を行い報告した。依存症患者は、健康問題を抱え高度な医療を受けていたり、併存症を有している頻度が高いが、多くの場合、質の低い治療を受けているとされる。CCMは、同患者への治療およびアウトカムを改善するアプローチとして提唱された。JAMA誌2013年9月18日号掲載の報告より。563例をCCM群と通常プライマリ・ケア群に無作為化 AHEAD(Addiction Health Evaluation and Disease Management)試験は、ボストンの病院ベースのプライマリ・ケア診療所で、AHEADクリニックを設定して行われた。被験者は、2006年9月~2008年9月の間に、独立した宿泊設備がある依存症治療ユニットおよび都市部にある教育病院、募集広告によって集められた。2,731例がスクリーニングに参加し、563例が無作為化を受けてCCM群(282例)または非CCM(通常プライマリ・ケア、281例、対照)群に割り付けられた。 CCM群は、プライマリ・ケア医間の調整を図った横断的な治療、依存症克服のための動機付けの強化療法、再発予防カウンセリング、オンサイトでの併存症治療、依存症治療、精神科治療、社会福祉支援および照会などを含めた介入を受けた。 対照群は、プライマリ・ケアの面談を受け、カウンセリングを自ら手配するため電話番号を記した治療ソースのリストを受け取るという介入であった。 主要アウトカムは、オピオイド、興奮剤、大量飲酒について自己申告に基づく離脱状況であった。オピオイド、興奮剤、大量飲酒の12ヵ月時点の離脱率はCCM群44%、対照群42% 被験者563例のうち95%が、12ヵ月間の追跡調査を完了した。 同時点でオピオイド、興奮剤、大量飲酒について離脱を自己申告した割合は、CCM群44%、対照群42%で有意差はみられなかった(補正後オッズ比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.65~1.10、p=0.21)。 副次アウトカムとして評価した、依存症重症度、健康関連QOL、薬物問題についても有意差はみられなかった。 また、被験者をアルコール依存症群、薬物依存症群とサブグループで評価した場合においても、アルコール依存症群のCCMにより飲酒問題が減少したという有意な効果はみられなかった(12ヵ月時点の平均スコア:10対13、発生率比:0.85、95%CI:0.72~1.00、p=0.48)。 上記の結果について著者は、「アルコールおよびその他薬物依存症患者へのCCMは通常プライマリ・ケアと同等で、12ヵ月間の自己申告に基づく離脱率を増加しなかった。より強化した介入または長期の介入が有効かについてさらなる調査が必要である」とまとめている。

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救急部門での急性頭痛、クモ膜下出血除外の新ルール/JAMA

 神経障害のない急性頭痛症状の患者のクモ膜下出血の除外に、オタワSAH基準の感度がきわめて高いことが示された。カナダ・オタワ病院のJeffrey J. Perry氏らが行った、多施設共同コホート試験の結果で、JAMA誌2013年9月25日号で発表した。本検討は、先行研究で、クモ膜下出血の精査を必要とする患者を特定することについて示された3つの臨床決定ルール(それぞれ4つの指数が示されており1つ以上該当する場合は該当すると判定)が、急性頭痛患者でも効果があるのか、精度、信頼性、臨床許容性、ルール改良の可能性を検討することが目的であった。カナダ10ヵ所の救急部門で成人2,131例を対象に試験 研究グループは、2006年4月~2010年7月にかけて、カナダ10ヵ所の大学病院関連の三次医療救急部門を通じ、コホート試験を行った。被験者は、1時間以内に痛みのピークを迎えた頭痛があり、神経障害は認められない成人患者2,131例だった。 被験者の平均年齢は44.1歳、うち女性は60.5%だった。 クモ膜下出血の定義は、(1)CTでクモ膜下出血が認められる、(2)脳脊髄液の黄色化、(3)血管造影による陽性所見を伴う、脳脊髄液の最終チューブにおける赤血球のいずれかとした。オタワSAH基準により感度100%、特異度15.3% 被験者のうちクモ膜下出血を発症していたのは、132例(6.2%)だった。 クモ膜下出血に関する決定基準として、先行研究で示されている3つのルールのうちのルール1である「40歳以上」「首の痛みや硬直」「目撃者のいる意識消失あり」「労作時の発症」を採用した場合、クモ膜下出血に関する感度は98.5%(95%信頼区間:94.6~99.6)、特異度は27.5%(同:25.6~29.5)だった。 そこに、「雷鳴頭痛」(発症後、即座に痛みがピークに達する頭痛)と、「診察時の頸部屈曲制限」を加えたオタワSAH基準では、感度は100%(同:97.2~100.0)と高く、特異度は15.3%(同:13.8~16.9)だった。 著者は、「救急部門における急性頭痛症状の患者について、オタワSAH基準はクモ膜下出血を特定するのに非常に感度が高かった。今回の所見は特異的な臨床的特徴を有する患者においてのみ適用されている。ルーチンに適用する前に、さらなる実施研究が必要である」と結論している。

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青年期の外傷性脳損傷後3年時点で24.3%が持続痛

 青年期における外傷性脳損傷(TBI)後の持続痛の実態について調べた結果、受傷後3年の時点で24.3%が持続痛を有しており、長期の健康関連のQOL低下と関連していることなどが明らかにされた。米国・ワシントン大学のSee Wan Tham氏らによる報告で、同様の検討はこれまで行われていなかったという。Journal of Pain誌2013年10月号(オンライン版2013年8月2日号)の掲載報告。 TBIは小児の身体障害の主要な原因である。持続痛は重大な損傷後合併症と認識されているにもかかわらず、青年期の損傷後疼痛に関するデータは不足していた。そこで研究グループは、青年期におけるTBI後の持続痛の有病率を調べ、疼痛リスク因子を特定し、青年期疼痛の健康関連QOLへの影響について評価する初の調査を行った。 軽度~重度のTBIを経験した若者144例について、受傷後36ヵ月超追跡し、3、12、24、36ヵ月時の疼痛強度、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、健康関連QOLについて評価した。 主な結果は以下のとおり。・本検討は、若者のTBI後持続痛の有病率について長期にわたって追跡調査し、またその健康関連QOLへの影響について調べた初の調査である。・TBI後のすべての評価時点(3、12、24、36ヵ月)で持続痛(通常疼痛強度≧3/10と定義)を報告した若者は、24.3%であった。・36ヵ月時点で持続痛を有する予測因子は、女性(オッズ比:2.73、95%信頼区間:1.12~6.63)、受傷後3ヵ月時点での抑うつ症状が高値(同:1.26、1.12~1.43)であった。・混合線形モデルによる評価の結果、TBI後3ヵ月という早期の時点で痛みを有していることが、長期の不良な健康関連QOLと有意に関連していることが示された。・以上の結果から、TBIを有した若者について、タイムリーな評価、および疼痛の発現および影響を最小限とするための介入がベネフィットにつながることが示唆された。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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シスチン尿症〔cystinuria〕

1 疾患概要■ 定義シスチン尿症は、腎近位尿細管と小腸上皮における二塩基性アミノ酸のシスチン、リジン、オルニチン、アルギニンの先天性吸収障害で、常染色体劣性の遺伝性疾患である。■ 疫学発生頻度は、日本では1.6万人に1人1)、欧米諸国では0.1~1.7万人に1人であり、人種差がある。シスチン尿症は、全尿路結石の1~2%を占めるシスチン結石の原因疾患である。■ 病因前述の吸収障害のため、尿中に多量のシスチン、リジン、オルニチン、アルギニンが排泄され、尿中の濃度が上昇する。このなかでもとくに溶解度の低いシスチンが、結晶化し、結石を形成する。■ 症状シスチン尿症の臨床症状は尿路結石のみであり、症状は結石が形成されてから出現するため、結石に伴う肉眼的血尿や腰背部痛などが挙げられる。また、結石に伴う尿路感染症や腎不全を認めることもある。最初に結石が診断されるまでの平均年齢は12.2歳と比較的若年者である2)ことから、若年者の尿路結石を診察した場合は、シスチン結石を念頭に置く必要がある。■ 分類1966年以降、Rosenbergによってアミノ酸の排泄量や取り込み率で分類したタイプI~IIIが広く用いられている3)。I型は小腸上皮からのシスチン、リジン、オルニチン、アルギニンの吸収が完全に阻害されており、II型は小腸上皮でのシスチンの吸収はわずかに認められるが、リジン、アルギニンの吸収は認められない。III型は小腸上皮でのアミノ酸吸収がわずかに低下しており、アミノ酸負荷により血中シスチン濃度が上昇する。その後1999年にスペインのバルセロナ大学を中心にICC(International Cystinuria Consortium)が設立され、表に示すような遺伝子分類が提唱されている4)。画像を拡大する1)A型:第2染色体上にあるrBAT遺伝子の両アレルの変異(rBAT:2q 16.3のSLC3A1 geneで約78kDaの1回膜貫通型の蛋白質)2)B型:第19染色体上にあるBAT1遺伝子の両アレルの変異(BAT1:19q 13.1のSLC7A9 geneで約40kDaの12回膜貫通部位を持つ蛋白質)3)AB型:rBAT遺伝子とBAT1遺伝子の変異■ 予後シスチン尿症の発見が遅れたり、再発性難治性の経過をとった場合は腎不全を来すことがあり、約17%に腎機能障害を認めたという報告もある5)。そのため、シスチン結石の再発予防や薬物療法が重要な予後決定因子と考えられる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)シスチン尿症は、家族歴や既往歴を聴取し、尿pH測定で継続する酸性尿の存在や尿沈渣での正六角形(ベンゼン環)のシスチン結晶の存在、尿シスチン定性反応をみることが診断の第一歩となる。正常人の尿中シスチン排泄量は30mg/日程度であるが、同型遺伝子接合体では400~500mg/日となる。また、24時間尿中アミノ酸定量でシスチン以外のアミノ酸(リジン、オルニチン、アルギニン)の異常排泄の有無を確認して病型分類を行うが、その間冷所保存し、遮光が必要など注意を要する。画像診断では、X線で透過性がある結石として知られているが、淡い陰影として描出されることもある。CTはほぼ100%検出可能(図1)であり、CT値が700HU前後であればシスチン結石と考えられる。最終的には、排石された結石を成分分析に提出し、確定診断する必要がある(図2)。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)外科的治療、飲水指導、食事指導に加え、薬物治療も積極的に行う6)。■ 保存的治療シスチン結石は丸みを帯びていることからサイズの大きな結石も自然排石する傾向があるため、薬物療法と鎮痛薬や鎮痙薬の使用と飲水指導を先行する。薬物療法は尿のアルカリ化を目的とした尿アルカリ化薬であるクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物(商品名:ウラリット)を使用する。ただし、過度のアルカリ化はリン酸カルシウム結石形成の危険因子となるため尿pHを7.0~7.5に調整することが望ましい。また、チオプロニン(同:チオラ)やペニシラミン(同:メタルカプターゼ)、カプトプリル(同:カプトリルほか)なども使用される。これらは尿中でシスチンと易溶性の複合体を形成し、シスチンの結晶化を抑制する。小児の場合は、副作用や内服のコンプライアンスが低いため、後述の飲水指導を中心とし、薬物投与を行わないことも少なくない。■ 外科的治療大きい結石やサンゴ状結石の場合は、外科的治療として体外衝撃波結石砕石術(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)や経尿道的尿管砕石術(transurethral ureterolithotripsy:TUL)も適応となりうる。ESWLの場合、シスチン結石は一般に硬く、複数回行っても砕石できない場合があるが、大まかに砕石できれば、薬物療法によって溶解が可能となる7)。■ 再発予防飲水は1日尿量が、2,500mL以上を維持できるように指導する。十分な飲水により尿量を増やし、尿中のシスチン濃度を飽和溶解度の250mg/L未満にすることが重要である。水分補給源としての清涼飲料水、甘味飲料水の摂取は避ける。食事は尿の酸性化を助長する食べ物(砂糖や動物性蛋白質)の制限は有効である。動物性蛋白質は、尿中クエン酸排泄を減少させるため、1.0g/kg/日、動物性/植物性蛋白質の比率を1にすることが理想である。4 今後の展望現在、シスチン尿症の責任遺伝子がrBAT/SLC3A1、BAT1/SLC7A9と判明し、さらなる解析が行われている。シスチン尿症の診断は、尿中のアミノ酸量の測定や排石された結石の成分分析にて行われ、治療は現段階では、結石ができてからの外科的治療や薬物療法のみである。今後は、遺伝子レベルでの早期発見や遺伝子治療による早期治療が期待される。5 主たる診療科泌尿器科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報The International Cystinuria Foundation(ICF)(英文サイト)(医療従事者向けの情報)1)Ito H, et al. J Urol. 1983; 129: 1012-1014.2)Akakura K, et al. Urol Int. 1998; 61: 86-89.3)Rosenberg LE, et al. J Clin Invest. 1966; 45: 365-371.4)Palacin M, et al. Physiology(Bethesda). 2005; 20: 112-124.5)Dello Strologo L, et al. J Am Soc Nephrol. 2002; 13: 2547-2553.6)日本泌尿器科学会、日本Endourology・ESWL学会、日本尿路結石症学会編.尿路結石症診療ガイドライン. 金原出版; 2002.7)長島政純ほか. 泌尿器科紀要. 2007; 53: 809-812.日本尿路結石症学会編. 尿路結石症のすべて. 医学書院; 2008.日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本尿路結石症学会編. 尿路結石症診療ガイドライン第2版. 金原出版; 2013.

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趣味は認知症の予防になるのか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第5回

趣味は認知症の予防になるのか?“健康マージャン”なんていう言葉があります。マージャンは頭を使うゲームなので、これを趣味にしていれば認知症を防げるかもしれないということだと思いますが、もちろんこれにはエビデンスはありません。私はマージャンが結構、・・・というか三度の飯より好きです。一度80歳の方と対局したことがあるのですが、鳴きどころをわきまえた緩急をつけた打ち筋で手強かったのを覚えています。・・・まぁそんな思い出話はいいとして。さて、読書の秋です。高齢者の多くは、退職後に読書の趣味を持つと言われています(Int J Aging Hum Dev. 1990;31:31-44.)。高齢の患者さんの中には難しい本を入院中に読んでいる方もおられますが、こういった読書などの趣味が認知症の発症リスクを下げることができるのか誰しも疑問に思ったことがあると思います。今回は退職した人の趣味が認知症の発症を抑えることができるのではないかと論じた報告をご紹介します。Hughes TF, et al. Engagement in reading and hobbies and risk of incident dementia: the MoVIES project.Am J Alzheimers Dis Other Demen. 2010 ;25:432-8.認知症のない942人の65歳以上の高齢者を対象にして、2年ごとに認知機能、患者背景、健康ステータス、投薬内容、医療サービス使用状況、ライフスタイルなどを調査した大規模な試験があります。当然ながら2年ごとに解析患者さんが減少していくわけですが、最終的な認知症のステータスとそれに影響をもたらした因子が検証されました。その結果、認知症を発症しなかった患者さんの特徴として、年齢が比較的若いこと、少なくとも高校卒業レベルの教育を受けていること、普段から運動をしっかりしているような元気な患者さんであることが挙げられました。また、認知症を発症しなかった患者さんは、読書、手芸、クロスワードパズルなどといった趣味を長期間にわたって継続していたことが明らかになりました(表)。画像を拡大するしかし年齢、性別など9つの因子で補正したCox比例ハザードモデルでは、新聞の購読はむしろ認知症発症のリスクであることが示唆され(ハザード比2.82、95%信頼区間1.14~7.18)、読書(ハザード比0.86、95%信頼区間0.54~1.37)、雑誌の講読(ハザード比0.98、95%信頼区間0.60~1.60)といった因子には有意差がみられませんでした。その代わり、手芸(ハザード比0.40、95%信頼区間0.23~0.68)、クロスワードパズル(ハザード比0.57、95%信頼区間0.34~0.97)は有意に認知症発症リスクを低下させました。なぜ新聞がリスクを上昇させるのか、十分な議論はされていませんでした。個人的な意見ですが、複雑な趣味が可能な認知機能に問題のない高齢者は、そもそも認知症を将来的に起こさない可能性が高いと思います。ほかにもいろいろな潜在的バイアスが示唆される内容ですが、こういう観点の論文は面白いですね。

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この抗血小板薬、中止してもよいですか?レジストリデータからみたリスクの可視化(コメンテーター:香坂 俊 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(137)より-

唐突ではあるが、みなさんは下記のようなコンサルトにどのようにお答えになるだろうか? 今度内視鏡を行うことになりました。先生の患者さんは以前PCIを行っており、アスピリンやプラビックスを服用されていますが、少しの期間休薬してもよろしいでしょうか?A 2剤休薬:これは仕方がない。内視鏡の先生にはたびたびお世話になっているし、こういうことは持ちつ持たれつ也。B 1剤休薬:たしか抗血小板薬は内視鏡ではとくに休止する必要がないはず。しかし、記憶が定かではない。まあ確かに2剤は多いので、プラビックスだけは休薬する也。C 休薬せず:この抗血小板薬二剤(Dual Antiplatelet Therapy; DAPT)を中止することで、どれだけこの患者さんが危険にさらされると思っているのか。言語道断とはこのこと也。 近くの医師数名に意見を求めたところ、Aが圧倒的多数の指示を得た。和をもって尊しとなす。なるほど、ここは日本である。 Cのような強硬な意見でもって循環器内科医が消化器内科医や外科医に対応すると、「貴様はわかっていない」という感情論になったり、「安全性が担保できないのでは、この手技は中止せざるを得ない」という悲観論になったり、たしかに面倒なことになることが多い。 こうした状況で今回のPARIS研究の結果は非常に参考になる。5,031名のPCI施行患者のうち2年間で57.3%が何らかの理由でDAPTの休止をおこなっている。内訳は患者側の事情(出血やコンプライアンスの問題等)が14%、医療者側の事情(手術等)が10%であった。双方とも中断によるMACE(心血管系イベント)のリスク上昇は1.5倍程度であり(1剤休止でも)、したがって上記のようなケースでもこの程度のリスクを覚悟し、DAPTを中止するか否かを選択する必要がある。 さらにPARIS研究では、ここから時間軸での個別解析を行っており、その内容は、とくにPCI施行後30日以内の期間で中止しなくてはならなかった患者群のMACEのリスクは高く、通常の2~7倍にも至るというものであった。この部分のデータのもつ意味は大きく、PCI施行後30日以内にDAPTを中止する、あるいは中止せざるを得ないようなイベントが起きるということは、非常に心血管系リスクが高くなることを意味している。 さて、このようにPARISは超急性期や急性期のDAPTの中止は「結果的に」非常なリスクの上昇をもたらすことを示したわけであるが、もう数点注意事項を付け加えなくてはならない。DAPTの効果は病変の複雑さ(単純な病変であればDAPTの期間は1年で良いとするデータは存在する1))や人種(アジア人で出血系の副作用は多い)にもよると考えられている。現実にはDAPTの中止は、このあたりを考えたうえで、現場での裁量ということになるであろう。

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自殺リスクが低い食事パターン~日本人での研究

 食事パターンはうつ病と関連するが、自殺リスクとの関連を調べた研究はまだない。JPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)グループの南里 明子氏らは、食事パターンと自殺による死亡との関連を前向きに調査し、British Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月10日号に報告した。本研究では、野菜、果物、いも類、大豆製品、キノコ類、海藻、魚介類の摂取量が多い食事が、自殺による死亡リスクの低下と関連している可能性が示唆された。 参加者は、JPHC研究の2次サーベイ(1995~1998年)に参加した男性4万752人および女性4万8,285人。食物摂取頻度調査票によって134種類の食品と飲料の消費量を確認し、主成分分析により食事パターンを調査した。追跡期間の4年目から2005年12月まで自殺のハザード比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・男女とも、野菜、果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海藻、魚介類の摂取量が高い“prudent”な食事パターンが、自殺リスクの低下と関連していた。・食事パターンスコアの4分位最高区分の最低区分に対する自殺の多変量補正ハザード比は0.46(95%CI:0.28~0.75、傾向のp=0.005)であった。・ほかの食事パターン(西洋化された食事と伝統的な日本食)は自殺リスクと関連していなかった。

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脳卒中介護者へのプログラムを入院中から導入してみると…/Lancet

 先行研究において、脳卒中後“退院”患者の身体的改善や、家族介護者の身体的負担の軽減ならびに不安やうつ病の減少効果が報告された、介護者への訓練プログラム(London Stroke Carers Training Course:LSCTC)について、同プログラムを入院中から行うこと(構造化訓練プログラム:TRACS)の費用対効果を検討した結果、通常ケアと変わらなかったことが明らかにされた。英国・ブラッドフォード教育病院NHS財団トラスト&リード大学のAnne Forster氏らが、クラスター無作為化比較試験および費用対効果分析の結果、報告したもので、「脳卒中直後は、構造化介護者訓練を提供する好機ではない可能性が示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。入院中からの構造化訓練プログラムの効果を検討 脳卒中既往患者の大半は、日常生活に関して主として家族であるインフォーマルな介護者に依存している。TRACS試験は、介護者への訓練プログラムLSCTCについて、脳卒中後機能障害を有する患者と介護者の身体的および精神的アウトカムを、費用対効果を含めて調べることが目的であった。試験は、脳卒中ユニットに介入を行うプラグマティックな多施設クラスター無作為対照試験で費用対効果の検討も併せて行われた。 試験適格とした脳卒中ユニットは、ユニット規定基準5つのうち4つを満たしており、ユニット患者の大半が脳卒中と診断されていること、スタッフがLSCTCを提供でき、患者の大半は退院後自宅に戻ることを要件とした。 主要アウトカムは、患者については、6ヵ月時点の日常生活動作について、Nottingham Extended Activities of Daily Living(NEADL)スケールで測定した自己申告評価とし、介護者については、介護者負担スケール(CBS)で測定した自己申告の負担であった。介入群と対照群で費用対効果も含めて有意な差はみられず 49の脳卒中ユニットについて試験適格性を評価し、36のユニットを介入群と対照群に無作為に割り付けた。 2008年2月27日~2010年2月9日の間に、928組の患者と介護者のペアが登録された。介入群は450組、対照群は478組だった。 日常生活動作の拡大を自己申告した患者は、6ヵ月時点において両群で差はなかった。補正後平均NEADLスコアは、介入群27.4、対照群27.6で、差は-0.2ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.0~2.5、p=0.866)であった。 介護者負担スケールも有意差はみられなかった。補正後平均CBSは、介入群45.5、対照群45.0で、差は0.5ポイント(95%CI:-1.7~2.7、p=0.660)であった。 患者と介護者のコストは、両群において同程度であった。初期脳卒中入院期間と関連コストは、介入群1万3,127ポンド、対照群1万2,471ポンドで、補正後平均差は1,243ポンド(95%CI:-1,533~4,019、p=0.380)。QALYに基づく費用対効果の可能性は低かった。

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抗血小板薬、喫煙者で効果大/BMJ

 抗血小板薬服用患者において、喫煙者と非喫煙者では、心血管イベントの予防効果が異なることが、システマティックレビューとメタ解析による間接比較の結果、明らかにされた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのJoshua J Gagne氏らが報告した。本検討は、急性冠症候群患者へのクロピドグレル(商品名:ブラピックス)+アスピリン治療が、主要複合アウトカム(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)のリスクを15%抑制したという無作為化試験の報告に端を発する。同報告のサブグループ解析から、リスク抑制の効果は喫煙者に限られるのではないかという疑問が持ち上がり話題となっていた。BMJ誌オンライン版2013年9月17日号掲載の報告より。クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロルの有効性を喫煙者vs. 非喫煙者で検討 本検討は喫煙状態が、心血管イベント予防に関する抗血小板薬の有効性と関連しているかどうかを評価することを目的とした。 Medline(1966年~)、Embase(1974年~)、主要な心臓病学会録、Cumulative Index to Nursing and Allied Health(CINAHL)、CAB Abstracts、Google Scholarのデータベースをソースとして文献検索を行った。適格とした試験は、クロピドグレル、プラスグレル(国内承認申請中)またはチカグレロル(国内未承認)について、喫煙者と非喫煙者間の臨床アウトカムを検討した無作為化試験であった。データの抽出(各試験の患者集団情報、治療法と用量、臨床アウトカムの定義、追跡期間、喫煙サブグループの定義および被験者数、推定効果、95%信頼区間[CI]など)は著者2名で行った。クロピドグレルの臨床効果、喫煙者25%に対し非喫煙者8% 適格となった無作為化試験は9本で、このうち6本がクロピドグレルについて評価していたものであった。内訳は、クロピドグレルvs.アスピリンの比較試験が1本、クロピドグレル+アスピリンvs.アスピリンが4本、クロピドグレルの倍量投与vs. 標準量投与が1本で、被験者数は計7万4,489例、そのうち喫煙者は2万1,717例(29%)であった。 これら試験の解析の結果、喫煙者においてクロピドグレルは、主要複合アウトカムを25%抑制したことが示された(相対リスク:0.75、95%CI:0.67~0.83)。一方、非喫煙者では、クロピドグレルの抑制効果は8%であった(同:0.92、0.87~0.98)。 また、残りの適格であった無作為化試験3本のうち、2本はプラスグレル+アスピリンvs. クロピドグレル+アスピリン、1本はチカグレロル+アスピリンvs. クロピドグレル+アスピリンを検討したものであった。 これら試験の解析の結果、喫煙者において、クロピドグレルと比較した相対リスクは、プラスグレルは0.71(95%CI:0.61~0.82)、チカグレロルは0.83(同:0.68~1.00)と、クロピドグレルよりもさらに抑制効果が大きいことが判明した。一方、非喫煙者では、それぞれの相対リスクは0.92(0.83~1.01)と0.89(0.79~1.00)であった。 結果を踏まえて著者は、「抗血小板薬の無作為化試験において報告されている、クロピドグレルの心血管死・心筋梗塞・脳卒中を抑制するという臨床的効果は、主として喫煙者に認められるもので、非喫煙者ではベネフィットは少しであることが認められた」と報告し、「抗血小板薬のリスクベネフィットについて、喫煙者と非喫煙者で異なることを考慮する必要があるかもしれない」と述べている。

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非定型病原体は慢性副鼻腔炎の原因となりうるか

 肺炎マイコプラズマや肺炎クラミジアといった非定型病原体は、慢性副鼻腔炎における鼻腔粘膜の持続的な感染を引き起こす原因とはいえなかったことがクロアチアのNenad Pandak氏らにより報告された。European Archives of Oto-Rhino-Laryngology誌オンライン版2013年10月6日の掲載報告。 慢性副鼻腔炎は少なくとも12週間続く、鼻や副鼻腔粘膜の症候性の炎症である。 非定型病原体である肺炎クラミジアや肺炎マイコプラズマは、人間の呼吸器感染症の重大な原因となっている。また、これらの病原体はCOPDや喘息を有する患者の気管支上皮でも検出されている。unified airwayの概念を念頭に置けば、これらの病原体は慢性副鼻腔炎を有する患者の鼻腔粘膜の持続的な感染を引き起こしうるとされている。 本研究は、薬物療法では難治のため、機能的内視鏡下副鼻腔手術(functional endoscopic sinus surgery: FESS)を受けた慢性副鼻腔炎患者60例を対象に行われた。手術中、副鼻腔を無菌の0.9%塩化ナトリウム溶液で洗浄後、すぐに吸引し、リアルタイムPCRを用いて、吸引液中の肺炎マイコプラズマや肺炎クラミジアの遺伝子を調べた。その結果、これらの遺伝子はサンプルから検出されなかった。

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慢性皮膚サルコイドーシスに4剤併用の抗マイコバクテリウム療法が有望

 慢性皮膚サルコイドーシスに対して、経口抗マイコバクテリウム薬併用(CLEAR)療法が病変を有意に退縮する可能性が示された。米国・ヴァンダービルト大学医学部のWonder P. Drake氏らによる無作為化単盲検プラセボ対照試験の結果で、退縮効果は臨床症状の改善とともに180日間の追跡期間中、認められたという。JAMA Dermatology誌2013年9月号の掲載報告。 サルコイドーシスは治療が限られた慢性の肉芽腫である。本試験は、抗マイコバクテリウム療法が、慢性病変の直径および重症度を低減するか否かを実証する初の無作為化プラセボ対照試験であった。 試験は、1日1回投与の抗マイコバクテリウム療法の有効性と安全性を評価することを目的とし、テネシー州ナッシュビルの第3次皮膚疾患治療センターにて、治療が必要とみなされた30例の患者を、介入群とプラセボ群に割り付けて行われた。 被験者に対し、レボフロキサシン(商品名:クラビットほか)、エタンブトール(同:エサンブトールほか、わが国では結核症にのみ承認)、アジスロマイシン(同:ジスロマック)、リファンピシン(同:リファジンほか、わが国では結核症・ハンセン病にのみ承認)の経口4剤併用(CLEAR)療法またはプラセボレジメンを8週間投与し、180日間追跡した。 主要評価項目は、病変直径の絶対変化または肉芽腫負荷の減少で、治療終了後にそれらが認められた場合にモニタリングを行い評価した。 主な結果は以下のとおり。・intention-to-treat解析において、病変直径が平均(SD)で、CLEAR投与群は-8.4(14.0)mm退縮した一方、プラセボ投与群は0.07(3.2)mm増加した(p=0.05)。・CLEAR投与群は肉芽腫負荷が有意に減少し、病変重症度についてプラセボ群の平均(SD)-0.6(2.1)mmの減少と比較して、-2.9(2.5)mmの減少を体感した(p=0.02)。・以上のように、抗マイコバクテリウム治療は、プラセボと比較して慢性の皮膚サルコイドーシス病変直径を有意に退縮する可能性があることが示された。・観察された退縮(臨床的に重要な症状改善を伴う)は、180日の追跡調査期間にわたってみられた。・サルコイドーシスCD4+ T細胞のトランスクリプトーム解析の結果、反応経路の反転と重症度の関連が示され、T細胞受容体の刺激後にT細胞機能が強化されることが明らかになった。

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女性にもDESの恩恵?ただ、実臨床では注意が必要(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(136)より-

虚血性心疾患における性差が注目されるようになったのは、米国でさまざまな施策により男性における死亡率が減少したにもかかわらず、女性においては増加したことによる。また、同じ治療をしても男性より女性の方で死亡率が高いことが明らかになり、その原因として閉経に伴うホルモンバランスの変化だけでなく、女性特有の要因があると考えられている。そのため、多くのランダム化比較試験や登録研究の結果でDrug Eluting Stent(DES)がBare Metal Stent(BMS)との比較で有用性が明らかにされても、対象の多くが男性であることから、女性での効果については疑問の残るところであった。 本論文では、これまでの26の臨床試験から4万3,904例を対象にして、その26.3%の1万1,557人の女性でのメタ解析を行った。女性でも第二世代のDESで、第一世代のDESやBMSに比較して心筋梗塞と死亡を減少させ、かつステント血栓症も減少させたことが明らかにされた。性差を超えて第二世代のDESの有効性と安全性が確かめられた。 ただ、臨床試験の対象となった女性と比して実臨床での女性は、さらに高齢であること、慢性腎臓病の頻度が高いこと、低体重であることなど、予後不良の因子が累積する症例が多いため、今後の詳細な分析が必要である。

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果物や野菜の摂取量と乳がんリスクの関連~日本人女性での前向き研究

 果物や野菜の乳がんリスクへの影響について、日本人での疫学データは少ない。東京保健医療大学の鈴木 礼子氏らは、日本人女性4万7,289人における果物や野菜の摂取量と乳がん罹患リスクの関連を評価した。その結果、果物・野菜全体の摂取量と乳がんリスクとの間に全体的な関連はないが、閉経前女性においてアブラナ科の野菜の摂取量が乳がんリスク低下と有意に関連していたことを報告した。Cancer Causes Control誌オンライン版2013年10月4日号に掲載。 本研究は人口ベースの前向きコホート研究で、食事評価は食物摂取頻度調査票を用いた。相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザード回帰モデルにより算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間10.2年の間に、452人が新たに乳がんと診断された。・女性全体および閉経後女性において、果物・野菜全体、アブラナ科の野菜、緑色葉野菜、黄色野菜、トマト加工品の摂取量について、乳がんリスクとの関連は認められなかった。・アブラナ科の野菜の摂取量は、閉経前女性の乳がんリスクの有意な減少と関連し(多変量RR Q4vs.Q1:0.64、95%CI:0.38~1.10、傾向のp=0.046)、エストロゲン受容体陽性およびプロゲステロン受容体陽性の乳がんとわずかな逆相関が認められた(100g増加あたりのRR=0.64、95%CI:0.41~1.00)。・女性全体および閉経前女性において、果物全体および柑橘類の摂取量と乳がんリスクには正の相関が認められた。しかし、果物におけるこれらの相関はビタミンC摂取量の調整により減少した。

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がん検査、不利益に関する情報は十分でない/BMJ

 がんのスクリーニングに関する臨床試験では、当該検査法の不利益について定量的な分析はほとんど行われておらず、十分な情報に基づく意思決定に支障が生じている実態が、デンマーク・コペンハーゲン大学のBruno Heleno氏らの検討で明らかとなった。健常人を対象とするため、がんのスクリーニングでは不利益に関する詳細な検討が求められる。しかし、臨床試験が不利益について定量的な評価をルーチンに行っているかは知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年9月16日号掲載の報告。7項目の不利益の報告状況を定量的に評価 研究グループは、がん検査による不利益を定量的に評価するために、関連文献の系統的なレビューを行った。対象は、発がん、がんによる死亡、全死因死亡の抑制を目的とするがん検査に関する無作為化試験[検査群と対照群(非検査またはほかの検査法)を比較]とした。 データの収集には4つの医療データベース(Cochrane Systematic Reviews、CENTRAL、Medline、Embase)を用いた。2名のレビュワーが別個に論文の適格性を評価し、がん検査の不利益に関するデータを抽出した。検査による不利益のアウトカムは、偽陽性、過剰診断、心理社会的な悪影響、身体的な合併症、侵襲的処置、全死因死亡、有害事象による中止の7項目とした。不利益の記述は「結果」の12% 7臓器(乳房、結腸、肝、肺、口腔、卵巣、前立腺)の腫瘍の10種の検査法に関する57試験について報告した198編の論文が解析の対象となった。このほか、当該試験に関連して検査群のみの報告を行った論文が44編あった。全体の参加者は341万9,036人だった。 57試験のうち、がん検査の偽陽性について報告しているのは2件(4%)のみであった。過剰診断は4件(7%)、心理社会的な悪影響は5件(9%)、身体的な合併症は11件(19%)、侵襲的処置は27件(47%)、全死因死亡は34件(60%)、有害事象による中止は1件(2%)だった。 検査群のみの報告を行った44論文を含めると、偽陽性の評価を行った試験は18件(32%)に増えたが、過剰診断については4件(7%)のままだった。 論文の「結果(results)」に占める不利益に関する記述の割合(中央値)は、12%(四分位範囲:2~19%)であった。 著者は、「がん検査に関する試験は、その不利益について定量的な分析をほとんど行っていない。がん検査の不利益として最も重要とされる過剰診断と偽陽性でさえ、それぞれ7%、4%に過ぎなかった」とまとめ、「十分な情報を得たうえでの意思決定には、非検査群を含め、不利益に関する適切なデータの報告が必要である」と指摘している。

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糖尿病患者へのプラクティスナースの電話指導は有効か?/BMJ

 2型糖尿病患者の血糖コントロールについて、通常プラリマリ・ケアとプラクティスナース(いわゆる“特定看護師”)による電話指導介入も行った場合とを比較した結果、アウトカムに有意な差はなかったことが、オーストラリア・メルボルン大学のIrene D Blackberry氏らにより行われたクラスター無作為化試験「PEACH」の結果、示された。訓練を受けた看護師による電話指導は、2型糖尿病の血糖や血圧、脂質を改善することが示されているが、実際の一般診療(GP)でのプラクティスナースによる効果については、これまで検討されていなかった。結果を踏まえて著者は「処方権のない看護師にゼネラリストの役割継続に加えて目標達成指導の役割を課しても、成果は得られないことが判明した」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。2型糖尿病患者へのプラクティスナースによる電話介入の効果を調査 オーストラリアでは、2型糖尿病患者の治療は大半がGPで行われているが、一方で慢性疾患負荷の増大、高齢患者の増加、そして臨床医不足に対応するため、雇用されているプラクティスナースのプライマリ・ケア習得に対して報酬が支払われているという。 研究グループは、2型糖尿病患者の血糖コントロール改善について、プラクティスナースによる目標達成に集中した電話指導の効果を評価することを目的としたPEACH(Patient Engagement And Coaching for Health)試験を実施した。試験はビクトリア州のGPを対象に、前向きに評価して行われた。試験には69施設が参加を承諾し、そのうち十分な患者を要した59施設が無作為化を受けた。 プラクティスナースは、電話指導プログラムについて2日間のトレーニングを受け、患者1人当たり8回の電話指導と1回の面談を実行した。 主要エンドポイントは、ベースライン時と18ヵ月時点とのHbA1cの変化の平均値で、介入群と対照群を比較した評価が行われた。追跡18ヵ月、血糖コントロールにおける効果に有意差みられず 評価は、試験適格条件を満たした2型糖尿病患者(過去12ヵ月のHbA1c値が7.5%以上)829例のうち、試験同意を得られた473例について行われた。被験者の内訳は介入群236例(30施設)、対照群237例(29施設)であった。 ベースライン時の介入群と対照群の患者特性は類似していた。また、試験期間中の脱落者はいなかったが、患者減少率は両群ともに5%だった(介入群11/236例、対照群11/237例)。 介入群236例が受けた指導セッションの平均回数は3回(四分位範囲:1~5)であった。また、同群患者の25%(58/236例)はセッションを一回も受けていなかった。 追跡18ヵ月の血糖コントロールにおける効果は、ベースライン時測定のHbA1c値とクラスターについて補正後、介入群と対照群で有意な差はみられなかった(平均差:0.02、95%信頼区間:-0.20~0.24、p=0.84)。そのほかの生化学的および臨床的アウトカムは、両群で同様だった。 著者は「リアルワールドにおけるプラクティスナースの電話指導は、血糖値、生化学的および臨床的アウトカムの改善において有効ではなかった。労働力における一般診療医と専門看護師のバランスや、処方権のある・なし看護師についてのさらなる研究が必要である。また、オーストラリアのプライマリ・ケアにおける患者アウトカムの適正化には、ケア提供システムの組織的な改革が必要なのかもしれない」とまとめている。

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