サイト内検索|page:1058

検索結果 合計:35655件 表示位置:21141 - 21160

21141.

AI時代に対応する医療人を目指して

 2018年5月29日、山口大学(学長:岡 正朗)は、都内において4月に設立された「AIシステム医学・医療研究教育センター」(以下「AISMEC」と略す)に関する記者発表会を行った。 冒頭、岡氏があいさつし、今後の医療の拡大にAISMECが果たす役割に期待を寄せた。また、大学では学生全員に数理情報の講座を履修させ、その能力を向上させる人材育成にも取り組んでいることを強調した。 次にセンター長に就任した浅井 義之氏(同大学大学院医学系研究科 教授)が、AISMECの概要、現在の取り組み、今後の展望について説明を行った。 AISMECは、人工知能(AI)とシステムバイオロジーを融和させ、「基礎医学研究の推進」「新しい医療技術の開発」「データサイエンス医学の人材育成」へ展開することを目的に設立されたセンターである。そして、AISMECで使われるAIは「特化型AI」と言われ、膨大なデータの中からヒトの眼では見つけられない特徴を見つけることができ、知識を発見することで「病気の早期発見」「治療効果の予測」が期待されている。また、システムバイオロジーは、膨大な人体の生理データと生理機能をコンピュータシミュレーションを用い、生命機能のダイナミクスを捉えて、知識を広げ、深めることで「発症メカニズムの深い理解」「新治療技術・新薬の開発」が見込まれている。 具体的にAISMECでは、「システムバイオインフォマティクス講座」(システム医学の推進/医用AIでデータ解析)、「医療情報判断学講座」(病院情報システムデータの利活用)、「公衆衛生・予防医学講座」(個別予防医療/先制医療の実践)、「システムズ再生病態医化学講座」(実験システム医学の推進)の4つの講座の技術を核に融合し、所期の目的を達成するとともに、山口大学医学部附属病院の臨床講座、医学系研究科の基礎講座、さらに地方自治体など学内外のエキスパートとも連携していく予定である。次世代のデータサイエンス医師を育成 進行しているプロジェクトとしては、「骨髄移植後の拒絶反応のリスク予測」「薬剤による不整脈発生リスク予測」ほか5つがあり、これらには学生も研究に参加しているほか、すでにバイオマーカーの探索では実用化されたものもあり、複数のマーカーが探索されているという。 浅井氏は、「今後、AISMECでは、データサイエンスに精通した医療人の育成と医療に精通したデータサイエンティストの育成を通じて、世界に貢献できる研究成果の発表、人材の提供を行い、次世代のデータサイエンス医師を世界に羽ばたかせたい」と期待を語った。 最後に同センターの顧問に就任した北野 宏明氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長)が、「多層解析が主流となった現代の医療ではデータを深堀する必要があり、良いデータの集積にすべてがかかっている。AISMECの設立で大学、病院から質、量ともに良いデータの収集に期待を持つことができる。また、データサイエンスに強い人材の育成にも積極的な施策により成功が期待される。世界でもまれな取り組みなので、今後の挑戦を見守っていきたい」と発表会を締めた。■参考山口大学AIシステム医学・医療研究教育センター

21142.

プロカルシトニン値は抗菌薬使用の指標となるか/NEJM

 下気道感染症が疑われる患者への、プロカルシトニン値を指標とする抗菌薬の開始/中止の決定は、抗菌薬曝露量を削減しないことが、米国・ピッツバーグ大学のDavid T. Huang氏らが行った「ProACT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年5月20日号に掲載された。プロカルシトニンは、ウイルスに比べ細菌感染によって上昇するペプチドで、上昇の程度は感染の重症度と相関し、感染の改善に伴って経時的に低下する。欧州の試験では、プロカルシトニンに基づくガイダンスは、明確な有害性を呈することなく抗菌薬の使用を抑制することが報告されている。米国食品医薬品局(FDA)は、これらの試験を含むメタ解析の結果に基づき、2017年2月、下気道感染症疑い例における抗菌薬使用の指標としてプロカルシトニン測定を承認したが、日常診療への適用の可能性は不明だという。米国の14施設の救急診療部受診患者1,656例を登録 本研究は、プロカルシトニン値に基づく抗菌薬処方ガイドラインは、有害事象を増加させずに抗菌薬曝露量を削減するかを検証する無作為化試験である(米国国立一般医科学研究所[NIGMS]の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、下気道感染症の疑いで救急診療部を受診し、抗菌薬治療の適応の可否が不明な患者であった。被験者は、プロカルシトニン群と通常治療群に無作為に割り付けられた。 プロカルシトニン群の治療医には、プロカルシトニンの測定値と、測定値を4段階に分け、それぞれの推奨治療が記載された抗菌薬使用のガイドラインが提供された。通常治療群にもプロカルシトニンの測定が行われたが、臨床には使用されなかった。 登録後30日以内に、プロカルシトニン群は通常治療群に比べ、抗菌薬の総投与日数が削減され、有害なアウトカムを発症する患者の割合の差が4.5ポイント(非劣性マージン)を超えないとの仮説を立て、検証を行った。 2014年11月~2017年5月の期間に、米国の14施設1,656例が登録され、プロカルシトニン群に826例(平均年齢:52.9±18.4歳、男性:43.2%)、通常治療群には830例(53.2±18.7歳、42.7%)が割り付けられた。1,430例(86.4%)がフォローアップを完遂した。有害アウトカム率:プロカルシトニン群11.7% vs. 通常治療群13.1% 最終診断のデータが得られた1,645例のうち、646例(39.3%)が喘息の増悪、524例(31.9%)が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪、398例(24.2%)が急性気管支炎、328例(19.9%)が市中肺炎であった。782例(47.2%)が入院し、984例(59.4%)が30日以内に抗菌薬の投与を受けた。 プロカルシトニン群の治療医は、826例中792例(95.9%)のプロカルシトニン測定結果を受け取り、通常治療群の治療医も、830例中18例(2.2%)の測定結果を得た。プロカルシトニン群の血液サンプル採取から測定結果の取得までの時間の中央値は77分だった。両群とも、プロカルシトニン値が高いほど、救急診療部での抗菌薬処方の決定が多かった。 intention-to-treat(ITT)解析では、30日までの平均抗菌薬投与日数は、プロカルシトニン群が4.2±5.8日、通常治療群は4.3±5.6日と、両群間に有意な差はなかった(差:-0.05日、95%信頼区間[CI]:-0.6~0.5、p=0.87)。per-protocol解析、per-guideline解析、complete-case解析、missing-not-at-random解析でも、結果はほぼ同様だった。 ITT解析による有害なアウトカムを発症した患者の割合は、それぞれ11.7%(96例)、13.1%(109例)であり、プロカルシトニン群の通常治療群に対する非劣性が示された(差:-1.5ポイント、95%CI:-4.6~1.7、非劣性:p<0.001)。他の解析法による結果もほぼ同様だった。 30日までに抗菌薬投与を受けた患者の割合や、最終診断名別の平均抗菌薬投与日数にも、両群間に差はなかった。 著者は、「抗菌薬曝露量が削減されなかった原因として、通常治療群の医師は測定値を知らないにもかかわらず、高値例に比べ低値例への抗菌薬の処方が少なかった点などが挙げられる」とし、「以前の試験と対照的な結果であった理由としては、case mix、デザイン、セッティングなどの違いが考えられる」と指摘している。

21143.

糖尿病発症や最適な食事療法を個別提示

 遺伝子解析を用いた個別化医療が進んでいるが、遺伝子を用いず糖尿病発症を予測し、個別に食事療法(低炭水化物食、エネルギー制限食、低脂肪食)を提案できたら、どんなに有益だろう。2018年5月24日より3日間、都内で開催された第61回日本糖尿病学会年次学術集会(学会長:宇都宮 一典)において、個別の糖尿病発症や食事療法の最適化に関する発表が行われた。 坂根 直樹氏(京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室)は、「個人毎の最適なエネルギー摂取やお勧めの栄養素バランスを提示する糖尿病発症予測システムの開発:機序計算モデルを用いて」と題し、現在の取り組みを講演した。 これは、従来の糖尿病リスクスコア(例:観察研究から年齢・性・BMI・HbA1c・家族歴や遺伝子多型などを利用)では、平均的なリスクの提示のみになってしまうといった短所を補うべく、米国糖尿病予防プログラム(DPP)でも用いられた臓器間のネットワークを取り入れた機序計算モデル“Bodylogical1)”が使用された。その方法として、糖尿病予防のための戦略研究J-DOIT1登録の2,607例のデータの中から、介入により減量と血糖改善効果が高かった者と低かった者の合計120例を抽出。個人ごとに生体指標(体重、空腹時血糖、HbA1c)を時系列データに近似させ、さらに減量成功と血糖改善のための食事療法の最適化を行った。 結果として予測データのRMSEは、通常の臨床的測定エラー範囲に収まったほか、個々人の生理学的特性(エネルギー必要量など)や実際のライフスタイルの変動を表すパラメータを推定することができた。具体的には、単純な食事と運動のエネルギー収支だけではBMIの変化を十分には説明できなかった。あるケースでは減量を成功させるには低炭水化物食にしたほうがよく、あるケースでは低脂肪食のほうがよかった。また、低炭水化物食でも低脂肪食でも、どちらでもよいケースもあった。減量と血糖改善の両方を成功させるためには、どのような食事療法が最適であるかを予測することもできた。 最後に、坂根氏は「従来の糖尿病リスクスコアでは平均的なリスクを提示するだけであったが、この機序計算モデルを用いることで、生活習慣の修正で体重やHbA1cがどのように変化するかを見せることができ、さらに個人ごとに食事療法を提案することもできる。療養指導だけでなく、臨床研究デザインの設計や介入研究の抽出にも活用することができる」と、これからの展望を述べた。■参考文献1)Sarkar J, et al. PLoS One. 2018;13:e0192472.

21144.

乳児期に被災した福島の子供は体重増加の傾向

 生後10ヵ月までに福島県で東日本大震災の被害を受けた子供は、過体重の傾向があることが福島県立医科大学の小野 敦史氏らの研究により明らかになった。この結果について小野氏は、福島第一原子力発電所に近く放射線量がより高い浜通りや中通りにおいて外出が制限されたことが関係しているという見解を示している。BMJ Paediatrics Open誌2018年2月7日号に掲載。 東日本大震災後の福島県における乳幼児期の身体発育を評価した報告はない。そのため著者らは、福島県内の31の市区町村で生まれた計2万600例の乳幼児(0~3歳)の健康診断データを、被災してから健康診断を受けるまでの期間で分類し、後ろ向きに検討した。身長とBMIのデータを用いて、健康状態を3歳児健診後に被災した子供と比較した。 主な結果は以下のとおり。・生まれてから3~4ヵ月および6~10ヵ月の健康診断の間に福島県で被災した子供では、18ヵ月健診から36~42ヵ月健診の間の有意な体重増加が観察された。・地域ごとに分けると、浜通りと中通りでは被災によってBMIが増加したが、会津ではBMIへの影響は認められなかった。

21145.

FAME2試験の5年追跡結果が発表、安定冠動脈疾患へのPCI施術の妥当性(中川義久 氏)-865

 FAME2試験の5年追跡の結果がパリで開催されたPCR2018で発表され、NEJM誌に同時掲載された(Xaplanteris P, et al. 2018 May 22.[Epub ahead of print])。FAME2試験は、PCI施行予定の安定冠動脈疾患において、FFR値0.8以下で定義される機能的虚血を有する場合に、PCI+至適薬物治療を行った場合と、至適薬物治療のみの場合をランダマイズし比較した研究である。 全死亡+心筋梗塞+緊急血行再建で定義される主要評価項目は、PCI+至適薬物治療のほうが、至適薬物治療のみよりも有意に優れていた(13.9% vs.27.0% HR:0.46[95%CI:0.34~0.63])。2年時の優位性が5年時にも維持されていたのである。統計学的有意ではないが、心筋梗塞の発生が、PCI+至適薬物治療群において低い傾向にあることも興味深い(8.1% vs.12.0% HR:0.66[95%CI:0.43~1.00])。主要評価項目の優位性をもたらしたのは、緊急血行再建の減少によるところが大きかった。オープンデザインの試験で、緊急血行再建という恣意性の介入する余地のある項目の寄与が大きいことに批判がないわけではない。しかし、安定冠動脈疾患へのPCI施行の妥当性を示した本研究結果の意義は大きいと言えよう。 FAME2試験から、7ヵ月追跡結果(De Bruyne B, et al. N Engl J Med. 2012;367:991-1001.)、2年追跡結果(De Bruyne B, et al. N Engl J Med. 2014;371:1208-1217.)の2本の論文がNEJM誌にすでに掲載されている。同じ試験から3本目のNEJM誌である。「打出の小槌」のように追跡期間を延長すればNEJM誌に掲載されるというのは、安定冠動脈疾患へのPCI適応について皆が高い興味をもっていることの証左であろう。本邦においても、2018年4月に診療報酬改定がなされた。その中で、安定冠動脈疾患に対して待機的に施行するPCIは、術前の検査などにより機能的虚血の存在が示されていることが算定要件とされたことはご存じであろう。安定冠動脈疾患へのPCI適応は、心血管イベント抑制という観点だけでなく、医療経済的観点からも注目されている。NEJM誌の編集部も、その社会的意義を認識するがゆえにFAME2試験の結果を発表と同時掲載する判断をしたものと推察される。インターベンション施行医は、医学的・経済的に自らの施術するPCIの妥当性を社会に向けて説明する責任を負っているのである。本邦においては、急性冠症候群への緊急PCIよりも安定冠動脈疾患への待機的PCIの比率が他国よりも高いとされる。日本のインターベンション施行医こそ、もっと説明責任を果たす必要があるのではないか。

21146.

17)エリプタ(レルベア、アノーロ)【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、エリプタ(レルベア、アノーロ)の吸入手順を解説します。手順としては、片手で本体を持ち、もう片手でカバーを開ける→小窓の数字を確認します→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる(口角に隙間がないように)→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→吸入口を清浄し、カバーを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。※注意するポイント吸った時に少し甘みを感じても、問題はありません吸い込みの練習はトレーナーを使用し、主治医に確認してもらいましょう小窓に残りの回数が表示され、1回吸入するごとに減りますカウンターが0になってもカバーは動きますが、新しいものと取り換えるようにしましょう●主な製剤(2015年3月時点のデータ)エリプタ(レルベア、アノーロ)

21147.

世界初のアレルギー性鼻炎治療貼付薬「アレサガテープ4mg/8mg」【下平博士のDIノート】第2回

世界初のアレルギー性鼻炎治療貼付薬「アレサガテープ4mg/8mg」今回は、「エメダスチンフマル酸塩 経皮吸収型製剤4mg/8mg(商品名:アレサガテープ)」を紹介します。世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬で、嚥下困難な患者さんへの安全な使用が可能であり、また、安定した血中薬物濃度の維持により、日中だけでなく、睡眠中や起床時にも効果の持続が期待されます。<効能・効果>アレルギー性鼻炎の適応で、2018年1月19日に承認され、2018年4月24日より販売されています。本剤は、アレルギー反応による肥満細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つ第2世代抗ヒスタミン薬です。1993年に同成分であるエメダスチンフマル酸塩の経口薬が、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などを適応として発売されましたが、本剤の適応は、2018年5月末時点でアレルギー性鼻炎のみです。<用法・用量>通常、成人には1回4mgを胸部、上腕部、背部または腹部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えます。なお、症状に応じて、1回8mgまで増量可能です。肝障害歴を有する患者さんは、本剤の使用により肝機能異常が発現する恐れがあるので、慎重投与が指示されています。<臨床効果>季節性アレルギー性鼻炎患者1,273例を対象とした、国内第III相二重盲検比較試験において、本剤貼付群(エメダスチンフマル酸塩として4mgまたは8mg)、プラセボ対照群、実薬対照群(レボセチリジン塩酸塩錠5mg)に1日1回2週間投与した結果、主要評価項目である鼻症状(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉)の合計スコア変化量において、本剤貼付群はプラセボ対照群に対し有意な低下が認められ、実薬対照群と同程度でした。<副作用>国内の臨床試験では、臨床検査値異常を含む副作用が1,060例中201例(19.0%)に認められています。主な副作用は、貼付部位紅斑116例(10.9%)、眠気52例(4.9%)、貼付部位掻痒感48例(4.5%)などでした。<患者さんへの指導例>1.くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状を改善するテープ製剤です。2.1日1回新しい薬に貼り替えますが、毎回貼る場所を変えてください。なるべく毎日同じ時間帯に貼り替えることが望ましいです。3.胸部、上腕部、背部または腹部で傷や赤みがない部位を選び、乾いたタオルなどでよく拭って清潔にしてから貼りましょう。4.テープが途中で剥がれた場合、すぐに新しいテープを貼り、指示されている貼り替え時間になったら、再度貼り替えてください。5.眠気が生じることがあるので、本剤を使用している間は、車の運転など危険を伴う作業はしないでください。また、眠気が強くなる恐れがあるので、飲酒も避けてください。6.本剤を使用中の授乳は避けてください(ラットで乳汁移行の報告あり)。7.現在服用中のアレルギー薬、ステロイド薬がある場合、自己判断で中止せず、必ず主治医・薬剤師に相談してください。<Shimo's eyes>世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬で、1日1回の貼付で安定した血中薬物濃度を維持し、効果を持続させることができます。また、嚥下能力の低下や誤嚥リスクがある患者さんでは経口薬の服用が困難な場合もありますが、本剤であれば安全に使用することができます。家族や介護者が貼付したり、日々の服薬状況を目視で確認したりできるため、アドヒアランスの向上も期待できます。本剤を季節性鼻炎の患者さんに使用する場合は、好発季節を考えて、その直前から使用を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましいです。4mgよりも8mgを使用しているほうが眠気などの副作用が出やすくなるので、増量した直後は生活習慣や副作用の確認をより念入りに行いましょう。アレルギー性鼻炎の適応で承認された本剤のように、従来なかった分野や疾患で貼付薬が発売されています。患者さん個々のライフスタイルに合わせた治療で、生活の質を向上させるための選択肢が増えたのは喜ばしいことです。各剤形の特徴を理解し、必要に応じて処方提案できるとよいでしょう。

21148.

足趾力が糖尿病の診断マーカーとなる可能性

 糖尿病患者の足趾力は、糖尿病に罹患していない人よりも有意に弱いことがトヨタ自動車健康支援センターウェルポの諏訪 雅貴氏らの研究によって明らかになった。著者らは、「糖尿病の診断マーカーとしては、握力よりも足趾力が適しているだろう」としている。Endocrine Journal誌オンライン版2018年3月28日号に掲載。 以前の研究で、筋力低下は糖尿病の潜在的な予測因子の1つであるということが示唆されている。 今回の研究では、35歳から59歳までの日本人男性1,390例の足趾力と握力の測定を行い、糖尿病有病率との関連を調査した。糖尿病の定義は、空腹時血糖126mg/dL以上、糖化ヘモグロビン6.5%以上、および/または血糖降下薬を使用している場合とした。筋力測定における1標準偏差増加当たりのオッズ比および95%信頼区間は、多重ロジスティック回帰モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・対象のうち、114例が糖尿病と診断された。・糖尿病と診断された群の足趾力は、糖尿病に罹患していない患者の足趾力よりも有意に弱かったが、握力では有意な差は認められなかった。・筋力測定における1標準偏差増加当たりのオッズ比は、足趾力 0.769(95%CI:0.614~0.963、p=0.022)、足趾力/体重 0.696(95%CI:0.545~0.889、p=0.004)、足趾力/BMI 0.690(95%CI:0.539~0.882、p=0.003)であった。握力ではこのような関連は認められなかった。

21149.

不眠症とアルコール依存との関連

 アルコールを“睡眠補助”として使用した際のリスクを評価するため、米国・ウェイン州立大学のTimothy Roehrs氏らは、睡眠前のエタノールの鎮静・催眠効果での耐性の発現、その後のエタノール用量漸増、気分の変化、エタノール“愛好”について評価を行った。Sleep誌オンライン版2018年5月12日号の報告。 対象は、不眠症以外に関しては医学的および精神医学的に健康であり、アルコール依存および薬物乱用歴のない21~55歳の不眠症患者。試験1において、24例に対し睡眠前にエタノールを0.0、0.3、0.6g/kg(各々8例)投与し、夜間睡眠ポリグラフ(NPSG)を8時間収集した。試験2において、エタノール0.45g/kgまたはプラセボによる6日間の前処置を行った後、睡眠前のエタノールまたはプラセボのどちらを選ぶか、7日以上の選択の夜にわたり評価した。 主な結果は以下のとおり。・エタノール0.6g/kg投与は、総睡眠時間および第2夜の第3~4段階の睡眠を増加させたが、これらの効果は第6夜には失われた(p<0.05)。・6日間のエタノールでの前処置は、プラセボでの前処置と比較し、選択の夜におけるエタノール自己投与が多かった(p<0.03)。 著者らは「本研究は、不眠症患者の“睡眠補助”としてのアルコール使用に伴うリスクを明示する最初の研究である。エタノール投与開始の初期には、NPSGの睡眠および鎮静作用の自己報告が改善したが、第6夜には消失した。耐性については、睡眠前のエタノール自己投与の増加と関連が認められた」としている。■関連記事アルコール依存症患者における不眠症に関するメタ解析うつ病とアルコールとの関係:2014年英国調査よりアルコール依存症治療に期待される抗てんかん薬

21150.

糖尿病患者は日常的にしびれを感じている

 2018年5月24日から3日間、都内で第61回日本糖尿病学会年次学術集会「糖尿病におけるサイエンスとアートの探究」が開催された。5月25日のシンポジウム「神経障害の病態と治療―痛みを科学する」の概要を紹介する。半数の糖尿病患者は、外来でしびれや痛みを話さない 糖尿病性神経障害は、早期から発症する重大な合併症であり、なかでも糖尿病性多発神経障害(DPN)は、QOLを著しく低下させ、進行すると生命予後の短縮につながる疾患である。DPNは、罹病期間や血糖コントロールと関連し、5~10年単位で緩徐に進行するが、国際的に統一された診断基準はいまだ確立されていない。わが国では、「糖尿病性神経障害を考える会」の簡易診断基準とDPNの臨床病期分類(I~V期)などが用いられ、日常診療でのスクリーニングが行われている。また、ハンマーの金属部分や竹串の鋭端と鈍端を足に当てて、簡易的に神経(温痛覚)障害の初期症状をチェックする検査ができるという。 厚生労働省の「平成19年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病と診断された患者の中で、「神経障害(手足がしびれる、感覚がにぶくなるなど)がある」と答えた人は、11.8%だった。しかし、実際の外来では半分ほどの患者しか神経症状を訴えていない。糖尿病性神経障害は、糖尿病が発覚する前から発症しているケースもあるため、なるべく早期に発見し、適切な治療と良好なコントロールを行う必要がある。医療者が、しびれや痛みを感じている患者の訴えを積極的に拾い上げることが望まれる。HbA1cの下降幅が大きいほど、治療後の神経障害が大きい 出口 尚寿氏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科糖尿病・内分泌内科学)は、「有痛性糖尿病性神経障害の臨床像」をテーマに発表を行った。 痛みを伴う糖尿病性神経障害は、感覚神経(温痛覚)と自律神経により構成される小径神経の障害(small fiber neuropathy:SFN)であり、DPNのような典型的病型のほか、主にメタボリックシンドロームに起因する耐糖能障害や、急性有痛性神経障害など、多様な病態・病型を含み、脂質異常症や高血圧症など、さまざまな因子の関与が示唆される。また、長期間HbA1cが高値だった患者の治療において、期間あたりのHbA1c下降幅が大きいほど、治療後に生じる神経障害の程度と障害の分布が大きい傾向にあるという。 神経障害による痛みの治療は、「神経障害性疼痛薬物治療ガイドライン」に準じて行うが、病型に応じた疼痛へのアプローチが求められる。第1選択薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)を少量で開始し、効果と副作用をみながら漸増するが、急性で激しい疼痛がある病型では、速やかな増量や第2選択薬(トラマドールなど)の追加などが必要となる。出口氏は、「糖尿病患者にとって、疼痛は大きなストレスとなる。初期用量で効かないからと、薬を増量せずに中止するのではなく、副作用がクリアできれば、まず常用量をしっかり使うべき。患者さんの声を聞き、根気強く痛みと向き合いケアすることが大切だ」と強調した。痛みの緩和+運動習慣でQOLの低下を食い止める 住谷 昌彦氏(東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部/麻酔科・痛みセンター)は、「糖尿病関連疼痛の治療学」をテーマに発表を行った。 糖尿病性神経障害は、無髄神経線維(C線維)から有髄神経線維へと障害が進展していくが、簡易診断基準では有髄神経障害の症状しかスクリーニングできない可能性がある。しかし、C線維の障害だけでも疼痛は発症しうる。また、神経障害の初期には神経線維が保たれていても、痛みや知覚過敏などの徴候を示すことがあり、知覚鈍麻だけが糖尿病性神経障害の特徴ではない。神経障害に伴う症状は、寛解と増悪を繰り返して進行することが知られているが、病期が進むまで無症候な例もあるという。神経障害の重症度と疼痛の重症度が必ずしも相関しないため、とくに初期のしびれや違和感の把握が重要で、肥満があると、痛みやしびれが強く出る傾向にある。 神経障害性疼痛を持つ患者は、足の痛みなどが原因で、転倒に対する恐怖が付きまとうが、家にこもりがちになることに対して住谷氏は警鐘を鳴らした。運動量の減少が招く筋肉量の低下は、ロコモティブシンドロームの入り口となる危険性がある。同氏は、「痛みの治療だけではQOLは改善されない。QOLの改善には、適切な薬物治療を行って痛みをコントロールしたうえで、運動・食事療法も並行する必要がある。痛みを緩和して、運動習慣を定着させることが、QOL低下の悪循環を止めるために重要である」と語った。■参考厚生労働省「平成19年国民健康・栄養調査報告 第4部 生活習慣調査の結果」■関連記事神経障害性疼痛の実態をさぐる

21151.

20歳までに多いがんは「白血病」

   2018年5月30日、国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)の「がん対策情報センター(センター長:若尾 文彦)」がん統計・総合解析研究部は、2009~11年に新たにがんと診断された小児およびAYA:Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、同センターのサイト内に統計解説ページを新規に開設した。 これは、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班の「地域がん登録」データを活用し、今回初めて小児からAYA世代のがん罹患率を全国規模の人口集団ベースで小児がん国際分類に従い集計したもので、がん種の順位も合わせての公表となった。1年間にがんと診断される予想症例数は20歳までで約3,000例・小児がん(0~14歳)の罹患率は12.3(人口10万人当たり)で、AYA世代では、15~19歳14.2、20代31.1、30代91.1(人口10万人当たり)だった。・罹患率を総人口に当てはめると、1年間にがんと診断される症例数は、小児(0~14歳)で約2,100例、15~19歳で約900例、20代で約4,200例、30代で約1万6,300例と推計された。*集計データ 2009~11年に精度基準を満たした27府県を使用(人口カバー率36.8%)20歳までで罹患率が高いがん種は白血病 世代別の罹患率が高いがん種の順位は下記のとおり([ ]内は全がんに占める割合)。・0~14歳(小児): 第1位 白血病[38%]、第2位 脳腫瘍[16%]、第3位 リンパ腫[9%]・15~19歳: 第1位 白血病[24%]、第2位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[17%]、第3位 リンパ腫[13%]・20~29歳: 第1位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[16%]、第2位 甲状腺がん[12%]、第3位 白血病[11%]・30~39歳: 第1位 女性乳がん[22%]、第2位 子宮頸がん[13%]、第3位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[8%]*1 国際小児がん分類 第3版のグループに基づく悪性腫瘍の順位(ただし「その他のがん」は部位で分類)*2 いずれのがん種も悪性腫瘍のみ

21152.

心臓手術中の左心耳閉鎖、脳卒中リスクを減らせるか/JAMA

 心臓手術を受ける患者において、左心耳閉鎖(left atrial appendage occlusion:LAAO)の併施群は非併施群と比較して、その後の脳卒中および全死因死亡リスクが有意に低いことが、米国・メイヨー・クリニックのXiaoxi Yao氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。LAAOは、心臓手術中に行われる可能性があるが、長期的な脳卒中リスクとの関連に関するデータはほとんど存在せず、一方で術後の心房細動(AF)との関連を示唆するエビデンスが示されていた。今回の結果を受けて著者は、「無作為化試験を含む検討を行い、外科的LAAOの役割を明確にする必要がある」と述べている。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告より。後ろ向きコホート研究で、LAAO併施群と非併施群を比較、AF既往有無別評価も 研究グループは、米国大規模データを用いた後ろ向きコホート研究で、心臓手術中に行うLAAOと脳卒中、死亡および術後のAF発症リスクとの関連を評価した。 2009年1月1日~2017年3月30日の間に、冠動脈バイパス術(CABG)または弁手術を受けた、民間保険またはメディケアに加入する18歳以上について、2017年3月31日まで追跡した。 対象患者について1対1の傾向スコアマッチングを用いて76のベースライン特性で均等化し、LAAO併施群と非併施群を比較した。AF既往の有無別の層別化も行った。 主要評価項目は、脳卒中(虚血性脳卒中または、全身性塞栓症など)と全死因死亡とした。副次評価項目は、術後AF(既往のない患者の術後30日以内の発症)、長期のAF関連受診(外来および入院のイベント率)であった。非AF既往患者では有意差はみられず、術後AF増大 対象期間中に心臓手術を受けたのは7万5,782例で、平均年齢は66.0歳(SD 11.2)、女性が2万2,091例(29.2%)、AF既往患者は2万5,721例(33.9%)で、LAAO併施を受けたのは4,374例(5.8%)、平均追跡期間は2.1年(SD 1.9)であった。 傾向スコアをマッチングさせた8,590例において、LAAO併施は、脳卒中リスクの有意な低下(1.14 vs 1.59件/100人年、ハザード比[HR]:0.73[95%信頼区間[CI]:0.56~0.96、p=0.03]、死亡の有意な低下(3.01 vs.4.30、0.71[95%CI:0.60~0.84]、p<0.001)と、それぞれ関連することが示された。 一方で、LAAO併施群はAF関連の外来受診率が有意に高く(11.96 vs.10.26件/人年、絶対差:1.70件/人年[95%CI:1.60~1.80]、率比:1.17[95%CI:1.10~1.24]、p<0.001)、入院率も高かった(0.36 vs.0.32、0.04[0.02~0.06]、1.13[1.05~1.21]、p=0.002)。 AF既往患者(6,438/8,590例[74.9%])における比較(LAAO併施群 vs.非併施群)では、脳卒中リスクは1.11 vs.1.71件/100人年(HR:0.68[95%CI:0.50~0.92]、p=0.01)、全死因死亡リスクは3.22 vs.4.93件/100人年(HR:0.67[95%CI:0.56~0.80]、p<0.001)で、それぞれ有意差がみられた。 一方、AF非既往患者(2,152/8,590例[25.1%])における比較(LAAO併施群 vs.非併施群)では、脳卒中リスクは1.23 vs.1.26件/100人年(HR:0.95[95%CI:0.54~1.68]、p=0.87)、全死因死亡リスクは2.30 vs.2.49件/100人年(HR:0.92[95%CI:0.61~1.37]、p=0.67)で、それぞれ有意差はみられなかった。しかし、術後AFリスクについて、イベント発生率(100人年当たり)は27.7% vs.20.2%でLAAO併施群が有意に多かった(HR:1.46[95%CI:1.22~1.73]、p<0.001)。 AFとLAAOの相互作用の有意性は認められなかった(脳卒中のp=0.29、死亡のp=0.16)。

21153.

肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

 非扁平上皮および扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 KEYNOTE-042は、局所進行または転移を有するPD-L1陽性のNSCLC患者において、標準治療のプラチナベース化学療法とペムブロリズマブ単剤治療を比較する国際無作為化オープンラベル第III相試験。対象患者:PD-L1発現1%以上の局所進行または転移を有するNSCLC患者(いずれの組織型も含む)試験薬:ペムブロリズマブ3週ごと35サイクル対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと6サイクル評価項目:主要評価項目は全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブの単剤治療またはプラチナベース化学療法に1:1で無作為に割り付けられた。・2年OS率は、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群44.7%に対して化学療法群30.1%(HR:0.69、p=0.0003)、20%以上では40.5%対29.6%(HR:0.77、p=0.0020)、1%以上では39.3%対28.0%であった(HR:0.81、p=0.0018)。・探索的研究での、TPS1~49%の2年OS率は、ペムブロリズマブ群34.6%に対して化学療法群26.5%であった(HR:0.92)。・2年PFS率はTPS50%以上では、ペムブロリズマブ群37.4%に対して化学療法群27.3(HR:0.81、p=0.017)、20%以上では32.4%対28.8%(HR:094)、1%以上では28.0%対26.6%であった(HR:1.07)。・ORRは、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群39.5%に対して化学療法群32.0%、20%以上では33.4%対28.9%、1%以上では、27.3%対26.5%であった。・治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群62.7%に対して化学療法群89.9%、免疫関連有害事象発現は、27.8%対7.2%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療群は、PD-L1発現NSCLCの1次治療において、PD-L1の発現の程度にかかわらず、化学療法群に比べOSを有意に改善した。■参考ASCO2018 AbstractKEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

21154.

24時間自由行動下血圧は外来血圧よりも優れた予後予測指標である(解説:石川讓治氏)-863

研究の概要 24時間自由行動下血圧が、外来血圧や家庭血圧よりも優れた心血管イベントの予測因子であることが多くのコホート研究で報告されてきたが、本研究は、スペインの実地診療の中で測定された6万3,910名にも及ぶ多数の患者登録データを用いて、24時間自由行動下血圧が外来血圧よりも優れた総死亡や心血管死亡の予測因子であったことを追試した1)。結果の概要 24時間平均収縮期血圧が、1標準偏差(14/10mmHg)増加するごとに、総死亡が56%増加したにもかかわらず、外来収縮期血圧が1標準偏差(19/12mmHg)増加するごとのリスクは2%の増加しか認められなかった。夜間血圧のリスクは1.55倍、昼間の血圧のリスクは1.54倍であり、昼夜のリスクには差が認められなかった。また、24時間平均血圧と外来血圧の予後予測能の関連は、肥満、糖尿病、心血管死亡、降圧治療の有無で層別化しても同様であった。正常血圧(外来血圧<140/90mmHgかつ24時間平均血圧<130/80mmHg)と比較して、仮面高血圧(外来血圧<140/90mmHgかつ24時間平均血圧≧130/80mmHg)は2.83倍リスクが高く、持続性高血圧(1.80倍)や白衣高血圧(外来血圧≧140/90mmHgかつ24時間平均血圧<130/80mmHg)(1.79倍)よりも強い総死亡の予測因子であった。心血管死亡のリスクも総死亡と同様であった。本研究の新規性について 本研究においては、降圧薬の内服のない患者においてのみ定義される白衣高血圧や仮面高血圧と、降圧薬の内服患者において定義される白衣高血圧様の降圧不十分、仮面高血圧様の降圧不十分といった血圧フェノタイプを同時に比較検討したことに新規性があるものと思われる。白衣高血圧や仮面高血圧はPickering TGら2)によって提唱された言葉であるが、本来は持続性高血圧に移行する前段階の血圧パターンであると考えられてきた。その一方で、降圧薬内服下での仮面高血圧様現象は治療によっても完全には降圧できない血圧が残存する難治性高血圧に近い高血圧フェノタイプであると考えられている。そのため医師が外来血圧を十分コントロールしているにもかかわらず仮面高血圧様に不十分な降圧が残存してしまっている患者の方が、医師が十分に外来血圧をコントロールしようとしていない持続性高血圧よりもリスクが高いと考えられていた。しかし、未治療と降圧薬治療中の患者の血圧フェノタイプの違いを混同した報告も多く、また直接これらの血圧フェノタイプの予後予測能の違いを直接比較検討可能なデータはなかった。驚くことに、本研究では、降圧薬を内服してない患者の仮面高血圧が総死亡のリスクが最も高く、持続性高血圧や仮面高血圧様の降圧不十分であった患者よりもリスクが高かった1)。さらには白衣高血圧様の降圧不十分は、正常血圧や良好な降圧コントロールと同程度のリスクであった。注意する点 本研究が従来の研究と異なる点は、持続性高血圧の前段階と考えられていた白衣高血圧や仮面高血圧が、持続性高血圧と同様もしくはそれ以上にリスクが高かったことである。白衣効果は年齢とともに増加し高齢者に多く認められ、仮面効果は肥満者に多く認められる3)。外来血圧と24時間自由行動下血圧の差は、これらの因子に影響を受ける。本研究の対象は日常診療において24時間自由行動下血圧モニタリングが必要と判断された患者であり、医師が白衣効果や仮面効果があることを疑った患者である。そのため、白衣高血圧や仮面高血圧の患者のリスクが地域一般住民よりも高かった可能性がある。治療に応用できるか? 24時間自由行動下血圧は、外来血圧より優れた予後予測因子であり、リスクの層別化には重要である。しかし、24時間自由行動下血圧を指標とした降圧治療が、外来血圧を指標とした降圧治療より優れていることを示した報告は今のところはない。降圧治療については外来血圧を指標に行うことになるが、24時間自由行動下血圧の低下度は、外来血圧の低下度や家庭血圧の低下度よりも小さいことを4)、念頭におく必要がある。

21155.

第4回 育児をする医師は負け組?【宮本研のメディア×ドクターの視座】

第4回 育児をする医師は負け組?ある日の当直中、急性心筋梗塞と判明した外来患者を前に、私は循環器内科のオンコール医師へ急いで電話をかけました。受話器の向こうでは、幼い子供の大きな泣き声が聞こえます。独身の私には事態の深刻さがピンときませんでした。「ああ、分かった、AMIね・・・。今さ、子供を風呂に入れているけど、すぐに行く。○○先生に連絡して、カテの準備を病棟スタッフに頼んで」数十分後、風呂上がりで紅潮した顔の先輩医師が到着すると、長めの髪も乾ききらないまま、心臓カテーテル室へと走って行きました。あれから10年以上が経ち、毎晩、幼い子供たちをお風呂に入れながら、この瞬間にオンコールで呼び出されることが、切実な問題として分かるようになりました。もし妻が不在であったり対応できない時間帯であれば、誰かの助け無しには、夜遅くに子供たちを置いて、病院へ駆けつけることは不可能です。親が慌てて出かける事情が理解できない彼らは大泣きし、相当に厳しい状況となるでしょう。勤務医生活をふり返ると、腎臓内科医が1人体制だった民間病院での7年間は、24時間オンコール体制が毎日続きました。大学や基幹病院よりも呼び出しが少ないとはいえ、朝5時に病棟急変の連絡が入る、深夜1時に緊急透析の判断を問われるといった立場は、精神的に苦しい環境でした。そこに育児が加われば、やっと夜泣きがおさまった子供をオンコールの着信で起こされてしまう。不意の電話は、幼児にとっては恐怖でもあります。「何を軟弱なことを言ってる! それが医者だろう!」という意見もあるかと思いますが、私の父方は100年以上の医師家系で、とくに父が外科医の多忙な日々を送り、オンコールや当直が続き、早々に家庭が崩壊した事実をお伝えしておきます。家族を犠牲にして働くことが、本当に医師の美徳なのか。父親が週末さえもいない中で、母親が「患者さんのために、パパは病院へ行ったんだよ」と言う意味は、高校生になっても理解できませんでした。しかし父と同じく医師になってみると、院内に長時間いる先生が素晴らしい、というデファクト・スタンダード的な見方が、まだあちこちにありました。長時間労働をいとわず、急変時は昼夜を問わずに駆けつけ、床やソファで仮眠を取れば超人的なパフォーマンスを発揮する医師。たびたび身体を壊しつつ、そのような望まれる医師像に挑んできて、「長続きしようがない」というのが私なりの結論です。肉体の老化は年々進み、我が身を満足にメンテナンスできない環境では、医師なりの思考回路も鈍っていく。猛烈なプレッシャーは心身の余裕も破壊します。そして、育児という連続的で多大な負荷は、自宅内での実労働として重くのしかかります。幼い子供は機嫌も体調もグズりも、常に変わり続ける。親の思うとおりにはならないし、真夜中に抱っこしてもずっと泣かれ続ければ、大人の我慢も限界にきてしまう。他人からは見えない修羅場を毎日抱えながら、ハードな医師業も年々レベルアップしろというのは、結構な無茶ぶりでしょう。育児をしている医師、とくに女性は、フルタイム勤務を続けにくい。これは他のビジネスでも同様ですが、最近は多様な支援や代替策を探すことが可能となりつつあります。人員の手当や勤務環境の調整など、医師業よりはかなり柔軟に対応できているのではないでしょうか。育児中の女性社員に優秀なパフォーマンスを発揮してもらうための経営施策は、ハードワーク男性を主戦力としてきた医師業界と比べて、明らかに進歩しているように感じます。けれども、働き方改革における先送りのように、公的な任務を背負う医師業界では、個人の状況は後回しにして、社会的な貢献度合いが優先されやすい。メディア業界で白衣を着用せずに働いてみると、世間一般の理解も医療界としての内部対策も、ともに“不足しっぱなし”であると痛感します。女性に対する「こんなときに妊娠なんて」という言葉は、医師業界でも蔓延するハラスメント行為ですが、きっと今日もどこかで実際に起こっているはず。新卒医師の3分の1以上が女性である時代にもかかわらず、毎日の育児に対する支援や理解、さらに先達たちの発言は不十分です。「忙しくて育児なんて全然しなかったけど、子供たちは奥さんが頑張って育ててくれた」という丸投げ談は、この発想を若い医師へ当てはめること自体、現代のハラスメントになりかねません。ましてや、育児をしている医師はキャリアの負け組だ、というひそかな認識も、医師の働き方が改善しない重大な要因ではないでしょうか。育児はもうひとつの無償労働である。だが、将来の日本を支える人材を懸命に育てる重要な責務でもある。―「オートマチックな育児などない」という声をもっと大きく取り上げ、医師業界に横たわる育児軽視を短期に好転させていくことが、今こそ重要です。

21156.

ASCO2018 会員レポート

2018年6月1日から5日まで、米国シカゴにて2018ASCO Annual Meetingが開催される。この重要な会議における、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネットでは会員現役ドクターによる聴講レポートを企画。現在そして今後のがんの診療トレンドを順次紹介していく。現地シカゴからオンサイトレビューレポート一覧レポーター

検索結果 合計:35655件 表示位置:21141 - 21160