サイト内検索|page:12

検索結果 合計:36478件 表示位置:221 - 240

221.

高リスクDLBCLの初回治療、タファシタマブ+レナリドミド+R-CHOPでPFS延長/Lancet

 未治療の高リスクびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の約40%は、初回治療のR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、prednisoneまたはプレドニゾロン)で再発・進行に至る。ドイツ・University Hospital MunsterのGeorg Lenz氏らMIND Study Investigatorsは、DLBCLを含む高リスクB細胞リンパ腫を対象とした検討(frontMIND試験)で、R-CHOP+タファシタマブ(Fc領域を改変した抗CD19モノクローナル抗体)+レナリドミド(tafa-len-R-CHOP)療法がR-CHOP療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことを示した。ただし、追加併用により、治療中に発現し死亡に至った有害事象(TEAE)を含む有害事象の増加が認められた。全生存期間(OS)に関するデータは未成熟で追跡調査が継続されているが、著者らは「循環腫瘍DNA(ctDNA)を含むさらなる解析で、tafa-len-R-CHOP療法で観察されたPFS改善に分子学的奏効がより深く寄与しているかどうか評価できるだろう。tafa-len-R-CHOP療法は、高リスクDLBCLや高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)患者の新たな初回治療となる可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2026年5月30日号掲載の報告。tafa-len-R-CHOP療法とR-CHOP療法を比較する国際共同試験 MIND試験は北米・南米、欧州および日本を含む環太平洋地域の298施設で行われた第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。対象は、18~80歳で未治療の高中リスクまたは高リスクのDLBCL、もしくはHGBLの患者であった。 研究グループは被験者を、International Prognostic Index(IPI)または年齢補正IPI、試験地で層別化し、標準治療の21日サイクル6回投与のR-CHOP療法群またはtafa-len-R-CHOP療法群に1対1の割合で無作為に割り付けた。R-CHOP療法は、初日にリツキシマブ375mg/m2、シクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2(最大2mg)を静脈内投与し、prednisoneまたはプレドニゾロン100mg/日を1~5日目に経口投与した。これらに加えてtafa-len-R-CHOP療法群では、タファシタマブ(12mg/kgを1、8、15日目に静脈内投与)とレナリドミド(25mg/日を1~10日目に経口投与)が投与された。 主要評価項目は、試験担当医師の評価によるPFS(無作為化から病勢進行または全死因死亡までと定義)で、ITT集団で評価した。安全性は副次評価項目として、試験薬を少なくとも1回投与された全被験者を対象に評価した。2年PFS率tafa-len-R-CHOP療法群71.1%vs. R-CHOP療法群62.9% 2021年5月11日~2023年3月2日に1,229例がスクリーニングされ、899例が無作為化された(tafa-len-R-CHOP療法群448例[50%]、R-CHOP療法群451例[50%])。両群の人口統計学的および疾患の特性はバランスが取れており、年齢中央値は65歳、IPI 3またはaaIPI 2が503例(56%)、IPI 4~5またはaaIPI 3が388例(43%)、ECOG-PS 2が283例(31%)、485例(54%)が腫瘤性病変(直径7.5cm以上)を有していた。 追跡期間中央値35.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:35.0~35.4)の主要解析時点において、PFSはtafa-len-R-CHOP療法群がR-CHOP療法群より改善し(ハザード比[HR]:0.75、95%CI:0.59~0.96、p=0.0194)、2年PFS率はtafa-len-R-CHOP療法群71.1%(95%CI:66.3~75.4)、R-CHOP療法群62.9%(57.9~67.5)であった。 OSの中間HRは0.85(95%CI:0.63~1.14)で統計学的有意差は認められなかった(p=0.2703)。3年OS率はtafa-len-R-CHOP療法群81.1%(95%CI:77.0~84.6)、R-CHOP療法群77.8%(73.5~81.5)であった。 Grade3以上の全TEAE発現率は、tafa-len-R-CHOP療法群(384/443例[87%])がR-CHOP療法群(340/447例[76%])よりも高率であった。さらに、死亡に至ったTEAEの発現率もtafa-len-R-CHOP療法群(26例[6%])がR-CHOP療法群(17例[4%])よりも高率であった。一方で、試験中のすべての死亡例は、tafa-len-R-CHOP療法群(82例[19%])がR-CHOP療法群(97例[22%])よりも少なかった。 投与データに基づくすべての試験薬の早期中止率は、tafa-len-R-CHOP療法群(71/443例[16%])とR-CHOP療法群(66/447例[15%])で同程度であった。

222.

急速減量と緩徐な減量、長期的に効果が高いのはどっち?

 減量において、ゆっくり着実に体重を減らすことは本当に成功の秘訣なのだろうか。それとも、急速な減量の方が長期的により良い結果につながるのだろうか。新たなランダム化比較試験において、「急速な減量はリバウンドしやすい」という通念に疑問を投げかける結果が示された。医療的に管理された環境下で行われる急速減量(rapid weight loss;RWL)プログラムでは、緩徐な減量(gradual weight loss;GWL)と比較して、1年後においてもより大きな体重減少が維持され、BMIおよびウエスト・身長比(WHtR)の目標値を達成する割合も高いことが明らかになった。ヴェストフォル病院トラスト(ノルウェー)のLine Kristin Johnson氏らによるこの研究結果は、欧州肥満学会(ECO 2026、5月12~15日、トルコ・イスタンブール)で発表された。 この52週間のランダム化臨床試験では、BMIが30以上の肥満の成人284人(平均年齢48.1歳、女性257人)を対象に、食事をベースにした16週間のRWLプログラムを実施する群(142人)と同期間のGWLプログラムを実施する群(142人)のいずれかに割り付けた。RWLプログラムでの1日の摂取カロリーは、最初の1~8週目は1,000kcal未満、9〜12週目は1,300kcal未満、13~16週目は1,500kcal未満に設定されていた。一方、GWLプログラムでは、想定される1日の消費カロリーより800〜1,000kcal少ない食事を摂取する設定となっていた。食事介入の後は、両群とも36週間に及ぶ同じリバウンド防止プログラムを受けた。主要評価項目は、1年後にBMI≦27、WHtR≦0.53を達成している割合とした。 その結果、1年後の体重減少率は、RWLプログラム群で−14.4%、GWLプログラム群で−10.5%であり、両群間の差は有意であった(差−3.9%、95%信頼区間−5.7〜−2.2)。また、16週時点でBMI≦27を達成した割合は、RWLプログラム群で13.8%、GWLプログラム群で0.8%、1年後でも28.3%と9.7%であり、いずれの時点においてもRWLプログラム群の方が有意に高かった。同様に、WHtR≦0.53の達成割合についてもRWLプログラム群で高く、16週時点で24.2%対8.9%、1年後で33.0%対18.4%であった。 Johnson氏は、「本結果は、緩徐で着実な減量こそが肥満関連合併症を減らすために必要であるとする従来の考え方に明確に疑問を呈するものだ」と述べている。同氏はまた、肥満治療や体重維持のための方法が喫緊で必要とされていることから、この研究結果は特に重要だと指摘し、「多くの肥満患者は内科的または外科的治療にアクセスできない、あるいはその費用を負担できない。本結果は、商業的に利用できる効果的な減量プログラムが公的医療システムの負担軽減に寄与する可能性を示すものだ」とニュースリリースで述べている。 なお、学会で発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

223.

サプリ「メーカー推奨量超え」約2割、長期使用や錠剤タイプで多い可能性

 健康維持のために利用されることの多いサプリメントだが、摂取量によっては栄養素の過剰摂取につながる可能性もある。今回、日本の成人を対象とした調査で、サプリメント利用者の約2割がメーカーの表示する推奨摂取量(メーカー推奨量)を超えて摂取していることが明らかになった。長期使用や錠剤タイプの製品で多い傾向もみられ、過剰摂取の実態と関連要因が示された。研究は、東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野の杉本南氏、同予防医療学分野の朝倉敬子氏らによるもので、詳細は3月19日付の「Interactive Journal of Medical Research」に掲載された。 近年、健康維持や栄養補給を目的としたサプリメントの利用は世界的に増加している。一方で、食事に加えてサプリメントから栄養素を摂取することで耐容上限量(UL)を超える可能性があり、過剰摂取による健康リスクが懸念されている。これまでにもサプリメント利用者における上限量超過の実態は報告されているが、メーカー推奨量を利用者が実際に守っているかについての研究は限られている。また、多くの研究は自己申告によるサプリメント使用情報に依存しており、製品特定や摂取量の正確性に課題があった。本研究では購入履歴データを活用し、メーカー推奨量を超えるサプリメント摂取の関連要因と、栄養素のUL超過の実態について検討した。 著者らは2024年11~12月にかけて、日本の成人を対象とした横断研究としてオンライン調査を実施した。消費者モニターを利用し、主要25種類のサプリメント製品のいずれかの購入履歴があり、直近1カ月以内に使用している、または日常的に使用している18~74歳の成人2,002人を対象とした。質問票で1日当たりのサプリメント摂取量を把握し、製品パッケージに記載されたメーカー推奨量と比較した。さらに、日本人の食事摂取基準に基づくULを基準とし、サプリメント由来のビタミンおよびミネラル摂取量のみからUL超過の有無を評価した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、推奨量を超える摂取と社会人口学的要因との関連を検討した。 参加者の平均年齢は43.7歳で、女性が75.6%を占め、平均BMIは21.6であった。調査対象2,002人のうち371人(18.5%)が、メーカー推奨量を上回ってサプリメントを摂取していた。 推奨量を超える摂取は、中年層、パートタイムまたはフルタイムで就労している人、錠剤型のサプリメント使用者(特に水溶性ビタミンの単剤錠)、サプリメントを6カ月以上継続している人、さらに意図的にメーカー推奨量を超えて摂取していることとも関連していた。メーカー推奨量を超えて摂取していた人のうち15.4%は、自ら過剰摂取であると認識していた。一方で57.1%は推奨量と同程度、10.8%は推奨量以下と認識しており、過剰摂取の自覚がないケースも多かった。 メーカー推奨量を超えて摂取していた群では、実際の摂取量がメーカー推奨量の数倍に達する例もみられ、平均すると水溶性ビタミン単剤では実際の摂取量がメーカー推奨量の3.9倍、葉酸や鉄を含む錠剤型サプリメントでは5.4倍に達していた。 ULが設定されている栄養素を含むサプリメントを摂取していた1,705人のうち、17.4%(297人)がメーカー推奨量を超えて摂取していた。このうち61.9%(184/297)は、少なくとも1種類の栄養素でULを上回っていた。特にビタミンA、ナイアシン、葉酸、マグネシウム、亜鉛では、メーカー推奨量を超えて摂取している人の40~60%がULを超過していた。 著者らは、中年層や長期使用者などでメーカーの表示するサプリメントの推奨量超過が多くみられたと指摘する。こうした摂取は栄養素の過剰摂取につながる可能性があり、過剰摂取の健康リスクについて認識を高める必要があるとしている。 なお、著者らは本研究の限界として、オンライン調査モニターを対象とした点や、摂取量が自己申告である点、複数サプリメントの併用を評価していない点などを挙げている。

224.

疫学研究のメタ解析論文は注意して読まないといけない(解説:折笠秀樹氏)

 メタ解析とは、複数の研究結果の統合解析のことである。対象とする研究は薬剤などの臨床試験(主にRCT)が多いが、ここで扱われたのは疫学研究のメタ解析である。前向きコホートのメタ解析が89報、後ろ向きコホートのメタ解析が35報、全部で124報の疫学研究メタ解析を調査対象とした。論文中の主要アウトカムが、当初計画していたのと同じだったかどうかを調査した。当初計画については、登録サイト(ClinicalTrials.gov)を参照した。 主要アウトカムが論文で変更されていた例が60報(48%)もあった。ほぼ半数で何らかの違反があったことになる。主要アウトカムに当初設定したものが論文では消えていた(Omitted)例が32報、主要アウトカムが副次として報告された(Downgrading)例は32報、副次だったのが主要アウトカムに格上げされた(Upgrading)例は2報であった。数字がちょっと合わないのは、アウトカムによっては複数に当てはまるためだろう。そして、後ろ向き研究のメタ解析のほうが違反は1.8倍高かった。どうして主要アウトカムが変更されるのかと言えば、結果が統計学的に有意にならなかったためだろう。それでは、読者はどのようなことに注意すればよいだろうか。それは主要アウトカムの結果だけでなく、副次アウトカムも含め総合的に判断することだろう。登録サイトで確認してから読むことも考えられるが、そんな暇は持ち合わせていないはずだ。 なお、本研究の著者の1人であるAn-Wen Chan博士は以前コンタクトしたことがあるが、最近出版された『CONSORT 2025』および『SPIRIT 2025』の著者にもなっている。

225.

「睡眠障害」標榜、「研究・教育発展の契機に」

標榜追加、教育・研究への好影響を期待内科、精神科などと組み合わせることで「睡眠障害」が標榜可能となった。受け止めはまず何より、「どこを受診すればよいか分からない」という患者の医療アクセスに関する課題の解消につながる点が大きいだろう。さらに期待しているのが、睡眠領域における教育や研究への波及効果だ。現在の医学部モデル・コア・カリキュラムには、「睡眠医学」という独立した領域は位置付けられていない。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は呼吸器内科、ナルコレプシーは精神科というように、睡眠障害は各診療科の中で個別に教えられているのが実情である。今回の標榜追加を契機として、睡眠医学が体系的な学問領域として確立され、医学部教育にも組み込まれていくことを期待している。研究面でも好影響が期待される。日本学術振興会が研究費を助成する科学研究費助成事業(科研費)では、現在も「睡眠」の常設カテゴリーが設けられていない。今回の標榜追加が、睡眠医学に関する研究基盤の整備を進める突破口となる可能性がある。標榜追加に伴う課題、懸念は(インタビューの続きはMedical Tribuneウェブ掲載記事で)

229.

第320回 結局控訴取り下げへ、山梨県の対応が“迷走”した医学部修学資金訴訟、違約金条項廃止と制度大幅見直しで決着

控訴は取り下げず裁判継続の方針が1週間後に反転こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。サッカーのワールドカップが開幕しました。普段、サッカーを観ない私でも、これだけ世間が騒ぐと、日本代表の試合は気になります。それにしても、サッカー、野球含めスポーツ選手のけが(とくに膝、筋肉周り)の多さには驚きます。人間という動物がその限界を超えて体を動かした結果(コンタクトが原因の場合も少なくありませんが)ということなのでしょうが、ワールドカップのような大きな大会で怪我をしない、怪我を本番に持ち込まないという“運”も、スター選手の条件なのかもしれません(久保 建英選手の足の具合が気になります)。さて今回は、県の対応が“迷走”した山梨県の医学部修学資金訴訟を取り上げます。山梨県は6月4日、修学資金制度を見直すなど違約金を廃止する方針を明らかにしましたが、この時点でも1月の甲府地裁判決に対する控訴は取り下げず裁判を継続する考えでした。しかし、1週間後の6月11日、山梨県は突如控訴を取り下げる方針を明らかにしました。どんな判断が働いたのでしょうか。「最大約842万円の違約金を定めた契約条項は違法」と甲府地裁は判断医師免許取得後に9年間、山梨県内の医療機関で働く約束で大学医学部の修学資金返済が免除される同県の「地域枠等医師キャリア形成プログラム」事業を巡り、最大約842万円の違約金を定めた契約条項などが違法だとして、NPO法人「消費者機構日本」(東京)が県に条項の差し止めを求めた医学部修学資金訴訟。2026年1月20日の甲府地裁判決は、「山梨のように修学資金返還に加えて違約金の支払いを課す自治体はない」と指摘、県の損害は修学資金とその利息の返還で穴埋めされるとして違約金は違法との判断を下しました。この判決に対し山梨県の長崎 幸太郎知事は同日開かれた記者会見で「県民の皆さんの健康と命を守るために税金を使った制度。今の国の施策を前提とする上で、我々が考えられる措置は違約金で思いとどまってもらうしかない。県としては上級審で徹底的に議論していきたい」と話し、県は2月3日、請求通り差し止めた甲府地裁判決を不服として控訴しました。県との約束が消費者契約法で無効とされるものかどうかが争点に「地域枠等医師キャリア形成プログラム」は、山梨県が2019年からスタートさせた事業です。県内の医師確保を目的に、山梨大学医学部などの地域枠の学生に6年で総額936万円の修学資金を貸与する代わりに、医師免許取得後9年間は県内の病院で働く義務を負わせるというものです。約束を守れば返済が免除されますが、県内勤務義務を果たさなかった場合には修学資金全額と年利10%の利息に加え、最大842万4000円の違約金を課すという制度でした。訴訟では、県との約束が消費者契約法で無効とされるものかどうかが争われました。2月4日付の朝日新聞等の報道によれば、県は地域枠の医師は「事業者」であり消費者契約法は適用されないなどと主張していました。しかし、判決は県の主張を退け消費者契約法の適用を認めました。原告代理人の弁護士は「医師偏在の問題を個人に負わせるのはおかしいことが明らかになった。受験生にとって良い判決」とコメントしました。違約金廃止の一方、貸与額の引き上げや就業年数に応じた返還額の段階的免除などを導入へ山梨県は控訴したわけですが、実は判決に先立って県は1月16日、この制度の見直しを表明していました。そして先々週の6月4日、県は医学部「地域枠」制度の利用者が県内勤務義務を果たさなかった場合に課していた高額な違約金条項を廃止する方針を正式に明らかにしました。違約金は廃止する一方で、貸与額の引き上げや就業年数に応じた返還額の段階的免除などを導入する予定です。同日に開かれた長崎知事の記者会見によれば、今回の見直しでは、まず物価高騰などを背景に貸与額が引き上げられます。月額13万円だった修学資金を、山梨大学は月額20万円に、北里大学や昭和医科大学などの私立大学は月額25万円に増額されます。次に地域枠入試の一部を全国募集とし、さらに地域枠以外の修学資金についても対象を全国の医学生に広げ、地域医療への貢献意欲を持った医学生を幅広く確保していくとしています。そして、県内就業義務の履行確保対策を充実させるとして、受験生に対する県の面接をしっかりと行い、地域医療への志をしっかりと見極めるとしました。問題となった違約金は廃止となりますが、修学資金の返還利息の発生時期は貸与の翌日からになります。また県内の就業年数に応じて返還額を段階的に免除していく仕組みも導入するとのことです。全体として、違約金による懲罰的な抑止策から、地域枠学生の地域医療への貢献意欲の確認と、長期就業を促す仕組みへと制度を大きく転換したわけです。長崎知事はこの記者会見で、「裁判における問題意識を踏まえて我々として制度のあり方をしっかり議論し、質の高い医師をしっかり確保する、という観点からどうしていくのが良いか総合的に見直した結果」と述べました。ただ、違約金の仕組みが強過ぎたという認識はなく、「事実上違う法的構成を取ったということ。今は医師になってから利息が発生する仕組みだが、もっと早い段階から発生させる。辞めたら違約金を支払うということではなく、金利も含めて高い貸付金の水準を取って、それを就業年限に応じて減額をしていく。より長く地域の医師として働いていただければ、返済額はその分減っていくという形になる。真面目に当初の予定通り地域でしっかりと医療に携わろうという思いを持つ人が、約束を違えて早く辞めてしまった人よりも、経済的にマイナスになるようなことは止めようと考えた」と述べました。「新しい案について、議会で可決という判断になれば、裁判で争うこと自体、県にとってなんら実益がなくなる」と県知事6月4日のこの記者会見でも長崎知事は、控訴の選択は「ベストだった」と述べ、取り下げには言及しませんでした。しかし、6月11日の記者会見では修学資金に関する条例改正案を6月の県議会に提出し、可決されれば控訴を取り下げる方針を明らかにしました。この日の記者会見で長崎知事は、「この条例改正案の議会の議決が得られない現在では(離脱防止策がない状態になるので)控訴の取り下げはできない。今回出す新しい案について、議会で可決という判断になれば、裁判で争うこと自体、県にとってなんら実益がなくなるので、裁判を早期に解決する上でも取り下げをするべきだと考えている」と述べました。最終的に山梨県が折れる形で高額な違約金はなくなり、控訴も取り下げの方向となりました。医師を「罰則」で縛るのではなく、本当に地域医療に貢献したい医学生を集めることや、地域に残って働きたくなるような魅力的な勤務環境を整えることが重要であるという、ある意味当たり前の結論に山梨県もたどり着いたわけです。しかし、その「当たり前の結論」を現場で実行することほど難しいことはありません。国の「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」の各施策の決定力が今一つの中、地方自治体の医師確保に向けた戦いはまだまだ終わりそうにありません。

230.

ALK-TKI既治療のALK陽性進行NSCLCに新規ALK-TKIのneladalkibが有望(ALKOVE-1)/ASCO2026

 既治療の進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、新たなALK-TKIのneladalkibが、有望な抗腫瘍効果と忍容性を示した。同剤は同時に頭蓋内病変やALK G1202R耐性変異例に対しても良好な奏効を示している。neladalkibの第I/II相試験であるALKOVE-1のNSCLCコホートの初回解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Jessica J. Lin氏(米国・Mass General Brigham Cancer Institute)が発表した。 TRKは、ヒトの神経系の発達、痛み、記憶などの調節に重要な役割を果たしている。多くのALK阻害薬はTRKファミリーも阻害してしまう。これが同薬によるCNS系の副作用の原因とされる1)。neladalkibはALKを阻害しつつ正常なTRKの阻害を避けるように設計されたTKIである2)。さらに良好な脳移行性を有し、G1202Rを含むALK獲得耐性にも対応する。 ALKOVE-1試験は、ALK陽性進行がんを対象にneladalkibの有効性・安全性を検討する国際共同第I/II相試験である。今回の発表では第II相試験の中からALK-TKI既治療のALK陽性NSCLCの初回解析結果が発表された。・対象:既治療の進行ALK融合遺伝子陽性NSCLC・介入:neladalkib 150mg/日・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による客観的奏効割合(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、奏効までの期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、頭蓋内活性、安全性および忍容性など 主な結果は以下のとおり。・ALKOVE-1登録781例中、neladalkibを投与されたALK陽性NSCLCは656例(安全性評価集団)、ALK-TKI既治療のALK陽性NSCLCは253例(有効性評価集団)であった。・患者の年齢中央値は56歳、80%が欧米人(欧州40%、北米40%、アジア20%)、CNS転移ありが40%、前治療ライン数中央値は3、ALK G1202R耐性変異は19%であった・追跡期間中央値11.3ヵ月における全体のORRは31%、ロルラチニブ治療なし群は46%、ロルラチニブ治療あり群は26%であった。・12ヵ月DOR割合は全体で64%、ロルラチニブ治療なし群は80%、ロルラチニブ治療あり群は54%であった。・PFS中央値は全体で5.7ヵ月、ロルラチニブ治療なし群は14.5ヵ月、ロルラチニブ治療あり群は4.6ヵ月。1年PFS割合は全体で33%、ロルラチニブ治療なし群は53%、ロルラチニブ治療あり群は26%であった。・頭蓋内ORRは全体で32%、ロルラチニブ治療なし群は63%、ロルラチニブ治療あり群は21%であった。・12ヵ月頭蓋内DOR割合は全体で71%、ロルラチニブ治療なし群は92%、ロルラチニブ治療あり群は55%だった。・ALK G1202R変異陽性患者におけるORRは全体で68%、ロルラチニブ治療なし群は83%、ロルラチニブ治療あり群は63%であった。・ALK G1202R変異陽性患者における12ヵ月DOR割合は全体で80%、ロルラチニブ治療なし群は77%、ロルラチニブ治療あり群は81%であった。・頻度の高い試験治療下における有害事象(TEAE)はALT上昇(全Grade47%、Grade3以上20%)、AST上昇(全Grade44%、Grade3以上16%)、便秘、味覚異常などであった。用量減量に至ったTEAEは17%、治療中止に至ったTEAEは5%であった。 ALKOVE-1試験の有望な有効性および安全性データに基づき、1次治療を対象とした国際共同無作為化第III相臨床試験ALKAZAR試験(NCT06765109)が進行中である。

231.

高齢者におけるベンゾジアゼピン減量のための最適な戦略は?

 慢性的なベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZRA)の使用は、転倒、認知機能低下、機能低下、その他の有害事象に関する懸念があるにもかかわらず、65歳以上の高齢者において依然として一般的に行われている。BZRAの減薬を支援するための複数の戦略が提案されているが、高齢者におけるこれらの減薬介入の安全性と有効性は、介入の種類を問わず包括的に統合されていない。スペイン・Clinica Psicogeriatrica Josefina ArreguiのKevin O'Hara-Veintimilla氏らは、65歳以上の高齢者における慢性的なBZRA使用を減らすための構造化された戦略の安全性と有効性に関する入手可能なエビデンスを統合することを試みた。Age and Ageing誌2026年5月4日号の報告。 本システマティックレビューは、PRISMA 2020ガイドラインに従って実施された。データベースの創設時から2025年9月までに公表された研究をOvid MEDLINE、PubMed、Embase、PsycINFOの各データベースより検索した。高齢者を対象とし、構造化されたBZRA減量介入を評価したランダム化比較試験および非ランダム化比較試験を対象に含めた。バイアスのリスクは、研究デザインに適したツールを用いて評価し、結果の異質性が高いため、記述的な統合を行った。 主な結果は以下のとおり。・約1万1,000人の高齢者を対象とした30研究を分析に含めた。・介入には、構造化された薬物漸減、患者主導の教育戦略、臨床医主導のアプローチ、システムレベルの介入が含まれていた。・いずれの戦略においても、減量はおおむね安全であった。離脱症状は、通常、軽度かつ一過性であり、重篤な有害事象はまれであった。・構造化された段階的減量は、投与の中止または減量率が最も高かった。一方、他のアプローチでは効果にばらつきがみられた。 著者らは「高齢者における慢性的なBZRA使用の減量は、構造化された段階的かつ患者中心のアプローチを用いれば、実現可能であり、おおむね安全であることが示唆された。その効果は、介入の種類や状況によって異なるため、老年医学におけるBZRAの減量には、個別化されたエビデンスに基づいたアプローチが推奨される」と結論付けている。

232.

転移APMS前立腺がん、タラゾパリブ追加でPFS改善(TALAPRO-3)/NEJM

 相同組み換え修復遺伝子に変異を有する転移のあるアンドロゲン経路修飾感受性(APMS)前立腺がんの治療において、タラゾパリブ(PARP阻害薬)+エンザルタミドはプラセボ+エンザルタミドと比較して、画像評価に基づく3年無増悪生存率(PFS)が有意に優れ、その一方で重篤な有害事象が多く発現することが、米国・ユタ大学のNeeraj Agarwal氏らが実施した「TALAPRO-3試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年5月30日号で発表された。27ヵ国の第III相無作為化プラセボ対照比較試験 TALAPRO-3試験は、日本を含む27ヵ国266施設で進行中の第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(Pfizerの助成を受けた)。 2021年6月~2023年5月に、年齢18歳以上(日本は20歳以上)で、1つ以上の相同組み換え修復遺伝子に変異を有するAPMS前立腺がん患者599例を登録した。 被験者を、タラゾパリブ+エンザルタミドの投与を受ける群(300例、年齢中央値70歳[範囲:45~89])、またはプラセボ+エンザルタミドの投与を受ける群(299例、69歳[範囲:44~86])に無作為に割り付けた。試験薬はすべて1日1回、経口投与した。 主要評価項目は、試験責任医師が画像診断に基づいて評価したPFS。重要な副次評価項目は全生存期間(OS)であった。 ベースラインで、患者の35%がBRCA1またはBRCA2遺伝子の変異を有していた。最も頻度の高い相同組み換え修復遺伝子変異はBRCA2(30%)で、次いでATM(28%)、CDK12(19%)、CHEK2(15%)の順であった。3年OS率には差がない 追跡期間中央値は、タラゾパリブ群が37.6ヵ月、プラセボ群は37.7ヵ月であった。画像評価に基づく3年PFSは、プラセボ群が56%であったのに対し、タラゾパリブ群は77%と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.48、95%信頼区間[CI]:0.36~0.65、p<0.001)。PFS中央値は、タラゾパリブ群が算出不能(NC)、プラセボ群は45.8ヵ月(95%CI:37.7~NC)であった。 また、今回の中間解析における3年OS率は、タラゾパリブ群が78%、プラセボ群は72%であった(HR:0.77、95%CI:0.56~1.04)。 3年時にPSA値が上昇していない患者の割合は、タラゾパリブ群78%、プラセボ群63%(HR:0.51、95%CI:0.37~0.71)、後治療を開始していない患者の割合はそれぞれ79%および62%(HR:0.51、95%CI:0.38~0.70)であり、客観的奏効率(完全奏効+部分奏効)は75%および67%であった。貧血の頻度が高い、重篤な有害事象は42%で 治療関連有害事象は、タラゾパリブ群の93%、プラセボ群の72%で発現した。重篤な有害事象は、それぞれ42%および32%で報告された。 タラゾパリブ群ではベースラインで43%にGrade1または2の貧血がみられ、治療期間中に40%で赤血球輸血を要した(プラセボ群は2%)。 タラゾパリブ群で最も頻度の高い有害事象は、貧血(71%)、疲労(28%)、好中球数の減少(27%)であった。Grade3以上の有害事象で最も頻度が高かったのは貧血(51%)および好中球数の減少(11%)だった。また、治療関連死が2例(汎血球減少、特発性肺線維症の悪化)で発生した。 著者は、「本症におけるタラゾパリブとエンザルタミドの併用療法の有効性が示された。OSに及ぼす効果を明らかにするために、追跡調査を継続中である」としている。 また、「先行研究と本試験の結果から、転移のあるAPMS前立腺がん男性における分子検査の重要性が明らかとなった。これにより、転移性疾患の経過のより早い段階で、バイオマーカーに基づく治療戦略を採用することが可能になると考えられる」と指摘している。

233.

HER2+およびTN早期乳がん、腫瘍径とリンパ節転移の関連

 2021年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)ガイドラインでは、リンパ節転移陽性またはT1c以上のHER2陽性(HER2+)およびトリプルネガティブ(TN)早期乳がんに対して術前全身療法を推奨しているが、臨床的にはリンパ節転移陰性のT1c腫瘍の管理に関しては議論が続いている。今回、カナダ・トロント大学のYerin R. Lee氏らは、T1-T2のHER2+およびTN乳がんにおける腫瘍径とリンパ節転移の関連を評価し、T1c腫瘍におけるリンパ節転移陽性の予測因子を検討した。その結果、HER2+およびTN乳がんにおいて、T1a/bであってもリンパ節転移率は高く、T1cではホルモン受容体陰性(HR-)/HER2+および50歳以下がリンパ節転移リスクの独立した予測因子であることが示唆された。Annals of Surgical Oncology誌2026年7月号に掲載。 本研究は、オンタリオ州臨床評価科学研究所の2000~19年のデータを用いた人口ベースの後ろ向きコホート研究である。主要評価項目は、腫瘍サイズ(T1a-T2)およびサブタイプ別に層別化した局所リンパ節転移陽性(N1-N3)であった。多変量ロジスティック回帰分析により、T1cの乳がんにおけるリンパ節転移陽性の独立した予測因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・T1a-T2の1万1,007例を解析した。内訳はHR-/HER2+が1,923例、HR+/HER2+が4,542例、TNが4,542例であった。・T1a/bにおけるリンパ節転移陽性割合は、HR-/HER2+では11~22%、HR+/HER2+では11~14%、TNでは7~11%であった。・T1cにおけるリンパ節転移陽性割合は、HR-/HER2+では32%、HR+/HER2+では26%、TNでは19%であった。・T2におけるリンパ節転移陽性割合は、HR-/HER2+では38%、HR+/HER2+では42%、TNでは30%であった。・T1cでは、「HR-/HER2+」および「50歳以下」が、リンパ節転移陽性のオッズ増加と独立して関連していた。

234.

インフルワクチン、感染後も心血管イベントリスクを抑制

 ワクチンを接種していてもインフルエンザに感染してしまうことがある。しかし、たとえ感染したとしても、感染に伴う心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントのリスク上昇が抑制されることを示すデータが報告された。欧州疾病対策センター(ECDC)のRoberto Croci氏らの研究によるもので、詳細は「Eurosurveillance」4月号に掲載された。 研究者らによると、インフルエンザ感染によって引き起こされる全身性の炎症が、短期的に心血管イベントのリスクを高める。それに対してワクチン接種は、感染リスクを抑制することを介して心血管イベントのリスクも抑制することが既に知られていた。しかし、ワクチンを接種してもインフルエンザに感染することがあり、その場合の心血管イベントへの影響についてはこれまで明らかでなかったという。 Croci氏らは、2014~2025年にデンマークでインフルエンザ感染が確認され、かつ、心筋梗塞または脳卒中の治療を受けた40歳以上の入院患者1,221人(1,231件)のデータを解析に用いた。この集団の主な特徴は、年齢中央値が75歳(四分位範囲66~82歳)、男性54%で、35%が心筋梗塞、65%が脳卒中であり、全体として半数(50%)がワクチン接種済みの患者だった。 解析の結果、インフルエンザの感染が確認された後1週間以内の心血管イベントのリスクは、その他の期間(感染前または感染から1週間以上経過後)に比べて有意に高いことが確認されたが、ワクチン接種済みの場合はそのリスクの上昇がほぼ半減することが示された。具体的には、季節の影響を調整後、ワクチン未接種の場合はインフルエンザ感染から1週間以内の心血管イベントリスクがそれ以外の期間に比べて4.7倍に上るのに対して(調整発生率比〔aIRR〕4.7〔95%信頼区間3.3~6.6〕)、ワクチン接種済みの場合は2.4倍だった(aIRR2.4〔同1.5~3.8〕)。 研究者らは、「今回の研究結果は、インフルエンザワクチンの接種が心血管イベントの予防に有効だとするエビデンスを支持するものだ」としている。Croci氏らも、「この結果が別の環境での追試で確認されたなら、心臓病や脳卒中のリスクが高い人たちに対するインフルエンザワクチンの接種を優先すべきだという考え方が、より強固なものとなるだろう」と述べている。 なお、研究の限界点の一つとして、ワクチンのインフルエンザ感染抑制効果はシーズンごとに異なり、その有効性の違いが心血管イベントリスクの差につながる可能性があるが、その点を考慮できていないことが挙げられるという。また、患者の性別やワクチン接種のタイミングが、心血管イベントのリスクにも影響を及ぼすのかといった点も、残された検討課題としている。

235.

2歳ごろの遊び、特に親との遊びが10代の運動習慣と関連

 習慣的な身体活動の基盤は、従来考えられていたよりもかなり早い時期に形成される可能性のあることが報告された。2歳のころに活発に走り回っていた子どもは、10代になってからの身体活動量が多いという。モントリオール大学(カナダ)のKianoush Harandian氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics」に4月29日掲載された。世界保健機関(WHO)は、世界中の10代の若者の約80%が身体活動不足であると警告しているが、そのような状況を変えるための一つの道筋が示されたと言える。 この研究では、カナダのケベック州で1997~1998年に生まれた子どもの発育・発達や健康状態を追跡している「ケベック州児童発達縦断研究(QLSCD)」の参加者1,668人(男子849人、女子819人)のデータが解析された。QLSCDでは、子どもが2歳半の時点で、体を使った遊び、スクリーンタイム(テレビなどの視聴時間)や睡眠時間などの状況を保護者に調査。さらに、子どもが12歳になった時点で、屋外で遊ぶ時間や身体活動習慣を本人に質問していた。 解析の結果、2歳半時点のシンプルな3つの習慣が、10代になってからの身体活動習慣と関連していることが明らかになった。3つの習慣とは、「親や養育者との活動的な遊び」、「スクリーンタイムの制限(1日1時間未満)」、「十分な睡眠(昼寝を含めて11~14時間)」である。これらの該当数が1項目多いごとに、12歳時点での屋外で遊ぶ時間が1日あたり約5分長いという関連が認められた。ただし、この研究に参加した子どものうち、2歳半時点でこれら3つを全て満たしていたのは、10人に1人にも満たなかった。 子どもの活発な身体活動を推進する主要な存在は、親であることも分かった。親は単なる幼児の見守り役ではなく、子どもの生活リズムや習慣を形成する重要な役割を担っていることが示唆された。幼児期の遊びに親が積極的に参加することで、子どもは体を動かすことを苦痛ではなく、喜びとして捉えることができるようになると考えられた。 論文の筆頭著者であるHarandian氏は、「親子で一緒に遊んだり、体をともに動かしたりする時間を持つことは、健康的で持続的な生活習慣を確立するための、最も強力な手段であるように思われる。このような共通の経験は、子どもたちが運動を、楽しさや意欲、日常のルーティンと結び付けるのに役立つ」と語っている。 この研究では、男子に比べて女子は思春期に入る時期に身体活動が減少する傾向のあることも分かった。12歳になるまで、自由な時間に活動的な生活を送っていた子どもの割合は、男子は約25%だったが女子はわずか約15%だった。ただし、幼児期にスクリーンタイムが制限され、活発な遊びを多く経験していた女子は、成長とともにスポーツや高強度運動にもより積極的に取り組むようになるという、強い傾向が認められた。 論文の上席著者である同大学のLinda Pagani氏は、「家族の習慣は、子どもの発達全体を通して生活習慣の形成につながる。幼いころから活発な遊びを促し、スクリーンタイムを制限し、質の高い睡眠を取るように促すことで、親は子どもに対して大きな影響を持続的に与えることができる」と解説している。

236.

レビー小体型認知症の発症率は考えられているよりも高い可能性

 米CNN創業者テッド・ターナー(Ted Turner)氏の命を奪った進行性の脳疾患であるレビー小体型認知症(DLB)の発症率は10万人年当たり約4.8例と、これまで考えられていたよりも高い可能性が、新たなエビデンスレビューで示唆された。この発症率は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、一部の認知症や非定型パーキンソン症候群(非定型パーキンソニズム)などのより広く知られている神経変性疾患の発症率よりも高いという。バーリ大学(イタリア)のDaniele Urso氏らによるこの研究結果は、「JAMA Neurology」に5月11日掲載された。Urso氏らは、「DLBは、主に高齢になってから発症する認知症であり、他のいくつかの比較的まれな神経変性疾患よりも発症頻度が高い」と結論付けている。 米国立衛生研究所(NIH)によると、DLBの発症には、脳内でタンパク質のα-シヌクレインが異常に蓄積することが関与していると考えられている。この異常な蓄積物はレビー小体と呼ばれ、脳内の神経伝達を障害し、思考、運動、行動、気分などにさまざまな症状を引き起こす。DLB自体はよく知られた疾患ではあるものの、研究グループによると、その世界的な発症率や有病率を評価した研究は、これまで実施されていないという。 今回のレビューでは、2024年10月までに発表された、一般住民を対象にDLBの発症率や有病率を調査した研究を選定し、12件の研究データを統合してメタアナリシスを実施した。その結果、DLBの発症率は10万人年当たり4.79例であることが明らかになった。研究グループによると、前頭側頭型認知症の発症率は10万人年当たり約2.3例、ALSは約1.6例、非定型パーキンソニズムは0.3〜0.8例程度であるとされている。 また、解析対象を65歳以上に限定すると、発症率は10万人年当たり46.85例となり、高齢になるほど発症率が急増することが示唆された。性別ごとに検討すると、男性の方が女性よりも発症率が高かった(5.45例対4.32例)。全年齢での有病率を報告した研究は1件のみで、10万人当たり19.13例であった。 こうした結果から研究グループは、DLBが臨床的に診断される症例は少なく、これは診断漏れや診断感度の低さを反映していると考えられると結論付けている。その上で、「標準化された診断方法と専門的な評価への公平なアクセスを確立して、過少診断や誤診を減らす必要性が浮き彫りになった」と述べている。 この研究について、米ノースウェル・ヘルス傘下ファインスタイン医学研究所のJeremy Koppel氏は、「この研究は、DLBの発症率や有病率がこれまで考えられていた以上に高く、前頭側頭型認知症よりも一般的である可能性を示している」とコメントしている。同氏はまた、「少なくとも、ターナー氏の死をきっかけに、特に認知機能障害と精神症状が混在する患者を診察する医師の間で、DLBへの認識が高まることを願っている。正確な診断は極めて重要だ」と話している。 Koppel氏によると、DLBの特徴的な点は、多くの精神症状を伴うことだという。同氏は、「DLBの中核症状の一つに、実際には存在しないものが見える“幻視”がある。また、意識レベルが劇的に変動することも珍しくない。認知機能障害がまだ目立たない段階では、急性の精神病状態や精神疾患のように見えることもある。しかし最終的には、重度の認知障害へと進行していく」と説明する。 さらに、DLB患者は、他の認知症患者によく使われる薬に対して異なる反応を示すことがあるという。Koppel氏は、「DLB患者は、抗精神病薬に対して重篤な副作用を示すことがある。そのため、DLB患者に薬を投与する際には、細心の注意が必要だ」と述べている。

237.

米国がん協会、大腸がん検診の改訂ガイドラインを公表

 米国がん協会(ACS)はこのほど、医療機関で受ける血液検査を大腸がん検診に使用できるとする大腸がん検診の改訂ガイドラインを公表した。同ガイドラインではまた、便中の血液とがんに関連するDNAマーカーの両方を検出できる自宅検査キット「Cologuard」の使用も推奨されている。ガイドラインの全文は、「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に5月27日掲載された。 ガイドラインをまとめた研究グループによると、今回の改訂は、専門家らが大腸がん検診のさらなる普及と罹患率の低下を推し進めようとする中で行われた。ガイドラインの上席著者であるACSがん早期検出センターのRobert Smith氏はニュースリリースで、「大腸がんは治療可能なだけでなく予防可能な疾患であるという点も、これまで以上に重視する必要がある。このガイドラインでより多くの検診手段を提示することで、大腸がん検診の対象となる成人が、命を救う可能性のある検査を受けやすくなる。その結果、検診受診率の格差解消につながるとともに、より多くのがんを治療可能な早期段階で発見できるようになるだろう」と述べている。 大腸がんは予防可能な数少ないがんの一つであり、医師が前がん病変のポリープを検出して切除すれば予防できると、研究グループは説明している。ACSによると、米国では、大腸がんは早期に発見できれば5年生存率は90%を超える。しかし、大腸がん検診の対象となる米国人の3人に1人が検査を受けておらず、その数は2000万人を超えていると研究グループは指摘する。さらに、大腸がんの全体的な罹患率と死亡率は、年々着実に減少しているものの、50歳未満では近年、増加傾向にあるという。実際、大腸がんは、50歳未満の成人におけるがんによる死因の第1位である。 大腸がん検診のゴールドスタンダードが現在も大腸内視鏡検査であることに変わりはない。大腸内視鏡検査は、鎮静薬を投与した状態で細く柔軟なチューブを大腸に挿入して行う。ポリープが見つかった場合には、その場で切除することも可能だ。しかし、強力な下剤を使って大腸を洗浄する検査前処置を不快に感じる人は多い。また、鎮静薬の使用に不安を抱く人もいる。そのためACSは、Cologuardのような自宅検査キットを含む便検査、さらには血液検査も含めることで、検診方法の選択肢を広げた。 血液検査(商品名Shield)では、腫瘍から血液中に放出されたがん細胞由来のDNA断片を検出することができる。専門家らによると、Shieldによる前がん病変のポリープや早期がんの検出能はそれほど高くないが、検診を全く受けないよりは受ける方が良いという。ガイドラインでは、CologuardのようなDNAベースの便検査は3年ごとの受診が推奨されている。一方、CTを用いたバーチャル大腸内視鏡検査ともいえる大腸CT検査(CTコロノグラフィ)や、大腸内視鏡検査と同様に内視鏡を用いるが、結腸の下部3分の1のみを検査する軟性S状結腸鏡検査は5年ごと、大腸内視鏡検査は10年ごとの受診が推奨されている。 また、検診は45歳から受け始めること、大腸がんリスクが高い場合はそれよりも早い段階から受けることが推奨されている。さらに、85歳以降は定期検診を終了してもよいとされている。 ACSチーフ・サイエンティフィック・オフィサーのWilliam Dahut氏は、「どの検査を選択するにせよ、最も重要なのは検診を受けることだ。このことは、医療サービスが行き届いていない地域や農村部の住民、マイノリティの人にも当てはまる。今回の改訂は、大腸がん検診の選択肢を広げ、あらゆる人ががん予防のための医療サービスを受けられるようにすることを目的に行われた」とニュースリリースの中で説明している。 なお、研究グループは、非侵襲的な検査で結果に異常が見られた人は、大腸内視鏡検査を追加で受けることが極めて重要だと強調している。

238.

麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」【最新!DI情報】第65回

麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」今回は、「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(商品名:ミムリット皮下注用、製造販売元:第一三共)」を紹介します。乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンに、おたふくかぜワクチンを混合することで、接種回数が減少して非接種者の負担軽減につながることが期待されています。<効能・効果>麻しん、おたふくかぜおよび風しんの予防の適応で、2026年5月11日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射します。生後12月以上の者であれば性、年齢に関係なく接種できます。接種年齢は、学会などの最新の情報を考慮して総合的に判断します。<安全性>重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、免疫性血小板減少症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん(熱性けいれんを含む)、無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎、急性膵炎(いずれも頻度不明)があります。その他の副反応として、発熱(33.6%)、注射部位の紅斑(22.5%)、腫脹、疼痛(いずれも注射部位、5%以上)、内出血、硬結(いずれも注射部位)、嘔吐、湿疹、発疹、上咽頭炎(いずれも0.5~5%未満)、注射部位のそう痒感、下痢、鼻漏、上気道の炎症、紅斑、丘疹、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹(いずれも0.5%未満)があります。<患者さんへの指導例> 1.このワクチンは、麻しん、おたふくかぜ、風しんの混合ワクチンです。麻しんウイルスとムンプスウイルス、風しんウイルスを弱毒化した生ワクチンで、接種後に体の中でワクチンウイルスが増え、それぞれの抗体ができます。 2.生後12月以上の者であれば性別、年齢に関係なく接種できます。 3.ワクチン接種に伴う副反応として、接種部位が接種直後から数日中に赤くなる、硬くなる、腫れることがありますが、通常、一過性で消失します。 4.妊婦は接種できません。 5.妊娠可能な女性は、あらかじめ約1ヵ月間避妊した後に接種します。また、ワクチン接種後約2ヵ月間は妊娠しないように注意してください。 <ここがポイント!>麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症で、「はしか」とも呼ばれています。感染後、10〜12日の潜伏期間を経て、38℃前後の発熱、発疹、咳、鼻汁などの症状が現れます。重症化した場合には、肺炎や脳炎を引き起こすこともあります。流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、「おたふくかぜ」とも呼ばれています。感染後、2〜3週間の潜伏期間を経て、片側または両側の耳下腺部に炎症や疼痛が生じ、発熱、頭痛、倦怠感などの症状が現れます。通常は1~2週間で軽快しますが、合併症として無菌性髄膜炎、精巣炎、卵巣炎、膵炎、難聴などを引き起こすことがあります。とくに難聴は高度となることが多く、発症すると不可逆的な聴覚障害が残ることがあります。従来はまれな合併症とされていましたが、近年では0.1〜0.25%程度の発症率という報告があります。風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症です。感染後、2~3週間の潜伏期間を経て、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。風しんに対する免疫力が不十分な妊婦が感染すると、出生児に心疾患、白内障、感音性難聴、精神運動発達遅延などの先天性異常が認められることがあります。妊娠中は弱毒生ワクチンを接種できないため、抗体を持たない、あるいは抗体価の低い妊婦は、風しん流行時における感染に十分注意することが重要です。ミムリットは、麻しん/おたふくかぜ/風しん(measles/mumps/rubella:MMR)ワクチンであり、麻しん、おたふくかぜおよび風しんの各原因ウイルスを弱毒化した生ウイルスを含む3種混合ワクチンです。本邦では、1989年から4年間にわたってMMRワクチンが小児の予防接種に使用されていましたが、当時のおたふくかぜワクチンの副反応として発熱、嘔吐、けいれんなどを伴う無菌性髄膜炎が高頻度に発生し、大きな社会問題となりました。そのため、MMRワクチンは使用が中止され、以降は麻しんおよび風しんの予防には単独ワクチンまたはMRワクチンの定期接種が、おたふくかぜの予防には単独ワクチンの任意接種が行われてきました。しかし、その結果、国内のおたふくかぜワクチンの接種率は30〜40%程度にとどまり、数年ごとにおたふくかぜの流行が繰り返されてきました。こうした状況を受け、2013年12月に厚生労働省から一般社団法人日本ワクチン産業協会に対して安全性の高いMMRワクチンの開発要請が出されました(健感発1216第1号)。さらに2018年5月には、予防接種推進専門協議会から「おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望」が厚生労働省健康局(現健康・生活衛生局)に提出されました。このような背景から、MMRワクチンの開発が進められ、弱毒生麻しんウイルス(AIK-C株)、弱毒生風しんウイルス(高橋株)および弱毒生ムンプスウイルス(RIT4385株)を混合した本剤が承認されました。なお、RIT4385株は、無菌性髄膜炎の発現頻度が低いムンプスウイルス株として、海外では小児の定期接種に用いられるMMRワクチンに広く使用されています。 日本人健康小児を対象とした国内第III相臨床試験(VN0102-A-J301試験)において、主要評価項目である治験薬接種42日後の麻しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.8%(95%信頼区間[CI]:98.7~100.0)および対照群100.0%(95%CI:99.1~100.0)で、群間差は−0.2%(95%CI:−1.3~0.7)でした。また、風しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.5%(95%CI:98.3~99.9)および対照群99.5%(95%CI:98.3~99.9)で、群間差は0.0%(95%CI:−1.3~1.3)でした。麻しんウイルスおよび風しんウイルスに対する抗体保有率は、群間差の95%CIの下限値(いずれも−1.3%)が非劣性マージンである−10%を上回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性が検証されました。一方、ムンプスウイルス(Genotype D)に対する抗体保有率は、本剤群80.6%(95%CI:76.5~84.4)および対照群88.1%(95%CI:84.6~91.0)で、群間差は−7.5%(95%CI:−12.5~−1.9)でした。群間差の95%CIの下限値(−12.5%)が非劣性マージンである−10%を下回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性は検証されませんでした。しかしながら、本剤のムンプスウイルスに対する抗体保有率は80.6%であり、おたふくかぜの発症予防効果が確認されている海外MMRワクチンの試験成績と比較しても遜色のない結果でした。また、J302試験(低力価および高力価製剤の国内第III相臨床試験)およびJ303試験(ワクチンを1回接種したことが明らかな小児を対象とした国内第III相臨床試験)におけるムンプスウイルスに対する抗体保有率はいずれもおおむね95%以上でした。

239.

糖尿病性足潰瘍の骨髄炎評価【日常診療アップグレード】第58回

糖尿病性足潰瘍の骨髄炎評価問題72歳男性。なかなか治らない右足親指の傷を主訴に受診した。この創傷は2ヵ月前からあり改善がみられない。既往歴は2型糖尿病と高血圧である。かかりつけ医からデュラグルチド、エンパグリフロジン、ロスバスタチン、リシノプリルを処方されている。バイタルサインは正常である。身体所見は右第1中足骨の足底に直径2cmの潰瘍が認められる。潰瘍底に膿性分泌物があり、潰瘍周囲には軽度の紅斑が認められる。潰瘍底にプローブを挿入しても骨には達しない。両足底および足背は、足関節の高さまで感覚が低下している。骨髄炎の評価を行うため、足部のX線検査を行った。

240.

英語論文を理解する方法(前半)【タイパ時代のAI英語革命】第14回

Abstractを理解する前回でAbstractが読めるようになりましたが、専門外の論文などは知識を補うために、よりかみ砕いた説明が必要になるでしょう。ここからは、医学的知識を補いながら、単に「読める」だけでなく「理解できる」状態を目指すプロンプトを紹介します。ChatGPTを開き、以下のように入力してください。プロンプト例自分は医療者ですが、以下の論文は専門外です。これからコピペする医学英語論文を、必要な知識を補えるよう、専門用語や知識には解説を適宜加えつつ、原文、日本語訳、補足解説を行ってください。このプロンプトでは、自分が医療者であること、知識の補足を希望することを明記することがポイントです。これにより、AIが出力のスタイルや内容を最適化してくれます。そして、補足解説によって専門外の領域の論文であっても、医学的背景を補完しながら理解できるようになります。ただし、こうした解説には論文本文以外の知識が含まれるため、AIによる誤情報(ハルシネーション)には十分注意して使用してください(詳細は本連載第1回を参照)。manuscript(論文原稿)を理解する~IntroductionからDiscussionまで、セクション別の読解プロンプト例ここからは、manuscript(原著論文)を理解するための実践的な読み方を紹介します。論文の種類や論文の形式(例:case report、review paper)によって文量は異なりますが、manuscriptの中には4,000ワード以上に及ぶものもあります。ChatGPTで論文を読むためには、次の二通りの方法があります。方法1:手動でセクションごとにコピペする読みたい部分(例:Introduction、Methodsなど)を手動で抜き出し、順に貼り付けて読ませる方法です。方法2:PDFファイルを直接読み込ませる論文のPDFファイルをダウンロードできるのであれば、PDFファイルを読み込ませるほうが手間が少なく、個人的におすすめしたい方法です。PDFファイルをそのままチャット画面にドラッグ&ドロップし、以下のプロンプトを入力します。プロンプト例このPDFファイルを読んでください。その後指示を出しますので、読んだら「はい」とだけ返答してください。最新のChatGPTではPDFファイルの読解が可能となっており、その後、必要なセクション(Introduction、Methodsなど)だけを抜き出して分析・翻訳してもらうことができます。以降で紹介するプロンプトは、論文を深く理解するために設計されたものであり、やや長めです。そのため、以下のような使い方をおすすめします。- プロンプトをコピペしてメモアプリなどに保存しておく。- ChatGPTの「カスタムGPT(MyGPT)機能」に登録しておく(詳しくは第7回を参照)。1)Introduction(序論)を読み解くIntroductionでは、この論文のテーマにまつわる背景、現在の医学的知識や研究状況の要点と論文のテーマに関して未解決な点、それに応じて設定されたその研究の必要性、そして著者が設定する具体的な目的や仮説といった情報が示されています。Introductionを正確に読み解くことで、論文の全体像や意義を理解しやすくなります。以下のプロンプトは、「PDFファイルで全文を読み込ませた前提」で使用することを想定して設計されています。プロンプト例あなたは英語医学論文の査読アシスタントです。自分は医療者ですが、以下の論文の専門外です。PDFファイルから抽出したmanuscriptのIntroduction部分のみを対象にしてください。#手順1.Introductionの本文を段落ごとに分け、段落番号 [P1], [P2], …を付与。2.解析タスクを順に実施。引用は原文の短いフレーズ(最大30語以内)+段落番号を併記。#解析タスクA.背景(現時点の医学知識)B.既存研究の要点(デザイン、対象、主要アウトカム、限界)C.研究ギャップ(未解決の問題)D.本研究の合理性(なぜ必要か)E.研究目的と仮説#出力フォーマット1.日本語翻訳:Introduction全文の日本語訳2.要約:数行で簡潔に3.詳細解析:解析タスクの見出しごとに整理(段落番号つき)4.用語ミニ辞書:本文で初出する英略語・英語の専門用語のみを簡潔に日本語で解説#制約-本文にない事実は書かない-本文以外の外部知識は使わない-不明点は「記載なし」と明記-簡潔な日本語、箇条書き中心-Markdown形式で出力2)Methods(方法)を読み解くMethodsには、研究手法の詳細が記載されています。内容が専門的で複雑なことも多く、日常で研究に触れていない場合は、途中で理解できなくなってしまうことも少なくありません。とくに英語で書かれた論文の場合は読むハードルが高く、挫折してしまう方も多いのではないでしょうか。そこで役立つのがChatGPTです。Methodsの解析タスクプロンプトは、論文を読み解く際に非常に重要とされるPICO(Patient, Intervention, Comparison, Outcome)フレームワークを元に作成しています。以下のテンプレートを使えば、複雑な記述も順序立てて把握できるようになります。プロンプト例あなたは英語医学論文の査読アシスタントです。自分は医療従事者ですが、以下の論文は専門外です。PDFファイルから抽出したmanuscriptのMethods部分のみを対象にしてください。#手順1.Methods本文を段落ごとに分け、[P1], [P2], …と番号を付与。2.解析タスクを順に実施。引用は原文の短いフレーズ(最大30語以内)+段落番号を併記。#解析タスクA.研究デザイン(RCT、前向きコホート、横断研究など)B.対象(Population:選択基準、除外基準、症例数、年齢層、背景疾患など)C.介入(Intervention:治療法、投与法、診断法、曝露条件などの詳細)D.比較(Comparison:対照群の設定、プラセボなど。なければ「記載なし」)E.評価項目(Outcome: primary outcome、secondary outcomes、surrogate markerなど。なければ「記載なし」)F.統計解析手法(使用ソフト、統計検定、サンプルサイズ、欠測値処理など)#出力フォーマット1.日本語翻訳:Methods全文の日本語訳2.要約:数行で簡潔に3.詳細解析:解析タスクの見出しごとに整理(段落番号付き)4.用語ミニ辞書:本文で初出する英略語・英語の専門用語のみを簡潔に日本語で解説#制約-本文にない事実は書かない-本文以外の外部知識は使わない-不明点は「記載なし」と明記-簡潔な日本語、箇条書き中心-Markdown形式で出力いかがでしたか。次回は、ResultsとDiscussionの理解を手助けするプロンプトを紹介していきます。

検索結果 合計:36478件 表示位置:221 - 240