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大豆は乳がんの発症・再発リスクを低下させるか

 大豆やアカツメクサ(red clover)のイソフラボンについて、そのエストロゲン活性と乳がんへの効果について議論されている。カナダ自然医療医学大学のHeidi Fritz氏らは、大豆とアカツメクサにおける、乳がん女性の更年期症状の改善効果と、乳がん発症または再発のリスクにおける影響に関する体系的レビューを行った。その結果、大豆摂取が乳がん発症率・再発率・死亡率の低下と関連する可能性や、ヒトにおいては大豆がエストロゲン作用を持たないことが示唆された。PLoS One誌2013年11月28日号に掲載。 著者らは、乳がんおよび乳がんリスクのある患者における、大豆やアカツメクサのイソフラボンの安全性および有効性に関する介入試験や観察研究のデータについて、MEDLINE、Embase、コクランライブラリー、AMEDを最初から2013年3月まで検索した。4,179報のうち131報の論文(40の無作為化対照試験、11の非対照試験、80の観察研究)を組み込んだ。 主な結果は以下のとおり。・ほてりに対する大豆の効果が検討されている無作為化対照試験5報では、プラセボと比べ、有意な減少は示されなかった。・長期観測データに基づくと、乳がん発症や再発に関して大豆が有害であるというエビデンスは乏しかった。・日本の伝統的な食生活と一致する大豆摂取(毎日2~3serving、イソフラボン25~50mgを含む)は、乳がん発症および再発を防御するかもしれない。・ヒトにおける試験では、大豆が循環するエストラジオールを増やさない、もしくはエストロゲン標的組織に影響しないことを示している。・タモキシフェン服用中の女性における大豆摂取の前向き試験のデータでは、再発リスクの増加は示されなかった。・アカツメクサでのエビデンスは限られているが、既存の研究では乳がん促進作用を有さないことを示唆している。 著者らは、「有害性に関する明確なエビデンスはなく、高用量(100mg以上)のイソフラボンが乳がん患者に推奨される前に、安全性を確立するエビデンスが必要である」としている。

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手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では喘息の診断が不十分:日本人における検討

 副鼻腔の手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では、喘息の診断が不十分であり、とくに高齢者でその傾向が強いことが、理化学研究所統合生命医科学研究センター 呼吸器・アレルギー疾患研究チームの田中 翔太氏らにより報告された。Allergology International誌オンライン版2013年11月25日の掲載報告。 慢性副鼻腔炎は臨床的に鼻ポリープの有無により二分される。慢性副鼻腔炎は地理的要因による差異が大きく、多様性のある疾患である。鼻ポリープのある好酸球性の慢性副鼻腔炎は症状が重症化しやすく、喘息合併の頻度も高い。異なる民族集団における疫学的研究の進展により、慢性副鼻腔炎の病理生理学についての理解が深まってきた。そこで、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を受けた難治性の慢性副鼻腔炎患者の臨床的な特徴を報告する。 慢性副鼻腔炎の患者210例を集め、内視鏡検査、CTによるLund Mackayスコア、末梢血の好酸球増加、喫煙状況を調べた。ほかにも、喘息の合併や年齢、肺機能の影響について調べた。 主な結果は以下のとおり。・末梢血好酸球が増加していた患者において、鼻ポリープのない慢性副鼻腔炎患者の13%、鼻ポリープのある慢性副鼻腔炎患者の20%では、喘息と診断されていないにもかかわらず、閉塞性の肺機能障害(FEV1/FVC(一秒率)< 70%)が認められた。・過去に喘息と診断されたことがない60歳以上の非喫煙患者で、かつ末梢血の好酸球が増加していた鼻ポリープのある慢性副鼻腔炎患者の50%において、FEV1/FVCが 70%未満であった。 慢性副鼻腔炎と喘息の関連が明らかになったとはいえ、難治性の慢性副鼻腔炎の管理にあたり、今後もなお喘息のような閉塞性気道疾患の合併に十分注意していく必要がある。

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妊娠中の魚油サプリ摂取は、子のアレルギー発症を抑制するか

 オーストラリア・ウィメンズ & チルドレンズ病院のD. J. Palmer氏らは、妊娠中の魚油サプリメント摂取と出産児のアレルギー発症との関連を無作為化試験にて検討した。その結果、総じて、3歳までにIgE関連アレルギー疾患を有意に減少することは認められなかったことを報告した。n-3長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)の高摂取は、IgEアレルギー疾患の発症を和らげる可能性があり、アレルギー予防戦略として提案される可能性があったが、結果を踏まえて著者は、「今回の結果が、臨床および公衆衛生においてどれほど重要な意味をもつのか、さらに検討する必要がある」と提言している。Allergy誌2013年11月号(オンライン版2013年9月21日号)の掲載報告。 研究グループは、妊婦がn-3 LCPUFAサプリメントを摂取することで、出産児のIgEアレルギー疾患が減少するかどうかを検討した。 対象は無作為化比較試験Docosahexaenoic Acid to Optimise Mother Infant Outcomeの参加者で、アレルギー疾患の遺伝的リスクがあった小児706例を誕生後に追跡して評価した。 被験者(被験児の母親)のうち、介入群(368例)は妊娠21週から出産時まで魚油カプセルを摂取する群に割り付けられた。一方、対照群(338例)は、n-3 LCPUFAを含まない植物性油脂カプセルを摂取した。 アレルギー疾患の診断は、1、3歳時に医学的評価により行われた。 主な結果は以下のとおり。・3歳までにIgEアレルギー疾患を呈した患児の割合は、n-3 LCPUFA摂取群(64/368例・17.3%)と対照群(76/338例・22.6%)で有意差はみられなかった(補正後相対リスク:0.78、95%信頼区間[CI]:0.58~1.06、p=0.11)。・最も頻度の高いアレルギー疾患は湿疹であった。n-3 LCPUFA摂取群は13.8%で湿疹感作がみられ、対照群は19.0%で有意差はなかった(補正後相対リスク:0.75、95%CI:0.53~1.05、p=0.10)。

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不眠症と自殺は関連があるのか

 不眠症患者は自殺念慮や自殺企図のリスクが高いことが報告されている。イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学のM Pompili氏らは不眠と自殺関連の行動との関係を評価した。International journal of clinical practice誌オンライン版2013年12月号の報告。不眠症患者は自殺企図をより暴力的な方法を用いて行っていた 対象は、2010年1月から2011年12月までにサンタンドレア病院の救急部(ED)に入院した843例。ED入院患者に対し、精神科医による不眠症診断を実施し、関連因子の検討を行った。精神疾患簡易構造化面接法(MINI)に基づく面接と半構造化面接を行った。患者には継続的な自殺念慮や自殺計画について質問を行った。 不眠と自殺関連の行動との関係を評価した主な結果は以下のとおり。・対象患者のうち48%が双極性障害、大うつ病性障害、不安障害と診断された。また、17.1%は統合失調症または他の非情動性機能的精神病であった。・不眠症患者では、そうでない患者と比較して双極性障害(23.9% vs 12.4%)、大うつ病性障害(13.3% vs 9.5%、p<0.001)が多かった。・不眠症患者は、そうでない患者と比較して過去24時間における自殺企図の頻度がより少なかった(5.3% vs 9.5%、p<0.05)。・しかし、不眠症患者はより暴力的な方法を用いて自殺企図を行っていた(64.3% vs 23.6%、p<0.01)。関連医療ニュース パニック障害 + 境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は? 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 「抗てんかん薬による自殺リスク」どう対応すべきか?

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われわれはOPIMIZE試験の結果を日本の実臨床にオプティマイズできるか?(コメンテーター:中川 義久 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(161)より-

2013年10月末に米サンフランシスコで開催されたTCTで、OPIMIZE試験の結果が発表された。さらにJAMA誌にも結果が掲載された。このOPIMIZE試験は、ゾタロリムス溶出ステント(ZES)留置術後患者3,119例を対象として、留置後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の至適期間を検討することを目的とした臨床研究である。この至適期間の『至適』が本研究のOPIMIZEという名の意味するところと思われる。結果として、DAPT継続期間3ヵ月と12ヵ月の比較で、イベントリスクが増加することはなく3ヵ月の非劣性が示された。ステント血栓症のリスク増加もなかったという。 ここで日本の状況を考えてみよう。ステント血栓症への懸念からDES留置後1年以上のDAPTが高率に施行されている。日本の実地臨床において施行されたRESET試験では、90%の患者において1年以上のDAPTが施行されていた。DES留置後の重篤な心血管イベントの発症を抑制するという確証がないまま、漠然とした不安感に対して、1年以上にわたる長期のDAPTが継続されている可能性がある。DAPTを長期間継続することによる脳出血などの重篤な出血性合併症は、患者の不利益ともなる。本試験名の『OPIMIZE』という言葉の意味を辞書で調べると、『最高に活用する、できるだけ能率的に活用する』と記されている。この研究結果を、日本の実臨床の現場にオプティマイズする必要があろう。 もちろん、そのためには日本人でのエビデンスに基づくことが必要である。OPIMIZE試験の結果が発表されたTCT2013では、日本人での研究結果であるOPERA試験の結果も報告された。Endeavorステント留置後の1,200例を対象にDAPT継続期間3ヵ月と12ヵ月で比較し、3ヵ月の非劣性が示された。また、エベロリムス溶出性コバルトクロムステント留置後のDAPT継続期間を3ヵ月に短縮することの安全性を探索的に評価するSTOPDAPT試験が本邦において進行中である。平成25年12月現在、すでに1,500例の患者登録が終了し観察期間に入っており、結果が待たれる。これらのデータを蓄積し、日本人での至適DAPT期間を確立することを期待する。

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Vol. 2 No. 1 これからの血管内治療(EVT)、そして薬物療法

中村 正人 氏東邦大学医療センター大橋病院循環器内科はじめに冠動脈インターベンションの歴史はデバイスの開発と経験の蓄積の反映であるが、末梢血管の血管内治療(endovascular treatment: EVT)も同じ道を歩んでいる。対象となる血管が異なるため、冠動脈とは解剖学的、生理学的な血管特性は異なるが、問題点を解決するための戦略の模索は極めて類似している。本稿では、末梢血管に対するインターベンションの現況を総括しながら、今後登場してくるnew deviceや末梢閉塞性動脈硬化症に対する薬物療法について展望する。EVTの現況EVTの成績は治療部位によって大きく異なり、大動脈―腸骨動脈領域、大腿動脈領域、膝下血管病変の3区域に分割される。個々の領域における治療方針の指標としてはTASCIIが汎用されている。1.大動脈―大腿動脈 この領域の長期成績は良好である。TASCⅡにおけるC、Dは外科治療が優先される病変形態であるが、外科治療との比較検討試験で2次開存率は外科手術と同様の成績が得られることが示されている1)。解剖学的外科的バイパス術は侵襲性が高いこともあり、経験のある施設では腹部大動脈瘤の合併例、総大腿動脈まで連続する閉塞病変などを除き、複雑病変であってもEVTが優先されている(図1、2)。従って、完全閉塞性病変をいかに合併症なく初期成功を得るかが治療の鍵であり、いったん初期成績が得られると長期成績はある程度担保される。図1 腸骨動脈閉塞による重症虚血肢画像を拡大するDistal bypass術により救肢を得た透析例が数年後、膝部の難治性潰瘍で来院。腸骨動脈から大腿動脈に及ぶ完全閉塞を認めた(a)。ガイドワイヤーは静脈bypass graftにクロスし(b)、腸骨動脈はステント留置、総大腿動脈はバルーンによる拡張術を行った。Distal bypass graftの開存(黒矢印)と大腿深動脈の血流(白矢印)が確認された(c)図2 腸骨動脈閉塞による重症虚血肢(つづき)画像を拡大する2.大腿動脈領域 下肢の閉塞性動脈硬化症の中で最も治療対象となる頻度が高い領域である。このため、関心も高く、各種デバイスが考案されている。大腿動脈は運動によって複雑な影響を受けるため、EVTの成績は不良であると考えられてきた。しかし、ナイチノールステントが登場し、EVTの成績は大きく改善し適応は拡大した。EVTの成績を左右する最も強い因子は病変長であり、バルーンによる拡張術とステントの治療の比較検討試験の成績を鑑み、病変長によって治療戦略は大別することができる。(1)5cm未満の病変に対する治療ではバルーンによる拡張術とステント治療では開存性に差はなく、バルーンによる拡張を基本とし、不成功例にベイルアウトでステントを留置する。(2)病変長が5cm以上になると病変長が長いほどバルーンの成績は不良となるが、ステントを用いた拡張術では病変長によらず一定の成績が得られる。このためステントの治療を優先させる。(3)ステントによる治療も15cm以上になると成績が不良となりEVTの成績は外科的バイパス術に比し満足できるものではない2)。開存性に影響する他の因子には糖尿病、女性、透析例、distal run off、重症虚血肢、血管径などが挙げられる。また、ステント留置後の再狭窄パターンが2次開存率に影響することが報告されている3)。3.膝下動脈 この領域は、長期開存性が得難いため跛行肢は適応とはならない。現状、重症虚血肢のみが適応となる。本邦では、糖尿病、透析例が経年的に増加してきており、高齢化と相まって重症虚血肢の頻度は増加している。重症虚血肢の血管病変は複数の領域にわたり、完全閉塞病変、長区域の病変が複数併存する。本邦におけるOLIVE Registryでも浅大腿動脈(SFA)単独病変による重症虚血肢症は17%にとどまり、膝下レベルの血管病変が関与していた(本誌p.24図3を参照)4)。この領域はバルーンによる拡張術が基本であり、本邦では他のデバイスは承認されていない。治療戦略で考慮すべきポイントを示す。(1)in flowの血流改善を優先させる。(2)潰瘍部位支配血管すなわちangiosomeの概念に合わせて血流改善を図る。(3)末梢の血流改善を創傷部への血流像(blush score)、または皮膚灌流圧などで評価する。従来、straight lineの確保がEVTのエンドポイントであったが、さらに末梢below the ankleの治療が必要な症例が散見されるようになっている(図4)。創傷治癒とEVT後の血管開存性には解離があることが報告されているが5)、治癒を得るためには複数回の治療を要するのが現状である。この観点からもnew deviceが有用と期待されている。治癒後はフットケアなど再発予防管理が主体となる。図4 足背動脈の血行再建を行った後に切断を行った、重症虚血肢の高齢男性画像を拡大する画像を拡大する新たな展開薬剤溶出性ステントやdrug coated balloon(DCB)の展開に注目が集まっており、すでに承認されたものや承認に向け進行中のデバイスが目白押しである。いずれのデバイスも現在の問題点を解決または改善するためのものであり、治療戦略、適応を大きく変える可能性を秘めている。1.stent 従来のステントの問題点をクリアするため、柔軟性に富みステント断裂リスクが低いステントが開発されている。代表はLIFE STENTである。ステントはヘリカル構造であり、RESILIENT試験の3年後の成績を見ると、再血行再建回避率は75.5%と従来のステントに比し良好であった6)。リムス系の薬剤を用いた薬剤溶出性ステントの成績は通常のベアステントと差異を認めなかったが、パクリタキセル溶出ステントはベアメタルステントよりも有意に良好であることが示されている7)。Zilver PTXの比較検討試験における病変長は平均7cm程度に限られていたが、実臨床のレジストリーでも再血行再建回避率は84.3%と比較検討試験と遜色ない成績が示されている8)。Zilver PTXは昨年に承認を得、市販後調査が進行中である。内腔がヘパリンコートされているePTFEによるカバードステントVIABAHNは柔軟性が向上し、蛇行領域をステントで横断が可能である。このため、関節区域や長区域の病変に有効と期待されている9)。これらのステントの成績により、大腿動脈領域治療の適応は大きく変化すると予想される。膝下の血管に対しては、薬剤溶出性ステントの有効性が報告されている10)。開存性の改善により、創傷治癒期間の短縮、再治療の必要性の減少が期待される。2.debulking device 各種デバイスが考案されている。本邦で使用できるものはないが、石灰化、ステント再狭窄、血栓性病変に対する治療成績を改善し、non stenting zoneにおける治療手段になり得るものと考えられている。3.drug coated balloon(DCB) パクリタキセルをコーティングしたバルーンであり、数種類が海外では販売されている。ステント再狭窄のみでなく、新規病変に対しバルーン拡張後に、またステント留置の前拡張に用いられる可能性がある。膝下の血管病変は血管径が小さく長区域の病変でステント治療に不向きである上に開存性が低いためDCBに大きな期待が寄せられている。このデバイスも開存性を向上させるデバイスである。成績次第ではEVTの主流になり得ると推測されている。4.re-entry device このデバイスは治療戦略を変える可能性を秘めている。現在、完全閉塞病変に対してはbi-directional approachが多用されているが、順行性アプローチのみで手技が完結できる可能性が高くなる。薬物療法の今後の展開薬物療法は心血管イベント防止のための全身管理と跛行に対する薬物療法に分類されるが、全身管理における治療が不十分であると指摘されている。また、至適な服薬治療が重要ポイントとなっている。1.治療が不十分である 本疾患の生命予後は不良であり、5年の死亡率は15~30%に及ぶと報告され、その75%は心血管死である。このことは全身管理の重要性を示唆している。しかし、2008年と2011年に、有効性が期待できるスタチン、抗血小板薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の投薬が、虚血性心疾患の症例に比し末梢動脈閉塞性症の症例では有意に低率であると米国から相次いで報告された11, 12)。この報告によると、虚血性心疾患を合併しているとわかっている末梢閉塞性動脈硬化症ではスタチンの無投薬率が42.5%であったのに対し、虚血の合併が不明の末梢閉塞性動脈硬化症では81.7%が無投薬であった12)。本邦においても同様の傾向と推察される。本疾患の無症候例も症候を有する症例と同様に生命予後が不良であるため、喫煙を含めた全身管理の重要性についての啓発が必要である。2.いかに管理すべきか? PADを対照に薬物療法による予後改善を検討した研究は少なくサブ解析が主体であるが、スタチンは26%、アスピリンは13%、クロピドグレルは28%、ACE阻害薬は33%リスクを軽減すると報告されている13)。さらに、これら有効性の高い薬剤を併用するとリスクがさらに低減されることも示されている12)。冠動脈プラークの退縮試験の成績は末梢閉塞性動脈硬化症を合併すると退縮率が不良であるが、厳格にLDLを70mg/dL以下に管理すると退縮が得られると報告されており14)、PADでは厳格な脂質管理が望ましい。 抗血小板薬に関しては、最近のメタ解析の結果によると、アスピリンは偽薬に比しPAD症例で有効性が認められなかった15)。一方、CAPRIE試験のサブ解析では、PAD症例に対しクロピドグレルはアスピリンに比しリスク軽減効果が高いことが示されている16)。今後、新たなチエノピリジン系薬剤も登場してくるが、これら新たな抗血小板薬のPADにおける有効性は明らかでなく、今後の検討課題である。また、本邦で実施されたJELIS試験のサブ解析では、PADにおけるn-3系脂肪酸の有効性が示されている17)。 このように、サブ解析では多くの薬剤が心血管事故防止における有効性が示唆されているが、単独試験で有効性が実証されたものはない。さらには、本邦における有効性の検証が必要になってこよう。3.再狭窄防止の薬物療法 シロスタゾールが大腿動脈領域における従来のステント留置例の治療成績を改善する。New deviceにおける有用性などが今後検証されていくことであろう。おわりにNew deviceでEVTの適応は大きく変わり、EVTの役割は今後ますます大きくなっていくものと推測される。一方、リスク因子に関しては、目標値のみでなくリスクの質的な管理が求められることになっていくであろう。文献1)Kashyap VS et al. The management of severe aortoiliac occlusive disease Endovascular therapy rivals open reconstruction. J Vasc Surg 2008; 48: 1451-1457.2)Soga Y et al. Utility of new classification based on clinical and lesional factors after self-expandable nitinol stenting in the superficial femoral artery. J Vasc Surg 2011; 54: 1058-1066.3)Tosaka A et al. Classification and clinical impact of restenosis after femoropopliteal stenting. J Am Coll Cardiol 2012; 59: 16-23.4)Iida O et al. Endovascular Treatment for Infrainguinal Vessels in Patients with Critical Limb Ischemia: OLIVE Registry, a Prospective, Multicenter Study in Japan with 12-month Followup. Circulation Cardiovasc Interv 2013, in press.5)Romiti M et al. Mata-analysis of infrapopliteal angioplasty for chronic critical limb ischemia. J Vasc Surg 2008; 47: 975-981.6)Laird JR et al. Nitinol stent implantation vs balloon angioplasty for lesions in the superficial femoral and proximal popliteal arteries of patients with claudication: Three-year follow-up from RESILIENT randomized trial. J Endvasc Ther 2012; 19: 1-9.7)Dake MD et al. Paclitaxel-eluting stents show superiority to balloon angioplasty and bare metal stents in femoropopliteal disease. Twelve-month Zilver PTX Randomized study results. Circ Cardiovasc Interv 2011; 4: 495-504.8)Dake MD et al. Nitinol stents with polymer-free paclitaxel coating for lesions in the superficial femoral and popliteal arteries above the knee; Twelve month safety and effectiveness results from the Zilver PTX single-arm clinical study. J Endvasc Therapy 2011; 18: 613-623.9)Bosiers M et al. Randomized comparison of evelolimus-eluting versus bare-metal stents in patients with critical limb ischemia and infrapopliteal arterial occlusive disease. J Vasc Surg 2012; 55: 390-398.10)Saxon RR et al. Randomized, multicenter study comparing expanded polytetrafluoroethylene covered endoprosthesis placement with percutaneous transluminal angioplasty in the treatment of superficial femoral artery occlusive disease. J Vasc Interv Radiol 2008; 19: 823-832.11)Welten GMJM et al. Long-term prognosis of patients with peripheral artery disease. A comparison in patients with coronary artert disease. JACC 2008; 51: 1588-1596.12)Pande RL et al. Secondary prevention and mortality in peripheral artery disease: national health and nutrition exsamination study, 1999 to 2004. Circulation 2011; 124: 17-23.13)Sigvant B et al. Asymptomatic peripheral arterial disease; is pharmacological prevention of cardiovascular risk cost-effective? European J of cardiovasc prevent & rehabilitation 2011; 18: 254-261.14)Hussein AA et al. Peripheral arterial disease and progression atherosclerosis. J Am Coll Cardiol 2011; 57: 1220-1225.15)Berger JS et al. Aspirin for the prevention of cardiovascular events in patients with peripheral artery disease. A mata-analysis of randomized trials. JAMA 2009; 301: 1909-1919.16)CAPRIE Steering Committee. A randomized, blinded, trial of clopidogrel versus aspirin in patients at risk of ischemic events(CAPRIE). Lancet 1996; 348: 1329-1339.17)Ishikawa Y et al. Preventive effects of eicosapentaenoic acid on coronary artery disease in patients with peripheral artery disease-subanalysis of the JELIS trial-. Circ J 2010; 74: 1451-1457.

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Dr.倉原の 喘息治療の不思議:知られざる喘息のリスク因子

はじめに喘息の患者さんを診療する場合、発作を起こさないようにコントロールすることが重要です。そのため、喘息治療薬を使いこなすだけでなく、患者さんの喘息発作の誘発因子を避ける必要があります。喘息発作のリスク因子として有名なのは、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎と同様のアレルゲンです。たとえば、スギ花粉、ブタクサ、ハウスダスト、ダニなどが挙げられます。しかし、世の中にはこんな因子によって喘息を起こすことがあるのか?という“軽視されがちなもの”や“知られざるもの”があります。教科書的なリスク因子はさておき、少し「へぇ」と思えるようなものを紹介しましょう。ストレス呼吸器内科医以外には実はあまり知られていませんが、ストレスは喘息のリスク因子として教科書的に重要です。これには炎症性サイトカインの産生亢進が関与していると考えられています。呼吸器疾患を診療している医師の間でも、ストレスは意外と軽視されがちなリスク因子だと思います。Busse WW, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1995;151:249-252.徹夜明けや過労などの身体的ストレスによっても喘息発作が起こりやすいことが知られています。受験前、面接前、入社前、五月病といった精神的ストレスによっても喘息発作を起こすことがあります。私もそういった患者さんを何人か外来で診ています。世界的にも最大規模のストレスとして数多くの研究がなされたアメリカ同時多発テロ事件では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と喘息の関連が指摘されています。Shiratori Y, et al. J Psychosom Res. 2012;73:122-125.Centers for Disease Control and Prevention (CDC). MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2002;51:781-784.水泳喘息に対する呼吸リハビリテーションの一環として水泳が知られていますが、その反面、水泳そのものが喘息のリスクではないかと考える研究グループもあります。しかしながら、メタアナリシスではその関連は強いとは結論づけられていません。私の外来にも、ある水泳競技をしていた喘息患者さんがいました。その患者さんが引退後に吸入ステロイド薬のステップダウンができたのは、水泳をやめたからなのかどうか、いまだに答えは出ていません。Paivinen MK, et al. Clin Respir J. 2010;4:97-103.Goodman M, et al. J Asthma. 2008;45:639-647.ちなみにスキューバダイビングは喘息のリスク因子ではないかという議論もありますが、現時点では明らかな答えは出ていません。スキューバダイビングでは、温度や呼吸動態の急激な変化が呼吸機能上よくないと考えられています。Koehle M, et al. Sports Med. 2003;33:109-116.感情負の感情(怒り、悲しみなど)は前述のストレスと同じ機序で喘息のリスク因子と考えられていますが、これにはあまりエビデンスはありません。自宅で怒りを爆発させて喘息発作を起こし救急搬送されてきた患者さんを一度診たことがあります。これはおそらく怒鳴り散らしたことが主な原因でしょうが。ちなみに、面白い映像を見た場合と面白くない映像を見た場合を比較すると、面白い映像を見た場合に気道過敏性が有意に改善したという報告もあります。Kimata H. Physiol Behav. 2004;81:681-684.その一方で、あまり笑うと喘息発作を誘発するのではないかという報告もありますので、あまり感情の起伏は喘息にとってよくないものかもしれませんね。Liangas G, et al. J Asthma. 2004;41:217-221.排便トイレできばりすぎて、喘息発作を起こすことがあるそうです。これについてもリスク因子といえる研究はありません。個人的には一度も排便喘息を診たことはありません(問診が甘かったのかもしれませんが)。排便によってアセチルコリンの分泌が誘発され、これによって気管支攣縮を惹起するのではないかと考えられています。Rossman L. J Emerg Med. 2000 ;18:195-197.Ano S, et al. Intern Med. 2013;52:685-687.鼻毛これもリスク因子として書くにはかなり強引な気もしますが、結論からいうと鼻毛は長いほうがよいです。アレルギー性鼻炎の患者さんにおける喘息の発症に鼻毛の密度が与える影響について解析した論文があります。これによれば、鼻毛の密度の低さは喘息発症の有意な因子であると報告されています。厳密には鼻毛の“長さ”と“密度”は異なるのかもしれませんが……。Ozturk AB, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2011;156:75-80.おわりにこれ以外にも、症例報告レベルも含めると、アイスクリーム、くしゃみ、温泉、オリンピックなど数多くの喘息のリスク因子や喘息発作を誘発する因子があります。本稿でなぜ珍しい因子を記載したかといいますと、実は喘息診療においては多くのヒントが患者さんとの会話の中にあるのです。「実は最近インコを飼い始めたんです」、「おととい引っ越ししたばかりなんです」、「そういえば先月からシャンプーを東洋医学系の製品に変えたんです」・・・などなど。実はアレルゲンが明らかな喘息の場合、原因を回避すればよくなることがあります。何年も吸入ステロイド薬を使わなくても済むケースもあります。

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コーヒー・緑茶と上部気道消化管がんリスクとの関連~コーヒーと緑茶では逆

 上部気道消化管がんリスクにおけるコーヒーや緑茶の影響ははっきりしていない。これらは通常摂取するときに高温であるため、その潜在的なリスク増加により、含まれる成分の抗発がん作用の評価に交絡が生じている。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の尾瀬 功氏らは、コーヒーや緑茶の摂取と上部気道消化管がんのリスクとの関連を評価するために、ケースコントロール研究を実施した。その結果、コーヒーの摂取は上部気道消化管がんのリスク低下と関連する一方、緑茶はリスク増加と関連する可能性があることを示唆した。International Journal of Cancer誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。 本研究では、2001年~2005年に愛知県がんセンターを受診した上部気道消化管がん患者961例と、がんではない外来患者2,883例が登録された。コーヒーや緑茶の摂取量やその他のライフスタイル要因に関する情報は、自記式質問紙を用いて収集した。 主な結果は以下のとおり。・コーヒー3杯/日以上の摂取は、上部気道消化管がんと有意に逆相関していた(オッズ比:0.73、95%信頼区間:0.55~0.96)。・逆に、緑茶3杯/日以上の摂取は、上部気道消化管がんと有意な正の相関がみられた(オッズ比:1.39、95%信頼区間:1.13~1.70)。・これらの関連性は、頭頸部がんでは明らかであったが、食道がんでは明らかではなかった。・頭頸部がんとコーヒー摂取との関連は非喫煙者・飲酒者でのみ観察され、緑茶摂取との関連は非喫煙者・非飲酒者で認められた。・各交絡因子による層別においても、これらの関連は同様であった。

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脳梗塞急性期の積極的な降圧治療は2週間後の転帰を改善するか?/JAMA

 虚血性脳卒中患者の急性期における降圧治療は、死亡や身体機能障害の抑制に寄与しないことが、米国・チューレーン大学のJiang He氏らが行ったCATIS試験で示された。高血圧患者や脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴を有する正常血圧者では、降圧治療により脳卒中のリスクが低減することが報告されている。脳卒中の1次および2次予防における降圧のベネフィットは確立されているが、血圧の上昇がみられる急性虚血性脳卒中患者に対する降圧治療の効果は知られていないという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告。急性期の降圧治療の予後改善効果を無作為化試験で評価 CATIS(China Antihypertensive Trial in Acute Ischemic Stroke)試験は、急性虚血性脳卒中患者に対する降圧治療の有用性を評価する多施設共同単盲検無作為化試験。発症後48時間以内、血圧の上昇が認められる虚血性脳卒中患者を対象とした。 被験者は、入院期間中に降圧治療を施行する群または施行しない群に無作為に割り付けられた。降圧治療群は、割り付け後24時間以内に収縮期血圧を10~25%低下させ、7日以内に140/90mmHgを達成し、これを入院期間中維持することを目標とした。 割り付け情報は、治療医や看護師にはマスクされなかったが、患者やデータの収集を行った研究者にはマスクされた。主要評価項目は、割り付け後14日以内の死亡、14日時の重篤な身体機能障害(修正Rankinスケール:3~5)、14日以前に退院した場合は退院時の重篤な身体機能障害とした。収縮期血圧は有意に低下したが 2009年8月~2013年5月までに、中国の26施設から4,071例が登録され、降圧治療群に2,038例が、対照群には2,033例が割り付けられた。全体の平均年齢は62.0歳、男性が64.0%で、入院時に49.1%が降圧薬を投与されており、77.9%が血栓性脳卒中であった。 割り付けから24時間以内に、平均収縮期血圧は降圧治療群が166.7mmHgから144.7mmHgまで12.7%低下したのに対し、対照群は165.6mmHgから152.9mmHgまで7.2%の低下であり、有意な差が認められた(群間差:-5.5%、95%信頼区間[CI]:-4.9~-6.1、絶対差:-9.1mmHg、95%CI:-10.2~-8.1、p<0.001)。また、割り付けから7日の時点で、平均収縮期血圧は降圧治療群が137.3mmHg、対照群は146.5mmHgと、有意差がみられた(群間差:-9.3mmHg、95%CI:-10.1~-8.4、p<0.001)。 このように急性期の降圧効果に差を認めたにもかかわらず、14日または退院時の主要評価項目の発生には両群間に差はなかった(イベント発生数:降圧治療群683件、対照群681件、オッズ比:1.00、95%CI:0.88~1.14、p=0.98)。さらに、副次評価項目である3ヵ月後の死亡または重篤な身体機能障害の発生も、両群で同等であった(イベント発生数:降圧治療群500件、対照群502件、オッズ比:0.99、95%CI:0.86~1.15、p=0.93)。 著者は、「急性虚血性脳卒中患者では、降圧治療により血圧の低下を達成しても、入院中は降圧治療を中止した患者と比較して、急性期の死亡や重篤な身体機能障害の抑制にはつながらないことが示された」と結論し、「本試験は中国人患者のみを対象としており、全体の約3分の1にヘパリンが投与されるなど欧米の急性脳卒中の管理とは異なる部分もあるが、以前の検討では中国人と欧米人で急性脳卒中と血圧低下の関連に差はないことが報告されている」と考察している。

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脳動静脈奇形(未破裂)の予防的切除や塞栓術は予後を改善できるか?/Lancet

 未破裂脳動静脈奇形には、薬物療法単独のほうが、薬物療法+介入治療を行うよりも死亡や脳卒中のリスク抑制に優れることが明らかにされた。米国・コロンビア大学医療センターのJ P Mohr氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「ARUBA」の結果、示されたもので、これまで未破裂脳動静脈奇形の予防的切除の臨床的ベネフィットは明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。9ヵ国39施設で被験者を登録し薬物療法+介入治療と薬物療法単独に無作為化 ARUBA試験は、未破裂脳動静脈奇形の死亡または脳卒中リスクについて、薬物療法単独と薬物療法+介入治療とを比較することを目的とし、9ヵ国39施設で18歳以上の成人被験者を登録して行われた。 被験者は無作為に、薬物療法+介入的治療(脳外科手術、塞栓術、定位放射線療法の単独または複合など)か、薬物療法単独(神経学的症状に応じた投薬治療)に割り付けられ追跡を受けた。患者と治療医には治療割り付けが知らされた。 主要アウトカムは、死亡あるいは脳卒中発生の複合エンドポイントとし、intention to treat解析で評価した。薬物療法単独群の死亡または脳卒中のエンドポイント発生ハザード比0.27 無作為化は2007年4月4日に開始され、2013年4月15日に、米国国立衛生研究所(NIH)国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)のデータ・安全モニタリングボードの勧告で、薬物療法群の優越性が明らかになったとの理由(log-rank検定のZ統計が4.10であり事前規定の中断限界値2.87を上回った)により中断された。 同時点においてアウトカムデータが入手できたのは、223例(介入療法群114例、薬物療法単独群109例)、平均追跡期間(±SD)は33.3±19.7ヵ月であった。 主要エンドポイントの発生は、薬物療法単独群11例(10.1%)であったのに対し、介入療法群は35例(30.7%)だった。死亡または脳卒中のリスクは、介入療法群よりも薬物療法単独群で有意に抑制された(ハザード比:0.27、95%信頼区間[CI]:0.14~0.54、p<0.0001)。 有害イベントについては、介入療法群のほうが、脳卒中の全発生数が有意に多かったこと(45 vs 12、p<0.0001)、脳卒中と関連しない神経障害が有意に多かったこと(14 vs 1、p=0.0008)を除けば、特筆すべきものはみられなかった。 本試験は、両群の格差が持続するかを確認するため、現在さらに5年間のフォローアップが行われているという。

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慢性腰痛に対する腰椎固定術は長期転帰を改善しない

 慢性腰痛の治療において、保存療法に対する手術療法の有効性については議論の余地があり、長期転帰はほとんど知られていない。スイス・Schulthess KlinikのAnne F. Mannion氏らは、平均11年間にわたる追跡調査を行い、脊椎固定術と認知行動・運動療法とで患者の自己評価に差はないことを示した。保存療法で悪化しなかったことから、手術のリスクを考慮すれば慢性腰痛に対する腰椎固定術は支持されるべきではない、とまとめている。Spine Journal誌オンライン版2013年11月6日の掲載報告。 研究グループは、脊椎固定術と認知行動・運動療法の長期転帰を比較することを目的に、ノルウェーおよび英国の3施設において無作為化臨床試験を行った。 対象は、1年以上症状を有し脊椎固定術の適応があると考えられた慢性腰痛患者473例であった(手術療法群242例、認知行動・運動療法群231例)。 長期追跡後に、主要評価項目としてオスウェストリー障害指数(ODI:0~100)、副次的評価項目として疼痛強度(視覚的アナログスケール(VAS))、疼痛の頻度、鎮痛薬の使用、勤務状況、健康関連QOL(EuroQol VAS)、治療満足度などを調べた。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は初回治療後平均11.4年(範囲8~15年)で、長期追跡調査を完了したのは手術療法群140例、認知行動・運動療法群121例、計261例(55%)であった。・ODIは、両群間で統計学的および臨床的な差は認められなかった。・認知行動・運動療法群に対する手術療法群の調整済ODIスコア平均差は、intention-to-treat解析で-0.7(95%信頼区間:-5.5~4.2)、as-treated解析で-0.8(同:-5.9~4.3)であった。・副次的評価項目の結果は、ODIとほとんど一致し、両群で差はみられなかった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する

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日本人統合失調症患者、遅発例と早期発症例の特徴は:自治医大

 遅発性統合失調症は、DSM-Ⅳには記載がないものの、その臨床的特徴について多くの研究で報告されている。しかし、とくにアジア諸国において、遅発性統合失調症に関する研究は限られている。自治医科大学の安田 学氏らは、疫学調査により遅発性統合失調症と早期発症統合失調症を比較し、その臨床的特徴について検討した。Psychogeriatrics誌2013年12月号の報告。 対象は、1993年4月~2006年3月までに自治医科大学附属病院の精神科病棟に入院した統合失調症患者316例。初発年齢40歳以上を遅発群(38例)、初発年齢40歳未満を早期発症群(278例)として2群に割り付けた。性差、抑うつ症状の有無、統合失調症のサブタイプ、病前性格、婚姻歴、初発時の職歴を両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・全症例における平均初発年齢は、男性23.9±8.2歳、女性28.0±13.5歳であった。・遅発群の特徴は、「女性」「妄想型」「抑うつ症状」が多く、病前性格は「内向的」が少なかった。・また、遅発群では、発症前の社会適応性が高く、神経遮断薬の使用が少なかった。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 日本発、統合失調症大規模臨床試験スタート:東京女子医大

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急性咽頭炎に対する抗菌薬の適応はどのように判断するか?(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(160)より-

プライマリケアの現場では、いまだに多くの急性咽頭炎の患者に抗菌薬が投与されている。急性咽頭炎の原因の多くはウイルス性であり、抗菌薬が不要なことが多い。しかしながら、A群溶連菌による咽頭炎に対しては、主に扁桃周囲膿瘍などの化膿性合併症の予防と急性リウマチ熱の予防のために、抗菌薬の投与が必要となる。抗菌薬投与の適応を決定するために、臨床症状を用いたスコア(Centor criteria)や迅速抗原検査が使用されているが、これらの有用性を支持する強いエビデンスはほとんど存在しなかった。 PRISM試験は、急性咽頭炎に対する抗菌薬投与の適応を決定するために、臨床症状を用いたスコアと迅速抗原検査が有用かどうか評価することを目的とした、ランダム化比較試験である。本試験では、当初は臨床症状を用いたスコアにCentor criteria(発熱、扁桃の浸出物、前頚部の有痛性リンパ節腫脹、咳がない)を用いていたが、試験途中から診断精度のやや優れた新しいスコアであるFeverPAIN(24時間以上の発熱、化膿、発症後3日以内の受診、扁桃の炎症所見、咳や鼻汁がない)に切り替えている。対象は、英国のプライマリケ・セッティングにおける、3歳以上の急性咽頭炎および咽頭の肉眼的異常(発赤、膿)がある患者である。631例の患者を、(1) 症状の改善が乏しい場合に抗菌薬を開始する群(コントロール群)、(2) FeverPAINを用いて抗菌薬の適応を決定する群、(3) FeverPAINと迅速抗原検査を併用して抗菌薬の適応を決定する群、の3群に分類し、診察2~4日後の咽頭痛や嚥下困難の重症度、有症状期間、抗菌薬使用の有無などを評価した。 FeverPAINを用いた群ではコントロール群と比較し、診察2~4日後の咽頭痛や嚥下困難の重症度は有意に低下し(P=0.04)、抗菌薬の使用率も有意に低下した(P=0.02)。FeverPAINと迅速抗原検査を併用した群では、FeverPAINのみを用いた群と同等の成績であったが、迅速抗原検査を併用することの有用性は明らかにならなかった。 今回の試験のコントロール群は、あらかじめ医師が抗菌薬を処方しておき、症状が改善しなかった場合には患者の判断で抗菌薬を開始する、という治療戦略であり、他の2群でも一部用いられている。この戦略は、医療施設へのアクセスが良い日本では一般的とはいえず、本試験の結果をそのまま日本の医療に当てはめることはできないのかもしれない。しかし、急性咽頭炎患者に対する抗菌薬処方の適応を決定するうえで、臨床症状を用いたスコアの有用性は明らかであり、臨床の現場で積極的に活用していくべきと考える。 臨床症状だけを用いた群と、臨床症状に迅速抗原検査を組み合わせた群の間で、症状の改善度や抗菌薬の使用率に差が出なかったのは注目に値する結果である。急性咽頭炎は日本でもプライマリケアの場面で遭遇することが多い疾患であるが、診療所などでは迅速抗原検査が実施できない施設も多いと思われる。臨床症状のみで抗菌薬の適応を正確に決定できるのであれば、FeverPAINは有力な診断ツールとなるだろう。ただし、FeverPAINを用いた場合、迅速抗原検査をどのように併用するかについてはまだ確定しているとはいえず、さらなる議論が必要である。 今後、新しいスコアであるFeverPAINが日本でも一般的になるのか注目したい。

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