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抗血小板薬2剤併用、CABG後グラフト開存率を改善/JAMA

 チカグレロル+アスピリンによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、アスピリン単剤に比べ、冠動脈バイパス術(CABG)後1年時の伏在静脈グラフトの開存率を改善することが、中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のQiang Zhao氏らが行った多施設共同試験(DACAB試験)で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年4月24日号に掲載された。CABG後の伏在静脈グラフトの開存に及ぼす、アスピリン+P2Y12受容体拮抗薬によるDAPTの効果については、いくつかの小規模な短期的臨床試験で相反する結果が報告されているという。1年後のグラフト開存率を3群で比較 研究グループは、CABG後の伏在静脈グラフトの開存におけるチカグレロル+アスピリンおよびチカグレロル単剤の効果を、アスピリン単剤と比較する非盲検無作為化試験を実施した(AstraZeneca社の助成による)。 対象は、年齢18~80歳の待機的CABGの適応例であった。緊急血行再建術、他の心臓手術の併用、CABG後にDAPTまたはビタミンK拮抗薬を要する患者や、重篤な出血のリスクを有する患者は除外された。 被験者は、CABG後24時間以内にチカグレロル(90mg×2回/日)+アスピリン(100mg/日)、チカグレロル単剤(90mg×2回/日)、アスピリン単剤(100mg/日)を投与する群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、1年間の治療が行われた。 主要アウトカムは、1年後の伏在静脈グラフトの開存(FitzGibbon分類:GradeA[狭窄<50%])とし、割り付け情報を知らされていない審査委員会が独立に判定を行った。探索的な事後解析として、グラフト非閉塞(GradeA+B[狭窄≧50%])の評価も行った。開存の評価には、マルチスライスCT血管造影法または冠動脈血管造影法を用いた。 2014年7月~2015年11月の期間に、中国の6つの3次病院に500例が登録された。2剤併用群に168例、チカグレロル単剤群に166例、アスピリン単剤群には166例が割り付けられた。1年グラフト開存率:88.7%、82.8%、76.5% ベースラインの全体の平均年齢は63.6歳で、91例(18.2%)が女性であった。461例(92.2%)が試験を完遂した。 1年時のグラフト開存率は、併用群が88.7%(432/487グラフト)、チカグレロル単剤群が82.8%(404/488グラフト)、アスピリン単剤群は76.5%(371/485グラフト)であった。併用群とアスピリン単剤群の差は12.2%(95%信頼区間[CI]:5.2~19.2)であり、有意な差が認められた(p<0.001)のに対し、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群の差は6.3%(-1.1~13.7)と、有意差は認められなかった(p=0.10)。 7日時のグラフト開存率には、併用群とアスピリン単剤群(94.9 vs.91.1%、p=0.11)、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群(94.3 vs.91.1%、p=0.17)のいずれの比較においても、有意な差はみられなかった。 事後解析では、1年時のグラフト非閉塞率は、併用群がアスピリン単剤群に比べ高かった(89.9 vs.80.6%、p=0.006)が、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群(86.1 vs.80.6%、p=0.17)には差がなかった。また、7日時の非閉塞率は、併用群とアスピリン単剤群(95.3 vs.92.8%、p=0.26)、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群(95.7 vs.92.8%、p=0.16)のいずれの比較においても、有意な差はなかった。 主要有害心血管イベント(MACE:心血管死+非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中)は、併用群が3例(1.8%)、チカグレロル単剤群が4例(2.4%)、アスピリン単剤群は9例(5.4%)で発現し、大出血は併用群が3例(1.8%)、チカグレロル単剤群は2例(1.2%)に認められた。 著者は、「相対的な出血リスクの評価には、患者数を増やしたさらなる検討を要する」としている。

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全国の麻疹患者は累積で100例超に

 国立感染症研究所(NIID)の「IDWR感染症発生動向調査速報(2018年第17週:4月23日~4月29日)」(5月9日付)によると、第17週までの全国での麻疹の累積報告数は102例となり、引き続き増加傾向であることが明らかになった。NIIDはまた、5月11日の「IDWR感染症発生動向調査週報(2018年第16週:4月16日~4月22日)」にて、「帰国後の海外渡航者に対しては、2週間程度は麻疹発症の可能性も考慮して健康状態に注意することが重要である」と注意喚起している。 第17週の全国の麻疹発生状況は次のとおりである。・麻疹12例〔麻疹(検査診断例9例、臨床診断例0例)、修飾麻疹3例〕・感染地域:沖縄県4例、愛知県6例、東京都1例、埼玉県1例・累積報告数:102例〔麻疹(検査診断例58例、臨床診断例14例)、修飾麻疹30例〕■参考NIID国立感染症研究所:IDWR 感染症発生動向調査週報NIID国立感染症研究所:IDWR 感染症発生動向調査速報厚生労働省:感染症情報(麻しんについて)■関連記事全国の麻疹患者は累積で67例麻疹の流行、どう対応する

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統計のそこが知りたい!

大好評をいただいた「わかる統計教室」に引き続き、医学統計のわかりにくい部分を解説する新コーナーの登場です。このコーナーでは、医学論文を読むに当たって多くの人が疑問に思うこと、勘違いしやすいことを取り上げ、簡潔にわかりやすく解説していきます。最初にこのコーナーで理解し、さらに「わかる統計教室」で詳しく学習していただければ、さらに理解は進みます。統計解析の専門家、志賀 保夫氏(株式会社アイスタット)に解説いただきます。●くわしい統計の学習は わかる統計教室

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第1回 「標準偏差」と「標準誤差」の使い分けは【統計のそこが知りたい!】

第1回 「標準偏差」と「標準誤差」の使い分けは論文、図などでよく目にする標準偏差(standard deviation:SD)と、よく似た統計用語に標準誤差(standard error:SE)があります。今回は、両者をどのように使い分けているのかについて解説します。※本稿では、標準誤差と標準偏差とが類似しているので、混乱を避けるため本文では「標準誤差」を「標準誤差(SE)」あるいは「SE」と表します。■標準偏差の働きを考える標準偏差とは何かを考えてみましょう。ご存じのように、ある薬剤の効果に関する試験を行った結果、得られたデータの散らばりの程度を数値で示すことができれば、その値を比較することによって薬剤を評価することができます。その散らばりの程度を示す数値のことを「標準偏差(standard deviation:SD)」といいます。注意が必要なのは、標準偏差は平均値と比べて、「どれだけばらついているか?」「差が大きいか?」を求めた数値ですので、データの分布が偏っていて外れ値があり、平均値と中央値が大きく異なるような場合は、このデータの代表値として平均値を用いるのは適切ではありません。その結果、標準偏差も外れ値に対して強く影響を受け、大きな値になってしまいます。次に標準誤差(SE)について考えてみましょう。標準誤差(SE)とは、標準偏差(SD)を√nで割った値です。上の式からもわかるように、標準誤差(SE)は必ず標準偏差よりも小さくなります。■母集団を知るために必要な尺度は何か?標準誤差(SE)は必ず標準偏差よりも小さくなりますので、標準誤差(SE)を用いてグラフなどを作成したほうがデータのバラツキが少ないように見えるので見かけがよくなります。実際に、多くの医学論文などで標準誤差(SE)が使われていますが、決して見かけをよくするために標準誤差(SE)を用いているわけではありません。もう一度、前述の式をよく見てみましょう。標準偏差が大きいと、外れ値があったり、試験の結果として得られるデータのバラツキが大きいということです。したがって、標準偏差は小さいほうが良いわけです。では、サンプルサイズnの大小関係については、どう考えればよいでしょうか。母集団のことを知るためには、サンプルサイズnは大きいほうが良いですね。標準誤差(SE)の式を見てください。標準偏差、nがどのような場合、標準誤差(SE)は小さくなるでしょうか?標準偏差が小さく、nが大きいときに標準誤差(SE)が小さくなります。つまり、データの散らばり程度とサンプルサイズnの大きさを考慮して求められた標準誤差(SE)は、母集団のことを知るためのバロメーターとなるのです。ですから、標準誤差(SE)は重要だということです。■誤差について考える簡単な事例で具体的にみてみましょう。次の図「薬剤Aと薬剤Bの平均値棒グラフ」は、論文で見る機会が多いと思います。図 薬剤Aと薬剤Bの平均値棒グラフ薬剤A、Bそれぞれの平均値に示されているエラーバーを見てください。これが誤差(エラー)を表していることはおわかりだと思いますが、その意味は何でしょうか。エラーバー(error bar)は、データの誤差(エラー)の程度を表すためのもので、±標準偏差、±標準誤差(SE)、パーセンタイル(percentile)、95%信頼区間(confidence interval:CI)などが使い分けられています。この図はどちらも同じデータを表したもので誤りではありません。しかし、エラーバーの長さが(1)と(2)で違います。つまり、論文の図あるいは説明文には、エラーバーが何を表しているかを明確に記さなければなりません。では、今回のテーマに戻り、標準偏差と標準誤差(SE)の使い分けについて考えてみましょう。エラーバーに標準偏差を用いるのは、標準偏差はデータのバラツキそのものを示す指標ですから、純粋にデータのバラツキを示したい、あるいは比べたいというときは標準偏差を使うべきです。たとえば、対象者がどのような特徴を持っていたのかを記述するときです。±標準偏差はおおよそデータの2/3が含まれる範囲としてかまいません。±1.96×標準偏差であれば、データのおおよそ95%が含まれます。これらの目安は、データが正規分布に従うときはかなり正確ですが、そうでないときには用いることはできません。身近な例では、人間ドッグ受診後に渡される臨床検査値の正常範囲は、健常人の95%が含まれる区間となっていることはよく知られています。一方、標準誤差(SE)は母集団のことを知るためのバロメーターですので、母集団の平均の区間推定量となります。ですから、母平均の推定をしたい、あるいは比べたいというときは標準誤差(SE)を示せばよいのです。母平均ですから、多くの論文で標準誤差(SE)が用いられているのです。●標準偏差の算出方法(1)個々のデータから平均値を引く。求められた値を「偏差(deviation)」という。(2)個々の偏差を平方する。(「偏差×偏差」)。求められた値を「偏差平方(squared deviation)」という。(3)求められたn例の偏差平方を合計する。合計の値を「偏差平方和(sum of squared deviation)」という。(4)偏差平方和をn数(n例)で割る。求められた値を「分散(variance)」という。(5)分散のルートを計算する。求められた値を「標準偏差(SD)」という。●標準誤差(SE)の算出方法■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション1 母集団、n数、サンプル数、サンプルサイズとはセクション5 標準誤差(SE)とは第4回 ギモンを解決! 一問一答質問3 標準偏差と標準誤差の違いは何か?

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保険薬局は非営利法人にすべきか?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第1回 

最近、保険薬局が国民の保険料や税金を株主に還元することは問題であり、保険薬局は非営利法人に限定すべきとの主張を聞くことがあります。皆さん知ってのとおり、現在、薬局の多くは株式会社です。この指摘は、株式会社が保険薬局を運営していることに対してのものと考えてよいでしょう。よく、株式会社は誰のものかという議論がありますが、法的な「所有と経営の分離」という考えをもとにすれば、株式会社は株主のものと考えるのが一般的でしょう。だからと言って、株主が株式会社を全面的に自由にできるのではなく、取締役の選任ができたり、利益の分配が受けられたりするという意味です。だからこそ、株式会社は誰のものかという議論になるわけですが。株式会社と薬局法人の併存ならアリ?さて、今回は保険薬局が株主に、国民の保険料や税金を還元することについて指摘がありましたが、これは利益の配当が問題にされています。また、会社を清算した場合、残余財産分配の問題もあるかもしれません。ご存じのとおり、病院などを開設する医療法人は非営利とされ、配当は禁止されています。そのため、薬局も同様に非営利法人とすべきとの主張は以前からありました。取締役への報酬支払いであれば、働くことへの対価と見ることができますが、株主への配当に関して、保険料などが使われるのは適切ではないということなのかもしれません。これまでも、非営利で薬局を行う法人を薬局法人などと呼び話題になったことがありました。保険調剤だけに限るのであればそのような考えもわかりやすいですが、一般的な薬局では保険調剤と別に一般用医薬品の販売なども行っていますし、株式会社であるため、その他の事業を行っている場合も多くあります。薬局は、以前から小売りの一面があり、昨今言われる「健康サポート薬局」などの考えが進んでいけば、保険調剤だけでは完結しないでしょう。そう考えると、保険薬局を原則非営利として、医療事業などだけを行う医療法人のように、業務を限定するのは難しいかもしれません。そういう意味では、現在の保険薬局が保険調剤のみを行っているように見られているからこその指摘とも言えそうです。また、実際に、すでにこれだけ多くの株式会社が経営している保険薬局を、すべて非営利にするのはなかなか難しいように思いますし、思い切った規制をすると法的にも問題がありそうので、実現するのは容易ではありません。そのため、すぐに薬局法人などの議論が具体的に開始するとは思えませんが、既存の株式会社は据え置きと認めた上で、今後、法人の一形態として薬局法人なるものが認められる可能性はあるかもしれません。調剤報酬改定では、大手チェーン全体の収益を下げるような動きもあるようですが、営利がだめと言うなら、中小も大手も本来は関係がなく、全保険薬局の問題とも思えます。今後、どれだけ大きな議論になるかはわかりませんが、動きに注目しておいてもよいかもしれません。

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手術関連死、最も少ないのは50代女性外科医/BMJ

 手術の技能は、外科医が職歴を重ね、技術や経験を蓄積することで向上するが、手先の器用さの衰えや知識の旧態化により低下する可能性が指摘されている。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の津川 友介氏らは、メディケア受給者のデータを解析し、年長の外科医による治療を受けた患者は、若年外科医の治療を受けた患者に比べ死亡率が低く、外科医の性別で手術関連死に差はないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2018年4月25日号に掲載された。年長の外科医と若い外科医の技能の優劣については相反するエビデンスがあり、最近のカナダの1州で実施された研究では、女性外科医は男性外科医に比べ手術関連死が少ないことが示唆されているという。4万5,826人の外科医の手術を受けた89万2,187例を解析 研究グループは、外科医の年齢別、男女別の患者死亡率の評価を目的とする観察研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 2011~14年に、米国の救急病院で20種の非待機的大手術(major non-elective surgeries)のうち1つを受けた、65~99歳のすべての出来高方式メディケア受給者を対象とした。 主要アウトカムは手術関連の患者死亡率とした。手術関連死は、患者と外科医の背景因子および病院の指標変数で調整した、入院中または手術後30日以内の死亡と定義した。 4万5,826人の外科医(平均年齢:50.5歳、男性:4万1,192人[89.9%]、女性:4,634人[10.1%])による治療を受けた89万2,187例が解析に含まれた。患者死亡率は、50代の女性外科医が最も低い 全体の手術関連の患者死亡率は6.4%(5万6,803/89万2,187)であった。外科医の年齢別の調整済み患者死亡率は、40歳未満が6.6%(95%信頼区間[CI]:6.5~6.7%)、40~49歳が6.5%(6.4~6.6%)、50~59歳が6.4%(6.3~6.5%)、60歳以上は6.3%(6.2~6.5%)であり、年齢が高いほど死亡率が低かった(傾向のp=0.001)。 一方、女性外科医と男性外科医で、手術関連の患者死亡率に有意な差は認めなかった(補正死亡率:6.3 vs.6.5%、補正オッズ比:0.97、95%CI:0.93~1.01、p=0.14)。また、外科医の性別で層別化すると、患者死亡率は男女とも、60歳以上の女性を除き外科医の年齢が上がるほど低下し、手術関連死亡率が最も低いのは50代の女性外科医だった。 疾患の重症度別の補正手術関連死亡率は、高リスク例では外科医の年齢が高いほど低かった(p=0.01)が、中等度リスク例および低リスク例では有意な差はみられなかった。また、男女間に、重症度別の死亡率の差は認めなかった。 さらに、手術件数が多い外科医では、年齢が高いほうが手術関連死亡率は低かったが、手術件数が少ないまたは中程度の外科医では、年齢と死亡率に関連を認めなかった。 著者は、「若年外科医のほうが死亡率が高いという知見からは、外科医の研修終了後の職歴の早期における監視、監督の強化が有用と考えられ、さらなる実証的研究が求められる。また、アウトカムは男女の外科医で同等であることから、手術を受ける患者は外科医の性別にかかわらず、質の高いケアを受けていることが示唆される」としている。

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下腿潰瘍、表在静脈逆流への早期焼灼術で迅速な治癒/NEJM

 静脈疾患は、下腿の潰瘍形成の最も一般的な原因である。英国・ケンブリッジ大学病院のManjit S. Gohel氏らは、表在静脈逆流への早期の静脈内焼灼術は待機的な静脈内焼灼術に比べ、静脈性下腿潰瘍の治癒を迅速化し、潰瘍のない期間を延長することを示した(EVRA試験)。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年4月24日号に掲載された。圧迫療法は、静脈性潰瘍の治癒を改善するものの、静脈高血圧の根本原因を治療するものではない。表在静脈逆流の治療は潰瘍の再発率を低下させるが、表在静脈逆流への早期静脈内焼灼術が、潰瘍の治癒に及ぼす効果は明らかにされていない。早期静脈内治療の役割を評価 EVRA試験は、静脈性下腿潰瘍患者への圧迫療法の補助療法としての、表在静脈逆流への早期静脈内治療の役割を評価する多施設共同無作為化対照比較試験である(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 2013年10月~2016年9月の期間に、英国の20施設に450例の静脈性下腿潰瘍患者が登録された。参加者は、圧迫療法を受け、無作為割り付け後2週間以内に表在静脈逆流への早期静脈内焼灼術を受ける群(早期介入群:224例)、または圧迫療法を受け、潰瘍が治癒後あるいは治癒しない場合は無作為化割り付け後6ヵ月時に、待機的に静脈内焼灼術を考慮する群(待機的介入群:226例)に割り付けられた。 主要アウトカムは、潰瘍が治癒するまでの期間とした。副次アウトカムは、24週時の潰瘍治癒率、1年時の潰瘍再発率および潰瘍がない期間の長さ(無潰瘍期間)、患者報告による健康関連QOLであった。潰瘍治癒までの期間:56日 vs.82日、無潰瘍期間:306日 vs.278日 ベースラインの平均年齢は、早期介入群が67.0±15.5歳、待機的介入群は68.9±14.0歳で、女性はそれぞれ43.3%、46.9%であった。静脈性下腿潰瘍の治癒に影響を及ぼすと考えられる潰瘍の持続期間や大きさ、深部静脈血栓症の既往歴は両群でほぼ同様だった。 早期介入群は、待機的介入群に比べ潰瘍治癒までの期間が短く、潰瘍治癒を達成した患者が多かった(潰瘍治癒のハザード比[HR]:1.38、95%信頼区間[CI]:1.13~1.68、p=0.001)。潰瘍治癒までの期間中央値は、早期介入群が56日(95%CI:49~66)、待機的介入群は82日(69~92)だった。 24週時の潰瘍治癒率は、早期介入群が85.6%、待機的介入群は76.3%であった。事後解析における12週時の潰瘍治癒率は、それぞれ63.5%、51.6%であった。また、全体の1年以内の潰瘍治癒率は89.7%(404/450例)で、早期介入群は93.8%(210/224例)、待機的介入群は85.8%(194/226例)であり、群間差は8.0ポイント(95%CI:2.3~13.5)だった。 1年以内に潰瘍治癒を達成した404例のうち、フォローアップ期間終了前に再発した患者の割合は、早期介入群が11.4%(24/210例)、待機的介入群は16.5%(32/194例)であった(再発率の群間差:0.08イベント/人年、95%CI:-0.02~0.18)。また、1年時の無潰瘍期間中央値は、306日(IQR:240~328)、278日(175~324)だった(p=0.002)。 疾患特異的QOLを評価するAberdeen Varicose Vein Questionnaireのスコアでは、明確な差はないものの、全般に早期介入群で低く、良好な傾向がみられた。EQ-5D-5Lにも、明らかな差は認めなかった。また、静脈内焼灼術の手技に関連する最も頻度の高い合併症は、疼痛および深部静脈血栓症であった。 著者は、「静脈内治療を早期に行えば、潰瘍がより迅速に治癒することが示された」とまとめ、「このベネフィットは、質の高い圧迫療法の有無にかかわらず観察され、これは両群とも治癒率が良好であったことの説明となる可能性がある。また、有効性が高い圧迫療法は無作為化試験以外では一般的ではないと考えられ、リアルワールドでは治癒までにもっと長い期間を要する。したがって、早期静脈内治療による潰瘍治癒の改善効果は、実臨床のほうが本試験よりも高い可能性がある」と考察を加えている。

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オランザピンおよびリスペリドンの体重増加に関するメタ解析

 体重増加が抗精神病薬の投与と関連していることは、メタ解析と同様に、単一研究から報告された多くのデータにより示されている。しかし、抗精神病薬誘発性の体重増加に、潜在的な性差が認められるかについては、検討されていない。スイス・ベルン大学精神医学病院のG. Schoretsanitis氏らは、女性患者の場合、有害な薬物反応に対する感受性が高いため、男性と比較し、体重が増加しやすいのではないかとの仮説について検討を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年3月30日号の報告。 抗精神病薬による臨床試験の中で、体重変化について男女別に報告している研究を対象に、メタ解析を実施した。抗精神病薬の使用期間により、6週間未満、6~16週間、16~38週間、38週超の4つのカテゴリに分類した。男女別にフォレストプロットを作成し、抗精神病薬の使用期間で層別化を行った。性差は、メタ回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・本検討の分析には、26件の研究より、オランザピン、リスペリドン、未治療群の利用可能なデータを使用した。・オランザピンあるいはリスペリドンへの切り替えまたは使用開始の後に、男女とも著しい体重増加を来したが、メタ回帰分析においては性差が認められなかった。 著者らは「抗精神病薬誘発性の体重増加における性差に関して、現在のメタ解析では、性別の特異的なパターンの検出が妨げられている。慢性期患者に対する、短期または中期的な治療でのオランザピンまたはリスペリドンへの切り替えでは、男女ともに体重増加が認められたが、有意な性差は報告されなかった」としている。■関連記事オランザピン誘発性体重増加のメカニズム抗精神病薬の体重増加リスクランキング非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か

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難治アトピー、10年ぶりの新薬に期待

 2018年5月8日、サノフィ株式会社は、アトピー性皮膚炎(AD)に関するメディアセミナーを都内で開催した。本セミナーでは、「アトピー性皮膚炎初の生物学的製剤『デュピクセント(一般名:デュピルマブ)』治験のご報告~深刻な“Disease Burden”(疾病負荷)からの解放をめざして~」をテーマに、AD患者の経験談、新薬が拓くAD改善の可能性、治療の展望などが語られた。重症AD患者の日常生活を取り戻す可能性 田中 暁生氏(広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 皮膚科学 准教授)が、AD標準治療とその課題、デュピルマブの投与症例などについて説明した。 ADは、皮膚バリア破壊、免疫・アレルギー異常、かゆみの3病態が互いに連動しているが、保湿剤、ステロイド外用薬、免疫抑制薬、内服抗ヒスタミン薬を適切に使用することで、重症を含めたほとんどの患者は、寛解状態(湿疹のない状態)を得ることが可能であるという。しかし、これらの治療は、毎日広範囲に外用薬を塗布するなど負担が大きいため、間違った使い方や誤解により効果が得られない例が存在する点を田中氏は指摘した。 デュピルマブは、ADの代表的な3つの病態すべてに作用し、症状を改善する可能性がある。治験を担当した同氏は、「デュピルマブにより疾患がコントロールされ、患者さんが今まで制限されていた日常生活を取り戻す症例を経験した。新たな治療選択肢の登場が、AD治療の歴史を変える転換点になることを期待する」と語った。ガイドラインを順守し、デュピルマブの適切な使用を 次に、佐伯 秀久氏(日本医科大学大学院 皮膚粘膜病態学 教授)が、デュピルマブの治験成績を説明し、AD治療における今後の期待などを述べた。 ADの評価尺度として、臨床徴候をスコア化したEASIが国際的に用いられている。国際共同第III相試験は、中等~重症の成人AD患者を対象に行われ、ステロイド外用薬(ストロング)との併用で、治療期間52週における、デュピルマブの有効性と安全性が検討された。その結果、16週時点でEASIスコアは平均80.1%低下し、その後52週まで維持された。副作用は注射部位反応、頭痛、アレルギー性結膜炎などが発現したが、重篤な有害事象は対照群と比較して、発生件数に大きな差は認められなかった(デュビルマブ群14例、対照群16例)。 デュピルマブは、2018年4月、最適使用推進ガイドラインが厚生労働省より策定され、投与対象の条件について具体的に定められている。佐伯氏は、「ADはまず標準治療をしっかり行うことが重要。デュピルマブは、重症難治例や、副作用などにより既存の薬剤を使用できない例などの、アンメットニーズを満たす薬剤として期待できる」と語った。 最後に両医師が、ADの病態は、良好な状態が長期間続くほど、その後の経過も良い傾向にあると示した。「適切な治療により症状が大きく改善され、維持できたら、徐々に薬を減らしたり、間隔を広げたりできる可能性は十分に見込めるので、AD患者は積極的に目的意識を持つことが重要」だと締めた。疾病負荷は良質なコミュニケーションで改善の可能性 ADは、増悪・寛解を繰り返す慢性疾患である。患者数の増加が続いており、2014年の総患者数は推計45万6,000人、その2~3割が中等症以上といわれている。2017年にサノフィ株式会社が行った意識調査によると、ADによる生活の質への影響は85.7%、精神面への影響は79.3%の患者が感じており、患者の疾病負荷への理解や認識は、症状改善のための大事なファクターと考えられる。 現在、治療はガイドラインに基づいて行われているが、医師とのコミュニケーションが不足しているほど、症状の改善・寛解の割合は低いままだったという。医師はこの現状を把握し、身体症状以外の負荷についてヒアリングを行うなど、患者の気持ちに寄り添ったコミュニケーションを心掛けていくことが求められる。 ADの新薬は、ここ10年間登場していなかった。デュピルマブは、従来とはまったく異なる作用機序を持つため、既存治療で効果不十分な中等~重症患者に、待ち望まれた新薬と言える。なお、同薬は現在、コントロール不良の気管支喘息に対する適応の追加を申請中。■参考サノフィ株式会社 プレスリリース認定NPO法人 日本アレルギー友の会■関連記事アトピー性皮膚炎に初の抗体医薬品発売

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アンパンマン【その顔はおっぱい?】

今回のキーワード乳幼児発達心理学「乳児脳」進化心理学子育て心理無条件の愛情協力関係想像力脱中心化みなさんは、「アンパンマン」をご存じでしょうか?顔があんパンでできた、子どもたちの人気ヒーローですね。特に、3歳児までに絶大な人気があります。それにしても、なぜ人気があるのでしょうか?そして、4歳児からなぜ人気がなくなるのでしょうか?そもそもなぜ自分の顔を食べさせるヒーローが子どもに受け入れられるのでしょうか?今回は、「アンパンマン」の人気の謎に迫ります。そして、そこから乳幼児の心の成長を発達心理学的に読み解き、心の起源を進化心理学的に掘り下げ、より良い子育てのやり方とあり方についての子育て心理に応用してみましょう。なぜ3歳児までに人気があるの?―「乳児脳」まず、アンパンマンはなぜ人気があるのでしょうか?それは、3歳までにすさまじいスピードで発達する「乳児脳」とも呼ばれる独特の心理と深い関係があります。その答えを3つ挙げ、乳幼児発達心理学、進化心理学、そして子育て心理に重ねてみましょう。(1)捨て身で守ってくれる―無条件の愛情のシンボルアンパンマンは、お腹のすいた人(子ども)のもとに降り立ち、自分の顔をちぎって、喜んで食べさせます。そして、顔の一部がなくなると、力がなくなり飛べなくなります。すると、ジャムおじさんができたての新しい顔に取り替えてくれます。ちなみに、アンパンマン自身はものを食べることはありません。1つ目は、捨て身で守ってくれることです。困っている人には、必ず、無条件に、自己犠牲的に助けてくれる存在であることです。それを、視覚的に分かりやすく描いています。そして、アンパンマン自身は食べないという設定から、困っている人には気兼ねさせずに一貫して食べさせる存在になれます。また、アンパンマンの顔は、ジャムおじさんによって新しく作られるため、なくならないという安心感もあります。発達心理学的に見ると、乳児は、泣けば必ず母親から授乳してもらえると認識しています。まさに、象徴的には、アンパンマンの顔はおっぱいと言えるでしょう。乳児がおっぱいを吸うと、オキシトシンというホルモンが母親の脳内で分泌され、お乳が出やすくなります。この時、同時に母親は自分の子どもを大切にしたいという気持ちが連動して高まります(愛情)。一方、乳児は、抱っこ、愛撫などによる肌の触れ合いがあると、乳児の脳内でも同じようにオキシトシンが分泌されることが分かっています。この時、同時に乳児はその母親にくっついていたいと思う気持ちが連動して高まります(愛着形成)。そのため、泣くだけでなく、機嫌が良い時は鼻にかかったような柔らかな音を出したり(クーイング)、笑顔を見せるようになります(社会的微笑)。つまり、親の愛情と子どもの愛着は相互作用をして高まります(共発達)。そして、これらの高まりは、オキシトシンの分泌や受容体の増加と密接な関係があります。よって、オキシトシンは、「愛情ホルモン」「愛着ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれています。さらに、乳児にとって、母親をはじめとして父親や祖父母なども含めた家族は、自分を無条件に大切にしてくれる安心で安全な心のよりどころであると認識していきます(愛着対象)。これが土台となり、成長するにつれて家族だけではなく他人とのかかわりも求めるようになっていきます。進化心理学的に見ると、哺乳類が約2億年前に誕生してから、その母親は子どもを哺乳する、つまり乳を与えて育てるというメカニズムを進化させました。これは、自分の栄養を与えるという自己犠牲の上に成り立っています。飽食の現代では想像しにくいですが、常に飢餓と隣り合わせの原始の時代、それでも母親は命がけで自分の栄養を子どもに分け与えて、子孫を残してきました。人類が700万年前に誕生してから、もちろん父親も、猛獣から体を張って子どもを守り、子孫を残してきました。当時から、そうしたいと思う母親や父親の心理と、そうされたいと思う乳児の心理(愛着)が共に進化していったのでしょう(共進化)。ちなみに、比較動物学的には、サルなどの類人猿も、もちろん哺乳類で愛着形成があります。ただし、サルと人間の違いは、サルの乳児はあまり泣かないことです。その理由は、サルの乳児は生まれてすぐに母親の胸に自力でしがみつくことができるため、いつでも哺乳ができて、しかも天敵が来てもそのままいっしょに逃げることができるため、親の関心を引く必要がそれほどないからです。そもそも泣けば、それだけ天敵に気付かれるリスクを上げるため、泣くことはデメリットでもあります。一方、人間の乳児は、頭部を大きく進化させた代償として、母親の産道を通過するために、サルと比べて未熟児で生まれるように進化しました(生理的早産)。よって、生まれてしばらくは寝たままの状態になるため、親の関心をできるだけ引いて、天敵に見つかるリスクを上回って、生存の確率を高めたのでした。子育て心理に応用すると、いつもあなたは大切であると言語的にも非言語的にも伝え続けることです。例えば、イヤイヤ期(第一次反抗期)になって、腹が立って叱ったとしても、その後すぐに切り替えて、「それでも○○ちゃんは大好きよ」と優しく明るく抱きしめることです。アンパンマンもどんな時も守ってくれる味方であるという無条件の愛情のシンボルです。だからこそ子どもに受け入れやすいと言えるでしょう。(2)みんなと仲良くする―協力関係のモデルアンパンマンは、敵役のばいきんまんと永遠に戦っています。しかし、アンパンマンは、ばいきんまんを憎んでいません。みんなに迷惑をかけていることに厳しいだけで、むしろ仲良くしたいと思っています。よって、ばいきんまんを完全にやっつけるわけではなくただ追い払っているだけで、最後はいつも、ばいきんまんが「バイバイキーン」と捨て台詞を言って、家(バイキン城)に逃げ帰っています。ばいきんまん自身のキャラクターも、欲張りで食い意地が張っていたずら好きですが、単純で間抜けな愛すべきキャラクターです。2つ目は、みんなと仲良くすることです。アンパンマンワールドは1つの大きなファミリーです。たとえ困ったキャラクターがいても、仲間の一員とみなし、平和的に共存しています。発達心理学的に見ると、親が、あやしている時に、乳児の気持ちを共感的に汲み取って声かけや表情で鏡のように映し出します(ミラーリング)。すると、その乳児は親の動きのインプットと自分の動きのアウトプットを同じ脳のネットワークで処理するメカニズムを働かせるようになります(ミラーニューロン)。つまり、親が乳児の鏡(ミラー)になるのと相互作用して、乳児が親の意図と動作を同じくする「鏡の神経」(ミラーニューロン)を発達させていきます。こうして、乳児は、親のまねをするようになります(模倣)。その後、幼児になって保育園や公園などで、他の幼児といっしょになり、場所やおもちゃを取り合うなどのぶつかり合いやいざこざが起きます。この時、親などの周りの働きかけによって、最初は単純に抵抗するだけだったのが、やがて順番で共有すること、分け合うこと、じゃんけんをすることなどによって、仲良くすることができるようになります(社会性)。そして、自己主張と自己抑制のバランスをとるセルフコントロールを発達させていきます。これが土台となり、成長するにつれて、より高度で複雑化したコミュニケーションをするようになっていきます。進化心理学的に見ると、人類が約700万年前にアフリカの森に誕生し、約300~400万年前に草原(サバンナ)に出てから、母親と父親と子どもたちがいっしょに暮らす家族をつくりました。しかし、草原だからこそさらに猛獣に狙われたり、食料が獲れないという自然の脅威がありました。それでも、生き残るために、より大きな血縁集団をつくって、競い合いながらも助け合う中、相手の心を読む、つまり相手の視点に立つ心理を進化させてきました(心の理論)。ちなみに、比較動物学的には、サルなどの類人猿も、ミラーニューロンがあり、まねをします。ただし、サルと人間の違いは、サルは意図までは「まね」できない、つまり意図は理解できないことです。その理由は、サルのミラーニューロンの働きは、他のサルの次の動きを予測して素早く対応できれば良いだけで、意図まで理解する必要がないからです。子育て心理に応用すると、同じ幼児同士がいっしょになった時、たとえ相手がばいきんまんに見えたとしても、最初は「いいよ」「どうぞ」というアクションや「ありがとう」「うれしい」というリアクションをするように働きかけることです。このような、譲り合いや、あげる・もらう(ギブ&テイク)というやりとりの積み重ねを通して、時には距離を取りつつ、粘り強く仲良くなろうとすることです。アンパンマンは誰とでも仲良くするという協力関係のモデルです。だからこそ子どもに受け入れやすいと言えるでしょう。(3)様々な心を教えてくれる―想像力のツールアンパンマンワールドには、アンパンマン、ジャムおじさん、ばいきんまん、ドキンちゃんなどのメインキャラクターだけでなく、2000を超えるユニークなサブキャラクターたちがいます。その数は、「最も多いキャラクターが登場した単独のアニメーション・シリーズ」としてギネスブックに認定されるほどです。また、ばいきんまんだけでなく、かびるんるん、骸骨親子のホラーマンとホラ・ホラコなど、目に見えないものまでキャラクターにしています。さらに、ジャムおじさんとバタコさんは唯一の人間かと思いきや、人間の姿をした妖精という設定で、なるべく人間のリアリティを排除したファンタジーに仕上がっています。さらに、ばいきんまんが好きなドキンちゃんはしょくぱんまんが好きであるという三角関係や、みんなの前で威張っているばいきんまんがみみ先生(教師)の前ではかしこまるなどの上下関係が描かれるなど、いろいろなキャラクター同士の関係性も描かれています。3つ目は、様々なキャラクター(心)を教えてくれることです。それぞれのキャラクターの際立ったビジュアルから、性格や役割の違いを理解して、そのキャラクターらしさ(その人らしさ)を受け止めやすくなります。発達心理学的に見ると、乳児は、親の共感的なミラーリングによって、共感するミラーニューロンも発達させていきます。そして、自分の気持ちの変化を認識できるようになります。その後、幼児になって、徐々に家族や他の様々なお友達の気持ちの変化も察して、心を通わせようとするようになります(共感性)。この時、身の周りには、人だけでなく、自然物から人工物まで様々な物があることにも気付くようになります。その過程で、自分をはじめとする人に心があるように、万物にも心があると認識します(自己中心性)。これが土台となり、成長するにつれて、相手の気持ちを推し量ったり(心の理論)、思いやりを持つようになっていきます(愛他行動)。進化心理学的に見ると、現生人類が約10~20万年前に喉の構造を進化させてから、複雑な発声ができるようになり、言葉を話すようになりました。そして、言葉によって抽象的に考えることができるようになり、相手の視点に立つ心理は、人間だけでなく、自然や動物などあらゆるものに向けられ、それらとも協力関係を築こうとしました(アニミズム文化)。ちなみに、比較動物学的には、サルなどの類人猿も、共感します。ただし、サルと人間の違いは、サルの共感は痛み、恐れ、怒りなどの不快な感情に限定されていることです。その理由は、サルの共感は、他のサルの不快さを素早く感じ取って自分の身に降りかかるかもしれない危険を事前に避けることができれば良いだけで、喜びや安らぎなどの快の感情まで共感する必要がないからです。子育て心理に応用すると、相手の心、さらには人だけでなく身の回りの物の心も考えさせることです。例えば、子どもがいっしょにいる同じ幼児を押しのけた時、「押すのはだめ」とただ厳しく叱るよりも、「お友達は痛いって言ってるよ」と情緒的に伝えることです。また、食事の時にスプーンでお皿を叩いている時、「叩くと壊れるからだめ」と理屈で叱るよりも、「スプーンでお皿を叩くの、ママは嫌だよ」「スプーンとお皿が痛いって言ってない?」とやはり情緒的に伝える方が受け入れやすいでしょう。アンパンマンワールドのキャラクターたちは、様々な人や物の心に思いを馳せるという想像力のツールです。だからこそ子どもに受け入れやすいと言えるでしょう。なぜ4歳児から人気がなくなるの?―脱中心化それでは、アンパンマンはなぜ4歳児から人気がなくなるのでしょうか? その答えは、発達心理学的に考えれば、特に3~4歳時以降に発達する「なぜ?」という理屈を考える心理です。この時、表面的で主観的な物の見方から(自己中心性)、体系的で客観的なものの見方に変わっていきます(脱中心化)。進化心理学的に考えれば、現生人類が約10~20万年前に言葉を話すようになってから、抽象的に考える概念化の心理(脳)が進化しました。そして、概念化によって、原因と結果をつなぐ論理的思考が可能になり、ものごとの理屈が合うかを判断する心理が強まりました(合理性)。さらに、脳の重さで考えると、小学校1年生(6~7歳)で成人の脳の90%に達することが分かっています。まさに、乳幼児の脳の発達は、人類の心(脳)の進化の歴史を辿っているとも言えます。すると、先ほどの3つのアンパンマンの特徴は、4歳以降の子どもにどう映るでしょうか?(1)自分の顔をちぎってなぜ痛くないの?1つ目は、このような身体のメカニズムを考えることです。顔をちぎったり取り替えたりすることについて、3歳までは無邪気に面白がるのですが、4歳以降はその重大さや残酷さが少しずつ分かるようになります。これが、自分の顔を食べさせるヒーローが、3歳までの子どもにしか受け入れられない理由です。実際に、初代アンパンマンの絵本は、出版社から次作を止められるほど大人には不評でした。ところが、幼稚園や保育園から注文が殺到します。その子どもたちから一番ウケたのは「アンパンマンが頭をかじらせるところ」だったのでした。その後のアニメ化で、「かじらせる」から「ちぎって渡す」というふうにマイルドになり、今に至っています。また、ヒーローのビジュアルとしては、単純な顔立ちに3等身で全体的に丸みを帯びてぼんやりした素朴な姿です。親しみやすさがある一方、不格好です。よって、4歳以降の子どもは、美形・モデル体型で尖っていてキラキラした身なりの、戦隊ヒーロー、ロボットヒーロー、少女戦士に興味が移っていきます。(2)悪いことをしてなぜ罰を受けないの?2つ目は、このような善悪のルールを考えることです。ばいきんまんが周りに迷惑かけ続けることについて、3歳までは「嫌だなあ」と感情的に思うだけなのですが、4歳以降は親からのしつけの理解が進んでいくにつれて、「何とかしたい」「懲らしめなければ」と思うようになります。ばいきんまんは懲りていないけどアンパンマンも懲りていないということに気付くのです。アンパンマンは優しすぎるのです。それは、ばいきんまんに対してだけでありません。アンパンマンは、アンパンマンワールドの弱いキャラクターたちをかばった結果、それが甘やかしにつながってしまったことをジャムおじさんに指摘されています。また、ヒーローのポテンシャルとしては、アンパンチやアンキックには殺傷能力がなく、助けに行ったはずなのにしょっちゅう返り討ちにあい、逆に助けを求めてしまうことが多いです。ほのぼのと安心して見ることができる一方、物足りないです。アンパンマンは、史上最弱の情けないヒーローと言えるでしょう。よって、4歳以降の子どもは、特殊能力や武器の使用、柔軟な発想や知恵によって、敵にとどめを刺したり爆破したりする、戦隊ヒーロー、ロボットヒーロー、少女戦士に興味が移っていきます。(3)物に心があるってなぜ分かるの?3つ目は、このような根拠のレベルを考えることです。身の周りの様々な物に心があることについて、3歳までは疑うことはないのですが、4歳以降は自力で動くか動かないかで、5歳以降は成長するかしないかで、生物と無生物の違いが分かるようになります(素朴理論)。つまり、物に心があることに根拠がないと気付くようになります。また、アンパンマンワールドの世界観として、人間がいないファンタジーになっています。空想として気楽に見ることができる一方、リアリティがないため、ツッコミどころ満載で、耐えられなくなります。よって、4歳以降の子どもは、人間臭いリアリティ仕立てのストーリーが展開する、戦隊ヒーロー、ロボットヒーロー、少女戦士に興味が移っていきます。アンパンマンとは? ―「子育て脳」アンパンマンは、困っていれば捨て身で守ってくれるシンボルであり、誰にでも優しくみんなと仲良くなるモデルであり、アンパンマンワールドの仲間たちは様々な心を教えてくれるツールです。その点では、最弱のヒーローでありながらも、最初のヒーローとして欠かすことができないでしょう。子どもが4歳になって、そんなアンパンマンから心が離れる時、アンパンマンは寂しく思いつつも、そんな子どもたちにきっと温かいエールを送っているでしょう。そして、その子どもが親になって、子どものことをまず考えるアンパンマンの側に立った時、再びアンパンマンに感謝と敬意を払うようになるでしょう。子育て心理とは、まさに「乳児脳」といっしょに発達する「子育て脳」とも言えるでしょう。つまり、アンパンマンとは、子どもであった私たちの憧れであると同時、親になった私たちの分身であるとも言えるのではないでしょうか?1)ユリイカ2013年8月臨時増刊号「やなせたかし アンパンマンの心」2)乳幼児のこころ:遠藤俊彦ほか、有斐閣アルマ、20113)生涯発達心理学:鈴木忠ほか、有斐閣アルマ、20164)まねが育むヒトの心:明和政子、岩波ジュニア新書、2012

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双極性障害患者のパニック症の有病率と治療に関するメタ解析

 最近のデータによれば、不安症は、単極性うつ病と同様に双極性障害(BD)と頻繁に合併する。イタリア・カリアリ大学のAntonio Preti氏らは、BDに合併するパニック症(PD)に関する文献のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。Evidence-based mental health誌オンライン版2018年4月10日号の報告。 システマティックレビューとメタ解析による優先報告項目について、文献調査や利用可能なエビデンスの選択と報告を徹底的にフォローした。メタ解析には、分散安定化Freeman-Tukey二重逆正弦変換を用いて、推定有病率を計算した。すべての研究における統合効果を推定するため、固定効果モデルとランダム効果モデルを使用し、逆分散法を行った。不均一性の測定と評価には、CochranのQ検定、I2統計量を用いた。 主な結果は以下のとおり。・プールされた推定値の算出には、横断的な有病率に関する研究15報(3,391例)および独立した生涯研究25報(8,226例)を用いた。・潜在的な異常値の研究を除いた後、BD患者におけるPDの全体的なランダム効果の時点有病率は13.0%(95%CI:7.0~20.3%)であり、全体的なランダム効果の生涯有病率は15.5%(95%CI:11.6~19.9%)であった。・双極I型障害と双極II型障害との間に差は認められなかった。・両推定値の有意な不均一性が報告された(I2>95%)。 著者らは「公表された研究から導き出された推定値では、BD患者のPD有病率は、一般集団で報告された値よりも高いことが示唆された。PDの合併は、自殺行為リスクの増加やBDのより重度な経過と関連している。しかし、PDを合併したBD患者に対する治療は明確になっていない。本メタ解析により、BDにPDは高頻度に合併しており、このPDは、慢性的な経過をたどる可能性がある」としている。■関連記事双極性障害と全般性不安障害は高頻度に合併パニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴

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適切なワクチン接種は母子手帳の確認から

 ファイザー株式会社は、2017年12月13~18日、ワクチン接種に対する実態調査アンケートを行い、その結果を示した。 調査の結果、保護者が母子健康手帳(母子手帳)をいつも携帯し、医師との適切なコミュニケーション(母子手帳を見せるなど)をとることで、小児のワクチン接種に適切な状況がもたらされる可能性が示唆された。母子手帳の活用により、小児の感染症予防につながることが期待される。 主な結果は以下のとおり。・Q1.小児の診察時に母子手帳を見せていますか? 対象:1~5歳の小児を持つ母親1万726人 いつも見せている:44.1%(4,733人) 予防接種の時のみ見せている:47.7%(5,118人)「いつも見せている」の回答者は、小児が1歳では60.2%(1,248/2,074人)だが、成長するにつれて減る傾向があり、5歳では37.0%(815/2,202人)まで下がった。・Q2.なぜ診察時に母子手帳を毎回見せていないのですか?(複数回答) 対象:Q1.で「いつも見せている」と回答した以外の母親5,993人 見せてほしいと言われないから:91.9%(5,509人) その他の各回答:10%以下・Q3.肺炎球菌ワクチンの追加接種を実施しましたか?(Yes回答を集計) 対象:ワクチン接種スケジュールを順守できた2~5歳の小児の母親8,467人 母子健康手帳を病院で提示している群(8,119人)のYes回答:94.0% 母子健康手帳を病院で提示していない群(348人)のYes回答:86.0%医療機関で母子健康手帳を見せていないと、ワクチンの追加接種実施率が低い傾向にある。■参考ファイザー株式会社 プレスリリース

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病気があっても働き続けられる職場作り

『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』を更新 厚生労働省は、2018年4月24日に『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』(2016年2月作成)に、難病に関する留意事項、企業・医療機関連携のためのマニュアルなどを追加・更新したガイドラインを発表した。 このガイドラインは、事業場が、がん、脳卒中などの疾病を抱える患者に対し、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするため、事業場における取組などをまとめたもの。「勤務状況を主治医に提供する際の様式例」などの様式例集のほか、支援制度、支援機関の情報、「企業・医療機関連携マニュアル」などが掲載されている。がん、脳卒中、肝疾患に難病を追加 今回、従来の留意事項の疾患である、がん、脳卒中、肝疾患に難病が追加された。「難病」については、「発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなる疾病を指す」と定義し、就労世代に多い主な難病として「潰瘍性大腸炎、クローン病」「全身性エリテマトーデス」「パーキンソン病」を挙げ、疾患概要を説明している。 また、難病に共通してみられやすい症状として「全身的な体調の崩れやすさ-気力・体力の低下、疲れやすさなど」「発熱」「労作時の動悸・息切れ、筋力低下など」を示すとともに、これらに対して本ガイドラインでは、「難病治療の特徴を踏まえた対応」「メンタルヘルスへの配慮」「難病に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応」を企業などに求め、啓発している。■参考厚生労働省 治療と仕事の両立について■関連記事希少疾病ライブラリ 

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原因不明の脳梗塞へのPFO閉鎖術、有効な患者の特徴は: The DEFENSE-PFO Trial【Dr.河田pick up】

 原因が特定されない脳梗塞、いわゆるCryptogenic strokeに対する卵円孔開存(PFO)閉鎖術が有効であることが、いくつかの無作為化試験、メタアナリシスの結果示されている1)。 今回韓国のグループから報告された論文では、よりハイリスクなPFOを有するCryptogenic stroke患者に対するカテーテルを用いた経皮的閉鎖術の有効性を、無作為化試験で検討している。Journal of American College of Cardiology誌オンライン版2018年2月28日号に掲載。経食道エコーで形態からハイリスクなPFOを同定 Cryptogenic stroke患者に対するPFO閉鎖術が脳梗塞の再発を防ぐという最近の報告は、どのような患者がPFO閉鎖術を受けるべきかという疑問を残している。本研究では、経食道エコーを用いてPFOの形態学的特徴を元にPFOを閉鎖することで、患者が恩恵を受けられるかどうかが評価された。薬物療法群と経皮的PFO閉鎖術群を比較 Cryptogenic strokeとハイリスクなPFOを有する患者が、カテーテルを使用した経皮的PFO閉鎖術群と薬物療法単独群に振り分けられた。ハイリスクなPFOには心房中隔瘤、中隔の可動性(いずれかの心房への一過的な中隔の移動が10㎜以上)もしくはPFOの大きさ(一次中隔から二次中隔への最大距離が2㎜以上)が含まれた。主要評価項目は2年のフォローアップ期間中の脳梗塞、心血管死もしくはThrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI)で定義された大出血の複合エンドポイントとした。脳梗塞などのイベントは薬物療法群のみで発生 2011年9月~2017年10月までの期間、120例の患者(平均年齢、51.8歳)がPFO閉鎖術群と薬物療法群に無作為に割りつけられた。PFOの大きさ、中隔瘤の頻度(13.3% vs. 8.3%, p=0.56)、そして中隔の可動性(45.0% vs. 46.7%, p>0.99)は両群間で同等であった。すべてのPFO閉鎖手技は成功した。主要評価項目のイベントは薬物療法群でのみ発生した(60例中6例、2年間でのイベント発生率:12.9% [log-rank p=0.013]、2年間での脳梗塞発生率:10.5% [p=0.023])。薬物療法群で発生したイベントは、脳梗塞5件、脳出血1件、TIMI基準大出血2件とTIA1件であった。非致死的な手技に関連した合併症は心房細動2件、心嚢液の貯留1件と仮性動脈瘤1件であった。著者らは「ハイリスクな特徴を有したPFOの閉鎖は、脳梗塞の再発と主要評価項目のイベント発生を減少させた」と結論している。ただ、本研究は2施設のみで行われ、早期終了しており症例数も少ないため、大規模な前向き研究による検討が必要と考えられる。■参考1)Mojadidi MK, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71; 1035-1043. (カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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抗コリン薬、認知症発症と強く関連/BMJ

 英国・イースト・アングリア大学のKathryn Richardson氏らによる症例対照研究の結果、うつ病、泌尿器系およびパーキンソン病の治療に用いられる抗コリン薬の使用が、将来的な認知症発症と強く関連していることが明らかとなった。この関連は、認知症と診断される15~20年前の曝露でさえ観察されたという。ただし、消化器および心血管系の抗コリン薬では認知症との明らかな関連は認められなかった。これまで、抗コリン作用のある薬剤の使用が、短期的な認知障害と関連があることは知られていた。しかし、報告されている抗コリン薬の使用と将来的な認知機能低下や認知症発症との関連が、抗コリン作用に起因するかどうかは不明であった。BMJ誌2018年4月25日号掲載の報告。認知症患者約4万例と対照約28万例で抗コリン薬の曝露認知症リスクを評価 研究グループは、さまざまなクラスの抗コリン薬の曝露期間および曝露量と、その後の認知症発症との関連を評価する目的で、症例対照研究を行った。英国プライマリケア医の電子カルテを含むデータベース(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)を用い、2006年4月~2015年7月に認知症と診断された65~99歳の患者4万770例と、認知症と診断されていない対照28万3,933例を特定し、Anticholinergic Cognitive Burden(ACB)スケールで分類された抗コリン薬の1日投与量について、曝露期間中全体およびサブクラス別に比較した。認知症と診断される4~20年前の抗コリン薬の処方が含まれた。 主要評価項目は、患者背景等の共変量について調整した認知症発症のオッズ比とし、多変量条件付きロジスティック回帰分析を用いて解析した。うつ病、泌尿器系、パーキンソン病治療の抗コリン薬で認知症リスクが増大 曝露期間中、ACBスコア3(明らかな抗コリン作用)に分類される抗コリン薬を1つ以上処方されていたのは、認知症患者1万4,453例(35%)、対照8万6,403例(30%)で、ACBスコア3の抗コリン薬の調整オッズ比は1.11(95%信頼区間[CI]:1.08~1.14)であった。認知症は、ACBスコアの平均値の増加と関連していた。 薬剤のクラス別では、ACBスコア3および1の消化器系薬や、ACBスコア1の心血管系薬の使用においては、認知症との明確な関連はみられなかった。 一方、ACBスコア3に分類される抗うつ薬・泌尿器系治療薬・抗パーキンソン病薬は、曝露が大きいほど認知症のリスクの増大がみられ、その関連性は認知症発症の15~20年前の抗コリン薬の曝露でも認められた。

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単純性尿路感染症、nitrofurantoin vs.ホスホマイシン/JAMA

 単純性下部尿路感染症(UTI)の女性患者において、nitrofurantoin5日間投与はホスホマイシン単回投与と比較して、治療終了後28日時の臨床的および微生物学的改善が有意に大きいことが示された。スイス・ジュネーブ大学医学部のAngela Huttner氏らが、多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。nitrofurantoinとホスホマイシンは、米国およびヨーロッパの臨床微生物感染症学会による2010年のガイドライン改訂で、下部UTIの第一選択薬として推奨されるようになってから、その使用が増加してきたが、これまで両者を比較した無作為化試験はほとんどなかった。JAMA誌2018年4月22日号掲載の報告。下部UTI女性患者約500例で、nitrofurantoinとホスホマイシンの有効性を比較 研究グループは、2013年10月〜2017年4月に、スイスのジュネーブ、ポーランドのウッジおよびイスラエルのペタチクバの病院において、非盲検/解析者盲検の無作為化試験を実施した。対象は、妊娠をしていない18歳以上の女性で、急性下部UTIの症状(排尿痛・尿意切迫感・頻尿・恥骨上圧痛のいずれか1つ以上)を有し、尿亜硝酸塩または尿白血球エステラーゼを検出する尿試験紙検査が陽性かつ治験薬に耐性を示す尿路病原菌の感染既往または定着を認めない513例であった。nitrofurantoin群(100mgを1日3回、5日間経口投与)、またはホスホマイシン群(3gを単回経口投与)に1対1の割合で無作為に割り付け、治療終了後14日および28日に臨床評価ならびに尿培養を行った。 主要評価項目は、治療終了後28日時の臨床効果で、臨床的改善(症状およびUTI徴候の消失)、治療失敗(抗菌薬の追加/変更または無効による中止)、判定不能(客観的な感染所見のない症状の持続)と定義した。副次評価項目は、細菌学的効果と有害事象などであった。28日臨床的改善率、nitrofurantoin群70% vs.ホスホマイシン群58%で有意差あり 無作為化された513例(平均年齢44歳、四分位範囲:31~64歳)のうち、475例(93%)が試験を完遂し、377例(73%)でベースラインにおいて尿培養陽性が確認された。 28日時の臨床的改善率は、nitrofurantoin群70%(171/244例)、ホスホマイシン群58%(139/241例)であった(群間差:12%、95%信頼区間[CI]:4~21%、p=0.004)。また、微生物学的改善率はそれぞれ、74%(129/175例)および63%(103/163)であった(群間差:11%、95%CI:1~20%、p=0.04)。 有害事象はわずかであった。主なものは悪心および下痢で、発現率はそれぞれ、nitrofurantoin群で3%(7/248例)および1%(3/248例)、ホスホマイシン群で2%(5/247例)および1%(5/247例)であった。 なお著者は、非盲検試験であり、臨床検査が中央化されておらず検査方法が異なる可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

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線溶薬の種類と役割:脳と心臓は違うのかな?(解説:後藤信哉氏)-853

 脳梗塞、心筋梗塞とも臓器灌流血管の血栓性閉塞による。閉塞血栓を溶解し、臓器血流を再開させれば虚血障害は改善されると予想される。心臓ではフィブリン特異性のないストレプトキナーゼによる心筋梗塞急性期死亡率の減少が大規模ランダム化比較試験にて示され、線溶薬は1970~80年代にブームとなった。損傷、修復を繰り返す血管壁に、線溶を過剰作用させると出血する。心筋梗塞急性期の線溶療法では、頭蓋内出血が問題となった。この問題はフィブリン選択性の高いt-PA、さらに理論上フィブリン選択性をもっと向上させて薬剤を使っても解決できなかった。救急車での搬送中に線溶療法をして再開通が起こると、心室細動などの不整脈も起こることがわかって、心臓領域における線溶療法は廃れた。日本のように医療アクセスのよい国では、圧倒的多数の急性心筋梗塞は急性期にカテーテル治療により再灌流を受ける時代となった。 脳領域の再灌流療法の普及は心臓に遅れた。日本ではCTなどが普及していたが、症状では脳梗塞と脳出血の弁別ができないことも理由であった。太い血管に原因があれば、脳梗塞でも急性期カテーテル治療は可能となった。それでも脳領域では、カテーテル治療前に線溶療法をして早期再灌流を重視している現状にある。 今回の論文ではフィブリン選択性が高く、血中半減期の長いtenecteplase使用後の方が初期に開発されたt-PA使用時よりも、カテーテル治療開始時の血行再開通率、神経学的予後ともによいことが示された。心臓では、カテーテル治療前に線溶療法を施行すると予後は悪化する。再灌流までの時間は短縮するが、心筋内出血、線溶亢進に伴う反跳性の血栓性亢進などが原因と想定された。脳と心臓は違うのであろうか? 微小血管障害による心筋梗塞はあるかも知れないが、臨床的に注目されていない。本研究では、カテーテルによる血栓除去術の対象となった大血管の病変は、全体の10%に過ぎなかった。脳梗塞の急性期治療は心筋梗塞急性期治療を後追いしているように見えるが、カテーテル治療の適応範囲がまだ狭い。線溶療法と同時に普及したカテーテル治療により、線溶療法の質の評価が不十分となった心臓と異なり、脳では線溶療法の質の評価が詳細になされるかも知れない。凝固系、血小板とともに血栓性疾患の発症において重要な役割を演じる線溶系の役割が、脳領域の治療の進歩とともに詳細に解明されることを期待したい。

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