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吸入ステロイド薬(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)でコントロール不良の喘息において、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として用いられるブデソニド・グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物(BUD/GLY/FOR)のトリプル製剤が有効であることが示された。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、Alberto Papi氏(イタリア・フェラーラ大学)が、国際共同第III相試験「KALOS試験」および海外第III相試験「LOGOS試験」の統合解析の結果を報告した。KALOS試験・LOGOS試験のデザイン(両試験とも同様のデザインで実施)試験デザイン:第III相無作為化二重盲検比較試験対象:中~高用量のICS/LABAでコントロール不良(7項目の喘息コントロール質問票[ACQ-7]スコア1.5以上)の12~80歳の喘息患者4,311例(有効性解析対象4,304例)試験群1:BUD/GLY/FOR 320/28.8/10μgを1日2回(高用量群:1,179例)試験群2:BUD/GLY/FOR 320/14.4/10μgを1日2回(低用量群:725例)対照群1:BUD/FOR(エアロスフィア製剤)320/10μgを1日2回(1,208例)対照群2:BUD/FOR(タービュヘイラー製剤)320/9μgを1日2回(1,192例)投与方法:4週間のrun-in期間にBUD/FOR(エアロスフィア製剤)320/10μgを1日2回投与し、4群に無作為に割り付けた。無作為化後は割り付けられた治療を24~52週間実施した。評価項目:[主要評価項目]投与24週時のトラフ1秒量(FEV1)値のベースラインからの変化量[主要な副次評価項目]投与24週時の投与0~3時間後のFEV1値の曲線下面積(FEV1 AUC0-3)[統合解析の主要解析]重度の喘息増悪の年間発現率 試験実施国によって解析計画が異なるが、今回は欧州での解析計画に基づいて報告された(対照群1および2を統合して解析)。主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の投与24週時のトラフFEV1値のベースラインからの変化量は、KALOS試験ではBUD/GLY/FOR高用量群が対照群と比べて有意に改善し、LOGOS試験では高用量群および低用量群のいずれも対照群と比べて有意に改善した。対照群に対するトラフFEV1値の群間差(95%信頼区間[CI])、p値は以下のとおり。 <高用量群> KALOS試験:56mL(31~82)、p<0.001 LOGOS試験:97mL(70~123)、p<0.001 統合解析:76mL(57~94)、名目上のp<0.001 <低用量群> KALOS試験:25mL(-7~56)、p=0.126 LOGOS試験:103mL(73~134)、p<0.001 統合解析:65mL(43~88)、名目上のp<0.001・投与24週時のFEV1 AUC0-3値のベースラインからの変化量は、いずれの試験においてもBUD/GLY/FOR高用量群および低用量群が対照群と比べて改善した。対照群に対するFEV1 AUC0-3値の群間差(95%CI)およびp値は以下のとおり。 <高用量群> KALOS試験:69mL(44~94)、p<0.001 LOGOS試験:112mL(87~138)、p=0.001 統合解析:90mL(72~108)、名目上のp<0.001 <低用量群> KALOS試験:45mL(15~76)、名目上のp=0.003 LOGOS試験:115mL(85~145)、p<0.001 統合解析:81mL(60~103)、名目上のp<0.001・重度の喘息増悪の年間発現率(回/人年)は、対照群が0.63であったのに対し、BUD/GLY/FOR高用量群0.54(レート比:0.86、95%CI:0.76~0.97、p=0.01)、低用量群0.53(同:0.84、0.73~0.97、p=0.02)であり、BUD/GLY/FOR高用量群および低用量群が改善した。・治験薬との関連が否定できない有害事象の発現割合は、対照群が3.6%であったのに対し、BUD/GLY/FOR高用量群5.4%、低用量群4.6%であった。治験薬の中止に至った有害事象の発現割合は、それぞれ0.9%、1.1%、1.2%であった。 本試験結果について、Papi氏は「ICS/LABAでコントロール不良の喘息患者において、BUD/GLY/FORの単一デバイスによる3剤併用療法は、呼吸機能の改善および重度の喘息増悪の改善について、ICS/LABAに対する優越性を示した。BUD/GLY/FORの安全性プロファイルはBUD/FORと同等であった」とまとめた。