COPD合併肺がん患者、肺線維症で肺切除後の生存率が低下

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/09

 

 肺切除後のCOPD合併肺がん患者において、肺線維症は生存率を低下させる独立したリスクファクターとなることが、東京女子医科大学八千代医療センターの関根 康雄氏らにより報告された。The Thoracic and Cardiovascular Surgeon誌オンライン版2014年5月30日の掲載報告。

 本研究の目的はCOPD合併肺がん患者を対象に、肺線維症の有無が肺切除術後合併症や長期の生存率にどれほどインパクトを与えるかを調べる事である。1990年~2005年の期間中に大学病院で肺がんによる肺切除が実施された患者のうち、COPDを合併していた380例を対象にレトロスペクティブなカルテレビューを行った。COPDの定義は術前の1秒率(FEV1/FVC)が70%未満で、肺線維症の定義はCTにより下肺野に明らかな両肺の線維化病変が認められた場合とした。

 主な結果は以下のとおり。

・COPD合併患者380例のうち、肺線維症が認められたのは41例(10.8%)で、339例(89.2%)では認められなかった。
・術前の1秒量は肺線維症を有する患者群で有意に低かった(p<0.05)。
・術後急性肺傷害(ALI)と在宅酸素療法は肺線維症を有する患者群で有意に高かったが、30日死亡率は同等であった。
・3年間と5年間の累積の生存率は、肺線維症を有する患者群でそれぞれ53.6%、36.9%、肺線維症が認められない患者群では71.4%、66.1%であった(p=0.0009)。
・加齢、BMI低値、病理病期の進行、肺線維症の存在は、生存率を低下させる独立したリスクファクターであった。

(ケアネット 鎌滝 真次)