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PCV13、高齢者市中肺炎にも有効/NEJM

 高齢者への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種について、ワクチン型の肺炎球菌性、菌血症性、および非血症性の市中肺炎と、ワクチン型の侵襲性肺炎球菌感染症の予防に有効であることが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのM.J.M. Bonten氏らが、8万4,496例の65歳以上高齢者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。PCVワクチンは、新生児において肺炎球菌感染症の予防が認められているが、65歳以上高齢者の肺炎球菌性市中肺炎の有効性は明らかにされていなかった。試験の結果では、あらゆる原因による市中肺炎へのワクチンの有効性は示されなかったが、著者は「ワクチン型の市中肺炎が46%減少しており、高齢者の市中肺炎の減少に寄与すると思われる」とまとめている。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。オランダ65歳以上8万4,496例を登録して無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は2008年9月15日~2010年1月30日にかけて、オランダ国内101地点で65歳以上高齢者を8万4,496例登録して行われた。被験者は1対1の割合で無作為に割り付けられ、4万2,240例がPCV13接種を、4万2,256例がプラセボの接種を受けた。追跡期間は中央値3.97年であった。 PCV13の有効性について、ワクチン型肺炎球菌性市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性市中肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の初回エピソードの予防について評価した。市中肺炎とIPDの特定は、標準的なラボ検査と血清型に特異的な尿中抗原検出アッセイにより行った。 追跡期間中に、肺炎またはIPDが疑われ試験協力病院を受診した人は、PCV13群1,552例、プラセボ群1,680例であった。このうち2,842例(88%)は、前年にインフルエンザワクチンの接種を受けていた。ワクチン型株市中肺炎への有効率、per-protocol解析で45.6% ワクチン型株による感染症の初回エピソードのper-protocol解析の結果、市中肺炎発生は、PCV13群49例、プラセボ群90例でワクチンの有効率は45.6%(95.2%信頼区間[CI]:21.8~62.5%)であった。非菌血症性・非侵襲性市中肺炎は、PCV13群33例、プラセボ群60例でワクチン有効率は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症は PCV13群7例、プラセボ群28例でワクチン有効率は75.0%(95%CI:41.4~90.8%)だった。有効性は試験期間中、持続していた。 修正intention-to-treat解析(安全性データを入手できなかった人を除外した8万4,492例)においても、ワクチン型株による感染症の初回エピソードに対するワクチン有効率は同程度であった(それぞれ37.7%、41.1%、75.8%)。 一方、あらゆる原因(非肺炎球菌性と肺炎球菌性を含む)による市中肺炎の初回エピソード発生例は、PCV13群747例、プラセボ群787例で、ワクチン有効率は5.1%(95%CI:-5.1~14.2%)だった。 重篤な有害事象と死亡は、両群で同程度であったが、PCV13群で局所反応が、より多く認められた。

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エンザルタミド、前立腺がんの無増悪生存期間を延長

 アステラス製薬株式会社は4月3日、米国メディベーション社と共同で開発・商業化を進めているアンドロゲン受容体阻害剤エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)について、第II相STRIVE試験の結果が得られたと発表した。 STRIVE試験では、非転移性または転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象としてエンザルタミドとビカルタミドを比較している。主要評価項目である無増悪生存期間において、エンザルタミド群ではビカルタミド群と比較して統計学的に有意な延長が認められたとのこと。無増悪生存期間の中央値は、ビカルタミド群の5.7ヵ月に対し、エンザルタミド群では19.4ヵ月であった。また、投与期間の中央値は、エンザルタミド群で14.7ヵ月、ビカルタミド群で8.4ヵ月だった。 重篤な有害事象はエンザルタミド投与群の29.4%、ビカルタミド投与群の28.3%でみられ、グレード3以上の心臓関連の有害事象は、エンザルタミド投与群の5.1%、ビカルタミド投与群の4.0%でみられたという。また、痙攣発作は試験中にエンザルタミド群で1例みられ、ビカルタミド群ではみられなかったという。投与期間中に最もよくみられた副作用のうち、ビカルタミド投与群よりもエンザルタミド投与群で多くみられたものは、疲労、背部痛、ほてり、転倒、高血圧、めまい、食欲減退であり、これまでに知られているエンザルタミドの安全性プロファイルと一致していたとのこと。詳細はアステラス製薬のプレスリリースへ

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新薬の投与量はどのように設定されているのか

 フランス・聖マルグリット病院のN. Simon氏らは、新規薬剤の投与量設定におけるファーマコメトリクス分析の応用について概説した。その主旨は、臨床の場で直面しうる、すべての状況での薬剤反応を把握することが重要であり、その手段としてファーマコメトリクス分析が利用可能ということである。具体的には、過剰曝露を避けつつ最大限の効果を達成する投与量の決定に、薬物動態(PK)モデリング、薬力学(PD)モデリング、そしてPK-PDモデルリングというステップを踏み、最終的にモンテカルロ・シミュレーションを実施して最適な投与量が決定されるという。Encephale誌オンライン版2015年3月9日号の掲載報告。 新規に開発した薬剤の市場への導入許可を求めている(医薬品販売承認申請)製薬会社には、特定の報告を行うためさまざまな研究の実施が求められる。しかしながら、臨床の場で直面しうるすべての状況での薬剤反応を把握するためには、結果をいかに利用するかが重要である。そこで、これらのデータ開発がファーマコメトリクス分析によって現在進行中である。ファーマコメトリクスとは、経時的な薬剤曝露および薬剤反応の数量化を目的としたもので、メソッド("population approach"と呼ばれている)は、非線形混合効果モデルひいては数学的モデルによる同定に基づくものだという。 具体的な手段は以下のとおり。・第1段階では、患者の生理病理学的特性を統合し、経時的濃度における変動をモデル化する。この段階では、ベイズ分析が個人間変動に関する因子の特定・選択に不可欠である。このPKモデリングにより各患者に処方すべき投与量と曝露量を把握できる。・第2段階は、曝露と効果の関係を明確化する、すなわちPDモデリングである。精神医学領域では、経時的な受容体の占有率あるいは臨床スコア(BPRS、PANSSなど)が薬剤反応を反映することになる。・PK-PDモデルでは、目標曝露量、つまり、過剰曝露を避けつつ最大限の効果を達成するために必要な濃度値を決定する。・最終的には、さまざまな投与量に対する期待反応をテストし、投与量に関する合理的数値の選択を促すモンテカルロ・シミュレーションが実施されることになる。・アリピプラゾールのように、当初開発された経口剤から持効性注射剤を開発する過程での評価は、同様のプロトコルに従って実施可能である。実際、アリピプラゾール1日10~30mgの治療域はこのようにして特定された。・本モデルはアリピプラゾールのすべての変動因子(薬物相互作用およびチトクロームP450 2D6の遺伝子多型)を組み込んでおり、持続性注射剤という剤形によって、1ヵ月に1回400mgの投与量で90%の患者が治療域を達成できた。・薬剤阻害または代謝速度(あるいはその両方)が遅い場合には、投与量の調整が必要である。関連医療ニュース 抗精神病薬の用量決定時、精神科医が望むことは SSRIの薬物治療モニタリング、実施率は 認知症への新規抗精神病薬、有害事象のモニタリングが不十分  担当者へのご意見箱はこちら

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PARTNER臨床試験におけるTAVRと外科的AVR(SAVR)の5年の治療成績比較(解説:許 俊鋭 氏)-332

 外科手術が高リスクであるAS症例に対するRCT試験(PARTNER trial)においてTAVRと外科的AVR(SAVR)の1年、2年、3年の死亡率は同等であったが、今回、5年の成績を検討した。 カナダ、ドイツ、米国の25施設でEdwards SAPIEN XTを用いたTAVR(348例)とSAVR(351例)に無作為に割り付けた。全体のSTS risk score は11.7%であった。5年死亡率はTAVR群67.8%に対しSAVR群62.4%と差はなかった(p=0.76)。両群に外科再手術を要する弁破綻は無かったが、中等度以上の大動脈弁周囲逆流(P-AR)の発生頻度は、TAVR群でSAVR群よりも有意に高かった[14%(40/280)vs. 1%(2/228)、p<0.0001]。TAVR群のサブ解析で中等度以上のP-AR合併症例の5年死亡率は、非合併症例に比較して有意に高かった(72.4%vs. 56.6%、p=0.003)。本報告では、5年の成績ではTAVRはSAVRの代替治療となりうると結論した。 しかし、中等度以上のP-AR発生率はTAVRで14%と有意に高いこと、また、TAVR症例の中で中等度以上のP-AR合併症例の死亡率が高いことを考慮した場合、5年以降の遠隔期成績でTAVR はSAVRよりも劣っていく可能性は高い。

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ワルファリン出血の急速止血に新たな選択肢?(解説:後藤 信哉 氏)-333

 臨床家は50年にわたり、ワルファリンを使用してきた。新規の経口抗トロンビン薬、抗Xa薬が開発され、使用可能になったとはいっても、真の意味での血栓イベントリスクが高くない非弁膜症性心房細動など、薬剤の必要性が必ずしも高くない症例なので、これらの症例で出血が怖ければ薬剤を使用しないとの選択があった。ワルファリンを使用している症例は、人工弁、血栓性素因など抗凝固薬の必要性が著しく高い症例である。これらの症例でも、ワルファリンコントロールの良否にかかわらず、重篤な出血イベントが起こる場合がある。消化管出血などであれば、開腹、長時間の圧迫止血など、薬剤以外の手段がまったくないわけではない。頭蓋内出血となると、とても困る。時間と共に症状が増悪している頭蓋内出血では、頭蓋内圧増加が止血に寄与しても、ワルファリンの効果が持続している状態では止血は期待し難い。 ワルファリンは、ビタミンK依存性の凝固因子の機能的完成を阻害する薬剤なので、凝固因子を外部から補えば止血に寄与できるとの発想があった。しかし、新鮮凍結血漿の凝固因子濃度は濃くない。血友病治療に用いる第VII因子濃縮製剤は、うまくいかなかった。血液凝固システムは複雑である。ワルファリンは、血小板上での活性化凝固因子複合体の産生阻害を介して抗凝固効果を発揮するので、単一凝固因子を補うよりも、複数因子からなる活性化凝固因子複合体を投与したほうが、止血効率が高いと想定された。同時に補給して酵素カスケード反応を効率化しようというのが、今回の臨床試験の試みである。複数因子を含む製剤の中でも第VII因子がほぼ正常の製剤と、第VII因子を少量含む製剤がある。本試験では、第VII因子を正常量含むfour factor PCCと新鮮凍結血漿の止血効果とPT-INRに及ぼす効果が検証された。 臨床家にとっては止血効果こそ重要である。試験に参加した医師は、止血効果を実感したと想定される。しかし、止血効果は感覚的なので科学的エンドポイントとしては十分性が乏しい。そこでPT-INRに対する効果も検証された。試験は薬剤開発の後期第II相試験である。 試験はオープンラベルの非劣性試験である。薬剤開発試験であるため、スポンサーバイアスもあるかもしれない。止血効果は活性化凝固因子複合体製剤が優越していた。INRの改善も認めた。「心房細動の脳卒中予防に対する抗凝固薬」の有効性を確認する試験など、薬剤が標的とするイベントの発現率が著しく低く、かつ、薬剤中止という選択により実際に患者さんが困るケースが少ない場合には、オープンラベルの第II相試験の後に、有効性を科学的検証する第III相試験が必要かもしれない。しかし、今回の試験の対象薬は「出血により時事刻々と実際に困っている症例」が対象である。認可承認のハードルを低くしても、実際に医師が臨床現場で使用すれば有効性を実感できる。少なくとも「医は仁術」として、ビジネスを度外視している日本の医師は、認可承認の後に「出血により時事刻々と実際に困っている症例」を救えない薬剤は使用しない。このような薬剤は、試験の科学的価値が低くても、臨床現場に早く届ける価値がある。実際に使用する症例数は多くないと想定されるので、認可承認の後、全数の登録レジストリなどをスポンサーに課して、期限内に科学的根拠を示せなければ、承認取り消しの条件に早期承認を可能とするシステムを考えたらよいと筆者は考える。

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早期の禁煙ほど死亡リスクが低い

早く禁煙したほうが肺がんの死亡リスクが低い喫煙経験のない女性と比べた確率8<肺がんで死亡する確率の比較(女性)>75.916543.343211.8410喫煙経験のない女性喫煙していたが禁煙した女性25~35歳で禁煙35~44歳で禁煙45~54歳で禁煙Pirie K, et al. Lancet. 2013;381:133-141.Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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自動車同士の事故よりも、電車と衝突した自動車事故のほうが重度【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第40回

自動車同士の事故よりも、電車と衝突した自動車事故のほうが重度 >足成より使用 「そりゃそうだろう」とお思いの方も多いと思います。そりゃ誰がみても当たり前ですが、当たり前のことを医学論文にしている研究ってそうそうないんです。 Kligman MD, et al. Railway train versus motor vehicle collisions: a comparative study of injury severity and patterns. J Trauma. 1999 ; 47: 928-931. この論文は、電車と自動車の衝突事故と、自動車と自動車の衝突事故とを比較した世にも不思議な研究です。1991年1月から1998年5月まで、アメリカのとある外傷センターで症例を集め、74人の電車と衝突した自動車事故、1,931人の自動車同士の衝突事故の連続患者を登録しました。解析の結果、自動車-自動車事故と比較して、電車-自動車事故では男性の受傷者が多くみられました(72% vs. 54%)。また、電車-自動車事故のほうが死亡率は高く(15% vs. 7%)、外傷重症度スコアも高い(中央値 20点 vs. 9点)という結果でした。当然、電車のような重量級の乗り物が衝突するわけですから、自動車を運転している人の重症度や死亡率が高くなるのは当然だと思います。電車-自動車事故の場合、高い確率で頭部・顔面の裂創、頭蓋内出血、血胸、気胸、肋骨・胸骨骨折、上肢骨折、頭蓋骨骨折、肺挫傷、脾臓・腎臓損傷などが多くみられました。外傷重症度スコアの差によって補正した場合、これらのうち電車-自動車事故で有意に多かったのは頭部・顔面の裂創でした。また電車-自動車事故の場合、その重症度を反映して入院期間が長くなりました(7.5日 vs. 4日)。今回紹介した論文では、電車-自動車事故のほうが自動車‐自動車事故よりも重度であるという結果でした。日本の場合、踏切内の停止が最も事故を起こしやすい状況だと思いますので、踏切の警報機がカンカンと鳴り始めたら侵入しないように気を付けなければなりませんね。インデックスページへ戻る

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アスピリン・NSAIDsと大腸がんリスクの関連メカニズム/JAMA

 遺伝子と環境の相互作用を考慮したゲノムワイド研究で、アスピリンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の単独または両薬の常用と、大腸がんリスク低下との関連が遺伝子レベルで明らかにされた。米国・インディアナ大学のHongmei Nan氏らが報告した。検討により、染色体12と15の一塩基多型(SNP)で、常用とリスクとの関連は異なることが示され、遺伝子型によっては常用でリスクが高まる人がいることが明らかにされた。所見を受けて著者は「被験者を追加した検討で今回の所見が確認されれば、ターゲットを絞った大腸がんの予防戦略を促進するだろう」と述べている。JAMA誌2015年3月17日号掲載の報告より。遺伝子×環境相互作用のゲノムワイド分析 研究グループは、先行研究でアスピリンとNSAIDsの使用と大腸がんリスク低下との関連が示されているが、その関連のメカニズムは不明であったことから、共通の遺伝マーカーを特定する検討を行った。大腸がんリスクに関して、アスピリンやNSAIDs(もしくはその両方)の常用とSNPとの遺伝子×環境相互作用を調べた。 検討は症例対照研究にて行われた。米国、カナダ、オーストラリア、ドイツで1976~2003年に開始され1976~2011年に大腸がん診断の確認が行われた、5件のケースコントロールと5件のコホート研究のデータを包含した。症例群は8,634例、適合対照群8,533例で、被験者はすべてヨーロッパ系であった。 ゲノムワイドSNPデータと、アスピリン・NSAIDsの常用に関する情報、その他リスク因子を調べ、大腸がんを主要評価項目として分析した。遺伝子型によってはリスクが高くなる人がいることが判明 アスピリン・NSAIDsの常用は非常用と比べて、大腸がんリスク低下との関連が確認された(有病率:症例群28%[2,455/8,634例] vs. 適合対照群38%[3,221/8,553例]、オッズ比[OR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.64~0.74、p=6.2×10-28)。 通常のロジスティック回帰分析の結果、MGST1遺伝子に近在する染色体12p12.3のSNP rs2965667が、アスピリン・NSAIDs常用との有意な相互作用を示した(交互作用のp=4.6×10-9)。また、そのうちSNP rs2965667-TT遺伝子型を有する人では、アスピリン・NSAIDs常用と大腸がんリスクの低下がみられたが(有病率28% vs. 38%、OR:0.66、95%CI:0.61~0.70、p=7.7×10-33)、まれに存在するTAまたはAA遺伝子型を有する人(4%)では、常用により大腸がんリスクが高まることがみられた(有病率:35% vs. 29%、OR:1.89、95%CI:1.27~2.81、p=0.002)。 症例のみ相互作用分析では、IL16遺伝子に近在する染色体15q25.2のSNP rs16973225が、アスピリン・NSAIDs常用との有意な相互作用を示した(交互作用のp=8.2×10-9)。また、rs16973225-AA遺伝子型を有する人では、アスピリン・NSAIDs常用と大腸がんリスクの低下がみられたが(有病率:28% vs. 38%、OR:0.66、95%CI:0.62~0.71、p=1.9×10-30)、一般的ではないが有する人がいるACまたはCC遺伝子型の人(9%)では、常用と大腸がんリスクとの関連はみられなかった(有病率36% vs. 39%、OR:0.97、95%CI:0.78~1.20、p=0.76)。

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冠動脈疾患の検出、CT血管造影 vs.機能的検査/NEJM

 冠動脈疾患(CAD)が疑われる症状を有する患者への非侵襲的検査について、CT血管造影(CTA)と機能的検査(運動負荷心電図、運動/薬剤負荷心筋シンチ、負荷心エコー)を比較した結果、追跡期間中央値2年間の患者の臨床的アウトカムに違いはみられないことが示された。米国・デューク大学のPamela S. Douglas氏らが無作為化試験の結果、報告した。CADの示唆的な症状は多くの患者でみられ、診断検査が行われる頻度は高いが、治療ガイドのための無作為化試験のデータは限定的であった。NEJM誌オンライン版2015年3月14日号掲載の報告より。CTA群vs.機能的検査群の無作為化試験でアウトカムを評価 試験は、症候性の患者1万3例を、CTAを行う群または機能的検査を行う群に無作為に割り付けて行われた。 主要エンドポイントは死亡・心筋梗塞・不安定狭心症による入院または検査に関連した重大合併症の複合とした。副次エンドポイントは、閉塞性CADを認めなかった侵襲性心臓カテーテルの施行、累積放射線曝露量などであった。 患者の平均年齢は60.8±8.3歳、52.7%が女性、87.7%は胸痛または運動性呼吸困難を有していた。検査前閉塞性CADの平均尤度は、53.3±21.4%であった。CTA群のほうが心カテ施行が多く、放射線曝露も多い 追跡期間中央値25ヵ月の間、主要エンドポイントの発生は、CTA群164/4,996例(3.3%)、機能的検査群151/5,007例のうちの151(3.0%)であった(補正ハザード比:1.04、95%信頼区間[CI]:0.83~1.29、p=0.75)。 CTA群は機能的検査群と比べて、無作為化後90日間で心カテを受けた患者が多かった(12.2% vs. 8.1%)。閉塞性CADのない心カテ施行は有意に少なかった(3.4% vs. 4.3%、p=0.02)。 また、患者当たりの累積放射線曝露の中央値は、CTA群が機能的検査群よりも低かった(10.0mSv vs. 11.3mSv)。しかし、機能的検査群では患者の32.6%が非曝露で、全体的な曝露量はCTA群が有意に多かった(平均12.0mSv vs. 10.1mSv、p<0.001)。

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脳梗塞の発症しやすい曜日

 脳卒中発症の時間的なパターンを知り、可能性のあるトリガーを探索することは、脳卒中発症率を減少させるために重要である。脳卒中が特定の曜日に頻繁に発症する場合、何らかの「トリガー因子」が脳卒中を誘発するものと考えられる。京都府医師会脳卒中登録事業委員会では、11年間にわたる病院ベースの脳卒中登録より、曜日による脳卒中発症率の違いを調査した。その結果、脳梗塞においては、年齢・性別にかかわらず日曜日より月曜日のほうが発症率が高かった。著者らは、脳梗塞では発症の「トリガー因子」が存在するという仮説を提案している。BMJ Open誌2015年3月24日号に掲載。 1999年1月~2009年12月の間に京都府全体で1万3,788例の脳卒中患者が特定され、京都府医師会脳卒中登録(KSR)に登録された。脳卒中を発症した曜日に基づいて患者を7グループに分類。曜日ごとの発症率の違いをχ2検定を用いて検討し、さらに日曜日の脳卒中発症率を基準とした各曜日の脳卒中発症のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を多項ロジスティック解析により算出した。 主な結果は以下のとおり。・脳卒中発症の各曜日のOR(95%CI)は、月曜日1.157(1.030~1.293)、火曜日1.101(0.981~1.236)、水曜日1.059(0.943~1.188)、木曜日1.091(0.972~1.225)、金曜日1.053(0.938~1.205)、土曜日1.074(0.956~1.205)であった。・脳卒中のサブタイプ別にみると、脳梗塞の発症率は、年齢・性別にかかわらず、日曜日より月曜日のほうが高かった(OR:1.189、95%CI:1.034~1.366、p=0.014)。・脳出血やくも膜下出血では曜日による差はみられなかった。・周期的に生じる要因が脳梗塞の発症率に影響を与えると思われ、これは危険因子の長期曝露による累積的影響とは異なるメカニズムを示唆している。

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抗うつ薬の副作用発現を予測するために

 抗うつ薬の代謝において、シトクロムP450酵素は重要な役割を担っている。これら酵素の高度に多様な性質は、抗うつ薬の代謝率の変動と関連しており、P450の遺伝子型判定を利用した推奨治療の決定につながる可能性がある。しかし、P450遺伝子の違いが治療効果に影響を及ぼすかどうかは明らかになっていない。英国のキングス・カレッジ・ロンドンのKaren Hodgson氏らは、P450遺伝子型および抗うつ薬の血清濃度と副作用との関連を検討した。Psychopharmacology誌オンライン版2015年3月12日号の報告。 本研究では、P450遺伝子型と抗うつ薬の血清濃度、副作用との関連および投与中止との関連を調査した。ゲノムワイド遺伝薬理学研究のうつ病プロジェクト(GENDEP)のデータを用い抽出した、エスシタロプラムまたはノルトリプチリンで治療されたうつ病患者868例を対象とした遺伝薬理学的研究。対象患者は、CYP2C19とCYP2D6の遺伝子型を特定し、抗うつ薬と1次代謝物の血清濃度を治療8週間後に測定した。副作用は毎週評価した。 主な結果は以下のとおり。・P450遺伝子型は、すべての副作用発現(ノルトリプチリン:251例、p=0.5638、β=-0.133、SE=0.229;エスシタロプラム:340例、p=0.9627、β=-0.004、SE=0.085)、投与中止(ノルトリプチリン:284例、HR 1.300、p=0.174;エスシタロプラム:376例、HR 0.870、p=0.118)、特定の副作用のいずれも予測しなかった。・抗うつ薬の血清濃度は、少数の特定の副作用(口内乾燥、めまい、下痢)とのみ関連していた。・本試験では、臨床的判断により抗うつ薬の投与量を決定していたため、P450遺伝子型によって抗うつ薬の副作用発現を説明することはできなかった。関連医療ニュース うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない 各種抗うつ薬の長期効果に違いはあるか 抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮

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降圧は「The faster the better(速やかなほど、よし)」へ(解説:桑島 巌 氏)-331

 これまで降圧速度に関しては、急激な降圧が臓器虚血を誘発する可能性があるとの考え方から、概念的に「The slower the better(ゆっくりなほど、よし)」というコンセプトを持つ専門家が多かった。しかし、この考え方を支持する科学的根拠はほとんどなかったのである。 近年の心血管疾患のコンセプトは、血管病という概念により、酸素や栄養成分の補給路、ライフラインである“血管”の破綻が心筋梗塞や脳梗塞をもたらし、治療においては、血管保護こそが心血管疾患発症予防に重要であるとの考え方が主流になりつつある。 たとえていえば、傷んだ道路に対しては速やかな対策、すなわち通行制限が急務ということになり、高血圧治療では、速やかな降圧こそが心血管合併症予防に有効なのである。このことを証明したトライアルが、ARBバルサルタンの心血管疾患合併症予防効果をアムロジピンと比較したVALUE試験である。 value試験では、6ヵ月間の血圧調整期間において、アムロジピン群の降圧効果がバルサルタン群よりも大きかったために、心筋梗塞や脳卒中の発生が少なかったことから、速やかな降圧こそが重要であることを示唆した。 本研究は英国のプライマリケア受診症例の長期追跡による結果であるが、まさに、降圧は「The faster the better(速やかな降圧ほど、よし)」を科学的に証明したという点で意義がある。速やかとはいってもアダラートカプセルのように服用後1、2時間で降圧させることは危険であることは言うまでもなく、本論文の主旨は、数週間単位での降圧速度のことであり、まずは、少なくとも1.4ヵ月以内に収縮期血圧を150mmHg以下に下げることが、脳心血管合併症予防に重要であることを示唆している。

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Vol. 3 No. 3 大動脈弁狭窄症患者の特徴

有田 武史 氏九州大学病院ハートセンター内科はじめに大動脈弁狭窄症(AS)患者が増えている。大動脈弁狭窄はリウマチ性のものと加齢変性によるものの2つの原因によるものがほとんどである。リウマチ性弁膜症の新規発症症例は激減しており、大部分は加齢変性によるものである。加えて近年の診断技術の評価、ならびに診断基準の変化(進化)が新規ASの診断数を増やしている。本稿では近年の日本におけるAS患者の特徴につき概説を行う。AS患者の背景ASは加齢とともに増加し、平均年齢は明らかに他の弁膜症よりも高齢である。75歳以上の患者9,723人をメタ解析した報告によれば、75歳以上の3.4%に重症ASが認められた1)。また解析数は少ないが、日本からの報告では、重症ASの平均年齢は78.4歳であり、85 歳以上が10%に認められた2)。大動脈弁閉鎖不全や僧房弁閉鎖不全は弁尖の逸脱や弁尖変性などが原因のほとんどであるのに対して、加齢変性によるASは弁の基部から石灰化を中心とした弁変性が進行し弁全体の硬化につながるのが特徴的である。弁交連部が癒合しあたかも二尖弁のように見えることもあるが、基本的には先天性二尖弁のrapheと異なり交連癒合そのものはそれほど強くない。弁の硬化のメカニズムについては、従来より骨代謝の観点、動脈硬化の観点、炎症の観点などから研究されてきた。確かに大動脈弁の大動脈側は血管内皮に被覆されており、高齢者に多く認められる病態であることから、大動脈弁狭窄は動脈硬化または血行動態的に負荷を受け続けた“なれの果て”のようにいわれることもある。しかしながら近年の報告では、大動脈弁硬化症から狭窄症への進展には石灰化と骨化のメカニズムが深く関与しており、能動的な炎症のプロセスが関与していることがわかってきている3)。骨粗鬆症、大動脈弁狭窄、動脈硬化は、脂肪沈着をはじめ多くの共通のプロセスをもつ(本誌p.9図1を参照)4)。しかしながら、動脈硬化を進展抑制または退行させることが証明されているスタチン製剤やアンギオテンシン阻害薬は、大動脈弁狭窄の進行を抑制することはできなかったことがいくつかの研究より明らかになっている。同様に、骨粗鬆症の薬もASの進行を抑制するまでには至らなかった。近年、骨化のメカニズムに炎症が関与しているとの研究が多くなされ、抗炎症薬(例えば低用量メトトレキサート)のASの進行抑制に対する効果を検証する研究も行われている5)。透析患者においてASは高率に認められる。透析患者においては副甲状腺機能亢進症を続発的に認めることが多く、カルシウムおよびリンの代謝の変調が弁硬化/弁狭窄をもたらすことは容易に理解できる。しかしながら、続発性副甲状腺機能亢進症の治療薬で透析患者におけるASの進展を抑制したというエビデンスはない。このように硬化性ASの病態は炎症・動脈硬化・石灰化・骨化のメカニズムが複合的に関与している。単純に“動脈硬化のなれの果て”ではないことをよく理解し、診療にあたることが肝要である。心エコーによる診断ASの診断は、いまではもっぱらドプラーエコーを用いた連続の式により弁口面積ならびに弁前後の圧較差を求めることで診断する。面積では弁口面積1.0cm2以下または体表面積補正弁口面積0.6cm/m2以下を重症とし、圧較差では平均圧較差で40mmHg以上を重症とする。重症度という意味ではこの二変数のみで評価することは可能であるが、弁の形態・機能、左室の形態・機能という観点からはいくらかの多様性がある。1. 弁硬化のパターン通常、硬化性ASの大動脈弁の病変は交連部ではなく弁尖の基部または底部から始まる。NCCには冠動脈開口部がなく、そのためNCCにはよりずり応力がかかることから石灰化が進みやすいとされる4)。一般的にはリウマチ性ASでは交連部癒着が高度であり、硬化性ASでは交連部は変性がみられるのみで癒合に乏しい(本誌p.10図2を参照)6)。後天性二尖弁と俗に呼ばれる交連部が癒着した三尖大動脈弁狭窄も散見されるが、rapheの高さによって先天性二尖弁とは区別される(先天性は弁尖縁の高さよりもrapheが低い)7)。後天性二尖弁の原因は以前はリウマチ性が多いとされてきたが、硬化性ASにおいても可動性がほとんどないために癒合しているように見えるものもあり注意が必要である。2. 左室の形態・機能大動脈弁位で圧較差があるため、左室にとっての後負荷は甚大なものとなり、通常左室は求心性左室肥大を呈することが多い。しかしながらMRIを用いたDweckらの報告によれば、ASを有する左室では左室肥大を呈さないまま左室内腔の狭小化した、いわゆる求心性リモデリングした左室もしばしば認められる。Dweckらによれば、左室肥大の程度は大動脈弁弁口面積とは関係なく、求心性肥大のほかにも正常形態(12%)、求心性リモデリング(12%)、非代償化(11%)などが認められたという(本誌p.11図3を参照)8)。重症ASでなぜ左室肥大が起こらないのか、機序についてはまだ確立したものはないが、左室重量は大動脈弁狭窄の重症度とは関係がなく、むしろ性別や高血圧の程度、その他の弁機能異常などと関係が強く、また症状との関係が強いことが他の研究でも示唆されている。正常の重症ASに関しては、左室重量が治療法選択の面でも注意が必要である。low gradient ASはASなのか?Doppler法による弁口面積測定が一般的になるにつれ面積としては十分に狭いが圧較差がそれほどでもないという症例をしばしば経験するようになった。近年では重症AS(AVAi<0.6cm2/m2)をflowとpressure gradientの2変数によって4群に分けることで層別化を図ろうとする考えがある。Lance-llottiらは、無症候性重症ASを4群に分けてフォローし、low flow, low gradient ASが最も予後が悪く、次にいずれかのhigh gradient ASがつづき、normal flow, low gradient ASは比較的予後がよいという報告を行った(本誌p.12 図4を参照)9)。Flowはvelocity x areaであり、gradientとvelocityは二乗比例の関係にある。よってflowとgradientが乖離するような症例はareaが小さい、すなわち左室流出路が小さい症例ということになる。おそらくはそのような症例はS字状中隔の症例が多く、体格が小さく、弁輪部の石灰化も高度で測定の誤差もあるのかもしれないが、現象論としてnormal flow, low gradientのASは全例が予後不良ではないかもしれない、という認識をもつことが重要である。超高齢者のASの問題点:Frailtyの評価と老年医学的評価の重要性近年、TAVIを治療法の1つとして日常的に検討するようになり、超高齢者(85歳以上)を診察治療することが多くなってきた。上述のように弁口面積や左室機能形態を評価することはもちろん重要であるが高齢者はさまざまな身体的問題を抱えているのが普通である。認知機能障害、ふらつき、運動機能障害、栄養障害など、それらを総称して老年症候群と呼ぶが、老年症候群の1つとしてfrailty(虚弱、フレイル)が年齢とは独立した予後規定因子として近年広く認識されるようになった。Frailtyの特徴は(1)力が弱くなること、(2)倦怠感や日常動作がおっくうになること、(3)活動性が低下すること、(4)歩くのが遅くなること、(5)体重が減少すること、の5つに集約され、このうち3つ以上該当すればfrailtyありと考える10)。日本の介護保険制度との関連で考えると、frailtyありの状態(“フレイルの状態”)は要介護の前段階であり、この兆候を早期に診断し、介入することは極めて重要であると思われる。残念ながら、多くの病院勤務循環器内科医は専門医に過ぎず、治療適応外と判断された多くの高齢者に対して、人生の終わりまで寄り添うような診療はできていないのが実情であると思われる。または、外科手術の適応と判断したときから心臓外科にすべてを委ねてはいなかったか。今後TAVIが日常的な医療行為になるにつれ、循環器病棟は高齢者で溢れてくることが容易に予想される。平均寿命を優に超えてしまった患者に対して行う医療は、何を目的とすべきだろうか。予後の改善であろうか、QOLの改善であろうか。大動脈弁狭窄を解除することだけが治療の目的でないことは明白である。TAVIを施行するにあたっては、弁の状態、心血管機能の評価、他臓器の評価、老年医学的全身評価の4段階にわたる評価が重要である。そのうえで、TAVIの目的をどこに置くかということに関しては個々の症例により判断が異なるため、多職種から構成されるハートチームでの議論が必要不可欠である。文献1)Osnabrugge RL et al. Aortic stenosis in the elderly: disease prevalence and number of candidates for transcatheter aortic valve replacement: a meta-analysis and modeling study. J Am Coll Cardiol 2013; 62: 1002-1012.2)Ohno M et al. Current state of symptomatic aortic valve stenosis in the Japanese elderly. Circ J 2011; 75: 2474-2481.3)Lindman BR et al. Current management of calcific aortic stenosis. Circ Res 2013; 113: 223-237.4)Dweck MR et al. Calcific aortic stenosis: a disease of the valve and the myocardium. J Am Coll Cardiol 2012; 60: 1854-1863.5)Everett BM et al. Rationale and design of the Cardiovascular Inflammation Reduction Trial: a test of the inflammatory hypothesis of atherothrombosis. Am Heart J 2013; 166: 199-207 e15.6)Baumgartner H et al. Echocardiographic assessment of valve stenosis: EAE/ASE recommendations for clinical practice. J Am Soc Echocardiogr 2009; 22: 1-23; quiz 101-102.7)Cardella JF et al. Association of the acquired bicuspid aortic valve with rheumatic disease of atrioventricular valves. Am J Cardiol 1989; 63: 876-877.8)Dweck MR et al. Left ventricular remodeling and hypertrophy in patients with aortic stenosis: insights from cardiovascular magnetic resonance. J Cardiovasc Magn Reson 2012; 14: 50.9)Lancellotti P et al. Clinical outcome in asymptomatic severe aortic stenosis: insights from the new proposed aortic stenosis grading classification. J Am Coll Cardiol 2012; 59: 235-243.10)Fried LP et al. Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001; 56: M146-156.

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偏差値じゃダメですか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(061)

六十一の段 偏差値じゃダメですか?前回、前々回に引き続いて医学生との雑談を紹介しましょう。今度は普通の男子医学生で、面接試験のコツを伝授することにしました。 中島 「どこに行ってもきかれる質問には答えを準備しておいた方がエエよ」 学生 「たとえばどんな質問ですか?」 中島 「『君は将来どういう医師になりたいか』とか、『なぜ医学部に入ろうと思ったのか』とか、その辺かな」 学生 「偏差値が高かったからじゃダメですか?」 「医学部の偏差値が高かったから挑戦しがいがあった」という意味なのか、「自分のお勉強の偏差値が高かったから挑戦した」という意味なのか、ちょっと謎です。多分、両方なのでしょう。 中島 「そんな答えじゃあ、落ちてしまうぞ」 学生 「でも、そんな奴ばっかじゃないですか」 中島 「そうかもしれんけどな。そこは大人の対応というか、大人の答えっちゅうもんがあるやろ」 自分も身に覚えがあるので、この学生の言いたいことはよくわかります。それに、立派な考えで医学部に入った人が、立派なお医者さんになっているかというと、必ずしもそうではありません。 中島 「とにかくな、『知識・技術を磨くのはもちろんのこと、患者さんに信頼される医師になりたいです』ということを君自身の言葉に置き換えて答えるんや」 学生 「はあ」 私のアドバイス、あまり学生の心には響かなかったようです。最後に1句面接は 大人の対応 忘れずに

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ステント留置後DAPTの至適期間は?/Lancet

 薬剤溶出ステント留置後1年超の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、心筋梗塞およびステント塞栓症のリスクは低いが、死亡リスクは増大することが明らかにされた。同群の死亡増大は、心臓死の減少分よりも非心血管死の増大分が大きかったためであった。イタリア・ボローニャ大学のTullio Palmerini氏らがネットワークメタ解析の結果、報告した。直近の試験報告でも、ステント留置後DAPTの至適期間は不明なままであった。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告より。短期vs. 長期、6ヵ月以下vs. 1年vs. 1年超について評価 研究グループは異なるDAPT戦略の死亡およびその他アウトカムを、ペアワイズおよびベイジアン・ネットワークメタ解析で調べた。2014年11月20日時点でMedline、Embase、Cochraneデータベース、国際会議録を対象に、薬剤溶出ステント留置後、異なるDAPT期間を比較している無作為化試験を検索した。試験デザイン、包含・除外基準、サンプルの特色、臨床的アウトカムを抽出し、試験ごとにDAPT期間群を短期群vs. 長期群、6ヵ月以下群vs. 1年群vs. 1年超群に分類して比較した。 分析は、頻度論的(frequentist)法とベイジアン法の両アプローチで行った。長期DAPTは死亡リスクを増大するが、一概に否定はできない 2011年12月16日~2014年11月16日に発表された10試験を特定した。無作為化を受けた患者3万1,666例が含まれていた。 頻度論的ペアワイズメタ解析の結果、短期DAPT群のほうが長期DAPT群よりも、全死因死亡が有意に低下した(ハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.69~0.98、p=0.02、治療必要数[NNT]=325例、試験全体で有意な不均一性なし)。 短期DAPT群の死亡抑制には、非心臓死の有意な減少が寄与していた(同:0.67、0.51~0.89、p=0.006、NNT=347例)。心臓死は同程度であった(同0.93、0.73~1.17、p=0.52)。 また、短期DAPT群は重大出血リスクを低下したが、心筋梗塞およびステント塞栓症のリスクは高かった。 同様の結果は、事前情報なしフレームワークのベイジアン分析でもみられた。 ネットワークメタ解析では、6ヵ月以下および1年DAPT群は、1年超DAPT群よりも、心筋梗塞およびステント塞栓症のリスクは高く、死亡リスクは低かった。 なお6ヵ月以下DAPT群は、1年DAPT群と比べて、死亡、心筋梗塞、ステント塞栓症の発生率は同程度であった。重大出血リスクは低かった。 これらの結果について著者は、長期DAPTを一概に否定するものではなく、「われわれは、患者個別のベネフィット-リスクに十分注意して行うことを推奨する」とまとめている。さらに、「今後の研究で、長期DAPTのベネフィットvs. リスクバランスの影響を、人口統計学的、検査ベースおよび遺伝子変異でモデル化することが求められる」と述べている。

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エナラプリル+葉酸、脳卒中を有意に低下/JAMA

 降圧薬エナラプリル(商品名:レニベースほか)単独よりも、葉酸を併用したほうが、高血圧患者の脳卒中初発が有意に低下したことが報告された。中国・北京大学第一病院のYong Huo氏らが、同国高血圧患者で脳卒中または心筋梗塞の既往歴がない2万702例を対象に行った無作為化二重盲検試験CSPPTの結果、報告した。これまで、脳卒中1次予防に関する葉酸の効果については、データが限定的および一貫性がないため不明であった。JAMA誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。中国人高血圧患者2万例超で、vs.エナラプリル単独の二重盲検無作為化試験 研究グループは、中国人高血圧患者の1次予防に関して、エナラプリル単独よりも葉酸サプリメントを併用したほうが、初発の脳卒中発生を抑制する効果が大きいとの仮説について検証するCSPPT(China Stroke Primary Prevention Trial)を行った。 試験は2008年5月19日~2013年8月24日に、江蘇省と安徽省の32地域で行われ、高血圧症で脳卒中または心筋梗塞既往歴のない2万702例が参加した。 被験者を、MTHFR C677T遺伝子型(CC、CT、TT)によって層別化し、1日1回、エナラプリル10mgと葉酸0.8mgを含んだ合剤を投与(1万348例)またはエナラプリル10mg錠剤を投与(1万354例)する群に無作為に二重盲検下で割り付けて追跡した。 主要アウトカムは脳卒中の初発であった。副次アウトカムは、初発の虚血性脳卒中、初発の出血性脳卒中、心筋梗塞、心血管イベント複合(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)、全死因死亡などだった。併用群の初発脳卒中リスクハザード比0.79 治療期間中央値4.5年間で、エナラプリル単独群と比較して、葉酸併用群は、初発脳卒中リスクは有意に低下した(葉酸併用群2.7% vs. エナラプリル単独群3.4%)。ハザード比(HR)は0.79(95%信頼区間[CI]:0.68~0.93)だった。また、初発の虚血性脳卒中(同:2.2% vs. 2.8%、HR:0.76)、心血管イベント複合(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)(同:3.1% vs. 3.9%、HR:0.80)も有意に低下した。 一方、出血性脳卒中(HR:0.93)、心筋梗塞(同:1.04)、全死因死亡(同:0.94)は、両群で有意差はみられなかった。 有害事象の発生頻度については両群間で有意差はなかった。

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テリパラチドは椎体圧潰を予防する?

 椎体骨折はしばしば骨粗鬆症患者に認められる。骨粗鬆症薬テリパラチド(商品名:フォルテオほか)は骨癒合促進作用も期待されていることから、中通総合病院(秋田県秋田市)の土江 博幸氏らは、骨粗鬆症性新鮮椎体骨折に対するテリパラチドの椎体圧潰予防効果について検討した。その結果、テリパラチド20μg/日連日投与はリセドロネート(商品名:アクトネルほか)17.5mg/週投与に比べ、腰痛、椎体圧潰率、局所後弯角ならびにクレフト発生率が有意に低かった。結果を踏まえて著者は「テリパラチドは、脊椎骨折の後弯脊椎圧潰進行予防効果が示唆される」と述べている。Journal of Bone and Mineral Metabolism誌オンライン版2015年3月14日号の掲載報告。  検討は、骨粗鬆症性新鮮椎体骨折34例48椎体を対象に行われた。 テリパラチド20μg/日(連日投与群)、テリパラチド56.5μg/週(週1回投与群)またはリセドロネート17.5mg/週(RIS群)を投与した(それぞれ10例20椎体、11例15椎体および13例14椎体)。 評価項目は、腰痛(視覚アナログスケール[VAS])、骨折椎体圧潰率、局所後弯角および骨折椎体内のクレフト発生率で、骨粗鬆症治療薬を服用していない22例の椎体骨折患者を対照として評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療開始時は、あらゆる評価項目について、有意差はみられなかった。・初回受診後8週後および12週後において、VASが、テリパラチド連日投与群ならびに週1回群がRIS群より有意に低かった(p<0.05)。・圧潰率および局所後弯角は、8週後および12週後において、テリパラチド連日投与群が、RIS群ならびに対照群より有意に低く(それぞれp<0.01およびp<0.05)、またテリパラチド週1回群は対照群より有意に低かった(p<0.05)。・クレフト発生率について、テリパラチド連日投与群はRIS群より有意に低かった(p<0.05)。

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