サイト内検索|page:1094

検索結果 合計:35656件 表示位置:21861 - 21880

21863.

性行為中に死亡するリスクとは?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第107回

性行為中に死亡するリスクとは? いらすとやより使用 さて今回は、ちょっぴりオトナな感じの“おどろき”論文を紹介しましょう。 Lange L, et al.Love Death-A Retrospective and Prospective Follow-Up Mortality Study Over 45 Years.J Sex Med. 2017;14:1226-1231.腹上死は男性の憧れ、なんて人もいるかもしれませんが、女性と愛し合っている最中に死ぬなんて残された人間からしてみれば、たまったもんじゃありません。この論文は、膨大な剖検例のうち、性行為中に死亡した症例を抽出して解析した珍しい研究です。――― 一体ベッドの上で何が起こったのか。これはドイツのヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学の法医学教室で行われた研究です。1972年からの45年間におよそ3万8,000例の剖検が行われました。さて、そのうち性行為中に亡くなった人数はどのくらいだと思いますか?答えは、99人(0.26%)です。ちなみに、この中には自慰(マスターベーション)中に死亡した30人も含まれていますのでご注意を。自慰を性行為と表記していいのか迷うところですが…。まぁ、それでも残りの人は間違いなく性行為によって死亡しているので、参考にはできそうですね。同時期に発表された別の研究1)では、心停止4,557人中34人という報告があります。これだと、頻度は0.75%ということになりますね。全体の1%はいないけれど、思ったよりも結構いるもんだなというのが正直な感想です。さて、上記99人のうち、8人が女性で91人が男性でした。ほぼほぼ男性に起こる現象と考えてよさそうですね。女性の平均年齢は45歳で、男性の平均年齢は57.2歳でした。死因は、28人が冠動脈疾患、21人が心筋梗塞、17人が再梗塞、12人が脳出血、8人が動脈瘤破裂、8人が心筋症、2人が急性心不全、1人が突然死(原因不明)、1人が心筋炎、1人が心筋梗塞+コカイン中毒でした。ほとんどの剖検例では、心重量が増加しており、BMIも標準より高かったそうです。つまり、メタボリックシンドロームを背景にした心臓血管系による死亡が多い、ということです。性行為中の死亡が多かったのは、主に春夏の暖かい季節で、場所は故人の家であることが多かったそうです。 性行為のパートナーが同定できたケースを見てみると、34人の男性が売春婦との性行為により死亡しており、9人が妻、7人が愛人、4人がライフパートナーという結果でした。自慰例も含めたデータではありますが、性行為による死亡は、基礎疾患として心血管系に問題がある男性に多いと著者は結論づけています。それがリスク因子なのかどうかは別の解析をしないと何とも言えないのですが、おそらくリスク因子になるのだろうと私は考えます。先ほど紹介した同時期の別の研究1)では、性行為関連心停止は、心室細動や心室頻拍が有意に多くみられ、これが死につながった可能性があると考えられています。1)Aro AL, et al. J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 30. [Epub ahead of print]

21864.

肥満とオランザピンの急性代謝系副作用との関連

 オランザピンは、統合失調症や様々な適応外疾患の管理に用いられる第2世代抗精神病薬である。オランザピンの急性代謝反応は、肥満に関連する多くの副作用を引き起こす。統合失調症患者は肥満率が高いが、元々ある肥満関連代謝障害がオランザピンの急性副作用を増大させるかどうかは不明である。カナダ・ゲルフ大学のLogan K. Townsend氏らは、非肥満マウスと高脂肪食(HFD)肥満マウスにおけるオランザピンの反応を比較した。Psychoneuroendocrinology誌オンライン版2017年12月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・4週間のHFD(脂肪分60%kcal)により、肥満、高血糖、インスリン抵抗性マウスとなった。・HFD誘発肥満マウスにおいて、オランザピン誘発性高血糖および全身性インスリン抵抗性が悪化した。・オランザピンは、骨格筋および肝臓におけるインスリンシグナル伝達を強く阻害し、これは肥満により悪化するようであった。・オランザピン誘発性高血糖の深刻化は、肥満マウスにおいてピルビン酸負荷が有意に高い血中グルコース濃度をもたらすことによる、肝臓グルコース産生の増加にも起因すると考えられ、グルコース生成酵素の肝臓含有の増加に関連していた。・オランザピンは、肥満マウスの酸素消費を急速に増加させ、RER(安静時エネルギー要求量)を抑制した。・オランザピン単剤治療は、肥満にかかわらず、身体活動を最長で24時間減少させた。 著者らは「統合失調症患者では肥満が非常に多いことを考慮すると、これらのデータから、オランザピンの急性副作用の重症度を過小評価している可能性があることが示唆された」としている。■関連記事オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学オランザピン誘発性体重増加のメカニズム

21865.

長期の夜間シフトは女性のがんを増やす?

 乳がんは世界中の女性の中で最も多く診断されるがんであり、以前から女性の夜勤労働者と乳がんリスクとの関連を明らかにしようと、多くのメタアナリシスは試みたが、その結論は多様である。中国・四川大学では、長期にわたる夜間作業が、女性のがんのリスクを増加させるかを確認するためにメタ解析を行った。Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention誌オンライン版2018年1月8日号掲載。・ヨーロッパ、北米、アジア、オーストラリアにける390万9,152名の参加者および11万4,628症例から成る61件の論文を登録した(内訳はコホート研究26件、ケースコントロール研究24例、コホート内症例対照研究11例)。・リスク推定は、ランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いて行った。・女性全体における長期間の夜間シフト勤務と11がん種のリスクとの関係を分析した。・女性看護師における長期間の夜間シフト勤務と6がん種のリスクとの関係を分析した。・乳がんリスクに対する夜間勤務の累積効果を定量評価するために、用量反応分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・女性全体では、長期間の夜間シフト勤務により、乳がん(OR :1.316、95%CI:1.196~1.448)、消化器がん(OR:1.177、95%CI:1.065~1.301)、皮膚がんリスク(OR:1.408、95%CI:1.024~1.934)が増加した。・女性看護師においては、長期の夜間シフト勤務により、乳がん(OR:1.577、95%CI:1.235~2.014)、消化器がん(OR:1.350、95%CI:1.030~1.770)、肺がんリスク(OR:1.280、95%CI:1.070~1.531)が増加した。・夜間勤務5年ごとに、女性の乳がんリスクは3.3%増加した(OR:1.033、95%CI:1.012~1.056)。

21866.

統合失調症の発症バイオマーカーを共同研究

 ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社⻑:クリス・フウリガン)は2018年1月15日、統合失調症前駆期の正確な診断、精神病発症予測をサポートするバイオマーカーを開発するため、国立精神・神経医療研究センター、富山大学、東邦大学、奈良県立医科大学、久留米大学、千葉大学と共同研究を行うと発表した。 ヤンセンファーマのプレスリリースによれば、統合失調症の発症予防、機能低下の予防は統合失調症の治療におけるアンメットメディカルニーズのひとつ。近年の研究により統合失調症患者では発症前に前駆期を示すことが明らかになり、そのような状態にある集団は超ハイリスク群(Ultra-high risk for psychosis:以下、UHR)とされているという。 UHR群への早期介入はこれらのメディカルニーズの解決に役立つと期待されているが、誰にどのような介入を行うべきかの判断は難しい。発症予測のバイオマーカー開発はUHRに対する早期介入の医科学的な妥当性の担保、統合失調症の新規治療法開発に重要であり、今後の統合失調症治療に大きく貢献できるものと期待されている。 統合失調症の有病率は約1%で、幻覚、妄想などの陽性症状、感情の平板化、意欲低下などの陰性症状、注意、記憶の障害などの認知機能障害を主徴とする。多くの患者に前駆期がある事が知られているが、UHR群を対象とした前向き研究では1~2.5年の間の精神病の発症率は8~54%とばらつきがあり、正確な発症予測をサポートするバイオマーカー開発は早期介入を行う上で重要である。 共同研究においては、バイオマーカー候補としてUHR群で異常が報告されている睡眠異常、サイトカインの測定を行い、健常者との違いを検討し、さらにUHR群では1年間の縦断的な測定を行い、精神症状の変動とバイオマーカーの変化の関連を検討することにより、UHR群における精神病発症予測に役立つバイオマーカーを確立することを目指す。研究期間は、2020年12月までの3年間を予定している。

21867.

軽~中等度アルツハイマー病に新薬idalopirdineは有効か/JAMA

 選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬idalopirdineは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能を改善しないことが、米国・California Pacific Medical CenterのAlireza Atri氏らが、idalopirdineの24週間投与の有効性を検証した3件の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(STARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT)の結果を報告した。アルツハイマー病は、高齢者での有病率が上昇し、治療費も増加していることから、新たな治療法が必要とされているが、今回の結果を受けて著者は、「アルツハイマー病の治療にidalopirdineを用いることは支持されない」とまとめている。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例でidalopirdine併用の有効性を評価 研究グループは2013年10月~2017年1月に、STARSHINE試験、STARBEAM試験およびSTARBRIGHT試験を行った。対象は、50歳以上の軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例(各試験参加者は933例[119施設]、858例[158施設]、734例[126施設])であった。 STARSHINE試験およびSTARBEAM試験ではドネペジル(商品名:アリセプトほか)、STARBRIGHT試験ではドネペジル、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)またはガランタミン(同レミニール)に、idalopirdine(10mg、30mg、60mg)またはプラセボを24週間併用投与した(最終追跡調査は2017年1月12日)。 主要エンドポイントは、11項目の認知機能評価スコア(Alzheimer's Disease Assessment Scale cognitive subscale[ADAS-cog]:0~70点の範囲で得点が低いほど障害は少ないことを示す)。キー副次エンドポイントは、全般的臨床症状評価(AD Cooperative Study-Clinical Global Impression of Change[ADCS-CGIC])の変化尺度と23項目評価の日常生活動作(ADCS-ADL:ADCS-Activities of Daily Living scale)のスコアであった。主要エンドポイントおよび1つ以上のキー副次エンドポイントについて、プラセボに対し有意差が認められた場合に、その投与群は有効であるとした。認知機能評価スコアの変化、idalopirdineとプラセボで有意差なし 2,525例(平均年齢74歳、ベースラインのADAS-Cogスコア平均26点、女性が62~65%)のうち、2,254例(89%)が試験を完遂した。 ADAS-Cogスコアの24週時におけるベースラインからの変化量は、STARSHINE試験でidalopirdine 60mg群0.37、同30mg群0.61に対し、プラセボ群0.41であった(プラセボ群との補正後平均差:60mg群0.05[95%信頼区間[CI]:-0.88~0.98]、30mg群0.33[95%CI:-0.59~1.26])。STARBEAM試験では、idalopirdine 30mg群1.01、同10mg群0.53に対し、プラセボ群0.56であった(対プラセボの補正後平均差:30mg群0.63[95%CI:-0.38~1.65])。STARBRIGHT試験では、idalopirdine 60mg群0.38に対し、プラセボ群0.82であった(補正後平均差:-0.55[95%CI:-1.45~0.36])。 治療下に発現した有害事象(TEAE)の発現率は、idalopirdine群で55.4%~69.7%、プラセボ群で56.7%~61.4%であった。

21868.

米国で乳がん死減少、寄与した因子は?/JAMA

 米国女性の乳がん死亡率は2000年から2012年にかけて減少しており、乳がんの分子サブタイプで異なるものの、その減少にはマンモグラフィ検診および術後補助療法の進歩が寄与していることが示された。米国・スタンフォード大学のSylvia K. Plevritis氏らが、シミュレーションモデル研究により明らかにした。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。6つのCISNETモデルで乳がん死亡率を推定、検診と治療の関連を評価 研究グループは、マンモグラフィ検診や補助療法の最近の進歩を考慮すると、分子サブタイプ別の米国乳がん死亡率に対するそれらの影響の定量化が、疾病負荷の減少につながる今後の指標になりうるとして、6つのCancer Intervention and Surveillance Network(CISNET)モデルにより、2000年から2012年の米国乳がん死亡率をシミュレーションした。シミュレーションでは、単純フィルムとデジタルマンモグラフィの様式と性能、ER/ERBB2特異的治療の普及と有効性、および非乳がん死亡率に関する全国データを用い、複数の米国出生コホートについて行った。 主要評価項目は、2000~12年における30~79歳女性の乳がん死亡率(年齢調整、全体およびER/ERBB2特異的死亡率)で、検診および治療がない場合の推定死亡率(ベースライン死亡率)と比較するとともに、検診および治療の死亡率低下に対する寄与を算出した。死亡率低下の3分の1に検診が寄与 2000年において、乳がんの全死亡率はベースライン死亡率(64例/10万人、モデル範囲:56~73例/10万人)と比較して、37%(モデル範囲:27~42%)低かった。その差のうち、検診の寄与率は44%(同35~60%)を占め、治療の寄与率は56%(40~65%)であった。 2012年では、ベースライン死亡率(63例/10万人、54~73例/10万人)と比較して、49%(39~58%)低かった。その差のうち、検診の寄与率は37%(26~51%)、治療の寄与率は63%(49~74%)であった。さらに治療の寄与率63%の内訳をみると、化学療法が31%(22~37%)、ホルモン療法が27%(18~36%)、トラスツズマブは4%(1~6%)であった。 検診と治療の推定相対寄与率を比較すると、乳がんの分子サブタイプごとに異なっており、ER陽性/ERBB2陰性例では検診36%(24~50%)vs.治療64%(50~76%)、ER陽性/ERBB2陽性例では31%(23~41%)vs.69%(59~77%)、ER陰性/ERBB2陽性では40%(34~47%)vs.60%(53~66%)、ER陰性/ERBB2陰性では48%(38~57%)vs.52%(44~62%)であった。 なお著者は、検診および治療の全死因死亡率等への影響は評価されていないことや、モデルが2012年までの推定に基づいていることなどを研究の限界として挙げている。

21869.

抗PD-L1抗体アテゾリズマブ、肺がんに国内承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク点滴静注1200mg)に関し2018年1月19日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺」を効能・効果として厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 アテゾリズマブは米国を含む50ヵ国以上で、化学療法治療歴がある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)ならびに白金製剤ベースの化学療法の治療歴のある、もしくはcisplatinベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮がんに対する承認を取得している。国内では、NSCLCを対象とした7つの臨床試験を実施し、テセントリク単剤または他の薬剤との併用による評価を行っている。また、非小細胞肺がんに加え、小細胞肺がん、尿路上皮がん、乳がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんを対象とした第III相臨床試験を実施している。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

21871.

ヘビに関する2つの話【Dr. 中島の 新・徒然草】(204)

二百四の段 ヘビに関する2つの話とかくこの世は予想通りに行かない、という話を2つ紹介いたします。ドネラ・H・メドウズという人による「世界はシステムで動く(英治出版)」という本にあったのはマングースの話。実際にはドネラさんが語ったというより、翻訳した枝廣淳子さんが訳者まえがきで述べておられたことです。奄美大島にはハブに咬まれる人がたくさんいて困っていました。そこで人々はマングースを島に連れてくればハブを退治してくれるはず、と考えたのです。ご存じのようにマングースはハブよりも強いとされています。とはいえ、マングースが喜んでハブと戦うはずがありません。「ハブとマングースの対決ショー」とかで1つのカゴに入れられ、殺すか殺されるかの状況になるから戦うわけです。そうでなければ双方とも命を賭ける気なんぞさらさらありません。ですから、奄美大島にやってきたマングースは危険を冒してハブと戦うよりも、もっぱら小動物を襲って食べました。その結果、天然記念物のアマミノクロウサギが絶滅の危機に瀕することになったそうです。後で考えると当然すぎることですが、マングースを導入する前には全く予想できなかったわけです。次はTEDで語られていた話。又聞きなのであまり正確ではないことを先に謝っておきます。その昔、インドでは猛毒をもつコブラに人間が咬まれる被害が頻発していました。そこで宗主国たるイギリスが考えたのが、コブラを捕まえて持ってきたらいくらかの金で買い取るというシステムです。ありあまるインド人を活用してコブラを根絶やしにしようという人海戦術。さすがイギリス人、頭いい!ところがインド人は1枚も2枚も上手でした。なんとコブラ牧場を作って、どんどんコブラを増やしては当局に持っていって換金したのです。たちまちコブラ買い取りシステムが崩壊したのは言うまでもありません。こうなることはちょっと考えれば分かりそうなものです。でも、システム導入前には想像すらつかなかったわけですね。後で見たら当然じゃないか、という「後知恵バイアス」は、英語で hindsight bias といいます。日本人には「後出しジャンケン」といえばもっと分かりやすいと思います。それにしてもヘビに関する2つの逸話。世の中の奥の深さを示す面白い話ですね。読者の皆さまも、何かの機会に披露するとウケるかもしれませんよ。最後に1句世の仕組み 謙虚に学べ 蛇の知恵

21873.

リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病

 抗うつ薬に反応しないうつ病を、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)という。TRDの定義には、治療反応、治療用量、治療期間の評価が含まれるが、これらの定義を医療保険データベースで実施することは困難である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、データ駆動型TRD定義を構築し、その性能を評価した。Depression and anxiety誌オンライン版2017年12月15日号の報告。 対象は、1剤以上の抗うつ薬を使用し、躁病および認知症または精神病の診断がない成人のうつ病患者で、TRDのプロキシ(電気けいれん療法、深部脳刺激療法、迷走神経刺激療法)の有無にかかわらず層別化した。ランダムに選択された来院日のデータがない対象者がいるため、TRDのプロキシを有する対象者のインデックス日は施術日とした。使用したデータベースは3つであった。決定木(decision tree)による予測モデルに合致させた。インデックス日より3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月前の、適切な治療用量および治療期間にかかわらない抗うつ薬の数、抗精神病薬および心理療法の数、専門家ベースの定義が含まれた。性能を評価するため、曲線下面積(AUC)および輸送性(transportability)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・TRDのプロキシがない3万3,336例と、TRDのプロキシがある3,566例を分析した。・抗うつ薬および抗精神病薬の数は、すべての期間において選択された。・最も優れたモデルは12ヵ月時点で、AUC=0.81であった。・このルールを適用すると、前の年に抗精神病薬1剤以上または抗うつ薬3剤以上を使用の成人うつ病患者がTRDであり、治療対象者の15.8%がTRDであった。 著者らは「TRDかどうかの最も良い区分の定義は、前の年での異なる抗うつ薬3剤以上または抗精神病薬1剤以上の使用とみなされる」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs. 抗精神病薬増強治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

21874.

医療者が壊れる前のファーストエイド

 医療事故に直面し傷ついた患者・遺族と医療者双方をケアし、支援していくシステムの普及を目指し設立された一般社団法人Heals(Healthcare Empowerment and Liaison Support)の設立シンポジウムが、2017年12月23日に都内において開催された。シンポジウムでは、医師、看護師をはじめとする医療従事者、弁護士など法曹関係者、患者団体など約170名が参加し、現状の問題点や今後の展望についてディスカッションが行われた。医療事故で傷ついた人々の橋渡しに はじめに同団体の代表理事の永尾 るみ子氏が、「Healsの理念」について講演を行った。講演では、乳幼児突然死症候群(SIDS)により自身が愛児を失い医療不信になったこと、その後看護師として医療の世界に身を置き感じた医療システムなどの不安定さについて語った。これらを踏まえ、医療事故後の患者と医療者の関係性について、傷を負った双方が心の問題を抱え込まず、ケアをすることができないかとHealsを考え、団体設立となったと説明した。 とくに医療事故の後、医療者の多くは自責の念や事故への対応や裁判への不安など非常に不安定な心理状態におかれているにも関わらず、周囲に相談できず、負の感情を抱えたまま職場を去ったり、心のバランスを崩したりする人がいると問題を浮き彫りにする。医療事故後には、「遺族、医療者の双方がケアされる環境づくりが大事だ」と同氏は指摘し、そのためには、「Healsを通じて患者・遺族への相談、医療者へのピアサポーター養成、遺族と医療者の対話のあり方について学ぶテキスト、さまざまな研修プログラムの開発などを行っていきたい」と展望を語った。事故医療者へ必要なファーストエイド 次に曽根 美穂氏(青山心理発達相談室・臨床心理士)が、「傷ついた医療者の心理とケア」をテーマに説明を行った。 医療事故は突然起こるものであり、事故が起きると患者・遺族も医療者も強いストレスを受け、心的外傷(トラウマ)を負う。そして、負ったトラウマは、心理面(自責の念、後悔の念など)、身体面(不眠、動悸など)、社会生活面(孤立化、過敏反応など)で影響を及ぼし、ケアされないと心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)を発症する。 PTSDを発症すると再体験(フラッシュバックやパニック状態)、回避・まひ(事故の現場へ行けない、周囲との付き合いを避けるなど)、過覚醒(常時緊張や不眠・悪夢)を起こし、社会生活が困難となるばかりか、専門的な治療が必要になる。そのため、トラウマの段階でのケアが重要であり、治療では秘密が守れる場所で、事故者本人が信頼できる人が、本人を孤立させず、気持ちに寄り添い、話を聞きその内容を言語化する必要がある。「トラウマの解消には言語化が必要であり、言語化されることで気持ちが整理され、本人にとって受け入れられる出来事になる」と同氏は説明し、「医療事故が起きた場合、医療機関は、傷ついた医療者のファーストエイドに、医療メディエーターを活用して欲しい」と説明を終えた。ファーストエイドを担うピアサポーターの役割 次に井上 真智子氏(浜松医科大学地域家庭医療学講座 特任教授)が「ピアサポートのしくみと過程」をテーマに、アメリカのピアサポートを例に解説した。 ピアサポートとは、心理的ファーストエイドとして同じ立場の人間が支援をし合う仕組みであり、アメリカでは、医療者をシステムエラーの第2の被害者として捉え、ピアサポートが医療者のバーンアウトを防ぐとされ、10数年前から行われている。 アメリカでは、2002年に医療事故の患者と医療者の交流・赦しを目的にNPO法人MITSS(Medically Induced Trauma Support Services )が設立され、サポートが開始された。 ピアサポートは、グループセッションと個人セッションの2形態があり、事故の発生後に最大48時間以内にサポートを実施するフローになっている。ピアサポーターの役割として、「本人の感情の正当化」「能力・適正に自信を持たせる」「専門的ケアの必要性の評価」などが挙げられ、その一方で「事故の原因究明」「患者への説明・謝罪の助言」「職務能力の評価」などは行わないとされている。また、サポーターは研修への参加、メールでの報告(内容は実施件数と状況のみ)、サポーターミーティングへの参加が求められている。これらはボランティアの形で行われ、ピアサポートの医療者のミスを責めない姿勢は、医療者を疲弊させない文化で院内を変えていくと説明されている。 医療者の心が傷ついたとき、回復には6段階プロセスがあるという。すなわち(1)混乱と反応→(2)侵入思考・振り返り→(3)自己一貫性の修復→(4)調査への対応→(5)感情への対応 →(6)切り替え・前進の順で本人は回復していき、(6)の「切り替え・前進」では、「職場の移動・退職」「事態をやり過ごして生き残り」「成長・洞察」の3パターンがある。早い段階からサポートすることで、その後のキャリアへの影響を防ぐことが大切という。 最後に井上氏は「医療の現場では、個人を責めない『公正な文化』に基づく、職場内での支援が必要」と語り、レクチャーを終えた。電話相談から始まるピアサポート 次に和田 仁孝氏(早稲田大学大学院法務研究科 教授)が、「Healsの果たすべき役割」について説明を行った。 医療事故で傷ついた当事者である患者・遺族と医療者に対して、電話相談か面接によるケアサポートを実施する。その導入として、現況のアセスメント、施設適合的なシステムの提案、関連部署管理者へのレクチャー、サポートシステム管理者の研修が行われる予定である。早い時期での実施を計画しているが、ボランティアベースによるものなので、開催は月1回からのペースになるという。 参考までにアメリカでは、医療事故以外の事由のサポートも行われ、個々の医療機関独自のやり方でよいとしている。ピアサポーターの75%が医師で、看護師も多く、宗教者もいる。 今後の展望としては、「医療機関だけでなく学会での普及も視野に入れるとともに、私見ながら『患者・医療者の対話カフェ』の実現やピアサポート導入パッケージの推進、サポーター養成の研修事業などを行っていきたい」と将来の発展を語った。患者・患者遺族、医療者の視点で医療事故後の対応を考える 後半のシンポジウムでは大磯 義一郎氏(浜松医科大学医療法学 教授)を司会に迎え、先ほどの講演者と会場とで活発な意見交換が行われた。 シンポジウムでは、患者視点として肉親を医療事故で失くし、自身も医療事故の被害者となった女性が事故後の対応の問題(一例として医療者からの情報不足など)を語った。これに対し近年では、医療者が患者に共感をもって接し、医療情報の提供、謝罪を行うように変化している現状が報告され、こうした案件に対してHealsには、両者が対立軸にならないように、患者・遺族、医療者の重大な心理的負担を受け止める役割が期待されると今後の働きを示した。 また、医療者の視点からは薬剤誤投与での患者死亡のケースが報告され、当時のサポートの状況と反省点などが語られた。事故には医師を含む複数の医療者が関係し、事故後に医療者には病院が主体となって弁護士相談やメンタルサポート、就業支援が行われた一方で、遺族との交渉状況は何ら医療当事者には知らされなかったという。また、医師の精神面でのフォローがなかったことから、精神状態が不安定な状況におかれた点は反省すべきであったと説明された。経過として、その後遺族側から医師と面談したいとの提案により面談が実現し、医師が謝罪し、遺族も医師に同情を示し、精神的な安定へとつながった。このケースを踏まえて「医療者が一番癒されるのは、患者や遺族からの『赦し』を受け取ることであり、そのためには双方が落ち着いて話せる安全なコミュニケーションの場が大切ではないかと考える。事故後、早い段階で医師に声をかけ、想いを語る機会をもつ必要があったと思う。情報を遮断して守るのではなく、医師のトラウマケアを意識した守り方が必要だったと考える」と提言を述べた。 同団体では、今後もホームページなどで情報発信を行っていくので、参照していただきたい。■参考一般社団法人Heals ホームぺージ

21875.

日本人のビタミンD摂取量と脳卒中死亡が逆相関

 ビタミンDの心血管の健康に及ぼす重要性に関する報告が増えている。今回、JACC研究(The Japan Collaborative Cohort Study)で日本人集団における食事でのビタミンD摂取量と脳卒中・冠動脈疾患死亡リスクの関連を調べたところ、ビタミンD摂取量が脳卒中死亡と逆相関することが示唆された。Stroke誌オンライン版2018年1月8日号に掲載。 本研究は、40~79歳の健康成人5万8,646人(男性2万3,099人、女性3万5,547人)を対象とした前向き研究で、追跡期間中央値は19.3年(1989~2009年)。食事によるビタミンD摂取量を自記式食物摂取頻度調査で評価した。ビタミンD摂取量で分類し、死亡のハザード比および95%信頼区間を計算した。 主な結果は以下のとおり。・96万5,970人年の追跡期間中、脳卒中による死亡は1,514例、冠動脈疾患による死亡は702例報告された。・ビタミンD摂取量は、脳卒中全体、とくに脳実質内出血による死亡リスクとの間に逆相関が示されたが、冠動脈疾患による死亡リスクとは示されなかった。・ビタミンD摂取量が最低のカテゴリー(110IU/日未満)に対する、最高のカテゴリー(440IU/日以上)の多変量ハザード比(95%信頼区間)は、脳卒中全体で0.70(0.54~0.91、傾向のp=0.04)、脳実質内出血では0.66(0.46~0.96、傾向のp=0.04)であった。

21876.

日本HBOCコンソーシアム学術総会開催

 2018年1月20日、21日に第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会が開催される。 今回の総会のテーマは「実戦!THE NEXT STEP HBOC診療」。まさにTHE NEXT STEPに入ったHBOC診療を日常診療とするための実践知識と技術・経験の獲得、および各施設での知恵の共有を目的としている。 学術総会では、本邦のHBOC診療の第一線で活躍する医療者が一堂に会し、HBOCのチーム医療、リスク低減手術、HBOCサーベイランス、HBOCが関わる前立腺がんになど、HBOCを取り巻くさまざまなテーマを取り上げる。 市民公開講座では、「話そう、シェアしよう」と題し、患者さん協力のもと、HBOC以外にも遺伝医療への理解を深めるため啓発活動も行う。 ケアネットでは、この第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会 会長である聖路加国際病院 山内英子氏に、今回の学術集会の内容について、HBOCを取り巻く現状も含め単独インタビューを行った。学術集会の内容もこちらから。第6回HBOCコンソーシアム学術総会 会長インタビュー第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会・会期 2018年1月20日(土)13:30~15:30 市民公開講座 2018年1月21日(日)9:00~17:00 学術総会・場所:聖路加国際大学アリスホール 〒104-0044 東京都中央区明石町10番1号

21877.

高リスク重度ASへのTAVR、MEV vs.SEV/JAMA

 症候性の重度大動脈弁狭窄症の高リスク患者への経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)において、機械的拡張型カテーテル心臓弁(MEV)は自己拡張型経カテーテル心臓弁(SEV)に対し、安全性や有効性について非劣性であることが示された。有効性や中等度以上の弁周囲漏出率については、MEVのSEVに対する優越性も示された。米国・エバンストン病院(ノースショア大学ヘルスケアシステム)のTed E.Feldman氏らが、北米や欧州など55ヵ所の医療機関と共同で行った無作為化比較試験「REPRISEIII」で明らかにしたもので、JAMA誌2018年1月2日号で発表した。超高リスク・高リスク患者912例を対象に試験 「REPRISEIII」試験では、2014年9月22日~2015年12月24日にかけて、北米、欧州、オーストラリアの55ヵ所の医療機関を通じて、症候性の重度大動脈弁狭窄症の超高リスク・高リスク患者912例を対象に試験を開始し、2017年3月8日まで追跡した。 同試験では、被験者を無作為に2群(2対1)に分け、一方にはMEVを(607例)、もう一方にはSEVを(305例)それぞれ使用してTAVRを行い、MEVのSEVに対する非劣性を検証した。 安全性に関する主要評価項目は、術後30日の全死因死亡、脳卒中、致死的出血または大出血、ステージ2または3の急性腎障害、主要血管合併症の複合アウトカムの発生で、非劣性マージンは10.5%とした。 有効性に関する主要評価項目は、術後1年の全死因死亡、機能障害を伴う脳卒中、中等度以上の弁周囲漏出の複合アウトカムの発生で、非劣性マージンは9.5%とした。術後1年中等度以上の弁周囲漏出率、SEV群6.8%に対しMEV群0.9% 被験者の平均年齢は82.8歳(SD 7.3)で、女性が51%を占め、1年時点の評価が可能だったのは874例(96%)だった。 安全性に関する術後30日複合アウトカムの発生率は、MEV群20.3%、SEV群17.2%で、MEVのSEVに対する非劣性が示された(群間差:3.1%、Farrington-Manning非劣性検定による97.5%信頼区間[CI]:-∞~8.3、非劣性p=0.003)。 有効性に関する術後1年複合アウトカムの発生率についても、MEV群15.4%、SEV群25.5%と、MEVのSEVに対する非劣性が示された(群間差:-10.1%、同97.5%CI:−∞~4.4、非劣性p<0.001)。 副次評価項目の術後1年の中等度以上の弁周囲漏出率については、MEV群0.9%に対しSEV群6.8%で、MEV群のSEV群に対する優越性が示された(群間差:-6.1%、95%CI:-9.6~-2.6、優越性p<0.001)。優越性分析では主要有効性に関しても、MEV群のSEV群に対する統計的有意差が示された(群間差:-10.2%、同:-16.3~-4.0、優越性p<0.001)。 なお、MEV群は新規のペースメーカー植え込み(permanent pacemaker implantation)率が高く(35.5% vs.19.6%、p<0.001)、弁血栓症の割合は高かったが(1.5% vs.0%)、再手術率は低かった(0.2% vs.2.0%)。また、TAV-in-TAV処置率(0% vs.3.7%)、弁位置異常率(0% vs.2.7%)も低率だった。

21878.

1型DMリスク乳児に加水分解粉ミルクの影響は?/JAMA

 遺伝的に1型糖尿病のリスクがある乳児に対し、離乳後にカゼイン完全加水分解粉ミルクを与えても、通常の粉ミルクを与えた場合と比べて1型糖尿病発症リスクは変わらないことが示された。フィンランド・ヘルシンキ大学のMikael Knip氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「TRIGR」の結果で、JAMA誌2018年1月2日号で発表された。これまでの研究で、複合的な食品含有タンパク質の早期曝露が、1型糖尿病のリスクを高める可能性が示されていたが、今回の結果を踏まえて著者は、「1型糖尿病リスクのある乳児に対する食事の推奨を、修正する必要性を支持する所見は示されなかった」とまとめている。粉ミルクを60日以上投与し1型糖尿病リスクを比較 研究グループは2002年5月~2007年1月にかけて、15ヵ国78ヵ所の試験参加センターを通じて、ヒト白血球型抗原(HLA)関連疾患への感受性が高く、第1度近親者に1型糖尿病患者がいる乳児2,159例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはカゼイン完全加水分解の粉ミルクを(1,081例)、もう一方には通常の粉ミルク(80%)と完全加水分解粉ミルク(20%)の混合を(1,078例)、それぞれ投与した。粉ミルク投与期間は、月齢6~8ヵ月までの60日以上とした。2017年2月末まで追跡を行った。 主要アウトカムは、WHO基準による1型糖尿病の診断。副次評価項目は、同診断時の年齢、安全性(有害事象)などだった。1型糖尿病発症リスクは両群とも約8% 被験者のうち、女児は47.3%(1,021例)で、試験を完了したのは80.8%(1,744例)だった。観察期間の中央値は11.5年(四分位数[Q]:10.2[1Q]~12.8[3Q])だった。 1型糖尿病の絶対発症リスクは、加水分解粉ミルク群が8.4%(91例)に対し、通常粉ミルク群は7.6%(82例)で、有意差はなかった(群間差:0.8%、95%信頼区間[CI]:-1.6~3.2)。HLAリスクグループや授乳期間、粉ミルク投与期間、性別、試験地で補正後、ハザード比は1.1(95%CI:0.8~1.5、p=0.46)だった。 1型糖尿病と診断された年齢の中央値についても、それぞれ6.0歳(3.1[1Q]~8.9[3Q])、5.8歳(同2.6~9.1)と、同等だった(差:0.2歳、95%CI:-0.9~1.2)。 最も多く発症した有害事象は上気道感染症で、発症頻度はそれぞれ0.48件/年、0.50件/年だった。

21879.

突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第8回

第8回 海外では前払いが主流!? 未払いにつながるトラブルを防ぐために2017年10月27日(金)、JIGH主催で「【外国人患者受入れ体制整備支援セミナー】訪日外国人4000万人時代の 医療機関に求められる新たな備えとは〜医療安全から訴訟・医療費未払い対策まで〜」と題したセミナーが開催され、医療機関の外国人患者受け入れ担当者と医療法学の専門家によるパネルディスカッションが行われました。外国人患者受け入れ体制を整備しなければならないが、一体何をどこまでやるべきか。体制整備をしないとどんなことが起こり得るのか。備えるべきリスクとはどのようなものなのか。医療機関の担当者からの疑問に医療法学の専門家が答える形で議論は進められました。ここでは、未払い問題についての議論を一部抜粋してご紹介します。パネラー浜松医科大学医学部 医療法学教授(医師・弁護士) 大磯 義一郎 氏群馬大学医学部附属病院 医事課 医療安全係 天田 麻里 氏国立国際医療研究センター 国際診療部 堀 成美 氏当日のパネルディスカッションと会場の様子JIGH:外国人患者さんに対して、事前に価格を提示せず、会計時に金額を知らせたところ「そんなの事前に聞いていない」と言われ、支払いを拒否されてしまうというケースにどう対応すべきかというご質問がきています。医療機関ではこういったケースが実際に起きているのでしょうか。堀:当院(国立国際医療研究センター)では今は事前に概算を提示しているため起きていないですが、以前はよく起きていたようです。JIGH:概算費用の事前提示を始めてから、未払いは減っているということですか。堀:難民の仮放免中で本当に支払い能力がないなどのケースもあり、完全に0にするのはなかなか難しいですが、医療機関としての努力で限りなく0に近づけることはできています。支払いの問題の多くは、患者さん側ではなく、医療機関側の努力不足にあり、きちんと対応すれば支払ってもらえます。海外では前払いが当たり前の国が多いですから、治療に緊急性のない場合は事前に、緊急性のある場合でもできるだけ早い段階で概算費用を提示して、支払いについて工面を開始してもらうことが重要です。とくに初期、患者さんがとにかく治して欲しいという気持ちを強く持っている間にお金の話をして、前納していただくのがとても有効ですね。回復してきて、後は退院するだけの段階になると、支払いに対する気持ちが下がってきてしまい渋られるケースもありますので、支払いの話はとにかく早い段階ではじめたほうが未払いは防げます。先にお金の話をするのは、日本の医療者からすると違和感があるかもしれません。でも世界的に見ると前払いは一般的ですし、そういう文化の国から来た患者さんからすると、お金の話を最初にすることに違和感はありません。逆にお金の話をまったくしないと「一体いくらかかるんだろう、支払えるだろうか。」と不安を感じる方が多いので、患者さんのためにも、できるだけ早めに支払いについての話を始めるほうが良いと思います。天田:当院(群馬大学医学部附属病院)の場合、まだまだ医療機関としての努力が不足していると感じています。先日、研修(注:JIGH主催の「外国人患者受入れ医療コーディネーター研修」のこと。堀成美さんが講師として登壇。)で堀さんの未収金対策の講義を受け、・写真付きの身分証明書の確認とコピーをとること・概算費用を早めにお伝えすること・家族など本人以外の人の力も借りて支払いをしてもらうことなど、未払い防止に重要なことを学びました。それを持ち帰って、入院費の算定係といろいろと話をしました。その後、旅行中に救急搬送された外国人患者さんがいたのですが、算定の担当者とソーシャルワーカーの連携で、一緒に旅行に来ていた家族に働きかけ、無事100%回収できたという事例ができました。そういった成功事例を積み重ねていくことが重要であると感じており、未払い防止のための体制整備を院内にさらに働きかけていきたいと思っています。大磯:事前の請求は法律的にも可能ですので、法律的な側面から確認しておきたいと思います。民法649条で「委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない」とあり、入院の際などに前払いをお願いすることは、民法649条に基づく請求になります。<本事例からの学び>訪日外国人患者さんの医療費の未払いは、医療機関の努力次第で限りなく0に近づけることができる。海外では前払いが一般的であることを理解し、お金の話を早期に始めることが、外国人患者さんの不安軽減にもつながる!※パネラーに岡村 世里奈氏(国際医療福祉大学大学院 医療経営管理分野/医療通訳・国際医療マネジメント分野 准教授)を加え、応召義務や体制整備について議論したセミナー全体のレポートをご希望の方は、下記申し込みフォームからお申し込みください(JIGH運営の外部サイトに移動します。リンク先のフォームはケアネットが運営するものではないことをご了承ください。入力いただいた情報の取扱い等に関するご要望・質問等については、当該フォームの運営者にお問い合わせください)。フォームはこちら

21880.

第6回HBOCコンソーシアム学術総会 会長インタビュー

第6回HBOCコンソーシアム学術総会が本年(2018年)1月20日~21日に開催される。今大会の開催への思いと見どころについて、会長である聖路加国際病院 副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長の山内 英子氏に聞いた。 今回の学術総会はHBOC(遺伝性乳卵巣症候群、Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome)診療について、多方面から取り上げています。私がアメリカに留学中の1994年、三木 義男先生(現:がん研究所遺伝子診断研究部部長)によるBRCA遺伝子発見のニュースを知り、「がんの原因遺伝子が発見された。これでがんが無くなるかもしれない」と大きな話題となりました。その後、BRCA2遺伝子も発見され、アメリカで臨床を始めた時期には、遺伝子検査が導入され始めていました。片側の乳がん患者さんでも、両側乳房全摘術を行っている場合があるのに、カルテに理由が書かれていない。疑問に思っていると、実は「BRCA遺伝子検査が陽性であったので予防的切除を受けた」という時代でした。その後、遺伝子検査の実施に関係なく、両側乳房全摘術を受けた患者さんすら見るようになりました。2009年に日本へ帰国後、中村 清吾先生(HBOCコンソーシアム理事長、現:昭和大学病院乳腺外科教授)と遺伝性腫瘍について、臨床と研究の両面で取り組みを継続しました。「日本ではHBOC患者は少ないのではないか?」という意見もまだ多かった時期でした。アメリカではすでに予防的切除も含めて選択できる時代でしたから、「女性が平等に選択肢を得られる」診療体制を整えることに注力しました。こうした中で2013年、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが将来の乳がんを予防するために両側切除術を受けたというニュースが、日本で大きな注目を集めました。色々なメディアで、予防的乳房・卵巣卵管切除術や遺伝子検査について取り上げられたのです。私は社会に正しい知識を広めることが必要と考え、同年8月には書籍を執筆しました。(「乳って遺伝するの?」主婦の友社刊)。1日目の市民公開講座には、「話そう、シェアしよう」というタイトルが付いています。この本には、HBOC患者さんの一人が当事者として、手記を寄せてくださいました。もちろん、患者さん自身も大変悩んでいらっしゃるのですが、葛藤を含めて客観的に表現していただきました。きっと彼女のストーリーを知り、勇気をもらう方も多いのではないでしょうか? 市民公開講座でも、ご本人からお話しいただける予定です。また、私がHBOCの最新知識について講演を行います。その後にGirl’s Talkとして、実際にBRCA遺伝子検査を受けて陰性であった方、検査を受けるべきか現在も悩んでいる方、未発症だけれども検査陽性で予防的切除を行った方に、登壇いただきます。それぞれ、ご自身の思いを率直に語っていただき、シェアしてもらうための市民公開講座です。2日目は、各科が連携して関わるべきHBOC診療を第一線の医師が議論する、意欲的なプログラムですね。かつて「日本人のHBOCは、アメリカ人ほど多くない」と言われていた時代から、知見も大きく変化し、エビデンスもたくさん出てきて、実臨床に入ってきています。このため、2日目はプラクティカルなHBOC診療を、幅広く取り上げることにしました。それを表すために「実戦!THE NEXT STEP」という大きなテーマを掲げています。シンポジウム1では、実践的に何ができるかを、チーム医療の観点で取り上げます。HBOC診療を日々行っていると、看護師や遺伝カウンセラーなどと素晴らしいチームを作ることが、非常に重要だと感じます。けれども多くの乳腺外科医にとって、遺伝カウンセラーと協力していくことは、これからの新しいチーム医療です。そこで、発表いただくチームはさまざまな規模の病院からの公募制にして、他のチームと実践的な内容を当日から共有できるように工夫しました。チーム同士が今後もお互いに繋がりを持てるよう、抄録集の構成も工夫しています。医療現場での課題や実践方法は、会場の聴講者にもアナライザーのアプリを使って質問します。「家族歴を誰が聴取しているのか?」といった具体的な方法も含めて、会場全体で本当の意味でのプラクティカルな実践をわかっていただく内容です。ランチョンセミナーでは、当事者の声としてHBOCの方に話していただく演題もあります。午後のプログラムでは、より実臨床に踏み込んだ発表が続きますね?シンポジウム2では、当科に対して全国の病院から寄せられるご質問、たとえば「リスク低減手術はどうしているのか?」「患者さんにどのように説明している?」「同意書はどういった内容か?」「手術手技のコツは?」などを、皆で共有できるようにしています。抄録集には、各病院でHBOC診療を担っている先生たちの、熱い意気込みも書かれています。シンポジウム3は、サーベイランスがテーマです。乳房MRIでのフォローや、他の遺伝性腫瘍についてもご発表いただきます。とくにリ・フラウメニ(Li-Fraumeni)症候群は、TP53遺伝子の変異のため、小児から全身どこにでも腫瘍が発症する可能性がある。こうした遺伝性腫瘍についても、HBOCだけでなく広く知っていただく必要があると思います。シンポジウム4では、HBOCの前立腺がんをテーマとしました。乳がんや卵巣がんから、女性の疾患とつい考えがちですが、HBOCは若い男性のアグレッシブな前立腺がんにも関わっています。泌尿器科と密に連携すべきステップまで、実は考えなければいけないのです。泌尿器科では前立腺がんの全員に家族歴を聞いていないかもしれないので、開業医を含めて知っていただく必要があります。膵がんも含めて、男性のがんにもHBOCが関わっているという認識を医師に広げていく必要があります。日常診療とHBOCは、実は深く関わっているわけですね?今回の学術総会は、HBOC診療に対してプラクティカルなものにしたいと願っています。実際、どの医師の目の前にも、HBOCで困っている患者さんが現れる可能性があります。遺伝性腫瘍の特徴は、その患者さんだけで治療は終わらないことです。たとえば、親族の男性がBRCA遺伝子検査陽性であれば、前立腺がんのサーベイランスを医師が考慮すべきなのです。これからのHBOC診療は今にも増して、「多診療科・チーム医療」でサポートしなければいけません。家族を含めてHBOCを診ていかなければいけないのです。日本でも、開業医が担うべきHBOC診療ということですね?そうです。アメリカではプライマリケアの先生が、患者さんの家族歴をすべて把握していて、遺伝子検査を積極的に勧めたり、その遺伝的背景に基づいて検診を組んでいくことが多いです。日本でも、開業医の先生方の協力なしに、遺伝性腫瘍を見つけ、がんの発症を防いでいくことは難しいと思います。これまでのような疾患ごとの治療ではなく、高齢化社会の中で、日本のプライマリケアの先生たちが「病気を発症しないように」大きな役割を果たしていくのです。むしろ、開業医こそ、積極的に関与していく。HBOCを含む遺伝性腫瘍をプライマリケアの中で発見していただき、私たちのような専門医へ紹介する舵取りを、広く担っていただくべきでしょう。発症予防を担い、1次予防すら遺伝子検査でできる時代です。もし、体調不良の患者さんの家族歴を聴取したときに、HBOCのような遺伝性腫瘍について知識があれば、専門医へ速やかに紹介することができます。日本には潜在的なHBOC患者さんがまだいるはずですから、リスク低減手術よりもさらに前に、本当の意味での発症予防を目指すべきです。今回の学術総会では、こうした多岐にわたるテーマを活発な議論によって掘り下げていきたいと考えています。第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会会期:2018年1月20日(土)13:30~15:30 市民公開講座2018年1月21日(日)9:00~17:00 学術総会場所:聖路加国際大学アリスホール〒104-0044 東京都中央区明石町10番1号学術総会ホームページ :http://hboc.jp/meeting/山内 英子氏の編著書実践! 遺伝性乳がん・卵巣がん診療ハンドブックメディカ出版乳がんって遺伝するの?主婦の友社マンガでわかる乳がん主婦の友社

検索結果 合計:35656件 表示位置:21861 - 21880