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SGLT2阻害薬のCVイベント抑制効果、リアルワールドで示される:ACC.17

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ)は、SGLT2阻害薬の治療を受けた2型糖尿病患者の、心不全による入院ならびに総死亡のリスクを評価した、初の大規模リアルワールドエビデンス試験CVD-REALの結果を、2017年3月19日、第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC.17 )で発表した。 成人糖尿病患者は、世界中で4億1,500万人にのぼり、2040年までには6億4,200万人(成人の10人に1人)に増加すると推定されている。2型糖尿病患者の心不全のリスクは通常人より2~3倍高く、また、心臓発作および脳卒中の高いリスクにさらされており、死因の約50%が心血管疾患である。 CVD-REAL試験は、世界6ヵ国30万例超の2型糖尿病患者を対象として行われた(患者の87%は心血管系疾患の既往歴なし)。同試験では、広範な2型糖尿病患者集団全体において、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンは、他の糖尿病治療薬と比較して、心不全による入院率を39%(p<0.001)、総死亡率を51%(p<0.001)減少したことが示された。また、心不全による入院と総死亡の複合評価項目の減少率は46%(p<0.001)であった。 心不全による入院率の解析は、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者の匿名データを用いたもので、データの内訳は、ダパグリフロジン投与が全患者の41.8%、カナグリフロジン投与が52.7%、エンパグリフロジン投与が5.5%であった。一方、総死亡率の解析は、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者の匿名データを用い、データの内訳は、ダパグリフロジン投与が全患者の51.0%、カナグリフロジン投与が42.3%、エンパグリフロジン投与が6.7%であった。  今回の解析結果は、CVD-REAL試験の最初の比較解析結果。データの収集は継続しており、今後は今回の対象国だけでなく、他国のデータを加え、複数の解析が実施される予定である。本試験に用いられる解析データは、診療記録、苦情データベースおよび国内登録など、実臨床の情報源から入手された非特定化データ。本解析は、St. Luke’s Mid America Heart Institute(米国、カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証された。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリースCVD-REAL試験(Clinical Trials.gov)■「SGLT2阻害薬」関連記事SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

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臓器移植後の皮膚疾患、人種間の違いは?

 米国では、白人レシピエントの皮膚がんリスクについて特徴づけがされているが、臓器移植待機リストの大半を占める非白人については、皮膚疾患および皮膚がんリスクについてほとんど検討されていなかった。米国・ドレクセル大学のChristina Lee Chung氏らは、レシピエント412例の医療記録をレビューし、白人では悪性疾患が最も多いが非白人では感染症や炎症性疾患が多いこと、日光に曝されている部位での病変が最も多いのは白人とアジア人であること、一方で黒人レシピエントの病変の3分の2は日光に曝されていない部位での発症であることなどを明らかにした。JAMA dermatology誌オンライン版2017年3月8日号掲載の報告。 検討は、2011年11月1日~2016年4月22日の、1大学で治療を受けた412例の臓器移植レシピエントの医療記録をレビューして行われた。 皮膚疾患の有病率および特徴を、白人154例と非白人(アジア人、ヒスパニック、黒人など)258例で比較した。人口統計学的特性、がんの頻度やタイプ、解剖学的な発症部位、経過時間、日光曝露、またリスクに対する認識や予防的行動などを包含し、皮膚疾患とその他診断の臨床的因子についてレシピエント間で評価した。 主要評価項目は、一次診断が、がんまたは前がん病変、感染症、炎症性疾患とした。 主な結果は以下のとおり。・412例は、男性264例(64.1%)、女性148例(35.9%)、平均年齢は60.1歳(範囲32.1~94.3歳)であった。・白人レシピエントについて、初回外来受診で頻度が高かったのは、悪性疾患の診断であった(82例[67.8%])。一方で、非白人は感染症(63例[37.5%])と炎症性疾患(82例[48.8%])が多かった。・皮膚がんの診断は、白人レシピエントでは64例(41.6%)、非白人レシピエントでは15例(5.8%)であった。・白人とアジア人のレシピエントの大半の病変部位が、日光曝露域であった(それぞれ79.5%[294/370例]、83.3%[5/6例])。・黒人レシピエントでは、日光非曝露域(とくに性器)の病変が多かった(66.7%[6/9例])。・非白人レシピエントは、白人レシピエントと比較して、定期的な皮膚科検査の受診(11.4%[5例] vs. 36.4% [8例])、皮膚がんの兆候への理解(25.0%[11例] vs. 45.4%[10 例])がともに低かった。 非白人レシピエントの早期治療では、炎症性および感染性の疾患にフォーカスをすること、白人・アジア人・ヒスパニックレシピエントに対しては日焼け予防を強調すること、黒人レシピエントには、ヒトパピローマウイルス感染のサインを見逃さないように助言することが必要であると思われた。 一方で、移植後の皮膚疾患は人種や民族性に依拠している可能性はあるが、ベースラインでは、すべての患者であらゆるスキン評価を行うべきであると著者は述べている。

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キノコ摂取頻度が高いほど認知症リスク低い~大崎コホート研究

 in vivoやin vitroの研究においてキノコの神経保護作用や認知症を予防する可能性が示されているが、キノコと認知機能低下の関連について調べたコホート研究は少なく、関連が明らかになっていなかった。今回、一般住民を対象とした大規模前向きコホートである大崎コホート研究2006において、キノコの摂取頻度が高い高齢者では認知症発症のリスクが低いことが、世界で初めて明らかになった。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月13日号に掲載。 本研究の対象は、調査開始時点で65歳以上であった宮城県大崎市の住民1万3,230 人。ベースライン時のアンケート調査により、キノコの摂取頻度で「1回未満/週」「1~2回/週」「3回以上/週」の3群に分け、「1回未満/週」群を基準として、認知症発症との関連を検討した。ハザード比は、性別、年齢、BMI、既往歴(脳卒中、高血圧、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症)、教育、喫煙、飲酒、歩行時間、心理的ストレス、食物摂取量などの因子を調整し算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は5.7年間で、認知症発症率は8.7%であった。・キノコの摂取頻度が1回未満/週の群と比べた認知症発症の調整ハザード比(95%信頼区間)は、1~2回/週では0.95(0.81~1.10)、3回以上/週は 0.81(0.69~0.95)であった(傾向のp<0.01)。・この逆相関は、最初の2年間で認知症を発症した参加者と、ベースライン時に認知機能が低下していた参加者を除外した場合も同様であった。 なお、本研究の限界として、認知症の臨床診断データがなくアウトカムに誤分類が含まれていた可能性がある点、キノコ摂取頻度をベースライン調査のみで評価しているため頻度の変化が考慮されていない点、キノコの種類が不明である点などがある。

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アブレーション周術期の抗凝固、ダビガトランが有用/NEJM

 心房細動(AF)へのカテーテルアブレーション周術期の抗凝固療法において、ダビガトランの継続投与はワルファリンに比べ大出血イベントの発生が少ないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス医学研究所のHugh Calkins氏らが行ったRE-CIRCUIT試験で示された。脳卒中や全身性塞栓症は発現しなかったという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月19日号に掲載された。ダビガトランなどの非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)は、ワルファリンよりも安全性が優れる可能性が示唆されているが、これを検証したデータはこれまでなかった。635例で大出血を評価する無作為化試験 本研究は、日本を含む11ヵ国104施設が参加する非盲検無作為化対照比較試験であり、2015年4月~2016年7月に患者登録が行われた(Boehringer Ingelheim社の助成による)。 カテーテルアブレーションが予定されている発作性および持続性の非弁膜症性AF患者が、2つの抗凝固薬に無作為に割り付けられた。このうち実際にアブレーションを受けた635例(ダビガトラン群:317例、ワルファリン群:318例)が解析の対象となった。 ダビガトランは150mgを1日2回投与し、ワルファリンは国際標準化比(INR)2.0~3.0を目標値とした。アブレーションは4~8週間の継続的抗凝固療法後に施行され、アブレーション中および施行後8週間の継続的抗凝固療法が行われた。 主要評価項目は、アブレーション中および施行後8週間までの大出血の発生とし、副次評価項目には血栓塞栓症などの出血イベントが含まれた。大出血イベント:1.6 vs.6.9% ベースラインの平均年齢は、ダビガトラン群が59.1歳、ワルファリン群は59.3歳、男性がそれぞれ72.6%、77.0%を占めた。発作性AFが67.2%、68.9%であり、平均活性化全血凝固時間は330秒、342秒、平均CHA2DS2-VAScスコアは2.0、2.2であった。 アブレーション中および施行後8週間までの大出血イベントの発生率は、ダビガトラン群が1.6%(5例)と、ワルファリン群の6.9%(22例)に比べ有意に低かった(リスクの絶対差:-5.3%、95%信頼区間[CI]:-8.4~-2.2、p<0.001)。ダビガトラン群の相対的なリスク低下率は77.2%であった。Cox比例ハザード解析では、ハザード比(HR)は0.22(95%CI:0.08~0.59)だった。 ダビガトラン群は、大出血イベントのうち心膜タンポナーデ(1 vs.6件)および鼠径部血腫(0 vs.8件)が少なく、アブレーション中~施行後1週間の大出血(4 vs.17件)が少なかった。また、ダビガトラン群の大出血のうち、処置を要したのは心膜タンポナーデの4例(心膜ドレナージ)のみで、特異的中和薬イダルシズマブを要する患者はいなかった。 ダビガトラン群では脳卒中、全身性塞栓症、一過性脳虚血発作(TIA)は認めず、ワルファリン群ではTIAが1例にみられた。小出血イベントの頻度は両群でほぼ同等であった(ダビガトラン群:18.6%、ワルファリン群:17.0%)。また、大出血と血栓塞栓イベント(脳卒中、全身性塞栓症、TIA)の複合エンドポイントの発生率は、ダビガトラン群が低かった(1.6 vs.7.2%)。 重篤な有害事象は、ダビガトラン群の18.6%、ワルファリン群の22.2%にみられたが、致死的イベントは発現しなかった。重度有害事象はダビガトラン群で少なく(3.3 vs.6.2%)、投与中止の原因となった有害事象の頻度は両群とも低かった(5.6 vs.2.4%)。 著者は、「ダビガトランの大出血イベントの抑制作用は、より特異的な作用機序に関連する可能性があり、凝固因子産生の抑制作用よりも、直接的なトロンビン阻害作用によると考えられる」とし、「これらのアウトカムは、ダビガトランの有用性が示されたRE-LY試験の結果と一致する」と指摘している。

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やはりthe lower the betterだった(解説:興梠 貴英 氏)-659

 これまでコレステロール低下療法のエビデンスにおいて、スタチンが数の上で圧倒的に多かった。しかもezetimibeは試験デザイン上の問題から、なかなかthe lower the betterを示すことができなかった。そのため、PCSK9の機能喪失変異に伴う心血管リスク低減という疫学的な知見や、PCSK9阻害薬の第II相試験の予備的な結果で心血管リスクが低減することが示唆されたということはあったものの、PCSK9阻害薬による実際の介入で心血管系エビデンスを減らすのかについては、きちんと実施された臨床試験の結果を待たなくてはならなかった。 さて、本FOURIER試験では動脈硬化性心血管疾患を有しており、LDL-Cが70mg/dL以上ですでにスタチン治療を受けている2万7,564例の患者をエボロクマブ群、プラセボ群の2群にランダム割り付けして中央値2.2年間追跡した。患者背景で興味深いのは、8割以上が陳旧性心筋梗塞の患者であり、またそれにもかかわらず、喫煙者の割合が3割弱もいることである。つまり、心血管疾患の再発のリスクが高い集団であるが、結果は血清LDL-C濃度においてはエボロクマブ群でLDL-C 30mg/dL、プラセボ群で86mg/dLという差がつき、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイント発生をエボロクマブ群で有意に低下させたというものであった(NNT=67例)。また、開発段階で可能性が示唆された認知機能への影響を含む副作用には、両群間で差が認められなかった(注射部位の副反応を除く)。 本試験の結果は、2年余りという比較的短い期間ではあるが、LDL-Cを30mg/dLまで低下させても安全上の問題がないこと、またその範囲でPCSK9阻害薬でLDL-Cを下げても、心血管系イベントについてthe lower the betterであることを示すものであった。本試験には日本人も参加していたので、今後サブ解析で日本人に関する結果が出てくることにも期待したい。

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自己免疫性溶血性貧血〔AIHA: autoimmune hemolytic anemia〕

1 疾患概要■ 概念・定義自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia:AIHA)は、赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体が産生され、抗原抗体反応の結果、赤血球が傷害を受け、赤血球の寿命が著しく短縮(溶血)し、貧血を来す。AIHAは、自己抗体の性状によって温式抗体によるものと、冷式抗体によるものに2大別される。温式抗体(warm-type autoantibody)による病型を単に自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と呼ぶことが多い。冷式抗体(cold-type autoantibody)による病型には、寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)と発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria:PCH)とがある。温式抗体は体温付近で最大活性を示し、原則としてIgG抗体である。一方、冷式抗体は体温以下の低温で反応し、通常4℃で最大活性を示す。IgM寒冷凝集素とIgG二相性溶血素(Donath-Landsteiner抗体)が代表的である。時に温式抗体と冷式抗体の両者が検出されることがあり、混合型(mixed type)と呼ばれる。■ 疫学AIHAの推定患者数は100万人対3~10人、年間発症率は100万人対1~5人で、病型別比率は、温式AIHA90.4%、CAD7.7% 、PCH1.9%とされている。温式AIHAの特発性/続発性は、ほぼ同数に近いと考えられる。特発性温式AIHAは、小児期のピークを除いて二峰性に分布し、若年層(10~30歳で女性が優位)と老年層(50歳以後に増加し70代がピークで性差はない)に多くみられる。全体での男女比は1~2:3で女性にやや多い。CADのうち慢性特発性は40歳以後にほぼ限られ男性に目立つが、続発性は小児ないし若年成人に多い。PCHは、現在そのほとんどは小児期に限ってみられる。■ 病因自己抗体の出現機序として次のように整理されている。1)免疫応答機構は正常だが患者赤血球の抗原が変化して、異物ないし非自己と認識される。2)赤血球抗原に変化はないが、侵入微生物に対して産生された抗体が正常赤血球抗原と交差反応する。3)赤血球抗原に変化はないが、免疫系に内在する異常のために免疫的寛容が破綻する。4)すでに自己抗体産生を決定付けられている細胞が、単または多クローン性に増殖または活性化され、自己抗体が産生される。■ 症状1)温式AIHA臨床像は多様性に富み、発症の仕方も急激から潜行性まで幅広い。とくに急激発症では発熱、全身衰弱、心不全、呼吸困難、意識障害を伴うことがあり、ヘモグロビン尿や乏尿も受診理由となる。急激発症は小児や若年者に多く、高齢者では潜行性が多くなるが例外も多い。受診時の貧血は高度が多く、症状の強さには貧血の進行速度、心肺機能、基礎疾患などが関連する。黄疸もほぼ必発だが、肉眼的には比較的目立たない。特発性でのリンパ節腫大はまれである。脾腫の触知率は32~48%で、サイズも1~2横指程度が多い。温式AIHAの5~10%程度に直接クームス試験が陰性のものがあり、クームス陰性AIHAと呼ばれる。クームス試験が陽性にならない程度のIgG自己抗体が赤血球に結合しており、診断には赤血球結合IgG定量が有用である。クームス陽性AIHAと同様にステロイド反応性は良好である。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併する場合をエヴァンス症候群と呼び、特発性AIHAの10~20%程度を占める。2)寒冷凝集素症(CAD)臨床症状は溶血と末梢循環障害によるものからなる。感染に続発するCAD は、比較的急激に発症し、ヘモグロビン尿を伴い貧血も高度となることが多い。マイコプラズマ感染では、発症から2~3週後の肺炎の回復期に溶血症状を来す。血中には抗マイコプラズマ抗体が出現し、寒冷凝集素価が上昇する時期に一致する。溶血は2~3週で自己限定的に消退する。EBウイルス感染に伴う場合は症状の出現から1~3週後にみられ、溶血の持続は1ヵ月以内である。特発性慢性CADの発症は潜行性が多く慢性溶血が持続するが、寒冷曝露による溶血発作を認めることもある。循環障害の症状として、四肢末端・鼻尖・耳介のチアノーゼ、感覚異常、レイノー現象などがみられる。これは皮膚微小血管内でのスラッジングによる。クリオグロブリンによることもある。皮膚の網状皮斑を認めるが、下腿潰瘍はまれである。脾腫はあっても軽度である。3)発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH)現在ではわずかに小児の感染後性と成人の特発性病型が残っている。以前よくみられた梅毒性の定型例では、寒冷曝露が溶血発作の誘因となり、発作性反復性の血管内溶血とヘモグロビン尿を来す。寒冷曝露から数分~数時間後に、背部痛、四肢痛、腹痛、頭痛、嘔吐、下痢、倦怠感に次いで、悪寒と発熱をみる。はじめの尿は赤色ないしポートワイン色調を示し、数時間続く。遅れて黄疸が出現する。肝脾腫はあっても軽度である。このような定型的臨床像は非梅毒性では少ない。急性ウイルス感染後の小児PCHは5歳以下に多く、男児に優位で、季節性、集簇性を認めることがある。発症が急激で溶血は激しく、腹痛、四肢痛、悪寒戦慄、ショック状態や心不全を来したり、ヘモグロビン尿に伴って急性腎不全を来すこともある。発作性・反復性がなく、寒冷曝露との関連も希薄で、ヘモグロビン尿も必発とはいえない。成人の慢性特発性病型はきわめてまれである。気温の変動とともに消長する血管内溶血が長期間にわたってみられる。■ 分類AIHAは臨床的な観点から、有意な基礎疾患ないし随伴疾患があるか否かによって、続発性(2次性)と特発性(1次性、原発性)に、また臨床経過によって急性と慢性とに区分される。基礎疾患としては全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患とリンパ免疫系疾患が代表的である。マイコプラズマや特定のウイルス感染の場合、卵巣腫瘍や一部の潰瘍性大腸炎に続発する場合などでは、基礎疾患の治癒や病変の切除とともにAIHAも消退し、臨床的な因果関係が認められる。 ■ 予後温式AIHAで基礎疾患のない特発例では、治療により1.5年までに40%の症例でクームス試験の陰性化がみられる。特発性AIHAの生命予後は5年で約80%、10年で約70%の生存率であるが、高齢者では予後不良である。続発性の予後は基礎疾患によって異なり、リンパ系疾患に比べてSLEなどの自己免疫性疾患に続発する場合のほうが良好である。CADは感染後2~3週の経過で消退し、再燃しない。リンパ増殖性疾患に続発するものは基礎疾患によって予後は異なるが、この場合でも溶血が管理の中心となることは少ない。小児の感染後性のPCH は発症から数日ないし数週で消退する。強い溶血による障害や腎不全を克服すれば一般に予後は良好であり、慢性化や再燃をみることはない。梅毒に伴う場合の多くは、駆梅療法によって溶血の軽減や消退をみる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)(図1 AIHAの診断フローチャート)最初に溶血性貧血としての一般的基準を満たすことを確認し、次いで疾患特異的な検査によって病型を確定する。溶血性貧血の診断基準と自己免疫性溶血性貧血の診断基準を表1と表2に示す。画像を拡大する血液検査や臨床症状から溶血性貧血を疑った場合は、直接クームス試験を行い、陽性の場合は特異的クームス試験で赤血球上のIgG と補体成分を確認する。補体のみ陽性の場合は、寒冷凝集素症(CAD)や発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH)の鑑別のため、寒冷凝集素価測定とDonath-Landsteiner(DL)試験を行う。寒冷凝集素は、凝集価が1,000 倍以上、または1,000 倍未満でも30℃以上で凝集活性がある場合には病的意義があるとされる。スクリーニング検査として、患者血清(37~40℃下で分離)と生食に懸濁したO型赤血球を混和し、室温(20℃)に30~60分程度放置後、凝集を観察する。凝集が認められない場合は病的意義のない寒冷凝集素と考えられる。凝集がみられた場合には、さらに温度作動域の検討を行う。凝集素価が低値でもアルブミン法などで30℃以上での凝集が認められる場合は低力価寒冷凝集素症とする。DL 抗体の検出は、現在外注で依頼できる検査機関がないことから、自前の検査室で行う必要がある。直接クームス試験が陰性であったり、特異的クームス試験で補体のみ陽性の場合でも、症状などから温式AIHA が疑われる場合やほかの溶血性貧血が否定された場合は、赤血球結合IgG 定量を行うとクームス陰性AIHA と診断できることがある。温式AIHAと寒冷凝集素症が合併している場合は、混合型AIHA の診断となる。表1 溶血性貧血の診断基準(厚生労働省 特発性造血障害に関する調査研究班[平成16年度改訂])1)1)臨床所見として、通常、貧血と黄疸を認め、しばしば脾腫を触知する。ヘモグロビン尿や胆石を伴うことがある。2)以下の検査所見がみられる。(1)へモグロビン濃度低下(2)網赤血球増加(3)血清間接ビリルビン値上昇(4)尿中・便中ウロビリン体増加(5)血清ハプトグロビン値低下(6)骨髄赤芽球増加3)貧血と黄疸を伴うが、溶血を主因としない他の疾患(巨赤芽球性貧血、骨髄異形成症候群、赤白血病、congenital dyserythropoietic anemia、肝胆道疾患、体質性黄疸など)を除外する。4)1)、2)によって溶血性貧血を疑い、3)によって他疾患を除外し、診断の確実性を増す。しかし、溶血性貧血の診断だけでは不十分であり、特異性の高い検査によって病型を確定する。表2 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断基準(厚生労働省 特発性造血障害に関する調査研究班[平成16年度改訂])1)1)溶血性貧血の診断基準を満たす。2)広スペクトル抗血清による直接クームス試験が陽性である。3)同種免疫性溶血性貧血(不適合輸血、新生児溶血性疾患)および薬剤起因性免疫性溶血性貧血を除外する。4)1)~3)によって診断するが、さらに抗赤血球自己抗体の反応至適温度によって、温式(37℃)の(1)と、冷式(4℃)の(2)および(3)に区分する。(1)温式自己免疫性溶血性貧血臨床像は症例差が大きい。特異抗血清による直接クームス試験でIgGのみ、またはIgGと補体成分が検出されるのが原則であるが、抗補体または広スペクトル抗血清でのみ陽性のこともある。診断は(2)、(3)の除外によってもよい。(2)寒冷凝集素症(CAD)血清中に寒冷凝集素価の上昇があり、寒冷曝露による溶血の悪化や慢性溶血がみられる。直接クームス試験では補体成分が検出される。(3)発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH)ヘモグロビン尿を特徴とし、血清中に二相性溶血素(Donath-Landsteiner抗体)が検出される。5)以下によって経過分類と病因分類を行う。急性推定発病または診断から6ヵ月までに治癒する。慢性推定発病または診断から6ヵ月以上遷延する。特発性基礎疾患を認めない。続発性先行または随伴する基礎疾患を認める。6)参考(1)診断には赤血球の形態所見(球状赤血球、赤血球凝集など)も参考になる。(2)温式AIHAでは、常用法による直接クームス試験が陰性のことがある(クームス陰性AIHA)。この場合、患者赤血球結合IgGの定量が有用である。(3)特発性温式AIHAに特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が合併することがある(エヴァンス症候群)。また、寒冷凝集素価の上昇を伴う混合型もみられる。(4)寒冷凝集素症での溶血は寒冷凝集素価と平行するとは限らず、低力価でも溶血症状を示すことがある(低力価寒冷凝集素症)。(5)自己抗体の性状の判定には抗体遊出法などを行う。(6)基礎疾患には自己免疫疾患、リウマチ性疾患、リンパ増殖性疾患、免疫不全症、腫瘍、感染症(マイコプラズマ、ウイルス)などが含まれる。特発性で経過中にこれらの疾患が顕性化することがある。(7)薬剤起因性免疫性溶血性貧血でも広スペクトル抗血清による直接クームス試験が陽性となるので留意する。診断には臨床経過、薬剤中止の影響、薬剤特異性抗体の検出などが参考になる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 温式AIHAの治療(図2 特発性温式AIHAの治療フローチャート)画像を拡大する特発性の温式AIHAの治療では、副腎皮質ステロイド薬、摘脾術、免疫抑制薬が三本柱であり、そのうち副腎皮質ステロイド薬が第1選択である。特発性の80~90%はステロイド薬単独で管理が可能と考えられる。1)急性期:初期治療(寛解導入療法)ステロイド薬使用に対する重大な禁忌条件がなければ、プレドニゾロン換算で1.0mg/kgの大量(標準量)を連日経口投与する。高齢者や随伴疾患があるときは、減量投与が勧められる。約40%は4週までに血液学的寛解状態に達する。AIHAでは輸血はけっして安易に行わず、できる限り避けるべきとするのが一般的であるが、薬物治療が効果を発揮するまでの救命的な輸血は、機を失することなく行う必要がある。その場合、生命維持に必要なヘモグロビン濃度の維持を目標に行う。安全な輸血のため、輸血用血液の選択についてあらかじめ輸血部門と緊密な連携を取ることが勧められる。2)慢性期:ステロイド減量期ステロイド薬の減量は、状況が許すならば急がず、慎重なほうがよく、はじめの1ヵ月で初期量の約半量(中等量0.5mg/kg/日)とし、その後は溶血の安定度を確認しながら2週に5mgくらいのペースで減量し、10~15mg/日の初期維持量に入る。減量期に約5%で悪化をみるが、その際はいったん中等量(0.5mg/kg/日)まで増量する。3)寛解期:維持療法・治療中止時期ステロイド薬を初期維持量まで減量したら、網赤血球とクームス試験の推移をみて、ゆっくりとさらに減量を試み、平均5mg/日など最少維持量とする。直接クームス試験が陰性化し、数ヵ月以上経過しても再陽性化や溶血の再燃がみられず安定しているなら、維持療法をいったん中止して追跡することも可能となる。4)増悪期:再燃時、ステロイド不応例維持療法中に増悪傾向が明らかならば、早めに中等量まで増量し、寛解を得た後、再度減量する。ステロイド薬の維持量が15mg/日以上の場合、また副作用・合併症の出現があったり、悪化を繰り返すときは、2次・3次選択である摘脾や免疫抑制薬、抗体製剤の採用を積極的に考える。ステロイドによる初期治療に不応な場合は、まず悪性腫瘍などからの続発性AIHAの可能性を検索する。基礎疾患が認められない場合は、特発性温式AIHAとして複数の治療法が考慮されるが、優先順位や適応条件についての明確な基準はなく、患者の個別の状況により選択され、いずれの治療法もAIHAへの保険適用はない。唯一、摘脾とリツキシマブについては短期の有効性が実証されており、摘脾が標準的な2次治療として推奨されている。(1)摘脾脾臓は感作赤血球を処理する主要な臓器であり、自己抗体産生臓器でもある。わが国では特発性AIHAの約15%(欧米では25~57%)で摘脾が行われており、短期の有効性は約60%と高い。ステロイド投与が不要となる症例や20%程度に治癒症例もみられることから、ステロイド不応性AIHAの2次治療として推奨されている。(2)リツキシマブステロイド不応性温式AIHAに対する新たな治療法として注目されている。短期の有効性について多くの報告はあるが、まだ保険適用ではない。標準的治療としては375mg/m2を1週間おきに4回投与する。80%の有効率が報告されている。安全性に関しても大きな問題はない。短期間のステロイド投与を併用した低用量のリツキシマブ(100mg、4週ごと投与)も試みられている。(3)免疫抑制薬ステロイドに次ぐ薬物療法の2次選択として、シクロホスファミドやアザチオプリンなどが用いられる。主な作用は抗体産生抑制で、有効率は35~40%で、ステロイド薬の減量効果が主である。免疫抑制、催奇形性、発がん性、不妊症など副作用に注意が必要であり、有効であったとしても数ヵ月以上の長期投与は避ける。■ 冷式AIHAの治療保温が最も基本的である。室温、着衣、寝具などに十分な注意を払い、身体部分の露出や冷却を避ける。輸血や輸液の際の温度管理も問題となる。CADに対する副腎皮質ステロイド薬の有効性は温式AIHAに比しはるかに劣るが、激しい溶血の時期には短期間用いて有効とされることが多い。貧血が高度であれば、赤血球輸血も止むを得ないが、補体(C3d)を結合した患者赤血球が溶血に抵抗性となっているのに対し、輸注する赤血球はむしろ溶血しやすい点に留意する。摘脾は通常適応とはならない。リンパ腫に伴うときは、原疾患の化学療法が有効である。マイコプラズマ肺炎に伴うCADでは適切な抗菌薬を投与するが、溶血そのものに対する効果とは別であり、経過が自己限定的なので、保存療法によって自然経過を待つのが原則である。特発性慢性CADの治療として、リツキシマブ単独療法やリツキシマブ+フルダラビン併用療法が報告されている。■ PCHの治療小児で急性発症するPCHは、寒冷曝露との関連が明らかではないが、保温の必要性は同様である。急性溶血期を十分な支持療法で切り抜ける。溶血の抑制に副腎皮質ステロイド薬が用いられ、有効性は高い。小児PCHでは、摘脾を積極的に考慮する状況は少ない。貧血の進行が急速なら赤血球輸血も必要となるが、DL抗体はP特異性を示すことが多く、供血者赤血球は大多数がP陽性なので、溶血の悪化を招く恐れもある。急性腎不全では血液透析も必要となる。4 今後の展望AIHAの治療では、リツキシマブが登場したことで、ステロイド不応例などでの治療選択の幅が広がった。今後、自己抗原反応性T細胞などを対象にした疾患特異的な治療法の開発が期待される。5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報特発性造血障害に関する調査研究班(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 自己免疫性溶血性貧血(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)改訂版作成のためのワーキンググループ(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業特発性造血障害に関する調査研究). 自己免疫性溶血性貧血 診療の参照ガイド(平成26年度改訂版). 特発性造血障害に関する調査研究班.(参照2015.4.17)2)改訂版作成のためのワーキンググループ(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業特発性造血障害に関する調査研究). 自己免疫性溶血性貧血 診療の参照ガイド(平成28年度改訂版). 特発性造血障害に関する調査研究班. (参照2017)公開履歴初回2015年05月26日更新2017年04月04日

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白質の重症度で各抗認知症薬の効果に違い:岡山大

 岡山大学の福井 裕介氏らは、4種類の抗認知症薬、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの臨床効果について、脳室周囲病変(PVH)の重症度に基づきサブグループ化を行ったアルツハイマー型認知症患者を対象に検討を行った。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年3月9日号の報告。 アルツハイマー型認知症患者551例(男性:201例、女性:350例)を、PVHの重症度に基づき4群に分類した(Grade 0~III)。対象患者には、12ヵ月間の単独療法を行った。ベースライン時、治療開始3、6、12ヵ月後の臨床効果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の年齢によりPVH Gradeは高くなり、ミニメンタルステート検査(MMSE)、改定長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、白質の重症度に依存して減少した。・PVH Grade 0では、すべての薬剤において12ヵ月間、安定した認知機能、情動機能、ADL機能を示した。・PVH Grade Iでは、ベースラインからのやる気スコア(Apathy Scale)の改善が、メマンチンで3、9ヵ月後(p<0.05)、ガランタミンで9ヵ月後(p<0.01)に認められた。・PVH Grade IIでは、ガランタミンにおいて、9ヵ月後のMMSE(p<0.05)と3ヵ月後のHDS-R(p<0.05)の有意な改善が認められた。・PVH Grade IIIでは、すべての薬剤において12ヵ月間、認知機能および情動機能が保持されたが、リバスチグミンでは、6、12ヵ月後にADLの悪化が認められた(p<0.05)。 著者らは「4種類の抗認知症薬は、白質の重症度に応じて、臨床的な認知機能、情動機能、ADLに影響を及ぼすことが示された」としている。関連医療ニュース アルツハイマー病、他のコリンエステラーゼ阻害薬への切り替え効果はどの程度:岡山大 米国の認知症有病率が低下、その要因は 65歳未満での抗うつ薬使用、認知症増加と関連

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2型糖尿病患者、食事が頸動脈内膜中膜厚に関連

 カナダ・トロント大学のLaura Chiavaroli氏らが、2型糖尿病患者の食事と頸動脈超音波検査(CUS)による頸動脈内膜中膜厚(CIMT)との関連を調査したところ、CIMTの低値が、豆類・炭水化物の高い摂取量、総脂肪・飽和脂肪の低い摂取量と有意に関連していた。この結果は、2型糖尿病の心血管疾患リスク管理における食事の潜在的役割を示唆している。BMJ open誌2017年3月22日号に掲載。 本研究では、同様の方法で収集された3件の無作為化比較試験から、325例の2 型糖尿病患者(最近の心血管イベントなし、スクリーニング時にHbA1cが6.5~8.0%、経口糖尿病治療薬を服用中)について、CUSによるCIMT、7日間の食物記録による食物摂取量の登録時のデータを横断的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・CIMTは、豆類の摂取(β=-0.019、p=0.009)、糖質の摂取(β=-0.004、p=0.008)、グリセミック負荷(β=-0.001、p=0.007)、デンプンの摂取(β=-0.126、p=0.010)と有意に逆相関していた。・年齢・喫煙・心血管イベントの既往・降圧薬・糖尿病治療薬・超音波検査技師で調整した多変量回帰モデルにおいて、CIMTは総脂肪(β=0.004、p=0.028)と飽和脂肪(β=0.012、p=0.006)摂取量と直接関連していた。

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iFRガイド vs.FFRガイドPCI、日本人含む2千例超で評価/NEJM

 冠動脈血行再建術時の冠動脈の心筋酸素供給能の指標として、瞬時血流予備量比(instantaneous wave-free ratio:iFR)は冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)に比べ、主要有害心イベントの発現が非劣性で、処置関連の有害な徴候や症状が少なく、所要時間は短いことが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJustin E Davies氏らが行ったDEFINE-FLAIR試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月18日号に掲載された。iFRは、冠動脈狭窄の重症度を血管拡張薬(アデノシンなど)の投与なしに評価できるため、FFRに代わる指標となる可能性が示唆されている。MACEの非劣性を評価する国際的な無作為化試験 本研究は、日本を含む19ヵ国49施設が参加する進行中の二重盲検無作為化非劣性試験であり、患者登録は2014年1月~2015年12月に行われた(Philips Volcano社の助成による)。 冠動脈疾患患者2,492例が、iFRガイド下血行再建術を行う群(1,242例)またはFFRガイド下血行再建術を行う群(1,250例)に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、1年時の主要有害心イベント(MACE:全死因死亡、非致死的心筋梗塞、予定外の血行再建術の複合エンドポイント)のリスクであった。非劣性マージンはリスク差3.4%とした。MACE:6.8 vs.7.0%、処置関連症状:3.1 vs.30.8% ベースラインの全体の平均年齢は65歳、男性が76%を占め、80%は安定冠動脈疾患であった。 1年時のMACE発生率は、iFR群が6.8%(78/1,148例)、FFR群は7.0%(83/1,182例)であり、ハザード比(HR)は0.95(95%信頼区間[CI]:0.68~1.33、p=0.78)であった。リスク差は-0.2%(95%CI:-2.3~1.8、99%CI:-2.9~2.5、p=0.83)であり、事前に規定された非劣性マージンを満たした(非劣性検定:p<0.001)。 MACEの個々のイベント、心血管死、非心血管死は、両群間に有意な差を認めなかった。 処置関連の有害症状や臨床徴候の発生率は、iFR群が3.1%(39例)と、FFR群の30.8%(385例)に比べ有意に低かった(p<0.001)。iFR群は胸痛が19例、呼吸困難が13例に、FFR群はそれぞれ90例、250例に認められた。また、重篤な有害事象は、iFR群は1例のみであったが、FFR群は8例(気管支攣縮、心室性不整脈)にみられた。 処置の所要時間中央値は、それぞれ40.5分(IQR:27.0~60.0)、45.0分(同:30.0~66.0)であり、iFR群が有意に短かった(p=0.001)。 著者は、「この研究の主な結果は、Gotberg氏らによるiFR-SWEDEHEART試験(※)とほぼ同様である」としている。※【ジャーナル四天王】iFRガイドPCI、FFRガイドに比べ非劣性/NEJM

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若年糖尿病の合併症は1型よりも2型のほうが多い(解説:小川 大輔 氏)-658

 世の中の関心は高齢者に向かっている。2017年1月、日本老年学会などが高齢者の定義を、現在の65歳以上から10歳引き上げて75歳以上に見直すよう提言した。また、3月12日から改正道路交通法がスタートし、75歳以上の高齢者が運転免許証を更新するときに認知機能検査が義務付けられ、認知症の恐れがあれば医師の診断が必要となった。 糖尿病関連でも2016年に高齢者糖尿病の血糖コントロール目標が発表され、認知機能やADLなどに応じて治療目標を設定することがようやく推奨されるようになった。ただ、合併症予防のための血糖コントロール目標はHbA1c 7.0%未満であり、さらに若年者などで血糖正常化を目指す際の目標は6.0%未満であることは現在も変わっていない1)。 合併症といえばつい高齢者を連想してしまうが、若年者でも発症することを忘れてはいけない。成人前に1型あるいは2型糖尿病と診断された患者の、合併症の頻度を比較した試験はこれまであまりないが、このたびJAMA誌に、若年発症の1型および2型糖尿病患者の合併症を比較した結果が報告された。 この試験は、米国で1型または2型糖尿病と診断された20歳未満の若年糖尿病患者を対象に、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害や高血圧症などの調査が行われた。解析対象は2,018例で、これまでに行われた若年糖尿病患者の試験より規模が大きい。糖尿病罹病期間は、1型および2型糖尿病とも平均7.9年であったが、糖尿病合併症の有病率は1型で32%、2型で72%と、2型糖尿病のほうがかなり高いという結果であった。また驚いたことに、種々のリスク因子で補正しても、2型のほうが1型よりも糖尿病合併症の有病率が高いことが示された。この差が病態の違いに起因するものかどうなのか、さらなる検討が必要である。 小児期や思春期に診断された若年糖尿病患者は、1型および2型糖尿病とも合併症の有病率が高く、早期からの合併症予防対策が必要であることはいうまでもない。そのためには高齢者と同様に、若年者にも関心を寄せることが大切であろう。

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VEGF阻害剤アフリベルセプト ベータ、大腸がんに承認:サノフィ

 サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャック・ナトン)は、2017年3月30日、抗悪性腫瘍剤/VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤アフリベルセプト ベータ(商品名:ザルトラップ点滴静注 100mg/200mg、以下ザルトラップ )について、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸」の効能・効果で厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 アフリベルセプト ベータは、がんの増殖や転移に関与するVEGF-A、VEGF-Bおよび胎盤増殖因子(PlGF)に作用する分子標的治療薬。オキサリプラチンを含む化学療法で治療中または治療後に増悪した転移性結腸・直腸がんの2 次治療として、FOLFIRI療法(イリノテカン、レボホリナートおよびフルオロウラシル)との併用でプラセボと比較した海外III相臨床試験(VELOUR試験)では、主要評価項目である全生存期間(OS)を13.50ヵ月と、プラセボ群の12.06ヵ月に対し、有意に改善した(HR:0.817、95.34%CI:0.713~0.937、p=0.0032)。また、副次的評価項目の無増悪生存期間(PFS)も有意に改善している( HR:0.758、 95%CI:0.661〜0.869、p<0.0001)。  ザルトラップは2017年3月現在、70以上の国と地域で承認されており、日本では、2016年4月にサノフィが製造販売承認申請を行っていた。なお、日本での製造販売はサノフィが行い、プロモーションはサノフィとヤクルト本社が共同で行う。(ケアネット 細田 雅之)参考VELOUR試験(Clinical Trials.gov)

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臨床的価値が見いだせない(解説:野間 重孝 氏)-657

 FFRやiFRという技術がなぜ開発されたのかを、まず考えなければならないと思う。これらの技術は血行再建が必要な患者とそうでない患者を根拠をもって識別し、不必要なPCIが行われることを防止する、つまり根拠をもって施術中止(defer)を判断するために開発されたデバイスであると思う。なぜなら、その逆のケース、つまり血行再建が必要なのに術者の誤った判断により施術されなかったというケースは、実際には考え難いからだ。また、上述したようにこれらは中等度狭窄を対象として、施術の適応を決定するためのデバイスであるから、不安定狭心症や心筋梗塞のように、どのような原因にしろ、そこに虚血があることがすでにわかっている症例を対象とすることは本来あり得ない。 PCIというのは、施行するといったん決まったならば、開大に失敗したケースなどを除いてFFRやiFRは必要ないはずである。一連の開大のためのデバイスのほかに必要なものは、IVUSを代表とする観察機器であって、血流測定(実際には圧測定だが)機器は必要とされない。かつ、術成績はどのような合併症を有していたか、どのような病型であったかといった患者側の条件と術者の技量で決定される。つまり、施術すると決定して施術された場合は、それがFFRによって決定されたものであっても、iFRによって決定されたものであっても、施術そのものに本質的な違いはない。論文中に、血流測定機器を利用したPCIのほうが成績がよいといった記述がみられるが、理解できない。術者の勇み足から不必要なPCIが行われてしまったという議論ならば納得できるが、いったん施術されたものの間に差が出たとなると、正直技術的に拙劣なのではないかと疑いたくなるといったら失礼だろうか。 議論されなければならないとすると、それらのデバイスによりdeferされた症例がその後どのような経過をたどったかではないだろうか。この論文では、すべての患者をひとまとめにして追跡しており、deferされた患者を独立して観察することは行われていない。もう一度繰り返すが、いったん施術されてしまえば、その成績に術前の血流測定機器が影響を与えるとは考えられない。さらに繰り返しになるが、不安定狭心症や心筋梗塞患者が対象として含まれていることにも納得できない。 このような論文評であまり強い言葉を使用することは適当でないことは十分承知しているが、あまり臨床に詳しくない統計の専門家が無理やりにrandomizeしたデザインとしか思えず、臨床的価値が見いだせない。

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日本の外来患者、抗精神病薬の処方傾向を分析:京都大

 京都大学の河内 健治氏らは、精神科医療のコミュニティベースのアプローチに重点を置き、日本の外来患者に対する抗精神病薬処方の傾向を評価した。Pharmacoepidemiology and drug safety誌オンライン版2017年3月7日号の報告。 本研究は、全国の調剤薬局1,038施設からの処方箋データを用いた記述的疫学論文。2006~12年に、初めて抗精神病薬を処方された18歳以上の外来患者を評価した。単剤処方、多剤併用処方、抗精神病薬の用量、向精神薬の併用処方について年間の傾向を分析した。 主な結果は以下のとおり。・外来患者は、15万2,592例であった。そのうち、18~64歳は10万1,133例(成人群:66%)、65歳以上は5万1,459例(高齢者群:34%)であった。・成人群における2006年と2012年の処方傾向は以下のとおりであった。 ●第2世代抗精神病薬単剤処方:49%から71%へ増加 ●第1世代抗精神病薬単剤処方:29%から14%へ減少 ●抗精神病薬多剤併用処方:23%から15%へ減少・高齢者群における2006年と2012年の処方傾向は以下のとおりであった。 ●第2世代抗精神病薬単剤処方:64%から82%へ増加 ●第1世代抗精神病薬単剤処方:29%から12%へ減少 ●抗精神病薬多剤併用処方:7%から6%へ減少・研究期間中の抗精神病薬の用量は、成人群の80%超、高齢者群の90%超において、リスペリドン等価換算量6mg/日未満であった。・各種向精神薬の併用処方率は以下のとおりであった。 ●抗不安/鎮静薬:成人群70%、高齢者群43% ●抗うつ薬:成人群33%、高齢者群16% ●抗パーキンソン薬:成人群20%、高齢者群19% ●気分安定薬:成人群20%、高齢者群8% ●抗認知症薬:成人群0.3%、高齢者群16% 著者らは「大規模処方箋データより、日本の外来患者における抗精神病薬の高用量処方と多剤併用処方は、これまで考えられていたよりも広く行われていない」としている。関連医療ニュース 日本のデータベースから各種抗精神病薬のEPS発現を分析 抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大 各抗精神病薬、賦活系と鎮静系を評価

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NOAC3剤を初めて直接比較したリアルワールド研究~日本循環器学会

 心房細動(AF)における脳卒中予防の進歩をもたらしたNOACであるが、直接比較による有効性のエビデンスはない。 そのような中、米国メイヨークリニックが傾向スコアマッチングでNOAC3剤の有効性と安全性を初めて直接比較した観察研究を行った。第81回日本循環器学会学術集会のミート・ザ・エキスパートでは、当発表の筆頭著者であるPeter A. Noseworthy氏が、この試験結果について詳しく紹介した。 試験は米国診療報酬請求データベースを用い、2010年10月1日〜2015年2月28日にダビガトラン、リバーロキサバン、またはアピキサバンを使用した非弁膜症性AFを特定し、傾向スコアマッチングした3つのコホートを作成し、分析された。3つのコホートはそれぞれ、リバーロキサバン対ダビガトラン31,574例、アピキサバン対ダビガトラン13,084例、アピキサバン対リバーロキサバン13,130例であった。試験の主要有効性評価項目は脳卒中および全身性塞栓症の発症、主要安全性評価項目は重大な出血であり、 Cox比例ハザードモデルを用いて評価された。 脳卒中・全身塞栓症のイベントリスクについては、リバーロキサバン1.12(人年)対ダビガトラン1.03(HR:1.00、95%CI:0.75~1.32、p=0.99)、アピキサバン1.22対ダビガトラン1.17(HR:0.82、95%CI:0.51~1.31、p=0.41)、アピキサバン1.21対リバーロキサバン1.03(HR:1.05、95%CI:0.64~1.72、p=0.85)と、3つのNOAC間に差は認められなかった。一方、重大な出血リスクについては、リバーロキサバン対ダビガトラン(HR:1.30、95%CI:1.10~1.53、p

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喫煙者は末期腎不全リスクが約2倍

 喫煙は、糖尿病患者における慢性腎臓病(CKD)発症の主要な危険因子として確立されているが、CKDの独立した危険因子かどうかはエビデンスが一致していない。中国・上海中医薬大学のJia Xia氏らが、成人一般集団における前向きコホート研究をメタ解析したところ、喫煙がCKD発症の独立した危険因子であることが示唆された。Nephrology, dialysis, transplantation誌オンライン版2017年2月27日号に掲載。 著者らはMEDLINEとEmbaseにおいて2016年5月31日までの論文の中から、一般集団での喫煙状態とCKDの相対リスクを報告している前向きコホート研究を検索した。ランダム効果モデルを用いて、統合相対リスク(SRR)と95%信頼区間(CI)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・CKD発症例6万5,064例を含む、15件の前向きコホート研究を解析した。・生涯非喫煙者と比較して、CKD発症のSRRは、喫煙経験者で1.27(95%CI:1.19~1.35)、現在喫煙者で1.34(同:1.23~1.47)、過去喫煙者で1.15(同:1.08~1.23)であった。・末期腎不全のSRRは、喫煙経験者で1.51(95%CI:1.24~1.84)、過去喫煙者で1.44(同:1.00~2.09)、現在喫煙者で1.91(同:1.39~2.64)であった。・これらの研究にはかなりの異質性が認められた。・蛋白尿の5,747例を含む3件の前向きコホート研究を追加すると、一般集団における喫煙と蛋白尿の関連は認められなかった。

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“モンスターペイシェント”の実態

 “モンスターペイシェント”が増加しているといわれる中、医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求や暴言、暴力、クレームを経験したことはありませんか? ケアネットは3月、CareNet.comの医師会員を対象に上記についてアンケート調査を実施し、医師会員1,000人の回答を得た。同調査は2013年2月以来4年ぶりとなり、前回の調査結果との比較も行った。 今回の調査の詳細と、具体的なエピソードやコメントはCareNet.comに掲載中。 調査は、2017年3月16~17日、医師会員を対象にインターネット上で実施した。 このうち、患者・家族から暴言や暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動や要求、クレームを受けた経験について、「経験がある」と答えた人は55.1%で、4年前(67.1%)よりもやや減少した。ただし、経験者の6割近くが1年に1回以上のペースで遭遇しており、モンスターペイシェントが少なからず診療に支障を来している状況がうかがえる。 モンスターペイシェントの事例としては、「スタッフの対応が気に食わないなどのクレーム」が最も多く(47.2%)、「自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く」(33.4%)、「治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張」(30.3%)、「不要な投薬・過剰な投薬を要求」(18.3%)などが続いた。 また、勤務・経営する院内におけるモンスターペイシェント対応策として、「対応マニュアルやガイドラインがある」と答えた人は32.2%で、前回調査時より3.4ポイント増加しており、以下「対応担当者を決めている」(23.8%)、「院内で事例を共有している」(21.6%)、「対策システムがある」(18.6%)などが続いた。その一方で、「とくに対応策をとっていない」と答えた人が、選択肢の中で2番目に多い29.7%にのぼった。 この内訳を病床数でみると、200床以上では4割以上でモンスターペイシェントのマニュアルやガイドラインが整備されているが、小規模ほど対策が遅れている傾向にあるようだ。中には、「不当な目にあっても対応した医師が悪いという風潮が院内にあり、被害医師は孤立」「上司が守ってくれるかどうかが、その後のメンタルに大きく影響する」「守ってくれない職場は最低」(いずれも調査内の自由記述コメントから抜粋)など、対応以前に周囲が無理解であることをうかがわせるコメントもみられた。 患者およびその家族の“モンスター化”にとどまらず、事件となるケースも少なくない。近年では2013年に北海道三笠市の総合病院で、精神科医が外来患者に刺殺された事件や、14年に札幌市の病院で、消化器内科医が担当患者に切り付けられ重傷を負った事件、15年には岐阜市で歯科医院長が患者に刺殺された事件など、患者とのトラブルを発端とする凶悪事件は後を絶たない。 今回の調査で、暴力や身に迫る危険を経験した人は、回答全体に占める割合としては少なかったが、「看護師の首を跡が残るくらい絞めた」「病室で拳銃を発砲」などのモンスターペイシェントの事例が寄せられた。 このほか、「ネットで口コミに辛辣に書き込みされ困っている」「インターネットの掲示板で誹謗中傷された」「外来窓口で突然面識のない患者にホームページで見たことを理由に殴られた同業者がいたため、ホームページに顔写真を載せるのを止めた」といったエピソードは、2013年時の調査では見られなかった新たな傾向である。 今春、新たに入職したり、勤務先の医院を変えて心機一転、臨床に励みたいと考えたりする人も多いことだろう。そんな医療従事者の思いや希望を打ち砕くようなことがあってはならず、日々不安を抱えながら診療に当たるような不健全な状況は、一刻も早く改善されなければならない。今回の調査では「毅然と対応すべき」というコメントが多数寄せられた。しかし、個々人が「自分の身は自分で守る」以前に、理不尽な患者や家族を増長させないためのモンスター化の事前策を打つことはできないだろうか。 ケアネットではモンスターペイシェントの有効な対応策や解決事例などをさらに取材し、お伝えしていきたい。

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エボロクマブ追加で心血管イベントリスクを有意に低減/NEJM

 前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬エボロクマブ(商品名:レパーサ)は、スタチン治療でLDLコレステロール(LDL-C)値のコントロールが不良なアテローム動脈硬化性心血管疾患患者のLDL-C値を30mg/dLまで低下させ、心血管イベントのリスクを有意に低減することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMarc S Sabatine氏らが行ったFOURIER試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。本薬は単剤でLDL-C値を約60%低下させることが報告されているが、心血管イベントを予防するかは不明であった。2万7,564例を対象とするプラセボ対照無作為化試験 FOURIER試験は、エボロクマブのスタチンへの上乗せによる心血管イベントの予防の改善効果を検証する国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化試験(Amgen社の助成による)。 対象は、年齢40~85歳、アテローム動脈硬化性心血管疾患でスタチンの投与を受けているが、LDL-C値が≧70mg/dLの患者であった。被験者は、エボロクマブ(患者の好みで、2週ごとに140mgまたは1ヵ月ごとに420mgから選択)またはプラセボを皮下投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院、冠動脈血行再建術の複合エンドポイントであった。主な副次評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントとした。 2013年2月~2015年6月に、49ヵ国1,242施設で2万7,564例が登録され、エボロクマブ群に1万3,784例、プラセボ群には1万3,780例が割り付けられた。追跡期間中央値は2.2年だった。LDL-C値が59%低下、主要評価項目が15%改善 ベースラインの全体の平均年齢は63歳、女性が24.6%含まれた。心筋梗塞の既往が81.1%、非出血性脳卒中の既往が19.4%、症候性末梢動脈疾患が13.2%に認められた。スタチン治療は、ACC/AHAガイドラインのhigh-intensityが69.3%、moderate-intensityが30.4%に行われ、5.2%にはエゼチミブも投与されていた。 ベースラインのLDL-C値中央値は92mg/dL(IQR:80~109)であった。48週時に、エボロクマブ群のLDL-C値中央値は30mg/dL(IQR:19~46)に低下し、プラセボ群との絶対差は56mg/dL(95%信頼区間[CI]:55~57)であった。LDL-C値の減少率の最小二乗平均値は59%(95%CI:58~60、p<0.001)であり、エボロクマブ群が有意に良好であった。 主要評価項目の発生は、エボロクマブ群が9.8%(1,344例)と、プラセボ群の11.3%(1,563例)に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.85、95%CI:0.79~0.92、p<0.001)。主な副次評価項目の発生も、エボロクマブ群が有意に良好だった(5.9%[816例] vs.7.4%[1,013例]、HR:0.80、95%CI:0.73~0.88、p<0.001)。 また、エボロクマブ群はプラセボ群に比し、心筋梗塞(3.4 vs.4.6%、HR:0.73、95%CI:0.65~0.82、p<0.001)、脳卒中(1.5 vs.1.9%、0.79、0.66~0.95、p=0.01)、冠動脈血行再建術(5.5 vs.7.0%、0.78、0.71~0.86、p<0.001)、虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(1.7 vs.2.1%、0.77、0.65~0.92、p=0.003)を有意に改善した。一方、心血管死、全死因死亡、不安定狭心症による入院、心血管死/心不全の増悪による入院には差がなかった。 主要評価項目と主な副次評価項目に関するエボロクマブ群のベネフィットは、年齢、性、アテローム動脈硬化性血管疾患のタイプなどの主要なサブグループのほとんどに一貫して認められた。さらに、ベネフィットは、ベースラインのLDL-C値の最高四分位群(中央値:126mg/dL、IQR:116~143)から最低四分位群(74mg/dL、69~77)まで、一貫してみられた。 有害事象(77.4 vs.77.4%)、重篤な有害事象(24.8 vs.24.7%)、治験薬関連と考えられる有害事象の発現および治験レジメンの中止(1.6 vs.1.5%)は、両群に有意な差はなかった。また、筋関連イベント(5.0 vs.4.8%)、白内障(1.7 vs.1.8%)、新規糖尿病(8.1 vs.7.7%)、神経認知有害事象(1.6 vs.1.5%)にも、両群に差はなかったが、注射部位反応(2.1 vs.1.6%、p<0.001)はエボロクマブ群で有意に多くみられた。 著者は、「これらの知見は、アテローム動脈硬化性心血管疾患患者は、LDL-C値を現在の目標値よりも、さらに下げることでベネフィットが得られることを示すもの」と指摘している。

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多枝病変STEMI、非責任病変へのPCI追加は有用か?/NEJM

 多枝病変を有する急性期ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の治療において、梗塞責任動脈へのプライマリPCI施行時に、非責任動脈へ冠血流予備量比(FFR)ガイド下に完全血行再建術を行うと、責任病変のみの治療に比べ心血管リスクが低減することが、オランダ・マーススタト病院のPieter C Smits氏らが行ったCompare-Acute試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年3月30日号(オンライン版2017年3月18日号)に掲載された。STEMI患者の責任病変へのPCIは血流を回復して転帰を改善するが、非責任病変へのPCIの追加の意義については議論が続いている。非責任動脈への介入の有無別のMACCEを評価 本研究は、欧州とアジアの24施設が参加した医師主導の前向き無作為化試験であり、2011年7月~2015年10月に患者登録が行われた(Maasstad Cardiovascular Researchなどの助成による)。 梗塞責任動脈へのプライマリPCIが施行された多枝病変を有するSTEMI患者885例が、非責任動脈へFFRガイド下血行再建術を追加する完全血行再建群(295例)またはこれを追加しない梗塞動脈単独治療群(590例)に無作為に割り付けられた。 PCIはエベロリムス溶出ステントが望ましいとされた。完全血行再建群では、非責任動脈への介入は全般に責任動脈への介入時に行われたが、担当医の裁量で遅延も可とされた(72時間以内が望ましい)。梗塞動脈単独治療群にも、完全血行再建群と同様のFFR測定が行われたが、その後の処置は行われず、測定結果は患者および担当医には知らされなかった。 主要評価項目は、12ヵ月時の全死因死亡、非致死的MI、血行再建術(PCI、CABG)、脳血管イベントの複合エンドポイント(MACCE)とした。梗塞動脈単独治療群では、プライマリPCI施行後45日以内に臨床所見に基づいて行われた待機的血行再建術はイベントに含めなかった。MACCEが65%低下、血行再建術は約3分の1に ベースラインの平均年齢は、完全血行再建群が62±10歳、梗塞動脈単独治療群は61±10歳、男性がそれぞれ79.0%、76.3%を占めた。喫煙者が梗塞動脈単独治療群で多かった(40.8 vs.48.7%、p=0.03)が、これ以外の背景因子には両群に差はなかった。 1年時のMACCEは、完全血行再建群が23例、梗塞動脈単独治療群は121例に発現し、100例当たりのイベント発生はそれぞれ8例、21例と、完全血行再建群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.35、95%信頼区間[CI]:0.22~0.55、p<0.001)。 死亡率は完全血行再建群が1.4%(4例)、梗塞動脈単独治療群は1.7%(10例)(HR:0.80、95%CI:0.25~2.56)、MIの発生率はそれぞれ2.4%(7例)、4.7%(28例)(0.50、0.22~1.13)であり有意な差を認めなかったが、血行再建術は6.1%(18例)、17.5%(103例)(0.32、0.20~0.54、p<0.001)と、完全血行再建群が有意に優れた。脳血管イベントの発生率は、それぞれ0%(0例)、0.7%(4例)だった。 副次評価項目のうち、心臓死、MI、血行再建術、脳卒中、大出血の複合エンドポイント(NACE:8.5 vs.29.5%、HR:0.25、95%CI:0.16~0.38、p<0.001)、心不全、不安定狭心症、胸痛による入院(4.4 vs.8.0%、0.54、0.29~0.99、p=0.04)、1年以内に行われた待機的または緊急の初回血行再建術(6.4 vs.27.3%、0.47、0.29~0.76、p=0.002)が、完全血行再建群で有意に良好だった。 FFR関連の重篤な有害事象が梗塞動脈単独治療群の2例(0.2%)に発現した。1例は、FFRワイヤーにより非梗塞右冠動脈に解離が生じ、結果として閉塞を来し、梗塞が引き起こされて院内で死亡した。もう1例は、FFR抜去後に非梗塞左冠動脈前下行枝が閉塞したため、ST上昇を来し、胸痛が再発した(PCIは成功)。 著者は、「この完全血行再建群のリスク低減は、主に血行再建術の必要性が低下したことによる」と指摘している。

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全面禁煙化は「世界との約束」

全面禁煙化は「世界との約束」IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保健機関)は、タバコのないオリンピックを行うことで合意・契約しています。2020年東京五輪に向けて禁煙達成を!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.

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