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Abstractを理解する前回でAbstractが読めるようになりましたが、専門外の論文などは知識を補うために、よりかみ砕いた説明が必要になるでしょう。ここからは、医学的知識を補いながら、単に「読める」だけでなく「理解できる」状態を目指すプロンプトを紹介します。ChatGPTを開き、以下のように入力してください。プロンプト例自分は医療者ですが、以下の論文は専門外です。これからコピペする医学英語論文を、必要な知識を補えるよう、専門用語や知識には解説を適宜加えつつ、原文、日本語訳、補足解説を行ってください。このプロンプトでは、自分が医療者であること、知識の補足を希望することを明記することがポイントです。これにより、AIが出力のスタイルや内容を最適化してくれます。そして、補足解説によって専門外の領域の論文であっても、医学的背景を補完しながら理解できるようになります。ただし、こうした解説には論文本文以外の知識が含まれるため、AIによる誤情報(ハルシネーション)には十分注意して使用してください(詳細は本連載第1回を参照)。manuscript(論文原稿)を理解する~IntroductionからDiscussionまで、セクション別の読解プロンプト例ここからは、manuscript(原著論文)を理解するための実践的な読み方を紹介します。論文の種類や論文の形式(例:case report、review paper)によって文量は異なりますが、manuscriptの中には4,000ワード以上に及ぶものもあります。ChatGPTで論文を読むためには、次の二通りの方法があります。方法1:手動でセクションごとにコピペする読みたい部分(例:Introduction、Methodsなど)を手動で抜き出し、順に貼り付けて読ませる方法です。方法2:PDFファイルを直接読み込ませる論文のPDFファイルをダウンロードできるのであれば、PDFファイルを読み込ませるほうが手間が少なく、個人的におすすめしたい方法です。PDFファイルをそのままチャット画面にドラッグ&ドロップし、以下のプロンプトを入力します。プロンプト例このPDFファイルを読んでください。その後指示を出しますので、読んだら「はい」とだけ返答してください。最新のChatGPTではPDFファイルの読解が可能となっており、その後、必要なセクション(Introduction、Methodsなど)だけを抜き出して分析・翻訳してもらうことができます。以降で紹介するプロンプトは、論文を深く理解するために設計されたものであり、やや長めです。そのため、以下のような使い方をおすすめします。- プロンプトをコピペしてメモアプリなどに保存しておく。- ChatGPTの「カスタムGPT(MyGPT)機能」に登録しておく(詳しくは第7回を参照)。1)Introduction(序論)を読み解くIntroductionでは、この論文のテーマにまつわる背景、現在の医学的知識や研究状況の要点と論文のテーマに関して未解決な点、それに応じて設定されたその研究の必要性、そして著者が設定する具体的な目的や仮説といった情報が示されています。Introductionを正確に読み解くことで、論文の全体像や意義を理解しやすくなります。以下のプロンプトは、「PDFファイルで全文を読み込ませた前提」で使用することを想定して設計されています。プロンプト例あなたは英語医学論文の査読アシスタントです。自分は医療者ですが、以下の論文の専門外です。PDFファイルから抽出したmanuscriptのIntroduction部分のみを対象にしてください。#手順1.Introductionの本文を段落ごとに分け、段落番号 [P1], [P2], …を付与。2.解析タスクを順に実施。引用は原文の短いフレーズ(最大30語以内)+段落番号を併記。#解析タスクA.背景(現時点の医学知識)B.既存研究の要点(デザイン、対象、主要アウトカム、限界)C.研究ギャップ(未解決の問題)D.本研究の合理性(なぜ必要か)E.研究目的と仮説#出力フォーマット1.日本語翻訳:Introduction全文の日本語訳2.要約:数行で簡潔に3.詳細解析:解析タスクの見出しごとに整理(段落番号つき)4.用語ミニ辞書:本文で初出する英略語・英語の専門用語のみを簡潔に日本語で解説#制約-本文にない事実は書かない-本文以外の外部知識は使わない-不明点は「記載なし」と明記-簡潔な日本語、箇条書き中心-Markdown形式で出力2)Methods(方法)を読み解くMethodsには、研究手法の詳細が記載されています。内容が専門的で複雑なことも多く、日常で研究に触れていない場合は、途中で理解できなくなってしまうことも少なくありません。とくに英語で書かれた論文の場合は読むハードルが高く、挫折してしまう方も多いのではないでしょうか。そこで役立つのがChatGPTです。Methodsの解析タスクプロンプトは、論文を読み解く際に非常に重要とされるPICO(Patient, Intervention, Comparison, Outcome)フレームワークを元に作成しています。以下のテンプレートを使えば、複雑な記述も順序立てて把握できるようになります。プロンプト例あなたは英語医学論文の査読アシスタントです。自分は医療従事者ですが、以下の論文は専門外です。PDFファイルから抽出したmanuscriptのMethods部分のみを対象にしてください。#手順1.Methods本文を段落ごとに分け、[P1], [P2], …と番号を付与。2.解析タスクを順に実施。引用は原文の短いフレーズ(最大30語以内)+段落番号を併記。#解析タスクA.研究デザイン(RCT、前向きコホート、横断研究など)B.対象(Population:選択基準、除外基準、症例数、年齢層、背景疾患など)C.介入(Intervention:治療法、投与法、診断法、曝露条件などの詳細)D.比較(Comparison:対照群の設定、プラセボなど。なければ「記載なし」)E.評価項目(Outcome: primary outcome、secondary outcomes、surrogate markerなど。なければ「記載なし」)F.統計解析手法(使用ソフト、統計検定、サンプルサイズ、欠測値処理など)#出力フォーマット1.日本語翻訳:Methods全文の日本語訳2.要約:数行で簡潔に3.詳細解析:解析タスクの見出しごとに整理(段落番号付き)4.用語ミニ辞書:本文で初出する英略語・英語の専門用語のみを簡潔に日本語で解説#制約-本文にない事実は書かない-本文以外の外部知識は使わない-不明点は「記載なし」と明記-簡潔な日本語、箇条書き中心-Markdown形式で出力いかがでしたか。次回は、ResultsとDiscussionの理解を手助けするプロンプトを紹介していきます。