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増える麻しん、医療従事者向け「麻しんを疑った際の対応」公開/JIHS

 日本では、2015年にWHOにより麻しんの排除認定を受けているが、2026年1月からの国内の発生報告数(速報値)は4月8日までに236例と、2020年以降同期間としては最多で、すでに2025年の1年間の発生報告数(265例)に迫る数字となっている。国立健康危機管理研究機構(JIHS)では、医療機関向けのリーフレット「 麻しんを疑った際の対応」を公開。典型的皮疹やコプリック斑を写真で示すとともに、感染対策や臨床対応のポイントを簡潔にまとめている。<麻しんを疑った際の対応(一部抜粋)>麻しんを疑う所見:・発熱+発疹+カタル症状(咳・鼻汁・結膜充血)・口腔内のコプリック斑・海外渡航歴または麻しん患者発生地域への移動歴、接触歴・ワクチン2回未完了または不明※修飾麻しん(麻しんに対する免疫が不十分な人に生じる、軽症で非典型的な麻しん)では、典型所見に乏しいことがあるので注意(1)感染対策・個室管理対応、患者にマスク着用を促し、扉を閉める(可能なら陰圧室)・空気感染対策(原則、N95マスク)+標準予防策を行う・対応する医療者と接触者を最小化する(2)臨床対応・ワクチン接種歴聴取、臨床評価、脱水や呼吸管理等・合併症:中耳炎、肺炎、下痢等による脱水、脳炎※麻しん患者との接触後、72時間以内に麻しん含有ワクチンを接種すること等によって、麻しんの発症を予防できる可能性がある(3)連絡・届け出・院内ICTへ即時連絡・麻しんと臨床診断したら直ちに発生届提出・できるだけ早期(発疹出現後1週間以内)に、保健所の指示に基づく検体(咽頭ぬぐい液・尿・EDTA血)を採取し、提出する・提出方法は、自治体ごとに異なるため、管轄の保健所に問い合わせる※必要に応じてIgM抗体検査も実施するが、発疹出現後3日以内は偽陰性に注意する

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1日1~2杯のお茶でうつ病リスクが低下?

 うつ病は、社会と健康の両方に大きな影響を及ぼす一般的な精神疾患である。お茶の摂取による潜在的な健康効果が示唆されているが、お茶の種類、摂取頻度、摂取量といった飲用パターンがうつ病のリスクと関連しているかどうかは不明であり、とくに異なる集団においては、これまでよくわかっていなかった。台湾・高雄医学大学のSi-Meng Chang氏らは、台湾バイオバンクの登録者2万7,119例のデータを用いて、自己申告による生涯うつ病歴の有病率とお茶の種類、摂取頻度、1日当たりの摂取量との関連性を評価した。Nutrients誌2026年3月5日号の報告。 お茶の種類(完全発酵茶、半発酵茶、非発酵茶)、摂取頻度、1日当たりの摂取量により分類した。自己申告による生涯うつ病歴のデータは、自己記入式質問票を用いて収集した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、お茶の摂取と自己申告による生涯うつ病歴との関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、お茶の摂取量は、自己申告による生涯うつ病歴の有病率の低さとの有意な関連が認められた(オッズ比[OR]:0.736)。・この関連性は、半発酵茶および非発酵茶で認められた(OR:0.674)。しかし、完全発酵茶では認められなかった。・1日1~2杯(350~700mL)のお茶の摂取は、自己申告による生涯うつ病歴の有病率の低さと有意に関連していたが、1日3杯以上の摂取では関連性が認められなかった。・さらに、お茶の摂取頻度に関して、毎日お茶を飲む人は自己申告による生涯うつ病歴の有病率の低さと有意に関連していたが、週に1回または月に1回しかお茶を飲まない人ではそのような関連が認められなかった。・サブグループ解析では、65歳以上の高齢者、糖尿病患者、喫煙者、飲酒者においては、お茶の摂取と自己申告による生涯うつ病歴の有病率低下との関連は認められなかった。・これは、健康状態や生活習慣が、お茶の摂取とうつ病との関連に影響を及ぼす可能性を示唆している。・ただし、交互作用分析では、有意な差は認められなかった。 著者らは「正式な交互作用検定において統計的に有意な差が認められなかったため、これらの結果は探索的なものと見なすべきである」としたうえで、「半発酵茶および非発酵茶を毎日1~2杯摂取することは、自己申告による生涯うつ病歴の有病率低下と関連していた。この関連性には、摂取量や摂取頻度が影響を及ぼすことが示唆された。さまざまな種類のお茶の生物学的メカニズムを解明し、高リスク集団に対する介入戦略を開発するためには、さらなる研究が求められる」としている。

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マバカムテン、青年期の閉塞性肥大型心筋症には?/NEJM

 青年期(12歳以上18歳未満)の閉塞性肥大型心筋症(HOCM)患者において、マバカムテンの投与はプラセボ投与と比較して、28週の試験期間にわたり、左室流出路閉塞を有意に大きく改善した。米国・フィラデルフィア小児病院のJoseph W. Rossano氏らSCOUT-HCM Investigatorsが、第III相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。肥大型心筋症の小児に対する承認薬はなく、左室流出路閉塞を認める患者では外科的介入が選択肢になる。マバカムテンは成人HOCMに対して承認されている選択的心筋ミオシン阻害薬で、有効性と良好な安全性プロファイルが確認されているが、小児患者に対する臨床的評価は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2026年3月29日号掲載の報告。マバカムテン群vs.プラセボ群で左室流出路圧較差の変化量を評価 研究グループは、NYHA心機能分類IIまたはIII度の症候性HOCMの青年期患者(12歳以上18歳未満)を対象に、マバカムテンの有効性と安全性を評価した。 被験者を、マバカムテン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。マバカムテン群では、ベースライン時点における体重45kg以上は1日1回5mg、35kg以上45kg未満は1日1回2.5mgで投与を開始し、バルサルバ法による左室流出路圧較差および左室駆出率(LVEF)に基づき、増量(5週目と9週目に1段階まで)または減量(12週目と24週目に1段階まで)が可能であった。 主要エンドポイントは、バルサルバ法による左室流出路圧較差の、ベースラインから28週時の変化量であった。28週時の変化量の群間差は-48.0mmHg 計44例が無作為化された。23例がマバカムテン群(女性8例[35%])、21例がプラセボ群(女性5例[24%])であった。平均(±SD)年齢はマバカムテン群14.7±1.7歳、プラセボ群14.6±1.7歳、ベースラインのバルサルバ左室流出路圧較差はそれぞれ78.4±34.1mmHg、80.8±47.4mmHgであり、両群で類似していた。 28週時点のバルサルバ左室流出路圧較差の最小二乗平均変化量は、マバカムテン群-48.5mmHg、プラセボ群-0.5mmHgであった(群間差:-48.0mmHg、95%信頼区間:-67.7~-28.3、p<0.001)。 有害事象の発現率は両群で同程度であった。重篤な有害事象は、各群2例で認められた。マバカムテン群では1例で失神エピソードを2回、もう1例で植込み型除細動器による不適切ショックが報告された。プラセボ群では1例で胸痛を、もう1例で自殺念慮を伴ううつ病が報告された。 LVEFが50%未満に低下した患者はいなかった。試験期間中の死亡の報告はなかった。

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PCIガイド、血管造影によるFFRangio vs.プレッシャーワイヤー/NEJM

 心臓カテーテル検査で生理学的評価を受ける中等度の冠動脈病変を有する患者において、血管造影による冠血流予備量比(FFRangio)を用いる評価戦略は、プレッシャーワイヤーベースの冠血流予備量比(FFR)を用いる評価戦略に対して、1年時点の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、予定外の臨床的に必要な冠動脈血行再建術)に関して非劣性であることが、米国・スタンフォード大学のWilliam F. Fearon氏らALL-RISE Investigatorsが行った国際共同無作為化非劣性試験(ALL-RISE試験)の結果で示された。プレッシャーワイヤーを用いた中等度の冠動脈病変の評価は、心臓カテーテル検査およびPCIを受ける患者の臨床アウトカムを改善するが、プレッシャーワイヤーベースの生理学的評価の臨床使用は低いままである。FFRangio値は、プレッシャーワイヤーベースのFFR値と良好な相関を示し、手技を平易とする可能性が示されたが、臨床アウトカムへの影響は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2026年3月29日号掲載の報告。1年時点の死亡、心筋梗塞、予定外の臨床的に必要な冠動脈血行再建術の複合を評価 研究グループは、冠動脈造影検査を受け、少なくとも1つの中等度冠動脈狭窄が認められた患者の生理学的評価を、FFRangioを用いて行う群(FFRangio群)またはプレッシャーワイヤーベースのFFRを用いて行う群(プレッシャーワイヤー群)に無作為に割り付け、FFRangio群のプレッシャーワイヤー群に対する非劣性を評価した。 主要エンドポイントは、1年時点の死亡、心筋梗塞、予定外の臨床的に必要な冠動脈血行再建術の複合であった。非劣性マージンは3.5%ポイントとした。 試験は北米、欧州、アジア、中東の59ヵ所で行われ、被験者は、視覚的評価に基づき1つ以上の対象病変(50~90%の冠動脈狭窄)があり、FFRまたはNHPRによる血行動態評価によるガイド下冠動脈血行再建術が必要とされる場合に適格とした。ハザード比は0.98、FFRangioの非劣性を確認、有害事象も明らかな差はなし 2023年6月21日~2025年1月2日に、計1,930例がFFRangio群(965例)またはプレッシャーワイヤー群(965例)に無作為化された。被験者の平均年齢は68.4歳で、25.0%が女性であった。 1年時点で、主要エンドポイントの発生はFFRangio群64例(Kaplan-Meier推定6.9%)、プレッシャーワイヤー群65例(7.1%)で報告された(ハザード比:0.98[95%信頼区間[CI]:0.70~1.39]、群間差:-0.2%ポイント[片側97.5%CI値上限:2.1%ポイント]、非劣性のp<0.001)。 出血、急性腎障害、手技関連有害事象の発現に関して両群間で明らかな差はみられなかった。

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脊髄損傷患者の運動制御と感覚フィードバックを同時に一部再現

 脊髄を損傷すると、手足の動きを制御する能力(運動制御能力)と、手足からの感覚情報を脳へフィードバックする能力(感覚フィードバック)の2つの重要な能力が失われる。運動制御能力と感覚フィードバックの双方向の情報伝達機能は、脚や腕を協調させて動かす上で不可欠である。新たな研究で、脊髄損傷部位の上下両方に電気刺激を与えることで、運動制御能力を高めるとともに感覚フィードバックの代替となる感覚を再現できる可能性が示された。米ブラウン大学工学分野のDavid Borton氏らによるこの研究結果は、「Nature Biomedical Engineering」に3月11日掲載された。 この研究でBorton氏らは、完全脊髄損傷により歩行能力を失った3人の患者の損傷部位の上下に電極を埋め込んだ。次いで同氏らは、患者とともに、歩行時の筋肉運動を担う神経への刺激を細かく調整した。その方法は、患者自身がノブとスライダーを備えた「DJボード」を操作し、脊髄の異なる部位に異なるレベルの刺激を与えながら、脚の筋肉を収縮・屈曲させる最適なパターンを探り当てるというものだった。論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学デービス校神経外科学分野のJonathan Calvert氏は、「目標となる脚の位置や配置を提示し、それを実現する刺激パターンが見つかるまでボードを操作してもらった。参加者は、再び自分の脚が動く様子を目にし、ボードを通じて動きを自分で制御できることをとても喜んでいた」と語った。 そのようにして得られたデータを基に、機械学習モデルにより、それぞれの参加者で最も精度高く筋活動を引き起こす刺激パターンを最適化した。損傷部位より上への刺激についても同様のプロセスを用いて感覚フィードバックの生成を試みた。ただし、脊髄損傷のため、上への刺激を直接下肢の感覚と対応させることはできない。そこで、身体の別の部位に生じる感覚が下肢の感覚の代替として機能するかを検証した。Calvert氏は、「特定の感覚を特定の動作や刺激と関連付け、参加者が感覚的な手がかりを再解釈できるようにする『感覚代替』のアプローチを用いた。このアプローチでは、参加者は胸や腕、背中に感覚を感じるかもしれないが、それを脚の異なる関節角度と結び付けることを学習できる」と説明している。実際に参加者は、目隠しをした状態でも脚の角度を正確に報告できたという。 その後、天井から吊るされたハーネスで支えられた患者がトレッドミル上で歩行動作を行う際に2種類の電気刺激を同時に使用する実験を行った。その結果、参加者は歩行に必要な筋肉を使い、足が接地したタイミングを正確に報告できた。ただし、その感覚は、足ではない身体の別の部位に生じていた。ある参加者は、自分の胸を指しながら「足が地面についた瞬間が、ここへの感覚で分かった。足がトレッドミルに触れた感覚そのものではなかったが、それに近いものではあった」と語ったという。 Borton氏は、「この結果は、脊髄損傷患者の運動機能回復への道筋を示すものだ。完全脊髄損傷患者において、運動刺激と感覚フィードバックが同時に実証されたのは今回が初めてである」とプレスリリースで述べている。同氏はさらに、「これは、脊髄損傷によって生じた神経伝達の断絶を埋めるという目標に向けた重要な一歩である。われわれは、運動の活性化と感覚フィードバックを同時に提供することで、協調した動きと機能的な自立の回復に向けて前進している」と付け加えた。 研究グループは、この研究で示されたようなフィードバックは、将来的に脊髄損傷のリハビリを行う患者の助けになり得ると述べている。Borton氏は、「損傷部位をまたぐ協調した刺激がリハビリ効果をもたらす可能性がある。今回の研究では十分に検証できなかったが、今後の研究で追求していく予定である」と話している。研究グループは今後、より多くの脊髄損傷患者を対象に入院環境外でこの刺激アプローチを検証する長期研究の実施を計画している。

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問題ばかり起こす人との関係は生物学的老化の加速と関連

 問題ばかり起こす人と一緒に過ごすことは、単に気分を台無しにするだけではないかもしれない。最近の研究によると、そのようなストレスの多い人間関係は、時間の経過とともに健康に影響を及ぼし、さらに生物学的老化の進行を早める可能性が示された。米国立老化研究所の資金提供を受けて、米インディアナ大学社会学教授のBrea Perry氏らが実施したこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月18日掲載された。 人に面倒やストレスをもたらす人のことを、英語では「hassler(ハスラー)」と呼ぶ。Perry氏らは今回、米国インディアナ州で行われた健康調査に参加した18~103歳の2,345人(平均年齢46.24歳)のデータを用いて、ハスラーとの関係が健康や生物学的老化にどう関係するかを調査した。参加者の生物学的年齢は、唾液からDNAメチル化を測定し、エピジェネティッククロック(age-accelerated GrimAge2、DunedinPACE)を用いて評価した。GrimAge2は生物学的老化がどれくらい進んでいるか、DunedinPACEは生物学的老化がどれくらいの速度で進んでいるかを反映する指標である。また、参加者の社会的ネットワークの中にいる人のうち、その人を「頻繁に」困らせる人をハスラーと見なした。参加者のネットワークの構成人数は平均5.07人(最大25人)で、その中に平均0.43人のハスラーがいた。 解析の結果、ハスラーが1人増えるごとに老化速度が約1.5%速くなることが示された。これは、暦年齢で1年進む間に生物学的年齢が1.015年進むことを意味する。この影響が累積すると、10年間で約1.8カ月分の生物学的老化の進行に相当する。また、生物学的年齢の加速についても、ハスラーが1人増えるごとに生物学的年齢が約9カ月高いことも推定された。 論文の上席著者であるPerry氏は、「生物学的老化の観点では小さな影響でも、積み重なれば大きくなり得る」とワシントン・ポスト紙に語っている。 ただし、研究グループは、この研究はハスラーの存在が老化を引き起こすことを証明したわけではないと強調している。論文の筆頭著者で、米ニューヨーク大学社会学教授のByungkyu Lee氏は、「ハスラーが実際に老化を引き起こすのかどうかは分かっていない。今回観察されたのは、ハスラーが身近にいることと老化速度との間に関連が見られたという点だ」と述べている。 またこの研究では、ハスラーがネットワーク内にいると報告する傾向が高い人についても明らかになった。例えば、女性は男性よりも、ハスラーが身近にいると答える割合が高かった。この結果について検討した米テキサス大学オースティン校のDebra Umberson氏は、「全く驚きはない」と話す。同氏によると、これまでの研究でも、女性は良くも悪くも人間関係の影響を男性より強く受けやすいことが示されているからだ。 さらに、健康状態があまり良くない人や、幼少期に困難な経験をしてきた人ほど、ハスラーが身近にいると報告する傾向が強かった。また、そうしたハスラーの多くは家族であり、親や子どもがストレスの原因として挙げられることが多いことも分かった。 専門家によると、ハスラーに対する最も分かりやすい対処法は、常にストレスをもたらす相手との接触を減らすことだという。しかし、それが簡単でない場合も多い。家族や職場の同僚は、日常生活の中で接触が避けられない存在だからだ。Perry氏は、「私にとって重要なのは、境界線を引くことだ。その人があなたに生物学的な悪影響を及ぼす可能性があると分かったら、その人との関係にどれだけ労力を注ぐかに上限を設けるべきだ」と助言している。また専門家は、支えや安心感を与えてくれる人と過ごす時間を増やすことも勧めている。

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がん治療中のケモブレイン、運動療法に抑制効果?

 がんやがん治療に伴い生じる認知機能障害を総称して、CRCI(cancer-related cognitive impairment)という。抗がん剤による治療中や治療後の患者に生じる記憶力や集中力、作業能力の一時的な低下を表す「ケモブレイン」は、CRCIの一種である。このほど、新たな研究において、運動ががん患者のCRCIを防ぎ、認知機能を保ちながら日常生活を円滑に送るのに役立つ可能性が示された。英ロチェスター大学医療センター、ウィルモットがん研究所のがん予防・制御研究プログラムで共同リーダーを務めるKaren Mustian氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Comprehensive Cancer Network」3月号に掲載された。 今回の研究では、米国内で2、3、4週サイクルで初回の化学療法を受ける予定だった687人の遠隔転移のないがん患者を対象に、CRCIおよび精神的疲労に対する運動の効果がランダム化比較試験で検討された。参加者は、6週間の自宅ベースの個別化された運動療法を受ける群(354人)と標準治療を受ける群(333人)にランダムに割り付けられた。参加者の認知機能をFunctional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive Function(FACT-Cog)、精神的疲労を多次元疲労症状調査票(Multidimensional Fatigue Symptom Inventory;MFSI)で評価するとともに、血液サンプルからIL-1βやIL-6など6種類の炎症関連マーカーを測定した。547人が介入の前後で完全なFACT-Cogデータを提供し、うち348人は血液サンプルも提供した。 介入前後で、全ての参加者で認知機能の低下と精神的疲労の増加が見られた。解析の結果、2週サイクルで化学療法を受けている運動療法群では、標準治療群と比較して、全般的な認知機能低下の程度が有意に低く、また、自覚的な認知機能障害や他者が認識する認知機能障害の程度も低かった。一方、3週または4週サイクルで化学療法を受けている運動療法群では、標準治療群との間に有意差は認められなかった。 精神的疲労についても介入の前後で、全ての参加者において有意に悪化した。しかし、運動療法群は標準治療群と比較して、介入後の精神的疲労が有意に軽度であった。特に2週サイクルの化学療法を受けている患者では、運動療法群では精神的疲労の悪化が認められなかったのに対し、標準治療群では有意な悪化が認められた。3週および4週サイクルで化学療法を受けている患者では、両群間に有意差は認められなかった。さらに、1日当たりの歩数についても、運動療法群では介入前後でほぼ維持されていたのに対し、標準治療群では介入前と比べて歩数が有意に53%減少した。 Mustian氏は、「安全でシンプルな運動プログラムが、化学療法を受ける患者にとって重要な支持療法の一部となり得ることを示している」とニュースリリースで述べている。また研究グループは、運動療法の効果を得るには、2週サイクルの化学療法が「最適なタイミング(スイートスポット)」である可能性も指摘している。 本研究をレビューした、米ワシントン大学医学部の腫瘍内科医であるLindsay Peterson氏は、多くの患者がケモブレインを心配していると述べた上で、「今回の研究結果は有望だ。化学療法中の認知機能低下のリスクを減らすために患者自身ができることが運動である可能性を示している」とコメントしている。同氏はさらに、「多くの患者にとって、思考の明瞭さを保ち、記憶力を維持し、治療中も精神的に活動的でいることは、自立した生活の維持や就労の継続、家族のケア、さらに全体的な生活の質(QOL)を保つ上で極めて重要だ」と付け加えている。

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次世代の経口TYK2阻害薬が乾癬症状を大幅に改善

 重症の尋常性乾癬患者は、効果があまり高くないが服用しやすい内服薬か、効果は極めて高いが手間のかかる注射製剤による治療かのいずれかを選ばざるを得ないことが多い。しかし、こうしたトレードオフは今後、変わる可能性がある。中等症から重症の尋常性乾癬患者約1,800人を対象とした2件の第3相臨床試験で、次世代のチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬Zasocitinib(ザソシチニブ)の1日1回の経口投与が、これまで注射製剤でしか期待できなかったレベルの皮膚の改善をもたらす可能性が示された。この研究結果は、米国皮膚科学会(AAD)年次総会(2026 AAD Annual Meeting、3月27〜31日、米デンバー)で発表された。 尋常性乾癬は、皮膚細胞の増殖が過剰に速くなることで、厚く盛り上がった赤い発疹と銀白色の鱗屑を形成する疾患であり、増悪時にはかゆみや灼熱感を伴う。一方、武田薬品工業株式会社が開発を主導しているZasocitinibは現在、最終段階の試験中であり、米食品医薬品局(FDA)の承認は得られていない。 この2件の国際多施設共同ランダム化比較試験では、21カ国の中等症から重症の尋常性乾癬の成人患者(各試験の対象者数は693人および1,108人)を対象に、Zasocitinibの有効性と安全性および忍容性が評価された。対象者は、Zasocitinib、プラセボ、または実薬対照のアプレミラストを投与する群にランダムに割り付けられた。 その結果、16週時点で医師による静的総合評価(sPGA)のスコア0(消失)/1(ほぼ消失)を達成した患者の割合は、Zasocitinib群で71.4%および69.2%だったのに対し、プラセボ群では10.7%および12.6%、アプレミラスト群では32.1%および29.7%であり、Zasocitinib群で有意に高かった。皮膚症状の完全な消失(sPGAスコア0)の達成率についても、Zasocitinib群で有意に高かった(Zasocitinib群:39.9%および33.7%、プラセボ群:0.7%および1.4%、アプレミラスト群8.0%および6.5%)。 また、16週時点で、乾癬の面積と重症度の指数であるPASI(Psoriasis Area and Severity Index)による評価でPASI 90(ベースラインから90%以上の改善)を達成した割合は、Zasocitinib群で61.3%および51.9%であり、プラセボ群での5.0%および4.0%、アプレミラスト群での16.8%および15.9%と比較して有意に高かった。 さらに、40週時点でPASI 75、PASI 90またはsPGA 0/1を達成し、試験期間を通じてZasocitinib投与を継続した患者の90%以上が、60週時点でもその効果を維持していた。安全性については、新たな懸念は認められなかった。最も一般的な副作用は、風邪のような上気道感染症など、比較的軽度のものであった。また、約6.5%の患者でにきび(ざ瘡)が報告されたが、これはTYK2阻害薬と呼ばれるこの薬剤クラスの既知の副作用である。 主任研究者であるカナダ・オンタリオ州の皮膚科医のMelinda Gooderham氏は、「乾癬治療の目標は皮膚症状の消失またはほぼ消失であり、これまでは主に注射製剤によって達成されてきた。今回の試験の結果は、1日1回の内服薬でも迅速かつ持続的な症状消失効果が得られる可能性を示した」と述べている。 武田薬品工業株式会社の消化器・炎症領域責任者でシニア・バイスプレジデントのChinweike Ukomadu氏は、「本試験の結果は、高選択的なTYK2阻害が中等症から重症の尋常性乾癬患者に対し、皮膚症状の消失、またはほぼ消失という治療効果をもたらす可能性を示している」と述べている。同社は、今後1年以内にFDAへの承認申請を行う予定である。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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「毛尿」の1例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第304回

「毛尿」の1例血尿とは血液の混じた尿、蛋白尿とはタンパクの混じた尿です。では、皆さんは「毛尿」を見たことがありますか?尿に毛髪が混じることをpilimiction(毛尿)と言います。ちなみに、日本語訳が合っているのかどうか自信ありません。いくら『おどろき医学論文』だからといって、「毛尿」はさすがにないでしょ!と思われるかもしれませんが、あるんです!! Issack FH, et al. Pilimiction, a Rare Presentation of Ovarian Teratoma: A Case Report. Res Rep Urol. 2022;14:57-61.患者は42歳、1経産の女性で、約1年前から尿中に毛が混じることと下腹部痛を主訴に三次病院へ紹介されました。頻尿・尿意切迫感・排尿時痛といった典型的な下部尿路症状はなく、発熱や帯下異常もありません。検査では尿沈渣で軽度の顕微鏡的血尿(3〜5 RBC/HPF)を認めた以外、CBC・腎機能・肝機能・感染症スクリーニングはすべて正常。腫瘍マーカー(β-hCG、LDH、CA-125、CEA)も陰性でした。腹部骨盤エコーでは膀胱腔内に異物様の管状エコー輝度構造物が映り、造影CTでは右付属器に5cm×3.7cmの不均一な腫瘤が確認されました。内部には石灰化と脂肪濃度が混在しており、膀胱の右上外側壁に浸潤し粘膜欠損を伴っていました。膀胱鏡では、膀胱後壁〜頂部にかけて白色乳頭状腫瘤が認められ、そこから毛髪様の構造物が生えていました。膀胱に……毛がある!開腹手術でも、それは確認されました。4cm×6cmの右卵巣腫瘤の内部には、毛髪・骨・歯が含まれていたのです。奇形腫です。卵巣腫瘍は摘出され、手術標本の病理学的検討で成熟奇形腫の確定診断に至っています。術後、症状は改善しました。膀胱壁への浸潤が浅い段階では頻尿や尿意切迫感といった非特異的な症状にとどまりますが、全層性に浸潤して膀胱腔内と交通すると、卵巣奇形腫の内容物──つまり毛髪が尿中に排出されます。これが「毛尿」です。毛尿は、1700年に初めて報告されたそうで、卵巣奇形腫の膀胱穿破における病的意義のきわめて高い所見です。逆にいえば、毛尿を認めたらまず卵巣奇形腫の膀胱浸潤を疑うべきということになります。瘻孔形成のメカニズムとしては、かつては悪性転化による浸潤が主因と考えられていましたが、現在は良性の成熟奇形腫でも、腫瘍内容物の間欠的漏出→慢性炎症→癒着形成→瘻孔化という経路で発生しうることが明らかになっています。まれな病態ではありますが、「知っているかどうか」で初動が大きく変わる──そんな1例です。

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福島県立医科大学 腫瘍内科学講座【大学医局紹介~がん診療編】

佐治 重衡 氏(主任教授)木村 礼子 氏(講師)名取 穣 氏(助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴、医師の育成方針福島県立医科大学腫瘍内科学講座は、各診療科との連携による臓器横断的ながん薬物療法の実践と、最先端の臨床試験・研究の発信が特徴です。乳がん領域では乳腺外科と共に国内有数の治験実施数を誇り、全国規模の研究グループを牽引しています。診療面では、大腸がんや乳がんなど罹患数の多いがんから、肉腫や神経内分泌腫瘍などの希少がん、原発不明・重複がんに至るまで幅広く対応し、地域がん診療の「最後の砦」として機能しています。また、県内の中核病院と人材交流を通じて連携し、最適ながん診療を届ける「均てん化の要」を担うとともに、多施設共同研究を福島からリードする拠点への飛躍を目指しています。育成面では、確かな臨床能力を基盤に自らクリニカルクエスチョンを見つけ、明日の治療を創る人材を育成しており、国内主要施設への留学も可能です。最も重視しているのは、子育てや介護などライフステージの変化への配慮です。働く場所や時間、キャリアのタイミングを最適化できるよう支援しています。働きやすい環境で、地域から世界へ、共にがん診療の未来を拓く熱意ある先生方をお待ちしています。医局でのがん診療のやりがい、魅力当科では、大腸がんや乳がんといった罹患数の多いがんから、肉腫、神経内分泌腫瘍、原発不明がんなどの希少がんまで、幅広いがん診療を経験することができます。日常診療を通じて、多様ながん種に触れながら総合的ながん診療能力を身につけることができます。また、多くの臨床試験に参加しており、開発段階の治療から保険診療へと移行していく過程を実際に経験できる点も魅力です。日々進歩するがん薬物療法を学び続ける必要はありますが、その分、知識や経験のアップデートを実感できるやりがいのある分野です。さらに、患者さんと丁寧に対話し、その方の背景や価値観も踏まえて最適な治療方針を考えていく点も、腫瘍内科の大きな魅力です。医局の雰囲気医局はアットホームな雰囲気で、メダカを飼育しており、日々の癒しになっています。教授は個々の意思を尊重し、医局としての方針に縛られず、それぞれにとって最適なキャリアを一緒に考えてくれます。そのため、自分の関心に応じて専門性を深めながら成長できる環境です。同医局を選んだ理由地元の福島県の市中病院で研修を終えた後に、腫瘍内科を目指し専門医資格を取得したいと思い、同医局に入りました。外科治療や放射線治療の設備と比べて、がんの薬物療法は地域でも導入しやすいと考え、都市部から遠い患者さんにも良いがん薬物療法を提供したいと思ったことが入局した理由です。現在学んでいること新専門医制度のもと用意された研修プログラムを学び、内科専門医とがん薬物療法専門医を希望のとおりに取得することができました。現在は、進歩がとても速いがん薬物療法の分野において、学会や論文の情報を収集し、最新の知見を診療に反映していけるよう学んでいます。今後のキャリアプランさまざまな働き方に柔軟に対応してもらえるため、その都度安心して相談できる雰囲気があります。今後は学ぶのみではなく、自分自身も進歩に貢献できるように、小さくても意義のある研究を行い、ライフステージに応じたやりがいを感じながら地域貢献を続けていければと考えています。福島県立医科大学 腫瘍内科学講座住所〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地問い合わせ先onco@fmu.ac.jp医局ホームページ福島県立医科大学 腫瘍内科学講座専門医取得実績のある学会日本専門医機構日本内科学会日本臨床腫瘍学会日本乳学会日本遺伝性腫瘍学会研修プログラムの特徴(1)臨床さまざまながん患者に対する薬物療法を身につけることができ、日本ではまだまだ足りないがん薬物療法専門医の取得が可能です。(2)研究がん分子標的治療薬の臨床開発やトランスレーショナルリサーチ、福島県のがん罹患動向についての研究などを行っています。がんに関する基礎研究や臨床研究で学位の取得が可能です。(3)留学国内や海外の留学も相談に応じます。チーム医療に関するワークショップ(英語)の運営にも長年携わっており、臨床面からの海外研修・留学もサポートします。詳細はこちら

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緩和ケア:オピオイド過量徴候【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第8回

「緩和ケア」はがん診療を行う上で重要な役割を担っています。とくにがん患者の約70%が痛みを経験するといわれており、がん疼痛管理においてオピオイドは欠かせない薬剤です。しかし、治療経過の中で痛みの原因そのものが軽減した場合や、全身状態の変化により薬剤の代謝や排泄が変化した場合には、オピオイドが過量となることがあります。オピオイド使用中の患者さんやご家族から、「眠気が強い」「様子がいつもと違う」といった相談が、かかりつけ医に寄せられることも少なくありません。このような場面で、「外来での対応にとどめてよいのか」「病院への相談や紹介が必要なのか」と判断に迷うことも多いと思います。今回は、オピオイド過量が疑われる場面における評価のポイントと対応について、症例を通して整理します。【症例1】70歳、男性主訴悪心、嘔吐、眠気病歴進行胃がん(StageIV)に対して緩和的化学療法を実施中。初診時より心窩部痛を自覚しており、オキシコドンを使用していた。1ヵ月前のCTで原発巣の縮小を指摘されていた。1週前から日中も寝て過ごすことが多くなり、悪心のため食事摂取量も低下していた。昨日より嘔吐も出現したため、家族に連れられてかかvりつけ医(クリニック)を受診。診察所見呼吸数12回/分、瞳孔2.5mm/2.5mm、眠気が強い様子ではあるが、意思疎通は問題なく可能。発熱なし、腹部圧痛なし、心窩部の持続痛なし、腸蠕動音正常、食事摂取割合3割程度。排便は毎日あり、普通便。内服ロキソプロフェン60mg 3錠 分3、アセトアミノフェン500mg 3錠 分3、オキシコドン徐放錠60mg/日、オキシコドン散10mg/回(最近は使用せず)【症例2】58歳、女性主訴尿量減少、傾眠病歴進行直腸がん術後再発に対して緩和的化学療法を実施中。以前から骨盤内病変による臀部痛、肛門部痛があり、モルヒネ製剤を使用していた。3日前からストマ排泄量が増加し、口渇感と尿量減少を自覚していた。本日朝より傾眠傾向となり、「声をかけたら返答はあるがすぐに寝入ってしまう」と家族がかかりつけ医(クリニック)に相談。診察所見話しかけると覚醒し、短文での簡単なコミュニケーションは可能だが、刺激がなくなるとすぐに入眠する。呼吸数8回/分、瞳孔1.5mm/1.5mm。抗がん剤10日前にイリノテカンを含む治療を実施。内服ロキソプロフェン60mg 3錠 分3、モルヒネ徐放性剤120mg/日、モルヒネ速放性製剤ステップ1 オピオイド過量徴候の評価オピオイド過量となりやすい状況オピオイド過量は、必ずしも増量時に起こるわけではありません。外来で評価する際には、まず過量となりやすい背景がないかを整理しておくことが重要です。不適切なベース設定疼痛評価が十分でないまま増量が続いている場合全身状態の変化脱水、肝機能障害、腎機能障害により、オピオイドの代謝・排泄が低下している場合痛みの大きな変化がん治療や神経ブロックなどにより、痛みが大幅に軽減した場合代謝産物の蓄積腎機能障害がある、または急激に進行した場合(オピオイド代謝産物が蓄積しやすい)このような状況がある場合には、「投与量が変わっていない」ことだけで過量を否定しないことが重要です。必ず確認したい3つのポイントオピオイド過量を疑う際には、以下の3点を必ず確認します。(1)眠気(傾眠)眠気が強くなっていないか、呼びかけへの反応が鈍くなっていないかを確認します。刺激がなくなるとすぐに入眠してしまう場合は注意が必要です。家族からの「最近よく寝ている」「反応が遅い」といった訴えは重要なサインになります。(2)呼吸抑制呼吸数は必ず実測します。呼吸数の低下は、オピオイド過量を示唆する最も重要な所見の1つです。短時間でも数えて確認することが望まれます。(3)縮瞳縮瞳はオピオイド過量の典型的な所見です。他の症状と併せて評価することで、判断の助けになります。上記に加えて、他のオピオイド関連副作用(悪心・嘔吐、便秘、せん妄など)が悪化していないかも確認します。これらの副作用が目立ってきている場合も、過量を疑うきっかけとなります。ステップ2 対応は?では、冒頭の患者さんの対応を考えてみましょう。症例1の場合、画像上で原発巣の縮小が確認されており、レスキュー薬の使用もないことから、痛みの原因そのものが軽減している可能性があり、相対的オピオイド過量が疑われます。眠気や悪心といった所見はみられるものの、意思疎通は可能で呼吸数も保たれており、急速な悪化は認められていません。このような場合には、外来での対応が可能です。対応としては、オピオイドの漸減を行います(表1)。表1 オピオイドの減量方法画像を拡大するオピオイド退薬症候(表2)の出現を避けるため、急激な減量は避け、症状を確認しながら慎重に調整することが重要です。減量後は、数日以内の再診や電話でのフォローを行い、痛みの再燃や副作用、退薬徴候の出現がないかを確認します。経過の中で判断に迷う場合には、病院側と情報を共有しながら対応することで、安全に調整を進めることができます。表2 オピオイド退薬症候画像を拡大する症例2の場合、傾眠の進行と呼吸数の低下が認められ、オピオイド過量による中枢神経抑制が強く疑われます。加えて、下痢による脱水や尿量減少を背景に、腎機能障害が急速に進行している可能性があり、短時間で状態が悪化するリスクが高い状況です。このような場合には、外来での減量や経過観察にとどまらず、速やかに病院へ相談・紹介することが適切です。呼吸抑制や意識障害が進行している可能性があるため、ナロキソンによる拮抗や注射製剤への切り替えを含めた速やかなオピオイド用量調整が必要となることがあり、病院での対応が望まれます。外来では、オピオイドを大きく調整する判断は避け、呼吸数や意識状態、脱水や尿量減少といった背景因子を整理したうえで、病院側に情報を共有します。早期に連携することで、重篤化を防ぐことが重要です。まとめオピオイド過量は、増量時だけでなく、痛みの軽減や全身状態の変化をきっかけに生じることがあります。外来では、まず眠気(傾眠)、呼吸数、縮瞳の3点を確認し、急な変化がないかを評価することが重要です。状態が安定している場合には、かかりつけ医での慎重な減量や経過観察が可能な一方、呼吸抑制や意識障害を伴う場合には、外来で完結させず速やかに病院へ相談する判断が求められます。日常診療での気付きを共有しながら連携して対応することが、安全ながん疼痛管理につながります。1)Isaac T, et al. Pain Res Manag. 2012;17:347-352.2)Snijders RAH, et al. Cancers(Basel). 2023;15:591.3)World Health Organization. WHO guidelines for the pharmacological and radiotherapeutic management of cancer pain in adults and adolescents. Geneva: World Health Organization;2018.4)日本緩和医療学会編. がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版. 金原出版;2020.講師紹介

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第309回 ホルムズ海峡封鎖、不足が懸念される医療資材とは

INDEXホルムズ海峡封鎖が医療問題にも発展か日本のナフサ対策と現状ホルムズ海峡封鎖が医療問題にも発展かイランと米国・イスラエルによる戦争は、現時点では2週間の停戦が継続中で、一部では停戦期間の延長とともにイランと米国の停戦協議が続けられると報じられている。一方、イランにより事実上封鎖されていたペルシャ湾入り口のホルムズ海峡では、この停戦期間中に米海軍が進出し、イランへの逆封鎖に転じた。情勢は今も不透明で、気まぐれな米国・トランプ大統領の発言にも左右される状況である。先日、本連載(第303回)では原油、液化天然ガス(LNG)の供給不安化をもとに今後の電気料金上昇の影響を試算したが、昨今では石油製品の一種である「ナフサ」の供給不安が各メディアで報じられている。ナフサは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンといった石油化学基礎製品の原料であり、これからもわかる通り、ナフサの供給不安は国内の幅広い消費財の供給に影響を及ぼす。石油化学工業協会(JPCA)によると、2024年のナフサ輸入量は約2,056万kLで、うち中東からの輸入割合は73.6%。原油と違って国家備蓄はなく、民間在庫は国内消費の20日分程度といわれている。国内の石油化学工業各社は現在、米国や中南米などへ輸入先の転換を図っているとされる一方、関連各社からは自社製品の値上げや出荷制限の発表が相次いでいる。この状況は医療関連製品も無縁ではないのは多くの人が承知していることだろう。ナフサを原料とする医療資材は、ざっと挙げるだけでも、透析装置部品(透析回路、廃液容器、輸液バッグなど)、注射器、輸液バッグ、カテーテル、輸液ライン、人工血管・人工心肺回路、手術用手袋・ガウン・マスク、検査キット・診断用ディスポ製品、消毒薬原料(アルコール・フェノール系)、医薬品原料(合成薬の中間体)、医薬品添加物(ワセリンなど)、医薬品包装(PTPシートなど)と多岐にわたるからだ。実際、透析を行う医療機関の不安の声などはすでにメディア各社によって報じられているほか、科学・産業機器や病院・介護用品の商社であるアズワンは医療用ニトリル手袋や注射針回収ボックスなどの出荷制限を始めた。今のところこの件に関して、いわゆるパニックバイと呼ばれるような供給不安に基づく買い占めは起きていない模様だ。これは一般大衆と違い、医療者はある程度の情報リテラシーがあることや、ナフサの供給不安定化の影響があまりにも広範囲過ぎてどうしてよいかわからないという2つの要素があるのだろうと個人的には感じている。日本のナフサ対策と現状もちろん国も手をこまねいているわけではなく、厚生労働省と経済産業省は「中東情勢の影響を受ける医薬品、医療機器、医療物資等の確保対策本部」(本部長:上野 賢一郎厚生労働相・赤沢 亮正経済産業相)を設置し、3月31日に初会合が開かれ、これまで4月16日までに3回の会合が行われた。同対策本部ではメーカーや卸業者向けと医療機関向けの相談窓口を開設し、医療機関126施設を対象とした定点観測の実施、広域災害救急医療情報システム(EMIS)を用いたオンラインによる随時報告システムの運用も始めている。16日現在、両窓口に寄せられた相談は2,956件で、供給に影響が及んでいると判断された資材は34件、うち10件は当面の供給は解決済みとしている。こうした中で注目すべきは、高市 早苗首相のある行動だ。高市氏は4月5日、X(旧Twitter)であるポスト(投稿)を行った。端的に要約すれば、今年6月までに日本のナフサ供給が途絶する可能性を指摘した報道番組を受け、現在の国内のナフサ在庫量や今後の調達見通しなどに関して具体的な数字をあげて、「報道番組の指摘は現実とは異なる」旨を伝えたものだ。実は現代のSNS社会を念頭にパニックバイを防ぐために専門家などから指摘されている有効な手段が「供給量の可視化」と「初動の迅速な情報発信」の2つであり、高市首相のポストはこれをおおむね兼ね備えている。とくに首相自身のXは約285万人のフォロワーがおり、厚生労働省、経済産業省のそれぞれ公式Xのフォロワー数(前者が約100万人、後者が約34万人)とは比較にならない拡散力を持つ。私自身は職責の性格上(?)、あまり政治家の行動を褒めることはないのだが、これについては明らかなファインプレーだと思っている。ただし、国としては、これを首相個人の功績で終わらせるのではなく、公的に受け継いで信頼性の高い情報発信をできるかが、今回の供給不安を終息させるカギを握ると考えている。そのうえで高市氏のポストの内容で個人的にちょっと惜しいと感じたのは、在庫の開示や現実の調達能力に関して「◯ヵ月」「kl/月」が入り混じっていたところである。少なくとも石油化学製品のサプライチェーンに関しては、医療者も素人であり、とくに前者の「在庫◯ヵ月」はイメージが湧きにくい。これを平時の国内の調達量と、現在の在庫量・調達量をすべてkl単位で定期的に比較公表すれば、おそらく国民の多くがより信頼性の高い情報と認識するだろうし、そこで平時とあまり変わらない在庫量・調達量が示されれば、安心感も増すだろう。もちろんこの方式を取れば、実際に調達量が細ってきたときは不安に駆られる人も出てくる。しかし、この場合は細った調達量に対して、どのような対策を打っているかをリアルタイムで開示していけばよい。これで医療者も含めた国民の不安のかなりの部分は解消できるはずである。

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片頭痛が短期記憶とワーキングメモリに及ぼす影響は

 片頭痛は、世界人口の最大15%が罹患する一般的な神経疾患である。片頭痛は、頭痛、悪心、嘔吐、光や音への過敏症などの身体症状を伴う疾患である。また、視覚性前兆の有無など、特定の症状に基づいて分類されるさまざまな亜型が存在する。さらに、報告頻度の高い認知症状として「ブレインフォグ」がある。これは、主に注意力や記憶力に関連する日常生活における認知機能の低下を表す状態である。片頭痛における記憶機能に関する実証研究の結果は、一貫性が認められていない。一部の研究では、明らかな認知機能低下が報告されている。その一方で、他の研究では軽微あるいはまったく障害がないことが報告されている。さらに、これまでの研究では、特定の記憶領域の検討が限定的であり、片頭痛の特徴に対する影響が一貫して考慮されていなかった。オーストラリア・La Trobe UniversityのKenya McKay氏らは、片頭痛患者の短期記憶およびワーキングメモリのパフォーマンスを、健康対照者と比較して調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Neurology誌2026年3月17日号の報告。 Embase、CINAHL、MEDLINE、PsycINFO、Web of Science Core Collectionよりシステマティックに検索した。片頭痛患者の短期記憶およびワーキングメモリのパフォーマンスを評価した研究を目的に関連する包含基準を用いて、2段階(タイトルや抄録および全文)でスクリーニングを行った。抽出された3,880件の研究のうち、16件が包含基準を満たした。主要アウトカムは、短期記憶およびワーキングメモリとし、片頭痛患者と健康対照者との比較を行った。副次的アウトカムとして、前兆のある片頭痛患者と前兆のない片頭痛患者における記憶パフォーマンスの調査および片頭痛が視覚記憶および言語記憶のパフォーマンスに及ぼす影響を評価した。JASPを用いてランダム効果モデルによる解析を行い、エフェクトサイズとしてHedges’gを用いた評価を行った。異質性は、Q統計量およびI2統計量を用いて評価した。出版バイアスの評価には、Eggerの回帰検定とファンネルプロットを用いた。 主な結果は以下のとおり。・短期記憶において、片頭痛患者と健康対照者との間に有意差は認められなかった。・具体的には、前兆のある片頭痛患者と健康対照者、前兆のない片頭痛患者と健康対照者、あるいは前兆のある片頭痛患者と前兆のない片頭痛患者の間で、短期記憶に有意差は認められなかった。・同様に、短期視覚記憶および短期言語記憶能力においても有意差は認められなかった。・一方、ワーキングメモリにおいては有意差が認められ、片頭痛患者は健康対照者と比較し、作業記憶の低下が認められた。 著者らは「成人片頭痛患者では、短期記憶は維持されているものの、ワーキングメモリは選択的に障害されていることが、本システマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかとなった。このパターンは、片頭痛が全般的な記憶障害と関連しているのではなく、むしろ能動的な操作や認知制御を必要とする高次記憶プロセスにおける脆弱性と関連していることを示唆している。これらの結果は、客観的な認知機能所見と一般的に報告されるブレインフォグの症状を整合させるのに役立っている。また、片頭痛に関連する認知機能の訴えは、発作間欠期における根本的な記憶維持障害ではなく、認知効率の低下を反映している可能性を示唆していると考えられる」と結論付けている。

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医師のアルバイト、10年で「していない」が激減、収入は増加傾向/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2026年3月に会員医師1,000人(男性883人、女性117人)を対象として「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、医師のアルバイト事情において、10年前の調査と比較して顕著な変化が生じていることが明らかとなった。「アルバイトをしていない医師」は10年前から半減 今回の調査で最も際立ったのは、「アルバイトをしていない」と回答した医師が大幅に減少した点である。「アルバイトをしていない」医師は2016年の調査では52%だったのが、2026年調査では29%と10年間で約半数にまで減少しており、現在、医師にとってアルバイトがきわめて一般的な収入源となっていることが示された。アルバイト収入の分布:二極化と底上げ 2025年度のアルバイト年収は、全体として上昇傾向にあった。最多層は「200万円未満」の28%だが、これは2016年の16%から増加しており、少額でもアルバイトを行う医師の裾野が広がっていることを示している。一方で、アルバイト収入が「1,200万円以上」の層も5%存在し、2016年の2%から倍増した。大学病院勤務者の9割以上がアルバイトに従事 勤務形態別の分析では、大学病院勤務者の実態が顕著であった。大学病院などで働く医師のうち、アルバイトをしていない割合はわずか8%にすぎなかった。大学病院勤務者ではアルバイト年収が「1,000万円以上」に達する割合が23%(1,000~1,200万円未満:11%、1,200万円以上:12%)であり、ほかの勤務先(一般診療所・一般病院)に比べて圧倒的に高い傾向にあった。年代・診療科・地域によっても格差 年代別では、最も積極的にアルバイトを行っているのは「46~55歳」(「していない」割合が23%)であった。対して66歳以上では38%が「していない」との回答だった。 地域別では、北海道・東北では約半数(49%)が「200万円未満」の収入帯に属し、従事者は多いものの単価が低い傾向にあった。一方、九州・沖縄では約半数(49%)が「していない」という結果だった。 診療科別では、アルバイトに従事している医師の割合が最も高かったのは放射線科(「していない」割合が16%)であり、次いで整形外科、精神科、糖尿病・代謝・内分泌科などが続いた。総所得とアルバイト収入の相関 総所得が高い医師ほど、高額のアルバイトに従事している傾向も確認された。総所得2,500万円以上の層では、アルバイト収入だけで「1,200万円以上」を得ている割合が4分の1に達しており、高所得医師においてはアルバイトが所得を押し上げる大きな要因となっていることが裏付けられた。アンケート概要対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)実施日:2026年3月2〜9日手法:インターネット調査 その他、詳細な結果については、以下のページに掲載している。医師の年収に関するアンケート2026【第2回】アルバイト代

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高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【消化管】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。消化管領域からは、胃がんに関する2項目(CQ4、CQ5)、大腸がんに関する2項目(CQ6、CQ7)の計4つのCQが設定された。CQ4 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチンの併用は推奨されるか?推奨:高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチン併用療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 胃治療ガイドラインでは、切除不能進行・再発胃がんの1次治療としてオキサリプラチンを含むレジメンが推奨されている。高齢者においては末梢神経障害や骨髄抑制といった有害事象が懸念されるため、条件付きの推奨としてオキサリプラチンを含まないレジメンを使用することもある。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、オキサリプラチンを併用する化学療法(減量投与を含む)(介入群)とオキサリプラチンを併用しない化学療法(対照群)のアウトカムを評価した。2件のランダム化比較試験(RCT)(1件はシスプラチン併用)において、無増悪生存期間(PFS)は併用群で有意に良好で、全生存期間(OS)と奏効率は併用群で良好な傾向を示した。オキサリプラチン通常量と減量投与を評価したRCTでは、減量群では奏効率の低下を認めた。治療関連死は併用群で0%、非併用群で3.8%であった。Grade3以上の有害事象は併用群で多いという報告と少ないという報告があり、結果は一貫しなかった。末梢神経障害は併用群66.7%、非併用群7.7%であり、併用群において有意な増加がみられた。しかし、4サイクル後のglobal QOLは併用群のほうが良好であり、有害事象よりもがんの病勢制御ができることのメリットがより大きいと考えられた。OSは併用群で良好で望ましい効果は大きく、治療関連死は両群で差がないため望ましくない効果は小さいと評価された。CQ5 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた治療は推奨されるか?推奨:高齢者の切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 近年、胃がんの治療では、HER2、CLDN18.2、CPS、MSI(MMR)といったバイオマーカーに基づいて治療レジメンの選択を行うことが推奨されているが、高齢者における分子標的薬の有効性・安全性は十分に評価されていない。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、バイオマーカーに基づいた化学療法(トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ゾルベツキシマブの併用)を行う群(介入群)とバイオマーカーに基づいた化学療法を行わない群(対照群)のアウトカムを評価した。13件の研究が対象となった。トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ併用はRCTの高齢者サブグループ解析でOSの有意な改善が確認できたが、ゾルベツキシマブは明らかなOS改善効果を認めなかった。PFSは、ATTRACTION-4でニボルマブ併用による良好な傾向を認めたが、ゾルベツキシマブは良好な傾向を認める試験(SPOTLIGHT)と認めない試験(GLOW)があった。治療関連死、Grade3以上の有害事象、QOLについてはRCTで高齢者集団に限定した解析は存在しなかった。RCTの高齢者サブ解析において一部の薬剤ではOSの有意な改善が示されて益は大きいものの、高齢者に限定した安全性のデータがないことからエビデンスの強さは「C(弱い)」と評価された。CQ6 結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合、どのような治療が推奨されるか?推奨:結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合には、フッ化ピリミジン単独療法もしくはオキサリプラチン併用の補助化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入または比較対照のいずれかについての条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 大腸治療ガイドラインにおいて、StageIIIの大腸がんに対してオキサリプラチン併用療法は強く推奨、フッ化ピリミジン単独療法は弱く推奨されている。しかし、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチンの上乗せ効果については議論がある。そこで本CQでは、結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者を対象に、フッ化ピリミジンとオキサリプラチンの併用療法を6ヵ月施行する群(介入群)とフッ化ピリミジン単独療法を6ヵ月施行する群(対照群)のアウトカムを比較した。3件のRCTではいずれもオキサリプラチン併用による有意なOSの改善効果は示されなかったが、4件の観察研究ではいずれも併用群で良好であった。3件のRCTではいずれも無病生存期間(DFS)の改善効果は示されなかったが、1件の観察研究では併用群で有意に良好であった。Grade3/4の有害事象およびGrade3/4の末梢神経障害は併用群で有意に多かった。RCTではOS・DFSの有意な延長効果は示されないことから益は小さく、Grade3以上の有害事象は増加することから害は中であると評価された。CQ7 切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法においてオキサリプラチンまたはイリノテカンの使用は推奨されるか?推奨:切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法において、オキサリプラチンやイリノテカンの併用は一律には行わず、患者の状態に応じて判断することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入に反対する条件付きの推奨エビデンスの強さ:B 切除不能進行再発大腸がんの1次治療では、オキサリプラチンおよび/またはイリノテカンを併用した強力なレジメンが推奨されているが、忍容性に問題のある患者ではオキサリプラチンやイリノテカンを併用しないレジメンが推奨されている。そこで本CQでは、切除不能進行再発大腸がんの高齢患者を対象に、オキサリプラチンまたはイリノテカンを併用する化学療法を行う群(介入群)とこれらを併用しない化学療法を行う群(対照群)のアウトカムを比較した。日本で行われた第III相のRCT(JCOG1018)において、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチン併用による有意なOSの延長は認められず、その他の5件のRCTでもオキサリプラチンまたはイリノテカン併用による有意なOSの延長は確認されなかった。JCOG1018を含む5件のRCTにおいて、オキサリプラチンまたはイリノテカン追加による有意なPFSの延長は認めなかったが、NORDIC-9ではS-1単独群(標準用量)よりも減量SOX療法のほうがPFSは有意に延長した。Grade3以上の有害事象はNORDIC-9では併用群で有意に少なかったが、その他の試験ではいずれも併用群で有害事象の頻度が高かった。有害事象による治療中止は、NORDIC-9を除くRCTでは併用群で高い傾向を認めた。併用群ではOS・PFSともに有意な改善効果を示していないことから益はわずかである一方、Grade3以上の有害事象の頻度は併用群で高く、治療中止の割合も高い傾向を示したことから害は大きいと評価された。

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複雑病変への高リスクPCI、IVUSガイドvs.血管造影ガイド/NEJM

 複雑病変に対する高リスク経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、血管内超音波(IVUS)ガイド下PCI(事前に規定されたステント最適化基準に基づく)は血管造影ガイド下PCIと比較し、標的血管不全リスクを低下させなかった。オランダ・Erasmus University Medical CenterのRoberto Diletti氏らIVUS-CHIP Investigatorsが、欧州7ヵ国の37施設で実施した無作為化非盲検比較試験「Intravascular Ultrasound Guidance for Complex High-Risk Indicated Procedures trial:IVUS-CHIP試験」の結果を報告した。IVUSガイド下PCIは、複雑な冠動脈病変を有する患者においてステント最適化の向上および有害事象の減少と関連しているが、欧米諸国における導入率は依然として低い。診療ガイドラインでは、解剖学的な複雑病変に対して冠動脈内イメージングを推奨しているが、現在の欧州における実臨床でのエビデンスは限られていた。NEJM誌オンライン版2026年3月30日号掲載の報告。IVUSガイド下PCI群と血管造影ガイド下PCI群で標的血管不全を評価 IVUS-CHIP試験の対象は、非ST上昇型急性冠症候群または安定虚血性心疾患(安定狭心症または無症候性虚血)を呈し、かつ1ヵ所以上の複雑な冠動脈病変に対するPCIが予定されている18歳以上の患者であった。複雑病変は、血管造影上の重度石灰化、入口部病変、側枝径が2.5mm以上の分岐部病変、左主幹部病変、慢性完全閉塞、ステント内再狭窄、またはlong lesion(推定ステント長28mm超)と定義された。 研究グループは、適格患者をIVUSガイド下PCI群または血管造影ガイド下PCI群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。すべての標的病変に対しプラチナクロム合金製エベロリムス溶出ステントによる治療を行うことが規定され、IVUSガイド下PCI群では事前に規定されたステント最適化基準に基づいて実施された。PCI後は、アスピリンとP2Y12阻害薬による抗血小板薬2剤併用療法を、安定虚血性心疾患患者では6ヵ月以上、急性冠症候群患者では12ヵ月以上実施することが推奨された。 主要エンドポイントは、標的血管不全(心臓死、標的血管心筋梗塞、または臨床的に必要と判断された標的血管再血行再建術の複合と定義)とした。標的血管不全の発生に有意差なし 2021年11月~2023年8月に2,020例が無作為化され、重複して無作為化された1例を除くIVUSガイド下PCI群1,010例および血管造影ガイド下PCI群1,009例が主要解析に組み込まれた。患者背景は、平均年齢69歳、79.4%が男性、27.4%が急性冠症候群であった。 総手技時間の平均値は、IVUSガイド下PCI群88.8分、血管造影ガイド下PCI群66.2分、ステント留置後のバルーン血管形成術による拡張はそれぞれ91.3%および84.5%で実施された。 追跡期間中央値19.0ヵ月(四分位範囲:15.2~23.4)において、標的血管不全はIVUSガイド下PCI群で140例(13.9%)、血管造影ガイド下PCI群で112例(11.1%)に認められ、ハザード比は1.25(95%信頼区間:0.97~1.60、p=0.08)であった。 処置合併症はIVUSガイド下PCI群で11.3%(113/999例)、血管造影ガイド下PCI群で10.2%(102/1,002例)に発生した。有害事象の発現割合は両群で同程度であった。

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高リスクPCIにおける軸流ポンプ、アウトカムを改善せず/NEJM

 複雑な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける重度の左室機能障害を有する患者において、微小軸流ポンプを用いた左室負荷軽減は、少なくとも12ヵ月時点で主要有害臨床アウトカムのリスクを減少させなかった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのDivaka Perera氏らCHIP-BCIS3 Investigatorsが、同国の21施設で実施した前向き無作為化非盲検試験「Controlled Trial of High-Risk Coronary Intervention with Percutaneous Left Ventricular Unloading:CHIP-BCIS3試験」の結果を報告した。重度の左室機能障害を有する患者に対する複雑PCIは死亡や合併症のリスクが高いが、経皮的左室負荷軽減術が予後を改善するかどうかは明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2026年3月29日号掲載の報告。複雑PCIを受ける患者を微小軸流ポンプ群と標準治療群に無作為化 CHIP-BCIS3試験の対象は、左室駆出率35%以下(重度の僧帽弁逆流がある場合は45%以下)、British Cardiovascular Intervention Society Jeopardy Score(BCIS-JS)が8以上(範囲:0~12、高スコアほど冠動脈疾患が広範囲であることを示す)の、複雑PCIを受ける予定の患者であった。 複雑PCIは、閉塞した右冠動脈優位型、左冠動脈優位型または分岐部病変が存在する場合の非保護左主冠動脈への介入、多枝病変または左主冠動脈等における石灰化病変の治療、または逆行性アプローチが計画されている慢性完全閉塞を伴う標的血管のいずれか1つ以上を満たすものと定義した。 研究グループは、適格患者を微小軸流ポンプによる左室負荷軽減群と標準治療群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、全死因死亡、後遺障害を伴う脳卒中、自然発症心筋梗塞、心血管疾患による入院、または周術期心筋障害の階層的な複合評価とし、最低12ヵ月間の追跡期間におけるwin ratioに基づき解析した。両群で主要有害臨床アウトカムの発生に有意差なし 2021年8月~2024年12月に300例が登録され、148例が微小軸流ポンプ群、152例が標準治療群に割り付けられた。微小軸流ポンプ群では、全例にImpella CPが用いられた。 追跡期間中央値22ヵ月(四分位範囲:16~30)時点で、主要アウトカムのペアワイズ比較では微小軸流ポンプ群優位が36.6%、標準治療群優位が43.0%であり、win ratioは0.85(95%信頼区間[CI]:0.63~1.15)、群間差は-6.4%ポイントで有意差はなかった(p=0.30)。 全死因死亡は、微小軸流ポンプ群で32.6%(47/148例)、標準治療群で23.4%(33/152例)に認められた(ハザード比:1.54、95%CI:0.99~2.41)。出血または血管合併症のリスクに両群で差はなかった。

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歯科でのHbA1c測定、3人に1人で糖尿病早期発見の可能性

 歯科への受診をきっかけに、未診断の糖尿病発見につながる可能性が報告された。歯科の患者に、指先穿刺による簡便な血液検査を行ったところ、3人に1人以上の割合で糖尿病または糖尿病前症が見つかったという。英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のGiuseppe Mainas氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Dentistry」4月号に掲載された。 この研究では、歯科受診者に対して診察室内でのHbA1c測定が、糖尿病のスクリーニングとして機能するか、横断的に検討された。英国成人の歯科受診頻度はかかりつけ医の受診頻度よりも高い傾向があり、かつ、医科受診時のHbA1c測定が日常的に行われているわけではないことが、この研究の背景にあるという。 解析対象はKCLによる口腔・歯科関連のバイオバンクに参加している911人で、このうち104人は、既に2型糖尿病の診断を受けている患者だった。歯肉の状態は、6.0%が健康、11.3%は歯肉炎、82.7%は歯周病だった。HbA1cは診察室内で指先穿刺により採血して測定し、所要時間は6分ほどだった。 HbA1cの平均は5.71±0.94%であり、既診断や自覚症状のある糖尿病患者を除くと、227人(28.7%)がHbA1c 5.7~6.3%で「糖尿病前症」に該当し、58人(7.3%)はHbA1cがより高く「糖尿病」に該当した。つまり、歯科でのスクリーニングにより、3人に1人以上に未診断の糖尿病前症または糖尿病が発見される可能性が示された。 また、歯肉の状態が悪いほどHbA1cが高いという関連も見つかった。具体的には、歯肉が健康な人のHbA1cは5.43±0.51%、歯肉炎の人は5.51±0.91%、歯周病の人は5.76±0.97%だった(傾向性P=0.004)。 Mainas氏は、「われわれの研究結果は、歯科受診が糖尿病リスクのある人を見いだす有用な機会となり得ることを示唆している。特に高齢者やBMIが高い人、歯周病のある人では、その可能性が高い」と述べている。また、論文の筆頭著者であるKCLのMark Ide氏は、「歯科受診を契機にHbA1cが高いことが判明した場合、患者はかかりつけ医を受診し詳しく調べてもらうことができる。歯科でHbA1cが検査されなければ、その機会はかなり先になってしまうかもしれない。実際、本研究に参加してHbA1cが高いことが判明した患者の大半は、自分が糖尿病前症や糖尿病に該当するとは思っておらず、判定結果に驚いていた」と話している。 なお、歯周病と糖尿病の関連について、論文の上席著者であるKCLのLuigi Nibali氏は、「これまでの多くの研究で、両者に双方向性の関連があることが示されている。歯周病による炎症は糖代謝に変化をもたらし、糖代謝の乱れは炎症に影響を与える。歯周病は糖尿病の発症や悪化に関連する可能性があり、その逆もまた同様だ」と解説している。

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マンモグラフィは心血管疾患の早期発見にも有効?

 マンモグラフィによる乳がんの定期検診で明らかにできるのは、乳がんの兆候だけではない可能性があるようだ。新たな研究で、マンモグラフィは、女性の最大の死因である心血管疾患(CVD)の兆候を早期段階で検出するのにも役立つ可能性が示唆された。人工知能(AI)を用いてマンモグラフィ画像から測定した、乳房組織の中を通る動脈に蓄積したカルシウム(乳房動脈石灰化〔BAC〕)は、主要心血管イベント(MACE)および死亡の独立した予測因子であることが示唆された。米エモリー大学放射線医学部門教授のHari Trivedi氏らによる研究で、詳細は「European Heart Journal」に3月9日掲載された。 米国では、毎年4000万人以上の女性がマンモグラフィを受けていることから、この研究結果は大きな影響を与える可能性がある。これまで何十年もの間、医師らはマンモグラフィで認められるBACの存在に気付いていた。しかし、この情報が心臓の状態を評価するために活用されることは、最近までほぼなかった。こうした中、AIの登場により、BACはより正確に、かつ大規模に測定できるようになった。 女性の多くは、女性の健康にとって最大の脅威は乳がんだと誤解している。しかし、CVDの方がはるかに多くの女性の命を奪っているのが現状だ。実際、米国心臓協会(AHA)の最近の報告によると、女性のCVD患者数は増加しているが、CVDリスクに対する意識は近年、低下傾向にあるという。こうした問題が、Trivedi氏らによる今回の研究のきっかけの一つとなった。 Trivedi氏らは今回、マンモグラフィ検診を受けた女性を対象に解析を行った。対象は、エモリー・ヘルスケアで検診を受けた女性7万4,124人(内部コホート)と、メイヨー・クリニックで検診を受けた女性4万9,638人(外部コホート)である。両コホートのマンモグラフィ画像から、AIを用いて動脈内のカルシウム沈着を分析し、なし、軽度(0超~10mm2)、中等度(10超~25mm2)、重度(25mm2超)の4段階に分類した。その上で、中央値で7.0年間追跡し、BACによりMACEリスクを予測できるかを検証した。 その結果、BACが認められなかった女性と比べて、BACが軽度、中等度、重度のいずれの群においてもMACEリスクが有意に高く、その関連は量依存的であることが示された。MACEのハザード比は、BACが軽度の女性では、内部コホートで1.32(95%信頼区間1.10~1.59)、外部コホートで1.28(同1.17~1.39)、中等度の女性では1.75(同1.23~2.50)、1.79(同1.55~2.06)、重度の女性では3.29(同2.15~5.05)、2.80(同2.36~3.32)であった。また、BACが1mm2増加するごとに、MACEリスクは2~3%増加した。 専門家らはこの結果について、「マンモグラフィが血圧測定や脂質検査などの従来の心血管疾患スクリーニングに取って代わるべきことを意味するものではない」と説明している。ただ、マンモグラフィによって、CVDの初期兆候を得られる可能性はある。Trivedi氏は、「私は、この技術もこの検査もとても良いものだと思っているが、現時点ではBACのスコアによって治療や管理を変えるべきことを裏付けるエビデンスはない」と述べている。  なお、一部のクリニックでは、すでにBACを検出するAIツールをサービスとして提供しているが、追加料金がかかる場合もある。こうした情報がルーチンで報告されるようになれば、大きなメリットを期待できると医師らは見ている。付随論評の著者で米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のLori Daniels氏は、「放射線科医がBACに関する情報を報告するようになれば、われわれが必要とするデータが蓄積されていく。それが第一歩になる。ここには、これまで見過ごされてきた膨大なデータが存在する。自分の動脈の中で何が起きているのかが可視化されることで腑に落ちて、生活習慣の変容などに対するモチベーションが高まることもある」と述べている。

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トロイの木馬にやられた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(627)

六百二十七の段 トロイの木馬にやられた!朝夕が暑くなってきましたね。二十四節気では4月20日ごろから5月4日ごろまでを穀雨と呼び、次は立夏になるのだそうです。夏目前なら暑いはず。中島家では、ついに麦茶が登場しました。やはり冷えた麦茶を飲むと五体に染みわたります。さて、ある日のこと。自宅のPCで何げなく年金の関係のサイトを見ていたら……突然、「トロイの木馬に感染!」というポップアップが出てきました。慌てて右上の×印を押します。すると同じようなポップアップがどんどん増えていきました。 中島 「うわあ!」 思わず叫びました。すると血相を変えた妻が飛んできて「何をやっとるんじゃ。早くネットを切らんかい!」と怒鳴り、パソコンそのものを強制終了してしまったのです。 妻 「何をヘンなサイトを見ていたの!」 そう問い詰められました。まるで怪しいサイトでも見ていたみたいな言われようです。 中島 「単に年金のサイトを見ていただけなんやけど」 怪しいサイトからは最も遠い存在のはず。 妻 「年金サイトが一番危ないのよ!」 妻に理屈は通じません。 が、幸いなことに、妻はそのまま自宅からのオンライン会議に出席しました。その間にChatGPTに相談します。私にとって唯一の味方かもしれません。 ChatGPT 「ご安心ください。ほとんどの場合スケアウェア(Scareware)という無害なものです」 「落ち着いて対処しましょう。慌てて何かアプリをダウンロードしたり、電話したりしてはなりません」 「すぐにネットを遮断したのは最良の選択肢でした」 そう言って力付けてくれます。それからは、ChatGPTの言うとおりに操作して、窮地を脱することができました。今はパソコンも機嫌よく動いています。結局スケアウェアというのは、相手を驚かせて電話をさせたり、危ないアプリをダウンロードさせたりしてパソコンから情報を盗み取ろうとするものだとのこと。考えてみれば、本当に感染した場合には「感染した」などと宣言するはずもありません。こっそり侵入して悪さをするはず。で、ちょっと調べてみました。そうするとあちこちで、いろいろな人が引っかかっているニュースが出てきます。浜松市で76歳の男性が自宅のパソコンを使っていたところ、突然「トロイの木馬に感染しました!」という表示が出てきたのだとか。この男性が慌てて画面に表示された電話番号に連絡すると「パソコンを直すには費用が必要です」と言われ、指示どおりにコンビニで15万円分の電子マネーを購入して、そのコード番号を相手に伝えてしまいました。結果は言わずもがな。山梨県の笛吹市商工会でも業務中に「トロイの木馬に感染しました」という表示が出たそうです。職員が何度再起動しても表示が消えず、画面に出ていた電話番号に連絡すると、マイクロソフト社を名乗る男が応対し「パソコンがウイルスに感染している可能性があります」と言われました。で、この男の指示どおりに、業務用パソコンに遠隔操作ができるソフトウェアが使えるように設定し、さらにネットバンクのIDとパスワードを教えてしまったとのこと。その結果、この日に現金合わせて1,000万円が個人名義の口座に不正送金されてしまいました。このニュースでは「サポート詐欺」と呼んでいましたが、サポートするふりをしてお金を騙し取るからなのでしょう。このニュースのコメント欄には「こんなバカいるんか」とか「個人で補填してくださいね」とか「下には下がいるもんだ」とかで、非難轟々。最後に「頭がトロイ」とあったのには笑ってしまいました。それにしても、いきなりそんな表示が出たらびっくり仰天です。読者の皆さまも、くれぐれもお気を付けください。最後に1句 にせトロイ 驚かされる 穀雨かな

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